JP2021092444A - 距離推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】距離の推定精度を向上することができる距離推定装置を提供する。【解決手段】移動距離推定部34は、加速度センサ31が測定した加速度を用いて第1距離推定部16が前回推定してから今回推定するまでの携帯機30の移動距離を推定する。そして端末制御部35は、車載装置10に移動距離のデータを送信する。車載装置10は、受信した移動距離を車載メモリ15に記憶する。そして判定部は、車載メモリ15に記憶されている前回の推定距離と、第1距離推定部16が推定した今回の推定距離と、移動距離推定部34が推定した今回の移動距離とを用いて、今回の推定距離の採用可否を判断する。判断部17が誤計測が発生したと判断した場合は、今回の推定距離を正当でないとして不採用と判断し、車載制御部11は、今回の推定距離を用いないように制御する。【選択図】図4

Description

この明細書における開示は、携帯端末と通信装置との距離を推定する距離推定装置に関する。
従来、携帯端末と通信装置との距離を測定する方法として、携帯端末と通信装置との間の電波の伝搬時間を用いる方法が開示されている(たとえば特許文献1参照)。
特開2018−194329号公報
特許文献1に記載の技術では、電波の伝搬時間のみで距離を測定しているので、他の電波製品による干渉およびマルチパスの遅延波によって伝搬時間を誤判定するおそれがある。
そこで、開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、距離の推定精度を向上することができる距離推定装置を提供することを目的とする。
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
ここに開示された距離推定装置は、携帯端末(30)と通信装置(10)との距離を推定する距離推定装置であって、携帯端末は、通信装置とデータを送受信する端末通信部(32,33)と、端末通信部を制御する端末制御部(35)と、携帯端末の加速度を測定する加速度センサ(31)と、を含み、通信装置は、携帯端末とデータを送受信する装置通信部(12,13)と、装置通信部を制御する装置制御部(11)と、距離を推定するための計測データを携帯端末に送信し、送信した計測データに対する携帯端末からの返信を受信するまでの時間を計測する時間計測部(14)と、を含み、距離推定装置は、制御部(11,35)と記憶部(15)とを含み、制御部は、時間計測部が計測した計測時間を用いて携帯端末と通信装置との推定距離を決定し、決定した推定距離を記憶部に記憶する第1距離推定部(16)と、加速度センサが測定した加速度を用いて第1距離推定部が前回推定してから今回推定するまでの携帯端末の移動距離を推定する第2距離推定部(34)と、
記憶部に記憶されている前回の推定距離と、第1距離推定部が推定した今回の推定距離と、第2距離推定部が推定した今回の移動距離とを用いて、今回の推定距離の採用可否を判断する判断部(17)と、を有し、制御部は、判断部が不採用と判断した場合には今回の推定距離を用いず、判断部が採用と判断した場合には、今回の推定距離を記憶部に記憶する距離推定装置である。
このような距離推定装置に従えば、加速度センサが測定した加速度を用いて第1距離推定部が前回推定してから今回推定するまでの携帯端末の移動距離を推定する。そして判定部は、記憶部に記憶されている前回の推定距離と、第1距離推定部が推定した今回の推定距離と、第2距離推定部が推定した今回の移動距離とを用いて、今回の推定距離の採用可否を判断する。前回の推定距離と今回の推定距離で携帯端末の移動距離を推定でき、加速度を用いた携帯端末の移動距離と計測データを用いた移動距離とに大きな違いがあると、誤計測が発生したおそれがある。そこで判断部が誤計測が発生したと判断した場合は、今回の推定距離を不採用と判断し、制御部は、今回の推定距離を用いないように制御する。したがって異なる計測手段である計測データを用いた推定距離と、加速度を用いた移動距離とを使用しているので、距離の推定精度を向上することができる。
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態の車載システム100のブロック図。 通信シーケンスの一例。 通信シーケンスの他の例。 車載装置の推定処理のフローチャート。 携帯機の推定処理のフローチャート。
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に関して、図1〜図5を用いて説明する。車載システム100は、車両に搭載された車載装置10と、車両のユーザによって携帯される携帯端末である携帯機30と、を備えている。携帯機30は、車載装置10と対応付けられてあって、車両に対する固有のキーとしての機能を備えている。車載装置10と携帯機30はそれぞれ、リモートキーレスエントリーシステムを実現するための機能を有している。
