以下、実施例、比較例、及び、図等を用い、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
第一に、結合剤の種類及びその添加方法の影響を具体的に示すために、実施例1〜10、並びに、比較例1〜4の実験を行った。
≪実施例1≫
第1の結合剤であるメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)と第2の結合剤であるグルコマンナンとを段階的に混合する図9に示す方法により、被加熱芳香発生基材を製造した。清涼化剤としてのキシリトールは、第1の混合工程で投入した。そのために、キシリトール水溶液は、
キシリトール 100質量部
水 400質量部
を混合、撹拌して製造した。
一方、芳香源材である紅茶の葉及びあまちゃづるの葉は、水分量が約2質量%となるように、70℃で乾燥した後、粉砕し、80メッシュの篩を通過したものを用いた。乾燥温度は、60℃以上80℃以下の範囲であることが好ましい。この温度範囲であれば、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させることが容易である。更に、65℃以上75℃以下であることがより好ましい。また、第1の混合工程における分散を行い易くするためには、乾燥粉砕物が水分を吸収する必要があり、その水分量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であるとより好ましく、0.1質量%以上であるとより更に好ましい。
図9に示す第1の混合工程では、
紅茶の葉の乾燥粉砕物 80質量部
あまちゃづるの葉の乾燥粉砕物 20質量部
グリセリン 30質量部
プロピレングリコール 30質量部
メチルセルロース 15質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC) 4質量部
キシリトール/水溶液 8質量部
を混合機に投入し、15分間混合を行い、第1の混合物を製造した。
この第1の混合物は、第2の結合剤と混合する第2の混合工程とシート状被加熱芳香発生基材に成形加工する第1の成形工程を兼ねる混合成形工程に投入された。この混合成形工程では、第1の混合物100質量部に第2の結合剤であるグルコマンナン0.5質量部及び水20質量部を添加しながら、ドクターブレードをロールに押し当てシート状に成形する3本ロールミルを繰り返し、被加熱芳香発生基材の組成物である第2の混合物が製造されると共に、シート状被加熱芳香発生基材に成形される。実施例1では、この混合成形工程において、水分が適度に蒸発し、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材に成形されるように、ロール間隔及びロール間速度比等を調整した3本ロールミルが8回繰り返された。なお、この混合成形工程は、図8に示す製造方法における、第2の混合工程(第1の混合物100質量部、第2の結合剤であるグルコマンナン0.5質量部、水20質量部を混合する工程)と3本ロールミルによりシート状に成形する第1の成形工程を兼ね、図8に示す製造工程を簡略化できるメリットがあるが、結果として製造されるシート状被加熱芳香発生基材の混合、分散状態に差異はない。
次いで、図9に示す第2の成形工程において、このシートは、縦150mm、横240mmの長方形に裁断され、最後に、ロータリーカッターを用いて、長さ240mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。このシートの縦及び横方向は、ロールの回転軸に対して、それぞれ、平行及び垂直方向である。
このようにして製造された長い角柱状被加熱芳香発生基材3211(図3)50本は、長手方向に揃えられた上で、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322として坪量34g/m2の紙を用いて巻き込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断され、被加熱芳香発生源320が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの被加熱芳香発生基材3211(図3)50本が紙に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321(図3)の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが0.9質量部含まれている。
ここで、被加熱芳香発生基材集合体321を巻装する被加熱芳香発生基材ラッピング部材322は、紙である必要はなく、坪量30g/m2〜40g/m2の紙に相当する強度のプラスチックフィルムを用いることができる。被加熱芳香発生基材ラッピング部材322は、後述するように、加熱式喫煙具の熱源と接触することがなく、被加熱芳香発生基材3211(図3)に含まれれる有機溶剤でもあるエアロゾルフォーマと接触するため、それぞれの紙の強度に相当するプラスチックフィルムを使用する方が好ましい。特に、環境保護という観点から、生分解性プラスチックフィルムを使用することがより好ましい。但し、プラスチックフィルムの場合、材質に応じた膜厚を選択する必要がある。以下に示す実施例及び比較例の被加熱芳香発生基材ラッピング部材も同様である。但し、これは、ブレード型熱源を備えた加熱式喫煙具に装着して使用する被加熱芳香カートリッジに対して選択可能な材質である。
なお、実施例1〜5、並びに、比較例1及び2において、このような外径及び長さの被加熱芳香発生源に加工されているのは、後述する喫煙試験において、ヒーターによるブレード型熱源を備えたアイコス(登録商標、フィリップモーリス社製)を加熱式喫煙具として使用するためである。
≪実施例2≫
実施例2は、実施例1と全く同様の組成物であるが、養生の効果を具体的に示すため、図10に示す養生工程を追加した製造工程に従って被加熱芳香発生基材を製造した。第1の混合工程までは、実施例1と同様にして第1の混合物を製造するが、第2の混合工程と第1の成形工程を兼ねた混合成形工程の前に、第1の混合物をポリエチレン袋で密封し、20℃、144時間(6日間)の養生工程を設けた。この養生工程を経ることによって、見かけの体積が、約1.5倍になると共に、養生工程後の養生混合物は、養生前に比べ、茶類の粉砕物の遊離が少なくなっている様子が目視観察で認められた。この現象から、養生によって、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCの分散が良好になったものと考えられる。
このようにして製造された養生混合物は、実施例1と同様に、混合成形工程、第2の成形工程を経て、被加熱芳香発生源320が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、実施例1と同様に、被加熱芳香発生基材3211(図3)は、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが0.9質量部含まれる。
<比較例1>
比較例1は、第1の結合剤と第2の結合剤の二段階分割添加の効果を具体的に示すため、第2の結合剤であるグルコマンナンを、実施例1の混合成形工程ではなく、第1の混合工程で第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCと同時に混合することを除き、実施例1と同様に被加熱芳香発生源を製造した。
清涼化剤としてのキシリトールを、第1の混合工程で投入するためのキシリトール水溶液は、
キシリトール 100質量部
水 400質量部
を混合、撹拌して製造した。一方、芳香源材である紅茶の葉及びあまちゃづるの葉は、70℃で乾燥した後、粉砕し、80メッシュの篩を通過したものを用いた。なお、これらの乾燥粉砕物の水分量は、約2質量%であった。
第1の混合工程では、
紅茶の葉の乾燥粉砕物 80質量部
あまちゃづるの葉の乾燥粉砕物 20質量部
グリセリン 30質量部
プロピレングリコール 30質量部
メチルセルロース 15質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC) 4質量部
グルコマンナン 0.9質量部
キシリトール/水溶液 8質量部
水 37質量部
を混合機に投入し、15分間混合を行い、第1の混合物を製造した。
このようにして製造された第1の混合物は、実施例1とは異なり、第2の結合剤を混合することがない、ドクターブレードをロールに押し当てシート状に成形する3本ロールミルを繰り返す第1の成形工程に投入され、ロール間隔及びロール間速度比が調整された3本ロールミルを8回繰り返し、水分が適度に蒸発した、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材に成形された。
次いで、実施例1と同様、第2の成形工程を経て、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さが12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、実施例1と同様に、被加熱芳香発生基材3211(図3)は、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが0.9質量部含まれる。
≪実施例3≫
実施例3は、本発明の効果が被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状に依存しないことを具体的に示すため、実施例2と比較して被加熱芳香発生基材の幅及び厚さを小さくした。実施例2と全く同様にして、第1の混合工程、養生工程を経て、第2混合工程と第1の成形工程を兼ねた混合成形工程で第2の混合物を製造すると共に、シート状被加熱芳香発生基材に成形した。ただし、実施例3では、ドクターブレードの位置、ロール間隔、及び、ロール間速度比等について、実施例2とは異なる調整が施された3本ロールミルを8回繰り返し、厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材に成形した。次いで、実施例1と同様に、第2の成形工程において、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ240mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材の場合、225本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙で巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断された。その結果、長さが12.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである225本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率は0.60であった。当然、この場合の被加熱芳香発生基材3211(図3)の組成も、実施例1及び2、並びに、比較例1と同じである。
≪実施例4≫
実施例4も、本発明の効果が被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状に依存しないことを具体的に示すため、実施例2と比較して被加熱芳香発生基材の幅及び厚さを大きくした。実施例2と全く同様にして、第1の混合工程、養生工程を経て、第2混合工程と第1の成形工程を兼ねた混合成形工程で第2の混合物を製造すると共に、シート状被加熱芳香発生基材に成形した。ただし、実施例4では、ドクターブレードの位置、ロール間隔、及び、ロール間速度比等について、実施例2とは異なる調整が施された3本ロールミルを8回繰り返し、厚さ0.5mmのシート状被加熱芳香発生基材に成形した。次いで、実施例1と同様に、第2の成形工程において、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ240mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材の場合は、23本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断された。その結果、長さが12.0mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmである23本の被加熱芳香発生基材321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.30gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率は0.62であった。当然、この場合の被加熱芳香発生基材3211(図3)の組成も、実施例1及び2、並びに、比較例1と同じである。
<比較例2>
比較例2は、第2の結合剤の効果を確認するため、グルコマンナンを使用することなく、比較例1と同様にして、被加熱芳香発生基材の製造を試みたが、3本ロールミルを用いた第1の成形工程において、破断や剥落等が生じ、シート化が困難であり、グルコマンナンが被加熱芳香発生基材及びその製造に不可欠な結合剤であることが分かった。しかし、喫煙試験を行うため、実施例1及び2、並びに、比較例1と同じ大きさの被加熱芳香発生源を製造した。
