本実施の形態に係る不動産鑑定評価システムに関連する不動産鑑定評価業務の一般的な流れについて説明する。図1に示すように、まず、依頼者が不動産鑑定士に不動産の鑑定評価に係る事前相談を行ったとする。この場合、事前相談を受けた不動産鑑定士は、人的事情による対象不動産への立入調査の可否、提供可能資料の程度等を依頼者に確認する。次に、不動産鑑定士は、鑑定対象となる不動産(以下、「対象不動産」と称する。)について、物的事情による実地調査の難易、資料収集の目途等を事前に検討する。ここで、不動産鑑定士は、対象不動産が過去に行った鑑定評価業務の実績等に基づいて、自己が適正な鑑定評価を行いうるか否かを検討する。そして、不動産鑑定士は、適正な鑑定評価を行うことができ且つ当該事案について鑑定評価を実施することが望ましいと判断すると、依頼者に対して不動産鑑定業務の受任条件並びに注意喚起事項を伝達する。ここで、注意喚起事項とは、不動産鑑定評価基準第9章第2節VIIIで規定されている条件設定を伴う鑑定評価業務となる可能性には、その鑑定評価の精度の難等について説明するものである。そして、依頼者は、受任条件並びに注意喚起事項を踏まえ、不動産鑑定評価業務を不動産鑑定士に依頼する。
また、不動産鑑定士が、依頼者から不動産鑑定業務の依頼を受けた後、不動産鑑定評価業務の進め方に変更が生じる場合がある。例えば図2に示すように、不動産鑑定士が、不動産鑑定評価業務に着手した後、物的事情により対象不動産への立入調査不能、資料の不存在や齟齬等が判明した場合である。そして、不動産鑑定評価基準第9章第2節VIIIに規定されている条件設定を伴う鑑定評価業務を行ったとしても、合理的且つ適正な成果が得られないと判断した場合、その旨を趣旨とする業務報告並びに受任条件の変更を依頼者に通知する。ここで、受任条件の変更とは、例えば、不動産鑑定評価基準第8章第6節で規定されている他の専門家を活用することなど、不動産鑑定評価業務の内容の変更が挙げられる。そして、不動産鑑定士は、依頼者から業務の変更に関する承諾を受けると、受任条件を変更した形で不動産鑑定評価業務を継続する。一方、受任条件の変更を推奨したにも関わらず依頼者がこれに応じなかった場合、不動産鑑定士は、適正な不動産鑑定評価業務を行うことが困難と判断されるときは、不動産鑑定評価基準第1章第4節の不動産鑑定士の責務に従い、不動産鑑定評価業務を謝絶しなければならない場合がある。
なお、不動産鑑定士の全ての業務過程において最も重視すべき点は、不動産鑑定評価基準の遵守、すなわち不動産鑑定士としてのコンプライアンスの遵守と信頼性の維持である。従って、後述するように、本実施の形態のような無人航空機を利用した不動産鑑定評価を行う場合、不動産鑑定評価の全過程と業務のあり方を理解し、不動産鑑定評価に関する専門職業家としての責任を有する不動産鑑定士が自ら無人航空機の操縦資格を持ち、国土交通省より不動産鑑定評価業務を目的とした無人航空機の飛行に係る許可・承認を受け、自ら無人航空機を操縦し、撮影し、解析し、資料を作成し、それらの成果を提供し、その後の情報管理までを担当することが望ましい。
次に、不動産鑑定評価基準において定められている鑑定評価の手順と、本実施の形態に係る無人航空機を利用した不動産鑑定評価システムによる不動産鑑定評価業務との関係について説明する。前述の不動産鑑定評価基準第8章では、図3に示すように、10節(10項目)の必要手順を示し、これらを秩序的に実施すべきとされている。これに対して、本実施の形態に係る不動産鑑定評価システムを用いた不動産鑑定評価では、図3に示す10項目の必要手順に加えて、(1)空撮計画の立案、(2)空撮実施及び画像確認、(3)画像解析、要因明細の作成、(4)要因格差率等の判定、(5)調査分析結果の記載、独自資料の作成、資料の提供及び管理、の5つの手順が付加される。
ここで、不動産鑑定評価基準第8章第3節の「処理計画の策定」では、「実施すべき作業の性質及び量、処理能力等に即応して、対象不動産の確認、資料の収集及び整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整、鑑定評価額の決定等鑑定評価の作業に係る処理計画を秩序的に策定しなければならない。」と規定されている。これに対して、「(1)空撮計画の立案」の付加手順では、不動産鑑定士が、対象不動産への実地調査の前段階において、無人航空機の飛行地域における地権者等に対して空撮の同意を得ること、天気予報に留意し飛行日時を決定すること、対象不動産の鑑定評価に適したフライトデータを作成すること、公的に必要な飛行許可及び承認を得ること等を行う必要がある。
また、不動産鑑定評価基準第8章第4節の「対象不動産の確認」では、「対象不動産の物的確認に当たっては、土地についてはその所在、地番、数量等を、建物についてはこれらのほか家屋番号、建物の構造、用途等を、それぞれ実地に確認することを通じて、確定された対象不動産の存否及びその内容を、確認資料を用いて照合しなければならない。」と規定されている。これに対して、「(2)空撮実施及び画像確認」の付加手順では、不動産鑑定士が、対象不動産の周辺関係者への事前通知や、空撮補助者の帯同などの必要な安全措置を講じた上で、空撮計画を実行して必要な画像データを取得し、その画像データを確認することを行う。
更に、不動産鑑定評価基準第8章第6節の「資料の検討及び価格形成要因の分析」では、「価格形成要因の分析に当たっては、収集された資料に基づき、一般的要因を分析するとともに、地域分析及び個別分析を通じて対象不動産についてその最有効使用を判定しなければならない。」と規定されている。これに対して、「(3)画像解析、要因明細の作成」の付加手順では、不動産鑑定士が、無人航空機で空撮して得られた画像データから生成される対象不動産の3次元形状を示す点群データに基づいて、対象不動産の個別的要因を分析し、最有効使用の判定を行う。ここで、不動産鑑定士は、対象不動産に関する更なる詳細な分析が必要と判断した個別的要因について、その個別的要因を具体的な数値、表、グラフ、図形として表示する要因明細を作成する。
また、不動産鑑定評価基準第8章第7節の「鑑定評価手法の適用」では、「鑑定評価の手法を当該案件に即して適切に適用すべきである。」と規定されている。そして、この規定の検証について、不動産鑑定評価基準第8章第8節の「試算価格又は試算賃料の調整」において、「試算価格又は試算賃料の調整とは、鑑定評価の複数の手法により求められた各試算価格又は試算賃料の再吟味及び各試算価格又は試算賃料が有する説得力に係る判断を行い、鑑定評価における最終判断である鑑定評価額の決定に導く作業をいう。試算価格又は試算賃料の調整に当たっては、対象不動産の価格形成を論理的かつ実証的に説明できるようにすることが重要である。」と規定されている。これに対して、「(4)要因格差率等の判定」の付加手順では、不動産鑑定士が、前述の個別的要因を具体の数値、表、グラフ、図形として表示した要因明細を根拠として、鑑定評価手法の適用において採用する要因格差率ほか諸々の判断数値を理論的かつ実証的に判定する。
