JP2021115165A - 多孔質複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】改善された骨再生又は骨造成の手段を提供すること。【解決手段】第8リン酸カルシウム及びコラーゲンを含み、気孔率が92%以下であり、ヤング率比が0.06〜0.1である、多孔質複合体。【選択図】なし

Description

多孔質複合体に関する技術が開示される。
ヒドロキシアパタイト、β−第3リン酸カルシウム(β−TCP)、及び第8リン酸カルシウム(Octacalcium phosphate、以下、「OCP」という)等のリン酸カルシウムが骨再生材料として使用されている(例えば、特許文献1〜5)。また、OCPに保形性を付与するために、コラーゲンでできた多孔質体にOCPを含有させることが提案されている(特許文献5)。 特許文献6には、リン酸カルシウムを含む多孔質複合体とPTHを併用する、で骨再生又は骨増生の手段が開示されている。
特開2010−273847号公報 特開2003−260124号公報 特開2009−132601号公報 特開2005−279078号公報 特開2006−167445号公報 WO2017/175509
より改善された骨再生又は骨造成の手段を提供することが1つの課題である。
斯かる課題の解決手段として下記に代表される発明が提供される。
項1.
第8リン酸カルシウム及びコラーゲンを含み、気孔率が92%以下であり、ヤング率比が0.06〜0.1である、多孔質複合体。
項2.
ヤング率比が0.06〜0.08である、項1に記載の多孔質複合体。
項3.
気孔率が87%以上である、項1又は2に記載の多孔質複合体。
項4.
第8リン酸カルシウム及びコラーゲンを含む懸濁液を−40℃以下で予備凍結し、更に凍結乾燥することを含む、項1〜3に記載の多孔質複合体の製造方法。
項5.
懸濁液中のコラーゲン濃度が4%以上である、項4に記載の方法。
効果的に骨再生又は骨造成することが可能となる。
実施例で撮影した術後4週および12週後のラットのCT画像を示す。 実施例における組織学的解析のためにHE染色した組織を示す。 実施例において多核巨細胞の存在を組織学的に解析するために使用した画像を示す。 実施例において既存骨吸収を組織学的に解析するために使用した画像を示す。
多孔質複合体は、第8リン酸カルシウム(「OCP」とも称する。)及びコラーゲンを含み、気孔率が92%以下であり、ヤング率比が0.06〜0.1であることが好ましい。
OCPは、種々公知の方法によって調製することができる。例えば、滴下法(LeGeros RZ,Calcif Tissue Int 37:194−197,1985)、又は特許文献6に開示される合成装置(三流管)を使用した方法などによって調製することができる。また、リン酸二水素ナトリウム水溶液と酢酸カルシウム水溶液を適切な条件下で混合し、生成した沈殿物を回収することによる混合法によって調製することもできる。沈殿物から得られたOCPは、乾燥させ、電動ミル等を用い粉砕し、粒子状の粉体にして用いることが好ましい。
OCPの粒径は10〜1000μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜500μmに調製することが好ましく、さらに好ましくは300〜500μmに調製することが好ましい。粒径は、ふるい分け法によりふるいの目開きのサイズによって分級することができる。
多孔質複合体を構成するコラーゲンは、骨再生又は骨造成用の材料として適している限り、由来及び性状などは特に限定されず、任意のコラーゲンを使用することができる。一実施形態において、コラーゲンは、蛋白分解酵素(例えばペプシン、又はプロナーゼ等)で可溶化し、テロペプチドが除去された酵素可溶化コラーゲンであることが好ましい。このようなコラーゲンはアレルゲン性が低い。また、コラーゲンは、繊維性コラーゲンであるI型、II型、III型又はIV型のコラーゲンであることが好ましい。一実施形態において、コラーゲンは、生体内に大量に含まれるI型コラーゲン、又はI型及びIII型コラーゲンの混合物であることが好ましい。コラーゲンの原料は、例えば、豚又は牛などの皮膚、骨、若しくは腱等、並びに魚のうろこなどを用いることができる。コラーゲンは生体由来成分であるので、安全性が高い。上記のコラーゲンとしては、市販の製品を使用してもよい。
