(実施例1)
図1は電子写真記録技術を用いたレーザプリンタ(画像形成装置)100の断面図である。プリント信号が発生すると、画像情報に応じて変調されたレーザ光をスキャナユニット21が出射し、帯電ローラ16によって所定の極性に帯電された感光体19を走査する。これにより感光体19には静電潜像が形成される。この静電潜像に対して現像器17からトナーが供給され、感光体19上に画像情報に応じたトナー画像が形成される。一方、給紙カセット11に積載された記録材(記録紙)Pはピックアップローラ12によって一枚ずつ給紙され、ローラ13によってレジストローラ14に向けて搬送される。さらに記録材Pは、感光体19上のトナー画像が感光体19と転写ローラ20で形成される転写位置に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ14から転写位置へ搬送される。記録材Pが転写位置を通過する過程で感光体19上のトナー画像は記録材Pに転写される。その後、記録材Pは像加熱装置(定着装置)200で加熱されてトナー画像が記録材Pに加熱定着される。定着済みのトナー画像を担持する記録材Pは、ローラ26、27によってレーザプリンタ100上部のトレイに排出される。なお、18は感光体19を清掃するクリーナである。30は像加熱装置200等を駆動するモータである。商用の交流電源401に接続された制御回路400から像加熱装置200へ電力供給している。上述した、感光体19、帯電ローラ16、スキャナユニット21、現像器17、転写ローラ20が、記録材Pに未定着画像を形成する画像形成部を構成している。15は交換ユニットとしてのカートリッジを示している。また、22は光源、23はポリゴンミラー、24は反射ミラーである。
本実施例のレーザプリンタ100は複数の記録材サイズに対応している。給紙カセット11には、Letter紙(約216mm×279mm)、Legal紙(約216mm×356mm)をセットできる。更に、A4紙(210mm×297mm)、Executive紙(約184mm×267mm)、JIS B5紙(182mm×257mm)、A5紙(148mm×210mm)をセットできる。
本例のプリンタは、基本的に紙を縦送りする(紙の長辺が搬送方向と平行になるように搬送する)レーザプリンタである。尚、紙を横送りするプリンタについても、本提案の構成を同様に適用できる。そして、装置が対応している定型の記録材の幅(カタログ上の記録材の幅)のうち最も大きな(幅が大きな)記録材は、Letter紙及びLegal紙であり、これらの幅は約216mmである。装置が対応する最大サイズよりも小さな紙幅の記録材Pを、本実施例では小サイズ紙と定義する。
図2は像加熱装置200の断面図である。像加熱装置200は、筒状のフィルム202と、フィルム202の内面に接触するヒータ300と、フィルム202を介してヒータ300と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ(ニップ部形成部材)208と、を有する。フィルム202のベース層の材質は、ポリイミド等の耐熱樹脂、またはステンレス等の金属である。また、フィルム202には耐熱ゴム等の弾性層を設けても良い。加圧ローラ208は、鉄やアルミニウム等の材質の芯金209と、シリコーンゴム等の材質の弾性層210を有する。ヒータ300は液晶ポリマーのような耐熱樹脂製の保持部材201に保持されている。保持部材201はフィルム202の回転を案内するガイド機能も有している。加圧ローラ208はモータ30から動力を受けて矢印方向に回転する。加圧ローラ208が回転することによって、フィルム202が従動して回転する。未定着トナー画像を担持する記録材Pは、定着ニップ部Nで挟持搬送されつつ加熱されて定着処理される。このように、装置200は、筒状のフィルム202と、フィルム202の内面に接触するヒータ300と、を有し、フィルム202を介したヒータ300の熱で記録材に形成された画像を加熱する。
ヒータ300は、セラミック製の基板305と、基板305上に設けられ電力を供給することによって発熱する発熱抵抗体(発熱体)(図3参照)を有する。基板305の定着ニップ部Nの側の面(第1の面)には、フィルム202の摺動性を確保するため、ガラス製の表面保護層308が設けられている。基板305の定着ニップ部N側の面とは反対側の面(第2の面)には、発熱抵抗体を絶縁するため、ガラス製の表面保護層307が設けられている。第2の面には電極(ここでは代表としてE4を示してある)が露出しており、給電用の電気接点(ここでは代表としてC4を示してある)が電極に接触することにより発熱抵抗体が電気的に交流電源401と接続される。なお、ヒータ300の詳細な説明は後述する。
番号202は、ヒータ300の異常発熱により作動してヒータ300に供給する電力を遮断するサーモスイッチや温度ヒューズ等の保護素子212である。保護素子212は、ヒータ300に当接、若しくはヒータ300に対して若干のギャップを設けて配置されている。番号204は保持部材201に不図示のバネの圧力を加えるための金属製のステーであり、保持部材201及びヒータ300を補強する役目もある。
図3(A)及び図3(B)は実施例1のヒータ300の構成図を示している。図3(A)は、図3(B)に示す記録材Pの搬送基準位置X付近のヒータ300の断面図を示している。図3(B)は、ヒータ300の各層の平面図を示している。図3(C)は、ヒータ300を保持する保持部材の平面図である。
本例のプリンタは、記録材の幅方向(搬送方向に対して直交する方向)の中央を搬送基準位置Xに合わせて搬送する中央基準のプリンタである。