更に、不動産鑑定評価基準第8章第10節の「鑑定評価報告書の作成」では、「鑑定評価額が決定されたときは、鑑定評価報告書を作成するものとする。」と規定されている。また、不動産鑑定評価基準第9章第2節「記載事項」では、「鑑定評価報告書には、少なくともIからXIIまでに掲げる事項について、それぞれに定めるところに留意して記載しなければならない。」と示し、「I鑑定評価額及び価格又は賃料の種類」、「II鑑定評価の条件」、「III対象不動産の所在、地番、地目、家屋番号、構造、用途、数量等及び対象不動産に係る権利の種類」、「IV対象不動産の確認に関する事項」、「V鑑定評価の依頼目的及び依頼目的に対応した条件と価格又は賃料の種類との関連」、「VI価格時点及び鑑定評価を行った年月日」、「VII鑑定評価額の決定の理由の要旨」、「VIII鑑定評価上の不明事項に係る取扱い及び調査の範囲」、「IX関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者に係る利害関係等」、「X関与不動産鑑定士の氏名」、「XI依頼者及び提出先等の氏名又は名称」、「XII鑑定評価額の公表の有無について確認した内容」が列挙されている。これに対して、「(5)調査分析結果の記載、独自資料の作成、資料の提供及び管理」の付加手順のうち「調査分析結果の記載」では、前述のII、III、IV、VII、VIIIの項目に関する、空撮調査を行った旨及びその年月日、得られた数値や要因明細、及び本発明を活用した事実並びにこれに関連する条件及び取扱い等を記載する。また、「独自資料の作成」では、合成画像、点群データ、要因明細等を加工調製し、A4版あるいはA3版等の地図資料、図面資料、要因資料等を作成する。更に、「資料の提供及び管理」では、画像データ、動画データ、点群データ等を閲覧装置に収納するとともに、ビューア機能を設置し、鑑定評価書に識別情報を付与し、ユーザがモバイル端末で鑑定評価書識別情報を認識してサーバにログインすることにより、モバイル端末において画像データを拡大縮小、動画を再生、三次元画像を回転するなどして閲覧できるようにするとともに、鑑定評価書提出後の相当期間において当該情報提供の管理を行う。
以上説明したように、本実施の形態に係るカメラを有する無人航空機を使用して対象不動産を調査分析する不動産鑑定評価システムによる不動産鑑定評価は、不動産鑑定評価基準第8章に規定された手順に則り、且つ手順を付加して行われるものである。
具体的には、この不動産鑑定評価システムは、対象不動産の上空における複数の撮影位置それぞれにおいて、複数の被撮影領域を撮影して得られる複数の画像データに基づいて、対象不動産の3次元形状を示す点群データを生成する点群データ生成部と、複数の画像データおよび点群データに基づいて、対象不動産の価格形成要因を抽出し、抽出した価格形成要因について要因明細を生成する要因明細生成部と、点群データおよび要因明細を用いて、対象不動産の鑑定評価書を作成する鑑定評価書作成部と、を備える。ここで、複数の被撮影領域は、対象不動産における複数の撮影位置それぞれの鉛直下方に位置する場所を中心とし且つ互いに少なくとも一部が重複する複数の領域に相当する。
本実施の形態に係る不動産鑑定評価システムは、図4に示すように、無人航空機1と、通信装置2と、操作用モバイル端末3と、要因分析装置4と、鑑定評価書作成装置5と、印刷製本装置6と、閲覧装置8と、閲覧用モバイル端末9と、を備える。ここで、印刷製本装置6は、鑑定評価書7を印刷するためのものであり、閲覧用モバイル端末9は、鑑定評価書7に印刷された後述の鑑定評価書識別情報を認識することにより、鑑定評価書データを閲覧するためのものである。鑑定評価書識別情報としては、例えばQRコード(登録商標)が挙げられる。
無人航空機1は、例えばドローン(登録商標)であり、GPS機能、フェイルセーフ機能を備え、自動航行撮影が可能である。無人航空機1は、図5に示すように、フライトデータ受信部101と、フライトデータ記憶部102と、飛行制御部103と、測位部104と、撮影制御部105と、カメラ106と、画像データ記憶部107と、情報送信部108を有する。カメラ106は、例えばジンバルカメラであり、4K動画または20Mピクセル画像等の撮影が可能である。また、無人航空機1は、1回満充電にすると20分程度継続して飛行するのに十分な電力を蓄積できるバッテリ(図示せず)を有する。バッテリとしては、安全且つ容易に交換可能なものが好ましい。
フライトデータ記憶部102は、無人航空機1が対象不動産の上空における予め設定された複数の撮影位置それぞれを順番に到達するために必要なフライトデータを記憶する。画像データ記憶部107は、カメラ106により撮影して得られた画像データを無人航空機1の位置情報に対応づけて記憶する。ここで、位置情報は、その位置の緯度、経度、高度それぞれを示す情報を含んでいる。画像データ記憶部107は、例えば無人航空機1に対して着脱可能な着脱式メモリであってもよい。この画像データ記憶部107は、例えば、無人航空機1から外して要因分析装置4の画像データ取得部401へ装着することができる。これにより、画像データ記憶部107に記憶された画像データを、要因分析装置4へ転送することができる。
フライトデータ受信部101は、通信装置2から無線受信したフライトデータをフライトデータ記憶部102に伝達する。飛行制御部103は、フライトデータ記憶部102が記憶するフライトデータに基づいて、無人航空機1の飛行状態を制御する。また、飛行制御部103は、無人航空機1の飛行状況を示す情報を情報送信部108へ出力する。
測位部104は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいて、無人航空機1の緯度・経度を計測するとともに、気圧センサにより無人航空機1の高度を計測し、無人航空機1の位置を測位する。撮影制御部105は、フライトデータ記憶部102が記憶するフライトデータと測位部104により測位された無人航空機1の位置情報とに基づいて、無人航空機1が予め設定された複数の撮影位置のいずれかに到達したか否かを判定し、撮影位置に到達したと判定すると、カメラ106を制御して対象不動産を撮影する。また、撮影制御部105は、撮影して得られた画像データを、無人航空機1の位置を示す位置情報に対応づけて画像データ記憶部107に記憶させる。
情報送信部108は、飛行制御部103から入力される無人航空機1の飛行状況等を示す情報と、画像データ記憶部107が記憶する画像データを取得し、通信装置2へ無線送信する。
通信装置2は、操作用モバイル端末3と有線接続されており、操作用モバイル端末3から受信したフライトデータを無人航空機1へ送信するとともに、無人航空機1から受信した飛行状況等を示す情報および画像データを操作用モバイル端末3へ送信する。なお、この通信装置2は、例えば最大送信距離が約5km程度を有するものが好ましい。
操作用モバイル端末3は、不動産鑑定士が、前述の「(1)空撮計画の立案」の付加手順において、無人航空機1の飛行の範囲、画像の解像度、複層的空撮の設定(オーバーラップ率)等の設定等を行うためのものである。操作用モバイル端末3は、例えばアイパッド(登録商標)のような携帯情報端末であり、CPU(Central Processing Unit)と主記憶部と補助記憶部と通信装置2と通信するための通信部とを備える。主記憶部は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリであり、補助記憶部は、不揮発性メモリである。補助記憶部は、無人航空機1を利用した自動航行撮影時には、例えば無人航空機1の自動航行を実現するための専用のアプリケーションを記憶する。また、操作用モバイル端末3は、入力部301と、表示部305と、を備える。入力部301は、例えばタッチパッドのような入力装置であり、表示部305は、例えば液晶ディスプレイのような表示装置である。入力部301は、例えば表示部305に重ねて配置されている。また、CPUは、補助記憶部が記憶する前述のアプリケーションを主記憶部に読み込んで実行することにより、フライトデータ生成部302と、フライトデータ送信部304と、表示制御部306と、情報受信部307を有する。また、補助記憶部は、フライトデータ記憶部303を有する。
