JP2021127386A - コンベヤベルト用ゴム組成物及びコンベヤベルト - Google Patents

コンベヤベルト用ゴム組成物及びコンベヤベルト Download PDF

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Abstract

【課題】老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度に優れる、コンベヤベルト用ゴム組成物、これを用いて作製されたコンベヤベルトの提供。
【解決手段】125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体と、125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であり、重量平均分子量が50,000以上である、エチレン・プロピレン共重合体1と、エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体2とを含有し、上記エチレン・1−ブテン共重合体と上記エチレン・プロピレン共重合体1との質量比が、10/90〜90/10である、コンベヤベルト用ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンベヤベルト用ゴム組成物及びコンベヤベルトに関する。
従来、原材料等の搬送物を連続搬送するためにベルトコンベヤが使用されている。ベルトコンベヤは一般的にベルト(コンベヤベルト)をローラ等のような駆動装置で移動又は回転させて搬送物を運搬するため、コンベヤベルトには、耐熱性等が要求される。
例えば、特許文献1には、耐熱性に優れる耐熱コンベヤベルト用ゴム組成物の提供を目的として、125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体と、125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であるエチレン・プロピレン共重合体と、を含有し、上記エチレン・1−ブテン共重合体と上記エチレン・プロピレン共重合体との質量比が、10/90〜90/10である、耐熱コンベヤベルト用ゴム組成物が記載されている。また特許文献1には、上記ゴム組成物が更に可塑剤等を含有することが記載されている(第1表等)。
特開2016−030761号公報
このようななか、本発明者らは特許文献1を参考にして、ゴム成分としての、エチレン・1−ブテン共重合体及びエチレン・プロピレン共重合体と、可塑剤等を含有するゴム組成物を調製しこれを評価したところ、このようなゴム組成物から得られるゴムは、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、又は加熱条件下での破断強度が低い場合があることが明らかとなった。
そこで、本発明は、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度に優れる、コンベヤベルト用ゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度に優れる、コンベヤベルトを提供することも目的とする。
従来、ゴム組成物にはゴム成分を柔らかくする等のために可塑剤又は軟化剤が使用されるが、可塑剤等がゴム成分と架橋することは考慮されなかった。
これについて、本発明者らは、上記のような機能等を有する化合物がゴム成分とある程度架橋することによって、老化後又は加熱条件下の物性を向上させうると考えた。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ゴム成分としての、 125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体、及び、
125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であり、重量平均分子量が50,000以上である、エチレン・プロピレン共重合体1に対して、
エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体2を使用することによって、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
[1] 125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体と、
125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であり、重量平均分子量が50,000以上である、エチレン・プロピレン共重合体1と、
エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体2とを含有し、
上記エチレン・1−ブテン共重合体と上記エチレン・プロピレン共重合体1との質量比が、10/90〜90/10である、コンベヤベルト用ゴム組成物。
[2] 上記エチレン・1−ブテン共重合体の125℃におけるムーニー粘度が、30以上である、[1]に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
[3] 上記エチレン・プロピレン共重合体1のエチレン含有量が、40質量%以上60質量%未満である、[1]又は[2]に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
