JP2021122765A - 土壌浄化の解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】土粒子の間隙に入り込んだ浄化対象物質の影響を定量的に評価できる土壌浄化の解析方法の提供を目的とする。
【解決手段】土壌浄化の解析方法10は、地下土壌32の内部へ注水すると共に地下土壌32の内部から揚水することにより地下土壌32の内部の地下水WGに対する汚染物質の濃度を低下させる土壌浄化を評価する方法に用いられ、地下土壌32の土粒子SPの表面に吸着し、地下水WGへ溶出する汚染物質の第1質量と、土粒子SPの間隙に吸着し、地下水WGへ溶出する汚染物質の第2質量と、を含めて地下水WGにおける汚染物質の濃度と浄化時間の関係を演算する。
【選択図】図2

Description

本発明は、土壌浄化の解析方法に関する。
特許文献1には、予備試験の結果に適合するようにパラメータ値を決定したシミュレーション解析により浄化対象物の濃度及び分解微生物の濃度の経時変化を予測し、これに基づいて土壌・地下水の浄化を行う土壌・地下水の浄化方法及び浄化効果予測方法が開示されている。
特開2012−187547号公報
地盤内の浄化対象物質は土壌表面に吸着すると共に土粒子の間隙内に入り込む。しかしながら、特許文献1に示されるようなシミュレーション解析では、土粒子の間隙に入り込んだ浄化対象物質は考慮されていない。例えば、地盤内に注水することにより土壌浄化する場合、土壌の土粒子の表面に吸着した浄化対象物質は水と共に流されやすいため比較的速やかに浄化されやすい。これに対して、土粒子の間隙に入り込んだ浄化対象物質は浄化されにくい。このため、地下水における浄化対象物質の濃度が一時的に基準値以下になったとしても、土粒子の間隙に入り込んだ浄化対象物質が地下水に流出し、地下水における浄化対象物質の濃度が再び上昇する可能性がある。
本発明は上記事実を考慮し、本発明は上記事実を考慮し、土粒子の間隙に入り込んだ浄化対象物質の影響を定量的に評価できる土壌浄化の解析方法を得ることを目的とする。
第1態様の土壌浄化の解析方法は、地盤の内部へ注水すると共に前記地盤の内部から揚水することにより前記地盤の内部の地下水に対する浄化対象物質の濃度を低下させる土壌浄化を評価する方法に用いられ、前記地盤の土壌の土粒子の表面に吸着し、前記地下水へ溶出する前記浄化対象物質の第1質量と、前記土粒子の間隙に吸着し、前記地下水へ溶出する前記浄化対象物質の第2質量と、を含めて前記地下水における前記浄化対象物質の濃度と浄化時間の関係を演算する。
第1態様の土壌浄化の解析方法によれば、地盤の土壌の土粒子の表面に吸着した浄化対象物質の第1質量と、土粒子の間隙に吸着した浄化対象物質の第2質量を考慮して地下水における浄化対象物質の濃度と浄化時間の関係を演算する。このため、地盤の土壌の土粒子の表面に吸着した浄化対象物質が注水した水で除去され地下水中の浄化対象物質の濃度が下がった時点で浄化終了と判断する従来方法と比較して、土粒子の間隙に吸着した浄化対象物質が地下水へ溶出する第2質量の除去まで考慮することができる。これにより、浄化時間と地下水中の浄化対象物質の濃度との関係が正確に把握できる。
第2態様の土壌浄化の解析方法は、第1態様の土壌浄化の解析方法において、前記第1質量は前記地下水に対する前記浄化対象物質の濃度と前記土粒子の表面への吸着の効果を表す第1係数の関数を含む質量保存式により算出されると共に、前記第2質量は前記地下水に対する前記浄化対象物質の濃度と前記土粒子の間隙への吸着の効果を表す第2係数の関数を含む質量保存式により算出され、前記第1係数と前記第2係数は室内試験によって求められる。
第2態様の土壌浄化の解析方法によれば、第1質量は、地下水に対する浄化対象物質の濃度と土粒子の表面への吸着の効果を表す第1係数との関数を含む質量保存式から算出される。また、第2質量は、地下水に対する浄化対象物質の濃度と土粒子の間隙への吸着の効果を表す第2係数の関数を含む質量保存式から算出される。さらに、第1係数と第2係数は、室内試験によって求めることができる。このため、浄化対象物質の濃度と浄化時間の関係を精度よく推定することができる。これにより、浄化対象物質が土粒子の間隙から地下水へ溶出して再び土壌を汚染することを抑制できる適切な浄化期間で土壌浄化をすることができる。
