JP2021112503A - 情報処理装置、情報処理方法およびプログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム Download PDF

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【課題】外部要因だけでは説明できない身体計測値の異常を判定することによって内的要因の変化を判定する。【解決手段】前時点の身体計測値の予測値と予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の身体計測値の予測値を算出し、現時点の身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、予測値の算出に係るモデルパラメータを更新し、予測値の分布から予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間に基づいて観測値の異常の有無を判定し、予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、状態ノイズおよび観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、モデルパラメータは、第1確率密度分布、第2確率密度分布および第3確率密度分布のそれぞれの特性パラメータと影響度の関数のパラメータを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
従来から生体の活動状態を示す身体計測値と生体に対する刺激との関係に基づいて、時間経過に応じて変動する身体計測値を推定する手法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の判定方法は、映像を表示する表示デバイスに対する視聴者の位置を示す位置情報に基づき、映像データの1つのフレームの中の各画素の重み係数を求め、当該フレームの各画素の輝度値を対応する重み係数で重み付けして、重み付けされた映像データを出力し、重み付けされた映像データの1フレームの中の各画素の輝度値に基づき、当該フレームからの光刺激の強度を算出し、光刺激の強度と瞳孔径との関係を示すモデルデータに基づき、算出された光刺激の強度に対応する瞳孔径を判定する。
特開2017−29401号公報
人間の身体計測値に影響を与える要因には、外的要因の他、内的要因があることが知られている。例えば、瞳孔径に影響を与える要因は、外的要因として対光刺激の他、内的要因としてノルアドレナリン−青斑核系(LC−NA:Locus Ceruleus−Noradrenaline System)の活性がある。LC−NA系は、人間の覚醒状態を制御する過程で瞳孔径を変化させることがある。しかしながら、従来の判定方法では、内的要因など他の要因に基づく身体計測値の異常の判定については考慮されていなかった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、外部要因だけでは説明できない身体計測値の異常を判定することによって内的要因の変化を判定することを課題とする。
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測部と、現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新部と、前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定部と、を備え、前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む情報処理装置である。
(2)本発明のその他の態様は、上述の情報処理装置であって、前記影響度は、前記刺激の強度のサンプリング間隔よりも広い時間間隔ごとの現時点までの前記刺激の強度と予測パラメータとの積であり、前記刺激の強度は観測値に対してカーネル関数を畳み込んでダウンサンプリングされていてもよいし、前記モデルパラメータは、前記予測パラメータを含んでもよい。
(3)本発明のその他の態様は、上述の情報処理装置であって、前記予測パラメータは、前記積の演算における単位元であってもよい。
(4)本発明のその他の態様は、上述の情報処理装置であって、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布は、それぞれ正規分布であり、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの平均値は0であってもよい。
(5)本発明のその他の態様は、上述の情報処理装置であって、前記異常判定部は、現時点の前記モデルパラメータに基づいて現時点までの所定の推定期間における予測値と当該予測値の分散を推定し、前記予測値の分散に基づいて前記信用区間を定め、前記観測値が前記信用区間を超える期間の前記推定期間に対する比率が所定の比率を超えるか否かに基づいて、前記観測値の異常の有無を判定してもよい。
(6)本発明のその他の態様は、上述の情報処理装置であって、前記推定期間として、前記刺激とは別個の第2刺激の提示中に前記観測値が前記信用区間を超える期間としてもよい。
(7)本発明のその他の態様は、上述の情報処理装置であって、前記身体計測値は瞳孔径であり、前記刺激の強度は光の強度であってもよい。
(8)本発明のその他の態様は、情報処理装置における情報処理方法であって、前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測過程と、現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新過程と、前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定過程と、を有し、前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、
前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む情報処理方法である。
(9)本発明のその他の態様は、情報処理装置のコンピュータに、前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測手順と、現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新手順と、前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定手順と、実行させるためのプログラムであって、前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含むプログラムである。
本発明の(1)、(8)または(9)の態様によれば、刺激の強度により変動し、誤差を含んで観測される身体計測値の予測値の分布を予測し、その分布に基づいて刺激として観測される外部要因だけでは説明できない観測値の異常の有無を判定することができる。
本発明の(2)の態様によれば、現時点までに取得された刺激の強度をそのまま用いて影響度を算出する場合よりも、モデルパラメータの自由度を低くすることができる。そのため、変動が刺激よりも緩慢な身体計測値の予測精度を損なわずに、モデルパラメータの更新に係る演算量を低減することができる。
本発明の(3)の態様によれば、予測パラメータを更新する必要がない。そのため、身体計測値の予測精度を損なわずに、モデルパラメータの更新に係る演算量を低減することができる。
本発明の(4)の態様によれば、第1の確率密度分布の平均値ならびに共分散行列、第2確率密度分布の共分散行列、第3確率密度分布の共分散行列をモデルパラメータとして更新すればよいため、他種の確率密度分布を仮定する場合よりも更新に係る演算量を低減することができる。
本発明の(5)の態様によれば、観測値が推定期間における予測値の分布に基づく信用区間を一時的に超えても、直ちに観測値の異常を判定することが回避される。そのため、異常の有無の判定において一時的な観測値の顕著な誤差に対する耐性を向上することができる。
本発明の(6)の態様によれば、第2刺激の提示の際に観測値が信用区間を超える期間よりも長い過剰な推定期間を設定しなくても、判定能力を損なわずに、第2刺激に基づく観測値の異常を判定することができる。
本発明の(7)の態様によれば、光の強度により変動し、誤差を含んで観測される瞳孔径の予測値の分布を予測し、その分布に基づいて光だけでは説明できない観測値の異常の有無を判定することができる。