≪実施例5≫
実施例5では、養生の影響力の大きさを具体的に示すため、比較例1の製造工程に、養生工程を付け加えた。すなわち、比較例1における第1の混合物をポリエチレン袋で密封し、20℃、144時間(6日間)の養生工程を設けた。この養生工程を経ることによって、見かけの体積が、約1.4倍になると共に、養生工程後の養生混合物は、養生前に比べ、茶類の粉砕物の遊離が少なくなっている様子が目視観察で認められた。最終的には、実施例1と同様に成形加工され、長さが12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320が製造され、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、実施例1〜4及び比較例1と同様に、被加熱芳香発生基材3211(図3)は、芳香源材に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが0.9質量部含まれる。
以上の実施例1〜5、並びに、比較例1及び2は、後述する喫煙試験において、ヒーターによるブレード型熱源のアイコス(登録商標)を用いた評価を行うために成形加工された。しかし、熱源により、加熱方式、最高到達温度、並びに、被加熱芳香発生源及び被加熱芳香カートリッジの構成等が異なり、評価結果に影響を及ぼす可能性があると考えられるため、同じ加熱式喫煙具であるが、電磁誘導加熱による全方位型熱源のグロー(登録商標)を用いた評価も行った。実施例6〜10、並びに、比較例3及び4は、被加熱芳香発生基材の組成及びその製造方法に関して、それぞれ、実施例1〜5、並びに、比較例1及び2と対応しているが、グロー(登録商標)に対応した被加熱芳香発生源に成形加工された。
≪実施例6≫
実施例1と全く同様に製造された、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源420が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。被加熱芳香発生基材の組成には変化がなく、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが0.9質量部含まれている。
ここで、被加熱芳香発生基材集合体421を巻装する被加熱芳香発生基材ラッピング部材422は、紙である必要はなく、坪量30g/m2〜40g/m2の紙に相当する強度のプラスチックフィルムを用いることができる。しかし、電磁誘導加熱による全方位型熱源の場合、ヒーターによるブレード型熱源と異なり、被加熱芳香カートリッジの被加熱芳香発生源420及び被加熱芳香カートリッジ外装部材410全体が、約240℃に加熱されるため、プラスチックフィルム、エンジニアリングプラスチックフィルム、生分解性プラスチックフィルムを紙の代替え材料として使用することはできない。この場合には、加熱芳香発生基材ラッピング部材としてプラスチックを使用する場合、約300℃でガラス転移又は熱分解が開始される(紙を構成する)セルロース繊維と同等の耐熱性、すなわち、240℃以上のガラス転移温度を有する特殊エンジニアプラスチックのフィルムを適用する必要がある。このような特殊エンジニアプラスチックとしては、例えば、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリトリアジン、液晶ポリマー等を挙げることができる。
≪実施例7≫
実施例7も、実施例6と比較して養生の効果を具体的に示すため、養生の効果を確認する実施例2と全く同様に製造された、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、実施例6と全く同様に裁断された後、全く同様に被加熱芳香源420が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。組成は、実施例6の被加熱芳香発生基材と同一組成である。
<比較例3>
比較例3も、第1の結合剤と第2の結合剤の二段階分割添加の効果を具体的に示すため、二段階分割添加の効果を確認する比較例1と全く同様に製造された、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、実施例6と全く同様に裁断された後、全く同様に被加熱芳香源420が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。組成は、実施例6の被加熱芳香発生基材と同一組成である。
≪実施例8≫
実施例8も実施例7と比較して、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状の影響を確認することを目的として、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状の影響を確認する実施例3と全く同様に製造された、厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ210mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。この被加熱芳香発生基材は、142本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源420が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである142本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.64gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.60であった。組成は、実施例6の被加熱芳香発生基材と同一組成である。
≪実施例9≫
実施例9も実施例7と比較して、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状の影響を確認することを目的として、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状の影響を確認する実施例4と全く同様に製造された、厚さ0.5mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ210mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、14本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmである142本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。組成は、実施例6の被加熱芳香発生基材と同一組成である。
<比較例4>
第2の結合剤の効果を確認する比較例2と同一組成であるため、比較例2に示すような成形加工状態であったが、喫煙試験を行って、熱源の影響を確認するために、実施例6、実施例7、及び、比較例3と同じ大きさの被加熱芳香発生源を製造した。
≪実施例10≫
実施例10も養生の影響力の大きさを確認することを目的として、養生の影響力の大きさを確認する実施例5と全く同様に製造された、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、実施例6と全く同様に裁断された後、全く同様に被加熱芳香源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.64gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.60であった。組成は、実施例5の被加熱芳香発生基材と同一組成である。
以上、結合剤の種類及び添加方法の影響を具体的に示すために、実施例1〜10、並びに、比較例1〜4のような被加熱芳香発生源を製造したが、更に、種類の異なる結合剤の配合順についても検討しようとしたところ、実施例1と同様の第1の混合において、セルロース系多糖類の第1の結合剤に替えてセルロース系多糖類以外の多糖類である第2の結合剤とを入れ替えて行ったところ、一部ゲル化した塊状物が生成し、それ以後の工程においても残存したため、均一な被加熱芳香発生基材を製造できなかったため、比較例としての記載を省略した。
実施例1〜10、並びに、比較例1〜4の被加熱芳香発生源を用いて、第1の結合剤及び第2の結合剤の段階的添加の効果、並びに、養生の効果及び影響力を具体的に現出することが可能である、次に示す評価1〜3を実施した。
[評価1−1]
実施例1〜5、並びに、比較例1及び2の被加熱芳香発生源を評価するためには、図1に示す、フィリップモーリス社製のヒーターによるブレード型熱源130を備えた加熱式喫煙具であるアイコス(登録商標)100を用いた。この喫煙具100は、熱源130が、幅4.5mm、先端までの長さ12mm、厚さは0.4mmのヒーターによるブレード型熱源130であり、ボディー110のチャンバーと反対側に設けられている(図示されていない)バッテリーから供給される電力によって発熱し、約300〜350℃となる。被加熱芳香カートリッジ300は、ボディー110に設けられたチャンバーの内径7.0mmの内面に120に沿うように、装着された後、ボディー110に内蔵されている制御システムにより、14回の吸引によって1本の被加熱芳香カートリッジ300を喫煙できる。なお、本実施例及び本比較例の被加熱芳香カートリッジ300を差し込んだ際に、ボディー110から外側に突き出る部分の長さは、約20mmである。
一方、この喫煙具に装着される被加熱芳香カートリッジ300は、図1に示すように、被加熱芳香発生源320、支持部材331、及び、フィルター部材333を、被加熱芳香カートリッジ外装部材310で巻装し、マウスピース補強部材3301でマウスピース330を補強した構成にした。より具体的には、実施例1〜5、並びに、比較例1及び2で製造された長さ12mm、外径6.9mmの被加熱芳香発生源320、内径4mmの円筒状貫通穴を有する長さ8mm、外径6.9mmの中空管である支持部材331、及び、長さ23mm、外径6.9mmの円筒形状に成形されたセルロースアセテート繊維からなるフィルター部材333をこの順に長手方向に着接し、これらが、内面となる所定の位置に所定の量の接着剤が塗布された、坪量38g/m2の紙である被加熱芳香カートリッジ外装部材310で外径7.0mm弱となるように巻装され、更に、マウスピース330のフィルター部材333部と重なるように、内面に接着剤が塗布された坪量40g/m2の紙で巻装され製造された。この場合の被加熱芳香カートリッジ外装部材310には、坪量が、32g/m2〜45g/m2の紙、又は、この紙に相当する強度のプラスチックフィルムを用いることが、必要最低限の強度を保つために好ましいが、唇に咥えられる部分には、唾液の浸透による損傷を防ぐため、坪量40g/m2以上の紙で補強することが好ましい。被加熱芳香カートリッジ外装部材310は、熱源130と接触することがないため、それぞれの紙の強度に応じたプラスチックフィルムを使用することができる。また、プラスチックフィルムは、唾液が浸透せず、マウスピース補強部材3301を必要としないため好ましい。特に、環境保護という観点から、生分解性プラスチックフィルムを使用することがより更に好ましい。但し、プラスチックフィルムの場合、材質に応じた膜厚を選択する必要がある。
ブレード型熱源240の場合、被加熱芳香発生基材3211(図3)の落下試験を行って、結合剤及び養生の効果を確認した。これは、図1に示すようなブレード型熱源130の場合、被加熱芳香発生基材集合体321がブレード型熱源240と接触して加熱されるため、喫煙後の被加熱芳香発生基材3211(図3)は収縮して落下しやすくなるという傾向があると共に、喫煙時の被加熱芳香発生基材集合体321はブレード型熱源130及びチャンバー内壁120を汚染する傾向があることに基づいている。評価は、実施例1〜5、並びに、比較例1及び2で製造された被加熱芳香発生源320を備えた被加熱芳香カートリッジ300が、ブレード型熱源130を備えた加熱式喫煙具100に装着され、喫煙が行われた後、被加熱芳香カートリッジ300を抜き取り、被加熱芳香発生源320を鉛直下方に向け、被加熱芳香発生基材3211(図3)の落下の有無を調べることによって行われた。
この評価の基準は、次に示すとおりである。
ランクA:被加熱芳香発生基材の落下がなく、ブレード型熱源及びチャンバー内壁の汚染が少ない
ランクB:被加熱芳香発生基材の一部が落下し、ブレード型熱源及びチャンバー内壁の汚染が目立つ
[評価1−2]
実施例6〜10、並びに、比較例3及び4の被加熱芳香発生源を評価するためには、電磁誘導加熱による全方位型熱源を備えた加熱式喫煙具として、図2に示す、ブリティッシュアメリカンタバコ社製のグロー(登録商標)200を用いた。この喫煙具200は、ボディー210のチャンバーの内面220に沿うように電磁誘導加熱による全方位型熱源240が備えられ、この熱源240に、被加熱芳香カートリッジ400が装着され、被加熱芳香発生源420の周囲が加熱される構成になっている。熱源制御部250から供給される電力によって発熱し、到達する温度は、約240〜280℃で、約3〜4分の喫煙時間である。被加熱芳香カートリッジ400は、通気孔230を底に備え、蓋のない、内径5.6mmの円筒缶状である熱源240に装着された後、熱源制御部250により加熱された熱源240に包囲された被加熱芳香発生源420からエアロゾルフォーマが揮発し、吸引すると、通気孔230から流入した空気が、エアロゾルフォーマを冷却して煙を発生し喫煙することができる。