[4] さらに有機過酸化物を含有し、上記有機過酸化物の含有量が、上記エチレン・1−ブテン共重合体と上記エチレン・プロピレン共重合体1との合計100質量部に対して、0.011〜0.020モル当量である、[1]〜[3]のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
[5] 上記エチレン・プロピレン共重合体2の含有量が、上記エチレン・1−ブテン共重合体と上記エチレン・プロピレン共重合体1との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、[1]〜[4]のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
[6] 上記エチレン・プロピレン共重合体2のエチレン含有量が、50〜60モル%である、[1]〜[5]のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
[7] 上記エチレン・プロピレン共重合体2の重量平均分子量が、3,000〜30,000である、[1]〜[6]のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いて作製されたコンベヤベルト。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度に優れる。
本発明のコンベヤベルトは、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度に優れる。
本発明のコンベヤベルトの一実施形態の断面図である。 本発明のコンベヤベルトの他の一実施形態の断面図である。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、本発明において使用される各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば従来公知の方法が挙げられる。
本明細書において、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度のうちの少なくとも1つがより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
[コンベヤベルト用ゴム組成物]
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物(本発明の組成物)は、
125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体(所定のEBM)と、
125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であり、重量平均分子量が50,000以上である、エチレン・プロピレン共重合体1(EPM1)と、
エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体2(EPM2)とを含有し、
上記エチレン・1−ブテン共重合体と上記エチレン・プロピレン共重合体1との質量比が、10/90〜90/10である、コンベヤベルト用ゴム組成物である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明の組成物は、エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体2(EPM2)を含有することによって、老化後の耐摩耗性、及び老化後の破断時伸びに優れると考えられる。
これは、上記エチレン含有量が50モル%以上であることによって、EPM2が有する、エチレンに由来する繰り返し単位における架橋反応が、プロピレンに由来する繰り返し単位における分解反応よりも優位に進行し、EPM2が上記所定のEBM及び/又はEPM1と架橋すると考えられる。
その一方、上記エチレン含有量が70モル%以下であることによって、上記架橋反応は、モジュラスに影響しないレベルまでに適度に抑制され、EPM2と所定のEBM及び/又はEPM1との架橋は、緩やかな状態であると考えられる。
このように、EPM2における上記エチレン含有量が特定の範囲であることによって、EPM2が上記所定のEBM及び/又はEPM1と適度に架橋する結果、得られるゴムの、老化後の耐摩耗性、及び破断時伸びが向上すると考えられる。
また、上記EBM、上記EPM1を特定の量比で用い、これに対して上記EPM2を使用することによって、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度を、高いレベルでバランスさせていると考えられる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
<<エチレン・1−ブテン共重合体>>
本発明の組成物は、125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体を含有する。
本明細書において、上記エチレン・1−ブテン共重合体を「所定のEBM」と称する場合がある。
所定のEBMは、後述するEPM1とともに、本発明の組成物において、ゴム成分として含有される。
所定のEBMは、エチレンと1−ブテンとの共重合体である。所定のEBMは、これを構成する繰り返し単位がエチレン及び1−ブテンのみに由来することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