以上説明したように、本発明に係る土壌浄化の解析方法は、土粒子の間隙に入り込んだ浄化対象物質の影響を定量的に評価できるという優れた効果を有する。
本実施形態に係る土壌浄化の解析方法を実行するための解析システムのブロック図である。 本実施形態に係る土壌浄化の効果を評価する対象となる汚染土壌浄化システムであり、(A)は平面図、(B)は縦断面図を表す。 本実施形態に係る地下土壌の間隙に入り込んで吸着する汚染物質の説明図である。 本実施形態に係る通気試験を行うための通気試験装置の構成図である。 本実施形態に係る通水試験を行うための通水試験装置の構成図である。 本実施形態に係る土壌浄化の解析方法により算出された汚染物質の濃度と浄化時間の関係の分析データとの比較例である。
以下、図1〜図6を用いて本発明に係る土壌浄化の解析方法を適用した解析システム10の一実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係る土壌浄化の解析方法を実行するための解析システム10のハードウェア構成を示すブロック図が示されている。解析システム10は、CPU(Central Processing Unit : プロセッサ)12と、ROM(Read Only Memory)14と、RAM(Random Access Memory)16と、ストレージ18と、ユーザインタフェース20と、を含んで構成されている。各構成は、バス22を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU12は、中央演算処理ユニットであり、解析システム10に格納されているプログラムを実行し、解析システム10の各構成部分を制御する。具体的には、CPU12は、ROM14又はストレージ18からプログラムを読み出し、RAM16を作業領域としてプログラムを実行する。また、CPU12は、ROM14又はストレージ18に格納されているプログラムに従って、解析システム10の演算処理を行う。本実施形態では、ROM14又はストレージ18には、土壌浄化の解析を行う解析プログラム(図示省略)が格納されている。
ROM14は、解析プログラムおよび各種データを格納する。RAM16は、作業領域として一時的に解析プログラム又はデータを記憶する。ストレージ18は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含むプログラム及びデータを格納する。
ユーザインタフェース20は、後述する汚染土壌浄化システム30(図2参照)に係る地下土壌32の内部や地下水WGの観測データを入力データすると共に解析結果を出力データとする入出力手段である。ユーザインタフェース20は、CPU12に接続され、キーボードから汚染土壌浄化システム30についての入力データを取得し、出力データを保存するためのインターフェイス等を含んで構成されている。また、ユーザインタフェース20は、ディスプレイやプリンタ等を含んで構成されている。
なお、本実施形態では、ストレージ18は、解析システム10に内蔵されているとしたが、これに限らず、解析システム10に外部接続されたものであってもよい。また、ストレージ18は一台に限らず複数台設けられてもよい。
(汚染土壌浄化システム)
図2(A)及び(B)には、解析システム10による土壌浄化の評価の対象とされる汚染土壌浄化システム30が示されている。汚染土壌浄化システム30とは、地盤としての地下土壌32内に含まれる浄化対象物質としての汚染物質を分解し、浄化するためのシステムである。汚染土壌浄化システム30は、地下土壌32に配設された揚水井戸34及び注水井戸36と、注水井戸36から注水する水を加温する図示しない加温装置を含んで構成されている。なお、以下の説明では、注水井戸36から注水される水は加温されているとして説明するが、これに限らず、加温されていない水が注水井戸から注水されてもよい。
