JP2021127505A - 接合用金属ペースト、接合体、半導体装置、及び接合体の製造方法 - Google Patents

接合用金属ペースト、接合体、半導体装置、及び接合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素を含まない雰囲気中、低加圧で接合する場合であっても、充分な接合強度を得ることができる接合用金属ペースト、それを用いる接合体及び半導体装置、並びに接合体の製造方法を提供すること。【解決手段】接合用金属ペーストは、金属粒子と、分散媒と、を含む接合用金属ペーストであって、金属粒子が、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸で被覆された、体積平均粒径が0.1μm以上0.9μm以下のサブマイクロ銅粒子と、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸又は酸化銅で被覆された、体積平均粒径が2μm以上50μm以下のマイクロ銅粒子と、を含み、分散媒が、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有しないアルコール系化合物と、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有するポリエーテルアルコール系化合物と、を含み、マイクロ銅粒子の含有量が、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子の質量の合計を基準として、0.5質量%以上50質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、接合用金属ペースト、並びに、それを用いた接合体、半導体装置、及び接合体の製造方法に関する。
半導体装置を製造する際、半導体素子とリードフレーム等(支持部材)とを接合する接合層を形成するため、様々な接合材が用いられている。例えば、150℃程度までの温度で動作させるパワー半導体、LSI等の接合には、接合層の形成に高鉛はんだが用いられてきた。近年、半導体素子の高容量化及び省スペース化が進み、半導体を175℃以上で高温動作させる要求が高まっている。このような半導体装置の動作安定性を確保するためには、接合層に接続信頼性及び高熱伝導特性が必要となる。しかし、175℃以上の温度域では、従来用いられてきた高鉛はんだの接合層では接続信頼性に課題が生じ、熱伝導率も不十分(30Wm−1−1)なため、代替材が求められている。
代替材の一つとして、銀粒子の焼結現象により形成される焼結銀層が提案されている(下記特許文献1を参照)。焼結銀層は、熱伝導率が高く(>100Wm−1−1)、パワーサイクルに対する接続信頼性が高いことが報告されており注目されている(下記非特許文献1を参照)。しかし、接続信頼性を確保するには焼結銀層の緻密度向上のために高加圧を伴う熱圧着プロセスが必須であり、半導体素子チップの損傷や熱圧着工程のスループットの低下などの課題がある。更に、銀は材料コストが高いことも課題となっている。
別の代替材として、銅を用いた焼結銅層が提案されている。銅は、銀に比べて機械的強度に優れており焼結銀層ほど緻密度を上げなくても高温信頼性が得られやすく、材料コストも低く抑えることができる。このような焼結銅層として、酸化銅粒子を還元・焼結して得られる焼結銅層が提案されている(下記特許文献2及び下記非特許文献2を参照)。
特許第4247800号 特許第5006081号
R. Khazaka, L. Mendizabal, D. Henry: J. ElecTron. Mater, 43(7), 2014, 2459−2466 T. Morita、 Y. Yasuda: Materials Transactions、 56(6)、 2015、 878−882
上記の焼結銅層は、水素雰囲気中において酸化銅から銅への還元反応を利用することで得られ、還元反応時の体積収縮に起因する接合強度の低下を熱圧着プロセスにより回避している。しかし、高加圧を伴う熱圧着プロセスには上述した課題があり、水素雰囲気中での加圧工程は専用の装置が必要となるため、製品コストが増大するという課題がある。
そこで、本発明は、水素を含まない雰囲気中、低加圧で接合する場合であっても、充分な接合強度を得ることができる接合用金属ペースト、それを用いる接合体及び半導体装置、並びに接合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、金属粒子と、分散媒と、を含む接合用金属ペーストであって、金属粒子が、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸で被覆された、体積平均粒径が0.1μm以上0.9μm以下のサブマイクロ銅粒子と、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸又は酸化銅で被覆された、体積平均粒径が2μm以上50μm以下のマイクロ銅粒子と、を含み、分散媒が、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有しないアルコール系化合物と、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有するポリエーテルアルコール系化合物と、を含み、マイクロ銅粒子の含有量が、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子の質量の合計を基準として、0.5質量%以上50質量%以下である、接合用金属ペーストを提供する。
上記の接合用金属ペーストによれば、部材同士を水素を含まない雰囲気中、低加圧で接合する場合であっても、充分な接合強度を得ることができる。
このような効果が得られる理由について本発明者らは以下のとおり推察する。
(i)まず、上記サブマイクロ銅粒子と上記マイクロ銅粒子とを特定の割合で含有させることにより、充分な焼結性を維持しつつ、銅粒子を被覆するモノカルボン酸又は分散媒に起因する焼結時の体積収縮を充分抑制することができ、低加圧であっても焼結体強度の確保及び被着面との接合力向上が可能となると考えられる。
(ii)また、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子を被覆するモノカルボン酸が、上記アルコール系化合物及び上記ポリエーテルアルコール系化合物と反応することで、比較的低温でモノカルボン酸の脱離が進行し、活性な銅表面が現れると考えられる。マイクロ粒子の表面が酸化銅で被覆されている場合(マイクロ粒子の表面が酸化銅層である場合)は、この酸化銅が上記アルコール系分散媒又はポリエーテルアルコール系分散媒によって還元されることで、活性な銅表面が現れると考えられる。これらの作用によって現れた活性な銅表面同士が接触・焼結することにより、低加圧であっても強固な銅焼結体が形成されると考えられる。
(iii)更に、上記アルコール系化合物及び上記ポリエーテルアルコール系化合物が、銅の還元剤として機能することで、積極的な還元雰囲気を必要とせずとも、銅粒子の焼結が十分に進行し、比較的低い加圧力によっても強固な接合が可能になると考えられる。
また、上記の接合用金属ペーストによれば、分散媒として、上記アルコール系化合物及び上記ポリエーテルアルコール系化合物を組み合わせて配合されていることにより、大面積の部材であってもボイドの発生を抑制しつつ接合することができ、ボイドに起因する接合強度及び接合信頼性の低下を防止することができる。
上記の接合用金属ペーストにおいては、アルコール系化合物の大気圧下における沸点が100℃以上250℃未満であり、ポリエーテルアルコール系化合物の大気圧下における沸点が250℃以上400℃以下であってもよい。この場合、大面積の部材であってもボイドの発生を抑制しつつ充分な接合強度を得ることが容易となる。このような効果が得られる理由については、低沸点のアルコール系化合物によって銅粒子を被覆するカルボン酸が反応し、比較的低温で脱離する効果が得られやすくなるとともに、高沸点のポリエーテルアルコール系化合物が、より高い加熱温度までペースト中に存在することで銅粒子の酸化層を還元することができ、またエーテル結合を有していることで分解されやすく、焼結体に残留しにくいことが考えられる。
上記の接合用金属ペーストは、接合用金属ペーストに含まれる炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸の含有量の合計が、接合用金属ペースト全量を基準として、0.1質量%以上10質量%以下であってもよい。
また、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子の含有量の合計が、金属粒子の全量を基準として、80質量%以上であってもよい。この場合、接合用金属ペーストによって、優れた接続信頼性及び高熱伝導特性を有する焼結体を形成しやすくなる。
本発明の別の側面は、第一の部材と、第二の部材と、第一の部材と第二の部材とを接合する上記接合用金属ペーストの焼結体と、を備える、接合体を提供する。
上記の接合体によれば、上記接合用金属ペーストの焼結体によって接合されていることにより、部材同士が充分な接合強度で接合された接合体となり得る。
本発明の別の側面は、第一の部材と、第二の部材と、第一の部材と第二の部材とを接合する上記接合用金属ペーストの焼結体と、を備え、第一の部材及び第二の部材の少なくとも一方が半導体素子である、半導体装置を提供する。
上記の半導体装置は、上記接合用金属ペーストの焼結体が優れた接続信頼性及び高熱伝導特性を有することができ、高温での動作安定性に優れたものになり得る。
本発明の別の側面は、第一の部材、上記接合用金属ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、積層体における接合用金属ペーストを焼結する焼結工程と、を備える、接合体の製造方法を提供する。
上記の接合体の製造方法によれば、部材同士が充分な接合強度で接合された接合体を得ることができる。また、上記の接合体の製造方法によれば、上記接合用金属ペーストを用いることにより、大面積の部材であっても、ボイドの発生を抑制しつつ接合することができ、ボイドに起因する接合強度及び接合信頼性の低下を防止することができる。
上記の接合体の製造方法において、上記第一の部材及び上記第二の部材の少なくとも一方が半導体素子であってもよい。この場合、半導体素子を接合する上記接合用金属ペーストの焼結体が優れた接続信頼性及び高熱伝導特性を有し得ることから、高温での動作安定性に優れた半導体装置を接合体として得ることができる。
上記の接合体の製造方法において、上記積層体を用意する工程が、第一の部材と第二の部材との接合領域に接合用金属ペーストの塗膜を形成する第1工程と、第一の部材と第二の部材とを塗膜を介して積層する第2工程と、を含み、接合領域が、塗膜が形成される塗膜形成領域と、塗膜が形成されない塗膜非形成領域と、を有し、塗膜非形成領域が接合領域の端まで連続していてもよい。
上記の方法によれば、部材の接合面積が大きくなる場合であっても、充分な接合強度を得ることが容易となる。このような方法は、特に、高発熱の半導体デバイスを実装した基板と放熱板とが接合された接合体の製造に好適に適用することができる。
接合面積が大きい場合、金属ペーストの焼結時に発生するガスが脱離しにくくなるが、上記の方法によれば、塗膜非形成領域によって接合領域外に効率的にガスを逃がすことが可能となり、焼結時に発生するガスに起因するボイド及び剥離の発生を抑制することができる。
接合用金属ペーストにおける上記ポリエーテルアルコール系化合物の含有量は、接合用金属ペースト全量を基準として0.5質量%以上4.0質量%以下であってもよい。上記ポリエーテルアルコール系化合物の含有量がこのような範囲であると、上述した効果が得られやすくなるとともに、金属ペーストを焼結したときに銅焼結体の変形を抑制して、加圧接合時に金属ペーストが流動しすぎて塗膜非形成領域が埋められてしまうことを抑制することが容易となる。
また、上記の方法においては、上記マイクロ銅粒子がフレーク状であってもよい。この場合、接合用金属ペーストの塗膜を乾燥しても、フレーク状のマイクロ銅粒子が補強材として機能することで、塗膜の収縮による剥離及びヒビの発生を抑制することができる。そのため、乾燥によって塗膜の流動性を低下させて、加圧接合時に金属ペーストが流動しすぎて塗膜非形成領域が埋められてしまうことを抑制することが容易となる。
更に、上記の方法においては、塗膜形成領域の合計面積が900mm以上であり、塗膜形成領域の接合用金属ペーストは、塗膜非形成領域又は接合領域の端までの最短距離が8mm以内であり、塗膜非形成領域における最小の幅が100μm以上であってもよい。
