JP2021125731A - 画像読取装置、画像読取方法および画像読取プログラム - Google Patents

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昌彦 溝口
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Abstract

【課題】原稿検出処理に必要な背景色範囲を適切に設定することが難しかった。【解決手段】制御部は、背景部の背景色範囲を設定する背景色設定処理と、透明部と背景部との間の原稿と、背景部と、を読取部が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した背景色範囲と、に基づいて第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出処理と、透明部と背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより読取部が出力した第2読取画像データに基づいて透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出処理と、を実行可能であり、汚れ検出処理の検出感度の設定を受け付け、検出感度が第1感度である場合には、背景色範囲を第1範囲に設定し、検出感度が第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、背景色範囲を第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する。【選択図】図3

Description

本発明は、画像読取装置、画像読取方法および画像読取プログラムに関する。
原稿検出機能を有する画像読取装置であって、イメージセンサーが原稿を読み取った読取データと、グレー色の背景部の色とみなす輝度範囲と、に基づいて原稿領域を検出する構成が開示されている(特許文献1参照)。
また、コンタクトガラスを介して読み取った白色画像データに基づいて、コンタクトガラスにおける汚れ領域の位置、形状及び濃度を検出し、検出した汚れ領域の位置、形状及び濃度を表示部に表示させる画像形成装置が開示されている(特許文献2参照)。
特開2017‐5645号公報 特開2012‐249268号公報
スキャナーは、背景部の色範囲として輝度範囲を定義し、原稿の読取データのうち、この範囲から外れた輝度を有する画像領域を原稿領域として検出する。言い換えると、色味が背景部の色範囲に属する原稿を読み取った場合、背景部の色と原稿の色とを切り分けることができず、読取データから原稿領域を検出することができない。そのため、色味が異なる様々な種類の用紙等による各原稿が読み取り対象となり得ることを考慮すると、背景部の色範囲は狭く定義することが望ましい。
一方で、原稿を読み取るためのガラス板等の透明部に、紙粉やその他のゴミ(以下、まとめて“汚れ”と言う。)が付着している場合、汚れの色味が上述の色範囲から外れていると、汚れの位置を原稿端と誤検出し、読取データから原稿領域を正しく検出できないことがある。そのため、ガラス板の汚れに起因する原稿領域の誤検出を防ぐ観点では、背景部の色範囲は広く定義することが望ましい。
このように背景部の色範囲の広狭に関して背反する要望が有る状況で、この色範囲を適切に設定することが困難であった。
画像読取装置は、光を透過する透明部と、前記透明部に対向する位置に配設された背景部と、前記透明部を挟んで前記背景部の反対側で前記透明部を介して入射した光を受光することにより読み取りを行う読取部と、ユーザーによる設定を受け付け可能な設定受付部と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定処理と、前記透明部と前記背景部との間の原稿と、前記背景部と、を前記読取部が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した前記背景色範囲と、に基づいて前記第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出処理と、前記透明部と前記背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより前記読取部が出力した第2読取画像データに基づいて前記透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出処理と、を実行可能である。前記設定受付部は、前記汚れ検出処理の検出感度の設定を受け付け、前記制御部は、前記検出感度が第1感度である場合には、前記背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が前記第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、前記背景色範囲を前記第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する。
光を透過する透明部と、前記透明部に対向する位置に配設された背景部と、前記透明部を挟んで前記背景部の反対側で前記透明部を介して入射した光を受光することにより読み取りを行う読取部と、を備える画像読取装置による画像読取方法は、前記背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定工程と、前記透明部と前記背景部との間の原稿と、前記背景部と、を前記読取部が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した前記背景色範囲と、に基づいて前記第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出工程と、前記透明部と前記背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより前記読取部が出力した第2読取画像データに基づいて前記透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出工程と、を備える。前記背景色設定工程では、ユーザーにより設定された前記汚れ検出工程の検出感度が第1感度である場合には、前記背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が前記第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、前記背景色範囲を前記第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する。