次にヒータ300の構成を詳述する。フィルム202と接触するヒータ面とは反対側のヒータ面であるヒータ300の裏面層1には、第1の導電体301と第2の導電体303と発熱抵抗体(発熱体)302との組からなる発熱ブロックがヒータ300の長手方向に複数設けられている。本実施例のヒータ300は、合計7つの発熱ブロックHB1〜HB7を有する。7つの発熱ブロックのうちの一つを第1の発熱ブロック、その他の一つの発熱ブロックを第2の発熱ブロックとすると、ヒータ300は次のような構成を有する。即ち、ヒータ300は、基板と、基板に形成されており電力の供給により発熱する第1の発熱ブロックを有する。更に、基板の長手方向において第1の発熱ブロックが形成された位置とは異なる位置に形成されており第1の発熱ブロックとは独立して制御される第2の発熱ブロックを有する。発熱ブロックの独立制御に関しては後述する。
各発熱ブロックは、夫々、基板の長手方向に沿って設けられている第1の導電体301と、第1の導電体301とは基板の短手方向で異なる位置で基板の長手方向に沿って設けられている第2の導電体303と、を有する。更に第1の導電体301と第2の導電体303の間に設けられており第1の導電体301と第2の導電体303を介して供給される電力により発熱する発熱抵抗体302を有する。
各発熱ブロックの発熱抵抗体302は、ヒータ300の短手方向に関し、基板中央を基準に互いに対称な位置に形成された発熱抵抗体302a及び発熱抵抗体302bに分かれている。また、第1の導電体301は、発熱抵抗体302aと接続された導電体301aと、発熱抵抗体302bと接続された導電体301bに分かれている。発熱抵抗体302a及び発熱抵抗体302bが基板中央を基準に互いに対称な位置に形成されているので、ヒータが発熱し基板に熱応力が生じても基板が割れにくくなっている。
ヒータ300は7つの発熱ブロックHB1〜HB7を有するので、発熱抵抗体302aは302a−1〜302a−7の7つに分かれている。同様に、発熱抵抗体302bは302b−1〜302b−7の7つに分かれている。更に、第2の導電体303も303−1〜303−7の7つに分かれている。なお、発熱抵抗体302a−1〜302a−7が、基板305内において記録材Pの搬送方向の上流側に配置されており、発熱抵抗体302b−1〜302b−7が基板305内において記録材Pの搬送方向の下流側に配置されている。
ヒータ300の裏面層2には、発熱抵抗体302、第1の導電体301、及び第2の導電体303を覆う絶縁性(本実施例ではガラス)の表面保護層307が設けられている。但し、表面保護層307は、給電用の電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2が接触する電極部E1〜E7、E8−1、及びE8−2は覆っていない。電極E1〜E7は、夫々、第2の導電体303−1〜303−7を介して、発熱ブロックHB1〜HB7に電力供給するための電極である。電極E8−1及びE8−2は、第1の導電体301a及び301bを介して発熱ブロックHB1〜HB7に電力給電するための電極である。
ところで、導電体の抵抗値はゼロではないため、ヒータ300の長手方向における発熱分布に影響を与える。そこで、第1の導電体301a、301b及び第2の導電体303−1〜303−7の電気抵抗の影響を受けても発熱分布が不均一にならないように、電極E8−1及びE8−2はヒータ300の長手方向の両端部に分けて設けてある。
図2に示したように、ステー204と保持部材201の間の空間には、安全素子212、電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2が設けられている。図3(C)に示すように、保持部材201には、電極E1〜E7、E8−1、及びE8−2に接続される電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2を通す穴HC1〜HC7、HC8−1、及びHC8−2が設けられている。また、保持部材201には保護素子212の感熱部を通す穴H212も設けられている。電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2は、バネによる付勢や溶接等の手法によって、対応する電極と電気的に接続されている。保護素子212もバネによって付勢されて、その感熱部が表面保護層307に接触している。各電気接点は、ステー204と保持部材201の間の空間に設けられたケーブルや薄い金属板等の導電部材を介して、後述するヒータ300の制御回路400と接続している。
ヒータ300の裏面に電極を設けることで、第2の導電体303−1〜303−7各々に電気的に接続する配線の為の領域を基板305上に設ける必要がないため、基板305の短手方向の幅を短くすることができる。そのため、ヒータのサイズアップを抑えることができる。なお、図3(B)に示すように、電極E2〜E6は、基板の長手方向において発熱抵抗体が設けられた領域内に設けられている。
後述するが、本例のヒータ300は、複数の発熱ブロックを独立して制御することにより、種々の発熱分布を形成可能になっている。例えば、記録材のサイズに応じた発熱分布を設定できる。更に、発熱抵抗体302はPTC(Positive Temperature Coefficient)を有する材料で形成されている。PTCを有する材料を用いることで、記録材の端部と発熱ブロックの境界とが一致していないケースでも非通紙部の昇温を抑えることができる。
ヒータ300の摺動面(フィルムと接触する側の面)側の摺動面層1には、各発熱ブロックHB1〜HB7の温度を検知するための複数のサーミスタ(温度検知素子)T1−1〜T1−4、及びT2−4〜T2−7が形成されている。サーミスタの材料は、TCR(Temperature Coefficient of Resistance)が正又は負に大きい材料であれば良い。本例ではNTC(Negative Temperature Coefficient)を有する材料を基板上に薄く印刷してサーミスタを構成した。発熱ブロックHB1〜HB7の全てに、一つ以上のサーミスタを対応させて設けているため、全ての発熱ブロックの温度を検知できる。
サーミスタT1−1〜T1−4のうちの一つを第1の温度検知素子、サーミスタT1−1〜T1−4のうちのその他の一つの温度検知素子を第2の温度検知素子とすると、ヒータ300は次のような構成を有する。即ち、ヒータ300は、第1の発熱ブロックに対応する位置に設けられた第1の温度検知素子と、第2の発熱ブロックに対応する位置に設けられた第2の温度検知素子と、を有する。