一方、この喫煙具に装着される被加熱芳香カートリッジ400は、図2に示すように、被加熱芳香発生源420と、冷却部材432、フィルター部材433、及び、中空菅434からなるマウスピース430とを、被加熱芳香カートリッジ外装部材410で巻装された構成とした。より具体的には、実施例6〜10、並びに、比較例3及び4で製造された長さ42mm、外径5.5mmの被加熱芳香発生源420、長さ25mm、厚さ0.5mmの厚紙を巻いて外径5.5mmの円筒形状とした冷却部材432、長さ8mm、外径5.5mmの円筒形状に成形されたセルロースアセテート繊維からなるフィルター部材433、及び、長さ8mm、厚さ0.5mmの厚紙を巻いて外径5.5mmの円筒形状とした中空菅434がこの順に長手方向に着接され、内面となる所定の位置に所定の量の接着剤が塗布された、縦20mm、横83mmの坪量38g/m2の紙である被加熱芳香カートリッジ外装部材410で、外径5.6mm弱となるように巻装された。
全方位型熱源240の場合は、被加熱芳香カートリッジ400の差込試験を行って、結合剤及び養生の効果を確認した。これは、図2に示すように、円筒缶状の全方位型熱源240の場合、細長い円筒缶に細長い被加熱芳香カートリッジ400を差し込むように装着するため、被加熱芳香カートリッジ400を装着することが困難であり、場合によっては、その破損に至る場合があることに基づいている。その評価は、喫煙するに当たって、加熱式喫煙具400への被加熱芳香カートリッジ400の装着感を5人の被験者に尋ねることによって行われた。
この評価の基準は、次に示すとおりである。
ランクA:被加熱芳香カートリッジの装着に問題なし
ランクB:被加熱芳香カートリッジの装着が困難で、場合によっては、破損する
[評価2−1]
[評価1−1]において実施した喫煙において、被験者5人による官能調査を行い、結合剤及び養生の効果を確認した。官能調査は、特に、茶類が放つ繊細な芳香に的を絞って行われた。
この評価の基準は、次に示すとおりである。
ランクA:喫煙時に、茶類の芳香が楽しめるレベル
ランクB:喫煙時に、茶類の芳香が物足りないレベル
[評価2−2]
全方位型熱源240の場合にも、ブレード型熱源130の場合と同様、図2に示す状態で、被験者5人が喫煙し、官能調査を行うことによって、結合剤及び養生の効果を確認した。この場合も同じく、茶類が放つ繊細な芳香に的を絞った官能調査が行われた。
この評価の基準は、次に示すとおりである。
ランクA:喫煙時に、茶類の芳香が楽しめるレベル
ランクB:喫煙時に、茶類の芳香が物足りないレベル
[評価3]
結合剤及び養生の効果を、評価1及び2では、被加熱芳香発生基材の落下試験、並びに、被加熱芳香カートリッジの差込試験及び喫煙試験によって確認したが、これらの効果が、実施例1〜10、並びに、比較例1〜4で製造されたシート状被加熱芳香発生基材の力学的強度と相関性があることを見出した。
実際には、厚さ0.3mmに製造された、実施例1、2、5、6、7、及び、10、並びに、比較例1〜4のシート状被加熱芳香発生基材を用い、横10.0cm、縦22.0cmに裁断された試験片を用い、一般的な引張強度試験を行い、測定された破断強度を評価した。引張強度試験は、試験片の縦方向に挟むクランプ間距離を20.0cmとし、20℃、50%RHの試験環境で行った。破断強度は、試験片に裂け目等が入り、破断開始時の強度と定義した。
以上、評価1〜3に使用した、実施例1〜10、並びに、比較例1〜4の組成、並びに、被加熱芳香発生源に使用した被加熱芳香発生基材の形状及び本数を表1−1に、被加熱芳香発生基材の組成物の製造条件、及び、評価1〜3の結果を表1−2に示す。
結合剤の添加方法は、実施例1と比較例1とを、及び、実施例6と比較例3とを比較することによって、第1結合剤と第2結合剤とを段階的に添加する方が好ましいことが確認された。実施例1と比較例1とは、第1の結合剤と第2の結合剤を、前者は二段階添加、後者は一括添加であること以外は全く同じ条件で製造された被加熱芳香発生基材であるが、ブレード型熱源130を備えた加熱式喫煙具100を使用した落下試験及び喫煙試験において、前者の方が優れた結果が得られている。また、実施例6と比較例3とは、実施例1と比較例1との同様の関係にあり、全方位型熱源240を備えた加熱式喫煙具200を使用した差込試験及び喫煙試験において、結合剤の二段階添加によって製造された組成物から製造された被加熱芳香発生基材の方が良好な結果が得られている。
この原因は定かではないが、セルロース系多糖類の第1の結合剤が、芳香源材及びエアロゾルフォーマの均一な混合、分散を促進して安定したゾル状態を形成し、その後、セルロース系多糖類以外の多糖類である第2の結合剤が、これらの結束を高めるゲル状態を形成するため、緻密な分散が、加熱による茶類の芳香成分の揮発作用を高め、結束力が、加熱による収縮作用を低減し、被加熱芳香発生基材の力学的強度を向上させたものと考えられる。この推測は、第1の結合剤と第2の結合剤とを入れ替えて混合すると、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、結合剤の混合物に一部ゲル化した塊状物が生成し、均一な分散状態を生成できない現象によって裏付けられる。
養生の効果は、養生の有無を比較した、実施例1と実施例2〜4、実施例5と比較例1、実施例6と実施例7〜9、及び、実施例10と比較例3について、評価1−1、評価1−2、評価2−1、及び、評価2−2の結果を見れば明白である。養生は、段階的結合剤の添加同様、被加熱芳香発生基材の品質を大きく高めることができる。また、実施例5と比較例1、及び、実施例10と比較例3の評価結果を比較すると分かるように、養生工程を経る場合、第1の結合剤と第2の結合剤を段階的に添加する必要がなく、養生の効果がかなり大きいものと考えられる。
この養生の効果の原因も定かではないが、セルロース系の第1の結合剤が、芳香源材及びエアロゾルフォーマの均一な混合、分散を促進して形成されたゾル状態における芳香源材の分散度を高め、安定化させることに起因しているものと推測される。これは、養生工程における混合物の体積増加が認められ、それが、養生の温度及び時間に依存するということで裏付けられる。その結果、養生工程を経て製造された被加熱芳香発生基材における芳香源材のより緻密な分散構造が、加熱による茶類の芳香成分の揮発作用を高め、被加熱芳香発生基材の加熱による収縮作用を低減すると共に、その力学的強度を向上させたものと考えられる。
また、グルコマンナンを添加していない比較例2及び4の評価結果から、第2の結合剤として使用したセルロース系多糖類以外の多糖類は、僅かな添加量であるが、被加熱芳香発生基材の品質を高める上で不可欠であると考えられる。しかしながら、このような第2の結合剤である多糖類の多量な添加は、被加熱芳香発生基材の組成物の分散系を破壊し、ゲル化させる傾向があるため、第1の結合剤と使用したセルロース系多糖類と併用することによって、被加熱芳香発生基材の分散性を高め、結束力を向上させる必要がある。
更に、このような落下試験、差込試験、及び、喫煙試験の因果関係を裏付けるように、これらの評価結果が、実施例1〜10、並びに、比較例1〜4で製造されたシート状被加熱芳香発生基材の破断強度と良い相関性があることを見出した。その結果は、表1−2の引張試験の列の、実施例1、2、5、6、7、及び、10、並びに、比較例1及び2に示されている。この評価3を、評価結果1−1、1−2、2−1、及び2−2と照合すると、結合剤の二段階添加及び養生を行って製造されたシート状被加熱芳香発生基材の破断強度は高く、試験片の断面積(0.3×100mm2)当たり少なくとも5N以上、すなわち、0.167N/mm2以上の破断強度を有していることが、被加熱芳香カートリッジとした場合に必要な力学的強度、喫煙後の低加熱収縮性、及び、喫煙時の加熱による芳香成分の揮発性を発現するための指標になっているものと考えられる。この指標は、上述した結合剤の段階的添加及び養生の効果の原因と矛盾するものではなく、相関がある。
第二に、架橋PVPが、清涼化剤を簡便な工程で収着することができ、被加熱芳香発生基材からの清涼化剤の経時的散逸を抑制し、それを含む被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジを長期間保管した後も、加熱式喫煙具に装着して喫煙する際に、被加熱芳香発生基材の芳香を十分に味わうことができる効果を具体的に示すために、清涼化剤としてメントール及びキシリトールを用いた実施例11〜18、並びに、比較例5〜12の実験を行った。
本発明の被加熱芳香発生基材の製造方法としては、図12に示すように、第1の結合剤と第2の結合剤を段階的に添加すると共に、第1の結合剤を添加する第1の混合工程と第2の結合剤を添加する第2の混合工程との間に養生工程を設けることが最適である。しかし、以下の実施例及び比較例では、架橋PVPの効果の検証だけに的を絞り、実験の簡略化を図るため、第1の結合剤及び第2の結合剤を一括添加し、養生工程を省略すると共に、メントールだけを清涼化剤として扱った。養生工程を省いた図11の工程図に、図12の第4の混合工程を導入した製造工程を採用した。
≪実施例11≫
清涼化剤を溶解した低級アルコールと架橋PVPを混合する第4の混合工程は、次のようにして行った。
メントール 100質量部
エチルアルコール 200質量部
架橋ポリビニルピロリドン(PVP) 200質量部
を秤量し、メントールをエチルアルコールに溶解させ、メントール/エチルアルコール溶液を製造した後、メントール/エチルアルコール溶液に架橋PVPを加え、撹拌混合し、架橋PVPが膨潤したメントール/エチルアルコール/架橋PVP混合物を製造した。
一方、キシリトールは、第3の混合工程に投入するため、下記配合比のキシリトール/水溶液を準備した。
キシリトール 100質量部
水 400質量部
また、芳香源材は紅茶の葉を用い、水分量が約2%となるように70℃で乾燥した後、粉砕し、80メッシュの篩を通過したものを用い、下記の配合比で第3の混合工程における湿式混合機に投入し、15分間処理して被加熱芳香発生基材の組成物を製造した。
紅茶の葉の乾燥粉砕物 100質量部
メントール/エチルアルコール/架橋PVP混合物 25質量部
グリセリン 30質量部
プロピレングリコール 30質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC) 4質量部
メチルセルロース 15質量部
グルコマンナン 1質量部
キシリトール/水溶液 8質量部
第3の混合工程で製造された組成物を、第1の成形工程における3本ロールミルに投入した。狭いロール間に押し込まれることによる圧縮とロール速度差による剪断により、均一に混練及び分散され、所定の厚さのシート状被加熱芳香発生基材が製造された。なお、第1の成形工程では、組成物が高粘度ペーストとなるため、シートの状態を見ながら純水を適度に加えつつ、ドクターブレードをロールに押し当てることによってシート状に成形した。この成形工程において、水分が適度に蒸発し、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材に成形されるように、ロール間隔及びロール間速度比等を調整した3本ロールミルが8回繰り返された。
第1の成形工程で製造されたシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程に投入され、まず、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された。更に、この長方形に裁断されたシートは、ロータリーカッターを用いて、長さ240mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmに裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
このようにして製造された長い角柱状被加熱芳香発生基材50本は、長手方向に揃えられた上で、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322として坪量34g/m2の紙を用いて巻き込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断され、被加熱芳香発生源320が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが1質量部、架橋PVPが10質量部、メントールが5質量部、及び、キシリトールが1.6質量部含まれている。
なお、実施例11〜15、並びに、比較例5〜8において、このような外径及び長さの被加熱芳香発生源に加工されているのは、後述する喫煙試験において、ヒーターによるブレード型熱源を備えたアイコス(登録商標、フィリップモーリス社製)を加熱式喫煙具として使用するためである。
≪実施例12≫