<EBMのムーニー粘度>
本発明において、所定のEBMの125℃におけるムーニー粘度は20以上である。本発明の組成物が加熱条件下における破断強度が優れる理由の1つとして、所定のEBMの上記ムーニー粘度が上記範囲であることが挙げられる。
所定のEBMの125℃におけるムーニー粘度は、本発明の効果(特に加熱条件下での破断強度)がより優れるという理由から、30以上が好ましく、40以上がより好ましい。なお、上記ムーニー粘度の上限値は特に限定されないが、本発明の効果(特に加熱条件下での破断強度)がより優れるという理由から、70以下が好ましく、55以下がより好ましい。
所定のEBMは、作業上扱いやすく、本発明の効果(特に加熱条件下での破断強度)がより優れるという理由から、例えば−5〜+40℃の条件下において、固体であることが好ましい。
本発明において、125℃におけるムーニー粘度は、JIS K6300−1−2001に準じて、L形ロータを使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、試験温度125℃の条件で測定した粘度(ML1+4、125℃)を指す(以下同様)。上記方法によって、所定のEBMの125℃におけるムーニー粘度を測定できる。後述する、EPM1、EPM2の125℃におけるムーニー粘度についても同様である。
(EBMのエチレン含有量)
所定のEBMのエチレン含有量は、特に限定されないが、本発明の効果がより優れるという理由から、125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体(所定のEBM)全量中の60〜90質量%が好ましく、65〜85質量%がより好ましい。
本発明において、エチレン・1−ブテン共重合体(所定のEBM)のエチレン含有量は、ASTM D 3900に基づき算出可能である。
<<エチレン・プロピレン共重合体1>>
本発明の組成物は、125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であり、重量平均分子量が50,000以上である、エチレン・プロピレン共重合体1を含有する。
本明細書において、上記エチレン・プロピレン共重合体1を「EPM1」と称する場合がある。
EPM1は、エチレンとプロピレンとの共重合体である。EPM1は、これを構成する繰り返し単位がエチレン及びプロピレンのみに由来することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
<EPM1のムーニー粘度>
本発明において、EPM1の125℃におけるムーニー粘度は20以上である。本発明の組成物が加熱条件下における破断強度が優れる理由の1つとして、EPM1の上記ムーニー粘度が上記範囲であることが挙げられる。
EPM1の125℃におけるムーニー粘度は、20以上であれば特に限定されないが、本発明の効果(特に加熱条件下での破断強度)がより優れ、耐熱性に優れるという理由から、25以上がより好ましい。なお、上記ムーニー粘度の上限値は特に限定されないが、本発明の効果(特に加熱条件下での破断強度)がより優れ、耐熱性に優れるという理由から、50以下が好ましく、40以下がより好ましい。
EPM1は、作業上扱いやすく、本発明の効果(特に加熱条件下での破断強度)がより優れるという理由から、例えば−5〜+40℃の条件下において、固体であることが好ましい。
<EPM1のエチレン含有量>
本発明において、EPM1のエチレン含有量は、40〜60質量%である。なお、上記EPM1のエチレン含有量の基準は、エチレン・プロピレン共重合体1(EPM1)全量である。
EPM1のエチレン含有量は、本発明の効果がより優れ、耐熱性に優れるという理由から、EPM1全量中の、40質量%以上60質量%未満が好ましく、45〜55質量%がより好ましい。
本発明において、エチレン・プロピレン共重合体1のエチレン含有量は、ASTM D 3900に基づき算出可能である。
<EPM1の重量平均分子量>
本発明において、EPM1の重量平均分子量は50,000以上である。
EPM1の重量平均分子量は、本発明の効果がより優れるという理由から、100,000〜450,000が好ましく、200,000〜350,000がより好ましい。
本発明において、エチレン・プロピレン共重合体1の重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とできる。後述するエチレン・プロピレン共重合体2の重量平均分子量も同様である。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
<所定のEBMとEPM1との質量比>
本発明において、上記エチレン・1−ブテン共重合体(所定のEBM)と上記エチレン・プロピレン共重合体1(EPM1)との質量比(所定のEBM/EPM1)は、10/90〜90/10である。
上記質量比(所定のEBM/EPM1)は、本発明の効果(特に老化後の破断時伸び)がより優れるという理由から、15/85〜70/30が好ましく、20/80〜50/50がより好ましく、25/75〜45/55が更に好ましく、35/65〜45/55がより更に好ましい。
<<EPM2>>
本発明の組成物は、エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体2を含有する。
本明細書において、上記エチレン・プロピレン共重合体2を「EPM2」と称する場合がある。
