JP2021090043A - 3族窒化物ベースレーザダイオード - Google Patents

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ブスケ ヴァレリー
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善彦 谷
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彰宏 栗栖
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Abstract

【課題】3族窒化物ベースレーザダイオードの性能を従来よりも向上させる。【解決手段】3族窒化物ベースのLD(100)における活性領域(104)は、第1QW層(115)と第2QW層(117)とを備える。第1QW層(115)は、第2QW層(117)に比べて、LD(100)のn型半導体領域(112)に近接している。第2QW層(117)は、第1QW層(115)に比べて、LD(100)のp型半導体領域(113)に近接している。第1QW層(115)の厚さ(W1)は、第2QW層(117)の厚さ(W2)に比べて小さい。【選択図】図2

Description

本発明の一態様は、3族窒化物ベースのレーザダイオード(以下、「3族窒化物ベースレーザダイオード」とも称する)に関する。
半導体発光素子(例:レーザダイオード)に関する様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、3族窒化物ベースレーザダイオードの性能を向上させるための技術の一例が開示されている。
米国特許公報「US 10,218,152 B1」
本発明の一態様は、3族窒化物ベースレーザダイオードの性能を従来よりも向上させることを目的とする。
(1)本発明の一実施形態は、3族窒化物ベースレーザダイオードであって、n型3族窒化物ベース半導体領域と、p型3族窒化物ベース半導体領域と、前記p型3族窒化物ベース半導体領域と前記n型3族窒化物ベース半導体領域との間に位置する3族窒化物ベース活性領域と、を備えており、前記3族窒化物ベース活性領域は、(i)第1量子井戸層および第2量子井戸層と、(ii)前記第1量子井戸層と前記第2量子井戸層との間に位置するバリア層と、を有しており、前記第1量子井戸層は、前記第2量子井戸層に比べて、前記n型3族窒化物ベース半導体領域に近接しており、前記第2量子井戸層は、前記第1量子井戸層に比べて、前記p型3族窒化物ベース半導体領域に近接しており、前記第1量子井戸層の厚さは、前記第2量子井戸層の厚さに比べて小さい、3族窒化物ベースレーザダイオードである。
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、前記第1量子井戸層の厚さが、前記第2量子井戸層の厚さに比べて1nm以上小さい、3族窒化物ベースレーザダイオードである。
本発明の一態様によれば、3族窒化物ベースレーザダイオードの性能を従来よりも向上させることが可能となる。
実施形態1のLDの全体的な構成を示す図である。 図1のLDにおける活性領域の構成を示す図である。 図1のLDの性能評価結果の一例を示す図である。 図1のLDの性能評価結果の別の例を示す図である。 W1とWPEとの関係の一例を示す図である。 ΔWとWPEとの関係の一例を示す図である。
〔実施形態1〕
以下、実施形態1のLD(Laser Diode,レーザダイオード)100について述べる。LD100は、3族窒化物ベースレーザダイオードの一例である。なお、説明の便宜上、公知技術(例:特許文献1)と同様の事項については、適宜説明を省略する。
各図に示されている構成は、説明の便宜上のための単なる一例である。また、各部材の位置関係も、各図の例に限定されない。さらに、明細書中において以下に述べる各材料および各数値も、単なる一例である。本明細書では、2つの数AおよびBに関する「A〜B」という記載は、特に明示されない限り、「A以上かつB以下」を意味するものとする。
(LD100の全体的な構成)
図1は、LD100の全体的な構成を示す図である。LD100の各半導体層は、公知の成長プロセスによって製造されてよい。図1には、当該成長プロセスにおける各半導体層の成長方向が示されている。以下、成長方向を上方向とも称する。成長方向は、以下に述べる各層の厚さ方向でもある。