光を透過する透明部と、前記透明部に対向する位置に配設された背景部と、前記透明部を挟んで前記背景部の反対側で前記透明部を介して入射した光を受光することにより読み取りを行う読取部と、を備える画像読取装置を制御する画像読取プログラムは、前記背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定機能と、前記透明部と前記背景部との間の原稿と、前記背景部と、を前記読取部が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した前記背景色範囲と、に基づいて前記第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出機能と、前記透明部と前記背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより前記読取部が出力した第2読取画像データに基づいて前記透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出機能と、を前記画像読取装置に実行させる。前記背景色設定機能は、ユーザーにより設定された前記汚れ検出機能の検出感度が第1感度である場合には、前記背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が前記第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、前記背景色範囲を前記第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する。
画像読取装置の構成を簡易的に示すブロック図。 搬送路を含む画像読取装置の内部構造を側方からの視点で簡易的に示す図。 背景色設定処理を示すフローチャート。 汚れ検出感度と輝度マージンとの対応関係を規定したテーブルを示す図。 ステップS150〜S180を説明するための図。 原稿読取処理を示すフローチャート。 原稿検出処理の一例を説明するための図。 原稿検出処理の他の例を説明するための図。 警告画面の一例を示す図。
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
1.装置構成:
図1は、本実施形態にかかる画像読取装置10の構成をブロック図により簡易的に示している。
図2は、搬送路36を含む画像読取装置10の内部構造を、側方からの視点により簡易的に示している。図2では、画像読取装置10に関する上下前後の方向を示している。
画像読取装置10は、原稿を読取可能なスキャナーである。画像読取装置10は、画像読取方法を実現する。画像読取装置10は、制御部11と、搬送部12と、読取部13と、表示部14と、操作受付部15と、通信インターフェイス16と、を含む。インターフェイスをIFと略す。
制御部11は、例えば、プロセッサーとしてのCPU11aや、ROM11bやRAM11c等のメモリーや、その他の記憶手段等を含み、メモリーに記憶されたプログラム11eに従って画像読取装置10を制御する。プログラム11eは、画像読取プログラムに該当する。制御部11を構成するプロセッサーは、一つのCPUに限られず、複数のCPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。
画像読取装置10は、本体部31と、本体部31に対して開閉可能なカバー32と、を備える。本体部31およびカバー32をまとめて、画像読取装置10の筐体と呼んでもよい。画像読取装置10の内部には、図2に示すように、本体部31とカバー32とによって原稿Mの搬送路36が形成されている。
搬送部12は、制御部11による制御下で原稿Mを搬送路36の上流から下流に向けて搬送する。搬送路36の上流から下流へ向かう方向を、搬送方向Dfと呼んでもよい。搬送路36の上流、下流を、単に、上流、下流とも記載する。原稿Mは、代表的には紙媒体であるが、紙以外の素材によるシート状の媒体であってもよい。搬送部12は、原稿Mを搬送するための複数のローラーや、ローラーに動力を与えてローラーを回転させるモーター等を含んでいる。
符号34は、搬送路36の上流の供給口34を示し、符号35は、搬送路36の下流の排出口35を示している。本体部31の後方には、原稿トレイ33が本体部31に対して装着されている。原稿トレイ33に載置された原稿Mは、供給口34から搬送路36内へ取り込まれ、搬送路36を下流へ搬送されて、排出口35から外へ排出される。図2の例では、排出口35は、供給口34よりも前方に在る。
読取部13は、本体部31内に設けられており、制御部11による制御下で原稿Mを光学的に読み取る。読取部13は、原稿Mを照射する光源や、原稿Mからの反射光を受光して受光量に応じた電荷を出力するイメージセンサーや、イメージセンサーに光を導くための光学系等を含んでいる。読取部13のイメージセンサーは、複数の光電変換素子が搬送方向Dfに交差する方向に並んだラインセンサーである。ここで言う、搬送方向Dfに交差する方向は、ラインセンサーの長手方向であり、図2において図面に垂直な方向である。この長手方向を、主走査方向とも呼ぶ。読取部13のイメージセンサーは、ライン単位の読取結果としての画像データを出力する処理を繰り返す。ライン単位の画像データとは、光電変換素子毎の画素値が主走査方向に対応して並ぶ画素列である。
読取部13は、搬送部12により搬送される原稿Mの本体部31を向く面を読み取ることが可能である。つまり、図2の例では、画像読取装置10は、原稿Mの片面を読取可能なシードフィードスキャナーである。ただし、言うまでもなく画像読取装置10は、原稿Mの面を反転させる機構を有して読取部13により原稿Mの一方の面と他方の面とを順番に読取可能な構成であってもよい。あるいは、画像読取装置10は、読取部13とは別の読取部をカバー32内に有して、2つの読取部により原稿Mの両面を同時読取可能な構成であってもよい。
表示部14は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイにより構成される。操作受付部15は、ユーザーからの操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンやタッチパネルである。むろん、タッチパネルは、表示部14の一機能として実現されるとしてもよい。図2では省略しているが、表示部14や操作受付部15は、筐体におけるユーザーが視認や操作がし易い位置に設けられている。
通信IF16は、画像読取装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部と通信を実行するための一つまたは複数のIFの総称である。図1の例では、画像読取装置10は、通信IF16を介して外部装置20と通信可能に接続している。画像読取装置10は、スキャナーとしての機能に加え、印刷機能やファクシミリ通信機能や電子メール通信機能等の複数機能を兼ね備えた、複合機であってもよい。
