JP2021106762A - 血液処理フィルター - Google Patents

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信量 島田
Nobukazu Shimada
信量 島田
愛子 佐藤
Aiko Sato
愛子 佐藤
朋久 横溝
Tomohisa Yokomizo
朋久 横溝
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Abstract

【課題】作業効率(濾過時間延長の抑制)と血液回収量(残血量の抑制)とに優れた血液処理フィルターを提供する。【解決手段】濾材2と、被濾過対象物の流入口7及び流出口8を有する可撓性の収納容器1と、を備える血液処理フィルターFである。濾材2は、収納容器1の内部に収納されるとともに、平面視で被濾過対象物の濾過領域を囲うように形成された接合部5によって収納容器1に接合されている。接合部5は、濾過領域を囲う複数の辺を形成する平面視直線状の第一部分と、第一部分の端部同士を接続して隅部を形成する平面視直線状又は曲線状の第二部分と、を有し、第一部分及び第二部分によって形成される濾過領域の面積S1は、第一部分が各々仮想的に延長され接続されることによって形成される仮想濾過領域の面積S0の93.5%以上99.0%以下に設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、血液処理フィルターに関する。本発明は、好ましくは、血液、すなわち、全血や血液製剤(全血から調製して得られた液体、及び、これに各種添加剤が添加された液体)等の血液成分を含む液体から凝集物や白血球等の好ましくない成分を除去するための血液処理フィルターに関する。
輸血の分野においては、供血者から採血した血液に抗凝固剤を添加した全血製剤を輸血する、いわゆる全血輸血に加えて、全血製剤から受血者が必要とする血液成分を分離し、その血液成分を輸注する、いわゆる成分輸血が一般的に行われるようになっている。成分輸血には、受血者が必要とする血液成分の種類により、赤血球輸血、血小板輸血、血漿輸血などがあり、これらの輸血に用いられる血液製剤には、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などがある。
また、最近では、血液製剤中に含まれている白血球を除去してから血液製剤を輸血する、いわゆる白血球除去輸血が普及してきている。これは、輸血に伴う頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応などの比較的軽微な副作用、及び、受血者に深刻な影響を及ぼすアロ抗原感作、ウィルス感染、輸血後GVHDなどの重篤な副作用が、主として輸血に用いられた血液製剤中に混入している白血球が原因で引き起こされることが明らかになったためである。頭痛、吐き気、悪寒、発熱などの比較的軽微な副作用を防止するためには、血液製剤中の白血球を、残存率が10-1〜10-2以下になるまで除去すればよいと言われている。また、重篤な副作用であるアロ抗原感作やウィルス感染を防止するためには、白血球を残存率が10-4〜10-6以下になるまで除去する必要があると言われている。また、近年ではリウマチ、潰瘍性大腸炎等の疾患の治療に、血液の体外循環による白血球除去療法が行なわれるようになってきており、高い臨床効果が得られている。
現在、血液製剤から白血球を除去する方法には、大きく分けて、遠心分離機を用いて血液成分の比重差を利用して白血球を分離除去する遠心分離法と、不織布等の繊維集合体又は連続気孔を有する多孔構造体などからなるフィルター要素を用いて白血球を除去するフィルター法と、の2種類がある。白血球を粘着又は吸着により除去するフィルター法は、操作が簡便であること、及びコストが安いことなどの利点を有するため現在最も普及している。
上記フィルターを使用することの欠点は、フィルターが内部に空隙を有するため、血液路濾過する際にフィルター内に血液が残留してしまい、有用な血液が一定量失われてしまうことである。
輸血市場で現在行われる白血球濾過の回数は年間5000万回といわれる。かりに、フィルター内の血液ロス量が35mLである全血用のフィルターに対して、新型フィルターにより1mLの全血ロス量の削減に成功した場合に、年間採血回数の1/10、つまり500万回実施したケースにおいて、年間の全血ロス削減量は以下のようになる。
1/1000×500×10000=5000(L)
一般に全血中の血漿成分は容量60%程度であり、血漿製剤の市場価格は少なくとも10円/mLとみられることから、収益効果は
5000×1000×0.6×10=0.3(億円)
となり、わずか1mLの血液ロス削減でも、年間採血回数が多く、かつ血液製剤の調製システムが完成されている先進国市場(例えば日本、欧州)では、莫大な収益性を生むことが自明である。
このような状況を改善する手段として、近年においては、可撓性容器より成るフィルターの濾過方向に対して出口側に配置される出口部より下部に含まれる濾過部面積を小さくすることで残血量を減少させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、特許文献1に開示された技術においては、通常四角形型の濾過部を有するフィルターに対して、四角形を六角形ないし楕円形、円形にすることで出口部より下部の濾過部面積の比率を減少させることが有効である、としている。
特願2111−072827
上記文献の問題点は、単純に濾過部の形状を変化させ面積を小さくしただけでは、血液が流れる面積が小さくなるため、結果として濾過に要する時間が長くなり、血液センター等での作業効率が低下することである。ここで着目すべきは、不織布などのフィルター要素を積層させて圧着して製作するフィルターの場合は、圧着される端部はフィルター要素の密度が高いため、粘性の高い血液は有効に流れることができず、結果として濾過に使用されていないという点である。すなわち、見かけ上の濾過部の内側にある濾過に有効な濾過部の面積(以後、有効濾過面積と呼ぶ)を低下させることなく、濾過部面積を減少させることで、濾過時間を延長させずに残血量を減少させることが課題である。