本発明において、EPM2は、ゴム成分(所定のEBM及びEPM1)の硬度又は粘度を低下させつつ、所定のEBM及び/又はEPM1と適度に架橋することが考慮されている。
本発明の組成物はEPM2を含有することによって、本発明の効果が優れる。EPM2は、本発明において、特に、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸びに寄与すると考えられる。
EPM2は、エチレンとプロピレンとの共重合体である。EPM2は、これを構成する繰り返し単位がエチレン及びプロピレンのみに由来することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
EPM2は、23℃条件下において、液状であることが好ましい。
なお、本発明において、EPM2は、パラフィンオイルを含まない。
<EPM2のエチレン含有量>
本発明において、EPM2のエチレン含有量は、50〜70モル%である。なお、上記EPM2のエチレン含有量の基準は、エチレン・プロピレン共重合体2(EPM2)を構成する繰り返し単位(エチレン又はプロピレンによる繰り返し単位)の総量(モル総量)である。
EPM2のエチレン含有量は、本発明の効果がより優れるという理由から、上記総量中の、50〜65モル%が好ましく、50〜60モル%がより好ましい。
本発明において、EPM2のエチレン含有量は、IR法(赤外分光法)による分析結果から求めることができる。
<EPM2の重量平均分子量>
本発明において、EPM2の重量平均分子量は50,000未満である。
EPM2の重量平均分子量は、本発明の効果がより優れるという理由から、3,000〜30,000が好ましく、5,000〜20,000がより好ましい。
(EPM2の含有量)
EPM2の含有量は、本発明の効果がより優れるという理由から、上記エチレン・1−ブテン共重合体(所定のEBM)と上記エチレン・プロピレン共重合体1(EPM1)との合計100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、8〜15質量部がより好ましい。
また、EPM2の含有量は、本発明の効果により優れ、本発明の効果である、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度を高度なレベルでバランスできるという理由から、上記エチレン・1−ブテン共重合体(所定のEBM)と上記エチレン・プロピレン共重合体1(EPM1)との合計100質量部に対して、11〜14質量部であることが好ましい。
(有機過酸化物)
本発明のゴム組成物は、本発明の効果がより優れるという理由から、さらに、有機過酸化物を含有することが好ましい。
上記有機過酸化物は架橋剤として機能することができる。上記有機過酸化物は、所定のEBM、EPM1又はEPM2が有する、エチレンに由来する繰り返し単位において、ラジカルを発生させ、上記ラジカル同士が反応し、架橋することができる。
本発明のゴム組成物がさらに有機過酸化物を含有する場合、所定のEBM及び/又はEPM1とEPM2とをより適切に架橋させることができる。
上記有機過酸化物としては、特に限定されず、従来公知のものを使用でき、その具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(商品名「パーカドックス14−40」、化薬アクゾ社製)、4,4´−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレリック酸n−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
・有機過酸化物の含有量
上記有機過酸化物の含有量は、上記エチレン・1−ブテン共重合体(所定のEBM)と上記エチレン・プロピレン共重合体1(EPM1)との合計100質量部に対して、0.007〜0.024モル当量が好ましく、0.011〜0.020モル当量がより好ましい。
(任意成分)
本発明のゴム組成物は、上記各成分のほかに、本発明の目的を損なわない範囲で、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、パラフィンオイルのようなオイル、可塑剤、上記有機過酸化物以外の架橋剤(例えばカルボン酸金属塩)等の添加剤を含有できる。これらの添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜決めることができる。
本発明のゴム組成物の製造は、公知の条件および方法により行うことができる。例えば、上述した各成分を、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を用いて混合することによって、本発明のゴム組成物を製造することができる。
[コンベヤベルト]
次に、本発明のコンベヤベルトについて説明する。
本発明のコンベヤベルトは、本発明の組成物を用いて作製されたコンベヤベルトである。その形状、製造方法等は公知のコンベヤベルトと同様である。
本発明のコンベヤベルトにおけるいずれの構成部材に本発明の組成物を適用するかは特に制限されない。本発明のコンベヤベルトを構成するゴムのすべて又は一部が本発明の組成物によって形成されていればよい。
