JP2021123652A - 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス - Google Patents

樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2021123652A
JP2021123652A JP2020017972A JP2020017972A JP2021123652A JP 2021123652 A JP2021123652 A JP 2021123652A JP 2020017972 A JP2020017972 A JP 2020017972A JP 2020017972 A JP2020017972 A JP 2020017972A JP 2021123652 A JP2021123652 A JP 2021123652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
resin composition
preferable
film
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020017972A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7431050B2 (ja
Inventor
雄一郎 榎本
Yuichiro Enomoto
雄一郎 榎本
健太 山▲ざき▼
Kenta Yamazaki
健太 山▲ざき▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2020017972A priority Critical patent/JP7431050B2/ja
Priority to TW110102234A priority patent/TW202130707A/zh
Publication of JP2021123652A publication Critical patent/JP2021123652A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7431050B2 publication Critical patent/JP7431050B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】樹脂組成物からなる膜の上に、他の組成物からなる別の膜を形成した場合であっても、上記別の膜における欠陥の発生が抑制される樹脂組成物、上記樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスを提供すること。【解決手段】ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂と、下記条件1及び条件2の少なくとも一方を満たす界面活性剤と、を含む樹脂組成物、上記樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイス;条件1:分子量が500以下である;条件2:250℃の加熱で分解可能である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイスに関する。
ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールは、耐熱性及び絶縁性等に優れるため、様々な用途に適用されている。上記用途としては特に限定されないが、実装用の半導体デバイスを例に挙げると、絶縁膜や封止材の材料、又は、保護膜としての利用が挙げられる。また、フレキシブル基板のベースフィルムやカバーレイなどとしても用いられている。
例えば上述した用途において、ポリイミド又はポリベンゾオキサゾールは、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、及び、ポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂を含む樹脂組成物の形態で用いられる。
このような樹脂組成物を、例えば塗布等により基材に適用して樹脂膜を形成し、その後、必要に応じて露光、現像、加熱等を行うことにより、硬化膜を基材上に形成することができる。
上記ポリイミド前駆体、上記ポリベンゾオキサゾール前駆体は、例えば加熱により環化され、硬化膜中でそれぞれポリイミド、ポリベンゾオキサゾールとなる。
樹脂組成物は、公知の塗布方法等により適用可能であるため、例えば、適用される樹脂組成物の適用時の形状、大きさ、適用位置等の設計の自由度が高いなど、製造上の適応性に優れるといえる。ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等が有する高い性能に加え、このような製造上の適応性に優れる観点から、上述の樹脂組成物の産業上の応用展開がますます期待されている。
例えば、特許文献1には、(a)特定構造のポリイミド前駆体100質量部、(b)シリコーン系界面活性剤0.001〜5質量部、及び(c)有機溶剤を含有することを特徴とする、樹脂組成物が記載されている。
特開2019−090047号公報
樹脂組成物からなる膜を含む積層体の製造において、樹脂組成物からなる膜の上に、他の組成物からなる別の膜を形成する場合がある。
本発明は、樹脂組成物からなる膜の上に、他の組成物からなる別の膜を形成した場合であっても、上記別の膜における欠陥の発生が抑制される樹脂組成物、上記樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスを提供することを目的とする。
本発明の代表的な実施態様の例を以下に示す。
<1> ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂と、
下記条件1及び条件2の少なくとも一方を満たす界面活性剤と、を含む
樹脂組成物;
条件1:分子量が500以下である;
条件2:250℃の加熱で分解可能である。
<2> 上記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3> 上記界面活性剤が、フッ素原子を有する化合物である、<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 上記界面活性剤の、単独での揮発性が25℃、1気圧において1μm/分以上である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5> 上記界面活性剤の、樹脂組成物に含まれる全ての界面活性剤の総質量に対する含有量が50質量%以上である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6> ラクトン系溶剤を更に含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7> 上記樹脂として、少なくとも2種の樹脂を含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8> 有機溶剤を含む現像液を用いた現像に供される膜の形成に用いられる、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9> 本発明の樹脂組成物からなる膜であって、上記膜の上に、他の組成物からなり、かつ、上記膜と接する別の膜が形成される膜の形成に用いられる、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10> 加熱を含む工程に供される膜の形成に用いられる、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<11> 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<12> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
<13> <12>に記載の硬化膜を2層以上含み、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む積層体。
<14> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
<15> 上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する現像工程を含む、<14>に記載の硬化膜の製造方法。
<16> 上記膜を、50〜450℃で加熱する加熱工程を含む、<14>又は<15>に記載の硬化膜の製造方法。
<17> <12>に記載の硬化膜又は<13>に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
本発明によれば、樹脂組成物からなる膜の上に、他の組成物からなる別の膜を形成した場合であっても、上記別の膜における欠陥の発生が抑制される樹脂組成物、上記樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、上記硬化膜を含む積層体、上記硬化膜の製造方法、及び、上記硬化膜又は上記積層体を含む半導体デバイスが提供される。
以下、本発明の主要な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、明示した実施形態に限られるものではない。
本明細書において「〜」という記号を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた露光も含む。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ−L、TSKgel Super HZM−M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000、TSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。それらの分子量は特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、GPC測定における検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、更に第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、感光層がある場合には、基材から感光層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
本明細書において、特段の記載がない限り、組成物は、組成物に含まれる各成分として、その成分に該当する2種以上の化合物を含んでもよい。また、特段の記載がない限り、組成物における各成分の含有量とは、その成分に該当する全ての化合物の合計含有量を意味する。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101,325Pa(1気圧)、相対湿度は50%RHである。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂(以下、「特定樹脂」ともいう。)と、下記条件1及び条件2の少なくとも一方を満たす界面活性剤(以下、「特定界面活性剤」ともいう。)と、を含む。
条件1:分子量が500以下である。
条件2:250℃の加熱で分解可能である。
本発明の樹脂組成物は、現像に供される膜の形成に用いられることが好ましく、有機溶剤を含む現像液を用いた現像に供される膜の形成に用いられることが好ましい。
上記現像液、及び、上記現像の方法としては、例えば、後述する硬化膜の製造方法の説明における現像工程において説明された現像液及び現像方法が使用される。
本発明の樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物からなる膜であって、上記膜の上に、他の組成物からなり、かつ、上記膜と接する別の膜が形成される膜の形成に用いられることが好ましい。
上記本発明の樹脂組成物からなる膜と、別の膜とは、少なくとも一部が直接接していればよい。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、互いに接する2つの組成物層を積層してなる積層体における、先に形成される組成物層の形成に用いられることが好ましい。
上記別の膜の製造方法としては、例えば、後述する硬化膜の製造方法の説明における積層工程に記載した方法が挙げられる。
また、上記本発明の樹脂組成物からなる膜は、加熱を含む工程により形成された膜であることが好ましい。
また、上記他の組成物は、本発明の樹脂組成物であってもよいし、別の組成物であってもよい。
他の組成物としては、少なくとも樹脂を含む組成物であることが好ましく、特定樹脂を含む組成物がより好ましい。また、他の組成物として、本発明の樹脂組成物を用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、加熱を含む工程に供される膜の形成に用いられることが好ましい。
加熱を含む工程としては、後述する硬化膜の製造方法の説明における加熱工程が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物からなる膜の上に、他の組成物からなる別の膜を形成した場合であっても、上記別の膜における欠陥の発生が抑制される。
上記効果が得られるメカニズムは不明であるが、下記のように推測される。
例えば特許文献1に記載のように、特定樹脂を含む樹脂組成物を用いて膜を形成する際に、塗布性向上のため樹脂組成物に界面活性剤を含有させることが行われている。
しかし、界面活性剤を含む樹脂組成物を用いて膜を形成した場合、形成された膜の表面上に上記界面活性剤が存在し、上記膜上に樹脂組成物等の他の組成物からなる別の膜を形成する際に、他の組成物の適用時の濡れ性が低下し、例えば塗布する場合の塗布性が低下する等により、上記別の膜に欠陥が発生する場合があった。
本発明においては、上述の条件1及び条件2の少なくとも一方を満たす界面活性剤(特定界面活性剤)を用いることにより、膜の形成時又は形成後に特定界面活性剤が揮発、分解等により膜の表面に残存しにくいため、上記膜上に樹脂組成物等の組成物を更に塗布した場合であっても欠陥の発生が抑制されると考えられる。
また、本発明の樹脂組成物によれば、得られる膜において、上述の揮発、分解等により膜に含まれる特定界面活性剤の少なくとも一部が除去されるため、得られる膜の金属との密着性にも優れやすいと推測される。
以下、本発明の樹脂組成物に含まれる成分について詳細に説明する。
<特定界面活性剤>
本発明の樹脂組成物は、特定界面活性剤を含む。
本発明において、界面活性剤とは、樹脂組成物に含まれる成分であって、その成分を含まない組成物よりも樹脂組成物の表面張力を低下させるものをいう。
特定界面活性剤は、上述の条件1及び条件2の少なくとも一方を満たすものであればよく、両方を満たすものであってもよいが、上述の条件1を少なくとも満たすものであることが好ましい。
特定界面活性剤が上述の条件2のみを満たす場合、特定界面活性剤の分子量は、例えば、300〜200,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましい。
上述の条件1における分子量は、特に限定されないが、例えば、公知の質量分析等の方法により測定される。
また、特定界面活性剤が分子量分布を有する場合、上記分子量は重量平均分子量を意味する。
上述の条件1を満たす界面活性剤は、下記条件1−1を満たす界面活性剤であることが好ましく、下記条件1−2を満たす界面活性剤であることがより好ましく、下記条件1−3を満たす界面活性剤であることがより好ましい。
条件1−1:分子量が400以下である。
条件1−2:分子量が350以下である。
条件1−3:分子量が320以下である。
上述の条件2において、界面活性剤が250℃の加熱で分解可能であるか否かは、下記方法により確認される。
界面活性剤を耐圧カプセル中5℃/分で250℃まで加熱し、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度を読み取り、上記ピーク温度が温度Aよりも低い場合に、温度Aの加熱により分解可能であると判定することができる。
上述の条件2を満たす界面活性剤は、下記条件2−1を満たす界面活性剤であることが好ましく、下記条件2−2を満たす界面活性剤であることがより好ましく、下記条件2−3を満たす界面活性剤であることがより好ましい。
条件2−1:230℃の加熱で分解可能である。
条件2−2:200℃の加熱で分解可能である。
条件2−3:180℃の加熱で分解可能である。
特定界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤であってもよいし、イオン性界面活性剤であってもよいが、上記別の膜における欠陥抑制の観点からは、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
本発明において、非イオン性界面活性剤とは、樹脂組成物中で電離していない化合物をいう。
非イオン性界面活性剤の中でも、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、及び、エステル結合を有する化合物、又は、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、及び、シロキサン結合を有する化合物が好ましく、フッ化アルキル基及びエステル結合を有する化合物、又は、フッ化アルキル基及びシロキサン結合を有する化合物がより好ましく、フッ化アルキル基及びエステル結合を有する化合物が更に好ましい。
フッ化アルキル基の好ましい態様としては、後述の式(1−1)で表される基が挙げられる。
特定界面活性剤としては、フッ素原子を有する化合物であることが好ましい。
特定界面活性剤は、フッ素原子を有する基として、フッ化アルキル基を有することが好ましい。
フッ化アルキル基としては、特に限定されないが、下記式(1−1)で表される基が好ましい。
Figure 2021123652
式(1−1)中、nは1以上の整数を表し、Rは水素原子、フッ素原子又は1価の有機基を表す。
式(1−1)中、nは1〜10の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましい。
式(1−1)中、Rは水素原子又はフッ素原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。Rにおける1価の有機基としては、特に限定されず、本発明の効果が得られる範囲内で選択されればよいが、アルキル基、アリール基等が好ましく挙げられる。
また、特定界面活性剤としては、重合性基を有する化合物を用いてもよい。重合性基としては、熱、ラジカル等の作用により、架橋反応することが可能な基であって、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の具体例としては、エチレン性不飽和結合を有する基、アルコキシメチル基、ヒドロキシメチル基、アシルオキシメチル基、エポキシ基、オキセタニル基、ベンゾオキサゾリル基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アミノ基が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルフェニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロイルオキシ基等があげられ、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。
本発明において、特定界面活性剤に該当する成分は、後述の架橋剤等の成分には該当しないものとする。
上記別の膜における欠陥抑制の観点からは、特定界面活性剤としては、単独での揮発性が25℃、1気圧において1μm/分以上であることが好ましい。
本発明において、1気圧とは、101,325Paをいう。
上記単独での揮発性は、2μm/分以上であることが好ましく、5μm/分以上であることがより好ましい。
本発明において、上記単独での揮発性は、特に限定されないが、例えば下記方法により測定される。
平坦な支持体上に特定界面活性剤を滴下し、支持体表面の鉛直方向から観察した場合の半径が約2mmの円形状となる液滴を作製する。
上記液滴の接触角、及び、液滴の半径から液滴を球冠として近似した場合の曲率半径(r1)を算出する。
その後、上記液滴を25℃、1気圧において静置し、特定の時間が経過した後に、再度接触角及び液滴の半径を算出し、曲率半径(r2)を算出する。
上記曲率半径(r1)と、上記曲率半径(r2)との差を、経過時間で除することにより、揮発性(μm/分)が算出される。
上記接触角は、特に限定されないが、例えば、JIS R 1703:2007に記載の測定方法に従い測定することができる。また、公知の接触角計を用いて測定してもよい。
特定界面活性剤としては、下記式(1−2)で表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2021123652
式(1−2)中、Aは重合性基を表し、a及びbはそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、Lはa+b価の連結基を表し、nは1以上の整数を表し、Rは水素原子又は1価の有機基を表す。
式(1−2)中、Aは重合性基を表す。重合性基としては上述の重合性基があげられ、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。
式(1−2)中、aは1以上の整数を表し、1〜4の整数であることが好ましく、1又は2の整数であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(1−2)中、Lはa+b価の連結基を表し、a+b価の炭化水素基が好ましく、a+b価の飽和脂肪族炭化水素基、a+b価の芳香族炭化水素基又はこれらの組み合わせにより表される基であることがより好ましく、a+b価の飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。上記飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4の飽和脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数1の飽和脂肪族炭化水素基が特に好ましい。上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数6の芳香族炭化水素基が更に好ましい。
式(1−2)中、n、Rは上述の式(1−1)中のn、Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(1−2)中、bは1以上の整数を表し、1〜4の整数であることが好ましく、1又は2の整数であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
bが2以上の整数である場合、b個のn、Rはそれぞれ、同一であってもよいし異なっていてもよい。
また、本発明において、a及びbがいずれも1である態様も好ましい態様の1つである。
特定界面活性剤の具体例としては、ビスコート8FM、4F、V8F(大阪有機化学工業(株)製)、グリセリンステアリン酸エステル、メガファックDS−21(DIC(株)製)、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタントリシロキサン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特定界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがより好ましく、0.7〜2.5質量%であることが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、特定界面活性剤を1種単独で含んでもよいし、2種以上含んでもよい。本発明の樹脂組成物が特定界面活性剤を2種以上含む場合、特定界面活性剤の含有量の合計量が上記範囲内であることが好ましい。
また、特定界面活性剤の、樹脂組成物に含まれる全ての界面活性剤の総質量に対する含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。上記含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。上記「全ての界面活性剤の総質量」とは、特定界面活性剤の含有量(2種以上含む場合はそれらの合計量)と、組成物に含まれる成分のうち界面活性剤に該当する成分であって、上述の条件1及び条件2のいずれをも満たさない成分の含有量(2種以上含む場合はそれらの合計量)との和である。
組成物に含まれる成分のうち界面活性剤に該当する成分であって、上述の条件1及び条件2のいずれをも満たさない成分としては、後述の他の界面活性剤が挙げられる。
得られるパターンの表面における水接触角は、0°〜110°であることが好ましく、20°〜80°であることがより好ましい。
上記接触角は、特に限定されないが、例えば、JIS R 1703:2007に記載の測定方法に従い測定することができる。また、公知の接触角計を用いて測定してもよい。
<特定樹脂>
本発明の樹脂組成物は、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂(特定樹脂)を含む。
本発明の樹脂組成物は、特定樹脂として、ポリイミド又はポリイミド前駆体を含むことが好ましく、ポリイミド前駆体を含むことがより好ましい。
また、特定樹脂はラジカル重合性基を有することが好ましい。
特定樹脂がラジカル重合性基を有する場合、樹脂組成物は、感光剤として後述の光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、感光剤として後述の光ラジカル重合開始剤を含み、かつ、後述のラジカル架橋剤を含むことがより好ましく、感光剤として後述の光ラジカル重合開始剤を含み、後述のラジカル架橋剤を含み、かつ、後述の増感剤を含むことが更に好ましい。このような樹脂組成物からは、例えば、ネガ型感光層が形成される。
また、特定樹脂は、酸分解性基等の極性変換基を有していてもよい。
特定樹脂が酸分解性基を有する場合、樹脂組成物は、感光剤として後述の光酸発生剤を含むことが好ましい。このような樹脂組成物からは、例えば、化学増幅型であるポジ型感光層又はネガ型感光層が形成される。
〔ポリイミド前駆体〕
本発明で用いるポリイミド前駆体は、その種類等特に定めるものではないが、下記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
式(2)
Figure 2021123652
式(2)中、A及びAは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表し、R111は、2価の有機基を表し、R115は、4価の有機基を表し、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
式(2)におけるA及びAは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表し、酸素原子が好ましい。
式(2)におけるR111は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、直鎖又は分岐の脂肪族基、環状の脂肪族基及び芳香族基を含む基が例示され、炭素数2〜20の直鎖又は分岐の脂肪族基、炭素数6〜20の環状の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、又は、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数6〜20の芳香族基を含む基がより好ましい。本発明の特に好ましい実施形態として、−Ar−L−Ar−で表される基であることが例示される。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−、−SO−又はNHCO−、あるいは、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。これらの好ましい範囲は、上述のとおりである。
111は、ジアミンから誘導されることが好ましい。ポリイミド前駆体の製造に用いられるジアミンとしては、直鎖又は分岐の脂肪族、環状の脂肪族又は芳香族ジアミンなどが挙げられる。ジアミンは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
具体的には、炭素数2〜20の直鎖又は分岐の脂肪族基、炭素数6〜20の環状の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、又は、これらの組み合わせからなる基を含むジアミンであることが好ましく、炭素数6〜20の芳香族基からなる基を含むジアミンであることがより好ましい。芳香族基の例としては、下記が挙げられる。
Figure 2021123652
