本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る把持装置を有するピッキング装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係るピッキング装置200は、作業エリア214内のトレー213にランダムに積み上げ収容されたワーク(対象物)215のピッキング及び搬送作業を行うためのものである。
図1に示すように、本実施形態のピッキング装置200は、多関節アーム202と、多関節アーム202の先端に取り付けられた把持装置1と、を含む。多関節アーム202及び把持装置1は、制御装置204によって位置及び姿勢が制御される。
多関節アーム202は、基台203の上に設置される。多関節アーム202は、基台203から順に、第1アーム部221a、第2アーム部221b、第3アーム部221c、及び第4アーム部221dを有している。
第1アーム部221aは、第1軸222aを介して基台203と回動可能に連結されている。第2アーム部221bは、第2軸222bを介して第1アーム部221aと回動可能に連結されている。第3アーム部221cは、第3軸222cを介して第2アーム部221bと回動可能に連結されている。第4アーム部221dは、第4軸222dを介して第3アーム部221cと回動可能に連結されている。ハンドエフェクタ223は、第5軸222eを介して、第4アーム部221dの先端に回動可能に連結されている。
第1軸222a、第2軸222b、第3軸222c、第4軸222d及び第5軸222eには、それぞれ駆動部としてロータリアクチュエータ(図示せず)が設けられている。
ハンドエフェクタ223には、把持装置1が取り付けられている。すなわち、把持装置1は、ハンドエフェクタ223を介して多関節アーム202に支持されている。把持装置1の第1指部21と第2指部22とを開閉動作により、ワーク215のピッキング及び搬送作業を行うことができる。
作業エリア214内の所定位置には、俯瞰センサ205が設けられている。俯瞰センサ205としては、例えばカメラや赤外線センサが用いられる。制御装置204は、俯瞰センサ205によって取り込まれた画像を解析することで、ピッキング装置200と、トレー213内のワーク215との位置を把握することができる。
ハンドエフェクタ223には、ハンドアイセンサ206が取り付けられている。ハンドアイセンサ206としては、例えばステレオ3Dカメラやレーザスキャナが用いられる。制御装置204は、ハンドアイセンサ206によって取り込まれた画像を解析することで、ワーク215の3次元形状を検出することができる。
次に、把持装置1の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る把持装置の斜視図である。図3は、第1の実施形態に係る把持装置の正面図である。図4は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の斜視図である。図5は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の正面図である。図6は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の側面図である。
図2及び図3に示すように、本実施形態の把持装置1は、筐体100と、駆動装置102と、アタッチメント5と、基部10と、1対の第1指部21と第2指部22と、第1カムフォロア25と、第2カムフォロア26と、を備える。
筐体100は、駆動装置102及び基部10を支持する部材である。例えば、筐体100は、ロボットハンド等の多関節アーム202(図1参照)に接続される。
駆動装置102は、第1指部21及び第2指部22を駆動させる装置であり、例えば直動アクチュエータである。直動アクチュエータとして、エア式直動アクチュエータ、電動式直動アクチュエータ、超音波式直動アクチュエータ、圧電式直動アクチュエータ等を用いることができる。駆動装置102は、筐体100に固定されている。駆動装置102は、直動運動するシャフト102aを備える。
図2に示すように、アタッチメント5は、シャフト102aに連結される。アタッチメント5は、シャフト102aと共に直動運動する。アタッチメント5は、第1プレート501と、第2プレート502と、を備える。第1プレート501は、シャフト102aの長手方向に対して垂直である。第2プレート502は、第1プレート501に対して垂直である。第2プレート502は、第1プレート501から駆動装置102とは反対側に延びている。第2プレート502は、第1アッパーカム孔151と、第2アッパーカム孔152と、を備える。