OCPとコラーゲンの配合比は、所望する保形性、操作性、及び生体親和性等を考慮して適宜調整することができる。例えば、コラーゲン1重量部に対するOCPの配合比は、0.5〜35重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。コラーゲン1重量部に対してOCPが0.5重量部未満であると、得られた複合体の骨再生機能が劣るおそれがあり、35重量部を超えると保形性が低下するおそれがある。
多孔質複合体の気孔率は92%以下であることが好ましい。一実施形態において、多孔質複合体の気孔率は91%以下、90%以下、又は89%以下であることが好ましい。多孔質複合体の気孔率の下限は特に制限されないが、例えば、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、又は88%以上であり得る。
多孔質複合体の気孔率は、多孔質複合体の理論密度及び実測密度から次の式から求められる物性値である。
Figure 2021115165
式中、Pは気孔率を示し、P0は複合体の理論密度を示し、mは複合体の実測密度を示す。また、OCPの理論密度は2.61(g/cm)である。
多孔質複合体の気孔率を上記の範囲に調整する手段は任意である。例えば、凍結乾燥法により多孔質複合体を作製する場合、一般的に凍結乾燥前の水分率が気孔率に影響する。そこで、多孔質複合体を調製する際に使用するコラーゲン溶液におけるコラーゲン濃度を調整することにより水分率を調整し、気孔率を制御することができる。コラーゲン濃度を高めることにより、気孔率は低下する傾向にある。
多孔質複合体の気孔率を上述の範囲に調整するという観点で、多孔質複合体を調製する際に使用するコラーゲン溶液中のコラーゲン濃度は、3重量%よりも高いことが好ましく、3.5重量%以上、4重量%以上、4.5重量%以上、5重量%以上、又は5.5重量%であることが好ましい。
多孔質複合体は、ヤング率比が0.06〜0.1であることが好ましい。一実施形態において、ヤング率比は、0.055よりも大きいことが好ましく、0.06以上、0.061以上、0.062以上、0.063以上、0.064以上、又は0.065以上であることが好ましい。一実施形態において、ヤング率比は、0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、0.1以下、0.09以下、又は0.08以下であることが好ましい。
多孔質複合体のヤング率比とは、多孔質複合体の乾燥条件でのヤング率と湿潤条件でのヤング率との差(乾燥条件でのヤング率−湿潤条件でのヤング率)で求められる物性である。ヤング率は、多孔質複合体について測定された応力−ひずみ曲線から算出される物性である。乾燥条件でのヤング率は、圧縮試験機(EZ-L 5kN、島津製作所)を使用し、カタログ値としての乾燥条件で、クロスヘッド速度0.5mm/分、サンプル時間50m秒、最大荷重4500Nで得られる荷重−変異曲線から算出されるヤング率である。湿潤条件でのヤング率は、生理食塩水0.5mlを試料に滴下し、クロスヘッド速度、サンプル時間、最大荷重は乾燥条件と同じで測定し、得られる荷重−変異曲線から算出されるヤング率である。
多孔質複合体のヤング率比を上述の範囲に制御するという観点でも、多孔質複合体を調製する際にするコラーゲン溶液中のコラーゲン濃度を3重量%よりも高くすることがこのましい。コラーゲン濃度は、3.5重量%以上、4重量%以上、4.5重量%以上、5重量%以上、又は5.5重量%であることが好ましい。
一実施形態において、多孔質複合体は3〜90μmの細孔径を有することが好ましい。細孔径が90μmを超える場合、多孔質複合体の強度が低下する傾向がある。一方、細孔径が3μm未満である場合、骨芽細胞等の骨代謝系細胞の侵入が起こり難くなり、骨再生の促進作用が低下する恐れがある。多孔質複合体の細孔径は、より好ましくは5〜40μmである。
