JP2021115501A - 二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒の製造方法、及び、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用電極 - Google Patents

二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒の製造方法、及び、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用電極 Download PDF

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【課題】高い二酸化炭素還元活性、又は高い窒素還元活性を示す触媒、当該触媒の製造方法、及び、当該触媒を用いる電極を提供する。【解決手段】Fe原子と、N原子を有するグラフェン構造とを有し、前記Fe原子が4つのN原子とそれぞれ配位したFe−N4構造を有し、前記Fe−N4構造の活性点密度が、3.0×10-5mol sites /g以上1.0×10-4mol sites /g以下の範囲にある、窒素含有炭素材料、を含む二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応に用いられる触媒、当該触媒の製造方法、及び、当該触媒を用いる電極に関する。
二酸化炭素電解還元反応は、二酸化炭素を電気化学的に還元し、化成品や化成品の原料を合成する反応であり、窒素電解還元反応は、窒素を電気化学的に還元し、肥料や化成品の原料であるアンモニアを合成する反応である。これらの電解還元反応を用いて製品を生産することは、持続可能な発展を実現するための有力な手法として注目されている。
二酸化炭素電解還元反応や窒素電解還元反応において電解効率を向上させ、目的生成物を選択的に得るためには電解還元用触媒の開発が極めて重要である。二酸化炭素や窒素は、一般的に化学的安定性が高く、反応により別の物質へと誘導することが難しいが、非特許文献1にはFeを含む含窒素炭素材料を触媒として用いて、二酸化炭素を一酸化炭素へ還元する反応が進行することが記載されており、非特許文献2にはFeを含む含窒素炭素材料を触媒として用いて、窒素をアンモニアへ還元する反応が進行することが記載されている。
Feを含む窒素含有炭素材料の合成法として、例えば、非特許文献1には、アニリン重合体と遷移金属とを含むプレカーサーを不活性ガス雰囲気下での熱処理と、酸洗浄工程を繰り返す手法が記載されている。非特許文献2には、ピロール重合体と鉄源、塩化ナトリウムを含むプレカーサーを不活性ガス雰囲気下での熱処理後、水とエタノールで洗浄する手法が記載されている。他に、特許文献1においては、アズルミン酸と遷移金属とを含むプレカーサーを不活性ガス雰囲気下で熱処理を行い、続いてアンモニア含有ガス雰囲気下で熱処理を行う手法が記載されている。また、特許文献2においては、窒素原子と遷移金属とを有する原料炭素材料を酸素、空気、水蒸気及び二酸化炭素等の酸化性ガス雰囲気下で熱処理し、さらに不活性ガス雰囲気下で熱処理する手法が記載されている。また、特許文献3においては、触媒材料の前駆体となる樹脂、窒素源、及び、鉄を含む金属塩を焼成して得た炭素化物を酸で洗浄する手法が記載されている。
特開2013−43821号公報 特開2014−97912号公報 特許第6217754号
Ana Sofia Varela et al., Angew.Chem.Int.Ed., 2015, 54, 10758−10762 Mengfan Wang et al., nature commun., 2019, 10, 341−348
しかしながら、このような製造方法で合成された含窒素炭素材料は、二酸化炭素電解還元反応や窒素電解還元反応が進行はするものの、触媒活性の向上が望まれる。これは、製造過程における熱処理時における含窒素炭素材料中の窒素脱離や、酸洗浄操作による窒素含有炭素材料中のFe濃度低下により、活性が失われているのではないかと考えられる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い二酸化炭素還元活性、又は高い窒素還元活性を示す触媒、当該触媒の製造方法、及び、当該触媒を用いる電極を提供することを目的とする。
本発明者らは、窒素含有炭素材料における、Fe−N4構造の活性点密度を高めることで高い触媒活性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
Fe原子と、N原子を有するグラフェン構造とを有し、
前記Fe原子が4つのN原子とそれぞれ配位したFe−N4構造を有し、前記Fe−N4構造の活性点密度が、3.0×10-5 mol sites /g以上1.0×10-4 mol sites /g以下の範囲にある、窒素含有炭素材料、
を含む二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒。
[2]
前記グラフェン構造が、下記式(1)で表されるN原子構造を含む、[1]に記載の触媒。
Figure 2021115501
(式中、*は、グラフェンを構成する炭素原子との結合部位であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はグラフェンを構成する炭素原子との結合部位である。)
[3]
遷移金属粒子を更に含有する、[1]又は[2]に記載の触媒。
[4]
[1]〜[3]のいずれか1項に記載の触媒の製造方法であって、亜鉛フェナントロリン錯体を含有する前駆体を熱処理する熱処理工程を含む、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒の製造方法。
[5]
[1]〜[3]のいずれか1項に記載の触媒を含む、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用電極。
本発明によれば、高い二酸化炭素還元活性、又は高い窒素還元活性を示す触媒、当該触媒の製造方法、及び、当該触媒を用いる電極を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
[二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒]
本実施形態の二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒(以下、単に「触媒」ともいう。)は、Fe原子と、N原子を有するグラフェン構造とを有する窒素含有炭素材料を含む。窒素含有炭素材料は、Fe原子が4つのN原子とそれぞれ配位したFe−N4構造(以下、単に「Fe−N4構造」という。)を有する。さらに、Fe−N4構造の活性点密度が、3.0×10-5 mol sites /g以上1.0×10-4 mol sites /g以下の範囲にある。
以上の構成を有することで、本実施形態の触媒は、高い二酸化炭素還元活性、又は高い窒素還元活性を示す。
<含窒素炭素材料>
(Fe−N4構造の活性点密度)