本発明の別の側面は、第一の部材と、第二の部材と、第一の部材と第二の部材とを接合する銅焼結体と、を備え、第一の部材及び第二の部材の一方が実装基板であり、他方が放熱板であり、銅焼結体が、銅焼結体が存在しない領域によって複数の銅焼結体に分割されている、又は、銅焼結体が存在しない領域を含み、当該領域が銅焼結体の外側まで連続している、半導体装置を提供する。
上記の半導体装置は、部材の接合面積が大きい場合であっても、充分な接合強度を有することができる。
本発明によれば、水素を含まない雰囲気中、低加圧で接合する場合であっても、充分な接合強度を得ることができる接合用金属ペースト、それを用いる接合体及び半導体装置、並びに接合体の製造方法を提供することができる。
本実施形態の接合用金属ペーストを用いて製造される接合体の一例を示す模式断面図である。 接合用金属ペーストの印刷パターンの例を示す図である。 接合用金属ペーストの印刷パターンの例を示す図である。 本実施形態の接合用金属ペーストを用いて製造される接合体の一例を示す模式断面図である。 本実施形態の接合用金属ペーストを用いて製造される半導体装置の一例を示す模式断面図である。 実施例15の接合後の面積10mm×10mmチップのSAM像である。 実施例15の接合後の接合断面の電子顕微鏡像である。 実施例24の接合後の接合断面の電子顕微鏡像である。 比較例2の接合後の面積10mm×10mmチップのSAM像である。 比較例2の接合後の接合断面の電子顕微鏡像である。 比較例3の接合後の接合断面の電子顕微鏡像である。 接合用金属ペーストの印刷パターンを説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<接合用金属ペースト>
本実施形態の接合用金属ペーストは、金属粒子と、分散媒と、を含み、金属粒子としてサブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子を含む。
(金属粒子)
本実施形態に係る金属粒子としては、サブマイクロ銅粒子、マイクロ銅粒子、これらの銅粒子以外のその他の金属粒子等が挙げられる。
(サブマイクロ銅粒子)
サブマイクロ銅粒子は、250℃以上380℃以下の温度範囲で、焼結性を有する銅粒子であればよい。サブマイクロ銅粒子としては、粒径が0.1μm以上0.9μm以下の銅粒子を含むものが挙げられ、例えば、体積平均粒径が、0.1μm以上0.9μm以下の銅粒子を用いることができる。サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径が0.1μm以上であれば、サブマイクロ銅粒子の合成コストの抑制、良好な分散性、有機保護剤の使用量の抑制といった効果が得られやすくなる。サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径が0.9μm以下であれば、サブマイクロ銅粒子の焼結性が優れるという効果が得られやすくなる。より一層上記効果を奏するという観点から、サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径は、0.1μm以上0.8μm以下であってもよく、0.12μm以上0.8μm以下であってもよく、0.15μm以上0.8μm以下であってもよく、0.15μm以上0.6μm以下であってもよく、0.2μm以上0.5μm以下であってもよく、0.3μm以上0.45μm以下であってもよい。
なお、本願明細書において体積平均粒径とは、50%体積平均粒径を意味する。例えば、銅粒子の体積平均粒径を求める場合、原料となる銅粒子、又は接合用金属ペーストから揮発成分を除去した乾燥銅粒子を、分散剤を用いて分散媒に分散させたものを光散乱法粒度分布測定装置(例えば、島津ナノ粒子径分布測定装置(SALD−7500nano,株式会社島津製作所製))で測定する方法等により求めることができる。光散乱法粒度分布測定装置を用いる場合、分散媒としては、ヘキサン、トルエン、α−テルピネオール、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、水等を用いることができる。
粒子が球状でない場合は、下記方法により粒子径を最大粒径として求めることができる。銅粒子の長径をSEM像から算出する方法を例示する。銅粒子の粉末を、SEM用のカーボンテープ上にスパチュラで載せ、SEM用サンプルとする。このSEM用サンプルをSEM装置により100〜5000倍で観察する。このSEM像の銅粒子に外接する長方形を画像処理ソフトにより作図し、長方形の長辺をその粒子の長径とする。他の金属粒子においても、同じ方法により粒子径を求めることができる。
サブマイクロ銅粒子の含有量は、サブマイクロ銅粒子の質量及びマイクロ銅粒子の質量の合計を基準として、50質量%以上99.5質量%以下であることが好ましい。サブマイクロ銅粒子の上記含有量が50質量%以上であれば、マイクロ銅粒子の間を充分に充填することができ、接合用金属ペーストを焼結させて製造される接合体の接合強度を確保することが容易となり、接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。サブマイクロ銅粒子の含有量が99.5質量%以下であれば、接合用金属ペーストを焼結した時の体積収縮を充分に抑制できるため、接合用金属ペーストを焼結させて製造される接合体の接合強度を確保することが容易となり、接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。上記効果が得られやすくなるという観点から、サブマイクロ銅粒子の含有量は、サブマイクロ銅粒子の質量及びマイクロ銅粒子の質量の合計を基準として、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、75質量%以上であってもよく、95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよく、85質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよく、60質量%以上99.5質量%以下であってもよく、60質量%以上95質量%以下であってもよく、60質量%以上90質量%以下であってもよく、70質量%以上85質量%以下であってもよく、75質量%以上80質量%以下であってもよい。
サブマイクロ銅粒子の形状は、特に限定されるものではない。サブマイクロ銅粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、針状、フレーク状、略球状及びこれらの凝集体が挙げられる。分散性及び充填性の観点から、サブマイクロ銅粒子の形状は、球状、略球状、フレーク状であってもよく、燃焼性、分散性、フレーク状マイクロ粒子との混合性等の観点から、球状又は略球状であってもよい。本明細書において、「フレーク状」とは、板状、鱗片状等の平板状の形状を包含する。
サブマイクロ銅粒子は、分散性、充填性、及びフレーク状マイクロ粒子との混合性の観点から、アスペクト比が5以下であってもよく、3以下であってもよい。本明細書において、「アスペクト比」とは、粒子の長辺(長径)/厚みを示す。粒子の長辺(長径)及び厚みの測定は、例えば、粒子のSEM像から求めることができる。
サブマイクロ銅粒子は、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸の有機保護剤で処理されていることが好ましい。すなわち、サブマイクロ銅粒子は、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸で被覆されていることが好ましい。
炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、メチルヘプタン酸、エチルヘキサン酸、プロピルペンタン酸、ペラルゴン酸、メチルオクタン酸、エチルヘプタン酸、プロピルヘキサン酸、カプリン酸、メチルノナン酸、エチルオクタン酸、プロピルヘプタン酸、ブチルヘキサン酸、ウンデカン酸、メチルデカン酸、エチルノナン酸、プロピルオクタン酸、ブチルヘプタン酸、ラウリン酸、メチルウンデカン酸、エチルデカン酸、プロピルノナン酸、ブチルオクタン酸、ペンチルヘプタン酸、トリデカン酸、メチルドデカン酸、エチルウンデカン酸、プロピルデカン酸、ブチルノナン酸、ペンチルオクタン酸、ミリスチン酸、メチルトリデカン酸、エチルドデカン酸、プロピルウンデカン酸、ブチルデカン酸、ペンチルノナン酸、ヘキシルオクタン酸、ペンタデカン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、パルミチン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、オクチルシクロヘキサンカルボン酸、ノニルシクロヘキサンカルボン酸等の飽和脂肪酸;オクテン酸、ノネン酸、メチルノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、サビエン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o−フェノキシ安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ペンチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、ヘプチル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。
これらのうち、炭素数2〜18の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸と上記サブマイクロ銅粒子とを組み合わせることで、サブマイクロ銅粒子の分散性と焼結時における有機酸の脱離性を両立できる傾向にある。このような脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸が挙げられる。
有機保護剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機保護剤の処理量は、サブマイクロ銅粒子の表面に一分子層〜三分子層付着する量であってもよい。この量は、サブマイクロ銅粒子の表面に付着した分子層数(n)、サブマイクロ銅粒子の比表面積(A)(単位m/g)と、有機保護剤の分子量(M)(単位g/mol)と、有機保護剤の最小被覆面積(S)(単位m/個)と、アボガドロ数(N)(6.02×1023個)から算出できる。具体的には、有機保護剤の処理量は、有機保護剤の処理量(質量%)={(n・A・M)/(S・N+n・A・M)}×100の式に従って算出される。
サブマイクロ銅粒子の比表面積は、乾燥させたサブマイクロ銅粒子をBET比表面積測定法で測定することで算出できる。有機保護剤の最小被覆面積は、有機保護剤が直鎖飽和脂肪酸の場合、2.05×10−19/1分子である。それ以外の有機保護剤の場合には、例えば、分子モデルからの計算、又は「化学と教育」(上江田捷博、稲福純夫、森巌、40(2),1992,p114−117)に記載の方法で測定できる。有機保護剤の定量方法の一例を示す。有機保護剤は、接合用金属ペーストから分散媒を除去した乾燥粉の熱脱離ガス・ガスクロマトグラフ質量分析計により同定でき、これにより有機保護剤の炭素数及び分子量を決定できる。有機保護剤の炭素分割合は、炭素分分析により分析できる。炭素分分析法としては、例えば、高周波誘導加熱炉燃焼/赤外線吸収法が挙げられる。同定された有機保護剤の炭素数、分子量及び炭素分割合から上記式により有機保護剤量を算出できる。
有機保護剤の上記処理量は、0.1質量%以上10質量%以下であってもよく、0.5質量%以上5質量%以下であってもよく、1質量%以上3質量%以下であってもよい。また、低温焼結性の観点から、有機保護剤の上記処理量は、0.07質量%以上2.1質量%以下であってもよく、0.10質量%以上1.6質量%以下であってもよく、0.2質量%以上1.1質量%以下であってもよい。
また、有機保護剤の処理量(付着量)を実験的に測定する方法としては、TG−DTA(示差熱‐熱重量同時測定、Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)測定を用いることができる。有機保護剤によって処理された銅粒子を、無酸素雰囲気中でTG−DTA測定することで、有機保護剤の脱離による重量減少が観察される。その重量減少が始まる温度が有機保護剤の脱離の開始温度である。重量減少が停止したときの温度が、有機保護剤の脱離の完了温度であり、初期から減少した重量が有機保護剤の処理量である。