成長プロセスの例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition,有機金属化学気相成長法)またはMBE(Molecular Beam Epitaxy,分子線エピタキシー法)を挙げることができる。成長プロセスは、結晶品質に優れた半導体層を製造できるものであれば、任意の手法を利用できる。
LD100の各層は、基板110上に堆積されている。基板110は、LD100の各層を支持する支持部材として機能する。基板110の材料としては、GaN、Si、またはSiCが好適に用いられる。但し、基板110の材料は、これらの例に限定されない。
LD100は、基板110から見た場合に上側に向かって、第1クラッド層101(下側クラッド層)、第1ガイド層102(下側ガイド層)、第2ガイド層103(中間ガイド層)、活性領域104(アクティブ領域とも称される)、第3ガイド層105(上側ガイド層)、キャリアブロック層106、第2クラッド層107(上側クラッド層)、コンタクト層108、および第2電極層109a(上側電極層)をこの順に備える。LD100は、基板110の下側に、第1電極層109b(下側電極層)を備える。LD100は、第2クラッド層107と第2電極層109aとの間に、絶縁層111を備える。
第1クラッド層101と第1ガイド層102と第2ガイド層103とを総称的に、n型半導体領域112とも称する。n型半導体領域112は、n型半導体層と称されてもよい。また、第3ガイド層105とキャリアブロック層106と第2クラッド層107とを総称的に、p型半導体領域113とも称する。p型半導体領域113は、p型半導体層と称されてもよい。活性領域104は、n型半導体領域112とp型半導体領域113との間に配置されている。活性領域104の具体的な構成については後述する。
n型半導体領域112およびp型半導体領域113はそれぞれ、n型3族窒化物ベース半導体領域(3族窒化物ベースのn型半導体領域)およびp型3族窒化物ベース半導体領域(3族窒化物ベースのp型半導体領域)の一例である。活性領域104は、3族窒化物ベース活性領域(3族窒化物ベースの活性領域)の一例である。n型半導体領域112、p型半導体領域113、および活性領域104はそれぞれ、(Al,In,Ga)N材料系によって製造されてよい。
n型半導体領域112のドーパントとしては、Si、Ge、O、S、またはSeが好適に用いられる。また、p型半導体領域113のドーパントとしては、Be、Cd、またはMgが好適に用いられる。
後述の図2に示されるように、活性領域104は、複数のQW(Quantum Well,量子井戸)層と、少なくとも1つのバリア層とを含む。活性領域104は、n型半導体領域112とp型半導体領域113とに取り囲まれるように配置されている。キャリア再結合を局在化させるためには、このように活性領域104を設けることが特に好ましい。
活性領域104(より具体的には、QW層)は、エレクトロルミネッセンス(Electro-Luminescence,EL)によって光(以下、光L)を発する。このことから、活性領域104は、発光領域(あるいは、発光層)と称されてもよい。光Lの波長(以下、λ)は、発光プロセスにおいて電子(より厳密には、自由電子)とホール(正孔)とが再結合する時に、フォトン(光子)から発せられるエネルギーによって決定される。従って、再結合時における電子とホールとの間のエネルギー差を小さくすることで、λを長くできる。つまり、光Lを長波長化できる。一例として、光Lは、青色光または緑色光である。
LD100に発振動作(lasing operation)を行わせるためには、活性領域104において、キャリア(電子およびホール)、および、発生した光子(換言すれば、発生した光L)を、それぞれ閉じ込めることが必要となる。活性領域104に対して、(i)下方に第1ガイド層102および第2ガイド層103を、(ii)上方に第3ガイド層105を、それぞれ設けることにより、活性領域104の厚さ方向において、光Lを閉じ込めることができる。光Lを効果的に閉じ込めるために、第1ガイド層102、第2ガイド層103、および第3ガイド層105はそれぞれ、導波光の有効屈折率(effective index of the guided light)よりも高い屈折率を有するように構成されている。
より効果的に光Lを閉じ込めるために、活性領域104に対して、(i)下方に第1クラッド層101が、(ii)上方に第2クラッド層107が、それぞれ設けられている。光Lを効果的に閉じ込めるために、第1クラッド層101および第2クラッド層107はそれぞれ、前記導波光の有効屈折率よりも低い屈折率を有するように構成されている。
