JP2021102743A - 着色組成物、感光性着色組成物、及びカラーフィルタ、液晶表示装置 - Google Patents

着色組成物、感光性着色組成物、及びカラーフィルタ、液晶表示装置 Download PDF

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Kenichi Kitamura
健一 北村
悠大 ▲高▼木
悠大 ▲高▼木
Yudai Takagi
寛之 吉田
Hiroyuki Yoshida
寛之 吉田
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Abstract

【課題】本発明は、塗工に適した粘度を有し、保存安定性に優れ、異物の発生が少ない着色組成物、並びに、優れた現像性、保存安定性を有し、異物の発生が少なく、かつ耐溶剤性に優れた感光性着色組成物、該感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、液晶表示装置を提供することを目的とする。【解決手段】着色剤(A)、酸性置換基を有する色素誘導体(B)と、樹脂型分散剤(C)と、バインダ樹脂(D)を含み、前記着色剤(A)が、一般式(1)で表わされるキノフタロン化合物(A1)を含み、かつ、前記樹脂型分散剤(C)が、(C1)、または(C2)いずれかの樹脂型分散剤を含むことを特徴とする着色組成物により、上記課題は解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置、及び固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される着色組成物、及び感光性着色組成物、並びにこれを用いて形成されてなるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタ、液晶表示装置に関するものである。
一般的にカラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に形成された、赤色フィルタ層(R)、緑色フィルタ層(G)、及び青色フィルタ層(B)からなる微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメント(画素)を平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロンから数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。また、最近では、RGBに加えて、黄色フィルタ層(Y)からなるフィルタセグメントも使用されている。
カラーフィルタに要求される重要な品質項目としては、コントラスト比と明度が挙げられる。コントラスト比が低いカラーフィルタを用いると、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまい、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ぼやけた画面となってしまう。そのため、高品質な液晶表示装置を実現するためには、コントラスト比を高めることが不可欠である。
また、近年、消費電力の削減の観点から、光源であるバックライトの数を減らすことがトレンドになっている。明度が低いカラーフィルタを用いると、光の透過率が低いため、暗い画面となってしまい、光源であるバックライトの数を減らすことができない。そのため、カラーフィルタの高明度は不可欠である。
さらに、高コントラスト化、高明度化とともに、広い色再現領域や高い信頼性も必要である。
現在、カラーフィルタの製造方法としては、着色剤として耐光性や耐熱性など諸耐性に優れた顔料を使用する顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。なお、顔料分散法では、以下の方法によりカラーフィルタを製造する。まず、顔料を分散してなる感光性着色組成物を、ガラス等の透明基板に塗布する。乾燥によってこの塗膜から溶剤を除去した後、この塗膜を、或る色のフィルタセグメントに対応したパターンで露光する。次いで、この塗膜の未露光部を現像によって除去し、その後、必要に応じて加熱等の処理を行う。これにより、1色目のフィルタセグメントパターンを得る。そして、これと同様の操作を行うことにより他の色のフィルタセグメントパターンを形成し、カラーフィルタを完成する。
緑色フィルタセグメントの製造には、着色剤として緑色顔料以外に、色を調整する着色剤(調色用着色剤)として黄色顔料が用いられており、特に、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185などが用いられている。
また、赤色フィルタセグメントの製造には、着色剤として赤色顔料以外に、より高い明度と広い色再現領域を達成するために、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185などの黄色顔料を用いられている。
中でも、高い透過率が得られる点で、キノフタロン化合物であるC.I.ピグメントイエロー138が用いられることが多い。しかし、キノフタロン化合物であるC.I.ピグメントイエロー138は、230℃以上の熱を加えたときに塗膜に異物が発生するという課題があった。また、キノフタロン化合物であるC.I.ピグメントイエロー138を分散した感光性着色組成物は、分散安定性が悪く、経時保存で粘度が上昇するという課題があった。
また、緑色顔料として広く用いられているC.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン62、C.I.ピグメントグリーン63、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報、特開2016−153481号公報、特開2017−197685号公報等のフタロシアニン系顔料を使用した緑色フィルタセグメントは、光による明度の低下や不純物の溶出による電圧保持率の低下などによる表示不良が発生するという課題があった。
上記の問題を解決するために、様々な取り組みがなされている。例えば、特許文献1には、顔料の分散性が良好なカラーペーストとして、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー138のスルホン化誘導体を含む赤色または緑色カラーペーストが開示されている。しかしながら、分散安定性はある程度改善するも十分ではなかった。また、塗膜が加熱された場合の異物の発生に関しては考慮されておらず、実用性に課題があった。
また、特許文献2には、保存安定性に優れたカラーフィルタ用着色組成物として、キノフタロン顔料と、片末端領域に2つのヒドロキシル基を有するビニル重合体のヒドロキシル基と、ジイソシアネートのイソシアネート基とを反応してなる両末端にイソシアネート基を有するウレタンポリマーのイソシアネート基と、アミン化合物を反応させなる顔料分散剤を含むカラーフィルタ用着色組成物が開示されている。しかしながら、保存安定性はある程度改善するも十分ではなかった。また、塗膜が加熱された場合の異物の発生に関しては考慮されておらず、実用性に課題があった。
また、特許文献3には、耐光性が良好なカラーフィルタ用着色組成物として、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料、金属アゾ顔料、キノフタロン顔料を含むカラーフィルタ用着色組成物が開示されている。しかしながら、緑色フィルタセグメントの耐光性はある程度改善するも十分ではなかった。
また、特許文献4には、電圧保持率が良好なカラーフィルタ用着色組成物として、特定構造のフタロシアニン顔料と、酸化防止剤を含むカラーフィルタ用着色組成物が開示されている。しかしながら、緑色フィルタセグメントの電圧保持率はある程度改善するも十分ではなかった。
特開2002−179979号公報 特開2013−24934号公報 特開2019−113612号公報 特開2018−105959号公報
本発明は、特定の色素誘導体と、特定の構造を有する複数の樹脂型分散剤を併用することにより、塗工に適した粘度を有し、保存安定性に優れ、異物の発生が少ない着色組成物、並びに、優れた現像性、保存安定性、耐溶剤性を有し、異物の発生が少なく、耐光性、電圧保持率にも優れた感光性着色組成物、該感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、液晶表示装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、着色剤(A)と、酸性置換基を有する色素誘導体(B)と、樹脂型分散剤(C)と、バインダ樹脂(D)とを含む着色組成物であって、
前記着色剤(A)が、下記一般式(1)で表わされるキノフタロン化合物(A1)を含み、前記樹脂型分散剤(C)が、下記(C1)、または(C2)いずれかの樹脂型分散剤を含むことを特徴とする着色組成物に関する。
(C1):塩基性樹脂型分散剤(c1)と、リン酸系樹脂型分散剤(c2)と、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)とを含む樹脂型分散剤。
(C2):下記一般式(2)で表される化合物もしくは下記一般式(3)で表される化合物と塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩(c3)、およびカルボン酸系樹脂型分散剤(c4)を含む樹脂型分散剤。
一般式(1)
Figure 2021102743
一般式(2)
Figure 2021102743
一般式(3)
Figure 2021102743
(但し、一般式(1)において、R101〜R113は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基を示す。R101〜R104、および/または、R105〜R108の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成してもよい。
一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R1及びR2の少なくとも一つは炭素原子を含む基である。
一般式(3)において、R3は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。)
また、本発明は、前記酸性置換基を有する色素誘導体(B)が、スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1)、または、スルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2)であることを特徴とする上記着色組成物に関する。
また、本発明は、前記リン酸系樹脂型分散剤(c2)が、下記(c2−1)または(c2−2)のいずれかで示される樹脂型分散剤を含み、前記カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)が、下記(c4−1)または(c4−2)のいずれかで示される樹脂型分散剤を含むことを特徴とする上記着色組成物に関する。
(c2−1):下記一般式(4)で表される樹脂型分散剤。
一般式(4)
(HO−)3-n−PO−(O−R5n
(一般式(4)中、R5は数平均分子量300〜10,000のポリエステル残基、nは1または2を表す。)
(c2−2):リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である樹脂型分散剤。
(c4−1):テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物の群から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分、並びに、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合してなるビニル重合体部分、を含んでなる樹脂型分散剤に関する。
(c4−2):下記一般式(5)で表される樹脂型分散剤。
一般式(5)
(HOOC−)m−R6−(−COO−[−R8−COO−]n−R7t
(一般式(5)中、R6は4価のテトラカルボン酸化合物残基、R7はモノアルコール残基、R8はラクトン残基、mは2または3、nは1〜50の整数、tは(4−m)を表す。)
また、本発明は、前記カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1)が、下記(c4−1−1)または(c4−1−2)のいずれかで示される樹脂型分散剤を含むことを特徴とする上記着色組成物に関する。
(c4−1−1):ビニル重合体部分が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、およびブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とをラジカル重合してなるビニル重合体部分である樹脂型分散剤。
(c4−1−2):ビニル重合体部分が、(メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体部分である樹脂型分散剤。
また、本発明は、さらに緑色顔料(A2)を含むことを特徴とする上記着色組成物に関する。
また、本発明は、さらに赤色顔料(A3)を含むことを特徴とする上記着色組成物に関する。
また、本発明は、上記着色組成物、重合性化合物(E)、及び光重合開始剤(F)を含むことを特徴とする感光性着色組成物に関する。
また、本発明は、上記感光性着色組成物を用いて形成されてなるフィルタセグメントを有するカラーフィルタに関する。
また、本発明は、上記カラーフィルタを備えてなる、液晶表示装置に関する。
本発明により、塗工に適した粘度を有し、保存安定性に優れ、異物の発生が少ない着色組成物、並びに、優れた現像性、保存安定性を有し、異物の発生が少なく、かつ耐溶剤性に優れた感光性着色組成物、該感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、液晶表示装置を提供することができる。
図1は、液晶表示装置の模式的断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
<着色組成物>
本発明の一実施形態は、着色組成物に係わる。本発明の着色組成物は、着色剤(A)と、酸性置換基を有する色素誘導体(B)と、樹脂型分散剤(C)と、バインダ樹脂(D)とを含む着色組成物であって、前記着色剤(A)が、下記一般式(1)で表わされるキノフタロン化合物(A1)を含み、前記樹脂型分散剤が、下記(C1)、または(C2)いずれかの樹脂型分散剤を含む。
(C1):塩基性樹脂型分散剤(c1)と、リン酸系樹脂型分散剤(c2)と、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)とを含む樹脂型分散剤。
(C2):下記一般式(2)で表される化合物もしくは下記一般式(3)で表される化合物と塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩(c3)、およびカルボン酸系樹脂型分散剤(c4)を含む樹脂型分散剤。
一般式(1)
Figure 2021102743
一般式(2)
Figure 2021102743
一般式(3)
Figure 2021102743
(但し、一般式(1)において、R101〜R113は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基を示す。R101〜R104、および/または、R105〜R108の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成してもよい。
一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R1及びR2の少なくとも一つは炭素原子を含む基である。
一般式(3)において、R3は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。)
以下、一実施形態の着色組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を説明する。
[着色剤(A)]
(キノフタロン化合物(A1))
本発明における着色組成物は、着色剤(A)として下記一般式(1)で表わされるキノフタロン化合物(A1)を含む。
一般式(1)
Figure 2021102743
(一般式(1)において、R101〜R113は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基を示す。R101〜R104、および/または、R105〜R108の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成してもよい。)
一般式(1)におけるR101〜R113の置換基について説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、置換基を有しても良いアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基の他、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
また、置換基を有してもよいアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペントキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基の他、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等の置換基を有するアルコキシル基が挙げられる。
また、置換基を有しても良いアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基の他、p−メチルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−アミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等の置換基を有するアリール基が挙げられる。
一般式(1)のR101〜R104、および/または、R105〜R108の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。ここでいう芳香環とは、炭化水素芳香環および複素芳香環が挙げられ、炭化水素芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が、また、複素芳香環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、キノリン環、キノキサリン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、インドール環、カルバゾール環などが挙げられる。
本発明の着色組成物に用いられるキノフタロン化合物(A1)は、C.I.ピグメントイエロー138、又は下記一般式(6)〜(8)で表される化合物のいずれかであることが好ましい。ここで、R114〜R128、R129〜R143、R144〜R160における、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基は、一般式(1)で説明した基と同義である。
一般式(6)
Figure 2021102743
一般式(7)
Figure 2021102743
一般式(8)
Figure 2021102743
(一般式(6)〜(8)中、R114〜R128、R129〜R143、R144〜R160は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基を示す。)
さらに、本発明の着色剤(A)に用いられるキノフタロン化合物(A1)は、一般式(6)〜(8)のR114〜R128、R129〜R143、R144〜R160が、水素原子またはハロゲン原子であることがより好ましい。
[キノフタロン化合物(A1)の製造法]
本発明の着色組成物に用いられるキノフタロン化合物(A1)は、例えば、特開平4−226163号公報、特開2012−226110号公報記載の方法によって製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
本発明の着色組成物に用いられるキノフタロン化合物(A1)の具体例として、下記に示すものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2021102743
Figure 2021102743
本発明において、キノフタロン化合物(A1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の着色剤組成物に用いられるキノフタロン化合物(A1)は、その色相自体は黄色を呈するものであり、その他着色剤を併用して用いることで、同色の黄色フィルタセグ
メント、さらに緑色フィルタセグメント、赤色フィルタセグメントを形成するための着色組成物とすることができる。
(緑色顔料(A2))
本発明の着色剤組成物は、着色剤(A)として、さらに緑色顔料(A2)を含むことが好ましい。本発明で用いることができる緑色顔料(A2)は、例えば、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、62、63、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報、特開2016−153481号公報、特開2017−197685号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。中でも、保存安定性と耐溶剤性の観点から、フタロシアニン系顔料が好ましい。
前記フタロシアニン系顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン62、C.I.ピグメントグリーン63、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報、特開2016−153481号公報、特開2017−197685号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料が好ましい。
(赤色顔料(A3))
本発明の着色剤組成物は、着色剤(A)として、さらに赤色顔料(A3)を含むことが好ましい。本発明で用いることができる赤色顔料(A3)は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、221、224、226、242、246、254、255、264、269、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。中でも、保存安定性と耐溶剤性の観点から、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、およびアゾ系顔料が好ましい。
前記ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、特表2011−523433号公報に記載の臭素化ジケトピロロピロール顔料、前記アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、前記アゾ系顔料としては、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド269、特開2011−173971号公報、特開2012−229344号公報に記載のアゾ化合物が好ましい。
(その他着色剤)
本発明の着色組成物は、さらに従来公知の種々の顔料、および染料を着色剤(A)として任意に選択して含有することができる。以下、本発明で用いることができる代表的な顔料と染料を挙げる。
