JP2021086220A - 制御方法、制御装置、機械設備、制御プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の条件下の故障データを数多く準備して機械学習させなくとも、環境条件や負荷条件が変化した時の機械設備の故障の予測精度を高められる方法を提供する。【解決手段】機械設備の状態に係る計測値と機械設備の負荷条件を、機械設備が正常な状態において取得し、取得した当該計測値を学習データとして用いて、機械学習により学習済モデルを生成し、機械設備が正常な状態から異常な状態に至るまでの機械設備の状態に係る計測値を取得し、取得した当該計測値と、学習済モデルとを用いて、第1閾値を取得し、評価時における機械設備の状態に係る計測値と機械設備の負荷条件を取得し、評価時における負荷条件と、学習済みモデル生成時における負荷条件と、第1閾値とに基づいて第2閾値を取得し、学習済みモデルと、評価時における機械設備の状態にかかる計測値と、第2閾値と、に基づいて、評価時における機械設備の状態を判定する制御装置である。【選択図】図1
Description
本発明は、センサ等からのデータに基づき、機械設備の故障の予兆を検出する際に用いる制御方法、制御装置、制御装置を備えた機械設備、制御プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
機械設備は、構成部品の状態変化等により動作状態が時々刻々と変化し得る。その機械設備の使用目的に照らして動作状態が許容範囲内の場合を正常状態、許容範囲外の場合を故障状態と呼ぶとすれば、例えば生産機械であれば、故障状態になると不良品を製造したり生産ラインを停止させるなどの不具合を発生させてしまうことになる。
生産機械等では、故障状態をなるべく発生させないようにするため、同一の作業を反復継続して行う場合であっても、定期あるいは不定期に保守作業を実施するのが一般的である。予防安全性を高くするには、保守作業の実施インターバルを短くするのが有効だが、保守作業中は生産機械等を停止させるため、保守作業の頻度を過度に高めると生産機械等の稼働率が低下してしまう。そこで、機械等がまだ正常状態ではあるが故障状態の発生が近くなった時にこれを検知できるのが望ましい。故障状態の発生が近づいたことを検知(故障の発生を予測)できれば、その時点で機械等の保守作業を実施すればよいので、稼働率が必要以上に低下するのを抑制することができるからである。
例えば、特許文献1には、故障条件を学習する機械学習装置を備え、故障情報を作成する故障予知システムが提案されている。ここで、故障情報とは、故障の有無を表す情報又は故障の度合い(故障の深刻さ)を表す情報を含んでいてもよい。特許文献1には、故障予知システムにより作成される故障情報とは独立して故障の有無又は故障の度合いを判定する故障判定部を設け、その判定結果を機械学習装置に入力して学習させることが記載されている。機械学習装置は、機械設備の状態変数と、前述した判定結果を組み合わせた訓練データセットに従って故障条件を学習する。
故障に至ったデータを数多く学習させ、故障の度合いを示す指標値が故障に近づくにつれて大きくなるように定め、学習によって得られた指標値に基づく故障情報を出力するようにする。故障予知システムは、観測された状態変数を、学習済の機械学習装置に入力することにより故障情報を出力させる。出力された故障情報の大きさにより、故障予知システムは、故障に近づいている程度を予測する。
また、特許文献2には、軸受けが実際に使用される実環境に基づいた軸受けの予測寿命を得るための機械学習装置が提案されている。機械学習装置は、軸受けの種類、大きさ、環境条件、使用条件および稼働時間等のデータと、状態観測部の出力に基づいて、軸受けの予測寿命を学習する。機械学習装置は、状態観測部の出力に基づいて報酬を計算し、計算された報酬に応じて軸受けの予測寿命に関する価値関数を更新する。機械学習装置は、初期設定された予測寿命変化曲線を、更新された価値関数に応じて新たな予測寿命変化曲線に変更して出力する。
機械設備は、常に一定の条件下で動作されるとは限らず、環境条件や負荷条件が一定しない方がむしろ一般的である。ここで、環境条件とは、例えば温度、湿度をはじめとする環境を指し、負荷条件とは、例えば速度、トルク、流量、圧力など当該機械設備が運転時に発揮した性能を指す。