InNの屈折率は、GaNの屈性率よりも比較的高い。このため、InGaN材料の屈折率は、In(インジウム)の含有率の増加に伴って、線形的または非線形的に増加する。450nmよりも長い波長範囲では、光の波長が長くなるにつれて、GaNおよびInNのいずれにおいても、屈折率が低下することが知られている。その結果、光の波長が長くなるにつれて、GaNとInNとの間の屈折率の差は減少する。このことから、所定のInの含有率が選択された場合、光の波長が長くなるにつれて、GaNとInGaNとの間の屈折率の差は減少する。
AlNの屈折率は、GaNの屈性率よりも比較的低い。このため、AlGaN材料の屈折率は、Alの含有率の増加に伴って、線形的または非線形的に減少する。450nmよりも長い波長範囲では、光の波長が長くなるにつれて、AlNの屈折率が増加する。その結果、光の波長が長くなるにつれて、GaNとAlNとの間の屈折率の差は減少する。このことから、所定のAlの含有率が選択された場合、光の波長が長くなるにつれて、GaNとAlGaNとの間の屈折率の差は減少する。
キャリアブロック層106は、第3ガイド層105と第2クラッド層107との間に設けられている。キャリアブロック層106は、第3ガイド層105および第2クラッド層107に比べて、高いバンドギャップ(より厳密には、バンドギャップエネルギー)を有している。キャリアブロック層106は、第3ガイド層105から第2クラッド層107への電子の輸送を効果的に低減する。その一方で、キャリアブロック層106は、第2クラッド層107から第3ガイド層105への正孔の輸送に強い影響を及ぼさない。
第2クラッド層107は、成長後の加工(post-growth processing)によって形成された上部を有する。当該上部の形状は、一般的には、成長面に対して隆起(ridge)した形状である。第2クラッド層107の上部をリッジとも称する。このように、第2クラッド層107は、凸状の形状を有している。リッジは、当該リッジの短辺方向(例:以下に述べるq方向)への光の伝搬を制限する。
コンタクト層108は、第2クラッド層107に対する成長後の加工に先立ち、当該第2クラッド層107の上面に形成される。コンタクト層108の材料は、例えば、p型GaNである。コンタクト層108は、LD100における電気的なコンタクトを助成するために設けられている。
第2電極層109aは、コンタクト層108に接触している。第2電極層109aによれば、コンタクト層108に対する電気的なコンタクトが可能となる。第2電極層109aは、第2クラッド層107に対応する形状を有している。第1電極層109bは、基板110に接触している。第1電極層109bによれば、基板110に対する電気的なコンタクトが可能となる。
このように、第2電極層109aおよび第1電極層109bによれば、LD100を電気的に駆動することが可能となる。第2電極層109aおよび第1電極層109bの材料としては、Pd、ITO、IZO、Ti、Au、Pt、Ni、Cr、またはAlが好適に用いられる。あるいは、これらの材料の組み合わせを、第2電極層109aおよび第1電極層109bの材料として用いることもできる。但し、第2電極層109aおよび第1電極層109bの材料は、これらの例に限定されない。
絶縁層111は、第2クラッド層107と第2電極層109aとの間に介在している。絶縁層111の材料としては、SiO、SiN、またはAlが好適に用いられる。絶縁層111によれば、LD100に対するホールの注入を、コンタクト層108(p型GaN)によって規定された領域(すなわち、リッジの上面に対応する領域)のみにおいて行うことができる。
以下、説明の便宜上、図1の成長方向(紙面の縦方向)をp方向とも称する。これに対し、図1の水平方向(紙面の横方向)をq方向と称する。q方向は、p方向に垂直である。また、p方向およびq方向に垂直な方向を、r方向と称する。r方向は、図1の紙面に直交する方向である。
LD100には、2つの鏡面(不図示)が設けられている。鏡面は、(i)リッジの長辺方向、および、(ii)活性領域、のそれぞれに垂直な方向に、半導体層を劈開(cleavage)することによって設けられてよい。つまり、鏡面は、r方向に垂直な面に設けられてよい。あるいは、別の方法によって、鏡面が設けられてもよい。鏡面は、活性領域に平行な方向において光を制限する。2つの鏡面は、共同して光学キャビティを規定する。