実施例11と全く同様にして、被加熱芳香発生基材の組成物が製造された。しかし、メントールの散逸に及ぼす被加熱芳香発生基材の形状、すなわち、比表面積の影響を確認するため、第1の成形工程において、ドクターブレードの位置、ロール間隔、及び、ロール間速度比等が、実施例11とは異なる調整が施された3本ロールミルを8回繰り返し、厚さ0.1mmの実施例11よりも薄いシート状被加熱芳香発生基材に成形された。
第1の成形工程で製造されたシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程に投入され、まず、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された。更に、この長方形に裁断されたシートは、ロータリーカッターを用いて、実施例11より幅も狭くした、長さ240mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmに裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
このようにして製造された長い角柱状被加熱芳香発生基材225本は、長手方向に揃えられた上で、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322として坪量34g/m2の紙を用いて巻き込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断され、被加熱芳香発生源320が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである225本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。
≪実施例13≫
実施例11と全く同様にして、被加熱芳香発生基材の組成物が製造された。しかし、メントールの散逸に及ぼす被加熱芳香発生基材の形状、すなわち、比表面積の影響を確認するため、第1の成形工程において、ドクターブレードの位置、ロール間隔、及び、ロール間速度比等が、実施例11とは異なる調整が施された3本ロールミルを8回繰り返し、厚さ0.5mmの実施例11よりも厚いシート状被加熱芳香発生基材に成形された。
第1の成形工程で製造されたシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程に投入され、まず、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された。更に、この長方形に裁断されたシートは、ロータリーカッターを用いて、実施例11より幅も広くした、長さ240mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmに裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
このようにして製造された長い角柱状被加熱芳香発生基材23本は、長手方向に揃えられた上で、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322として坪量34g/m2の紙を用いて巻き込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断され、被加熱芳香発生源320が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmである23本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。
<比較例5>
架橋PVPの影響を明確にするため、架橋PVPを用いることなく、被加熱芳香発生基材を製造した。
第4の混合工程は、メントールを下記の配合比でエチルアルコールに溶解して、メントール/エチルアルコール溶液を製造した。
メントール 100質量部
エチルアルコール 400質量部
一方、キシリトールは、第3の混合工程に投入するため、下記配合比のキシリトール/水溶液を準備した。
キシリトール 100質量部
水 400質量部
また、芳香源材は、実施例11と同様に処理し、下記の配合比で第3の混合工程における湿式混合機に投入し、15分間処理して被加熱芳香発生基材の組成物を製造した。
紅茶の葉の乾燥粉砕物 100質量部
メントール/エチルアルコール溶液 25質量部
グリセリン 30質量部
プロピレングリコール 30質量部
メチルセルロース 15質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC) 4質量部
グルコマンナン 1質量部
キシリトール/水溶液 8質量部
第3の混合工程で製造された被加熱芳香発生基材の組成物は、実施例12と同様に、第1の成形工程、第2の成形工程を経て、最終的に、長さ12.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである225本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された、外径6.9mmの被加熱芳香発生源320が製造された。そして、この被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率は0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、架橋PVPが含まれておらず、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが1質量部、メントールが5質量部、並びに、キシリトールが1.6質量部含まれている。
<比較例6>
比較例5同様、架橋PVP影響を明確にするため、架橋PVPの替わりに未架橋の水溶性PVPを用い、実施例12と全く同様に、被加熱芳香発生源320を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである225本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320が製造された。そして、この被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率は0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、架橋PVPが含まれておらず、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが1質量部、PVPが10質量部、メントールが5質量部、並びに、キシリトールが1.6質量部含まれている。
<比較例7>
比較例7は、架橋PVPとメントールとを接触させるタイミングが被加熱芳香発生基材
の品質に影響を及ぼすことを示す一例として、メントール/エチルアルコール/架橋PVP混合物を製造する第4の混合工程における配合順が被加熱芳香発生基材の品質に及ぼす影響を示すために行われた。すなわち、実施例11のように、エチルアルコールに溶解したメントールを架橋PVPに混合して、架橋PVPが膨潤したメントール/エチルアルコール/架橋PVP混合物を製造するのではなく、メントールをエチルアルコールで膨潤した架橋PVPに混合することによって、架橋PVPが膨潤したメントール/エチルアルコール/架橋PVP混合物を製造した。配合比は、実施例11と同様である。
この第4の工程における配合順を除き、第3の混合工程以降は、実施例11と全く同様に被加熱芳香発生源320を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された、外径6.9mmの被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが1質量部、架橋PVPが10質量部、メントールが5質量部、並びに、キシリトールが1.6質量部含まれている。
<比較例8>
比較例8も、比較例7同様、架橋PVPとメントールとを接触させる方法が被加熱芳香発生基材の品質に影響を及ぼすことを示す一例として、第4の混合工程における架橋PVPの投入ではなく、第3の混合工程における架橋PVPの投入に変更した、次のような工程で被加熱芳香発生基材の組成物を製造した。
第4の混合工程は、メントールを下記の配合比でエチルアルコールに溶解して、メントール/エチルアルコール溶液を製造した。
メントール 100質量部
エチルアルコール 400質量部
一方、キシリトールは、第3の混合工程に投入するため、下記配合比のキシリトール/水溶液を準備した。
キシリトール 100質量部
水 400質量部
また、第3の混合工程において、実施例11と同様に処理した芳香源材やエアロゾルフォーマと共に、架橋PVPを湿式混合機に投入、15分間処理して被加熱芳香発生基材の組成物を製造した。
紅茶の葉の乾燥粉砕物 100質量部
メントール/エチルアルコール溶液 25質量部
グリセリン 30質量部
プロピレングリコール 30質量部
メチルセルロース 15質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC) 4質量部
グルコマンナン 1質量部
架橋ポリビニルピロリドン(PVP) 10質量部
キシリトール/水溶液 8質量部
この第3の混合工程以降は、実施例11と全く同様に被加熱芳香発生源320を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された、外径6.9mmの被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが1質量部、架橋PVPが10質量部、メントールが5質量部、並びに、キシリトールが1.6質量部含まれている。
清涼化剤の清涼感を味わえ、その経時的散逸を防止するためには、被加熱芳香発生基材中の清涼化剤及び架橋PVPの含有量、並びに、清涼化剤に対する架橋PVPの含有量も重要である。これらを全て網羅することは省略するが、その代表例として、メントールに対する架橋PVPの含有量が2倍である場合について、メントール及び架橋PVPの含有量を検討した結果を実施例14及び15に示す。なお、清涼化剤及び架橋PVPが被加熱芳香発生基材中に必要な含有量が、それぞれ、1〜10質量%及び2〜10質量%であり、かつ、清涼化剤に対する架橋PVPの含有量が1〜6倍であることが好ましいことは、数多く製造された被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジのブレード型熱源を備えた加熱式喫煙具を用いた喫煙による官能試験で決定した。
≪実施例14≫
第3の混合工程で配合するメントール/エチルアルコール/架橋PVP混合物を10質量部とすることを除いては、実施例11と全く同様にして、被加熱芳香発生源320を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが1質量部、架橋PVPが4質量部、メントールが2質量部、並びに、キシリトールが1.6質量部含まれている。
≪実施例15≫
第3の混合工程で配合するメントール/エチルアルコール/架橋PVP混合物を50質量部とすることを除いては、実施例11と全く同様にして、被加熱芳香発生源320を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、第1の結合剤であるメチルセルロース及びCMCが、それぞれ、15質量部及び4質量部、第2の結合剤であるグルコマンナンが1質量部、架橋PVPが20質量部、メントールが10質量部、並びに、キシリトールが1.6質量部含まれている。
以上の実施例11〜15、並びに、比較例5〜8は、後述する喫煙試験において、ヒーターによるブレード型熱源のアイコス(登録商標)を用いた評価を行うために成形加工された。しかし、熱源により、加熱方式、最高到達温度、並びに、被加熱芳香発生源及び被加熱芳香カートリッジの構成等が異なり、評価結果に影響を及ぼす可能性があると考えられるため、同じ加熱式喫煙具であるが、電磁誘導加熱による全方位型熱源のグロー(登録商標)を用いた評価も行った。実施例16〜18、並びに、比較例9〜12は、被加熱芳香発生基材の組成及びその長手方向に垂直な断面形状に関して、それぞれ、実施例11〜13、並びに、比較例5〜8と対応しているが、グロー(登録商標)に対応した被加熱芳香発生源の長さ及び外径に成形加工された。
≪実施例16≫
実施例11と全く同様に、第1の成形工程で製造された厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
≪実施例17≫
実施例12と全く同様に、第1の成形工程で第1の成形工程で製造された厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、142本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである142本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.64gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
≪実施例18≫