機械設備の運転中に環境条件や負荷条件が変化した場合には機械設備の損耗の仕方も変わるため、故障が発生するまでの時間は当然に変化するが、従来の故障予知方法では環境条件や負荷条件が変化した場合の故障予測の精度が、必ずしも高くなかった。
機械設備の運転中に環境条件や負荷条件が変化した場合には機械設備の損耗の仕方も変わるため、故障が発生するまでの時間は当然に変化するが、従来の故障予知方法では環境条件や負荷条件が変化した場合の故障予測の精度が、必ずしも高くなかった。
例えば、特許文献1の方法では、故障に至った事例のデータを数多く機械学習することにより故障予知システムの予測精度が向上するが、機械学習のためのデータを数多く準備することが困難であった。環境条件や負荷条件が変化するバリエーションは非常に多いが、機械設備において故障が発生する頻度は小さいので、種々の条件下で故障に至った事例のデータを数多く集めて学習させるのは容易ではなかった。このため、学習済の環境条件や負荷条件とは異なる条件下で機械設備が運転される場合も多く、故障の予測精度が十分に高くはならなかった。
また、特許文献2の方法では、故障に至った事例のデータを数多く機械学習することにより価値関数の更新および予測寿命変化曲線の変更が精度よく行われるようになる。しかし、上述した理由により、種々の条件下の故障についてデータを数多く準備して機械学習させることが困難であった。このため、学習済の環境条件や負荷条件とは異なる条件下で機械設備が運転される場合も多く、故障の予測精度が十分に高くはならなかった。
そこで、環境条件や負荷条件が変化し得る機械設備で発生する故障を予測するシステムにおいて、種々の条件下の故障データを数多く準備して機械学習させなくとも、環境条件や負荷条件が変化した場合の故障の予測精度を高められる方法が求められていた。
本発明は、機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を、前記機械設備が正常な状態において取得し、取得した当該計測値を学習データとして用いて、機械学習により学習済モデルを生成し、前記機械設備が正常な状態から異常な状態に至るまでの前記機械設備の状態に係る計測値を取得し、取得した当該計測値と、前記学習済モデルとを用いて、第1閾値を取得し、評価時における前記機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を取得し、前記評価時における負荷条件と、前記学習済みモデルの生成時における負荷条件と、前記第1閾値とに基づいて第2閾値を取得し、前記学習済みモデルと、前記評価時における前記機械設備の状態にかかる計測値と、前記第2閾値と、に基づいて、前記評価時における前記機械設備の状態を判定する、ことを特徴とする制御方法である。
また、本発明は、制御部を備え、前記制御部は、機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を、前記機械設備が正常な状態において取得し、取得した当該計測値を学習データとして用いて、機械学習により学習済モデルを生成し、前記機械設備が正常な状態から異常な状態に至るまでの前記機械設備の状態に係る計測値を取得し、取得した当該計測値と、前記学習済モデルとを用いて、第1閾値を取得し、評価時における前記機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を取得し、前記評価時における負荷条件と、前記学習済みモデルの生成時における負荷条件と、前記第1閾値とに基づいて第2閾値を取得し、前記学習済みモデルと、前記評価時における前記機械設備の状態にかかる計測値と、前記第2閾値と、に基づいて、前記評価時における前記機械設備の状態を判定する、ことを特徴とする制御装置である。
本発明は、環境条件や負荷条件が変化し得る機械設備で発生する故障を予測するシステムにおいて、種々の条件下の故障データを数多く準備して機械学習させなくとも、環境条件や負荷条件が変化した場合の故障の予測精度を高められる方法を提供する。
図面を参照して、本発明の実施形態として、機械設備の故障を予測する際に用いる故障予知システム、制御方法、制御装置、制御装置を備えた機械設備、制御プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、等について説明する。以下の説明では、その機械設備の使用目的に照らして動作状態が許容範囲内の場合を正常状態、許容範囲外の場合を故障状態または異常状態と記す場合がある。