外部装置20は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)や、サーバーや、スマートフォンや、タブレット型端末等である。図1では、外部装置20の構成も簡易的に示しており、外部装置20は、外部装置20の制御を司る第2制御部21や、視覚情報を表示するための第2表示部22を含んでいる。
図2に示すように、搬送路36は、本体部31の上を向く面である本体部上面31aと、カバー32の下を向く面であるカバー下面32aとの間に確保された隙間である。このような搬送路36は、本体部上面31a、カバー下面32aおよび各ローラー12a1,12a2,12a3,12b1,12b2,12b3により形成されている。
図2には、搬送部12の一部を構成するローラーとして、搬送路36を挟んで相対するローラーの対を何組か示している。ローラー12a1およびローラー12b1によるローラー対を、第1ローラー対12a1,12b1と呼ぶ。ローラー12a2およびローラー12b2によるローラー対を、第2ローラー対12a2,12b2と呼ぶ。ローラー12a3およびローラー12b3によるローラー対を、第3ローラー対12a3,12b3と呼ぶ。ローラー12a1,12a2,12a3はカバー32に配設され、ローラー12b1,12b2,12b3は本体部31に配設されている。各ローラー対は、対を構成するローラーとローラーとの間に原稿Mを挟持して回転することにより原稿Mを搬送する。
各ローラー対のうち最も上流の第1ローラー対12a1,12b1は、供給口34のやや下流の位置に配設されている。第1ローラー対12a1,12b1は、原稿トレイ33に載置された原稿Mの中から一枚の原稿Mを搬送路36へ取り込んで下流へ搬送する。第1ローラー対12a1,12b1よりも下流かつ読取部13よりも上流の位置に在る第2ローラー対12a2,12b2は、第1ローラー対12a1,12b1により搬送される原稿Mを、さらに下流へ搬送する。第2ローラー対12a2,12b2により搬送される原稿Mが搬送路36における読取部13の位置を通過する際に、原稿Mは読取部13により読み取られる。各ローラー対のうち最も下流の第3ローラー対12a3,12b3は、読取部13よりも下流に配設されている。第3ローラー対12a3,12b3は、第2ローラー対12a2,12b2により搬送される原稿Mを、さらに下流へ搬送し、排出口35から外部へ排出する。
読取部13に対応して、本体部上面31aには光を透過する透明部としてのガラス板37が配設されている。ガラス板37は搬送路36に露出している。搬送路36内の光がガラス板37を介して本体部31内へ入射し、読取部13は、この入射した光をイメージセンサーで受光することにより読み取りを行う。透明部の素材は、ガラスに限定せず、例えば、プラスチックであってもよい。
ガラス板37と対向するカバー下面32aの位置には、背景部としての背景板38が設けられている。背景板38は、所定の色で塗られており、ここではグレー色であるとする。背景板38は、カバー下面32aの一部であってもよいし、カバー下面32aに取り付けられた部材であってもよい。このように、読取部13は、透明部を挟んで背景部の反対側で透明部を介して読み取りを行う。
2.背景色設定処理:
図3は、制御部11がプログラム11eに従って実行する背景色設定処理を、フローチャートにより示している。背景色設定処理を、背景色設定工程とも言う。背景色設定処理とは、背景部の色の範囲である「背景色範囲」を設定する処理である。背景色範囲は、後述の原稿検出処理に必要な情報である。
制御部11は、所定の開始条件が成立した場合に、背景色設定処理を開始する。所定の開始条件は、例えば、画像読取装置10の電源が投入されたタイミングである。制御部11は、画像読取装置10の電源ボタンが押されて画像読取装置10が電源オン状態となったと判断した場合に、背景色設定処理を開始すればよい。電源ボタンは、操作受付部15の一部である。
また、所定の開始条件は、画像読取装置10がスリープ状態から復帰したタイミングである。スリープ状態は、電力消費を抑えた状態であり、画像読取装置10内において、例えば搬送部12や読取部13といった装置内の幾つかの動作部への電力供給を停止した状態である。スリープ状態を、省エネルギー状態や節電状態等とも言う。制御部11は、スリープ状態において、操作受付部15への操作を検知したり、通信IF16を介して外部からの指示を入力したりした場合に、画像読取装置10をスリープ状態から通常稼働状態へ復帰させて、背景色設定処理を開始すればよい。通常稼働状態とは、画像読取装置10内で各動作部への電力供給を制限していない状態である。
また、所定の開始条件は、汚れ検出処理の検出感度の設定が変更されたタイミングである。汚れ検出処理の検出感度を「汚れ検出感度」と呼ぶ。汚れ検出処理は、後述するように、透明部における汚れ領域を検出する処理である。透明部の汚れは、原稿Mのスキャン結果の画質劣化に繋がる。一方で、透明部の汚れへの許容度はユーザーによって様々である。小さな汚れによる僅かな画質劣化も排除したいユーザーも居れば、ある程度までの大きさの汚れは許容して効率的に原稿Mをスキャンしたいユーザーも居る。
そこで本実施形態では、ユーザーは汚れ検出感度を任意のタイミングで任意に設定することができる。汚れ検出感度は、高ければ高い程、より微細な汚れを汚れ領域として検出することが可能となる。ユーザーは、表示部14に表示された設定画面を視認しつつ操作受付部15を操作することにより、例えば「0」、「低」、「高」といった複数の感度の中から汚れ検出感度を設定する。汚れ検出感度「0」、「低」、「高」の中では、「0」が最も感度が低く、「高」が最も感度が高い。汚れ検出感度の選択肢が3つである構成は一例に過ぎず、この選択肢は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。ユーザーが設定可能な複数の汚れ検出感度のうち一つを「第1感度」と称したとき、第1感度よりも高い汚れ検出感度を「第2感度」と称する。
制御部11は、ユーザーによって設定された汚れ検出感度を、以後の汚れ検出処理に採用する汚れ検出感度として受け付ける。制御部11は、既に汚れ検出感度の設定を受け付けた状態で、ユーザーによる汚れ検出感度の設定が新たになされた場合には、既存の設定から新たな設定へ変更する。このように、制御部11は、汚れ検出感度の設定がユーザーにより変更された場合に、背景色設定処理を開始すればよい。汚れ検出感度は、外部装置20を操作することにより設定可能であってもよい。つまり、ユーザーは、外部装置20を操作して汚れ検知感度を設定し、制御部11は、通信IF16を介して、外部装置20からの汚れ検知感度の設定を受け付ける。操作受付部15や通信IF16と制御部11とは、協働して、ユーザーによる設定を受け付け可能な設定受付部として機能する。