(汚染土壌)
地下土壌32は、地表面GSよりも下方側の土壌であり、砂を含んで形成されると共に地下水WGが流れる帯水層32Aと、帯水層32Aの下方側(地下側)を形成し、地下水WGが流れない粘土層(不透水層)32Bと、帯水層32Aの上方側(地上側)を形成する地層32Cと、を含んで構成されている。地下土壌32のうち、汚染物質が基準値(例えば、汚染物質の種類毎に規定された値)以上含まれている部分を、汚染土壌Eと称する。ここで、「汚染物質」とは、例えば、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、クロロエチレン、塩化ビニルモノマー、ベンゼン等の有機物、シアン等の無機化合物、及びガソリンや軽油等の鉱油類を含む概念である。
図2には、地下水位Hが一点鎖線で示されると共に、地下土壌32内における地下水WGの流れWFの向きが破線の矢印で示されている。ここでの地下水WGの流れWFとは、注水井戸36から地下土壌32へ注水され、揚水井戸34から地下水WGを回収(揚水)することにより発生する流れを表す。
(遮水壁)
汚染土壌Eの外側の地下土壌32には、汚染土壌Eを囲むように下端が粘土層32Bまで根入れされたソイルセメント製の遮水壁38が配置されている。このため、汚染土壌Eは遮水壁38と粘土層32Bに囲まれることとなり、汚染物質が遮水壁38の外側の地下土壌32へ流出することを抑制することができる。具体的には、遮水壁38の外側の地下土壌32における地下水WGの流れと汚染土壌Eの内部における地下水WGの流れWFとを遮断し、地下土壌32における地下水WGが汚染土壌Eの外側の地下土壌32に影響を及ぼさないように構成されている。
(揚水井戸)
汚染土壌Eと遮水壁38との間に、地下土壌32から地下水WGを揚水する1本又は複数本の揚水井戸34が配置されている(図2中には1本図示されている)。また、揚水井戸34は、例えば、塩化ビニール管や鋼管等により構成され、帯水層32Aに配置する部位に地下水WGを取水するための孔またはスリットによって形成されたスクリーン(図示省略)を備えており、スクリーンは、浄化対象の帯水層32Aに対して設置されている。このため、帯水層32Aの地下水WGを揚水井戸34内に流入させることができる。ここで、揚水井戸34による揚水の具体的な方法や揚水井戸34の形状、サイズ等については公知であるため、詳細な説明を省略する。
揚水井戸34は、地上GLまで延在され、内部にはポンプ40が配置されている。このため、揚水井戸34に貯水された地下水WGは、ポンプ40により地上GLの浄化装置(図示省略)へ送られる。
(注水井戸)
汚染土壌Eと揚水井戸34から離れた側の遮水壁38との間に、ポンプ40を用いて揚水された地下水WG又は水道水、蒸留水、汚染物質の水溶液(以下、水等WTと称する)を地下土壌32に注水する1本又は複数本の注水井戸36(図2中には1本図示されている)が配置されている。注水井戸36は、浄化対象の帯水層32Aに到達するように地下土壌32に埋設されている。また、注水井戸36は、例えば、塩化ビニール管や鋼管等により構成され、帯水層32Aに配置する部位に水等WTを流出させるための孔またはスリットによって形成されたスクリーン(図示省略)を備えている。また、水等WTは、ヒーター等を備えた加温装置により加温された温水HWとして地下土壌32に注水される。このため、注水井戸36から帯水層32Aへ加温された水等WT(温水HW)を流出させることができる。これにより、地下土壌32内を加温し、汚染物質を生物分解する分解微生物MCの増殖を促進すると共に分解微生物MCの活性を向上することができる。ここで、注水井戸36の形状、サイズ等については公知であるため、詳細な説明を省略する。なお、加温装置により加温された水等WTには、加温された上で微生物活性剤が添加されてもよい。さらに、水等WTには、栄養剤や蛍光センサーが混合されてもよい。