本発明で用いることができる橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ38、
43、71、または73等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明で用いることができる黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明で用いることができる青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブル−1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、64、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明で用いることができる紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明に用いることができる染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
さらに、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の形態の場合は、酸性染料の無機塩や、酸性染料と四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、もしくは一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物、又はこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることで耐性に優れたものとなるために、堅牢性に優れた着色組成物とすることができ、好ましい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましく、より好ましくは、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂である場合である。
塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることができる。中でも、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、又は酸性染料とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
また、色素骨格に重合性不飽和基を有する場合、耐性に優れた染料とすることができ、好ましい。
染料の化学構造としては、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造を挙げることができるが、特にこれらに限定されない。
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
本発明の着色組成物は、着色剤(A)として無機顔料も用いることができる。例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。
[着色剤(A)の微細化]
本発明の着色剤(A)が顔料である場合は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理等を行い微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5〜90nmの範囲であることが好ましい。有機溶剤中への分散、コントラスト比の観点から、より好ましい平均一次粒子径は10〜70nmの範囲である。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全質量を基準(100質量%)として、5
0〜2,000質量%用いることが好ましく、300〜1,000質量%用いることが最も好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全質量を基準(100質量%)として、5〜1,000質量%用いることが好ましく、50〜500質量%用いることが最も好ましい。
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全質量を基準(100質量%)として、2〜200質量%の範囲であることが好ましい。
[酸性置換基を有する色素誘導体(B)]
本発明の着色組成物は、分散助剤として、酸性置換基を有する色素誘導体(B)を含む。本発明で色素誘導体とは、分子内に色素骨格を有する。酸性置換基を有する色素誘導体(B)としては、色素骨格である有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジン等に、酸性置換基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
中でも、本発明の塩基性樹脂型分散剤との相互作用の観点から、前記酸性置換基を有する色素誘導体(B)の酸性置換基が、スルホ基、またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩のいずれかであることが好ましく、スルホ基であることがより好ましい。
金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、鉄、
マグネシウム、アルミニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、ストロンチウム、銅、クロム、銀、亜鉛、ガリウム等の各種金属が挙げられる。これらの中でも、スルホ基を有する色素誘導体と金属塩を構成する金属が、銅、又は鉄である場合、前記緑色顔料(A2)であるフタロシアニン系顔料を併用した緑色画素の課題のひとつである外光や内光によって引き起こされる明度低下を改善でき、スルホ基を有する色素誘導体と金属塩を構成する金属が、亜鉛、又はガリウムである場合、前記緑色顔料(A2)であるフタロシアニン系顔料を併用したフタロシアニン顔料を使用した緑色画素の課題のひとつである電圧保持率の低下を改善できる。
スルホ基を有する色素誘導体との金属塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。
また、前記緑色顔料(A2)であるフタロシアニン系顔料を併用した緑色画素の課題である明度低下、電圧保持率の低下の観点から、スルホ基の銅塩と銅塩以外の金属塩を併用することが好ましい。その併用比率は、特に制限はないが、質量基準で1:99〜99:1の範囲が好ましいく、10:90〜90:10の範囲がより好ましい。なかでも、銅塩とアルミニウム塩との併用、もしくは銅塩と亜鉛塩との併用がより好ましい。
アルキルアンモニウム塩を構成するアミンとしては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジヒドロキシエチル
アミン、2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン等の低級アミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン等の炭素数2以上のアルキル基を有する長鎖アルキルアミン、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム等の炭素数12以上のアルキル基を有する長鎖アルキル4級アンモニウムイオンが挙げられる。これらの中でも、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム等の炭素数12以上のアルキル基を有する長鎖アルキル4級アンモニウムイオンとの塩を用いると、最も分散安定性に優れ、特に保存安定性が高い着色組成物が得られる。
スルホ基の導入数は、色素骨格に対し、1個ないし2個が望ましい。3個以上になると、カラーフィルタに好適に使用できる有機溶剤に対し親和性がなくなり、分散性が低下する。
前記酸性置換基を有する色素誘導体(B)としては、保存安定性の観点から、色素骨格がキノフタロン化合物であることが好ましい。なかでも、スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1)、またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2)であることが好ましく、スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1)であることがより好ましい。
スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1)、スルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2)について説明する。
前記酸性置換基を有する色素誘導体(B)に用いられるキノフタロン化合物とは、下記化学式(9)で示されるような骨格を分子構造中に有する化合物のことである。具体例としては、C.I.アシッドイエロー3、5等の市販されている染料、およびC.I.ピグメントイエロー138、C.I.ソルベントイエロー33、114、157、C.I.ディスパースイエロー54、64、67等の市販されている顔料および染料が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化学式(9)
Figure 2021102743
スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1)は、前記化学式(9)で示される骨格を分子構造中に有する化合物を公知の方法を用いてスルホン化した化合物であり、具体例として、下記に示すものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、下記の例示化合物は−SO3Hを、公知の方法で簡単に金属塩やアルキルアンモニウム塩にカウンター交換することでスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2)を得ることができる。
Figure 2021102743
Figure 2021102743
前記酸性置換基を有する色素誘導体(B)の含有量は、粘度、保存安定性、および異物の抑制の観点から、着色剤(A)の全量を基準(100質量%)として、1〜40質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。
[樹脂型分散剤(C)]
本発明の着色組成物は、樹脂型分散剤(C)として下記(C1)、または(C2)いずれかの樹脂型分散剤を含む。
(C1):塩基性樹脂型分散剤(c1)と、リン酸系樹脂型分散剤(c2)と、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)とを含む樹脂型分散剤、または、
(C2):下記一般式(2)または(3)と塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩(c3)と、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)とを含む樹脂型分散剤。
一般式(2)
Figure 2021102743
一般式(3)
Figure 2021102743
(但し、一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R1及びR2の少なくとも一つは炭素原子を含む基である。
一般式(3)において、R3は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキ
ル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。)
前記(C1)、または(C2)いずれかの樹脂型分散剤を用いて、キノフタロン化合物(A1)を分散処理することにより、本発明の課題を解決することができる。
前記樹脂型分散剤(C)の含有量は、粘度、保存安定性の観点から、キノフタロン化合物(A1)100質量%に対して3〜200質量%であることが好ましく、5〜100質量%であることがより好ましい。また、(c1)〜(c4)については、おのおのの効果を発揮するために、それらの最大の質量/最小の質量が20以下であることが好ましい。
本発明の着色組成物の第一の形態は、樹脂型分散剤(C)として、下記(C1)の樹脂型分散剤を含む。
(C1):塩基性樹脂型分散剤(c1)と、リン酸系樹脂型分散剤(c2)と、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)とを含む樹脂型分散剤。
(塩基性樹脂型分散剤(c1))
前記塩基性樹脂型分散剤(c1)は、例えば、塩基性基を有するエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体をラジカル重合してなる共重合体であり、着色剤(A)に吸着する塩基性基を含む親和性部位を有し、着色剤(A)に吸着して分散を安定化する働きをするものである。
ここで、塩基性基とは、窒素原子を有する官能基である。前記塩基性樹脂型分散剤(c1)としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体、ランダム共重合体、およびウレタン系樹脂型分散剤などが挙げられる。
本発明では、塩基性樹脂型分散剤(c1)が下記一般式(c1−a)、一般式(c1−b)及び一般式(c1−c)で表される群より選ばれる少なくとも一つの構成単位を有することが好ましい。
Figure 2021102743
(一般式(c1−a)において、R9〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基
を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R9〜R11のうち2つ以上が
互いに結合して環状構造を形成してもよい。R12 は水素原子又はメチル基を示し、Xは
2価の連結基を示し、Y-は対アニオンを示す。)
(一般式(c1−b)において、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R13及びR14が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R12は水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示す。)
(一般式(c1−c)において、R15は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR20を表し、R20は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、またはアシル基を表し、R16、R17
18、R19はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。R12は水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示す。)
一般式(c1−a)におけるR9〜R11としては、置換基を有していてもよい炭素数1
〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアラルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
一般式(c1−b)におけるR13及びR14としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
一般式(c1−c)のR15において、炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることが出来る。
炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基が炭素数1〜8のアルキル基に結合した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基等を挙げることが出来る。
またアシル基としては、炭素数2〜8のアルカノイル基及び、アロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等を挙げることが出来る。
この中でも特に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
一般式(c1−a)、一般式(c1−b)、及び一般式(c1−c)において、2価の連結基Xとしては、例えば、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R21−、−COO−R22−(但し、R21及びR22は単結合、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である)等が挙げられ、好ましくは−CONH−R21−、−COO−R22−である。また、上記式(c1−a)において、対アニオンのY-としては、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、BF4 -、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
一般式(c1−a)の前駆体・部分構造となる、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム
クロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、
(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、
ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
一般式(c1−b)の前駆体・部分構造となる、3級アミン基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
一般式(c1−c)の前駆体・部分構造となる、エチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、下記一般式(c1−c−1)〜(c1−c−11)で表される化合物等を挙げることが出来る。
Figure 2021102743
Figure 2021102743
一般式(c1−c−1)〜(c1−c−11)において、R12は水素またはメチル基を表す。
これらのうち、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート(前記一般式(c1−c−1)において、R12がメチル基である化合物)、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート(前記一般式(c1−c−2)においてR12がメチル基である化合物)が好ましく、特に1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレートが好ましい。
一般式(c1−a)、一般式(c1−b)、及び一般式(c1−c)で表される構成単位は、単独または2種以上含有されていても良く、保存安定性の観点から、一般式(c1−a)、及び一般式(c1−b)を併用することが好ましい。また、各構成単位は、ランダム共重合、ブロック共重合またはグラフト共重合いずれかの態様で含有されていても良い。 なかでも、保存安定性の観点から、一般式(c1−a)、一般式(c1−b)、及び一般式(c1−c)で表される構成単位がブロック共重合で含有されていることが好ましい。
一般式(c1−a)、一般式(c1−b)、及び一般式(c1−c)で表される構成単位以外の構成単位としては、共重合可能な単量体を共重合させたポリマー構造であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。以下に共重合可能な単量体を示す。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ
ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレー
ト等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピ
オン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カ
ルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(c1−a)、一般式(c1−b)、及び一般式(c1−c)で表される構成単位以外のアミノ基を含有するエチレン性不飽和単量体を併用してもよい。
前記塩基性樹脂型分散剤(c1)の分子量は、保存安定性、現像性の観点から、ポリスチレン換算の重量平均で1,000〜100,000が好ましい。
(リン酸系樹脂型分散剤(c2))
本発明において、リン酸系樹脂型とは、分子内にリン酸結合[(−O)3P=O]を有
する樹脂をいう。好ましい例としては、下記(c2−1)、または(c2−2)のいずれかで示される樹脂型分散剤である。
(リン酸系樹脂型分散剤(c2−1))
一般式(4)
(HO−)3-n−PO−(O−R5n
(一般式(4)中、R5は数平均分子量300〜10,000のポリエステル残基、nは
1または2を表す。)
一般式(4)で表される樹脂型分散剤は、分散後の顔料の再凝集を抑制する効果が大きいので、透明性に優れたカラーフィルタを与える。さらに、一般式(4)の構造に起因して、ダイコート方式の塗布装置の塗布液吐出口先端部において固化した着色樹脂組成物の自己溶解性を高めることができる。
一般式(4)で表される樹脂型分散剤は、例えば、モノアルコールを開始剤として、環状エステルを開環付加(第一の工程)した後、リン酸エステル化(第二の工程)を行うことにより製造することが好ましい。
モノアルコールは、分子内に1つの水酸基を持つものであれば特に限定されるものではなく、1級、2級、3級アルコールの何れも使用可能である。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール等並びにその混合物が用いられる。特に、ラウリルアルコール、N−ヘキサノール、およびヘキサデシルアルコールが好ましい。
片末端に水酸基を有するポリエステル残基は、モノアルコールを開始剤として、ε−カプロラクトン等を開環付加重合することによって得ることができる。ε−カプロラクトンの付加反応は、公知の方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器にモノアルコール、ε−カプロラクトン、重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。低沸
点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。反応には、無溶剤またはトルエン、キシレンの様な適当な脱水溶媒を使用することもできる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用することもできる。
第一の工程における反応温度は120℃〜220℃、好ましくは160℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が120℃未満では反応速度がきわめて遅く、220℃を越えるとε−カプロラクトンの付加反応以外の副反応、たとえばε−カプロラクトン付加体のε−カプロラクトンモノマーへの分解、環状のε−カプロラクトンダイマーの生成等が起こりやすい。
モノアルコール1モルに対するε−カプロラクトンの付加モル数は、1〜50モル、好ましくは、3〜20モルである。付加モル数が、1モルより少ないと、分散剤としての効果を得にくくなり、50モルより大きいと反応物の分子量が大きくなりすぎ、分散性、流動性の低下を招く傾向がある。