本実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略ブロック図である。 瞳孔径の時間変化の一例を示す図である。 光強度の時間変化の一例を示す図である。 瞳孔径と光強度との相関係数の時間変化の一例を示す図である。 瞳孔径と光強度との相関係数の時間変化の他の例を示す図である。 瞳孔径と光強度との相関係数の最小値の被験者依存性の例を示す図である。 カーネル関数の第一例を示す図である。 光の瞳孔径に対する影響度の第一例を示す図である。 カーネル関数の第二例を示す図である。 光の瞳孔径に対する影響度の第二例を示す図である。 カーネル関数の第三例を示す図である。 光の瞳孔径に対する影響度の第三例を示す図である。 AICの算出例を示す図である。 AICの他の算出例を示す図である。 被験者ごとの影響度の算出例を示す図である。 畳み込み係数と予測パラメータの可変性の組ごとのAICの算出例を示す図である。 平均値と観測値を例示する図である。 瞳孔反応量を例示する図である。 瞳孔径の異常期間の第一例を示す図である。 瞳孔径の異常期間の第二例を示す図である。 瞳孔径の異常期間の第三例を示す図である。 瞳孔径の異常期間の被験者依存性を例示する図である。 推定期間を例示する図である。 陽性期間の第一例を示す図である。 陽性期間の第二例を示す図である。 瞳孔径の異常判定に係るROCを例示する図である。 被験者ごとのAUCを例示する図である。 畳み込み係数と予測パラメータの可変性の組ごとのAUCの算出例を示す図である。 AUCの最大値と追従誤差率との関係を例示する図である。 AUCの最大値と光反応変動率との関係を例示する図である。 AUCの最大値と音反応変動率との関係を例示する図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成例を示す概略ブロック図である。
情報処理装置10は、制御部12と、記憶部14と、を備える。
制御部12は、情報処理装置10の各種機能を実現するための各種の処理を実行する。制御部12の一部または全部の機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成されるコンピュータとして実現される。プロセッサは、予め記憶部14に記憶させておいたプログラムを読み出し、読み出したプログラムに記述された指令で指示される処理を行って、その機能を奏する。本願では、プログラムに記述された指令で指示される処理を行うことを、プログラムを実行する、プログラムの実行、などと呼ぶことがある。制御部12の一部または全部は、プロセッサなどの汎用のハードウェアに限られず、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
記憶部14は、上記のプログラムの他、制御部12が実行する処理に用いられる各種のデータ、制御部12が取得した各種のデータを記憶する。各種のデータについては、制御部12の機能構成とともに後述する。
記憶部14は、例えば、ROM(Read Only memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の(非一時的)記憶媒体を含んで構成される。記憶部14は、例えば、不揮発性の記憶媒体に代え、または、不揮発性の記憶媒体とともに、RAM(Random Access memory)、レジスタなどの揮発性の記憶媒体を含んで構成される。
情報処理装置10は、さらに検出部22、計測部24ならびに出力部26の一部または全部を含んで構成されてもよい。
検出部22は、身体計測値の計測対象者(subject、被験者とも呼ぶ)に提示される刺激の強度(刺激強度)を検出する。検出部22は、例えば、光の強度である照度を検出するための光検出器を含んで構成される。検出部22は、検出した刺激強度を示す刺激強度信号を制御部12に出力する。
計測部24は、計測対象者の身体計測値を計測する。計測部24は、例えば、身体計測値として両眼の瞳孔径を計測する瞳孔計である。計測部24は、計測した身体計測値を示す観測信号を制御部12に出力する。
出力部26は、制御部12から入力される各種の出力信号を他の機器に出力する。出力部26は、例えば、インタフェースである。
次に、制御部12の機能構成例について説明する。制御部12は、観測値取得部122、予測部124、パラメータ更新部126、異常判定部128および出力処理部130を含んで構成される。制御部12を構成する各部は、以下に説明する処理を実行する。
観測値取得部122は、検出部22から入力される刺激強度を示す刺激強度信号を所定サンプリング時間間隔(例えば、5〜100ms)で取得する。
また、観測値取得部122は、計測部24から入力される身体計測値の観測値を示す計測信号を所定時間ごとに取得する。
観測値取得部122は、取得した観測信号と刺激強度信号を予測部124に出力する。また、観測値取得部122は、取得した観測信号をパラメータ更新部126と異常判定部128に出力する。
予測部124は、観測値取得部122から入力される観測信号が示す身体計測値の観測値と、刺激強度信号が示す刺激強度に基づいて、所定のサンプリング間隔で身体計測値の予測値を算出する。より具体的には、前時点の身体計測値の予測値と、その予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激強度の所定の関数を作用して得られる身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の身体計測値の予測値を算出する。ここで、現時点とはサンプリング時間間隔で離散化された時刻のうち最も現在の時刻に近い時刻を指し、前時点とは現時点の直前の離散化された時刻、つまり現時点よりも1サンプリング時間間隔遡った時刻を指す。状態ノイズとは、前時点における身体計測値の状態から現時点の身体計測値の予測に生じうる誤差を指す。予測部124は、算出した現時点の身体計測値の予測値を保存し、その予測値を示す予測信号をパラメータ更新部126と異常判定部128に出力する。
パラメータ更新部126は、身体計測値の予測値を算出するためのモデルパラメータを所定のサンプリング時間間隔ごとに更新する。パラメータ更新部126には、観測値取得部122から観測信号が入力され、予測部124から予測信号が入力される。パラメータ更新部126は、観測信号が示す現時点の身体計測値の観測値から、予測信号が示す現時点の身体計測値の予測値と、観測ノイズを差し引いて得られる差分値の絶対値が小さくなるように(最小化)、モデルパラメータを算出する。観測ノイズとは、現時点の身体計測値の観測の際に含まれうる誤差を指す。パラメータ更新部126は、更新後のモデルパラメータを予測部124と異常判定部128に出力する。予測部124は、パラメータ更新部126から入力されるモデルパラメータを用いて現時点の身体計測値の予測値を算出する。予測値の算出に係る予測モデル、モデルパラメータの更新方法の例については、後述する。
異常判定部128は、身体計測値の予測値の信用区間に基づいて身体計測値の観測値の異常の有無を判定する。異常判定部128は、例えば、予測部124から入力されるモデルパラメータに含まれる身体計測値の分散から現時点における身体計測値の信用区間を定めることができる。身体計測値の信用区間は、身体計測値の観測値としてとりうる確率が平均値を基準として所定の確率(例えば、90−98%)となる値の範囲である。異常判定部128は、例えば、観測値取得部122から入力される観測信号が示す身体計測値の観測値が身体計測値の信用区間の範囲内であるとき異常なしと判定し、身体計測値の観測値が身体計測値の信用区間の範囲外であるとき異常ありと判定する。但し、身体計測値が瞳孔径である場合には、異常判定部128は、観測値が身体計測値の信用区間の上限以下であるとき異常なしと判定し、観測値が身体計測値の信用区間の上限より大きいとき異常ありと判定する。異常判定部128は、身体計測値の観測値の異常の有無を示す判定情報を出力処理部130に出力する。
出力処理部130は、出力すべき各種の情報を他の構成部から収集し、出力部26に出力する。出力処理部130は、収集された情報に所定の処理を行って情報の形式の変換、もしくは、その他の加工を行い、得られた情報を出力部26に出力してもよい。出力処理部130は、例えば、異常判定部128から入力される判定情報が観測値の異常を示すとき、その異常を通知するための通知情報を示す画像信号を生成する。出力処理部130は、生成した画像信号を、出力部26を経由して出力部26に接続された表示部(図示せず)に出力する。表示部は、出力処理部130を含む制御部12から入力される各種の画像信号に基づく画像を表示する。
(予測モデル)
以下の説明では、主に身体計測値が人間の瞳孔径(pupil size)である場合を例とする。
まず、瞳孔径の一般的な特性について説明する。瞳孔径は、図2に例示されるように時刻の経過により随時変動する。瞳孔径は、左眼と右眼のそれぞれについて観測されうるが、相互間で著しい正の相関が存在する。本実施形態に係る予測モデルでは、身体計測値として、左眼の瞳孔径と右眼の瞳孔径を連立させ、それらを要素値として有するベクトルを用いる。以下の説明では、ベクトル量としての左眼の瞳孔径と右眼の瞳孔径のセットを、単に瞳孔径と呼ぶことがある。なお、図2、図3の縦軸の[a.u.]とは、任意の単位(arbitrary unit)を示し、絶対的な大きさを示すものではない。
また、瞳孔径は、その周囲環境からの刺激として光の強度(以下、光強度(light intensity))と負の相関性を有する。図3に示す例では、時刻0sから60sの第1区間よりも時刻60sから120sの第2区間の方が全体として光強度の分散が大きいが、第2区間における瞳孔径の方が第1区間における瞳孔径よりも小さくなる傾向がある。一般には、瞳孔径と照度との時間的な相関を解析することは必ずしも容易ではない。
