JP2021111674A - 配線体、タッチセンサ、及び実装基板 - Google Patents

配線体、タッチセンサ、及び実装基板 Download PDF

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隆佳 二連木
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博 田原
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Abstract

【課題】導電体による反射光に関する改善を図ることができる、配線体、タッチセンサ、及び実装基板を提供する。【解決手段】タッチセンサにおいて、配線体1は、導電体2と、絶縁体3と、を備える。導電体2は、その少なくとも一部が絶縁体3の表面30において埋め込まれるように配置される。導電体2は、絶縁体3と接触する接触部位20とは反対側の面202の、中央部200に凹部V1を有する。タッチセンサは、操作体のタッチを検知可能である。タッチセンサは、上記の配線体1を備える。導電体2は、タッチを検知するセンサ電極及びセンサ電極と電気的に接続されて電気信号を外部に出力する配線のうちの、少なくとも一方を構成する。【選択図】図2

Description

本開示は、一般に、配線体、タッチセンサ、及び実装基板に関する。より詳細には、本開示は、導電体を備える配線体、当該配線体を備えるタッチセンサ、及び当該配線体を備える実装基板に関する。
特許文献1には、小さな線幅の導線を精度良く形成することができ、かつ導線が倒れたり剥がれたりするリスクを低くすることができる、タッチパネルセンサが記載されている。このタッチパネルセンサは、透光性を有する支持体と、支持体に設けられた導線とを備えている。導線は、導電性材料からなる導電層を少なくとも含んでいる。導線の導体層は、支持体の凹部内に設けられている。
特開2015−138286号公報
ところで、特許文献1における導電層が設けられた支持体(配線体)においては、導電層で光が反射する可能性があり、より低反射化が望まれる場合がある。
本開示は上記事由に鑑みてなされ、導電体による反射光に関する改善を図ることができる、配線体、タッチセンサ、及び実装基板を提供することを目的とする。
本開示の一態様の配線体は、導電体と、絶縁体と、を備える。前記導電体は、その少なくとも一部が前記絶縁体の表面において埋め込まれるように配置される。前記導電体は、前記絶縁体と接触する接触部位とは反対側の面の、中央部に凹部を有する。
本開示の一態様のタッチセンサは、操作体のタッチを検知可能である。前記タッチセンサは、上記の配線体を備える。前記導電体は、前記タッチを検知するセンサ電極、及び前記センサ電極と電気的に接続されて電気信号を外部に出力する配線のうちの、少なくとも一方を構成する。
本開示の一態様の実装基板は、少なくとも1つの回路部品が実装される。前記実装基板は、上記の配線体を備える。前記導電体は、前記回路部品が電気的に接続される導体パターンを構成する。
本開示によれば、導電体による反射光に関する改善を図ることができる、という利点がある。
図1Aは、一実施形態に係る配線体を備えるタッチセンサの模式的な外観図である。図1Bは、同上のタッチセンサが車載用に適用された外観図である。 図2Aは、同上の配線体の要部断面図である。図2Bは、同上の配線体における凹部に、第2導電層を形成した場合における要部断面図である。図2Cは、同上の配線体における導電体の表面の一部に黒化層を形成した場合における要部断面図である。図2Dは、同上の配線体の表面に別の絶縁体を形成した場合における要部断面図である。 図3は、同上の配線体の製造方法を説明するための図である。 図4Aは、同上の配線体を備えるタッチセンサが一体化された有機ELディスプレイの要部の模式図である。図4Bは、有機ELディスプレイにおけるタッチセンサ及びその周辺の模式図である。 図5Aは、同上の配線体を備えるタッチセンサが一体化された液晶ディスプレイの要部の模式図である。図5Bは、液晶ディスプレイにおけるタッチセンサ及びその周辺の模式図である。図5Cは、液晶ディスプレイの別の例におけるタッチセンサ及びその周辺の模式図である。 図6は、同上の配線体を備える実装基板の拡大図である。 図7Aは、同上の配線体における変形例1の要部断面図である。図7Bは、同上の配線体の表面に別の絶縁体を形成した場合における、要部断面図である。図7Cは、同上の配線体の別例における要部断面図である。図7Dは、同上の配線体の更に別例における要部断面図である。 図8は、同上の変形例1の製造方法を説明するための図である。 図9Aは、同上の配線体における変形例2を製造するために用いられるパターン版の要部断面図である。図9Bは、そのパターン版の別例の要部断面図である。 図10は、同上の変形例2の配線体の製造方法である。 図11Aは、同上の配線体におけるその他の変形例の要部断面図である。図11Bは、同上の配線体における更にその他の変形例の要部断面図である。
(1)概要
以下、本実施形態に係る配線体1について、図1A〜図6を参照して説明する。なお、以下で説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る配線体1は、図1A及び図1Bに示すように、例えばタッチセンサA1に適用されることを想定する。タッチセンサA1は、例えば、静電容量式のセンサであり、操作体U1のタッチ(接触)を検知する。操作体U1は、一例として、人の指先(生体の一部)である。操作体U1は、生体の一部を覆う物(例えば手袋)を含んでもよいし、生体が保持する物(例えばペン型の操作部材)を含んでもよい。タッチセンサA1は、感度を高めることで操作体U1のタッチセンシングだけでなく、近接センシングを行えてもよい。
タッチセンサA1は、例えば、いわゆるアウトセル方式のフィルムセンサでもよい。タッチセンサA1は、電子機器における液晶パネル上に装着されて、電子機器への操作入力を受け付ける操作部として使用され得る。電子機器の一例としては、図1Bに示すように、車載のセンターコンソールが挙げられるが、その他にも、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、及びカーナビゲーションシステム等が挙げられる。またタッチセンサA1は、オンセル方式、又はインセル方式でディスプレイに一体的に組み込まれてもよい。
タッチセンサA1は、図1Aに示すように、金属細線によりメッシュ状に形成された線状のセンサ電極A2を有したフィルム体F1を備えている。ここでは一例として、配線体1が、メッシュ状のセンサ電極A2を有したフィルム体F1の一部又は全部を構成するものとする。
ただし、本実施形態に係る配線体1は、タッチセンサA1に適用されることに限定されず、例えば、図6に示すように、実装基板B1に適用されてもよい。
本実施形態に係る配線体1は、図2A及び図2Bに示すように、導電体2と、絶縁体3と、を備えている。ここでは、導電体2が、上述したセンサ電極A2を構成し、絶縁体3が、フィルム体F1の一部を構成するものとする。図2A及び図2Bは、導電体2(センサ電極A2)の長手方向と直交する平面で切った模式的な要部断面図である。
導電体2は、その少なくとも一部(図2Aの例では概ね全部)が絶縁体3の表面30において埋め込まれるように配置される。導電体2は、絶縁体3と接触する接触部位20とは反対側の面202の、中央部200に凹部V1を有する。
この構成によれば、導電体2が中央部200に凹部V1を有しているため、凹部V1の内面で光散乱が起きる可能性が高くなる。したがって、配線体1を見る人の目に直進する光(反射光)の光量が低減され得る。特に、中央部200に黒化処理が施されなかった場合に、反射光の抑制を図ることができる。結果的に、本実施形態に係る配線体1は、導電体2による反射光に関する改善を図ることができるという利点がある。
(2)詳細
(2.1)タッチセンサの全体構成
まず、本実施形態に係るタッチセンサA1(図1A参照)における全体的な概略構成について説明する。タッチセンサA1は、上述した通り、(人の指先等の)操作体U1のタッチを検知可能である。タッチセンサA1は、本実施形態に係る配線体1を備えている。
タッチセンサA1は、図1Bに示すように、例えば車載のセンターコンソール(電子機器)における液晶パネル上に装着されて、操作部として使用され得る。