式中、Aは、単結合、又は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−C(=O)−、−S−、−SO−、NHCO−、又は、これらの組み合わせから選択される基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、−O−、−C(=O)−、−S−、又は、−SO−から選択される基であることがより好ましく、−CH−、−O−、−S−、−SO−、−C(CF−、又は、−C(CH−であることが更に好ましい。
式中、*は他の構造との結合部位を表す。
ジアミンとしては、具体的には、1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン及び1,6−ジアミノヘキサン;1,2−又は1,3−ジアミノシクロペンタン、1,2−、1,3−又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(3−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルシクロヘキシルメタン及びイソホロンジアミン;m−又はp−フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4,4’−又は3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−及び3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−及び3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−又は3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノパラテルフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、3,3−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジメチル−3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−及び2,5−ジアミノクメン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、アセトグアナミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,7−ジアミノフルオレン、2,5−ジアミノピリジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノ安息香酸のエステル、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロトリジン及び4,4’−ジアミノクアテルフェニルから選ばれる少なくとも1種のジアミンが挙げられる。
また、国際公開第2017/038598号の段落0030〜0031に記載のジアミン(DA−1)〜(DA−18)も好ましい。
また、国際公開第2017/038598号の段落0032〜0034に記載の2つ以上のアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミンも好ましく用いられる。
111は、得られる有機膜の柔軟性の観点から、−Ar−L−Ar−で表されることが好ましい。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−、−SO−又はNHCO−、あるいは、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。Arは、フェニレン基が好ましく、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1又は2の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−又はSO−が好ましい。ここでの脂肪族炭化水素基は、アルキレン基が好ましい。
また、R111は、i線透過率の観点から、下記式(51)又は式(61)で表される2価の有機基であることが好ましい。特に、i線透過率、入手のし易さの観点から、式(61)で表される2価の有機基であることがより好ましい。
式(51)
Figure 2021123652
式(51)中、R50〜R57は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は1価の有機基であり、R50〜R57の少なくとも1つは、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
50〜R57の1価の有機基としては、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6)の無置換のアルキル基、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6)のフッ化アルキル基等が挙げられる。
Figure 2021123652
式(61)中、R58及びR59は、それぞれ独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
式(51)又は(61)の構造を与えるジアミン化合物としては、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等が挙げられる。これらは1種で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(2)におけるR115は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、芳香環を含む4価の有機基が好ましく、下記式(5)又は式(6)で表される基がより好ましい。
式(5)又は式(6)中、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
Figure 2021123652
式(5)中、R112は、単結合、又は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、及びNHCO−、ならびに、これらの組み合わせから選択される基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、−O−、−CO−、−S−及びSO−から選択される基であることがより好ましく、−CH−、−C(CF−、−C(CH−、−O−、−CO−、−S−及びSO−からなる群から選択される2価の基であることが更に好ましい。
115は、具体的には、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物は、下記式(O)で表されることが好ましい。
Figure 2021123652
式(O)中、R115は、4価の有機基を表す。R115の好ましい範囲は式(2)におけるR115と同義であり、好ましい範囲も同様である。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ジフェニルヘキサフルオロプロパン−3,3,4,4−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ならびに、これらの炭素数1〜6のアルキル及び炭素数1〜6のアルコキシ誘導体が挙げられる。
また、国際公開第2017/038598号の段落0038に記載のテトラカルボン酸二無水物(DAA−1)〜(DAA−5)も好ましい例として挙げられる。
111とR115の少なくとも一方がOH基を有することも好ましい。より具体的には、R111として、ビスアミノフェノール誘導体の残基が挙げられる。
113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R113及びR114の少なくとも一方が重合性基を含むことが好ましく、両方が重合性基を含むことがより好ましい。重合性基としては、熱、ラジカル等の作用により、架橋反応することが可能な基であって、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の具体例としては、エチレン性不飽和結合を有する基、アルコキシメチル基、ヒドロキシメチル基、アシルオキシメチル基、エポキシ基、オキセタニル基、ベンゾオキサゾリル基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アミノ基が挙げられる。ポリイミド前駆体等が有するラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、下記式(III)で表される基などが挙げられ、下記式(III)で表される基が好ましい。
Figure 2021123652
式(III)において、R200は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。
式(III)において、*は他の構造との結合部位を表す。
式(III)において、R201は、炭素数2〜12のアルキレン基、−CHCH(OH)CH−又はポリアルキレンオキシ基を表す。
好適なR201の例は、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、−CHCH(OH)CH−、ポリアルキレンオキシ基が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、−CHCH(OH)CH−、ポリアルキレンオキシ基がより好ましく、ポリアルキレンオキシ基が更に好ましい。
本発明において、ポリアルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基が2以上直接結合した基をいう。ポリアルキレンオキシ基に含まれる複数のアルキレンオキシ基におけるアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ポリアルキレンオキシ基が、アルキレン基が異なる複数種のアルキレンオキシ基を含む場合、ポリアルキレンオキシ基におけるアルキレンオキシ基の配列は、ランダムな配列であってもよいし、ブロックを有する配列であってもよいし、交互等のパターンを有する配列であってもよい。
上記アルキレン基の炭素数(アルキレン基が置換基を有する場合、置換基の炭素数を含む)は、2以上であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜5であることが更に好ましく、2〜4であることが一層好ましく、2又は3であることが特に好ましく、2であることが最も好ましい。
また、上記アルキレン基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、ポリアルキレンオキシ基に含まれるアルキレンオキシ基の数(ポリアルキレンオキシ基の繰り返し数)は、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜6が更に好ましい。
ポリアルキレンオキシ基としては、溶剤溶解性及び耐溶剤性の観点からは、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、ポリトリメチレンオキシ基、ポリテトラメチレンオキシ基、又は、複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基が好ましく、ポリエチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基がより好ましく、ポリエチレンオキシ基が更に好ましい。上記複数のエチレンオキシ基と複数のプロピレンオキシ基とが結合した基において、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基とはランダムに配列していてもよいし、ブロックを形成して配列していてもよいし、交互等のパターン状に配列していてもよい。これらの基におけるエチレンオキシ基等の繰り返し数の好ましい態様は上述の通りである。
113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。1価の有機基としては、アリール基を構成する炭素の1つ、2つ又は3つに、好ましくは1つに酸性基を結合している、芳香族基及びアラルキル基などが挙げられる。具体的には、酸性基を有する炭素数6〜20の芳香族基、酸性基を有する炭素数7〜25のアラルキル基が挙げられる。より具体的には、酸性基を有するフェニル基及び酸性基を有するベンジル基が挙げられる。酸性基は、OH基が好ましい。
113又はR114が、水素原子、2−ヒドロキシベンジル、3−ヒドロキシベンジル及び4−ヒドロキシベンジルであることもより好ましい。
有機溶剤への溶解度の観点からは、R113又はR114は、1価の有機基であることが好ましい。1価の有機基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、芳香族基を含むことが好ましく、芳香族基で置換されたアルキル基がより好ましい。
アルキル基の炭素数は1〜30が好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ基、2−(2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基、2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基、及び2−(2−(2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ基が挙げられる。環状のアルキル基は、単環の環状のアルキル基であってもよく、多環の環状のアルキル基であってもよい。単環の環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環の環状のアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。中でも、高感度化との両立の観点から、シクロヘキシル基が最も好ましい。また、芳香族基で置換されたアルキル基としては、後述する芳香族基で置換された直鎖アルキル基が好ましい。
芳香族基としては、具体的には、置換又は無置換のベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。ベンゼン環が最も好ましい。
式(2)において、R113が水素原子である場合、又は、R114が水素原子である場合、ポリイミド前駆体はエチレン性不飽和結合を有する3級アミン化合物と対塩を形成していてもよい。このようなエチレン性不飽和結合を有する3級アミン化合物の例としては、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレートが挙げられる。
113及びR114の少なくとも一方が、酸分解性基等の極性変換基であってもよい。酸分解性基としては、酸の作用で分解して、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基等のアルカリ可溶性基を生じるものであれば特に限定されないが、アセタール基、ケタール基、シリル基、シリルエーテル基、第三級アルキルエステル基等が好ましく、露光感度の観点からは、アセタール基がより好ましい。
酸分解性基の具体例としては、tert−ブトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、トリメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、トリメチルシリルエーテル基などが挙げられる。露光感度の観点からは、エトキシエチル基、又は、テトラヒドロフラニル基が好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、構造単位中にフッ素原子を有することも好ましい。ポリイミド前駆体中のフッ素原子含有量は、10質量%以上が好ましく、また、20質量%以下が好ましい。
また、基板との密着性を向上させる目的で、ポリイミド前駆体は、シロキサン構造を有する脂肪族基と共重合していてもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
式(2)で表される繰り返し単位は、式(2−A)で表される繰り返し単位であることが好ましい。すなわち、本発明で用いるポリイミド前駆体等の少なくとも1種が、式(2−A)で表される繰り返し単位を有する前駆体であることが好ましい。このような構造とすることにより、露光ラチチュードの幅をより広げることが可能になる。
式(2−A)
Figure 2021123652
式(2−A)中、A及びAは、酸素原子を表し、R111及びR112は、それぞれ独立に、2価の有機基を表し、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R113及びR114の少なくとも一方は、重合性基を含む基であり、両方が重合性基であることが好ましい。
、A、R111、R113及びR114は、それぞれ独立に、式(2)におけるA、A、R111、R113及びR114と同義であり、好ましい範囲も同様である。
112は、式(5)におけるR112と同義であり、好ましい範囲も同様である。
ポリイミド前駆体は、式(2)で表される繰り返し構造単位を1種含んでいてもよいが、2種以上で含んでいてもよい。また、式(2)で表される繰り返し単位の構造異性体を含んでいてもよい。また、ポリイミド前駆体は、上記式(2)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位をも含んでよいことはいうまでもない。
本発明におけるポリイミド前駆体の一実施形態として、全繰り返し単位の50モル%以上、更には70モル%以上、特に90モル%以上が式(2)で表される繰り返し単位であるポリイミド前駆体が例示される。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは18,000〜30,000であり、より好ましくは20,000〜27,000であり、更に好ましくは22,000〜25,000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは7,200〜14,000であり、より好ましくは8,000〜12,000であり、更に好ましくは9,200〜11,200である。
上記ポリイミド前駆体の分子量の分散度は、2.5以上が好ましく、2.7以上がより好ましく、2.8以上であることが更に好ましい。ポリイミド前駆体の分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.8以下が更に好ましく、3.2以下が一層好ましく、3.1以下がより一層好ましく、3.0以下が更に一層好ましく、2.95以下が特に好ましい。
本明細書において、分子量の分散度とは、重量平均分子量/数平均分子量により算出される値である。
〔ポリイミド〕
本発明に用いられるポリイミドは、アルカリ可溶性ポリイミドであってもよく、有機溶剤を主成分とする現像液に対して可溶なポリイミドであってもよい。
本明細書において、アルカリ可溶性ポリイミドとは、100gの2.38質量%テトラメチルアンモニウム水溶液に対し、23℃で0.1g以上溶解するポリイミドをいい、パターン形成性の観点からは、0.5g以上溶解するポリイミドであることが好ましく、1.0g以上溶解するポリイミドであることが更に好ましい。上記溶解量の上限は特に限定されないが、100g以下であることが好ましい。
また、ポリイミドは、得られる有機膜の膜強度及び絶縁性の観点からは、複数個のイミド構造を主鎖に有するポリイミドであることが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖をいい、「側鎖」とはそれ以外の結合鎖をいう。
−フッ素原子−
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、フッ素原子を有することが好ましい。
フッ素原子は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にフッ化アルキル基として含まれることがより好ましい。
ポリイミドの全質量に対するフッ素原子の量は、1〜50mol/gであることが好ましく、5〜30mol/gであることがより好ましい。
−ケイ素原子−
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、ケイ素原子を有することが好ましい。
ケイ素原子は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に後述する有機変性(ポリ)シロキサン構造として含まれることがより好ましい。
また、上記ケイ素原子又は上記有機変性(ポリ)シロキサン構造はポリイミドの側鎖に含まれていてもよいが、ポリイミドの主鎖に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するケイ素原子の量は、0.01〜5mol/gであることが好ましく、0.05〜1mol/gであることがより好ましい。
−エチレン性不飽和結合−
得られる有機膜の膜強度の観点からは、ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を有することが好ましい。
ポリイミドは、エチレン性不飽和結合を主鎖末端に有していてもよいし、側鎖に有していてもよいが、側鎖に有することが好ましい。
上記エチレン性不飽和結合は、ラジカル重合性を有することが好ましい。
エチレン性不飽和結合は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
これらの中でも、エチレン性不飽和結合は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましく、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131にエチレン性不飽和結合を有する基として含まれることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基等の芳香環に直接結合した、置換されていてもよいビニル基を有する基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロイルオキシ基、下記式(IV)で表される基などが挙げられる。
Figure 2021123652
式(IV)中、R20は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。
式(IV)中、R21は、炭素数2〜12のアルキレン基、−O−CHCH(OH)CH−、−C(=O)O−、−O(C=O)NH−、炭素数2〜30の(ポリ)アルキレンオキシ基(アルキレン基の炭素数は2〜12が好ましく、2〜6がより好ましく、2又は3が特に好ましい;繰り返し数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、又はこれらを2以上組み合わせた基を表す。
これらの中でも、R21は下記式(R1)〜式(R3)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(R1)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2021123652
式(R1)〜(R3)中、Lは単結合、又は、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜30の(ポリ)アルキレンオキシ基若しくはこれらを2以上結合した基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、*は他の構造との結合部位を表し、●は式(III)中のR201が結合する酸素原子との結合部位を表す。
式(R1)〜(R3)中、Lにおける炭素数2〜12のアルキレン基、又は、炭素数2〜30の(ポリ)アルキレンオキシ基の好ましい態様は、上述のR21における、炭素数2〜12のアルキレン基、又は、炭素数2〜30の(ポリ)アルキレンオキシ基の好ましい態様と同様である。
式(R1)中、Xは酸素原子であることが好ましい。
式(R1)〜(R3)中、*は式(IV)中の*と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(R1)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、イソシアナト基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2−イソシアナトエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R2)で表される構造は、例えば、カルボキシ基を有するポリイミドと、ヒドロキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(R3)で表される構造は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基を有するポリイミドと、グリシジル基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物(例えば、グリシジルメタクリレート等)とを反応することにより得られる。
式(IV)中、*は他の構造との結合部位を表し、ポリイミドの主鎖との結合部位であることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合の量は、0.05〜10mol/gであることが好ましく、0.1〜5mol/gであることがより好ましい。
−エチレン性不飽和結合以外の架橋性基−
ポリイミドは、エチレン性不飽和結合以外の架橋性基を有していてもよい。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基としては、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、メトキシメチル基等のアルコキシメチル基、メチロール基等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合以外の架橋性基は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するエチレン性不飽和結合以外の架橋性基の量は、0.05〜10mol/gであることが好ましく、0.1〜5mol/gであることがより好ましい。
−極性変換基−
ポリイミドは、酸分解性基等の極性変換基を有していてもよい。ポリイミドにおける酸分解性基は、上述の式(2)におけるR113及びR114において説明した酸分解性基と同様であり、好ましい態様も同様である。
−酸価−
ポリイミドがアルカリ現像に供される場合、現像性を向上する観点からは、ポリイミドの酸価は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、50mgKOH/g以上であることがより好ましく、70mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
また、上記酸価は500mgKOH/g以下であることが好ましく、400mgKOH/g以下であることがより好ましく、200mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
また、ポリイミドが有機溶剤を主成分とする現像液を用いた現像(例えば、後述する「溶剤現像」)に供される場合、ポリイミドの酸価は、2〜35mgKOH/gが好ましく、3〜30mgKOH/gがより好ましく、5〜20mgKOH/gが更に好ましい。
上記酸価は、公知の方法により測定され、例えば、JIS K 0070:1992に記載の方法により測定される。
また、ポリイミドに含まれる酸基としては、保存安定性及び現像性の両立の観点から、pKaが0〜10である酸基が好ましく、3〜8である酸基がより好ましい。
pKaとは、酸から水素イオンが放出される解離反応を考え、その平衡定数Kaをその負の常用対数pKaによって表したものである。本明細書において、pKaは、特に断らない限り、ACD/ChemSketch(登録商標)による計算値とする。又は、日本化学会編「改定5版 化学便覧 基礎編」に掲載の値を参照してもよい。
また、酸基が例えばリン酸等の多価の酸である場合、上記pKaは第一解離定数である。
このような酸基として、ポリイミドは、カルボキシ基、及び、フェノール性ヒドロキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、フェノール性ヒドロキシ基を含むことがより好ましい。
−フェノール性ヒドロキシ基−
アルカリ現像液による現像速度を適切なものとする観点からは、ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましい。
ポリイミドは、フェノール性ヒドロキシ基を主鎖末端に有してもよいし、側鎖に有してもよい。
フェノール性ヒドロキシ基は、例えば、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR132、又は、後述する式(4)で表される繰返し単位におけるR131に含まれることが好ましい。
ポリイミドの全質量に対するフェノール性ヒドロキシ基の量は、0.1〜30mol/gであることが好ましく、1〜20mol/gであることがより好ましい。