携帯機30は、ユーザによって操作される複数のスイッチを備えており、ユーザによって操作されたスイッチに応じた指示信号を車載装置10に送信する。車載装置10は、携帯機30から送信された指示信号を受信すると、その受信した指示信号に応じた車両制御を実行する。例えば、車載装置10は、携帯機30から送信されてきた指示信号に基づいて、車両ドアの施錠状態を制御する。
また、車載装置10と携帯機30はそれぞれ、互いに所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施することで、スマートエントリーシステムを実現するための機能も有している。具体的には、車載装置10は、車室内および車両周辺の所定範囲に向けてLF(Low Frequency)帯の信号を送信する機能と、携帯機30から送信されるRF(Radio Frequency)帯の信号を受信する機能を有する。また、携帯機30は、車載装置10から送信されるLF帯の信号を受信する機能と、車載システム100に対して所定のRF帯の信号を返送する機能を有する。
このような構成において車載装置10は、携帯機30が照合エリアに存在する場合、携帯機30と無線通信による照合処理を実施し、照合が成立したことに基づいて、ドアの施開錠やエンジン始動等を実施するための種々の制御を実行する。照合処理とは、車載装置10が、自分自身と無線通信を実施している通信端末が、車載装置10と対応付けられている正規の携帯機30であることを認証する処理である。
車載装置10が無線通信によって照合エリアに存在する携帯機30を認証することにより、携帯機30を携帯したユーザは、携帯機30を操作すること無く、ドアの施錠および開錠、エンジンの始動および停止などを実現することができる。
次に、車載装置10に関して説明する。車載装置10は、他の装置、たとえば携帯機30と通信する通信機能を有し、通信装置としても機能する。車載装置10は、スマートエントリーシステムやキーレスエントリーシステムを実現するための種々の処理を実行する。車載装置10は、図示しないタッチセンサ、スタートボタン、ボディECU(Electronic Control Unit)およびエンジンECUのそれぞれとは車両内に構築されたLAN(Local Area Network)および信号線によって通信可能に接続されている。
タッチセンサ(図示せず)は、車両の各ドアハンドルに装備されて、ユーザがそのドアハンドルを触れていることを検出する。各タッチセンサの検出結果は、車載制御部11に逐次出力される。
スタートボタン(図示せず)は、ユーザがエンジンを始動させるためのプッシュスイッチである。スタートボタンは、ユーザによってプッシュ操作がされると、その旨を示す制御信号を車載制御部11に出力する。
ボディECU(図示せず)は、車両に搭載された種々のアクチュエータを制御するECUである。例えばボディECUは、車載装置10からの指示に基づき、車両に設けられたドアの施錠および開錠を制御するための駆動信号を各車両ドアに設けられたドアロックモータの駆動回路に出力し、各ドアの施開錠を行う。
エンジンECU(図示せず)は、エンジンの動作を制御するECUである。例えばエンジンECUは、車載装置10からエンジンの始動を指示する始動指示信号を取得すると、エンジンを始動させる。
車載装置10は、車載制御部11、車載送信回路12、車載受信回路13、時間計測部14および車載メモリ15を備える。
車載送信回路12および車載受信回路13は、装置通信部として機能し、他の装置、たとえば携帯機30とデータを送受信する。車載送信回路12は、車載制御部11から入力されたベースバンド信号に対して符号化、変調およびデジタルアナログ変換等といった所定の処理を施すことで、搬送波信号に変換する。そして、車載送信回路12は、ベースバンド信号を元に生成した搬送波信号を車載送信アンテナ(図示せず)に出力し、電波として放射させる。
車載送信アンテナは、入力された信号をLF帯の電波に変換して空間へ放射する。車載送信アンテナは、車両の複数箇所に設けられている。例えば車載送信アンテナは、車両の各ドアに設けられたドアハンドル付近と、トランクドアのドアハンドル付近、ミラー付近、および、車室内の所定の位置に設けられている。
車載受信アンテナ(図示せず)は、RF帯の電波を受信し、電気信号に変換する。変換した電気信号は、車載受信回路13に出力される。車載受信アンテナは、車両において適宜設計される位置に少なくとも1つ設けられていればよい。その位置は、たとえば、Cピラー内である。
車載受信回路13は、車載受信アンテナから入力される信号に対して、アナログデジタル変換や、復調および復号などといった、所定の処理を施すことで、受信信号に含まれるデータを抽出する。そして、車載受信回路13は、抽出したデータを車載制御部11に与える。
車載メモリ15は、記憶媒体であって、車載制御部11によって読み取り可能なプログラムおよびデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。車載メモリ15は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって実現される。車載メモリ15は、記憶部として機能する。