タッチセンサA1は、図1Aに示すように、その正面から見て、例えば略矩形状に形成されている。タッチセンサA1の平面視における領域は、操作体U1のタッチを検知可能なセンサ領域R1と、センサ領域R1の周囲に配置される配線領域R2(額縁部)とを含む。センサ領域R1には、複数の線状のセンサ電極A2が配置されている。ここでは上述の通り、センサ電極A2は、メッシュ形状に形成されている。一方、配線領域R2には、操作体U1とセンサ電極A2との間で生じ得る静電容量の変化を電気信号として、電子機器の制御部に出力する複数の配線A3が配置されている。
配線体1の導電体2は、センサ電極A2を構成する。つまり、配線体1は、主に、タッチセンサA1のうちセンサ領域R1を構成する。ただし、導電体2は、センサ電極A2のみに限定されず、配線A3を構成してもよい。言い換えると、導電体2は、タッチを検知するセンサ電極A2、及びセンサ電極A2と電気的に接続されて電気信号を外部に出力する配線A3のうちの、少なくとも一方を構成してもよい。
タッチセンサA1は、例えば、センサ電極A2と操作体U1との間における静電容量の変化を検知する、自己容量式のセンサである。操作体U1が人の手指等のようにグランド電位の物体である場合、タッチセンサA1に接触(タッチ)することで、擬似的なコンデンサが形成され、静電容量の変化として現れる。
具体的には、タッチセンサA1は、図1Aに示すように、フィルム体F1とフレキシブル配線基板F2とを備えている。フレキシブル配線基板F2は、例えば、フィルム体F1の下縁に貼り合せられている。フレキシブル配線基板F2は、電子機器側の入力端子と電気的に接続される。フィルム体F1は、例えば、メッシュ式の透明導電性フィルム体であり、上述したように、導電体2に相当する複数のセンサ電極A2と、複数の配線A3とを備えている。フィルム体F1は、可撓性を有している。またフィルム体F1は、センサ電極A2を保持するための基材10、絶縁体3(樹脂層)及び絶縁体3X(樹脂層)等を更に備えているが、これらの構成要素については、次の「(2.2)配線体、及び製造方法」の欄で詳しく説明する。
タッチセンサA1は、フィルム体F1を1つのみでもよいし、2つ備えてもよい。すなわち、タッチセンサA1は、2つのフィルム体F1からなる両面フィルム(Double-sided film)を備えてもよい。具体的には、2つのフィルム体F1は、送信電極(Tx)として機能する複数のセンサ電極A2を有する第1フィルム体と、受信電極(Rx)として機能する複数のセンサ電極A2を有する第2フィルム体とを含む。
第1フィルム体では、送信電極(Tx)に相当する各センサ電極A2が、例えば、第1方向D1(図1Aでは横方向)に沿って延びているメッシュ状の検出部を構成する。各検出部では、金属細線で囲まれた略菱形状の複数の領域R3(図1A参照)が、第1方向D1に沿って並んでいる。そして、複数の検出部が、第2方向D2(図1では縦方向)に沿って、並んで配置されている。
第2フィルム体では、受信電極(Rx)に相当する各センサ電極A2が、例えば、第2方向D2に沿って延びているメッシュ状の検出部を構成する。各検出部では、金属細線で囲まれた略菱形状の複数の領域(図1Aでは図示を省略)が、第2方向D2に沿って並んでいる。そして、複数のメッシュ状の検出部が、第1方向D1に沿って、並んで配置されている。
タッチセンサA1では、第1フィルム体における複数の送信電極(Tx)の長手方向をX軸方向に向けて、第2フィルム体における複数の受信電極(Rx)の長手方向をY軸方向に向けて、2つのフィルム体F1を互いに貼り合わせて適用される。その結果、X軸方向に対する操作体U1のタッチ位置のセンシングとY軸方向に対する操作体U1のタッチ位置のセンシングが可能となる。ただし、タッチセンサA1は、1つのフィルム体F1からなる片面フィルム(Single-sided film)を備えてもよい。
タッチセンサA1は、例えば、比較的大画面の液晶パネル上に装着されることを想定すると、たとえサイズの大きいセンサ領域R1であっても低抵抗を実現できる材質であることが望ましい。
(2.2)配線体、及びその製造方法
本実施形態におけるタッチセンサA1のセンサ領域R1を構成する配線体1、及びその製造方法について、図2A〜図3を参照しながら、詳細に説明する。以下に開示する数値(寸法等)は、単なる一例であり、限定されるものではない。
[配線体の構造]
配線体1は、図2Aに示すように、センサ電極A2を構成する複数の導電体2と、絶縁体3と、基材10と、を備えている。図2Aは、配線体1の一部のみの断面図を示し、特に、説明の便宜上、3つの導電体2のみを示す。各導電体2が、略菱形状の複数の領域R3(図1A参照)を形成する金属細線の1本に相当する。図2Aは、各導電体2(金属細線)の長手方向と直交する平面で、配線体1を切った模式的な断面図である。図2Aでは、3つの導電体2が、概ね等間隔で横方向に並んでいる。
以下では一例として、図2Aに示すように、互いに直交するX軸及びY軸の2軸を設定し、特に3つの導電体2が並ぶ並び方向に沿った方向を「X軸」方向、絶縁体3の厚み方向に沿った方向を「Y軸」方向とする。導電体2の長手方向は、X軸方向とY軸方向の両方に直交する方向となる。X軸及びY軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は配線体1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また以下では、特に断りの無い限り、ある1つの導電体2に着目して説明する。
導電体2は、導電性を有した部位である。導電体2は、その断面がX軸方向に沿って長尺の、略矩形状となっている。つまり、導電体2の厚み方向は、Y軸方向に沿っている。導電体2は、概ねその全部が絶縁体3の表面30において埋め込まれるように配置される。つまり、絶縁体3は、表面30に、導電体2が収まるための収容部31を有している。収容部31は、表面30から断面が略半円形状に凹んで形成されている。収容部31の断面積は、導電体2の断面積と概ね等しい。
絶縁体3は、電気的絶縁性を有した部位である。絶縁体3は、例えば、樹脂層である。絶縁体3は、透光性樹脂等から形成されている。絶縁体3の厚み方向は、Y軸方向に沿っている。ここでは、導電体2における絶縁体3との接触部位20は、Y軸の負の向きにおける端面(曲面)に相当する。接触部位20は、その断面が収容部31の内面に沿うように概ね円弧状となっている。
基材10は、導電体2及び絶縁体3を支持する部位である。基材10は、透光性を有した板材であり、例えば、ガラス、又は透光性樹脂等から形成されている。基材10の厚み方向は、Y軸方向に沿っている。絶縁体3は、基材10のY軸の正の向きにおける表面に積層されている。
また本実施形態の配線体1は、絶縁体3と導電体2との界面に配置される、密着性を有した密着層4を更に備えている。そして、接触部位20は、密着層4を介して、絶縁体3と接触する。
ここで導電体2は、図2Aに示すように、絶縁体3と接触する接触部位20とは反対側の面202の、中央部200に凹部V1を有している。導電体2は、銅、又は銅ニッケル(CuNi)の合金により形成されている。導電体2の厚みは、例えば、約1μm〜1.5μmである。凹部V1の横幅W1(X軸方向における寸法)は、例えば、約2μmである。
ところで、本実施形態の導電体2は、図2Bに示すように、2層構造となっていてもよい。具体的には、導電体2は、接触部位20及び凹部V1を有した第1導電層21と、凹部V1内に配置される第2導電層22と、を含んでもよい。第2導電層22は、第1導電層21のY軸の正の向きにおける表面上において、凹部V1内に埋め込まれるように積層されている。第2導電層22のY軸の正の向きにおける表面220は、絶縁体3の表面30と略面一となっている。
図2Bの第1導電層21は、図2Aの導電体2に相当し、銅、又は銅ニッケル(CuNi)の合金により形成されている。第1導電層21の厚みは、例えば、約1μm〜1.5μmである。
第2導電層22は、ニッケルとボロンとを含む層(例えば、NiB層)として形成されている。第2導電層22の厚みは、例えば、約0.3μmである。したがって、第2導電層22は、第1導電層21とは材質が異なる層である。
導電体2は、ニッケルを含むことが好ましい。図2Aの構成であれば、導電体2は、銅ニッケル(CuNi)の合金により形成されていることが好ましい。図2Bの構成であれば、導電体2は、第1導電層21及び第2導電層22のうち少なくとも一方の層に、ニッケルを含むことが好ましい。この場合、導電体2に関する信頼性(導電性、及び耐食性等)の向上を図れる。
ここでは、密着層4は、銅の酸化物である。密着層4は、例えば、酸化銅(CuO)を想定するが、銅の酸化物であれば、酸化銅(CuO)に限定されない。また密着層4は、黒化層に相当する。導電体2(図2Bの場合、第1導電層21)の表面(接触部位20)の一部に対して黒化処理を施すことで、その一部が、黒化層(密着層4)となる。要するに、密着層4が銅の酸化物であることで、配線体1に対して、黒色の付与が可能となり、低反射化を図ることができる。その結果、本実施形態のように、例えば、配線体1がタッチセンサA1に適用される場合、視認性が損なわれる可能性を低下できる。