多孔質複合体の細孔径は水銀ポロシメーター(Mercury porosimeter)による細孔分布測定を用いて測定される。具体的には以下の方法により測定される。(細孔径測定)
前処理として、サンプル(多孔質複合体)を120℃で4時間恒温乾燥する。前処理後の各サンプルについて、下記の測定装置を用いた水銀圧入法により、下記の条件で細孔径(pore size)0.0018〜200μmの細孔分布を求める。
測定装置:オートポアIV9520(micromeritics社製)
測定条件:サンプルと水銀の接触角:140deg
水銀の表面張力:0.48N/m(1dyne=10−5Nで換算)
上記水銀圧入法で得られた細孔分布曲線において、最も大きな面積を有するピークの極大値を示す細孔径(直径)の値が本書における細孔径(pore size)の値である。
多孔質複合体の形状は、それを充填する患部の形状及び大きさ等を考慮して任意に設定することができる。例えば、多孔質複合体は、直方体(ブロック体)、立方体、円筒体、タブレット状、又は顆粒であることが好ましい。一実施形態において、直方体である多孔質複合体の大きさは5mm×5mm×5mm以上であることが好ましく、一般に上限は100mm×100mm×100mmであることが好ましい。円筒状である場合の大きさは、直径が5〜50mmであることが好ましく、高さは1〜50mmの範囲であることが好ましい。顆粒状である場合、形状は球体に限られず不定形でもよいが、直径が0.1〜10mmであることが好ましい。顆粒状の多孔質複合体の直径は、ふるい分け試験法により求められる。
多孔質複合体を移植する方法(manner)は、任意であり特に制限されない。例えば、多孔質複合体の移植は、適当なサイズの多孔質複合体を骨再生又は骨造成(好ましくは、骨造成)が必要な部位に補填することより行われ得る。骨再生又は骨造成が必要な部位(例えば、骨欠損部)に十分な血液もしくは体液が存在する場合には、多孔質複合体をそのまま、もしくは適当な形状に切断し補填することができる。当該部位に十分な血液等が認められない、又は多孔質複合体を元の形状で補填できない場合は、多孔質複合体を血液もしくは生理食塩水等に浸漬し、多孔質複合体がスポンジ状の弾力性を示すことを確認した上で骨欠損部に補填することができる。
骨再生が必要な部位は、例えば、骨欠損部位を含む。骨欠損は種々に要因により生じ得る。要因としては、例えば、骨欠損は、骨折、外傷後の骨欠損(post traumatic bone loss)、骨の外科的手術、先天性骨欠損、感染後の骨欠損(post infectious bone loss)、骨の化学療法処置(bone chemotherapy treatment)、同種移植片の埋め込み(allograft incorporation)、骨の放射線療法処置(bone radiotherapy treatment)に関連する骨欠損疾患(bone deficit condition)、及び歯周病等を挙げることができる。骨の外科的手術としては、例えば、脊椎固定術、四肢の関節固定術などを含む関節固定、および外傷後の骨の手術(post−traumatic bone surgery)、補綴後の関節の手術(post−prosthetic joint surgery)、整形後の骨の手術(post−plastic bone surgery)、及び歯科手術(dental surgery)等を挙げることができる。一実施形態における骨欠損部位としては、例えば、嚢胞腔、萎縮歯槽堤、顎裂部、及び抜歯窩等を挙げることができる。
骨造成が必要な部位は、特に制限されず、例えば、sinus lift, bone graft, 及びridge expansionから成る群より選択される一種以上の処置を必要とする部位である。一実施形態において、骨造成が必要な部位は、骨粗鬆症、変形性脊椎症、慢性関節リウマチ、悪性腫瘍、外傷等に伴う骨塩量の減少病態を示す部位であり得る。他の実施形態において、骨造成が必要な部位は、構音障害咀嚼傷害、及び/又は審美障害を伴う口腔外科的病態が挙げられる。
