JP2021094817A - 記録素子基板およびその製造方法 - Google Patents

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修平 大宅
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Abstract

【課題】基板と流路形成部材との密着性を高める。【解決手段】記録素子基板4は、液体を吐出させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子5を備えた基板1と、基板1に接合され、基板1とともに液体の流路7を形成する流路形成部材2と、流路形成部材2と基板1との間に介在し、流路形成部材2の第1の接合面20aと基板1の第2の接合面21aとを密着させる密着層14と、を有する。密着層14は、第2の接合面21aに接し、第1の接合面20aの端部20bから流路7内に張出した張出し部14aを備える。張出し部14aは、第2の接合面21aに対して傾斜する傾斜面14bを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、記録素子基板およびその製造方法に関する。
液体吐出ヘッドは、液体を吐出させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子や流路を備えた記録素子基板を有する。記録素子基板は、エネルギー発生素子が形成された基板と、この基板に接合されることで流路を形成する流路形成部材とを有する。流路形成部材は、基板から剥がれないように、基板と流路形成部材との密着性を高める必要がある。
特許文献1には、基板と流路形成部材との密着性を高めるために、ポリエーテルアミド樹脂からなる密着層を介して流路形成部材を基板に接合することが記載されている。また、特許文献2には、基板側に凹部を形成し、流路形成部材の一部をその凹部に嵌合させることで、流路形成部材が基板から剥離することを抑制することが記載されている。
特開平11−348290号公報 特開2015-74118号公報
しかしながら、熱収縮等のために基板自体が変形したり、液体の膨潤等のために流路形成部材自体が変形したりする。このような変形により生じる応力が、基板と流路形成部材との接合部に集中すると、流路形成部材が基板から剥離する場合がある。特許文献1や特許文献2に記載の構成においても、そのような応力の集中により、流路形成部材が基板から剥離する場合がある。
本発明は、基板と流路形成部材との密着性をさらに高めることを目的とする。
本発明の記録素子基板は、
液体を吐出させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子を備えた基板と、
前記基板に接合され、前記基板とともに前記液体の流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材と前記基板との間に介在し、前記流路形成部材の前記基板と対向する第1の接合面と前記基板の前記流路形成部材と対向する第2の接合面とを密着させる密着層と、を有し、
前記密着層は、前記第2の接合面に接し、前記第1の接合面の端部から前記流路内に張出した張出し部を備え、該張出し部は、前記第2の接合面に対して傾斜する傾斜面を備える。
本発明によれば、基板と流路形成部材との密着性を高めることができる。
本発明の第1実施形態による記録素子基板の構成を示す斜視図である。 図1に示す記録素子基板の密着層を含む部分の構成を示す図である。 図2に示す記録素子基板の製造方法を説明するための図である。 熱収縮による基板の変形を説明するための図である。 図2に示す記録素子基板に生じる応力を説明するための図である。 比較例として張出し部を備えていない接合部の一例を示す図である。 本発明の第2実施形態による記録素子基板の密着層を含む部分の構成を示す図である。 図2に示す記録素子基板の変形例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による記録素子基板の構成を模式的に示す斜視図である。図1では、内部構造を示すために、記録素子基板4の一部を切り欠いた状態が示されている。
