JP2021092175A - タービン監視システムおよびタービン監視方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸気タービンの動翼の浸食量を適切に評価することが可能なタービン監視システムおよびタービン監視方法を提供する。【解決手段】一の実施形態によれば、タービン監視システムは、蒸気タービン12,14,15に導入されるまたは前記蒸気タービンから排出された蒸気、または前記蒸気タービンから排出された前記蒸気から得られた水の物理量を検知し、前記物理量の検知結果を出力する1つ以上の計測器22,23,24を備える。前記システムはさらに、前記1つ以上の計測器から出力された前記検知結果に基づいて、前記蒸気タービンの動翼の水滴による浸食量を演算する演算部21bを備える。前記システムはさらに、前記演算部により演算された前記浸食量に基づく情報を表示する表示部21cを備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、タービン監視システムおよびタービン監視方法に関する。
発電プラントで使用される蒸気タービンの低圧段落においては、作動流体である蒸気が膨張する過程で蒸気の温度および圧力が低くなるため、蒸気流路内で蒸気の一部が凝縮し湿分となる。
図11は、従来の蒸気タービンの問題を説明するための断面図である。この蒸気タービンは、例えば低圧タービンである。図11(a)および図11(b)は、低圧タービンの異なる断面を示している。
図11(a)および図11(b)は、静翼1とこの静翼1の下流に配置された動翼2との対で構成される低圧タービン最終段落と、これと同様の構成をもつ最終段落の前段落の静翼3と動翼4とを示している。図11(a)および図11(b)は、これらの静翼1、3および動翼2、4を含む領域において、蒸気および液滴(水滴)の軌跡を模式的に示している。
図11(a)において、作動流体である蒸気は、流線L1で示すような軌跡をたどるのに対し、最終段落の前段落までに発生した湿分は、水滴の形態をとっており、動翼4の翼後縁端5から遠心力によって流線L2のように静翼1のダイヤフラム外輪6側へ飛散する。
これらの水滴は、静翼1に付着すると、静翼1の表面で水膜DLを形成しながら表面上を後縁に向かって流れ、タービンノズルの翼後縁端7に達すると再び水滴となって飛散する。その後、水滴は動翼2の翼前縁端8周辺に衝突する。
図11(b)は、水滴の絶対速度V1と、水滴の相対速度V2と、蒸気の周速Uとを示している。図11(b)に示すように、静翼1の翼後縁端7から飛散した水滴の絶対速度V1は、蒸気の周速Uに比べて遅く、動翼2に到達するまでに十分に加速されない。そのため、水滴は周速Uに近い相対速度V2で動翼2の翼前縁端8の背側に衝突することになる。この液滴と動翼2の衝突により、動翼2の翼前縁端8の浸食が発生する。
図12は、従来の蒸気タービンの問題を説明するためのグラフである。図12は、一般的な浸食率(dE/dt)と経過時間(t)との関係を示している。
浸食率が変化する期間は、大きく潜伏期間、加速期間、減速期間、および安定期間の4つに分類される。潜伏期間では、材料(例えば動翼2)の顕著な重量減は生じないが、多くの水滴が衝突することにより衝突面近傍に疲労による損傷が累積され、疲労亀裂が形成される。加速期間では、潜伏期間に材料内部に蓄積された疲労が破壊現象となって現れ、急速に浸食率が増加する。減速期間では、浸食率が急速に減少し、安定期間では、浸食率がある一定値となる。
安定期間における浸食量Eは、時間tに対して線形変化する特性として、例えば以下の式(1)で表される。
E=a+bt ・・・(1)
ここで、aは材料特性である。式(1)を時間微分することにより、単位時間当たりの浸食量Eである浸食率dE/dtは、以下の式(2)で表される。
dE/dt=b ・・・(2)
ここで、bは通常、水滴の衝突速度、水滴径、水量(水滴個数)、および材料特性の関数となっており、例えば以下の式(3)で表される。
b=C1×Vp1×dq1×N ・・・(3)
ここで、C1、p1、およびq1は材料定数であり、Vは衝突速度を表し、dは水滴径を表し、Nは水滴個数を表す。
E=a+bt ・・・(1)
ここで、aは材料特性である。式(1)を時間微分することにより、単位時間当たりの浸食量Eである浸食率dE/dtは、以下の式(2)で表される。
dE/dt=b ・・・(2)
ここで、bは通常、水滴の衝突速度、水滴径、水量(水滴個数)、および材料特性の関数となっており、例えば以下の式(3)で表される。
b=C1×Vp1×dq1×N ・・・(3)
ここで、C1、p1、およびq1は材料定数であり、Vは衝突速度を表し、dは水滴径を表し、Nは水滴個数を表す。
最終段落の浸食は蒸気タービンの信頼性に悪影響を及ぼすため、予め浸食量を予測することが望ましい。そこで、蒸気タービンの設計段階では、蒸気タービンの運転状態を想定した上で、上記のような理論に基づいて浸食量を予測することが一般的である。
日本機械学会論文集(A編)、59巻567号(1993−11)、第264〜269頁、"金属"材料の液滴エロージョン評価
近年における再生可能エネルギーの利用の拡大により、蒸気タービンは調整用火力の位置づけが強まり、運用の多様化(部分負荷運転や起動停止)が求められている。運用の多様化により、蒸気タービンの最終段落の動翼入口の状態量も、様々な条件で変動することになる。そのため、前述した衝突速度や水滴個数も、プラントの運用に応じて時事刻々と変化することが想定される。よって、蒸気タービンの設計段階において浸食量を予測することが難しくなると考えられる。