重合触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛などの亜鉛化合物等が挙げられる。触媒の使用量は 0.1ppm〜3000ppm、好ま
しくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満では環状エステルの開環付加重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
片末端に水酸基を有するポリエステル残基は、五酸化リン、ポリリン酸、オルトリン酸、オキシ塩化リン等のリン酸エステル化剤の1種あるいは2種以上組み合わせて反応させることにより、リン酸エステル化を行うことができる。これらのうち、塩酸ガス等の副生がなく、特殊な設備が不要であることから、オルトリン酸、ポリリン酸および五酸化リンからなる群より選ばれる1種以上のリン酸エステル化剤が好ましい。なかでもオルトリン酸換算含有量116質量%のポリリン酸が好ましい。
リン酸エステル化剤の仕込み比は、片末端に水酸基を有するポリエステル残基の水酸基に対する、リン酸エステル化剤中のリン原子のモル比が0.5〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることが更に好ましく、1.05〜1.2であることが最も好ましい。エポキシ基に対するリン原子のモル比が0.5未満では、水酸基に対するリン酸エステル化が不十分となったり、リン酸ジエステルの副生量が増加したりする傾向があり、1.5を超えると、添加量に見合う増量効果は得られない傾向がある。
第二の工程における反応温度は、特に限定されないが40℃〜130℃が好ましく、50℃〜110℃が更に好ましく、60℃〜100℃が最も好ましい。反応温度がこれらの
範囲よりも低い場合にはエステル化反応が不充分でリン酸エステル化剤が残留する場合があり、これらの範囲よりも高い場合には副生成物が生成し易くなるとともにエステル化反応物の分解が起こり易くなる傾向がある。
一般式(4)において、n=1のリン酸エステルとn=2のリン酸エステルとのモル比が100:0〜100:30であると、分散性が良好になり好ましい。
また、一般式(4)において、R5が下記一般式(4−1)で示される構造であること
が好ましい。
一般式(4−1)
-(R51-COO-)m-R52
(一般式(4−1)中、R51はラクトン残基、R52はモノアルコール残基、mは1〜50の整数を表す。)
例えば、R5がポリカプロラクトン残基であると、顔料分散性、乾燥溶解性が良好にな
り好ましい。特に、数平均分子量300〜10000のポリカプロラクトン残基がより好ましい。
(リン酸系樹脂型分散剤(c2−2))
リン酸系樹脂型分散剤(c2−2)は、リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である分散剤であり、特開2003−253078号公報、特開2008−161737号公報に記載されたものである。
本発明の着色組成物の第一の形態および第二の形態は、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)を含むが、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)については、第二の形態の説明で記載する。
本発明の着色組成物の第二の形態は、樹脂型分散剤(C)として、下記(C2)の樹脂型分散剤を含む。
(C2): 一般式(2)で表される化合物もしくは一般式(3)で表される化合物と、
塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩(c3)と、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)とを含む樹脂型分散剤。
(一般式(2)で表される化合物もしくは一般式(3)で表される化合物と、塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩(c3))
前記樹脂型分散剤(c3)は、下記一般式(2)または(3)で表される化合物と、上述した塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩である樹脂型分散剤である。
一般式(2)
Figure 2021102743
一般式(3)
Figure 2021102743
(但し、一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R1及びR2の少なくとも一つは炭素原子を含む基である。
一般式(3)において、R3は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキ
ル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。)
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、メチルリン酸、ジベンジルリン酸、ジフェニルリン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
前記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、モノメチル硫酸、モノエチル硫
酸、モノn−プロピル硫酸等が挙げられる。なお、p−トルエンスルホン酸一水和物のような水和物を用いても良い。
前記一般式(2)で表される化合物もしくは前記一般式(3)で表される化合物のなかでも、異物発生の抑制の観点から、前記一般式(2)であることが好ましい。
(カルボン酸系樹脂型分散剤(c4))
本発明の着色組成物の第一の形態および第二の形態に使用するカルボン酸系樹脂型分散剤(c4)は、下記(c4−1)、または(c4−2)のいずれかで示される酸性の樹脂型分散剤である。本発明において、カルボン酸系樹脂とは、分子内にカルボキシル基(−COOH)を含む分散能を有する樹脂を言う。好ましくは、分子内に芳香族カルボキシル基を含む樹脂である。
(カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1))
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1)は、テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物の群から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分、並びに、
エチレン性不飽和単量体ラジカル重合してなるビニル重合体部分、
を含んでなる樹脂型分散剤である。
まず、ポリエステル部分の説明をする。ポリエステル部分は、酸無水物基と水酸基との反応に由来するエステル基が複数存在するものである。
〔テトラカルボン酸無水物〕
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4−ジカ
ルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。テトラカルボン酸二無水物は、水酸基含有化合物との反応により、テトラカルボン酸二無水物一単位に二個のカルボキシル基を有する分散剤を形成するため、顔料吸着性の観点から、本発明の分散剤の構成要素として好ましい。
更に、本発明に好ましく使用されるものは、着色剤に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物である。
〔トリカルボン酸無水物〕
トリカルボン酸無水物としては、脂肪族トリカルボン酸無水物、又は芳香族トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。本発明に好ましく使用されるものは、顔料に対する吸着性の観点から、上記のうち芳香族トリカルボン酸無水物である。
テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と、水酸基含有化合物中の水酸基のモル比率は、酸無水物基/水酸基が、0.5〜1.5であることが好ましい。
0.5より小さい場合、1.5より大きい場合、いずれも反応しない部分が多くなり、目的とする分散剤が得られないことが多い。
〔水酸基含有化合物〕
水酸基含有化合物は、酸無水物基と反応する水酸基を有していればよいが、複数の水酸基を有するジオールなどのポリオールが好ましい。また、一部または全部のポリオールは、ビニル重合体部分との結合起点ともなる。
ビニル重合体部分との結合起点となるポリオールとして、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物および片末端水酸基含有ビニル重合体の群から選ばれる少なくとも一種の水酸基含有化合物などが挙げられる。例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリンあるいは1-チオグリセロール)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−
メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、又は2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1)としては、さらに、下記カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−1)または(c4−1−2)が好ましく使用出来る。
(カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−1))
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−1)のビニル重合体部位は、1)水酸基、オキセタン基、t−ブチル基およびブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、必要に応じて、3)その他のエチレン性不飽和単量体とをラジカル重合して得られる。
1−1)(水酸基を有するエチレン性不飽和単量体)
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、
あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、
あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、
あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
1−2)(オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体)
オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(ビニルオキシアルキル)アルキルオキセタン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキセタン、〔(メタ)アクリ
ロイルオキシアルキル〕アルキルオキセタン等を挙げることができる。中でも好ましくは、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル等を挙げることが出来る。市
販品としては、例えば、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル)(宇部興産製)が挙げられる。
1−3)(t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体)
t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレートなどが挙げられる。
1−4)(ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体)
ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、メタクリル酸2−(0−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,
5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等を挙げることが出来る。
市販品としては、例えば、カレンズMOI−BM(メタクリル酸2−(0−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)(昭和電工製)、カレンズMOI
−BP(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)(昭和電工製)などが挙げられる。
オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量は、エチレン性不飽和単量体全体中に5〜90質量%使用するのが好ましく、20〜60質量%使用するのが特に好ましい。5質量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、90質量%以下であれば、組成物の安定性も良好であるために好ましい。
2)(カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体)
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等を挙げることができる。中でも、共重合反応性および入手が容易である点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
3)〔その他のエチレン性不飽和単量体〕
本発明の分散剤中のビニル重合体部分には、熱架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体以外のその他のエチレン性不飽和単量体をラジカル重合しても良い。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、上記したエチレン性不飽和単量体以外に、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類があげられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミド又はアクリルアミドを示す。
又、上記アクリル系単量体と併用できる単量体として、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類があげられる。
(カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−2))
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−2)のビニル重合体部分は、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合した重合体を(メタ)アクリロイル基を有するよう変性したものである。
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−2)の製造方法として、具体的には、(メタ)アクリロイル基と官能基とを有する化合物と、前記官能基と反応する官能基を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合させた重合体とを反応させて得ることができる。例えば、グリシジルメタクリレートと水酸基もしくはカルボキシル基を有する重合体との組み合わせ、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと水酸基もしくはカルボキシル基を有する重合体との組み合わせなどが挙げられる。
水酸基もしくはカルボキシル基を有する重合体は、グリシジル基を有する重合体を、酸無水物化合物と開環反応させて得る、もしくは酸無水物基を有する重合体を開環反応させて得ることもできる。
例えば、特開2011−157416号公報記載の分散剤が挙げられる。
(カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−2))
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−2)は、下記一般式(5)で表される樹脂型分散剤であり、具体的には、特開2007−140487号公報に記載された樹脂型分散剤である。
一般式(5)
(HOOC−)m−R6−(−COO−[−R8−COO−]n−R7t
(一般式(5)中、R6は4価のテトラカルボン酸化合物残基、R7はモノアルコール残基、R8はラクトン残基、mは2または3、nは1〜50の整数、tは(4−m)を表す。)
なかでも、前記樹脂型分散剤(C)は、異物発生の抑制の観点から、前記一般式(c1−a)、一般式(c1−b)、及び一般式(c1−c)で表される群より選ばれる少なくとも一つの構成単位を有する塩基性樹脂型分散剤(c1)と、前記一般式(2)で表される化合物との塩、およびカルボン酸系樹脂型分散剤(c4)を含むことが好ましい。
(市販の樹脂型分散剤)
本発明の着色組成物には、市販されている公知の樹脂型分散剤を上記の塩基性樹脂型分散剤(c1)、リン酸系樹脂型分散剤(c2)、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)として、あるいは適宜併用しても構わない。市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、
167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
[バインダ樹脂(D)]
本発明の着色組成物は、バインダ樹脂(D)を含む。バインダ樹脂(D)は、400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂を用いる。バインダ樹脂(D)には、その主たる硬化方式で分類すると熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和二重結合等を有する活性エネルギー線硬化性樹脂などがあり、活性エネルギー線硬化性樹脂は熱可塑性樹脂であっても熱硬化の機能を併せ持つものであってもよく、さらに現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化性でない熱可塑性樹脂を含んでもよく、これについてもアルカリ可溶性であることが好ましい。これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
本発明の着色組成物中のバインダ樹脂(D)の含有量は、成膜性、塗膜の耐性の観点から、着色剤(A)の全質量を基準(100質量部)として、20〜400質量部が好ましく、50〜250質量部がより好ましい。
(熱可塑性樹脂)
バインダ樹脂(D)として用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、アルカリ可溶性であることが好ましく、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基及び/
又は水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂は、現像性、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明の着色組成物は、現像性、耐熱性、透明性の観点から、バインダ樹脂(D)としてアルカリ可溶性樹脂を含むことがより好ましい。カラーフィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸基及び/又は水酸基を有する。
(エチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂)
本発明の着色組成物に含まれるバインダ樹脂(D)は、エチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂が特に好ましい。特に以下に示す(i) (ii)の方法によりエチ
レン性不飽和二重結合を導入した樹脂を用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで架橋密度が上がり、薬品耐性が良好になる。
(方法(i))
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
(方法(ii))
方法(ii)としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ−バレロラクトン、ポリε−カプロラクトン、及び/又はポリ12−ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン1,6−ビスマレイミドヘキサン、3−マレイミドプロピオン酸、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオナート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチラート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9−マレイミドアクリジン等のN-置換マレ
イミド類、EO変性クレゾールアクリレート、n−ノニルフェノキシポリエチレングリコ
ールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
又、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε−カプロラクトン付加アクリル酸、ε−カプロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられる。
又、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。又、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
又、リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、上記水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの水酸基にたとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応せしめることで得ることができるモノマーが挙げられる。
本発明の着色組成物は、塗膜の硬化度合を調整するために、バインダ樹脂(D)としてエチレン性二重結合を有するアルカリ可溶樹脂と、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂を併用することができる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性を付与するために、2,000以上40,000以下であり、3,000以上300,00以下が好ましく、4,000以上20,000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2,000未満であると基板に対する密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。40,000を超えるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上〜200以下(KOHmg/g)であり、70以上180以下の範囲が好ましく、
より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。200を超えると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