時間計測部14は、距離を推定するための計測データを携帯機30に送信し、送信した計測データに対する携帯機30からの返信を受信するまでの時間を計測する。時間計測部14は、計測した計測時間を車載制御部11に与える。
車載制御部11は、装置制御部であって、通常のコンピュータとして構成されており、CPU、RAM、ROM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。ROMには、通常のコンピュータを、本実施形態における車載制御部11して機能させるためのプログラム等が格納されている。プログラムは、非遷移的実体的記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に格納されていればよい。車載制御部11は、CPUが各種のプログラムを実行することによって、スマートエントリーシステム等を実現するための車両側の処理を実行する。
車載制御部11は、時間計測部14が計測した計測時間を用いて携帯機30と車載装置10の距離を推定する第1距離推定部16を機能ブロックとして有する。第1距離推定部16は、時間計測部14が計測した計測時間を用いて携帯機30と車載装置10との距離を推定する。第1距離推定部16は、推定した結果である推定距離を推定したタイミングと共に車載メモリ15に記憶するように制御する。
また車載制御部11は、判断部17を機能ブロックとして有する。判断部17は、車載メモリ15に記憶されている前回の推定距離と、第1距離推定部16が推定した今回の推定距離と、携帯機30が推定した今回の移動距離とを用いて、今回の推定距離の採用可否を判断する。車載制御部11は、判断部17が不採用と判断した場合には今回の推定距離を用いず、判断部17が採用と判断した場合には、今回の推定距離を車載メモリ15に記憶するように制御する。これらの制御の詳細は、後述する。
次に、携帯機30に関して説明する。携帯機30は、加速度センサ31、端末受信回路32、端末送信回路33、移動距離推定部34および端末制御部35を含んで構成される。また携帯機30は、図示しない端末受信アンテナ、端末送信アンテナおよび端末スイッチを備える。
端末受信回路32および端末送信回路33は、端末通信部として機能し、他の装置、たとえば車載装置10とデータを送受信する。端末受信回路32は、携帯機30側の各アンテナ(図示せず)を用いて他の装置からの信号を受信し、受信した信号を端末制御部35に送信する。端末送信回路33は、端末制御部35に制御されて、端末アンテナを用いて他の装置へ所定の信号を送信する。
端末受信アンテナは、LF帯の電波を受信するためのアンテナである。端末受信アンテナは端末受信回路32と接続されており、受信した電波を電気信号に変換して端末受信回路32に出力する。
端末受信回路32は、端末受信アンテナから入力される信号に対して、アナログデジタル変換や、復調および復号などといった、所定の処理を施すことで、受信信号に含まれるデータを抽出する。端末受信回路32は、抽出したデータを端末制御部35に与える。
端末スイッチは、ユーザがキーレスエントリーシステムとしての機能を利用するためのスイッチである。携帯機30は、例えば端末スイッチとして、全ドアを施錠するためのスイッチや、全ドアを開錠するためのスイッチを備える。種々のスイッチは、ユーザによって押下された場合に、そのスイッチが押下されたことを示す制御信号を端末制御部35に出力する。
端末スイッチから入力される制御信号によって、端末制御部35は、車両に設けられている種々のドアの施錠/開錠といった施錠状態を制御するためのユーザ操作が実行されたことを検出するとともに、その指示内容を特定できる。
端末制御部35は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えるマイクロコンピュータを主体として構成されている。ROMには通常のマイクロコンピュータを、端末制御部35として機能させるための制御プログラムが格納されている。
端末制御部35は、CPUがROMに格納されている制御プログラムを実行することによって、スマートエントリーシステム等を実現するための携帯機30側の処理を実行する。なお、ROMには制御プログラムの他、車両IDが格納されている。
端末送信回路33は、端末制御部35から入力されたベースバンド信号に対して符号化、変調、デジタルアナログ変換等といった所定の処理を施すことで、ベースバンド信号を搬送波信号に変換する。端末送信回路33は、生成した搬送波信号を、端末送信アンテナに出力する。端末送信アンテナは、入力された信号をRF帯の電波に変換して空間へ放射する。
端末制御部35は、車載装置10に送信する信号を生成し、端末送信回路33に出力する。例えば端末受信回路32が、車載装置10が送信した信号を受信した場合には、当該受信信号に対する応答として送信するべき所定の信号を生成し、端末送信回路33に出力する。
