JP2021120495A - 不織布製造方法、および不織布製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅方向の側端部の領域に限らず、幅方向に沿った一部またはすべての領域において厚みが漸減/漸増する形状を備えた不織布を、従来の方法よりも、より安定した形状・寸法に、容易かつ低コストに提供でき、従来よりも厚さをより薄くすることが可能な不織布の製造方法、製造装置を提供せんとする。【解決手段】メルトブローン方式の不織布製造方法であって、ノズル孔列20の一部の領域Rまたは全領域を構成する複数のノズル孔21を、互いに開口面積が同じで、且つ孔間隔が列の延びる方向に沿って漸増又は漸減する位置に設け、これによりコレクタ5上に形成される不織布6の厚みを、領域Rに対応する幅方向の範囲にて漸減又は漸増させる。【選択図】図1
Description
本発明は、幅方向に厚みが漸減/漸増する領域を有する不織布を形成する製造方法、および製造装置に関する。
従来、幅方向に厚みが漸減/漸増する不織布の製造方法としては、ステープルファイバー(溶融紡糸)で形成されたクロスウエッブ(繊維)をコンベア上に均一に広げ、これをエアーブローファンによりコンベアから引き離し、同時にバキュームシリンダー上にウエッブを形成する方法において、エアブローの吹き出し幅よりバキュームシリンダーの吸引幅を広げ、且つ移動するエアー量を多くすることによって、幅方向の両側端の領域を端部に向かって厚さが漸減する不織布を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、このような製造方法は、可能な形状が側端部を端部に向かって漸減する形状に限定される。また、漸減させる程度や寸法等についての微妙な調整は不可能、又は材料等によって不安定で調整が難しいという問題もある。
また、この方法は上記方式(コンベアに形成した繊維をエアーブローファンとバキュームシリンダーでウエッブに形成する方法)にのみ適用できる方法であるが、この方式は、厚みの薄い不織布を形成することができない。すなわち、この方式は軽度の交絡処理と軽度の接着処理による不織布であり、厚さはステープルファイバーの嵩密度に左右され、不織布の厚さをより薄くすることは困難である。さらに、上記方式は製造装置に必要な設備が多く、コスト高が避けられない。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、幅方向の側端部の領域に限らず、幅方向に沿った一部またはすべての領域において厚みが漸減/漸増する形状を備えた不織布を、従来の方法よりも、より安定した形状・寸法に、容易かつ低コストに提供でき、従来よりも厚さをより薄くすることが可能な不織布の製造方法、製造装置を提供する点にある。
本発明者は、かかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、メルトブローン方式の不織布製造方法で、同様に厚みが幅方向に沿って漸減/漸増する不織布を製造できれば、上述の方式(コンベアに形成した繊維をエアーブローファンとバキュームシリンダーでウエッブに形成する方法)よりも必要な設備が少なく低コスト化が可能であり、また、メルトブローン方式はノズル孔(吐出口)から吐出した溶融樹脂を熱風で延伸・細径化させることで、コレクタ上に直接、不織布として集積させて完成するので、より厚みの薄いものも作成できることを見出した。
そして、本発明者は、まずメルトブローン方式において、ノズルに樹脂を供給するダイの中で、樹脂の分配を変えれば、目付が変えられると考え、ダイの流路の断面積を漸減させる金物を入れるなどして、樹脂を多く流す部分と少なく流す部分を作って厚さが変化した不織布を作成した。しかしながら、樹脂の種類や温度によって樹脂の流動特性が変わるため、厚さ変化の程度が狙い通りのものを得ることが困難であった。メルトブローン用の樹脂は非常に流動性が良いために、ノズル直前のダイの流路に樹脂溜りが必要であるが、この樹脂溜りの部分で均圧化がすすみ、ノズル孔からの流量を大きく変えることが難しいことも分かった。
他の方法として、各ノズル孔(吐出口)の孔径や長さを互いに異なるものとすることで樹脂の流量を変え、これにより厚みを漸減/漸増させることも考えられたが、各ノズル孔の孔径や長さを変えることは、微細な孔加工が必要となり、現実的ではない。
そこで本発明者は、さらに鋭意検討を重ねた結果、ノズル孔列を構成する各ノズル孔の孔径又は開口面積を一定としつつ、ノズル孔列の延びる方向、すなわち不織布の幅方向で、単位長さ当たりのノズルの数(密度)を変えることを着想し、これにより厚みが変化する不織布を現実に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) ノズル孔列から吐出される樹脂を熱風により延伸・細径化し、コレクタ上に集積して不織布を形成するメルトブローン不織布製造方法において、前記ノズル孔列の一部の領域または全領域を構成する複数のノズル孔を、互いに開口面積が同じで、且つ孔間隔が列の延びる方向に沿って漸増又は漸減する位置に設け、これにより、前記コレクタ上に形成される前記不織布の厚みを、前記領域に対応する横方向の範囲にて漸減・漸増させることを特徴とするメルトブローン不織布製造方法。