(熱硬化性化合物(G))
本発明の着色組成物は、バインダ樹脂(D)として、熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物(G)を含むことができる。本発明の着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられ、コントラスト比が向上するという効果が得られる。
前記熱硬化性化合物(G)は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。熱硬化性化合物(G)としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のカラーフィルタ用着色組成物ではエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましく用いられる。
〔エポキシ化合物(G−1)〕
前記エポキシ化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
このようなエポキシ化合物の例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
市販品としては、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H(商品名;日本化薬(株)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、JER
157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN−201(商品名;日本化薬(株)製)、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020(以上は商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021、EHPE−3150(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX−211、212、252、313、314、321、411、421、512、521、611、612、614、614B、622、711、721、(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)、TEPIC−L,TEPIC−H、TEPIC−S(日産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記エポキシ化合物の配合量は、着色剤(A)100質量部に対し、0.5〜300質
量部であることが好ましく、1.0〜50質量部であることがより好ましい。0.5質量部未満ではコントラスト比および耐熱性改善効果が小さく、300質量部より多いとフォトリソグラフィーによるフィルタセグメント形成時に不具合を生ずる場合がある。
〔オキセタン化合物(G−2)〕
前記オキセタン化合物は、オキセタン基を有する公知の化合物を特に限定されず使用することができる。オキセタン化合物は、オキセタン基が1官能であるもの、オキセタン基が2官能であるもの、オキセタン基が2官能以上であるものが挙げられる。
オキセタン基が1官能のものとしては、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレート、 (3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、3−エチル−3
−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−メタクリロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
具体例としては、大阪有機化学工業株式会社製OXE−10、OXE−30、東亞合成株式会社製OXT−101、OXT−212等が挙げられる。
オキセタン基が2官能のものとしては、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル−3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−フェノキシメチル)オキセタン、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
具体例としては、宇部興産株式会社製、OXBP、OXTP、東亞合成株式会社製OXT−121、OXT−221等が挙げられる。
オキセタン基が2官能以上であるものとしては、
ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニ
ルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE−30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。このような重合体は、公知の重合法を用いて得ることができる。
本発明の着色組成物に用いられるオキセタン化合物の含有量は、着色組成物の固形分100質量%中、通常0.5〜50質量%、好ましくは1〜40質量%である。オキセタン化合物の含有量が、前記の範囲にあると水シミが良好で、かつ耐薬品性が高い優れた塗膜が得られるため好ましい。
前記メラミン化合物とは、メラミン環構造を有する化合物を指す。メラミン化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。本発明において好ましいのは、メチロール型やエーテル型であり、メラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0以上のメラミン化合物である。メラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0未満であると、反応点が少なく、硬化時の架橋構造が十分に密にならないため熱処理工程によるコントラスト比低下抑制やNMP耐性改善の効果が小さくなる場合がある。
市販品としては、例えば、二カラックMW−30HM、MW−390、MW−100LM、MX−750LM、MW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MS−11、MW−24X、MS−001、MX−002、MX−730、MX−750、MX−708、MX−706、MX−042、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−417、MX−410(三和ケミカル社製)、サイメル232、235、236、238、285、300、301、303、350、370(日本サイテックインダストリーズ社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でもメラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0以上である、二カラックMW−30HM、MW−390、MW−100LM、MX−750LM、MW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MS−11、MW−24X、MX−45(三和ケミカル社製)サイメル232、235、236、238、300、301、303、350(日本サイテックインダストリーズ社製)などが、密な架橋構造が得られる点で好ましい。
(硬化剤)
本発明の着色組成物には、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤(硬化促進剤)などを含んでいてもよい。硬化剤としては、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性化合物と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。硬化剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジ
アミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性化合物100質量部に対し、0.01〜15質量部が好ましい。
[有機溶剤(P)]
本発明の着色組成物は、着色剤(A)の分散性、バインダ樹脂(D)の溶解性の観点から、有機溶剤(P)を含有することが好ましい。有機溶剤(P)は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記有機溶剤(P)としては、具体的には、1,2,3−トリクロロプロパン、1−メトキシ−2−プロパノール、乳酸エチル、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステルなどが挙げられる。中でも、着色剤の分散性、バインダ樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチ
ルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。これらの有機溶剤(P)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
<感光性着色組成物>
本発明の一実施形態は、感光性着色組成物に係わる。本発明の感光性着色組成物は、前記着色組成物、重合性化合物(E)、及び光重合性開始剤(F)を含む。
以下、一実施形態の感光性着色組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を説明する。
[重合性化合物(E)]
本発明の感光性着色組成物は、重合性化合物(E)を含む。重合性化合物(E)は、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。重合性化合物(E)には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの市販品としては、日本化薬社製のKAYARAD R−128H、R526、PEG400DA、MAND、NPGDA、R−167、HX−220、R−551、R712、R−604、R−684、GPO−303、TMPTA、DPHA、DPEA−12、DPHA−2C、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、及び東亜合成社製のアロニックスM−303、M−305、M−306、M−309、M−310、M−321、M−325、M−350、M−360、M−313、M−315、M−400、M−402、M−403、M−404、M−405、M−406、M−450、M−452、M−408、M−211B、M−101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、#335HP、#700、#295、#330、#360、#GPT、#400、#405、新中村化学社製のNKエステル
A−9300等を好適に使用することができる。
(酸基を有する重合性化合物)
本発明の前記重合性化合物(E)は、酸基を有する重合性化合物を含有してもよい。酸基としては、スルホン酸基やカルボキシル基、リン酸基等を挙げることができる。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの市販品としては、大阪有機社製のビスコート#2500P、及び東亜合成社製アロニックスM−5300、M−5400、M−5700、M−510、M−520等を好適に使用することができる。
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
本発明の前記重合性化合物(E)は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を少なくとも1つずつ含有する重合性化合物を含有してもよい。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらの市販品としては、共栄社化学社製のAH−600、AT−600、UA−306
H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、UF−8001G、DAUA−167、新中村化学工業社製のUA−160TM、大阪有機化学工業社製のUV−4108F、UV−4117F等を好適に使用することができる。
前記重合性化合物(E)は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
前記重合性化合物(E)の含有量は、光硬化性、現像性の観点から、感光性着色組成物の全固形分を基準(100質量部)として、1〜50質量部であることが好ましく、2〜40質量部であることがより好ましい。
[光重合開始剤(F)]
本発明の感光性着色組成物は、光重合開始剤(F)を含む。光重合開始剤(F)を含むことで、該感光性着色組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成することができる。光重合開始剤(F)は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記光重合開始剤(F)としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリノ)フェニル]−2−(フェニルメチル)−1−ブタノン、又は2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
市販品としては、アセトフェノン系化合物としては、全てIGM Resins社製で「Omnirad 907」(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、「Omnirad 369E」(2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリノ)フェニル]−2−(フェニルメチル)−1−ブタノン)、「Omnirad 379EG」(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、ホスフィン系化合物としては、全てIGM Resins社製で「Omnirad 819」(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、「Omnirad TPO」(ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド)、などが挙げられる。
本発明においては、これらの中でも、オキシムエステル系化合物を含有することが好ましい。
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN−O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。感光性着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
これらオキシムエステル系化合物の市販品としては、BASF社から、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](IR
GACURE OXE−01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02)、N−1919(ADEKA社製)、TRONLY TR−P
BG−304、TRONLY TR−PBG−305、TRONLY TR−PBG−309(いずれも常州強力新材料社製)等が市販されている。また、この他に、特開2007−210991号公報、特開2009−179619号公報、特開2010−037223号公報、特開2010−215575号公報、特開2011−020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤を用いることも可能である。
前記光重合開始剤(F)は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
前記光重合開始剤(F)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対し、光硬化性及び現像性の観点から、2〜50質量部であることが好ましく、2〜30質量部であることがより好ましい。2質量部よりも少ない場合、形成パターンの基材との密着性が悪くなり、50質量部を超えると現像性に問題が生じることや、230℃熱処理後の明度低下が生じる場合がある。
[増感剤(H)]
本発明の感光性着色組成物には、増感剤(H)を含有させることができる。
増感剤(H)としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘
導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
前記増感剤(H)の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N−エチルカルバゾール、3−ベンゾイル−N−エチルカルバゾール、3,6−ジベンゾイル−N−エチルカルバゾール等が用いられる。
前記増感剤(H)は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
市販品としては、「KAYACURE DETX-S」(2,4−ジエチルチオキサントン 日本化薬社製)、「CHEMARK DEABP」(4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン Chemark Chemical社製)などが挙げられる。
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
前記増感剤(H)を使用する際の含有量は、光硬化性、現像性の観点から、感光性着色組成物中に含まれる光重合開始剤(F)100質量部に対し、3〜60質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。
[チオール系連鎖移動剤(I)]
本発明の感光性着色組成物は連鎖移動剤として、チオール系連鎖移動剤(I)を含むことが好ましい。チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる着色組成物は高感度となる。
また、SH基が2個以上あるメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。より好ましくは、SH基が4個以上ある多官能脂肪族チオールである。官能基数が増えることで、重合開始機能が向上し、パターンにおける表面から基材付近まで硬化させることができる。
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−
ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
前記チオール系連鎖移動剤(I)は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
また、前記チオール系連鎖移動剤(I)の含有量は、感光性着色組成物の全固形分中1.0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは2.0〜8.0質量%である。この範囲において、連鎖移動剤の効果が大きくなり、感度、テーパー形状やシワ、膜縮率等が良好になる。
[重合禁止剤(J)]
本発明の感光性着色組成物には、露光時にマスクの回折光による感光を防ぐために、重合禁止剤(J)を含有させることができる。重合禁止剤(J)を添加することで感光による連鎖重合で所望のパターン外まで硬化が進行しないようにする効果が得られる。
前記重合禁止剤(J)としては、カテコール、レゾルシノール、1,4−ヒドロキノン、2−メチルカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、2−エチルカテコール、3−エチルカテコール、4−エチルカテコール、2−プロピルカテコール、3−プロピルカテコール、4−プロピルカテコール、2−n−ブチルカテコール、3−n−ブチルカテコール、4−n−ブチルカテコール、2−t−ブチルカテコール、3−t−ブチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、2−エチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、2−プロピルレゾルシノール、4−プロピルレゾルシノール、2−n−ブチルレゾルシノール、4−n−ブチルレゾルシノール、2−t−ブチルレゾルシノール、4−t−ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。重合禁止剤の含有量は、感光性着色組成物の有機溶剤を除いた質量100質量部に対して、0.01〜0.4質量部が好ましい。この範囲において、重合禁止剤の効果が大きくなり、テーパーの直線性や塗膜のシワ、パターン解像性等が良好になる。
[紫外線吸収剤(K)]
発明の感光性着色組成物は、紫外線吸収剤(K)を含んでも良い。本発明における紫外線吸収剤(K)とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物、サリチル酸エステ
ル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤(K)の含有量は、光重合開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5〜70質量%が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記より少ない場合、紫外線吸収剤の効果が小さく、解像性が確保できず、上記より多い場合には、感度が低くなり画素はがれやホール径が設計値より大きくなってしまうといった不具合が発生することがある。
このとき感光性着色組成物が増感剤を含む場合には、光重合開始剤の含有量に増感剤の含有量を含むこととする。
また、光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量は、感光性着色組成物の固形分100質量%中、1〜20質量%が好ましい。光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量が上記より少ない場合、密着性が弱まり画素はがれが発生し、上記より多い場合には、感度が高すぎ解像性が悪くなることがある。
このとき感光性着色組成物が増感剤を含む場合には、光重合開始剤の含有量に増感剤の含有量を含むこととする。
ベンゾトリアゾール系有機化合物としては2−(5メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2−メトキシ−1−メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。その他ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
さらに具体的には、株式会社BASF社製TINUVIN P、PS、234、326
、329、384−2、900、928、99−2、1130、株式会社ADEKA製アデカスタブLA−29、LA−31RG、LA−32、LA−36、ケミプロ化成株式会社製KEMISORB71、73、74、79、279、大塚化学株式会社製RUVA−
93等が挙げられる。
トリアジン系有機化合物としては、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−(ドデシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
さらに具体的には、ケミプロ化成社製KEMISORB 102、BASF社製TIN