サーミスタT1−1〜T1−4は、夫々、基板305に設けられた導電パターンET1−1〜ET1−4と電気的に繋がっている。導電パターンET1−1〜ET1−4のうちの第1の温度検知素子に繋がる導電パターンを第1の導電パターン、第2の温度検知素子に繋がる導電パターンを第2の導電パターンとすると、ヒータ300は次のような構成を有する。即ち、ヒータ300は、第1の温度検知素子と電気的に繋がる第1の導電パターンと、第2の温度検知素子と電気的に繋がる第2の導電パターンと、を有する。更にヒータ300は、第1及び第2の温度検知素子と電気的に繋がる共通導電パターンEG1を有する。以下、サーミスタT1−1〜T1−4と、導電パターンET1−1〜ET1−4と、共通導電パターンEG1の組をサーミスタグループTG1と称する。
ヒータ300には、サーミスタT2−4〜T2−7と、導電パターンET2−4〜ET2−7と、共通導電パターンEG2の組から成るサーミスタグループTG2も設けられている。サーミスタグループTG1とTG2は、基板305の第1及び第2の発熱ブロックが形成された基板面とは反対側の基板面に形成されている。
本例では、全ての発熱ブロックHB1〜HB7夫々に対して、少なくとも一つの、対応するサーミスタを配置しているが、少なくとも二つの発熱ブロックに対して、一つの対応するサーミスタを配置するだけでも装置の信頼性は向上する。しかしながら、本例のように、全ての発熱ブロックに対して少なくとも一つの、対応するサーミスタを配置するのが好ましい。
本例のように、共通導電パターンEG1やEG2を用いることによって、第1及び第2の温度検知素子を一つの組にすれば、次に示すような効果がある。即ち、共通導電パターンを用いずにサーミスタT1−1〜T1−4に夫々二本の導電パターンを接続する場合に比べて、導電パターンのコストを低減でき、また、ヒータのサイズアップを抑えることができる。
基板305の定着ニップ部Nの側の面(摺動面層2)には、フィルム202の摺動性を確保するため、絶縁性(本例はガラス製)の表面保護層308がコーティングにより形成されている。表面保護層308は、サーミスタT1−1〜T1−4、T2−4〜T2−7、導電パターンET1−1〜ET1−4、ET2−4〜ET2−7、及び共通導電パターンEG1、EG2を覆っている。しかしながら、電気接点との接続を確保するため、図3(B)に示すように、ヒータ300の両端部で、導電パターンET1−1〜ET1−4、ET2−4〜ET2−7の一部、及び共通導電パターンEG1、EG2の一部は露出させている。
図4はヒータ300の制御回路400の回路図である。401はレーザプリンタ100に接続される商用の交流電源である。ヒータ300の電力制御は、トライアック411〜414の通電/遮断により行われる。トライアック411〜414は、それぞれ、CPU420からのFUSER1〜FUSER4信号に従って動作する。なお、図4において、トライアック411〜414の駆動回路は省略してある。
図3及び図4から理解できるように、7つの発熱ブロックHB1〜HB7は、4つのグループ(グループ1:HB4、グループ2:HB3及びHB5、グループ3:HB2及びHB6、グループ4:HB1及びHB7)に分けられている。ヒータ300の制御回路400は、4つのグループを独立制御可能な回路構成となっている。トライアック411はグループ1を、トライアック412はグループ2を、トライアック413はグループ3を、トライアック414はグループ4を制御することができる。
ゼロクロス検知部421は交流電源401のゼロクロスを検知する回路であり、CPU420にZEROX信号を出力している。ZEROX信号は、トライアック411〜414を位相制御するための基準信号等に用いられる。
次にヒータ300の温度検知方法について説明する。まず、サーミスタグループTG1に関して説明する。CPU420には、電圧Vccを、サ−ミスタ(T1−1〜T1−4)の抵抗値と抵抗(451〜454)の抵抗値で分圧した信号(Th1−1〜Th1−4)が入力する。例えば、信号Th1−1は、電圧Vccを、サーミスタT1−1の抵抗値と抵抗451の抵抗値で分圧した信号である。サーミスタT1−1は温度に応じた抵抗値となるので、発熱ブロックHB1の温度が変化するとCPUに入力する信号Th1−1のレベルも変化する。CPU420は入力した信号Th1−1を、そのレベルに応じた温度に換算する。サーミスタグループTG1の他のサーミスタT1−2〜T1−4に対応する信号Th1−2〜Th1−4の処理も同様なので説明は割愛する。
次に、サーミスタグループTG2に関して説明する。サーミスタグループTG2も、TG1同様、CPU420には、電圧Vccを、サ−ミスタ(T2−4〜T2−7)の抵抗値と抵抗(464〜467)の抵抗値で分圧した信号(Th2−4〜Th2−7)が入力する。CPU420による温度への換算方法はサーミスタグループTG1と同じなので説明は割愛する。
次に、ヒータ300への電力制御(ヒータの温度制御)について説明する。定着処理中、発熱ブロックHB1〜HB7の各々は、サーミスタグループTG1内のサーミスタ(T1−1〜T1−4)の検知温度が設定温度(制御目標温度)を維持するように制御される。具体的には、グループ1(発熱ブロックHB4)へ供給される電力は、サーミスタT1−4の検知温度が設定温度を維持するように、トライアック411の駆動を制御することによって制御される。グループ2(発熱ブロックHB3及びHB5)へ供給される電力は、サーミスタT1−3の検知温度が設定温度を維持するように、トライアック412の駆動を制御することによって制御される。グループ3(発熱ブロックHB2及びHB6)へ供給される電力は、サーミスタT1−2の検知温度が設定温度を維持するように、トライアック413の駆動を制御することによって制御される。グループ4(発熱ブロックHB1及びHB7)へ供給される電力は、サーミスタT1−1の検知温度が設定温度を維持するように、トライアック414の駆動を制御することによって制御される。このように、サーミスタグループTG1中の各サーミスタは、各発熱ブロックを一定温度に保つための制御を実行する際に使用される。