フライトデータ生成部302は、不動産鑑定士の入力部301に対する操作に応じて、対象不動産の撮影に関して合理的なフライトデータを生成する。そして、フライトデータ生成部302は、生成したフライトデータを表示制御部306へ出力するとともに、フライトデータ記憶部303に記憶させる。また、フライトデータ生成部302は、不動産鑑定士の入力部301に対する操作に応じて、フライトデータの修正を行う。
フライトデータ送信部304は、不動産鑑定士による入力部301に対する操作に応じて、フライトデータ記憶部303が記憶するフライトデータまたは自動航行撮影の実行指示等を通信装置2へ送信する。情報受信部307は、通信装置2から飛行状況等を示す情報または画像データを受信すると、受信した飛行状況等を示す情報または画像データを表示制御部306へ出力する。表示制御部306は、フライトデータ生成部302から入力されるフライトデータまたは情報受信部307から入力される飛行状況等を示す情報または画像データを表示部305に表示させる。
操作用モバイル端末3の表示部305には、例えば図6(A)に示すような態様でフライトデータを示す画像が表示される。なお、図6(A)は、広大な採石事業地(以下、「事例地1」と称する。)について不動産鑑定評価を行う場合のフライトデータを示す画像の一例である。前述の「(1)空撮計画の立案」の付加手順においては、例えば事例地1について、5.1haの範囲を2.0cm/ピクセルの解像度で空撮し、飛行経路上で隣り合う撮影位置に対応する撮影領域間でのオーバーラップ率を85%、隣り合う飛行経路上の撮影位置に対応する撮影領域間での画像オーバーラップ率を60%に設定するとする。この場合、フライトデータ生成部302は、無人航空機1が地面からの高さ85.4mに位置する7つの飛行ライン上の撮影位置で空撮を行うことが妥当と算定したフライトデータを生成する。このフライトデータは、無人航空機1により例えば117地点の撮影位置で空撮を実施するように設定される。それらの撮影位置は、例えば図6(B)に示すように、対象不動産の上空の7つの飛行ライン上に設定される。なお、図6(B)の角錐形状の記号は、無人航空機1の撮影位置とカメラ106のアングルを示している。
また、無人航空機1による対象不動産の撮影中、操作用モバイル端末3の表示部305には、例えば図7(A)に示すような空撮画像が表示される。図7(A)に示す例では、対象不動産における横約109m、縦約73m、面積約0.8haの撮影領域を撮影した例を示している。ここで、前述のように、飛行経路上で隣り合う撮影位置に対応する撮影領域間でのオーバーラップ率を85%、隣り合う飛行経路上の撮影位置に対応する撮影領域間での画像オーバーラップ率を60%に設定されている場合、前述の117地点の撮影位置で撮影することにより、対象不動産における5.1haの面積の領域を撮影できる。また、不動産鑑定士は、入力部301を操作することにより、例えば図7(B)に示すような、拡大画像を表示部305に表示させることができる。不動産鑑定士は、図7(B)に示す画像を確認することにより、対象不動産内に水溜りがあり、その周辺には縁石が設置され、タンクがあってホースが配されている等の対象不動産に関する詳細な情報を把握することができる。前述の「(2)空撮実施及び画像確認」の付加手順では、このように画像データを確認する。
図4に戻って、要因分析装置4は、例えばGPU(Graphical Processing Unit)(図示せず)と主記憶部(図示せず)と補助記憶部(図示せず)とを備えるいわゆるグラフィックパソコンである。また、要因分析装置4は、図8に示すように、表示部407と入力部409と鑑定評価書作成装置5と通信するための通信インタフェース(図示せず)とを備える。要因分析装置4は、無人航空機1のカメラ106で対象不動産を撮影して得られた多数の画像データに基づいて、点群データを生成する処理を実行する。補助記憶部は、解析プログラムを記憶している。この解析プログラムとしては、例えばテラドローン社製の解析プログラム「TerraMapper」が挙げられる。そして、要因分析装置4では、GPUが、補助記憶部が記憶する解析プログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、画像データ取得部401と、点群データ生成部403と、要因明細生成部405と、表示制御部408と、分析条件設定部410と、送信条件設定部411と、画像関連データ送信部412と、を有する。また、補助記憶部は、画像データ記憶部402と、点群データ記憶部404と、要因明細データ記憶部406と、を有する。表示部407は、例えば液晶ディスプレイのような表示装置であり、入力部409は、例えばキーボードのような入力装置である。
画像データ記憶部402は、画像データ取得部401が取得した画像データを記憶する。点群データ記憶部404は、点群データ生成部403により生成された点群データを記憶する。ここで、点群データは、対象不動産の表面の各点における3次元座標を示す座標情報と、各点の色彩を示す色彩情報と、を含む。要因明細データ記憶部406は、前述の個別的要因の詳細を示す要因明細データを記憶する。
画像データ取得部401は、例えば着脱式メモリ用のスロットを有する。そして、画像データ取得部401は、無人航空機1に装着されている着脱式メモリからなる画像データ記憶部107がスロットに挿入されると、画像データ記憶部107が記憶する画像データを取得し、画像データ記憶部402に記憶させる。
点群データ生成部403は、分析条件設定部410により設定された点群データの生成条件に従って、画像データ記憶部402から取得した画像データに基づいて、点群データを生成する。具体的には、点群データ生成部403は、複数の画像データから対象不動産の3次元形状を表す座標情報と対象不動産の色彩を示す色彩情報とを含む点群データを生成する。点群データ生成部403は、生成した点群データを点群データ記憶部404に記憶させる。
要因明細生成部405は、分析条件設定部410により設定された要因明細生成条件に従い、点群データ記憶部404が記憶する点群データに基づいて、要因明細生成条件で指定されている個別的要因の詳細を示す要因明細データを生成し、要因明細データ記憶部406に記憶させる。また、要因明細生成部405は、複数の画像データを合成して、対象不動産全体の2次元形状を示す2次元画像データを含む要因明細データを生成する。更に、要因明細生成部405は、対象不動産の地積、地形、体積、傾斜のうちの少なくとも1つに関する個別的要因の実態を示す数値、表、グラフおよび図形のうちの少なくとも1つの態様を含む要因明細データを生成する。
表示制御部408は、不動産鑑定士が入力部409に対して行った操作に応じて、画像データ記憶部402から取得した画像データ、点群データ記憶部404から取得した点群データまたは要因明細データ記憶部406から取得した要因明細データを表示部407に表示させる。