被検体は、特に制限されないが、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、サル、及びラット等の動物を挙げることができる。一実施形態において、好ましい被検体はヒトである。
多孔質複合体は、任意の方法で製造することができる。例えば、多孔質複合体は、下記の(a)又は(b)の方法で製造できる。
(a)OCPとコラーゲンとを混合して複合化する方法
濃度及びpH等がゲル化し得る範囲に調整されたコラーゲン溶液にOCPを添加し、十分に混練してOCPとコラーゲンの混合物を作製することができる。次いで、この混合物を適当な型に加えて成型し、凍結し、凍結乾燥することにより複合体を得る。得られた複合体は、熱脱水架橋処理を施し、慣用の滅菌法(例えば、γ線照射、電子線照射、エチレンオキサイドガス等)により滅菌することが好ましい。
(b)OCP懸濁液を混合して複合化する方法
適当な濃度のコラーゲン酸性溶液を、適当な緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)で無菌的にpH5.5〜7.5に調整する。そこにコラーゲンがゲル化する前にOCPを添加して、コラーゲンとOCPの懸濁液を調製する。その後、pHを中性から弱アルカリ性に保持した状態で型に流し込み、形状を付与した後、適当な温度(例えば37℃)でゲル化させ、水洗浄を繰り返して緩衝液の塩などを除去して複合体を得ることができる。その後、上記(a)と同様に凍結乾燥および滅菌処理を施すことが好ましい。
一実施形態において、多孔質複合体を得る方法は、OCPとコラーゲンとを含むゲル、ゾルまたは液体を液体冷媒に浸漬し凍結(予備凍結)した後、凍結乾燥する工程を含むことが好ましい。「ゲル、ゾルまたは液体を液体冷媒に浸漬し凍結し」とは、例えば、ゲル、ゾルまたは液体が収容された容器を密閉した後に該容器を液体冷媒に浸漬して、ゲル、ゾルまたは液体を凍結させる態様も含む。
液体冷媒は、OCPとコラーゲンとを含むゲル、ゾルまたは液体の凍結温度より低い温度の液体であり、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、及び液体窒素等が挙げられる。該液体冷媒の温度は、例えば、−20℃以下、好ましくは−40℃以下、−60℃以下、−80℃以下、−100℃以下、−120℃以下、−140℃以下、−160℃以下、又は−180℃以下である。OCPとコラーゲンとを含むゲル、ゾルまたは液体を液体冷媒に浸漬することによって急速に凍結させることにより、得られる多孔質複合体の細孔径を小さくすることができると考えられる。
一実施形態において、多孔質複合体は、熱処理が施されていることが好ましい。熱処理により、OCP分子構造の一部が崩れて骨形成系細胞の侵入が起こり易くなり、骨再生が促進されると共に、コラーゲンが架橋して形状保持力が向上する。
熱処理の温度は、好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜180℃である。また、熱処理は、減圧条件下で行うことが好ましい。圧力は、好ましくは0〜3000Pa、より好ましくは0〜300Paである。熱処理の処理時間は、好ましくは0.1〜10日、より好ましくは0.5〜5日である。
多孔質複合体は、上述する各成分以外の任意の成分を含み得る。そのような配合成分としては、例えば、生体吸収性高分子(ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体等)を挙げることができる。また、多孔質複合体は、parathyroid hormone(PTH)といった成分を含んでいてもよい。
多孔質複合体は、骨再生/骨造成材料として用いることができる。骨再生材料は歯科口腔外科領域、整形外科領域における骨欠損修復、並びに、開頭、及び開胸術後の骨欠損修復などに有用である。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
1.OCPの調製
