JP2021110021A - 金属粉末の平均球形度を高める方法及びそのための装置 - Google Patents

金属粉末の平均球形度を高める方法及びそのための装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属粉末の球形度を高める装置内部の部品の交換頻度が従来法より少なく、また装置内部の部品の摩耗くずが発生しにくく、金属粉末の装置内部の部品への居着きも発生しにくい、金属粉末の球形度を高める方法を提供すること。【解決手段】金属粉末を、該金属粉末の構成金属の融点以上の高温流体中を通過させることによって、前記金属粉末の平均球形度を高める方法。【選択図】図1

Description

本発明は、金属粉末の平均球形度を高める方法及びそのための装置に関するものである。
金属粉末は産業において重要な素材であり、その特性に応じて電子材料、触媒、電池の活物質、工具、医薬品、宝飾品など様々な用途に使用されている。
金属粉末の製造方法としては、気相法、液相法、乾式法など各種の方法がある。金属粉末の形状は、製造方法によって、球形のものや不定形のものなど様々である。
球形から離れた形状の金属粉末に対しては、分散性や流動性の改善などのため、従来、構成粒子を球形化する処理が行われている。
その方法として、特許文献1に開示されるような、衝撃室内で、金属粒子同士や、金属粒子と衝撃室内に設けられた衝撃ピン・衝撃リングとを衝突させて球形化する方法が挙げられる。
特開平6−55053号公報
特許文献1に開示された衝撃式の球形化方法では、金属粉末が衝撃室の衝撃ピンや内壁面などに衝突し、これらから摩耗くずが生じる場合がある。金属粉末の衝突による内壁面等の摩耗については、この摩耗により衝撃室内の環境が変わり、球形化条件が変わってしまうから、内壁面等の交換を定期的に行う必要がある。摩耗により生じる摩耗くずについては、これが金属粉末中に不純物として混入してしまう。更に金属粉末が内壁面等に衝突したとき、粉末がそれらに居着いてしまうことも考えられる。この場合には、球形化処理で得られる金属粉末の収率が低下してしまうし、球形化条件も変わってしまう。更に同じ装置で異なる種類の金属粉末の球形化を実施する場合には、居着いた粉末が不純物として混入してしまう恐れもある。このため居着いた粉末の除去メンテナンスも必要である。
以上の従来技術の問題点に鑑み、本発明は、金属粉末の球形度を高める装置内部の部品の交換頻度が従来法より少なく、また装置内部の部品の摩耗くずが発生しにくく、金属粉末の装置内部の部品への居着きも発生しにくい、金属粉末の球形度を高める方法を提供することを課題とする。
上記問題を解決するため鋭意検討した結果、本発明者は、金属粉末を、その構成金属の融点以上の高温流体中を通過させる方法を採用すれば、その実施装置内部の部品の交換頻度が従来法より少なく、また装置内部の部品の摩耗くずが発生しにくく、金属粉末の装置内部の部品への居着きも発生しにくくなることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]金属粉末を、該金属粉末の構成金属の融点以上の高温流体中を通過させることによって、前記金属粉末の平均球形度を高める方法。
[2]前記高温流体は、フレーム、プラズマ及びガスからなる群より選ばれる少なくとも一種である、[1]に記載の方法。
[3]前記高温流体を通過する前の金属粉末の平均球形度が0.30〜0.80である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記高温流体を通過する前の金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が、1.5〜25μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記高温流体を通過する前の金属粉末が水アトマイズ法により製造されたものである、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記金属粉末を落下させ、落下する前記金属粉末の流れの横断面の外周側の、前記流れの中心線に対して対称な複数の位置から、前記中心線に対してそれぞれ略同じ傾斜角度で、かつ噴射された複数の高温流体が互いに衝突するように高温流体を噴射することで、前記金属粉末を、前記高温流体中を通過させる、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記金属粉末が前記高温流体中を通過するのに要する時間が、50〜300マイクロ秒である、[6]に記載の方法。