分析条件設定部410は、不動産鑑定士が入力部409に対して行った操作に応じて、点群データ生成部403が点群データを生成する際に使用する画像データの指定、点群データの密度または補正処理に関する条件設定等を実行する。また、分析条件設定部410は、不動産鑑定士が入力部409に対して行った操作に応じて、要因明細生成部405が要因明細データを生成する際の価格形成要因の指定、分析範囲、要因明細データの形式等の要因明細生成条件の設定を行う。送信条件設定部411は、不動産鑑定士が入力部409に対して行った操作に応じて、画像データと点群データと要因明細データとを関連づけ、画像関連データ送信部412から鑑定評価書作成装置5へのデータ送信条件を設定する。
画像関連データ送信部412は、送信条件設定部411により設定された送信条件に従って、画像データ記憶部402が記憶する画像データ、点群データ記憶部404が記憶する点群データまたは要因明細データ記憶部406が記憶する要因明細データを、鑑定評価書作成装置5へ送信する。
ここで、表示部407には、例えば図9(A)、図9(B)、図10(A)に示すような要因明細データまたは図10(B)に示すような2次元画像データが表示される。図9(A)に示す例では、要因明細生成部405が、対象不動産に含まれる盛土、切土等の面積、高さ、体積を数値として示す要因明細データを生成し、表示制御部408が、それらの要因明細データを表示部407に表示させた例を示す。また、図9(B)に示す例では、要因明細生成部405が、盛土の地勢(標高)をグラフで示す要因明細データを生成し、表示制御部408が、その要因明細データを表示部407に表示させた例を示す。なお、図9(B)では、2ラインのグラフを示しているが、必要に応じて1ラインまたは3ライン以上のグラフを表示させてもよい。更に、図10(A)に示す例では、要因明細生成部405が、対象不動産の地勢(標高)を等高線で示す要因明細データを生成し、表示制御部408が、その要因明細データを表示部407に表示させた例を示す。また、図10(B)に示す例では、要因明細生成部405が、対象不動産を上空から見たときの2次元画像を生成し、表示制御部408が、その要因明細データを表示部407に表示させた例を示す。
従来の不動産鑑定評価業務では、例えば図11(A)に示すような住宅地図、または、図11(B)に示すようないわゆる白地図等を資料として収集し、それらに基づいて、価格形成要因の分析をするしかなかった。これに対して、本実施の形態に係る不動産鑑定評価システムでは、要因明細生成部405が、図10(A)に示すような要因明細データ、図10(B)に示すような2次元画像を生成することができる。図11と図10は、いずれも事例地1を示すものであるが、その違いを見れば図11が対象不動産の現況と齟齬を有する資料であることは一目瞭然である。よって、図10を採用して不動産鑑定評価を行うことにより、対象不動産の現況をより適切に認識して鑑定評価を行うことができる。
図4に戻って、鑑定評価書作成装置5は、例えば一般事務用パソコンであり、CPUと主記憶部と補助記憶部と要因分析装置4または閲覧装置8と通信するための通信部とを備える。補助記憶部は、鑑定評価書作成装置の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。鑑定評価書作成装置5では、CPUが、補助記憶部が記憶する前述のプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、図12に示すように、画像関連データ取得部501と、独自資料生成部503と、鑑定評価書作成部505と、鑑定評価書データ記憶部506と、製本データ出力部507と、表示部508と、表示制御部509と、入力部510と、鑑定評価部511と、閲覧条件設定部512と、閲覧データ出力部513として機能する。また、補助記憶部は、画像関連データ記憶部502と、独自資料データ記憶部504と、を有する。画像関連データ記憶部502は、要因分析装置4から取得した画像データ、点群データおよび要因明細データを記憶する。独自資料データ記憶部504は、要因分析装置4から取得した画像データ、点群データおよび要因明細データに基づいて生成された独自資料データを記憶する。鑑定評価書データ記憶部506は、作成された鑑定評価書データを、鑑定評価書識別情報に対応づけて記憶する。
画像関連データ取得部501は、要因分析装置4から画像データ、点群データおよび要因明細データを取得し、取得した画像データ、点群データおよび要因明細データを画像関連データ記憶部502に記憶させる。
独自資料生成部503は、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、画像関連データ記憶部502が記憶する各種データに、タイトル、縮尺、方位等を示す情報を付加し、A4版あるいはA3版の大きさの紙媒体に適合するように調整加工された独自資料データを生成し、独自資料データ記憶部504に記憶させる。
鑑定評価書作成部505は、鑑定評価部511により作成された情報と、画像関連データ記憶部502が記憶する画像データ、点群データ、要因明細データと、独自資料データ記憶部504が記憶する独自資料データと、閲覧条件設定部512より付与された鑑定評価書識別情報と、を含む鑑定評価書データを作成する。また、鑑定評価書作成部505は、要因明細データと、鑑定評価手法の適用において採用する要因格差率を示すデータと、を含む鑑定評価書を作成する。更に、鑑定評価書作成部505は、2次元画像データ、点群データおよび要因明細データに基づいて作成した独自資料を含む鑑定評価書を作成する。鑑定評価書作成部505は、作成した鑑定評価書データを鑑定評価書データ記憶部506に記憶させる。
製本データ出力部507は、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、紙媒体に出力する鑑定評価書データを印刷製本装置6へ送信する。表示制御部509は、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、画像関連データ記憶部502が記憶する画像データ、点群データおよび要因明細データ、独自資料データ記憶部504が記憶する独自資料データ、鑑定評価書データ記憶部506が記憶する鑑定評価書データまたは閲覧装置8から受信した閲覧情報を、表示部508に表示させる。
鑑定評価部511は、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、対象不動産の鑑定評価に関し不動産鑑定評価基準第9章第2節「記載事項」を充足する情報を生成して鑑定評価書作成部505へ出力する。閲覧条件設定部512は、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、鑑定評価書データ記憶部506が記憶する鑑定評価書データに含まれるデータの閲覧期間、閲覧するためのパスワード、鑑定評価書データを識別する鑑定評価書識別情報、案件毎に指定された鑑定評価書データに含まれるデータの格納場所のURL、閲覧可能な期間等に関する条件である閲覧条件を設定する、そして、閲覧条件設定部512は、設定した閲覧条件を示す情報を鑑定評価書作成部505および閲覧データ出力部513へ出力する。