CPU420は、各発熱ブロックの設定温度(制御目標温度)と、サーミスタグループTG1内の各サーミスタ(T1−1〜T1−4)の検知温度に基づき、例えばPI制御により、供給電力を算出する。更に、算出した供給電力を、対応する位相角(位相制御)や波数(波数制御)等の制御タイミングに換算し、この制御タイミングでトライアック411〜414を制御している。なお、最大サイズの普通紙を定着処理する際の本例の装置の各グループの設定温度は250℃である。サイズが小さな普通紙を定着処理する場合は、グループ1の設定温度を250℃とし、その他のグループの設定温度は250℃よりも低くする。各グループの設定温度は、記録材のサイズ、種類、表面性等の情報に応じて適宜設定すればよい。
リレー430とリレー440は、装置の故障などの要因でヒータ300が過昇温した場合、ヒータ300への電力を遮断する手段として搭載されている。次に、リレー430及びリレー440の回路動作を説明する。
CPU420から出力されるRLON信号がHigh状態になると、トランジスタ433がON状態になり、直流電源(電圧Vcc)からリレー430の2次側コイルに通電され、リレー430の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ433がOFF状態になり、電源(電圧Vcc)からリレー430の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー430の1次側接点はOFF状態になる。同様に、RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ443がON状態になり、電源(電圧Vcc)からリレー440の2次側コイルに通電され、リレー440の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ443がOFF状態になり、電源(電圧Vcc)からリレー440の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー440の1次側接点はOFF状態になる。
次にリレー430及びリレー440を用いた保護回路(CPU420を介さないハード回路)の動作について説明する。信号Th1−1〜Th1−4の何れか一つのレベルが、比較部431内部に設定された所定値を超えた場合、比較部431はラッチ部432を動作させ、ラッチ部432はRLOFF1信号をLow状態でラッチする。RLOFF1信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ433がOFF状態で保たれるため、リレー430はOFF状態(安全な状態)を保つことができる。尚、ラッチ部432は非ラッチ状態において、RLOFF1信号をオープン状態の出力にしている。
同様に、信号Th2−4〜Th2−7の何れか一つのレベルが、比較部441内部に設定された所定値を超えた場合、比較部441はラッチ部442を動作させ、ラッチ部442はRLOFF2信号をLow状態でラッチする。RLOFF2信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ443がOFF状態で保たれるため、リレー440はOFF状態(安全な状態)を保つことができる。ラッチ部442は非ラッチ状態において、RLOFF信号をオープン状態の出力にしている。本例の比較部431内部に設定された所定値、及び比較部441内部に設定された所定値は、いずれも300℃に相当する値としてある。
次に、二つのサーミスタグループTG1及びTG2を用いた、回路の保護動作について説明する。図3及び図4に示すように、上述した4つのグループ(グループ1〜4)の各々には、サーミスタグループTG1のうちの一つのサーミスタと、サーミスタグループTG2のうちの一つのサーミスタが対応して配置されている。更に、全ての発熱ブロックHB1〜HB7の各々に対して、少なくとも一つのサーミスタが対応して配置されている。具体的には、グループ1(HB4)には、サーミスタグループTG1の中のサーミスタT1−4とサーミスタグループTG2の中のサーミスタT2−4が対応して配置されている。グループ2(HB3及びHB5)には、サーミスタグループTG1の中のサーミスタT1−3とサーミスタグループTG2の中のサーミスタT2−5が対応して配置されている。グループ3(HB2及びHB6)には、サーミスタグループTG1の中のサーミスタT1−2とサーミスタグループTG2の中のサーミスタT2−6が対応して配置されている。グループ4(HB1及びHB7)には、サーミスタグループTG1の中のサーミスタT1−1とサーミスタグループTG2の中のサーミスタT2−7が対応して配置されている。また、全ての発熱ブロックHB1〜HB7の各々に対して、8つのサーミスタのうち少なくとも一つのサーミスタが対応して配置されている。このようなサーミスタのレイアウトにより、装置故障時の回路の保護動作の信頼性が向上する。そのことを以下に説明する。
例えば、サーミスタグループTG1中のサーミスタT1−1〜T1−4の何れかが故障した場合を想定する。サーミスタの故障により、故障したサーミスタに対応する発熱ブロックがあるグループが制御不能となっても、故障したサーミスタがある発熱ブロックのグループには、サーミスタグループTG2中のサーミスタ(T2−4〜T2−7のいずれか)も配置されている。よって、サーミスタグループTG2中のサーミスタを経由して保護回路が働く(電力供給をストップする)。
次に、全ての発熱ブロックHB1〜HB7の各々に対して、8つのサーミスタのうち少なくとも一つのサーミスタが対応して配置されている構成のメリットを説明する。