本発明の組成物が、上記のとおり、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度に優れることから、本発明のコンベヤベルトは、本発明の組成物を用いて形成されたカバーゴムを有することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明のコンベヤベルトの具体的な構成としては、例えば、下記に示すようなものが挙げられる。なお、本発明のコンベヤベルトは添付の図面に制限されない。
本発明のコンベヤベルトの第1の実施形態を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明のコンベヤベルトの一実施形態の断面図である。図1に示すように、本発明のコンベヤベルトの第1の実施形態は、布層1をコートゴム(接着ゴム)2で被覆して芯材層とし、その外周をカバーゴム3でカバーしたコンベヤベルト4である。カバーゴム3は本発明の組成物から形成されることが好ましい。
図1のコンベヤベルト4は、布層1を芯材とするものであり、布層1の積層枚数、カバーゴム3の厚さやベルト幅等は使用目的に応じて適宜決定できる。
布層としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ポリエステル等の合成繊維の織布よりなる帆布が挙げられる。
カバーゴム3の厚さT、Tは通常の場合、1.5〜20mm程度とできる。
また、コートゴム2は、公知のコンベヤベルトに用いられているコートゴムを使用できる。上記コートゴムとして、例えば、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレンゴム(EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等をゴム成分とするゴム組成物が使用できる。
次に、本発明のコンベヤベルトの第2の実施形態を、図2を用いて説明する。
図2は、本発明のコンベヤベルトの他の一実施形態の断面図である。
図2に示すように、本発明のコンベヤベルトの第2の実施形態は、スチールコード5をクッションゴム(接着ゴム)6で被覆して芯材層とし、その外周をカバーゴム7でカバーしたコンベヤベルト8である。カバーゴム7は本発明の組成物から形成されることが好ましい。
コンベヤベルト8は、例えば、直径0.2〜0.4mm程度の素線を複数本撚り合わせた直径2.0〜9.5mm程度のスチールコード5を50〜230本程度並列させて芯材とすることができる。一般に、コンベヤベルト8の総厚みTは10〜50mm程度とできる。
また、クッションゴム6は、例えば、公知のスチールコンベヤベルトに用いられている亜鉛メッキスチールコードに接着可能な接着ゴムを使用できる。クッションゴムとして、具体的には例えば、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等をゴム成分とするゴム組成物が使用できる。
本発明のコンベヤベルトは、例えば、常法に従って、芯材となる布層、スチールコード、又は芯材層等を本発明の組成物で成形した未加硫のゴムシート間に介在させ、加熱加圧して加硫することにより容易に製造できる。なお、加硫条件は、通常例えば、120〜180℃前後、0.1〜4.9MPa程度で10〜90分程度とできる。
本発明のコンベヤベルトは、上述した本発明の組成物を用いて作製されるので、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下での破断強度が優れる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<<組成物の製造>>
下記第1表の各成分を同表に示す組成(架橋剤1以外は質量部)で用いて、これらをバンバリーミキサーで混合し、各組成物を製造した。なお、架橋剤1の量は、比較EBM1又はEBM2と、EPM1−1又は比較EPM−1との合計100質量部に対する、モル当量である。
<<評価>>
上記のとおり製造された各組成物を用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
<老化後の耐摩耗性>
・初期加硫試験体の作製
上記のとおり得られた各組成物を160℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、直径16mm、厚さ6mmの初期加硫試験体を作製した。
・老化試験
上記のとおり得られた各初期加硫試験体を180℃の条件下に336時間置く老化試験を行った。老化試験後に得られたサンプルを、「老化後加硫試験体」と称する。
・摩耗試験
上記のとおり得られた各老化後加硫試験体を耐摩耗性評価用サンプルとして用いて、JIS K6264−2:2005に準拠して、DIN摩耗試験機を用いて23℃条件下で摩耗試験を行い、摩耗量[mm3]を測定した。
結果を、第1表の「老化(180℃×336hr後)DIN摩耗性」欄に示す。
・評価基準
本発明において、上記摩耗量が160mm3未満であった場合、老化後の耐摩耗性に優れると評価した。上記摩耗量が少ないほうが、老化後の耐摩耗性により優れる。
上記摩耗量が160mm3以上であった場合、老化後の耐摩耗性に劣ると評価した。
<引張物性評価用サンプルの調製>
・初期の引張物性評価用サンプル
上記のとおり得られた各組成物を160℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、初期の引張物性評価用サンプルを得た。
・老化(180℃×336時間)後の引張物性評価用サンプル
上記のとおり得られた初期の各引張物性評価用サンプルを180℃の条件下に336時間置く老化試験を行った。老化試験後に得られたサンプルを、「老化後の引張物性評価用サンプル」と称する。