以下の説明において、第1方向Dx、第2方向Dy及び第3方向Dzが用いられる。シャフト102aの長手方向に沿う方向を第2方向Dyとする。第2プレート502に対して垂直な方向を第3方向Dzとする。第2方向Dy及び第3方向Dzの両方に対して垂直な方向を第1方向Dxとする。なお、これに限定されず、第2方向Dyは第1方向Dxに対して90°以外の角度で交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyに対して90°以外の角度で交差してもよい。また、「正面視」とは、第3方向Dzから見た場合をいう。
図3に示すように、第1アッパーカム孔151と第2アッパーカム孔152との間の第1方向Dxにおける距離は、駆動装置102のある方向に向かうに従って小さくなっている。第1アッパーカム孔151は、縦孔151aと、横孔151bと、を含む。縦孔151aの長手方向は、第2方向Dyに対して角度をなす。縦孔151aは、駆動装置102のある方向に向かうに従って第2アッパーカム孔152に近付いている。横孔151bは、縦孔151aと交差する。例えば、横孔151bは、第1方向Dxに沿っている。このため、第1アッパーカム孔151は、第3方向Dzから見て略L字状である。
第2アッパーカム孔152は、縦孔152aと、横孔152bと、を含む。縦孔152aの長手方向は、第2方向Dyに対して角度をなす。縦孔152aは、駆動装置102のある方向に向かうに従って第1アッパーカム孔151に近付いている。横孔152bは、縦孔152aと交差する。例えば、横孔152bは、第1方向Dxに沿っている。このため、第2アッパーカム孔152は、正面視で略L字状である。正面視で、第2アッパーカム孔152は、第2方向Dyに平行な直線を対称軸として第1アッパーカム孔151と対称である。
図4及び図6に示すように、基部10は、第1面10cと、第1面10cとは反対側の第2面10dとを有する板状の部材である。基部10は、正面視で、互いに対向する辺10aと辺10bとを有する矩形状である。基部10の辺10aは、筐体100と接続されている。例えば、基部10は筐体100と一体に形成されている。なお、これに限定されず、基部10は、多角形状、円形状、楕円形状等であってもよい。なお、図4から図6では、筐体100の図示が省略されている。
第1指部21と第2指部22とは、基部10に揺動可能に設けられる。図5に示すように、第1指部21と第2指部22とは、第1方向Dxに間隔を有して隣り合って設けられる。第1指部21及び第2指部22は、それぞれ長尺状であり、基部10の辺10bに対して交差する方向に長手を有して配置される。第1指部21及び第2指部22は、正面視で、基部10と重なる部分と、基部10の外周の辺10bよりも外側に配置される部分とを有する。
第1指部21は、長手方向の一端側に長孔33が設けられ、他端側に固定部21aが設けられる。同様に、第2指部22は、長手方向の一端側に長孔34が設けられ、他端側に固定部22aが設けられる。長孔33は、第1指部21の長手方向に沿って長手を有し、第1内壁33aと第2内壁33bとを有する。第1内壁33aと第2内壁33bとは、第1指部21の長手方向に対向しており、第1内壁33aは第1指部21の一端側に設けられ、第2内壁33bは第1指部21の中央部側に設けられる。
同様に、長孔34は、第2指部22の長手方向に沿って長手を有し、第1内壁34aと第2内壁34bとを有する。第1内壁34aと第2内壁34bとは第2指部22の長手方向に対向し、第1内壁34aは第2指部22の一端側に、第2内壁34bは第2指部22の中央部側に位置する。
図4及び図5に示すように、基部10には、支持部11、12が設けられる。支持部11、12は、円柱状であり、それぞれ長孔33、34を第3方向Dzに貫通している。図6に示すように、支持部12は、張出部12aと、軸部12bとを含む。軸部12bは、基部10の第1面10cから第3方向Dzに突出して長孔34を貫通する。張出部12aは、軸部12bの端部に設けられ、長孔34の幅(短手方向の長さ)よりも大きい径を有する。張出部12aと基部10との間に第2指部22が配置される。このような構成により、第2指部22は、基部10に対して揺動可能に、且つ、長手方向に移動可能に設けられる。なお、図6では、第1指部21及び支持部11は図示していないが、同様の構成で支持部11は、長孔33を貫通して設けられ、第1指部21は、基部10に対して揺動可能に、且つ、長手方向に移動可能に設けられる。
固定部21a及び固定部22aは、それぞれ第1指部21及び第2指部22の幅よりも小さい幅を有している。図6に示すように、固定部22aには、貫通孔24が設けられている。固定部22aには、例えばボルト等のねじ部材を用いて、貫通孔24を介して種々の部材が取り付けられる。なお、貫通孔24はねじ穴であってもよい。また、図6では省略して示すが、固定部21aにおいても貫通孔が設けられ種々の部材が取り付けられる。