[8]金属粉末を収容し、排出口から前記金属粉末を排出して落下させるように構成された金属粉末供給手段と、落下する前記金属粉末の流れの横断面の外周側に、前記流れの中心線に対して対称位置となるように複数設置された噴射ノズルを有し、当該噴射ノズルにより、前記中心線に対して前記流れの横断面の外周側からそれぞれ略同じ傾斜角度で、かつ噴射された複数の高温流体が互いに衝突するように、前記金属粉末の構成金属の融点以上の高温流体を噴射する高温流体噴射手段と、前記金属粉末に対して不活性な液体を含み、この液体により、前記高温流体中を通過した金属粉末を回収するように構成された金属粉末回収手段とを備えた、金属粉末の平均球形度を高めるための装置。
[9]前記高温流体は、フレーム、プラズマ及びガスからなる群より選ばれる少なくとも一種である、[8]に記載の装置。
[10]前記不活性な液体が水であり、その温度が5〜60℃である、[8]又は[9]に記載の装置。
本発明によれば、金属粉末の球形度を高める装置内部の部品の交換頻度が従来法より少なく、また装置内部の部品の摩耗くずが発生しにくく、金属粉末の装置内部の部品への居着きも発生しにくい、金属粉末の平均球形度を高める方法が提供される。
本発明の金属粉末の平均球形度を高めるための装置の実施の形態の一例を示す模式図である。 本発明の金属粉末の平均球形度を高めるための装置の実施の形態における、二つの噴射ノズルの開口部の中心を通る縦割断面を模式的に示した図である。 実施例1に使用したFeSiCr合金粉末を構成する粒子と、得られた球形化FeSiCr合金粉末Sを構成する粒子の代表的なSEM像を示す図である((a)がFeSiCr合金粉末の粒子、(b)が球形化FeSiCr合金粉末Sの粒子である)。 実施例2に使用したFeSiCr合金粉末を構成する粒子と、得られた球形化FeSiCr合金粉末Tを構成する粒子の代表的なSEM像を示す図である((a)がFeSiCr合金粉末の粒子、(b)が球形化FeSiCr合金粉末Tの粒子である)。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[金属粉末の平均球形度を高める方法]
まず、本発明の金属粉末の平均球形度を高める方法について説明する。本発明では、金属粉末を、高温流体中を通過させることによって、その平均球形度を高める。
<金属粉末>
本発明の方法が対象とする金属粉末の金属種に特に限定はないが、本発明によれば平均球形度の高い金属粉末が得られるので、そのような粉末が求められる用途に使用される金属が対象として好適である。そのような金属として具体的には、元素周期表第2族から第15族の元素のうちの1種以上が挙げられ、本発明の方法が好適に適用できる観点から、好ましくはAu、Ag、Cu、Pd、Ni、Co、Al、Si、P、B、Ti、Cr、Fe、Zn、In、Sn、Te、Bi、Mg、Mnのうちの1種以上が挙げられる。これらの金属を単独で使用して金属粉末としてもよいし、複数を使用して合金粉末としてもよい。さらに、1種又は複数の金属をメインとしてこれに他の金属を微量添加して、得られる金属(合金)粉末に所望の特性を付与してもよい。
本発明により平均球形度が高められる前、すなわち高温流体を通過する前の金属粉末の形状及び平均球形度は特に制限されるものではないが、本発明が好適に効果を奏する観点から、平均球形度が0.30〜0.80であることが好ましい。水アトマイズ法(溶湯に水を吹き付けて粉砕、凝固することで金属粉末を得る方法)で製造される金属粉末は、一般に平均球形度が0.80以下であり、本発明により平均球形度を大きく高めることができるので、本発明の適用対象として好適である。