例えば、サブマイクロ銅粒子(三井金属鉱業株式会社製「CH−0200」)((有機保護剤:ドデカン酸)の窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、ドデカン酸が、140℃以上195℃以下、240℃以上320℃以下の二段階で脱離していることが示され、この銅粒子の有機保護剤(ドデカン酸)の脱離開始温度は140℃であり、ドデカン酸の処理量は約2.5質量%であることが求められる。
本実施形態においては、上記サブマイクロ銅粒子における上記カルボン酸化合物の脱離の開始温度が、140℃以上380℃以下の範囲にあることが望ましい。
本実施形態に係るサブマイクロ銅粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販されているサブマイクロ粒子としては、例えば、CH−0200(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.36μm)、HT−14(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.41μm)、CT−500(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.72μm)、Tn−Cu100(太陽日産株式会社製、体積平均粒径0.12μm)が挙げられる。
上記サブマイクロ銅粒子は良好な焼結性を有するため、銅ナノ粒子を主に用いた接合材にみられる高価な合成コスト、良好でない分散性、焼結後の体積収縮の低下等の課題を低減することができる。
(マイクロ銅粒子)
マイクロ銅粒子は、粒径が2.0μm以上50μm以下の銅粒子を含むものが挙げられ、例えば、体積平均粒径が2.0μm以上50μm以下の銅粒子を用いることができる。マイクロ銅粒子の体積平均粒径が上記範囲内であれば、接合用金属ペーストを焼結した際の体積収縮を充分に低減でき、接合用金属ペーストを焼結させて製造される接合体の接合強度を確保することが容易となり、接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。上記効果が得られやすくなるという観点から、マイクロ銅粒子の体積平均粒径は、下限が2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、上限が20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。
マイクロ銅粒子の含有量は、サブマイクロ銅粒子の質量及びマイクロ銅粒子の質量の合計を基準として、0.5質量%以上50質量%以下であってもよく、1質量%以上50質量%以下であってもよく、5質量%以上40質量%以下であってもよく、10質量%以上30質量%以下であってもよい。マイクロ銅粒子の含有量が、上記範囲内であれば、接合用金属ペーストを焼結させて製造される接合体の接合強度を確保することが容易となり、接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。
サブマイクロ銅粒子の含有量及びマイクロ銅粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、80質量%以上とすることができる。サブマイクロ銅粒子の含有量及びマイクロ銅粒子の含有量の合計が上記範囲内であれば、接合用金属ペーストを焼結した際の体積収縮を十分に低減でき、接合用金属ペーストを焼結させて製造される接合体の接合強度を確保することが容易となる。更に、接合用金属ペーストの焼結体は高熱伝導特性を有することができる。接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。より一層上記効果を奏するという観点から、サブマイクロ銅粒子の含有量及びマイクロ銅粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。また、銅粒子の焼結性の観点から、サブマイクロ銅粒子の含有量及びマイクロ銅粒子の含有量の合計は、金属粒子の全質量を基準として、99.99質量%以下であってもよく、99.0質量%以下であってもよい。
マイクロ銅粒子の形状は、特に限定されるものではない。マイクロ銅粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、針状、フレーク状、略球状、及びこれらの凝集体が挙げられる。マイクロ銅粒子の形状は、中でも、フレーク状が好ましい。フレーク状のマイクロ銅粒子を用いることで、接合用金属ペースト内のマイクロ銅粒子が、接合面に対して略平行に配向することにより、接合用金属ペーストを焼結させたときの体積収縮を抑制でき、接合用金属ペーストを焼結させて製造される接合体の接合強度を確保することが容易となる。また、接合用金属ペーストを乾燥させたときに剥離及びヒビが発生することを抑制することができ、製造される接合体における欠陥の低減、接合強度の確保、接合信頼性の向上を図ることが容易となる。接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。上記効果が得られやすくなるという観点から、フレーク状のマイクロ銅粒子としては、中でも、アスペクト比が4以上であってもよく、6以上であってもよい。
フレーク状のマイクロ銅粒子としては、粒径が4.0μm以上50μm以下の銅粒子を用いることができ、例えば、体積平均粒径が4.0μm以上50μm以下の銅粒子を用いることができる。フレーク状マイクロ銅粒子の体積平均粒径が上記範囲内であれば、上述した効果が得られやすくなる。より一層上記効果を奏するという観点から、マイクロ銅粒子の体積平均粒径は、4μm以上45μm以下であってもよく、6μm以上40μm以下であってもよく、4μm以上40μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよい。
フレーク状のマイクロ銅粒子の含有量は、金属粒子の全質量を基準として、5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、7質量%以上質量23%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。フレーク状のマイクロ銅粒子の含有量が、上記下限値以上であれば、接合用金属ペーストを乾燥させたときに剥離及びヒビが発生することを抑制して欠陥の少ない接合体を形成しやすくなり、上記上限値以下であれば、銅焼結体に数μm以上の大型のボイドが発生しにくくなり、部材との密着性が良好な接合体が得られやすくなる。接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。
マイクロ銅粒子は、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸の有機保護剤で処理されている、すなわち、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸で被覆されているか、酸化銅層によって被覆されていることが好ましい。分散安定性及び耐酸化性の観点から、マイクロ銅粒子は有機保護剤で処理されていることが好ましい。有機保護剤は上述したものを用いることができる。有機保護剤は、接合時に除去されるものであってもよい。このような有機保護剤としては、例えば、ドデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o−フェノキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール等の脂肪族アルコール;p−フェニルフェノール等の芳香族アルコール;オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン;ステアロニトリル、デカニトリル等の脂肪族ニトリル;アルキルアルコキシシラン等のシランカップリング剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シリコーンオリゴマー等の高分子処理材等が挙げられる。
有機保護剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機保護剤の処理量は、粒子表面に一分子層以上の量であってもよい。このような有機保護剤の処理量は、マイクロ銅粒子の比表面積、有機保護剤の分子量、及び有機保護剤の最小被覆面積により変化する。有機保護剤の処理量は、粒子の質量に対して、通常0.001質量%以上である。マイクロ銅粒子の比表面積、有機保護剤の分子量、及び有機保護剤の最小被覆面積については、上述した方法により算出することができる。
有機保護剤の処理量を実験的に測定する方法についても上述した方法と同様である。
マイクロ銅粒子(三井金属鉱業株式会社製「MA−C025KFD」)(滑剤レス、有機保護剤の処理なし)の場合、脱離する有機保護剤が付着しておらず、その表面は微量の酸化銅層によって被覆されていることから、窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、重量減少が見られない。逆にわずかに重量増加を示しており、これは測定装置の雰囲気内に存在する微量な酸素によってマイクロ銅粒子の酸化が更に進行したためである。
マイクロ銅粒子3L3N(有機保護剤:ステアリン酸)の窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、185℃〜345℃で重量減少が示されることにより、有機保護剤が185℃〜345℃で脱離していることが分かり、この銅粒子の有機保護剤(ステアリン酸)の脱離開始温度は185℃であり、有機保護剤の処理量(付着量)は約3.2質量%であることが求められる。
マイクロ銅粒子を被覆する炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸は、その脱離開始温度が、180℃以上380℃以下の範囲にあることが望ましい。
本実施形態に係るマイクロ銅粒子は、市販されているものを用いることができる。市販されているマイクロ粒子としては、例えば、MA−C025KFD(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径7.5μm)、3L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径8.0μm)、1110F(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径3.8μm)、HWQ3.0μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径3.0μm)、4L3(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径3.0μm)、2L3(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径9.9μm)、E3(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径37.5μm)、C3(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径37.3μm)、MS−800(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径40.4μm)が挙げられる。
ところで、銅粒子としてサブマイクロ銅粒子のみから接合用金属ペーストを調製する場合、分散媒の乾燥に伴う体積収縮及び焼結収縮が大きいため、接合用金属ペーストの乾燥時及び焼結時に、ペースト層にヒビが入ったり被着面より剥離しやすくなったりして、半導体素子等の接合においては充分なダイシェア強度及び接続信頼性が得られにくい。一方、銅粒子としてマイクロ銅粒子のみから接合用金属ペーストを調製する場合、焼結温度が高温化し、400℃以上の温度と10MPa以上の加圧力の加圧焼結工程を必要とする傾向にある。また、乾燥後の粒子堆積層の可撓性が低下して接合用金属ペーストと被着面の密着性が低下し、被着面と銅焼結体との界面に剥離及びボイドを発生させる原因となる。本実施形態においては、サブマイクロ銅粒子とマイクロ銅粒子とを併用することで、接合用金属ペーストを焼結させたときの体積収縮の抑制と、熱圧着時の粒子堆積層の変形抑制とを両立することができ、接合体は充分な低欠陥性、接合強度、及び接続信頼性を有することが容易となる。接合用金属ペーストを半導体素子の接合に用いる場合は半導体装置が良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示すという効果が得られやすくなる。