実施例13と全く同様に、第1の成形工程で第1の成形工程で製造された厚さ0.5mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、14本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅2.0mm、厚さ0.5mmである14本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
<比較例9>
比較例5と全く同様に、第1の成形工程で第1の成形工程で製造された厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、142本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである142本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.64gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.60であった。
<比較例10>
比較例6と全く同様に、第1の成形工程で第1の成形工程で製造された厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、142本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.0mm、厚さ0.1mmである142本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.64gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.60であった。
<比較例11>
比較例7と全く同様に、第1の成形工程で製造された厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
<比較例12>
比較例7と全く同様に、第1の成形工程で製造された厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、第2の成形工程において、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
架橋PVPの清涼化剤収着能力を具体的に確認するため、清涼化剤としてメントールを採用した実施例11〜18及び比較例5〜12の被加熱芳香発生源を用い、次に示す評価4〜6を実施した。
[評価4−1]
従来、メントールを含有する被加熱芳香発生基材は、長期間放置することによってエチルアルコールが完全に揮散し、エチルアルコールに可溶であるが、水に難溶のメントールの白色結晶が析出するという現象が認められた。そこで、評価4−1では、メントールの白色結晶析出試験を次のようにして行った。
実施例11〜15、並びに、比較例5〜8で製造された被加熱芳香発生源を用い、評価1−1に記載したブレード型熱源130を備えた加熱式喫煙具100であるアイコス(登録商標)に装着して喫煙できる被加熱芳香カートリッジ300が製造された。そして、この被加熱芳香カートリッジ300の20本が、長辺70mm、短辺14mm、高さ45mmである紙製の箱の底に、被加熱芳香発生源320を接触させて垂直に箱詰めされた後、ポリエチレン袋に包まれた状態で、5℃で、48時間放置された。更に、箱から被加熱芳香カートリッジ300を取り出し、常温常湿環境に1日放置し、その被加熱芳香発生基材集合体321の箱の底に接触していた端面を倍率5倍の拡大鏡を用いて観察した。端面に認められるメントールの白色結晶の析出個数をカウントし、20本の被加熱芳香カートリッジ300の平均値を求め、下記基準に従って評価した。ランクCの場合、長期保管等により、メントールが被加熱芳香発生基材外に散逸し、被加熱芳香発生基材が加熱されても、清涼感が損なわれる可能性の高く、ランクB又はAであれば実用可能であると推測される。
ランクA:白色結晶が0個
ランクB:白色結晶が1〜4個
ランクC:白色結晶が5個以上
なお、評価4−1における被加熱芳香カートリッジの放置条件は、メントールの白色結晶が析出しやすい条件を種々検討した結果として設定された。
[評価4−2]
評価4−1と同様の目的であるが、被加熱芳香発生基材の形状の影響を受ける可能性があるため、実施例16〜18、並びに、比較例9〜12で製造された被加熱芳香発生源を用い、評価1−2に記載した全方位型熱源240を備えた加熱式喫煙具200であるグロー(登録商標)に装着して喫煙できる被加熱芳香カートリッジ400が製造された。そして、この被加熱芳香カートリッジ400の20本が、長辺55mm、短辺12mm、高さ85mmである紙製の箱の底に、被加熱芳香発生源420を接触させて垂直に箱詰めされた。
その後、評価4−1と全く同様の条件で放置された後、評価4−1と全く同様の方法及び基準で評価された。
[評価5−1]
析出試験と喫煙試験との相関性を判定することを主たる目的として、評価4−1の析出試験が実施された被加熱芳香カートリッジを用い、評価1−1に記載された方法で喫煙され、評価2−1に記載されたように、被験者5人によるメントールの清涼感に関する官能調査を行った。
喫煙試験は、次のようにして行った。実施例11〜15、並びに、比較例5〜8で製造された被加熱芳香発生源を用い、評価1−1と同様に、被加熱芳香カートリッジ300が製造され、この被加熱芳香カートリッジ300の20本が、長辺70mm、短辺14mm、高さ45mmである紙製の箱の底に、被加熱芳香発生源320を接触させて垂直に箱詰めされた。この喫煙試験では、このように被加熱芳香カートリッジが詰められた箱が、通常の喫煙者が保管する条件に類似した、25℃で2週間という条件で放置された。そして、放置前後の被加熱芳香カートリッジを用い、被験者がメントールの清涼感を比較した。評価基準は以下の通りである。
ランクA:放置前後のメントールの清涼感に変化なし
ランクB:放置前よりも放置後のメントールの清涼感がやや低下
ランクC:放置前よりも放置後のメントールの清涼感が明らかに低下
[評価5−2]
喫煙試験に関しては、評価5−1と同様の目的に加え、被加熱芳香発生基材の形状、被加熱芳香カートリッジの構成、並びに、加熱式喫煙具の熱源の方式及びそれに伴う被加熱芳香発生源の形状の影響を受ける可能性が高いので、これらの影響の有無を確認することも目的として、評価4−2の析出試験が実施された被加熱芳香カートリッジを用いて、評価1−2に記載された方法で喫煙を行い、評価2−2に記載されたように、被験者5人によるメントールの清涼感に関する官能調査を行った。
喫煙試験は、次のようにして行った。実施例16〜18、並びに、比較例9〜12で製造された被加熱芳香発生源を用い、評価2−1と同様に、被加熱芳香カートリッジ400が製造され、この被加熱芳香カートリッジ400の20本が、長辺55mm、短辺12mm、高さ85mmである紙製の箱の底に、被加熱芳香発生源420を接触させて垂直に箱詰めされた。この喫煙試験では、このように被加熱芳香カートリッジが詰められた箱が、通常の喫煙者が保管する条件に類似した、25℃で2週間という条件で放置された。そして、放置前後の被加熱芳香カートリッジを用い、被験者がメントールの清涼感を比較した。評価基準は以下の通りである。
ランクA:放置前後のメントールの清涼感に変化なし
ランクB:放置前よりも放置後のメントールの清涼感がやや低下
ランクC:放置前よりも放置後のメントールの清涼感が明らかに低下
[評価6]
析出試験と喫煙試験とは、これらの相関性を掴むことによって、喫煙試験の結果を現出する要因を明らかにすると共に、被加熱芳香カートリッジを製造する必要がある喫煙試験を行うことなく、析出試験によって喫煙試験の結果を判定することが可能であると考えられる。しかし、析出試験は、被加熱芳香発生源の被加熱芳香発生基材端面に析出するメントールの白色結晶の個数に委ねられており、被加熱芳香発生源の内部の状態には依存しない。そのため、より正確に喫煙試験の結果を判定する基準を見出すため、メントール減少率を測定した。
メントール減少率は、17℃、相対湿度65%RHの環境下、製造した直後の被加熱芳香発生基材を5g〜10g程度精秤した際の、被加熱芳香発生基材に含有されるメントールの質量をd(0)とし、被加熱芳香発生基材を構成する成分の組成から算出する。メントール減少率dは、この精秤された被加熱芳香発生基材が、5℃で24時間放置された後の質量をd(24)とし、5℃で48時間放置された後の質量をd(48)として次式(1)で定義された。ここで、上記式でd(24)からd(48)を差引く理由は、メントールの析出試験の経過を詳しく観察したところ、24時間以降に白色結晶の析出が認められたので、メントール以外の散逸成分を排除し、メントールの散逸をよりよく反映することができるという意義がある。
d={(d(24)−d(48)}/d(0) (1)
以上、評価4〜6に使用した、実施例11〜18、並びに、比較例5〜12の組成、並びに、被加熱芳香発生源に使用した被加熱芳香発生基材の形状及び本数を表2−1に、被加熱芳香発生基材の組成物の製造条件、及び、評価4〜6の結果を表2−2に示す。
表2−2の結果から明らかなように、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状、長さ、及び、本数という被加熱芳香発生基材の物理的特徴に関わらず、また、加熱式喫煙具の熱源の方式に関わらず、析出試験、喫煙試験、及び、メントール減少率との間には良好な相関関係がある。特に、メントール減少率が0.200以下の場合、架橋PVPがメントールを収着し、メントールの継時的な散逸を効果的に防止することができる。そして、このような被加熱芳香発生基材を製造することができるのは、メントールを被加熱芳香発生基材の組成物に混合するために、メントールをエタノールに溶解したメントール/エタノール溶液として架橋PVPとを混合する工程を設けた被加熱芳香発生基材の製造方法を適用したものだけである。また、メントールの含有量が、被加熱芳香発生基材中の1〜10質量%であり、架橋PVPの含有量が、被加熱芳香発生基材中の2〜10質量%であり、かつ、メントールの含有量に対して1〜6倍である場合に、特に、メントールの継時的な散逸を防止することができる。
このようなメントールの継時的な散逸を防止することができる架橋PVPは、メントール以外の清涼化剤、例えば、メントール、並びに、メンチルエーテル、メンチルエステル、及び、メンチルカーボネート等のメントール誘導体、並びに、メントン及びその誘導体、並びに、メンタン及びその誘導体、並びに、メンタンカルボン酸−N−エチルアミド[WS3]、Nα−(メンタンカルボニル)グリシンエチルエステル[WS5]、メンタンカルボン酸−N−(4−シアノフェニル)アミド、メンタンカルボン酸−N−(4−シアノメチルフェニル)アミド、及び、メンタンカルボン酸−N−(アルコキシアルキル)アミド等のメンタンカルボン酸アミド、並びに、メチルジイソプロピルプロピオン酸アミド[2,3−ジメチル−2−(2−プロピル)−酪酸−N−メチルアミド[WS23]等の2,3−ジメチル−2−(2−プロピル)−酪酸誘導体、並びに、(l(−)−イソプレゴール、l(−)−イソプレゴールアセテート等のイソプレゴール及びそのエステル、N−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)−3−p−メンタンカルボキシアミド、(1R,2S,5R)−N−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−2−(1−イソプロピル)シクロヘキサン−カルボキサミド[WS12]、及び、オキサメート等のカルボキサミド、並びに、L−カルボン、キシリトール、チモール、スピラントール等にも有効であることを確認している。
第三に、被加熱芳香発生基材に微結晶セルロースを含有させることによって、芳香源材及びエアロゾルフォーマが、結合剤を介して均質に混合、分散されるために、圧縮及び剪断を繰り返す、例えば、3本ロールミル等によるシートの成形加工において、シートの凝集破壊及び金属ロールとの付着を効果的に防止できること、並びに、被加熱芳香発生基材の乾燥等による継時的体積収縮が低減する上、補強材として作用して被加熱芳香発生基材の強度が向上するため、喫煙前後及び長期保存後の被加熱芳香発生基材の脱落、落下、及び、変形等を防止することができることを具体的に示すため、実施例19〜26、並びに、比較例13〜18の実験を行った。
≪実施例19≫
実施例11〜13、並びに、実施例16〜18と同様、芳香源材として紅茶の葉、エアロゾルフォーマ、結合剤としてCMC及びグルコマンナン、清涼化剤としてメントール及びキシリトール、清涼化剤の収着剤として架橋PVPを使用するが、本実施例では、メチルセルロースの替わりに微結晶セルロースを用い、その効果を確認した。これらは、下記配合比で、一括して混合機に投入され、15分間の撹拌、混錬により被加熱芳香発生基材の組成物が製造された。
紅茶の葉の乾燥粉砕物 100質量部
グリセリン 30質量部
プロピレングリコール 30質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC) 4質量部
グルコマンナン 1質量部
微結晶セルロース 15質量部
架橋ポリビニルピロリドン(PVP) 10質量部
メントール 5質量部