そこで、本発明の実施形態は、蒸気タービンの動翼の浸食量を適切に評価することが可能なタービン監視システムおよびタービン監視方法を提供することを課題とする。
一の実施形態によれば、タービン監視システムは、蒸気タービンに導入されるまたは前記蒸気タービンから排出された蒸気、または前記蒸気タービンから排出された前記蒸気から得られた水の物理量を検知し、前記物理量の検知結果を出力する1つ以上の計測器を備える。前記システムはさらに、前記1つ以上の計測器から出力された前記検知結果に基づいて、前記蒸気タービンの動翼の水滴による浸食量を演算する演算部を備える。前記システムはさらに、前記演算部により演算された前記浸食量に基づく情報を表示する表示部を備える。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1から図10や前述の図11および図12において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図1は、第1実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図1の蒸気タービンプラントは、再熱型プラントであり、ボイラ11と、高圧(HP)タービン12と、再熱器13と、中圧(IP)タービン14と、本開示の蒸気タービンの例である低圧(LP)タービン15と、発電機16と、復水器17と、蒸気流路P1からP5と、給水流路P6とを備えている。
図1の蒸気タービンプラントはさらに、蒸気タービンの運転を監視するためのタービン監視システムの構成要素として、タービン監視装置21と、入口温度計測器22と、入口圧力計測器23と、出口圧力計測器24とを備えている。タービン監視装置21は、記憶部21aと、演算部21bと、表示部21cとを備えている。図1に点線で示す流量計測器25、入口温度計測器26、および入口圧力計測器27については後述する。
ボイラ11は、水を加熱して蒸気を生成し、その蒸気を蒸気流路P1に排出する。高圧タービン12は、蒸気流路P1から導入された蒸気で駆動され、この蒸気を蒸気流路P2に排出する。再熱器13は、蒸気流路P2から導入された蒸気を加熱(再熱)し、この蒸気を蒸気流路P3に排出する。中圧タービン14は、蒸気流路P3から導入された蒸気で駆動され、この蒸気を蒸気流路P4に排出する。低圧タービン15は、蒸気流路P4から導入された蒸気で駆動され、この蒸気を蒸気流路P5に排出する。発電機16は、高圧タービン12、中圧タービン14、および低圧タービン15により駆動されることで発電を行う。復水器17は、蒸気流路P5から導入された蒸気を冷却して水に戻し、この水(復水)を給水流路P6に排出する。ボイラ11は、給水流路P6から導入された水(給水)を加熱して蒸気を生成し、この蒸気を上述のように蒸気流路P1に排出する。このようにして、蒸気タービンプラント内を蒸気および水が循環する。
タービン監視装置21は、蒸気タービンの運転を監視するための装置である。タービン監視装置21の例は、PC(Personal Conputer)などのコンピュータや、制御盤などの制御装置である。タービン監視装置21の詳細については、後述する。
入口温度計測器22は、低圧タービン15に導入される蒸気の温度を検知し、この温度の検知結果をタービン監視装置21に出力する。具体的には、入口温度計測器22は、低圧タービン15の最初段静翼の上流に設置された入口配管(蒸気流路P4)に設けられており、低圧タービン15の入口における蒸気の温度を検知する。入口温度計測器22は例えば、熱電対を備えており、温度を計測する流れ場に設置された熱電対の温接点からの熱起電流を配線(例えば補償導線)を介して記憶部21aに出力する。なお、低圧タービン15の入口とは、最初段のタービン段落の入口をいう。
入口圧力計測器23は、低圧タービン15に導入される蒸気の圧力を検知し、この圧力の検知結果をタービン監視装置21に出力する。具体的には、入口圧力計測器23は、低圧タービン15の最初段静翼の上流に設置された入口配管(蒸気流路P4)に設けられており、低圧タービン15の入口における蒸気の圧力を検知する。入口圧力計測器23は例えば、圧力導管と圧力センサとを備えており、圧力を計測する流れ場に設置された圧力導管からの圧力を圧力センサにより検知し、検知した圧力を示す出力信号を記憶部21aに出力する。
出口圧力計測器24は、低圧タービン15から排出された蒸気の圧力を検知し、この圧力の検知結果をタービン監視装置21に出力する。具体的には、出口圧力計測器24は、低圧タービン15の最終段動翼の下流に設置された出口配管(蒸気流路P5)に設けられており、低圧タービン15の出口における蒸気の圧力を検知する。出口圧力計測器24は例えば、圧力導管と圧力センサとを備えており、圧力を計測する流れ場に設置された圧力導管からの圧力を圧力センサにより検知し、検知した圧力を示す出力信号を記憶部21aに出力する。なお、低圧タービン15の出口とは、最終段のタービン段落の出口をいう。
記憶部21aは、入口温度計測器22から出力された入口蒸気温度の検知結果と、入口圧力計測器23から出力された入口蒸気圧力の検知結果と、出口圧力計測器24から出力された出口蒸気圧力の検知結果とを記憶する。本実施形態の記憶部21aは、低圧タービン15が運転されると、入口温度計測器22からの出力信号(熱起電流)と、入口温度計測器23からの出力信号と、出口圧力計測器24からの出力信号とを、タービン監視装置21の入出力部を介して受け取り、これらの出力信号をある一定の運転時間で平均化して演算部21bに出力する。
