JP2021103936A - 配電設備保護具 - Google Patents

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【課題】シンプルな構成で電柱への冠雪や営巣を効果的に防止し、かつ安全かつ簡便に取り付けが可能な配電設備保護具を提供する。【解決手段】電柱において略水平方向に横設されるアーム体に取り付ける配電設備保護具1であって、アーム体に間接活線工具を用いて着脱可能な着脱部材10と、着脱部材10から上方に延設される支持部材20と、支持部材に取り付けられる網状部材30とから構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、電柱のアームに取り付けて冠雪や鳥の営巣を防止することにより配電設備を保護するための配電設備保護具に関する。
従来から電柱や電線等の配電設備に冠雪したり、鳥が営巣し、配電設備に悪影響を及ぼす問題が知られている。特に山間部や寒冷地では、これらの除去を行うことも容易ではなく、効率良く保護する方法が望まれている。
特許文献1には、電柱の支持物用アームの冠雪防止装置であって、アーム上に頂部が尖り両側を下方斜めに開離した合掌形のキャップを起立固定した構成が開示されている。本構成はキャップが板であるため、風圧を受けやすい問題がある。
特許文献2は送配電系設備の積雪結氷防止装置であって、蓄熱体に埋没した発熱線に接続して、蓄熱体の熱によって積雪結氷を防止することが記載されている。本構成は積雪等には効果があるが、電気設備となるためコストが高くなったりメンテナンスが必要であり、また営巣防止の効果は認められない。
特許文献3は、鉄塔の側面にスクリーンを展開することが記載されているが、一般的な電柱などの冠雪や営巣を防止する技術ではない。
特許文献4は、高所物の雪害防止装置であって、上部に風によって揺れ動く揺動装置を設け、この揺動装置に高所物を囲んだ柔軟プラスチック製の網カバーを連結した構成が開示されている。本開示では信号や電柱を網カバーで囲むことが記載されているが、設置に手間がかかり、特に配電設備において活線工法をとることが困難である。また、営巣がむしろしやすくなる問題がある。
実開昭61-184060 特開昭58-127514 実開平3-76964 実開昭61-131451
本発明は、これら従来技術の有する問題を解決するために創出されたものであり、シンプルな構成で電柱への冠雪や営巣を効果的に防止し、かつ安全かつ簡便に取り付けが可能な配電設備保護具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような配電設備保護具を提供する。
本発明の位置実施態様によれば、電柱において略水平方向に横設されるアーム体に取り付ける配電設備保護具であって、アーム体に間接活線工具を用いて着脱可能な着脱部材と、着脱部材から上方に延設される支持部材と、支持部材に取り付けられる網状部材とから構成される配電設備保護具を提供する。
着脱部材が、角パイプ状のアーム体の上面、一側面、下面に巻回するコ字状のクランプと、残る一側面の開口部をボルトで締結して固定されるようにしてもよい。
上記の着脱部材に、絶縁ヤットコで把持可能な棒状の把持部を突設させた構成でもよい。
上記の網状部材が樹脂製ネットであって、幅が30cmないし80cm、高さが30cmないし80cmの範囲内の構成でもよい。サイズは特に幅50cmないし70cm、高さが40cmないし60cmの範囲が好ましい。
上記の支持部材の高さは、40cmないし90cmの範囲内とした構成でもよい。特に、高さは概ね60cmが好ましい。
本発明は、次のような効果を奏する。
配電設備保護具に着脱部材を備えて間接活線工具による着脱が可能としたことで、送電を停止する必要がなく、簡便に取り付けやメンテナンス作業を行うことができる。特に、山間部などアクセスのし難い場所でも、順次に短時間で作業が可能なことから、配備の実現性を格段に高めることができる。