本発明で用いるポリイミドとしては、イミド環を有する高分子化合物であれば、特に限定はないが、下記式(4)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、式(4)で表される繰り返し単位を含み、重合性基を有する化合物であることがより好ましい。
式(4)
Figure 2021123652
式(4)中、R131は、2価の有機基を表し、R132は、4価の有機基を表す。
重合性基を有する場合、重合性基は、R131及びR132の少なくとも一方に位置していてもよいし、下記式(4−1)又は式(4−2)に示すようにポリイミドの末端に位置していてもよい。
式(4−1)
Figure 2021123652
式(4−1)中、R133は重合性基であり、他の基は式(4)と同義である。
式(4−2)
Figure 2021123652
134及びR135の少なくとも一方は重合性基であり、重合性基でない場合は有機基であり、他の基は式(4)と同義である。
重合性基は、上記のポリイミド前駆体等が有している重合性基で述べた重合性基と同義である。
131は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、式(2)におけるR111と同様のものが例示され、好ましい範囲も同様である。
また、R131としては、ジアミンのアミノ基の除去後に残存するジアミン残基が挙げられる。ジアミンとしては、脂肪族、環式脂肪族又は芳香族ジアミンなどが挙げられる。具体的な例としては、ポリイミド前駆体の式(2)中のR111の例が挙げられる。
131は、少なくとも2つのアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミン残基であることが、焼成時における反りの発生をより効果的に抑制する点で好ましい。より好ましくは、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか又は両方を一分子中にあわせて2つ以上含むジアミン残基であり、更に好ましくは芳香環を含まないジアミン残基である。
エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか又は両方を一分子中にあわせて2つ以上含むジアミンとしては、ジェファーミン(登録商標)KH−511、ED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、EDR−176、D−200、D−400、D−2000、D−4000(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)、1−(2−(2−(2−アミノプロポキシ)エトキシ)プロポキシ)プロパン−2−アミン、1−(1−(1−(2−アミノプロポキシ)プロパン−2−イル)オキシ)プロパン−2−アミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
132は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、式(2)におけるR115と同様のものが例示され、好ましい範囲も同様である。
例えば、R115として例示される4価の有機基の4つの結合子が、上記式(4)中の4つの−C(=O)−の部分と結合して縮合環を形成する。
また、R132は、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。具体的な例としては、ポリイミド前駆体の式(2)中のR115の例が挙げられる。有機膜の強度の観点から、R132は1〜4つの芳香環を有する芳香族ジアミン残基であることが好ましい。
131とR132の少なくとも一方にOH基を有することも好ましい。より具体的には、R131として、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、上記の(DA−1)〜(DA−18)が好ましい例として挙げられ、R132として、上記の(DAA−1)〜(DAA−5)がより好ましい例として挙げられる。
また、ポリイミドは、構造単位中にフッ素原子を有することも好ましい。ポリイミド中のフッ素原子の含有量は10質量%以上が好ましく、また、20質量%以下が好ましい。
また、基板との密着性を向上させる目的で、ポリイミドは、シロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
また、組成物の保存安定性を向上させるため、ポリイミドは主鎖末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止することが好ましい。これらのうち、モノアミンを用いることがより好ましく、モノアミンの好ましい化合物としては、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
−イミド化率(閉環率)−
ポリイミドのイミド化率(「閉環率」ともいう)は、得られる有機膜の膜強度、絶縁性等の観点からは、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
上記イミド化率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記イミド化率は、例えば下記方法により測定される。
ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定し、イミド構造由来の吸収ピークである1377cm−1付近のピーク強度P1を求める。次に、そのポリイミドを350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm−1付近のピーク強度P2を求める。得られたピーク強度P1、P2を用い、下記式に基づいて、ポリイミドのイミド化率を求めることができる。
イミド化率(%)=(ピーク強度P1/ピーク強度P2)×100
ポリイミドは、すべてが1種のR131又はR132を含む上記式(4)の繰り返し構造単位を含んでいてもよく、2つ以上の異なる種類のR131又はR132を含む上記式(4)の繰り返し単位を含んでいてもよい。また、ポリイミドは、上記式(4)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位をも含んでいてもよい。
ポリイミドは、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物又はモノ酸クロリド化合物又はモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得、これを、既知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法、又は、途中でイミド化反応を停止し、一部イミド構造を導入する方法、更には、完全イミド化したポリマーと、そのポリイミド前駆体をブレンドする事によって、一部イミド構造を導入する方法を利用して合成することができる。
ポリイミドの市販品としては、Durimide(登録商標)284(富士フイルム(株)製)、Matrimide5218(HUNTSMAN(株)製)が例示される。
ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、5,000〜70,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましく、10,000〜30,000が更に好ましい。重量平均分子量を5,000以上とすることにより、硬化後の膜の耐折れ性を向上させることができる。機械特性に優れた有機膜を得るため、重量平均分子量は、20,000以上が特に好ましい。また、ポリイミドを2種以上含有する場合、少なくとも1種のポリイミドの重量平均分子量が上記範囲であることが好ましい。
〔ポリベンゾオキサゾール前駆体〕
本発明で用いるポリベンゾオキサゾール前駆体は、その構造等について特に定めるものではないが、好ましくは下記式(3)で表される繰り返し単位を含む。
式(3)
Figure 2021123652
式(3)中、R121は、2価の有機基を表し、R122は、4価の有機基を表し、R123及びR124は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
式(3)において、R123及びR124は、それぞれ、式(2)におけるR113と同義であり、好ましい範囲も同様である。すなわち、少なくとも一方は、重合性基であることが好ましい。
式(3)において、R121は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を含む基が好ましい。脂肪族基としては、直鎖の脂肪族基が好ましい。R121は、ジカルボン酸残基が好ましい。ジカルボン酸残基は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
ジカルボン酸残基としては、脂肪族基を含むジカルボン酸及び芳香族基を含むジカルボン酸残基が好ましく、芳香族基を含むジカルボン酸残基がより好ましい。
脂肪族基を含むジカルボン酸としては、直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基を含むジカルボン酸が好ましく、直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基と2つの−COOHからなるジカルボン酸がより好ましい。直鎖又は分岐(好ましくは直鎖)の脂肪族基の炭素数は、2〜30であることが好ましく、2〜25であることがより好ましく、3〜20であることが更に好ましく、4〜15であることが一層好ましく、5〜10であることが特に好ましい。直鎖の脂肪族基はアルキレン基であることが好ましい。
直鎖の脂肪族基を含むジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸、更に下記式で表されるジカルボン酸等が挙げられる。
Figure 2021123652
(式中、Zは炭素数1〜6の炭化水素基であり、nは1〜6の整数である。)
芳香族基を含むジカルボン酸としては、以下の芳香族基を有するジカルボン酸が好ましく、以下の芳香族基と2つの−COOHのみからなるジカルボン酸がより好ましい。
Figure 2021123652
式中、Aは−CH−、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−C(CF−、及び、−C(CH−からなる群から選択される2価の基を表し、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
芳香族基を含むジカルボン酸の具体例としては、4,4’−カルボニル二安息香酸及び4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、テレフタル酸が挙げられる。
式(3)において、R122は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、上記式(2)におけるR115と同義であり、好ましい範囲も同様である。
122は、また、ビスアミノフェノール誘導体由来の基であることが好ましく、ビスアミノフェノール誘導体由来の基としては、例えば、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−アミノ−4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらのビスアミノフェノールは、単独にて、あるいは混合して使用してもよい。
ビスアミノフェノール誘導体のうち、下記芳香族基を有するビスアミノフェノール誘導体が好ましい。
Figure 2021123652
式中、Xは、−O−、−S−、−C(CF−、−CH−、−SO−、−NHCO−を表し、*及び#はそれぞれ、他の構造との結合部位を表す。Rは水素原子又は1価の置換基を表し、水素原子又は炭化水素基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましい。また、R122は、上記式により表される構造であることも好ましい。R122が、上記式により表される構造である場合、計4つの*及び#のうち、いずれか2つが式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であり、かつ、別の2つが式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であることが好ましく、2つの*が式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であり、かつ、2つの#が式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であるか、又は、2つの*が式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であり、かつ、2つの#が式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であることがより好ましく、2つの*が式(3)中のR122が結合する酸素原子との結合部位であり、かつ、2つの#が式(3)中のR122が結合する窒素原子との結合部位であることが更に好ましい。
Figure 2021123652
式(A−s)中、Rは、水素原子、アルキレン、置換アルキレン、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−NHCO−、単結合、又は下記式(A−sc)の群から選ばれる有機基である。Rは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、環状のアルキル基のいずれかであり、同一でも異なってもよい。Rは水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、環状のアルキル基のいずれかであり、同一でも異なってもよい。
Figure 2021123652
(式(A−sc)中、*は上記式(A−s)で示されるビスアミノフェノール誘導体のアミノフェノール基の芳香環に結合することを示す。)
上記式(A−s)中、フェノール性水酸基のオルソ位、すなわち、Rにも置換基を有することが、アミド結合のカルボニル炭素と水酸基の距離をより接近させると考えられ、低温で硬化した際に高環化率になる効果が更に高まる点で、特に好ましい。
また、上記式(A−s)中、Rがアルキル基であり、かつRがアルキル基であることが、i線に対する高透明性と低温で硬化した際に高環化率であるという効果を維持することができ、好ましい。
また、上記式(A−s)中、Rがアルキレン又は置換アルキレンであることが、更に好ましい。Rに係るアルキレン及び置換アルキレンの具体的な例としては、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられるが、その中でも−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−が、i線に対する高透明性と低温で硬化した際の高環化率であるという効果を維持しながら、溶剤に対して十分な溶解性を持つ、バランスに優れるポリベンゾオキサゾール前駆体を得ることができる点で、より好ましい。
上記式(A−s)で示されるビスアミノフェノール誘導体の製造方法としては、例えば、特開2013−256506号公報の段落番号0085〜0094及び実施例1(段落番号0189〜0190)を参考にすることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上記式(A−s)で示されるビスアミノフェノール誘導体の構造の具体例としては、特開2013−256506号公報の段落番号0070〜0080に記載のものが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。もちろん、これらに限定されるものではないことは言うまでもない。
ポリベンゾオキサゾール前駆体は上記式(3)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位も含んでよい。
閉環に伴う反りの発生を抑制できる点で、下記式(SL)で表されるジアミン残基を他の種類の繰り返し構造単位として含むことが好ましい。
Figure 2021123652
式(SL)中、Zは、a構造とb構造を有し、R1sは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2sは炭素数1〜10の炭化水素基であり、R3s、R4s、R5s、R6sのうち少なくとも1つは芳香族基で、残りは水素原子又は炭素数1〜30の有機基で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。a構造及びb構造の重合は、ブロック重合でもランダム重合でもよい。Z部分のモル%は、a構造は5〜95モル%、b構造は95〜5モル%であり、a+bは100モル%である。
式(SL)において、好ましいZとしては、b構造中のR5s及びR6sがフェニル基であるものが挙げられる。また、式(SL)で示される構造の分子量は、400〜4,000であることが好ましく、500〜3,000がより好ましい。上記分子量を上記範囲とすることで、より効果的に、ポリベンゾオキサゾール前駆体の脱水閉環後の弾性率を下げ、反りを抑制できる効果と溶剤溶解性を向上させる効果を両立することができる。
他の種類の繰り返し構造単位として式(SL)で表されるジアミン残基を含む場合、更に、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基を繰り返し構造単位として含むことも好ましい。このようなテトラカルボン酸残基の例としては、式(2)中のR115の例が挙げられる。
ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)は、例えば、後述する組成物に用いる場合、好ましくは18,000〜30,000であり、より好ましくは20,000〜29,000であり、更に好ましくは22,000〜28,000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは7,200〜14,000であり、より好ましくは8,000〜12,000であり、更に好ましくは9,200〜11,200である。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量の分散度は、1.4以上であることが好ましく、1.5以上がより好ましく、1.6以上であることが更に好ましい。ポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、2.6以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.4以下が更に好ましく、2.3以下が一層好ましく、2.2以下がより一層好ましい。
〔ポリベンゾオキサゾール〕
ポリベンゾオキサゾールとしては、ベンゾオキサゾール環を有する高分子化合物であれば、特に限定はないが、下記式(X)で表される化合物であることが好ましく、下記式(X)で表される化合物であって、重合性基を有する化合物であることがより好ましい。上記重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましい。また、下記式(X)で表される化合物であって、酸分解性基等の極性変換基を有する化合物であってもよい。
Figure 2021123652
式(X)中、R133は、2価の有機基を表し、R134は、4価の有機基を表す。
重合性基又は酸分解性基等の極性変換基を有する場合、重合性基又は酸分解性基等の極性変換基は、R133及びR134の少なくとも一方に位置していてもよいし、下記式(X−1)又は式(X−2)に示すようにポリベンゾオキサゾールの末端に位置していてもよい。
式(X−1)
Figure 2021123652
式(X−1)中、R135及びR136の少なくとも一方は、重合性基又は酸分解性基等の極性変換基であり、重合性基又は酸分解性基等の極性変換基でない場合は有機基であり、他の基は式(X)と同義である。
式(X−2)
Figure 2021123652
式(X−2)中、R137は重合性基又は酸分解性基等の極性変換基であり、他は置換基であり、他の基は式(X)と同義である。
重合性基又は酸分解性基等の極性変換基は、上記のポリイミド前駆体等が有している重合性基で述べた重合性基と同義である。
133は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、脂肪族又は芳香族基が挙げられる。具体的な例としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の式(3)中のR121の例が挙げられる。また、その好ましい例はR121と同様である。
134は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体の式(3)中のR122の例が挙げられる。また、その好ましい例はR122と同様である。
例えば、R122として例示される4価の有機基の4つの結合子が、上記式(X)中の窒素原子、酸素原子と結合して縮合環を形成する。例えば、R134が、下記有機基である場合、下記構造を形成する。
Figure 2021123652
ポリベンゾオキサゾールはオキサゾール化率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。オキサゾール化率が85%以上であることにより、加熱によりオキサゾール化される時に起こる閉環に基づく膜収縮が小さくなり、反りの発生をより効果的に抑えることができる。
ポリベンゾオキサゾールは、すべてが1種のR131又はR132を含む上記式(X)の繰り返し構造単位を含んでいてもよく、2つ以上の異なる種類のR131又はR132を含む上記式(X)の繰り返し単位を含んでいてもよい。また、ポリベンゾオキサゾールは、上記式(X)の繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し構造単位も含んでいてもよい。
ポリベンゾオキサゾールは、例えば、ビスアミノフェノール誘導体と、R133を含むジカルボン酸又は上記ジカルボン酸の、ジカルボン酸ジクロライド及びジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応させて、ポリベンゾオキサゾール前駆体を得、これを既知のオキサゾール化反応法を用いてオキサゾール化させることで得られる。
なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
ポリベンゾオキサゾールの重量平均分子量(Mw)は、5,000〜70,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましく、10,000〜30,000が更に好ましい。重量平均分子量を5,000以上とすることにより、硬化後の膜の耐折れ性を向上させることができる。機械特性に優れた有機膜を得るため、重量平均分子量は、20,000以上が特に好ましい。また、ポリベンゾオキサゾールを2種以上含有する場合、少なくとも1種のポリベンゾオキサゾールの重量平均分子量が上記範囲であることが好ましい。
〔ポリイミド前駆体等の製造方法〕
ポリイミド前駆体等は、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とジアミンとを反応させて得られる。好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体を、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化させた後、ジアミンと反応させて得られる。
ポリイミド前駆体等の製造方法では、反応に際し、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
有機溶剤としては、原料に応じて適宜定めることができるが、ピリジン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、N−メチルピロリドン及びN−エチルピロリドンが例示される。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体を合成してから、熱イミド化、化学イミド化(例えば、触媒を作用させることによる環化反応の促進)等の方法により環化させて製造してもよいし、直接、ポリイミドを合成してもよい。
また、上記ハロゲン化剤を用いず、非ハロゲン系触媒を用いて合成することも好ましい。上記非ハロゲン系触媒としては、ハロゲン原子を含まない公知のアミド化触媒を特に制限なく使用することが可能であるが、例えば、ボロキシン化合物、N−ヒドロキシ化合物、3級アミン、リン酸エステル、アミン塩、ウレア化合物等、カルボジイミド化合物が挙げられる。上記カルボジイミド化合物としては、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジシクロへキシルカルボジイミド等が挙げられる。
−末端封止剤−
ポリイミド前駆体等の製造方法に際し、保存安定性をより向上させるため、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で、ポリイミド前駆体等の末端を封止することが好ましい。末端封止剤としては、モノアミンを用いることがより好ましく、モノアミンの好ましい化合物としては、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
−固体析出−
ポリイミド前駆体等の製造に際し、固体を析出する工程を含んでいてもよい。具体的には、反応液中のポリイミド前駆体等を、水中に沈殿させ、テトラヒドロフラン等のポリイミド前駆体等が可溶な溶剤に溶解させることによって、固体析出することができる。
その後、ポリイミド前駆体等を乾燥して、粉末状のポリイミド前駆体等を得ることができる。
〔含有量〕
本発明の組成物における特定樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが一層好ましい。また、本発明の組成物における樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることが更に好ましく、97質量%以下であることが一層好ましく、95質量%以下であることがより一層好ましい。
本発明の組成物は、特定樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、少なくとも2種の樹脂を含むことが好ましい。
具体的には、本発明の樹脂組成物は、特定樹脂と、後述する他の樹脂とを合計で2種以上含んでもよいし、特定樹脂を2種以上含んでいてもよいが、特定樹脂を2種以上含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物が特定樹脂を2種以上含む場合、例えば、ポリイミド前駆体であって、二無水物由来の構造(上述の式(2)でいうR115)が異なる2種以上のポリイミド前駆体を含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物が特定樹脂を2種以上含むことにより、特定界面活性剤との樹脂との相溶性が向上し、形成される膜の表面上に特定界面活性剤が存在しにくくなるため、他の組成物からなる別の膜を形成した場合であっても、上記別の膜における欠陥の発生が抑制されやすいと推測される。
<他の樹脂>
本発明の組成物は、上述した特定樹脂と、特定樹脂とは異なる、他の樹脂(以下、単に「他の樹脂」ともいう。)とを含んでもよい。
他の樹脂としては、ポリアミドイミド、ポリアミドイミド前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、シロキサン構造を含む樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
例えば、アクリル樹脂を更に加えることにより、塗布性に優れた組成物が得られ、また、耐溶剤性に優れた有機膜が得られる。
例えば、後述する重合性化合物に代えて、又は、後述する重合性化合物に加えて、重量平均分子量が20,000以下の重合性基価の高いアクリル系樹脂を組成物に添加することにより、組成物の塗布性、有機膜の耐溶剤性等を向上させることができる。
本発明の組成物が他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが更に好ましく、2質量%以上であることが一層好ましく、5質量%以上であることがより一層好ましく、10質量%以上であることが更に一層好ましい。
また、本発明の組成物における、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以下であることがより一層好ましい。
また、本発明の組成物の好ましい一態様として、他の樹脂の含有量が低含有量である態様とすることもできる。上記態様において、他の樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対し、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが一層好ましく、1質量%以下であることがより一層好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