また、この金属粉末のサイズについて、高温流体による加熱により粒子表面が溶融して平均球形度が高まりやすいことや、近年の電子材料用途における金属粉末の微細化のニーズにこたえる観点から、金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)は、1.0〜40μmであることが好ましく、1.5〜25μmであることがより好ましい。
<高温流体中の通過>
本発明の方法においては、以上説明した金属粉末を、高温流体中を通過させる。これにより金属粉末の粒子表面が加熱、溶融され、表面張力によって球形に近い形状に変化する。結果として平均球形度が高まった金属粉末が得られる。この方式なら、金属粉末を装置内部の部品に衝突させる必要が無いので、金属粉末の平均球形度を高める装置の部品の摩耗くずが発生しにくくなり、前記部品の交換頻度を下げることができる。更に、前記部品への金属粉末の居着きも発生しにくくなる。
なお本明細書において「平均球形度」は、金属粉末を走査型電子顕微鏡により適切な拡大倍率で観察して、顕微鏡像の視野上で任意に、その形状の全体が確認できる粒子40個を選び、各粒子の球形度を求めたときの、それらの平均値とする。前記球形度は以下の式で求められる。
球形度=4π×A÷L
π:円周率
A:視野における粒子の平面形状の面積
L:視野における粒子の平面形状の周囲長
粒子の面積A及び周囲長Lは、専用の画像解析ソフトウェアによって求めることができる。
本発明において使用する高温流体は、金属粉末の粒子表面を加熱溶融させることができる程度に高温であり、具体的には金属粉末の構成金属の融点以上の温度である。金属粉末が合金粉末である場合には、その合金の融点以上の温度である。
本発明に使用できる高温流体の種類は特に制限されないが、平均球形度を高める観点から、フレーム、プラズマ、及びガスが好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし2種以上をあわせて使用してもよい。また、これらを複数段階で噴射することによって、金属粉末の平均球形度を複数回高めてもよい。コストの観点からは、高温流体として、フレームが特に好ましい。
高温流体の温度は、金属粉末の平均球形度を高める観点と、コストの観点から、金属粉末の構成金属の融点に対して50〜2500℃高い温度が好ましく、500〜1500℃高い温度がより好ましい。
高温流体の噴射速度は、金属粉末の平均球形度を高め、一方粒子同士の凝結を防止する観点から、200〜2000m/sであることが好ましく、450〜900m/sであることがより好ましい。
なお、本発明においては、高温流体がフレームである場合、フレーム形成ガスの噴射速度がフレームの噴射速度であるとみなす。フレーム形成ガスは、燃料ガスと酸素ガスの混合ガスである。燃料ガスとしては従来燃焼に使用されているガスが特に制限なく使用可能であるが、その例としては、アセチレン、プロパン、エチレン及びメタンが挙げられる。これらの中でもコストの点からプロパンが好ましい。更に圧縮空気を、燃料ガスや酸素ガスと同じ噴射方向でフレーム形成ガス中に混合することで、フレーム形成ガスの噴射速度を高めてもよい。フレーム形成ガスにおける酸素ガスの割合について、金属粉末の酸化を防止する観点から、燃料ガスとの理論的燃焼割合よりも酸素ガスの割合を少なくすることが好ましい。なお圧縮空気を併用する場合には、圧縮空気中の酸素を前記酸素ガスの量に含めて、酸素ガスの量が理論的燃焼割合よりも少なくなるようにする。
本発明の方法においては、設備コストや本発明の課題解決の観点から、金属粉末を落下させ、これに対して、その周囲から対称に高温流体を噴射することが好ましい。より具体的には、落下する金属粉末の(例えば円柱状の)流れの(例えば円形の)横断面の外周側の、金属粉末の流れの中心線に対して対称な複数の位置から、前記中心線に対してそれぞれ略同じ傾斜角度で、かつ噴射された複数の高温流体が互いに衝突するように高温流体を噴射する。なお中心線とは、落下する金属粉末の流れの、流れ方向における中心を通る直線を意味する。