したがって、本発明は、作業効率(濾過時間延長の抑制)と血液回収量(残血量の抑制)とに優れた血液処理フィルターを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、血液フィルター濾過部の頂点部分に一定の丸みを持たせる設計を行うことで、有効濾過面積を損なうことなく見かけの濾過面積を低下させ、結果として濾過性能と回収量の最適化を図ることに成功した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]濾材と、被濾過対象物の流入口及び流出口を有する可撓性の収納容器と、を備える血液処理フィルターであって、
濾材は、収納容器の内部に収納されるとともに、平面視で被濾過対象物の濾過領域を囲うように形成された接合部によって収納容器に接合されており、
接合部は、濾過領域を囲う複数の辺を形成する平面視直線状の第一部分と、第一部分の端部同士を接続して隅部を形成する平面視直線状又は曲線状の第二部分と、を有し、
第一部分及び第二部分によって形成される濾過領域の面積S1は、第一部分が各々仮想的に延長され接続されることによって形成される仮想濾過領域の面積S0の93.5%以上99.0%以下に設定されている、血液処理フィルター。
[2]濾過領域は、平面視多角形状を呈しており、
接合部の第二部分は、平面視円弧形状を呈する曲線部を有しており、
曲線部に隣接し、仮想濾過領域上の仮想的に延長された直線の長さLは、仮想濾過領域の第一方向における最大長さL1及び第一方向に直交する第二方向における最大長さL2に対して各々1/8以上1/4以下に設定されている、[1]に記載の血液処理フィルター。
[3]濾材の面積S2は、濾過領域の面積S1の162%以上200%未満となるように設定されている、[1]または[2]に記載の血液処理フィルター。
[4]接合部の外縁から濾材の外縁までの距離L3は、略一定の値に設定されている、[1]から[3]の何れかに記載の血液処理フィルター。
[5]接合部の外縁から濾材の外縁までの距離L3は、1mm以上10mm以下に設定されている、[4]に記載の血液処理フィルター。
[6]濾過領域は、平面視略矩形状を呈している、[1]から[5]の何れかに記載の血液処理フィルター。
本発明によれば、作業効率(濾過時間延長の抑制)と血液回収量(残血量の抑制)とに優れた血液処理フィルターを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る血液処理フィルターの概略図である。 本発明の一実施形態に係る血液処理フィルターの断面図である。 本発明の一実施形態に係る血液処理フィルターの接合部等を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係る血液処理フィルターの接合部の曲線部等を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係る血液処理フィルターの接合部内部の面積等を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係る血液処理フィルターのはみ出し部を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係る血液処理フィルターの接合部の曲線部の曲率半径の算出方法を説明するための説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下、特に明記しない限り、「血液」の用語には、血液及び血液成分含有液体が含まれるものとする。血液成分含有液体としては、例えば、血液製剤が挙げられる。血液製剤としては、例えば、全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤等が挙げられる。
本実施形態の血液処理フィルターは、例えば、血液の流入口及び流出口を有する収納容器と、収納容器内の、流入口と流出口との間に配置された濾材と、を含む。濾材は、収納容器の内部に収納されるとともに、平面視で被濾過対象物の濾過領域を囲うように形成された接合部によって収納容器に接合されている。
本実施形態の血液処理フィルターは、例えば、濾材と、この濾材を挟んで配置された流口側容器材及び流出口側容器材と、を含み、流入口側容器材及び流出口側容器材を、濾材の外縁部と溶着等により接合し、これにより濾材を容器に把持させた構造とすることができる。
図1はこのような血液処理フィルター(白血球除去フィルター)Fの一実施形態の概略図であり、図2は図1の断面図である。図1及び図2に示すように、血液処理フィルターFは、扁平型の収納容器1と、その内部に収容され実質的に乾燥状態である濾材2と、を有している。濾材2を収納する収納容器は、流入口7を有する流入口側容器材F1と、流出口8を有する流出口側容器材F2と、の2つの要素を有している。濾材2によって、扁平型の収納容器1内の空間は流入口側の空間と流出口側の空間とに仕切られている。この血液処理フィルターFにおいては、流入口側容器材F1と流出口側容器材F2が濾材2を挟んで配置されており、濾材2と収納容器1とが溶着等により接合され、これにより濾材の接合部5を容器に把持させた構造をとる。
また、一実施形態においては、2つの容器材が、各々の一部に設けられた把持部で濾材の外縁部を挟みつけて把持する構造としてもよい。
本願発明においては、例えば接合部5が凡そ長方形の形状からなる場合に、その長方形の四隅の頂点部に曲線部を設けることにより、接合部5の内側の面積を小さくして、結果として接合部5内の濾材2中の空隙に残留することで失われる血液の量を減少させ、もって血液の回収率を向上させることを特徴とする。しかし、単純に濾過面積を小さくすると、血液の処理流速が低下するため、濾過時間が延長してしまい、作業効率が低下するのみならず、更には白血球除去率までも低下し、血液製剤の品質が悪化する。そのため、この曲線部の配置を最適化することが求められる。
具体的には、接合部5は、濾過領域を囲う複数の辺を形成する平面視直線状の第一部分と、第一部分の端部同士を接続して隅部を形成する平面視曲線状(円弧状)の第二部分と、を有し、第一部分及び第二部分によって形成される濾過領域の面積(接合部の内部の面積)S1は、第一部分が各々仮想的に延長され接続されることによって形成される仮想濾過領域の面積(曲線がないと仮定した場合の接合部5の内部の面積)S0の93.5%以上99%以下に設定されることが必要である。より好ましくは、94%以上98%以下、さらに好ましくは、94%以上97.5%以下である。面積がこれより大きい場合は、血液のロス量が多くなり、面積が小さい場合は、処理流速が低下し、濾過時間が延長する。