支持部材に網状部材を取り付けるだけで、効果的に冠雪や営巣を防止することができ、構造がシンプルなことによって壊れにくく、同時に低コスト化にも寄与する。
本発明のサイズは、特に幅が30cmないし80cm、高さが30cmないし80cmの範囲内とすることが好ましいが、このサイズであると電柱の両側に延びたアームの片側部分の隙間に通すことができるため、作業性が好ましい。また、網状部材が変形しにくく、十分な剛性を確保することができる。
さらに、支持部材の高さを40cmないし90cmの範囲内とすることで、冠雪が起こりにくく、特に効果的であることが分かっている。
本発明に係る配電設備保護具の正面図である。 本発明に係る配電設備保護具の平面図である。 本発明に係る配電設備保護具の右側面図である。 配電設備保護具を間接活線工具で掴んだ状態を示す図である。 配電設備保護具をアーム体に取り付けた状態を示す図である。 配電設備保護具を配電設備に取り付けた状態を示す図である。 本発明に係る着脱部材の別実施例を示す図である。 本発明に係る配電設備保護具の別実施例である。 本発明に係る配電設備保護具の別実施例である。
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
図1ないし図3は、それぞれ本発明に係る配電設備保護具(1)の正面図、平面図、右側面図である。
配電設備保護具(1)は、着脱部材(10)と、着脱部材(10)から直上方に延設される支持部材である支柱(20)と、支柱(20)に取り付けられる網状部材(30)とから構成される。
着脱部材(10)は、金属製のコ字状のクランプ(11)と、クランプ(11)の開口部を締結するボルト(12)で構成される。
図3に示されるように、クランプ(11)が、角パイプ状のアーム体(2)の上面(2a)、一側面(2b)、下面(2c)に巻回し、残る一側面(2d)の開口部をボルト(12)で締結して固定する。
ボルトの頭部(13)がクランプ(11)の上辺端部に遊嵌しており、ボルトを外側に広げた状態で開口部からアーム体(2)を挟み、ボルト(12)の下部をクランプ(11)の下辺端部のスリット(15)に通し、ナット(14)を締める。これによって、クランプ(11)の上辺と下辺の間隔を縮めてアーム体(2)への固定が完了する。
アーム体(2)に間接活線工法で取り付けるための上記のクランプは公知であり、本発明では着脱部材(10)としてその他の公知の部材を用いてもよい。
本発明の特徴としては、このような着脱部材(10)から支柱(20)を延設し、さらに網状部材(30)を備えたことにある。
クランプ(11)の上辺上面で、かつ、アーム体(2)の断面中心から鉛直上方に、支柱(20)を装着する長ナット(17)を溶接固設する。長ナット(17)は長さ40mmであって、支柱を十分安定して螺合することができる。
支柱(20)は支柱本体(22)と、網状部材(30)を保持する複数のプレートやボルトから構成される。そして、支柱本体(22)の下端に設けられるネジ部(21)を着脱部材(10)の長ナット(17)に螺嵌した後、固定ナット(18)を締めて組み立てられる。
本実施例において、支柱本体(22)は全体を寸切ボルトで構成しており、固定ナット(18)より上は自己融着テープを巻き付けて形成している。自己融着テープは短絡防止のため、絶縁材料のものを用い、着脱部材(10)よりも上は完全に絶縁された状態とすることが好ましい。
このような構成によれば低コストで本器具を製造することができるが、具体的な実施方法は自由に変更可能である。
支柱本体(22)は、クランプ(11)の上辺から長さ600mmであり、支柱本体(22)の上端には高さ32mm、横幅200mmの上プレート(23a)を溶接固定すると共に、支柱本体(22)の中途位置、より詳しくはクランプ(11)の上辺から290mmの位置に同サイズの下プレート(24a)を溶接固定している。
そして網状部材(30)として、樹脂製、例えばポリプロピレン製などのネットを上プレート(23a)と対向する第2上プレート(23b)、下プレート(24a)と対向する第2下プレート(24b)によって挟み、ボルト(25)で固定して保持する。