固定部21a及び固定部22aには、把持装置1が把持する対象の部品等に適した指先部を取り付けることができる。図2に示すように、固定部22a及び固定部21aには、それぞれ例えば爪部41及び爪部42が設けられる。把持装置1は、第1指部21と第2指部22とを閉じることで、爪部41と爪部42との間に部品を把持することができる。
爪部41は、取付部41aと、把持部41bと、を有する。爪部42は、取付部42aと、把持部42bと、を有する。取付部41a及び取付部42aは、それぞれ固定部21a、22aに取り付けられる。把持部41b及び把持部42bは、把持対象を挟んで把持する部分である。把持部41b及び把持部42bは、取付部41a及び取付部42aに対して角度をなしている。把持部41bには、凹部41c、凹部41d、凹部41e及び凹部41fが形成されている。把持部42bには、凹部42c、凹部42d、凹部42e及び凹部42fが形成されている。このような爪部41及び爪部42を設けることにより、様々な把持対象を把持することができる。
図5に示すように、基部10には、1対の第1カム孔31と第2カム孔32とが設けられている。図6に示すように、第2カム孔32は、基部10の第1面10cから第2面10dに貫通する貫通孔である。図6には図示しない、第1カム孔31も同様の貫通孔である。なお、これに限定されず、第1カム孔31及び第2カム孔32は、第1面10cから第2面10dに向かって凹状に形成された溝であってもよい。
図5に示すように、第1カム孔31と第2カム孔32とは、互いに近づく方向に凸となる湾曲形状となっている。すなわち、第1カム孔31は、第2カム孔32に近づく方向に凸となる湾曲形状を有する。正面視で、第1カム孔31は、第2カム孔32とは反対側に位置する点を中心とした円弧を描く。第2カム孔32は、第1カム孔31に近づく方向に凸となる湾曲形状を有する。正面視で、第2カム孔32は、第1カム孔31とは反対側に位置する点を中心とした円弧を描く。具体的には、第1カム孔31の一端31aと、第2カム孔32の一端32aとの第1方向Dxでの距離は、第1カム孔31の中間部と第2カム孔32の中間部との距離よりも大きい。第1カム孔31の他端31bと、第2カム孔32の他端32bとの第1方向Dxでの距離は、第1カム孔31の中間部と第2カム孔32の中間部との距離よりも大きい。
図3に示す第1アッパーカム孔151の中心線C151と第2アッパーカム孔152の中心線C152との間の第1方向Dxにおける最大距離D1は、図5に示す第1カム孔31の中心線C31と第2カム孔32の中心線C32との間の第1方向Dxにおける最大距離D3と等しい。図3に示す第1アッパーカム孔151の中心線C151と第2アッパーカム孔152の中心線C152との間の第1方向Dxにおける最小距離D2は、図5に示す第1カム孔31の中心線C31と第2カム孔32の中心線C32との間の第1方向Dxにおける最小距離D4と等しい。中心線C151は、第1アッパーカム孔151のうち幅が一定である部分において、対向する内壁のそれぞれから等距離にある線分である。中心線C152は、第2アッパーカム孔152のうち幅が一定である部分において、対向する内壁のそれぞれから等距離にある線分である。中心線C31は、第1カム孔31のうち幅が一定である部分において、対向する内壁のそれぞれから等距離にある線分である。中心線C32は、第2カム孔32のうち幅が一定である部分において、対向する内壁のそれぞれから等距離にある線分である。
支持部11は、第1カム孔31の他端31bと隣り合って配置される。また、支持部11は、辺10bに対して垂直な方向で、辺10bと第1カム孔31の一端31aとの間に配置される。支持部12は、第2カム孔32の他端32bと隣り合って配置される。また、支持部12は、辺10bに対して垂直な方向で、辺10bと第2カム孔32の一端32aとの間に配置される。支持部11及び支持部12は、それぞれ中心線C31、中心線C32の延長線と交差する位置に設けられる。
第1カムフォロア25は、第1指部21に設けられている。例えば、第1カムフォロア25は、第1指部21の固定部21aとは反対側の端部に位置する。第1カムフォロア25の一部は、第1アッパーカム孔151の内壁に接している。第1カムフォロア25の一部は、第1カム孔31の内壁に接している。すなわち、第1カムフォロア25は、第1アッパーカム孔151から第1カム孔31に亘って設けられている。第1カムフォロア25は、第1アッパーカム孔151に沿って移動可能であり、且つ第1カム孔31に沿って移動可能である。なお、第1方向Dxは、シャフト102aの長手方向に対して直交し且つ第1カムフォロア25の長手方向に対して直交する方向であるということもできる。