(移流分散方程式)
解析システム10は、例えば、汚染土壌浄化システム30に基づき設定された初期条件や境界条件(例えば、井戸の配置、注水量及び揚水量等)について移流分散方程式を演算することにより地下土壌32の内部における汚染物質の地下水WGに対する濃度の時間変化を求める(算出する)。これにより、地下土壌32の浄化の効果を評価することができる。地下水WG(溶媒)に溶解している汚染物質(溶質)の挙動は、主に(1)移流、(2)分散、(3)拡散、(4)吸着(遅延)、(5)分解(減衰反応)の組み合わせで表現することができる。
(1)移流:地下水WGの移動により、地下水WGに溶けた汚染物質(化学物質)も一緒に移動する現象である。
(2)分散:地下水WGに溶解した汚染物質が地下土壌32の内部を移動する際に、地下土壌32の内部の間隙のミクロな分岐によって地下水WGの流速が不均質になる。このため、例えば、地下水WGが地盤内の異なる地点に到達したり、同じ地点に早く又は遅く到達したりする。これにより、物質の移動速度が地盤内で一律(一様)ではなくなると共に水に溶けた化学物質の濃度も一律でなくなるため地盤内で分布を生じる現象である。
(3)拡散:化学物質の分子のブラウン運動により拡散していくことにより水に溶けている化学物質の濃度が地盤内で分布を生じる現象である。
(4)吸着(遅延):水に溶けた化学物質の分子が地盤内において土壌の表面あるいは土粒子内部間隙に取り込まれる(吸着する)現象をいう。一旦吸着された化学物質の分子が、再び地下水中に放出される現象は脱離という。化学物質が地下水の流れにのって地盤中を移動する場合、吸着作用があれば、吸着が無い場合よりも化学物質の下流への到達時間は遅くなる。このため、吸着は遅延の効果として現れる。
(5)分解:地盤中において地下水に溶解している化学物質が、例えば、分解微生物MCにより別の物質へ分解されることにより水に溶けた化学物質の濃度が変化する現象(減衰現象)である。
移流、分散、拡散、吸着(遅延)及び分解(減衰反応)の組み合わせにより表現される移流分散方程式は、一般的には次式のように表すことができる。
Figure 2021122765
(1)
Figure 2021122765
(2)
ここで、cは水に溶けた汚染物質の濃度、Rは吸着の効果を表す吸着(遅延)係数、Dは分散と拡散の効果を表す分散拡散係数、vは土壌内の流速、λは減衰係数、ρは土粒子の密度、Kは分配係数、nは有効間隙率を表す。また、tは時間を表す変数、xは空間を表す変数である。
図3には、土粒子SPの内部にある間隙GPが模式的に図示されている。本実施形態に係る汚染土壌浄化システム30では、地下土壌32における土粒子SPの表面SFに吸着する浄化対象物質としての汚染物質(溶質k)だけでなく土粒子SPに形成された間隙GPに入り込んで吸着する汚染物質(溶質k)の影響も評価する。このため、土粒子SPの表面SFにおける溶質kの質量保存式と土粒子SPの間隙GPにおける溶質kの質量保存式を各々定義し、これらの質量保存式と上記(1)式で表される移流分散方程式の連立方程式を演算する。土粒子SPの表面SFにおける溶質kの質量保存式を下記の(3)式のように表すことができる。また、土粒子SPの間隙GPにおける溶質kの質量保存式を下記の(4)式のように表すことができる。
Figure 2021122765
(3)
Figure 2021122765
(4)
(3)式は、溶質kの土粒子SPの表面SFと地下水WGとの間における質量保存則を表す。ここで、Xw kは地下水WGに溶解している溶質kの濃度、Xw k2は土粒子SP内に吸着している溶質kが土粒子SPの間隙GPに全て溶出した場合の溶質kの地下水WGに対する濃度、Swは土粒子SPの間隙GPの体積に対する水等WTの体積の割合をそれぞれ表す。また、ρwは地下水GWの密度(比重)、ρRは地下土壌32の密度(比重)、φは土壌間隙率、Kd kは土粒子SPの表面SFへの吸着の効果を表す溶質kについての第1係数として分配係数Kd、uwは地下水WGの流速、βk2は地下水WG中において溶質kが土粒子SPの間隙GPへ移行する効果を表す第2係数としての物質移動係数を表す。さらに、Kd2 k2は土粒子SPの間隙GPへ移行する溶質kの質量の限界質量を表す第2係数としての飽和分配係数を表す。