導電体2の横幅M2(X軸方向における寸法)は、例えば、約3μm〜4μmである。密着層4の厚みを含めて導電体2の厚みL2(Y軸方向における寸法)は、例えば、約1μm〜2μmである。
また図2Bに示す配線体1においては、図2Cに示すように、第1導電層21の表面(接触部位20とは反対側の面)に、密着性を有した密着層Z1が形成されていてもよい。言い換えれば、配線体1は、導電体2における中央部200の周囲の領域201を覆うように配置される密着層Z1を更に備えてもよい。ここでは一例として、密着層Z1は、密着層4と同様に、銅の酸化物である。密着層Z1は、例えば、酸化銅(CuO)を想定するが、銅の酸化物であれば、酸化銅(CuO)に限定されない。また密着層Z1は、黒化層に相当する。
配線体1においては、図2Dに示すように、絶縁体3とは別の絶縁体3X(樹脂層)を絶縁体3の表面30上に形成して、フィルム体F1を製造してもよい。絶縁体3Xは、図2B又は図2Cに示す配線体1における絶縁体3の表面30上に形成されてもよい。なお、上述した密着層Z1が設けられていれば、このような絶縁体3Xが配線体1に形成される場合に、絶縁体3Xとの密着性が向上し得る。
このように本実施形態では、導電体2が中央部200に凹部V1を有している。そのため、凹部V1の内面で光散乱が起きる可能性が高くなる。したがって、配線体1を見る人の目に直進する光(反射光)の光量が低減され得る。特に、中央部200に黒化処理が施されなかった場合に、反射光の抑制を図ることができる。結果的に、本実施形態に係る配線体1は、導電体2による反射光に関する改善を図ることができるという利点がある。
また図2Bのように導電体2が2層構造となっていれば、導電体2による反射光に関する改善を図りつつ、第2導電層22を外部(例えば外部端子)と電気的接続を行うための接続端子として機能させやすくなる。
[配線体の製造方法]
次に配線体1の製造方法について、図3を参照しながら説明する。
配線体1の製造方法は、図3に示すように、ステップS1〜ステップS7を含む。ただし、ステップの数は、7つに限定されない。配線体1の製造方法は、ステップS1〜ステップS7に加えて、別のステップを更に含んでもよい。
本実施形態の配線体1は、例えば、ステップS1〜ステップS7の順で製造され得る。ただし、配線体1の製造は、厳密に、ステップS1〜ステップS7の順番で実行されることに限定されない。またここではステップS7の後に行われる仕上げ工程等については説明を省略する。
図3では、ある1つの導電体2のみに着目して説明するため、図示される導電体2は1つであるが、ステップS1〜ステップS7の工程を経て、複数の導電体2を備えた配線体1が形成され得る。
ここで本実施形態の配線体1は、パターン版5を用いて製造される。先にパターン版5の構成について説明する。本実施形態の製造方法は、パターン版5を用いて、例えば無電解メッキを行い、金属を表面に析出させて導電体2の導電層を成長させる工程を含む。
パターン版5は、全体として矩形のシート状となっている。パターン版5は、図3のステップS1に示すように、基材50と、接着層51と、母材52(触媒6)と、樹脂層7と、有機被膜8とを備えている。
基材50は、接着層51及び母材52を支持する部位である。基材50は、例えば、透光性を有した矩形の板材であり、ガラス又は樹脂により形成されている。基材50は、その厚み方向における両端面として、平坦な第1面501(表面)と平坦な第2面502(裏面)とを有している。
接着層51は、基材50に対して母材52を固定する部位である。接着層51は、電気絶縁性を有する(第1絶縁層)。接着層51は、例えば、透光性を有した樹脂(接着剤)によって形成されている。接着層51は、基材50の第1面501に積層されている。接着層51は、母材52の表面520以外の面を覆うように形成されている。言い換えると、母材52は、表面520が接着層51から露出する形態で、接着層51に埋め込まれている。接着層51の表面510は、母材52の表面520と略面一である。
母材52は、配線体1の製造工程において、触媒機構により、母材52近傍で還元剤と金属塩との電子移動反応を促進させて、メッキ液中から金属を取り出す、すなわち母材52上に金属を析出させるための部位である。すなわち、母材52は、触媒6として機能する部位である。
母材52は、配線体1の製造工程において、電解メッキができる程度の導電性を有する金属から形成されている。母材52の材質は、例えば、鉄とニッケルの合金である。母材52は、鉄とニッケルとの合計が80%以上の含有率であり、鉄とニッケルの比率は、鉄20%に対してニッケル80%である合金から形成されている。ただし、この比率に限定されず、例えば、鉄40%に対してニッケル60%である合金から形成されてもよいし、鉄60%に対してニッケル40%である合金から形成されてもよい。
樹脂層7は、易剥離性を有する層である。樹脂層7は、パターン版5の、触媒6が設けられている領域以外の領域に配置されている。つまり、樹脂層7は、接着層51の上に積層されている。樹脂層7は、電気絶縁性を有する(第2絶縁層)。つまり、パターン版5は、2層構造で絶縁層(第1絶縁層の接着層51と、第2絶縁層の樹脂層7)を有している。樹脂層7は、例えば、フッ素系樹脂により形成されている。なお、樹脂層7は、シリコン系の樹脂により形成されてもよい。
パターン版5の形成方法を簡単に説明すると次の通りである。
例えば、基板上に、ドライフィルムレジスト(DFR)のパターン形成を行う。そして、電解Fe−Niメッキ処理を行い、DFRを剥離することで、基板上に母材52のみが残る。母材52が形成された基板に対して、接着層51となる接着剤で基材50を貼付する。そして、基板から、基材50、母材52及び接着層51を剥離する。
さらに、樹脂層7の材料となる感光性撥水材料(ここではフッ素系樹脂)を、接着層51の表面510及び母材52の表面520上に塗布する。そして、基材50の第2面502の側(裏側)から紫外光(UV光)を照射する。UV光が、基材50及び接着層51を透過するため、接着層51の表面510上の感光性撥水材料は硬化する。一方で、母材52の表面520上の感光性撥水材料は、UV光が母材52によって遮られ、硬化させるほどのUV光が到達しにくい。結果的に、母材52の表面520上の感光性撥水材料は、未硬化となる。その後、パターン版5を溶剤で洗浄することで、未硬化の感光性撥水材料は、除去される。最終的に、樹脂層7が、基材50上に形成される。
有機被膜8は、易剥離性を有する極薄の膜である。有機被膜8は、母材52(触媒6)の上に形成される。有機被膜8は、例えば、チアゾール系の離型剤により形成されている。有機被膜8は、母材52の防錆剤としても機能する。有機被膜8の厚み寸法は、例えば、100nm以下である。
このようなパターン版5を用いた配線体1の製造方法について、図3を参照しながら説明する。パターン版5は、配線体1の製造方法に適用される。以下では、図2Bに示した2層構造(第1導電層21及び第2導電層22)を作成し、その後に、例えば第2導電層22を部分的に除去する場合を例に説明する。以下、第2導電層22を「導電層X1」と呼ぶことがある。また第1導電層21を「特定層X2」と呼ぶことがある。
本実施形態における配線体1の製造方法は、成長工程と、転写工程と、剥離工程と、を含む。成長工程にて、パターン版5に設けられた触媒6に対して配線体1の導電層X1を成長させる。転写工程にて、パターン版5における導電層X1を絶縁体3に転写する。剥離工程にて、絶縁体3と共に導電層X1を、パターン版5から剥離する。配線体1を複数製造する際に、同一のパターン版5を用いて、成長工程、転写工程、及び剥離工程を、繰り返し実行する。また本実施形態における配線体1の製造方法は、離型工程と、黒化工程と、除去工程(導電層の部分除去工程)とを更に含み、配線体1を複数製造する際には、これらの工程も、成長工程、転写工程、及び剥離工程と合わせて、繰り返し実行される。
以下、配線体1の製造方法について、図3において、ステップS1から順に説明する。
ステップS1は、離型工程である。ステップS1では、上述した有機被膜8を母材52(触媒6)の上に形成する離型処理を行う。離型処理を行うことで、後述する剥離工程で、導電層X1(第2導電層22)を、型から取り外す、つまりパターン版5から剥離しやすくなる。