第2カムフォロア26は、第2指部22に設けられている。例えば、第2カムフォロア26は、第2指部22の固定部22aとは反対側の端部に位置する。第2カムフォロア26の一部は、第2アッパーカム孔152の内壁に接している。第2カムフォロア26の一部は、第2カム孔32の内壁に接している。すなわち、第2カムフォロア26は、第2アッパーカム孔152から第2カム孔32に亘って設けられている。第2カムフォロア26は、第2アッパーカム孔152に沿って移動可能であり、且つ第2カム孔32に沿って移動可能である。
第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26は、それぞれ第1カム孔31及び第2カム孔32に沿って移動可能であれば、どのような構成であってもよい。図6に示すように、例えば、第2カムフォロア26は、張出部26a、26cと、軸部26bと、を有する。張出部26aと軸部26bとが第2指部22の一端側に固定される。軸部26bは第2カム孔32を貫通して設けられる。張出部26cは、第2カム孔32の幅よりも大きい径を有し、基部10の第2面10d側に配置される。このような構成により、第2カムフォロア26は、第2カム孔32に沿って移動可能となっている。第2カムフォロア26は、第2カム孔32の内壁と接する位置に、例えば転がり軸受を備えていてもよい。なお、図6には図示しない、第1カムフォロア25も同様の構成である。
本実施形態の把持装置1は、第1カム孔31、第2カム孔32、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26により構成されるカム機構を有する。図5に示すように、第1指部21の一端側に、駆動装置102により第2方向Dyの力Fが加えられると、第1カムフォロア25は第1カム孔31に沿って移動する。この第1カムフォロア25の動作により、第2方向Dyの力Fが、第1方向Dxの力に変換され、第1指部21の開閉動作が行われる。第2指部22も同様に、一端側に、第2方向Dyの力Fが加えられると、第2カムフォロア26は第2カム孔32に沿って移動する。これにより第2方向Dyの力Fが、第1方向Dxの力に変換され、第2指部22の開閉動作が行われる。
次に、図5、図7及び図8を参照して、本実施形態の把持装置1の開閉動作について説明する。図7及び図8は、第1の実施形態に係る把持装置の開閉動作を説明するための正面図である。図5は、第1指部21と第2指部22とが閉じた状態を示す。具体的には、閉じた状態は、第1指部21の端部21eと第2指部22の端部22eとの間の、第1方向Dxでの距離L2が最も小さくなる状態である。なお、本実施形態では、第1指部21の端部21eは、固定部21aの先端であって、第3方向Dzから見て仮想線B1に重なる部分である。仮想線B1は、正面視で第1カムフォロア25の中心と支持部11の中心とを通る直線である。第2指部22の端部22eは、固定部22aの先端であって第3方向Dzから見て仮想線B2に重なる部分を示す。仮想線B2は、正面視で第2カムフォロア26の中心と支持部12の中心とを通る直線である。
図5に示すように、閉じた状態では、第1カムフォロア25は第1カム孔31の一端31aに位置する。これにより、第1指部21は、基準線A1と平行方向に向けられる。基準線A1は、正面視で中心線C31の、駆動装置102(図2参照)側の端部と、支持部11の中心とを通る直線である。このとき、長孔33の第2内壁33b側に支持部11が位置する。つまり、第1指部21の、長孔33が設けられた部分は、基部10と重なっており、第1指部21の、長孔33が設けられていない部分が、基部10の辺10bよりも外側に位置する。
同様に、第2カムフォロア26は第2カム孔32の一端32aに位置する。これにより、第2指部22は、基準線A2と平行方向に向けられる。基準線A2は、正面視で中心線C32の、駆動装置102(図2参照)側の端部と、支持部12の中心とを通る直線である。このとき、長孔34の第2内壁34b側に支持部12が位置する。つまり、第2指部22の、長孔34が設けられた部分は、基部10と重なっており、第2指部22の、長孔34が設けられていない部分が、基部10の辺10bよりも外側に位置する。
ここで、基部10の一方の辺10aと、第1指部21の端部21e及び第2指部22の端部22eとの間の、第2方向Dyにおける距離を、距離L1とする。また、図5に示す例では、閉じた状態で、基準線A1と基準線A2とが平行になる。つまり、第1指部21と第2指部22とが平行状態となっているがこれに限定されない。閉じた状態で、第1指部21と第2指部22とが所定の角度を形成するように配置されていてもよい。