ステップS100では、制御部11は、背景板38の読取による背景板基準データGs(x)を取得する。つまり、制御部11は、搬送路36に原稿Mが無い状態で、読取部13に背景板38の通常読取をさせる。通常読取とは、光源を点灯させた状態での読取である。背景板38の通常読取により、読取部13はライン単位の画像データを生成して制御部11へ出力する。制御部11は、このような背景板38の通常読取による画像データを、背景板基準データGs(x)として取得する。
ステップS110では、制御部11は、背景板38の消灯読取による黒基準データKs(x)を取得する。つまり、制御部11は、搬送路36に原稿Mが無い状態かつ光源を消灯させた状態で、読取部13に背景板38の読取をさせる。背景板38の消灯読取により、読取部13はライン単位の画像データを生成して制御部11へ出力する。制御部11は、このような背景板38の消灯読取による画像データを、黒基準データKs(x)として取得する。なお、背景板基準データGs(x)や黒基準データKs(x)等に関して、xは主走査方向の画素位置を示している。
ステップS120では、制御部11は、背景板基準データGs(x)から黒基準データKs(x)を差し引くことにより、背景板読取データGr(x)を算出する。この場合、制御部11は、画素位置x毎に背景板基準データGs(x)と黒基準データKs(x)との画素値の差分を算出する。このように算出した背景板読取データGr(x)は、読取部13の光源以外の外光の影響を排除した環境で読取部13が背景板38の色を読み取った結果を表していると言える。
ステップS130では、制御部11は、背景板読取データGr(x)を低解像度化する。制御部11は、例えば、背景板読取データGr(x)としての各画素を主走査方向に連続する4画素毎に平均化することにより、背景板読取データGr(x)を主走査方向において1/4に低解像度化する。後述のステップS150〜S180の説明に関しては、ステップS130で低解像度化した後の背景板読取データGr(x)を、背景板読取データGr(x)と記載する。ステップS130を行うことにより、特に、ステップS150,S170の処理負担を軽減できる。ただし、ステップS130は実行しなくてもよく、制御部11は、低解像度化していない背景板読取データGr(x)に基づいてステップS150〜S180を実行してもよい。
ステップS140では、制御部11は、汚れ検出感度に応じた輝度マージンDtを取得する。ここで言う、汚れ検出感度は、当然、現在の設定にかかる汚れ検出感度である。輝度マージンDtは、背景色範囲を設定するために用いるパラメーターである。
図4は、汚れ検出感度と輝度マージンDtとの対応関係を規定したテーブル40の例である。テーブル40は、例えば、画像読取装置10内のメモリーあるいは外部装置20に保存されており、制御部11は、テーブル40を参照して、汚れ検出感度に応じた輝度マージンDtを取得する。テーブル40によれば、汚れ検出感度「高」に対応して輝度マージン「1.5%」が規定され、汚れ検出感度「低」に対応して輝度マージン「5%」が規定され、汚れ検出感度「0」に対応して輝度マージン「10%」が規定されている。つまり、汚れ検出感度が高いと、輝度マージンは小さくなっている。
テーブル40において、連続画素数は、汚れ検出処理において汚れ領域を検出するための基準を示している。つまり、汚れ検出感度「高」に対応する基準である連続画素数「5」は、画素値が汚れに該当する画素が主走査方向に5画素以上連続する領域を、汚れ領域として検出することを意味する。同様に、汚れ検出感度「低」に対応する基準である連続画素数「15」は、画素値が汚れに該当する画素が主走査方向に15画素以上連続する領域を、汚れ領域として検出することを意味する。連続画素数が小さい数であるほど、より微細な汚れを検出することができる。図4の例では、汚れ検出感度「0」に対しては、連続画素数が規定されていない。これは、汚れ検出感度が「0」である場合は、実質的に汚れを検出しないことを意味する。ユーザーは、透明部の汚れの有無を全く気にしない場合に、汚れ検出感度「0」を設定すればよい。このようなテーブル40は、ステップS140だけでなく、汚れ検出処理においても参照する。
ステップS140を実行するタイミングは、ステップS130の後でなくてもよい。汚れ検出感度に応じた輝度マージンDtは、ステップS160やステップS180で用いる情報である。そのため、制御部11は、背景色設定処理を開始してからステップS160やステップS180を行うまでのどこかのタイミングで、ステップS140を実行すればよい。
読取部13が読取結果として生成する画像データは、画素毎に例えば、RGB(レッド、グリーン、ブルー)毎の階調を画素値として有する。このような画素値は、公知の変換式により輝度へ変換することができる。そこで、背景板読取データGr(x)は輝度であり、背景色設定処理で設定する背景色範囲は、背景板38の輝度範囲であるとする。このような輝度範囲を、背景輝度範囲と呼ぶ。
ステップS150では、制御部11は、背景板読取データGr(x)から最小値Gr_minを検索する。
ステップS160では、制御部11は、ステップS140で取得した輝度マージンDtおよびステップS150で検索した最小値Gr_minに基づき、下記式(1)により背景輝度範囲の下限値Gr_Lを設定する。
Gr_L=(Gr_min−Dm)×(1−Dt) …(1)
ステップS170では、制御部11は、背景板読取データGr(x)から最大値Gr_maxを検索する。
ステップS180では、制御部11は、ステップS140で取得した輝度マージンDtおよびステップS170で検索した最大値Gr_maxに基づき、下記式(2)により背景輝度範囲の上限値Gr_Hを設定する。
Gr_H=(Gr_max+Dp)×(1+Dt) …(2)
制御部11は、ステップS150,S160と、ステップS170,S180とを並行して行ってもよい。
図5は、ステップS150〜S180を説明するための図である。図5では、横軸を主走査方向の画素位置xとし、縦軸を輝度としたグラフにより、背景板読取データGr(x)を示している。なお、図5に示す画素位置x毎の背景板読取データGr(x)は、複数のライン分の背景板読取データGr(x)を画素位置x毎に平均化した値であってもよい。背景板38は、理想的には均一なグレー色であるが、実際には背景板38内で塗りムラがあったりするため、図5に示すように、画素位置x毎の背景板読取データGr(x)は、互いにばらついている。
