JP2021109194A - 離型剤塗布方法 - Google Patents

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正志 中橋
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正志 中橋
圭 倉田
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【課題】取り扱い性及び作業性が良好で、短時間にムラなく金型内の所望の箇所に離型剤の塗布が可能な離型剤塗布方法の提供。【解決手段】金型内に離型剤を塗布する方法であって、固形の離型剤を気化させる工程と、気化した前記離型剤を減圧した金型内に給湯道を介して供給する工程と、を有することを特徴とする離型剤塗布方法。【選択図】図2

Description

本発明は、金型への離型剤塗布方法に関する。
従来、ダイカスト鋳造等に用いる金型への離型剤塗布は、金型を開いた状態で、金型外部に別途設置された噴射装置から液状の離型剤を金型内部にスプレー塗布することにより行われていた。しかしながら、この方法では、別途、噴射装置を設置する必要があり、コストがかかってしまう。また、金型を開いた状態で離型剤を塗布するため、本来離型剤を塗布すべき箇所以外の部分に離型剤が付着する場合があり、さらに、金型の形状によっては塗布に時間を要する場合があった。
このため、特許文献1では、金型を型締めした状態で金型内部を減圧し、溶湯を供給する給湯道を介して金型キャビティに粉体状の離型剤を供給する離型剤塗布方法が開示されている。
特公平7−63830号公報
特許文献1に記載の方法では、粉体状の離型剤を用いるため取り扱いが難しく、給湯道を介して金型内へ離型剤を供給する際に、手間がかかり時間を要してしまう場合があった。また、粉体状の離型剤を金型キャビティ内に塗布するため、離型剤の付着ムラが生じることがあり、金型からの鋳物製品の取り出しの際に、製品不良や金型の摩耗等が生じる場合があった。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、取り扱い性及び作業性が良好で、短時間にムラなく金型内の所望の箇所に離型剤の塗布が可能な離型剤塗布方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一態様は、金型内に離型剤を塗布する方法であって、固形の離型剤を気化させる工程と、気化した前記離型剤を減圧した金型内に給湯道を介して供給する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る離型剤塗布方法では、ある程度の大きさをもった固形の離型剤を用いるため、粉体状の離型剤と比較して取り扱い性及び作業性が良好となる。また、金型内に気化した離型剤を供給するため、従来の液状の離型剤をスプレー塗布した場合や、粉体状の離型剤を塗布した場合と比較して、金型の隅々まで付着ムラなく離型剤を所望の位置に容易に塗布することが可能である。さらに、本発明に係る離型剤塗布方法は、金型内を減圧して揮発した離型剤を付着させるため、金型形状等に応じて作業時間が長期化するスプレー塗布等の従来の方法と比較して、その塗布時間を飛躍的に短縮することができる。
本発明によれば、取り扱い性及び作業性が良好で、短時間にムラなく金型内の所望の箇所に離型剤の塗布が可能な離型剤塗布方法を提供することができる。
従来の離型剤塗布方法を用いた鋳物の製造方法を説明するための図である。 本発明の離型剤塗布方法の一実施形態を用いた鋳物の製造方法を説明するための図である。 液状の潤滑材を用いたピストン潤滑方法を説明するための図である。 固形の離型剤を用いたピストン潤滑方法を説明するための図である。