図7は、閉じた状態と、開いた状態との間の中間状態を示す。図7に示すように、第1指部21の一端側に加えられる第2方向Dyの力F(図5参照)によって、第1カムフォロア25は第1カム孔31に沿って移動する。第1カムフォロア25は、第2方向Dyにおいて辺10aから辺10bに向かう方向に移動しつつ、第1方向Dxにおいて、第2カムフォロア26に近づく方向に移動する。同時に、第2指部22の一端側に加えられる第2方向Dyの力Fによって、第2カムフォロア26は第2カム孔32に沿って移動する。第2カムフォロア26は、第2方向Dyにおいて辺10aから辺10bに向かう方向に移動しつつ、第1方向Dxにおいて、第1カムフォロア25に近づく方向に移動する。第1カムフォロア25と第2カムフォロア26とは、第1方向Dxにおいて、互いに近づく方向に移動する。
このような動作により、第1指部21は、仮想線B1と平行方向に向けられる。ここで、仮想線B1と基準線A1とがなす角度を、第1指部21の開閉角度θ1とする。第2指部22も、仮想線B2と平行方向に向けられる。ここで、仮想線B2と基準線A2とがなす角度を、第2指部22の開閉角度θ2とする。第1指部21の端部21eと第2指部22の端部22eとの間の、第1方向Dxでの距離L2は、図5の閉じた状態よりも大きくなる。
また、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26は、第2方向Dyにも移動することで、それぞれ支持部11、12との間の距離が小さくなる。このため、第1指部21、第2指部22は、基部10の外側に押し出されるように移動する。図7に示す中間状態では、支持部11は、長孔33の第1内壁33aと第2内壁33bとの間に位置する。支持部12は、長孔34の第1内壁34aと第2内壁34bとの間に位置する。
図5に示す閉じた状態と比較して、基部10の辺10bよりも外側において、第1指部21及び第2指部22のそれぞれの長手方向の長さが長くなる。このような動作により、開閉角度θ1、θ2に応じて、第1指部21及び第2指部22の、基部10の辺10bよりも外側に位置する部分の長さが変更される。図7に示す中間状態での距離L1は、図5の閉じた状態での距離L1と一致する。これにより、一定の距離L1を保ちつつ、第1指部21及び第2指部22の開閉角度θ1、θ2が変化する。
図8は、第1指部21と第2指部22とが開いた状態を示す。図8に示すように、第1指部21の一端側に加えられる第2方向Dyの力F(図5参照)によって、第1カムフォロア25は第1カム孔31に沿って移動する。第1カムフォロア25は、第2方向Dyにおいて辺10aから辺10bに向かう方向にさらに移動しつつ、第1方向Dxにおいて第2カムフォロア26から離れる方向に移動する。
同時に、第2指部22の一端側に加えられる第2方向Dyの力Fによって、第2カムフォロア26は第2カム孔32に沿って移動する。第2カムフォロア26は、第2方向Dyにおいて辺10aから辺10bに向かう方向にさらに移動しつつ、第1方向Dxにおいて第1カムフォロア25から離れる方向に移動する。図7に示す中間状態に比較して、第1カムフォロア25と第2カムフォロア26とは、第1方向Dxにおいて、互いに離れる方向に移動する。
このような動作により、第1指部21の開閉角度θ1及び第2指部22の開閉角度θ2がさらに大きくなる。第1指部21の端部21eと第2指部22の端部22eとの間の、第1方向Dxでの距離L2は、図7の中間状態よりも大きくなる。
第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26は、それぞれ支持部11、12との間の距離がさらに小さくなる。このため、第1指部21、第2指部22は、基部10の外側に押し出されるように移動する。具体的には、支持部11は、長孔33の第1内壁33aと近接する。支持部12は、長孔34の第1内壁34aと近接する。
図7に示す中間状態と比較して、基部10の辺10bよりも外側において、第1指部21及び第2指部22のそれぞれの長手方向の長さが長くなる。このような動作により、開閉角度θ1、θ2に応じて、第1指部21及び第2指部22の、基部10の辺10bよりも外側に位置する部分の長さが変更される。つまり、図8に示す開いた状態での距離L1は、図5の閉じた状態での距離L1及び図7の中間状態での距離L1と一致する。これにより、一定の距離L1を保ちつつ、第1指部21及び第2指部22が開いた状態となる。
以上説明したように、本実施形態の把持装置1は、第1カム孔31、第1カムフォロア25、第2カム孔32及び第2カムフォロア26によりカム機構を構成する。カム機構の動作により、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26が移動することで、第1指部21及び第2指部22の開閉角度θ1、θ2が変化する。このため、距離L2が基部10の幅、すなわち辺10bの長さよりも大きくなるように、第1指部21と第2指部22とを開くことができる。したがって、基部10の幅の増大を抑制して把持装置1の小型化を図るとともに、外径形状の異なる種々の部品を把持することができる。