接合部5は通常接合部分に一定の強度を持たせるために、3mm〜7mmの幅を持たせている。本願でいう濾過領域の面積とは、接合部5の内側のラインにより閉じられた面積を指す。例えば図3でいうと、接合部5はグレーの太線部を示しており、接合部5の内側のラインとは、破線部を指す。この破線部が形成する面積を濾過領域の面積と呼ぶ。なお、接合部5は、遠心時に割れやひびなどを生じさせず、取り扱い性を向上させるために、より望ましくは4mm〜6mmの幅を有することが好ましい。
さらに、より好ましくは、図4に示すように、曲線部に隣接し、仮想濾過領域上の仮想的に延長された直線(以下、「仮想延長部」と称する)の長さLは、仮想濾過領域の第一方向における最大長さL1及び第一方向に直交する第二方向における最大長さL2に対して各々1/8以上1/4以下に設定されていることが好ましい。理由は、1/4よりも大きい場合、曲線部が大きくなるため、接合部5にそって形成される濾材2の圧縮部も拡張し、結果として有効な濾過面積が低下し、濾過時間延長につながる。また、1/8よりも小さい場合、曲線部の形成による接合部面積の縮小が限定的となり、ロス量削減効果が失われる。さらに、濾材2の圧縮部が縮小するため、その分より多くの血液が濾材2内に残り、やはりロス量削減効果が低下する。なお、図4に示すように、曲線部の両端には角が形成されていてもよい。曲線部の両端に角がある場合(実線)の仮想延長部Lの長さは、曲線部の両端に角がない場合(破線)の仮想延長部Lの長さよりも短くなる。また、第一部分の端部同士を接続して隅部を形成する第二部分は、平面視曲線状のものに限られず、平面視直線状のものでもよい。この場合、濾過領域は平面視多角形状を呈することとなる。
例として、図5に示すように、接合部5に中心角90度より成る円弧を有し、かつ仮想的に接合部5に曲線部がないと仮定した場合に、接合部5の内側が61mm(L1)×80mm(L2)の角型形状よりなるケースを想定する。この場合、図4に示す要件を満たす場合には、「接合部5に曲線部がないと仮定した場合の接合部5内部の面積S0に対する、曲線部を有する接合部5の面積S1」は93.5%以上99.0%以下となる。
本願では接合部5の形状に着目しているので、接合部5を含む濾材2全体の形状は、特に規定されるものではないが、望ましくは濾材2の形状と、仮想的に接合部5に曲線部がないと仮定した場合の接合部5の外縁から濾材2の外縁までの距離L3(以下、「はみ出し部厚み」と呼ぶ)が一定の値を有することが望ましい。これは、図6に示すようにはみ出し部の領域が不当に小さいあるいは大きくなることで、前者はフィルターF取扱時に接合部に強い力がかかることでひび割れが発生し、血液濾過時にリークが発生し製剤が適切に濾過されず、結果として製剤が使用できない場合があること、後者は濾材2が大きいことで、例えば遠心カップに入らないという不具合が発生したり、濾材2の生産性やコストが増大したりするためである。とりわけ接合部5の溶着不良が仮に発生した場合に、通常はリーク(エア漏れ)検査により検出すべきところ、後者の場合でははみ出し部厚みが厚すぎることで、リークの検出が正常に作動せず、結果として溶着不良品が誤って出荷されてしまうという重大な品質不良につながるリスクも発生しうる。可撓性容器の場合は、上記のはみ出し部厚みL3は1mm以上10mm以下、望ましくは汎用遠心機での遠心時に、耐遠心性をより確実に保持しつつ、カップへの重点性を担保する上で、3mm以上7mm以下であることが望ましい。
上記のはみ出し部は、厚みに加えて、フィルターFの濾過面積S1に対して濾材2全体の面積S2が占める割合で考慮することも有効である。なぜならば、S1が大きくなるにつれフィルターF全体が大型化するため、例えばそのフィルターFを遠心する場合にフィルターF全体に掛かる遠心力を支えるためには、よりはみ出し部の厚みも厚くなる必要があるからである。従って、フィルターFの取扱時の強度を十分に保ちつつ、大きすぎて遠心カップに入らないなど不要な不具合を除く上では、S2はS1の162%以上200%未満となることが好ましい。より好ましくは、162%以上170%未満である。
上記の濾過領域の面積等については、フィルターFの外観より接合部を定規、あるいはノギス、あるいはCNC画像測定機等を用いて長さを測定することで、簡単に計算することが可能である。なお、端部の曲線部が円弧からなる場合に、必要であれば図7に示す式を使用することで、曲線部のR値を計算することができる。
[収納容器]
収納容器1の材質としては、例えば、硬質性樹脂、可撓性樹脂等が挙げられる。硬質性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂、ABS樹脂、ナイロン、ポリウレタン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられ、好ましくは、熱的安定性や成形性が良好なポリカ―ボネートである。可撓性樹脂は、濾材と熱的及び電気的に性質が類似したものが好ましい。可撓性樹脂としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水添物、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体またはその水添物等の熱可塑性エラストマー、及び、熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン−エチルアクリレート等の軟化剤との混合物等が挙げられる。好ましくは、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、及び、これらを主成分とする熱可塑性エラストマーであり、より好ましくは軟質ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンであり、更に好ましくは、軟質ポリ塩化ビニルである。軟質ポリ塩化ビニルは近年合成に使用される可塑剤の改良が進み、より安全性の高い可塑剤を使用した材料が市場に流通しているため、血液処理フィルターFの容器として好適である。