OCP調製用の1液および2液を次の通り調製した。リン酸二水素ナトリウム二水和物31.2gを蒸留水2500gに溶解し、1液を調製した。酢酸カルシウム一水和物35.2gを蒸留水2500gに溶解し、2液を調製した。1液をセパラブルフラスコに入れ、マントルヒーターにて70℃に昇温した。撹拌機(東京理化器械社製、MAZELA Z)に撹拌翼(羽径12cm)を取り付け、1液を250rpmの速度で撹拌しながら、2液を約28mL/minの速度で滴下した。滴下終了後、1液と2液の混合液を70℃、250rpmでさらに2時間撹拌した。
上記の混合液中に生成した沈殿物をメンブレンフィルター(孔径3μm、アドバンテック東洋社製、A300A293C)を用いてろ過し、回収した。それを蒸留水1500mLに分散させ、15分間撹拌し洗浄した。このろ過及び洗浄の工程をさらに3回繰り返した。洗浄した沈殿物を、恒温乾燥機を用いて30℃で24時間乾燥した。乾燥後の沈殿物を電動ミルにて粉砕した後、ふるいを用いて粒径を300〜500μmに分級し、粉体を得た。最後に、得られた粉体に対して120℃で2時間の乾熱滅菌を行い、OCPを得た。
2.COP/Colの調製
I型及びIII型コラーゲンを含むブタ真皮由来コラーゲン(日本ハム社製、NMPコラーゲンPS)1重量部を4℃に冷却した蒸留水200重量部に溶解し、約0.5重量%のコラーゲン溶液を得た。液温を4℃に保ちながらコラーゲン水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを約7.4に調整しコラーゲン懸濁液を得た。コラーゲン懸濁液に製造例1で得たOCP(粒径300〜500μm)をOCPとコラーゲンが重量比で77:23となるように加え、室温で撹拌してOCP/コラーゲン懸濁液を得た。
OCP/コラーゲン懸濁液を遠心瓶に入れ、遠心分離機(トミー精工社製、GRX−250)を用い7000×gの遠心力で20分間遠心した。OCP/コラーゲン懸濁液中のコラーゲンが3重量%となるように上清を廃棄した後、内容物を薬さじで約2分間混合し、OCP/コラーゲン複合ゲルを得た。併せて、OCP/コラーゲン懸濁液中のコラーゲンが3重量%である懸濁液に、更に、7000×gの遠心力で20分間遠心し、上清を廃棄する作業を繰り返し、それぞれコラーゲンの濃度が4重量%、5重量%又は6重量%であるOCP/コラーゲン複合ゲルを得た。これらを円柱状の内部空間を有するプラスチック容器(内径9.0mm、容積約3.0cm)に入れて、230×gの遠心力で1分間遠心して脱泡した。
これらの複合ゲルを2群に分け、一方の群は、密閉した状態のプラスチック容器を−80℃に設定した冷凍庫に入れ、COP/コラーゲン複合ゲルを凍結した。容器を開栓した後、凍結体を凍結乾燥機により乾燥(−10℃、48時間)させ成形した。これを気相OCP/Col「OCP/Col(G群)」とし、OCP/コラーゲン懸濁液中のコラーゲン濃度が3重量%、4重量%、5重量%、6重量%であった各試料を、それぞれ「G 1.0,G 1.3,G 1.7,G 2.0」とした。
もう一方の群は、密閉した状態のプラスチック容器をその容積に対して大過剰の−196℃の液体窒素に浸漬して急速に凍結した。容器を開栓した後、凍結体を凍結乾燥機により乾燥(−10℃、48時間)させ成形した。これを液相OCP/Col「OCP/Col(L群)」とし、OCP/コラーゲン懸濁液中のコラーゲン濃度が3重量%、4重量%、5重量%、6重量%であった各試料を、それぞれ「L 1.0,L 1.3,L 1.7,L 2.0」とした。
各試料は凍結乾燥後、減圧下、150℃で24時間加熱し、熱脱水架橋を行い、電子線照射で滅菌を行なった。圧縮試験等には10mm×10mm×10mmの試料を用た。一方、動物埋植用にはOCP/Col G群およびOCP/Col L群の直径9mm×厚さ2mmのディスクを用いた。
3.気孔率
得られた試料について、かさ密度と理論密度から気孔率を求めた。なお、用いた理論密度(g/cm3)はOCP: 2.61、Col: 1.41である。測定された各試料の気孔率(%;N=3、mean ± S.D.)は以下の通りである。
Figure 2021115165