ユーザによって所定の端末スイッチが押下されたことを示す制御信号が入力された場合には、その制御信号を出力した端末スイッチに対応する車両制御を実行するように指示する指示信号を生成する。例えば、全ドアを開錠するためのスイッチが押下された場合には、全ドアを開錠するように指示する指示信号を生成して、端末送信回路33に出力する。
加速度センサ31は、携帯機30の加速度、すなわち携帯機30の速度の変化率を測定するためのセンサで、本実施形態では3軸の加速度を検出する3軸の加速度センサ31によって実現される。3軸の加速度センサ31は、携帯機30に固定された3軸であるX軸、Y軸およびZ軸の3方向の加速度を1つのデバイスで測定できる加速度センサ31である。加速度センサ31は、測定した加速度を移動距離推定部34に与える。
移動距離推定部34は、加速度センサ31が測定した加速度を用いて所定期間の携帯機30の移動距離を推定する。移動距離推定部34は、第2距離推定部として機能する。移動距離推定部34は、車載装置10の第1距離推定部16が推定するタイミングで、加速度センサ31が測定した加速度を用いて第1距離推定部16が前回推定してから今回推定するまでの携帯機30の移動距離を推定する。移動距離推定部34は、推定した移動距離を端末制御部35に与える。端末制御部35は、自身のメモリに推定した移動距離を記憶するとともに、推定した移動距離を車載装置10に送信するように端末送信回路33を制御する。
次に、車載装置10と携帯機30との距離を推定する推定処理に関して説明する。図2は、携帯機30および車載装置10の通信シーケンスの一例である。図2の通信シーケンスの該略を説明すると、車載装置10は、1回目の計測処理として、携帯機30に向けて時刻t1でデータを送信し、送信したデータに対する返信を受信するまでの時間を計測して携帯機30までの距離を推定する。そして車載装置10は、2回目の計測処理として、同様に携帯機30に向けて時刻t05でデータを送信し、送信したデータに対する返信を受信するまでの時間を計測して携帯機30までの距離を推定する。2回目の処理の際に、携帯機30は加速度を用いて1回目からの移動距離を算出して車載装置10に送信する。そして1回目の推定距離と2回目の推定距離と移動距離から推定距離が正しいか否かを判断する。以下、詳細を図2を用いて説明する。
時刻t01で、推定処理を開始するために、第2通信データC2を携帯機30に向けて送信する。そして時間計測部14は、第2通信データC2を送信してから時間の計測を開始する。推定処理を実施する間隔は、予め設定されている所定時間であり、たとえば人間の平均的な1歩を移動する時間よりも長い時間に設定される。本実施形態では推定処理を実施する間隔は、2秒に設定される。
携帯機30は、時刻t02にて第2通信データC2を受信すると、第2通信データC2に対して返信となる第2返信データR2を時刻t03にて車載装置10に向けて送信する。第2返信データR2には、第2通信データC2の受信完了から第2返信データR2を送信完了までの遅延時間t0が含まれている。
車載装置10は、時刻t04にて、第2返信データR2を受信する。そして時間計測部14は、第2通信データC2の送信完了から第2返信データR2の受信完了までの遅延時間t1の計測を完了する。これによって計測時間T0を次式(1)によって求めることができる。
T0=t1−t0 …(1)
計測時間がわかると、車載装置10と携帯機30の推定距離D0を次式(2)によって求めることができる。ここで、光速度をcとする。
D0=c*T0/2 …(2)
次に、第2返信データR2の受信に成功したので、時刻t05にて、再び推定処理を開始するために、第1通信データC1を携帯機30に向けて送信する。そして時間計測部14は、第1通信データC1を送信してから時間の計測を開始する。
携帯機30は、時刻t06にて第1通信データC1を受信すると、前回、第2返信データR2を送信時点から加速度を時間積分し、携帯機30の移動距離Lを算出する。そして携帯機30は、時刻t06にて第1通信データC1を受信すると、第1通信データC1に対して返信となる第1返信データR1を時刻t07にて車載装置10に向けて送信する。第1返信データR1には、第1通信データC1の受信完了から第1返信データR1を送信完了までの遅延時間t2と、算出した移動距離Lが含まれている。
車載装置10は、時刻t08にて、第1返信データR1を受信する。そして時間計測部14は、第1通信データC1の送信完了から第1返信データR1の受信完了までの遅延時間t3の計測を完了する。これによって計測時間T1を次式(3)によって求めることができる。
T1=t3−t2 …(3)
計測時間がわかると、車載装置10と携帯機30の推定距離D1を次式(4)によって求めることができる。
D1=c*T1/2 …(4)
そして判断部17は、次式(5)を満足するか否かを判断する。ここでδは誤差係数であって、たとえば加速度センサ31の測定精度から予め設定されている。