この構成において、落下する金属粉末の流れ、すなわち鉛直方向と、高温流体とがなす角度は、金属粉末の粒子同士が衝突して凝結することを回避する観点から、15〜30°であることが好ましく、20〜25°であることがより好ましい。
以上説明した構成において、金属粉末が高温流体中を通過するのに要する時間(高温流体を複数段階で噴射する場合には、それぞれの高温流体を通過するのに要する時間)は特に制限されるものではないが、金属粉末の平均球形度を高め、一方粒子の凝結を防止する観点から、25〜1000マイクロ秒であることが好ましく、50〜300マイクロ秒であることがより好ましい。例えば高温流体の噴射速度を調節することで、金属粉末が高温流体中を通過するのに要する時間(通過所要時間)を前記の範囲に調節することができる。
なお通過所要時間を実測することは非常に困難であり、本発明においては、高温流体の鉛直方向の長さを、高温流体の噴射速度で割ることで求められるものとする。前記「高温流体の鉛直方向の長さ」については、後述の本発明の[金属粉末の平均球形度を高めるための装置]の項において説明する。
本発明の方法において、金属粉末は高温流体中を通過すると高温になっており、酸化しやすい。この酸化を防止するため、金属粉末が高温流体を通過した直後から回収されるまでの空間の雰囲気は非酸化性雰囲気とすることが好ましい。前記非酸化性雰囲気としては、窒素、アルゴン及びネオンなどの不活性雰囲気、水素及び一酸化炭素などの還元性雰囲気が挙げられる。
<金属粉末の回収>
高温流体中を通過した金属粉末は、特にその粒子径が小さい場合には、非常に高温になっている場合がある。このような高温状態で落下してくる金属粉末の装置内部への居着きを確実に防止するために、この金属粉末を、当該粉末に対して不活性な液体(不活性液体)で受けて冷却しつつ回収することが好ましい。当該液体は、幅広い金属に対して不活性であること及びコストの観点から水であることが好ましく、高温の金属粉末を十分に冷却するため、その温度は常温付近(例えば5〜60℃)であることが好ましい。
<その他>
平均球形度が高められた金属粉末を不活性液体中に回収した場合には、得られたスラリーを濾過して金属粉末を回収し、さらにこれを水洗、乾燥、解砕、分級等してもよい。平均球形度が高められた金属粉末を不活性液体中に回収せず、乾燥状態で回収した場合には、金属粉末に対して解砕や分級等を実施してもよい。
<本発明の方法の効果>
以上説明した本発明の方法によれば、金属粉末の平均球形度を、例えば0.06〜0.25程度高めることができる。
[金属粉末の平均球形度を高めるための装置]
次に、本発明の金属粉末の平均球形度を高める方法の実施に好適な装置について、図1を参照しながら説明する。図1は、前記装置の実施の形態の一例を示す模式図である。この装置10は、金属粉末供給手段14、高温流体噴射手段18及び金属粉末回収手段24を備えている。
<金属粉末供給手段>
金属粉末供給手段14は、本発明の金属粉末の平均球形度を高める方法における原料である金属粉末を収容する収容部と、この収容部と連通し、前記金属粉末を排出して落下させる排出口16とを備えている。金属粉末供給手段14は、金属粉末の排出速度を調節できるように構成されていることが好ましい。
<高温流体噴射手段>
高温流体噴射手段18は、金属粉末供給手段14により供給され、落下している金属粉末12に対して高温流体22を噴射して、金属粉末12がこの高温流体22中を通過するようにさせることで、金属粉末12の平均球形度を高める。
高温流体噴射手段18は通常は金属粉末供給手段14の排出口16より下方に設けられ、金属粉末12に対して対称に高温流体22を噴射する複数の噴射ノズル20を有している。すなわち、落下する金属粉末12の流れの横断面の外周側に、前記流れの中心線に対して対称位置となるように噴射ノズル20が複数設置されている。