[濾材]
濾材2は、繊維を含むことが好ましい。繊維は不織布の形態であることが好ましい。不織布は1以上のフィルター層を形成していることが好ましい。濾材が複数のフィルター層を含む場合、複数のフィルター層はそれぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
濾材2に含まれる繊維は、ポリエステル繊維であることが好ましい。特に限定されないが、ポリエステルは、テレフタル酸骨格を有するオリゴマーを含有することが好ましい。具体的には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル繊維は、一種の材料のみから形成されていてもよいし、複数種の材料から形成されていてもよい。繊維は公知のメルトブロー法、スパンボンド法により形成することができる。特にメルトブロー法では、溶融された樹脂をダイから、加熱ガスと共に押し出すことで繊維を細く引き伸ばして捕集するため、加熱ガスの圧力、温度、及び樹脂の単位紡口・単位時間当たりの吐出量を最適化することが濾過性能の発揮に有効である。一般には、PBT樹脂の場合には、固有粘度0.70〜0.82(dL/g)を加熱ガス圧力0.20〜0.30(MPa)、ダイ温度275〜285度で、且つ吐出量は0.15〜0.20g/(分・紡口)で押し出すことで、本願に使用しうる濾材2を得ることが可能である。より白血球除去能を高める場合には、吐出量を低く、ダイ温度を高くすることが望ましい。
[コート層]
濾材2に含まれる繊維は、その表面にコート層を有していてもよい。なお、本明細書において、コート層を有しない繊維を「繊維基材」とも称する。コート層は、例えば、非イオン性親水基を有するモノマー単位と塩基性含窒素官能基を有するモノマー単位とを有するコポリマーを含むことが好ましい。塩基性含窒素官能基を有するコポリマーを用いることで、コート処理により繊維表面に陽性荷電を付与することができ、また、白血球との親和性を向上させ、濾過後製剤中の残存白血球数を低下させることができる。
非イオン性親水基を有するモノマー単位としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどに由来するモノマー単位が挙げられる。入手のしやすさ、重合時の扱いやすさ、血液を流した時の性能などの観点から、非イオン性親水基を有するモノマー単位は、好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位である。ビニルアルコールに由来するモノマー単位は、通常、酢酸ビニルの重合後、加水分解により生成する。
塩基性含窒素官能基を有するモノマー単位としては、例えば、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の誘導体;p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン等のスチレン誘導体;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−ビニルイミダゾール等の含窒素芳香族化合物のビニル誘導体;および上記のビニル化合物をハロゲン化アルキル等によって4級アンモニウム塩とした誘導体などに由来するモノマー単位が挙げられる。入手のしやすさ、重合時の扱いやすさ、血液を流した時の性能などの観点から、塩基性含窒素官能基を有するモノマー単位は、好ましくはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートに由来するモノマー単位である。
繊維基材にコート層を形成させる方法は特に限定されず、例えば、繊維基材をモノマー及び/又はポリマー(コポリマー)や必要に応じて溶剤等を含むコート液に浸漬し、その後ロール等で繊維基材を圧搾して適宜コート液を除去する方法(ディップ法)、コート液を浸漬させたロールに繊維基材を接触させることで塗布する方法(転写法)、繊維基材を封入したフィルター内にコート液を注入してからエアで押し出すことで塗布する方法(カラムコート法)などが挙げられる。
<白血球除去方法>
本実施形態の1つは、血液処理フィルターFに白血球含有液を通過させ、白血球含有液から白血球を除去する工程を含む、白血球除去方法に関する。
ここで、白血球含有液とは、白血球を含む体液や合成血液を総称するものであり、具体的には、全血、濃厚赤血球溶液、洗浄赤血球浮遊液、解凍赤血球濃厚液、合成血、乏血小板血漿(PPP)、多血小板血漿(PRP)、血漿、凍結血漿、血小板濃厚液およびバフィーコート(BC)などの、全血及び全血から調製して得られる単一もしくは複数種類の血液成分からなる液体、またはそれらの液体に抗凝固剤や保存液などが添加された溶液、もしくは全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などのことである。また、上記の液体を本実施形態の方法によって処理して得られる液体を白血球が除去された液体と称する。
以下、白血球除去方法により白血球を除去し各血液製剤を調製する方法の一形態について説明する。
(白血球除去全血製剤の調製)
採血された全血にCitrate Phosphate Dextrose(CPD)、Citrate Phosphate Dextrose Adenine−1(CPDA−1)、Citrate Phosphate−2−Dextrose(CP2D)、Acid Citrate Dextrose Formula−A(ACD−A)、Acid Citrate Dextrose Formula−B(ACD−B)、ヘパリンなどの保存液、抗凝固剤等を添加した全血製剤を用意し、その後、本実施形態の血液処理フィルターFを用いてこの全血製剤から白血球を除去することにより白血球除去全血製剤を得ることができる。
白血球除去全血製剤の調製においては、保存前白血球除去の場合、好ましくは室温下または冷蔵下にて保存された全血を採血後72時間以内、更に好ましくは24時間以内、特に好ましくは12時間以内、最も好ましくは8時間以内に室温下または冷蔵下にて血液処理フィルターFを用いて白血球除去を行うことにより白血球除去全血製剤を得ることができる。保存後白血球除去の場合、室温下、冷蔵下または冷凍下にて保存された全血を、好ましくは使用前24時間以内に血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去全血製剤を得ることができる。