本実施形態に係る含窒素炭素材料における、Fe−N4構造の活性点密度は、3.0×10-5 mol sites /g 以上2.0×10-4 mol sites /g以下の範囲にある。このように、含窒素炭素材料のFe−N4構造の活性点密度を所定の範囲とすることで、本実施形態に係る触媒は、高い二酸化炭素還元活性、又は高い窒素還元活性を示す。Fe−N4構造の活性点密度は、3.0×10-5 mol sites /g 以上であり、4.0×10-5 mol sites /g 以上であることが好ましく、5.0×10-5 mol sites /g 以上であることがより好ましい。当該範囲とすることで、触媒の二酸化炭素還元活性、又は窒素還元活性をより向上させることができる。Fe−N4構造の活性点密度は、1.0×10-4 mol sites /g 以下であり、0.95×10-4mol sites /g 以下であることが好ましく、0.9×10-4mol sites /g 以下であることがより好ましい。当該範囲とすることで、触媒を得やすくなる。
なお、本実施形態において、Fe−N4構造の活性点密度は回転リングディスク電極(RRDE)を用いたNO被毒法によって求められる。具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。また、前述のFe−N4構造の活性点密度の範囲内の含窒素炭素材料は、例えば、後述の製造方法により得られる。
Fe原子と配位するN原子は、特に限定されないが、ピリジン型N原子を含むことが好ましい。ここで、グラフェン構造におけるピリジン型N原子とは、グラフェンを構成する六員環の芳香環構造における一炭素原子と置換した窒素原子であり、ピリジンの窒素原子と同様に金属に配位可能な共有電子対を有する構造を意味する。
窒素含有炭素材料における、グラフェン構造は、下記式(1)で表されるN原子構造を含むことが好ましい。
Figure 2021115501
(式中、*は、グラフェンを構成する炭素原子との結合部位であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はグラフェンを構成する炭素原子との結合部位である。)
Fe−N4構造は、例えば、下記式(2)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2021115501
(式中、Xは配位子であり、nは0〜3であり、a及びbはそれぞれ独立に0又は1(好ましくは1)であり、*は、グラフェンを構成する炭素原子との結合部位である。)
配位子としては、特に限定されないが、例えば、アクア、ヒドロキソ、オキソ、スルフィド、トリフルオロメタンスルホナート、トシラート等のスルホナート、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドリド、シアナト、アジド、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、カルボキシラト、カルボニル、ジメチルホルムアミド、及びアンミン等が挙げられる。
なお、a、bが0の場合、隣接する炭素は水素原子と結合する。
前述の式(1)又は式(2)で表される構造は、例えば、含窒素炭素材料を製造する際に1,10−フェナントロリンを配位子に有する錯体を用いることで得られる。
<遷移金属粒子>
本実施形態の触媒は、好ましくは、遷移金属粒子を更に含有する。本実施形態の窒素含有炭素材料は、好ましくは遷移金属粒子を担持する。遷移金属粒子を担持することにより、窒素電解還元反応、二酸化炭素還元反応用において窒素含有炭素材料に特異な活性や選択性を付与することができる。
遷移金属粒子に含まれる遷移金属としては、Cu、Au、Ag、Zn、Ni、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、Ru、Snが挙げられる。これらの遷移金属の中でも、Cu又はAuが好ましく、二酸化炭素還元活性又は窒素還元活性をより高める観点からAuがより好ましく、二酸化炭素還元活性により得られる生成物の多様性を高める観点から、Cuがより好ましい。
遷移金属粒子の平均粒子径は、好ましくは1nm〜100nmであり、より好ましくは2nm〜50nm、であり、さらに好ましくは3nm〜30nmである。遷移金属粒子の平均粒子径が当該範囲であることで、二酸化炭素還元活性又は窒素還元活性をより向上させることができる。平均粒子径は、触媒について無作為に選んだ五カ所以上で、透過電子顕微鏡(TEM)により観察し、判別可能な200個以上の遷移金属粒子の粒径を測定し、粒径の個数平均値をとることによって算出する。
遷移金属粒子の含有量は、含窒素炭素材料の全量に対して、好ましくは1質量%〜30質量%であり、より好ましくは5質量%〜25質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜20質量%である。遷移金属粒子の含有量が当該範囲であることで、二酸化炭素還元活性又は窒素還元活性をより向上させることができる。
[触媒の製造方法]
本実施形態の触媒に用いられる窒素含有炭素材料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、炭素原料と、窒素原料と、鉄原料と、賦活剤と、を含む前駆体を調製する前駆体調製工程と、前記前駆体を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る熱処理工程を有してもよい。
以上の製造方法の中でも、本実施形態に係る触媒の製造方法は、好ましくは、亜鉛フェナントロリン錯体を配位子として有する亜鉛錯体を含有する前駆体を熱処理する工程(熱処理工程)を含む。当該工程を有することで、Fe−N4構造の活性点密度が大きい含窒素炭素触媒が得られる。
〔前駆体調製工程〕
前駆体調製工程は、炭素原料と、窒素原料と、鉄原料とを含む原料成分と、賦活剤と、を複合化して前駆体を得る工程である。
(前駆体)
前駆体は、炭素原料、窒素原料、鉄原料、及び賦活剤を複合化したものであってもよい。前駆体は、必要に応じて他の成分も含んでもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ホウ素及び/又はリンを含有する化合物や鉄以外の遷移金属の塩などが挙げられる。
炭素原料、窒素原料、及び鉄原料は、順にそれぞれ炭素原子、窒素原子、鉄原子を含有しているものであれば特に限定されず、一種類の化合物を複数の原子の原料としてもよいし、ある原子の原料として複数の化合物を用いてもよい。例えば、炭素原子、窒素原子及び鉄原子を含有する鉄フタロシアニン錯体と賦活剤を複合化したものを前駆体としてもよいし、炭素原子を含有するカーボンブラックと炭素原子及び窒素原子を含有するポリアニリンと鉄塩と賦活剤を複合化したものを前駆体としてもよい。
ここで、「複合化」とは、炭素原料、窒素原料及び鉄原料を含む各原料成分と賦活剤とが物理的に混合している状態であってもよいし、炭素原料、窒素原料及び鉄原料を含む各原料成分同士及び/又は1種類以上の原料成分と賦活剤とが化学結合を形成している状態であってもよいが、それぞれが均一に分散していることが好ましい。
(炭素原料)
炭素原料としては、特に限定されないが、例えば、炭化収率の高い有機化合物及び炭素材料そのものが挙げられる。ここで、「炭化収率の高い」とは、窒素ガス流通下で、1000℃、1時間熱処理を施して得られる炭素材料の収率が1質量%以上であることをいう。
炭化収率の高い有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、ポリフルフリルアルコール、フラン、フラン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリチオフェン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスルフォン、1,10−フェナントロリン及びその金属錯体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエ−テル、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、リグニン、ピッチ、ポリカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、及び共有結合性トリアジン構造体が挙げられる。