演算部21bは、入口温度計測器22から出力された入口蒸気温度の検知結果と、入口圧力計測器23から出力された入口蒸気圧力の検知結果と、出口圧力計測器24から出力された出口蒸気圧力の検知結果とに基づいて、低圧タービン15の動翼の水滴による浸食量を演算する。本実施形態の演算部21bは、記憶部21bから出力された信号に基づいて、低圧タービン15の最終段落の動翼2(図11を参照)の水滴による浸食量を演算する。演算部21bは例えば、プロセッサおよびコンピュータプログラムにより実現されており、プロセッサにより実行されたコンピュータプログラムが、記憶部21bからの信号や種々のデータに基づいて浸食量を演算する。
表示部21cは、演算部21bにより演算された浸食量に基づく情報を表示する。表示部21cは例えば、LCD(Liquid Cristal Display)などのディスプレイや、ランプなどのインジケータに、このような情報を表示する。表示部21cは、タービン監視装置21のディスプレイやインジケータに当該情報を表示してもよいし、タービン監視装置21に有線または無線で接続された別の装置のディスプレイやインジケータに当該情報を表示してもよい。
本実施形態の表示部21cは、当該情報として、浸食量、または浸食量に基づく警報を表示する。浸食量を表示する場合には、表示部21cは、演算部21bにより演算された浸食量を数値で表示してもよいし、演算部21bにより演算された浸食量をグラフや表で表示してもよい。この際、表示部21cは、この浸食量を、タービン監視装置21内または別の装置内にあらかじめ保存された浸食量の基準値と共に表示してもよい。これにより例えば、タービン監視システムの管理者に動翼の修理や交換を促すことができる。また、表示部21cは、浸食量が基準値を越えた場合に、タービン監視システムの管理者に動翼の修理や交換を促すための警報をディスプレイやインジケータに表示してもよい。警報の例は、ディスプレイに表示されるメッセージや、インジケータにおける赤ランプの点灯などである。
本実施形態のタービン監視システムは、蒸気タービンとして低圧タービン15を監視する。理由は、低圧タービン15では一般に、下流側のタービン段落において蒸気条件が湿り蒸気となり、浸食の発生が問題となるからである。ただし、本実施形態のタービン監視システムは、低圧タービン15以外の蒸気タービンを監視してもよい。
低圧タービン15は、蒸気流路P4から蒸気を導入する。低圧タービン15のタービン段落で膨張仕事をした蒸気は、低圧タービン15の最終段落の動翼2の下流側に設けられた排気室を通り、蒸気流路P5に排出される。蒸気流路P5に排出された蒸気は、復水器17に導入されて水に戻る。低圧タービン15は、高圧タービン12や中圧タービン14と共に発電機16に回転軸で接続され、これらのタービン内の蒸気の膨張仕事は、発電機16の電気出力として取り出される。
図2は、第1実施形態のタービン監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。図2は、演算部21bによる演算の流れを示している。
まず、記憶部21aから入力したタービン入口圧力、タービン入口温度、およびタービン出口圧力(S1)に基づき、低圧タービン15の最終段動翼入口における蒸気の流量、湿り度、圧力、および流速(S2)を演算する。本実施形態では、演算部21bに流体解析または一次元蒸気計算のプログラムを格納しておいて、入口圧力、入口温度、および出口圧力を境界条件として、最終段動翼入口の流量、湿り度、圧力、および流速を算出してもよい。また、本実施形態では、演算部21bの計算容量や負荷を軽減するために、実運転で想定される条件の流体解析または一次元蒸気計算を予め網羅的に実行しておいて、上記のインプットとアウトプットとの関係を近似関数として格納しておいてもよい。
次に、最終段動翼入口の流量、湿り度、圧力、および流速から、最終段動翼入口における蒸気中の水量(水滴個数)、水滴径、および水滴衝突速度(S3)を演算する。水量は、上記の流量と湿り度とを基に計算する。水滴径Dは、圧力ρ、流速W、およびウェーバー数Weσを用いて、以下の式(4)により計算する。
D=Weσ/(ρW2) ・・・(4)
D=Weσ/(ρW2) ・・・(4)
ウェーバー数Weσは、蒸気の慣性力と水滴の表面張力との比を表す無次元数である。圧力ρが高くなるにつれ水滴径Dは小さくなる。
水滴の衝突速度は、上記の流速と水滴径から水滴の軌道計算によって算出する。水滴径が大きいほど蒸気によって水滴が加速されにくくなり、蒸気と水滴の速度差が大きくなるため、水滴の動翼への衝突速度は大きくなる。本実施形態では、演算部21bに水滴の軌道解析プログラムを格納しておいて、水滴の衝突速度を算出してもよい。また、本実施形態では、演算部21bの計算容量や負荷を軽減するために、実運転で想定される条件で網羅的に軌道計算を実行しておいて、演算部21bに上記のインプットとアウトプットとの関係を近似関数として格納しておいてもよい。
一方、最終段動翼の材料特性および補正係数(S4)は、演算部21bに予め格納しておく。水滴衝突速度、水量、水滴径、動翼材料特性、および補正係数から、式(2)で示される最終段動翼の浸食率dE/dt(S5)を評価した上で、ある一定の時間範囲Δtにおける浸食量ΔEを、以下の式(5)を用いて算出する。
ΔE=dE/dt×Δt ・・・(5)
ΔE=dE/dt×Δt ・・・(5)
浸食量E(S6)は、浸食率dE/dtに基づいて算出される。具体的には、式(5)を用いて演算したΔEを、蒸気タービンプラントの運転時間に渡って積算していくことにより、浸食量Eが算出される。すなわち、浸食率dE/dtを積算することで、浸食量Eが算出される。これにより、これまでの低圧タービン15の運用を反映した最終段の浸食量Eを評価することができる。なお、低圧タービン15のタービン入口圧力、タービン入口温度、およびタービン出口圧力によって浸食率dE/dtも大きく違うため、低圧タービン15の状態量変化の頻度に応じてΔtを適切に設定することにより、浸食量Eの評価精度を上げることができる。