ステップS2は、無電解めっきにより導電層X1(第2導電層22)を成長させる工程である成長工程である。本実施形態では、成長工程は、導電層X1を成長させる第1成長工程に加えて、導電層X1の上に別の導電層としての特定層X2(第1導電層21)を成長させる第2成長工程を更に含む。ステップS2が、第1成長工程に相当し、その次のステップS3が、無電解めっきにより特定層X2を成長させる第2成長工程に相当する。
ステップS2(第1成長工程)では、無電解メッキにより、表面に極薄の有機被膜8が形成された母材52の上に、導電層X1を成長させる。つまり、金属塩と還元剤が共存するメッキ液に、パターン版5を浸漬させる。ここでは、ニッケルを含むメッキ液、例えば、無電解Ni−Bメッキ液中に、ステップS1(離型工程)を経たパターン版5を浸漬して、無電解メッキを行うことで、ニッケルを含む金属が析出されて、導電層X1が形成される。つまり、ここでは還元剤としてホウ素化合物をメッキ液中に含有させておく。その結果、上述した通り、ニッケルとボロンとを含む第2導電層22(導電層X1)が形成される。
第2導電層22がボロンを含有することは必須ではなく、メッキ液は、無電解Ni−Bメッキ液以外にも、例えば、無電解Ni−Pメッキ液、又は無電解Cu−Ni(銅ニッケル)液でもよい。
またここでは、剥離性を考慮してニッケルを含むメッキ液を適用されているが、ニッケルを含むことに限定されない。つまり、適宜の無電解メッキにより、第2導電層22が形成されてもよく、例えば、無電解銅メッキ液又は無電解銀メッキ液により、第2導電層22が形成されてもよい。
ステップS2を経た導電層X1の横幅M1は、母材52の横幅に略等しく、これは、図2Aに示す配線体1の凹部V1の横幅W1(約2μm)とも略等しい。
ステップS3(第2成長工程)では、無電解メッキにより、導電層X1の上に、具体的には導電層X1及び導電層X1近傍の樹脂層7を覆うように、特定層X2(第1導電層21)を成長させる。つまり、ステップS3でも、金属塩と還元剤が共存するメッキ液に、パターン版5を浸漬させる。ここでは、例えば、無電解Cu−Ni(銅ニッケル)メッキ液中に、ステップS2(第1成長工程)を経たパターン版5を浸漬して、無電解メッキを行うことで、金属(銅ニッケル)が析出されて、銅ニッケルの特定層X2が形成される。特定層X2は、導電層X1を覆うように、断面が略半円状に形成されている。ここでは、導電層X1は、特定層X2よりも薄い。例えば、特定層X2の厚みが約1μm〜1.5μmであるのに対して、導電層X1の厚みは約0.3μmである。
ステップS3を経た特定層X2の横幅M2は、導電層X1の横幅M1よりも大きく、例えば、約3μm〜4μmである。なお、導電層X1の縁から特定層X2の縁までの距離M3は、例えば、約0.5μm〜1μmである。
ステップS3におけるメッキ液は、ニッケルを含まなくてもよく、無電解Cu(銅)メッキ液でもよい。この場合、銅の特定層X2が形成される。
上記の例では、比較的導電性の高い金属として、銅を含む導電層X1及び特定層X2が形成されているが、銅の代わりに、例えば、銀、又は金を含む導電層X1及び特定層X2であってもよい。要するにメッキ液は、上記のものに限定されない。
このような成長工程により、導電層X1の形成を安定的に実現できる。特に、第1成長工程及び第2成長工程により、2層構造化を安定的に実現できる。
ステップS4は、黒化工程である。ステップS4では、ステップS3で形成された特定層X2の表面(表層)の一部を酸化させて、銅の酸化物(ここでは酸化銅)である黒化層(つまり密着層4)を形成する。言い換えると、ステップS4は、導電層X1のパターン版5とは反対側(ここでは導電層X1に積層された特定層X2の表面)において、密着性を有した密着層4を形成する形成工程に相当する。この酸化銅からなる密着層4は、例えば、特定層X2の表層を適宜の酸化処理液に漬けることで行われることで、特定層X2の表面粗化が進行して形成され得る。密着層4は、絶縁体3(樹脂層)に対して比較的密着性の高い層として期待できる。
なお、黒化層(密着層4)は、酸化銅によるものに限定されない。黒化層は、例えば、特定層X2の表層にエッチング処理等を施して表面粗化を行うことで形成されてもよいし、あるいはメッキ処理(例えばパラジウムの置換メッキ)によって形成されてもよい。なお、本開示において密着層4は必須の構成要素ではない。例えば、特定層X2自体が黒色であれば、黒化層(密着層4)は省略されてもよい。このように密着層4が形成されることで、次の転写工程において、導電層X1が密着層4によって絶縁体3に転写されやすくなる。また黒化層(密着層4)が形成されることで、配線体1における低反射化を図ることができる。なお、黒化層(密着層4)は、後工程で、部分的に除去されてもよい。
ステップS5は、転写工程である。ステップS5では、ステップS4を経たパターン版5に対して、転写材T1を圧着して、転写材T1に、導電層X1、特定層X2、及び密着層4を転写させる。転写材T1は、図2Aに示す(完成後の)配線体1の基材10及び絶縁体3となる部材である。転写材T1は、絶縁体3に相当する部材の表面(表面30)を、パターン版5と対向するように向けて、押し付けられる。結果的に、導電層X1、特定層X2、及び密着層4は、転写材T1の絶縁体3に相当する部材に埋設されることになる。
ステップS6は、剥離工程である。ステップS6では、パターン版5から、転写材T1を剥離する。これにより、転写材T1には、導電層X1、特定層X2、及び密着層4が一体化して固定されることになる。この際に、上述の通り、パターン版5には、易剥離性を有する樹脂層7、及び有機被膜8が設けられているため、転写材T1をパターン版5から容易に剥離可能となっている。言い換えると、転写材T1、及びパターン版5に無理なストレスがかかりにくく、転写材T1を略均等に剥離でき、導電層X1、特定層X2、及び密着層4がパターン版5に部分的に残存してしまうことが抑制され得る。
特に、樹脂層7がフッ素系樹脂により形成されているため、剥離性を考慮する際に、転写材T1の絶縁体3及びパターン版5の接着層51等の材料の選択肢が広がり得る。
ステップS7は、導電層X1の部分除去工程である。ステップS7では、適宜の手段(例えばエッチング処理等)によって、導電体2の長手方向における導電層X1の一部、又は全部を除去する。導電層X1は部分的に残存してもよい。
このようにして本実施形態における図2Aに示す配線体1が製造される。本実施形態では、パターン版5が配線体1の製造方法に適用されることで、配線体1の品質に関する安定化を図ることができる。また同一のパターン版5を繰り返し用いて配線体1の製造が可能となることで、全体としてのコスト削減に貢献し得る。
ところで、ステップS6とステップS7との間に、ステップS4の黒化処理とは別に黒化処理を行うステップを設けてもよい。つまり、図2Cに示す密着層Z1(黒化層:CuO)を形成するためのステップを設けてもよい。導電層X1(第2導電層22)は、ニッケルとボロンとを含む層(例えば、NiB層)であるため、黒化処理(CuO)を行っても、導電層X1は黒化(CuO化)されない。つまり、密着層Z1は、導電体2における中央部200の周囲の領域201を覆うように形成されることになる。したがって、密着層Z1(黒化層)を形成することで、視認性の低下を更に抑制しながらも、密着層Z1が形成されない中央部200において導電体2が露出され得る。そのため、例えば、配線体1が、タッチセンサA1の配線A3を構成する場合、中央部200において露出する部位(第2導電層22)を、フレキシブル配線基板F2の入力端子と電気的接触を行う接触部位(接続端子)として機能させることができる。
(2.3)配線体の適用
以下に配線体1の適用について説明する。
[有機ELディスプレイ]
先ず本実施形態に係る配線体1を備えたタッチセンサA1(タッチパネル)が、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ300に適用される場合について、図4A及び図4Bを参照しながら説明する。
図4Aは、有機ELディスプレイ300の層構造を示す模式的な拡大図である。有機ELディスプレイ300は、ガラス等の基材301と、TFT(Thin Film Transistor)302と、アノード(電極)303と、赤(R)緑(G)青(B)の(有機EL)発光層304と、絶縁層305と、カソード(電極)306とを備えている。また有機ELディスプレイ300は、封止膜307と、充填剤308と、タッチセンサA1と、光学フィルム309と、ガラス等のカバー部材310とを更に備えている。
配線体1を備えたタッチセンサA1は、有機ELディスプレイ300と一体化されている。特に図4Aに示すように、タッチセンサA1は、光学フィルム(偏光フィルム)309よりも下側で、封止膜307及び充填剤308よりも上側に配置されていて、いわゆるオンセル方式で有機ELディスプレイ300と一体化されている。