例えば、グループ2に対応するサーミスタT2−5を、発熱ブロックHB5に対応する位置ではなく発熱ブロックHB5と同じグループ2である発熱ブロックHB3に対応する位置に配置したとする。この場合、発熱ブロックHB3に対応する位置にサーミスタグループTG1のサーミスタT1−3とサーミスタグループTG2のサーミスタT2−5が配置され、発熱ブロックHB5に対応する位置にはサーミスタがない構成となる。このような構成でも、グループ2の温度はモニタできる。しかしながら、この構成において電極E3と電気接点C3が接触不良になった場合、発熱ブロックHB3は発熱しないが発熱ブロックHB3と同じグループ2である発熱ブロックHB5は発熱している可能性が有る。そして、グループ2の発熱ブロックHB5が異常発熱しても、グループ2に対応する二つのサーミスタT1−3とT2−5は、これをモニタできず、保護回路が働かない。
これに対して、本例では、発熱ブロックHB3に対応する位置にサーミスタグループTG1のサーミスタT1−3が配置され、発熱ブロックHB5に対応する位置にはサーミスタグループTG2のサーミスタT2−5が配置されている。よって、電極E3と電気接点C3が接触不良になり、グループ2のうち発熱ブロックHB5のみが発熱しても、この温度をサーミスタT2−5でモニタして保護回路を動作させることができる。このように、全ての発熱ブロックHB1〜HB7の各々に対して、8つのサーミスタのうち少なくとも一つのサーミスタが対応して配置されているので装置の信頼性が向上する。
図5は、CPU420による制御回路400の制御シーケンスを説明するフローチャートである。S100でプリント要求が発生すると、S101ではリレー430及びリレー440をON状態にする。
S102では、サーミスタT1−1の検知温度(信号Th1−1)が制御目標温度に到達するように、トライアック414をPI制御し、発熱ブロックHB1及びHB7に供給する電力を制御する。
S103では、サーミスタT1−2の検知温度(信号Th1−2)が制御目標温度に到達するように、トライアック413をPI制御し、発熱ブロックHB2及びHB6に供給する電力を制御する。
S104では、サーミスタT1−3の検知温度(信号Th1−3)が制御目標温度に到達するように、トライアック412をPI制御し、発熱ブロックHB3及びHB5に供給する電力を制御する。
S105では、サーミスタT1−4の検知温度(信号Th1−4)が制御目標温度に到達するように、トライアック411をPI制御し、発熱ブロックHB4に供給する電力を制御する。
上述したように、各発熱ブロックの制御目標温度は、記録材サイズ情報に応じて設定される。本例の装置は、搬送基準Xを含む発熱ブロックHB4の制御目標温度を記録材サイズに拘らず同じ温度に設定し、その他の発熱ブロックの制御目標温度は記録材サイズに応じて変えている。記録材のサイズが小さいほど、発熱ブロックHB4以外の発熱ブロックの制御目標温度を低くしている。
S106では、ヒータ300の非通紙部昇温が所定の閾値温度(許容温度)Tmax以下であるか判断をおこなっている。本例ではTmaxを、発熱ブロックHB4の制御目標温度250℃より高く、比較部431と比較部441に設定された所定値300℃より低い温度である280℃に設定している。また、サーミスタグループTG1中のサーミスタと基準Xとの位置関係、サーミスタグループTG2中のサーミスタと基準Xとの位置関係、は異なっている。サーミスタグループTG2のサーミスタは、サーミスタグループTG1のサーミスタに比べて、各発熱ブロック内において、搬送基準位置Xからヒータ300の長手方向の外側に配置されている。図3(B)に示すように、発熱ブロックHB4に対応するサーミスタT1−4の基準Xからの距離と、発熱ブロックHB4に対応するサーミスタT2−4の基準Xからの距離と、を比較すればこの関係が理解しやすい。このようなレイアウトにより、一つの発熱ブロック内で非通紙部昇温が生じても、サーミスタグループTG2のサーミスタで検知できる構成となっている。
S106でサーミスタT2−4〜T2〜7の温度が閾値温度Tmax以下である場合、S108に進み、S108でプリントJOBの終了を検知するまで、S102〜S106の制御を繰り返す。
S106でサーミスタT2−4〜T2〜7の温度が閾値温度Tmaxを超えている場合、S107で、画像形成装置100の画像形成のプロセススピードを低下させ、且つサーミスタT1−1〜T1−4の制御目標温度を低下させた状態で定着処理を行う。画像形成のプロセススピードを低下させると、全速に比べて低い温度でも定着性を確保できるため、非通紙部の昇温も抑制できる。
以上の処理を繰り返し行い、S108でプリントJOBの終了を検知すると、S109でリレー430とリレー440をOFFし、S110で画像形成の制御シーケンスを終了する。
(実施例2)
次に実施例1で説明したヒータ300及びヒータの制御回路400を、ヒータ600及び制御回路700に変更した実施例2を説明する。実施例1と同様の構成については同一の記号を用いて説明を省略する。実施例2のヒータ600は、ヒータ300と比べて摺動面層1の構成が異なっている。制御回路700は、発熱ブロックHB1〜HB7を全て独立制御可能な構成となっている。
図6は実施例2のヒータ600の構成図を示している。摺動面層1以外の構成は、ヒータ300と同じため説明を省略する。
ヒータ600の摺動面層1には、発熱ブロックHB1〜HB7夫々の温度を検知するための、サーミスタT3−1a〜T3−4a、T3−1b〜T3−3b、T4−4a〜T4−7a、T4−5b〜T4−7b、及びT5が配置されている。発熱ブロックHB1〜HB7の全てに、二つ以上のサーミスタを対応させているため、サーミスタが一つ故障した場合でも、全ての発熱ブロックの温度を検知できる構成となっている。
サーミスタグループTG3は、7つのサーミスタT3−1a〜T3−4a及びT3−1b〜T3−3bと、導電パターンET3−1a〜ET3−4a、ET3−3b、ET3−12bと、共通導電パターンEG3を有する。