上記のとおり、OCP/Col (G群)、OCP/Col (L群)ともにOCP/コラーゲン懸濁液中のコラーゲンの濃縮比率を高めることで気孔率は減少した。また、同一濃縮比率のOCP/Col (G群)とOCP/Col (L群)との比較では、同程度の気孔率を示していた。
4.ヤング率
通常の乾燥条件での測定に加え、実際の臨床現場では試料が血液等の組織液にさらされることを考慮し、湿潤条件で測定を行なった。乾燥条件、湿潤条件ともに、圧縮試験機(EZ-L 5kN、島津製作所)を使用した。クロスヘッド速度0.5mm/min、サンプル時間50msec、最大荷重4500Nと設定した。なお、湿潤条件では生理食塩水0.5mlを試料へ滴下後5分以内に測定を開始した。それぞれ得られた荷重―変位曲線から応力―ひずみ曲線を求め、算出した各試料のヤング率を下記の表に示す。
Figure 2021115165
OCP/Col (G群)、OCP/Col (L群)ともに濃縮比率を高めることでヤング率は上昇した。
5.埋入試験
雄性Wistar系ラット(12週齢)を無作為に8群(G 1.0,G 1.3,G 1.7,G 2.0,L 1.0,L 1.3,L 1.7,L 2.0)に分け、各群5匹、計40匹を用いた。腹腔内麻酔後、ラット頭蓋冠部に皮膚切開、骨膜切開を加え、頭蓋冠上に骨膜下ポケットを作製し、同部に試料(直径9mm×厚さ2mmのディスク)を埋入した。試料埋入後、骨膜および皮膚縫合を行い手術を終了した。
6.X線学的解析
術後4週および12週後に実験動物用X線CT装置(Latheta LCT-200;日立アロカメディカル社製)を低X線管電圧で用い、生存状態で断層撮影を行い、試料埋入部における新生骨形成状況を精査した。同様に術後12週後あるいは24週後のCT撮影後、ペントバルビタール過量麻酔にて屠殺し頭蓋冠および周囲組織を採取し、0.1Mリン酸緩衝4%パラホルムアルデヒド(pH 7.4)に浸漬固定した。
CT画像を図1に示す。術後12週において、OCP/Col(L群)(とりわけL 1.3,L 1.7,L 2.0)では、埋入試料の高さが保持されていたのに対し、OCP/Col (G群)では埋入試料が潰れ、高さが保持できないことが確認された。特にL 2.0では埋入試料の高さの保持のみならず、試料のエッジの変形量が他群と比較して小さく、形状が最も保持されていた。
7.組織学的解析
摘出標本は10% EDTAで脱灰しパラフィン標本作成後、前頭断で6 μm厚の組織切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で組織学的に検索を行った。
結果を図2に示す。術後12週のOCP/Col (G群)では、埋入試料や既存骨の吸収が観察され、既存骨側からの少量の新生骨の形成を認めるが、明確な骨造成は認められなかった。一方、OCP/Col(L群)(とりわけL 1.3,L 1.7,L 2.0)では、埋入試料の高さの保持が認められた。また、既存骨側から皮膚側に向かう骨の新生が目立ち、それらは試料辺縁部で顕著であった。新生骨量についてはL 2.0がL 1.7,L 1.3に比べ多いように見られた。
8.組織学的解析(多核巨細胞)
HE染色された各標本の試料埋入中央相当部(複数個)の組織切片を用いて、多核巨細胞を確認した。結果の一部を図3に示す。OCP/Col(G群)(図3はG 2.0)の中央上部(Upper Central area: UC)では多数の多核巨細胞が確認され、OCP/Colの吸収が示唆されたが、OCP/Col(L群)(図3はL 2.0)のUCでは、多核巨細胞は目立たず、残存しているOCP/Col内への細胞の侵入は目立たない。これらは、液体窒素処理したL群はG群に比べて、生体の異物反応が少ないことを示唆している。
9.組織学的解析(既存骨吸収)
HE染色された各標本の試料埋入中央相当部(複数個)の組織切片を用いて、既存骨吸収を確認した。結果の一部を図4に示す。OCP/Col(G群)(図4はG 2.0)の中央下部(Lpper Central area: LC)では既存骨が薄くなっているが、それら表面には骨吸収系の細胞の存在は顕著ではない。一方、OCP/Col(L群)(図4はL 2.0)のLCでは新生骨が既存骨側から形成されている。OCP/Col(G群)のLC はCT写真では不透過像も混在していることから、OCP/Col(G群)ではアパタイトに転換し、(石のように)硬くなったOCP/Colが既存骨を圧迫することで、それらが吸収したと考えられた。