(白血球除去赤血球製剤の調製)
採血された全血にCPD、CPDA−1、CP2D、ACD−A、ACD−B、ヘパリンなどの保存液、抗凝固剤を添加する。各血液成分の分離方法は、全血から白血球を除去した後に遠心分離を行う場合と、全血を遠心分離した後に赤血球もしくは赤血球とBCから白血球を除去する場合がある。
全血から白血球を除去した後に遠心分離を行う場合、白血球除去全血を遠心分離することにより白血球除去赤血球製剤を得ることができる。
白血球除去前に全血を遠心分離する場合、遠心条件は、赤血球、PRPに分離される弱遠心条件と、赤血球、BC、PPPに分離される強遠心条件の2種類がある。必要に応じて全血から分離された赤血球、もしくはBCを含んだ赤血球に、SAGM、AS−1、AS−3、AS−5、MAP、PAGGSMなどの保存液を添加後、白血球除去フィルターを用いて赤血球から白血球を除去することにより白血球除去赤血球製剤を得ることができる。
白血球除去赤血球製剤調製においては、好ましくは室温下または冷蔵下にて保存された全血を採血後72時間以内、更に好ましくは48時間以内、特に好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内に遠心分離を行うことができる。
保存前白血球除去の場合、好ましくは室温下または冷蔵下にて保存された赤血球製剤から採血後120時間以内、更に好ましくは72時間以内、特に好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内に室温下または冷蔵下にて血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去赤血球製剤を得ることができる。保存後白血球除去の場合、好ましくは室温下、冷蔵下または冷凍下にて保存された赤血球製剤から使用前24時間以内に血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去赤血球製剤を得ることができる。
(白血球除去血小板製剤の調製)
採血された全血にCPD、CPDA−1、CP2D、ACD−A、ACD−B、ヘパリンなどの保存液、抗凝固剤を添加する。
各血液成分の分離方法は、全血から白血球を除去した後に遠心分離を行う場合と、全血を遠心分離した後にPRPもしくは血小板から白血球を除去する場合がある。
全血から白血球を除去した後に遠心分離を行う場合、白血球除去全血を遠心分離することにより白血球除去血小板製剤を得ることができる。
白血球除去前に全血を遠心分離する場合、遠心条件は、赤血球、PRPに分離される弱遠心条件と、赤血球、BC、PPPに分離される強遠心条件の2種類がある。弱遠心条件の場合、全血から分離されたPRPから血液処理フィルターFにて白血球を除去した後に遠心分離により白血球除去血小板製剤を得るか、もしくはPRPを遠心分離して血小板とPPPを得た後、血液処理フィルターFにて血小板から白血球を除去し白血球除去血小板製剤を得ることができる。強遠心条件の場合、全血から分離されたBCを一単位もしくは数〜十数単位プールしたものに必要に応じて保存液、血漿などを添加して遠心分離を行うことにより血小板を得て、得られた血小板を血液処理フィルターFにて白血球を除去することにより白血球除去血小板製剤とすることができる。
白血球除去血小板製剤調製において、好ましくは室温下にて保存された全血を採血後24時間以内、更に好ましくは12時間以内、特に好ましくは8時間以内に遠心分離を行う。保存前白血球除去の場合、好ましくは室温下にて保存された血小板製剤を採血後120時間以内、更に好ましくは72時間以内、特に好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内に室温下にて血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去血小板製剤を得ることができる。保存後白血球除去の場合、好ましくは室温下、冷蔵下または冷凍下にて保存された血小板製剤から使用前24時間以内に血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去血小板製剤を得ることができる。
(白血球除去血漿製剤の調製)
採血された全血にCPD、CPDA−1、CP2D、ACD−A、ACD−B、ヘパリンなどの保存液、抗凝固剤を添加する。
各血液成分の分離方法は、全血から白血球を除去した後に遠心分離を行う場合と、全血を遠心分離した後にPPPもしくはPRPから白血球を除去する場合がある。
全血を白血球除去した後に遠心分離を行う場合、白血球除去全血を遠心分離することにより白血球除去血漿製剤を得ることができる。
白血球除去前に全血を遠心分離する場合、遠心条件は、赤血球、PRPに分離される弱遠心条件と、赤血球、BC、PPPに分離される強遠心条件の2種類がある。弱遠心条件の場合、PRPを血液処理フィルターFにて白血球を除去した後に遠心分離により白血球除去血漿製剤を得るか、またはPRPからPPPと血小板に遠心分離した後にPPPを血液処理フィルターFにて白血球を除去することにより白血球除去血漿製剤を得ることができる。強遠心条件の場合、PPPを血液処理フィルターFにて白血球を除去することにより白血球除去血漿製剤を得ることができる。
白血球除去血漿製剤調製においては、好ましくは室温下または冷蔵下にて保存された全血を採血後72時間以内、更に好ましくは48時間以内、特に好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内に遠心分離を行うことができる。好ましくは室温下または冷蔵下にて保存された血漿製剤から採血後120時間以内、更に好ましくは72時間以内、特に好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内に室温下または冷蔵下にて血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去血漿製剤を得ることができる。保存後白血球除去の場合、好ましくは室温下または冷蔵下または冷凍下にて保存された血漿製剤から使用前24時間以内に血液処理フィルターFを用いて白血球を除去することにより白血球除去血漿製剤を得ることができる。特に、欧州と日本においては、保存前白血球除去後の血漿製剤をそれぞれ採血後24時間以内または8時間以内に調製しなければ、FFP(新鮮凍結血漿)として使用することができない。濾過時間が延長して規定の時間を超えてしまった場合には、原料血漿などの別用途に使用せざるを得ず、収益低下につながる。従って、濾過時間を適正に完了させることが作業効率のみならず、事業収益の観点からも重要である。