本発明の組成物は、他の樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<溶剤>
本発明の樹脂組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、公知の溶剤を任意に使用できる。溶剤は有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、環式炭化水素類、スルホキシド類、アミド類などの化合物が挙げられる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−アルキルオキシプロピオン酸メチル、3−アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−アルキルオキシプロピオン酸メチル、2−アルキルオキシプロピオン酸エチル、2−アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が好適なものとして挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が好適なものとして挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が好適なものとして挙げられる。
環状炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族炭化水素類、リモネン等の環式テルペン類が好適なものとして挙げられる。
スルホキシド類として、例えば、ジメチルスルホキシドが好適なものとして挙げられる。
アミド類として、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が好適なものとして挙げられる。
溶剤は、塗布面性状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。
本発明では、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される1種の溶剤、又は、2種以上で構成される混合溶剤が好ましい。ジメチルスルホキシドとγ−ブチロラクトンとの併用が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、これらの中でも、エステル類を含むことが好ましく、ラクトン系溶剤を含むことがより好ましい。
ラクトン系溶剤とは、ラクトン構造を含む溶剤をいい、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
溶剤の全質量に対するラクトン系溶剤の含有量は、特に限定されないが、30〜100質量%であることが好ましく、40〜95質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが更に好ましい。
溶剤の含有量は、塗布性の観点から、本発明の樹脂組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜75質量%となる量にすることがより好ましく、10〜70質量%となる量にすることが更に好ましく、40〜70質量%となるようにすることが一層好ましい。溶剤含有量は、塗膜の所望の厚さと塗布方法に応じて調節すればよい。
溶剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。溶剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<感光剤>
本発明の組成物は、感光剤を含むことが好ましい。
感光剤としては、光重合開始剤が好ましい。
〔光重合開始剤〕
本発明の組成物は、感光剤として、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
また、上記光ラジカル重合開始剤としては、後述のオキシム化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、約300〜800nm(好ましくは330〜500nm)の範囲内で少なくとも約50L・mol−1・cm−1のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶剤を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016−027357号公報の段落0165〜0182、国際公開第2015/199219号の段落0138〜0151の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
ケトン化合物としては、例えば、特開2015−087611号公報の段落0087に記載の化合物が例示され、この内容は本明細書に組み込まれる。市販品では、カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製)も好適に用いられる。
本発明の一実施態様において、光ラジカル重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物を好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤を用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE 184(IRGACUREは登録商標)、DAROCUR 1173、IRGACURE 500、IRGACURE−2959、IRGACURE 127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 907、IRGACURE 369、及び、IRGACURE 379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤として、365nm又は405nm等の波長光源に吸収極大波長がマッチングされた特開2009−191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。また、市販品であるIRGACURE−819やIRGACURE−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
メタロセン化合物としては、IRGACURE−784、IRGACURE−784EG(いずれもBASF社製)などが例示される。
光ラジカル重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物を用いることにより、露光ラチチュードをより効果的に向上させることが可能になる。オキシム化合物は、露光ラチチュード(露光マージン)が広く、かつ、光硬化促進剤としても働くため、特に好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−080068号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物を用いることができる。
好ましいオキシム化合物としては、例えば、下記の構造の化合物や、3−ベンゾイルオキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。本発明の組成物においては、特に光ラジカル重合開始剤としてオキシム化合物(オキシム系の光重合開始剤)を用いることが好ましい。オキシム系の光重合開始剤は、分子内に >C=N−O−C(=O)− の連結基を有する。
Figure 2021123652
市販品ではIRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02、IRGACURE OXE 03、IRGACURE OXE 04(以上、BASF社製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−014052号公報に記載の光ラジカル重合開始剤2)も好適に用いられる。また、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831及びアデカアークルズNCI−930((株)ADEKA製)も用いることができる。また、DFI−091(ダイトーケミックス(株)製)を用いることができる。
また、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることも可能である。そのようなオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載されている化合物、特表2014−500852号公報の段落0345に記載されている化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報の段落0101に記載されている化合物(C−3)などが挙げられる。
最も好ましいオキシム化合物としては、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物よりなる群から選択される化合物が好ましい。
更に好ましい光ラジカル重合開始剤は、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム塩化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が一層好ましく、メタロセン化合物又はオキシム化合物を用いるのがより一層好ましく、オキシム化合物が更に一層好ましい。
また、光ラジカル重合開始剤は、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等の芳香環と縮環したキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体などを用いることもできる。また、下記式(I)で表される化合物を用いることもできる。
Figure 2021123652
式(I)中、RI00は、炭素数1〜20のアルキル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2〜20のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、炭素数2〜12のアルケニル基、1個以上の酸素原子によって中断された炭素数2〜18のアルキル基及び炭素数1〜4のアルキル基の少なくとも1つで置換されたフェニル基、又はビフェニルであり、RI01は、式(II)で表される基であるか、RI00と同じ基であり、RI02〜RI04は各々独立に炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ基又はハロゲンである。
Figure 2021123652
式中、RI05〜RI07は、上記式(I)のRI02〜RI04と同じである。
また、光ラジカル重合開始剤は、国際公開第2015/125469号の段落0048〜0055に記載の化合物を用いることもできる。
光重合開始剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物の全固形分に対し0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%であり、更に好ましくは0.5〜15質量%であり、一層好ましくは1.0〜10質量%である。光重合開始剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光重合開始剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
〔光酸発生剤〕
また、本発明の組成物は、感光剤として、光酸発生剤を含むことも好ましい。
光酸発生剤を含有することで、例えば、組成物層の露光部に酸が発生して、上記露光部の現像液(例えば、アルカリ水溶液)に対する溶解性が増大し、露光部が現像液により除去されるポジ型のパターンを得ることができる。
また、組成物が、光酸発生剤と、後述するラジカル重合性化合物以外の重合性化合物とを含有することにより、例えば、露光部に発生した酸により上記重合性化合物の架橋反応が促進され、露光部が非露光部よりも現像液により除去されにくくなる態様とすることもできる。このような態様によれば、ネガ型のパターンを得ることができる。
光酸発生剤としては、露光により酸を発生するものであれば特に限定されるものではないが、キノンジアジド化合物、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。
キノンジアジド化合物としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合及びスルホンアミド結合の少なくとも一方により結合したものなどが挙げられる。本発明においては、例えば、これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。
本発明において、キノンジアジドは5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有してもよいし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を含有してもよい。
上記ナフトキノンジアジド化合物は、フェノール性ヒドロキシ基を有する化合物と、キノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって合成可能であり、公知の方法により合成することができる。これらのナフトキノンジアジド化合物を使用することで解像度、感度、残膜率がより向上する。
上記ナフトキノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、これらの化合物の塩又はエステル化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物、又は、スルホネート化合物としては、特開2008−013646号公報の段落0064〜0122に記載の化合物等が挙げられる。
その他、光酸発生剤としては市販品を使用してもよい。市販品としては、WPAG−145、WPAG−149、WPAG−170、WPAG−199、WPAG−336、WPAG−367、WPAG−370、WPAG−469、WPAG−638、WPAG−699(いずれも富士フイルム和光純薬(株)製)等が挙げられる。
光酸発生剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物の全固形分に対し0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることが更に好ましい。光酸発生剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光酸発生剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔光塩基発生剤〕
本発明の樹脂組成物は、感光剤として、光塩基発生剤を含んでもよい。
樹脂組成物が、光塩基発生剤と、後述する架橋剤とを含有することにより、例えば、露光部に発生した塩基により特定樹脂の環化が促進される、架橋剤の架橋反応が促進される等の作用により、露光部が非露光部よりも現像液により除去されにくくなる態様とすることもできる。このような態様によれば、ネガ型のレリーフパターンを得ることができる。
光塩基発生剤としては、露光により塩基を発生するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることが出来る。
例えば、M.Shirai,and M.Tsunooka, Prog.Polym.Sci.,21,1(1996);角岡正弘,高分子加工,46,2(1997);C.Kutal,Coord.Chem.Rev.,211,353(2001);Y.Kaneko,A.Sarker, and D.Neckers,Chem.Mater.,11,170(1999);H.Tachi,M.Shirai, and M.Tsunooka,J.Photopolym.Sci.Technol.,13,153(2000);M.Winkle, and K.Graziano,J.Photopolym.Sci.Technol.,3,419(1990);M.Tsunooka,H.Tachi, and S.Yoshitaka,J.Photopolym.Sci.Technol.,9,13(1996);K.Suyama,H.Araki,M.Shirai,J.Photopolym.Sci.Technol.,19,81(2006)に記載されているように、遷移金属化合物錯体や、アンモニウム塩などの構造を有するものや、アミジン部分がカルボン酸と塩形成することで潜在化されたもののように、塩基成分が塩を形成することにより中和されたイオン性の化合物や、カルバメート誘導体、オキシムエステル誘導体、アシル化合物などのウレタン結合やオキシム結合などにより塩基成分が潜在化された非イオン性の化合物を挙げることができる。
本発明では、光塩基発生剤として、カルバメート誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、αコバルト錯体類、イミダゾール誘導体、桂皮酸アミド誘導体、オキシム誘導体等がより好ましい例として挙げられる。
光塩基発生剤から発生する塩基性物質としては、特に限定されないが、アミノ基を有する化合物、特にモノアミンや、ジアミンなどのポリアミン、また、アミジンなどが挙げられる。
イミド化率の観点からは、上記塩基性物質は、共役酸のDMSO(ジメチルスルホキシド)中のpKaが大きいものであることが好ましい。上記pKaは、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。上記pKaの上限は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
ここで、上記pKaとは、酸の第一解離定数の逆数の対数を表し、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値をpKaとして用いることとする。
樹脂組成物の保存安定性の観点からは、光塩基発生剤としては、構造中に塩を含まない光塩基発生剤であることが好ましく、光塩基発生剤において発生する塩基部分の窒素原子上に電荷がないことが好ましい。光塩基発生剤としては、発生する塩基が共有結合を用いて潜在化されていることが好ましく、塩基の発生機構が、発生する塩基部分の窒素原子と隣接する原子との間の共有結合が切断されて塩基が発生するものであることが好ましい。構造中に塩を含まない光塩基発生剤であると、光塩基発生剤を中性にすることができるため、溶剤溶解性がより良好であり、ポットライフが向上する。このような理由から、本発明で用いられる光塩基発生剤から発生するアミンは、1級アミン又は2級アミンが好ましい。
また、パターンの耐薬品性の観点からは、光塩基発生剤としては、構造中に塩を含む光塩基発生剤であることが好ましい。
また、上記のような理由から光塩基発生剤としては、上述のように発生する塩基が共有結合を用いて潜在化されていることが好ましく、発生する塩基がアミド結合、カルバメート結合、オキシム結合を用いて潜在化されていることが好ましい。
本発明に係る光塩基発生剤としては、例えば、特開2009−080452号公報及び国際公開第2009/123122号で開示されたような桂皮酸アミド構造を有する光塩基発生剤、特開2006−189591号公報及び特開2008−247747号公報で開示されたようなカルバメート構造を有する光塩基発生剤、特開2007−249013号公報及び特開2008−003581号公報で開示されたようなオキシム構造、カルバモイルオキシム構造を有する光塩基発生剤等が挙げられるが、これらに限定されず、その他にも公知の光塩基発生剤の構造を用いることができる。
その他、光塩基発生剤としては、特開2012−093746号公報の段落番号0185〜0188、0199〜0200及び0202に記載の化合物、特開2013−194205号公報の段落番号0022〜0069に記載の化合物、特開2013−204019号公報の段落番号0026〜0074に記載の化合物、及び、国際公開第2010/064631号の段落番号0052に記載の化合物が例として挙げられる。
その他、光塩基発生剤としては市販品を使用してもよい。市販品としては、WPBG−266、WPBG−300、WPGB−345、WPGB−140、WPBG−165、WPBG−027、WPBG−018、WPGB−015、WPBG−041、WPGB−172、WPGB−174、WPBG−166、WPGB−158、WPGB−025、WPGB−168、WPGB−167、WPBG−082(いずれも富士フイルム和光純薬(株)製)、A2502、B5085、N0528、N1052、O0396、O0447、O0448(東京化成工業(株)製)等が挙げられる。
光塩基発生剤を含む場合、その含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対し0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることが更に好ましい。光塩基発生剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。光塩基発生剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<熱重合開始剤>
本発明の組成物は、熱重合開始剤を含んでもよく、特に熱ラジカル重合開始剤を含んでもよい。熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性を有する化合物の重合反応を開始又は促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって、後述する加熱工程において、樹脂及び重合性化合物の重合反応を進行させることもできるので、より耐溶剤性を向上できる。
熱ラジカル重合開始剤として、具体的には、特開2008−063554号公報の段落0074〜0118に記載されている化合物が挙げられる。
熱重合開始剤を含む場合、その含有量は、本発明の組成物の全固形分に対し0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%であり、更に好ましくは5〜15質量%である。熱重合開始剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。熱重合開始剤を2種以上含有する場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<熱酸発生剤>
本発明の組成物は、熱酸発生剤を含んでもよい。
熱酸発生剤は、加熱により酸を発生し、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はアシルオキシメチル基を有する化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の架橋反応を促進させる効果がある。
熱酸発生剤の熱分解開始温度は、50℃〜270℃が好ましく、50℃〜250℃がより好ましい。また、組成物を基板に塗布した後の乾燥(プリベーク:約70〜140℃)時には酸を発生せず、その後の露光、現像でパターニングした後の最終加熱(キュア:約100〜400℃)時に酸を発生するものを熱酸発生剤として選択すると、現像時の感度低下を抑制できるため好ましい。
熱分解開始温度は、熱酸発生剤を耐圧カプセル中5℃/分で500℃まで加熱した場合に、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度として求められる。
熱分解開始温度を測定する際に用いられる機器としては、Q2000(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
熱酸発生剤から発生する酸は強酸が好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのアリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、あるいはトリフルオロメタンスルホン酸などのハロアルキルスルホン酸などが好ましい。このような熱酸発生剤の例としては、特開2013−072935号公報の段落0055に記載のものが挙げられる。
中でも、有機膜中の残留が少なく有機膜物性を低下させにくいという観点から、炭素数1〜4のアルキルスルホン酸や炭素数1〜4のハロアルキルスルホン酸を発生するものがより好ましく、メタンスルホン酸(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、メタンスルホン酸(4−((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)ジメチルスルホニウム、メタンスルホン酸ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、メタンスルホン酸ベンジル(4−((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)メチルスルホニウム、メタンスルホン酸(4−ヒドロキシフェニル)メチル((2−メチルフェニル)メチル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4−((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)ジメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジル(4−ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジル(4−((メトキシカルボニル)オキシ)フェニル)メチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(4−ヒドロキシフェニル)メチル((2−メチルフェニル)メチル)スルホニウム、3−(5−(((プロピルスルホニル)オキシ)イミノ)チオフェン−2(5H)−イリデン)−2−(o−トリル)プロパンニトリル、2,2−ビス(3−(メタンスルホニルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが、熱酸発生剤として好ましい。
また、特開2013−167742号公報の段落0059に記載の化合物も熱酸発生剤として好ましい。
熱酸発生剤の含有量は、特定樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。0.01質量部以上含有することで、架橋反応が促進されるため、有機膜の機械特性及び耐溶剤性をより向上させることができる。また、有機膜の電気絶縁性の観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
<オニウム塩>
本発明の樹脂組成物は、オニウム塩を更に含んでもよい。
特に、本発明の樹脂組成物が特定樹脂としてポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含む場合、オニウム塩を含むことが好ましい。
オニウム塩の種類等は特に定めるものではないが、アンモニウム塩、イミニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましく挙げられる。
これらの中でも、熱安定性が高い観点からはアンモニウム塩又はイミニウム塩が好ましく、ポリマーとの相溶性の観点からはスルホニウム塩、ヨードニウム塩又はホスホニウム塩が好ましい。
また、オニウム塩はオニウム構造を有するカチオンとアニオンとの塩であり、上記カチオンとアニオンとは、共有結合を介して結合していてもよいし、共有結合を介して結合していなくてもよい。
すなわち、オニウム塩は、同一の分子構造内に、カチオン部と、アニオン部と、を有する分子内塩であってもよいし、それぞれ別分子であるカチオン分子と、アニオン分子と、がイオン結合した分子間塩であってもよいが、分子間塩であることが好ましい。また、本発明の樹脂組成物において、上記カチオン部又はカチオン分子と、上記アニオン部又はアニオン分子と、はイオン結合により結合されていてもよいし、解離していてもよい。
オニウム塩におけるカチオンとしては、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はホスホニウムカチオンが好ましく、テトラアルキルアンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオンがより好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩は、後述する熱塩基発生剤であってもよい。
熱塩基発生剤とは、加熱により塩基を発生する化合物をいい、例えば、40℃以上に加熱すると塩基を発生する化合物等が挙げられる。
オニウム塩としては、例えば、国際公開第2018/043262号の段落0122〜0138に記載のオニウム塩等が挙げられる。また、その他、ポリイミド前駆体の分野で使用されるオニウム塩を、特に制限なく使用することが可能である。