有機ELディスプレイ300においては、導電体2の表面は、発光層304側を向くように配置されている。言い換えると、黒化層(密着層4)は、カバー部材310側を向くように配置されている。したがって、導電体2による反射光によってカバー部材310側からの視認性が低下してしまうことが抑制される。
有機ELディスプレイ300においては、図4Aに示すように、複数(図示例では3つ)のRGBの発光層304のうち互いに隣り合う2つの発光層304は、所定の間隔を空けて配置されている。
ここで、この有機ELディスプレイ300においては、正面側(図4Aでは上側)から見たときに、センサ電極A2(導電体2)が、RGBの発光層304の各層と重なりにくいように、隣り合う2つの発光層304の間に配置されている。つまり、正面側から見たときに、センサ電極A2(導電体2)が、隣り合う2つの発光層304の間に介在する絶縁層305と重なるように配置されている。そのため、有機ELディスプレイ300では、各発光層304から放射される光が、導電体2によって遮光されにくい配置構造となっている。上記の所定の間隔が、例えば10μmであると想定すると、導電体2の横幅M2(図2A参照)が例えば約3μm〜4μmであるため、上記の配置構造も実現可能となっている。
このようにタッチセンサA1がオンセル方式で有機ELディスプレイ300と一体化される場合、アウトセル方式に比べて、上記の配置構造をより容易に実現しやすく、実質的に透過率100%に近いディスプレイを提供できる。
ところで、図4Bは、タッチセンサA1及びその周辺を拡大した模式的な図である。タッチセンサA1は、2つのフィルム体F1からなる両面フィルムを備えてもよい。具体的には、2つのフィルム体F1は、送信電極(Tx)として機能する複数のセンサ電極A2(導電体2)を有する第1フィルム体と、受信電極(Rx)として機能する複数のセンサ電極A2(導電体2)を有する第2フィルム体とを一体的に含む。
上の「(2.2)配線体、及びその製造方法」の欄で説明した「絶縁体3とは別の絶縁体3X(樹脂層)」は、第1フィルム体の絶縁体3の上に一体的に形成される第2フィルム体の絶縁体(樹脂層)に相当してもよい。あるいは「絶縁体3とは別の絶縁体3X(樹脂層)」は、配線体1の表面を保護する保護層でもよい。
[液晶ディスプレイ]
次に本実施形態に係る配線体1を備えたタッチセンサA1(タッチパネル)が、液晶ディスプレイ400に適用される場合について、図5A及び図5Bを参照しながら説明する。
図5Aは、液晶ディスプレイ400の層構造を示す模式的な拡大図である。液晶ディスプレイ400は、バックライト401と、偏光板402と、ガラス等の基材403と、TFT404と、駆動電極405と、絶縁層406と、液晶407と、を備えている。また液晶ディスプレイ400は、赤(R)緑(G)青(B)のCF(Color Filter)着色層408と、BM(Black Matrix)層409と、タッチセンサA1と、CF基材410と、光学フィルム411と、ガラス等のカバー部材412とを更に備えている。
配線体1を備えたタッチセンサA1は、液晶ディスプレイ400と一体化されている。特に図5Aに示すように、タッチセンサA1は、CF基材410よりも下側に配置されていて、いわゆるインセル方式で液晶ディスプレイ400と一体化されている。
液晶ディスプレイ400においては、図5Aに示すように、複数(図示例では3つ)のRGBのCF着色層408のうち互いに隣り合う2つのCF着色層408は、所定の間隔を空けて配置されている。
ここで、この液晶ディスプレイ400においては、正面側(図5Aでは上側)から見たときに、センサ電極A2(導電体2)が、RGBのCF着色層408の各層と重なりにくいように、隣り合う2つのCF着色層408の間に配置されている。つまり、正面側から見たときに、センサ電極A2(導電体2)が、隣り合うCF着色層408の間に介在するBM層409と重なるように配置されている。そのため、液晶ディスプレイ400では、各CF着色層408を介して出射される光が、導電体2によって遮光されにくい配置構造となっている。なお、上記の所定の間隔が、例えば10μmであると想定すると、導電体2の横幅M2(図2A参照)が例えば約3μm〜4μmであるため、上記の配置構造も実現可能となっている。
このようにタッチセンサA1がインセル方式で液晶ディスプレイ400と一体化される場合、アウトセル方式に比べて、上記の配置構造をより容易に実現しやすく、実質的に透過率100%に近いディスプレイを提供できる。
ところで、図5Bは、タッチセンサA1及びその周辺を拡大した模式的な図である(ただし、図5Aとは上下を逆さにしている)。タッチセンサA1は、図5Bに示すように、2つのフィルム体F1からなる両面フィルムを備えてもよい。具体的には、2つのフィルム体F1は、送信電極(Tx)として機能する複数のセンサ電極A2(導電体2)を有する第1フィルム体F11と、受信電極(Rx)として機能する複数のセンサ電極A2(導電体2)を有する第2フィルム体F12とを含む。なお、図5Bの例では、導電体2の表面がBM層409側を向くように配置される。
また図5Cは、タッチセンサA1及びその周辺を拡大した模式的な図である(ただし、図5Aとは上下を逆さにしている)。図5Cに示すタッチセンサA1も、第1フィルム体F11と第2フィルム体F12とを含む両面フィルムを備えている。
ここで、図5Cに示すタッチセンサA1は、図5Aに示すタッチセンサA1と異なり、CF基材410よりも上側(図5Cでは下側)に配置された、いわゆるオンセル方式で液晶ディスプレイ400と一体化されている。なお、図5Cの例では、導電体2の表面がBM層409とは反対側を向くように配置される。
[(半導体)実装基板]
本実施形態に係る配線体1は、タッチセンサA1に適用されることに限定されない。例えば、図6に示すように、(半導体)実装基板B1に適用されてもよい。
実装基板B1は、少なくとも1つの回路部品B2が実装される。実装基板B1は、配線体1を備えている。導電体2は、回路部品B2が電気的に接続される導体パターンB3を構成している。なお、図6は、実装基板B1の裏面B10を示しており、図6では実装基板B1の表面に実装されている回路部品B2を想像線で示している。
この構成においても、密着性の改善を図ることが可能な配線体1を備える実装基板B1を提供できる。
(2.4)パターン版の繰り返し性
ところで、本実施形態に係る配線体1を複数製造する際、上述した通り、同一のパターン版5を用いて、製造工程(ステップS1〜ステップS7)が繰り返し実行される。
本発明者らは、同一のパターン版5の再利用が実際に可能であるかを検証する実験を行った。具体的には、母材(触媒)の材料等を変えた「試験版」を準備し、また無電解メッキ液を変えながら、無電解メッキの析出性、及び試験版からの剥離性の検証実験を行った。その結果が以下の表1の通りである。
表1中の離型処理(チアゾール)は、ステップS1に相当する処理であり、欄内の「有」及び「無」は、有機被膜8の有無の区別を示す。また「温室/2min」は、離型処理時の環境と処理時間を示す。
Figure 2021111674
また本発明者らは、母材(触媒)に「Cu(銅)」を用いた試験版を用意して、転写試験を行った。その結果が、以下の表2の通りである。
Figure 2021111674
すなわち、母材金属が「Cu(銅)」で、無電解Ni−Bメッキ液の場合、「Ni−B」の析出が可能であり、剥離性も良好であった。なお、無電解Ni−Pメッキ液でも行ったが、「Ni−P」の析出が不可能だった。
また本発明者らは、試験版を2つ用意し、各試験版を用いて、転写試験を2回(転写して剥離する試験を1セットとして2セット)行った。その結果が、以下の表3の通りである。なお、いずれの試験版も、母材(触媒)は、「Fe:60%、Ni:40%」の合金を用いた。また無電解メッキ液は、各試験版における転写1回目、転写2回目も全て無電解Ni−Bメッキ液を用いた。
Figure 2021111674
つまり、転写2回目に関して、チアゾール(有機被膜8)が「有」の場合、メッキ膜自体が析出されず、チアゾール(有機被膜8)が「無」の場合、メッキ膜は析出されたが、剥離の繰り返し性は発現しなかった。
ここでさらに発明者らは、「No.11」と同等の条件で、ただし、転写1回目と、転写2回目との間に、試験版に対して「リセット処理」を実行する試験を行った。リセット処理は、「Oアッシング」、すなわち酸素ガスを使ったプラズマアッシング処理(600ワット、90sec)である。その結果、析出の繰り返し性だけでなく、剥離の繰り返し性の発現を確認できた。