同様に、サーミスタグループTG4は、7つのサーミスタT4−4a〜T4−7a及びサーミスタT4−5b〜T4−7bと、導電パターンET4−4a〜ET4−7a、ET4−5b、ET4−67bと、共通導電パターンEG4を有する。
まずは、サーミスタグループTG3の説明を行う。サーミスタT3−1bとサーミスタT3−2bは発熱ブロックHB1とHB2の温度を検知するためのサーミスタであり、導電パターンET3−12bと、共通導電パターンEG3の間に、二つのサーミスタが並列接続された構成となっている。発熱ブロックHB1とHB2のどちらか一方の温度が上昇した場合でも、サーミスタT3−1bとサーミスタT3−2bのどちらか一方の抵抗値が大きく低下する。このため、発熱ブロックHB1とHB2の両方の温度検知を、一本の、サーミスタの抵抗値検出用の導電パターンET3−12bで行うことができる。従って、サーミスタT3−1bとサーミスタT3−2bのそれぞれに導電パターンを接続し配線する場合に比べて、導電パターンの配線を形成するコストを低減することができる。また、基板305短手方向の幅を短くすることができる。同様に、サーミスタT4−6bとサーミスタT4−7bも並列接続されている。
共通導電パターンEG3とEG4は、導電パターンEG34によって基板305上で接続されており、図7で説明する断線検知に用いている。断線検知を行うことで、断線故障時の安全性を高めることができる。
一つの発熱ブロックHB3に対して、二つのサーミスタT3−3aとサーミスタT3−3bが設置されており、抵抗値検出用の導電パターンET3−3aと、ET3−3bと、共通導電パターンEG3によって、それぞれ温度検出可能な構成となっている。
発熱ブロックHB3の範囲において、搬送基準位置Xから遠い位置に配置されているサーミスタT3−3bは端部温度検知用のサーミスタであり、搬送基準位置Xに近い位置に配置されているサーミスタT3−3aは温調用サーミスタである。必要に応じて、一つの発熱ブロックに複数のサーミスタを設けても良い。
サーミスタグループTG4の説明は、サーミスタグループTG3と同じため、説明を省略する。
サーミスタT5は、抵抗値検出用の導電パターンET5とEG5の間に形成された単独のサーミスタである。必要に応じて、単独のサーミスタを、サーミスタグループと組み合わせて用いても良い。
図7は実施例2のヒータ600の制御回路700の回路図を示す。ヒータ600の電力制御は、トライアック711〜トライアック717の通電/遮断により行われる。トライアック711〜717は、それぞれ、CPU420からのFUSER1〜FUSER7信号に従って動作する。ヒータ600の制御回路700は、7つのトライアック711〜717によって、7つの発熱ブロックHB1〜HB7を独立制御可能な回路構成となっている。
次にヒータ600の温度検知方法について説明する。CPU420には、電圧Vccを、サーミスタグループTG3のサーミスタT3−1a〜T3−4a、T3−1b、T3−2bの抵抗値と抵抗751〜756の抵抗値で分圧した信号(Th3−1a〜Th3−4a、Th3−3b、Th3−12b)が入力する。同様に、CPU420には、電圧Vccを、サーミスタグループTG4のサーミスタT4−4a〜T4−7a、T4−5b〜T4−7bの抵抗値と、抵抗771〜776の抵抗値で分圧した信号が入力する。この信号はTh4−4a〜Th4−7a、Th4−5b、Th4−67bで示してある。同様に、CPUには、サーミスタT5の抵抗値と抵抗761の抵抗値で分圧した信号(Th5)が入力する。CPU420は、入力した各信号を、そのレベルに応じた温度に換算する。
CPU420は、各発熱ブロックの設定温度(制御目標温度)と、各サーミスタの検知温度に基づき、例えばPI制御により、供給電力を算出する。更に、算出した供給電力を、対応する位相角(位相制御)や波数(波数制御)等の制御タイミングに換算し、この制御タイミングでトライアック711〜717を制御している。
次にリレー430及びリレー440を用いた保護回路の動作について説明する。サーミスタグループTG3のTh3−1a〜Th3−4a信号及びサーミスタグループTG4のTh4−5b、Th4−67b信号に基づき、検知温度の何れか一つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部431はラッチ部432を動作させる。
同様に、サーミスタグループTG4のTh4−4a〜Th4−7a信号及びサーミスタグループTG3のTh3−3b、Th3−12b信号に基づき、検知温度の何れか一つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部441はラッチ部442を動作させる。
次に断線検知回路780の説明を行う。断線検知回路780は、共通導電パターンEG3及びEG4が断線した場合の安全性を高めるために用いる回路である。
断線検知回路780の回路動作を説明する。共通導電パターンEG3とEG4の接続が断線した場合、抵抗781及び抵抗782により電源電圧Vccにプルアップされるため、断線検知信号ThSafeはHigh状態となる。尚、抵抗781及び抵抗782は抵抗のショート故障を考慮して、二つの抵抗を配置している。断線検知信号ThSafeがHigh状態になると、ラッチ部432及びラッチ部442を動作させる。
次に、断線検知回路780及び導電パターンEG34の効果を説明する。まず、導電パターンEG34と断線検知回路780の両方を有しておらず、実施例1の構成と同じく、共通導電パターンEG3と共通導電パターンEG4が、それぞれGNDに接続されている場合について説明する。この場合、共通導電パターンEG3が断線すると、サーミスタグループTG3のサーミスタが全て動作しなくなるため、発熱ブロックHB1〜HB3への給電をストップする保護回路が働かなくなる。同様に、共通導電パターンEG4が断線すると、サーミスタグループTG4のサーミスタが全て動作しなくなるため、発熱ブロックHB5〜HB7への給電をストップする保護回路が働かなくなる。