炭素材料そのものとしては、特に限定されないが、例えば、黒鉛、活性炭、アモルファスカーボン、カーボンブラック、石炭、木炭、コークス、カーボンナノチューブ、フラーレン及びグラフェンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
前駆体中、炭素材料は、化学構造中に窒素原子が含まれている場合は、後述の窒素材料ともなり得る。本実施形態においては、炭素材料の含有量は、特に限定されない。前駆体中の炭素原料の含有量は、例えば、20〜40質量%程度であってもよい。
(窒素原料)
窒素原料としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する低分子の有機化合物、窒素原子を有する高分子の有機化合物、窒素原子を有する有機化合物の金属錯体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
窒素原子を有する低分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する数平均分子量1000未満の有機化合物が挙げられる。このような低分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジアミノマレオニトリル、フタロシアニン、ポルフィリン、1,10−フェナントロリン、ジピラジノ[2,3−f:2',3'−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル、メラミン、アクリロニトリル、ピロール、ピリジン、ビニルピリジン、アニリン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、キノキサリン、ピラゾール、モルホリン、ヒドラジン、ヒドラジド、尿素、サレン、トリアジン及びシアヌル酸が挙げられる。
窒素原子を有する高分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する数平均分子量1000以上の有機化合物が挙げられる。このような高分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、アズルミン酸、ジアミノマレオニトリル重合体、メラミン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−ポリメタクリル酸共重合体、ポリピロール、ポリビニルピロール、ポリビニルピリジン、ポリアニリン、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、キチン、キトサン、ポリアミノ酸、絹、毛、核酸、DNA、RNA、ポリウレタン、ポリアミドアミン、ポリカルボジイミド、ポリビスマレイミド及びポリアミノビスマレイミドが挙げられる。
窒素原子を有する有機化合物の金属錯体としては、特に限定されないが、例えば、鉄フェナントロリン錯体、鉄ジアミノマレオニトリル錯体、鉄フタロシアニン錯体、亜鉛アミノフェナントロリン錯体、鉄アミノフェナントロリン錯体、等が挙げられる。有機化合物の金属錯体は市販品を用いてもよいし、合成して用いてもよい。錯体の合成に用いる溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、等が挙げられ、特に限定はされないが、有機化合物の金属錯体の原料が溶解することが好ましい。
前駆体中、窒素材料は、化学構造中に炭素原子が含まれている場合は、上述の炭素材料ともなり得る。本実施形態においては、窒素材料の含有量は、特に限定されない。前駆体中の窒素原料の含有量は、例えば、25〜35質量%程度であってもよい。
(亜鉛フェナントロリン錯体)
これらの窒素原料及び炭素原料の中でも、亜鉛フェナントロリン錯体を含むことが好ましい。亜鉛フェナントロリン錯体を含むことにより、多くの窒素成分を炭素中に取り込むことが可能となり、窒素含有炭素材料のFe−N4構造の活性点密度が大きくなり、二酸化炭素還元活性、及び窒素還元活性が向上する傾向にある。また、過剰な亜鉛種の存在下において含窒素芳香族化合物と錯形成を行うことで、賦活剤が窒素原料及び炭素原料中により均等に分散し、窒素含有炭素材料の二酸化炭素、窒素還元活性がより向上する傾向にある。
前駆体中の亜鉛フェナントロリン錯体の含有量は、例えば、30質量%〜80質量%であり、Fe−N4構造の活性点密度を一層高める観点から、好ましくは35質量%〜75質量%であり、より好ましくは40質量%〜70質量%であってもよい。
(鉄原料)
鉄原料としては、特に限定されないが、例えば、金属鉄、鉄のシアノ錯体、ヒドロキシ錯体、クロロ錯体、アセチルアセトナート錯体、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、鉄のシアノ錯体、アセチルアセトナート錯体、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、臭化物、であり、より好ましくは、鉄のアセチルアセトナート錯体、硫酸塩、塩化物、臭化物である。
前駆体中の鉄原子の含有量は、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.03質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%〜3質量%である。前駆体中の鉄原子の含有量が上記範囲内であることにより、窒素含有炭素材料の酸素還元活性がより向上する傾向にある。
(賦活剤)
賦活剤は、窒素含有炭素材料中に細孔を形成し、比表面積を向上させるために用いられる。賦活剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、金属亜鉛粉、アルカリ金属水酸化物、リン酸、等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛であり、より好ましくは塩化亜鉛、酢酸亜鉛である。前駆体中に含まれる窒素原子と錯体を形成することができる賦活剤を用いることで、熱処理時の窒素原子の脱離を抑制することが出来、ひいてはFe−N4構造の活性点密度を向上させることにつながる。
前駆体中の賦活剤の含有量は、好ましくは5質量%〜95質量%であり、より好ましくは7質量%〜90質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜80質量%であり、特に好ましくは20質量%〜70質量%である。前駆体中の賦活剤の含有量が上記範囲内であることにより、窒素含有炭素材料中のFe−N4構造の活性点密度を適正な範囲に調整することができる。
〔熱処理工程〕
熱処理工程は、前述の前駆体を熱処理する工程である。
熱処理工程は、一段階の熱処理であってもよく、二段階以上の熱処理であってもよい。また、熱処理工程を二段階以上で行う場合は、その間に他の工程を組み込んでもよい。特に、後述する粉砕工程を実施する場合は、前述の前駆体を熱処理して賦活剤を残したまま炭化する第1の熱処理工程と、当該第1の熱処理工程で得られたサンプルの平均粒子径を調整する粉砕工程と、当該平均粒子径を調整したサンプルをさらに高温で熱処理して賦活剤を除去する第2の熱処理工程と、をこの順番で行うことが好ましい。