この噴射ノズル20から、前記中心線に対して金属粉末12の流れの横断面の外周側からそれぞれ略同じ傾斜角度で高温流体22が噴射される。しかも、噴射された複数の高温流体22が互いに衝突するように高温流体22を噴射できるように噴射ノズル20が構成されている。高温流体22が互いに衝突するように噴射することで、落下する金属粉末12が確実に高温流体22中を通過し、確実な平均球形度の上昇が図られる。
なお、本発明の方法において言及した、金属粉末の高温流体中の通過所要時間を求める際に利用する「高温流体の鉛直方向の長さ」について説明する。図2は、以上説明した構成における、二つの噴射ノズル20の開口部32の中心を通る縦割断面を模式的に示したものである。高温流体22が互いに衝突した以降の下部の表示は省略している。開口部32から高温流体22が噴射されるが、この高温流体22が開口部32(の内径)と同じ大きさで直線状に噴射されたと仮定する。この場合の開口部32の中心を通る水平な直線Pと、二つの、高温流体22の厚み方向の中心を通る直線34同士の交点を通る水平な直線Qとの間の距離を、高温流体の鉛直方向の長さXとする。高温流体22が互いに衝突した後の部分では、金属粉末が高温流体22の外部に放出されている可能性があるので、高温流体22の内部にあり金属粉末が確実に加熱、溶融されていると考えられている部分を重視したものである。
なお、例えば高温流体22がフレームである場合には、噴射ノズル20からフレーム形成ガス(燃料ガス及び酸素ガスの混合ガス、更に必要に応じてこれに圧縮空気を混合したガス)が噴射され、このフレーム形成ガスに着火する。
また、高温流体22が噴射される傾斜角度に関して、鉛直方向と高温流体22とがなす角度は、本発明の方法において説明した通り、15〜30°であることが好ましく、20〜25°であることがより好ましい。鉛直方向と高温流体22とがなす角度がこのような角度となるように調整できるように、噴射ノズル20が構成されていることが好ましい。
また金属粉末の平均球形度を高めるための装置10は、金属粉末12が高温流体22中を通過した後において、金属粉末が酸化することを防止するため、高温流体22を通過してから回収されるまでに金属粉末が通過する空間を非酸化性雰囲気とすることができるように、非酸化性ガス噴射手段を備えていることが好ましい。なお例えば高温流体22がフレームである場合に、フレーム形成ガスにおける圧縮空気の代わりに窒素ガスなどの非酸化性ガスを使えば、前記空間を非酸化性雰囲気とすることができる(この場合は、噴射ノズル20が非酸化性ガス噴射手段を兼ねている)。
<金属粉末回収手段>
高温流体22中を通過し、平均球形度が高められた金属粉末を、金属粉末回収手段24により回収する。金属粉末回収手段24は高温流体噴射手段18の下方に設けられ、金属粉末を収容することのできる収容部26を有している。この収容部26は好ましくは金属粉末に対して不活性な液体を含んでおり、この不活性液体中に金属粉末を回収することで、粉末の冷却を同時に実施することができる。なお、金属粉末回収手段24には、金属粉末だけでなく高温流体22(代表的には気体)が流れ込んでくるため、排気口を設けて排気して、金属粉末回収手段24内の気圧を一定に保つことが好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
図1に模式図を示した金属粉末の平均球形度を高めるための装置10を用い、水アトマイズ法により製造されたFeSiCr合金粉末の平均球形度を高めた。この装置10は、本発明の方法の好ましい実施の形態である、落下する金属粉末の流れの横断面の外周側の、金属粉末の流れの中心線に対して対称な複数の位置から、前記中心線に対してそれぞれ略同じ傾斜角度で、かつ噴射された複数の高温流体が互いに衝突するように高温流体を噴射する構成のものである。また、前記FeSiCr合金粉末(平均球形度を高める前)の諸物性は下記表1の通りである。
Figure 2021110021
諸物性の測定方法は以下のとおりである。
<Fe量>