図4、図5は、それぞれ異なる被験者についての左眼の瞳孔径と光強度との相関係数の時間変化を例示する。各線は、個々の実験セットを示す。図4、図5は、いずれも時刻0sにおいて相関係数は0に近似した値をとるが、時刻0.5sにおいて相関係数は最小値をとり、その後、時刻1s以降において相関係数は0に近似した値となる。このことは、瞳孔径は概ね照度よりも0.5s遅れて変化することを示す。本実施形態に係る予測モデルでは、現時点の瞳孔径に対する光強度の寄与を、現時点までの過去の所定期間(例えば、1〜5秒)以内の光強度と、各時刻における光強度の寄与を示す予測パラメータとの積で表す。
図6は、相関係数の最小値の被験者依存性の例を示す。個々のプロットは、実験セットごとに得られた相関係数の最小値と、その最小値をとる時刻を示す。各プロットの形状は被験者を示す。図6によれば、被験者により相関係数の最小値の分布が顕著に異なる。言い換えれば、光強度に対する瞳孔径への影響が被験者に依存することを示す。本実施形態に係る情報処理装置10は、個々の被験者ごとに予測モデルを構成する。
次に、本実施形態に係る予測モデルについて説明する。本実施形態に係る予測モデルは、光強度の時間変化のもとで瞳孔径の動態(dynamics)を表す線形状態空間モデル(linear state-space model)である。より具体的には、本予測モデルは、式(1)、式(2)に示す関係を用いて、現時点tの瞳孔径の予測値zを算出するための数理モデルである。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
式(1)において、ηは、現時点tの観測ノイズを示す。即ち、現時点tの観測値yは、現時点tの予測値zと現時点tの観測ノイズηとの和で与えられる。
式(2)において、uは、現時点tまでの所定期間内の光強度を示す。ξt−1は、前時点t−1の状態ノイズを示す。Fは、状態遷移における1次の自己回帰係数、つまり、前時点t−1の予測値zに乗じられる予測パラメータを示す。Gは、現時点tまでの所定期間内の光強度に乗じられる予測パラメータを示す。即ち、現時点tの予測値zは、前時点t−1の予測値zt−1と予測パラメータFとの積、影響度Gu、および前時点t−1の状態ノイズξt−1との和で与えられる。影響度Guは、現時点tまでの光強度uと予測パラメータGとの積で与えられる。
本予測モデルでは、観測ノイズη、状態ノイズξt−1が、それぞれ所定の確率密度分布に従って分布する乱数であると仮定する。例えば、観測ノイズη、状態ノイズξt−1を与える確率密度関数として、それぞれ平均値が0である正規分布を用いることができる。観測ノイズη、状態ノイズξt−1の分布の広がりを与える分散を、それぞれ共分散行列Q、Rと表す。また、本予測モデルでは、現時点tの瞳孔径の予測値zには予測誤差が含まれ、予測誤差が平均値の周りで所定の確率分布に従って分布する乱数であると仮定する。予測値zを与える確率密度関数として正規分布を用いることができる。予測値zの分布特性を与える平均値、分散を、それぞれμ、Σと表す。分散Σは、共分散行列である。従って、平均値μ、共分散行列Σ、Q、R、予測パラメータFおよび予測パラメータGのセットが、本予測モデルのモデルパラメータwに相当する。パラメータ更新部126は、モデルパラメータwを各時刻tにおいて更新する。
左右両眼の瞳孔径の予測において、予測値z、観測値y、観測ノイズη、状態ノイズξt−1、平均値μ、影響度Guは、それぞれ2次元のベクトルである。共分散行列Σ、Q、R、予測パラメータFは、それぞれ2行2列の行列である。
なお、光強度の予測値に対する寄与を示す影響度Guの算出に用いられる予測パラメータG、光強度uは、それぞれd行2列の行列、d行の行ベクトルである。dは、現時点tまでの所定の観測期間内における光強度、予測パラメータのサンプル数に相当する。しかしながら、予測値z、観測値yは、その変化を表すために十分な時間精度を要するため、それらのサンプリング時間間隔をそのまま利用するとサンプル数dが多くなりすぎるため、予測パラメータGの算出のために他のモデルパラメータよりも多くの演算量が要求される。例えば、観測期間、サンプリング時間間隔を、それぞれ2s、14msとするとき、サンプル数dは、142となる。
そこで、本実施形態では、パラメータ更新部126には、現時点tまでの観測期間において、予測値z、観測値yのサンプリング時間間隔よりも広い時間間隔(以下、カーネル時間間隔)で離散化(ダウンサンプリング)されたサンプル時刻(以下、カーネル時刻)の個数をカーネルサンプル数dとして予め設定しておく。パラメータ更新部126は、式(3)に示すようにカーネル時刻aごとに与えられるカーネル関数kτi(t’)を光強度の観測値st−t’に対して畳み込み積分を行い、得られた畳み込み積分値であるカーネル時刻aにおける光強度u を要素とするベクトルを光強度uとして算出する。
Figure 2021112503
式(3)において、Tdelayは、観測期間におけるサンプリング時間間隔で離散化された時刻の観測サンプル数を示す。t、t’は、それぞれサンプリング時間間隔で離散化された時刻を示す。カーネル関数kτi(t’)は、畳み込み積分により光強度の観測値st−t’を平滑化(スムージング)し、カーネル時刻aにおいて代表する光強度u を与える低域通過特性を有する関数であればよい。カーネル時刻aは、Tdelay(i−1)/(d−1)(iは、1以上d以下の整数)となる。カーネル関数kτi(t’)は、例えば、式(4)における一次元のガウス関数であってもよい。
Figure 2021112503
式(4)において、τは、標準偏差を示す。標準偏差τは、Tdelay/(d−1)、即ち、カーネル時間間隔である。
図7、9、11は、それぞれカーネルサンプル数dが16、20、24である場合に設定されるカーネル関数を例示する。図7、9、11において、個々の曲線はカーネル関数の各時刻t’における関数値を示す。図8、10、12は、それぞれ図7、9、11に示すカーネル関数を用いて得られたuと予測パラメータGとの積であるGuを光の瞳孔径に対する影響度(light effect)として例示する。図8、10、12は、影響度の時間波形がカーネルサンプル数により異なることを示すが、時刻150ms付近で極大値をとり、時刻290ms付近で極小値をとり、時刻670ms付近で極大値をとる点で共通の傾向を示す。このことは、カーネルサンプル数dを影響度の時間変化の精度が観測値に対して十分に確保できる範囲で定めておけばよいことを示す。なお、左眼と右眼で影響度がわずかに異なるのは、予測パラメータGは、左眼と右眼とで別個のパラメータを要素として有するためである。
本実施形態では、パラメータ更新部126は、予め観測サンプル数ごとに赤池情報量基準(AIC:Akaike’s Information Criterion)を算出し、AICが最小となるカーネルサンプル数dを選択しておいてもよい。AICは、式(5)を用いて与えられる。式(5)において、l(w)は、モデルパラメータwの周辺尤度(marginal likelihood)を示す。dim(w)は、モデルパラメータwの自由パラメータの数を示す。
Figure 2021112503
次に、周辺尤度l(w)の算出方法について説明する。パラメータ更新部126は、被験者ごとに予め所定の試行回数であるN回分の観測値y1:T と光強度u1:T を取得しておく。nは第n回の試行を示す1以上N以下の整数である。1:Tは、各試行における全観測ステップを示す。そして、予測部124は、各試行についてモデルパラメータwを用いて後述するカルマンフィルタを用いて観測値の予測処理を行う。式(6)の右辺第1行に示すように、周辺尤度l(w)は、現時点までの光強度u1:T とモデルパラメータwを用いて得られた前時点t−1までの観測値y1:t のもとでの現時点の予測値z の対数存在密度log p(y |y1:t−1 ,u1:t−1 ,w)の観測期間内の和と、モデルパラメータwのもとで観測値の初期値y の対数存在密度log p(y |w)との和に対する試行間の総和である。式(6)に示す例では、周辺尤度l(w)は、対数領域で定義されているが、実数領域で定義されてもよい。対数領域での和、差は、それぞれ実数領域での積、商に相当する。本実施形態では、パラメータ更新部126は、周辺尤度l(w)の算出の際、式(6)の右辺第1行に代えて右辺第2行を用いた。
Figure 2021112503
式(6)において、N(A,B)は、yの確率密度として平均値がAであり、分散がBである正規分布を示す。zt|t−1 は、試行nでの前時点t−1の状態に基づく現時点tの平均値を示す。Pt|t−1 は、試行nでの前時点t−1の状態に基づく現時点tの共分散行列を示す。平均値zt|t−1 、共分散行列Pt|t−1 の算出法については、後述する。なお、式(6)の右辺第1行から第2行への導出にあたり存在密度を正規分布と仮定するとともに、状態ノイズの密度分布が共分散行列Rで与えられることを仮定して、式(7)に示す関係を用いた。
Figure 2021112503
次に、AICの算出例について説明する。図13は、カーネルサンプル数dとして16から23のそれぞれについて1名の被験者について算出されたAICを示す。図13に示す例では、AICは、カーネルサンプル数dが20のとき最小となる。従って、パラメータ更新部126は、カーネルサンプル数dを20と定めることができる。
