JP2021112503A - 情報処理装置、情報処理方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む情報処理方法である。
本発明の(2)の態様によれば、現時点までに取得された刺激の強度をそのまま用いて影響度を算出する場合よりも、モデルパラメータの自由度を低くすることができる。そのため、変動が刺激よりも緩慢な身体計測値の予測精度を損なわずに、モデルパラメータの更新に係る演算量を低減することができる。
本発明の(3)の態様によれば、予測パラメータを更新する必要がない。そのため、身体計測値の予測精度を損なわずに、モデルパラメータの更新に係る演算量を低減することができる。
本発明の(4)の態様によれば、第1の確率密度分布の平均値ならびに共分散行列、第2確率密度分布の共分散行列、第3確率密度分布の共分散行列をモデルパラメータとして更新すればよいため、他種の確率密度分布を仮定する場合よりも更新に係る演算量を低減することができる。
本発明の(5)の態様によれば、観測値が推定期間における予測値の分布に基づく信用区間を一時的に超えても、直ちに観測値の異常を判定することが回避される。そのため、異常の有無の判定において一時的な観測値の顕著な誤差に対する耐性を向上することができる。
本発明の(6)の態様によれば、第2刺激の提示の際に観測値が信用区間を超える期間よりも長い過剰な推定期間を設定しなくても、判定能力を損なわずに、第2刺激に基づく観測値の異常を判定することができる。
本発明の(7)の態様によれば、光の強度により変動し、誤差を含んで観測される瞳孔径の予測値の分布を予測し、その分布に基づいて光だけでは説明できない観測値の異常の有無を判定することができる。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成例を示す概略ブロック図である。
情報処理装置10は、制御部12と、記憶部14と、を備える。
制御部12は、情報処理装置10の各種機能を実現するための各種の処理を実行する。制御部12の一部または全部の機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成されるコンピュータとして実現される。プロセッサは、予め記憶部14に記憶させておいたプログラムを読み出し、読み出したプログラムに記述された指令で指示される処理を行って、その機能を奏する。本願では、プログラムに記述された指令で指示される処理を行うことを、プログラムを実行する、プログラムの実行、などと呼ぶことがある。制御部12の一部または全部は、プロセッサなどの汎用のハードウェアに限られず、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
記憶部14は、例えば、ROM(Read Only memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の(非一時的)記憶媒体を含んで構成される。記憶部14は、例えば、不揮発性の記憶媒体に代え、または、不揮発性の記憶媒体とともに、RAM(Random Access memory)、レジスタなどの揮発性の記憶媒体を含んで構成される。
検出部22は、身体計測値の計測対象者(subject、被験者とも呼ぶ)に提示される刺激の強度(刺激強度)を検出する。検出部22は、例えば、光の強度である照度を検出するための光検出器を含んで構成される。検出部22は、検出した刺激強度を示す刺激強度信号を制御部12に出力する。
計測部24は、計測対象者の身体計測値を計測する。計測部24は、例えば、身体計測値として両眼の瞳孔径を計測する瞳孔計である。計測部24は、計測した身体計測値を示す観測信号を制御部12に出力する。
出力部26は、制御部12から入力される各種の出力信号を他の機器に出力する。出力部26は、例えば、インタフェースである。
また、観測値取得部122は、計測部24から入力される身体計測値の観測値を示す計測信号を所定時間ごとに取得する。
観測値取得部122は、取得した観測信号と刺激強度信号を予測部124に出力する。また、観測値取得部122は、取得した観測信号をパラメータ更新部126と異常判定部128に出力する。
以下の説明では、主に身体計測値が人間の瞳孔径(pupil size)である場合を例とする。
まず、瞳孔径の一般的な特性について説明する。瞳孔径は、図2に例示されるように時刻の経過により随時変動する。瞳孔径は、左眼と右眼のそれぞれについて観測されうるが、相互間で著しい正の相関が存在する。本実施形態に係る予測モデルでは、身体計測値として、左眼の瞳孔径と右眼の瞳孔径を連立させ、それらを要素値として有するベクトルを用いる。以下の説明では、ベクトル量としての左眼の瞳孔径と右眼の瞳孔径のセットを、単に瞳孔径と呼ぶことがある。なお、図2、図3の縦軸の[a.u.]とは、任意の単位(arbitrary unit)を示し、絶対的な大きさを示すものではない。