UVIN 400、405、460、477、479、1577ED、ADEKA社アデ
カスタブLA−46、LA−F70、サンケミカル社製CYASORB UV−1164
等が挙げられる。
ベンゾフェノン系有機化合物としては、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸−3水温、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
さらに具体的には、ケミプロ化成株式会社製KEMISORB 10、11、11S、
12、111、シプロ化成株式会社製SEESORB 101、107、株式会社ADE
KA社製アデカスタブ1413、サンケミカル株式会社製UV−12等が挙げられる。
サリチル酸エステル系有機化合物としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル、サリチル酸−t−ブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
[酸化防止剤(L)]
本発明の感光性着色組成物は、酸化防止剤(L)を含有することができる。酸化防止剤(L)は、感光性着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。特に着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜架橋成分量が少なくなるため高感度の架橋成分の使用や、光重合開始剤の増量といった対応を取るため熱工程の黄変が強くなる現象が見られる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
本発明における「酸化防止剤」とは、ラジカル補足機能、又は過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物があげられ、公知の酸化防止剤が使用できる。また、本発明で用いられる酸化防止剤(L)は、ハロゲン原子を含有していないものが好ましい。
前記酸化防止剤(L)の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス−(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−ブタン、4,4’−ブチリデン−ビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−4−t−ブチル−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−チオジエチルビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)、i−オクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、ビス[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1
,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル
)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミル−ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−ノニルフェノール、2,2’−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチル−フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−(1−メチル−シクロヘキシル)−p−クレゾール)、2,4−ジメチル−6−(1−メチル−シクロヘキシル)−フェノール等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
さらに具体的には、株式会社ADEKA社製アデカスタブAO−20、AO−30、AO−40,AO−50、AO−60、AO−80、AO−330、ケミプロ株式会社製KEMINOX101、179、76、9425、株式会社BASF社製IRGANOX1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425WL、1520L、245、259、3114、5057、565、サンケミカル株式会社製サイアノックスCY−1790、CY−2777等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カルボネート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールと3,5,5−トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’−4,7−テトラキス〔4,6−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピリペリジル)[[3,5−ビス(1,1ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピリペリジルセバケート、ポリ[[6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−C12−21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
さらに具体的には、株式会社ADEKA製アデカスタブLA−52、LA−57、LA−63P、LA−68、LA−72、LA−77Y、LA−77G、LA−81、LA−82、LA−87、LA−402F、LA−502XP、ケミプロ化成株式会社製KAMISTAB29、62、77、94、株式会社BASF製Tinuvin249、TINUVIN111FDL、123、144、292、5100、サンケミカル株式会社製サイアソーブUV−3346、UV−3529、UV−3853等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12〜C15アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム−2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−ホスファイト、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)−ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジt−ブチル−6−メチルフェニル)等が挙げられる。その他ホスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
さらに具体的には、株式会社ADEKA製アデカスタブPEP−36、PEP−8、HP−10、2112、1178、1500、C、135A、3010、TPP、株式会社BASF製IRGAFOS168、クラリアントケミカルズ株式会社製HostanoxP−EPQ等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、2,2−ビス{〔3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ〕メチル}プロパン−1,3−ジイルビス〔3−(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’−チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
さらに具体的には、株式会社ADEKA製アデカスタブAO−412S、AO−503、ケミプロ化成株式会社製KEMINOXPLS等が挙げられる。
前記酸化防止剤(L)は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
前記酸化防止剤(L)の含有量は、感光性着色組成物の固形分100質量%中、0.5〜5.0質量%の場合、透過率、分光特性、及び感度が良好であるためより好ましい。
[レベリング剤(M)]
本発明の感光性着色組成物には、透明基板上での組成物の塗布性、着色被膜の乾燥性を良好することを目的として、レベリング剤(M)を添加することが好ましい。レベリング剤(M)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
さらに具体的には、ビックケミー社製BYK−300、306、310、313、315N、320、322、323、330、331、333、342、345/346、347、348、349、370、377、378、3455、UV3510、3570、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ−7002、2110、2122、2123、2191、5609、信越化学工業株式会社製X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、KF−351A、KF−354L、KF−355A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、X−22−4515、KF−6004、KP−341等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング
剤が挙げられる。
さらに具体的には、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンS−242、S−243、S−420、S−611、S−651、S−386、DIC株式会社製メガファックF−253、F−477、F−551、F−552、F−555、F−558、F−560、F−570、F−575,F−576、R−40−LM、R−41、RS−72−K、DS−21、住友スリーエム株式会社製FC−4430、FC−4432、三菱マテリアル電子化成株式会社製EF−PP31N09、EF−PP33G1、EF−PP32C1、株式会社ネオス製フタージェント602A等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
さらに具体的には、花王株式会社製エマルゲン103、104P、106、108、109P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、350、404、408、409PV、420、430、705、707、709、1108、1118S−70、1135S−70、1150S−60、2020G−HA、2025G、LS−106、LS−110、LS−114、MS−110、A−60、A−90、B−66、PP−290、ラテムルPD−420、PD−430、PD−430S、PD450、レオドールSP−L10、SP−P10、SP−S10V、SP−S20、SP−S30V、SP−O10V、SP−O30V、スーパーSP−L10、AS−10V、AO−10V、AO−15V、TW−L120、TW−L106、TW−P120、TW−S120V、TW−S320V、TW−O120V、TW−O106V、TW−IS399C、スーパーTW−L120、430V、440V、460V、MS−50、MS−60、MO−60、MS−165V、エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH−25、CH−40、CH−60(K)、アミート102、105、105A、302、320、アミノーンPK−02S、L−02、ホモゲノールL−95、株式会社ADEKA社製アデカプルロニック(登録商標)L−23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、TR−701、702、704、913R、共栄社化学株式会社製(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムク
ロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
さらに具体的には、花王株式会社製アセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
さらに具体的には、株式会社ネオス製フタージェント100、150、株式会社ADEKA社製アデカホープYES−25、アデカコールTS−230E、PS−440E、EC−8600等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
さらに具体的には、花王株式会社製アンヒトール20AB、20BS、24B、55AB、86B、20Y−B、20N等が挙げられる。
本発明の感光性着色組成物に界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の添加量は、本発明の感光性着色組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。この範囲内であることで、感光性着色組成物の塗布性とパターン密着性、透過率のバランスが良好となる。
本発明の感光性着色組成物は、界面活性剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
[貯蔵安定剤(N)]
本発明の感光性着色組成物には、感光性着色組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤(N)を含有させることができる。貯蔵安定剤(N)としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤(N)は、着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.1〜10質量%の量で用いることができる。
[密着向上剤(O)]
本発明の感光性着色組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤(O)を含有させることができる。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
前記密着向上剤(O)としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン等のビニルシラン類、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対し、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部の量で用いることができる。この範囲内で効果が大きくなり、密着性、解像性、感度のバランスが良好であるためより好ましい。
[有機溶剤(P)]
本発明の感光性着色組成物には、ガラス等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために有機溶剤(P)を含有させる。有機溶剤(P)は、感光性着色組成物の塗布性が良好であることに加え、感光性着色組成物の各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
前記有機溶剤(P)としては、当該分野で通常使用される有機溶剤を用いることができ、上述した有機溶剤などから、沸点、SP値、蒸発速度、粘度などの性能を勘案し、塗布条件(速度、乾燥条件など)に合わせて適宜、単独または混合して使用される。
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、有機溶剤中に、着色剤(A)、酸性基を有する色素誘導体(B)、樹脂型分散剤(C)、及びバインダ樹脂(D)を加え、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。このとき、2種以上の着色剤(A)を同時に分散しても良いし、別々に分散したものを混合しても良い。
[着色剤(A)の分散粒子径(二次粒子径)]
本発明の着色組成物における着色剤(A)の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30〜200nmの範囲が好ましい。より好ましくは、40〜120nmの範囲である。この範囲であると、粘度、分散安定性が高く、この着色組成物を単独あるいは混合し、さらに重合性化合物(E)、光重合開始剤(F)を加えると、粘度、分散安定性のみならず、感度が高く、現像速度が速い感光性着色組成物を得ることが出来、それを用いてカラーフィルタを作製すると高品質なカラーフィルタとなる。
着色剤(A)の平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法としては、動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA‐EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50を平均径とすることが挙
げられる。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
<感光性着色組成物の製造方法>
本発明の感光性着色組成物は、前記着色組成物と、重合性化合物(E)、及び光重合開始剤(F)に、必要に応じて、有機溶剤、その他の成分を混合して調整することができる。
[粗大粒子の除去]
本発明の着色組成物、及び感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、及び青色フィルタセグメントを具備する。また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、及び黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよい。
<カラーフィルタの製造方法>
カラーフィルタは、印刷法又はフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して露光(放射線の照射)を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素に
よる重合阻害を防止する膜を形成した後、露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
本発明のカラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、カラー液晶表示装置が製造される。このカラー液晶表示装置は、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
また、本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置以外に固体撮像素子、有機EL表示装置、量子ドット表示装置、及び電子ペーパー等の製造に使用することもできる。
<液晶表示装置>
本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタと、光源とを具備する。光源としては、冷陰極管(CCFL),白色LEDが挙げられるが、本発明においては赤の再現領域が広がるという点で、白色LEDを使用することが好ましい。図1は、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置10の概略断面図である。図1に示す装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および21を備え、それらの間には、液晶LCが封入されている。
第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In‐Plane スイッチング)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated
Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。第1の透明基板1
1の内面には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
白色LED光源としては、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したものや、青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがあり、430nm〜485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm〜580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm〜650nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED1)や、430nm〜485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm〜580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED2)が好ましい。
LED1としては、具体的にはNSSW306D−HG−V1(日亜化学社製)、NSSW304D−HG−V1(日亜化学社製)等が挙げられる。
LED2としては、具体的にはNSSW440(日亜化学社製)、NSSW304D(日亜化学社製)等が挙げられる。
以下に、実施例、及び比較例により本発明を説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」とは、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、アミン価(mgKOH/g)は以下の通りである。
(樹脂型分散剤、及びバインダ樹脂の平均分子量)
樹脂型分散剤、及びバインダ樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK−GEL SUPER HZM−N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。
サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
(樹脂型分散剤、及びバインダ樹脂の酸価)
樹脂型分散剤、及びバインダ樹脂溶液0.5〜1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM−555」平沼産業製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
(塩基性樹脂型分散剤のアミン価)
塩基性樹脂型分散剤のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
<微細化キノフタロン顔料(A)の製造>
(微細化キノフタロン顔料(A1−1))
キノフタロン顔料であるC.I.ピグメントイエロー138(PY138)(BASF社製「パリオトールイエローK0960−HD」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2,000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の微細化したC.I.ピグメントイエロー138(A1−1)を得た。
(微細化キノフタロン顔料(A1−2))
安息香酸メチル200部に、8−アミノキナルジン40部、テトラブロモ無水フタル酸334 部、安息香酸154 部を加え、180℃ に加熱し、4時間攪拌を行った。さら
に、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン5,440部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、および乾燥を行い、下記式(10)で表されるキノフタロン顔料(A1−2)を116部得た。