採血から白血球除去血液製剤を調製するまでの形態として、全血用容器に接続された採血針にて採血し、全血または遠心分離後の血液成分が入った容器と血液処理フィルターFを接続して白血球除去を行う、もしくは少なくとも採血針と血液容器、血液処理フィルターFが無菌的に接続された回路にて採血し、遠心分離前または遠心分離後に白血球除去を行う、もしくは自動採血装置により得られた血液成分の入った容器に血液処理フィルターFを接続もしくはあらかじめ接続された血液処理フィルターFにより白血球除去を行う、などいずれの形態で行われてもよいが、本実施形態はこれらの形態に限定されるものではない。また、自動成分採血装置にて全血を各成分に遠心分離し、必要に応じて保存液を添加した後、すぐに血液処理フィルターFへ赤血球、BCを含んだ赤血球、BC、血小板、PRP、PPPのいずれかを通し、白血球を除去することにより白血球除去赤血球製剤もしくは白血球除去血小板製剤もしくは白血球除去血漿製剤を得てもよい。
本実施形態において、白血球除去は、血液処理フィルターFよりも高い位置に設置された白血球含有液の入った容器から、落差によって白血球含有血液がチューブを経由して血液処理フィルターFに流れることによって行われてもよいし、また、ポンプなどの手段を用いて定圧または定速条件下で、白血球含有血液を血液処理フィルターFの入口側から加圧および/または血液処理フィルターFの出口側から減圧して流すことによって行ってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。血液処理フィルターの性能は、以下の方法によって測定した。
固有粘度0.80(dL/g)のPBT樹脂を用いて、ダイ温度282度、ガス圧力0.35MPa、吐出量0.15g/分・紡口の条件で生産したPBT不織布を用いた。重量は92g/m2、厚みは0.42mm、比表面積は1.25m2/gであった。さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートを97対3の比率でモノマーを混合して共重合して作製したポリマーを100%エタノールに2.5g/Lの濃度で溶解して作製したポリマー液に上記の不織布を浸漬させ、ゴム硬度70度のウレタンロールで0.2MPaのプレス圧力で絞ったあとに60℃で12時間乾燥させて、繊維表面部分をコーティングした不織布を作製した。この不織布を78mm×97mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦80mm、横61mmとし、さらに仮想延長部の長さLが13mmの中心角90度よりなる円弧で作成し、濾過面積は47.35cm2とした。この場合に、S1/S0=97.0%となった。接合部の厚みは4.5mm、はみ出し部の厚みは4mmとした。このフィルターに、濾過前バッグの上から140cmの落差で、採血後8時間以内のブタ全血を室温下で460mL濾過して、フィルターのIN側が空になる時間まで濾過を行い、濾過時間を記録した。さらに、濾過後の血液バッグの血液重量と血液中の残存白血球数を測定した。濾過後バッグの血液重量を比重1.03g/mLで除することで、血液回収量を算出した。残存白血球数は、ベックマンコールター社FC500を用いてフローサイトメーターによる測定を行った。血液ロス量は、濾過前の血液量から血液回収量を差し引いた量とした。
残存白血球数は、以下の式で求めた。
残存白血球数=Log(血液中の白血球濃度(個/μL)×103×血液回収量(mL))
実験の結果、残存白血球数は、4.8Log、濾過時間は23分、血液ロス量は30mLとなった。通常、残存白血球数は6.0Log未満であることが好ましく、より好ましくは5.5Log未満であることが望ましい。また、濾過時間は30分以内である必要があり、好ましくは20分以内である。また、血液ロス量は通常35mL程度であるので、33mL以下であることが必要であり、好ましくは30mL以下、さらに好ましくは27mL以下である。従って、本実施例1で示すフィルターは、濾過時間及び血液ロス量が充分低いことが確認できた。
実施例1で作製した不織布を78mm×97mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦80mm、横61mmとし、さらに仮想延長部の長さLが9.5mmの中心角33.4度よりなる円弧(曲率半径R=23.5mm)で作成し、濾過面積は47.35cm2とした。この場合に、S1/S0=97.0%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、4.6Log、濾過時間は21分、血液ロス量は32mLとなり、濾過時間及び血液ロス量が充分低いことが確認できた。また、実施例1と比べると、曲線部がより小さいために接合部にそった濾材の圧縮が抑えられ、濾過時間の短縮効果が確認できた。
実施例1で作製した不織布を74mm×91mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦74mm、横57mmとし、さらに仮想延長部の長さLが16mmの中心角90度よりなる円弧で作成し、濾過面積は39.98cm2とした。この場合に、S1/S0=94.8%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、4.6Log、濾過時間は27分、血液ロス量は25mLとなり、濾過時間及び血液ロス量が充分低いことが確認できた。