また、瞳孔径は、その周囲環境からの刺激として光の強度(以下、光強度(light intensity))と負の相関性を有する。図3に示す例では、時刻0sから60sの第1区間よりも時刻60sから120sの第2区間の方が全体として光強度の分散が大きいが、第2区間における瞳孔径の方が第1区間における瞳孔径よりも小さくなる傾向がある。一般には、瞳孔径と照度との時間的な相関を解析することは必ずしも容易ではない。
図6は、相関係数の最小値の被験者依存性の例を示す。個々のプロットは、実験セットごとに得られた相関係数の最小値と、その最小値をとる時刻を示す。各プロットの形状は被験者を示す。図6によれば、被験者により相関係数の最小値の分布が顕著に異なる。言い換えれば、光強度に対する瞳孔径への影響が被験者に依存することを示す。本実施形態に係る情報処理装置10は、個々の被験者ごとに予測モデルを構成する。
式(2)において、utは、現時点tまでの所定期間内の光強度を示す。ξt−1は、前時点t−1の状態ノイズを示す。Fは、状態遷移における1次の自己回帰係数、つまり、前時点t−1の予測値ztに乗じられる予測パラメータを示す。Gは、現時点tまでの所定期間内の光強度に乗じられる予測パラメータを示す。即ち、現時点tの予測値ztは、前時点t−1の予測値zt−1と予測パラメータFとの積、影響度Gut、および前時点t−1の状態ノイズξt−1との和で与えられる。影響度Gutは、現時点tまでの光強度utと予測パラメータGとの積で与えられる。
左右両眼の瞳孔径の予測において、予測値zt、観測値yt、観測ノイズηt、状態ノイズξt−1、平均値μ、影響度Gutは、それぞれ2次元のベクトルである。共分散行列Σ、Q、R、予測パラメータFは、それぞれ2行2列の行列である。
図7、9、11は、それぞれカーネルサンプル数dが16、20、24である場合に設定されるカーネル関数を例示する。図7、9、11において、個々の曲線はカーネル関数の各時刻t’における関数値を示す。図8、10、12は、それぞれ図7、9、11に示すカーネル関数を用いて得られたutと予測パラメータGとの積であるGutを光の瞳孔径に対する影響度(light effect)として例示する。図8、10、12は、影響度の時間波形がカーネルサンプル数により異なることを示すが、時刻150ms付近で極大値をとり、時刻290ms付近で極小値をとり、時刻670ms付近で極大値をとる点で共通の傾向を示す。このことは、カーネルサンプル数dを影響度の時間変化の精度が観測値に対して十分に確保できる範囲で定めておけばよいことを示す。なお、左眼と右眼で影響度がわずかに異なるのは、予測パラメータGは、左眼と右眼とで別個のパラメータを要素として有するためである。
図14は、AICの他の算出例を示す。図14は、被験者1−8のそれぞれについて算出された相対AIC(ΔAIC)を示す。相対AICは、個々の被験者のAICから被験者間のAIC最小値を差し引いて算出される。相対AICは被験者により大きく異なるが、カーネルサンプル数dが20であるときに最小になる。このことは、被験者によらずカーネルサンプル数dを20と設定してもよいことを示す。
次に、上記の予測モデルを用いて瞳孔径の予測値を演算するための手法について説明する。一般的に、身体計測値の計測に際し欠測が生じがちである。例えば、瞬きにより一方もしくは両方の眼が閉じた期間または瞳孔の一部に瞼が覆われる期間は、瞳孔径を計測することはできない。瞬きはごくありふれた身体活動であるため、瞳孔径は頻繁に欠測されがちである。本実施形態では、一方の眼または両眼において欠測された時刻の測定データを棄却し、測定データの棄却によっても式(1)、(2)に基づく瞳孔径の予測値の推定が中断しないように、カルマンフィルタを応用する。カルマンフィルタを用いて予測値のフィルタリングとスムージングを実現することで、欠測が生じても瞳孔径の予測を継続することができる。つまり、予測部124は、カルマンフィルタを用いてモデルパラメータwを推定することで、欠測されずに取得された観測期間内の観測値y1:T nのもとで現時点tでの予測値zt nの存在密度(予測密度)を予測値の状態として算出することができる。また、予測値の状態として正規分布を仮定することで、その特性量として平均値と分散で表すことができる。そのため、比較的単純な演算を行うことで瞳孔径の予測値を算出することができる。
予測部124は、式(11)に示すように単位行列Iから現時点tのカルマンゲインKtの差分(I−Kt)と前時点t−1の状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|t−1との積を、現時点tの状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|tとして定める。
式(14)は、前時点t−1の状態に基づく前時点t−1の共分散行列Pt−1|t−1と、前時点t−1の時間発展行列Jt−1と観測終了時刻Tの状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|Tから前時点t−1の状態に基づく現時点tの共分散行列Pt|t−1の差分(Pt|T−Pt|t−1)と前時点t−1の時間発展行列Jt−1の転置行列Jt−1’との積との和が観測終了時刻Tの状態に基づく前時点t−1の共分散行列Pt−1|Tに相当することを示す。