図5では、背景板読取データGr(x)の最小値Gr_minから下限マージンDmを引いた輝度Gr_min−Dmの位置と、最大値Gr_ maxに上限マージンDpを足した輝度Gr_max+Dpの位置とに、破線を記載している。下限マージンDmや上限マージンDpは、気温や湿度やその他の種々の要因に応じて生じるイメージセンサーの読取結果の変動を考慮して、これら変動を吸収するために予め設定されているマージンである。下限マージンDmと上限マージンDpとは、同じ値であってよいし、異なる値であってもよい。従って、輝度Gr_min−Dmから輝度Gr_max+Dpまでが、最小限の背景輝度範囲と言える。
図5では、輝度Gr_min−Dmを1−Dt倍した下限値Gr_Lの位置と、輝度Gr_max+Dpを1+Dt倍した上限値Gr_Hの位置とに、2点鎖線を記載している。仮に、汚れ検出感度が「低」であるために輝度マージンDtが「5%」であれば、1−Dtは、0.95であり、1+Dtは、1.05である。仮に、汚れ検出感度が「高」であるために輝度マージンDtが「1.5%」であれば、1−Dtは、0.985であり、1+Dtは、1.015である。
このように、輝度マージンDtが大きいほど、下限値Gr_Lから上限値Gr_Hまでの範囲、つまり背景輝度範囲は広くなる。制御部11は、ステップS160で下限値Gr_Lを算出し、ステップS180で上限値Gr_Hを算出することにより、背景輝度範囲の設定を完了する。
3.原稿読取処理:
図6は、制御部11がプログラム11eに従って実行する原稿読取処理を、フローチャートにより示している。制御部11は、操作受付部15や通信IF16を通じて、原稿スキャンの開始指示を受けたことを契機として、原稿読取処理を開始する。
ステップS200では、制御部11は、搬送部12および読取部13を制御することにより1ページ分の原稿Mの読取処理を行う。つまり、制御部11は、搬送部12に原稿トレイ33から一枚の原稿Mの搬送を実行させ、かつ、この搬送される原稿Mを、読取部13に通常読取させる。この結果、制御部11は、読取部13が原稿Mを主走査方向に長尺なライン単位で繰り返し読み取って出力する画像データを入力して、1ページ分の原稿Mを含んだ2次元の画像データとしての原稿読取データを取得する。制御部11は、原稿読取データと上述の黒基準データKs(x)との画素位置xが同じ画素同士の画素値の差分を原稿読取データとして、以下の処理対象にしてもよい。
原稿読取データは、読取部13がガラス板37と背景板38との間の原稿Mと、原稿Mよりも外側の背景板38とを読み取った結果であり「第1読取画像データ」に該当する。ステップS200では、制御部11は、原稿読取データと、背景色範囲と、に基づいて原稿読取データから原稿領域を検出する原稿検出処理を併せて実行する。原稿検出処理は、原稿検出工程に該当する。原稿領域とは、原稿読取データのうちの原稿のみ或いはほぼ原稿のみに該当する領域である。原稿検出処理で用いる背景色範囲は、当然、直近の背景色設定処理(図3)で設定された背景色範囲、つまり背景輝度範囲である。
制御部11は、原稿読取データを構成するライン毎に、ラインの一端および他端のそれぞれからラインの中央に向かって画素値を順に検索していく。そして、制御部11は、輝度が背景輝度範囲である下限値Gr_L以上かつ上限値Gr_H以下の範囲から外れた画素位置xを原稿端とし、当該ライン内で2箇所の原稿端で挟まれた領域を、原稿領域として検出すればよい。この処理を、原稿読取データを構成するライン毎に繰り返すことにより、制御部11は、1ページ分の原稿Mに該当する原稿領域を検出することができる。制御部11は、原稿領域の画像データを、画像読取装置10内の所定のメモリーに保存したり、通信IF16を介して外部装置20へ転送したり、印刷の用に供したりすることができる。
図7は、原稿検出処理の一例を説明する図である。図7では、横軸を主走査方向の画素位置xとし、縦軸を輝度としたグラフにより、一ライン分の原稿読取データD(x)を示している。また、図7のグラフの縦軸に記載した下限値Gr_L及び上限値Gr_Hは、直近の背景色設定処理で設定された背景輝度範囲である。さらに、図7では、グラフの理解を容易とするために、グラフの下に、背景板38および搬送方向Dfに搬送される原稿M1の一部を記載している。図7では、ガラス板37から背景板38を向く視点で背景板38および原稿M1を示している。原稿M1は、原稿Mの一種である。図7において、符号SCで示す、搬送方向Dfに交差する方向に長尺な破線の矩形は、ガラス板37を介して読取部13のイメージセンサーがライン単位で読み取る際の読取領域と解してよい。つまり、図7において、読取部13がイメージセンサーの一回の読取により出力した画像データの一例が、原稿読取データD(x)である。
原稿M1は白色ではない何らかの色が元々着色されている媒体であり、背景板38より明るい色の媒体である。図7の原稿読取データD(x)は、画素位置x1および画素位置x2において輝度が背景輝度範囲を外れて上限値Gr_Hを超えている。従って、制御部11は、図7の原稿読取データD(x)については、画素位置x1から画素位置x2までの領域を、原稿領域として検出する。
図8は、原稿検出処理の他の例を説明する図である。図8の見方は図7の見方と同じであるため、図8については図7と異なる点を説明する。図8では図7と同様、グラフの下に、背景板38および搬送方向Dfに搬送される原稿M2の一部を記載している。原稿M2は、原稿Mの一種であり、原稿M1とは異なる。原稿M2は白色の媒体であり、原稿M1よりも明るい。図8の原稿読取データD(x)は、画素位置x4および画素位置x5において輝度が背景輝度範囲を外れて上限値Gr_Hを超えている。従って、制御部11は、図8の原稿読取データD(x)については、画素位置x4から画素位置x5までの領域を、原稿領域として検出する。
図7と図8とを比べると、背景輝度範囲は図7の方が狭い。従って、図7に示す背景輝度範囲は、比較的高い汚れ検出感度に応じて設定した背景輝度範囲であり、図8に示す背景輝度範囲は、比較的低い汚れ検出感度に応じて設定した背景輝度範囲と言える。図8に示す背景輝度範囲は、第1感度に応じて設定した「第1範囲」の具体例に該当し、図7に示す背景輝度範囲は、第1感度よりも高感度である第2感度に応じて設定した、第1範囲よりも狭い「第2範囲」の具体例に該当する。図7のように背景輝度範囲を狭く設定することで、背景板38との色の差が白色の原稿M2よりも小さい、着色された原稿M1のような種類の原稿Mについても、原稿読取データD(x)から原稿領域を正確に検出し易くなる。