[実施形態1]
[機能ブロックの構成]
図1は、実施形態1の故障予知システムが備える機能ブロックの構成を説明するための模式的な機能ブロック図である。なお、図1では本実施形態の特徴を説明するために必要な機能要素を機能ブロックで表しているが、本発明の課題解決原理とは直接関係のない一般的な機能要素については記載を省略している。また、図1に図示された各機能要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のごとく構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散や統合の具体的形態は図示の例に限らず、その全部または一部を、使用状況等に応じて任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
[機能ブロックの構成]
図1は、実施形態1の故障予知システムが備える機能ブロックの構成を説明するための模式的な機能ブロック図である。なお、図1では本実施形態の特徴を説明するために必要な機能要素を機能ブロックで表しているが、本発明の課題解決原理とは直接関係のない一般的な機能要素については記載を省略している。また、図1に図示された各機能要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のごとく構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散や統合の具体的形態は図示の例に限らず、その全部または一部を、使用状況等に応じて任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
図1に示すように、実施形態の故障予知システムは、データ収集装置1と故障予知通知装置2(制御装置)を備えている。
データ収集装置1は、機械設備の状態や機械設備の環境条件を検出するセンサ10と、機械設備の負荷条件に関する情報を記録する負荷記録部11とを備えている。機械設備の状態とは、例えば機械設備が発生する振動、音、機械設備の各部の温度、等を含む。環境条件とは、例えば温度、湿度をはじめとする周囲環境を含み、負荷条件とは、例えば速度、トルク、流量、圧力など当該機械設備が運転時に発揮した性能を含む。ただし、機械設備の損耗に影響し得る環境条件と負荷条件を、合わせて負荷条件と呼んでもよい。
データ収集装置1は、機械設備の状態や機械設備の環境条件を検出するセンサ10と、機械設備の負荷条件に関する情報を記録する負荷記録部11とを備えている。機械設備の状態とは、例えば機械設備が発生する振動、音、機械設備の各部の温度、等を含む。環境条件とは、例えば温度、湿度をはじめとする周囲環境を含み、負荷条件とは、例えば速度、トルク、流量、圧力など当該機械設備が運転時に発揮した性能を含む。ただし、機械設備の損耗に影響し得る環境条件と負荷条件を、合わせて負荷条件と呼んでもよい。
センサ10には、例えば力センサ、トルクセンサ、振動センサ、集音センサ、撮像センサ、距離センサ、温度センサ、湿度センサ、流量センサ、光量センサ、pHセンサ、圧力センサ、粘度センサ、臭気センサ等の各種センサが用いられ得る。図1では、図示の便宜のためセンサ10を単数で示したが、通常は複数のセンサが設けられる。
負荷記録部11は、当該機械設備が負担する負荷条件に関する情報、例えば当該機械設備が使用目的に応じて稼働時に発揮した性能に係る情報を記録する記録装置である。例えば、当該機械設備がロボットの場合には、ハンドで把持するワークの重量、ワークを運搬する経路や距離、アームの動作速度、アームの動作半径、等に係る情報を記録し得る。
データ収集装置1のセンサ10及び負荷記録部11から出力されるデータは、故障予知通知装置2の収集部201に入力され、機械設備の稼働データとして記憶される。
データ収集装置1のセンサ10及び負荷記録部11から出力されるデータは、故障予知通知装置2の収集部201に入力され、機械設備の稼働データとして記憶される。
故障予知通知装置2は、収集部201、学習部202、判定閾値調整部203、および判定部204を備えている。収集部201は、データ収集装置1のセンサ10及び負荷記録部11から入力される情報を収集して記憶し、記憶した情報を必要に応じて学習部202と判定閾値調整部203に出力する。故障予知通知装置2(制御装置)のうち、収集部201をデータ取得部と、収集部201以外の要素を制御部と呼んでもよい。