閲覧データ出力部513は、閲覧条件設定部512から入力される閲覧条件に従って、鑑定評価書データ記憶部506が記憶する鑑定評価書データに含まれる閲覧データを取得し、取得した閲覧データを閲覧装置8へ出力する。ここで、閲覧データとは、鑑定評価書データに含まれるデータのうちユーザへの閲覧を許容するデータを意味する。
独自資料データは、例えば図13に示すように、要因明細や画像を総合的に表示し、閲覧条件設定部512において設定された鑑定評価書識別情報(図13中のQRコード(登録商標))を含むものであってもよい。
印刷製本装置6は、例えば一般事務用のプリンターまたは製本機であり、図14に示すように、製本データ受信部601と、印刷製本部602を有する。製本データ受信部601は、鑑定評価書作成装置5の製本データ出力部507から出力される鑑定評価書データを取得し、取得した鑑定評価書データを印刷製本部602へ出力する。印刷製本部602は、製本データ受信部601から入力される鑑定評価書データに基づいて、紙媒体に印刷された鑑定評価書7を作製する。なお、鑑定評価書7は、最終的に不動産鑑定士が署名押印を行って完成する。この鑑定評価書7は、無人航空機1による空撮を利用したものであり、対象不動産の現況確認およびその分析を重視した鑑定評価となっている。また、ユーザが無人航空機1の空撮により得られた画像データ等を閲覧するために用いられる鑑定評価書識別情報やパスワード及び閲覧要項等が記載されている。
閲覧装置8は、例えばサーバ用コンピュータであり、CPUと、主記憶部と、補助記憶部と、鑑定評価書作成装置5または閲覧用モバイル端末9と通信するための通信部と、を備える。補助記憶部は、例えば大容量のハードディスクを有し、画像データ、点群データ等を記憶する。また、補助記憶部は、閲覧装置8の各種機能を実現するためのプログラムを記憶している。閲覧装置8では、CPUが 補助記憶部が記憶するプログラムの主記憶部に読み込んで実行することにより、閲覧データ取得部801、ビューア管理部803、表示画像等送受信部804、閲覧情報送信部805、ログイン情報送受信部807として機能する。また、補助記憶部は、閲覧データ記憶部802と、閲覧情報記憶部806と、を有する。閲覧データ記憶部802は、閲覧データ取得部801が取得した鑑定評価書データの中に含まれるユーザが閲覧可能な閲覧データを、鑑定評価書データを識別する鑑定評価書識別情報に対応づけて記憶している。閲覧情報記憶部806は、ログイン情報送受信部807から入力される閲覧情報を記憶する。ここで、閲覧情報は、鑑定評価書に付与された識別情報、ログインの日時、閲覧用モバイル端末9からの入力情報を含む情報である。
閲覧データ取得部801は、鑑定評価書作成装置5から閲覧データを取得し、取得した閲覧データを鑑定評価書識別情報に対応づけて閲覧データ記憶部802に記憶させる。ビューア管理部803は、ログイン情報送受信部807が受信したログイン情報と、閲覧データ記憶部802が記憶する閲覧条件情報とを照合し、閲覧承認処理を実行する。ビューア管理部803は、閲覧承認処理が正常に実行された後、ビューア初期画面情報を表示画像等送受信部804へ出力する。また、ビューア管理部803は、ビューア初期画面情報を表示画像等送受信部804へ出力した後、表示画像等送受信部804から閲覧データを要求するデータ要求情報が入力されると、そのデータ要求情報に対応する閲覧データを閲覧データ記憶部802から取得して表示画像等送受信部804へ出力する。ここで、データ要求情報には、ユーザが閲覧しようとする閲覧データに付与された鑑定評価書識別情報を含んでいる。また、ビューア管理部803は、閲覧承認処理が正常に実行された後、その旨を示す画面情報をログイン情報送受信部807へ出力する。
表示画像等送受信部804は、閲覧用モバイル端末9から受信したデータ要求情報をビューア管理部803へ出力する。そして、表示画像等送受信部804は、ビューア管理部803から入力されるビューア初期画面画像情報または閲覧データを閲覧用モバイル端末9へ送信する。閲覧情報送信部805は、閲覧情報記憶部806から取得した閲覧履歴等の情報を、鑑定評価書作成装置5へ送信する。
ログイン情報送受信部807は、閲覧用モバイル端末9からログイン申請情報を受信すると、ログイン申請情報に含まれるパスワードまたは必要入力情報を抽出し、ビューア管理部803へ出力する。また、ログイン情報送受信部807は、ビューア管理部803から入力される閲覧情報を閲覧情報記憶部806に記憶させる。
閲覧用モバイル端末9は、例えばスマートフォンのような一般的なウェブブラウジング機能を有する機器であり、CPUと、主記憶部と、補助記憶部と、閲覧装置8と通信するための通信部と、を備える。補助記憶部は、閲覧用モバイル端末9の各種機能を実現するためのプログラムを記憶している。また、閲覧用モバイル端末9は、例えばタッチパネルのような表示操作部902と、カメラ(図示せず)と、を備える。ユーザは、表示操作部902に対して鑑定評価書に示された閲覧要項に従い所定の操作を行うことにより、鑑定評価書7に記載された鑑定評価書識別情報を読み取ったり、パスワードまたはその他の情報を入力したりすることができる。この閲覧用モバイル端末9では、CPUが、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、表示画像等送受信部901、ログイン情報送受信部903、識別情報認識部904として機能する。表示画像等送受信部901は、閲覧装置8から受信した鑑定評価書データを示す閲覧画像等を表示操作部902に表示させる。
識別情報認識部904は、ユーザが表示操作部902に対して行う操作に応じて、カメラにより撮影する等して認識された鑑定評価書識別情報に基づいて、この鑑定評価書識別情報に対応づけられたURLを特定し、特定したURLを示す情報をログイン情報送受信部903へ出力する。ログイン情報送受信部903は、識別情報認識部904から入力されるURL情報に基づいて、閲覧装置8へアクセスし、要求された入力項目を示す情報を取得し、その情報を表示操作部902に表示させる。閲覧用モバイル端末9の表示操作部902には、例えば図15(A)乃至(C)に示すような画面が表示される。図15(A)は、ユーザがログイン操作を行うためのログイン画面情報の一例を示す、図15(B)は、閲覧承認処理が正常に実行された場合に表示されるビューア初期画面情報の一例を示す。また、図15(C)は、閲覧データを表示した状態の一例を示している。
次に、本実施の形態に係る不動産鑑定評価システムの動作について図16乃至図18を参照しながら説明する。まず、不動産鑑定士が、対象不動産の調査、確認を実施するとする。この場合、不動産鑑定士は、操作用モバイル端末3の入力部301を操作することにより、無人航空機1の飛行の範囲、画像の解像度、複層的空撮の設定(オーバーラップ率)等を設定する。そして、操作用モバイル端末3のフライトデータ生成部302が、無人航空機1のフライトデータを生成する(ステップS1)。次に、不動産鑑定士の操作用モバイル端末3に対する操作に応じて、生成されたフライトデータが、操作用モバイル端末3から通信装置2を介して無人航空機1へ送信される(ステップS2)。