Feは、滴定法により、JIS M8263(クロム鉱石−鉄定量方法)に準拠して、以下のように分析を行った。まず、試料(FeSiCr合金粉末)0.1gに硫酸と塩酸を加えて加熱分解し、硫酸の白煙が発生するまで加熱した。放冷後、水と塩酸を加えて加温して可溶性塩類を溶解させた。そして、得られた試料溶液に温水を加えて液量を120〜130mL程度にし、液温を90〜95℃程度にしてからインジゴカルミン溶液を数滴加え、塩化チタン(III)溶液を試料溶液の色が黄緑から青、次いで無色透明になるまで加えた。引き続き試料溶液が青色の状態を5秒間保持するまで二クロム酸カリウム溶液を加えた。この試料溶液中の鉄(II)を、自動滴定装置を用いて二クロム酸カリウム標準溶液で滴定し、Fe量を求めた。
<Si量>
Siは、重量法により、以下のように分析を行った。まず、試料(FeSiCr合金粉末)に塩酸と過塩素酸を加えて加熱分解し、過塩素酸の白煙が発生するまで加熱した。引き続き加熱して乾固させた。放冷後、水と塩酸を加えて加温して可溶性塩類を溶解させた。続いて、不溶解残渣を、ろ紙を用いてろ過し、残渣をろ紙ごとるつぼに移し、乾燥、灰化させた。放冷後、るつぼごと秤量した。少量の硫酸とフッ化水素酸を加え、加熱して乾固させた後、強熱した。放冷後、るつぼごと秤量した。そして、1回目の秤量値から2回目の秤量値を差し引き、重量差をSiOとして計算してSi量を求めた。
<Cr量>
Crは、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製のSPS3520V)を用いて、分析を行った。
<酸素含有量(O)>
酸素含有量は、酸素・窒素・水素分析装置(株式会社堀場製作所製のEMGA−920)により測定した。
<粒度分布>
粒度分布については、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の分散モジュール)))を使用して、分散圧5barで体積基準の粒度分布を求めた。
<融点>
FeSiCr合金粉末を1700℃に加熱して合金溶湯とし、これを空冷し、溶湯が固まり始めたときの温度を融点として求めた。
<平均球形度>
FeSiCr合金粉末を走査型電子顕微鏡により倍率1000倍で観察して、顕微鏡像の視野上で任意に、その形状の全体が確認できる粒子40個を選び、各粒子の球形度を求めたときの、それらの平均値を平均球形度とした。前記球形度は以下の式で求められる。
球形度=4π×A÷L
π:円周率
A:視野における粒子の平面形状の面積
L:視野における粒子の平面形状の周囲長
粒子の面積A及び周囲長Lは、専用の画像解析ソフトウェア(MOUNTECH製画像解析式粒度分布測定ソフトウェア マックビュー バージョン4)によって求めた。
FeSiCr合金粉末をスクリューフィーダー14で100g/分の条件で排出・落下させ、落下している合金粉末12に対して、対称に配置された複数の噴射ノズル20からフレーム22を噴射し(フレーム22はその先端部分より前の部分で互いに衝突した)、合金粉末12がフレーム22中を通過するようにさせた。フレーム22の条件等は以下の通りである。
温度:2146℃(光ファイバー式温度計で実測)
噴射速度:628m/s
フレーム22の形成ガスの内訳:プロパン(92m/s)、酸素(55m/s)、圧縮空気(481m/s)
鉛直方向の長さ:82.42mm
合金粉末12の粒子がフレーム22中を通過するのに要する時間:131μs
フレーム22と鉛直方向のなす角度:20°
フレーム中を通過させたFeSiCr合金粉末は、金属粉末回収手段24の収容部26にためた水(常温)で受けて回収した。これ(スラリー)を金属粉末回収手段24の下部から抜き出し、固液分離し、70℃で15時間真空乾燥した。
以上のようにして得られた球形化FeSiCr合金粉末Sの平均球形度を、上記と同様の方法で評価した。その結果、球形化FeSiCr合金粉末Sの平均球形度は0.83だった。また酸素含有量は2.89質量%だった。
FeSiCr合金粉末を構成する粒子と、球形化FeSiCr合金粉末Sを構成する粒子の代表的なSEM像を図3に示す((a)がFeSiCr合金粉末の粒子、(b)が球形化FeSiCr合金粉末Sの粒子である)。
[実施例2]
圧縮空気を窒素ガスに変更することでフレーム22の下部の空間(金属粉末回収手段24の気体部分)を窒素雰囲気(酸素濃度計の表示で0ppm)とし、フレーム22の条件等を以下の通りとしたほかは実施例1と同様にして、上記FeSiCr合金粉末を、フレーム22中を通過させ、そして固液分離及び真空乾燥を実施した。