<引張試験1:老化後の破断時伸びの評価>
・老化(180℃×336時間)後の破断時伸び(EB)
上記のとおり得られた各老化後の引張物性評価用サンプルについて、23℃条件下において、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251:2017に準拠して行い、老化後の破断時伸び(EB、単位%)を測定した。
結果を、第1表の「老化(180℃×336hr後)破断時伸び EB」欄に示す。
本発明において、上記EBが260%以上であった場合、老化後の破断時伸びが優れた、と評価した。上記EBが260%より大きいほど、老化後の破断時伸びがより優れる。
上記EBが260%未満であった場合、老化後の破断時伸びが悪かった、と評価した。
<引張試験2:加熱条件下での破断強度の評価>
・室温又は加熱条件下での破断強度
上記のとおり得られた各初期の引張物性評価用サンプルについて、23℃又は150℃条件下において、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251:2017に準拠して行い、破断強度(TB、単位MPa)を測定した。
第1表において、23℃条件下における破断強度の結果を「TB@23℃」欄に示し、150℃条件下における破断強度の結果を「TB@150℃」欄に示す。
・加熱条件下での破断強度の評価
本発明において、加熱条件下での破断強度を、上記TB@150℃で評価した。
本発明において、TB@150℃の結果が4.0MPa以上であった場合、加熱条件下での破断強度が優れたと評価した。上記TB@150℃が4.0MPaより大きいほど加熱条件下での破断強度がより優れる。
TB@150℃の結果が4.0MPa未満であった場合、加熱条件下での破断強度が悪かったと評価した。
・ΔTB(TBの変化率[%])
上記のとおり測定された、23℃又は150℃条件下で測定されたTBの値を下記式に当てはめて、TBの変化率[%]を求めた。結果を第1表の「ΔTB」欄に示す。
TBの変化率(%)={((150℃条件下で測定されたTB)−(23℃条件下で測定されたTB))/(23℃条件下で測定されたTB)}×100
本発明において、上記TBの変化率の値が0%に近いほど耐熱性に優れ、好ましい。
Figure 2021127386
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・比較EBM1:125℃におけるムーニー粘度が19であり、エチレン含有量が74質量%であるエチレン・1−ブテン共重合体。商品名「Engage 7467」(ダウケミカル社製)
・EBM2:125℃におけるムーニー粘度が47であり、エチレン含有量が74質量%である、エチレン・1−ブテン共重合体。商品名「Engage 7487」(ダウケミカル社製)。上記EBM2は、125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体なので、本発明における所定のEBMに該当する。−5〜+40℃の条件下において固体である。
・EPM1−1:125℃におけるムーニー粘度が26であり、エチレン含有量が52質量%であり、重量平均分子量が310,000である、エチレン・プロピレン共重合体。商品名「KEP−110」(KUMHO POLYCHEM社製)。上記EPM1−1は、125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であり、重量平均分子量が50,000以上である、エチレン・プロピレン共重合体に該当するので、本発明におけるエチレン・プロピレン共重合体1に該当する。−5〜+40℃の条件下において固体である。
・比較EPM−1:125℃におけるムーニー粘度が42であり、エチレン含有量が65質量%であり、重量平均分子量が240,000であるエチレン・プロピレン共重合体。商品名「VISTALON 706」(Exxon Mobil Chemical社製)。上記比較EPM−1は、エチレン含有量が40〜60質量%ではないのでエチレン・プロピレン共重合体1に該当しない。また、上記比較EPM−1は、重量平均分子量が50,000以上なので、エチレン・プロピレン共重合体2に該当しない。
・比較EPM−2:液状ゴム@23℃。商品名「TRILENE CP−1100」(Lion Elastomer社製)。エチレン含有量が43モル%であり、重量平均分子量が11,600であるエチレン・プロピレン共重合体。比較EPM−2は、エチレン含有量が50〜70モル%ではないので、エチレン・プロピレン共重合体2に該当しない。また、比較EPM−2は、重量平均分子量が50,000以上ではないのでエチレン・プロピレン共重合体1に該当しない。
・EPM2−1:液状ゴム@23℃。商品名「ルーカント HC−2000」(三井化学社製)。エチレン含有量が53モル%であり、プロピレン含有量が47モル%であり、重量平均分子量が13,000であるエチレン・プロピレン共重合体。EPM2−1は、エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体エチレン・プロピレン共重合体なので、本発明におけるエチレン・プロピレン共重合体2に該当する。−5〜+40℃の条件下において液状である。