本実施形態の接合用金属ペーストは、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子以外の銅粒子として、銅ナノ粒子を含んでいてもよい。銅ナノ粒子は、体積平均粒径が0.001μm以上0.09μm以下であってもよく、0.01μm以上0.09μm以下であってもよく、0.03μm以上0.09μm以下であってもよい。接合用金属ペーストが銅ナノ粒子を含んでいる場合、その含有量は、接合用金属ペーストの増粘及び焼結時の体積収縮増加を避ける観点から、金属粒子の全質量を基準として、30質量%未満が好ましく、20質量%以下がより好ましい。銅ナノ粒子は、含まれなくてもよい。銅ナノ粒子の形状は、特に限定されるものではない。接合用金属ペーストが銅ナノ粒子を含む場合、焼結温度の低下効果が得られる。また、粒子間の空隙を埋めるように銅ナノ粒子を混合することで、焼結後の銅焼結体の緻密度を上げることができ、ダイシェア強度の向上や接続信頼性の向上効果が得られる。
(その他の金属粒子、半金属粒子)
本実施形態の接合用金属ペーストは、金属粒子として、銅以外の金属元素を含む金属粒子(第二の金属粒子ともいう)を含んでいてもよい。また、本実施形態の接合用金属ペーストは、半金属元素を含む半金属粒子を含んでいてもよい。銅以外の金属元素又は半金属元素を含む粒子は、Mg、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Cd、In、Sn、Sb、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Biから選ばれる少なくとも1種類の元素を含む金属粒子又は半金属粒子であってもよい。その他の金属粒子の組成は、金属単体でもよいし、2種類以上の金属を含む合金(固溶体、金属間化合物、不均一な混合物)又は金属化合物(金属酸化物及び金属窒化物など)であってもよい。
第二の金属粒子を添加することで、焼結銅の中に第二の金属粒子に由来する金属元素が固溶或いは分散した状態となり、降伏応力、疲労強度等の機械的な特性が改善することで接合強度及び接続信頼性を更に高めることができる。銅粒子以外の金属粒子を含む場合、複数種の金属が固溶又は分散した焼結体を得ることができるため、耐マイグレーション性が改善され、高温下での接続信頼性が向上しやすい。また、接合用金属ペーストが第二の金属粒子を含むことで、金属ペーストの焼結体は、例えばAu及びAg等の被着面を有する被着体に対して高い接合強度を有することができる。このような目的で第二の金属粒子を配合する場合、第二の金属粒子の金属種は、亜鉛、金、錫、インジウム、銀、バナジウム、アルミニウム、アンチモンが好ましく、第二の金属粒子はフレーク状の亜鉛粒子であることがより好ましい。
第二の金属粒子及び半金属粒子の粒子形状は、特に制限されないが、例えば、球状、塊状、針状、フレーク状、略球状及びこれらの凝集体が挙げられる。分散性及び充填性の観点から、第二の金属粒子及び半金属粒子の形状は、球状、略球状、フレーク状であってもよく、燃焼性、分散性、他の銅粒子との混合性等の観点から、球状又は略球状であってもよい。
第二の金属粒子及び半金属粒子の体積平均粒径は、0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、0.02μm以上20μm以下であることがより好ましく、0.03μm以上5μm以下であることが更に好ましい。第二の金属粒子及び半金属粒子の体積平均粒径が上記範囲内であれば、銅粒子の焼結を阻害しにくくなる。
第二の金属粒子の有機保護剤の処理の有無は特に限定されるものではないが、分散安定性及び耐酸化性の観点から、第二の金属粒子は有機保護剤で処理されていてもよい。有機保護剤は、接合時に除去されるものであってもよい。第二の金属粒子の具体的な有機保護剤としては、サブマイクロ銅粒子又はマイクロ銅粒子に使用される上記有機保護剤を使用できる。
第二の金属粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販されている第二の金属粒子としては、例えば、銀粒子AgC239(50%体積平均粒径10μm、福田金属箔株式会社)、亜鉛粒子(50%体積平均粒径5μm、Alfa Aeser)、鉄粉末(50%体積平均粒径45μm、和光純薬工業株式会社製)、コバルト粉末Cobalt Powder S−160(50%体積平均粒径3.0μm、フリーポートコバルト社製)、ニッケル粒子(50%体積平均粒径1.5μm、METAL FOIL & POWDERS MFG CO.製)などが挙げられる。
第二の金属粒子及び半金属粒子の含有量は、金属ペーストに含まれる金属粒子及び半金属粒子の質量の合計を基準として、0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることが更に好ましい。第二の金属粒子及び半金属粒子の含有量が、上記範囲内であれば、接合用金属ペーストの焼結性に影響を与えにくい。
(分散媒)
本実施形態の接合用金属ペーストは、分散媒として、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有しないアルコール系化合物(以下、「アルコール系分散媒」ともいう)と、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有するポリエーテルアルコール系化合物(以下、「ポリエーテルアルコール系分散媒」ともいう)と、を含む。
(アルコール系分散媒)
アルコール系分散媒としては、例えば、ジヒドロターピネオール、ターピネオール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、α−テルピネオール、イソボニルシクロヘキサノール(MTPH)等の一価及び多価アルコール類などが挙げられる。
アルコール系分散媒の沸点は、100℃以上250℃未満であることが好ましく、120℃以上230℃以下であることがより好ましく、150℃以上210℃以下であることが更に好ましい。なお、本明細書における沸点とは、大気圧下(1気圧)における沸点を意味する。
アルコール系分散媒の脱離温度は、銅粒子の有機保護剤よりも低温か、同等程度の温度で脱離することが望ましい。なお、有機保護剤が複数種ある場合、最も低い温度で脱離する有機保護剤の脱離温度以下の脱離温度を有するアルコール系分散媒を用いることが好ましい。具体的な、アルコール系分散媒の脱離開始温度としては、20℃以上150℃以下であることが好ましく、30℃以上100℃以下であることがより好ましく、40℃以上80℃以下であることが更に好ましい。なお、本明細書における脱離温度とは、大気圧下(1気圧)における脱離が開始する温度を意味する。
分散媒の脱離温度を実験的に測定する方法としては、TG−DTA(示差熱‐熱重量同時測定、Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)測定を用いることができる。分散媒を、無酸素雰囲気中でTG−DTA測定することで、分散媒の脱離による重量減少が観察される。その重量減少が始まる温度が分散媒の脱離の開始温度である。重量減少が停止したときの温度が、分散媒の脱離の完了温度である。
例えば、ジヒドロターピネオールの窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、70℃〜165℃で重量減少が示されることにより、ジヒドロターピネオールが70℃〜165℃で脱離していることが分かり、ジヒドロターピネオールの脱離開始温度は70℃であることが求められる。
アルコール系分散媒の含有量は、接合用金属ペーストの全質量を基準として、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
(ポリエーテルアルコール系分散媒)
ポリエーテルアルコール系分散媒としては、例えば、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンなどが挙げられる。
ポリエーテルアルコール系分散媒の沸点は、250℃以上400℃以下であることが好ましく、250℃以上380℃以下であることがより好ましく、250℃以上350℃以下であることが更に好ましい。
ポリエーテルアルコール系分散媒の脱離温度は、銅粒子の有機保護剤よりも同等以上の温度で脱離し、かつ、400℃以下であることが好ましい。具体的な、ポリエーテルアルコール系分散媒の脱離開始温度としては、90℃以上400℃以下であることが好ましく、150℃以上380℃以下であることがより好ましく、200℃以上350℃以下であることが更に好ましい。
例えば、テトラエチレングリコールの窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、155℃〜265℃で重量減少が示されていることにより、テトラエチレングリコールが155℃〜265℃で脱離していることが分かり、テトラエチレングリコールの脱離開始温度は155℃であることが求められる。また、ポリエチレングリコール300(PEG300)の窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、160℃〜360℃以下で重量減少が示されていることにより、PEG300が160℃〜360℃で脱離していることが分かり、PEG300の脱離開始温度は160℃であることが求められる。
また、接合用金属ペーストは、銅粒子の有機保護剤の脱離温度との差が0℃以上100℃以下である脱離温度を有するポリエーテルアルコール系分散媒を含むことが好ましい。更に、ポリエーテルアルコール系分散媒の脱離温度と、銅粒子の有機保護剤の脱離温度の差は、0℃以上100℃以下であることが好ましい。ポリエーテルアルコール系分散媒が複数種あり、有機保護剤が複数種ある場合、最も高い温度で脱離するポリエーテルアルコール系分散媒の脱離温度と、最も低い温度で脱離する有機保護剤の脱離温度との差が0℃以上100℃以下であることが好ましい。
ポリエーテルアルコール系分散媒の含有量は、接合用金属ペーストの全質量を基準として、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。また、接合用金属ペーストにおけるポリエーテルアルコール系分散媒の含有量は、酸化被膜の除去と、焼結体の変形抑制とを両立する観点から、金属ペーストの全質量を基準として、0.5質量%以上4.0質量%以下であってもよい。
また、本実施形態の接合用金属ペーストにおいて、アルコール系分散媒とポリエーテルアルコール系分散媒との含有割合は、アルコール系分散媒の含有量が、アルコール系分散媒及びポリエーテルアルコール系分散媒の含有量の合計を基準として、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上60質量%以下であることが更に好ましい。
更に、本実施形態の接合用金属ペーストにおけるアルコール系分散媒及びポリエーテルアルコール系分散媒の含有量の合計は、接合用金属ペーストの全質量を基準として、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態の接合用金属ペーストは、窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定において500℃での重量減少率が95%以下である分散媒を含まないことが好ましい。
例えば、フロログルシノールの窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、200℃から重量減少が示され、フロログルシノールの脱離開始温度は200℃であることが確認されるが、500℃になっても完全に脱離していない(重量減少率68%)。また、Dグルコースの窒素雰囲気中におけるTG−DTA測定においては、210℃から重量減少が示され、Dグルコースの脱離開始温度は210℃であることが確認されるが、500℃になっても完全に脱離していない(重量減少率85%)。本実施形態の接合用金属ペーストは、このような分散媒を含まないことが好ましい。
本実施形態の接合用金属ペーストは、本願発明の効果を損なわない範囲で上述したアルコール系分散媒及びポリエーテルアルコール系分散媒以外の分散媒を含んでもよい。分散媒の例としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン等のエステル類、N−メチル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド、シクロヘキサノン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、炭素数1〜18のアルキル基を有するメルカプタン類、炭素数5〜7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類が挙げられる。炭素数1〜18のアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、i−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、i−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン及びドデシルメルカプタンが挙げられる。炭素数5〜7のシクロアルキル基を有するメルカプタン類としては、例えば、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン及びシクロヘプチルメルカプタンが挙げられる。