熱処理工程では、前記前駆体を不活性ガス雰囲気下で熱処理することが好ましい。上記不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、希ガス、真空等を用いることができる。
当該熱処理の少なくとも一部が、1000℃〜1500℃で実施されることが好ましい。
二段階の熱処理を実施する場合、例えば、第1の熱処理工程の熱処理温度は、好ましくは200℃〜900℃であり、より好ましくは350℃〜900℃であり、さらに好ましくは400℃〜850℃である。第1の熱処理工程の熱処理温度がこの範囲であることにより、熱処理物中に賦活剤を残したまま炭化することができる。また、第2の熱処理工程の熱処理温度は、好ましくは900℃〜1500℃であり、より好ましくは1010℃〜1450℃であり、さらに好ましくは1020℃〜1400℃であり、特に好ましくは1030℃〜1350℃である。第2の熱処理工程の熱処理温度が900℃以上であることにより、得られる窒素含有炭素材料は、賦活剤が除去されて細孔が十分に形成され、また、熱処理温度が1500℃以下であることにより、得られる窒素含有炭素材料は、高い酸素還元活性を示す傾向にある。
不活性ガス雰囲気下における熱処理時間は、好ましくは5分〜20時間であり、より好ましくは10分〜10時間であり、さらに好ましくは20分〜5時間である。熱処理時間が5分以上であることにより、前駆体の炭素化が十分に進行し、賦活剤が十分に除去される傾向にある。また、熱処理時間が20時間以下であることにより、最終的に得られる窒素含有炭素材料の酸素還元活性が高くなる傾向にある。
〔粉砕〕
なお、前駆体調製工程で得られる前駆体又は熱処理工程で得られた窒素含有炭素材料に粉砕処理を行ってもよい。粉砕の方法は特に限定されず、例えば、ボールミル、メノウ粉砕、ビーズミル等が挙げられる。粉砕処理を行うことで前駆体又は窒素含有炭素材料の粒径が均一な状態に近づき、より一定の品質で窒素含有炭素材料を提供することができる。
〔担持工程〕
担持工程は、窒素含有炭素材料に遷移金属粒子を担持させる工程である。触媒は、遷移金属粒子を担持する場合、その担持の方法は特に限定されず、金属原料を溶解させた水、アルコール等の公知の溶媒に窒素含有炭素材料を添加、撹拌して分散液を合成し、溶媒を留去して金属原料を窒素含有炭素材料上に担持してから水素あるいは窒素雰囲気下で焼成、還元することにより金属粒子化してもよいし、分散液に水素化ホウ素ナトリウムなどの公知の還元剤を加えることにより窒素含有炭素材料上に直接金属粒子を析出させてもよい。また、ポリビニルピロリドン、オクチルアミン等の公知の保護剤の共存下、水、アルコール等の溶媒に溶解した金属原料を水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を加えることにより金属粒子コロイドを合成し、窒素含有炭素材料を分散させて溶媒を留去することにより担持してもよい。得られた金属粒子担持窒素含有炭素材料は窒素等の不活性雰囲気下で焼成してもよい。
[二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用電極]
本実施形態の二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用電極(以下、単に「電極」ともいう)は、本実施形態の触媒を含む。以上の構成を有することで、本実施形態の電極は、高い二酸化炭素還元活性、又は高い窒素還元活性を示す。
電極は、イオン導電性樹脂を含有していてもよい。イオン導電性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマーなどのアイオノマーが挙げられる。イオン導電性樹脂を含む場合、触媒とイオン導電性樹脂の質量比(触媒/イオン導電性樹脂)は、好ましくは30/70〜90/10であり、より好ましくは40/60〜80/20であり、さらに好ましくは50/50〜70/30である。
電極は、電極用基材を有していてもよい。電極用基材としては、特に限定されないが、例えば、カーボンペーパー、カーボンフェルトが挙げられる。例えば、本実施形態の触媒及びイオン導電性樹脂を含む塗工液を、カーボンペーパー等の電極用基材上に塗布して、電極として用いることができる。
[二酸化炭素電解還元反応]
本実施形態の触媒は、二酸化炭素電解還元反応に用いられる。二酸化炭素電解還元反応は、二酸化炭素を還元することにより、一酸化炭素等の化合物を得る反応である。
二酸化炭素電解還元方法は、特に限定されないが、例えば、電解液中で、二酸化炭素を、本実施形態の二酸化炭素電解還元電極によって還元する工程を含む。
電解液は、例えば、電解質及び水を含む。電解質は、特に限定されないが、例えば、リン酸イオン(PO4 2-)、ホウ酸イオン(BO3 3-)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、カルシウムイオン(Ca2+)、リチウムイオン(Li+)、セシウムイオン(Cs+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、塩化物イオン(Cl-)、炭酸水素イオン(HCO3 -)、又は炭酸イオン(CO3 2-)を含む。電解質として、より具体的には、特に限定されなないが、例えば、LiHCO3、NaHCO3、KHCO3、CsHCO3が挙げられる。電解質の含有量は、電解液の全質量に対して、好ましくは0.01M〜1Mであり、より好ましくは0.05M〜0.5Mである。なお、Mは、濃度の単位であり、mol/Lを意味する。
二酸化炭素は、バブリング等により電解液中に導入してもよい。二酸化炭素のバブリングは、二酸化炭素電解還元反応を行う前に事前に行ってもよいし、二酸化炭素電解還元反応の反応中に行ってもよい。
二酸化炭素電解還元方法に用いられる電解還元装置は、例えば、第1セル室と、第2セル室と、当該第1セル室と当該第2セル室とを隔離分離させる隔膜としてのイオン交換膜と、当該第1セル室に浸漬された本実施形態の電極と、当該第2セル室に浸漬された白金電極等の作用極とを含む。イオン交換膜は、両電極が浸漬されているそれぞれの電解液に含まれる一部のイオンを透過する機能、すなわち電解液いずれかに含まれる1種以上のイオンを遮蔽する機能を有する。これにより、例えば二つの電解液との間でpHやイオン強度を異ならせることができる。このような構成により二酸化炭素電解還元反応を促進させることが可能となる。イオン交換膜としては、特に限定されないが、例えば、ナフィオン(登録商標)等が挙げられる。
二酸化炭素電解還元方法によれば、二酸化炭素から、一酸化炭素が得られる。また、本実施形態に係る含窒素炭素材料と銅粒子を含む触媒を用い、電解液が水を含む場合、一酸化炭素、ギ酸、メタン、エチレン、アルコール及び水素が得られる。
(二酸化炭素還元活性評価)
本実施形態の窒素含有炭素材料は、高い二酸化炭素還元活性を有しており、−1.2〜−0.4Vの範囲で任意の電位を印加するクロノアンペロメトリー法、及び生成したガスの濃度分析から算出される二酸化炭素還元電流が、−40mA/cm2〜−500mA/cm2の範囲にあることが好ましい。電流密度は、好ましくは−40mA/cm2以下であり、より好ましくは−70mA/cm2以下、さらに好ましくは−100mA/cm2以下である。電流密度は、実施例に記載の測定方法により測定できる。
[窒素電解還元反応]
本実施形態の触媒は、窒素電解還元反応に用いられる。窒素電解還元反応は、窒素を還元することにより、アンモニア等の化合物を得る反応である。