(3)式の左辺第1項は地下水WGにおける溶質kの質量を表し、左辺第2項は土粒子SPの表面に吸着している第1質量としての溶質kの質量を表す。また、(3)式の右辺第1項は地下水WGの流れWF(図2参照)に伴って移流する溶質kの質量の変化量(収支)を表し、右辺第2項は拡散によって移動する溶質kの質量の収支を表し、右辺第3項は土粒子SPの表面SFや地下水WGと土粒子SPの間隙GPとの間を移動する第2質量としての溶質kの質量の収支を表す。右辺第3項のかっこ内は、正の値となる場合は地下水WG中の溶質kが土粒子SPの間隙GPへ入り込んで吸着する状態を表し、負の値となる場合は溶質kが土粒子SPの間隙GPから脱離して地下水WG中へ溶出する状態を表す。
(4)式は、溶質kの土粒子SPの間隙GPと地下水WGとの間における質量保存則を表す。(4)式の左辺は、土粒子SPの表面SFにおける溶質kの質量を表す。(4)式の右辺は、第2質量を土粒子SPの間隙GPの側から表した式であり、(3)式の右辺第3項と正負が逆転している。
(分配係数の算出方法)
図4には、浄化対象区域における汚染されていない(汚染物質を含まない)の地下土壌32に汚染物質を含有するガスGGを通気させるための通気試験装置42が示されている。第1係数としての分配係数Kは、一定温度に保たれた実験室内(恒温室内)における通気試験に基づいて算出することができる。通気試験では浄化対象区域における汚染されていない(汚染物質を含まない)の地下土壌32が充填された複数のカラム44に汚染物質を気化したガスGGを数日以上通気する。これにより、汚染土壌Eを模擬し、当該汚染土壌Eの吸着係数R(分配係数K)を算出することができる。また、複数の温度条件下で通気試験を行うことにより温度変化が分配係数Kに及ぼす影響(温度依存性)も評価することができる。
通気試験では、はじめに、空気精製用のカラム46を経由してガス発生装置48に流入した空気と気化した汚染物質をガス発生装置48において混合することによりガスGGを生成する。次に、生成したガスGGを純水PWが注入された容器CO1とガスGGの流れを整流するためのガラスビーズ(図示省略)が注入された容器CO2を経由させてカラム44に数日以上通気する。カラム44に通気されたガスGGは、排ガス処理用のカラム50を通過(通気)して処理される。
分配係数Kは、以下のようにして算出することができる。初めに、ガス採取口52からカラム44を通過したガスGGを採取して平衡気相濃度CGを測定する。平衡気相濃度CGから気液平衡関係を用いて地下土壌32の土壌間隙水中の平衡水相濃度CWを算出する。平衡気相濃度CGと平衡水相濃度CWの気液平衡関係は、CW=HGW/CGで表される。ここで、HGWは、いわゆるヘンリー定数であり、汚染物質毎に設定されている。
次に、カラム44から取り出した地下土壌32をガスクロマトグラフ質量分析法によって分析し、地下土壌32中に定着している(残留している)汚染物質の総量Mhを測定する。また、地下土壌32の乾燥重量Wsdryと湿潤重量Wsを測定し、湿潤重量Wsと乾燥重量Wsdryの差から土壌間隙水体積Vwを算出する。さらに、いわゆる、土壌間隙水の水相と土壌相との物質収支式Mh=CW×Vw+CSW×Wsdryから、土壌吸着量CSWを算出する。
最後に、平衡水相濃度CWと土壌吸着量CSWの間にはヘンリー型の吸着等温式に基づく比例関係が成り立つことを前提として吸着平衡定数HSW(=CS/CSW)を算出する。ここで、吸着平衡定数HSWは分配係数Kと等価な値となるため吸着平衡定数HSWを算出することにより分配係数Kを算出できる。さらに、吸着平衡定数HSWは温度依存性を有しているため、平衡水相濃度CWと土壌吸着量CSWを算出し、吸着平衡定数HSWを算出する工程を複数の温度状態(恒温室の温度を変えた状態)で行うことにより吸着平衡定数HSWの温度依存性を測定することができる。