図8の符号Fは、ガラス板37に付着した汚れFを示す。このような汚れFが、主走査方向において原稿M2よりも外側に在ると、図8に示すように、原稿読取データD(x)は、汚れFの輝度に応じて局所的に突出する突出部dを有する形状となる。仮に、突出部dの輝度が背景輝度範囲の外に到達する場合、制御部11は、原稿検出処理において、突出部dが発生する画素位置x3を、一つの原稿端と見なし、画素位置x3から画素位置x5までの領域を、原稿領域として誤検出してしまう。図8のように背景輝度範囲を広く設定すれば、汚れFに対応する突出部dが背景輝度範囲内に収まる可能性が高まり、汚れFに起因して原稿領域を誤検出する可能性を低減することができる。
ステップS210では、制御部11は、次の原稿Mが有るか否かを判定し、次の原稿Mが有れば、“Yes”の判定からステップS200を再び行う。制御部11は、次の原稿Mが無ければ、ステップS210の“No”の判定からステップS220へ進む。例えば、原稿トレイ33には原稿Mの有無を検知する不図示の原稿センサーが配設されており、制御部11は、原稿センサーによって原稿有りが検知されている状況では、ステップS210で“Yes”と判定する。一方、原稿センサーによって原稿無しが検知された場合に、制御部11は、ステップS210で“No”と判定する。
ステップS210で“No”と判定した場合、つまり原稿トレイ33に載置された全ての原稿Mの読取処理を終えた場合に、制御部11は、ステップS220でガラス板37の汚れ検出処理を行う。汚れ検出処理は、汚れ検出工程に該当する。
汚れ検出処理については簡単に説明する。ステップS220では、制御部11は、例えば、既述のステップS100〜S120と同様に、搬送路36に原稿Mが無い状態で読取部13に背景板38の読取をさせることにより、読取結果としての画像データを取得する。汚れ検出処理において取得する画像データは「第2読取画像データ」に該当する。第2読取画像データを、以下では、汚れ検出用読取データと称する。
制御部11は、汚れ検出用読取データを構成する各画素のうち、汚れに該当する汚れ画素を検出し、さらに、汚れ画素が主走査方向に沿って連続画素数以上続く領域を一つの汚れ領域として検出する。汚れ画素とは、汚れを定義する色や輝度の範囲として予め定められた汚れ色範囲に画素値が該当する画素である。連続画素数は、当然、現在の設定にかかる汚れ検出感度に対応する連続画素数であり、制御部11は、テーブル40を参照して連続画素数を取得する。
ステップS230では、制御部11は、ステップS220の汚れ検出処理の結果に応じて処理を分岐する。制御部11は、ステップS220の汚れ検出処理により一つ以上の汚れ領域を検出した場合に、汚れ有りの“Yes”の判定からステップS240へ進む。一方、ステップS220の汚れ検出処理により汚れ領域を検出できなかった場合に、制御部11は、汚れ無しの“No”と判定して図6のフローチャートを終了する。
ちなみにテーブル40によれば、汚れ検出感度「0」に対応する連続画素数は規定されていない。そのため、制御部11は、汚れ検出感度の設定が「0」である場合には、ステップS220の汚れ検出処理により汚れ領域を検出できなかったとみなし、ステップS230で“No”と判定する。
ステップS240では、制御部11は、汚れ領域が有る旨および原稿検出処理による原稿領域の検出結果が誤っている可能性がある旨を、外部に通知する。具体的には、これらをユーザーに通知するための警告画面を、表示部14や外部装置20の第2表示部22に表示させる。制御部11は、ステップS240の通知を行った上で、図6のフローチャートを終了する。
図9は、表示部14に表示された警告画面50の例である。警告画面50は第1メッセージ51を含んでいる。第1メッセージ51は、汚れ領域が有る旨の通知であり、例えば「ガラス板が汚れています。ガラス板を清掃して下さい。」といったメッセージである。第1メッセージ51を視認したユーザーは、カバー32を開けてガラス板37を清掃することができる。これにより、画像読取装置10が次に原稿読取処理(図6)を開始するときに、ガラス板37が綺麗な状態で原稿読取処理が開始される。
言うまでもなく、第1メッセージ51は、ステップS220で検出された汚れ領域の数や、大きさや、位置等をユーザーに通知する内容を含んでいてもよい。また、警告画面50は、検出された各汚れ領域のガラス板37における位置や大きさ等をイラスト等でユーザーに解り易く案内するものであってもよい。
警告画面50は第2メッセージ52を含んでいる。第2メッセージ52は、原稿検出処理による原稿領域の検出結果が誤っている可能性がある旨の通知であり、例えば「ガラス板の汚れが原因で原稿切り出しに失敗した可能性があります。スキャン結果を確認して下さい。」といったメッセージである。原稿切り出しとは、原稿検出処理の別の呼び方である。つまり、ガラス板37に汚れが有るということは、ステップS200の原稿検出処理において、汚れを原稿端とみなして実際の原稿Mとは異なる誤った領域を原稿領域として検出した可能性もある。そのため、制御部11は、第2メッセージ52により、保存されたスキャン結果つまり原稿検出処理後の原稿領域の画像データを、確認することをユーザーに勧める。
4.まとめ:
このように本実施形態によれば、画像読取装置10は、光を透過する透明部と、透明部に対向する位置に配設された背景部と、透明部を挟んで背景部の反対側で透明部を介して入射した光を受光することにより読み取りを行う読取部13と、ユーザーによる設定を受け付け可能な設定受付部と、制御部11と、を備える。制御部11は、背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定処理と、透明部と背景部との間の原稿と、背景部と、を読取部13が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した背景色範囲と、に基づいて第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出処理と、透明部と背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより読取部13が出力した第2読取画像データに基づいて透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出処理と、を実行可能である。設定受付部は、汚れ検出処理の検出感度の設定を受け付ける。制御部は、検出感度が第1感度である場合には、背景色範囲を第1範囲に設定し、検出感度が第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、背景色範囲を第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する。