上記の試験から、同一のパターン版5を用いて配線体1を複数製造する際には、合間にリセット処理を実行することが望ましいことを確認できた。また、剥離性、及び母材の選択肢の広がりを考慮すると、無電解Ni−Bメッキ液を用いて、メッキ膜として、第2導電層22(NiB層)を形成することが望ましいことが確認できた。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。以下に説明する各変形例は、基本例又は他の変形例と適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)変形例1
本変形例(変形例1)に係る配線体1Aについて、図7A〜図8を参照しながら説明する。以下では、基本例の配線体1と実質的に共通する構成要素について、同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略することがある。また製造方法についても、基本例の配線体1の製造方法と実質的に共通する工程(ステップ)については、適宜にその説明を省略することがある。
基本例の配線体1では、導電体2の表面(第2導電層22の表面220)が、Y軸方向において、絶縁体3の表面30と略面一となっている。本変形例の配線体1Aでは、導電体2Aの表面が、Y軸方向において、絶縁体3の表面30よりも突出している点で、基本例の配線体1と相違する。
[配線体の構造]
本変形例の配線体1Aは、図7Aに示すように、第1導電層21A及び第2導電層22を有する導電体2Aと、絶縁体3と、基材10と、を備えている。
ここで配線体1Aは、図7Aに示すように、導電体2Aの、接触部位20とは反対側において、接触部位20から離れる方向に、表面30よりも突出する凸構造H1を備えている。本変形例の導電体2Aは、Y軸方向における寸法が、基本例の配線体1の導電体2よりも大きい。つまり、第1導電層21Aの大きさ(収容部31の底に対する高さ)に依存した凸構造H1が形成されている。したがって、導電体2Aの厚みL2(Y軸方向における寸法)は、基本例の導電体2の厚みL2よりも大きい。
この構成では、凸構造H1の体積に応じて、電気抵抗(配線抵抗)を低くすることができる。結果的に、例えば配線体1AがタッチセンサA1に適用される場合、タッチセンサの大型化も図りやすくなる。
特にこの構成では、凸構造H1が設けられていることで、図7Bに示すように、絶縁体3と絶縁体3Xとが合わさったときに、導電体2の重心が、これらの樹脂の中点に配置できる可能性が高くなる。結果的に、フィルム体F1の屈曲時の応力を緩和しやすくなる。
なお、導電体2Aは、2層構造であることに限定されず、図7Cに示すように、導電体2Aは、第1導電層21Aのみを含んでもよい。この場合、第1導電層21Aの表面210が、Y軸方向において、絶縁体3の表面30よりも絶縁体3の表面30よりも突出している。
ところで、導電体2Aは、図7Dに示すように、接触部位20を有する第1導電層21と、第1導電層21の、接触部位20とは反対側に配置される第2導電層22と、第3導電層23と、を含んでもよい。第3導電層23は、第1導電層21と第2導電層22との間に介在する。凸構造H1は、第3導電層23により構成される。要するに、図7Dに示す導電体2Aは、3層構造となっている。この場合、第3導電層23は、銅とニッケルとを含む。またこの場合、第1導電層21は、銅を含み、ただし、第3導電層23とは違ってニッケルを含まなくてもよい。第2導電層22は、ニッケルとボロンとを含む層(例えば、NiB層)として形成されている。要するに、第3導電層23の材質は、第1導電層21とも第2導電層22とも異なる。
この図7Dに示す導電体2Aの構成によれば、凸構造H1を実現しやすくなる。また電気抵抗(配線抵抗)をより低くすることができる。
[配線体の製造方法]
次に本変形例の配線体1Aの製造方法について、図8を参照しながら説明する。
本変形例の配線体1Aの製造方法は、図8に示すように、ステップS1〜ステップS6を含む。配線体1Aは、例えば、ステップS1〜ステップS6の順で製造され得る。ただし、配線体1Aの製造は、厳密に、ステップS1〜ステップS6の順番で実行されることに限定されない。
本変形例の配線体1Aは、パターン版5Aを用いて製造される。ここでパターン版5Aは、基本例の配線体1の製造で用いたパターン版5と比べて、上述した凸構造H1を形成するために、母材52(触媒6)は、その表面520が、接着層51の表面510よりも、基材50に近づく方向に低くなるように形成されている。なお、図8の例では、母材52の厚みが、基本例の母材52(図3参照)の厚みよりも小さく設定しているが、母材52の厚みは同じに設定し、代わりに接着層51の厚みや母材52が収まる凹所511の深さを大きくしてもよい。
本変形例では、母材52上に形成される有機被膜8も、樹脂層7に比べて、基材50に近づく方向に低く形成されている。
要するに、パターン版5Aは、母材52の表面520が接着層51の表面510よりも低い位置に設定されることで、配線体1の凸構造H1を形成するための凹部構造を備えている。したがって、パターン版5Aは、電気抵抗(配線抵抗)を低くすることが可能な配線体1の製造を容易に実現可能となっている。
このようなパターン版5Aを用いた配線体1Aの製造方法について、図8を参照しながら説明する。以下では、第2導電層22を「導電層X1」と呼ぶことがある。また第1導電層21Aを「特定層X2」と呼ぶことがある。
ステップS1は、離型工程である。ステップS1では、上述した有機被膜8を母材52(触媒6)の上に形成する離型処理を行う。
ステップS2(第1成長工程)では、無電解メッキにより、表面に極薄の有機被膜8が形成された母材52の上に、導電層X1を成長させる。
ステップS3(第2成長工程)では、無電解メッキにより、導電層X1の上に、具体的には導電層X1及び導電層X1近傍の樹脂層7を覆うように、特定層X2(第1導電層21A)を成長させる。特定層X2は、導電層X1を覆うように形成されている。具体的には、特定層X2は、断面が略半円状に形成された傘部X21と、傘部X21の下側において傘部X21より幅狭で、かつ断面が略矩形状に形成された基部X22とからなる。傘部X21は、樹脂層7にわたって(樹脂層7の縁部における上面と部分的に重なるように)形成されている。基部X22は、凹所511内に埋没している。
なお、図7Dに示した3層構造の導電体2Aを製造する場合、ステップS2とステップS3との間に、無電解メッキにより第3導電層23を成長させるステップ(第3成長工程)を設ければよい。
ステップS4は、黒化工程である。ステップS4では、ステップS3で形成された特定層X2の表面(表層)の一部を酸化させて、銅の酸化物(ここでは酸化銅)である黒化層(つまり密着層4)を形成する。
ステップS5は、転写工程である。ステップS5では、ステップS4を経たパターン版5Aに対して、転写材T1を圧着して、転写材T1に、導電層X1、特定層X2、及び密着層4を転写させる。
ステップS6は、剥離工程である。ステップS6では、パターン版5Aから、転写材T1を剥離する。これにより、転写材T1には、導電層X1、特定層X2、及び密着層4が一体化して固定されることになる。特定層X2のうち傘部X21は、絶縁体3内に埋め込まれ、一方基部X22は、凸構造H1の一部を構成する部位として、絶縁体3の表面30よりも突出している。基部X22の横幅(導電層X1の横幅M1と概ね等しい)は、傘部X21の横幅(特定層X2の横幅M2に相当)よりも狭い。
この後に基本例と同様に、更に導電体2Aの表面を黒化する黒化処理(密着層Z1の形成)を実行するステップが設けられてもよい。第2導電層22は、上述の通り、ニッケルとボロンとを含む層(例えば、NiB層)であるため、黒化処理(CuO)を行っても、第2導電層22は黒化されにくい。そこで、もし第2導電層22の表層も黒化させる場合には、例えばニッケルエッチング処理を行った後、導電体2Aの表層を適宜の酸化処理液に漬けることで行われる。また黒化層(密着層Z1)は、後工程で、部分的に除去されてもよい。例えば、配線体1が、タッチセンサA1の配線A3を構成する場合、フレキシブル配線基板F2の入力端子との電気的接触に関する信頼性を高めるために、接触部位については黒化層を除去して導電体2の一部を接続端子として機能させてもよい。