この時、短絡防止のため、ネットに限らず、各プレートやボルトも樹脂等の絶縁材料で構成することが望ましい。
網状部材(30)は高さ500mm、幅620mmである。このサイズであれば、電柱の両側に延びたアーム体(2)の片側部分の隙間に通すことができるため、作業性が好ましい。同時に、網状部材が変形しにくく、十分な剛性を確保することができることから、好適なサイズである。
網状部材(30)の底辺はクランプ(11)の上辺から170mmである。アーム体(2)には通常、ジャンパ線や碍子など様々な部材が取り付けられているため、これらと抵触しない高さとして100mmないし200mmの間隔を空けておくと好都合である。
特に好ましくは、網状部材(30)の底辺とクランプ(11)の上辺の間隔は150ないし200mmとすると良い。
網状部材(30)のサイズについて、幅が30cmないし80cm、高さが30cmないし80cmの範囲内とすることが好ましい。特に幅50cmないし70cm、高さが40cmないし60cmの範囲が、電柱やアーム体、架線などの隙間を通して設置する上で好ましい。
支柱(20)の高さは、40cmないし90cmの範囲内が好ましい。長すぎる場合には風圧等によって倒れやすく、短すぎると本発明の効果を十分に発揮できない。このような考量から、本発明では上記範囲内を最適範囲と見出した。
次に、本発明を取り付ける具体的態様を説明する。
図4は、配電設備保護具を間接活線工具で掴んだ状態を示す図である。本発明では、間接活線工具で活線工法により取り付け可能な配電設備保護具(1)を提供する。図示では絶縁ヤットコ(3)によって下プレート(24a)を掴み上方に持ち上げている状態を示している。
図において、着脱部材(10)のボルト(12)がクランプ(11)の開口部を開けるように、上側に開いていることが分かる。このような状態でアーム体(2)にクランプ(11)を挟んでからボルト(12)を下方に揺動させ、ナット(14)を締めることで取り付けが可能である。
すべて絶縁ヤットコによって作業できることから安全な活線工法が実現される。
上述したように、支柱(20)は、アーム体(2)の断面の中心軸上に位置しているため、バランスが良く、絶縁ヤットコでクランプ(11)を載せた状態でも倒れにくく、ボルト(12)の固定などがしやすく構成されている。
図5は、配電設備保護具(1)をアーム体(2)に取り付けた状態を示す図である。
本図において、ボルト(12)の頭部(13)は六角形の左右両側がカットされ、図中において、左側に揺動しやすく形成されていることと、ナット(14)を回したときにはボルト(12)が供回りしないよう、クランプ(11)の上辺端部が上方に屈折して頭部(13)と干渉するように構成されていることが分かる。このような構成も間接活線工法の作業上において特に好ましい構造である。
なお、ボルト(12)の構成は任意であり、例えば寸切りボルトを用いて上端に回転止め用の角プレートを溶接した簡素な構成でもよい。
またこの図に示されるように、アーム体(2)に取り付けられた碍子(26)と網状部材(30)とが接触しない高さであることも重要である。
図6は、配電設備保護具(1)を配電設備に取り付けた状態を示す図である。
配電設備として、一般に電柱(4)上に水平方向に横設されるアーム体(2)が設けられており、この電柱(4)の頂部や、アーム体(2)、配電線(5)、ジャンパ線(6)などの周辺部材に多量の冠雪が生じ、機器の変形や故障の原因となることが問題となっている。また、冬期以外でもアーム体(2)と配電線(5)などにかけてカラス等が営巣する問題もある。
本発明の配電設備保護具(1)を図示されるようにアーム体(2)の片側にそれぞれ1基ずつ取り付けると、この網状部材(30)を挟んで雪が割れて落下しやすくなり、冠雪を大幅に抑制することができる。
特に、ある程度網状部材(30)に雪が付着してから、塊となって落ちる際、アーム体(2)やその他の周辺部材に積もった雪も巻き込んで落下し、配電設備全体を保護することができる。