図1に示すように、記録素子基板4は、液体を供給する供給路6を中央部に備えた基板1を有する。基板1上に、複数の吐出口3を備えた流路形成部材2と、複数の端子8とが形成されている。端子8は基板1の両側(両端)に設けられている。液体の吐出等の動作を行うのに必要な電力が端子8に供給される。液体は、例えばインク等である。基板1は、例えばシリコン等で形成される。流路形成部材2は、例えば樹脂材料で形成される。
流路形成部材2は、基板1に接合され、基板1とともに流路7を形成する。流路7は、基板1の供給路6に連通する。供給路6は、基板1を貫通する貫通孔であり、基板1の長手方向に延在するように形成されている。基板1上には、複数のエネルギー発生素子5が供給路6の両側に所定の間隔で一列に配列されている。各エネルギー発生素子5と各吐出口3とは、互いに対向するように設けられている。吐出口3毎に、エネルギー発生素子5を内部に備えた圧力室30が形成されている。液体は、供給路6から流路7を介して各圧力室30に供給される。
エネルギー発生素子5は、端子8に供給された電力によって駆動され、吐出口3から液体を吐出させるためのエネルギーを発生させる。エネルギー発生素子5として、例えば、熱エネルギーを発生する発熱抵抗素子や、圧電素子などを用いることができる。
記録素子基板4は、基板1と流路形成部材2との互いの接合面を密着させる密着層を有する。図2は、記録素子基板4の密着層を含む部分の構成を模式的に示す図であって、分図(a)は平面図、分図(b)は分図(a)の線A−Aに沿った断面図である。ここでは、エネルギー発生素子5として発熱抵抗素子5aが用いられている。
図2(a)及び図2(b)を参照すると、基板1上に蓄熱層9、電気配線層10及び発熱抵抗素子5aが積層されている。さらに、蓄熱層9、電気配線層10及び発熱抵抗素子5aの積層部上に、電気絶縁層11、耐キャビテーション層12及び有機樹脂層13が積層されている。電気絶縁層11は、絶縁性を持つ無機膜である。耐キャビテーション層12は、液体を吐出する際に発熱抵抗素子5aが発生するバブルの消泡時の衝撃に対する保護膜である。有機樹脂層13は、基板1上の無機膜(例えば、電気絶縁層11)を液体から保護する。
なお、有機樹脂層13は、流路7内の液体の流れに対して抵抗体となる。このため、有機樹脂層13を厚くすると、抵抗成分が増大して液体の吐出特性を劣化させる。一方、有機樹脂層13を薄くすると、抵抗成分を減少することができるが、耐性膜としての性能が損なわれる。このことから、膜としての耐性及び吐出特性の両観点から、有機樹脂層13の膜厚を適切に決定することが好ましい。例えば、膜としての耐性の観点から、有機樹脂層13の膜厚は1μm以上が好ましい。一方、液体の吐出特性の観点から、有機樹脂層13の膜厚は3μm以下が好ましい。よって、有機樹脂層13の膜厚は、1μm以上、3μm以下の範囲内で決定することが好ましい。なお、液体の種類によっては、基板1上の無機膜を保護する必要がない場合がある。そのような場合は、有機樹脂層13を省略してもよい。
記録素子基板4は、流路形成部材2の第1の接合面20aと基板1の第2の接合面21aを互いに密着させる密着層14を有する。第1の接合面20aは、流路形成部材2の基板1側の面である。第2の接合面21aは、有機樹脂層13の流路形成部材2側の面である。ここでは、第1の接合面20a全体が密着層14を介して第2の接合面21aに接合されているが、これに限定されない。例えば、第1の接合面20aの少なくとも流路7に隣接する端部20bの部分が密着層14を介して第2の接合面21aに接合されていればよい。
密着層14は、基板1の第2の接合面21aに接し、流路形成部材2の第1の接合面20aの端部20bから流路7内に張出した張出し部14aを備える。張出し部14aは、第2の接合面21aに対して傾斜する傾斜面14bを備える。第2の接合面21aに垂直な方向から見た場合、張出し部14aは第1の接合面20aの縁部に沿って延在する。傾斜面14bは、張出し部14aの張出しの方向において、基板1の第2の接合面21aに対する傾斜角度が連続的に変化する曲面を含む。曲面は、第2の接合面21aに接する。例えば、曲面は、傾斜角度が基板1側ほど大きくなるように形成されてもよく、また、曲面の断面の形状が弧状であってもよい。流路形成部材2の第1の接合面20aの端部20bが傾斜面14bに接する。ここで、張出し部14aの張出しの方向は、例えば、基板1の流路形成部材2と対向する面に平行な方向である。