また、カム機構の動作により、1対の第1指部21及び第2指部22の開閉角度θ1、θ2に応じて、第1指部21及び第2指部22の、基部10の外周よりも外側の部分の長さが変更される。つまり、カム機構は、長さ調整機構としても機能する。これにより、一定の距離L1を保ちつつ、第1指部21及び第2指部22の開閉動作を行うことができる。このため、外径形状の異なる種々の部品を把持することができる。また、本実施形態では、固定部21a、22aに取り付けられる爪を交換するATC(Auto Tool changer)を設けない構成とすることもできる。さらに、把持装置1を動作させるロボットの多関節アーム202(図1参照)側で、第1指部21及び第2指部22の開閉度合いに応じて高さの調整を行う必要がなくなる。把持装置1は、ロボットの制御プログラム及びロボットの動作を簡略化でき、リードタイムを短縮できる。
図9は、第1の実施形態に係る把持装置の制御ブロック図である。制御装置101は、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバシステム等のコンピュータである。制御装置101は、記憶部101Aと演算部101Bとを含む。記憶部101Aはハードディスク、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む。演算部101Bは、CPU(Central Processing Unit)等を含む。
入力部110は、キーボードやタッチパネル等の情報入力装置である。入力部110から、把持装置1の動作に関する情報や、動作プログラムが記憶部101Aに入力される。
駆動装置102は、把持装置1を駆動させる装置であり、例えば直動アクチュエータである。直動アクチュエータとして、エア式直動アクチュエータ、電動式直動アクチュエータ、超音波式直動アクチュエータ、圧電式直動アクチュエータ等を用いることができる。駆動装置102は制御装置101からの制御信号により動作する。駆動装置102から入力される駆動力により、上述した第1指部21及び第2指部22の開閉動作が行われる。
センサ部103は、例えば、角度センサ、速度センサ、圧力センサ等を含む。センサ部103は、第1指部21及び第2指部22の動作状態を検出し、各種情報を制御装置101に出力する。制御装置101は、第1指部21及び第2指部22の動作状態に応じて駆動装置102を駆動する。このようにして、把持装置1の動作が制御される。なお、図9に示す構成は、あくまで一例であり適宜変更することができる。
(第1の実施形態の変形例)
図10は、第1の実施形態の変形例に係る把持装置を示す正面図である。図10に示す把持装置1Aでは、第1指部21及び第2指部22に、それぞれ爪部43、44が取り付けられている。爪部43、44は、それぞれ四角柱状であり、互いに対向する面に、溝43a、44aが設けられている。本変形例では、溝43aと溝44aとの間に部品を挟んで把持することができる。なお、これに限定されず、第1指部21及び第2指部22には、把持対象の部品に適した爪部を、適宜選択して取り付けることができる。爪部は、例えば、円柱、三角柱、四角柱、平板などの単純形状であってもよい。
以上説明したように、本実施形態の把持装置1は、1対の第1カム孔31及び第2カム孔32を備える基部10と、基部10に設けられた1対の第1指部21及び第2指部22と、1対の第1指部21及び第2指部22のそれぞれの一端側に設けられた第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26と、基部10に設けられ、第1指部21及び第2指部22を支持する支持部11及び支持部12と、を有する。第1指部21及び第2指部22には、それぞれの長手方向に沿って長孔33、34が設けられている。支持部11、12がそれぞれ長孔33、34の内部に配置されて、第1指部21及び第2指部22が基部10に揺動可能に設けられる。1対の第1カム孔31及び第2カム孔32は、互いに近づく方向に凸となる形状を有し、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26がそれぞれ第1カム孔31及び第2カム孔32の内壁に接する。