鏡面に対して、例えば付加的な材料(例:SiO、SiN、またはAl)を堆積させることによって処理が施されてもよい。当該処理により、鏡面の屈折率の特性を変化させることができる。その結果、発振によって生じたレーザ光(例:上述の光L)に対する当該鏡面の鏡面反射率(mirror reflectivity)を変化させることができる。光Lの一部は、鏡面を通過してLD100の外部へと出射される。この場合、エッジ発光(edge emitting)型のLD100を構成できる。エッジは、(i)活性領域、および、(ii)リッジの長辺方向、のそれぞれに垂直な方向に規定される。つまり、エッジは、r方向に垂直な面に設けられてよい。
また、LD100の光学キャビティは、活性領域に平行な方向に規定されてもよい。この場合、垂直発光(vertical emitting)型のLD100を実現できる。垂直発光型のLD100は、p方向に光Lを出射する。
(活性領域104)
図2は、活性領域104の構成を示す図である。活性領域104は、基板110(図2では不図示)から見た場合に上側に向かって、第1キャップ層114(下側キャップ層)、第1QW層115(下側QW層,第1量子井戸層)、バリア層116第2QW層117(上側QW層,第2量子井戸層)、および第2キャップ層118(上側キャップ層)をこの順に備える。バリア層116は、量子バリア(Quantum Barrier,QB)層とも称される。
図2に示される通り、第1QW層115は、第2QW層117に比べて、n型半導体領域112に近接している。これに対して、第2QW層117は、第1QW層115に比べて、p型半導体領域113に近接している。加えて、第1QW層115の厚さ(以下、W1)は、第2QW層117の厚さ(以下、W2)と異なっている。具体的には、図2に示される通り、W1<W2であるように、第1QW層115および第2QW層117が製造されている。
以下、第1QW層115および第2QW層117を総称的に、QW層とも称する。実施形態1におけるQW層は、組成式InGa1−xNによって表されるInGaN材料によって構成されている。xは、QW層におけるInの含有率を示す。本発明の一態様では、0<x<1である。つまり、本発明の一態様では、第1QW層115および第2QW層117はいずれも、Inを含む。
以下、区別のため、第1QW層115におけるInの含有率をx1、第2QW層117におけるInの含有率をx2として、それぞれ表す。すなわち、第1QW層115はInx1Ga1−x1Nによって構成されており、第2QW層117はInx2Ga1−x2Nによって構成されている。
x1およびx2はそれぞれ、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。つまり、第1QW層115および第2QW層117はそれぞれ、同じ材料組成を有していてもよいし、異なる材料組成を有していてもよい。この点は、以下に述べる第1キャップ層114および第2キャップ層118についても同様である。
バリア層116は、第1QW層115と第2QW層117との間に設けられている。バリア層116は、QW層と概ね同様に、InGaN材料によって構成されている。具体的には、バリア層116は、組成式InGa1−yNによって表されるInGaN材料によって構成されている。但し、yは、(i)0≦y<1、かつ、(ii)y<xを満たす。
バリア層116は、Inを含まないことが好ましい。つまり、y=0であることが好ましい。この場合、バリア層116の結晶品質を改善できる。加えて、平坦な(smooth)表面を有するバリア層116を得ることができるので、高品質な第2QW層117(バリア層116に続いて製造される層)を製造し易くなる。つまり、第2QW層117の成長品質を改善できる。
第1キャップ層114および第2キャップ層118はそれぞれ、補助的なバリア層である。第1キャップ層は、第1QW層115とn型半導体領域112との間に設けられている。つまり、第1キャップ層114は、活性領域104におけるn型半導体領域112の側の最外層である。第1QW層115は、第1キャップ層とバリア層116との間に配置されている。第1キャップ層114と第1QW層115とバリア層116とを総称的に、第1QW構造と称してもよい。
これに対して、第2キャップ層118は、第2QW層117とp型半導体領域113との間に設けられている。つまり、第2キャップ層118は、活性領域104におけるp型半導体領域113の側の最外層である。第2QW層117は、バリア層116と第2キャップ層118との間に配置されている。バリア層116と第2QW層117と第2キャップ層118とを総称的に、第2QW構造と称してもよい。