流路形成部材2は、流路7の側壁7aを構成する側壁部2aを備える。側壁部2aの基板1側の面が第1の接合面20aを構成する。側壁部2aの第1の接合面20aは、密着層14を介して基板1の第2の接合面21aに接合されている。密着層14の張出し部14aは、側壁7aから流路7内に張出すように形成されている。側壁7aは傾斜面14bに接する。
また、流路形成部材2は、流路7内に、側壁部2aとは独立して設けられた柱状部2bを備える。柱状部2bは、フィルターの働きをするとともに、圧力室30に向かう液体の流れに対する抵抗である流路抵抗を調整するために用いられる。柱状部2bとして、例えば、円柱や角柱などの柱体を用いることができる。流路内の柱状部2bの配置場所や数は適宜に変更可能である。
柱状部2bの基板1側の面が第1の接合面20aを構成する。ここでは、柱状部2bは円柱であり、柱状部2bの第1の接合面20aは円形である。柱状部2bの第1の接合面20aは、密着層24を介して基板1の第2の接合面21aに接合されている。密着層14と同様、密着層24も、第2の接合面21aに接し、第1の接合面20aの端部20bから流路7内に張出した張出し部24aを備える。張出し部24aは、第2の接合面21aに対して傾斜する傾斜面24bを備える。傾斜面24bは、張出し部24aの張出しの方向において、第2の接合面21aに対する傾斜角度が連続的に変化する曲面を含む。曲面は第2の接合面21aに接する。例えば、曲面は、傾斜角度が基板1側ほど大きくなるように形成されてもよく、また、曲面の断面の形状が弧状であってもよい。柱状部2bの側面が傾斜面24bに接する。ここで、張出し部24aの張出しの方向は、例えば、基板1の流路形成部材2と対向する面に平行な方向である。
基板1の第2の接合面21aを構成する有機樹脂層13と密着層14、24としては、例えば、熱可塑性樹脂や感光性レジスト材を用いることができる。熱可塑性樹脂として、例えば、HL−1200CH(日立化成株式会社製)及びHPC-5020(日立化成株式会社)等を用いることができる。感光性レジスト材として、PR−1000D1(日本化薬株式会社製)及びSU-8(日本化薬株式会社)等を用いることができる。なお、有機樹脂層13及び密着層14の材料は、使用する液体に対する耐性を考慮して選択することが好ましい。有機樹脂層13及び密着層14には、同じ材料が用いられてもよく、また、異なる材料が用いられてもよい。
次に、上述した記録素子基板4の製造方法について説明する。
図3は、記録素子基板4の製造方法を説明するための図であって、分図(a)〜(c)は製造の一手順を示す工程図である。
まず、図3(a)に示す基板1を形成する。Si結晶方位が(100)面の基板1上に、熱酸化により、厚さが0.6μmのSiO2膜を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法により、フォトレジストを用いたエッチングマスクをSiO2膜上に形成する。最後に、CF4を用いて反応性イオンエッチングを行うことで、SiO2膜をパターニングし、蓄熱層9を得る。
次に、スパッタリング法により、発熱抵抗素子5aとなる厚さが0.01μmのTaSiN膜を成膜し、さらに、電気配線層10となる厚さが0.6μmのAl膜を成膜する。次いで、フォトリソグラフィ法により、フォトレジストを用いたエッチングマスクを形成し、BCl3/Cl2の混合ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、Al膜を所定の形状にエッチングする。次いで、Oプラズマアッシング及び剥離液によりレジストを除去する。次いで、フォトリソグラフィ法によりエッチングマスクを形成し、ウエットエッチングによりTaSiN膜上のAlを除去する。最後に、Oプラズマアッシング及び剥離液によりフォトレジストを除去することで、発熱抵抗素子5a及び電気配線層10を得る。