本発明の樹脂組成物がオニウム塩を含む場合、オニウム塩の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、0.85質量%以上が更に好ましく、1質量%以上が一層好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が一層好ましく、5質量%以下であってもよく、4質量%以下であってもよい。
オニウム塩は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<熱塩基発生剤>
本発明の樹脂組成物は、熱塩基発生剤を更に含んでもよい。
特に、本発明の樹脂組成物が特定樹脂としてポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体を含む場合、熱塩基発生剤を含むことが好ましい。
他の熱塩基発生剤は、上述のオニウム塩に該当する化合物であってもよいし、上述のオニウム塩以外の熱塩基発生剤であってもよい。
上述のオニウム塩以外の熱塩基発生剤としては、ノニオン系熱塩基発生剤が挙げられる。
ノニオン系熱塩基発生剤としては、式(B1)又は式(B2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021123652
式(B1)及び式(B2)中、Rb、Rb及びRbはそれぞれ独立に、第3級アミン構造を有しない有機基、ハロゲン原子又は水素原子である。ただし、Rb及びRbが同時に水素原子となることはない。また、Rb、Rb及びRbはいずれもカルボキシ基を有することはない。なお、本明細書で第三級アミン構造とは、3価の窒素原子の3つの結合手がいずれも炭化水素系の炭素原子と共有結合している構造を指す。したがって、結合した炭素原子がカルボニル基をなす炭素原子の場合、つまり窒素原子とともにアミド基を形成する場合はこの限りではない。
式(B1)、(B2)中、Rb、Rb及びRbは、これらのうち少なくとも1つが環状構造を含むことが好ましく、少なくとも2つが環状構造を含むことがより好ましい。環状構造としては、単環及び縮合環のいずれであってもよく、単環又は単環が2つ縮合した縮合環が好ましい。単環は、5員環又は6員環が好ましく、6員環が好ましい。単環は、シクロヘキサン環及びベンゼン環が好ましく、シクロヘキサン環がより好ましい。
より具体的にRb及びRbは、水素原子、アルキル基(炭素数1〜24が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜24が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜10が更に好ましい)、又はアリールアルキル基(炭素数7〜25が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜12が更に好ましい)であることが好ましい。これらの基は、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。RbとRbとは互いに結合して環を形成していてもよい。形成される環としては、4〜7員の含窒素複素環が好ましい。Rb及びRbは特に、置換基を有してもよい直鎖、分岐、又は環状のアルキル基(炭素数1〜24が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)であることが好ましく、置換基を有してもよいシクロアルキル基(炭素数3〜24が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)であることがより好ましく、置換基を有してもよいシクロヘキシル基が更に好ましい。
Rbとしては、アルキル基(炭素数1〜24が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜10が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜12が更に好ましい)、アリールアルケニル基(炭素数8〜24が好ましく、8〜20がより好ましく、8〜16が更に好ましい)、アルコキシル基(炭素数1〜24が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜12が更に好ましい)、又はアリールアルキルオキシ基(炭素数7〜23が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜12が更に好ましい)が挙げられる。中でも、シクロアルキル基(炭素数3〜24が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)、アリールアルケニル基、アリールアルキルオキシ基が好ましい。Rbには更に本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。
式(B1)で表される化合物は、下記式(B1−1)又は下記式(B1−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021123652
式中、Rb11及びRb12、並びに、Rb31及びRb32は、それぞれ、式(B1)におけるRb及びRbと同じである。
Rb13はアルキル基(炭素数1〜24が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜24が好ましく、2〜18がより好ましく、3〜12が更に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜12が更に好ましい)であり、本発明の効果を奏する範囲で置換基を有していてもよい。中でも、Rb13はアリールアルキル基が好ましい。
Rb33及びRb34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜11が更に好ましい)であり、水素原子が好ましい。
Rb35は、アルキル基(炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、3〜8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜10がより好ましく、3〜8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜12が更に好ましい)であり、アリール基が好ましい。
式(B1−1)で表される化合物は、式(B1−1a)で表される化合物もまた好ましい。
Figure 2021123652
Rb11及びRb12は式(B1−1)におけるRb11及びRb12と同義である。
Rb15及びRb16は水素原子、アルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜3が更に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜10が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜11が更に好ましい)であり、水素原子又はメチル基が好ましい。
Rb17はアルキル基(炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、3〜8が更に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜10がより好ましく、3〜8が更に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜12が更に好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜19がより好ましく、7〜12が更に好ましい)であり、中でもアリール基が好ましい。
ノニオン系熱塩基発生剤の分子量は、800以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましい。下限としては、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、300以上であることが更に好ましい。
上述のオニウム塩のうち、熱塩基発生剤である化合物の具体例、又は、上述のオニウム塩以外の熱塩基発生剤の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2021123652
Figure 2021123652
Figure 2021123652
他の熱塩基発生剤の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。熱塩基発生剤は、1種又は2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<架橋剤>
本発明の樹脂組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。
架橋剤としては、ラジカル架橋剤、又は、他の架橋剤が挙げられる。
<ラジカル架橋剤>
本発明の樹脂組成物は、ラジカル架橋剤を更に含むことが好ましい。
ラジカル架橋剤は、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を含む基が好ましい。上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。
これらの中でも、上記エチレン性不飽和結合を含む基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましく、反応性の観点からは、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
ラジカル架橋剤は、エチレン性不飽和結合を1個以上有する化合物であればよいが、2以上有する化合物であることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を2個有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を2個有する化合物であることが好ましい。
また、得られるパターン(硬化膜)の膜強度の観点からは、本発明の樹脂組成物は、ラジカル架橋剤として、エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物を含むことが好ましい。上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を3〜15個有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を3〜10個有する化合物がより好ましく、3〜6個有する化合物が更に好ましい。
また、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物は、上記エチレン性不飽和結合を含む基を3個以上有する化合物であることが好ましく、3〜15個有する化合物であることがより好ましく、3〜10個有する化合物であることが更に好ましく、3〜6個有する化合物であることが特に好ましい。
また、得られるパターン(硬化膜)の膜強度の観点からは、本発明の樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を2個有する化合物と、上記エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物とを含むことも好ましい。
ラジカル架橋剤の分子量は、2,000以下が好ましく、1,500以下がより好ましく、900以下が更に好ましい。ラジカル架橋剤の分子量の下限は、100以上が好ましい。
ラジカル架橋剤の具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類である。また、ヒドロキシ基やアミノ基、スルファニル基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲノ基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。具体例としては、特開2016−027357号公報の段落0113〜0122の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、ラジカル架橋剤は、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後、(メタ)アクリレート化した化合物、特公昭48−041708号公報、特公昭50−006034号公報、特開昭51−037193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−064183号、特公昭49−043191号、特公昭52−030490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。また、特開2008−292970号公報の段落0254〜0257に記載の化合物も好適である。また、多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、上述以外の好ましいラジカル架橋剤として、特開2010−160418号公報、特開2010−129825号公報、特許第4364216号公報等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物や、カルド樹脂も使用することが可能である。
更に、その他の例としては、特公昭46−043946号公報、特公平01−040337号公報、特公平01−040336号公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平02−025493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、特開昭61−022048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含む化合物を用いることもできる。更に日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光重合性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
上記のほか、特開2015−034964号公報の段落0048〜0051に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0087〜0131に記載の化合物も好ましく用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開平10−062986号公報において式(1)及び式(2)としてその具体例と共に記載の、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、ラジカル架橋剤として用いることができる。
更に、特開2015−187211号公報の段落0104〜0131に記載の化合物もラジカル架橋剤として用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ラジカル架橋剤としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬(株)製、A−TMMT:新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、A−DPH;新中村化学工業社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール残基又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
ラジカル架橋剤の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、エチレンオキシ鎖を4個有する2官能メタクリレートであるサートマー社製のSR−209、231、239、日本化薬(株)製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(日本製紙社製)、NKエステルM−40G、NKエステル4G、NKエステルM−9300、NKエステルA−9300、UA−7200(新中村化学工業社製)、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学社製)、ブレンマーPME400(日油(株)製)などが挙げられる。
ラジカル架橋剤としては、特公昭48−041708号公報、特開昭51−037193号公報、特公平02−032293号公報、特公平02−016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−049860号公報、特公昭56−017654号公報、特公昭62−039417号公報、特公昭62−039418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、ラジカル架橋剤として、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平01−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する化合物を用いることもできる。
ラジカル架橋剤は、カルボキシ基、リン酸基等の酸基を有するラジカル架橋剤であってもよい。酸基を有するラジカル架橋剤は、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル架橋剤がより好ましい。特に好ましくは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせたラジカル架橋剤において、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである化合物である。市販品としては、例えば、東亞合成(株)製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
酸基を有するラジカル架橋剤の好ましい酸価は、0.1〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。ラジカル架橋剤の酸価が上記範囲であれば、製造上の取扱性に優れ、更には、現像性に優れる。また、重合性が良好である。上記酸価は、JIS K 0070:1992の記載に準拠して測定される。
本発明の樹脂組成物は、パターン(硬化膜)の弾性率制御に伴う反り抑制の観点から、ラジカル架橋剤として、単官能ラジカル架橋剤を好ましく用いることができる。単官能ラジカル架橋剤としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物類等が好ましく用いられる。単官能ラジカル架橋剤としては、露光前の揮発を抑制するため、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。
ラジカル架橋剤を含有する場合、その含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対して、0質量%超60質量%以下であることが好ましい。下限は5質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
ラジカル架橋剤は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を併用する場合にはその合計量が上記の範囲となることが好ましい。
<他の架橋剤>
本発明の樹脂組成物は、上述したラジカル架橋剤とは異なる、他の架橋剤を含むことが好ましい。
本発明において、他の架橋剤とは、上述したラジカル架橋剤以外の架橋剤をいい、上述の感光剤の感光により、組成物中の他の化合物又はその反応生成物との間で共有結合を形成する反応が促進される基を分子内に複数個有する化合物であることが好ましく、組成物中の他の化合物又はその反応生成物との間で共有結合を形成する反応が酸又は塩基の作用によって促進される基を分子内に複数個有する化合物が好ましい。
上記酸又は塩基は、露光工程において、感光剤である光酸発生剤又は光塩基発生剤から発生する酸又は塩基であることが好ましい。
他の架橋剤としては、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基を有する化合物が好ましく、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基が窒素原子に直接結合した構造を有する化合物がより好ましい。
他の架橋剤としては、例えば、メラミン、グリコールウリル、尿素、アルキレン尿素、ベンゾグアナミンなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドとアルコールを反応させ、上記アミノ基の水素原子をメチロール基又はアルコキシメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。これらの化合物の製造方法は特に限定されず、上記方法により製造された化合物と同様の構造を有する化合物であればよい。また、これらの化合物のメチロール基同士が自己縮合してなるオリゴマーであってもよい。
上記のアミノ基含有化合物として、メラミンを用いた架橋剤をメラミン系架橋剤、グリコールウリル、尿素又はアルキレン尿素を用いた架橋剤を尿素系架橋剤、アルキレン尿素を用いた架橋剤をアルキレン尿素系架橋剤、ベンゾグアナミンを用いた架橋剤をベンゾグアナミン系架橋剤という。
これらの中でも、本発明の樹脂組成物は、尿素系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、後述するグリコールウリル系架橋剤及びメラミン系架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
メラミン系架橋剤の具体例としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミンなどが挙げられる。
尿素系架橋剤の具体例としては、例えばモノヒドロキシメチル化グリコールウリル、ジヒドロキシメチル化グリコールウリル、トリヒドロキシメチル化グリコールウリル、テトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノメトキシメチル化グリコールウリル,ジメトキシメチル化グリコールウリル、トリメトキシメチル化グリコールウリル、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノメトキシメチル化グリコールウリル、ジメトキシメチル化グリコールウリル、トリメトキシメチル化グリコールウリル、テトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノプロポキシメチル化グリコールウリル、ジプロポキシメチル化グリコールウリル、トリプロポキシメチル化グリコールウリル、テトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノブトキシメチル化グリコールウリル、ジブトキシメチル化グリコールウリル、トリブトキシメチル化グリコールウリル、又は、テトラブトキシメチル化グリコールウリルなどのグリコールウリル系架橋剤;
ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等の尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化エチレン尿素又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノメトキシメチル化エチレン尿素、ジメトキシメチル化エチレン尿素、モノエトキシメチル化エチレン尿素、ジエトキシメチル化エチレン尿素、モノプロポキシメチル化エチレン尿素、ジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノブトキシメチル化エチレン尿素、又は、ジブトキシメチル化エチレン尿素などのエチレン尿素系架橋剤、
モノヒドロキシメチル化プロピレン尿素、ジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノメトキシメチル化プロピレン尿素、ジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノジエトキシメチル化プロピレン尿素、ジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノプロポキシメチル化プロピレン尿素、ジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノブトキシメチル化プロピレン尿素、又は、ジブトキシメチル化プロピレン尿素などのプロピレン尿素系架橋剤、
1,3−ジ(メトキシメチル)4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
ベンゾグアナミン系架橋剤の具体例としては、例えばモノヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、ジヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、トリヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラヒドロキシメチル化ベンゾグアナミン、モノメトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジメトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、モノメトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジメトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラエトキシメチル化ベンゾグアナミン、モノプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、ジプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、トリプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラプロポキシメチル化ベンゾグアナミン、モノブトキシメチル化ベンゾグアナミン、ジブトキシメチル化ベンゾグアナミン、トリブトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミンなどが挙げられる。
その他、メチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基を有する化合物としては、芳香環(好ましくはベンゼン環)にメチロール基及びアルコキシメチル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基が直接結合した化合物も好適に用いられる。
このような化合物の具体例としては、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’,4’’−エチリデントリス[2,6−ビス(メトキシメチル)フェノール]、5,5’−[2,2,2‐トリフルオロ‐1‐(トリフルオロメチル)エチリデン]ビス[2‐ヒドロキシ‐1,3‐ベンゼンジメタノール]、3,3’,5,5’−テトラキス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール等が挙げられる。
他の架橋剤としては市販品を用いてもよく、好適な市販品としては、46DMOC、46DMOEP(以上、旭有機材工業社製)、DML−PC、DML−PEP、DML−OC、DML−OEP、DML−34X、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−OCHP、DML−PFP、DML−PSBP、DML−POP、DML−MBOC、DML−MBPC、DML−MTrisPC、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BPC、DMLBisOC−P、DMOM−PC、DMOM−PTBP、DMOM−MBPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−HQ、TML−BP、TML−pp−BPF、TML−BPE、TML−BPA、TML−BPAF、TML−BPAP、TMOM−BP、TMOM−BPE、TMOM−BPA、TMOM−BPAF、TMOM−BPAP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(以上、本州化学工業社製)、ニカラック(登録商標、以下同様)MX−290、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270、ニカラックMX−279、ニカラックMW−100LM、ニカラックMX−750LM(以上、三和ケミカル社製)などが挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物は、他の架橋剤として、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及び、ベンゾオキサジン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことも好ましい。