ここで、本実施形態のタービン監視システムの利点について説明する。
上述のように、近年における再生可能エネルギーの利用の拡大により、蒸気タービンは調整用火力の位置づけが強まり、運用の多様化(部分負荷運転や起動停止)が求められている。運用の多様化により、蒸気タービンの最終段落の動翼入口の状態量も、様々な条件で変動することになる。そのため、前述した衝突速度や水滴個数も、プラントの運用に応じて時事刻々と変化することが想定される。よって、蒸気タービンの設計段階において浸食量を予測することが難しくなると考えられる。
そこで、本実施形態では、時々刻々と変化するプラント運用に対応して、タービンプラント運転中にリアルタイムに最終段動翼の浸食率を演算し、運転時間に渡って浸食率を積算することによって浸食量を算出する。よって、本実施形態によれば、実際の運用を反映した最終段動翼の浸食量を高精度で評価することが可能となる。これにより、最終段の交換時期や修理時期を的確に検出および予測することが可能となり、浸食による羽根飛散を未然に防止してプラントの信頼性を向上させることが可能となる。
以下、本実施形態のタービン監視システムの種々の変形例について説明する。以下の説明は、後述する第2および第3実施形態にも適用可能である。
本実施形態では、浸食率dE/dtを積算して浸食量Eを算出しているが、その他の方法で浸食量Eを算出してもよい。例えば、浸食率dE/dtから積算以外の方法で浸食量Eを算出してもよいし、タービン入口圧力、タービン入口温度、およびタービン出口圧力から浸食率dE/dtを算出せずに浸食量Eを算出してもよい。
また、本実施形態では、入口温度計測器22からのタービン入口温度と、入口圧力計測器23からのタービン入口圧力と、出口圧力計測器24からのタービン出口圧力とに基づいて浸食量を算出しているが、以下の例のようにその他の物理量から浸食量を算出してもよい。
第1の例では、入口温度計測器22からのタービン入口温度と、入口圧力計測器23からのタービン入口圧力とを用いるが、出口圧力計測器24からのタービン出口圧力は用いずに、浸食量を算出する。例えば、低圧タービン15の最終段動翼の流路面積が最小となるスロート部でチョークが発生し、タービン出口で圧力が変化しても最終段動翼入口の状態量が一定である場合がある。この場合には、出口圧力計測器24からのタービン出口圧力を用いずに、浸食量を算出することができる。
第2の例では、入口温度計測器22からのタービン入口温度と、図1に示す流量計測器25からの給水流量と、出口圧力計測器24からのタービン出口圧力とを用いて、浸食量を算出する。流量計測器25は、低圧タービン15から排出された蒸気から得られた水の流量を検知し、この流量の検知結果をタービン監視装置21に出力する。具体的には、流量計測器25は、復水器17の下流に設置された給水配管(給水流路P6)に設けられており、復水器17の出口における給水の流量を検知する。流量計測器25は例えば、検知した流量を示す出力信号を記憶部21aに出力する。最終段動翼入口の流量、湿り度、圧力、および流速は、タービン入口圧力の代わりに給水流量を用いても算出できるため、本例では給水流量を用いている。
第3の例では、入口温度計測器22からのタービン入口温度と、流量計測器25からの給水流量とを用いるが、出口圧力計測器24からのタービン出口圧力は用いずに、浸食量を算出する。例えば、低圧タービン15の最終段動翼の流路面積が最小となるスロート部でチョークが発生し、タービン出口で圧力が変化しても最終段動翼入口の状態量が一定である場合がある。この場合には、出口圧力計測器24からのタービン出口圧力を用いずに、浸食量を算出することができる。
以上の4種類の手法では、2種類または3種類の物理量を用いているが、浸食量を演算可能であれば、1種類の物理量のみを用いてもよいし、4種類以上の物理量を用いてもよい。よって、浸食量の演算のためにタービン監視装置21に検知結果を出力する計測器の個数は、1つでもよいし、4つ以上でもよい。
また、以上の4種類の手法において、入口温度計測器22は、図1に示す入口温度計測器26に置き換えてもよいし、入口圧力計測器23は、図1に示す入口圧力計測器27に置き換えてもよい。理由は、中圧タービン14に導入される蒸気の物理量から、低圧タービン15に導入される蒸気の物理量を評価できるからである。なお、入口温度計測器26および入口圧力計測器27の構造や動作は、蒸気配管P4ではなく蒸気配管P3に設置されている以外、入口温度計測器22と入口圧力計測器23と同じである。
図3は、第1実施形態の変形例の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図3の蒸気タービンプラントは、非再熱型プラントであり、再熱器13を備えていない点と、蒸気流路P2およびP3が蒸気流路P7に置き換えられている点が、図1の蒸気タービンプラントと相違している。本変形例では、高圧タービン12は、蒸気流路P1から導入された蒸気で駆動され、この蒸気を蒸気流路P7に排出する。中圧タービン14は、蒸気流路P7から導入された蒸気で駆動され、この蒸気を蒸気流路P4に排出する。
上述の4種類の手法において、入口温度計測器22は、図3に示す入口温度計測器28に置き換えてもよいし、入口圧力計測器23は、図3に示す入口圧力計測器29に置き換えてもよい。理由は、本変形例では高圧タービン12から排出された蒸気が再熱器13で再熱されないため、高圧タービン12に導入される蒸気の物理量から、低圧タービン15に導入される蒸気の物理量を評価できるからである。なお、入口温度計測器28および入口圧力計測器29の構造や動作は、蒸気配管P4ではなく蒸気配管P7に設置されている以外、入口温度計測器22と入口圧力計測器23と同じである。