次に、共通導電パターンEG3とEG4を接続する導電パターンEG34は有しているものの、断線検知回路780を有しておらず、実施例1の構成と同じく、共通導電パターンEG3とEG4が、それぞれGNDに接続されている場合について説明する。この場合、導電パターンEG34の効果によって、共通導電パターンEG3とEG4のどちらか一方が断線した場合でも、導電パターンEG34を介してGNDに接続される。このため、サーミスタグループTG3及びTG4による温度検知は可能な状態となる。しかしながら、サーミスタグループTG3の導電パターン(ET3−1a〜ET3−4aと、ET3−12b、ET3−3b、EG3)と制御回路700を接続する不図示のコネクタが抜けた場合、サーミスタグループTG3のサーミスタが全て動作しなくなる。このため、発熱ブロックHB1〜HB3への給電をストップする保護回路が働かなくなる。同様に、サーミスタグループTG4の導電パターン(ET4−4a〜ET4−7aと、ET4−67b、ET4−5b、EG4)と制御回路700を接続するコネクタが抜けた場合、サーミスタグループTG4のサーミスタが全て動作しなくなる。このため、発熱ブロックHB5〜HB7への給電をストップする保護回路が働かなくなる。
これに対して、本例の装置は、導電パターン体EG34と断線検知回路780を有している。これにより、共通導電パターンEG3、EG4が断線する故障や、サーミスタグループTG3やTG4と制御回路700とを接続するコネクタが抜けた場合、の両方の故障状態を検知することができる。
図8は、CPU420による制御回路700の制御シーケンスを説明するフローチャートである。図5と同様の構成については同一の記号を用いて説明を省略する。
S201では、サーミスタT3−1aの検知温度(信号Th3−1a)が所定の目標温度に到達するように、トライアック711をPI制御し、発熱ブロックHB1に供給する電力を制御する。
S202では、サーミスタT3−2aの検知温度(信号Th3−2a)が所定の目標温度に到達するように、トライアック712をPI制御し、発熱ブロックHB2に供給する電力を制御する。
S203では、サーミスタT3−3aの検知温度(信号Th3−3a)が所定の目標温度に到達するように、トライアック713をPI制御し、発熱ブロックHB3に供給する電力を制御する。
S204では、サーミスタT5の検知温度(信号Th5)が所定の目標温度に到達するように、トライアック714をPI制御し、発熱ブロックHB4に供給する電力を制御する。
S205では、サーミスタT4−5aの検知温度(信号Th4−5a)が所定の目標温度に到達するように、トライアック715をPI制御し、発熱ブロックHB5に供給する電力を制御する。
S206では、サーミスタT4−6aの検知温度(信号Th4−6a)が所定の目標温度に到達するように、トライアック716をPI制御し、発熱ブロックHB6に供給する電力を制御する。
S207では、サーミスタT4−7aの検知温度(信号Th4−7a)が所定の目標温度に到達するように、トライアック717をPI制御し、発熱ブロックHB7に供給する電力を制御する。
S208では、ヒータ300の非通紙部昇温が所定の閾値温度(許容温度)Tmax以下であるか判断をおこなっている。
S208で、サーミスタT3−4a、T4−4a、T3−3b、T4−5bの温度が閾値温度Tmax以下である場合、S108に進み、S108でプリントJOBの終了を検知するまで、S201〜S208の制御を繰り返す。
(実施例3)
図9のヒータ800は、発熱抵抗体802を定着ニップ部Nの側に配置し、サーミスタグループTG6を定着ニップ部Nの反対側に配置した場合の例である。実施例1と同様の構成については同一の記号を用いて説明を省略する。
図9(A)はヒータ800の中央部(搬送基準位置X付近)の断面図を示している。裏面層1には導電パターンのみを形成しており、その上からチップサーミスタT6−2を接着している。810及び811はチップサーミスタT6−2の電極である。チップサーミスタT6−2には、電極810と電極811を介して、導電パターンEG6と導電パターンET6−2が接続されている。ヒータ800のように、サーミスタグループTG6を定着ニップ部Nの反対側に配置することで、摺動面層に必要な平坦性は不要となり、厚みのあるチップサーミスタT6−2を設置できる。
ヒータ800の裏面層1に設けられたサーミスタグループTG6は、3つのチップサーミスタT6−1〜T6−3と、サーミスタの抵抗値検出用の導電パターンET6−1〜ET6−3と、共通導電パターンEG6を有している。
ヒータ800の摺動面層1には、3つの発熱ブロックHB1〜HB3が設けられている。発熱抵抗体802は、802−1〜802−3に3分割されており、第1の導電体801と、3つに分割された第2の導電体803−1〜803−3を介して電力供給されている。第2の導電体803−1〜803−3は電極E1〜E3に接続されており、第1の導電体801は電極E8に接続されている。電極E8を共通電極として、電極E1〜E3にそれぞれトライアック等のスイッチ素子を設けることで、3つの発熱ブロックHB1〜HB3を独立に制御可能な構成となっている。ヒータ800の摺動面層2には、摺動性と絶縁性を有したガラスが保護層808として設けてある。
ところで、ヒータ800では、発熱ブロックHB1〜HB3に給電を行うために、第1の導電体801と、第2の導電体803を、ヒータ短手方向の両端に配線する必要がある。そのため、特に、発熱ブロック数が増加すると、第1の導電体801と、第2の導電体803を配線するための面積が増加してしまい、ヒータが大型化してしまう。
実施例1で説明したヒータ300及び実施例2で説明したヒータ600のように、発熱領域内に電極E2〜E6を設けると、第1の導電体301と第2の導電体303の配線に必要な面積が不要となるため、ヒータを大型化せずに、発熱ブロック数を増加できる。発熱領域内に電極E2〜E6を設ける構成では、電気接点C2〜C6を接続させるために、定着ニップ部Nの反対側に電極E2〜電極E6を設ける必要がある。そのため、発熱ブロック(HB1〜HB7)を定着ニップ部Nの反対側に形成し、サーミスタグループ(TG1、TG2、TG3、TG4)を定着ニップ部Nの側に形成する構成が有効である。