・比較EPM−3:液状ゴム@23℃。商品名「ルーカント HC−3000X」(三井化学社製)。エチレン含有量が73モル%であり、プロピレン含有量が27モル%であり、重量平均分子量が14,000であるエチレン・プロピレン共重合体。比較EPM−3は、エチレン含有量が50〜70モル%ではないので、エチレン・プロピレン共重合体2に該当しない。比較EPM−3は、重量平均分子量が50,000以上ではないのでエチレン・プロピレン共重合体1に該当しない。
・カーボンブラック:商品名「ニテロン#300」(新日化カーボン社製)
・酸化亜鉛:商品名「酸化亜鉛3種」(正同化学工業社製)酸化亜鉛
・ステアリン酸:商品名「ステアリン酸50S」(千葉脂肪酸社製)
・老化防止剤1:商品名「ノクラックMMB」(大内新興化学工業社製)
・老化防止剤2:商品名「ノンフレックスLAS−P」(精工化学社製)
・オイル:商品名「SUNPAR 2280」(日本サン石油社製)パラフィンオイル
・架橋剤1:商品名「パーカドックス14−40」(化薬アクゾ社製)有機過酸化物
・架橋剤2:商品名「ハイクロスGT」(精工化学社製)カルボン酸金属塩
第1表に示す結果から明らかなように、EPM2を含有せず、代わりにエチレン含有量が50モル%よりも低い比較EPM−2を含有する比較例1は、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸びが悪かった。
所定のEBMを含有しない比較例2は、老化後の耐摩耗性が悪かった。
EPM2を含有しない比較例3は、老化後の破断時伸びが悪かった。
所定のEBMを含有せず、代わりにムーニー粘度が20未満の比較EBM1を含有する比較例4、5は、老化後の耐摩耗性及び加熱条件下における破断強度のうちの少なくともいずれかが悪かった。
EPM2を含有せず、代わりにエチレン含有量が70モル%を超える比較EPM−3を含有する比較例6は、老化後の破断時伸びが悪かった。
所定のEPM1を含有せず、代わりにエチレン含有量が60質量%を超える比較EPM−1を含有する比較例7、8は、加熱条件下における破断強度が悪かった。なお、比較例8は、所定のEPM2を含有せず、代わりにエチレン含有量が70モル%を超える比較EPM−3を含有した。
これに対して、本発明の組成物は、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下における破断強度が優れた。
比較例1と実施例1を比較すると、実施例1は、EPM2を含有せず、代わりにエチレン含有量が50モル%よりも低い比較EPM−2を含有する比較例1よりも、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び等が優れた。
実施例3と比較例6を比較すると、実施例3は、EPM2を含有せず、代わりにエチレン含有量が70モル%を超える比較EPM−3を含有する比較例6よりも、老化後の破断時伸びが優れた。
上記の結果から、EPM2のエチレン含有量を所定の範囲にすることによって、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸びが優れ、老化後の耐摩耗性、老化後の破断時伸び、及び加熱条件下における破断強度を高いレベルでバランスできることが分かる。
1:布層
2:コートゴム
3,7:カバーゴム
4,8:コンベヤベルト
5:スチールコード
6:クッションゴム

Claims (8)

  1. 125℃におけるムーニー粘度が20以上であるエチレン・1−ブテン共重合体と、
    125℃におけるムーニー粘度が20以上であり、エチレン含有量が40〜60質量%であり、重量平均分子量が50,000以上である、エチレン・プロピレン共重合体1と、
    エチレン含有量が50〜70モル%であり、重量平均分子量が50,000未満であるエチレン・プロピレン共重合体2とを含有し、
    前記エチレン・1−ブテン共重合体と前記エチレン・プロピレン共重合体1との質量比が、10/90〜90/10である、コンベヤベルト用ゴム組成物。
  2. 前記エチレン・1−ブテン共重合体の125℃におけるムーニー粘度が、30以上である、請求項1に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
  3. 前記エチレン・プロピレン共重合体1のエチレン含有量が、40質量%以上60質量%未満である、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
  4. さらに有機過酸化物を含有し、前記有機過酸化物の含有量が、前記エチレン・1−ブテン共重合体と前記エチレン・プロピレン共重合体1との合計100質量部に対して、0.011〜0.020モル当量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
  5. 前記エチレン・プロピレン共重合体2の含有量が、前記エチレン・1−ブテン共重合体と前記エチレン・プロピレン共重合体1との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
  6. 前記エチレン・プロピレン共重合体2のエチレン含有量が、50〜60モル%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
  7. 前記エチレン・プロピレン共重合体2の重量平均分子量が、3,000〜30,000である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いて作製されたコンベヤベルト。
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