以上のように、本実施形態では、入口温度計測器22、入口圧力計測器23、および出口圧力計測器24から出力された検知結果に基づいて低圧タービン15の動翼の浸食量を演算し、演算された浸食量に基づく情報を表示する。よって、本実施形態によれば、低圧タービン15の動翼の浸食量を適切に評価することが可能となる。
以下、第2および第3実施形態の蒸気タービンプラントについて説明する。以下の説明では、第1実施形態の蒸気タービンプラントとの相違点を中心に説明し、第1実施形態の蒸気タービンプラントとの共通点については説明を省略する。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図4は、第2実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図4の蒸気タービンプラントは、再熱型プラントであり、図1に示す構成要素に加え、給水加熱器31、33と、抽気バルブ32、34と、抽気検出器41と、蒸気流路P11およびP12とを備えている。図4に点線で示す抽気検出器42については後述する。
蒸気流路P11は、低圧タービン15の蒸気通路部の中間部に接続され、低圧タービン15の中間段から蒸気を抽気する抽気配管である。給水加熱器31は、給水流路P6に設置されており、給水流路P6を流れる給水を、蒸気流路P11からの抽気蒸気により加熱する。抽気バルブ32は、蒸気流路P11に設置されており、蒸気流路P11を流れる蒸気を調節するために使用される。抽気バルブ32がオン(開)になると、低圧タービン15から蒸気が抽気され、抽気バルブ32がオフ(閉)になると、低圧タービン15からの蒸気の抽気が停止される。抽気バルブ32は、本開示の抽気装置の例である。
蒸気流路P12は、中圧タービン14の蒸気通路部の中間部に接続され、中圧タービン14の中間段から蒸気を抽気する抽気配管である。給水加熱器33は、給水流路P6に設置されており、給水流路P6を流れる給水を、蒸気流路P12からの抽気蒸気により加熱する。抽気バルブ34は、蒸気流路P12に設置されており、蒸気流路P12を流れる蒸気を調節するために使用される。抽気バルブ34がオン(開)になると、中圧タービン14から蒸気が抽気され、抽気バルブ34がオフ(閉)になると、中圧タービン14からの蒸気の抽気が停止される。抽気バルブ34は、本開示の抽気装置の例である。
抽気検出器41は、抽気バルブ32の動作を検出し、抽気バルブ32の動作の検出結果をタービン監視装置21に出力する。本実施形態の抽気検出器41は、抽気バルブ32の開度を検出可能であり、抽気バルブ32が開いている場合にはオンの出力信号を、抽気バルブ32が閉じている場合にはオフの出力信号を記憶部21aに出力する。
記憶部21aは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果を記憶すると共に、抽気検出器41から出力された抽気バルブ32のオン/オフの検出結果を記憶する。
演算部21bは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果と、抽気検出器41から出力された抽気バルブ32のオン/オフの検出結果とに基づいて、低圧タービン15の動翼の水滴による浸食量を演算する。
図5は、第2実施形態のタービン監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。図2は、演算部21bによる演算の流れを示している。
図5の演算の流れは、図2の演算の流れと同様である。ただし、本実施形態では、記憶部21aから入力したタービン入口圧力、タービン入口温度、タービン出口圧力、および抽気オン/オフ信号(S1)に基づき、低圧タービン15の最終段動翼入口における蒸気の流量、湿り度、圧力、および流速(S2)を演算している。抽気がオフの場合のS2の演算結果は、第1実施形態の場合と同じである。一方、抽気がオンの場合には、抽気した蒸気流量の分だけ最終段動翼入口の蒸気流量が減少し、最終段動翼入口の蒸気圧力も減少する。これにより、低圧タービン15からの抽気の有無を考慮して浸食量を評価することで、浸食量の評価精度を向上させることが可能となる。
なお、入口温度計測器22は、図4に示す入口温度計測器26に置き換えてもよいし、入口圧力計測器23は、図4に示す入口圧力計測器27に置き換えてもよい。この場合、本実施形態の蒸気タービンプラントは、抽気検出器41だけでなく抽気検出器42も備えることが望ましい。抽気検出器42は、抽気バルブ34の動作を検出し、抽気バルブ34の動作の検出結果をタービン監視装置21に出力する。本実施形態の抽気検出器42は、抽気バルブ34の開度を検出可能であり、抽気バルブ34が開いている場合にはオンの出力信号を、抽気バルブ34が閉じている場合にはオフの出力信号を記憶部21aに出力する。この場合、演算部21bは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果と、抽気検出器41、42から出力された抽気バルブ32、34のオン/オフの検出結果とに基づいて、低圧タービン15の動翼の水滴による浸食量を演算する。これにより、中圧および低圧タービン14、15からの抽気の有無を考慮して浸食量を評価することで、浸食量の評価精度を向上させることが可能となる。