一方、無人航空機1は、フライトデータを受信すると、受信したフライトデータに基づいて、自動航行撮影を実行する(ステップS3)。ここで、無人航空機1は、受信したフライトデータに従って、例えば図6(B)に示す撮影位置において、自動航行撮影を実行する。このとき、無人航空機1の飛行状況を示す情報および画像データが、無人航空機1から操作用モバイル端末3へ送信される(ステップS4)。ここで、不動産鑑定士は、操作用モバイル端末3の表示部305に表示される画像データを確認することができる。
続いて、自動航行撮影が完了すると、無人航空機1から着脱式メモリからなる画像データ記憶部107を抜き取って要因分析装置4のスロットに装着し、画像データを要因分析装置4へ転送する(ステップS5)。
その後、図17に示すように、不動産鑑定士が要因分析を行う場合、要因分析装置4の点群データ生成部403が、不動産鑑定士の入力部409に対する操作に応じて、点群データを生成する(ステップS6)。次に、要因明細生成部が、不動産鑑定士の入力部409に対する操作に応じて、要因明細データを生成する(ステップS7)。続いて、不動産鑑定士の入力部409に対する操作に応じて、画像データと、生成された点群データおよび要因明細データが、要因分析装置4から鑑定評価書作成装置5へ送信される(ステップS8)。
その後、不動産鑑定士が資料作成を行う場合、鑑定評価書作成装置5の独自資料生成部503が、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、前述の独自資料を作成する(ステップS9)。次に、不動産鑑定士が鑑定評価作業を行う場合、鑑定評価書作成部505が、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、独自資料データ等に基づいて、鑑定評価手法を適用して鑑定評価書データを作成する(ステップS10)。
続いて、不動産鑑定士が情報提供準備を行う場合、閲覧条件設定部512が、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、閲覧装置8における閲覧条件を設定する(ステップS11)。その後、不動産鑑定士の入力部510に対する操作に応じて、鑑定評価書データが、鑑定評価書作成装置5から印刷製本装置6へ送信される(ステップS12)。また、鑑定評価書データと閲覧条件を示す情報とを含む閲覧データが、鑑定評価書作成装置5から閲覧装置8へ送信される(ステップS13)。
次に、図18に示すように、不動産鑑定士が鑑定評価書7を成果として依頼者に納品する場合、印刷製本装置6が、鑑定評価書7を印刷(製本)する(ステップS14)。ここで、不動産鑑定士は、作製された鑑定評価書7に署名押印を行う。そして、不動産鑑定士は、鑑定評価書7を依頼者へ納品する。ここで、鑑定評価書7は、通常、正本1部、副本数部として存在し、一般的には依頼者が正本1部を保管し、副本数部は、その依頼目的に従って裁判所、税務署、金融機関、取引相手などに提出され利用される。すなわち、本件においてユーザとは、鑑定評価書のユーザであり、依頼者及び依頼者より鑑定評価書を受け取った者をいう。
また、ユーザが紙媒体である鑑定評価書7を閲覧した結果、更に鑑定評価書7に含まれる画像情報等の詳細を閲覧しようとする場合、閲覧用モバイル端末9のカメラにより鑑定評価書識別情報を撮影したとする(ステップS15)。この場合、鑑定評価書識別情報に対応するURL情報に基づいて、アクセス要求情報が、閲覧用モバイル端末9から閲覧装置8へ送信される(ステップS16)。一方、閲覧装置8がアクセス要求情報を受信すると、パスワードまたは必要入力事項を求めるログイン画面を示すログイン画面情報が、閲覧装置8から閲覧用モバイル端末9へ送信される(ステップS17)。そして、ユーザが閲覧用モバイル端末9においてパスワードまたは必要入力事項を入力すると、ログイン情報が、閲覧用モバイル端末9から閲覧装置8へ送信される(ステップS18)。一方、閲覧装置8がログイン情報を受信すると、閲覧装置8のビューア管理部803が、受信したログイン情報と閲覧データ記憶部802が記憶する閲覧データに含まれる閲覧条件を示す情報とを照合し、閲覧承認処理を実行する(ステップS19)。
次に、ビューア初期画面情報が、閲覧装置8から閲覧用モバイル端末9へ送信される(ステップS20)。ここで、閲覧用モバイル端末9は、ビューア初期画面情報を受信すると、受信したビューア初期画面情報に基づいて、ビューア初期画面を表示操作部902に表示させる。
続いて、ユーザが、閲覧用モバイル端末9の表示操作部902に対して閲覧データを閲覧するための操作を行うと、閲覧用モバイル端末9が、閲覧操作を受け付ける(ステップS21)。その後、閲覧データを要求するデータ要求情報が、閲覧用モバイル端末9から閲覧装置8へ送信される(ステップS22)。一方、閲覧装置8は、データ要求情報を受信すると、受信したデータ要求情報に対応する閲覧データを特定する(ステップS23)。次に、特定された閲覧データが、閲覧装置8から閲覧用モバイル端末9へ送信される(ステップS24)。ここで、ステップS21乃至S24の一連の処理が繰り返されることにより、ユーザが閲覧データの閲覧を継続することができる(ステップS25)。
続いて、ユーザが、閲覧用モバイル端末9の表示操作部902に対して、閲覧を完了するための操作を行ったとする。この場合、ログアウト情報が、閲覧用モバイル端末9から閲覧装置8へ送信される(ステップS26)。これにより、閲覧装置8のビューア管理部803がその機能を停止する。その後、閲覧装置8が、閲覧情報記憶部806に閲覧情報を記憶させる(ステップS27)。
以上説明したように、本実施の形態に係る不動産鑑定システムによれば、従来の不動産鑑定評価業務における紙媒体の鑑定評価書での情報提供よりも、ユーザが閲覧用モバイル端末9を活用することにより、多くの情報提供が可能となる。
また、不動産鑑定評価基準第8章第4節は、「対象不動産の確認は、対象不動産の物的確認及び権利の態様の確認に分けられ、実地調査、聴聞、公的資料の確認等により、的確に行う必要がある。」と示している。従来の業務においては、対象不動産への立入調査が困難で、遠景からの目視確認等しかできなかった場合、不動産鑑定評価基準第9章第2節VIIIにより、調査範囲等条件を設定するなどして鑑定評価が行われてきたが、本発明では、無人航空機の空撮により、不動産鑑定士は画像データをもって対象不動産の全範囲を詳細に確認することが可能となり、条件設定により鑑定評価精度の劣る可能性がある業務成果をユーザに提供することを回避できる。
不動産鑑定評価基準第8章第5節は、「鑑定評価の成果は、採用した資料によって左右されるものであるから、資料の収集及び整理は、鑑定評価の作業に活用し得るように適切かつ合理的な計画に基づき、実地調査、聴聞、公的資料の確認等により的確に行うものとし、公正妥当を欠くようなことがあってはならない。」と示している。鑑定評価に必要な資料は、おおむね確認資料、要因資料、事例資料に分けられるが、「確認資料とは、不動産の物的確認及び権利の態様の確認に必要な資料をいう。確認資料としては、登記事項証明書、土地又は建物等の図面、写真、不動産の所在地に関する地図等があげられる。」(第8章第5節I)と示されている。従来の業務においては、確認資料の不備により、対象不動産を詳細に確定しえなかった場合等であっても、不動産鑑定評価基準第9章第2節VIIIにより、その旨を表記して業務が行われてきたが、本発明による画像データ及び独自資料は、対象不動産の現況そのものを示す資料であるため、確認資料の不備を補完することが可能となる。