L−δ<D1−D0<L+δ …(5)
判断部17は、式(5)を満足すれば、推定距離D1は正しいものと判定する。すなわち前回測定してからの移動距離Lと、前回と今回との推定距離の差が誤差範囲であれば、正しいと判断することができる。
次に、図3を用いて、携帯機30および車載装置10の通信シーケンスの他の例に関して説明する。図3の通信シーケンスの該略を説明すると、車載装置10は、1回目の計測処理として、2回目の計測処理は、図2の通信シーケンスと同様である。しかし2回目の計測処理の結果、推定距離が正しくない場合の通信シーケンスであり、3回目の計測処理を行っている。3回目の処理の際に、携帯機30は加速度を用いて2回目でなく1回目からの移動距離を算出して車載装置10に送信する。そして1回目の推定距離と3回目の推定距離と移動距離から推定距離が正しいか否かを判断する。以下、詳細を図3を用いて説明する。
時刻t11で、推定処理を開始するために、第2通信データC2を携帯機30に向けて送信する。そして時間計測部14は、第2通信データC2を送信してから時間の計測を開始する。
携帯機30は、時刻t12にて第2通信データC2を受信すると、第2通信データC2に対して返信となる第2返信データR2を時刻t13にて車載装置10に向けて送信する。第2返信データR2には、第2通信データC2の受信完了から第2返信データR2を送信完了までの遅延時間t0が含まれている。
車載装置10は、時刻t14にて、第2返信データR2を受信する。そして時間計測部14は、第2通信データC2の送信完了から第2返信データR2の受信完了までの遅延時間t1の計測を完了する。これによって計測時間T0を式(1)によって求めることができる。計測時間がわかると、車載装置10と携帯機30の推定距離D0を式(2)によって求めることができる。
次に、第2返信データR2の受信に成功したので、時刻t15にて、再び推定処理を開始するために、第1通信データC1を携帯機30に向けて送信する。そして時間計測部14は、第1通信データC1を送信してから時間の計測を開始する。
携帯機30は、時刻t16にて第1通信データC1を受信すると、前回、第2返信データR2を送信時点から加速度を時間積分し、携帯機30の移動距離Lを算出する。そして携帯機30は、時刻t16にて第1通信データC1を受信すると、第1通信データC1に対して返信となる第1返信データR1を時刻t17にて車載装置10に向けて送信する。第1返信データR1には、第1通信データC1の受信完了から第1返信データR1を送信完了までの遅延時間t2と、算出した移動距離Lが含まれている。
車載装置10は、時刻t18にて、第1返信データR1を受信する。そして時間計測部14は、第1通信データC1の送信完了から第1返信データR1の受信完了までの遅延時間t3の計測を完了する。これによって計測時間T1を式(3)によって求めることができる。計測時間がわかると、車載装置10と携帯機30の推定距離D1を式(4)によって求めることができる。
そして判断部17は、式(5)を満足するか否かを判断する。判断部17は、式(5)を満足すれば、推定距離D1は正しいものと判定する。そして本例では、式(5)を満足してないとして、推定距離D1が不正値と判断して破棄する。
次に、車載装置10は、不正値と判断したので、時刻t19にて、再び推定処理を開始するために、第1通信データC1を携帯機30に向けて送信する。そして時間計測部14は、第1通信データC1を送信してから時間の計測を開始する。
携帯機30は、時刻t110にて第1通信データC1を受信すると、前々回、第2返信データR2を送信時点から加速度を時間積分し、携帯機30の移動距離Lを算出する。そして携帯機30は、時刻t111にて第1通信データC1を受信すると、第1通信データC1に対して返信となる第1返信データR1を時刻t112にて車載装置10に向けて送信する。第1返信データR1には、第1通信データC1の受信完了から第1返信データR1を送信完了までの遅延時間t4と、算出した移動距離Lが含まれている。
車載装置10は、時刻t113にて、第1返信データR1を受信する。そして時間計測部14は、第1通信データC1の送信完了から第1返信データR1の受信完了までの遅延時間t5の計測を完了する。これによって計測時間T2を次式(6)によって求めることができる。
T2=t5−t4 …(6)
計測時間がわかると、車載装置10と携帯機30の推定距離D2を次式(7)によって求めることができる。
D2=c*T2/2 …(7)
そして判断部17は、次式(8)を満足するか否かを判断する。
L−δ<D2−D0<L+δ …(5)
判断部17は、式(5)を満足すれば、推定距離D2は正しいものと判定する。
次に、推定処理についてフローチャートを用いて説明する。図4は、車載装置10における推定処理を示すフローチャートである。図4に示すフローは、車載装置10が電源投入状態において、車載制御部11によって繰り返し実行される。