図6は、第2実施形態の変形例の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図6の蒸気タービンプラントは、非再熱型プラントであり、再熱器13を備えていない点と、蒸気流路P2およびP3が蒸気流路P7に置き換えられている点が、図4の蒸気タービンプラントと相違している。図6の蒸気タービンプラントはさらに、給水加熱器35と、抽気バルブ36と、蒸気流路P13とを備えている。
蒸気流路P13は、高圧タービン12の蒸気通路部の中間部に接続され、高圧タービン12の中間段から蒸気を抽気する抽気配管である。給水加熱器35は、給水流路P6に設置されており、給水流路P6を流れる給水を、蒸気流路P13からの抽気蒸気により加熱する。抽気バルブ36は、蒸気流路P13に設置されており、蒸気流路P13を流れる蒸気を調節するために使用される。抽気バルブ36がオン(開)になると、高圧タービン12から蒸気が抽気され、抽気バルブ36がオフ(閉)になると、高圧タービン12からの蒸気の抽気が停止される。抽気バルブ36は、本開示の抽気装置の例である。
本変形例では、入口温度計測器22は、図6に示す入口温度計測器28に置き換えてもよいし、入口圧力計測器23は、図6に示す入口圧力計測器29に置き換えてもよい。この場合、本変形例の蒸気タービンプラントは、抽気検出器41、42だけでなく抽気検出器43も備えることが望ましい。抽気検出器43は、抽気バルブ36の動作を検出し、抽気バルブ36の動作の検出結果をタービン監視装置21に出力する。本変形例の抽気検出器43は、抽気バルブ36の開度を検出可能であり、抽気バルブ36が開いている場合にはオンの出力信号を、抽気バルブ36が閉じている場合にはオフの出力信号を記憶部21aに出力する。この場合、演算部21bは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果と、抽気検出器41、42、43から出力された抽気バルブ32、34、36のオン/オフの検出結果とに基づいて、低圧タービン15の動翼の水滴による浸食量を演算する。これにより、高圧、中圧、および低圧タービン12、14、15からの抽気の有無を考慮して浸食量を評価することで、浸食量の評価精度を向上させることが可能となる。
以上のように、本実施形態では、入口温度計測器22、入口圧力計測器23、および出口圧力計測器24から出力された検知結果と、抽気検出器41から出力された検出結果とに基づいて低圧タービン15の動翼の浸食量を演算し、演算された浸食量に基づく情報を表示する。よって、本実施形態によれば、低圧タービン15の動翼の浸食量を、抽気も考慮して適切に評価することが可能となる。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図7は、第3実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図7の蒸気タービンプラントは、再熱型プラントであり、図4に示す構成要素に加え、排気室スプレー37と、冷却水バルブ38と、スプレー検出器44と、冷却水流路P14とを備えている。
冷却水流路P14は、低圧タービン15に冷却水を供給するための配管である。排気室スプレー37は、低圧タービン15の最終段動翼の下流に設けられた排気室内に、冷却水流路P14からの冷却水(スプレー水)を供給する。低圧タービン15の最終段動翼を通過する蒸気流量が小さく、動翼のかき回し損失により排気室温度が過度に上昇してしまう場合に、排気室スプレー37をオンとすることで排気室温度を下げることができる。冷却水バルブ38は、蒸気流路P14に設置されており、蒸気流路P14を流れる冷却水を調節するために使用される。冷却水バルブ38がオン(開)になると、低圧タービン15に冷却水が供給され、冷却水バルブ38がオフ(閉)になると、低圧タービン15への冷却水の供給が停止される。
スプレー検出器44は、冷却水バルブ38の動作を検出し、冷却水バルブ38の動作の検出結果をタービン監視装置21に出力する。本実施形態のスプレー検出器44は、冷却水バルブ38の開度を検出可能であり、冷却水バルブ38が開いている場合にはオンの出力信号を、冷却水バルブ38が閉じている場合にはオフの出力信号を記憶部21aに出力する。
記憶部21aは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果を記憶すると共に、抽気検出器41から出力された抽気バルブ32のオン/オフの検出結果と、スプレー検出器44から出力された冷却水バルブ38のオン/オフの検出結果とを記憶する。
演算部21bは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果と、抽気検出器41から出力された抽気バルブ32のオン/オフの検出結果と、スプレー検出器44から出力された冷却水バルブ38のオン/オフの検出結果とに基づいて、低圧タービン15の動翼の水滴による浸食量を演算する。この際、演算部21bは、低圧タービン15内の蒸気に起因する水滴と、排気室スプレー37からのスプレー水に起因する水滴とによる動翼の浸食量を演算する。
図8は、第3実施形態の蒸気タービン(低圧タービン15)の動作を説明するための断面図である。図8は、図11(a)に対応する断面を示している。
最終段落の動翼2を通過する蒸気流量が小さい場合には、図8に示すように、最終段落に排気室からの逆流を伴う流れ場となる。曲線L3は、この場合に排気室スプレー37から噴霧された水滴の流れを示している。排気室スプレー37から噴霧された水滴は、蒸気の流線L1に沿って最終段落内に動翼2の根本側から逆流し、最終段落内で蒸気の流線L1に沿って半径方向外側に流れる。よって、排気室スプレー37から噴霧された水滴は、動翼2の前縁に衝突することになり、動翼2は浸食される。