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、電気絶縁層11となる厚さが0.3μmのSiN膜を成膜する。次いで、スパッタリング法により、耐キャビテーション層12となる厚さが0.2μmのTa膜を成膜する。次いで、フォトリソグラフィ法によりフォトレジストを用いたエッチングマスクを形成し、CFを用いた反応性イオンエッチングによりSiN膜を所定の形状にエッチングする。次いで、Oプラズマアッシング及び剥離液によりレジストを除去することで、電気絶縁層11を得る。さらに、フォトリソグラフィ法によりエッチングマスクを形成し、CFを用いた反応性イオンエッチングによってTa膜を所定の形状にエッチングする。次いで、Oプラズマアッシング及び剥離液によりレジストを除去することで、耐キャビテーション層12を得る。このとき、電気絶縁層11及び耐キャビテーション層12において、供給路6の開口部となる部分を除去することが好ましい。
次に、図3(b)に示すように、スピンコート法により、有機樹脂層13となる厚さが2.0μmのポリエーテルアミド樹脂層を形成する。ここでは、ポリエーテルアミド樹脂として、HL−1200CH(日立化成株式会社製)が用いる。次いで、フォトリソグラフィ法によりフォトレジストを用いたエッチングマスクを形成し、CF4を用いて反応性イオンエッチングによりポリエーテルアミド樹脂層を所定の形状にエッチングする。次いで、Oプラズマアッシング及び剥離液によりレジストを除去することで、有機樹脂層13を得る。
次に、吐出量が一定のディスペンサ、例えば、エアーディスペンス装置を用いてポリエーテルアミド樹脂を塗布することで、流路7内に張出すように密着層14、24を形成する。ここでは、ポリエーテルアミド樹脂として、日立化成株式会社製の「HIMAL(登録商標)」のHL−1200CHが用いる。この密着層14、24の形成工程において、図2(b)に示した端部20bから流路7内に張出すように、ポリエーテルアミド樹脂を選択的に塗布する。例えば、内径が5μmのディスペンスノズルを用いて、塗布層の厚さが2μmとなるようにポリエーテルアミド樹脂(HL−1200CH)を塗布することで、第2の接合面21a上に密着層14、24を形成する。
なお、張出し部14a、24aの張出す長さ(張出し長)は、基板1と流路形成部材2との接合部に加わる応力の大きさや流路7内の液体の流れに対する抵抗を考慮して適宜に決定することが好ましい。例えば、液体の吐出性能に影響を及ぼさない範囲で、応力の大きさに応じて張出し長を決定してもよい。
次に、図3(c)に示すように、流路形成部材2を形成するために、密着層14、24が形成された基板1上にポジ型感光性樹脂層15及びネガ型感光性樹脂層16を順に形成する。具体的には、まず、密着層14、24が形成された基板1上に、スピンコート法により、厚さが15μmのポジ型感光性樹脂よりなる層を形成する。ポジ型感光性樹脂として、ODUR1010A(東京応化工業製)を用いることができる。次いで、フォトリソグラフ法により、ポジ型感光性樹脂よりなる層をパターニングして、流路7となるポジ型感光性樹脂層15を形成する。次いで、スピンコート法により、パターニングされたポジ型感光性樹脂層15上に流路形成部材2となるネガ型感光性樹脂層16を成膜する。ここで、ネガ型感光性樹脂層16は、流路形成部材2の天井部の厚さが10μmになるように形成される。次いで、ネガ型感光性樹脂層16をパターニングすることで、吐出口3となる部分を形成する。ネガ型感光性樹脂層16として、EHPE-3150(ダイセル化学工業製)のエポキシ樹脂に感光材を加えたものを使用することができる。なお、ポジ型感光性樹脂層15とネガ型感光性樹脂層16を形成するときに、これら層の自重などによって密着層14、24の張出し長や形状が多少変わることがあり得る。
次に、図3(d)に示すように、基板1を濃度が22wt%、温度が83℃のTMAH(Tetramethylammonium hydroxide)水溶液中に所定の時間浸漬して異方性エッチングを施すことで、供給路6を形成する。なお、異方性エッチングの際は、TMAH水溶液が基板1の表面側に回り込まないように、樹脂レジストで基板1の表面側を保護する。次いで、バッファードフッ酸を用いて基板1の裏面側からウエットエッチングを行い、蓄熱層9の供給路6上の部分を除去する。最後に、ポジ型感光性樹脂層15を除去することで、流路7を形成する。