続いて、得られたキノフタロン顔料(A1−2)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、96部の微細化したキノフタロン顔料(A1−2)を得た。
式(10)
Figure 2021102743
(微細化キノフタロン顔料(A1−3、A1−7))
特開2012−226110号公報の実施例1、および実施例8に従って下記式(11)、および式(12)で表される微細化したキノフタロン顔料(A1−3、A1−7)を得た。以下に、その構造を示す。
(微細化キノフタロン顔料(A1−3))
式(11)
Figure 2021102743
(微細化キノフタロン顔料(A1−7))
式(12)
Figure 2021102743
(微細化キノフタロン顔料(A1−4、A1−5、A1−12))
特許第6432076号公報に記載の黄色着色剤(Y−1、Y−2、Y−4)の製造に従って下記式(13)〜(15)で表される微細化したキノフタロン顔料(A1−4、A1−5、A1−12)を得た。以下に、その構造を示す。
(微細化キノフタロン顔料(A1−4))
式(13)
Figure 2021102743
(微細化キノフタロン顔料(A1−5))
式(14)
Figure 2021102743
(微細化キノフタロン顔料(A1−12))
式(15)
Figure 2021102743
(微細化キノフタロン顔料(A1−17))
特開2012−226110号公報の実施例9に従い、上記式(15)で示されるキノフタロン化合物とC.I.ピグメントイエロー138を含む微細化したキノフタロン顔料(A1−17)を得た。
<微細化緑色顔料(A2)の製造例>
(微細化緑色顔料(A2−1〜3))
特開2017−111398号公報の実施例に従って下記式(16)〜(18)で表される微細化した緑色顔料(A2−1〜3)を得た。以下に、構造を示す。
(微細化緑色顔料(A2−1))
式(16)
Figure 2021102743
(微細化緑色顔料(A2−2))
式(17)
Figure 2021102743
(微細化緑色顔料(A2−3))
式(18)
Figure 2021102743
(微細化緑色顔料(A2−4))
C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTGEN GREEN A110」)を100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、97部の微細化した緑色顔料(A2−4)を得た。
(微細化緑色顔料(A2−5))
C.I.ピグメントグリーン36を 200部、塩化ナトリウム1400部、およびジ
エチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化した緑色顔料(A2−5)を得た。
(微細化緑色顔料(A2−6))
300mLフラスコに、塩化スルフリル91部、塩化アルミニウム109部、塩化ナトリウム15部、亜鉛フタロシアニン30部、臭素59部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより緑色粗顔料を得た。得られた緑色粗顔料20部、粉砕した塩化ナトリウム140部、ジエチレングリコール32部、キシレン1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、微細化フタロシアニン顔料(A2−6)を得た。得られた微細化した緑色顔料(A2−6)は、蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均12.71個であり、そのうち臭素原子数が平均10.22個、塩素原子数が平均2.49個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
(微細化緑色顔料(A2−7))
300mLフラスコに、塩化スルフリル91部、塩化アルミニウム109部、塩化ナトリウム15部、亜鉛フタロシアニン30部、臭素44部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより緑色粗顔料を得た。得られた緑色粗顔料20部、粉砕した塩化ナトリウム140部、ジエチレングリコール32部、キシレン1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、微細化緑色顔料(A2−7)を得た。得られた微細化した緑色顔料(A2−7)は、蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均11.98個であり、そのうち臭素原子数が平均9.00個、塩素原子数が平均2.98個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料で
あった。
<微細化赤色顔料(A3)の製造>
(微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1))
還流管を付けたステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したtert−アミルアルコール200部、およびナトリウム−tert−アミルアルコキシド140部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。一方で、ガラス製フラスコに、コハク酸ジイソプロピル88部、4−ブロモベンゾニトリル153.6部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、2時間かけて一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩を得た。さらに、ガラス製ジャケット付き反応容器に、メタノール600部、水600部、及び酢酸304部を加え、−10℃に冷却した。この冷却した混合物を、高速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させながら、この中に、75℃まで冷却した先に得られたジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、メタノール、酢酸、および水からなる混合物の温度が常に−5℃以下の温度を保つように、冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩の添加する速度を調整しながら、およそ120分にわたって少量ずつ添加した。アルカリ金属塩添加後、赤色の結晶が析出し、赤色の懸濁液が生成した。続いて、得られた赤色の懸濁液を5℃にて限外濾過装置で洗浄後、濾別し赤色ペーストを得た。このペーストを0℃に冷却したメタノール3500部にて再分散し、メタノール濃度約90%の懸濁液とし、5℃にて3時間攪拌し、結晶転移を伴う粒子整粒および洗浄を行った。続いて、限外濾過機で濾別し、得られたジケトピロロピロール系化合物の水ペーストを、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕することによりジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)150.8部を得た。
得られたジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)を100部、塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール120部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃で10時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過および水洗をして食塩およびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)96.9部を得た。
(微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−2))
反応容器1にtert−アミルアルコール220部を入れて水浴冷却させながら、60%NaH32部を加えて、90℃にて加熱攪拌させた。次いで、反応容器2にtert−アミルアルコール100部、Tetrahedron, 58(2002)5547−5565の方法により合成した下記化学式(19)の化合物85.0部、および4−シアノビフェニル60.9部を加熱溶解させ、これを反応容器1に2時間かけて滴下した。120℃で10時間反応させた後、60℃まで冷却させ、メタノール400部、および酢酸50部を加えてから、濾別およびメタノール洗浄を行い、ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−2)を88.1部得た。
得られたジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−2)を、微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)と同様の方法で粉砕することにより微細化したジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−2)96.5部を得た。
式(19)
Figure 2021102743
(微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−3))
4−シアノビフェニル60.9部をN,N−ジブチル−4−シアノベンズアミド87.8部に変更した以外は、ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−2)の製造と同様に行い、ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−3)を87.1部得た。
得られたジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−3)を、微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)と同様の方法で粉砕することにより微細化したジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−3)97.5部を得た。
(微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−4)の製造)
ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)を、市販のC.I.ピグメントレッド254(BASF社製「イルガジンレッド D3656 HD」)に変更した以外は、微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)と同様の方法で粉砕することにより微細化したジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−4)97.3部を得た。
(微細化アントラキノン系赤色顔料(A3−5)の製造)
ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)を、市販のC.I.Pigment R
ed 177(シニック社製「シニレックスレッド SR3C」)に変更した以外は、微
細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)と同様の方法で粉砕することにより微細化したアントラキノン系赤色顔料(A3−5)を得た。
(微細化アゾ系赤色顔料(A3−6)の製造)
ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)を、市販のC.I.Pigment Red 242(クラリアント社製「ノボパーム スカーレット4RF」)に変更した以外は、微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)と同様の方法で粉砕することにより微細化したアゾ系赤色顔料(A3−6)を得た。
(微細化アゾ系赤色顔料(A3−7)の製造)
ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)を、市販のC.I.ピグメントレッド269(クラリアント社製「Toner Magenta F8B」)に変更した以外は、微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料(A3−1)と同様の方法で粉砕することにより微細化したアゾ系赤色顔料(A3−7)を得た。
<酸性置換基を有する色素誘導体(B)の製造例>
(スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1−1)の製造)
キノフタロン化合物であるC.I.ピグメントイエロー138(BASF社製「パリオトールイエロー K0960−HD」)30部を101%硫酸300部中に溶解し、70℃にて8時間攪拌し、スルホン化反応を行った。反応の終点は、硫酸溶液の分光スペクトルを測定し、スペクトルの変化が見られなくなる点とした。次いで、この反応溶液を氷水3000部中に注入し、析出物を濾別、水洗後、80℃で乾燥し、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(20)で表されるスルホ基を有するキノフタロン化合物(B1−1)を得た。
式(20)
Figure 2021102743
(スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1−2)の製造)
特開2015−172732号公報の実施例に記載のキノフタロン化合物(QL−c−1)と同様の製造方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(21)で表されるスルホ基を有するキノフタロン化合物(B1−2)を得た。
式(21)
Figure 2021102743
(スルホ基のアルミニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−1)の製造)
特許第4585781号公報に記載の合成方法に従い、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(22)で表されるスルホ基のアルミニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−1)を得た。
式(22)
Figure 2021102743
(スルホ基のラウリルトリメチルアンモニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−2)の製造)
特許第6160061号公報の実施例に記載のキノフタロン化合物(B−3)と同様の製造方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(23)で表されるスルホ基のラウリルトリメチルアンモニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−2)を得た。
式(23)
Figure 2021102743
(スルホ基の銅塩を有するキノフタロン化合物(B2−3)の製造)
前記スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1−1)10gを、水500部に加え25℃で2時間撹拌し再分散させた。次いで、この溶液に硫酸銅(II)5水和物4.8部を徐々に添加し、60℃で2時間反応させた。反応物を濾別、水洗後、80℃で乾燥し、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(24)で表されるスルホ基の銅塩を有するキノフタロン化合物(B2−3)を得た。
式(24)
Figure 2021102743
(スルホ基の鉄塩を有するキノフタロン化合物(B2−4)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、塩化鉄(III)六水和物5.2部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(25)で表されるスルホ基の鉄塩を有するキノフタロン化合物(B2−4)を得た。
式(25)
Figure 2021102743
(スルホ基のクロム塩を有するキノフタロン化合物(B2−5)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、塩化クロム(III)六水和物5.2部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(26)で表されるスルホ基のクロム塩を有するキノフタロン化合物(B2−5)を得た。
式(26)
Figure 2021102743
(スルホ基の銀塩を有するキノフタロン化合物(B2−6)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、硝酸銀(I)6.6部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(27)で表されるスルホ基の銀塩を有するキノフタロン化合物(B2−6)を得た。
式(27)
Figure 2021102743
(スルホ基のカルシウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−7)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、酢酸カルシウム一水和物3.4部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(28)で表されるスルホ基のカルシウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−7)を得た。
式(28)
Figure 2021102743
(スルホ基のガリウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−8)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、塩化ガリウム(III)3.4部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(29)で表されるスルホ基のガリウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−8)を得た。
式(29)
Figure 2021102743
(スルホ基の亜鉛塩を有するキノフタロン化合物(B2−9)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、酢酸亜鉛二水和物4.3部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(30)で表されるスルホ基の亜鉛塩を有するキノフタロン化合物(B2−9)を得た。
式(30)
Figure 2021102743
(スルホ基のコバルト塩を有するキノフタロン化合物(B2−10)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、塩化コバルト(II)六水和物4.6部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(31)で表されるスルホ基のコバルト塩を有するキノフタロン化合物(B2−10)を得た。
式(31)
Figure 2021102743
(スルホ基のニッケル塩を有するキノフタロン化合物(B2−11)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−3)の製造で使用した硫酸銅(II)五水和物の代わりに、硫酸ニッケル(II)六水和物5.1部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−3)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(32)で表されるスルホ基のニッケル塩を有するキノフタロン化合物(B2−11)を得た。
式(32)
Figure 2021102743
(スルホ基のアルミニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−12)の製造)
前記スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1−2)10gを、水500部に加え25℃で2時間撹拌し再分散させた。次いで、この溶液に硫酸アルミニウム5部を徐々に添加し、60℃で2時間反応させた。反応物を濾別、水洗後、80℃で乾燥し、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(33)で表されるスルホ基のアルミニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2−12)を得た。
式(33)
Figure 2021102743
(スルホ基の銅塩を有するキノフタロン化合物(B2−13)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−12)の製造で使用した硫酸アルミニウムの代わりに、硫酸銅(II)5水和物5.5部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−12)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(34)で表されるスルホ基の銅塩を有するキノフタロン化合物(B2−13)を得た。
式(34)
Figure 2021102743
(スルホ基の亜鉛塩を有するキノフタロン化合物(B2−14)の製造)
前記キノフタロン化合物(B2−12)の製造で使用した硫酸アルミニウムの代わりに、酢酸亜鉛二水和物4.8部を使用した以外は、前記キノフタロン化合物(B2−12)と同様の方法で、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(35)で表されるスルホ基の亜鉛塩を有するキノフタロン化合物(B2−14)を得た。
式(35)
Figure 2021102743
(スルホ基を有するイソインドリン化合物(B3)の製造)
イソインドリン化合物であるC.I.ピグメントイエロー185(BASF社製「パリオゲンイエロー D1155」)30部を101%硫酸300部中に溶解し、70℃にて8時間攪拌し、スルホン化反応を行った。反応の終点は、硫酸溶液の分光スペクトルを測定し、スペクトルの変化が見られなくなる点とした。次いで、この反応溶液を氷水3000部中に注入し、析出物を濾別、水洗後、80℃で乾燥し、酸性置換基を有する色素誘導体(B)として、下記式(36)で表されるスルホ基を有するイソインドリン化合物(B3)31部を得た。
式(36)
Figure 2021102743
<樹脂型分散剤(C)の製造例>
(塩基性樹脂型分散剤(c1))
〔塩基性樹脂型分散剤(c1−1)溶液〕
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート40部、nーブチルメタクリレート10部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート40部、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド10部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。GPC測定の結果、ポリマーの質量平均分子量20000、分子量分布Mw/Mnが1.4であり、反応転化率は98.5%であった。このようにして、固形分当たりのアミン価が169.8mgKOH/gの塩基性樹脂型分散剤(c1−1)を得た。室温まで冷却した後、樹脂型分散剤溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した塩基性樹脂型分散剤(c1−1)に不揮発分が30質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)を添加して塩基性樹脂型分散剤(c1−1)溶液を調製した。