ステップS1では、前回の距離判定が成功したか否かを判断し、成功している場合には、ステップS2に移り、成功していない場合には、ステップS7に移る。距離判定が成功した場合とは、前述した判断部17による判断で推定距離が正しいものと判定した場合である。
ステップS2では、前回の距離判定が成功しているので、第1通信データC1を送信し、時間計測部14に時間を計測するように指示し、ステップS3に移る。ステップS7では、前回の距離判定が成功していないので、第2通信データC2を送信し、時間計測部14に時間を計測するように指示し、ステップS3に移る。
ステップS3では、携帯機30からの返信データの有無を判断し、返信データがあればステップS4に移り、返信データがないとステップS8に移る。ステップS4では、返信データがあったので、時間計測部14による時間計測を完了し、計測した計測時間を用いて推定伝播距離を算出し、ステップS5に移る。
ステップS5では、今回算出した推定伝播距離と、前回算出した推定伝播距離と、返信データに含まれる移動距離とを用いて、推定伝播距離が正当か否かを判定する。具体的には、前述の判定式(5)を用いて、所定の誤差範囲に入っているか否かを判定する。そしてステップS5では、判定の結果、今回の推定伝播距離が正当である場合には、ステップS6に移り、正当でない場合には、ステップS9に移る。またステップS5では、通信データに移動距離が含まれていない場合には、判定ができないので、その場合は、判定不可としてステップS9に移る。
ステップS6では、今回の推定伝播距離が正当であるので、車載メモリ15に距離測定結果を更新するように制御し、距離判定が成功と判定し、本フローを終了する。
ステップS8では、ステップS3にて携帯機30からの返信データがないので、タイムアウト時間以下か否かを判断し、タイムアウト時間以下であるとステップS3に戻り、タイムアウト時間を経過するとステップS9に移る。
ステップS9では、タイムアウト時間を経過したか、ステップS5で判定の結果、正当でないと判断されたので、今回の推定伝播距離が正当でないので、距離測定結果を破棄し、距離判定が失敗と判定し、本フローを終了する。
次に、携帯機30における推定処理についてフローチャートを用いて説明する。図5は、携帯機30における推定処理を示すフローチャートである。図5に示すフローは、携帯機30が電源投入状態において、端末制御部35によって繰り返し実行される。
ステップS11では、車載装置10からデータを受信したか否かを判断し、受信した場合は、ステップS12に移り、受信するまでステップS11を繰り返す。
ステップS12では、車載装置10から受信したデータに距離推定の履歴の情報が含まれているいか否かを判断し、含まれている場合には、ステップS13に移り、含まれていない場合には、ステップS15に移る。
ステップS13では、履歴情報に成功情報が含まれているか否か、すなわち受信データが第1通信データC1であるか否かを判断し、第1通信データC1である場合には、ステップS14に移り、第1通信データC1でない場合には、ステップS16に移る。
ステップS14では、前回の送信時から取得した加速度センサ31の積算情報を移動距離として送信、すなわち第1返信データR1を送信し、本フローを終了する。
ステップS15では、受信データに履歴情報が含まれていないので、第2返信データR2を送信し、本フローを終了する。
ステップS16では、成功情報がないので、前回の送信時から取得した加速度センサ31の積算情報に、前回送信したおきの移動距離を加算して送信、すなわち第1返信データR1を送信し、本フローを終了する。
以上説明したように本実施形態では、移動距離推定部34は、加速度センサ31が測定した加速度を用いて第1距離推定部16が前回推定してから今回推定するまでの携帯機30の移動距離を推定する。そして端末制御部35は、車載装置10に移動距離のデータを送信する。車載装置10は、受信した移動距離を車載メモリ15に記憶する。そして判定部は、車載メモリ15に記憶されている前回の推定距離と、第1距離推定部16が推定した今回の推定距離と、移動距離推定部34が推定した今回の移動距離とを用いて、今回の推定距離の採用可否を判断する。前回の推定距離と今回の推定距離で携帯機30の移動距離を推定でき、加速度を用いた携帯機30の移動距離と計測データを用いた移動距離とに大きな違いがあると、誤計測が発生したおそれがある。そこで判断部17が誤計測が発生したと判断した場合は、今回の推定距離を正当でないとして不採用と判断し、車載制御部11は、今回の推定距離を用いないように制御する。したがって異なる計測手段である計測データを用いた推定距離と、加速度を用いた移動距離とを使用しているので、距離の推定精度を向上することができる。
また本実施形態では、端末制御部35が通信データを受信してから、返信データを送信するのに必要な処理時間を端末制御部35が計測し、計測した処理時間のデータを遅延時間として返信データを送信するときに送信する。そして第1距離推定部16は、時間計測部14が計測した計測時間から遅延時間を引いた伝播時間を用いて携帯機30と通信装置との距離を推定している。これによって端末制御部35による処理時間を考慮して、伝播時間を精度良く算出することができる。したがって距離の推定精度を向上することができる。