実施例1で作製した不織布を84mm×104mmのサイズにカットして、14枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦85mm、横65mmとし、さらに仮想延長部の長さLが18mmの中心角90度よりなる円弧で作成し、濾過面積は52.47cm2とした。この場合に、S1/S0=95.0%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。但し、はみ出し部の厚みは5mmとした。実験の結果、残存白血球数は、4.4Log、濾過時間は19分、血液ロス量は31mLとなり、濾過時間及び血液ロス量が充分低いことが確認できた。
実施例1で作製した不織布を84mm×104mmのサイズにカットして、14枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦85mm、横65mmとし、さらに仮想延長部の長さLが15mmの中心角63度よりなる円弧(曲率半径R=20.3mm)で作成し、濾過面積は52.47cm2とした。この場合に、S1/S0=95.0%となった。但し、はみ出し部の厚みは5mmとした。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、4.4Log、濾過時間は17分、血液ロス量は32.5mLとなり、濾過時間及び血液ロス量が充分低いことが確認できた。また、実施例4と比べると、曲線部がより小さいために接合部にそった濾材の圧縮が抑えられ、濾過時間の短縮効果が確認できた。
比較例1
実施例1で作製した不織布を78mm×97mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、縦80mm、横61mmとし、頂点部には曲線部を設けなかった。濾過面積は48.80cm2とした。この場合に、S1/S0=100.0%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、4.8Log、濾過時間は23分、血液ロス量は34mLとなり、濾過時間は短いものの、血液ロス量が要求を満たさないことが確認できた。
比較例2
実施例1で作製した不織布を78mm×97mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、縦80mm、横61mmのサイズの楕円形状とした。濾過面積は38.33cm2とした。この場合に、S1/S0=78.5%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、6.1Log、濾過時間は33分、血液ロス量は24mLとなり、血液ロス量は低いものの、濾過時間が要求を満たさないことが確認できた。
比較例3
実施例1で作製した不織布を69.4mm×97mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、特願2111−072827の図4c)に記載の図面に従って、縦80mmでそのほかは図面の形状に合わせて設計した。接合部の大きさは、縦80mm、横52.4mmのサイズとした。濾過面積は36.04cm2となった。この場合に、S1/S0=85.9%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、6.0Log、濾過時間は32分、血液ロス量は27mLとなり、血液ロス量は低いものの、濾過時間が要求を満たさないことが確認できた。
比較例4
実施例1で作製した不織布を69.4mm×97mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、特願2111−072827の図4d)に記載の図面に従って、縦80mmでそのほかは図面の形状に合わせて設計した。接合部の大きさは、縦80mm、横52.4mmのサイズとした。濾過面積は38.16cm2となった。この場合に、S1/S0=91.0%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、5.2Log、濾過時間は26分、血液ロス量は36mLとなり、濾過時間は短いものの、血液ロス量が要求を満たさないことが確認できた。
比較例5
実施例1で作製した不織布を71.3mm×97mmのサイズにカットして、15枚積層して、ポリ塩化ビニル製の可撓性容器で接合してフィルターを作成した。接合部の大きさは、特願2005−296475の図2a)に記載の図面に従って、縦80mmでそのほかは図面の形状に合わせて設計した。接合部の大きさは、縦80mm、横54.3mmのサイズとした。濾過面積は43.16cm2となった。この場合に、S1/S0=99.3%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、4.9Log、濾過時間は22分、血液ロス量は46mLとなり、濾過時間は短いものの、血液ロス量が要求を満たさないことが確認できた。
比較例6
旭化成メディカル社で生産したRZ2000Nフィルターを用いて、実施例1の方法で試験を行った。本品は硬質容器からなり接合部を有さないものの、容器による溶着部を接合部と読み替えて測定する場合、溶着部の大きさは縦66.5mm、横66.5mmのサイズとなっていた。濾過面積は44.19cm2となった。この場合に、S1/S0=99.9%となった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、5.2Log、濾過時間は19分、血液ロス量は36mLとなり、濾過時間は短いものの、血液ロス量が要求を満たさないことが確認できた。
比較例7
旭化成メディカル社で生産したPureRCフィルターを用いて、実施例1の方法で試験を行った。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦91.5mm、横74.5mmとし、さらに仮想延長部の長さLが3mmの中心角90度よりなる円弧で作成し、濾過面積は42.10cm2とした。この場合に、S1/S0=99.8%となった。但し、接合部の厚みは3.75mm、はみ出し部の厚みは5mmであった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、6.8Log、濾過時間は46分、血液ロス量は24mLとなり、血液ロス量は低いものの、濾過時間が要求を満たさないことが確認できた。
比較例8