(物質移動係数と飽和分配係数の算出方法)
図5には、物質移動係数βk2と飽和分配係数Kd2 k2の算出するために汚染物質を含む地下土壌32に水等WTを所定の期間通水するための通水試験装置56が示されている。通水試験装置56は、一定温度に保たれた実験室内(恒温室内)に設置されている。通水試験ではカラム58に充填された地下土壌32に汚染物質を吸着した上で、カラム58に汚染物質を含まない水等WTを連続して通水し、カラム58を通過した水等WTに対する汚染物質の濃度の時間変化から、物質移動係数βk2と飽和分配係数Kd2 k2を算出する。
通水試験では、はじめに、複数のカラム58に浄化対象区域の汚染されていない(汚染物質を含まない)地下土壌32を充填する。カラム58の軸方向両端は、両端から各々所定の範囲(例えば、約2cmの範囲)に清流用のガラスビーズ(図示省略)が注入された上でガラス製のポーラスプレートにより蓋がされる。複数のカラム58は通水管60を介して直列的に接続され、通水管60の上流側は、汚染物質を混合した水等WT(水溶液)を生成し、貯留する貯留槽62及び貯留槽62の水等WTをカラム58へ通水するためのポンプ64と接続されている。複数のカラム58の下流側(通水管60の下流側)は、汚染物質を混合した水等WTを排水するために汚染物質を除去する活性炭カラム66と接続されている。
地下土壌32が充填された通水試験装置56の複数のカラム58には、汚染物質の水溶液WT(水等WT)が所定の期間(例えば、1週間)連続して通水される。ここで、汚染物質の濃度は、例えば、10mg/Lに調製され、通水速度は、例えば、0.2mL〜1.0mL/Minに設定されている。また、通水中には、例えば、数時間〜数日間隔で試料採取口68から水等WTを採取して水等WTに対する汚染物質の濃度を測定する。通水は、汚染物質の濃度が一定値(平衡状態)となってから、例えば、50時間以上経過するまで通水を継続する。なお、ここでは、汚染物質が吸着していない地下土壌32が用いられるとして説明するが、これに限らず、汚染物質が吸着している(汚染されている)地下土壌が通水試験に用いられてもよい。この場合には、汚染物質の水溶液を地下土壌に通水する工程が省略されてもよい。
汚染物質が吸着したカラム58中の地下土壌32には、汚染物質を含まない水等WTが所定の期間(例えば、少なくとも60時間以上で3週間〜1か月程度)連続して通水される。カラム58を通過した水等WTをカラム58の最下流の試料採取口68Aから採取し、水等WTに対する汚染物質の濃度を測定する。これにより、水等WTに対する汚染物質の濃度の時間変化(経時変化)が得られる。通水試験は恒温室内の温度を変化して、複数の温度条件下で実施する。
最後に、水等WTに対する汚染物質の濃度の経時変化と対比するための数値解析(シミュレーション)を行う。シミュレーションは、初期条件、境界条件及び環境条件等の諸条件を通水試験と一致させて行われる。このシミュレーションを用いた逆解析やシミュレーションの結果と通水試験の測定結果が一致するまで物質移動係数βk2と飽和分配係数Kd2 k2を変化する繰り返し計算等により、物質移動係数βk2と飽和分配係数Kd2 k2を同定(算出)することができる。
(作用並びに効果)
次に、本実施形態に係る土壌浄化の解析方法を適用した解析システム10の作用並びに効果について説明する。
本実施形態に係る解析システム10によれば、図6に示されるように、汚染土壌Eに水等WTを通水することによる汚染物質の濃度DS(図中の実線)の時間変化を算出することができる。図6は、縦軸が濃度DS、横軸が時間(期間)を表す時系列データである。また、図6には、採水した地下水WGを分析した濃度DSの分析データ(図中の黒丸印)と対比例(従来方法)の解析として土粒子SPの間隙GPへの汚染物質の吸着を考慮しない解析(移流分散方程式だけを解析)した場合の濃度DS(図中の点線)が同じく図示されている。対比例の解析では、地下土壌32の土粒子SPの表面SFに吸着した汚染物質が注水した水により除去される効果だけが考慮されるため短時間で急激に濃度が低下しており、分析データを説明できていない。これに対して、本実施形態に係る解析システム10による解析では、土粒子SPの間隙GPに吸着した汚染物質の質量を考慮することにより分析データをよく説明できていることがわかる。