以下、第1キャップ層114および第2キャップ層118を総称的に、キャップ層とも称する。実施形態1におけるキャップ層は、組成式InGa1−zNによって表されるInGaN材料によって構成されている。zは、キャップ層におけるInの含有率を示す。第1キャップ層114および第2キャップ層118はいずれも、組成式InGa1−zNによって表されるInGaN材料によって構成されている。但し、zは、(i)0≦z<1、かつ、(ii)z<xを満たす。
以下、区別のため、第1キャップ層114におけるInの含有率をz1、第2キャップ層118におけるInの含有率をz2として、それぞれ表す。すなわち、第1キャップ層114はInz1Ga1−z1Nによって構成されており、第2キャップ層118はInx2Ga1−x2Nによって構成されている。
第1キャップ層114および第2キャップ層118はいずれも、Inを含まないことが好ましい。つまり、z1=z2=0であることが好ましい。この場合、第1キャップ層114および第2キャップ層118のそれぞれの結晶品質を改善できる。加えて、平坦な表面を有する第1キャップ層114を得ることができるので、第1QW層115(第1キャップ層114に続いて製造される層)の成長品質を改善できる。同様に、平坦な表面を有する第2キャップ層118を得ることができるので、第2キャップ層118に続いて製造される層(例:第3ガイド層105)の成長品質を改善できる。
活性領域104(より具体的には、活性領域104の各層)には、ドーパントがドープされる場合がある。しかしながら、ドーパントは、活性領域104の結晶品質を低下させる場合があり、LD100の性能に影響を及ぼしうる。従って、結晶品質の向上という観点からは、活性領域104には、ドーパントがドープされないことが好ましい。
但し、活性領域104にドーパントがドープされない場合、第1QW層115および第2QW層117へのキャリアの注入率が減少するため、LD100の閾値電流が増加しうる。従って、閾値電流の低減という観点からは、活性領域104の各層のうちの1つ以上の層に、ドーパントがドープされてもよい。当該ドーパントは、SiまたはMgであってよい。SiまたはMgは、(Al,In,Ga)N材料系において用いられるドーパントの典型例である。
(LD100の性能評価の一例)
活性領域104におけるキャリアの輸送性能は、当該活性領域104の各層の厚さおよび組成に依存する。例えば、QW層およびバリア層の厚さを低減することにより、活性領域104におけるキャリアの輸送性能を改善できると考えられる。
上述の考え方に基づき、本願の発明者ら(以下、単に発明者ら)は、「W1を低減させることにより、第1QW層115から第2QW層117への電子の注入を改善する」という新たな技術的思想を見出した。LD100における「W1<W2」という構成は、当該技術的思想に基づいている。
発明者らは、LD100について、
・n型半導体領域112の全体の厚さ:1000nm〜4000nm;
・p型半導体領域113の全体の厚さ:300nm〜1000nm;
・第2キャップ層118の厚さ:1.7nm;
・第2QW層117の厚さ(W2):3.8nm;
・バリア層116の厚さ:5nm;
・第1キャップ層114の厚さ:2nm;
という仕様を設定した。
(実施例1)
発明者らは、上記仕様のもとで様々なW1を有するLD100を製造し、製造したLD100のそれぞれの性能評価を行った。実施例1では、x1=x2=0.17として設定されている。すなわち、実施例1では、QW層の組成式は、In0.17Ga0.83Nである。また、実施例1では、y=z1=z2=0である。すなわち、実施例1におけるバリア層およびキャップ層の組成式はいずれも、GaNである。つまり、バリア層およびキャップ層はいずれも、Inを含まない。
(W1とVopとの関係)
図3の300aは、実施例1に対する性能評価によって得られた、W1とLD100の動作電圧(以下、Vop)との関係の一例を示すグラフである。動作電圧とは、所望の電流をLD100に流す場合に、当該LD100に印加することが必要な電圧である。当該グラフの横軸および縦軸はそれぞれ、W1およびVopを示す。当該グラフでは、Vopは、任意単位(arbitrary unit,a.u.)として示されている。
また、発明者らは、実施例1との対比のために、比較例としてのLDを製造した。当該比較例のLDは、従来のLDの一例である。便宜上、当該比較例を、比較例1とも称する。比較例1では、W1=W2=3.8nmとして設定されている。但し、W1以外については、比較例1は、実施例1と同様である。
図3の300aのグラフでは、説明の便宜上、比較例におけるVopもプロットされている。この点については、以下に述べる各グラフについても同様である。図3の300aのグラフにおけるVopは、比較例1におけるVopの値(すなわち、W1=3.8nmにおける動作電圧の値)によって正規化されている。