図14は、AICの他の算出例を示す。図14は、被験者1−8のそれぞれについて算出された相対AIC(ΔAIC)を示す。相対AICは、個々の被験者のAICから被験者間のAIC最小値を差し引いて算出される。相対AICは被験者により大きく異なるが、カーネルサンプル数dが20であるときに最小になる。このことは、被験者によらずカーネルサンプル数dを20と設定してもよいことを示す。
図15は、被験者ごとの影響度の算出例を示す。個々の曲線は、被験者1−8のそれぞれの左眼についてカーネルサンプル数dを20として算出された影響度の時間変化を示す。図15に示す例では、いずれの被験者も概ね時刻280msから350msの間で影響度が最小となり、かつ有意に0よりも小さい値をとり、その他の期間において影響度が0を中心に変動する点で共通の変化傾向を示す。
本予測モデルにおいて、予測パラメータGと予測パラメータFの一方または双方を無視することも考えられる。予測パラメータGを無視するとは、予測パラメータGを零元(つまり、零行列;G=0)として光強度の影響を考慮せず、無視することを意味する。予測パラメータFを無視するとは、予測パラメータFを単位元(つまり、単位行列;F=I)に固定して現時点の予測値zの推定にあたり、常に前時点t−1における予測値zt−1からの差分を光強度の影響度と状態ノイズとみなすことを意味する。
図16は、被験者1−8のそれぞれについて、予測パラメータGを零元とするか否か、予測パラメータFを単位元とするか否かの組み合わせごとに算出されたAICを示す。図16は、予測パラメータGを零元にせず可変とする場合(G≠0)よりも予測パラメータGを零元とする場合(G=0)のAICの方が各被験者ともに有意に大きくなる傾向を示す。このことは、光強度への影響が瞳孔径の予測に無視できず、予測パラメータGを零元に固定することは許されないことを示す。他方、予測パラメータFを単位元にせず可変とする場合(F≠I)と、予測パラメータFを単位元とする場合(F=I)とでは、各被験者ともにAICに有意差が生じない。このことは、予測モデルにおいて予測パラメータFを単位元に固定しても予測精度が有意に劣化しないことを示す。予測パラメータFを単位元に固定することで、瞳孔径の予測にかかる演算量を低減することができる。
(モデル演算)
次に、上記の予測モデルを用いて瞳孔径の予測値を演算するための手法について説明する。一般的に、身体計測値の計測に際し欠測が生じがちである。例えば、瞬きにより一方もしくは両方の眼が閉じた期間または瞳孔の一部に瞼が覆われる期間は、瞳孔径を計測することはできない。瞬きはごくありふれた身体活動であるため、瞳孔径は頻繁に欠測されがちである。本実施形態では、一方の眼または両眼において欠測された時刻の測定データを棄却し、測定データの棄却によっても式(1)、(2)に基づく瞳孔径の予測値の推定が中断しないように、カルマンフィルタを応用する。カルマンフィルタを用いて予測値のフィルタリングとスムージングを実現することで、欠測が生じても瞳孔径の予測を継続することができる。つまり、予測部124は、カルマンフィルタを用いてモデルパラメータwを推定することで、欠測されずに取得された観測期間内の観測値y1:T のもとで現時点tでの予測値z の存在密度(予測密度)を予測値の状態として算出することができる。また、予測値の状態として正規分布を仮定することで、その特性量として平均値と分散で表すことができる。そのため、比較的単純な演算を行うことで瞳孔径の予測値を算出することができる。
カルマンフィルタは、サンプリング時刻ごとに予測ステップと更新ステップを有する。予測ステップにおいて、予測部124は、式(8)を用いて前時点t−1の状態に基づく前時点t−1における予測値の平均値(以下、単に平均値)zt−1|t−1と予測パラメータFとの乗算値と現時点tまでの光強度uと予測パラメータGの積との和を前時点t−1の状態に基づく現時点tの平均値zt|t−1として算出する。また、予測部124は、式(9)を用いて予測パラメータFの転置行列F’と前時点t−1の状態に基づく前時点t−1の予測値の共分散行列Pt−1|t−1と予測パラメータFの積と観測ノイズの共分散行列Qとの和を前時点t−1の状態に基づく現時点tの予測値の共分散行列Pt|t−1として算出する。但し、予測部124には、時刻t=1における平均値の初期値z1|0、共分散行列の初期値P1|0として、それぞれ所定の平均値μ、共分散行列Σと設定しておく。記号…’は、行列またはベクトル…の転置を示す。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
更新ステップでは、予測部124は、式(10)に示すように前時点t−1の状態に基づく現時点tの平均値zt|t−1と、カルマンゲインKと現時点tの観測値yから前時点t−1の状態に基づく現時点tの平均値zt|t−1の差分(y−zt|t−1)の積、との和を、現時点tの状態に基づく現時点tの平均値zt|tとして定める。
予測部124は、式(11)に示すように単位行列Iから現時点tのカルマンゲインKの差分(I−K)と前時点t−1の状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|t−1との積を、現時点tの状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|tとして定める。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
但し、予測部124は、式(12)に示すように、状態ノイズに係る共分散行列Rと現時点tの共分散行列Pt|t−1との和の逆行列(R+Pt|t−1−1に、前時点t−1の状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|t−1を乗算して、カルマンゲインKを算出することができる。その後、予測部124は、現時点tを前時点t−1に更新し、予測ステップと更新ステップを繰り返す。
Figure 2021112503
なお、予測部124は、現時点tにおいて予測部124に一方の眼または両眼について有効な観測値を示す観測信号が入力されない場合、欠測が生じたと判定する。欠測の発生を判定した場合には、予測部124は、欠測が生じるまでに有効な観測値が得られた期間内の状態と整合するように、欠測期間内の各時点tにおける予測値の状態を推定すればよい。より具体的には、予測部124は、式(13)−(15)に示す関係を再帰的に、現時点tを最新の観測期間の終期である観測終了時刻Tまで順次遡って満たすように、観測終了時刻Tの状態に基づく現時点tの平均値zt|Tと共分散行列Pt|Tを算出することできる。
式(13)は、前時点t−1の状態に基づく前時点t−1の平均値zt−1|t−1と、前時点t−1の時間発展行列Jt−1と現時点tの平均値zt|Tから前時点t−1の状態に基づく現時点tの平均値zt|t−1の差分(zt|T−zt|t−1)との積との和が観測終了時刻Tの状態に基づく前時点t−1の平均値zt−1|Tに相当することを示す。
式(14)は、前時点t−1の状態に基づく前時点t−1の共分散行列Pt−1|t−1と、前時点t−1の時間発展行列Jt−1と観測終了時刻Tの状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|Tから前時点t−1の状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|t−1の差分(Pt|T−Pt|t−1)と前時点t−1の時間発展行列Jt−1の転置行列Jt−1’との積との和が観測終了時刻Tの状態に基づく前時点t−1の共分散行列Pt−1|Tに相当することを示す。
式(15)は、前時点t−1の状態に基づく前時点t−1の共分散行列Pt−1|t−1と予測パラメータFの転置行列F’と前時点t−1の共分散行列Pt−1|t−1の逆行列Pt−1|t−1 −1の積が前時点t−1の時間発展行列Jt−1に相当することを示す。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
Figure 2021112503
図17は、ある被験者に係る平均値と観測値の例を示す。図17は、左眼(L)と右眼(R)のそれぞれについて時刻ごとに平均値と観測値を示す。但し、時刻58500msから58600msの期間は観測値が取得されていない欠測期間であり、それ以外の期間は観測値が取得される観測期間となる。観測期間では、平均値は観測値と概ね等しくなるように予測される。欠測期間では、平均値は時間経過に応じて減少する傾向を示す。欠測期間の直後では欠測期間の直前よりも観測値が大きく低下するが、観測値の取得の再開に伴い平均値が観測値に再度追従する傾向が認められる。
なお、予測部124は、欠測が生じた期間において、式(8)の観測値yに平均値zt|t−1を代入することも考えられる。但し、その場合には算出される平均値が変化しないため、図17に示す例とは異なり、平均値の時間経過に応じた増加または減少を推定することができない。
(モデルパラメータ更新)