〔エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)〕
エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基は、200℃以下で架橋反応し、かつ、架橋に由来する脱水反応が起こらないため膜収縮が起きにくい。このため、エポキシ化合物を含有することは、樹脂組成物の低温硬化及び反りの抑制に効果的である。
エポキシ化合物は、ポリエチレンオキサイド基を含有することが好ましい。これにより、より弾性率が低下し、また反りを抑制することができる。ポリエチレンオキサイド基は、エチレンオキサイドの繰返し単位数が2以上のものを意味し、繰返し単位数が2〜15であることが好ましい。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のアルキレングリコール型エポキシ樹脂又は多価アルコール炭化水素型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂;ポリメチル(グリシジロキシプロピル)シロキサン等のエポキシ基含有シリコーンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、エピクロン(登録商標)850−S、エピクロン(登録商標)HP−4032、エピクロン(登録商標)HP−7200、エピクロン(登録商標)HP−820、エピクロン(登録商標)HP−4700、エピクロン(登録商標)EXA−4710、エピクロン(登録商標)HP−4770、エピクロン(登録商標)EXA−859CRP、エピクロン(登録商標)EXA−1514、エピクロン(登録商標)EXA−4880、エピクロン(登録商標)EXA−4850−150、エピクロンEXA−4850−1000、エピクロン(登録商標)EXA−4816、エピクロン(登録商標)EXA−4822(以上商品名、DIC(株)製)、リカレジン(登録商標)BEO−60E(商品名、新日本理化(株))、EP−4003S、EP−4000S(以上商品名、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177(以上商品名、(株)ダイセル製)、NC−3000、NC−3000−L、NC−3000−H、NC−3000−FH−75M、NC−3100、CER−3000−L、NC−2000−L、XD−1000、NC−7000L、NC−7300L、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、CER−1020、EPPN−201、BREN−S、BREN−10S(以上商品名、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
〔オキセタン化合物(オキセタニル基を有する化合物)〕
オキセタン化合物としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有する化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4−ベンゼンジカルボン酸−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亞合成(株)製のアロンオキセタンシリーズ(例えば、OXT−121、OXT−221、OXT−191、OXT−223)が好適に使用することができ、これらは単独で、又は2種以上混合してもよい。
〔ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサゾリル基を有する化合物)〕
ベンゾオキサジン化合物は、開環付加反応に由来する架橋反応のため、硬化時に脱ガスが発生せず、更に熱収縮を小さくして反りの発生が抑えられることから好ましい。
ベンゾオキサジン化合物の好ましい例としては、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業社製)、ポリヒドロキシスチレン樹脂のベンゾオキサジン付加物、フェノールノボラック型ジヒドロベンゾオキサジン化合物が挙げられる。これらは単独で用いるか、又は2種以上混合してもよい。
他の架橋剤の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対し0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることが更に好ましく、1.0〜10質量%であることが特に好ましい。他の架橋剤は1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。他の架橋剤を2種以上含有する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<スルホンアミド構造を有する化合物、チオウレア構造を有する化合物>
得られるパターン(硬化膜)の基材への密着性を向上する観点からは、本発明の樹脂組成物は、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を更に含むことが好ましい。
〔スルホンアミド構造を有する化合物〕
スルホンアミド構造とは、下記式(S−1)で表される構造である。
Figure 2021123652
式(S−1)中、Rは水素原子又は有機基を表し、Rは他の構造と結合して環構造を形成してもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
上記Rは、下記式(S−2)におけるRと同様の基であることが好ましい。
スルホンアミド構造を有する化合物は、スルホンアミド構造を2以上有する化合物であってもよいが、スルホンアミド構造を1つ有する化合物であることが好ましい。
スルホンアミド構造を有する化合物は、下記式(S−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021123652
式(S−2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
、R及びRはそれぞれ独立に、1価の有機基であることが好ましい。
、R及びRの例としては、水素原子、又は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アリール基、アリールエーテル基、カルボキシ基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、複素環基、若しくはこれらを2以上組み合わせた基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、2−エチルへキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、炭素数5〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数6〜10のシクロアルキル基がより好ましい。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシシリル基としては、炭素数1〜10のアルコキシシリル基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシシリル基がより好ましい。上記アルコキシシリル基としては、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基及びブトキシシリル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。上記アリール基は、アルキル基等の置換基を有していてもよい。上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等が挙げられる。
上記複素環基としては、トリアゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペリジン、ピペラジン環、モルホリン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン基、トリアジン環等の複素環構造から水素原子を1つ除いた基などが挙げられる。
これらの中でも、Rがアリール基であり、かつ、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である化合物が好ましい。
スルホンアミド構造を有する化合物の例としては、ベンゼンスルホンアミド、ジメチルベンゼンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、スルファニルアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、ヒドロキシナフタレンスルホンアミド、ナフタレン−1−スルホンアミド、ナフタレン−2−スルホンアミド、m−ニトロベンゼンスルホンアミド、p−クロロベンゼンスルホンアミド、メタンスルホンアミド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジメチルエタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、N−メトキシメタンスルホンアミド、N−ドデシルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−1−ブタンスルホンアミド、2−アミノエタンスルホンアミドなどが挙げられる。
〔チオウレア構造を有する化合物〕
チオウレア構造とは、下記式(T−1)で表される構造である。
Figure 2021123652
式(T−1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R及びRは結合して環構造を形成してもよく、Rは*が結合する他の構造と結合して環構造を形成してもよく、Rは*が結合する他の構造と結合して環構造を形成してもよく、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子であることが好ましい。
及びRの例としては、水素原子、又は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アリール基、アリールエーテル基、カルボキシ基、カルボニル基、アリル基、ビニル基、複素環基、若しくは、これらを2以上組み合わせた基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、2−エチルへキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、炭素数5〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数6〜10のシクロアルキル基がより好ましい。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシシリル基としては、炭素数1〜10のアルコキシシリル基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシシリル基がより好ましい。上記アルコキシシリル基としては、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基及びブトキシシリル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。上記アリール基は、アルキル基等の置換基を有していてもよい。上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等が挙げられる。
上記複素環基としては、トリアゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペリジン、ピペラジン環、モルホリン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン基、トリアジン環等の複素環構造から水素原子を1つ除いた基などが挙げられる。
チオウレア構造を有する化合物は、チオウレア構造を2以上有する化合物であってもよいが、チオウレア構造を1つ有する化合物であることが好ましい。
チオウレア構造を有する化合物は、下記式(T−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021123652
式(T−2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、R〜Rのうち少なくとも2つは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
式(T−2)中、R及びRは式(T−1)中のR及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(T−2)中、R及びRはそれぞれ独立に、1価の有機基であることが好ましい。
式(T−2)中、R及びRにおける1価の有機基の好ましい態様は、式(T−1)中のR及びRにおける1価の有機基の好ましい態様と同様である。
チオウレア構造を有する化合物の例としては、N−アセチルチオウレア、N−アリルチオウレア、N−アリル−N’−(2−ヒドロキシエチル)チオウレア、1−アダマンチルチオウレア、N−ベンゾイルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレア、1−ベンジル−フェニルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、1,3−ジイソプロピルチオウレア、1,3−ジシクロヘキシルチオウレア、1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−3−メチルチオウレア、トリメチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、N,N−ジフェニルチオウレア、エチレンチオウレア(2−イミダゾリンチオン)、カルビマゾール、1,3−ジメチル−2−チオヒダントインなどが挙げられる。
〔含有量〕
本発明の樹脂組成物の全質量に対する、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物の合計含有量は、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜3質量%であることが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、スルホンアミド構造を有する化合物及びチオウレア構造を有する化合物よりなる群から選ばれる化合物を、1種のみ含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。1種のみ含む場合にはその化合物の含有量が、2種以上を含む場合にはその合計量が、上記の範囲となることが好ましい。
<マイグレーション抑制剤>
本発明の樹脂組成物は、更にマイグレーション抑制剤を含むことが好ましい。マイグレーション抑制剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンが樹脂組成物層内へ移動することを効果的に抑制可能となる。
マイグレーション抑制剤としては、特に制限はないが、複素環(ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、2H−ピラン環及び6H−ピラン環、トリアジン環)を有する化合物、チオ尿素類及びスルファニル基を有する化合物、ヒンダードフェノール系化合物、サリチル酸誘導体系化合物、ヒドラジド誘導体系化合物が挙げられる。特に、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物、1H−テトラゾール、5−フェニルテトラゾール等のテトラゾール系化合物が好ましく使用できる。
又はハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉するイオントラップ剤を使用することもできる。
その他のマイグレーション抑制剤としては、特開2013−015701号公報の段落0094に記載の防錆剤、特開2009−283711号公報の段落0073〜0076に記載の化合物、特開2011−059656号公報の段落0052に記載の化合物、特開2012−194520号公報の段落0114、0116及び0118に記載の化合物、国際公開第2015/199219号の段落0166に記載の化合物などを使用することができる。
マイグレーション抑制剤の具体例としては、下記化合物を挙げることができる。
Figure 2021123652
樹脂組成物がマイグレーション抑制剤を有する場合、マイグレーション抑制剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.05〜2.0質量%であることがより好ましく、0.1〜1.0質量%であることが更に好ましい。
マイグレーション抑制剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。マイグレーション抑制剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<重合禁止剤>
本発明の樹脂組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、p−tert−ブチルカテコール(t−ブチルカテコール)、1,4−ベンゾキノン、ジフェニル−p−ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、フェノチアジン、N−ニトロソジフェニルアミン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−tert−ブチル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、1,4−ナフトキノンなどが好適に用いられる。また、特開2015−127817号公報の段落0060に記載の重合禁止剤、及び、国際公開第2015/125469号の段落0031〜0046に記載の化合物を用いることもできる。
また、下記化合物を用いることができる(Meはメチル基である)。
Figure 2021123652
本発明の樹脂組成物が重合禁止剤を有する場合、重合禁止剤の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.02〜3質量%であることがより好ましく、0.05〜2.5質量%であることが更に好ましい。
重合禁止剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。重合禁止剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<金属接着性改良剤>
本発明の樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含んでいることが好ましい。金属接着性改良剤としては、シランカップリング剤などが挙げられる。
これらの中でも、本発明の樹脂組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤の例としては、国際公開第2015/199219号の段落0167に記載の化合物、特開2014−191002号公報の段落0062〜0073に記載の化合物、国際公開第2011/080992号の段落0063〜0071に記載の化合物、特開2014−191252号公報の段落0060〜0061に記載の化合物、特開2014−041264号公報の段落0045〜0052に記載の化合物、国際公開第2014/097594号の段落0055に記載の化合物が挙げられる。また、特開2011−128358号公報の段落0050〜0058に記載のように異なる2種以上のシランカップリング剤を用いることも好ましい。また、シランカップリング剤は、下記化合物を用いることも好ましい。以下の式中、Etはエチル基を表す。
Figure 2021123652
また、金属接着性改良剤としては、特開2014−186186号公報の段落0046〜0049に記載の化合物、特開2013−072935号公報の段落0032〜0043に記載のスルフィド系化合物を用いることもできる。
金属接着性改良剤の含有量は特定樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは0.5〜15質量部の範囲であり、更に好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。上記下限値以上とすることでパターンと金属層との接着性が良好となり、上記上限値以下とすることでパターンの耐熱性、機械特性が良好となる。金属接着性改良剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。2種以上用いる場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<金属接着性改良剤>
本発明の樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含んでいることが好ましい。金属接着性改良剤としては、特開2014−186186号公報の段落0046〜0049に記載の化合物、特開2013−072935号公報の段落0032〜0043に記載のスルフィド系化合物を用いることもできる。
金属接着性改良剤の含有量は複素環含有ポリマー前駆体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは0.5〜15質量部の範囲であり、更に好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。上記下限値以上とすることで硬化工程後の硬化膜と金属層との接着性が良好となり、上記上限値以下とすることで硬化工程後の硬化膜の耐熱性、機械特性が良好となる。金属接着性改良剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。2種以上用いる場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果が得られる範囲で、必要に応じて、各種の添加物、例えば、増感剤、連鎖移動剤、特定界面活性剤以外の他の界面活性剤、高級脂肪酸誘導体、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は樹脂組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
〔増感剤〕
本発明の樹脂組成物は、増感剤を含んでいてもよい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、熱硬化促進剤、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸又は塩基を生成する。
増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N−メチルアセトアニリド、3‘,4’−ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。
増感剤としては、増感色素を用いてもよい。
増感色素の詳細については、特開2016−027357号公報の段落0161〜0163の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の樹脂組成物が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることが更に好ましい。増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔連鎖移動剤〕
本発明の樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、及びGeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカルに水素を供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物を好ましく用いることができる。
また、連鎖移動剤は、国際公開第2015/199219号の段落0152〜0153に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の樹脂組成物が連鎖移動剤を有する場合、連鎖移動剤の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部が更に好ましい。連鎖移動剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。連鎖移動剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔特定界面活性剤外の他の界面活性剤〕
本発明の樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、特定界面活性剤以外の他の界面活性剤を添加してもよい。他の界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。下記式中、主鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の含有量(モル%)を、側鎖の繰返し単位を示す括弧は各繰返し単位の繰り返し数をそれぞれ表す。
Figure 2021123652
また、他の界面活性剤は、国際公開第2015/199219号の段落0159〜0165に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の樹脂組成物が他の界面活性剤を有する場合、他の界面活性剤の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。他の界面活性剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。他の界面活性剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
〔高級脂肪酸誘導体〕
本発明の樹脂組成物は、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程で樹脂組成物の表面に偏在させてもよい。
また、高級脂肪酸誘導体は、国際公開第2015/199219号の段落0155に記載の化合物を用いることもできる。
本発明の樹脂組成物が高級脂肪酸誘導体を有する場合、高級脂肪酸誘導体の含有量は、本発明の樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。高級脂肪酸誘導体は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸誘導体が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<その他の含有物質についての制限>
本発明の樹脂組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.6質量%未満が更に好ましい。水分の含有量を維持する方法としては、保管条件における湿度の調整、収容容器の空隙率低減などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の金属含有量は、絶縁性の観点から、5質量ppm(parts per million)未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、クロム、ニッケルなどが挙げられる。金属を複数含む場合は、これらの金属の合計が上記範囲であることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物に意図せずに含まれる金属不純物を低減する方法としては、本発明の樹脂組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、本発明の樹脂組成物を構成する原料に対してフィルターろ過を行う、装置内をポリテトラフルオロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、半導体材料としての用途を考慮すると、ハロゲン原子の含有量が、配線腐食性の観点から、500質量ppm未満が好ましく、300質量ppm未満がより好ましく、200質量ppm未満が更に好ましい。中でも、ハロゲンイオンの状態で存在するものは、5質量ppm未満が好ましく、1質量ppm未満がより好ましく、0.5質量ppm未満が更に好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。塩素原子及び臭素原子、又は塩素イオン及び臭素イオンの合計がそれぞれ上記範囲であることが好ましい。
ハロゲン原子の含有量を調節する方法としては、イオン交換処理などが好ましく挙げられる。
本発明の樹脂組成物の収容容器としては従来公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器としては、原材料や樹脂組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成された多層ボトルや、6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015−123351号公報に記載の容器が挙げられる。