(1) ノズル孔列から吐出される樹脂を熱風により延伸・細径化し、コレクタ上に集積して不織布を形成するメルトブローン不織布製造方法において、前記ノズル孔列の一部の領域または全領域を構成する複数のノズル孔を、互いに開口面積が同じで、且つ孔間隔が列の延びる方向に沿って漸増又は漸減する位置に設け、これにより、前記コレクタ上に形成される前記不織布の厚みを、前記領域に対応する横方向の範囲にて漸減・漸増させることを特徴とするメルトブローン不織布製造方法。
(2) ノズル孔列から吐出される樹脂を熱風により延伸・細径化し、コレクタ上に集積して不織布を形成するメルトブローン不織布製造装置において、前記ノズル孔列の一部の領域または全領域を構成する複数のノズル孔を、互いに開口面積が同じで、且つ孔間隔が列の延びる方向に沿って漸増又は漸減する位置に設けてなり、前記コレクタ上に形成される前記不織布の厚みが、前記領域に対応する横方向の範囲にて漸減・漸増することを特徴とするメルトブローン不織布製造装置。
以上にしてなる本発明によれば、幅方向の側端部の領域に限らず、幅方向に沿った一部またはすべての領域において厚みが漸減/漸増する形状を備えた不織布を、従来の方法よりも、より安定した形状・寸法に、容易かつ低コストに提供でき、従来よりも厚さをより薄くすることも可能となる。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本実施形態のメルトブローン不織布製造装置1は、図1及び図2に示すように、溶融樹脂を吐出するノズル孔21(吐出口、溶融樹脂の出口開口)が直線上に並んだノズル孔列20を先端面(図では下端面)に有するダイ・ノズル部2と、溶融樹脂をダイ・ノズル部2に供給する樹脂供給手段3と、ダイ・ノズル部2のノズル孔列20の各ノズル孔21から吐出される溶融樹脂に熱風を供給し、繊維状に延伸・細径化する熱風供給手段4と、繊維状に延伸された溶融樹脂を集積してその自己融着性により不織布のウェブ6を形成させるコンベアベルト50を有するコレクタ5とを備えている。
溶融樹脂は、目的とする不織布の種類に応じて選択され、従来からメルトブローン不織布製造装置に用いられている熱可塑性樹脂を広く用いることができる。ノズル孔の開口面積、熱風の圧力、温度等についても、同じく目的とする不織布の種類に応じて従来から設定/調整されていたものと同様にすることができる。樹脂供給手段3や熱風供給手段4、コレクタ5、ダイ・ノズル部2内の樹脂供給路22などの構成についても、従来からのメルトブローン不織布製造装置の構成と同様に構成することができる。
ノズル孔列20は、ダイ・ノズル部2の断面に直角な方向の直線上に多数並んで配列されており、該ノズル孔列20を間に挟んで前後(コレクターの搬送方向前後)に隣接する位置には、ノズル孔列20に平行に延びるスリット状の熱風吹き出し口4aが開口し、ダイ・ノズル部2内に前記開口から熱風を吹き出すための熱風吹出し流路40が設けられている。本例ではノズル孔列20を一列とした例が図示されているが、複数列であっても勿論よい。また、熱風吹き出し口4aもスリット状のもの以外に互いに間隔をあけた複数の孔の列を前記ノズル孔列20と平行に設けたものでもよい。
ノズル孔列20の各ノズル孔21から押し出された溶融樹脂は、前後両側の熱風吹き出し口4aからノズル孔21の出口を挟むように吹き出る高速の熱風によって延伸され、細い繊維状となる。このように溶融樹脂は各ノズル孔21から出て延伸され、繊維状になったうえで、コレクタ5のコンベアベルト50上に集積される。
コレクタ5は、本例ではメッシュ状のコンベアベルト50と、該ベルトの上面側のエアーを裏面側から吸引するサクションボックス70、71とから構成されている。コンベアベルト50上に集積するポリマー繊維流は不織布のウェブ6となり、コレクタ5から排出され、図示しない巻取り機に巻き取られる。サクションボックス70、71は、繊維流のコンベアベルト50への集積を確実にするため、また集積した繊維流を冷却するために設けられており、ブロアで空気を吸引するように構成されている。
本発明にかかる製造装置は特に、図4および図5に示すように、ノズル孔列20の一部または全ての領域(R1、R2、R3)に設けられる複数のノズル孔21が、互いに開口面積が同じで且つ孔間隔が列の延びる方向(ダイ・ノズル部2の断面に直角な方向)に沿って漸増又は漸減する位置に設けられていることを特徴としている。このように孔間隔が漸増/漸減する領域R1/R2/R3を設けることで、コレクタ5上に形成される不織布(ウェブ6)の厚みが、前記領域R1/R2/R3に対応する横方向の範囲(A−B間)にて漸減又は漸増したものとなる。
図4は、ノズル孔列20の端部に端に向けて孔間隔が漸増する上記領域(R1)を設けることで、側端部の所定範囲にて厚みが漸減する不織布(ウェブ6)を得るものである。また、図5は、ノズル孔列20の途中部に孔間隔が漸増・漸減する上記領域R2、R3を設けることで、途中部の所定範囲にて厚みが漸減・漸増する凹んだ不織布(ウェブ6)を得るものである。この例のように、孔間隔が漸増/漸減する領域は複数あってもよい。