次に、瞳孔径の予測値を演算するために用いられるモデルパラメータwを更新するための手法について説明する。本実施形態に係るパラメータ更新部126は、周辺尤度を最大化するようにモデルパラメータwを算出する。最大化とは、極力増加させることを意味し、絶対的な最大値を算出することを意味するものではなく、一時的に減少することもありうる。パラメータ更新部126は、モデルパラメータwの算出において、周辺尤度を最大化するために期待値最大化(EM:Expectation-Maximization)アルゴリズムを用いる。周辺尤度の最大化は、現時点までの瞳孔径の状態のもとで現時点までの全観測期間における観測値および予測値の事後確率(posterior density)の結合密度(joint density、同時確率密度とも呼ばれる)の期待値Q(w)を最大化することと等価である。期待値Q(w)は、式(16)の右辺第1行に示す関係を用いて定められ、Q関数(Q-function)とも呼ばれる。
Figure 2021112503
式(16)の右辺第1行において、p(z1:T |y1:T ,wold)は、試行nでの全観測期間1:Tの観測値y1:T における更新前のモデルパラメータwoldのもとでの全観測期間1:Tの予測値z1:T の条件付確率密度を示す。p(y1:T ,z1:T )は、試行nでの全観測期間1:Tの観測値y1:T と試行nでの全観測期間1:Tの予測値z1:T の同時確率密度p(y1:T ,z1:T )を示す。式(16)の右辺第1行に示す関係は、同時確率密度p(y1:T ,z1:T )が試行nでの全観測期間1:Tの予測値z1:T の確率密度p(z1:T )と条件付き確率密度p(z1:T |y1:T ,wold)との積となることを仮定して、第2行に示す関係に変形される。さらに、式(16)の右辺第2行に示す関係は、状態ノイズの密度分布が共分散行列Rで、観測ノイズの密度分布が共分散行列Qで、観測値y のもとでの予測値z の密度分布が共分散行列Σと平均μで、それぞれ与えられることを仮定して、式(16)の右辺第3行に示す関係に変形される。式(16)の右辺第3行において、det…は、行列…の行列式を示す。なお、期待値Q(w)の計算において、欠測が発生した時点の予測値z 、観測値y ならびにモデルパラメータwは無視されてもよい。なお、Nは、試行回数を示す自然数である。Nは、予め定めておいてもよい。
EMアルゴリズムは、モデルパラメータwを構成する要素パラメータもしくはその逆元による期待値Q(w)の偏微分が0となるように、または0に近似するように、その要素パラメータを定める過程を含む。モデルパラメータwのうち平均μ、共分散行列Σ、逆行列Q−1、R−1での期待値Q(w)の偏微分は、それぞれ式(17)−(20)に示す関係を用いて与えられる。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
Figure 2021112503
Figure 2021112503
式(17)−(20)において、E[…]は、…の期待値を示す。なお、式(17)−(20)の導出にあたり、行列Aとベクトルaについて式(21)に示す関係を用いた。
Figure 2021112503
従って、パラメータ更新部126は、式(22)−(25)に示す関係を用いて、更新後の平均μnew、共分散行列Σnew、Qnew、Rnewを算出することができる。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
Figure 2021112503
Figure 2021112503
但し、式(22)−(25)に示す期待値E[z ’]、E[z t−1 ’]は、それぞれ式(26)、(27)に示す関係を用いて与えられる。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
式(27)において、Pt,t−1|T は、スムージング共分散行列(smoothing covariance matrix)を示し、現時点tの予測値と現時点tよりも1サンプル前の前時点t−1の予測値との共分散を要素値として有する。行列Pt,t−1|T は、隣接するサンプル点との間で式(28)に示す漸化式を用いて時刻t=Tからt=3まで順次遡って算出することができる。
Figure 2021112503
なお、スムージング共分散行列の初期値PT,T−1|T を、(I−K )FPT−1|T−1 とする。ここで、スムージング共分散行列Pt,t−1|T は対称行列であり、行列Pt−1,t|T と等しい。
次に、モデルパラメータwのうち予測パラメータG、予測パラメータFの偏微分は、それぞれ式(29)、(30)に示す関係を用いて与えられる。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
予測パラメータFを単位行列Iとし、予測パラメータGを可変とする場合には、パラメータ更新部126は、式(31)に示す関係を用いて、更新後の予測パラメータGnewを算出することができる。
Figure 2021112503
予測パラメータGをゼロ行列として光の影響を考慮せずに予測パラメータFを可変とする場合には、パラメータ更新部126は、式(32)に示す関係を用いて、更新後の予測パラメータFnewを算出することができる。
Figure 2021112503
なお、予測パラメータFと予測パラメータGをいずれも可変とする場合には、パラメータ更新部126は、式(33)、(34)に示す関係をいずれも満たすように連立して予測パラメータFと予測パラメータGを算出する。式(33)、(34)は、それぞれ式(30)、(29)の右辺を0と仮定して導かれる。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
従って、パラメータ更新部126は、式(35)に示す関係を用いて、更新後の予測パラメータFnew、予測パラメータGnewを算出することができる。但し、式(35)において、ベクトル要素a、bは式(36)で、行列要素A、B、C、Dは、式(37)で示される。
Figure 2021112503
Figure 2021112503
Figure 2021112503
次に、パラメータ更新部126へのモデルパラメータwの初期値の設定例について説明する。平均μの初期値を観測値の平均値とし、共分散行列Σの初期値を観測値の共分散を要素値として有する共分散行列とする。
予測パラメータFの初期値を、単位行列Iとする。共分散行列Rの初期値を、対角要素の値がいずれも1よりも0に十分に近似した所定の微小な実数値(例えば、1.0×10−6)となる対角行列とする。対角要素の値を十分に小さい値にすることで、観測ノイズが生じない状況に近似した環境を仮定することができる。予測パラメータGの初期値を式(38)に示す関係を用いて定めておく。
Figure 2021112503
式(38)に示す関係は、観測ノイズが生じない状況で観測値yと予測値zが等しく、かつ、時刻t=2,…,TにおいてGu=y−yt−1となることによる。そして、共分散行列Qの初期値を、式(39)に示す残差(residual)ξ”の共分散を要素として有する行列とする。但し、式(39)のGは、式(38)に示す予測パラメータGの初期値を示す。
Figure 2021112503
なお、上記の式(16)−(37)において、N回の試行n間の和、試行ごとの期間1:t、試行ごとの期間内の時刻t間の和は、モデルパラメータwを構成する各パラメータμ、Σ、Q、R、F、G、および、これらのパラメータの算出に用いられる中間値を、予め試行ごとに得られた観測値、予測値および刺激強度を用いて算出できることを示す。このことは、パラメータ更新部126は、オフラインで各パラメータと中間値を算出してもよいし、異常検出の際にこれらのパラメータを更新しなくてもよいことを示す。
また、パラメータ更新部126は、各パラメータ、および、これらのパラメータの算出に用いられる中間値をオンラインで算出してもよい。オンラインで算出する際には、パラメータ更新部126は、N回の試行n間の和と試行ごとの期間1:tに代え、例えば、現在の実行(以下、現実行)もしくは過去の実行における実行開始時刻(t=1、つまり、ランタイム(run-time)の開始)から最新の時点(つまり、現時点t)までを考慮し、個々の試行の期間内における時刻tならびに試行間の和に代え、現実行もしくは過去の実行における実行開始時刻から現時点tまでの和を実行する。
また、パラメータ更新部126は、上記のようにカーネルサンプル数dを予めオフラインで定めておいてもよいし、各1回の実行ごとに、現実行または現実行以前の観測値を用いてカーネルサンプル数dを定め、定めたカーネルサンプル数dに更新してもよい。
(異常の検出例)
次に、光とは別個の刺激としてビープ音の提示下で生じた瞳孔径の異常の検出例について説明する。異常の検出に係る実験では、光強度が変化するモニタを被験者に観察させ、ビープ音を提示して瞳孔径の異常を誘発させた。被験者に対してビープ音が提示されるタイミングを予想させないため、平均0.05Hzのポワソン過程に従って、そのタイミングをランダムに定めた。ビープ音の瞳孔径に対する影響を調査するため、さらにモニタの光強度が一定に維持した場合についても実験を行った。