以上の工程により、記録素子基板4を形成することができる。通常、記録素子基板4を構成する複数のチップがSiウェハ上に形成され、ダイシングにより、記録素子基板4をチップ単位に切り出す。この記録素子基板4のチップを液体供給用のチッププレートに取り付けたものが、液体吐出ヘッドとして使用される。
本実施形態の記録素子基板4によれば、張出し部14a、24aを備えた密着層14、24を介して基板1の第2の接合面21aと流路形成部材2の第1の接合面20aとを接合する。これにより、基板1と流路形成部材2との接合部に集中する応力を分散させることができ、基板1と流路形成部材2との密着性を高めることができる。以下に、密着性を高める効果を詳細に説明する。
まず、記録素子基板4に生じる応力について具体的に説明する。
例えば、図4に示すように、熱収縮のために、中央部に供給路6を備えた基板1に矢印Aで示すような幅方向に広がるような力が加わることで、基板1自体が変形する。また、液体を収容するタンク(不図示)と基板1とを接着剤で接続する場合、接着剤の硬化収縮のために、基板1自体が変形する。さらに、流路形成部材2が液体を吸収して膨張する膨潤のために、流路形成部材2自体が変形する。
上記の基板1や流路形成部材2の変形によって生じる応力が、基板1と流路形成部材2との接合部に集中する。例えば、図5に示すように、膨潤や接着剤の硬化収縮のために両側から供給路6に向かう力(矢印A)が加えられると、流路形成部材2の中央部分が上方向(矢印B)へ押し上げられる。その結果、流路形成部材2の側壁部2a及び柱状部2bと基板1との接合部に矢印Cで示すような応力が加わる。この応力(矢印C)は、基板1から流路形成部材2を剥がすように作用する。
本実施形態の記録素子基板4によれば、流路形成部材2の第1の接合面20aと基板1の第2の接合面21aとの間に密着層14、24が介在する。密着層14、24として、基板1側の有機樹脂層13及び流路形成部材2との密着性が良い材料を選択することで、第1の接合面20aと第2の接合面21aとの密着性を高めることができる。
また、密着層14は、端部20bから流路7内に張出すように形成された張出し部14aを有する。これと同様に、密着層24も張出し部24aを有する。このため、流路形成部材2の第1の接合面20aと基板1の第2の接合面21aとの間には、密着性の良い密着層14、24が確実に存在する。
さらに、流路形成部材2の第1の接合面20aの端部20bは張出し部14aの傾斜面14bに接し、その傾斜面14bは基板1の第2の接合面21aに接している。すなわち、第1の接合面20aの端部20bは、傾斜面14bを介して接合面21aに接合されている。この構成によれば、傾斜面14bが基板1と流路形成部材2との接合部に加わる応力を分散させるように作用するので、密着性を高めることができる。
例えば、図6に示すように、張出し部14aを設けずに、密着層34を介して流路形成部材2の第1の接合面20aを基板1の第2の接合面21aに接合した場合、密着層34の端面34aと第1の接合面21aとは略直角に接合される。このような直角の接合構造では、応力が角部(密着層34の端面34aと第1の接合面21aとの接合部)に集中する。これに対して、張出し部14aを備える場合は、側壁7aは傾斜面14bを介して第1の接合面21aに接合される。この接合構造によれば、直角の接合構造と比較して、応力の集中を抑制し、応力を分散させることができる。
また、張出し部24aを備えた密着層24を介して柱状部2bを基板1の第1の接合面21aに接合した場合は、柱状部2bの側面が傾斜面24bを介して第1の接合面21aに接合される。この場合も、側壁部2aと同様、応力の集中を抑制し、応力を分散させることができる。
加えて、本実施形態では、流路形成部材2の第1の接合面20aの縁部は端部20bに近づくにつれ基板1側に湾曲した曲面になっている。密着層14の端部20bと対向する部分も同様の湾曲した曲面になっている。これら曲面が接する構造によれば、平面同士を接触させる場合に比較して、第1の接合面20aと密着層14との接触面積が増大する。この接触面積の増大により、基板1と流路形成部材2との密着性をさらに高めることができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態による記録素子基板の密着層を含む部分の構成を模式的に示す図であって、分図(a)は平面図、分図(b)は分図(a)の線A−Aに沿った断面図である。ここでは、エネルギー発生素子5として発熱抵抗素子5aが用いられている。