これによれば、1対の第1指部21及び第2指部22の端部21eと端部22eとの距離L2を、基部10の大きさ(辺10bの長さ)よりも大きく開くことが可能である。また、長さ調整手段としてカム機構を備えているので、基部10と、第1指部21及び第2指部22との距離L1を所定の大きさに一定に保った状態で、開閉動作を行うことができる。つまり、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26が、それぞれ第1カム孔31及び第2カム孔32に沿って移動することで、第1指部21及び第2指部22の開閉動作が行われる。同時に、第1指部21及び第2指部22の開閉角度θ1、θ2に応じて、第1指部21及び第2指部22の、基部10の外周よりも外側の部分の長さを変更することができる。したがって、本実施形態の把持装置1は、外形寸法が異なる種々の部品を把持することができるとともに、小型化が可能である。
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る把持装置の正面図である。図12は、第2の実施形態に係る把持装置の指部が開いた状態を示す正面図である。本実施形態の把持装置1Bは、基部10Aと、第1指部51と、第2指部52と、爪部57、58と、駆動部61、62とを有する。
基部10Aは、対向する一方の辺10Aaと辺10Abとを有する矩形状である。なお、本実施形態では、基部10Aに第1カム孔31、第2カム孔32及び支持部11、12が設けられていない。基部10Aは、多角形状、円形状、楕円形状等であってもよい。基部10Aは、ロボットハンド等のアームに接続される筐体の一部であってもよい。
第1指部51及び第2指部52は、それぞれ支点ピン53、54を介して基部10Aの辺10Ab側に取り付けられる。第1指部51と第2指部52とは、第1方向Dxに間隔を有して隣り合って設けられる。第1指部51及び第2指部52は、それぞれ長尺状であり、基部10Aの辺10Abに対して交差する方向に長手を有して配置される。第1指部51及び第2指部52は、それぞれ支点ピン53、54を中心に揺動可能となっている。
第1指部51は、第1部分51Aと、第2部分51Bとを含む。第1部分51Aが基部10Aに取り付けられ、第2部分51Bは、第1部分51Aの長手方向に沿って、第1部分51Aに対して基部10Aの反対側に設けられる。第1部分51A及び第2部分51Bは、中空の筒状である。第1部分51Aは、第2部分51Bよりも大きい径を有しており、第2部分51Bの少なくとも一部が、第1部分51Aの内部に設けられる。第2部分51Bは、第1部分51Aに対して長手方向に移動可能に設けられる。
第2指部52も、同様に第1部分52Aと、第2部分52Bとを含む。第1部分52Aが基部10Aに取り付けられ、第2部分52Bは、第1部分52Aの長手方向に沿って、第1部分52Aに対して基部10Aの反対側に設けられる。第1部分52A及び第2部分52Bは、中空の筒状である。第1部分52Aは、第2部分52Bよりも大きい径を有しており、第2部分52Bの少なくとも一部が、第1部分51Aの内部に設けられる。第2部分52Bは、第1部分52Aに対して長手方向に移動可能に設けられる。
駆動部61は、第1指部51の内部空間に配置される。駆動部62は、第2指部52の内部空間に配置される。駆動部61、62は、例えば直動アクチュエータである。直動アクチュエータとして、エア式直動アクチュエータ、電動式直動アクチュエータ、超音波式直動アクチュエータ、圧電式直動アクチュエータ等を用いることができる。駆動部61、62からの駆動力によって、第2部分51B、52Bはそれぞれ長手方向に移動する。これにより、第1指部51及び第2指部52の長さが伸縮可能となっている。
駆動部61、62の動作により、1対の第1指部51及び第2指部52の開閉角度に応じて、第1指部51及び第2指部52の、基部10Aの外周の辺10Abよりも外側の部分の長さが変更される。つまり、駆動部61、62は、長さ調整手段として機能する。
爪部57は、支点ピン55を介して、第1指部51の第2部分51Bの端部に設けられる。爪部57は、支点ピン55を中心に第1指部51に対して揺動可能に設けられる。爪部58は、支点ピン56を介して、第2指部52の第2部分52Bの端部に設けられる。爪部58は、支点ピン56を中心に第2指部52に対して揺動可能に設けられる。本実施形態では、爪部57と爪部58との間に部品等が把持される。なお、爪部57及び爪部58は、把持対象の部品の外形形状等に応じて、上述した、爪部41から爪部46(図7から図10参照)を適宜取り付けることもできる。
本実施形態では、回転モータ等の駆動装置102(図9参照)からの駆動力によって、第1指部51及び第2指部52が開閉動作する。図11に示す閉じた状態では、第1指部51及び第2指部52は、互いに平行に配置される。
図12に示す開いた状態では、第1指部51と第2指部52とが互いに離れる方向に、支点ピン53、54を中心に揺動する。これにより、第1方向Dxにおける爪部57の端部と爪部58の端部との距離L5が、閉じた状態と比較して大きくなる。本実施形態においても、開いた状態において、距離L5が、基部10Aの幅、すなわち辺10Abの長さよりも大きくなる。これにより、基部10Aの幅の増大を抑制して把持装置1Bの小型化を図るとともに、外径形状の異なる種々の部品を把持することができる。