キシリトール 1.5質量部
なお、紅茶の葉は、水分量が約2質量%となるように、70℃で乾燥させ、粉砕し、80メッシュの篩を通過したものを用いた。また、微結晶セルロースは、平均粒子径が90μm、質量平均分子量(Mw)が36,000であるものを使用した。但し、平均粒子径は90μmであるが、目開き75μmの篩上残留物が、微結晶セルロースの総量に対して52質量%であり、目開き250μmにおける篩上残留物が、微結晶セルロースの総量に対して1質量%である粒度分布が狭いものであり、微結晶セルロースの効果が顕著に発現するものを選択した。
このようにして製造された被加熱芳香発生基材の組成物は、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、高粘度ペーストを均一に混練及び分散することができ、しかも、シートに成形可能な3本ロールミルを使用して、所定の厚さのシート状被加熱芳香発生基材が製造された。本実施例では、予め調整されたロール間隔及びロール間速度比で、ドクターブレードをロールに押し当てシート状に成形する工程を8回繰り返すことによって、厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材が製造された。この間、シートの状態に応じて適度な給水を行った。
この厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ240mm、幅1.5mm、厚
さ0.1mmの長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
このようにして製造された長い角柱状被加熱芳香発生基材150本は、長手方向に揃えられた上で、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322として坪量34g/m2の紙を用いて巻き込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.1mmである150本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、結合剤であるCMC及びグルコマンナンが、それぞれ、4質量部及び1質量部、微結晶セルロースが15質量部、架橋PVPが10質量部、並びに、メントール及びキシリトールが、それぞれ、5質量部及び1.5質量部含まれている。
≪実施例20≫
実施例20は、微結晶セルロースの効果が、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状に依存しないことを具体的に示すため、実施例19と比較して被加熱芳香発生基材の厚さを大きくした。そのため、実施例19と全く同様に製造された被加熱芳香発生基材の組成物を用い、圧縮と剪断とが繰り返される3本ロールミルを使用して、シート状被加熱芳香発生基材を製造したが、実施例20では、ドクターブレードの位置、ロール間隔、及び、ロール間速度比等について、実施例19とは異なる調整が施された3本ロールミルを8回繰り返し、厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材に成形した。
この厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ240mm、幅1.5mm、厚
さ0.3mmの長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
このようにして製造された長い角柱状被加熱芳香発生基材50本は、長手方向に揃えられた上で、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322として坪量34g/m2の紙を用いて巻き込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)に含まれる組成物は、実施例19と同じである。
≪実施例21≫
実施例21も、微結晶セルロースの効果が、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状に依存しないことを具体的に示すため、実施例20よりも更に被加熱芳香発生基材の厚さを大きくした。そのため、実施例29と全く同様に製造された被加熱芳香発生基材の組成物を用い、圧縮と剪断とが繰り返される3本ロールミルを使用して、シート状被加熱芳香発生基材を製造したが、実施例21では、更に、ドクターブレードの位置、ロール間隔、及び、ロール間速度比等について、実施例20とは異なる調整が施された3本ロールミルを8回繰り返し、厚さ0.5mmのシート状被加熱芳香発生基材に成形した。
この厚さ0.5mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横240mmの長方形に裁断された後、ロータリーカッターを用いて、長さ240mm、幅1.5mm、厚
さ0.5mmの長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
このようにして製造された長い角柱状被加熱芳香発生基材30本は、長手方向に揃えられた上で、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322として坪量34g/m2の紙を用いて巻き込まれ、糊付けされることによって、外径6.9mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ12.0mmに切断され、被加熱芳香発生源320が製造された。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.5mmである30本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)に含まれる組成物は、実施例19と同じである。
≪実施例22≫
微結晶セルロースの含有量の影響を検討するため、ここでは、一例として、微結晶セルロースの含有量を芳香源材である紅茶の葉に対して、4質量部とし、実施例20と全く同様に被加熱芳香発生源を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。そして、実施例22の被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、結合剤であるCMC及びグルコマンナンが、それぞれ、4質量部及び1質量部、微結晶セルロースが4質量部、架橋PVPが10質量部、並びに、メントール及びキシリトールが、それぞれ、5質量部及び1.5質量部含まれている。
<比較例13>
微結晶セルロースを用いないということ除いては、実施例19と全く同様に被加熱芳香発生源を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.1mmである150本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。そして、比較例13の被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、結合剤であるCMC及びグルコマンナンが、それぞれ、4質量部及び1質量部、架橋PVPが10質量部、並びに、メントール及びキシリトールが、それぞれ、5質量部及び1.5質量部含まれている。
<比較例14>
微結晶セルロースを用いないということ除いては、実施例20と全く同様に被加熱芳香発生源を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)に含まれる組成物は、比較例13と同じである。
<比較例15>
微結晶セルロースを用いないということを除いては、実施例21と全く同様に被加熱芳香発生源を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.5mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。また、被加熱芳香発生基材3211(図3)に含まれる組成物は、比較例13と同じである。
<比較例16>
微結晶セルロースの替わりにメチルセルロースを用いることを除いては、実施例20と全く同様に被加熱芳香発生源を製造した。その結果、長さ12.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである50本の被加熱芳香発生基材集合体321が紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320は、被加熱芳香発生源320一つ当たり0.29gの被加熱芳香発生基材集合体321を含み、被加熱芳香発生源320の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体321の体積充填率が0.60であった。そして、比較例16の被加熱芳香発生基材3211(図3)には、芳香源材100質量部に対して、エアロゾルフォーマが60質量部、結合剤であるCMC及びグルコマンナンが、それぞれ、4質量部及び1質量部、メチルセルロースが15質量部、架橋PVPが10質量部、並びに、メントール及びキシリトールが、それぞれ、5質量部及び1.5質量部含まれている。
以上の実施例19〜22、並びに、比較例13〜16は、後述する喫煙試験において、ヒーターによるブレード型熱源のアイコス(登録商標)を用いた評価を行うために成形加工された。しかし、熱源により、加熱方式、最高到達温度、並びに、被加熱芳香発生源及び被加熱芳香カートリッジの構成等が異なり、評価結果に影響を及ぼす可能性があると考えられるため、同じ加熱式喫煙具であるが、電磁誘導加熱による全方位型熱源のグロー(登録商標)を用いた評価も行った。実施例23〜26、並びに、比較例17及び18は、被加熱芳香発生基材の組成及びその長手方向に垂直な断面形状は、実施例19〜22、並びに、比較例14及び16と対応しているが、グロー(登録商標)に対応した被加熱芳香発生源の長さ及び外径に成形加工された。
≪実施例23≫
実施例19と全く同様に製造された厚さ0.1mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.1mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、93本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.1mmである93本の被加熱芳香発生基材集合体421が、紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
≪実施例24≫
実施例20と全く同様に製造された厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が、紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
≪実施例25≫
実施例21と全く同様に製造された厚さ0.5mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.5mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、19本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.5mmである19本の被加熱芳香発生基材集合体421が、紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.64gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.60であった。
≪実施例26≫
実施例22と全く同様に製造された厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が、紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
<比較例17>
比較例14と全く同様に製造された厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が、紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
<比較例18>
比較例16と全く同様に製造された厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材は、縦150mm、横210mmの長方形にカッターで裁断された後、ロータリーカッターを使用して、長さ210mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの形状に裁断され、長い角柱状被加熱芳香発生基材が製造された。