式(15)は、前時点t−1の状態に基づく前時点t−1の共分散行列Pt−1|t−1と予測パラメータFの転置行列F’と前時点t−1の共分散行列Pt−1|t−1の逆行列Pt−1|t−1 −1の積が前時点t−1の時間発展行列Jt−1に相当することを示す。
なお、予測部124は、欠測が生じた期間において、式(8)の観測値ytに平均値zt|t−1を代入することも考えられる。但し、その場合には算出される平均値が変化しないため、図17に示す例とは異なり、平均値の時間経過に応じた増加または減少を推定することができない。
次に、瞳孔径の予測値を演算するために用いられるモデルパラメータwを更新するための手法について説明する。本実施形態に係るパラメータ更新部126は、周辺尤度を最大化するようにモデルパラメータwを算出する。最大化とは、極力増加させることを意味し、絶対的な最大値を算出することを意味するものではなく、一時的に減少することもありうる。パラメータ更新部126は、モデルパラメータwの算出において、周辺尤度を最大化するために期待値最大化(EM:Expectation-Maximization)アルゴリズムを用いる。周辺尤度の最大化は、現時点までの瞳孔径の状態のもとで現時点までの全観測期間における観測値および予測値の事後確率(posterior density)の結合密度(joint density、同時確率密度とも呼ばれる)の期待値Q(w)を最大化することと等価である。期待値Q(w)は、式(16)の右辺第1行に示す関係を用いて定められ、Q関数(Q-function)とも呼ばれる。
次に、モデルパラメータwのうち予測パラメータG、予測パラメータFの偏微分は、それぞれ式(29)、(30)に示す関係を用いて与えられる。
予測パラメータFの初期値を、単位行列Iとする。共分散行列Rの初期値を、対角要素の値がいずれも1よりも0に十分に近似した所定の微小な実数値(例えば、1.0×10−6)となる対角行列とする。対角要素の値を十分に小さい値にすることで、観測ノイズが生じない状況に近似した環境を仮定することができる。予測パラメータGの初期値を式(38)に示す関係を用いて定めておく。
また、パラメータ更新部126は、各パラメータ、および、これらのパラメータの算出に用いられる中間値をオンラインで算出してもよい。オンラインで算出する際には、パラメータ更新部126は、N回の試行n間の和と試行ごとの期間1:tに代え、例えば、現在の実行(以下、現実行)もしくは過去の実行における実行開始時刻(t=1、つまり、ランタイム(run-time)の開始)から最新の時点(つまり、現時点t)までを考慮し、個々の試行の期間内における時刻tならびに試行間の和に代え、現実行もしくは過去の実行における実行開始時刻から現時点tまでの和を実行する。
また、パラメータ更新部126は、上記のようにカーネルサンプル数dを予めオフラインで定めておいてもよいし、各1回の実行ごとに、現実行または現実行以前の観測値を用いてカーネルサンプル数dを定め、定めたカーネルサンプル数dに更新してもよい。
次に、光とは別個の刺激としてビープ音の提示下で生じた瞳孔径の異常の検出例について説明する。異常の検出に係る実験では、光強度が変化するモニタを被験者に観察させ、ビープ音を提示して瞳孔径の異常を誘発させた。被験者に対してビープ音が提示されるタイミングを予想させないため、平均0.05Hzのポワソン過程に従って、そのタイミングをランダムに定めた。ビープ音の瞳孔径に対する影響を調査するため、さらにモニタの光強度が一定に維持した場合についても実験を行った。
実験において、被験者ごとに各試行について瞳孔径の観測値を取得した。図18は、ある被験者の観測値の時間変化を示す。但し、ビープ音の提示時刻を0msとし、観測値として提示時刻における瞳孔径を基準とする時刻ごとの瞳孔径の変化量を瞳孔反応量(pupil response)として示す。図18において、細線は試行ごとの瞳孔反応量を示し、太線は試行間の瞳孔反応量の平均値を示す。いずれも、ビープ音の提示による瞳孔径の増加を示す。ビープ音の提示後1〜2sまでは瞳孔反応量は次第に増加するが、増加の度合いが減少する。その後、瞳孔反応量は減少する。