第1実施形態の記録素子基板4では、流路形成部材2の第1の接合面20a全体が密着層14、24を介して基板1の第2の接合面21aに接合されていた。これに対して、本実施形態の記録素子基板は、密着層14が側壁部2aの縁部に沿って帯状に形成され、密着層24が柱状部2bの縁部に沿って帯状ないし環状に形成されており、この点で、第1実施形態と異なる。
以下、図7を参照して、本実施形態の記録素子基板の構成を具体的に説明する。なお、第1実施形態の記録素子基板4と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略し、異なる部分についてのみ、詳細に説明する。
図7(a)及び図7(b)に示すように、密着層14は、基板1の第2の接合面21aに接し、側壁部2aの縁部に沿って帯状に形成されている。側壁部2aの基板1側の部分は凸状に形成されており、密着層14は、側壁部2aの凸形状部分の側部に接するように形成されている。密着層14は、傾斜面14bとは別の傾斜面14cを有する。側壁部2aの凸形状部分の対向する側部は、密着層14の傾斜面14cによって挟持されている。傾斜面14cは、基板1の第2の接合面21aに対する傾斜角度が連続的に変化する曲面を含む。例えば、曲面の断面の形状が弧状であってもよい。この場合、例えば、傾斜面14b、14cの曲面全体の断面形状が半円形状であってもよい。
密着層24は、基板1の第2の接合面21aに接し、柱状部2bの縁部に沿って環状に形成されている。柱状部2bの基板1側の部分は凸状に形成されており、密着層24は、柱状部の凸形状部分の側部に接するように形成されている。密着層24は、傾斜面24bとは別の傾斜面24cを有する。柱状部2bの凸形状部分の対向する側部は、密着層24の傾斜面24cによって挟持されている。傾斜面24cは、基板1の第2の接合面21aに対する傾斜角度が連続的に変化する曲面を含む。例えば、曲面の断面の形状が弧状であってもよい。この場合、例えば、傾斜面24b、24cの曲面全体の断面形状が半円形状であってもよい。
本実施形態の記録素子基板も、第1実施形態で説明した製造工程と同様の手順で形成することができる。ただし、本実施形態の記録素子基板の製造方法では、密着層14、24の形成工程として、以下の2つの工程を含む。
一つは、ディスペンサを用いて、側壁部2aの縁部に沿って帯状に密着層14となる樹脂を塗布する工程である。もう一つは、ディスペンサを用いて、側壁部2aとは独立して設けられた柱状部2bの縁部に沿って帯状ないし環状に密着層24となる樹脂を塗布する工程である。
以上説明した本実施形態の記録素子基板によれば、第1実施形態で説明した効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
側壁部2aの基板1側の部分(凸形状部分)は、密着層14の傾斜面14cによって挟持されている。これにより、側壁部2aと基板1との密着性をさらに高めることができる。
また、柱状部2bの基板1側の部分(凸形状部分)は、密着層24の傾斜面24cによって挟持されている。これにより、柱状部2bと基板1との密着性をさらに高めることができる。
上述した第1実施形態及び第2実施形態において、図示した構成は一例であり、適宜に変更可能である。
例えば、第1実施形態において、図2に示したように、流路形成部材2の第1の接合面20aの一部(端部20b近傍)は曲面になっており、この曲面に接する密着層14の部分も曲面になっていた。本発明は、そのような曲面の構造に限定されない。図8に示すように、第1の接合面20a及び密着層14の第1の接合面20a側の面が共に平面で形成されてもよい。
また、第2実施形態では、図7(b)に示したように、密着層14は側壁部2aの基板1側の部分を挟むように形成され、側壁部2aの両側に位置する部分が共に半円形状になっている。本発明は、そのような構造に限定されない。密着層14は、側壁部2aの両側に位置する部分のうち、流路7側とは反対側の部分が、流路7とは反対の方向に延在するように構成されてもよい。これにより、流路形成部材2の第1の接合面20aと密着層14との接触面積が増大し、密着性をさらに高めることができる。