旭化成メディカル社で生産したFlex−Excelフィルターを用いて、実施例1の方法で試験を行った。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦104mm、横84mmとし、さらに仮想延長部の長さLが3mmの中心角90度よりなる円弧で作成し、濾過面積は55.17cm2とした。この場合に、S1/S0=99.9%となった。但し、接合部の厚みは4.5mm、はみ出し部の厚みは5mmであった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、6.3Log、濾過時間は32分、血液ロス量は35mLとなり、濾過時間、血液ロス量共に要求を満たさないことが確認できた。
比較例9
マコファルマ社で生産した可撓性容器より成るLeukoflex LST1フィルターを用いて、実施例1の方法で試験を行った。接合部は複雑な形状を有するため測定が困難であるが、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、縦62mm、横89mmであり、さらに仮想延長部の長さLが4mmの円弧(曲率半径R=8mm)より成っており、濾過面積は53.19cm2とした。この場合に、S1/S0=99.1%となった。但し、接合部の厚みは4mm、はみ出し部の厚みは5mmであった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、5.4Log、濾過時間は25分、血液ロス量は42mLとなり、濾過時間は短いものの、血液ロス量が要求を満たさないことが確認できた。
比較例10
マコファルマ社で生産した可撓性容器より成るLeukoflex LCRD2フィルターを用いて、実施例1の方法で試験を行った。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、68mm×68mmとなっており、さらに仮想延長部の長さLが19mmの中心角90度よりなる円弧で作成され、濾過面積は43.14cm2となった。この場合に、S1/S0=93.3%となった。但し、接合部の厚みは4.5mm、はみ出し部の厚みは4mmであった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、6.5Log、濾過時間は49分、血液ロス量は37mLとなり、濾過時間、血液ロス量共に要求を満たさないことが確認できた。
比較例11
フレゼニウス・カビ社で生産した可撓性容器より成るCompoflowフィルターを用いて、実施例1の方法で試験を行った。接合部の大きさは、仮に頂点部の曲線部がないと仮定した場合に、80mm×56.5mmとなっており、さらに曲線部は楕円形であり、濾過面積は35.50cm2となった。この場合に、S1/S0=78.5%となった。但し、接合部の厚みは3mm、はみ出し部の厚みは3mmであった。その他は、実施例1と同じ方法で行った。実験の結果、残存白血球数は、6.5Log、濾過時間は53分、血液ロス量は24mLとなり、血液ロス量は低いものの、濾過時間が要求を満たさないことが確認できた。
Figure 2021106762
以上の結果から、S1/S0の割合を適正に調節することで、残存白血球数を要求事項に適合させつつ、血液ロス量を既存製品より低下させることに成功した。さらに、仮想延長部の長さを一定範囲に調節することで、濾過時間をより短縮させることに成功した。現行製品については、いずれも本願の要件を満たしておらず、かつ濾過時間と血液ロス量のバランスも本願発明品に及ばないことが確認された。
実施例1(S1/S0=97.0%)と比較例1(S1/S0=100.0%)は有効濾過領域に3%の差があり、血液ロス量として4mLの差がある。仮に、前文で記載した通り、年間500万回(世界の年間白血球濾過回数の約1/10)を本フィルターで行った場合には、年間2万Lのロス削減につながり、全血中の血漿成分を容量60%、血漿製剤の市場価格を10円/mLと見積もると、収益効果は1.2億円相当に匹敵する。この4mLの差は、上記に記載したように、血液処理フィルター事業において顕著な効果といえる。
1…収納容器
2…濾材
5…接合部
7…流入口
8…流出口
F…血液処理フィルター
1…流入口側容器材
2…流出口側容器材

Claims (6)

  1. 濾材と、被濾過対象物の流入口及び流出口を有する可撓性の収納容器と、を備える血液処理フィルターであって、
    前記濾材は、前記収納容器の内部に収納されるとともに、平面視で前記被濾過対象物の濾過領域を囲うように形成された接合部によって前記収納容器に接合されており、
    前記接合部は、前記濾過領域を囲う複数の辺を形成する平面視直線状の第一部分と、前記第一部分の端部同士を接続して隅部を形成する平面視直線状又は曲線状の第二部分と、を有し、
    前記第一部分及び前記第二部分によって形成される前記濾過領域の面積S1は、前記第一部分が各々仮想的に延長され接続されることによって形成される仮想濾過領域の面積S0の93.5%以上99.0%以下に設定されている、血液処理フィルター。
  2. 前記濾過領域は、平面視多角形状を呈しており、
    前記接合部の前記第二部分は、平面視円弧形状を呈する曲線部を有しており、
    前記曲線部に隣接し、前記仮想濾過領域上の仮想的に延長された直線の長さLは、前記仮想濾過領域の第一方向における最大長さL1及び前記第一方向に直交する第二方向における最大長さL2に対して各々1/8以上1/4以下に設定されている、請求項1に記載の血液処理フィルター。
  3. 前記濾材の面積S2は、前記濾過領域の面積S1の162%以上200%未満となるように設定されている、請求項1または2に記載の血液処理フィルター。
  4. 前記接合部の外縁から前記濾材の外縁までの距離L3は、略一定の値に設定されている、請求項1から3の何れか一項に記載の血液処理フィルター。
  5. 前記接合部の外縁から前記濾材の外縁までの距離L3は、1mm以上10mm以下に設定されている、請求項4に記載の血液処理フィルター。
  6. 前記濾過領域は、平面視略矩形状を呈している、請求項1から5の何れか一項に記載の血液処理フィルター。
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