温度:2146℃(光ファイバー式温度計で実測)
噴射速度:677m/s
フレーム22の形成ガスの内訳:プロパン(92m/s)、酸素(55m/s)、窒素(530m/s)
鉛直方向の長さ:82.42mm
合金粉末12の粒子がフレーム22中を通過するのに要する時間:122μs
フレーム22と鉛直方向のなす角度:20°
得られた球形化FeSiCr合金粉末Tの平均球形度と酸素含有量を、上記と同様の方法で測定した。その結果平均球形度は0.81であり、酸素含有量は0.773質量%だった。
FeSiCr合金粉末を構成する粒子と、球形化FeSiCr合金粉末Tを構成する粒子の代表的なSEM像を図4に示す((a)がFeSiCr合金粉末の粒子、(b)が球形化FeSiCr合金粉末Tの粒子である)。
10 金属粉末の平均球形度を高めるための装置
12 金属粉末
14 金属粉末供給手段
16 排出口
18 高温流体噴射手段
20 噴射ノズル
22 高温流体
24 金属粉末回収手段
26 収容部
32 噴射ノズルの開口部
34 高温流体の厚み方向の中心を通る直線

Claims (10)

  1. 金属粉末を、該金属粉末の構成金属の融点以上の高温流体中を通過させることによって、前記金属粉末の平均球形度を高める方法。
  2. 前記高温流体は、フレーム、プラズマ及びガスからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記高温流体を通過する前の金属粉末の平均球形度が0.30〜0.80である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記高温流体を通過する前の金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が、1.5〜25μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記高温流体を通過する前の金属粉末が水アトマイズ法により製造されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記金属粉末を落下させ、
    落下する前記金属粉末の流れの横断面の外周側の、前記流れの中心線に対して対称な複数の位置から、前記中心線に対してそれぞれ略同じ傾斜角度で、かつ噴射された複数の高温流体が互いに衝突するように高温流体を噴射することで、
    前記金属粉末を、前記高温流体中を通過させる、
    請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記金属粉末が前記高温流体中を通過するのに要する時間が、50〜300マイクロ秒である、請求項6に記載の方法。
  8. 金属粉末を収容し、排出口から前記金属粉末を排出して落下させるように構成された金属粉末供給手段と、
    落下する前記金属粉末の流れの横断面の外周側に、前記流れの中心線に対して対称位置となるように複数設置された噴射ノズルを有し、当該噴射ノズルにより、前記中心線に対して前記流れの横断面の外周側からそれぞれ略同じ傾斜角度で、かつ噴射された複数の高温流体が互いに衝突するように、前記金属粉末の構成金属の融点以上の高温流体を噴射する高温流体噴射手段と、
    前記金属粉末に対して不活性な液体を含み、この液体により、前記高温流体中を通過した金属粉末を回収するように構成された金属粉末回収手段と
    を備えた、金属粉末の平均球形度を高めるための装置。
  9. 前記高温流体は、フレーム、プラズマ及びガスからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項8に記載の装置。
  10. 前記不活性な液体が水であり、その温度が5〜60℃である、請求項8又は9に記載の装置。

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