従来の離型剤塗布方法を用いた鋳物の製造方法は、例えば、図1に示すように、以下の製造手順を有するものであった。すなわち、図1(a)〜(c)に示すように、金型1内に供給した溶湯を凝固させ、鋳物2を作製し、続いて、金型1を開き、取り出し装置3により鋳物2を金型1から取り出す。次に、図1(d)〜(g)に示すように、別途設置された噴射装置4、具体的には、スプレーカセットに装着されたスプレーノズルによって、液状の離型剤を開いた状態の金型1内にスプレー塗布し、この液状の離型剤を金型内に密着させる。そして、金型内表面に付着離型剤5が付与された状態で、金型1の型締めを行い、溶湯2aを、溶湯を供給するための給湯道1aを介して、金型1内、より具体的には金型キャビティに充填する。なお、図1(f)及び(g)などでは、付着離型剤5の記載が省略されている。この一連の操作を繰り返すことにより、所望の鋳物製品を連続して製造することができる。
しかしながら、上述したように、従来の離型剤塗布方法を用いた場合、噴射装置等の余分な設備が必要となり、金型の裏側等、離型剤が塗布しにくい場所にスプレー塗布が必要な場合には、塗布時間が長期化する傾向があった。具体的には、上記図1(a)〜(g)に示す生産時間(例えば、全体で78秒)の約40%(例えば、30秒)の時間を、図1(d)に示すスプレー塗布操作が占めることもあった。
さらに、特許文献1に記載の方法のように、粉体状の離型剤を真空にした金型内に給湯道を介して供給した場合は、上述したように、離型剤の供給に時間を要する場合があり、金型内への付着ムラが発生する場合があった。
また、上述した従来の方法では、離型剤を金型内の隅々まで塗布するために、別途、設置した装置(例えば、6軸ロボット+1軸)を用いる必要が生じ、離型剤の付着が必要な箇所の近傍に、当該装置を配置するため、相応の時間を要する場合があった。
一方、本実施形態に係る離型剤塗布方法(以下、本塗布方法ともいう)を用いた鋳物の製造方法は、例えば、図2に示すように、以下の製造手順を有することができる。すなわち、図2(a)〜(c)に示すように、従来と同様の手順で、金型1内で溶湯を凝固させ鋳物2を作製し、金型1を開いた後、鋳物2を取り出し装置3等を用いて金型1から取り出す。そして、図2(d)に示すように、この時点で、型締めを行い、閉じた状態の金型1の隙間、例えば、押出ピン、入れ子、中子、金型キャビティ等の隙間から排気し、金型内の減圧を行う。そして、図2(e)及び(f)に示すように、固形の離型剤を揮発させガス化させた気化成分、すなわち、気化した離型剤6を、減圧下の金型内に給湯道を介して供給することにより、金型1内表面に付着離型剤7を付与する。続いて、図2(g)に示すように、給湯道1aを介して溶湯2aを金型1内に充填する。この一連の操作を繰り返すことにより、所望の鋳物製品を連続して製造することができる。
このように、本塗布方法を用いた鋳物の製造方法では、型締めした状態で気化した離型剤を金型内表面に付着させるため、上述した従来の方法と比較して、不要な箇所に離型剤を付与することなく、金型内の隅々まで付着ムラなく離型剤を塗布することができる。これにより、鋳物の製造の際に、製品不良や金型の摩耗等を回避することができる。さらに、本塗布方法を用いた鋳物の製造方法では、上述した従来の方法と比較して、離型剤の塗布時間を短縮することができる。具体的には、図2(e)に示す離型剤注入操作を例えば5秒で行うことができ、図2(a)〜(g)に示す生産時間を例えば全体で53秒とすることができる。従って、例えば、図1に示す従来の方法と比較して生産性を33%向上させることができる。さらに、気化した離型剤の供給に、ダイカストの射出装置を用いることにより、既存の装置を使用することができ、別途装置を設置する必要がなく、コスト面でも優れている。
なお、図1及び図2はそれぞれ、従来の離型剤塗布方法及び本塗布方法を用いた鋳物の製造方法を説明するための図である。
<離型剤塗布方法>
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。ただし、本発明がこれらの実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、本明細書の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
本塗布方法は、ダイカスト鋳造(例えば、アルミダイカスト)などの金型内に離型剤を塗布する方法であって、以下の工程を有する。
・固形の離型剤を気化させる工程(気化工程)。
・気化した前記離型剤を減圧した金型内に給湯道を介して供給する工程(気化離型剤供給工程)。