ポリエーテルアルコール系分散媒は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ホウ素イオン、及びアルミニウムイオンのような金属イオン性の部位を含まないことが好ましい。このような溶媒であれば、200〜300℃において流動しやすく、また金属ペーストの分散性を低下させてしまう塩析効果が生じにくく、さらに分解後に金属イオンが残存しにくいことから、接合用金属ペーストの焼結後の特性を低下させずに酸化被膜の除去効果が得られやすくなる。
上記のようなポリエーテルアルコール系分散媒としては、ポリエステル及びポリエチレングリコールが挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400を用いることができる。
本実施形態の接合用金属ペーストは、ペーストを25℃から200℃まで昇温させたときに残存するポリエーテルアルコール系分散媒の含有量が、200℃に昇温させたときの金属ペーストの質量を基準として、1質量%以上であることが好ましい。また、本実施形態の接合用金属ペーストは、ペーストを25℃から300℃まで昇温させたときに残存するポリエーテルアルコール系分散媒の含有量が、300℃に昇温させたときの金属ペーストの質量を基準として、11.7質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以下であることがより好ましい。この場合、粒子間がポリエーテルアルコール系分散媒で満たされることで還元又は揮発で生じたガスが抜けにくくなることを防止することができ、ボイド及び剥離の発生を抑制しやすくなる。
また、本実施形態の接合用金属ペーストは、ペーストを25℃から300℃まで昇温させたときに残存する分散媒(ポリエーテルアルコール系分散媒を含む)の含有量が、300℃に昇温させたときの金属ペーストの質量を基準として、11.7質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以下であることがより好ましい。熱圧着工程において、ポリエーテルアルコール系分散媒が含まれる分散媒が粒子間の空孔体積より多く含まれると、金属ペーストの可塑性が大きくなりすぎて圧着時にブリードアウトが発生しやすくなる傾向にある。更に、焼結時に、分散媒の蒸発、分解によるガス発生が多いと、ボイド及び剥離が生じやすくなる傾向にある。これらの傾向を抑制する観点から、300℃で残存する分散媒(ポリエーテルアルコール系分散媒を含む)の含有量を、粒子間の空孔体積が満たされない量にすることが好ましい。なお、粒子間の空孔体積は、粒子の構成により異なるが、同一サイズ球の立方配置の48体積%程度が最大と考えられる(参考文献:粉体工業叢書 第7巻 粉体層の操作とシミュレーション、第一章 粒子充填状態、ページ1〜4、2009年)。この場合の空孔体積を満たす分散媒(ポリエーテルアルコール系分散媒を含む)の含有量は11.7質量%となる。
金属ペーストに含まれるポリエーテルアルコール系分散媒の種類は、例えば、高温脱離ガスのガスクロマトグラフ−質量分析法、及びTOF−SIMSで分析することにより確認できる。その他の分析方法としては、遠心分離により粒子成分を分離して得られる上澄みを通常の有機分析、例えば、FT−IR、NMR、液体クロマトグラフ及びこれらの組み合わせで同定してもよい。分散媒におけるポリエーテルアルコール系分散媒の比率は、液体クロマトグラフ、NMR等で定量することができる。
本実施形態の接合用金属ペーストの一態様としては、金属粒子として、体積平均粒径が0.1μm以上0.8μm以下であるサブマイクロ銅粒子と、体積平均粒径が2.0μm以上50μm以下であるフレーク状マイクロ銅粒子とを含み、分散媒として、ポリエーテルアルコール系分散媒を含み、ポリエーテルアルコール系分散媒の含有量が、接合用金属ペーストの全質量を基準として、2質量%以上であってもよい。
(添加剤)
接合用金属ペーストには、必要に応じて分散剤、表面保護剤、増粘剤、チキソ性付与剤等の添加剤を更に含んでもよい。接合用金属ペーストが添加剤を含む場合、200℃以下の温度で不揮発性又は非分解性である添加剤の含有率は20質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。添加剤の含有率が上記範囲であれば、接合用金属ペーストの焼結性の低下を抑制しやすい。
本実施形態の接合用金属ペーストは、接合用金属ペーストに含まれる炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸の含有量の合計が、接合用金属ペースト全量を基準として、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上3質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態の接合用金属ペーストは、接合時に十分な可撓性を有することができるため、2つの部材間に存在する接合用金属ペーストを250℃以上350℃未満の温度で熱圧着した場合であっても、銅粒子(例えば、マイクロ銅粒子及びサブマイクロ銅粒子)が焼結して金属結合を形成し、2つの部材間をダイシェア強度10MPa以上、熱伝導率100W/(m・K)以上で接合することができる。
(接合用金属ペーストの調製)
接合用金属ペーストは、上述のサブマイクロ銅粒子、マイクロ銅粒子、その他の金属粒子及び任意の添加剤を、分散媒に混合して調製することができる。各成分の混合後に、撹拌処理を行ってもよい。接合用金属ペーストは、分級操作により分散液の最大粒径を調整してもよい。このとき、分散液の最大粒径は20μm以下とすることができ、10μm以下とすることもできる。
接合用金属ペーストは、サブマイクロ銅粒子、有機保護剤、分散媒をあらかじめ混合して、分散処理を行ってサブマイクロ銅粒子の分散液を調製し、更にマイクロ銅粒子、その他の金属粒子及び任意の添加剤を混合して調製してもよい。このような手順とすることで、サブマイクロ銅粒子の分散性が向上してマイクロ銅粒子との混合性が良くなり、接合用銅ペーストの性能がより向上する。また、分級操作によって、サブマイクロ銅粒子の分散液から凝集物を除去してもよい。サブマイクロ銅粒子及び有機保護剤は、有機保護剤で処理されたサブマイクロ銅粒子であってもよい。
撹拌処理は、撹拌機を用いて行うことができる。撹拌機としては、例えば、自転公転型攪拌装置、ライカイ機、二軸混練機、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、薄層せん断分散機が挙げられる。
分級操作は、例えば、ろ過、自然沈降、遠心分離を用いて行うことができる。ろ過用のフィルタとしては、例えば、金属メッシュ、メタルフィルター、ナイロンメッシュが挙げられる。
分散処理としては、例えば、薄層せん断分散機、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、ハイシアミキサー、狭ギャップ三本ロールミル、湿式超微粒化装置、超音速式ジェットミル、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
接合用銅ペーストは、成型する場合には各々の印刷・塗布手法に適した粘度に調整してもよい。接合用銅ペーストの粘度としては、例えば、25℃におけるCasson粘度が0.05Pa・s以上2.0Pa・s以下であってもよく、0.06Pa・s以上1.0Pa・s以下であってもよい。
本実施形態の接合用金属ペーストによれば、部材同士を水素を含まない雰囲気中、低加圧で接合する場合であっても、充分な接合強度を得ることができる。
このような効果が得られる理由について本発明者らは以下のとおり推察する。
(i)まず、上記サブマイクロ銅粒子と上記マイクロ銅粒子とを特定の割合で含有させることにより、充分な焼結性を維持しつつ、銅粒子を被覆するモノカルボン酸又は分散媒に起因する焼結時の体積収縮を充分抑制することができ、低加圧であっても焼結体強度の確保及び被着面との接合力向上が可能となると考えられる。
(ii)また、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子を被覆するモノカルボン酸が、上記アルコール系化合物及び上記ポリエーテルアルコール系化合物と反応することで、比較的低温でモノカルボン酸の脱離が進行し、活性な銅表面が現れると考えられる。マイクロ粒子の表面が酸化銅で被覆されている場合(マイクロ粒子の表面が酸化銅層である場合)は、この酸化銅が上記アルコール系分散媒又はポリエーテルアルコール系分散媒によって還元されることで、活性な銅表面が現れると考えられる。これらの作用によって現れた活性な銅表面同士が接触・焼結することにより、低加圧であっても強固な銅焼結体が形成されると考えられる。
(iii)更に、上記アルコール系化合物及び上記ポリエーテルアルコール系化合物が、銅の還元剤として機能することで、積極的な還元雰囲気を必要とせずとも、銅粒子の焼結が十分に進行し、比較的低い加圧力によっても強固な接合が可能になると考えられる。
また、本実施形態の接合用金属ペーストによれば、分散媒として、上記アルコール系化合物及び上記ポリエーテルアルコール系化合物が組み合わせて配合されていることにより、大面積の部材であってもボイドの発生を抑制しつつ接合することができ、ボイドに起因する接合強度及び接合信頼性の低下を防止することができる。
<焼結体及びその製造方法>
本実施形態の焼結体は、本実施形態の接合用金属ペーストの焼結体であり、部材同士を接合することができる。
本実施形態の焼結体の製造方法は、本実施形態の接合用金属ペーストを焼結する工程を備える。当該工程としては、例えば、接合用金属ペーストを部材等に塗布した後、焼結することが挙げられる。塗布する手法としては、接合用金属ペーストを堆積させられる手法であればよい。このような手法として、インクジェット印刷、スーパーインクジェット印刷、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ、電着塗装等を用いることができる。接合用金属ペーストの厚みは、1μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。また、接合用金属ペーストの厚みは、3000μm以下であってもよく、1000μm以下であってもよく、500μm以下であってもよく、300μm以下であってもよく、250μm以下であってもよく、200μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。
塗布された接合用金属ペーストは、焼結時の流動及びボイドの発生を抑制する観点から、適宜乾燥させてもよい。乾燥時のガス雰囲気は大気中であってもよく、窒素、希ガス等の無酸素雰囲気中であってもよく、水素、ギ酸等の還元雰囲気中であってもよい。乾燥方法は、常温放置による乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。
加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。乾燥の温度及び時間は、使用した分散媒の種類及び量に合わせて適宜調整してもよい。乾燥の温度及び時間としては、大気中あるいは無酸素雰囲気中で、50℃以上150℃以下で乾燥することが望ましい。
接合用銅ペーストを加圧・加熱処理することで焼結を行うことができる。加圧・加熱処理には、例えば、圧着機構を備えた加熱装置、プレス機等を用いることができる。また、圧着機構を有しない加熱装置、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等、であっても、接合用金属ペーストを部材で挟んだ積層体を、冶具や錘を用いて加圧状態とし、その状態でこれらの装置を使用して加熱することによっても加圧焼結接合が可能である。