この被加熱芳香発生基材は、31本が長手方向に揃えられた上で、坪量34g/m2の紙に巻かれて包み込まれ、糊付けされることによって、外径5.5mmの円柱状の巻物が製造された後、長さ42.0mmに切断され、被加熱芳香発生源が製造された。その結果、長さ42.0mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmである31本の被加熱芳香発生基材集合体421が、紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420は、被加熱芳香発生源420一つ当たり0.63gの被加熱芳香発生基材集合体421を含み、被加熱芳香発生源420の容積に対する被加熱芳香発生基材集合体421の体積充填率が0.59であった。
実施例19〜26、並びに、比較例13〜18で製造した被加熱芳香発生源を用い、微結晶セルロースの効果を具体的に現出することが可能である、次に示す評価7〜11を実施した。
[評価7]
実施例19〜22、並びに、比較例13〜16の被加熱芳香発生源320を用いて、評価1−1及び図1に記載したように、ブレード型熱源を備えた加熱式喫煙具100に装着して喫煙する被加熱芳香カートリッジ300を製造し、一回の喫煙を行った後、加熱式喫煙具100から被加熱芳香カートリッジ300を抜き取り、被加熱芳香発生基材3211(図3)の落下試験を行った。
落下試験は、喫煙後の被加熱芳香カートリッジ300の被加熱芳香発生源320を鉛直下方に向けて上下に3回振ることによって、被加熱芳香発生源320として紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322で巻装されている被加熱芳香発生基材3211(図3)の脱落又は落下の有無を観察した。評価基準は次のとおりである。
ランクA:脱落又は落下なし
ランクB:脱落又は落下あり
[評価8]
評価7同様、実施例19〜22、並びに、比較例13〜16の被加熱芳香発生源320を用いて、評価1−1及び図1に記載したように、ブレード型熱源を備えた加熱式喫煙具100に装着して喫煙する被加熱芳香カートリッジ300を製造した。
この被加熱芳香カートリッジ300の20本が、長辺70mm、短辺14mm、高さ45mmである紙製の箱の底に、被加熱芳香発生源320を接触させて垂直に箱詰めされた後、45℃で2週間放置された。その後、箱から被加熱芳香カートリッジ300を取り出し、被加熱芳香カートリッジ300の被加熱芳香発生源を鉛直下方に向けて上下に3回振ることによって、被加熱芳香発生源320として紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322で巻装されている被加熱芳香発生基材3211(図3)の脱落又は落下の有無を観察した。評価基準は次のとおりである。
ランクA:脱落又は落下なし
ランクB:脱落又は落下あり
[評価9]
実施例23〜26、並びに、比較例17及び18の被加熱芳香発生源420を用いて、評価1−2及び図2に記載したように、全方位型熱源を備えた加熱式喫煙具200に装着して喫煙する被加熱芳香カートリッジ400を製造した後、この被加熱芳香カートリッジ400の20本が、長辺55mm、短辺12mm、高さ85mmである紙製の箱の底に、被加熱芳香発生源420を接触させて垂直に箱詰めされた後、45℃で2週間放置された。
このように放置された箱から、被加熱芳香カートリッジ400を取り出し、図2に示すように、被加熱芳香カートリッジ400を加熱式喫煙具200に装着して喫煙した後、抜き取るという一連の操作を行って、被加熱芳香カートリッジ400の操作性を評価する脱着試験を行った。評価基準は次の通りである。
ランクA:脱着時に被加熱芳香カートリッジの変形及び被加熱芳香発生基材の脱落なし
ランクB:脱着時に被加熱芳香カートリッジの変形及び被加熱芳香発生基材の脱落あり
[評価10]
評価9と同様に、被加熱芳香カートリッジ400が箱詰めされ、45℃で2週間放置された後、箱から被加熱芳香カートリッジ400を取り出し、被加熱芳香発生源420を鉛直下方に向けて上下3回振ることによって、被加熱芳香発生源420として紙製の被加熱芳香発生基材ラッピング部材422で巻装されている被加熱芳香発生基材の脱落又は落下の有無を観察した。評価基準は次のとおりである。
ランクA:脱落又は落下なし
ランクB:脱落又は落下あり
[評価11−1]
評価7〜10の結果が現出する要因は、次のように考えられる。芳香源材及びエアロゾルフォーマが、結合剤を介して混合、分散されるための、圧縮及び剪断によりシート成形可能な、例えば、3本ロールミルを用いる被加熱芳香発生基材のシート製造において微結晶セルロースが添加されると、そのシートの凝集破壊及び金属ロールとの付着が効果的に防止され、均質な混合及び分散が行われるので、密度の高い被加熱芳香発生基材が生成されるものと考えられる。また、水やエタノール等の溶媒を吸収することがない微結晶セルロースは、粉末状で被加熱芳香発生基材内に存在するので、微結晶セルロースが補強材として作用し、強度に優れた被加熱芳香発生基材が生成されるものと考えられる。従って、このような微結晶セルロースを含有する被加熱芳香発生基材は、乾燥等による継時的体積収縮が低減するものと推測される。
そこで、被加熱芳香発生基材の加熱乾燥による体積収縮に伴う被加熱芳香発生基材の形状変化率を測定して、評価7〜10との相関性を検討した。加熱乾燥による体積収縮に伴う変化率の具体的な方法は、次の通りである。実施例20及び22、並びに、比較例14及び16において製造した厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材を、長さ50mm、幅15mmの長方形に裁断した角柱状被加熱芳香発生基材の体積収縮を測定する試験片とした。加熱乾燥は、ハロゲン水分計(電子ハロゲン水分測定器)(Bangxi Instrument Technology Co.Ltd.社製、型番:DHS−50−5)を使用し、ハロゲン水分計の試料皿に試験片を載置し、カバー内に設置されたハロゲンランプによって、試料皿上部から試験片を加熱した。加熱温度は105℃とし、乾燥時間0分、10分、及び、15分における試験片の長さ、幅、及び、厚さを測定した。それらの測定値を用い、表4−1に示す変化率の定義式から、長さ50mm、幅15mm、厚さ0.3mmの試験片の10分乾燥後の長さ変化率La(%)、幅変化率Wa(%)、幅変化率Wa(%)、及び、厚さ変化率Ta(%)、並びに、長さ50mm、幅15mm、厚さ0.3mmの試験片の15分乾燥後の長さ変化率Lb(%)、幅変化率Wb(%)、幅変化率Wb(%)、及び、厚さ変化率Tb(%)を算出した。ここで、乾燥時間0分の試験片の長さ、幅、及び、厚さは、28℃〜30℃の温度で、相対湿度40%RH程度の雰囲気で保管することにより調整された、水分含有量15〜20質量%であるときの測定値を用いた。
[評価11−2]
評価11−1と同様の目的であるが、試験片の形状によりその比表面積は異なり、体積収縮に影響を及ぼす可能性があるため、評価7〜10と体積収縮との相関性に関する試験片の形状依存性について検討した。すなわち、評価1−1同様、実施例20及び22、並びに、比較例14及び16において製造した厚さ0.3mmのシート状被加熱芳香発生基材を使用するが、長さ12mm、幅1.5mmの長方形に裁断した角柱状被加熱芳香発生基材を体積収縮の測定試験片とした。
測定方法は、評価1−1と全く同様に行い、表5−1に示す変化率の定義式から、長さ12mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの試験片の10分乾燥後の長さ変化率La(%)、幅変化率Wa(%)、幅変化率Wa(%)、及び、厚さ変化率Ta(%)、並びに、長さ50mm、幅15mm、厚さ0.3mmの試験片の15分乾燥後の長さ変化率Lb(%)、幅変化率Wb(%)、幅変化率Wb(%)、及び、厚さ変化率Tb(%)を算出した。ここでも、乾燥時間0分の試験片の長さ、幅、及び、厚さは、28℃〜30℃の温度で、相対湿度40%RH程度の雰囲気で保管することにより調整された、水分含有量15〜20質量%であるときの測定値である。
以上、評価7〜11に使用した、実施例19〜26、並びに、比較例13〜18の組成、並びに、被加熱芳香発生源に使用した被加熱芳香発生基材の形状及び本数を表3−1に、また、評価7〜11の結果を表3−2に示す。更に、表4−1及び表5−1に定義された被加熱芳香発生基材の体積収縮による形状変化率の計算値を表4−2及び表5−2に示す。
表3−2に示す各落下試験及び脱着試験の結果における、実施例19〜22と比較例14〜16との比較、及び、実施例23〜26と比較例17及び18との比較から明らかなように、被加熱芳香発生基材の長手方向に垂直な断面形状にかかわらず、微結晶セルロースを含有する被加熱芳香発生基材を用いて製造された被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジは、継時的な乾燥及び喫煙による加熱乾燥に暴露されても、体積収縮に起因すると考えられる被加熱芳香発生基材の脱落や落下の問題を解消することができた。この問題は、ヒーターによるブレード型熱源と電磁誘導加熱による全方位型熱源とでは異なる、加熱方式、最高到達温度、並びに、被加熱芳香発生源及び被加熱芳香カートリッジの構成等にかかわらず、微結晶セルロースの添加によって解決された。
この微結晶セルロースの効果は、長さ50mm、幅15mm、厚さ0.3mmの試験片における形状変化率を示す表4−2分かるように、微結晶セルロースを2質量%含有する被加熱芳香発生基材の10分乾燥後の長さ変化率La=7.2%、幅変化率Wa=5.7%、及び、厚さ変化率Ta=1.2%、並びに、15分乾燥後の長さ変化率Lb=8.1%、幅変化率Wb=6.1%、及び、厚さ変化率Tb=1.5%の少なくともいずれか一つを閾値とすれば良く、これらの閾値を同時に全て満足する必要はない。そして、表3−2に示すように、この形状変化率を満足すれば、各落下試験及び脱着試験の結果と良い相関性が得られる。このように、長さ、幅、及び、厚さのいずれか一つを満足すれば良い理由は、表4−2では明確に認められないが、更に長手方向に垂直な断面の面積が小さい被加熱芳香発生基材を乾燥すると歪みが生じ、芳香源材として植物の茎葉等が分散されている被加熱芳香発生基材には異方性があるためである。
この相関性は、長さ12mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmの試験片における形状変化率を示す表5−2においては、微結晶セルロースを2質量%含有する被加熱芳香発生基材の10分乾燥後の長さ変化率La’=4.8%、幅変化率Wa’=5.0%、及び、厚さ変化率Ta’=1.2%、並びに、15分乾燥の長さ変化率Lb’=5.8%、幅変化率Wb’=5.1%、及び、厚さ変化率Tb’=1.5%の少なくともいずれか一つを閾値とすれば良く、これらの閾値を同時に全て満足する必要はない。この場合も、表3−2に示すように、この形状変化率を満足すれば、各落下試験及び脱着試験の結果と良い相関性が得られる。
このように、本発明の被加熱芳香発生基材は、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、結合剤等の性質の異なる素材からなるものであるが、添加剤の種類及びその添加方法、並びに、その組成物の養生等の製造法、架橋PVPの添加及びその添加方法、並びに、微結晶セルロースの添加によって、芳香源材、エアロゾルフォーマ、及び、結合剤等の均質な混合及び分散が可能となり、容易な継時的芳香剤の散逸の防止と共に、継時的な形状の収縮及び加熱による形状の収縮の防止を実現した、高品質な被加熱芳香発生基材を提供するものである。
その結果、本発明の被加熱芳香発生基材から構成される被加熱芳香源を備えた被加熱芳香カートリッジを加熱式喫煙具に脱着する際の、被加熱芳香発生源の変形、被加熱芳香発生基材の脱落及び落下等の問題を解決し、この成形加工に必要な強靭性及び強度を付与すると共に、加熱された芳香源材から揮発される芳香を十分に味わえる被加熱芳香発生基材を提供することができる。
また、本発明の被加熱芳香発生基材は、芳香剤としてメントールやキシリトール等の清涼化剤を添加した場合に、芳香剤や清涼化剤の経時的散逸が抑制され、それを含む被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジを長期間保管した後も、加熱式喫煙具に装着して喫煙する際に、被加熱芳香発生基材の芳香を十分に味わうことができる。
更に、本発明の被加熱芳香発生基材は、乾燥による寸法変化が少なく、それを含む被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジを加熱式喫煙具に装着して喫煙した後においても、被加熱芳香カートリッジからの被加熱芳香発生基材の脱落や落下がなく、長期間保管した後においても、被加熱芳香カートリッジからの被加熱芳香発生基材の脱落や落下がなく、ハンドリング性に優れ、加熱式喫煙具の熱源の汚染を防止可能な被加熱芳香発生基材を提供することができる。
本発明は、更に、このような被加熱芳香発生基材を用いた被加熱芳香発生源、その被加熱芳香発生源を備えた被加熱芳香カートリッジを提供することを目的としているので、以下、図を用いて具体的に説明するが、本発明の被加熱芳香発生源及び被加熱芳香カートリッジもこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