さらに本実施形態では、車載制御部11は、定期的に距離の推定制御を実施する。そして推定制御を実施する間隔は、人間の平均的な1歩を移動する時間よりも長い時間である。実施する間隔が短すぎると携帯機30が移動距離が小さいので、正当いか否かを判定しにくいが、適切な間隔であると移動距離を用いた推定距離の正当性の判定精度を向上することができる。そこで本実施形態では、実施する間隔を、人間の平均的な1歩を移動する時間よりも長い時間に設定している。
また本実施形態では、判断部17は、車載メモリ15に記憶されている前回の推定距離および第1距離推定部16が推定した今回の推定距離の差と、移動距離推定部34が推定した今回の移動距離との差が、所定の閾値以下である場合には、採用と判断する。所定の閾値は、たとえば加速度センサ31の測定誤差を用いて設定される。様々な要因で測定誤差はさけられない。そこである程度の誤差を許容することによって、正当な推定距離であるにもかかわらず、正当でないと判断されることを防ぐことができる。
さらに本実施形態では、移動距離推定部34は、端末制御部35に記憶されている各回の移動距離を用いて、第1距離推定部16が推定が採用された回から今回推定するまでの携帯機30の移動距離を推定する。これによって正当と判断された時点から、今回までの移動した積算の移動距離を算出することができる。
本実施形態では、時間計測部14は通信データを送信してから、返信データを受信するまでの時間を計測し、返信データに含まれる実測値の遅延時間を用いて計測時間を算出しているがこのような方法に限るものではない。たとえば遅延時間は実測値でなく一定の固定時間であってもよい。すなわち端末制御部35は、通信データを受信してから返信データを送信するまでに必要な時間を予め固定時間として設定していてもよい。したがって時間計測部14が計測した計測時間には、端末制御部35が通信データを受信してから返信データを送信するのに端末制御部35が必要な処理時間を一定の固定時間が含まれる。そして第1距離推定部16は、時間計測部14が計測した計測時間から固定時間を引いた伝播時間を用いて携帯機30と車載装置10との距離を推定する。これによって遅延時間の測定が必要がなくすことができる。
(その他の実施形態)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
前述の第1実施形態では、車載装置10からの送信はLF帯電波を使用し、携帯機30からの送信はRF電波を使用したが、このような構成に限るものではなく、他の通信方式を用いてもよい。たとえばBLEシステム用の電波を用いてもよい。BLEは、Bluetooth Low Energyの略である。なお、Bluetoothは登録商標である。
前述の第1実施形態では、判断部17の判断に用いられる閾値、誤差係数は固定値であるが固定値に限るものではなく、変数であってもよい。閾値は、判断部17が不採用と判断した連続回数が増えるにつれて大きくなるように設定されてもよい。判断部17が不採用と判断した連続回数が増えると、誤差係数でない他のエラーが発生している場合があるので、ある程度の誤差などを許容するに設定することで、本来であれば正当な推定距離が不採用と判断される時間が短くすることができる。
前述の第1実施形態では、正当と判断された推定距離を用いているが、推定距離は正しいと判定された推定距離を複数回サンプリングした平均値を用いてもよい。
前述の第1実施形態では、移動距離の大きさにかかわらず判断部17が判断しているが、このような制御に限るものではなく。算出された移動距離が所定値以下、すなわち移動していないと見なせる場合に、前回の推定距離と今回の推定距離との差を用いて判断していもい。携帯機30が移動していないに、前回の推定距離と今回の推定距離との差が所定値よりも大きければ今回の推定距離は正当でないと判断することができる。
なお、本実施形態では一例として車両を、動力源としてエンジンのみを備えるエンジン車とするが、これに限らない。車両は、動力源としてエンジンとモータを備える、いわゆるハイブリッド車であってもよいし、モータのみを動力源として備える電気自動車であってもよい。エンジンECUは、動力源の動作を制御するECUに相当する。
前述の第1実施形態において、車載制御部11および端末制御部35によって実現されていた機能は、前述のものとは異なるハードウェアおよびソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実現してもよい。車載制御部11および端末制御部35は、たとえば他の制御装置と通信し、他の制御装置が処理の一部または全部を実行してもよい。車載制御部11および端末制御部35が電子回路によって実現される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって実現することができる。