焼結時のガス雰囲気は、焼結体、接合する部材の酸化抑制の観点から、無酸素雰囲気であってもよい。焼結時のガス雰囲気は、接合用金属ペーストの銅粒子の表面酸化物を除去するという観点から、還元雰囲気であってもよい。無酸素雰囲気としては、例えば、窒素、希ガス等の無酸素ガスの導入、又は真空下が挙げられる。還元雰囲気としては、例えば、純水素ガス中、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス中、ギ酸ガスを含む窒素中、水素及び希ガスの混合ガス中、ギ酸ガスを含む希ガス中等が挙げられる。
本実施形態においては、水素を含まない雰囲気中、低加圧で接合する場合であっても、部材同士を充分な接合強度で接合することができる。水素を含まない雰囲気としては、窒素、希ガス、耐熱有機ガス、水蒸気、これらの混合ガス中、又は真空下が挙げられる。低加圧の条件としては、2MPa以下が挙げられ、0.1MPa以上2MPa以下であってもよく、0.3MPa以上2MPa以下であってもよい。
加熱処理時の到達最高温度は、接合する部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、200℃以上450℃以下であってもよく、250℃以上400℃以下であってもよく、250℃以上350℃以下であってもよく、250℃以上300℃以下であってもよい。
到達最高温度保持時間は、分散媒を全て揮発させ、また、歩留まりを向上させるという観点から、1分間以上60分間以下であってもよく、1分間以上40分間未満であってもよく、1分間以上30分間未満であってもよい。特に、到達最高温度が250℃以上であると、60分間以下の保持時間で焼結を充分に進行させやすくなる。
<接合体及び半導体装置>
以下、図面を参照しながら好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
図1は、本実施形態の接合用金属ペーストを用いて製造される接合体の一例を示す模式断面図である。本実施形態の接合体100は、第一の基部1a及び第一の金属層1bを有する第一の部材1と、第二の基部3a及び第二の金属層3bを有する第二の部材3と、第一の部材と第二の部材とを接合する焼結体2と、を備える。
第一の部材1及び第二の部材3としては、例えば、IGBT、ダイオード、ショットキーバリヤダイオード、MOS−FET、サイリスタ、ロジック、センサー、アナログ集積回路、LED、半導体レーザー、発信器等の半導体素子、リードフレーム、金属板貼付セラミックス基板(例えばDBC)、LEDパッケージ等の半導体素子搭載用基材、銅リボン、金属ブロック、端子等の給電用部材、放熱板、水冷板等が挙げられる。
第一の部材1及び第二の部材3は、接合用銅ペーストの焼結体2と接する面に、接合用金属ペーストの焼結体2と金属結合を形成する第一の金属層1b及び第二の金属層3bを設けることができる。第一の金属層1b及び第二の金属層3bを構成する金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金、鉛、錫、コバルト等が挙げられる。これらの金属は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、第一の金属層1b及び第二の金属層3bは、上記金属を含む合金であってもよい。合金に用いられる金属としては、上記金属の他に、亜鉛、マンガン、アルミニウム、ベリリウム、チタン、クロム、鉄、モリブデン等が挙げられる。第一の金属層1b及び第二の金属層3bを有する部材としては、例えば、各種金属メッキを有する部材、ワイヤ、金属メッキを有するチップ、ヒートスプレッダ、金属板が貼り付けられたセラミックス基板、各種金属メッキを有するリードフレーム又は各種金属からなるリードフレーム、銅板、銅箔が挙げられる。
接合体のダイシェア強度は、第一の部材及び第二の部材を充分に接合するという観点から、10MPa以上であってもよく、15MPa以上であってもよく、20MPa以上であってもよく、30MPa以上であってもよい。ダイシェア強度は、万能型ボンドテスタ(4000シリーズ、DAGE社製)等を用いて測定することができる。
焼結体の熱伝導率は、放熱性及び高温化での接続信頼性という観点から、100W/(m・K)以上であってもよく、120W/(m・K)以上であってもよく、150W/(m・K)以上であってもよい。熱伝導率は、接合用金属ペーストの焼結体の熱拡散率、比熱容量、及び密度から算出することができる。
次に、本実施形態の接合用金属ペーストを用いた接合体の製造方法について説明する。
本実施形態の接合用金属ペーストを用いた接合体の製造方法は、第一の部材、上記接合用金属ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、積層体における接合用金属ペーストを焼結する焼結工程と、を備える。
上記積層体は、例えば、上述した第二の部材の必要な部分に本実施形態の接合用金属ペーストを設け、次いで接合用金属ペースト上に上述した第一の部材を配置することにより用意することができる。この場合、第一の部材、該第一の部材の重さが働く方向側に、上記接合用金属ペースト、及び第二の部材がこの順に積層された積層体を用意することができ、この積層体の接合用金属ペーストを、第一の部材の重さのみ、又は第一の部材の重さと必要に応じて所定の圧力(例えば、0.3MPa以上、好ましくは1MPa以上2MPa以下)とを受けた状態で焼結することができる。なお、第一の部材の重さが働く方向とは、重力が働く方向ということもできる。
本実施形態の接合用金属ペーストを、第二の部材の必要な部分に設ける方法としては、接合用銅ペーストを堆積させられる方法であればよい。このような方法としては、上述した塗布方法を用いることができる。接合用金属ペーストの厚みについても上述の範囲とすることができる。
第二の部材上に設けられた接合用金属ペーストは、焼結時の流動及びボイドの発生を抑制する観点から、適宜乾燥させてもよい。乾燥条件は、上述した焼結体の乾燥方法と同等の条件を用いることができる。
接合用金属ペースト上に第一の部材を配置する方法としては、例えば、チップマウンター、フリップチップボンダー、カーボン製又はセラミックス製の位置決め冶具が挙げられる。
本実施形態においては、上記積層体を用意する工程が、第一の部材と第二の部材との接合領域に接合用金属ペーストの塗膜を形成する第1工程と、第一の部材と第二の部材とを塗膜を介して積層する第2工程と、を含み、接合領域が、塗膜が形成される塗膜形成領域と、塗膜が形成されない塗膜非形成領域と、を有し、塗膜非形成領域が接合領域の端まで連続していてもよい。また、塗膜非形成領域は塗膜形成領域の間に設けることができる。なお、接合領域は、第一の部材と第二の部材とを平面視したときにそれぞれの部材が接合用金属ペーストの塗膜の焼結体によって接合されている領域ともいう。
上記の方法によれば、部材の接合面積が大きくなる場合であっても、充分な接合強度を得ることが容易となる。このような方法は、特に、高発熱の半導体デバイスを実装した基板と放熱板とが接合された接合体の製造に好適である。
接合面積が大きい場合、金属ペーストの焼結時に発生するガスが脱離しにくくなるが、上記の方法によれば、塗膜非形成領域によって接合領域外に効率的にガスを逃がすことが可能となり、焼結時に発生するガスに起因するボイド及び剥離の発生を抑制することができる。
第1工程で形成する接合用金属ペーストの塗膜は、所定の印刷パターンであってもよい。図2及び図3は、接合用金属ペーストの印刷パターンの例を示す図である。図2の(a)に示す印刷パターンは、塗膜形成領域10の間に所定の幅を有するライン状の塗膜非形成領域12を設けたパターンである。このライン状の塗膜非形成領域12は複数設けてもよい。図2の(a)に示す印刷パターンは、ライン状の塗膜非形成領域12が互いに交差するように設けられたパターンである。塗膜形成領域10は任意の形状とすることができ、帯状(例えば、図2の(a))、正方形(例えば、図2の(b))及び六角形(例えば、図2の(c))等の多角形、並びに、円形(例えば、図3の(a)、(b))などであってもよい。また、印刷パターンは、一方の端部が閉じており、他方の端部が接合領域の端に通じる塗膜非形成領域を有していてもよい。
塗膜形成領域10は、塗膜非形成領域12又は接合領域の端までの最短距離が8mm以内となるように設けられていることが好ましい。例えば、図2の(a)〜(c)、図3の(a)〜(b)に示す印刷パターンにおいては、幅(W2)/2が8mmを超えないように塗膜形成領域10を設けることができる。
塗膜非形成領域12は任意の形状とすることができ、ライン状(例えば、図2の(a))、格子状(例えば、図2の(b)、図3の(a))、ハニカム状(例えば、図2の(c)、図3の(b))などであってもよい。塗膜非形成領域12は、熱圧着時に接合用金属ペーストで埋まらないように幅が設定されていればよく、一定の幅を有していてもよく(例えば、図2の(a)〜(c))、異なる幅を有していてもよい(例えば、図3の(a)〜(b))。また、塗膜非形成領域12の形状は、直線状、曲線状、波状であってもよい。
塗膜非形成領域12の幅W1は、塗膜の厚みにも依存するが、例えば、塗膜厚が50〜500μmである場合、100μm以上であってもよく、200μm以上であってもよい。また、塗膜非形成領域12が異なる幅を有している場合、最も狭い部分の幅が上記の範囲であってもよい。塗膜非形成領域12の一端が閉じている場合は、閉じた部分から接合領域の端までの経路における最小の幅が上記の範囲であってもよい。
接合領域における塗膜非形成領域の面積比率(換言すれば、塗膜形成領域及び塗膜非形成領域の合計面積に対する塗膜非形成領域の面積の割合)は、接合強度或いは熱伝導性を確保しやすくする観点から、60%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
更に、上記の方法においては、塗膜形成領域の合計面積が900mm以上であり、塗膜形成領域の接合用金属ペーストは、塗膜非形成領域又は接合領域の端までの最短距離が8mm以内であり、塗膜非形成領域における最小の幅が100μm以上であってもよい。
上述した印刷パターンは、上述した塗布方法を用いて形成することができるが、第二の部材に接合用金属ペーストを一様に塗布し、乾燥した後、接合用金属ペーストの塗膜の一部を除去することにより、塗膜形成領域の間に塗膜非形成領域を形成してもよい。接合用金属ペーストの塗膜の一部を除去する方法としては、ブレード又はスクレーパによって切削する方法、及び、塗膜非形成領域に対応する凸部を有する金型を押し当てる方法、などが挙げられる。接合用金属ペーストの塗膜の一部を除去した後、エアブロー等で削りくずを除去してもよい。
接合用金属ペーストにおける上記ポリエーテルアルコール系化合物の含有量は、接合用金属ペースト全量を基準として0.5質量%以上4.0質量%以下であってもよい。上記ポリエーテルアルコール系化合物の含有量がこのような範囲であると、上述した効果が得られやすくなるとともに、金属ペーストを焼結したときに銅焼結体の変形を抑制して、加圧接合時に金属ペーストが流動しすぎて塗膜非形成領域が埋められてしまうことを抑制することが容易となる。
また、上記の方法においては、上記マイクロ銅粒子がフレーク状であってもよい。この場合、接合用金属ペーストの塗膜を乾燥しても、フレーク状のマイクロ銅粒子が補強材として機能することで、塗膜の収縮による剥離及びヒビの発生を抑制することができる。そのため、乾燥によって塗膜の流動性を低下させて、加圧接合時に金属ペーストが流動しすぎて塗膜非形成領域が埋められてしまうことを抑制することが容易となる。
更に、上記の方法においては、塗膜形成領域の合計面積が900mm以上であり、塗膜形成領域の接合用金属ペーストは、塗膜非形成領域又は接合領域の端までの最短距離が8mm以内であり、塗膜非形成領域における最小の幅が100μm以上であってもよい。
焼結工程では、積層体を加熱処理することで、接合用金属ペーストの焼結を行う。焼結条件は、上述した焼結体の焼結方法と同等の条件を用いることができる。
本実施形態の接合用金属ペーストを用いることにより、積層体を加圧加熱焼結して充分な接合強度を有する接合体を得ることができる。例えば、積層体に対して、0.3MPa以上又は1MPa以上、好ましくは2MPa以下の圧力を加えた状態で積層体を加熱することにより、充分な接合強度を有する接合体を得ることができる。焼結時に受ける圧力が上記範囲内であれば、錘や加圧機構を備えた冶具などで達成可能であり、特別な加圧装置が不要なため歩留まりを損なうこと無く、ボイドの低減、ダイシェア強度及び接続信頼性をより一層向上させることができる。
上記接合体において、第一の部材及び第二の部材の少なくとも一方は、半導体素子であってもよい。半導体素子としては、例えば、ダイオード、整流器、サイリスタ、MOSゲートドライバ、パワースイッチ、パワーMOSFET、IGBT、ショットキーダイオード、ファーストリカバリダイオード等からなるパワーモジュール、発信機、増幅器、LEDモジュール等が挙げられる。このような場合、上記接合体は半導体装置となる。得られる半導体装置は充分なダイシェア強度及び接続信頼性を有することができる。