〔塩基性樹脂型分散剤(c1−2)溶液〕
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、PGMAc133部を仕込み、窒素置換しながら110℃に昇温した。滴下槽にジエチルアミノエチルメタクリレート177部、メチルアクリレート3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、PGMAc61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が345mgKOH/g、数平均分子量(Mn)3,000の塩基性樹脂型分散剤(c1−2)を得た。樹脂型分散剤(c1−1)溶液と同様にして希釈して、不揮発分が30質量%の塩基性樹脂型分散剤(c1−2)溶液を調製した。
〔塩基性樹脂型分散剤(c1−3)溶液〕
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、PGMAc133部を仕込み、窒素置換しながら110℃に昇温した。滴下槽に1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート177部、メチルアクリレート3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、PGMAc61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が201mgKOH/g、数平均分子量3,800(Mn)の塩基性樹脂型分散剤(c1−3)を得た。塩基性樹脂型分散剤(c1−1)溶液と同様にして希釈して、不揮発分が30質量%の塩基性樹脂型分散剤(c1−3)溶液を調製した。
〔塩基性樹脂型分散剤(c1−4)溶液〕
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、AIBN1.0質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート186質量部を仕込み、引き続きメチルメタクリレート27質量部、ブチルメタクリレート27質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート19質量部、ベンジルメタクリレート16質量部、トリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート16質量部及びクミルジチオベンゾエート3.6質量部を仕込んで、30分間窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、この反応溶液に、AIBN1.0質量部及びジメチルアミノエチルメタクリレート54質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート108質量部に溶解させ30分間窒素置換を行った溶液を添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合し、その後、塩基性樹脂型分散剤(c1−1)溶液と同様にして希釈して、不揮発分が30質量%の塩基性樹脂型分散剤(c1−4)溶液を調製した。
〔塩基性樹脂型分散剤(c1−5)溶液〕
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート500部、チオグリセロール22部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート511部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN 0.50部を添加した後7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量5200の、片末端領域に2つの遊離ヒドロキシル基を有するビニル重合体の不揮発分50%溶液を得た。ついでイソホロンジイソシアネート 90.4部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.1部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.11部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、3時間反応した後、40℃まで冷却し、イソシアネート基を有するプレポリマー溶液を得た。ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器2にメチルイミノビスプロピルアミン22.2部、ジブチルアミン 13.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート304.6部を仕込み100℃に加熱した。そこへ前記プレポリマー溶液を30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、室温まで冷却して反応を終了した。必要に応じて、減圧蒸留により溶剤の一部除去し、ついで、塩基性樹脂型分散剤(c1−1)溶液と同様にして希釈して、不揮発分が30質量%の塩基性樹脂型分散剤(c1−5)溶液を調製した。
〔塩基性樹脂型分散剤(c1−6)溶液〕
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、nーブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(日立化成工業社製、ファンクリルFA−711MM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
このようにして、不揮発分当たりのアミン価が57mgKOH/g、数平均分子量4,500(Mn)のピペリジル骨格を有する塩基性基樹脂型分散剤(c1−6)を得た。
樹脂型分散剤(c1−1)溶液と同様にして希釈して、不揮発分が30質量%の塩基性基樹脂型分散剤(c1−6)溶液を調製した。
〔塩基性樹脂型分散剤(c1−7)溶液〕
特許第5513691号公報の製造例1に記載の顔料分散剤(1)の製造方法で、〔(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(23/77重量%)の4級化物;4級化率27mol%)〕を合成し、樹脂型分散剤(c1−1)溶液と同様にして希釈して、不揮発分が30質量%の塩基性基樹脂型分散剤(c1−7)溶液を調製した。
(リン酸系樹脂型分散剤(c2))
〔リン酸系樹脂型分散剤(c2−1)溶液〕
窒素ガス導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ラウリルアルコール186g、ε−カプロラクトンモノマー571g、テトラブチルチタネート0.6gを仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で3時間加熱、撹拌した。カプロラクトンモノマーの消失を、テトラヒドロフランを溶離液とするGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)のRI検出器により確認した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、R1の数平均分子量760、n=1と2の存在比が100:12のリン酸系樹脂型分散剤(c2−1)を得た。PGMAcで固形分調整することにより固形分30%、不揮発分当たりの酸価166mgKOH/gのリン酸系樹脂型分散剤(c2−1)溶液を得た。
〔リン酸系樹脂型分散剤(c2−2)溶液〕
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けてシクロヘキサノン1500部を仕込み、80℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメチルメタクリレート120部、n−ブチルメタクリレート210部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート90部、メタクリル酸60部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM−110」)120部、アシッドホスホキシエチルメタクリレート6部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル30部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、固形分30%、重量平均分子量24,000のリン酸系樹脂型分散剤(c2−2)溶液を得た。
(塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩(c3))
〔フェニルホスホン酸とアミノ基を有する塩基性樹脂型分散剤との塩(c3−1)溶液〕
100mL丸底フラスコ中で、PGMAc35質量部に、塩基性樹脂型分散剤(メタクリル酸メチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル:構成比5/3)12.6質量部を溶解させ、塩形成成分であるフェニルホスホン酸を2.4質量部(メタクリル酸ジメチルアミノエチルに対し、0.5モル当量)加え、反応温度40℃で2時間攪拌することにより、フェニルホスホン酸とアミノ基を有する塩基性樹脂型分散剤との塩(c3−1)の固形分30質量%溶液を調製した。
〔フェニルホスホン酸とアミノ基とアンモニウム塩とを有する塩基性樹脂型分散剤との塩(c3−2)溶液〕
100mL丸底フラスコ中で、PGMAc35質量部に、塩基性樹脂型分散剤(メタクリル酸メチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩:構成重量比3/3/2)12.6質量部を溶解させ、塩形成成分であるフェニルホスホン酸を2.4質量部(メタクリル酸ジメチルアミノエチルに対し、0.5モル当量)加え、反応温度40℃で2時間攪拌することにより、フェニルホスホン酸とアミノ基とアンモニウム塩とを有する塩基性樹脂型分散剤との塩(c3−2)の固形分30質量%溶液を調製した。
〔フェニルホスフィン酸とアミノ基を有する塩基性樹脂型分散剤との塩(c3−3)溶液〕
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)250質量部及び開始剤のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール5.81質量部を、添加用
ロートを介して加え、充分に窒素置換を行った。触媒のテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1モル/Lアセトニトリル溶液0.5質量部を、シリンジを用いて注入し、親溶剤性を有するブロック用モノマーのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル19.7質量部、メタクリル酸2−エチルヘキシル7.5質量部、メタクリル酸n−ブチル12.9質量部、メタクリル酸ベンジル10.7質量部、メタクリル酸メチル30.9質量部を、添加用ロートを用いて60分かけて滴下した。反応フラスコを氷浴で冷却することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、色材吸着機能ブロック用モノマーであるジメチルアミノプロピルメタクリルアミド18.3質量部を20分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール1質量部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行った。
続いて、100mL丸底フラスコ中でPGMAc35質量部に、得られたブロック共重合体15.0質量部を溶解させ、塩形成成分であるフェニルホスフィン酸1.1質量部(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに対し、0.5モル等量)加え、反応温度30℃で20時間攪拌し、PGMAcを添加して調整し、固形分30質量%の塩基性樹脂型分散剤との塩(c3−3)溶液を得た。
(カルボン酸系樹脂型分散剤(c4))
〔カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1)溶液〕
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i−ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500のカルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1)溶液を得た。
〔カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−1)溶液〕
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、無水トリメリット酸3部、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール1部、PGMAc50部、ジメチルベンジルアミン0.1部を仕込んだ。窒素ガスで置換した後、反応容器内を120℃に加熱し4時間反応させ、次いで80℃で2時間反応させた。さらにターシャリーブチルアクリレート30部、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル 、宇部興産社製)20部、メタクリル酸5部、エチルアクリレート40部、PGMAc10部を仕込み、反応容器内を80℃に保ちながら2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を15回に分けて30分ごとに添加した。最終添加から1時間後に不揮発分測定を行い、モノマーの95%が反応したことを確認した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、不揮発分当たりの酸価51mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)24,000のカルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−1)溶液を得た。
〔カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−2)溶液の製造〕
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確
認した。次に、第一工程で得られた化合物を固形分換算で160部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、t−ブチルアクリレート150部、2−メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm−1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで固形分調整することにより固形分30%のカルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−2)溶液を得た。得られたカルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1−2)の酸価は68mgKOH/g、不飽和二重結合当量は1,593、重量平均分子量は13,000であった。
〔カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−2)溶液〕
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸73.3部を加え、120℃で2時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcで固形分調整することにより固形分30%のカルボン酸系樹脂型分散剤(c4−2)溶液を得た。得られたカルボン酸系樹脂型分散剤(c4−2)の酸価は、49mgKOH/gであった。
<バインダ樹脂(D)の製造例>
(バインダ樹脂(D−1)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n−ブチルメタクリレート37.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(D−1)液を調製した。重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
(バインダ樹脂(D−2)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビス
イソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダ樹脂(D−2)を調製した。重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
(バインダ樹脂(D−3)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(D−3)液を調製した。重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
(バインダ樹脂(D−4)溶液)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート40部、メタクリル酸40部、メタクリル酸メチル120部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート( 日本油脂製「パーブチルO 」)4部、PGMAc40部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール8部、PGMAc32部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMAc395部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃ まで昇温した。反応槽の温度が90℃ に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃ に保
ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110 ℃ にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル7 0 部、2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃ で12時間反応させた。その後、PGMAc150部を加えて室温まで冷却
し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(D−4)液を得た。樹脂の重量平均分子量は18,000 、固形分当たりの酸価は2mgKOH/gであった。
<着色組成物(キノフタロン化合物(A1)単独)の製造方法>
[実施例1]
(着色組成物(R−1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20.0質量%
の着色組成物(R−1)を作製した。溶剤(P−1)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
着色剤(A1−1) :11.5部
酸性置換基を有する色素誘導体(B1−1) :0.5部
塩基性樹脂型分散剤(c1−1) :10.0部
リン酸系樹脂型分散剤(c2−1) :4.0部
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1) :6.0部
バインダ樹脂(D−1) :10.0部
溶剤(P−1) :58.0部
[実施例2〜64、比較例1〜5]
(着色組成物(R−2〜69)の作製)
表1に記載した通りの材料種、質量に変更した以外は、実施例1と同様に着色組成物(R−2〜69)を作製した。
Figure 2021102743
Figure 2021102743
<キノフタロン化合物(A1)を含まない着色組成物の製造方法>
[製造例1]
(着色組成物(R−70)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20.0質量%の着色組成物(R−70)を作製した。
着色剤(A2−1) :12.0部
塩基性樹脂型分散剤(c1−1) :10.0部
リン酸系樹脂型分散剤(c2−1) :4.0部
カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1) :6.0部
バインダ樹脂(D−1) :10.0部
溶剤(P−1) :58.0部
[製造例2〜16]
表2に記載した通りの材料種、質量に変更した以外は、[製造例1]と同様にキノフタロン化合物(A1)を含まない着色組成物(R−71〜85)を作製した。
Figure 2021102743
<着色組成物(キノフタロン化合物(A1)と緑色顔料(A2)、または赤色顔料(A3)の混合)の製造方法>
[実施例101]
(着色組成物(X−1)の作製)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して着色組成物(X−1)を得た。
着色組成物(R−1) :46.5部
着色組成物(R−71) :37.0部
バインダ樹脂(D−1) :16.5部
[実施例102〜248、比較例101〜106]
(着色組成物(X−2〜154)の作製)
表3、及び4に記載した通りの材料種、質量に変更した以外は、実施例101と同様に着色組成物(X−2〜154)を作製した。
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物(R−1〜69、X−1〜154)について、粘度、保存安定性、及び異物に関する試験を下記の方法で行った。評価結果を表5〜表7に示す。
(粘度特性の測定)
E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて回転数20rpmにおける粘度を測定した。2以上が実用可能である。
3:粘度 4.0以上10.0未満
2:粘度 10.0以上20.0未満
1:粘度 20.0以上

(保存安定性)
着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。この初期粘度及び経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、保存安定性を評価した。2以上が実用可能である。
式:[経時粘度変化率]=|([初期粘度]−[経時粘度])/[初期粘度]|×100
3:変化率5%未満のもの
2:変化率5%以上10%未満のもの
1:変化率10%以上のもの
(異物評価)
透明基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物を塗布し、オーブンで230℃1時間の熱処理を行い、塗膜中の異物の数を計測した。評価は、金属顕微鏡「BX60」(オリンパスシステム社製)を用いて表面観察を行った。倍率は、500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を計測した。2以上が実用可能である。