実験において、被験者ごとに各試行について瞳孔径の観測値を取得した。図18は、ある被験者の観測値の時間変化を示す。但し、ビープ音の提示時刻を0msとし、観測値として提示時刻における瞳孔径を基準とする時刻ごとの瞳孔径の変化量を瞳孔反応量(pupil response)として示す。図18において、細線は試行ごとの瞳孔反応量を示し、太線は試行間の瞳孔反応量の平均値を示す。いずれも、ビープ音の提示による瞳孔径の増加を示す。ビープ音の提示後1〜2sまでは瞳孔反応量は次第に増加するが、増加の度合いが減少する。その後、瞳孔反応量は減少する。
瞳孔径の有意な増加を異常として検出するため、ある観測値に基づく瞳孔反応量と平均瞳孔反応量(mean pupil response)の周りで確率的に偶然にとりうる瞳孔反応量の分布を比較した。そこで、実験では、試行ごとにランダムに選択したタイミングにビープ音のタイミングを変更し、瞳孔径を測定し、測定した瞳孔径を被験者ごとに試行間で平均して平均瞳孔反応量を算出した。ここで、各被験者について異なるビープ音のタイミングをもって瞳孔径を収集する処理を1000回繰り返した。図19において、曲線は分析対象とする試行(以下、対象試行)における被験者3について瞳孔反応量の時間変化を示し、塗りつぶした範囲は被験者3について1000回分の瞳孔径から収集された瞳孔反応量の10パーセンタイル値から90パーセンタイル値までの範囲を示す。また、水平方向の線分は、対象試行の瞳孔反応量が90パーセンタイル値を超える期間を示す。このことは、ビープ音の提示後500msから3500msまでの間、瞳孔径が異常に増加することを示す。但し、瞳孔径の異常が生じる期間(以下、異常期間)は、被験者により異なりうる。図20に示す例では、図19に示す被験者とは別個の被験者1の異常期間は、300msから600msの期間と、1200ms−5700msの期間となる。図21に示す例では、被験者2の異常期間は、0msから120msの期間、240msから480msの期間、1100msから5700msの期間、5960msから5980msの期間となる。図22に、被験者1−8のそれぞれについて異常期間の例を示す。
(瞳孔径の異常判定)
次に、異常判定部128による瞳孔径の異常判定方法について説明する。異常判定部128は、各時刻tにおいて、その時点で得られたモデルパラメータwを用いて過去の瞳孔径を推定する。過去の瞳孔径の推定において、異常判定部128は、観測値を用いて現時点tにおけるモデルパラメータを更新せずに、式(8)、(9)に示す関係を用いて前時点t−1の平均値と共分散行列を算出する処理を、現時点tから所定の推定期間Tpred前の時刻t−Tpredまで、所定期間ずつ順次時刻を遡って繰り返す。そして、異常判定部128は、推定期間内における各時刻の観測値と推定値とを比較して、瞳孔径が異常か否かを判定する。より具体的には、異常判定部128は、各時刻の平均値と共分散行列の対角要素である分散を用いて、左眼、右眼のそれぞれについて観測値が0よりも1に近い所定の確率(例えば、90%)で含まれうる信用区間(credible interval)を推定する。異常判定部128は、観測値が信用区間の上限よりも大きい期間を陽性期間(positive period)と判定する。つまり、陽性期間は、観測値が予測値よりも有意に大きい異常と判定される期間であり、有意水準αは5%である。異常判定部128は、陽性期間の推定期間に対する比率(以下、陽性期間率)が所定の陽性期間率の閾値β(以下、異常判定閾値β、例えば、50−100%)を超える場合、現時点tにおいて瞳孔径が異常と判定し、陽性期間率が異常判定閾値β以下であるとき、その時点において瞳孔径が正常と判定する。
但し、異常判定部128は、推定期間Tpredを情報処理装置10のユーザにより異なる異常期間と予め設定しておいてもよい。また、異常期間はユーザによる依存性が認められる。そのため、推定期間Tpredとしてこれ以上長い期間を設定しなくとも異常期間を用いれば十分であり、ユーザによる瞳孔径の異常期間の依存性を考慮した判定が可能となる。
図23は、ある被験者から測定された観測値の例を示す。期間A、Bは、それぞれ終期の時刻tが11.9、27.1sとなる、3.0sの推定期間を示す。但し、期間Aはビープ音が提示されない非提示期間に含まれる。期間Bはビープ音が提示された時刻を含む。図24、図25は、それぞれ期間A、Bにおける陽性期間の検出例を示す。図24、25において、推定値、観測値をそれぞれ実線、円形のプロットで示す。塗りつぶしの領域は、信用区間を示す。陰性期間、陽性期間を、破線、十字のプロットで示す。図24に示す例では、陽性期間は、時刻9.6−9.8sの期間であり、推定期間の10%に満たない。この例では、ビープ音による影響は本来期待されないが、陽性期間率を判断基準とすることで、一時的な観測値の異常の影響を排除することができる。これに対し、図25に示す例では、陽性期間は、時刻24.8−25.3、25.6−27.1sの期間であり、陽性期間率は60%を超える。この場合も、陽性期間率を判断基準とすることで、一時的な観測値の変動により誤って正常と判定される影響を排除することができる。なお、図24、25に例示される推定値に含まれる周期的な変動は、主に光強度の変動による。
(異常判定)
次に、異常判定閾値βによる瞳孔径の異常の判定結果の例について説明する。図26は、ある被験者の左眼に対する異常判定閾値βごとの受信者動作特性曲線(ROC:Receiver Operating Characteristics Curve)を例示する。図26の縦軸、横軸は、それぞれ真陽性率、偽陽性率を示す。真陽性率を、推定期間Tpredにおいてビープ音が提示されている提示期間のうちの陽性期間の比率と定義した。偽陽性率を、推定期間Tpredにおいてビープ音が提示されていない非提示期間のうちの陽性期間の比率と定義した。ROCよりも下側の曲線下領域(AUC:Area Under the Curve)の面積は、0から1までの値をとり、値が1に近いほど判定能力が高いことを示す指標である。その結果、異常判定閾値βが大きいほどAUCが増加する傾向が認められる。例えば、β=0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0の場合 AUCはそれぞれ0.5226、0.5235、0.5446、0.5627、0.5823、0.5900となる。図26は、異常判定閾値βが1.0であるとき、最も判定能力が高くなることを示す。
図27は、被験者ごとのAUCの異常判定閾値βに対する依存性を例示する。被験者1−8のいずれも、概ね異常判定閾値βの増加に伴いAUCが増加する傾向が認められる。但し、被験者6だけが異常判定閾値βが0.5−0.9であるときAUCが0.5未満となり、異常判定閾値βが1.0であるときAUCが0.5045となる。AUCが最大になる異常判定閾値βは、被験者1−6、8については、いずれも1.0となるが、被験者7については0.9となる。言い換えれば、これらの異常判定閾値βを異常判定部128に設定し、瞳孔径の異常判定に用いることで、最も判定能力を高くすることができる。異常判定閾値βを1.0に近い値とすることは、ビープ音が提示されていない非提示期間において予測値から観測値が有意に偏っている期間が比較的多いため、より小さい異常判定閾値βを用いることで偽陽性率の増加による誤判定を避けることができることを示す。なお、図26、図27に示す例では、予測パラメータGを零元とせずに可変とし、予測パラメータFを単位元としている。
図28は、被験者1−8のそれぞれについて、予測パラメータGを零元とするか否か、予測パラメータを単位元とするか否かの組み合わせごとに算出されたAUCを示す。但し、図28に示すAUCは、異常判定閾値β間の最大値である。AUCは、予測パラメータGを零元(G=0)と固定するか否かで、予測パラメータFを単位元(F=I)とする場合と(p値は、0.01172)、単位元にせずに可変とする場合(p値は、0.1172)のいずれも有意差が認められる。このことは、予測パラメータGを零元とせずに可変にして光強度の影響を考慮することで、AUCを増加させ判定能力を向上できることを裏付ける。なお、AUCは、予測パラメータGを零元に固定せず(G≠0)可変にする場合、予測パラメータFを単位元(F=I)とする場合よりも、単位元にせず(F≠0)可変とする場合のほうが小さくなる傾向がある。このことは、瞳孔径の異常の検出のために、予測パラメータFを単位元に固定することが許容されることを裏付ける。
その他、瞳孔径の異常検出に対して可能性がある阻害要因について考察する。かかる阻害要因には、例えば、視線追跡システム(eye tracking system)による瞳孔径の測定性能、光強度もしくはビープ音に対する瞳孔の反応が考えられる。前者については、追従誤差率とAUCとの関係について調べた。後者については、被験者ごとの瞳孔径の光反応変動率と音反応変動率との関係について調べた。図29は、被験者ごとのAUCの最大値と追従誤差率との関係を示す。AUCは、追従誤差率の増加に対して有意に減少する傾向が認められる(相関係数は、−0.8492、p値は0.0156)。追従誤差は、視線追従システムが瞳孔の追跡に失敗する場合、当該システムにより取得される目の赤外画像に角膜反射(corneal reflection)が検出される場合などに生ずる傾向がある。追従誤差の他の要因として、主に瞬きまたは、瞳孔の瞼による部分的遮蔽が考えられる。なお、実験では、頭部の位置を固定し、照度の変化を所定の範囲内に制限した。