窒素電解還元方法は、特に限定されないが、例えば、電解液中で、窒素を、本実施形態の窒素電解還元電極によって還元する工程を含む。
窒素は、バブリング等により電解液中に導入してもよい。窒素のバブリングは、窒素電解還元反応を行う前に事前に行ってもよいし、窒素電解還元反応の反応中に行ってもよい。
窒素電解還元方法において用いられる、電解還元装置の例は、前述の二酸化炭素還元方法で挙げたものと同様である。
窒素電解還元方法において用いられる、電解液、及び電解液中の電解質の含有量の例は、前述の二酸化炭素還元方法で挙げたものと同様である。電解質は、例えば、強塩基又は酸が挙げられる。強塩基としては、特に限定されないが、例えば、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOHが挙げられる。酸としては、特に限定されないが、例えば、H2SO4、HNO3、HClO4が挙げられる。
(窒素還元活性評価)
本実施形態の窒素含有炭素材料は、高い窒素還元活性を有しており、リニアスイープボルタンメトリー法で測定された窒素還元反応のボルタモグラムにおいて、−0.6〜0Vの任意の電位における電流密度が、−0.20mA/cm2〜−2.00mA/cm2の範囲にあることが好ましい。前記電流密度は、好ましくは−0.20mA/cm2以下であり、より好ましくは−0.40mA/cm2以下、さらに好ましくは−1.00mA/cm2以下である。電流密度は、実施例に記載の測定方法により測定できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、高い二酸化炭素還元活性、又は高い窒素還元活性を示す、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応に用いられる触媒、当該触媒の製造方法、及び、当該触媒を用いる電極が提供される。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、当業者は以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができる。
実施例・比較例の各物性等は以下の方法により測定した。
<Fe−N4構造の活性点密度>
回転リングディスク電極装置を用いたNO被毒法によるFe−N4構造の活性点の定量方法を以下に示す。まず、バイアル瓶に、実施例又は比較例で作製した窒素含有炭素材料5mgを秤取し、そこに、ガラスビーズを約50mg、5質量%ナフィオン(登録商標)分散液(シグマ・アルドリッチジャパン製)を50μL、イオン交換水150μL、及びエタノール150μLを添加し、それらの混合物に10分間超音波を照射してスラリーを作製した。このスラリーを2.78μL(触媒塗布量0.04mg)採取し、回転電極のガラス状炭素上(0.1963cm2)に塗布し、室温25℃で乾燥した。乾燥後の回転電極を作用極とした。可逆水素電極(RHE)を参照極とし、白金電極を対極とした。0.5M酢酸緩衝液を電解液とし、その電解液にまず溶存酸素を追い出すために窒素を30分間バブリングし、掃引速度10mV/秒、回転速度1500rpmで1.05Vから−0.3Vまで掃引して作用極の表面を洗浄した。次に掃引速度10mV/秒、回転速度1500rpmで0.4Vから−0.3Vまで掃引し、これをNO被毒前のボルタモグラムとした。次に0.125M亜硝酸ナトリウム溶液に作用極を5分間浸漬し、Fe−N4構造中のFeをNOで被毒した。次いで、0.5M酢酸緩衝液とイオン交換水で被毒した作用極の表面を洗浄した。再度、溶存酸素を追い出すために窒素を30分間バブリングし、掃引速度10mV/秒、回転速度1500rpmで0.4Vから−0.3Vまで掃引した。これをNO被毒後のボルタモグラムとした。NO被毒後のボルタモグラムからNO被毒前のボルタモグラムを差し引き、さらに窒素含有炭素材料の塗布量及びNOがNH3に還元される際の反応電子数で除した値をFe−N4構造の活性点密度と定義した。
Fe−N4構造の活性点密度 = [〔被毒後の−0.3V〜0.25Vの範囲の電荷(単位:C)〕−〔被毒前の−0.3V〜0.25Vの電荷(単位:C)〕]/[NO脱離の反応電子数5個×ファラデー定数(単位:C/mol)×触媒塗布量(単位:g)]
<二酸化炭素電解還元活性評価>
バイアル瓶に、実施例及び比較例で作製した窒素含有炭素材料5mgを秤取し、そこに、ガラスビーズを約50mg、5質量%ナフィオン(商品名)分散液(シグマ・アルドリッチジャパン製)を50μL、イオン交換水150μL、及びエタノール150μLを添加し、それらの混合物に10分間超音波を照射してスラリーを作製した。このスラリーを11.4μL秤取し、5mm角に切り出したカーボンペーパー「TGP−H−060」(製品名、東レ株式会社製)に塗布し、室温25℃で乾燥した。乾燥後のカーボンペーパーを作用極とし、可逆水素電極(RHE)を参照極として、白金電極を対極とした。電解にはH型セルを用いた。セルの中央をイオン交換膜「Nafion(登録商標)117」(製品名、シグマ・アルドリッチ社製)で仕切り、セルの片側に対極を、もう片側に作用極、参照極、攪拌子及びガスサンプリングポートを取り付けた。電解液には0.1M炭酸水素カリウム水溶液を用いた。電解液に二酸化炭素をバブリングして二酸化炭素電解還元反応に必要な量を電解液中で溶解させた後、二酸化炭素の流量を20mL/minにしてセルの気相からガスサンプリングポートまで流通させた。攪拌子を300rpmで回転させながら、定電位印加(クロノアンペロメトリー)を2時間行った(電位は−1.2〜−0.4Vの範囲で任意の電位)。電位印加中、ガスサンプリングポートをガスクロマトグラフ装置「GC−2014」(製品名、株式会社島津製作所製、検出器はTCD及びFID)につなぎ、電解で生成したガスの分析を行った。また電位印加後、電解液に溶解した生成物の成分分析も前記装置により行った。
前述のクロノアンペロメトリー法における二酸化炭素電解還元活性は下記式で表される二酸化炭素還元電流(jCO2RR)と定義した。
Figure 2021115501
(ただしjはクロノアンペログラムの平均電流密度、FEH2は水素生成のファラデー効率、nH2は生成した水素の総量(単位mоl)、Fはファラデー定数(96485C/mоl)、Qはクロノアンペログラムの総電気量(単位C)を表す)
電流密度は負の方向に大きいほど二酸化炭素還元活性が高い。
<窒素電解還元活性評価>
バイアル瓶に、実施例及び比較例で作製した窒素含有炭素材料5mgを秤取し、そこに、ガラスビーズを約50mg、5質量%ナフィオン(商品名)分散液(シグマ・アルドリッチジャパン製)を50μL、イオン交換水150μL、及びエタノール150μLを添加し、それらの混合物に10分間超音波を照射してスラリーを作製した。このスラリーを2.78μL秤取し、ガラス状炭素電極上(0.1963cm2)に塗布し、室温25℃で乾燥した。乾燥後の電極を作用極とし、可逆水素電極(RHE)を参照極として、白金電極を対極とした。0.05M硫酸水溶液を電解液とし、その電解液にまず溶存ガスを追い出すためにアルゴンを30分間バブリングし、掃引速度5mV/秒で0.1Vから−0.6Vまで掃引して電気化学測定を行った。次に窒素を30分間バブリングして窒素電解還元反応に必要な量を電解液中で溶解させた後、同様の電気化学測定を行った。窒素下のボルタモグラムからアルゴン下のボルタモグラムを差し引いたものを、窒素電解還元反応のボルタモグラムとした。また、リニアスイープボルタンメトリー法における窒素電解還元活性は−0.6〜0Vの任意の電位における電流密度と定義した。前記電流密度が負の方向に大きいほど窒素電解還元活性が高い。