次に、異常判定部128による瞳孔径の異常判定方法について説明する。異常判定部128は、各時刻tにおいて、その時点で得られたモデルパラメータwを用いて過去の瞳孔径を推定する。過去の瞳孔径の推定において、異常判定部128は、観測値を用いて現時点tにおけるモデルパラメータを更新せずに、式(8)、(9)に示す関係を用いて前時点t−1の平均値と共分散行列を算出する処理を、現時点tから所定の推定期間Tpred前の時刻t−Tpredまで、所定期間ずつ順次時刻を遡って繰り返す。そして、異常判定部128は、推定期間内における各時刻の観測値と推定値とを比較して、瞳孔径が異常か否かを判定する。より具体的には、異常判定部128は、各時刻の平均値と共分散行列の対角要素である分散を用いて、左眼、右眼のそれぞれについて観測値が0よりも1に近い所定の確率(例えば、90%)で含まれうる信用区間(credible interval)を推定する。異常判定部128は、観測値が信用区間の上限よりも大きい期間を陽性期間(positive period)と判定する。つまり、陽性期間は、観測値が予測値よりも有意に大きい異常と判定される期間であり、有意水準αは5%である。異常判定部128は、陽性期間の推定期間に対する比率(以下、陽性期間率)が所定の陽性期間率の閾値β(以下、異常判定閾値β、例えば、50−100%)を超える場合、現時点tにおいて瞳孔径が異常と判定し、陽性期間率が異常判定閾値β以下であるとき、その時点において瞳孔径が正常と判定する。
次に、異常判定閾値βによる瞳孔径の異常の判定結果の例について説明する。図26は、ある被験者の左眼に対する異常判定閾値βごとの受信者動作特性曲線(ROC:Receiver Operating Characteristics Curve)を例示する。図26の縦軸、横軸は、それぞれ真陽性率、偽陽性率を示す。真陽性率を、推定期間Tpredにおいてビープ音が提示されている提示期間のうちの陽性期間の比率と定義した。偽陽性率を、推定期間Tpredにおいてビープ音が提示されていない非提示期間のうちの陽性期間の比率と定義した。ROCよりも下側の曲線下領域(AUC:Area Under the Curve)の面積は、0から1までの値をとり、値が1に近いほど判定能力が高いことを示す指標である。その結果、異常判定閾値βが大きいほどAUCが増加する傾向が認められる。例えば、β=0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0の場合 AUCはそれぞれ0.5226、0.5235、0.5446、0.5627、0.5823、0.5900となる。図26は、異常判定閾値βが1.0であるとき、最も判定能力が高くなることを示す。
光強度が時間的に変化するモニタを被験者が観視しているとき、被験者の瞳孔径と光強度を測定した。測定の開始前に、被験者を5分間外部光から遮蔽された空間に滞在させ、次の試行が開始される前に30秒間輝度が一定の光を提示した。光強度の測定の際に、フォトダイオードを用いた。
棄却されずに残された光強度と瞳孔径のデータを用いて、次の前処理を行った。まず、瞳孔径の測定値に対して窓長が140msのメディアンフィルタを適用した。メディアンフィルタを適用することで、瞬きの開始時ならびに終了時において測定される瞳孔径の人為的な低下を除外できる。但し、瞬きの期間中における測定値をスムージングしなかった。次に、時間精度2msで測定値を7点ごとに選択することで瞳孔径と光強度の測定値をダウンサンプリングした。従って、本実施形態に係る処理の時間精度、つまり、サンプリング間隔は14msとなる。前処理済みの瞳孔径と光強度の測定値のデータセットに対して、上記のカルマンフィルタを適用して予測値の推定ならびに異常検出を行った。
この構成により、刺激の強度により変動し、誤差を含んで観測される身体計測値の予測値の分布を予測し、その分布に基づいて刺激として観測される外部要因だけでは説明できない観測値の異常の有無を判定することができる。
この構成により、予測パラメータを更新する必要がない。そのため、身体計測値の予測精度を損なわずに、モデルパラメータの更新に係る演算量を低減することができる。
この構成により、第1の確率密度分布の平均値ならびに共分散行列、第2確率密度分布の共分散行列、第3確率密度分布の共分散行列をモデルパラメータとして更新すればよいため、他種の確率密度分布を仮定する場合よりも更新に係る演算量を低減することができる。
この構成により、観測値が推定期間における予測値の分布に基づく信用区間を一時的に超えても、直ちに観測値の異常を判定することが回避される。そのため、異常の有無の判定において一時的な観測値の顕著な誤差に対する耐性を向上することができる。
この構成により、第2刺激の提示の際に観測値が信用区間を超える期間よりも長い過剰な推定期間を設定しなくても、判定能力を損なわずに、第2刺激に基づく観測値の異常を判定することができる。
この構成により、光の強度により変動し、誤差を含んで観測される瞳孔径の予測値の分布を予測し、その分布に基づいて光だけでは説明できない観測値の異常の有無を判定することができる。
予測値zt、観測ノイズηt、状態ノイズξt−1の分布を示す確率密度分布は、正規分布に限られず、ある変数の関数値として最大値を有し、その最大値を与える変数から変数が離れるほど関数値が減少する傾向を有する確率密度関数を仮定してもよい。
影響度を与える光強度utの関数値は、光強度utと予測パラメータGとの積Gutに限られず、光強度utの瞳孔径に対する影響度を説明できる関数、例えば、シグモイド関数であってもよい。
また、上記の説明では、予測部124、パラメータ更新部126は、瞳孔径の予測値の分布の予測ならびに更新の際に、主に線形のカルマンフィルタを用いる場合を例にしたが、これには限られない。線形のカルマンフィルタに代えて、拡張カルマンフィルタ、アンセンテッド(Unscented)カルマンフィルタなどの非線形カルマンフィルタを用いてもよい。