4:異物の数が5個未満
3:異物の数が5個以上、20個未満
2:異物の数が21個以上、100個未満
1:異物の数が100個以上
Figure 2021102743

Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
<感光性着色組成物の製造方法>
[実施例301]
(感光性着色組成物(Y−1))
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性着色組成物(
Y−1)を得た。
着色組成物(R−1) :50.0部
バインダ樹脂(D−2) :15.0部
エポキシ化合物(G−1) :1.0部
オキセタン化合物(G−2) :1.0部
光重合性化合物(E) :3.0部
光重合開始剤(F) :1.8部
増感剤(H) :0.2部
チオール系連鎖移動剤(I) :0.4部
重合禁止剤(J) :0.1部
紫外線吸収剤(K) :0.1部
酸化防止剤(L) :0.1部
レベリング剤(M) :1.0部
貯蔵安定剤(N) :0.1部
シランカップリング剤(O) :0.2部
溶剤(P) :26.0部
[実施例302〜516、比較例301〜311]
(感光性着色組成物(Y−2〜227)の作製)
実施例301の着色組成物、およびバインダ樹脂溶液の種類を表8に記載した通りに変更した以外は、実施例301と同様に行い感光性着色組成物(Y−2〜227)をそれぞれ作製した。また表中、実施例439は、実施例365のバインダ樹脂(D−2)を(D−3)に変えたものであり、実施例440は、実施例365のバインダ樹脂(D−2)を(D−4)に変えたものである。また、実施例515は、実施例441のバインダ樹脂(D−2)を(D−3)に変えたものであり、実施例516は、実施例441のバインダ樹脂(D−2)を(D−4)に変えたものである。尚、それぞれの原料については、以下の通りである。
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
<エポキシ化合物(G−1)>
(G−1−1)2,2‘−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−
エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物
[EHPE−3150(ダイセル社製)]、
(G−1−2)ソルビトールのグリシジルエーテル化エポキシ化合物
[デナコールEX611(ナガセケムテックス株式会社製)]、
(G−1−3)イソシアヌル酸トリグリシジル
(G−1−1)〜(G−1−3)をそれぞれ同量混合し、エポキシ化合物(G−1)とした。
<オキセタン化合物(G−2)>
3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン
[アロンオキセタンOXT−221(東亞合成株式会社製)]
<重合性化合物(E)>
(E−1)トリメチロールプロパントリアクリレート
[アロニックスM309(東亞合成株式会社製)]
(E−2)ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート
[アロニックスM402(東亞合成株式会社製)]
(E−3)多塩基酸性アクリルオリゴマー
[アロニックスM520(東亞合成株式会社製)]
(E−4)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[KAYARAD DPCA−30(日本化薬社製)]
(E−5)下記による多官能ウレタンアクリレート
内容量が1リットル5つ口反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(432g、ヘキサメチレンジイソシアネート84gを仕込み、60℃で8時間反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート(E−5)を含む生成物を得た。生成物中、多官能ウレタンアクリレート(E−5)の占める割合は、70質量%であり、残部を他の光重合性モノマーで占めている。なお、IR分析により反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。
(E−6)2官能のビスフェノールA型(メタ)アクリレート
[ABE−300(新中村化学社製)]
(E−7)エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
[A−9300(新中村化学社製)]
以上、(E−1)〜(E−7)をそれぞれ同量にて混合し、重合性化合物(E)とした。
<光重合開始剤(F)>
(F−1)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン
[イルガキュア907(BASFジャパン社製)]
(F−2)2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン
[イルガキュア379(BASFジャパン社製)]
(F−3)2,4,6−トリメチルベンゾイルージフェニルーホスフィンオキサイド
[ルシリンTPO(チバ・ジャパン社製)]
(F−4)2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
[ビイミダゾール(黒金化成社製)]
(F−5)p−ジメチルアミノアセトフェノン
[DMA(ダイキファイン社製)]
(F−6)エタン−1−オン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H
−カルバゾール−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)
[イルガキュアOXE02(BASFジャパン社製)]
(F−7)1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル] −2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−プロパン−1−オン
[イルガキュア2959(BASFジャパン社製)]
(F−8)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド
[イルガキュア819(BASFジャパン社製)]
以上、(F−1)〜(F−8)をそれぞれ同量にて混合し、光重合開始剤(F)とした。
<増感剤(H)>
(H−1)2,4−ジエチルチオキサントン
[カヤキュアDETX−S(日本化薬社製)]
(H−2)4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
[CHEMARK DEABP(Chemark Chemical社製)]
以上、(H−1)、(H−2)をそれぞれ同量にて混合し、増感剤(H)とした。
<チオール系連鎖移動剤(I)>
(I−1)トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)
[TEMB(昭和電工社製)]
(I−2)トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)
[TPMB(昭和電工社製)]
(I−3)ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
[PEMP(堺化学工業社製)]
(I−4)トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
[TMMP(堺化学工業社製)]
(I−5)トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート[TEMPIC(堺化学工業社製)]
以上、(I−1)〜(I−5)をそれぞれ同量にて混合し、チオール系連鎖移動剤(I)とした。
<重合禁止剤(J)>
(J−1)3−メチルカテコール
(J−2)メチルヒドロキノン
(J−3)t−ブチルヒドロキノン
以上、(J−1)〜(J−3)をそれぞれ同量にて混合し、重合禁止剤(J)とした。
<紫外線吸収剤(K)>
(K−1)2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン
[TINUVIN400(BASFジャパン社製)]
(K−2)2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール
[TINUVIN900(BASFジャパン社製)]
以上、(K−1)〜(K−2)をそれぞれ同量にて混合し、紫外線吸収剤(K)とした。
<酸化防止剤(L)>
(L−1)ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(L−2)3,3'−チオジプロパン酸ジオクタデシル
(L−3)トリス[2,4−ジ−(t)−ブチルフェニル]ホスフィン
(L−4)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
(L−5)サリチル酸p−オクチルフェニル
以上、(L−1)〜(L−5)をそれぞれ同量にて混合し、酸化防止剤(L)とした。
<レベリング剤(M)>
(M−1)ビックケミー社製「BYK−330 」
(M−2)DIC株式会社製「メガファックF−551」
(M−3)花王株式会社製「エマルゲン103」
以上、(M−1)〜(M−3)をそれぞれ1部混合し、PGMAc97部に溶解させた混
合溶液をレベリング剤(M)とした。
<貯蔵安定剤(N)>
(N−1)2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール
(本州化学工業社製「BHT」)
(N−2)トリフェニルホスフィン
(北興化学工業社製「TPP」)
以上、(N−1)〜(N−2)をそれぞれ同量にて混合し、貯蔵安定剤(N)とした。
<密着向上剤(O)>
(O−1)3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM−403(信越化学工業株式会社製)]
(O−2)3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBE−503(信越化学工業株式会社製)]
(O−3)N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM−603(信越化学工業株式会社製)]
(O−4)3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM−803(信越化学工業株式会社製)]
以上、(O−1)〜(O−4)をそれぞれ同量にて混合し、シランカップリング剤(O)とした。
<溶剤(P) >
(P−1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
(P−2)シクロヘキサノン 30部
(P−3)3−エトキシプロピオン酸エチル 10部
(P−4)プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
(P−5)シクロヘキサノールアセテート 10部
(P−6)ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート 10部
以上、(P−1)〜(P−6)をそれぞれ上記質量部にて混合し、溶剤(P)とした。
<感光性着色組成物の評価>
各試験を下記の方法で行った。試験の結果を表9〜表11に示す。
(現像速度評価)
感光性着色組成物を、厚み0.7mmで10mm×10mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が1.0μmとなるように回転塗工し、70℃で20分乾燥した。上記塗膜に、2質量%水酸化カリウム水溶液を2ml滴下して、塗厚が溶解してなくなるまでの時間を測定し、感光性着色組成物の現像速度を評価した。2以上が実用可能である。
3:10秒未満
2:10秒以上、15秒未満
1:15秒以上
(粘度特性の測定)
E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて回転数20rpmにおける粘度を測定した。2以上が実用可能である。
3:粘度 2.0以上5.0未満
2:粘度 5.0以上10.0未満
1:粘度 10.0以上
(保存安定性)
感光性着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。この初期粘度及び経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、保存安定性を評価した。2以上が実用可能である。
式:[経時粘度変化率]=|([初期粘度]−[経時粘度])/[初期粘度]|×100
3:変化率5%未満のもの
2:変化率5%以上10%未満のもの
1:変化率10%以上のもの
(異物評価)
異物評価は、透明基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように感光性着色組成物を塗布し、オーブンで230℃1時間の熱処理を行って得た塗膜基板の塗膜中の異物の数を計測した。評価は金属顕微鏡「BX60」(オリンパスシステム社製)を用いて表面観察を行った。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を計測した。2以上が実用可能である。
4:異物の数が5個未満
3:異物の数が5個以上、20個未満
2:異物の数が21個以上、100個未満
1:異物の数が100個以上
(耐溶剤性評価)
透明基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように感光性着色組成物を塗布し、オーブンで230℃1時間の熱処理を行って得た塗膜基板をN−メチルピロリドン溶液に30分浸漬後、イオン交換水で洗浄、風乾し、100μmフォトマスク部分でのパターンについて光学顕微鏡を用いて観察して評価を行った。2以上が実用可能である。
3:外観、色に変化なく良好
2:一部にシワ等が発生するが、色には変化なく良好
1:ハガレや色落ちが発生
(耐光性評価)
得られた感光性着色組成物(Y−70〜Y−148)を透明基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cmで紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。その後、220℃で30分間ポストベークし塗膜基板を得た。作成した塗膜基板は、ポストベーク後での塗膜の色度が、C光源でx=0.290、y=0.600に合うように作成した。
得られた塗膜のC光源での初期の色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。その後、塗膜上に紫外線カットフィルタ(ホヤ社製「COLORED OPTICAL GLASS L38」)を被せ、470W/mキセノンランプを用いて紫外線を100時間照射した後、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定した。下位式より、色差ΔEab*を求めた。2以上が実用可能である。
ΔEab*=√((L*(2)−L*(1))+(a*(2)−a*(1))+(b*(2)−b*(1))
3:ΔEab*が5未満
2:ΔEab*が5以上、10未満
1:ΔEab*が10以上
(電圧保持率評価)
得られた感光性着色組成物(Y−70〜Y−148)を有効電極サイズ10mm×10mmのITO透明電極を有するガラス基板上に、スピンコーターを用いて、乾燥皮膜の膜厚が3.2μmになるように塗布し、電極部の塗膜を溶剤で拭き取りした後、積算光量50mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像し、塗膜基板を得た。ついで230℃で20分間加熱、放冷後、測定用のサンプル塗布基板を各二枚作製した。
上記サンプル塗布済ガラス基板2枚を、ITO透明電極面同士が向かい合うように対向配置し、セルギャップが9μm になるようにシール剤を用いて小型セルを作製した。この小型セルに液晶液をセルギャップ間に注入して、50℃において、電圧5Vで60μ秒間電圧を印加し、電圧解放後16.67m秒経過後のセル電圧[V1]を、東陽テクニカ製VHR−1Sにて測定した。測定されたセル電圧を平均化し、得られたセル電圧を用いて、下記式より初期VHR( % ) を求めた。
VHR(電圧保持率)(%)=([V1]/5)×100
上記初期VHR測定済セルサンプルを、LED照明15万nit、3時間照射し再度照射後のVHR( %)の測定し、下記式より△VHR(電圧保持率変化率)を求め、下記の基準にて評価した。2以上を実用レベルとした。

△VHR=|初期VHR−露光後VHR|
4:2%未満
3:2%以上、5%未満
2:5%以上、10%未満
1:10%以上
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
Figure 2021102743
<カラーフィルタの作製>
感光性着色組成物(Y−54)を、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成された基板を室温に冷却した後、高
圧水銀ランプを用い、ストライプ状フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を1,000J/m2の露光量で露光した。
アルカリ現像を行った後、超純水で洗浄し、更に230℃で20分間ポストベークを行うことにより、基板上に緑色のストライプ状画素を形成した。
次いで、画素上に、光硬化性樹脂組成物を用いて保護膜を形成した。このようにして、塗膜の異物が少ないカラーフィルタを作成することができた。
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 TFTアレイ
13 透明電極層
14 配向層
15 偏光板
21 透明基板
22 カラーフィルタ
23 透明電極層
24 配向層
25 偏光板
30 バックライトユニット
31 白色LED光源
LC 液晶

Claims (9)

  1. 着色剤(A)と、酸性置換基を有する色素誘導体(B)と、樹脂型分散剤(C)と、バインダ樹脂(D)とを含む着色組成物であって、
    前記着色剤(A)が、下記一般式(1)で表わされるキノフタロン化合物(A1)を含み、前記樹脂型分散剤(C)が、下記(C1)、または(C2)いずれかの樹脂型分散剤を含むことを特徴とする着色組成物。
    (C1):塩基性樹脂型分散剤(c1)と、リン酸系樹脂型分散剤(c2)と、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)とを含む樹脂型分散剤。
    (C2):下記一般式(2)で表される化合物または下記一般式(3)で表される化合物と塩基性樹脂型分散剤(c1)との塩(c3)、およびカルボン酸系樹脂型分散剤(c4)を含む樹脂型分散剤。
    一般式(1)
    Figure 2021102743

    一般式(2)
    Figure 2021102743

    一般式(3)
    Figure 2021102743

    (但し、一般式(1)において、R101〜R113は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基を示す。R101〜R104、および/または、R105〜R108の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成してもよい。
    一般式(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。但し、R1及びR2の少なくとも一つは炭素原子を含む基である。
    一般式(3)において、R3は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキ
    ル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または−O−R4を表し、R4は、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、ビニル基、置換基を有してもよいフェニル基もしくはベンジル基、または炭素数1〜4のアルキレン基を介した(メタ)アクリロイル基を表す。)
  2. 前記酸性置換基を有する色素誘導体(B)が、スルホ基を有するキノフタロン化合物(B1)、またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を有するキノフタロン化合物(B2)であることを特徴とする請求項1に記載の着色組成物。
  3. 前記リン酸系樹脂型分散剤(c2)が、下記(c2−1)または(c2−2)のいずれかで示される樹脂型分散剤を含み、カルボン酸系樹脂型分散剤(c4)が、下記(c4−1)または(c4−2)のいずれかで示される樹脂型分散剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の着色組成物。
    (c2−1):下記一般式(4)で表される樹脂型分散剤。
    一般式(4)
    (HO−)3-n−PO−(O−R5n
    (一般式(4)中、R5は数平均分子量300〜10,000のポリエステル残基、nは
    1または2を表す。)
    (c2−2):リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である樹脂型分散剤。
    (c4−1):テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物の群から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分、並びに、
    エチレン性不飽和単量体をラジカル重合してなるビニル重合体部分、
    を含んでなる樹脂型分散剤。
    (c4−2):下記一般式(5)で表される樹脂型分散剤。
    一般式(5)
    (HOOC−)m−R6−(−COO−[−R8−COO−]n−R7t
    (一般式(5)中、R6は4価のテトラカルボン酸化合物残基、R7はモノアルコール残基、R8はラクトン残基、mは2または3、nは1〜50の整数、tは(4−m)を表す。)
  4. 前記カルボン酸系樹脂型分散剤(c4−1)が、下記(c4−1−1)または(c4−1−2)のいずれかで示される樹脂型分散剤を含むことを特徴とする請求項3に記載の着色組成物。
    (c4−1−1):ビニル重合体部分が、
    水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、およびブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とをラジカル重合してなるビニル重合体部分である樹脂型分散剤。
    (c4−1−2):ビニル重合体部分が、
    (メタ)アクリロイル基を有するビニル重合体部分である樹脂型分散剤。
  5. さらに緑色顔料(A2)を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の着色組成物。
  6. さらに赤色顔料(A3)を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の着色組成物。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の着色組成物、重合性化合物(E)、及び光重合開始剤(F)を含むことを特徴とする感光性着色組成物。
  8. 請求項7に記載の感光性着色組成物を用いて形成されてなるフィルタセグメントを有するカラーフィルタ。
  9. 請求項8に記載のカラーフィルタを備えてなる、液晶表示装置。
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