[製造例1:亜鉛フェナントロリン錯体の合成]
1,10−フェナントロリン(シグマ・アルドリッチ社製)10gを秤量し、セパラブルフラスコに入れた。当該セパラブルフラスコにメタノール150mLを添加し、スターラーで撹拌させながら溶解させた。また、塩化亜鉛(富士フイルム和光純薬株式会社製)7.564gを秤量し、ビーカーに入れた。当該ビーカーにメタノール50mLを添加し、スターラーで撹拌させながら溶解させた。その後の塩化亜鉛/メタノール溶液を、1,10−フェナントロリン/メタノール溶液に添加した。瞬時に亜鉛フェナントロリン錯体の生成を確認し、そのまま60分間維持した。セパラブルフラスコをエバポレーターにセットし、60℃のウォーターバスに浸してメタノールを留去した。亜鉛フェナントロリン錯体はセパラブルフラスコに入れたまま、100℃の真空乾燥機中で14時間維持し、約17.5gの亜鉛フェナントロリン錯体を得た。
[実施例1]
<ポリイミド合成工程>
合成は、Synthesis of TEMPO Functionalized Polyimides by A2 + B3 Polymerization, Yuta Nabae, Masatomo Mikuni, Teruaki Hayakawa, Masa−aki Kakimoto, Journal of Photopolymer Science and Technology, 27,2 (2014) 139−144を参考にした。ピロメリット酸二無水物(以下、「PMDA」ともいう。)1.308g、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)(以下、「Fe(acac)3」とも表記する。)489.6mgを秤量し、ナスフラスコに入れた。アセトン50mLを添加し、スターラーで撹拌させながら溶解させた。ナスフラスコを氷浴し、15分間維持した。また1,3,5−トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン(以下、「TAPB」ともいう。)1.406gを秤量し、三角フラスコに入れた。アセトン50mLを添加し、スターラーで撹拌させながら溶解させた。三角フラスコを氷浴し、15分間維持した。その後三角フラスコのTAPB/アセトン溶液を、ナスフラスコで撹拌しているPMDA/Fe(acac)3/アセトン混合溶液に添加した。5秒から10秒でポリイミド微粒子の生成を確認し、そのまま60分間維持した。ナスフラスコをエバポレーターにセットし、45℃のウォーターバスに浸してアセトンを留去した。約2.7gのポリイミド粒子を得た。ポリイミド粒子はシャーレに広げて、240℃の真空乾燥機中で14時間維持し、2.5gの3質量%のFe含有ポリイミド粒子(以下、「Fe3%含有ポリイミド粒子」ともいう。)を得た。
<前駆体調製工程>
Fe3%含有ポリイミド粒子1.1gと製造例1で得られた亜鉛フェナントロリン錯体1.932gと塩化亜鉛1.461gとメタノール100mLをセパラブルフラスコに入れて、スターラーで撹拌しながら混合した。セパラブルフラスコをエバポレーターにセットし、60℃のウォーターバスに浸してメタノールを留去した。前駆体4.5gを得た。
<第1の熱処理工程>
調製した前駆体4gを石英ボートに載置し、それを管状炉に収容した。炉内を大気圧、1NL/分の窒素流通下で80分間かけて室温から800℃まで昇温し、800℃のまま1時間保持することで1.8gのサンプルを得た。
<粉砕工程>
熱処理工程で得られたサンプルを遊星ボールミル「Pulverisette−5」(製品名、フリッチュ・ジャパン株式会社製)にて、直径10mmのジルコニアボール30個を用いて、回転数320rpmで90分乾式粉砕し、平均粒子径を1μmに調整した。
<第2の熱処理工程>
平均粒子径を調整したサンプル1.5gを石英ボートに載置し、それを管状炉に収容した。炉内を大気圧、3NL/分の窒素流通下で90分間かけて室温から1050℃まで昇温し、1050℃のまま60分間保持することで0.9gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は5.0×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−107mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−1.04mA/cm2であった。
[実施例2]
<ポリイミド合成工程>
Fe(acac)3 326.4mgに変更し、2.5gのFe2%含有ポリイミド粒子を得た以外は、実施例1の「ポリイミド合成工程」と同様の方法でポリイミドを合成した。
<前駆体調製工程>
Fe3%含有ポリイミド粒子のかわりに、Fe2%含有ポリイミド粒子1.1gを使用した以外は、実施例1の「前駆体調整工程」と同様の方法で前駆体4.5gを得た。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で、0.9gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は3.0×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−71mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.4mA/cm2であった。
[実施例3]
<ポリイミド合成工程>
Fe(acac)3を310.0mgに変更し、TAPB 1.406gを、4,4’−オキシジアニリン1.201gに変更して、2.3gのFe2%含有ポリイミド粒子を得た以外は、実施例1の「ポリイミド合成工程」と同様の方法でポリイミドを合成した。
<前駆体調製工程>
Fe3%含有ポリイミド粒子1.1のかわりに、上記Fe2%含有ポリイミド粒子1.1gを使用した以外は、実施例1の「前駆体調整工程」と同様の方法で前駆体4.5gを得た。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で、0.9gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は3.0×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−64mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.38mA/cm2であった。
[実施例4]
<前駆体調製工程>
フェノール樹脂「PSK−2320」(製品名、群栄化学工業株式会社製)6.0g、塩化鉄(シグマ・アルドリッチ社製)0.08g、亜鉛フェナントロリン錯体10.583g、塩化亜鉛(富士フィルム和光純薬株式会社製)1.46gをメタノール400mL中で混合後、エバポレーターで蒸発乾固させた。その後、80℃で真空乾燥し、前駆体とした。
<第1の熱処理工程>
調製した前駆体12gを石英ボートに載置し、それを管状炉に収容した。炉内を大気圧、3NL/分の窒素流通下で60分間かけて室温から500℃まで昇温し、500℃のまま1時間保持することで8.2gのサンプルを得た。
<粉砕工程>
第1の熱処理工程で得られたサンプルを遊星ボールミル「Pulverisette−5」(フリッチュ・ジャパン株式会社製)にて直径10mmのジルコニアボールを用いて乾式粉砕することにより、平均粒子径を1μmに調整したサンプルを得た。
<第2の熱処理工程>