また、鳥の営巣防止の観点でも、アーム体(2)上に止まることが困難となる上、網状部材(30)が風で揺れ、鳥を寄せ付けない効果も奏する。特に山間部では巣の除去作業も多大な手間がかかるため、本器具を装着することでメンテナンス性の向上を図ることができる。
上記実施例では、着脱部材(10)、支柱(20)、網状部材(30)をそれぞれ別個の部材で構成してボルト等で固定する例を示したが、これらのいくつか、又は全部を一体成形することも可能である。例えば、支持部材と網状部材とを樹脂による一体成形品とすることもできる。
また、網状部材の外周にフレームを配し、フレームと支持部材を固定するような構成でもよい。
本発明に係る着脱部材(10)の別実施例を図7に示す。
本実施例では、クランプ(11)の一側面部から水平方向に棒状の把持部(16)を突設する。
把持部(16)は絶縁ヤットコで把持しやすい形状となっており、クランプ(11)の高さでしっかりと保持できることから、アーム体(2)への取り付けが更に容易になる。
また、クランプ(11)開口部の反対側から真っ直ぐに押すことができるので、アーム体(2)とクランプ(11)のコ字の寸法に余裕が無い場合でも装着しやすい利点を有する。
把持部(16)の太さは10mm程度、長さは50mm程度の寸法が好ましい。
本発明は上記のように支柱(20)と網状部材(30)をプレート等で連結する構成に限らず、網状部材の下辺と支柱を嵌合構造として支柱の上端に網状部材を取り付ける構造でもよい。
例えば、図8に示すように(a)網状部材の下辺の断面を、(b)に示すようなオス形とし、支柱の上端を(c)に示すようなメス形とした嵌合部をそれぞれ備えて、簡便に装着できるようにしてもよい。
また、支持部材として支柱を用いず、例えば網状部材の一部を指示部材とした構成でもよい。図9に示すように、(a)網状部材の下辺から一部を下方に延伸した延伸部を有し、この延伸部を指示部材としてアーム体に取り付ける着脱部材の挟持部に嵌着する。
さらに、(c)に示すように網状部材(a)の上辺同士を連結具で連結することで、アーム体が水平に並列した場合に安定的に設置することもできる。
本発明は、以上のような構成を有することにより、シンプルな構成で電柱への冠雪や営巣を効果的に防止し、かつ安全かつ簡便に取り付けが可能な配電設備保護具を提供するものである。
1 配電設備保護具
2 アーム体
3 間接活線工具
4 電柱
10 着脱部材
11 クランプ
12 ボルト
13 ボルト頭部
14 ナット
15 スリット
16 把持部
17 長ナット
18 固定ナット
20 支柱
21 ネジ部
22 支柱本体
23a 上プレート
23b 第2上プレート
24a 下プレート
24b 第2下プレート
25 ボルト
26 碍子
30 網状部材

Claims (5)

  1. 電柱において略水平方向に横設されるアーム体に取り付ける配電設備保護具であって、
    該アーム体に間接活線工具を用いて着脱可能な着脱部材と、
    該着脱部材から上方に延設される支持部材と、
    該支持部材に取り付けられる網状部材と
    から構成されることを特徴とする配電設備保護具。
  2. 前記着脱部材が、角パイプ状の前記アーム体の上面、一側面、下面に巻回するコ字状のクランプと、残る一側面の開口部をボルトで締結して固定されるようにした、
    請求項1に記載の配電設備保護具。
  3. 前記着脱部材に、絶縁ヤットコで把持可能な棒状の把持部を突設させた
    請求項1又は2に記載の配電設備保護具。
  4. 前記網状部材が樹脂製ネットであって、
    幅が30cmないし80cm、高さが30cmないし80cmの範囲内である
    請求項1ないし3のいずれかに記載の配電設備保護具。
  5. 前記支持部材の高さが、40cmないし90cmの範囲内である
    請求項1ないし4のいずれかに記載の配電設備保護具。

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