図3の300aに示されるように、W1が小さくなるにつれて、Vopが減少する傾向が確認された。当該傾向は、第1QW層115から第2QW層117への電子の注入が改善されていることを裏付けている。
(W1とIopとの関係)
図3の300bは、実施例1に対する性能評価によって得られた、W1とLD100の動作電流(以下、Iop)との関係の一例を示すグラフである。動作電流とは、所望のパワーのレーザ光をLD100に出力させる場合に、当該LD100に流すことが必要な電流である。当該グラフの縦軸は、Iopを示す。当該グラフでは、Iopは、任意単位として示されている。当該グラフにおけるIopは、比較例1におけるIopの値(すなわち、W1=3.8nmにおける動作電流の値)によって正規化されている。
図3の300bに示されるように、W1が小さくなるにつれて、Iopが増加する傾向が確認された。当該傾向は、上述の通り第1QW層115から第2QW層117への電子の注入が改善された結果、第2QW層117からp型半導体領域113に流入する電子の数が増加したことを裏付けている。
(W1とWPEとの関係)
図3の300cは、実施例1に対する性能評価によって得られた、W1とLD100の効率との関係の一例を示すグラフである。本例では、LD100のウォールプラグ効率(Wall Plug Efficiency)(以下、WPE)によって、LD100の効率を評価した。当該グラフの縦軸は、WPE(単位:%)を示す。
WPEは、以下の式(1)
WPE=P/(I×V) …(1)
によって定義される。ここで、
・P:レーザ光のパワー(単位:W)
・I:LD100の電流(単位:A)
・V:LD100の電圧(単位:V)
である。
本例では、P=1.6Wの場合について、それぞれのW1におけるWPEを算出した。図3の300cに示されるように、W1が小さくなるにつれて、WPEが増加する傾向が確認された。また、実施例1におけるWPEの最大値は、36%を超えることが確認された。他方、比較例1におけるWPE(W1=3.8nmにおけるWPE)は、34.4%であった。このように、LD100によれば、従来のLDに比べ、5%を超える効率向上を実現できることが確認された。
(LD100の性能評価の別の例)
フォトルミネッセンス分光法(Photo-Luminescence Spectroscopy)は、エピタキシャル成長材料に対する評価方法の1つである。フォトルミネッセンス分光法において測定されたフォトルミネッセンスの相対強度(以下、相対PL強度)は、活性領域104の材料の相対的な結晶品質(crystal quality)を示す。
発明者らは、上述の図3の例と同様に、実施例1において様々なW1を有するLD100を製造し、製造したLD100のそれぞれについて相対PL強度を測定した。このように、発明者らは、LD100に対し、図3の例とは別の性能評価をさらに行った。
図4は、実施例1に対する上記別の性能評価によって得られた、W1と相対PL強度との関係の一例を示すグラフである。当該グラフの縦軸「PLI」は、相対PL強度を示す。図4に示されるように、W1が小さくなるにつれて、PLIが増加する傾向が確認された。
当該傾向は、W1が小さくなるにつれて、活性領域104の結晶品質が向上していることを示している。このように、LD100における「W1<W2」という構成によれば、活性領域104の結晶品質(より具体的には、第2QW層117の結晶品質)を向上させることができる。
活性領域104における欠陥は、当該活性領域104における非発光性再結合(non-radiative recombination)をもたらしうる。このため、当該欠陥の発生を防止することが好ましい。LD100によれば、活性領域104の結晶品質を改善することにより、当該欠陥の発生を防止することが可能となる。
加えて、活性領域104の結晶品質を改善することにより、Vopを低下させることもできる。さらに、活性領域104の結晶品質を改善することにより、LD100の閾値電流(より具体的には、閾値電流密度)を低下させることもできる。LD100の閾値電流を低下させることは、Iopの低下をもたらす。
このことから、上述の図3の300cに示されているWEPの改善には、活性領域104の結晶品質の向上も寄与していると理解できる。以上のように、LD100における「W1<W2」という構成によれば、3族窒化物ベースレーザダイオードの性能を従来よりも向上させることが可能となる。