平均粒子径を調整したサンプル3.5gを石英ボートに載置し、それを管状炉に収容した。炉内を大気圧、3NL/分の窒素流通下で90分間かけて室温から1050℃まで昇温し、1050℃のまま60分間保持することで1.3gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は3.0×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−66mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.36mA/cm2であった。
[実施例5]
<前駆体調製工程>
フェノール樹脂「PSK−2320」(製品名、群栄化学工業株式会社製)6.0gの代わりにポリアクリロニトリル6.0gを使用し、塩化鉄(シグマ・アルドリッチ社製)0.08gの代わりにトリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)(Fe(acac)3)2.276gを使用した以外は、実施例4と同様の方法で前駆体を調製した。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で、0.9gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は3.4×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−73mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.48mA/cm2であった。
[実施例6]
<前駆体調製工程>
実施例1の「亜鉛フェナントロリン錯体合成工程」で得た亜鉛フェナントロリン錯体2gと金属鉄粉0.0228gと塩化亜鉛1.5128gをメノウ乳鉢ですりつぶしながら混合し、前駆体とした。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で0.7gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は3.2×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−68mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.46mA/cm2であった。
[実施例7]
<共有結合性トリアジン構造体合成>
共有結合性トリアジン構造体の合成はDirect Synthesis of a Covalent Triazine−Based Framework from Aromatic Amides, Soo−Young Yu, Javeed Mahmood, Hyuk−Jun Noh, Jeong−Min Seo, Sun−Min Jung, Sun−Hee Shin,Yoon−Kwang Im, In−Yup Jeon, and Jong−Beom Baek, Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 8438 8442を参考にした。テレフタル酸アミド1.6gと五酸化二リン8gを、窒素置換したグローブボックス中でシュレンク管に封入した。シュレンク管を取り出し、マントルヒーターを用いて全体を400℃に加熱し、12時間維持した。黒変した固形物を回収し、水とN−メチルピロリドンの混合溶液を用いて洗浄した。その後水で2日間、メタノールで2日間洗浄し、80℃の真空乾燥器にて一晩乾燥した。得られた共有結合性有機結合体は1.0gだった。
<前駆体調製工程>
上記共有結合性有機結合体1.0gと実施例1の「亜鉛フェナントロリン錯体合成工程」で得た亜鉛フェナントロリン錯体2gとFe(acac)3 0.3794gと塩化亜鉛1.5128gをメノウ乳鉢ですりつぶしながら混合し、前駆体とした。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で1.0gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は3.5×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−77mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性評価>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.53mA/cm2であった。
[実施例8]
<ポリイミド合成工程>
実施例1の「ポリイミド合成工程」と同様の方法でポリイミドを合成した。
<前駆体調製工程>
実施例1の「前駆体調整工程」と同様の方法で前駆体4.5gを得た。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で、0.9gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は5.0×10-5 mol sites/gであった。
<金属粒子の担持>
ナスフラスコ中でクロロホルム100mLに0.9gの窒素含有炭素材料を添加、撹拌し、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)(Cu(acac)2)0.3gを添加し、18時間維持した。その後60℃のウォーターバスとエバポレーターを用いて溶媒を留去し、固形物を回収した。固形物を石英製のボートに充填し、管状炉にて200mL毎分の水素を流通しながら、400℃で5時間処理した。平均粒子径5.2nmの銅ナノ粒子を、窒素含有炭素材料全量に対して15質量%担持した窒素含有炭素材料を0.9g回収した。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−110mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2、CO、HCOOH、CH4、C24、Cn2n+1OHであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−1.15mA/cm2であった。
[実施例9]
<ポリイミド合成工程>
実施例1の「ポリイミド合成工程」と同様の方法でポリイミドを合成した。
<前駆体調製工程>
実施例1の「前駆体調整工程」と同様の方法で前駆体4.5gを得た。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で、0.9gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は5.0×10-5 mol sites/gであった。
<金属粒子の担持>
ナスフラスコ中でエタノール100mLに0.9gの窒素含有炭素材料を添加、撹拌し、テトラクロロ金(III)酸四水和物0.2gを添加し、18時間維持した。その後60℃の水浴とエバポレーターを用いて溶媒を留去し、固形物を回収した。固形物を石英製のボートに充填し、管状炉にて200mL毎分の水素を流通しながら、400℃で5時間処理した。平均粒子径3.5nmの金ナノ粒子を、窒素含有炭素材料全量に対して15質量%担持した窒素含有炭素材料を0.9g回収した。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−112mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−1.10mA/cm2であった。