以上説明した本発明の記録素子基板を液体吐出ヘッドに搭載することで、安定した液体吐出動作を提供できる、信頼性の高い液体吐出ヘッドを実現することが可能である。この液体吐出ヘッドは、液体を吐出して記録媒体に画像等の情報を記録する記録装置、例えば、インクジェットプリンタ等に適用することが可能である。
1 基板
2 流路形成部材
4 記録素子基板
5 エネルギー発生素子
7 流路
14 密着層
14a 張出し部
14b 傾斜面
20a 第1の接合面
21a 第2の接合面
20b 端部

Claims (14)

  1. 液体を吐出させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子を備えた基板と、
    前記基板に接合され、前記基板とともに前記液体の流路を形成する流路形成部材と、
    前記流路形成部材と前記基板との間に介在し、前記流路形成部材の前記基板と対向する第1の接合面と前記基板の前記流路形成部材と対向する第2の接合面とを密着させる密着層と、を有し、
    前記密着層は、前記第2の接合面に接し、前記第1の接合面の端部から前記流路内に張出した張出し部を備え、該張出し部は、前記第2の接合面に対して傾斜する傾斜面を備える、ことを特徴とする記録素子基板。
  2. 前記傾斜面は、前記張出し部の張出しの方向において、前記第2の接合面に対する傾斜角度が連続的に変化する曲面を含む、請求項1に記載の記録素子基板。
  3. 前記曲面が前記第2の接合面に接する、請求項2に記載の記録素子基板。
  4. 前記曲面は、前記傾斜角度が前記基板側ほど大きくなるように形成されている、請求項3に記載の記録素子基板。
  5. 前記曲面の断面の形状が弧状である、請求項4に記載の記録素子基板。
  6. 前記第1の接合面の端部が前記傾斜面に接する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の記録素子基板。
  7. 前記流路形成部材は前記流路の側壁を構成する側壁部を備え、該側壁部の前記基板側の面が前記第1の接合面を構成し、前記側壁が前記傾斜面に接する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の記録素子基板。
  8. 前記密着層は前記側壁部の縁部に沿って帯状に形成される、請求項7に記載の記録素子基板。
  9. 前記流路形成部材は前記流路内に前記側壁部とは独立して設けられた柱状部を備え、該柱状部の前記基板側の面が前記第1の接合面を構成し、前記柱状部の側面が前記傾斜面に接する、請求項7又は8に記載の記録素子基板。
  10. 前記密着層は前記柱状部の縁部に沿って帯状ないし環状に形成される、請求項9に記載の記録素子基板。
  11. 液体を吐出させるためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子を備えた基板と、前記基板に接合され、前記基板とともに前記液体の流路を形成する流路形成部材と、を備えた記録素子基板の製造方法であって、
    前記流路形成部材と前記基板との間に介在し、前記流路形成部材の前記基板と対向する第1の接合面と前記基板の前記流路形成部材と対向する第2の接合面とを密着させる密着層を形成する工程を含み、
    前記密着層を形成する工程は、前記流路形成部材の前記第1の接合面の端部から前記流路内に張出すように、前記基板の前記第2の接合面の上に前記密着層となる樹脂を塗布する工程を含む、ことを特徴とする記録素子基板の製造方法。
  12. 前記密着層となる樹脂を塗布する工程は、ディスペンサを用いて前記樹脂を塗布することを含む、請求項11に記載の記録素子基板の製造方法。
  13. 前記密着層となる樹脂を塗布する工程は、前記ディスペンサを用いて、前記流路の側壁を構成する側壁部の縁部に沿って帯状に前記樹脂を塗布することを含む、請求項12に記載の記録素子基板の製造方法。
  14. 前記密着層となる樹脂を塗布する工程は、前記ディスペンサを用いて、前記流路内に前記側壁部とは独立して設けられた柱状部の縁部に沿って帯状ないし環状に前記樹脂を塗布する、請求項13に記載の記録素子基板の製造方法。
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