図1は、ヒーターによるブレード型熱源に適した、上記実施例及び比較例で使用した被加熱芳香カートリッジ300の一例を示している。この本発明の一実施形態に係る被加熱芳香カートリッジ300は、本発明の被加熱芳香発生基材3211(図3)の集合体321が被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装された被加熱芳香発生源320と、この被加熱芳香発生源320の長手方向の吸引側の一端に着接された支持部材331と、この支持部材331の長手方向の吸引側の一端に着接されたフィルター部材333とが、被加熱芳香カートリッジ外装部材310によって巻装された状態で、支持部材331とフィルター部材333とからなるマウスピース330のフィルター部材333部分辺りにマウスピース補強部材3301で巻装されている。
図2は、電磁誘導加熱による全方位型熱源に適した、上記実施例及び比較例で使用した被加熱芳香カートリッジ400の一例を示している。この本発明の一実施形態に係る被加熱芳香カートリッジ400は、本発明の被加熱芳香発生基材の集合体421が被加熱芳香発生基材ラッピング部材422に巻装された被加熱芳香発生源420と、この被加熱芳香発生源420の長手方向の吸引側の一端に着接された冷却部材432と、この冷却部材432の長手方向の吸引側の一端に着接されたフィルター部材433と、このフィルター部材433の長手方向の吸引側の一端に着接された中空菅434とが、被加熱芳香カートリッジ外装部材410によって巻装されている。
しかし、本発明の被加熱芳香カートリッジは、このような構成に限定されるものではなく、風味、煙、吸引量、及び、コスト等に関する喫煙者の好みに応じた多様な構成とすることが可能なことに特徴を有する。
この多様な構成を図1示したブレード型熱源に適した被加熱芳香カートリッジ300を用いて説明するが、本発明の被加熱芳香カートリッジは、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
まず、本発明の被加熱芳香カートリッジ300を構成する被加熱芳香発生源320は、図1に示した通り、被加熱芳香発生基材3211(図3)の集合体321が被加熱芳香発生基材ラッピング部材322に巻装されていることを特徴としている。図3の被加熱芳香発生源の長手方向に垂直な断面図から明らかなように、本発明の被加熱芳香発生基材集合体321は、角柱状の被加熱芳香発生基材(単体)3211と、この被加熱芳香発生基材3211が不規則に接触して形成される被加熱芳香発生基材一次凝集体3212とからなり、このような被加熱芳香発生基材集合体321内部、及び、被加熱芳香発生基材集合体321と被加熱芳香発生基材ラッピング部材322との間に、一次凝集体内気体流路321A、一次凝集体間気体流路321B、基材単体/一次凝集体間気体流路321C、基材集合体/ラッピング部材間気体流路321D等が形成され易いような、被加熱芳香発生基材3211の断面形状及び長手方向に平行な配列状態となっていることを特徴としている。
しかし、被加熱芳香発生基材の断面形状は、図3示す四角形であることが、生産性及び気体流路形成を両立するために好ましいが、多角形、星型多角形であることが気体流路の形成という観点からより好ましい。更に、被加熱芳香発生基材が中空であることがより更に好ましい。
また、必ずしも角柱状である必要はなく、シート状であっても良く、この場合は、被加熱芳香発生源の長手方向に平行に不規則に折り畳まれることが、気体流路の形成上好ましい。
更に、後述するように、被加熱芳香発生源は、必ずしも被加熱芳香発生基材ラッピング部材を必要とするものではなく、例えば、図4における被加熱芳香カートリッジ外装部材310に相当する外装部材に直接巻装されてもよい。この場合、外装部材には、被加熱芳香カートリッジを構設する上で、強度を有する材質であることが好ましい。
また、被加熱芳香ラッピング部材は、必ずしも紙である必要はない。ブレード型熱源と接触することはなく、被加熱芳香発生基材のエアロゾルフォーマ耐性が必要であるため、プラスチックフィルムの方が紙よりも適している。特に、環境保護という点では、生分解性プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等のプラスチック及びエンジニアリングプラスチック等を、生分解性プラスチックとしては、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリ(L-ラクチド)(PLA)等を挙げることができる。これらの材質は、後述する、被加熱芳香カートリッジ外装部材310、支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333のフィルターラッピング部材3331、及び、中空管334にも適用することができるが、それぞれの用途に応じた機能を発現する形状に成形加工される必要がある。
本発明の一実施形態に係る図1の被加熱芳香カートリッジ300は、被加熱芳香発生源320と、この被加熱芳香発生源320の長手方向の吸引側の一端に着接された支持部材331と、この支持部材331の長手方向の吸引側の一端に着接されたフィルター部材333とから構成され、被加熱芳香カートリッジ外装部材310によって巻装された状態で、更に、支持部材331とフィルター部材333とからなるマウスピース330のフィルター部材333部分辺りにマウスピース補強部材3301で巻装されている。しかし、マウスピース補強部材3301は、必ずしも必要がなく、少なくとも、被加熱芳香カートリッジ外装部材310に相当する外装部材があればよい。すなわち、必須構成要素である被加熱芳香発生源を除けば、図4に示す、主として被加熱芳香発生源の吸引側への移動を防止する機能を有する支持部材331、主として揮発したエアロゾルフォーマを冷却して煙となるエアロゾルの生成を促進する機能を有する冷却部材332、主として被加熱芳香発生源から生成する揮発成分及び煙から雑味となる成分を濾過する機能を有するフィルター部材333、及び、主として口に咥え易い機能を有する中空管334から選択される少なくとも一つ以上を備えていればよい。そして、図4に示すように、支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333、中空管334から選択される少なくとも一つ以上からマウスピース330が構成される。ただし、これらをマウスピースとして二つ以上配備する場合には、被加熱芳香発生源から長手方向の吸引側に配列される規則が存在し、支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333、中空管334という位置関係が順守されていることが好ましい。
例えば、本発明の一実施形態に係る被加熱芳香カートリッジ300は、図5に示すように、被加熱芳香発生基材集合体321が被加熱芳香発生基材ラッピング部材322で巻装された被加熱芳香発生源320が、唇で咥えても形状を保持できる耐水性と耐圧性を有する被加熱芳香カートリッジ外装部材310の一端に固定されていることを特徴としている。被加熱芳香発生源320と被加熱芳香カートリッジ外装部材310とだけからなる簡単な構造の被加熱芳香カートリッジの一つである。この場合、の被加熱芳香発生源320以外の部分の被加熱芳香カートリッジ外装部材310が、マウスピース330の役割を果たす中空管334となっている。
最も簡単な被加熱芳香カートリッジは、図5の被加熱芳香発生源320の被加熱芳香発生基材ラッピング部材322が備えられていないものであるが、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322で巻装された被加熱芳香発生源320の方が、被加熱芳香カートリッジを製造する上で取り扱い易くて好ましい。
また、例えば、本発明の一実施形態に係る被加熱芳香カートリッジ300は、図6に示すように、被加熱芳香発生基材集合体321が被加熱芳香発生基材ラッピング部材322で巻装された被加熱芳香発生源320の長手方向の吸引側の一端に、唇で咥えても形状を保持できる耐水性と耐圧性を有する材質で形成された中空管334が着接された状態で、被加熱芳香カートリッジ外装部材310に巻装されていることを特徴としており、中空管334がマウスピース330の役割を果たしている。
この図6に示した被加熱芳香カートリッジ300をベースとして、本発明の被加熱芳香カートリッジは、多様な構成の被加熱芳香カートリッジとすることができる。すなわち、中空管334を、図4に示した支持部材331、冷却部材332、及び、フィルター部材333の中から選択される少なくとも一つ以上を置き換えることができる。また、中空管334を残して、図4に示した支持部材331、冷却部材332、及び、フィルター部材333の中から選択される少なくとも一つ以上を付加することができる。そして、これらをマウスピースとして二つ以上配備する場合には、被加熱芳香発生源から長手方向の吸引側に配列される規則が存在し、支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333、中空管334という位置関係が順守されていることが好ましい。
このようにして被加熱芳香カートリッジが構設される場合、マウスピース330として使用する支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333、及び、中空管334が、それらの材質及び構造に応じて、個々のラッピング部材で巻装され、被加熱芳香発生源320と共に、被加熱芳香カートリッジ外装部材310によって巻装されることができる。また、マウスピース330として使用する支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333、及び、中空管334が、一括してラッピング部材で巻装された後、被加熱芳香発生源320と共に、被加熱芳香カートリッジ外装部材310によって巻装されることもできる。ただし、被加熱芳香カートリッジの構設方法は、これらに限定されるものではない。
図7には、マウスピース330として、マウスピース補強部材3301、支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333、及び、中空管334を備えた、本発明の一実施形態に係る被加熱芳香カートリッジ300を示す。被加熱芳香発生基材集合体321が被加熱芳香発生基材ラッピング部材322で巻装された被加熱芳香発生源320の長手方向の吸引側の一端に、支持部材331が着接され、その支持部材331の長手方向の吸引側の一端に中空円筒状の冷却部材332が着接され、更に、その冷却部材の長手方向の吸引側の一端に、フィルターラッピング部材3331で巻装されたフィルター部材333が着接され、そして、そのフィルター部材333の長手方向の吸引側の一端に、中空菅334が着接され、これらが一括して、被加熱芳香カートリッジ外装部材310で巻装された後、マウスピース330のフィルター部材333及び中空菅334の部分がマウスピース補強部材3301で補強されていることを特徴とする被加熱芳香カートリッジである。
図7に示された被加熱芳香カートリッジ300は、この構成に限定されず、支持部材331、冷却部材332、及び、中空菅334が、それぞれに適したラッピング部材で巻装されていてもよいし、被加熱芳香発生源320及びフィルター部材333が、それぞれ、被加熱芳香発生基材ラッピング部材322及びフィルターラッピング部材3331が巻装されていなくてもよい。また、支持部材331、冷却部材332、フィルター部材333、及び、中空菅334が、一括してマウスピースラッピング部材で巻装された後、支持部材331の一端と被加熱芳香発生源320の一端とが着接された後、これら全体が被加熱芳香カートリッジラッピング部材310で巻装されてもよい。その他、様々な部材の選択及び構設方法により多様な被加熱芳香カートリッジが製造されうる。
以上、ヒーターによるブレード型熱源を備えた加熱式喫煙具に装着して使用される被加熱芳香カートリッジ300を取り上げて、本発明の被加熱芳香カートリッジを説明してきたが、これらは、電磁誘導加熱による全方位型熱源を備えた加熱式喫煙具に装着して使用される被加熱芳香カートリッジ400に適用可能な技術である。しかし、全方位型熱源を備えた加熱式喫煙具に装着して使用される被加熱芳香カートリッジ400は、被加熱芳香発生源320全体が約240℃に加熱されるため、被加熱芳香発生基材ラッピング部材及び被加熱芳香カートリッジ外装部材の紙代替え材料として、プラスチック、エンジリアリングプラスチック、及び、生分解性プラスチック等を適用することはできない。約300℃でガラス転移又は熱分解が開始される(紙を構成する)セルロース繊維と同等の耐熱性、すなわち、240℃以上のガラス転移温度を有する特殊エンジニアプラスチックを適用する必要がある。このような特殊エンジニアプラスチックとしては、例えば、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリトリアジン、液晶ポリマー等を挙げることができる。
ただし、全方位熱源の熱が伝達されない支持部材、冷却部材、フィルター部材のフィルターラッピング部材、及び、中空管等には、プラスチック、エンジリアリングプラスチック、及び、生分解性プラスチックを適用することができ、環境保全の観点から、生分解性プラスチックを用いることが好ましい。ただし、それぞれの用途に応じた機能を発現する形状に成形加工される必要がある。