[比較例1]
<前駆体調製工程>
1,10−フェナントロリン6.0g、フェノール樹脂6.0g、塩化鉄0.08g、酸化亜鉛40質量%エタノール分散液(シグマ・アルドリッチ社製)7.5gをメタノール400mL中で混合後、エバポレーターで蒸発乾固させた。その後、80℃で真空乾燥し、前駆体とした。
<熱処理工程>
真空乾燥して得られた前駆体を実施例4の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で熱処理することで、0.8gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は2.2×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−23mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.11mA/cm2であった。
[比較例2]
<前駆体調製工程>
1,10-フェナントロリン18.0g、フェノール樹脂18.0g、塩化鉄0.24gをメタノール1200mL中で混合後、エバポレーターで蒸発乾固させた。その後、80℃で真空乾燥し、前駆体とした。
<熱処理工程>
前駆体33.2gをアルミナ容器に載置し、それを高温雰囲気ボックス炉にて炉内を大気圧、1NL/分の窒素流通下で60分かけて室温から800℃まで昇温し、800℃のまま1時間保持した。室温まで冷却後、これを遊星ボールミルにて粉砕及び分級することにより、平均粒子径1μmとした。これにより、窒素含有炭素材料を12.7g得た。さらに、この粉砕処理後の窒素含有炭素材料1.0gを石英ボートに載置し、それを内径47mmの石英管状炉に収容し、炉内を大気圧、1.0NL/分の窒素及び0.2NL/分のアンモニアガス流通下で1時間かけて室温から975℃まで昇温し、975℃のまま30分間保持した後、室温まで冷却することで窒素含有炭素材料を0.53g得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は1.8×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−22mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.07mA/cm2であった。
[比較例3]
<前駆体調製工程>
亜鉛フェナントロリン錯体を添加しなかった以外は実施例1の「前駆体調製工程」と同様の方法で前駆体を調製した。
<熱処理工程>
実施例1の「第1の熱処理工程」、「粉砕工程」及び「第2の熱処理工程」と同様の方法で、0.8gの窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は2.8×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−29mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.15mA/cm2であった。
[比較例4]
<前駆体調製工程>
ジアミノマレオニトリル(東京化成工業株式会社製)400gと塩化鉄0.91gとをメタノール10kgに溶解させた後、噴霧乾燥機「MDL−015MGC」(製品名、藤崎電機株式会社製)にて乾燥し、前駆体とした。
<粉砕工程>
前駆体43.8gをアルミナ容器に載置し、それを高温雰囲気ボックス炉にて炉内を大気圧、1NL/分の窒素流通下で30分かけて室温から140℃まで昇温し、140℃のまま9時間保持した。その後、60分かけて900℃まで昇温し、900℃のまま1時間保持した。室温まで冷却後、これを遊星ボールミルにて粉砕及び分級することにより、平均粒子径1μmとした。これを、ビーズミル「ウルトラアペックスミル」(製品名、寿工業株式会社製)にてさらに粉砕することにより、平均粒子径300nmの窒素含有炭素材料を得た。
<熱処理工程>
この粉砕処理後の窒素含有炭素材料を、1.0NL/分のアンモニアガス流通下で、975℃にて75分の熱処理を行い、窒素含有炭素材料を0.26g得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は1.6×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−18mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.05mA/cm2であった。
[比較例5]
<前駆体調製工程>
実施例1で合成した窒素含有炭素材料を0.5M硫酸水溶液中で攪拌することで金属成分を除去した後、洗浄、乾燥して、酸洗浄後の窒素含有炭素材料を得た。
<Fe−N4構造の活性点密度の定量>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記Fe−N4構造の活性点の定量を行った。Fe−N4構造の活性点密度は1.4×10-5 mol sites/gであった。
<二酸化炭素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記二酸化炭素還元活性評価を行った。−1.2Vで定電位印加した時の二酸化炭素還元電流は−15mA/cm2であった。電解で生成した成分は、H2及びCOであった。
<窒素還元活性>
熱処理して得られた窒素含有炭素材料について、上記窒素還元活性評価を行った。電位が−0.2Vの時の電流密度は−0.04mA/cm2であった。
Figure 2021115501
以上、本発明によれば、実施例の窒素含有炭素材料は、二酸化炭素電解還元反応用触媒、又は、窒素電解還元反応用触媒として用いることができることがわかる。
本発明の触媒は、二酸化炭素又は窒素の電解還元反応電極として産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. Fe原子と、N原子を有するグラフェン構造とを有し、
    前記Fe原子が4つのN原子とそれぞれ配位したFe−N4構造を有し、前記Fe−N4構造の活性点密度が、3.0×10-5 mol sites /g以上1.0×10-4 mol sites /g以下の範囲にある、窒素含有炭素材料、
    を含む二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒。
  2. 前記グラフェン構造が、下記式(1)で表されるN原子構造を含む、請求項1に記載の触媒。
    Figure 2021115501
    (式中、*は、グラフェンを構成する炭素原子との結合部位であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はグラフェンを構成する炭素原子との結合部位である。)
  3. 遷移金属粒子を更に含有する、請求項1又は2に記載の触媒。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒の製造方法であって、亜鉛フェナントロリン錯体を含有する前駆体を熱処理する熱処理工程を含む、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用触媒の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒を含む、二酸化炭素電解還元反応又は窒素電解還元反応用電極。
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