このように孔間隔が漸増/漸減する領域を適宜の位置に設けることで、たとえば図6(a)〜(d)に例示するように、厚みがA−B間の範囲で漸減/漸増する様々な形態の不織布を得ることができる。厚みの漸減/漸増する程度は、図7に示すように、ノズル孔の孔間隔p1がp2に漸増する場合、単位長さあたりの孔の個数が孔間隔に反比例して漸減し、その分、不織布の厚みも同様に反比例して、厚みtから(p1/p2)×tに漸減する。ノズル孔21は円形以外でもよい。
上記各領域におけるノズル孔の孔間隔(ピッチ)の設計方法を説明する。不織布の厚みをA点からB点にかけて1/4に漸減される場合を説明する。漸増/漸減する範囲であるA点からB点の範囲に対応するノズル孔列の領域を構成しているノズル孔数をN+1個とし、これらノズル孔のうちA点に最も近いノズル孔から一個目のノズル孔までの孔間隔(ピッチ)をpとする。
ノズル孔1つ毎に距離がα広がるとしてB点に最も近いノズル孔とその手前のノズル孔の孔間隔(ピッチ)を4pとすると、B点近傍の孔の数はA点近傍にくらべて1/4となるので、不織布厚さがの厚さ(目付)は1/4となり、A点からB点にかけて厚さが漸減した不織布が得られることになる。
このとき成立する式は次の式1、式2となる。
p+(N−1)α=4p (式1)
式1から、α=3p/(N−1)となり、A点からB点にかけて1孔毎にピッチを3p/(N−1)づつ広げていけばよいことになる。
p+(N−1)α=4p (式1)
式1から、α=3p/(N−1)となり、A点からB点にかけて1孔毎にピッチを3p/(N−1)づつ広げていけばよいことになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。たとえば、上述の例では、ノズル孔の孔間隔、不織布の厚みの「漸増」、「漸減」につき、増加率/減少率を一定としてテーパー状に漸増/漸減する例について説明したが、増加率/減少率が変化するような「漸増」、「漸減」であってもよく、このような例も本発明に含まれる。
1 不織布製造装置
2 ダイ・ノズル部
3 樹脂供給手段
4 熱風供給手段
4a 風吹き出し口
5 コレクタ
6 ウェブ
20 ノズル孔列
21 ノズル孔
22 樹脂供給路
40 流路
50 コンベアベルト
70、71 サクションボックス
p1、p2 孔間隔
R1、R2、R3 領域
t 厚み
2 ダイ・ノズル部
3 樹脂供給手段
4 熱風供給手段
4a 風吹き出し口
5 コレクタ
6 ウェブ
20 ノズル孔列
21 ノズル孔
22 樹脂供給路
40 流路
50 コンベアベルト
70、71 サクションボックス
p1、p2 孔間隔
R1、R2、R3 領域
t 厚み
Claims (2)
- ノズル孔列から吐出される樹脂を熱風により延伸・細径化し、コレクタ上に集積して不織布を形成するメルトブローン方式の不織布製造方法であって、
前記ノズル孔列の一部の領域または全領域を構成する複数のノズル孔を、互いに開口面積が同じで、且つ孔間隔が列の延びる方向に沿って漸増又は漸減する位置に設け、
これにより、前記コレクタ上に形成される前記不織布の厚みを、前記領域に対応する幅方向の範囲にて漸減又は漸増させることを特徴とする不織布製造方法。 - ノズル孔列から吐出される樹脂を熱風により延伸・細径化し、コレクタ上に集積して不織布を形成するメルトブローン不織布製造装置であって、
前記ノズル孔列の一部の領域または全領域を構成する複数のノズル孔を、互いに開口面積が同じで、且つ孔間隔が列の延びる方向に沿って漸増又は漸減する位置に設けてなり、
前記コレクタ上に形成される前記不織布の厚みが、前記領域に対応する幅方向の範囲にて漸減又は漸増することを特徴とする不織布製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020014517A JP2021120495A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 不織布製造方法、および不織布製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020014517A JP2021120495A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 不織布製造方法、および不織布製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021120495A true JP2021120495A (ja) | 2021-08-19 |
Family
ID=77269842
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020014517A Pending JP2021120495A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 不織布製造方法、および不織布製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021120495A (ja) |
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2020
- 2020-01-31 JP JP2020014517A patent/JP2021120495A/ja active Pending
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