(実施例2)
発明者らは、さらなる検討のために、実施例1とはxを相違させて、上述の仕様のもとで様々なW1を有するLD100を製造した。そして、発明者らは、製造したLD100のそれぞれの性能評価を行った。実施例2では、x1=x2=0.14として設定されている。すなわち、実施例2では、QW層の組成式は、In0.14Ga0.86Nである。
また、発明者らは、実施例2との対比のために、比較例としてのLDをさらに製造した。便宜上、当該比較例を、比較例2とも称する。比較例2においても、比較例1と同様に、W1=W2=3.8nmとして設定されている。但し、W1以外については、比較例2は、実施例2と同様である。
(W1とWPEとの関係の別の例)
発明者らは、実施例2についても、実施例1と同様に性能評価を行い、W1とWPEとの関係について検討した。図5には、実施例2に対する性能評価によって得られた、W1とWPEとの関係の一例が示されている。
図5のグラフでは、便宜上、実施例2における各データに加え、実施例1における各データ(図3の300cと同様)が併記されている。図5に示されるように、実施例2に対する性能評価の結果からも、「W1<W2」という構成によって、LD100の効率を向上させることができることが裏付けられた。実施例2においても、36%を超えるWPEの最大値が得られた。
(ΔWについて)
上述の通り、本発明の一態様に係るLDでは、W1<W2である。すなわち、ΔW=W2−W1>0である。発明者らは、図5に示されるデータを用いて、ΔWの好適な数値範囲について検討した。
図6には、実施例1および2に対する性能評価によって得られた、ΔWとWPEとの関係の一例が示されている。図6のグラフの横軸は、ΔWである。図6のグラフは、図5のグラフの横軸(W1)を、ΔWに置き換えることによって得られる。
上述の通り、ΔW>0である場合(すなわち、W1<W2である場合)には、ΔW=0の場合(W1=W2である場合)に比べて、高いWPEが得られる。さらに、図6に示されるように、0〜2nm程度の範囲では、ΔWの増加に伴い、WPEが増加する傾向が確認された。
以上のことから、発明者らは、一例として、「ΔW≧1nmであることが好ましい」と結論付けた。このように、本発明の一態様に係るLDでは、W1は、W2に比べて1nm以上小さいことが好ましい。このようにΔWを設定することにより、特に高いWPEを実現できる。
但し、図6の例では、ΔWが十分に大きい場合(例:ΔWが2nm程度を超える場合)、ΔWの増加に伴い、WPEがやや減少する傾向も確認された。このことから、ΔWをあまり大きくしすぎる(W1をあまり小さくしすぎる)ことも好ましくないと考えられる。
〔付記事項〕
本発明の一態様は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の一態様の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。
100 LD(3族窒化物ベースレーザダイオード)
104 活性領域(3族窒化物ベース活性領域)
112 n型半導体領域(n型3族窒化物ベース半導体領域)
113 p型半導体領域(p型3族窒化物ベース半導体領域)
115 第1QW層(第1量子井戸層)
116 バリア層
117 第2QW層(第2量子井戸層)
W1 第1QW層の厚さ
W2 第2QW層の厚さ
ΔW W2とW1との差

Claims (2)

  1. 3族窒化物ベースレーザダイオードであって、
    n型3族窒化物ベース半導体領域と、
    p型3族窒化物ベース半導体領域と、
    前記p型3族窒化物ベース半導体領域と前記n型3族窒化物ベース半導体領域との間に位置する3族窒化物ベース活性領域と、を備えており、
    前記3族窒化物ベース活性領域は、(i)第1量子井戸層および第2量子井戸層と、(ii)前記第1量子井戸層と前記第2量子井戸層との間に位置するバリア層と、を有しており、
    前記第1量子井戸層は、前記第2量子井戸層に比べて、前記n型3族窒化物ベース半導体領域に近接しており、
    前記第2量子井戸層は、前記第1量子井戸層に比べて、前記p型3族窒化物ベース半導体領域に近接しており、
    前記第1量子井戸層の厚さは、前記第2量子井戸層の厚さに比べて小さい、3族窒化物ベースレーザダイオード。
  2. 前記第1量子井戸層の厚さは、前記第2量子井戸層の厚さに比べて1nm以上小さい、請求項1に記載の3族窒化物ベースレーザダイオード。
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