すなわち、本実施形態の動翼2は、低圧タービン15内の蒸気に起因する水滴により浸食されるだけでなく、排気室スプレー37からのスプレー水に起因する水滴により浸食される。そこで、本実施形態では、これら2種類の水滴を考慮に入れて、低圧タービン15の動翼2の浸食量を演算する。
図9は、第3実施形態のタービン監視システムの動作を説明するためのフローチャートである。図9は、演算部21bによる演算の流れを示している。
演算部21bは、図9のS11、S2、S3、S4、およびS5に関する処理を、図5の場合と同様に実行する。
一方、演算部21bは、記憶部21aから入力したスプレーオン/オフ信号(S12)に基づき、スプレーに起因する水滴に関し、最終段動翼入口における水量(水滴個数)、水滴径、および水滴衝突速度(S13)を演算する。なお、本実施形態では、排気室スプレー37から噴霧される水滴の個数および径を、演算部21bに格納しておいてもよい。また、本実施形態では、排気室スプレー37から噴霧される水滴の個数および径を基に水滴の軌道計算を予め実施し、排気室スプレー37から噴霧する液滴の動翼2への衝突速度を演算部21bに格納しておいてもよい。
次に、排気室スプレー37の水滴の水量、水滴径、および水滴衝突速度と、最終段動翼の動翼材料特性および補正係数(S14)から、排気室スプレー37による最終段動翼の浸食率dE/dt(S15)を、上述の式(2)を用いて評価する。なお、S14の動翼材料特性および補正係数は、S4の動翼材料特性および補正係数と同じものである。
次に、排気室スプレー27の噴霧時間Δtの間における、排気室スプレー37の水滴による浸食量ΔEを、以下の式(6)を用いて算出する。
ΔE=dE/dt×Δt ・・・(6)
ΔE=dE/dt×Δt ・・・(6)
本実施形態の浸食量E(S6)は、作動蒸気に含まれる水滴による浸食量と、排気室スプレー37による侵食量とを足し合わせることにより算出される。例えば、式(5)を用いて演算したΔEを、蒸気タービンプラントの運転時間に渡って積算していくことで、前者の浸食量が算出され、式(6)を用いて演算したΔEを、蒸気タービンプラントの運転時間に渡って積算していくことで、後者の浸食量が算出される。そして、前者の浸食量と後者の浸食量とを足し合わせることで、トータルの浸食量Eを算出することができる。本実施形態によれば、低圧タービン15内での排気室スプレー37のオン/オフの影響を考慮して浸食量を評価することで、浸食量の評価精度を向上させることが可能となる。
なお、入口温度計測器22は、図7に示す入口温度計測器26に置き換えてもよいし、入口圧力計測器23は、図7に示す入口圧力計測器27に置き換えてもよい。この場合、本実施形態の蒸気タービンプラントは、第2実施形態と同様に、抽気検出器41だけでなく抽気検出器42も備えることが望ましい。この場合、演算部21bは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果と、検出器41、42、44から出力されたバルブ32、34、38のオン/オフの検出結果とに基づいて、低圧タービン15の動翼の水滴による浸食量を演算する。これにより、中圧および低圧タービン14、15からの抽気の有無を考慮して浸食量を評価することで、浸食量の評価精度を向上させることが可能となる。
図10は、第3実施形態の変形例の蒸気タービンプラントの構成を示す模式図である。
図10の蒸気タービンプラントは、非再熱型プラントであり、再熱器13を備えていない点と、蒸気流路P2およびP3が蒸気流路P7に置き換えられている点が、図7の蒸気タービンプラントと相違している。図10の蒸気タービンプラントはさらに、第2実施形態の変形例と同様に、給水加熱器35と、抽気バルブ36と、蒸気流路P13とを備えている。
本変形例では、入口温度計測器22は、図10に示す入口温度計測器28に置き換えてもよいし、入口圧力計測器23は、図10に示す入口圧力計測器29に置き換えてもよい。この場合、本変形例の蒸気タービンプラントは、第2実施形態の変形例と同様に、抽気検出器41、42だけでなく抽気検出器43も備えることが望ましい。この場合、演算部21bは、入口蒸気温度、入口蒸気圧力、および出口蒸気圧力の検知結果と、検出器41、42、43、44から出力されたバルブ32、34、36、38のオン/オフの検出結果とに基づいて、低圧タービン15の動翼の水滴による浸食量を演算する。これにより、高圧、中圧、および低圧タービン12、14、15からの抽気の有無を考慮して浸食量を評価することで、浸食量の評価精度を向上させることが可能となる。
以上のように、本実施形態では、入口温度計測器22、入口圧力計測器23、および出口圧力計測器24から出力された検知結果と、検出器41、44から出力された検出結果とに基づいて低圧タービン15の動翼の浸食量を演算し、演算された浸食量に基づく情報を表示する。よって、本実施形態によれば、低圧タービン15の動翼の浸食量を、抽気およびスプレーも考慮して適切に評価することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2実施形態の蒸気タービンプラントに排気室スプレー27やスプレー検出器44を設けているが、代わりに第1実施形態の蒸気タービンプラントに排気室スプレー27やスプレー検出器44を設けてもよい。すなわち、本実施形態の蒸気タービンプラントは、給水加熱器31、抽気バルブ32、抽気検出器41等を備えていなくてもよい。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムおよび方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したシステムおよび方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