図4は、上記の第1工程及び第2工程を行って製造される接合体の一例を示す模式断面図である。図4に示される接合体110は、第一の基部1a及び第一の金属層1bを有する第一の部材1と、第二の基部3a及び第二の金属層3bを有する第二の部材3と、第一の部材と第二の部材とを接合する焼結体2’とを備え、銅焼結体2’が、銅焼結体が存在しない領域によって複数の銅焼結体に分割されている、又は、銅焼結体2’が、銅焼結体が存在しない領域を含み、当該領域が銅焼結体の外側まで連続している。焼結体2’以外は、図1の接合体100と同様の構成を有することができる。
上記の接合体は、第一の部材及び第二の部材の一方が実装基板であり、他方が放熱板である、半導体装置であってもよい。
図5は、本実施形態の接合用金属ペーストを用いて製造される半導体装置の一例を示す模式断面図である。図5に示す半導体装置200は、金属層5b及び基部5aを有するリードフレーム5上に、本実施形態に係る接合用銅ペーストの焼結体2を介して接続された、金属層4b及び基部4aを有する半導体素子4と、これらをモールドするモールドレジン6とからなる。半導体素子4は、ワイヤ7を介して金属層8b及び基部8aを有するリードフレーム8に接続されている。
本実施形態の接合用銅ペーストを用いて製造される半導体装置としては、例えば、ダイオード、整流器、サイリスタ、MOSゲートドライバ、パワースイッチ、パワーMOSFET、IGBT、ショットキーダイオード、ファーストリカバリダイオード等からなるパワーモジュール、発信機、増幅器、高輝度LEDモジュール、半導体レーザーモジュール、ロジック、センサー等が挙げられる。
上記半導体装置は、上述した接合体の製造方法と同様にして製造することができる。すなわち、半導体装置の製造方法は、第一の部材及び第二の部材の少なくとも一方に半導体素子を用い、第一の部材、上記接合用金属ペースト、及び第二の部材がこの順に積層された積層体を用意し、積層体に対して1MPa以上、好ましくは2MPa以下の圧力を加えた状態で積層体を加熱することにより、接合用金属ペーストを焼結する工程を備えてもよい。このような工程としては、例えば、リードフレーム8上に接合用金属ペーストを設け、半導体素子4を配置して加圧加熱する工程が挙げられる。得られる半導体装置は、比較的低加圧での接合を行った場合であっても、充分なダイシェア強度及び接続信頼性を有することができる。本実施形態の半導体装置は、充分な接合力を有し、熱伝導率及び融点が高い銅の焼結体を備えることにより、充分なダイシェア強度を有し、接続信頼性に優れるとともに、パワーサイクル耐性にも優れたものになり得る。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例における各特性の測定は以下の方法で実施した。
(1)分散媒及び有機保護剤の脱離温度(TG−DTA(示差熱‐熱重量同時測定、Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)測定)
分散媒、又は有機保護剤によって被覆された銅粒子を、TG−DTA測定用のAlサンプルパンに10mg載せ、これをTG−DTA測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社、EXSTAR6000 TG/DTA6300)の試料ホルダーにセットした。窒素を流量約400mL/分で流しながら、昇温速度10℃/分で室温(25℃)から約500℃までサンプルを加熱し、その際の重量変化と熱挙動を測定した。重量変化が開始した温度を脱離開始の温度とし、重量減少が停止した温度を脱離完了の温度とした。また、有機保護剤によって被覆された銅粒子については、重量減少量をその有機保護剤の処理量(銅粒子に対する付着量)とした。
(2)3mmチップのダイシェア強度
金属ペーストを、ニッケルめっき銅板(19mm×25mm×3mm)上に、厚さ100μmのステンレス板に3mm×3mm正方形の開口が9個設けられたメタルマスクを載せ、メタルスキージを用いてステンシル印刷により塗布した。シリコンチップ(面積3mm×3mm、厚み400μm、金属ペーストとの被着面としてニッケルめっき層を有する)を、塗布した金属ペースト上に載せ、ピンセットで軽く押さえ、積層体を得た。積層体をホットプレート(アズワン株式会社製、EC HOTPLATE EC−1200N)にて大気中、90℃で30分加熱した。積層体を接合装置(アユミ工業株式会社製)にセットし、13Paまで減圧して空気を取り除いた後、気圧80kPaとなるよう窒素ガスを流しながら、表1〜6に示す所定の温度、加圧力及び時間で積層体を加圧加熱接合し、銅板とシリコンチップを銅焼結体で接合した接合体を得た。この接合体を窒素ガスにて冷却し、50℃以下になったら空気中に取り出した。
得られた接合体の接着強度は、ダイシェア強度により評価した。1kNのロードセルを装着した万能型ボンドテスタ(4000シリーズ、DAGE社製)を用い、測定スピード500μm/s、測定高さ100μmでシリコンチップを水平方向に押し、接合体のダイシェア強度を測定した。5個の接合体を測定した値の平均値をダイシェア強度とした。
(3)10mmチップのダイシェア強度
金属ペーストを、ニッケルめっき銅板(19mm×25mm×3mm)上に、厚さ100μmのステンレス板に10mm×10mm正方形の開口が1個設けられたメタルマスクを載せ、メタルスキージを用いてステンシル印刷により塗布した。シリコンチップ(面積10mm×10mm、厚み400μm、金属ペーストとの被着面としてニッケルめっき層を有する)を、塗布した金属ペースト上に載せ、ピンセットで軽く押さえ、積層体を得た。積層体をホットプレート(アズワン株式会社製、EC HOTPLATE EC−1200N)にて大気中、90℃で30分加熱した。積層体を接合装置(アユミ工業株式会社製)にセットし、13Paまで減圧して空気を取り除いた後、気圧80kPaとなるよう窒素ガスを流しながら、表1〜6に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で積層体を加圧加熱接合し、銅板とシリコンチップを銅焼結体で接合した接合体を得た。この接合体を窒素ガスにて冷却し、50℃以下になったら空気中に取り出した。
得られた接合体の接着強度は、ダイシェア強度により評価した。1kNのロードセルを装着した万能型ボンドテスタ(4000シリーズ、DAGE社製)を用い、測定スピード500μm/s、測定高さ100μmでシリコンチップを水平方向に押し、接合体のダイシェア強度を測定した。5個の接合体を測定した値の平均値をダイシェア強度とした。
なお、上記のダイシェア強度の測定において、チップ自体が破壊された場合を「チップ破壊」として表中に示す。
(4)チップに対する焼結銅の接合面積
上記の「(2)3mmチップのダイシェア強度」で作製した接合体、及び上記の「(3)10mmチップのダイシェア強度」で作製した接合体を、超音波探傷装置(インサイト Insight−300)にて周波数110kHzのプローブを使用して、チップと焼結銅の接合界面を分析し、超音波探傷像(SAM像)を取得した。得られたSAM像のチップ面積に対する黒色領域(銅焼結体がチップに接合している領域)と白色領域(銅焼結体がチップに接合していない領域)の比率から、チップに対する焼結銅の接合面積を算出した。
(5)焼結銅の接合断面
上記の「(3)10mmチップのダイシェア強度」で作製した接合体を、カップ内にサンプルクリップ(Samplklip I、Buehler製)で固定し、周囲にエポキシ注形樹脂(エポマウント、リファインテック製)を接合体全体が埋まるまで流し込み、真空デシケータ内に静置して1分間減圧して脱泡した。その後、室温で10時間静置し、エポキシ注形樹脂を硬化し、サンプルを調製した。リファインソーエクセル(リファインテック製)を用いて、サンプルをシリコンチップ近傍で切断した。耐水研磨紙(カーボマックペーパー、リファインテック製)をつけた研磨装置(Refine Polisher HV、リファインテック製)で接合体の中央付近まで削り断面を出した。この断面をArイオンによるクロスセクションポリッシャー加工(日立ハイテクノロジーズIM4000)を行った。走査型電子顕微鏡(ショットキーFE−SEM SU5000、日立ハイテクノロジーズ製)により、銅焼結体の接合断面を観察した。
[接合用金属ペーストの調製−1]
表1〜6の配合に従って接合用金属ペーストを調製した。
(実施例1)
分散媒としてジヒドロターピネオール(日本テルペン化学株式会社製)9質量部、テトラエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.5質量部、ポリエチレングリコール200(PEG200)(富士フイルム和光純薬株式会社製)1.5質量部を混合した。そこに、マイクロ銅粒子として3L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、製品名、50%体積平均粒径8.0μm)10質量部、サブマイクロ銅粒子としてCH−0200(三井金属鉱業株式会社製、製品名、50%体積平均粒径0.36μm)91質量部、を秤量し加え、自動乳鉢で5分間混合した。混合物をポリ瓶に移した後、2000rpm、2分間、減圧の条件でシンキー社製攪拌機(あわとり練太郎 ARE−310)にかけて接合用金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表1に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例2及び3)
テトラエチレングリコール及びPEG200の配合量を表に示す割合に変えたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表1に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4〜6)
PEG200に代えてポリエチレングリコール300(PEG300)(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、テトラエチレングリコール及びPEG300の配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表1に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例7〜9)
PEG200に代えてポリエチレングリコール400(PEG400)(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、テトラエチレングリコール及びPEG400の配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表2に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例10〜12)
テトラエチレングリコール及びPEG200に代えてジエチレングリコール及びPEG300を用い、これらの配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表2に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例13〜18)
マイクロ銅粒子としてMA−C025KFD(三井金属鉱業株式会社製、製品名、滑剤レス品、50%体積平均粒径5μm)を用い、その配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表3に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表3に示す。
(実施例19〜30)
実施例15と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表4〜5に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表4〜5に示す。
(比較例1及び2)
マイクロ銅粒子を配合せず、表に示す分散媒及びサブマイクロ銅粒子の配合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表6に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表6に示す。
(比較例3〜5)
サブマイクロ銅粒子であるCH−0200とマイクロ銅粒子である3L3の配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表6に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表6に示す。