ところで、本変形例では、特定層X2のうち傘部X21は、絶縁体3内に埋め込まれ、一方基部X22は、凸構造H1の一部を構成する部位として、絶縁体3の表面30よりも突出している。導電体2が傘部X21及び基部X22を備えた状態の配線体1Aの上に、別の絶縁体3Xが形成されてもよいし、タッチセンサA1のフィルム体F1等に適用されてもよい。要するに、導電体2が傘部X21と傘部X21より幅狭の基部X22とを備えた構成の配線体1Aにおいて、基本例で説明した凹部V1が設けられていることは必須の構造ではない。この場合、傘部X21の表面に形成された黒化層(密着層4)が、導電体2の反射をより広範囲で覆い隠すことができ、更に視認性が向上する。つまり、傘部X21の形成により、配線体1Aに、更に低反射化を実現可能とする「ひさし構造」を付与できる。
(3.2)変形例2
本変形例(変形例2)に係る配線体1Bについて、図9A〜図10を参照しながら説明する。以下では、基本例の配線体1と実質的に共通する構成要素について、同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略することがある。また製造方法についても、基本例の配線体1の製造方法と実質的に共通する工程(ステップ)については、適宜にその説明を省略することがある。
本変形例では、配線体1Bを製造するために用いられるパターン版5Bが、基本例の配線体1を製造するために用いられるパターン版5と相違する。具体的には、図9Aに示すように、X軸方向における樹脂層7が設けられていない領域R100の第1幅Q1が、接着層51における母材52が収まる凹所511の第2幅Q2よりも広い点で、パターン版5と相違する。すなわち、基本例では、第1幅Q1と第2幅Q2とが略等しかった。なお、本変形例では、第2幅Q2は、母材52の横幅に概ね等しく、また導電層X1の横幅M1にも概ね等しい。言い換えれば、本変形例では、X軸方向において、樹脂層7は、触媒6(母材52)から所定の距離だけ離れている。
また本変形例のパターン版5Bは、凹所511に、密着層53(金属層)を有している。母材52は、凹所511において、密着層53の上に積層されている。要するに、母材52及び密着層53は、接着層51に埋め込まれている。母材52は、密着層53によって凹所511内で安定的に保持されている。
また本変形例の樹脂層7は、厚みが基本例の樹脂層7厚みよりも大きく設定されている。
図9Aの例では、変形例1と同様に、母材52(触媒6)は、その表面520が、接着層51の表面510よりも、基材50に近づく方向に低くなるように形成されている。ただし、図9Bに示すように、母材52の表面520が、接着層51の表面510と略面一であってもよい。
[配線体の製造方法]
次に本変形例におけるパターン版5Bを用いた配線体1Bの製造方法について、図10を参照しながら説明する。
本変形例の配線体1Bの製造方法は、ステップS1〜ステップS8を含む。配線体1Bは、例えば、ステップS1〜ステップS8の順で製造され得る。ただし、配線体1Bの製造は、厳密に、ステップS1〜ステップS8の順番で実行されることに限定されない。
本変形例の配線体1Bは、変形例1の配線体1Aに近い構造を有している。すなわち、配線体1Bも、第1導電層21Bの大きさ(収容部31の底に対する高さ)に依存した凸構造H1を備えている。なお、配線体1Bでは、配線体1Aと違って、絶縁体3に段部K1が形成されている。以下では、第2導電層22を「導電層X1」と呼ぶことがある。また第1導電層21Bを「特定層X2」と呼ぶことがある。
ステップS1は、離型工程である。ステップS1では、有機被膜8を母材52(触媒6)の上に形成する離型処理を行う。
ステップS2(第1成長工程)では、無電解メッキにより、表面に極薄の有機被膜8が形成された母材52の上に、導電層X1を成長させる。
ステップS3(第2成長工程)では、無電解メッキにより、導電層X1の上に、具体的には導電層X1及び導電層X1近傍の樹脂層7を覆うように、特定層X2(第1導電層21B)を成長させる。特定層X2は、導電層X1を覆うように形成される。特定層X2は、導電層X1を覆うように形成されている。具体的には、特定層X2は、断面が略半円状に形成された傘部X21と、傘部X21の下側において傘部X21より幅狭で、かつ断面が略矩形状に形成された基部X22とからなる。基部X22は、凹所511内に埋没している。
ここで、特定層X2の傘部X21は、樹脂層7が設けられていない領域R100(図9A参照)内に収まるように成長され得る。変形例1では、傘部X21が樹脂層7の縁部における上面と部分的に重なるように、つまり、領域R100からはみ出るように形成されているため、本変形例は、この点で変形例1と相違する。
ステップS4は、黒化工程である。ステップS4では、ステップS3で形成された特定層X2の表面(表層)の一部を酸化させて、銅の酸化物(ここでは酸化銅)である黒化層(つまり密着層4)を形成する。
ステップS5は、転写工程である。ステップS5では、ステップS4を経たパターン版5Bに対して、転写材T1を圧着して、転写材T1に、導電層X1、特定層X2、及び密着層4を転写させる。
ステップS6は、剥離工程である。ステップS6では、パターン版5Bから、転写材T1を剥離する。これにより、転写材T1には、導電層X1、特定層X2、及び密着層4が一体化して固定されることになる。
ステップS7は、除去工程(エッチング工程)である。ステップS7では、絶縁体3の表面30に、エッチング処理を施して、導電体2Bの両側に溝部G1を形成する。
つまり、配線体1の製造方法は、エッチング工程を更に含んでもよい。ステップS7では、絶縁体3の表面30に、エッチング処理を施して、導電体2の両側に溝部G1を形成する。つまり、除去工程は、特定層X2の一部を除去する工程である。ここでは選択性エッチングを行って、特定層X2の一部(及び密着層4の一部)を除去する一方で、導電層X1及び絶縁体3を除去せずにほぼ無傷のままに維持する。ただし、導電層X1も部分的に除去されてもよく、除去工程は、導電層X1の一部を除去する工程であってもよい。
特にこの除去工程では、エッチング液をエアレーションすることで、エッチング除去を行う。ここでは例えば、アミン系エッチャントが用いられる。エアレーションとは、エッチング液内に空気(酸素)を含ませることである。例えば、エッチング液をスプレーによって噴霧状にして絶縁体3の表面30に塗布することで、エアレーションを実行可能である。具体的には、エッチング液の流動性の高い所では、エッチング液中に酸素濃度が十分に確保されるため、エッチング除去が進行する。しかし、エッチング液の流動性の低い所では、酸素濃度が十分に確保できないため、エッチング除去が進行し難くなる。
この流動性の違いをコントロールすることで、Y軸方向の正の側から導電層X1(第2導電層22)を見たときに導電層X1よりも両側にはみ出ている特定層X2の一部(及び密着層4の一部)が、導電層X1よりも先に浸食されることになる。結果的に、導電層X1、(Y軸方向の正の側から見て)特定層X2のうち導電層X1と概ね重なる部位、並びに、(Y軸方向の正の側から見て)密着層4のうち導電層X1と概ね重なる部位が残る。最終的に、導電体2は、全体として、導電層X1の横幅M1と略等しい寸法の線幅を有したものとなる。
要するに、ここでは一例として、溝部G1は、エッチング処理により特定層X2の一部(及び密着層4の一部)が除去されたことによって出来る溝である。このような除去工程により、特定層X2の周囲に溝部G1を形成できて、配線体1の上に別の絶縁体3Xを形成する場合に、その絶縁体3Xとの密着性の改善を図ることができる。特に除去工程では、エッチング液をエアレーションすることで、エッチング除去による進行を容易にコントロールできる。
本変形例では、導電体2が2層構造(第1導電層21と第2導電層22)を有していることで、2つ以上の特性(例えば易剥離性と、黒化処理に適していること)を実現させやすくなる。
また本変形例では、導電体2が2層構造を有していることで、選択性エッチングの実行が可能となり、さらにエアレーション効果を利用することで、高いアスペクト(比)の導電体2を有した配線体1を提供できる。ここでいうアスペクト比は、導電体2における、Y軸方向の寸法(高さ)に対するX軸方向の寸法(横幅)である。出来るだけ高いアスペクトの導電体2を実現することで、配線抵抗における低抵抗化により貢献し得る。
また本変形例では、パターン版5が配線体1の製造方法に適用されることで、配線体1の品質に関する安定化を図ることができる。
ステップS8は、ステップS4が第1黒化工程とすれば、このステップS8は、第2黒化工程となる。ステップS8では、導電体2の表層を適宜の酸化処理液に漬けることで行われる。例えば導電層X1がニッケルボロン合金のようなニッケルを含む金属で構成され、第2黒化工程での黒化処理を銅の酸化処理とする場合、ニッケルは酸化されずに特定層X2の側部の銅のみ酸化処理により黒化することが可能となる(黒化層J1の形成)。この場合、配線体1Bの正面又は側方から見たときの視認性が更に向上されるうえ、フレキシブル配線基板F2の入力端子との接続部においてはニッケル合金のまま導電性のある状態を保持できる。そのため、酸化銅を除去する工程等を必要とせずに入力端子との接続が可能となる。