また、図12に示す開いた状態では、駆動部61、62は、第2部分51B、52Bをそれぞれ長手方向に移動させる。これにより、第1指部51及び第2指部52の、基部10Aの辺10Abよりも外側に位置する部分が長くなる。図12に示す開いた状態での距離L6は、図11の閉じた状態での距離L6と一致する。ここで、距離L6とは、基部10Aの一方の辺10Aaと、第1指部51の爪部57の先端及び第2指部52の爪部58の先端との間の、第2方向Dyにおける距離を示す。このように、本実施形態の把持装置1Bにおいても、一定の距離L6を保ちつつ、第1指部51及び第2指部52が開いた状態となる。これにより、外径形状の異なる種々の部品を把持することができる。また、把持装置1Bを動作させるロボットの多関節アーム202(図1参照)側で、開閉度合いに応じて高さの調整を行う必要がなくなる。
(第2の実施形態の変形例)
図13は、第2の実施形態の変形例に係る駆動部の一例を示す側面図である。駆動部61、62は、上述した直動アクチュエータに限定されない。図13に示すように、本変形例の把持装置1Cにおいて、駆動部61Aは、第1指部51の第1部分51Aの内部空間に配置される。駆動部61Aは、ボールねじ63と、移動部64と、回転モータ71と、リニアガイド74とを含むボールねじ機構である。駆動部61Aは、回転モータ71から伝達された回転駆動力を、第1指部51の長手方向に沿った方向の運動に変換して第2部分51Bに伝達する。なお、図13では、第1指部51について示しているが、第2指部52においても同様の駆動部61Aが設けられる。
図13に示すように、ボールねじ63は、第1指部51の長手方向と平行な方向に配置される。ボールねじ63は、リニアガイド74の壁部を貫通するとともに移動部64と噛み合う。ボールねじ63は、リニアガイド74に回転可能に支持されるとともに、第1指部51の長手方向に移動しない状態で支持される。ボールねじ63の一端側は、回転モータ71と連結されている。回転モータ71の出力がボールねじ63に伝達され、ボールねじ63が回転可能となっている。
移動部64は、ねじ溝が形成されたねじ孔を有し、このねじ孔とボールねじ63とが噛み合っている。移動部64は、ガイドレール74Aに沿った方向に移動可能に設けられる。また、移動部64は、ボールねじ63とともに回転しないようにガイドレール74Aに支持される。これにより、移動部64は、ボールねじ63の回転とともに長手方向に移動する。また、移動部64は、ボールねじ63の回転方向により移動方向が切り替えられる。
移動部64の上には、連結部67Aが設けられている。連結部67Aに、軸部67を介して第2部分51Bが連結されている。軸部67は、ボールねじ63の軸方向に沿った方向に延びており、移動部64の移動とともに軸方向に移動可能となっている。
以上のような構成により、回転モータ71の回転駆動がボールねじ63に伝達されると、ボールねじ63の回転とともに移動部64が軸方向に移動する。これにより、移動部64に連結された軸部67も軸方向に移動する。このように、回転モータ71の回転駆動が、駆動部61Aにより第1指部51の長手方向に沿った方向の直線運動に変換され第2部分51Bに伝達される。駆動部61Aの駆動力により、第1指部51の第2部分51Bが、第1部分51Aに対して移動する。これにより、第1指部51の長さが伸縮する。
以上説明したように、本実施形態の把持装置1B、1Cにおいて、長さ調整手段は、第1指部51及び第2指部52を長手方向に伸縮させる直動アクチュエータである。これによれば、直動アクチュエータの動作により、第1指部51及び第2指部52の開閉角度に応じて第1指部51及び第2指部52の長さを変更できる。
また、本実施形態において直動アクチュエータは、回転モータ71と、ボールねじ63と、リニアガイド74とを含み、回転モータ71の回転力がボールねじ63に伝達され、第1指部51及び第2指部52がリニアガイド74に沿った方向に移動する。このような構成であっても、第1指部51及び第2指部52の開閉角度に応じて第1指部51及び第2指部52の長さを変更できる。
以上説明した把持装置1、1Aから1Cの構成は適宜変更してもよい。例えば第1指部21、51及び第2指部22、52の形状や、開閉角度、長さ等はあくまで一例であり、適宜変更することができる。また、第1カム孔31、第2カム孔32、第1アッパーカム孔151及び第2アッパーカム孔152の形状も適宜変更することができる。例えば、第1カム孔31及び第2カム孔32は、湾曲形状に限定されず、屈曲した形状であってもよく、また、直線状の部分を含んでいても良い。