<樹脂組成物の用途>
本発明の樹脂組成物は、再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられることが好ましい。
また、その他、半導体デバイスの絶縁膜の形成、又は、ストレスバッファ膜の形成等にも用いることができる。
<樹脂組成物の調製>
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
また、樹脂組成物中のゴミや微粒子等の異物を除去する目的で、フィルターを用いたろ過を行うことが好ましい。フィルター孔径は、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。フィルターの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はナイロンが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルターろ過工程では、複数種のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種のフィルターを使用する場合は、孔径又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回ろ過してもよい。複数回ろ過する場合は、循環ろ過であってもよい。また、加圧してろ過を行ってもよい。加圧してろ過を行う場合、加圧する圧力は0.05MPa以上0.3MPa以下が好ましい。
フィルターを用いたろ過の他、吸着材を用いた不純物の除去処理を行ってもよい。フィルターろ過と吸着材を用いた不純物除去処理とを組み合わせてもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができる。例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材が挙げられる。
(樹脂膜、硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法)
次に、樹脂膜、硬化膜、積層体、半導体デバイス、及びそれらの製造方法について説明する。
本発明の硬化膜は、本発明の樹脂組成物、又は、本発明の樹脂膜を硬化してなる。本発明の硬化膜の膜厚は、例えば、0.5μm以上とすることができ、1μm以上とすることができる。また、上限値としては、100μm以下とすることができ、30μm以下とすることもできる。
本発明の硬化膜を2層以上、更には、3〜7層積層して積層体としてもよい。本発明の積層体は、硬化膜を2層以上含み、上記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む態様が好ましい。例えば、第一の硬化膜、金属層、第二の硬化膜の3つの層がこの順に積層された層構造を少なくとも含む積層体が好ましいものとして挙げられる。上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜は、いずれも本発明の硬化膜であり、例えば、上記第一の硬化膜及び上記第二の硬化膜のいずれもが、本発明の樹脂組成物を硬化してなる膜である態様が好ましいものとして挙げられる。上記第一の硬化膜の形成に用いられる本発明の樹脂組成物と、上記第二の硬化膜の形成に用いられる本発明の樹脂組成物とは、組成が同一の組成物であってもよいし、組成が異なる組成物であってもよい。本発明の積層体における金属層は、再配線層などの金属配線として好ましく用いられる。
本発明の硬化膜の適用可能な分野としては、半導体デバイスの絶縁膜、再配線層用層間絶縁膜、ストレスバッファ膜などが挙げられる。そのほか、封止フィルム、基板材料(フレキシブルプリント基板のベースフィルムやカバーレイ、層間絶縁膜)、又は上記のような実装用途の絶縁膜をエッチングでパターン形成することなどが挙げられる。これらの用途については、例えば、サイエンス&テクノロジー(株)「ポリイミドの高機能化と応用技術」2008年4月、柿本雅明/監修、CMCテクニカルライブラリー「ポリイミド材料の基礎と開発」2011年11月発行、日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会/編「最新ポリイミド 基礎と応用」エヌ・ティー・エス,2010年8月等を参照することができる。
また、本発明における硬化膜は、オフセット版面又はスクリーン版面などの版面の製造、成形部品のエッチングへの使用、エレクトロニクス、特に、マイクロエレクトロニクスにおける保護ラッカー及び誘電層の製造などにも用いることもできる。
本発明の硬化膜の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)は、本発明の樹脂組成物を基材に適用して膜(樹脂膜)を形成する膜形成工程を含むことが好ましい。
本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程、並びに、上記膜を露光する露光工程及び上記膜を現像する現像工程を含むことが好ましい。
また、本発明の硬化膜の製造方法は、上記膜形成工程、及び、必要に応じて上記現像工程を含み、かつ、上記膜を50〜450℃で加熱する加熱工程を含むことがより好ましい。
具体的には、以下の(a)〜(d)の工程を含むことも好ましい。
(a)樹脂組成物を基材に適用して膜(樹脂組成物層)を形成する膜形成工程
(b)膜形成工程の後、膜を露光する露光工程
(c)露光された上記膜を現像する現像工程
(d)現像された上記膜を50〜450℃で加熱する加熱工程
上記加熱工程において加熱することにより、露光で硬化した樹脂層を更に硬化させることができる。この加熱工程で、例えば上述の熱塩基発生剤が分解し、十分な硬化性が得られる。
本発明の好ましい実施形態に係る積層体の製造方法は、本発明の硬化膜の製造方法を含む。本実施形態の積層体の製造方法は、上記の硬化膜の製造方法に従って、硬化膜を形成後、更に、再度、(a)の工程、又は(a)〜(c)の工程、又は(a)〜(d)の工程を行う。特に、上記各工程を順に、複数回、例えば、2〜5回(すなわち、合計で3〜6回)行うことが好ましい。このように硬化膜を積層することにより、積層体とすることができる。本発明では特に硬化膜を設けた部分の上又は硬化膜の間、又はその両者に金属層を設けることが好ましい。なお、積層体の製造においては、(a)〜(d)の工程をすべて繰り返す必要はなく、上記のとおり、少なくとも(a)、好ましくは(a)〜(c)又は(a)〜(d)の工程を複数回行うことで硬化膜の積層体を得ることができる。
<膜形成工程(層形成工程)>
本発明の好ましい実施形態に係る製造方法は、樹脂組成物を基材に適用して膜(層状)にする、膜形成工程(層形成工程)を含む。
基材の種類は、用途に応じて適宜定めることができるが、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基材、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基材、紙、SOG(Spin On Glass)、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基材、プラズマディスプレイパネル(PDP)の電極板など特に制約されない。また、これらの基材には表面に密着層や酸化層などの層が設けられていてもよい。本発明では、特に、半導体作製基材が好ましく、シリコン基材がより好ましい。
また、基材としては、例えば板状の基材(基板)が用いられる。
基材の形状は特に限定されず、円形状であっても矩形状であってもよいが、矩形状であることが好ましい。
基材のサイズとしては、円形状であれば、例えば直径が100〜450mmであり、好ましくは200〜450mmである。矩形状であれば、例えば短辺の長さが100〜1000mmであり、好ましくは200〜700mmである。
また、樹脂層の表面や金属層の表面に樹脂組成物層を形成する場合は、樹脂層や金属層が基材となる。
樹脂組成物を基材に適用する手段としては、塗布が好ましい。
具体的には、適用する手段としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法、及びインクジェット法などが例示される。樹脂組成物層の厚さの均一性の観点から、より好ましくはスピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法、インクジェット法である。方法に応じて適切な固形分濃度や塗布条件を調整することで、所望の厚さの樹脂層を得ることができる。また、基材の形状によっても塗布方法を適宜選択でき、ウエハ等の円形基材であればスピンコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましく、矩形基材であればスリットコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましい。スピンコート法の場合は、例えば、500〜2,000rpmの回転数で、10秒〜1分程度適用することができる。
また、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法によって付与して形成した塗膜を、基材上に転写する方法を適用することもできる。
転写方法に関しては特開2006−023696号公報の段落0023、0036〜0051や、特開2006−047592号公報の段落0096〜0108に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
また、基材の端部において余分な膜の除去を行なう工程を行なってもよい。このような工程の例には、エッジビードリンス(EBR)、エアナイフなどが挙げられる。
<乾燥工程>
本発明の製造方法は、膜形成工程(層形成工程)の後に、溶剤を除去するために乾燥する工程を含んでいてもよい。好ましい乾燥温度は50〜150℃で、70℃〜130℃がより好ましく、90℃〜110℃が更に好ましい。乾燥時間としては、30秒〜20分が例示され、1分〜10分が好ましく、3分〜7分がより好ましい。
<露光工程>
本発明の製造方法は、上記膜(樹脂組成物層)を露光する露光工程を含んでもよい。露光量は、樹脂組成物を硬化できる限り特に定めるものではないが、例えば、波長365nmでの露光エネルギー換算で100〜10,000mJ/cm照射することが好ましく、200〜8,000mJ/cm照射することがより好ましい。
露光波長は、190〜1,000nmの範囲で適宜定めることができ、240〜550nmが好ましい。
露光波長は、光源との関係でいうと、(1)半導体レーザー(波長 830nm、532nm、488nm、405nm etc.)、(2)メタルハライドランプ、(3)高圧水銀灯、g線(波長 436nm)、h線(波長 405nm)、i線(波長 365nm)、ブロード(g,h,i線の3波長)、(4)エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー(波長 248nm)、ArFエキシマレーザー(波長 193nm)、F2エキシマレーザー(波長 157nm)、(5)極端紫外線;EUV(波長 13.6nm)、(6)電子線等が挙げられる。本発明の樹脂組成物については、特に高圧水銀灯による露光が好ましく、中でも、i線による露光が好ましい。これにより、特に高い露光感度が得られうる。
<現像工程>
本発明の製造方法は、露光された膜(樹脂組成物層)に対して、現像を行う(上記膜を現像する)現像工程を含んでもよい。現像を行うことにより、露光されていない部分(非露光部)が除去される。現像方法は、所望のパターンを形成できれば特に制限は無く、例えばノズルからの現像液の吐出、スプレー噴霧、基材の現像液浸漬などが挙げられ、ノズルからの吐出が好ましく利用される。現像工程には、現像液が連続的に基材に供給され続ける工程、基材上で現像液が略静止状態で保たれる工程、現像液を超音波等で振動させる工程およびそれらを組み合わせた工程などが採用可能である。
現像は現像液を用いて行う。現像液は、露光されていない部分(非露光部)が除去されるのであれば、特に制限なく使用できる。
現像液としては、有機溶剤を含む現像液、又は、アルカリ水溶液を用いることができる。
本発明では、現像液は、ClogP値が−1〜5の有機溶剤を含むことが好ましく、ClogP値が0〜3の有機溶剤を含むことがより好ましい。ClogP値は、ChemBioDrawにて構造式を入力して計算値として求めることができる。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、有機溶剤は、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例:アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−アルキルオキシプロピオン酸メチル、3−アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−アルキルオキシプロピオン酸メチル、2−アルキルオキシプロピオン酸エチル、2−アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン等、並びに、環式炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等、スルホキシド類としてジメチルスルホキシドが好適に挙げられ、また、それらの有機溶剤の混合物も好適に挙げられる。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、本発明では、特にシクロペンタノン、γ−ブチロラクトンが好ましく、シクロペンタノンがより好ましい。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、現像液は、50質量%以上が有機溶剤であることが好ましく、70質量%以上が有機溶剤であることがより好ましく、90質量%以上が有機溶剤であることが更に好ましい。また、現像液は、100質量%が有機溶剤であってもよい。
現像液がアルカリ水溶液である場合、アルカリ水溶液が含みうる塩基性化合物としては、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、KOH(水酸化カリウム)、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくはTMAHである。現像液における塩基性化合物の含有量は、例えばTMAHを用いる場合、現像液全質量中0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.3〜3質量%が更に好ましい。
現像時間としては、10秒〜5分が好ましい。現像時の現像液の温度は、特に定めるものではないが、通常、20〜40℃で行うことができる。
現像液を用いた処理の後、更に、リンスを行ってもよい。リンスは、現像液とは異なる溶剤で行うことが好ましい。例えば、樹脂組成物に含まれる溶剤を用いてリンスすることができる。
現像液が有機溶剤を含む現像液である場合、リンス液としては、PGMEA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、IPA(イソプロパノール)などが挙げられ、好ましくはPGMEAである。また、アルカリ水溶液を含む現像液による現像に対するリンス液としては、水が好ましい。
リンス時間は、5秒〜1分が好ましい。
<加熱工程>
本発明の製造方法は、現像された上記膜を50〜450℃で加熱する工程(加熱工程)を含むことが好ましい。
加熱工程は、膜形成工程(層形成工程)、乾燥工程、及び現像工程の後に含まれることが好ましい。加熱工程では、例えば上述の熱塩基発生剤が分解することにより塩基が発生し、特定樹脂である前駆体の環化反応が進行する。また、本発明の樹脂組成物は特定樹脂である前駆体以外のラジカル重合性化合物を含んでいてもよいが、未反応の特定樹脂である前駆体以外のラジカル重合性化合物の硬化などもこの工程で進行させることができる。加熱工程における層の加熱温度(最高加熱温度)としては、50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることが更に好ましく、150℃以上であることが一層好ましく、160℃以上であることがより一層好ましく、170℃以上であることが更に一層好ましい。上限としては、500℃以下であることが好ましく、450℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることが更に好ましく、250℃以下であることが一層好ましく、220℃以下であることがより一層好ましい。
加熱は、加熱開始時の温度から最高加熱温度まで1〜12℃/分の昇温速度で行うことが好ましく、2〜10℃/分がより好ましく、3〜10℃/分が更に好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることにより、生産性を確保しつつ、アミンの過剰な揮発を防止することができ、昇温速度を12℃/分以下とすることにより、硬化膜の残存応力を緩和することができる。
加熱開始時の温度は、20℃〜150℃が好ましく、20℃〜130℃がより好ましく、25℃〜120℃が更に好ましい。加熱開始時の温度は、最高加熱温度まで加熱する工程を開始する際の温度のことをいう。例えば、樹脂組成物を基材の上に適用した後、乾燥させる場合、この乾燥後の膜(層)の温度であり、例えば、樹脂組成物に含まれる溶剤の沸点よりも、30〜200℃低い温度から徐々に昇温させることが好ましい。
加熱時間(最高加熱温度での加熱時間)は、10〜360分であることが好ましく、20〜300分であることがより好ましく、30〜240分であることが更に好ましい。
特に多層の積層体を形成する場合、硬化膜の層間の密着性の観点から、加熱温度は180℃〜320℃で加熱することが好ましく、180℃〜260℃で加熱することがより好ましい。その理由は定かではないが、この温度とすることで、層間の特定樹脂のエチニル基同士が架橋反応を進行しているためと考えられる。
加熱は段階的に行ってもよい。例として、25℃から180℃まで3℃/分で昇温し、180℃にて60分保持し、180℃から200℃まで2℃/分で昇温し、200℃にて120分保持する、といった前処理工程を行ってもよい。前処理工程としての加熱温度は100〜200℃が好ましく、110〜190℃であることがより好ましく、120〜185℃であることが更に好ましい。この前処理工程においては、米国特許第9159547号明細書に記載のように紫外線を照射しながら処理することも好ましい。このような前処理工程により膜の特性を向上させることが可能である。前処理工程は10秒間〜2時間程度の短い時間で行うとよく、15秒〜30分間がより好ましい。前処理は2段階以上のステップとしてもよく、例えば100〜150℃の範囲で前処理工程1を行い、その後に150〜200℃の範囲で前処理工程2を行ってもよい。
更に、加熱後冷却してもよく、この場合の冷却速度としては、1〜5℃/分であることが好ましい。
加熱工程は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを流す等により、低酸素濃度の雰囲気で行うことが特定樹脂の分解を防ぐ点で好ましい。酸素濃度は、50ppm(体積比)以下が好ましく、20ppm(体積比)以下がより好ましい。
加熱手段としては、特に限定されないが、例えばホットプレート、赤外炉、電熱式オーブン、熱風式オーブンなどが挙げられる。
<金属層形成工程>
本発明の製造方法は、現像後の膜(樹脂組成物層)の表面に金属層を形成する金属層形成工程を含むことが好ましい。
金属層としては、特に限定なく、既存の金属種を使用することができ、銅、アルミニウム、ニッケル、バナジウム、チタン、クロム、コバルト、金及びタングステンが例示され、銅、アルミニウム、及び、これらの金属を含む合金がより好ましく、銅が更に好ましい。
金属層の形成方法は、特に限定なく、既存の方法を適用することができる。例えば、特開2007−157879号公報、特表2001−521288号公報、特開2004−214501号公報、特開2004−101850号公報に記載された方法を使用することができる。例えば、フォトリソグラフィ、リフトオフ、電解メッキ、無電解メッキ、エッチング、印刷、及びこれらを組み合わせた方法などが考えられる。より具体的には、スパッタリング、フォトリソグラフィ及びエッチングを組み合わせたパターニング方法、フォトリソグラフィと電解メッキを組み合わせたパターニング方法が挙げられる。
金属層の厚さとしては、最も厚肉部で、0.1〜50μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
<積層工程>
本発明の製造方法は、更に、積層工程を含むことが好ましい。
積層工程とは、硬化膜(樹脂層)又は金属層の表面に、再度、(a)膜形成工程(層形成工程)、(b)露光工程、(c)現像工程、(d)加熱工程を、この順に行うことを含む一連の工程である。ただし、(a)の膜形成工程のみを繰り返す態様であってもよい。また、(d)加熱工程は積層の最後又は中間に一括して行う態様としてもよい。すなわち、(a)〜(c)の工程を所定の回数繰り返し行い、その後に(d)の加熱をすることで、積層された樹脂組成物層を一括で硬化する態様としてもよい。また、(c)現像工程の後には(e)金属層形成工程を含んでもよく、このときにも都度(d)の加熱を行っても、所定回数積層させた後に一括して(d)の加熱を行ってもよい。積層工程には、更に、上記乾燥工程や加熱工程等を適宜含んでいてもよいことは言うまでもない。
積層工程後、更に積層工程を行う場合には、上記加熱工程後、上記露光工程後、又は、上記金属層形成工程後に、更に、表面活性化処理工程を行ってもよい。表面活性化処理としては、プラズマ処理が例示される。
上記積層工程は、2〜5回行うことが好ましく、3〜5回行うことがより好ましい。
また、積層工程における各層は、組成、形状、膜厚等が同一の層であってもよいし、異なる層であってもよい。
例えば、樹脂層/金属層/樹脂層/金属層/樹脂層/金属層のような、樹脂層が3層以上7層以下の構成が好ましく、3層以上5層以下が更に好ましい。
本発明では特に、金属層を設けた後、更に、上記金属層を覆うように、上記樹脂組成物の硬化膜(樹脂層)を形成する態様が好ましい。具体的には、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程、(d)加熱工程の順序で繰り返す態様、又は、(a)膜形成工程、(b)露光工程、(c)現像工程、(e)金属層形成工程の順序で繰り返し、最後又は中間に一括して(d)加熱工程を設ける態様が挙げられる。樹脂組成物層(樹脂層)を積層する積層工程と、金属層形成工程を交互に行うことにより、樹脂組成物層(樹脂層)と金属層を交互に積層することができる。
本発明は、本発明の硬化膜又は積層体を含む半導体デバイスも開示する。本発明の樹脂組成物を再配線層用層間絶縁膜の形成に用いた半導体デバイスの具体例としては、特開2016−027357号公報の段落0213〜0218の記載及び図1の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。「部」、「%」は特に述べない限り、質量基準である。
<合成例1:ポリマーA−1の合成>
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、4,4’−ビフタル酸二無水物 9.49g(32.25ミリモル)、オキシジフタル酸二無水物 10.0g(32.25ミリモル)をジグリム 140mL中に懸濁させた。2−ヒドロキシエチルメタクリレート 16.8g(129ミリモル)、ヒドロキノン 0.05g、純水 0.05g及びピリジン 10.7g(135ミリモル)を続いて添加し、60℃の温度で18時間撹拌した。次いで、混合物を−20℃まで冷却した後、塩化チオニル 16.1g(135.5ミリモル)を90分かけて滴下した。ピリジニウムヒドロクロリドの白色沈澱が得られた。次いで、混合物を室温まで温め、2時間撹拌した後、ピリジン 9.7g(123ミリモル)及びN−メチルピロリドン(NMP) 25mLを添加し、透明溶液を得た。次いで、得られた透明溶液に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 11.8g(58.7ミリモル)をNMP 100mL中に溶解させたものを、1時間かけて滴下により添加した。次いで、メタノール 5.6g(17.5ミリモル)と3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン 0.05gを加え、混合物を2時間撹拌した。次いで、4リットルの水の中でポリイミド前駆体樹脂を沈殿させ、水−ポリイミド前駆体樹脂混合物を500rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体樹脂を濾過して取得し、4リットルの水の中で再度30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体樹脂を減圧下、45℃で3日間乾燥し、ポリマーA−1を得た。
<合成例2:ポリマーA−2の合成>
撹拌機、コンデンサー及び内部温度計を取りつけた平底ジョイントを備えた乾燥反応器中で水分を除去しながら、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 65.56g(179mmol)、及び、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 2.48g(10mmol)をN−メチルピロリドン(NMP) 300gに溶解させた。続いて、オキシジフタル酸二無水物 62.04g(200mmol)を添加し、40℃の温度で2時間撹拌した。次いで、トルエン 50mL及び3−アミノフェノール 2.18g(10mmol)を添加し、40℃で2時間撹拌した。撹拌後、200ml/minの流量の窒素をフローしながら、温度を180℃に昇温し、6時間撹拌した。
上記反応液を25℃まで冷却した後、p−メトキシフェノール0.005gを加え、溶解した。この溶液に、2−イソシアナトエチルメタクリレート 24.82g(160mmol)を滴下し、25℃で2時間撹拌した後、更に60℃で3時間撹拌した。これを25℃に冷却し、酢酸10gを加えて25℃で1時間撹拌した。撹拌後、2リットルの水/メタノール=75/25(体積比)中で沈殿させ、2,000rpmの速度で30分間撹拌した。析出したポリイミド樹脂を濾過して取得し、1.5リットルの水でかけ洗いした後、濾物を2リットルのメタノールに混合して再度30分間撹拌し再び濾過した。得られたポリイミドを減圧下で、40℃で1日間乾燥し、ポリマーA−2を得た。
<合成例3:ポリマーA−3の合成>
温度計、撹拌機、窒素導入管を備えた3つ口フラスコに27.55g(0.160mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(cis−,trans−混合物、東京化成工業(株)製)と64.28gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、室温で塩化チオニル38.07g(0.320mol)を滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌し、減圧下、過剰量の塩化チオニルを留去することで、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド(cis−,trans−混合物)を30質量%NMP溶液として得た。
温度計、撹拌機、窒素導入管を備えた3つ口フラスコに、73.25g(0.200mol)のヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(Bis−AP−AF、セントラル硝子(株)製)、31.64g(0.400mol)のピリジン及び293gのNMPを添加した。これを室温で撹拌、次いでドライアイス/メタノールバスで−15℃まで冷却した。この溶液に、反応温度を−5℃〜−15℃で維持しながら、30.11g(0.144mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの30質量%NMP溶液と、3.83g(0.016mol)のセバコイルクロリド(東京化成工業(株)製)、96.25gのNMPの混合溶液を滴下した。滴下が完了した後、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。
次に、この反応液を氷/メタノールバスで−5℃以下まで冷却し、反応温度を−0℃以下で維持しながらブチリルクロリド(東京化成工業(株)製) 9.59g(0.090mol)と34.5gのNMPの混合液を滴下した。滴下が完了した後、さらに16時間撹拌した。
この反応液をNMP 550gで希釈し、激しく撹拌した4Lの脱イオン水/メタノール(80/20体積比)混合物中に投入し、析出した白色粉体を濾過によって回収し、そして脱イオン水によって洗浄した。真空下でポリマーを50℃で2日間乾燥させ、樹脂A−1aを得た。