前述の第1実施形態では、距離推定装置は、車載装置10と携帯機30との距離を推定する装置として実現しているが、このような構成に限るものではない。距離推定装置は、通信装置と携帯端末との距離を推定する装置であればよく、通信装置は車載装置10でなく通信機能を有する他の装置であってもよい。また携帯端末は、車載装置10の鍵として機能する携帯機30に限るものではなく、携帯電話、スマートフォン、モバイル端末など他の装置であってもよい。
10…車載装置(通信装置) 11…車載制御部(装置制御部,制御部)
12…車載送信回路(装置通信部) 13…車載受信回路(装置通信部)
14…時間計測部 15…車載メモリ(記憶部) 16…第1距離推定部
17…判断部 30…携帯機(携帯端末) 31…加速度センサ
32…端末受信回路(端末通信部) 33…端末送信回路(端末通信部)
34…移動距離推定部(第2距離推定部) 35…端末制御部(制御部)
100…車載システム

Claims (7)

  1. 携帯端末(30)と通信装置(10)との距離を推定する距離推定装置であって、
    前記携帯端末は、
    前記通信装置とデータを送受信する端末通信部(32,33)と、
    前記端末通信部を制御する端末制御部(35)と、
    前記携帯端末の加速度を測定する加速度センサ(31)と、を含み、
    前記通信装置は、
    前記携帯端末とデータを送受信する装置通信部(12,13)と、
    前記装置通信部を制御する装置制御部(11)と、
    距離を推定するための計測データを前記携帯端末に送信し、送信した計測データに対する前記携帯端末からの返信を受信するまでの時間を計測する時間計測部(14)と、を含み、
    前記距離推定装置は、制御部(11,35)と記憶部(15)とを含み、
    前記制御部は、
    前記時間計測部が計測した計測時間を用いて前記携帯端末と前記通信装置との推定距離を決定し、決定した推定距離を前記記憶部に記憶する第1距離推定部(16)と、
    前記加速度センサが測定した加速度を用いて前記第1距離推定部が前回推定してから今回推定するまでの前記携帯端末の移動距離を推定する第2距離推定部(34)と、
    前記記憶部に記憶されている前回の推定距離と、前記第1距離推定部が推定した今回の推定距離と、前記第2距離推定部が推定した今回の移動距離とを用いて、今回の推定距離の採用可否を判断する判断部(17)と、を有し、
    前記制御部は、前記判断部が不採用と判断した場合には今回の推定距離を用いず、前記判断部が採用と判断した場合には、今回の推定距離を前記記憶部に記憶する距離推定装置。
  2. 前記計測時間は、前記端末制御部が前記計測データを受信してから前記計測データに対して返信する返信データを送信するのに前記端末制御部が必要な処理時間を一定の固定時間として含み、
    前記第1距離推定部は、前記時間計測部が計測した前記計測時間から前記固定時間を引いた伝播時間を用いて前記携帯端末と前記通信装置との距離を推定する請求項1に記載の距離推定装置。
  3. 前記端末制御部は、前記端末制御部が前記計測データを受信してから前記計測データに対して返信する返信データを送信するのに必要な処理時間を計測し、計測した前記処理時間のデータを前記計測データを送信するときに送信し、
    前記第1距離推定部は、前記時間計測部が計測した計測時間から前記処理時間を引いた伝播時間を用いて前記携帯端末と前記通信装置との距離を推定する請求項1に記載の距離推定装置。
  4. 前記制御部は、定期的に距離の推定制御を実施し、
    前記推定制御を定期的に実施する間隔は、人間の平均的な1歩を移動する時間よりも長い時間である請求項1〜3のいずれか1つに記載の距離推定装置。
  5. 前記判断部は、前記記憶部に記憶されている前回の推定距離および前記第1距離推定部が推定した今回の推定距離の差と、前記第2距離推定部が推定した今回の移動距離との差が、所定の閾値以下である場合には、採用と判断する請求項1〜4のいずれか1つに記載の距離推定装置。
  6. 前記第2距離推定部は、推定した移動距離を前記記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶されている移動距離を用いて、前記第1距離推定部が推定が採用されてから今回推定するまでの前記携帯端末の移動距離を推定する請求項1〜5のいずれか1つに記載の距離推定装置。
  7. 前記判断部は、前記記憶部に記憶されている前回の推定距離および前記第1距離推定部が推定した今回の推定距離の差と、前記第2距離推定部が推定した今回の移動距離との差が、所定の閾値以下である場合には、採用と判断し、
    前記判断部は、不採用と判断した連続回数が増えると、前記閾値を大きくするように再設定する請求項1〜6のいずれか1つに記載の距離推定装置。
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