汚れ検出感度が高く設定されている場合、ユーザーは、透明部の微細な汚れも排除したいとの要望を有しており、汚れ検出処理において、微細な汚れが見逃がされずに検出される。従って、汚れ検出感度が高く設定されている場合には、透明部の微細な汚れもユーザーにより清掃され、図6の原稿読取処理は透明部がクリーンな状態で開始される可能性が高いと言える。このような状況においては、透明部の汚れに起因して誤った原稿領域を検出する可能性がそもそも低いため、様々な種類の原稿について原稿領域を検出できるようにすることを優先して、背景色範囲を狭く設定する方が合理的である。
一方、汚れ検出感度が低く設定されている場合、ユーザーは、透明部の微細な汚れについては画質上、特に問題視せず、汚れ検出処理において、微細な汚れは見逃がされて検出されない。従って、汚れ検出感度が低く設定されている場合には、透明部に微細な汚れが付いた状態で図6の原稿読取処理が開始される可能性が比較的高い。このような状況においては、透明部の汚れに起因する原稿領域の誤検出を減らすことを優先して、背景色範囲を広く設定する方が合理的である。
本実施形態によれば、制御部11は、原稿検出処理に必要な背景色範囲を、ユーザーによって設定される汚れ検出感度に応じて設定する。これにより、透明部の汚れに関するユーザーの許容度合を反映して合理的な背景色範囲を設定することができる。また、ユーザーの立場では、汚れ検出感度を設定するだけで、原稿検出処理のための適切な背景色範囲が自動的に設定される。
本実施形態によれば、テーブル40の例から解るように、制御部11は、汚れ検出感度が高いほど、狭い背景色範囲を設定するとしてもよい。
前記構成によれば、透明部の汚れに関するユーザーの許容度合を細かく反映して、適切に背景色範囲を設定することができる。
ただし、ユーザーが設定可能な複数の汚れ検出感度のうち一部の幾つかの汚れ検出感度については、同様の広さの背景色範囲が設定されるとしてもよい。例えば、テーブル40において、汚れ検出感度「高」に対して輝度マージン「1.5%」が規定されており、汚れ検出感度「低」および「0」に対して同じ輝度マージン「10%」が規定されていてもよい。
また、本実施形態によれば、制御部11は、画像読取装置10の電源が投入されたタイミングまたは画像読取装置10がスリープ状態から復帰したタイミングで背景色設定処理を行う、としてもよい。
前記構成によれば、制御部11は、画像読取装置10の電源が投入されたタイミングや画像読取装置10がスリープ状態から復帰したタイミングで背景色設定処理を行うことにより、原稿スキャンの開始指示を受けてから原稿読取処理を開始するまでの間に、背景色設定処理を行う必要が無い。これにより、原稿スキャンの開始指示を受けてから実際に原稿の読取を開始するまでの時間を短くすることができる。
また、本実施形態によれば、制御部11は、汚れ検出感度の設定が変更された場合に、背景色設定処理を行う、としてもよい。
前記構成によれば、ユーザーによる汚れ検出感度の変更を即座に反映させて、背景色範囲を変更することができる。
また、本実施形態によれば、制御部11は、汚れ検出処理により汚れ領域を検出した場合、汚れ領域が有る旨と、原稿検出処理による原稿領域の検出結果が誤っている可能性がある旨と、を外部に通知するとしてもよい。
前記構成によれば、汚れ領域が検出された場合に、汚れ領域が有る旨だけでなく、原稿領域が誤検出された可能性もユーザーに通知されるため、ユーザーの利便性が向上する。
本実施形態は画像読取装置10以外のカテゴリーの発明も開示する。本実施形態によれば、画像読取装置10による画像読取方法は、背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定工程と、透明部と背景部との間の原稿と、背景部と、を読取部13が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した背景色範囲と、に基づいて第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出工程と、透明部と背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより読取部13が出力した第2読取画像データに基づいて透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出工程と、を備える。背景色設定工程では、ユーザーにより設定された汚れ検出工程の検出感度が第1感度である場合には、背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、背景色範囲を第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する。
また、画像読取装置10を制御する画像読取プログラム11eは、背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定機能と、透明部と背景部との間の原稿と、背景部と、を読取部13が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した背景色範囲と、に基づいて第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出機能と、透明部と背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより読取部13が出力した第2読取画像データに基づいて透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出機能と、を画像読取装置10に実行させる。背景色設定機能は、ユーザーにより設定された汚れ検出機能の検出感度が第1感度である場合には、背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、背景色範囲を第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する。
本実施形態の思想に基づき汚れ検出感度に応じて背景色範囲を調整する具体的手法は、上述の式(1)および式(2)に限定されない。例えば、テーブル40には、汚れ検出感度毎に、異なる上限マージンDpおよび下限マージンDmの組み合わせが規定されていてもよい。そして、制御部11は、汚れ検出感度に応じた上限マージンDpおよび下限マージンDmをテーブル40から読み出して、下記の式(3)および式(4)により背景輝度範囲の下限値Gr_Lおよび上限値Gr_Hを算出してもよい。
Gr_L=Gr_min−Dm …(3)
Gr_H=Gr_max+Dp …(4)
本実施形態の思想に基づき、結果的に汚れ検出感度に応じて背景色範囲を調整できるのであれば、上述の式以外の手法を用いてもよい。