10.組織定量学的解析(新生骨比率(n-Bone%))
HE染色された各標本の試料埋入中央相当部(複数個)の組織切片を用いて、試料埋入部位における新生骨の割合 (n-Bone%)を組織定量学的に検討した。
各群の新生骨比率(n-Bone%)の結果を下記表3に示す。OCP/Col(L群)(L 1.3,L 1.7,L 2.0)では、埋入試料の高さは保持されていたが、それら内部に占める新生骨比率はL 2.0がL 1.7,L 1.3に比べ有意に高く、L 1.7もL 1.3に比べ有意に高かった。
Figure 2021115165
11.エックス線学的解析(形状解析)
埋入12週後の試料の変形量解析のため,CT 画像を用いて試料の高さと左右両端の角度を計測し形状解析を行なった。高さの解析では,既存骨底面から試料上面までの高さを測定した。埋入試料上縁の変形量の解析では,左右の上端に2つの点を取り,各点から試料の稜線に沿って既存骨に対して水平方向及び鉛直方向に2点を取り(端近傍),左右上端の各1点とその近傍2点とを直線で結び,直線間の角度をそれぞれ測定した(1つの試料について左右上端2つの角度を計測)。
高さ解析の結果を下記表4に示す。OCP/Col(G群)(G 1.0,G 1.3,G 1.7,G 2.0)では、術後4週において埋入試料の高さが減じており、それらはG 1.0で特に著しい。術後12週では術後4週に比べて全てのOCP/Col(G群)で、さらに高さが減少している。特にG 1.3では減少傾向が顕著で、最終的にはG 1.0と同程度の高さを示した。一方、OCP/Col(L群)(L 1.0,L 1.3,L 1.7,L 2.0)では、術後4週において埋入試料の高さを維持する傾向があった。術後12週ではL 1.3,L 1.7,L 2.0は引き続き埋入試料の高さを維持する傾向が見られた。
Figure 2021115165
埋入試料上部の変形量の解析結果を下記表5に示す。変形がないと仮定すれば角度は90度を示すと考えられる。OCP/Col(G群)(G 1.0,G 1.3,G 1.7,G 2.0)については試料の変形が著しく埋入試料上縁の点が特定できないことから、表4に数値を示していないが、概略的にはG群全てにおいて180度に近い値を示すと考えられる。これに対してOCP/Col(L群)(L 1.0,L 1.3,L 1.7,L 2.0)では、術後4週及び12週のいずれにおいてもG群と比較して低い角度を示し、変形が少ないことが確認された。
Figure 2021115165
尚、ヤング率、高さの解析、埋入試料上縁の変形量およびn-Bone%の解析については、平均値及び標準偏差を用いて分散分析等を行い、有意差検定を行った。有意水準は5 %に設定した。
これらの結果は、本発明が「骨造成タイプ」における骨再生を実現できることを示す。具体的な適応疾患としては、従来の手法では困難であった「骨造成タイプ」(顔面陥没変形、歯槽堤増大、重度の歯周病など)の修復が期待でき、顔面変形の回復や咀嚼機能の改善等により国民の健康増進の向上に寄与できる。

Claims (5)

  1. 第8リン酸カルシウム及びコラーゲンを含み、気孔率が92%以下であり、ヤング率比が0.06〜0.1である、多孔質複合体。
  2. ヤング率比が0.06〜0.08である、請求項1に記載の多孔質複合体。
  3. 気孔率が87%以上である、請求項1又は2に記載の多孔質複合体。
  4. 第8リン酸カルシウム及びコラーゲンを含む懸濁液を−40℃以下で予備凍結し、更に凍結乾燥することを含む、請求項1〜3に記載の多孔質複合体の製造方法。
  5. 懸濁液中のコラーゲン濃度が4%以上である、請求項4に記載の方法。
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