ナスフラスコに25.00gの樹脂A−1a、125gのNMPと125gのメチルエチルケトンを添加し、60℃で内容物が160gになるまで減圧濃縮した。ここに、0.43g(1.85mmol)のカンファースルホン酸(東京化成工業(株)製)と、5.12g(0.065mol)の2,3−ジヒドロフラン(富士フイルム和光純薬(株)製)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。得られた溶液にトリエチルアミン0.37gとNMP 150gを加えて希釈した。
得られた溶液を激しく撹拌した2Lの脱イオン水/メタノール(80/20体積比)混合物中に投入し、析出した白色粉体を濾過によって回収し、そして脱イオン水によって洗浄した。真空下でポリマーを50℃において2日間乾燥させ、ポリマーA−3を得た。
<合成例4:ポリマーA−4の合成>
合成例1において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 11.8g(58.7ミリモル)に代えて、1,6−ジアミノヘキサン 6.82g(58.7ミリモル)を用いた以外は、合成例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA−4を得た。
<合成例5:ポリマーA−5の合成>
20.0g(64.5ミリモル)の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(4,4’−オキシジフタル酸を140℃で12時間乾燥したもの)と、18.6g(129ミリモル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)とを混合し、60℃の温度で18時間撹拌して、4,4’−オキシジフタル酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのジエステルを製造した。次いで、反応混合物を−10℃に冷却し、温度を−10±4℃に保ちながら、16.12g(135.5ミリモル)のSOClを10分かけて加えた。50mLのN−メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mLのN−メチルピロリドンに11.08g(58.7ミリモル)の4,4’−オキシジアニリンを溶解させた溶液を、20〜23℃で20分かけて反応混合物に滴加した。次いで、反応混合物を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水に加えてポリイミド前駆体を沈殿させ、水−ポリイミド前駆体混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体を濾取し、4リットルの水に加えて再度30分間撹拌し、再び濾取した。次いで、得られたポリイミド前駆体を減圧下、45℃で3日間乾燥し、ポリマーA−5を得た。
<合成例6:ポリマーA−6の合成>
ポリマーA−1の合成において、オキシジフタル酸二無水物 10.0g(32.25ミリモル)をオキシジフタル酸二無水物 20.0g(64.50ミリモル)に変更し、4,4’−ビフタル酸ニ無水物を使用しなかった以外は、ポリマーA−1と同様の方法により合成を行い、ポリマーA−1−1を合成した。
また、4,4’−ビフタル酸二無水物 9.49g(32.25ミリモル)、を4,4’−ビフタル酸二無水物 18.98g(64.50ミリモル)に変更し、オキシジフタル酸二無水物を使用しなかった以外は、ポリマーA−1と同様の方法により合成を行い、ポリマーA−1−2を合成した。
得られたポリマーA−1−1と、ポリマーA−1−2とを1:1(質量比)で混合することにより、ポリマーA−6を得た。
<実施例及び比較例>
各実施例において、それぞれ、下記表1〜表3に記載の成分を混合し、各樹脂組成物を得た。また、各比較例において、それぞれ、下記表2に記載の成分を混合し、各比較用組成物を得た。
具体的には、表1〜表3に記載の溶剤以外の成分の含有量は、表1〜表3の各欄に記載の量(質量部)とした。また、各組成物において、溶剤の総含有量は、組成物の固形分濃度(質量%)が表1〜表3に記載の値となるようにし、各溶剤の含有比は、表1〜表3の各欄に記載の数値による質量比となるようにした。
得られた樹脂組成物及び比較用組成物を、細孔の幅が0.8μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通して加圧ろ過した。
また、表1〜表3中、「−」の記載は該当する成分を組成物が含有していないことを示している。
Figure 2021123652
Figure 2021123652
Figure 2021123652
表1〜表3に記載した各成分の詳細は下記の通りである。
〔樹脂〕
・A−1〜A−6:上述の合成例で合成したポリマーA−1〜A−6
〔ラジカル架橋剤〕
・B−1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
・B−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・B−3:ライトエステルBP−6EM(共栄化学(株)製)
〔酸架橋剤〕
・B−4:二カラックMX−270((株)三和ケミカル製)
〔感光性化合物〕
・C−1:Irgacure 784(BASF社製)
・C−2:Irgacure OXE−01(BASF社製)
・C−3:ADEKA NCI−930((株)ADEKA製)
・C−4:下記式(C−4)で表される光酸発生剤(BASF社製、PAG−103)
Figure 2021123652
〔シランカップリング剤〕
・D−1:N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸
・D−2:ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸
・D−3:IM−1000(JX金属(株)製)
・D−4:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製、KBM−403)
・D−5:N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイン酸モノアミド
〔重合禁止剤〕
・E−1:2−ニトロソ−1−ナフトール
・E−2:4−メトキシフェノール(MEHQ)
・E−3:4−メトキシ−1−ナフトール
・E−4:p−ベンゾキノン
・E−5:下記式(E−5)で表される化合物
・E−6:N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン
・E−7:フェノチアジン
・E−8:2,4−ジ−tert−ブチルフェノール
・E−9:ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン
・E−10:ヒドロキノン
・E−11:メトキシヒドロキノン
・E−12:1,4−ナフトキノン
・E−13:t−ブチルカテコール
Figure 2021123652
〔添加剤〕
・F−1:7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸エチル
・F−2:1H−テトラゾール
・F−3:N−フェニルジエタノールアミン
・F−4:1,3−ジブチルチオウレア
〔熱酸発生剤〕
・G−1:p−トルエンスルホン酸イソプロピル
〔熱塩基発生剤〕
・H−1:下記式(H−1)に記載の化合物
Figure 2021123652
〔界面活性剤〕
・I−1:ビスコート8FM(大阪有機化学工業(株)製)
・I−2:グリセリンステアリン酸エステル
・I−3:ビスコート4F(大阪有機化学工業(株)製)
・I−4:ビスコート8F(大阪有機化学工業(株)製)
・I−5:メガファックDS−21(DIC(株)製)
・I−6:1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)ペンタントリシロキサン
・I−7:PF−6520(北村化学産業(株)製)
上記I−7は、上述の条件1及び条件2のいずれをも満たさない界面活性剤である。
〔溶剤〕
・S−1:γ−ブチロラクトン
・S−2:ジメチルスルホキシド
表1〜表3中、「溶剤中比率」の欄の記載は、溶剤の全質量に対する各溶剤の含有量(質量%)を示している。
<評価>
〔複数層の形成時の欠陥の評価〕
各実施例及び比較例において調製した樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれ、銅基板上にスピンコート法により層状に適用して、樹脂層1を形成した。得られた樹脂層1を形成した銅基板をホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、銅基板上に表1〜表3の「膜厚(μm)」の欄に記載の厚さの樹脂組成物層1又は比較用組成物層1を形成した。
感光剤としてC−1〜C−3のいずれかを含む樹脂組成物又は比較用組成物を用いた例においては、樹脂組成物層1又は比較用組成物層1を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーでi線により全面露光し、樹脂層1−2を得た。
感光剤としてC−4を含む樹脂組成物を用いた例においては、樹脂組成物層1に対して全面露光を行わず、樹脂組成物層1をそのまま樹脂層1−2とした。
さらに、上記樹脂層1−2に対し、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1〜表3の「キュア温度(℃)」の欄に記載された温度に達した後、この温度を表1〜表3の「キュア時間(min)」の欄に記載された時間において維持し、樹脂膜を得た。
上記樹脂組成物層1又は比較用組成物層1の形成に用いた組成物と同一の樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれ、上記樹脂膜上にスピンコート法により層状に適用して、樹脂層2を形成した。得られた樹脂層2を形成した銅基板をホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、樹脂組成物層1又は比較用組成物層1上に表1〜表3の「膜厚(μm)」の欄に記載の厚さの樹脂組成物層2又は比較用組成物層2を形成した。
感光剤としてC−1〜C−3のいずれかを含む樹脂組成物又は比較用組成物を用いた例においては、樹脂組成物層2又は比較用組成物層2を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーでi線により全面露光し、樹脂層2−2を得た。
感光剤としてC−4を含む樹脂組成物を用いた例においては、樹脂組成物層1に対して全面露光を行わず、樹脂組成物層1をそのまま樹脂層2−2とした。
さらに、上記樹脂層2−2に対し、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1〜表3の「キュア温度(℃)」の欄に記載された温度に達した後、この温度を表1〜表3の「キュア時間(min)」の欄に記載された時間において維持し、樹脂膜2を得た。
樹脂膜2について、光学顕微鏡を用いて空隙(ボイド)の発生を確認した。1mmの領域において発生した空隙の数を指標値とし、下記評価基準に従い評価した。
−評価基準−
A:空隙の数が1mmあたり3個以下であった。
B:空隙の数が1mmあたり3個を超え10個以下であった。
C:空隙の数が1mmあたり10個を超えた。
<評価>
〔金属密着性の評価〕
各実施例及び比較例において調製した樹脂組成物又は比較用組成物を、それぞれ、銅基板上にスピンコート法により層状に適用して、樹脂層を形成した。得られた樹脂層を形成した銅基板をホットプレート上で、100℃で5分間乾燥し、銅基板上に表1〜表3の「膜厚(μm)」の欄に記載の厚さの樹脂組成物層又は比較用組成物層を形成した。
感光剤としてC−1〜C−3のいずれかを含む樹脂組成物又は比較用組成物を用いた例においては、銅基板上の樹脂組成物層又は比較用組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、500mJ/cmの露光エネルギーで100μm四方の正方形状の非マスク部が形成されたフォトマスクを使用してi線により露光した。
感光剤としてC−4を含む樹脂組成物を用いた例においては、銅基板上の樹脂組成物層を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用いて、150mJ/cmの露光エネルギーで100μm四方の正方形状のマスク部が形成されたフォトマスクを使用してi線により露光した。
上記露光後、表1〜表3の「現像液」の欄に「S」と記載された例においては、シクロペンタノンで60秒間現像して、100μm四方の正方形状の樹脂層を得た。
また、上記露光後、表1〜表3の「現像液」の欄に「A」と記載された例においては、2.3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で30秒間現像して、100μm四方の正方形状の樹脂層を得た。
さらに、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、表1〜表3の「キュア温度(℃)」の欄に記載された温度に達した後、この温度を表1〜表3の「キュア時間(min)」の欄に記載された時間において維持し、樹脂膜2を得た。
銅基板上の100μm四方の正方形状の樹脂膜2に対して、25℃、65%相対湿度(RH)の環境下にて、ボンドテスター(XYZTEC社製、CondorSigma)を用いて、せん断力を測定し、下記評価基準に従って評価した。評価結果は表1〜表3の「金属密着性」の欄に記載した。せん断力が大きければ大きいほど硬化膜の金属密着性(銅密着性)に優れるといえる。
−評価基準−
A:せん断力が40gfを超えた。
B:せん断力が30gfを超えて40gf以下であった。
C:せん断力が30gf以下であった。
また、1gfは0.00980665Nである。
以上の結果から、本発明の樹脂組成物によれば、金属密着性に優れた硬化膜が得られることがわかる。
比較例1に係る比較用組成物は、界面活性剤を含まない。このような比較用組成物によれば、金属密着性に劣ることがわかる。
また、比較例2に係る比較用組成物は、上述の条件1及び条件2のいずれをも満たさない界面活性剤のみを含む。このような比較用組成物によれば、金属密着性に劣ることがわかる。
<実施例101>
実施例1において使用した樹脂組成物を、表面に銅薄層が形成された樹脂基材の銅薄層の表面にスピンコート法により層状に適用して、100℃で4分間乾燥し、膜厚20μmの樹脂組成物層を形成した後、ステッパー((株)ニコン製、NSR1505 i6)を用いて露光した。露光はマスク(パターンが1:1ラインアンドスペースであり、線幅が10μmであるバイナリマスク)を介して、波長365nmで行った。露光後、100℃で4分間加熱した。上記加熱後、シクロヘキサノンで2分間現像し、PGMEAで30秒間リンスし、層のパターンを得た。
次いで、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で昇温し、230℃に達した後、230℃で120分間維持して、再配線層用層間絶縁膜を形成した。この再配線層用層間絶縁膜は、絶縁性に優れていた。
また、これらの再配線層用層間絶縁膜を使用して半導体デバイスを製造したところ、問題なく動作することを確認した。

Claims (17)

  1. ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂と、
    下記条件1及び条件2の少なくとも一方を満たす界面活性剤と、を含む
    樹脂組成物;
    条件1:分子量が500以下である;
    条件2:250℃の加熱で分解可能である。
  2. 前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記界面活性剤が、フッ素原子を有する化合物である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記界面活性剤の、単独での揮発性が25℃、1気圧において1μm/分以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記界面活性剤の、樹脂組成物に含まれる全ての界面活性剤の総質量に対する含有量が50質量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. ラクトン系溶剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂として、少なくとも2種の樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 有機溶剤を含む現像液を用いた現像に供される膜の形成に用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 本発明の樹脂組成物からなる膜であって、上記膜の上に、他の組成物からなり、かつ、上記膜と接する別の膜が形成される膜の形成に用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 加熱を含む工程に供される膜の形成に用いられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 再配線層用層間絶縁膜の形成に用いられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
  13. 請求項12に記載の硬化膜を2層以上含み、前記硬化膜同士のいずれかの間に金属層を含む積層体。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を基板に適用して膜を形成する膜形成工程を含む、硬化膜の製造方法。
  15. 前記膜を露光する露光工程及び前記膜を現像する現像工程を含む、請求項14に記載の硬化膜の製造方法。
  16. 前記膜を、50〜450℃で加熱する加熱工程を含む、請求項14又は15に記載の硬化膜の製造方法。
  17. 請求項12に記載の硬化膜又は請求項13に記載の積層体を含む、半導体デバイス。
JP2020017972A 2020-02-05 2020-02-05 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス Active JP7431050B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020017972A JP7431050B2 (ja) 2020-02-05 2020-02-05 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
TW110102234A TW202130707A (zh) 2020-02-05 2021-01-21 樹脂組成物、硬化膜、積層體、硬化膜的製造方法及半導體元件

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020017972A JP7431050B2 (ja) 2020-02-05 2020-02-05 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021123652A true JP2021123652A (ja) 2021-08-30
JP7431050B2 JP7431050B2 (ja) 2024-02-14

Family

ID=77458231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020017972A Active JP7431050B2 (ja) 2020-02-05 2020-02-05 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7431050B2 (ja)
TW (1) TW202130707A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023195322A1 (ja) * 2022-04-06 2023-10-12 Hdマイクロシステムズ株式会社 半導体装置の製造方法、ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料及び半導体装置
WO2023202390A1 (zh) * 2022-04-18 2023-10-26 台州观宇科技有限公司 一种光刻胶组成物及使装置图案化的方法
WO2024071237A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 富士フイルム株式会社 樹脂組成物、硬化物、積層体、硬化物の製造方法、積層体の製造方法、半導体デバイスの製造方法、及び、半導体デバイス

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012159601A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物
WO2012165448A1 (ja) * 2011-06-01 2012-12-06 日本ゼオン株式会社 樹脂組成物および半導体素子基板
JP2015165015A (ja) * 2014-02-06 2015-09-17 三菱化学株式会社 ポリイミド樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたポリイミドフィルム及びデバイスフィルム
JP2015178542A (ja) * 2014-03-18 2015-10-08 富士ゼロックス株式会社 ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド成形体の製造方法、及びポリイミド成形体
JP2017098290A (ja) * 2015-11-18 2017-06-01 富士フイルム株式会社 表示素子の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012159601A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物
WO2012165448A1 (ja) * 2011-06-01 2012-12-06 日本ゼオン株式会社 樹脂組成物および半導体素子基板
JP2015165015A (ja) * 2014-02-06 2015-09-17 三菱化学株式会社 ポリイミド樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたポリイミドフィルム及びデバイスフィルム
JP2015178542A (ja) * 2014-03-18 2015-10-08 富士ゼロックス株式会社 ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド成形体の製造方法、及びポリイミド成形体
JP2017098290A (ja) * 2015-11-18 2017-06-01 富士フイルム株式会社 表示素子の製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
高野 啓: "第15章 熱分解型フッ素系界面活性剤の開発", 界面活性剤の最新研究・素材開発と活用技術, JPN6022054078, 22 August 2016 (2016-08-22), pages 134 - 141, ISSN: 0004953538 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023195322A1 (ja) * 2022-04-06 2023-10-12 Hdマイクロシステムズ株式会社 半導体装置の製造方法、ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料及び半導体装置
WO2023202390A1 (zh) * 2022-04-18 2023-10-26 台州观宇科技有限公司 一种光刻胶组成物及使装置图案化的方法
WO2024071237A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 富士フイルム株式会社 樹脂組成物、硬化物、積層体、硬化物の製造方法、積層体の製造方法、半導体デバイスの製造方法、及び、半導体デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
TW202130707A (zh) 2021-08-16
JP7431050B2 (ja) 2024-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7431050B2 (ja) 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
TWI802640B (zh) 感光性樹脂組成物、樹脂、硬化膜、積層體、硬化膜之製造方法、半導體元件
JP2020154205A (ja) パターン形成方法、硬化性樹脂組成物、膜、硬化膜、積層体、及び、半導体デバイス
JP7261882B2 (ja) 熱硬化性感光性組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
WO2021172420A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
WO2020255859A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、及び、ポリイミド、又は、ポリイミド前駆体
WO2021172421A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
JP7470790B2 (ja) 感光性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
TW202045590A (zh) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層體、硬化膜的製造方法及半導體器件
WO2021246457A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
JPWO2020066975A1 (ja) 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、および半導体デバイス
WO2021246459A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
WO2021157643A1 (ja) 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
WO2021132578A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
WO2021039782A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、樹脂、及び、樹脂の製造方法
TW202116876A (zh) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層體、硬化膜的製造方法、半導體器件、樹脂及樹脂的製造方法
TW202110958A (zh) 硬化性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物的製造方法、硬化膜、積層體、硬化膜的製造方法及半導體器件
WO2020255825A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、半導体デバイス、及び、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体、又は、ポリベンゾオキサゾール前駆体
JP7196121B2 (ja) パターン形成方法、感光性樹脂組成物、積層体の製造方法、及び、電子デバイスの製造方法
JP7334248B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
JP7367049B2 (ja) パターン形成方法、感光性樹脂組成物、積層体の製造方法、及び、半導体デバイスの製造方法
WO2021157306A1 (ja) 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
WO2021157571A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、樹脂膜、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、及び、半導体デバイス
JPWO2020080217A1 (ja) 樹脂組成物、硬化膜、積層体、硬化膜の製造方法、および半導体デバイス
JP7478806B2 (ja) 有機膜及びその製造方法、組成物、積層体、及び、半導体デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230606

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231004

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7431050

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150