なお、本塗布方法は、ダイカスト(DC)の射出装置を用いて、固形の離型剤を気化させ、気化した離型剤(気化成分)を金型内、より詳しくは金型キャビティ内に供給することができる。従って、本塗布方法は、固形の離型剤をスリーブに供給する工程(固形離型剤供給工程)を有することもできる。
なお、本塗布方法は、上記ダイカストの射出装置以外の他の装置を別途設置して、この他の装置を介して、固形の離型剤を気化させ、この気化させた離型剤を金型内に供給してもよい。しかし、新たな装置を使用せずに、コストを低く抑えられるため、既存の射出装置を使用することが好ましい。以下に、これらの工程について詳しく説明する。なお、以下の説明では、固形離型剤をダイカストの射出装置を用いて金型内に導入する実施形態に着目した説明を行うが、上述したように、本発明は、この実施形態に限定されない。
まず、図4に示すように、固形の離型剤13をダイカスト鋳造に用いる射出装置のスリーブ8に、離型剤用ラドル11等を用いて供給する(固形離型剤供給工程)。続いて、スリーブ8内に供給された固形の離型剤13をスリーブ内の雰囲気温度で気化させる(気化工程)。この際、スリーブ内の雰囲気温度は、溶湯温度により構成されることができ、用いる溶湯、例えばアルミニウム合金等の溶湯の温度に応じて適宜変更することができ、例えば、250℃とすることができる。その際、スリーブ内の雰囲気温度は、使用する固形の離型剤の気化温度よりも高く設定するようにする。なお、図4に示すように、固形の離型剤13と溶湯2aは、並行して(例えば、同時に)、スリーブ8内に給湯口を介して供給されてもよいし、別々に供給されてもよく、その供給タイミングは、本実施形態の効果が得られる範囲で適宜設定できる。さらに、別途、固形の離型剤を気化させるための加熱手段を用いてもよい。その際の加熱温度は、使用する固形の離型剤の気化温度に応じて適宜設定することができる。
用いる固形の離型剤の形状(サイズ)は、固体であれば特に限定されないが、取り扱い性の観点から、粉よりもある程度の大きさ(体積)を持った固形物を用いることが好ましい。具体的には、固形の離型剤の平均サイズ(平均粒子径)は、1.2mm以上、1.5mm以下とすることが好ましい。この平均サイズは、粒度測定用のふるいにより測定することができる。また、固形の離型剤としては、例えば、高分子網目型シリコーンをWAX材(鉱物油脂)で焼成した固形物を用いることができる。
スリーブ内に供給する固形離型剤の量は適宜設定できるが、気化した際に、金型内の所望箇所、すなわち、鋳造の際に、溶湯が接触する金型内の箇所全体に、離型剤を付着できる量とする。
ダイカスト鋳造用射出装置としては、従来公知のものを適宜使用することができ、特に限定されない。当該射出装置は、例えば、図3に示すように、円筒状のスリーブ8に溶湯2aを、ラドル10等を用いて供給した後、ピストン9(チップ)がスリーブ8内を前進することにより、当該溶湯を金型1の空洞部、すなわち金型キャビティ1b内に射出する。
このように、射出装置ではピストン9をスリーブ8内に前後に可動する操作を繰り返し行うことから、従来は、図3に示すように、液状の潤滑剤12を別途ピストン9側に例えば5ml滴下する操作を行い、ピストンの潤滑性を確保していた。
一方、本塗布方法では、溶湯温度によって、固形の離型剤13を気化させることができるため、図4に示すように、スリーブ8内のこの気化した離型剤6を含む雰囲気によって、別途、液状の潤滑剤を塗布しなくても、ピストン9の潤滑性を確保することができる。なお、図3及び図4はそれぞれ、液状の潤滑材及び固形の離型剤を用いた場合のピストン潤滑方法を説明するための図である。
離型剤用ラドル11及び溶湯用ラドル10は、特に限定されず、それぞれ固形の離型剤13及び溶湯2aを射出スリーブ内に供給できるものであれば従来公知のものを適宜使用できる。
続いて、気化した離型剤6を、図2(e)に示すように、減圧した金型1内に給湯道1aを介して供給する(気化離型剤供給工程)。そして、図2(f)に示すように、金型内に充満された離型剤の気化成分は、溶湯接触面に衝突して、金型キャビティ内に付着する。なお、付着せずに、金型内を浮遊している気化成分は、不図示の排気口から真空引きにより排出することができる。