1:タービン最終段落の静翼、2:タービン最終段落の動翼、
3:タービン最終段落の前段落の静翼、4:タービン最終段落の前段落の動翼、
5:翼後縁端、6:ダイヤフラム外輪、7:翼後縁端、8:翼前縁端、
11:ボイラ、12:高圧タービン、13:再熱器、14:中圧タービン、
15:低圧タービン、16:発電機、17:復水器、
21:タービン監視装置、21a:記憶部、21b:演算部、21c:表示部、
22:入口温度計測器、23:入口圧力計測器、24:出口圧力計測器、
25:流量計測器、26:入口温度計測器、27:入口圧力計測器、
28:入口温度計測器、29:入口圧力計測器、
31、33、35:給水加熱器、32、34、36:抽気バルブ、
37:排気室スプレー、38:冷却水バルブ、
41、42、43:抽気検出器、44:スプレー検出器
3:タービン最終段落の前段落の静翼、4:タービン最終段落の前段落の動翼、
5:翼後縁端、6:ダイヤフラム外輪、7:翼後縁端、8:翼前縁端、
11:ボイラ、12:高圧タービン、13:再熱器、14:中圧タービン、
15:低圧タービン、16:発電機、17:復水器、
21:タービン監視装置、21a:記憶部、21b:演算部、21c:表示部、
22:入口温度計測器、23:入口圧力計測器、24:出口圧力計測器、
25:流量計測器、26:入口温度計測器、27:入口圧力計測器、
28:入口温度計測器、29:入口圧力計測器、
31、33、35:給水加熱器、32、34、36:抽気バルブ、
37:排気室スプレー、38:冷却水バルブ、
41、42、43:抽気検出器、44:スプレー検出器
Claims (12)
- 蒸気タービンに導入されるまたは前記蒸気タービンから排出された蒸気、または前記蒸気タービンから排出された前記蒸気から得られた水の物理量を検知し、前記物理量の検知結果を出力する1つ以上の計測器と、
前記1つ以上の計測器から出力された前記検知結果に基づいて、前記蒸気タービンの動翼の水滴による浸食量を演算する演算部と、
前記演算部により演算された前記浸食量に基づく情報を表示する表示部と、
を備えるタービン監視システム。 - 前記演算部は、前記動翼の水滴による単位時間当たりの前記浸食量である浸食率を演算し、前記浸食率に基づいて前記浸食量を演算する、請求項1に記載のタービン監視システム。
- 前記演算部は、前記蒸気タービンの運転時間に渡って前記浸食率を積算することで、前記浸食量を演算する、請求項2に記載のタービン監視システム。
- 前記演算部は、前記蒸気タービンの最終段落の前記動翼の水滴による前記浸食量を演算する、請求項1から3のいずれか1項に記載のタービン監視システム。
- 前記1つ以上の計測器は、
前記蒸気タービンに導入される前記蒸気の温度を検知する温度計測器と、
前記蒸気タービンに導入される前記蒸気の圧力を検知する第1圧力計測器とを備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のタービン監視システム。 - 前記1つ以上の計測器は、
前記蒸気タービンに導入される前記蒸気の温度を検知する温度計測器と、
前記蒸気タービンから排出された前記蒸気から得られた前記水の流量を検知する流量計測器とを備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のタービン監視システム。 - 前記1つ以上の計測器はさらに、
前記蒸気タービンから排出された前記蒸気の圧力を検知する第2圧力計測器を備える、
請求項5または6に記載のタービン監視システム。 - 前記表示部は、前記浸食量、または前記浸食量に基づく警報を表示する、請求項1から7のいずれか1項に記載のタービン監視システム。
- 前記蒸気タービンは、高圧タービン、中圧タービン、および低圧タービンを備えるプラントに設けられており、前記蒸気タービンは前記低圧タービンである、請求項1から8のいずれか1項に記載のタービン監視システム。
- さらに、前記蒸気タービンまたは別の蒸気タービンから蒸気を抽気する抽気装置の動作を検出し、前記抽気装置の動作の検出結果を出力する抽気検出器を備え、
前記演算部は、前記1つ以上の計測器から出力された前記検知結果と、前記抽気検出器から出力された前記検出結果とに基づいて、前記浸食量を演算する、
請求項1から9のいずれか1項に記載のタービン監視システム。 - さらに、前記蒸気タービンの排気室内に水を供給する排気室スプレーの動作を検出し、前記排気室スプレーの動作の検出結果を出力するスプレー検出器を備え、
前記演算部は、前記1つ以上の計測器から出力された前記検知結果と、前記スプレー検出器から出力された前記検出結果とに基づいて、前記蒸気タービン内の前記蒸気に起因する水滴と、前記排気室スプレーからの前記水に起因する水滴とによる前記動翼の前記浸食量を演算する、
請求項1から10のいずれか1項に記載のタービン監視システム。 - 蒸気タービンに導入されるまたは前記蒸気タービンから排出された蒸気、または前記蒸気タービンから排出された前記蒸気から得られた水の物理量を1つ以上の計測器により検知し、前記物理量の検知結果を前記1つ以上の計測器から出力し、
前記1つ以上の計測器から出力された前記検知結果に基づいて、前記蒸気タービンの動翼の水滴による浸食量を演算部により演算し、
前記演算部により演算された前記浸食量に基づく情報を表示部により表示する、
ことを含むタービン監視方法。
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