(比較例6)
テトラエチレングリコール及びPEG200に代えてテトラデカノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、その配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表7に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例7)
テトラエチレングリコール及びPEG200に代えてテトラデカン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、その配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表7に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例8)
ジヒドロターピネオール及びテトラエチレングリコール及びPEG200に代えてテトラデカノール及びテトラデカンを用い、これらの配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表7に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例9)
ジヒドロターピネオール及びテトラエチレングリコール及びPEG200に代えてテトラデカン及びPEG300を用い、これらの配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表7に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例10)
ジヒドロターピネオール及びテトラエチレングリコール及びPEG200に代えてテトラデカン及びトリブチリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用い、これらの配合量を表に示す割合としたこと以外は、実施例1と同様にして金属ペーストを得た。この金属ペーストを用いて、表7に示す接合条件(温度、加圧力及び時間)で接合体を作製し、各種の測定及び分析を行った。評価結果を表7に示す。
Figure 2021127505
Figure 2021127505
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Figure 2021127505
Figure 2021127505
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実施例及び比較例で用いた分散媒の脱離開始温度は以下のとおりであった。
ジヒドロターピネオール:70℃
テトラエチレングリコール:155℃
ジエチレングリコール:105℃
PEG200:140℃
PEG300:160℃
PEG400:175℃
図6は、実施例15の接合後の面積10mm×10mmチップの超音波探傷像(SAM像)である。SAM像においてチップ全体が黒色領域となっており、これはチップと銅焼結体がボイド無く接合していることを示している。図7は、実施例15の接合後の接合断面のSEM像である。基板が銅焼結体によってボイドなく接合している。同様に、図8は、実施例24の接合後の接合断面のSEM像である。基板が銅焼結体によってボイドなく接合している。一方、図9は比較例2の接合後の面積10mm×10mmチップのSAM像である。SAM像においてチップの白色領域は、チップと銅焼結体の間にボイドやはく離が有ることを示している。図10は、比較例2の接合後の接合断面のSEM像である。銅焼結体とチップとの界面に大きなはく離が生じ、チップに対して接合していないことが分かる。同様に、図11は、比較例3の接合後の接合断面のSEM像である。銅焼結体中に大きなボイドやクラックが存在し、銅焼結体がチップ及び基板に対してはく離していることが分かる。
[接合用金属ペーストの調製−2]
(実施例B−1)
分散媒としてジヒドロターピネオール(日本テルペン化学株式会社製)7.2質量部と、サブミクロン銅粒子としてCH−0200(三井金属鉱業株式会社製、製品名、レーザー散乱法50%体積平均粒径0.36μm)83.6質量部とを混合し、プラネタリーミキサー(プライミックス社製)を用いて、回転数300rpmで30分間撹拌した。得られた混合物を、ディスパライザー(新東工業社製)を用いて、ギャップ50μm、回転数12000rpmの条件で1回分散処理して分散液を得た。この分散液に、分散媒としてテトラエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.4質量部、還元性のオリゴマー溶媒としてポリエチレングリコール300(PEG300)(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.4質量部と、マイクロ銅粒子として3L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、製品名、レーザー散乱法50%体積平均粒径6.0μm)4.4質量部とを加え、プラネタリーミキサーを用いて回転数300rpmで30分間(常圧15分間及び減圧15分間)撹拌して接合用金属ペーストを得た。
(実施例B−2〜B−11)
表8又は9に示す組成に変えたこと以外は、実施例B−1と同様にして金属ペーストを得た。
なお、表中の各成分の詳細は以下のとおりである。
2L3N:福田金属箔粉工業株式会社製、製品名、レーザー散乱法50%体積平均粒径10μm
4L3N:福田金属箔粉工業株式会社製、製品名、レーザー散乱法50%体積平均粒径3μm
C3:福田金属箔粉工業株式会社製、製品名、レーザー散乱法50%体積平均粒径37μm
[接合サンプルの作製]
上記で得られた金属ペーストを、サイズ100mm×100mm×厚さ3mmの銅板上に、amm×ammの正方形の開口をbmmの間隔で格子状に有する厚さ300μmのステンレスマスクとスキージを用いてステンシル印刷した(図12を参照)。なお、格子状のパターンは中心対象となるように配した。
次に、金属ペーストが印刷された銅板を、90℃に加熱したホットプレート上で10分間加熱した。その後、金属ペースト上に、サイズ100mm×100mm×厚さ3mmの銅板を載せ、雰囲気制御加熱圧着装置(RF−100B、アユミ工業社製)を用いて、以下の手順で熱圧着した。
(1)サンプルセット
(2)3Paまで減圧する
(3)窒素を常圧まで導入し、以降8L/分で流す
(4)接合サンプルを1.225kN(1MPa)で加圧する
(5)15分かけて300℃まで昇温し、300℃を30分間保持するように加熱圧着装置の熱板を加熱する
(6)加熱を止めて、窒素ブローで熱板を強制冷却する
(7)熱板の温度が50℃以下になったところで接合サンプルを取り出す
[接合サンプルの評価]
接合した銅板の間にタガネをハンマーで打ち込み、接合層が破壊されて銅板が分離した場合を「有」、銅板が分離しなかった場合を「無」として表に示した。
Figure 2021127505
Figure 2021127505
1…第一の部材、1a…第一の基部、1b…第一の金属層、2,2’…焼結体、3…第二の部材、3a…第二の基部、3b…第二の金属層、4…半導体素子、4a…半導体素子の基部、4b…半導体素子の金属層、5…リードフレーム、5a…基部、5b…金属層、6…モールドレジン、7…ワイヤ、8…リードフレーム、8a…基部、8b…金属層、10…塗膜形成領域、12…塗膜非形成領域、100…接合体、200…半導体装置

Claims (13)

  1. 金属粒子と、分散媒と、を含む接合用金属ペーストであって、
    前記金属粒子が、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸で被覆された、体積平均粒径が0.1μm以上0.9μm以下のサブマイクロ銅粒子と、炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸又は酸化銅で被覆された、体積平均粒径が2μm以上50μm以下のマイクロ銅粒子と、を含み、
    前記分散媒が、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有しないアルコール系化合物と、末端にヒドロキシル基を有し、分子鎖中にエーテル結合を有するポリエーテルアルコール系化合物と、を含み、
    前記マイクロ銅粒子の含有量が、前記サブマイクロ銅粒子及び前記マイクロ銅粒子の質量の合計を基準として、0.5質量%以上50質量%以下である、接合用金属ペースト。
  2. 前記アルコール系化合物の大気圧下における沸点が100℃以上250℃未満であり、
    前記ポリエーテルアルコール系化合物の大気圧下における沸点が250℃以上400℃以下である、請求項1に記載の接合用金属ペースト。
  3. 前記接合用金属ペーストに含まれる炭素数1〜20の脂肪族若しくは芳香族モノカルボン酸の含有量の合計が、接合用金属ペースト全量を基準として、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載の接合用金属ペースト。
  4. 前記サブマイクロ銅粒子及び前記マイクロ銅粒子の含有量の合計が、金属粒子の全量を基準として、80質量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合用金属ペースト。
  5. 第一の部材と、第二の部材と、前記第一の部材と前記第二の部材とを接合する請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合用金属ペーストの焼結体と、を備える、接合体。
  6. 第一の部材と、第二の部材と、前記第一の部材と前記第二の部材とを接合する請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合用金属ペーストの焼結体と、を備え、
    前記第一の部材及び前記第二の部材の少なくとも一方が半導体素子である、半導体装置。
  7. 第一の部材、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合用金属ペースト、及び第二の部材がこの順に積層されている積層体を用意する工程と、
    前記積層体における前記接合用金属ペーストを焼結する焼結工程と、
    を備える、接合体の製造方法。
  8. 前記第一の部材及び前記第二の部材の少なくとも一方が半導体素子である、請求項7に記載の接合体の製造方法。
  9. 前記積層体を用意する工程が、前記第一の部材と前記第二の部材との接合領域に前記接合用金属ペーストの塗膜を形成する第1工程と、前記第一の部材と前記第二の部材とを前記塗膜を介して積層する第2工程と、を含み、
    前記接合領域が、前記塗膜が形成される塗膜形成領域と、前記塗膜が形成されない塗膜非形成領域と、を有し、
    前記塗膜非形成領域が前記接合領域の端まで連続している、請求項7又は8に記載の接合体の製造方法。
  10. 前記接合用金属ペーストにおける前記ポリエーテルアルコール系化合物の含有量が、接合用金属ペースト全量を基準として0.5質量%以上4.0質量%以下である、請求項9に記載の接合体の製造方法。
  11. 前記マイクロ銅粒子がフレーク状である、請求項9又は10に記載の接合体の製造方法。
  12. 前記塗膜形成領域の合計面積が900mm以上であり、
    前記塗膜形成領域の前記接合用金属ペーストは、前記塗膜非形成領域又は前記接合領域の端までの最短距離が8mm以内であり、
    前記塗膜非形成領域における最小の幅が100μm以上である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
  13. 第一の部材と、第二の部材と、前記第一の部材と前記第二の部材とを接合する銅焼結体と、を備え、
    前記第一の部材及び前記第二の部材の一方が実装基板であり、他方が放熱板であり、
    前記銅焼結体が、銅焼結体が存在しない領域によって複数の銅焼結体に分割されている、又は、銅焼結体が存在しない領域を含み、当該領域が銅焼結体の外側まで連続している、半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116721989A (zh) * 2023-08-10 2023-09-08 烟台台芯电子科技有限公司 一种igbt模块及封装工艺
WO2024004956A1 (ja) * 2022-07-01 2024-01-04 株式会社ダイセル インク組成物

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