Claims (9)
- 前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測部と、
現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新部と、
前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、
前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定部と、を備え、
前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、
前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、
前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む
情報処理装置。 - 前記影響度は、前記刺激の強度のサンプリング間隔よりも広い時間間隔ごとの現時点までの前記刺激の強度と予測パラメータとの積であり、
前記モデルパラメータは、前記予測パラメータを含む
請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記予測パラメータは、前記積の演算における単位元である
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。 - 前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布は、それぞれ正規分布であり、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの平均値は0である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。 - 前記異常判定部は、現時点の前記モデルパラメータに基づいて現時点までの所定の推定期間における予測値と当該予測値の分散を推定し、
前記予測値の分散に基づいて前記信用区間を定め、
前記観測値が前記信用区間を超える期間の前記推定期間に対する比率が所定の比率を超えるか否かに基づいて、前記観測値の異常の有無を判定する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。 - 前記推定期間として、前記刺激とは別個の第2刺激の提示中に前記観測値が前記信用区間を超える期間とする
請求項5に記載の情報処理装置。 - 前記身体計測値は瞳孔径であり、前記刺激の強度は光の強度である
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。 - 情報処理装置における情報処理方法であって、
前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測過程と、
現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新過程と、
前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、
前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定過程と、を有し
前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、
前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、
前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む
情報処理方法。 - 情報処理装置のコンピュータに、
前時点の身体計測値の予測値と前記予測値に対する予測パラメータとの積に、現時点までの刺激の強度に所定の関数を作用して得られる前記身体計測値に対する影響度と、状態ノイズを加算して現時点の前記身体計測値の予測値を算出する予測手順と、
現時点の前記身体計測値の観測値から前記予測値と観測ノイズとの差分に基づいて、前記予測値の算出に係るモデルパラメータを更新するパラメータ更新手順と、
前記予測値の分布から前記予測値が所定の確率以上で含まれる信用区間を定め、
前記信用区間に基づいて前記観測値の異常の有無を判定する異常判定手順と、実行させるためのプログラムであって、
前記予測値の分布は、第1確率密度分布に従い、
前記状態ノイズおよび前記観測ノイズは、それぞれ第2確率密度分布および第3確率密度分布に従う乱数であり、
前記モデルパラメータは、前記第1確率密度分布、前記第2確率密度分布および前記第3確率密度分布のそれぞれの特性を示す特性パラメータと前記関数のパラメータとを含む
プログラム。
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