画像読取装置10は、図2に記載したようなシートフィードスキャナーではなく、いわゆるフラットベッドスキャナーでもよい。つまり、透明部としてのガラス板等による原稿台に載置された原稿Mを原稿台と背景部とで挟んだ状態で、原稿台の背景部とは反対側で読取部13が移動しながら原稿Mや背景部を読み取る構成であってもよい。この場合、搬送部12は不要である。
10…画像読取装置、11…制御部、11e…プログラム、12…搬送部、13…読取部、14…表示部、15…操作受付部、16…通信IF、20…外部装置、21…第2制御部、22…第2表示部、31…本体部、31a…本体部上面、32…カバー、32a…カバー下面、33…原稿トレイ、34…供給口、35…排出口、36…搬送路、37…ガラス板、38…背景板、40…テーブル、50…警告画面、51…第1メッセージ、52…第2メッセージ、M,M1,M2…原稿

Claims (7)

  1. 光を透過する透明部と、
    前記透明部に対向する位置に配設された背景部と、
    前記透明部を挟んで前記背景部の反対側で前記透明部を介して入射した光を受光することにより読み取りを行う読取部と、
    ユーザーによる設定を受け付け可能な設定受付部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定処理と、
    前記透明部と前記背景部との間の原稿と、前記背景部と、を前記読取部が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した前記背景色範囲と、に基づいて前記第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出処理と、
    前記透明部と前記背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより前記読取部が出力した第2読取画像データに基づいて前記透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出処理と、を実行可能であり、
    前記設定受付部は、前記汚れ検出処理の検出感度の設定を受け付け、
    前記制御部は、前記検出感度が第1感度である場合には、前記背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が前記第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、前記背景色範囲を前記第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する、ことを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記制御部は、前記検出感度が高いほど狭い背景色範囲を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 前記制御部は、前記画像読取装置の電源が投入されたタイミングまたは前記画像読取装置がスリープ状態から復帰したタイミングで前記背景色設定処理を行う、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
  4. 前記制御部は、前記検出感度の設定が変更された場合に、前記背景色設定処理を行う、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像読取装置。
  5. 前記制御部は、前記汚れ検出処理により汚れ領域を検出した場合、前記汚れ領域が有る旨と、前記原稿検出処理による原稿領域の検出結果が誤っている可能性がある旨と、を外部に通知する、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像読取装置。
  6. 光を透過する透明部と、
    前記透明部に対向する位置に配設された背景部と、
    前記透明部を挟んで前記背景部の反対側で前記透明部を介して入射した光を受光することにより読み取りを行う読取部と、を備える画像読取装置による画像読取方法であって、
    前記背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定工程と、
    前記透明部と前記背景部との間の原稿と、前記背景部と、を前記読取部が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した前記背景色範囲と、に基づいて前記第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出工程と、
    前記透明部と前記背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより前記読取部が出力した第2読取画像データに基づいて前記透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出工程と、を備え、
    前記背景色設定工程では、ユーザーにより設定された前記汚れ検出工程の検出感度が第1感度である場合には、前記背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が前記第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、前記背景色範囲を前記第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する、ことを特徴とする画像読取方法。
  7. 光を透過する透明部と、
    前記透明部に対向する位置に配設された背景部と、
    前記透明部を挟んで前記背景部の反対側で前記透明部を介して入射した光を受光することにより読み取りを行う読取部と、を備える画像読取装置を制御する画像読取プログラムであって、
    前記背景部の色の範囲である背景色範囲を設定する背景色設定機能と、
    前記透明部と前記背景部との間の原稿と、前記背景部と、を前記読取部が読み取ることにより出力した第1読取画像データと、設定した前記背景色範囲と、に基づいて前記第1読取画像データから原稿領域を検出する原稿検出機能と、
    前記透明部と前記背景部との間に原稿が無い状況での読み取りにより前記読取部が出力した第2読取画像データに基づいて前記透明部における汚れ領域を検出する汚れ検出機能と、を前記画像読取装置に実行させ、
    前記背景色設定機能は、ユーザーにより設定された前記汚れ検出機能の検出感度が第1感度である場合には、前記背景色範囲を第1範囲に設定し、前記検出感度が前記第1感度よりも高感度な第2感度である場合には、前記背景色範囲を前記第1範囲よりも狭い第2範囲に設定する、ことを特徴とする画像読取プログラム。
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