発熱ブロック数が少ない場合には、本実施例で説明したヒータ800のように、複数のチップサーミスタを用いたサーミスタグループTG6を、定着ニップ部Nの反対側に配置する方法を適用できる。
(実施例4)
図10に示す実施例4は、実施例1や実施例2のヒータに対して、発熱抵抗体の形状が異なっている。図10(A)に示すヒータ900の発熱抵抗体902a、902bは、長手方向において連続している(分割されていない)。
図10(A)は、ヒータ900の裏面層1の平面図である。導電体303は、長手方向に7分割されているため、発熱体902a、902bは、発熱ブロックHB1〜HB7の領域で、独立に温度制御が可能な構成となっている。ヒータ900は、発熱体902a、902bを分割していないので、導電体303の分割された隙間領域においても長手方向において連続して発熱し、発熱量が0(ゼロ)になる領域がないため、長手方向においてヒータをより均一に発熱させることができる。
図10(B)に示すヒータ1000は、発熱抵抗体1002a、1002bが、更に並列接続した複数の発熱抵抗体に分割されているものである。
図10(B)は、ヒータ1000の裏面層1の平面図である。発熱抵抗体1002aは複数に分割されており、導電体303と、導電体301aの間に並列接続されている。同様に、発熱抵抗体1002bは複数に分割されており、導電体303と、導電体301aの間に並列接続されている。
発熱抵抗体1002a、1002bの分割された発熱抵抗体は、ヒータ1000の長手方向及び短手方向に対して傾けて配置されており、ヒータ1000の長手方向でオーバーラップしている。これにより、分割された複数の発熱抵抗体の間の間隙部の影響を低減し、ヒータ1000の長手方向の発熱分布の均一性を改善できる。また、ヒータ1000では、発熱ブロック間の間隙部についても、隣り合う発熱ブロックの最も端部の分割された発熱抵抗体同士が長手方向でオーバーラップしているので、ヒータ1000の長手方向の発熱分布をより均一にできる。隣り合う発熱ブロックの最も端部の発熱抵抗体同士とは、例えば発熱ブロックHB1の右端の発熱抵抗体と、発熱ブロックHB2の左端の発熱抵抗体である。
また、発熱抵抗体1002a、1002bの発熱分布は、分割された発熱抵抗体の幅、長さ、間隔、傾き等を調整することで行うことができる。ヒータ900やヒータ1000の構成を採用することで、複数の発熱ブロック間の間隙部における温度ムラを抑制できる。
(実施例5)
図11は、実施例1に示した制御回路400において、各発熱ブロックへ流す電流波形を示したものである。図11(A)は、ヒータ300に供給する電力のデューティ比毎に設定された、トライアック411の駆動パターン(発熱ブロックHB4に流す電流波形のテーブル)である。同様に、図11(B)は、トライアック412〜414の駆動パターン(発熱ブロックHB1〜HB3、HB5〜HB7に流す電流波形のテーブル)である。
CPU420は、1制御周期毎にヒータに供給する電力のレベル(デューティ比)を算出すると、デューティ比に応じた波形を、供給する発熱ブロック毎に選択する。本実施例の制御方法では、4半波を1制御周期として、各トライアックの通電制御パターンを設定し、ヒータ300供給する電力の制御を行なっている。
以下、デューティ比25%の場合のトライアック411の通電制御パターンの例について説明する。図11(A)に示すトライアック411の通電制御パターンAでは、1半波〜2半波を90°の位相角で制御して50%の電力を供給し、3半波〜4半波をOFFしている。このため、ヒータ300の発熱ブロックHB4には平均で25%の電力が供給されている。通電制御パターンAは、1半波〜2半波に位相制御を行う通電パターンである。
また、図11(B)に示すトライアック412〜414の通電制御パターンでは、3半波〜4半波を90°の位相角で制御して50%の電力を供給し、1半波〜2半波をOFFしている。このため、ヒータ300の発熱ブロックHB1〜HB3、HB5〜HB7には平均で25%の電力が供給されている。通電制御パターンBは、3半波〜4半波に位相制御を行う通電パターンである。
ヒータ300の発熱ブロックHB4は他の発熱ブロックよりも抵抗値が低いため、その他の発熱ブロックに比べて位相制御時の電流の変動量が大きくなる。そこで、本例では、発熱ブロックHB4に位相制御の電流が流れるタイミング(1半波〜2半波)と、その他の発熱ブロックHB1〜HB3、HB5〜HB7に位相制御の電流が流れるタイミング(3半波〜4半波)をずらしている。これにより、ヒータ300全体に流れる位相制御電流の変動値を抑えることができる。25%以外のデューティ比の場合も同様である。
図11に示したように、複数のトライアックの制御タイミングを同期させて制御(複数トライアックの同期制御)させることで、本例では、像加熱装置200の高調波電流を低減できる。図11は同期制御の一例であり、例えば、フリッカを低減させるように、複数トライアックの同期制御を行っても良い。
尚、制御回路700のトライアック711〜717についても、同様の方法によって複数トライアックの同期制御を行うことができる。
複数トライアックの同期制御によるメリットは、高調波電流やフリッカが低減できることや、ヒータ300の総抵抗値を低く設定しても、高調波電流やフリッカの規格を満足することができることである。ヒータ300の抵抗値を低く設定できれば、交流電源401からヒータ300に供給可能な最大電力をより大きくすることができる。
上述した複数の実施例は、記録材の幅方向の中央を搬送基準位置Xに合わせて搬送する中央基準のプリンタを用いて説明した。しかしながら、本発明は、ヒータの長手方向の一方の端部を搬送基準位置として、記録材の幅方向の一方の端部を搬送基準位置に合わせて搬送する片側基準のプリンタにも適用できる。