ただし、ステップS8では、ニッケルを含む金属で構成された導電層X1に対して例えばニッケルエッチング処理を行った後、導電体2の表層を適宜の酸化処理液に漬けることで行われてもよい。結果的に、黒化層J1が、第1導電層21Bの側面及び第2導電層22の表面に形成されてもよい。この場合、導電体2の表面及び側面を黒化できて、更なる低反射化が期待できる。黒化層J1は、後工程で部分的に除去されてもよい。
本変形例の配線体1Bにおいては、絶縁体3とは別の絶縁体3X(樹脂層)を、絶縁体3の上に形成する場合に、絶縁体3Xの一部が溝部G1内に入り込む。結果的に、絶縁体3Xが弾かれにくくなり、また絶縁体3Xが導電体2及び絶縁体3から剥がれにくくなる。したがって、密着性の改善を図ることができるという利点がある。
さらに本変形例では、パターン版5Bにおいて、樹脂層7が設けられていない領域R100の第1幅Q1が、接着層51における母材52が収まる凹所511の第2幅Q2よりも広い。つまり、X軸方向において、樹脂層7が触媒6(母材52)から所定の距離だけ離れているため、樹脂層7が、成長工程における成長の妨げになる可能性を低減できる。そのため、成長工程におけるメッキ液が、母材52(触媒6)に接触しやすくなる。結果的に、安定した配線成長が可能となる。
(3.3)その他の変形例
変形例2において溝部G1が形成される点を説明した。基本例における配線体1も、エッチング処理を施して、例えば図11Aに示すように、溝部G1を備えてもよい。すなわち、絶縁体3は、導電体2の接触部位20の周囲に、表面30から凹んだ溝部G1を有してもよい。この場合、配線体1に、別の絶縁体3Xを形成する場合に、絶縁体3Xとの密着性の改善を図れる。この場合、凹部V1の底面が、実質的に導電体2の表面となる。導電体2は、その長手方向において、凹部V1が残存する領域と、溝部G1が部分的に形成された領域とを含んでもよい。
また変形例1において凸構造H1が設けられている点を説明した。基本例における配線体1も、例えば図11Bに示すように、導電体2の、接触部位20とは反対側において、接触部位20から離れる方向に、表面30よりも突出する凸構造H1を備えてもよい。この場合、凹部V1は、凸構造H1の端面に設けられる。この構成においても、凸構造H1の体積に応じて、電気抵抗(配線抵抗)を低くすることができる。この凹部V1内にも第2導電層22が埋め込まれてもよい。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る配線体(1)は、導電体(2)と、絶縁体(3)と、を備える。導電体(2)は、その少なくとも一部が絶縁体(3)の表面(30)において埋め込まれるように配置される。導電体(2)は、絶縁体(3)と接触する接触部位(20)とは反対側の面(202)の、中央部(200)に凹部(V1)を有する。第1の態様によれば、導電体(2)による反射光に関する改善を図ることができる。
第2の態様に係る配線体(1)に関して、第1の態様において、導電体(2)は、接触部位(20)及び凹部(V1)を有した第1導電層(21)と、凹部(V1)内に配置される第2導電層(22)と、を含む。第2の態様によれば、導電体(2)による反射光に関する改善を図りつつ、その第2導電層(22)を外部と電気的接続を行うための接続端子として機能させやすくなる。
第3の態様に係る配線体(1)に関して、第1の態様又は第2の態様において、絶縁体(3)は、導電体(2)の接触部位(20)の周囲に、表面(30)から凹んだ溝部(G1)を有する。第3の態様によれば、配線体(1)に、別の絶縁体(3X)(例えば樹脂層)を形成する場合に、絶縁体(3X)との密着性の改善を図れる。
第4の態様に係る配線体(1)は、第1の態様〜第3の態様のいずれか1つにおいて、導電体(2)における中央部(200)の周囲の領域(201)を覆うように配置される、密着性を有した密着層(Z1)を更に備える。第4の態様によれば、配線体(1)に、例えば別の絶縁体(3X)を形成する場合に、絶縁体(3X)との密着性が向上し得る。
第5の態様に係る配線体(1)は、第1の態様〜第4の態様のいずれか1つにおいて、導電体(2)の、接触部位(20)とは反対側において、接触部位(20)から離れる方向に、表面(30)よりも突出する凸構造(H1)を備える。第5の態様によれば、凸構造(H1)の体積に応じて、電気抵抗(配線抵抗)を低くすることができる。結果的に、例えば配線体(1)がタッチセンサに適用される場合、タッチセンサの大型化も図りやすくなる。
第6の態様に係る配線体(1)に関して、第1の態様〜第5の態様のいずれか1つにおいて、導電体(2)は、ニッケルを含む。第6の態様によれば、導電体(2)に関する信頼性(導電性、及び耐食性等)の向上を図れる。
第7の態様に係るタッチセンサ(A1)は、操作体(U1)のタッチを検知可能である。タッチセンサ(A1)は、第1の態様〜第6の態様のいずれか1つにおける配線体(1)を備える。導電体(2)は、タッチを検知するセンサ電極(A2)、及びセンサ電極(A2)と電気的に接続されて電気信号を外部に出力する配線(A3)のうちの、少なくとも一方を構成する。第7の態様によれば、導電体(2)による反射光に関する改善を図ることが可能な配線体(1)を備えるタッチセンサ(A1)を提供できる。
第8の態様に係る実装基板(B1)は、少なくとも1つの回路部品(B2)が実装される。実装基板(B1)は、第1の態様〜第6の態様のいずれか1つにおける配線体(1)を備える。導電体(2)は、回路部品(B2)が電気的に接続される導体パターン(B3)を構成する。第8の態様によれば、導電体(2)による反射光に関する改善を図ることが可能な配線体(1)を備える実装基板(B1)を提供できる。
第2〜第6の態様に係る構成については、配線体(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
1 配線体
2 導電体
20 接触部位
21 第1導電層
22 第2導電層
200 中央部
201 領域
202 面
3 絶縁体
30 表面
A1 タッチセンサ
A2 センサ電極
A3 配線
B1 実装基板
B2 回路部品
B3 導体パターン
G1 溝部
H1 凸構造
Z1 密着層
V1 凹部
U1 操作体

Claims (8)

  1. 導電体と、絶縁体と、
    を備え、
    前記導電体は、その少なくとも一部が前記絶縁体の表面において埋め込まれるように配置され、
    前記導電体は、前記絶縁体と接触する接触部位とは反対側の面の、中央部に凹部を有する、
    配線体。
  2. 前記導電体は、
    前記接触部位及び前記凹部を有した第1導電層と、
    前記凹部内に配置される第2導電層と、
    を含む、
    請求項1に記載の配線体。
  3. 前記絶縁体は、前記導電体の前記接触部位の周囲に、前記表面から凹んだ溝部を有する、
    請求項1又は請求項2に記載の配線体。
  4. 前記導電体における前記中央部の周囲の領域を覆うように配置される、密着性を有した密着層を更に備える、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線体。
  5. 前記導電体の、前記接触部位とは反対側において、前記接触部位から離れる方向に、前記表面よりも突出する凸構造を備える、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線体。
  6. 前記導電体は、ニッケルを含む、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線体。
  7. 操作体のタッチを検知可能なタッチセンサであって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の配線体を備え、
    前記導電体は、前記タッチを検知するセンサ電極、及び前記センサ電極と電気的に接続されて電気信号を外部に出力する配線のうちの、少なくとも一方を構成する、
    タッチセンサ。
  8. 少なくとも1つの回路部品が実装される実装基板であって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の配線体を備え、
    前記導電体は、前記回路部品が電気的に接続される導体パターンを構成する、
    実装基板。
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