本実施形態に係る解析システム10によれば、地下土壌32の土粒子SPの表面SFに吸着した汚染物質の質量(第1質量)と、土粒子SPの間隙GPに吸着した汚染物質の質量(第2質量)を考慮して地下水WGにおける汚染物質の濃度と浄化時間の関係を演算することができる。このため、地下土壌32の土粒子SPの表面SFに吸着した汚染物質が浄化された時点で浄化終了と判断する従来方法と比較して、土粒子SPの間隙GPに吸着した汚染物質が地下水WGへ溶出する第2質量の除去まで考慮することができる。これにより、浄化時間と地下水WG中の汚染物質の濃度との関係が正確に把握できる。
また、本実施形態に係る解析システム10によれば、土粒子SPの表面SFに吸着した汚染物質の質量は、地下水WGに対する汚染物質の濃度と土粒子SPの表面SPへの吸着の効果を表す分配係数Kとの関数を含む質量保存式から算出される。また、土粒子SPの間隙GPに吸着した汚染物質の質量は、地下水WGに対する汚染物質の濃度と土粒子SPの間隙GPへの吸着の効果を表す物質移動係数βk2及び飽和分配係数Kd2 k2の関数を含む質量保存式から算出される。さらに、分配係数Kは通気試験により、物質移動係数βk2及び飽和分配係数Kd2 k2は通水試験により各々求めることができる。このため、汚染物質の濃度と浄化時間の関係を精度よく推定することができる。これにより、汚染物質が土粒子SPの間隙GPから地下水WGへ溶出して再び地下土壌32を汚染することを抑制できる適切な浄化期間で土壌浄化をすることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る土壌浄化の解析方法を適用した解析システム10は、土粒子SPの間隙GPに入り込んだ浄化対象物質の影響を定量的に評価することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において実施し得ることは勿論である。
なお、本実施形態では、土壌浄化の解析は、質量保存式と移流分散方程式の連立方程式を解析するとして説明したが、これに限らず、例えば、注水に分解微生物を添加することによる影響や水を加温することによる影響等を表した項が移流分散方程式に付加された上で解析されてもよい。
10 解析システム(土壌浄化の解析方法)
32 地下土壌(地盤)
GP 間隙
k 溶質(浄化対象物質)
分配係数(第1係数)
d2 k2 飽和分配係数(第2係数)
SF 表面
SP 土粒子
WG 地下水
βk2 物質移動係数(第2係数)

Claims (2)

  1. 地盤の内部へ注水すると共に前記地盤の内部から揚水することにより前記地盤の内部の地下水に対する浄化対象物質の濃度を低下させる土壌浄化を評価する方法に用いられ、
    前記地盤の土壌の土粒子の表面に吸着し、前記地下水へ溶出する前記浄化対象物質の第1質量と、前記土粒子の間隙に吸着し、前記地下水へ溶出する前記浄化対象物質の第2質量と、を含めて前記地下水における前記浄化対象物質の濃度と浄化時間の関係を演算する土壌浄化の解析方法。
  2. 前記第1質量は前記地下水に対する前記浄化対象物質の濃度と前記土粒子の表面への吸着の効果を表す第1係数の関数を含む質量保存式により算出されると共に、前記第2質量は前記地下水に対する前記浄化対象物質の濃度と前記土粒子の間隙への吸着の効果を表す第2係数の関数を含む質量保存式により算出され、前記第1係数と前記第2係数は室内試験によって求められる請求項1に記載の土壌浄化の解析方法。
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