他方、図30は、被験者ごとのAUCの最大値と光反応変動率との関係を例示する。図31は、被験者ごとのAUCの最大値と音反応変動率との関係を例示する。図30、31からは、光反応変動率および音反応変動率の変化によるAUCの最大値の変化の有意性は認められない。よって、瞳孔の生理的反応による瞳孔径の変動は、検出能力を制限する証拠とは認められない。むしろ、瞬きが頻繁に生ずることによる追従誤差率の増加が検出能力を制限する主な原因と推定される。これらのことから、本実施形態は頻繁に瞬きを行わない被験者に対して有効に作用し、異常検出の性能を向上できることを示す。
なお、上記の実験結果の収集は、次の条件のもとで実施した。実験は、暗室で行い、空間的に輝度が均一な長方形の表示領域を有するCRT(Cathode Ray Tube)モニタを用いて光を提示した。モニタのリフレッシュレートを60Hzとし、モニタの輝度を変更することで光強度を調整した。カーネル関数として用いた正規分布の標準偏差τを0.1sとした。表示領域の水平方向、垂直方向の寸法は、それぞれ310mm、230であり、最低輝度、最高輝度は、それぞれ0.01cd/m、50.45cd/mである。被験者にはモニタの前面に着座させ、測定中にスクリーン中心の点を凝視させた。また、頭部の動きを抑制し、モニタまでの視距離を70cmに維持するため、顎当てとヘッドレストを用いた。被験者の両眼の瞳孔径の測定に際し、視線追跡システムを用いた。
光強度が時間的に変化するモニタを被験者が観視しているとき、被験者の瞳孔径と光強度を測定した。測定の開始前に、被験者を5分間外部光から遮蔽された空間に滞在させ、次の試行が開始される前に30秒間輝度が一定の光を提示した。光強度の測定の際に、フォトダイオードを用いた。
実験では、視覚刺激としてガウス過程によりサンプルした光強度が時間的に変化する光を被験者に提示し、被験者ごとに10試行繰り返した。各試行では、2分間光を提示し、1分ごとに平均3回のビープ音を提示した。被験者がビープ音の提示タイミングを予想できないように、その提示タイミングをポワソン過程に従って定めた。ある試行の終了後、次の試行が開始されるまでの間、10秒間の輝度が一定の光を提示した。なお、輝度を一定の光を提示して実験を別途行った。この実験は、被験者ごとに5回の試行を繰り返し、各回の試行において1分ごとにポワソン過程でタイミングを定めた3回のビープ音を提示し、2分間光を提示した。
各試行において計測した瞳孔径を解析し、光強度の時間的に変化する場合について、追従誤差率を算出した。追従誤差率として、その試行における全サンプル時刻のうち、欠測が生じた時刻の割合と定めた。追従誤差率は、1.1%から20%の間となり、極端に追従誤差率が高い(例えば、7%より高い)試行のデータを棄却した。そのため、被験者10名のうち、2名分のデータを棄却した。
棄却されずに残された光強度と瞳孔径のデータを用いて、次の前処理を行った。まず、瞳孔径の測定値に対して窓長が140msのメディアンフィルタを適用した。メディアンフィルタを適用することで、瞬きの開始時ならびに終了時において測定される瞳孔径の人為的な低下を除外できる。但し、瞬きの期間中における測定値をスムージングしなかった。次に、時間精度2msで測定値を7点ごとに選択することで瞳孔径と光強度の測定値をダウンサンプリングした。従って、本実施形態に係る処理の時間精度、つまり、サンプリング間隔は14msとなる。前処理済みの瞳孔径と光強度の測定値のデータセットに対して、上記のカルマンフィルタを適用して予測値の推定ならびに異常検出を行った。
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の身体計測値の予測値を算出する予測部124を備える。情報処理装置10は、現時点の前記身体計測値の観測値から予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新部126を備える。情報処理装置10は、予測値の分布から予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、信用区間に基づいて観測値の異常の有無を判定する異常判定部128と、を備える。そして、予測値の分布は、第1確率密度分布に従う。状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、モデルパラメータは、第1確率密度分布、第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む。
この構成により、刺激の強度により変動し、誤差を含んで観測される身体計測値の予測値の分布を予測し、その分布に基づいて刺激として観測される外部要因だけでは説明できない観測値の異常の有無を判定することができる。
また、身体計測値に対する影響度は、刺激の強度のサンプリング間隔よりも広い所定のカーネル時間間隔ごとの現時点までの刺激の強度と予測パラメータとの積であり、モデルパラメータは、その予測パラメータを含んでもよい。この構成により、現時点までに取得された刺激の強度をそのまま用いて影響度を算出する場合よりも、予測パラメータを含むモデルパラメータの自由度を低くすることができる。そのため、変動が刺激よりも時間的緩慢な身体計測値の予測精度を損なわずに、モデルパラメータの更新に係る演算量を低減することができる。
また、前時点の予測値に対する予測パラメータは、前時点の予測値との積の演算における単位元であってもよい。
この構成により、予測パラメータを更新する必要がない。そのため、身体計測値の予測精度を損なわずに、モデルパラメータの更新に係る演算量を低減することができる。
また、第1確率密度分布、第2確率密度分布および第3確率密度分布は、それぞれ正規分布であり、第2確率密度分布および第3確率密度分布のそれぞれの平均値は0であってもよい。
この構成により、第1の確率密度分布の平均値ならびに共分散行列、第2確率密度分布の共分散行列、第3確率密度分布の共分散行列をモデルパラメータとして更新すればよいため、他種の確率密度分布を仮定する場合よりも更新に係る演算量を低減することができる。
また、異常判定部128は、現時点のモデルパラメータに基づいて現時点までの所定の推定期間における予測値と当該予測値の分散を推定し、予測値の分散に基づいて信用区間を定め、観測値が信用区間を超える期間の推定期間に対する比率が所定の比率を超えるか否かに基づいて、観測値の異常の有無を判定してもよい。
この構成により、観測値が推定期間における予測値の分布に基づく信用区間を一時的に超えても、直ちに観測値の異常を判定することが回避される。そのため、異常の有無の判定において一時的な観測値の顕著な誤差に対する耐性を向上することができる。
また、現時点までの所定の推定期間の長さとして、予測値の算出に係る刺激とは別個の第2刺激の提示中に観測値が信用区間を超える期間を異常判定部128に予め設定しておいてもよい。
この構成により、第2刺激の提示の際に観測値が信用区間を超える期間よりも長い過剰な推定期間を設定しなくても、判定能力を損なわずに、第2刺激に基づく観測値の異常を判定することができる。
また、身体計測値は瞳孔径であり、刺激の強度は光の強度であってもよい。
この構成により、光の強度により変動し、誤差を含んで観測される瞳孔径の予測値の分布を予測し、その分布に基づいて光だけでは説明できない観測値の異常の有無を判定することができる。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
上記の説明では、主に身体計測値が左右両眼の瞳孔径であり、左眼、右眼それぞれの瞳孔径を要素とする二次元のベクトルである場合を例にしたが、これには限られない。身体計測値は、左眼と右眼の一方の瞳孔径を示すスカラー値(つまり、一次元のベクトル)であってもよい。その場合には、予測値z、観測値y、観測ノイズη、状態ノイズξt−1、平均値μ、影響度Guを、それぞれスカラー値とし、共分散行列Σ、Q、R、予測パラメータF、Gを、それぞれスカラー値(つまり、1行1列の行列)とすればよい。
予測値z、観測ノイズη、状態ノイズξt−1の分布を示す確率密度分布は、正規分布に限られず、ある変数の関数値として最大値を有し、その最大値を与える変数から変数が離れるほど関数値が減少する傾向を有する確率密度関数を仮定してもよい。
影響度を与える光強度uの関数値は、光強度uと予測パラメータGとの積Guに限られず、光強度uの瞳孔径に対する影響度を説明できる関数、例えば、シグモイド関数であってもよい。
また、上記の説明では、予測部124、パラメータ更新部126は、瞳孔径の予測値の分布の予測ならびに更新の際に、主に線形のカルマンフィルタを用いる場合を例にしたが、これには限られない。線形のカルマンフィルタに代えて、拡張カルマンフィルタ、アンセンテッド(Unscented)カルマンフィルタなどの非線形カルマンフィルタを用いてもよい。
処理対象の身体計測値は、必ずしも瞳孔径に限られず、外部刺激に応じて不随意に変動する身体計測値であってもよい。その場合、計測部24は、その身体計測値を計測する部材を備え、検出部22は、その身体計測値に対して影響する刺激を検出する部材を備えればよい。例えば、身体計測値が血圧、脈拍である場合、計測部24はそれぞれ血圧計、脈拍系であればよい。検出部22は、血圧、脈拍に対する刺激としての身体活動量を取得するための活動量計、筋電計、歩数計、身体活動によって作用される発電機の発電量計などであってもよい。また、身体計測値の種別によっては、異常判定部128は、信用区間の上限に限らず、観測値が信用区間の下限を下回る状況に基づいて観測値の異常を検出してもよい。