また、「要因資料とは、価格形成要因に照応する資料をいう。要因資料は、一般的要因に係る一般資料、地域要因に係る地域資料及び個別的要因に係る個別資料に分けられる。一般資料及び地域資料は、平素からできるだけ広くかつ組織的に収集しておくべきである。個別資料は、対象不動産の種類、対象確定条件等案件の相違に応じて適切に収集すべきである。」(第8章第5節II)と示されている。本発明において作成する要因明細や独自資料は、個別資料に該当するものであって、従来の業務では、資料収集が困難な場合、不動産鑑定評価基準第9章第2節VIIIにより、条件を設定し、評価上の取扱いを記載して鑑定評価を行っていたが、安易に条件等を設定した鑑定評価業務を回避することを可能としている。
不動産鑑定評価基準第8章第6節は、「資料の検討に当たっては、収集された資料についてそれが鑑定評価の作業に活用するために必要にして十分な資料であるか否か、資料が信頼するに足りるものであるか否かについて考察しなければならない。この場合においては、価格形成要因を分析するために、その資料が対象不動産の種類並びに鑑定評価の依頼目的及び条件に即応しているか否かについて検討すべきである。」と示している。本発明による画像データ、要因明細、独自資料等は、対象不動産の現況事実を示す資料であるため、従来とは異なり、資料の適否を検討することなく活用することを可能としている。
また、不動産鑑定評価基準第8章第6節は、「価格形成要因について、専門職業家としての注意を尽くしてもなお対象不動産の価格形成に重大な影響を与える要因が十分に判明しない場合には、原則として他の専門家が行った調査結果等を活用することが必要である。ただし、依頼目的や依頼者の事情による制約がある場合には、依頼者の同意を得て、想定上の条件を設定して鑑定評価を行うこと若しくは調査範囲等条件を設定して鑑定評価を行うこと、又は自己の調査分析能力の範囲内で当該要因に係る価格形成上の影響の程度を推定して鑑定評価を行うことができる。この場合、想定上の条件又は調査範囲等条件を設定するためには条件設定に係る一定の要件を満たすことが必要であり、また、推定を行うためには客観的な推定ができると認められることが必要である。」と示している。従来の業務では、原則として他の専門家が行った調査結果等を活用することが必要とされる場合であっても、それに要する費用や期間等の事情により、それら外注業務の実施を認める依頼者は稀と言わざるを得ない現実にあり、結果として上記ただし書きの適用となる場合が多かった。しかし、上記ただし書きの適用は、鑑定評価の精度が劣る可能性があるため、極力行うべきでは無い業務と考えられる。本発明による画像データ、要因明細、独自資料等の活用は、他の専門家に外注するのではなく、これを不動産鑑定士が自ら行うことにより、上記ただし書き適用の業務を回避することを可能としている。
不動産鑑定評価基準第9章第1節は、鑑定評価報告書(鑑定評価書)の作成について、「まずその鑑定評価の過程において採用したすべての資料を整理し、価格形成要因に関する判断、鑑定評価の手法の適用に係る判断等に関する事項を明確にして、これに基づいて作成すべきである。」と示している。本発明は、資料を収集のみに頼らず、独自資料を作成し、価格形成要因に関する判断については要因明細を作成し、これを鑑定評価書の記載内容及び鑑定評価の手法の適用において採用する要因格差率ほか諸々の判断数値の根拠とするものである。前述のように、鑑定評価の成果は、採用した資料によって左右されるものであるから、対象不動産の現況事実を示す画像データ、要因明細、独自資料を活用する本発明は、従来の鑑定評価業務よりも精度及び信頼性が高い成果が得られることを可能としている。すなわち、本発明による業務行程を事前に示せば、不動産鑑定士からも、ユーザからも、従来の業務により得られる鑑定評価額と、本発明を活用して得られる鑑定評価額は異なるのであろうと想像され、本件発明による鑑定評価の方が客観性及び信頼性が高いであろうと推測されるものと思料する。
また、不動産鑑定評価基準第9章第3節は、付属資料として「対象不動産等の所在を明示した地図、土地又は建物等の図面、写真等の確認資料、事例資料等は、必要に応じて鑑定評価報告書に添付するものとする。なお、他の専門家が行った調査結果等を活用するために入手した調査報告書等の資料についても、必要に応じて、附属資料として添付するものとする。ただし、当該他の専門家の同意が得られないときは、この限りでない。」と示している。本発明は、従来の業務が、収集可能であった資料の添付に限られるところ、独自資料の活用により説明能力の高い鑑定評価書の作成を可能としている。また、上記の他の専門家が行った調査結果等の活用については、前述の通りであるが、市販の住宅地図を鑑定評価書の附属資料として活用するにおいても使用承認を要するのと同様に、他の専門家が行った調査結果等を附属資料とするにも同意が必要である。しかし、その調査結果等については当該専門家が責任を負うこととなるため、例えば鑑定評価の目的が裁判であったりする場合には、付属資料としての採用に同意を得られない場合があったり、その調査精度や信頼性に但書が付される場合があるのが現実である。本発明は、そのような点において不動産鑑定士が自ら鑑定評価を目的として作成した独自資料を、自己の著作物として鑑定評価書に活用する次第であり、以上のような現実的困難を回避することが可能である。
不動産鑑定評価基準第9章第1節は、鑑定評価書(鑑定評価報告書)について、「その作成に当たっては、誤解の生ずる余地を与えないよう留意するとともに、特に鑑定評価額の決定の理由については、依頼者のみならず第三者に対して十分に説明し得るものとするように努めなければならない。」と示している。すなわち、鑑定評価業務においては、一冊の鑑定評価書内にて必要十分な情報提供と説明義務を果たすことが原則であり、鑑定評価書とは別に画像データ等を記録したメモリを提供するという方法では、提供を受けた依頼者しか情報を得ることができず、また、そのコピーデータが想定外の外部へ漏えいする危険性があった。本発明は、鑑定評価書を実際に手にしたユーザが、従来の業務では鑑定評価書には含めることが困難であった画像データ、空撮動画、三次元画像等をモバイル端末から閲覧できるシステムとしており、従来の業務より情報量が多く安全性の高い鑑定評価業務を可能としている。
なお、本実施の形態に係る不動産鑑定システムは、独占的に利用されるべきものではなく、有用な不動産鑑定評価システムとして広く利用される環境を形成することにより、不当鑑定を無くしていく理念を掲げている。従って、本実施の形態に係る不動産鑑定システムで使用するデータは、不動産鑑定士が容易に導入可能なもの、汎用性のあるものを念頭に設計している。その結果、本実施の形態は、難解事案等への対応や、説得力の高い鑑定評価業務を実現するにおいて有効性が認められるに限らず、今後の社会経済のあり方を念頭に、様々な観点で活路を見出す可能性を含んでいる。
日本の人口は大都市への一極集中や高齢化問題の中にあって、国が行う地価公示業務等を担う不動産鑑定士は、既に地方域において人数減少と高齢化が深刻な問題となっている。