本塗布方法に用いる金型は特に限定されず、製造する鋳物製品に応じて、適宜設定することができる。例えば、当該金型は、中子、押出ピン、入れ子等の構造を適宜有していてもよい。
離型剤の付着を促進するための金型内、具体的には、金型キャビティ内の減圧方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、特許文献1に記載の減圧方法を用いてもよいし、中子、押出ピン及び入れ子等の隙間から排気して金型内の減圧を行い、離型剤の付着効率を向上させてもよい。減圧操作に用いる減圧装置(例えば、真空ポンプ等)も従来公知のものを適宜使用できる。また、金型内の減圧度(真空度)は、適宜設定でき、特に限定されないが、給湯道を介して供給された気化した離型剤が金型内表面に付着できる程度の減圧度に設定する。さらに、固形の離型剤を気化させてから、減圧下の金型内へ供給する(吸い込む)までの時間は、本発明の効果を得られる範囲で、適宜設定でき、特に限定されない。
給湯道は、鋳物を鋳造する際に、溶湯を金型内に供給する際の通路であり、本塗布方法では、その通路を介して、固形の離型剤の気化成分を金型内に充填させる。その際、ダイカスト鋳造用射出装置を用いて、固形の離型剤の気化及び供給を行うことができるため、別途、新たな装置を使用せずに、離型剤の塗布を行うことができる。従って、本塗布方法は、コスト面においても優れたものである。
<鋳物の製造方法>
上述した本塗布方法を用いた鋳物の製造方法は、以下の工程を有することができ、これらの工程を繰り返し行うことで、連続して鋳物製品を製造することができる。
・金型1内に供給した溶湯2aを凝固させる工程(凝固工程)。
・金型1を開く工程(型開き工程)。
・金型1から鋳物2を取り出す工程(取り出し工程)。
・金型1を型締めする工程(型締め工程)。
・固形の離型剤を気化させる工程(気化工程)
・気化した離型剤を減圧した金型1内に給湯道1aを介して供給する工程(気化離型剤供給工程)。
・金型1内に給湯道1aを介して溶湯2aを充填する工程(充填工程)。
また、当該鋳物の製造方法は、以下の工程を有することもできる。
・固形の離型剤をスリーブに供給する工程(固形離型剤供給工程)。
・得られた鋳物を加工する工程(加工工程)。
さらに、上記気化離型剤供給工程は、気化した離型剤を金型1内に密着させる工程(成分密着工程)を有することもできる。
これらの各工程の順序は特に限定されず、順次行われてもよいし、複数の工程が並行して行われていてもよい。上記気化工程、気化離型剤供給工程及び固形離型剤供給工程は、上述した通りである。また、他の工程も、例えば、ダイカスト鋳造における従来公知の方法を適宜用いることができ、特に限定されない。例えば、従来公知のダイカスト鋳造装置を用いて行うことができる。さらに、得られた鋳物は、適宜、追加の加工を行うことができ、例えば、不要部分(堰やオーバーフロー)を除去する操作や追加の機械加工等を行ってもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る発明により、取り扱い性及び作業性が良好で、短時間にムラなく効率的に金型内の所望の箇所に離型剤の塗布が可能な離型剤塗布方法を提供することができる。これにより、例えば、ダイカスト鋳造時に、金型から、鋳物製品の取り出しを容易に行うことができる。また、本発明は、車両用製造部品など様々な鋳物製品を製造する際に使用でき、その使用用途は特に限定されない。
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 金型
1a 給湯道
1b 金型キャビティ
2 鋳物
2a 溶湯
3 取り出し装置
4 噴射装置
5、7 付着離型剤
6 気化した離型剤
8 スリーブ
9 ピストン
10 ラドル
11 離型剤用ラドル
12 液状の潤滑剤
13 固形の離型剤

Claims (1)

  1. 金型内に離型剤を塗布する方法であって、
    固形の離型剤を気化させる工程と、
    気化した前記離型剤を減圧した金型内に給湯道を介して供給する工程と、
    を有することを特徴とする離型剤塗布方法。
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