なお、身体計測値として瞳孔径を扱う場合には、予測部124は、現時点tの予測値zは、さらに刺激として光を発する物体までの視差(または距離)の関数を影響度として含めて算出してもよい。かかる物体は、自ら光を発光する光源であってもよいし、自ら光を発行せずに光源から入射する光を反射する物体でもよい。その場合、観測値取得部122は、計測部24からさらに両眼の視線方向の計測信号が入力され、計測信号が示す視線方向に基づいて視差を定め、定めた視差を示す視差信号を予測部124に出力する。パラメータ更新部126は、その視差の関数のパラメータをモデルパラメータの一部として算出する。これにより、両眼離反運動(vergence、両眼転動、両眼輻輳運動などとも呼ばれる)による瞳孔径への影響をさらに考慮して、瞳孔径の予測精度を向上することができる。また、観測値取得部122は、検出部22として周囲の物体の画像を撮影する撮像部を用い、撮像部から取得した画像信号が示す画像から視線方向に存在する物体の輝度から光強度を特定してもよい。これにより、ユーザが観視する方向により変動しうる光強度を考慮した瞳孔径の予測を実現することができる。
上記のように、情報処理装置10は、検出部22により検出された刺激では説明できない他の要因として、例えば、音、映像、言語などによる身体計測値の異常を検出することができる。そこで、情報処理装置10は、見守りの用途に応用することができる。その場合、検出部22と計測部24は、例えば、被監督者の身体に着脱可能な携帯機器(いわゆるウェアラブルデバイス)の一部として構成されてもよい。そして、出力処理部130は、観測値の異常を通知するための通知情報を、出力部26と有線または無線のネットワークを経由して他の機器に送信してもよい。他の機器のユーザとなる監督者には携帯機器を装着する被監督者の身体計測値の異常が通知される。また、検出部22、計測部24、出力部26のいずれか、またはそれらの組は、情報処理装置10の他の部分と各種のデータを送受信することができれば、必ずしも一体化されず、別体であってもよい。
その他、情報処理装置10は、ユーザの心理状況の変化の検出に応用されてもよい。例えば、ある車両Vに搭載されるレコーダに運転中における身体計測値の観測値を示す計測信号、光強度を示す検出信号および音声信号を記録しておき、記憶した信号を情報処理装置10に出力する。情報処理装置10は、計測信号が示す観測値と検出信号が示す光強度に基づいて、上記の手法に基づいて身体計測値の信用区間を定めることができる。より具体的には、異常判定部128は、取得した音声信号から他の車両Uが警報器(クラクション)の鳴動を示す期間を特定し、その期間における瞳孔径の状態を信用区間の基準値として設定することができる。車両Vの運転者について警報器の警告に気づかずに車両Uが接触または衝突したとの虚偽を主張する場合を仮定すると、異常判定部128は、その場合に測定される瞳孔径の観測値が設定した基準値よりも有意に大きいために異常と判定する場合、車両Vの運転者が虚偽を陳述したと推定することができる。
情報処理装置10は、映像を伴うコンテンツの評価に応用されてもよい。例えば、観測値取得部122には、検出部22からの検出信号に代えて、またはその検出信号とともに映像信号が入力され、入力される映像信号が示す映像の輝度を光強度として利用する。異常判定部128、映像の輝度に基づいて予測される予測値よりも瞳孔径の観測値が有意に大きいために異常と判定する場合、映像コンテンツによる心理的な影響(例えば、関心の度合い、驚愕をはじめとする情動の度合い、など)を推定することができる。これにより、ユーザであるコンテンツの観視者による言語による回答を要さず、意図的な笑い、驚愕などの恣意性を含まない判定が可能となる。
10…情報処理装置、12…制御部、14…記憶部、22…検出部、24…計測部、26…出力部、122…観測値取得部、124…予測部、126…パラメータ更新部、128…異常判定部、130…出力処理部

Claims (9)

  1. 前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測部と、
    現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新部と、
    前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、
    前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定部と、を備え、
    前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、
    前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、
    前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む
    情報処理装置。
  2. 前記影響度は、前記刺激の強度のサンプリング間隔よりも広い時間間隔ごとの現時点までの前記刺激の強度と予測パラメータとの積であり、
    前記モデルパラメータは、前記予測パラメータを含む
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記予測パラメータは、前記積の演算における単位元である
    請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布は、それぞれ正規分布であり、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの平均値は0である
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  5. 前記異常判定部は、現時点の前記モデルパラメータに基づいて現時点までの所定の推定期間における予測値と当該予測値の分散を推定し、
    前記予測値の分散に基づいて前記信用区間を定め、
    前記観測値が前記信用区間を超える期間の前記推定期間に対する比率が所定の比率を超えるか否かに基づいて、前記観測値の異常の有無を判定する
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  6. 前記推定期間として、前記刺激とは別個の第2刺激の提示中に前記観測値が前記信用区間を超える期間とする
    請求項5に記載の情報処理装置。
  7. 前記身体計測値は瞳孔径であり、前記刺激の強度は光の強度である
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  8. 情報処理装置における情報処理方法であって、
    前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測過程と、
    現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新過程と、
    前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、
    前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定過程と、を有し
    前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、
    前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、
    前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む
    情報処理方法。
  9. 情報処理装置のコンピュータに、
    前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測手順と、
    現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新手順と、
    前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、
    前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定手順と、実行させるためのプログラムであって、
    前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、
    前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、
    前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む
    プログラム。
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