このような状況において今後は、無人航空機を操ったり、データ解析したりすることに長けた若手の不動産鑑定士が現地実査を担当し、地元の地域性や事情に精通している高齢の不動産鑑定士は、画像データをもって対象不動産を確認し、鑑定評価を行う等の分業が有用と考えられる。そのような観点において、本実施の形態に係る不動産鑑定システムは、複数の不動産鑑定士による協働体制を築く際に有用である。
また、そのような無人航空機を用いた複数の不動産鑑定士による協働体制を築くことは、今後近い将来に発生するであろう南海トラフ地震等の大災害に際して大いに役立つものであることは、これまでの災害対応の経験により明らかである。大災害の被災地では、現地への立入調査が困難な場合が多いとともに、被災後の現況を示す資料は存在しないため、その際に活用できるのが本発明であり、それは被災自治体が行う住家被害認定調査など、各種の公共公益サービスにも寄与できるものである。
また、本発明は社会問題でもある不当鑑定の排除に寄与できる。公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会の平成28年3月22日付け懲戒処分を例に挙げると、当該事案の対象不動産は、画地の約半分が傾斜地となっている8万平方メートルを超える産業廃棄物最終処分場跡地であり、それは不動産鑑定士ならば容易に難解物件と想像がつく物件であって、世間一般からは相応に専門職業家としての高度な技術が駆使されて鑑定評価が行われるだろうと想像されるべき物件である。ここで、懲戒処分の理由は「調査分析が不十分で専門職業家としての説明責任を十分に果たしていない」、「不動産鑑定評価基準を遵守した評価とは言い切れず、不動産鑑定士として相当な注意を欠いている鑑定評価書と認められる」と指摘されている。
また、同懲戒処分は、当該事案について有責と認められる事項について、「分析が曖昧で不十分である。」「説明責任を十分果たしているとは認められない。」「説明責任及び倫理が欠如している。」「不十分である。」と締めくくっているが、当該事案が広大な産業廃棄物最終処分場跡地という難解物件である以上、どの程度の作業をもって十分か不十分かの線引きは、不動産鑑定士にとっても判断が難しいのが実情である。すなわち、当該懲戒処分は、不動産鑑定士に対し、注意喚起の効果はあるものの、具体の解決方法や手段までを示すものとはなっていない。
当該懲戒処分に係る不動産鑑定士の能力や不誠実さ等はさておき、およそ、このような懲戒処分が出された背景には、不動産鑑定士に課せられる専門家責任への意識の高まりがあると思料される。しかし、現場の不動産鑑定士は、調査困難物件や資料不備物件等が存在する現実社会の中で活動しているのであって、特に難解物件に直面した場合には、誠実に業務を実施したつもりであっても、絶えず懲戒リスク、すなわち不当鑑定に至るリスクにさらされているとも言える。
そのような今日的課題に対し、一つの解決方法と手段を示すのが本件発明である。すなわち、有用な不動産鑑定評価システムが存在し、その存在と効果が認知された社会環境ができれば、不動産鑑定士だけでなく、一般ユーザから見ても、その鑑定評価書が概ね十分か不十分か程度の判断はできるようになるのであって、そのような環境の形成により、不当鑑定は撲滅されていくべきものと考える。
本実施の形態に係る不動産鑑定評価システムが解決しようとしている主たる課題は、鑑定評価の依頼者に係る人的事情や対象不動産に係る物件事情により、詳細な現況調査ができない事案、十分な資料が存しない事案への対応でもある。
人的事情については、例えば依頼者が不動産の借主あるいは貸主、裁判における原告あるいは被告、債権者(金融機関)あるいは債務者(個人や事業主)など、それぞれの立場にあることによって、不動産鑑定士が対象不動産を調査できる範囲や程度が変わってくる現実があること、また、提供を受けることができる資料の範囲や程度が変わってくる現実があること。物件事情については、前記懲戒処分のような広大な産業廃棄物最終処分場跡地であったり、山林原野であったり、あるいは、地震、津波、台風等の被災地であったり、そのような対象不動産に関しては、その現況を示す資料等が存しない場合が多々ある現実をいう。
そのような現実に対し、不動産鑑定評価基準第9章第2節VIIIは「対象不動産の確認、資料の検討及び価格形成要因の分析等、鑑定評価の手順の各段階において、鑑定評価における資料収集の限界、資料の不備等によって明らかにすることができない事項が存する場合(調査範囲等条件を設定した場合を含む。)の評価上の取扱いを記載しなければならない。」と示している。即ち、不動産鑑定評価基準は、対象不動産の確認や資料収集が困難な場合であっても、合理的な対象確定条件、想定上の条件、調査範囲等条件等を設定し、その評価上の取扱いを記載すれば、鑑定評価を行うことが可能であると許容している。
よって、従来の業務では、そのような許容の下、個々の不動産鑑定士の判断により、十分と考えられる業務が行われているのが通常であるが、結果として客観的には不十分な鑑定評価業務(不当鑑定)と判断され、懲戒処分が生じる余地があった。即ち、対象不動産の確認、資料検討及び価格形成要因の分析等が不十分でも、条件を設定し、評価上の取扱いを記載すれば良いという鑑定評価業務は、極力行うべきではない。
これに対して、本実施の形態に係る不動産鑑定システムでは、立入調査が困難な場合であっても、無人航空機による空撮を行い、少なくとも不動産鑑定士は画像データをもって対象不動産の全範囲を詳細に確認し、調査分析する業務であることを前提としている。また、現況を示す図面資料等が存しない場合であっても、画像データを基に独自の図面資料等を作成し、これを活用することにより資料収集の限界や不備を克服するものである。
特に資料に関しては、不動産鑑定評価基準は収集するものと位置付けているが、本件発明においては独自に作成するものとしている。資料の収集といっても、その活用については単純ではない。不動産に係る資料のうち最もポピュラーな住宅地図の場合、地図会社から住宅地図を購入し、鑑定評価書への添付使用に係る許諾契約を結び、提示された許諾番号を付することにより、ようやく鑑定評価書に添付することができる。そのように市販され、使用制度の整った類の資料であれば問題は無いが、測量図、平面図、等高線図など、そもそも資料が存在しない物件は多々あるのであって、資料の活用という点においても、独自資料は有用である。
また、鑑定評価書は紙媒体であるため、従来その内容は、印刷された文言、図面、写真等の二次元情報に限られてきた。また、その内容は専門性を伴うため、一般ユーザはその内容の意味や良否を理解することが困難な一面があった。これに対して、本実施の形態に係る不動産鑑定システムでは、ユーザがモバイル端末より、対象不動産の画像データを拡大して見たり、動画を再生したり、三次元画像を各方向から見ること等を可能としており、ユーザにとっては、鑑定評価書の記載内容が対象不動産の現況を正確に示したものであるかどうかを客観的に検討することが可能であるとともに、鑑定評価書の記載内容のみでは十分に理解しにくかった対象不動産の現況を画像データ等により補完的に理解できるようにしている。
なお、ユーザとは、依頼者に限らず、依頼者が鑑定評価書を提示する裁判所、税務署、金融機関、取引相手などを含んでおり、鑑定評価書に示された不動産の価値判断について、その利害に関連する第三者に対しても、十分な説明と根拠提示を行おうとするものである。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。