学習部202は、機械学習段階においては、収集部201から出力されるデータを用いて機械設備の正常状態の特徴を機械学習し、学習済モデル(故障予知モデル)を構築して記憶する。
学習部202は、まず、収集されたデータを処理して機械設備の運転状態の特徴を示す特徴量を抽出あるいは算出し、特徴量データとして記憶部に格納する。例えば、特徴量データとして、機械設備の1動作サイクルの中で収取されたセンサの計測値の最大値および/または最小値を抽出したり、あるいは平均値を算出しても良い。あるいは、例えば所定の期間分のセンサの値を時系列の周波数領域へ積分変換したものでも良い。また、時系列に並べたセンサ値の時間に対する微分値や二次微分値でも良い。また、センサの計測値(生データ)そのものが、故障の発生が近づいたか否かを検知する際の判断材料として有用である場合は、計測値そのものを特徴量データとして扱っても良い。本実施形態に係る故障予知方法では、学習部202は、センサの計測データに基づき特徴量を抽出あるいは算出し、センサのサンプリングタイミングに対応した時系列の特徴量データを作成して記憶し、機械学習に用いる。
学習部202は、まず、収集されたデータを処理して機械設備の運転状態の特徴を示す特徴量を抽出あるいは算出し、特徴量データとして記憶部に格納する。例えば、特徴量データとして、機械設備の1動作サイクルの中で収取されたセンサの計測値の最大値および/または最小値を抽出したり、あるいは平均値を算出しても良い。あるいは、例えば所定の期間分のセンサの値を時系列の周波数領域へ積分変換したものでも良い。また、時系列に並べたセンサ値の時間に対する微分値や二次微分値でも良い。また、センサの計測値(生データ)そのものが、故障の発生が近づいたか否かを検知する際の判断材料として有用である場合は、計測値そのものを特徴量データとして扱っても良い。本実施形態に係る故障予知方法では、学習部202は、センサの計測データに基づき特徴量を抽出あるいは算出し、センサのサンプリングタイミングに対応した時系列の特徴量データを作成して記憶し、機械学習に用いる。
また、学習部202は、機械学習した際(すなわち、学習済モデルの生成時)の機械設備の周囲環境の条件、機械設備が負担した負荷条件に関するデータに基づき、基準負荷データを決定して判定閾値調整部203に格納する。また、学習部202は、後述する第1閾値としての基準閾値を決定して判定閾値調整部203に格納する。
評価段階(故障予知段階)において、学習部202の学習済モデルには、評価時の機械設備の状態、周囲環境条件、負荷条件に関する情報が、収集部201から入力される。学習部202は、評価時の機械設備の状態に関する情報を学習済モデルに入力し、学習済モデルの出力を入力とを用いて乖離度を算出し、故障発生に近づいている度合いを示す指標値として判定部204に出力する。
判定閾値調整部203は、学習部202から入力される基準負荷データと、収集部201から入力される評価時の機械設備の周囲環境の条件、機械設備が負担した負荷条件とを比較して、閾値調整スコアを決定する。判定閾値調整部203は、閾値調整スコアを用いて基準閾値を調整して第2閾値としての判定用閾値を決定し、判定部204に出力する。
判定部204は、機械設備が故障(異常状態)発生に近づいているか否か、すなわち故障(異常状態)の予兆の有無を判定して出力する。評価段階(故障予知段階)において、学習部202が出力する指標値と、判定閾値調整部203が出力する判定用閾値とを比較して、機械設備が故障発生に近づいているか否かを判定して出力する。判定部204は、判定に係る情報をオペレータに通知する通知部を含む。
以上、各機能ブロックが備える機能について説明したが、これらの機能ブロックは、例えば記憶装置に記憶された制御プログラムを、故障予知システムのCPUが読み出して実行することにより構成される。あるいは、故障予知システムが備えるASIC等のハードウェアにより、機能ブロックの一部または全部を構成してもよい。
[ハードウェア構成]
図8に、実施形態の故障予知システムのハードウェア構成の一例を模式的に示す。故障予知システムは、図8に示すように、主制御手段としてのCPU1601、記憶装置としてのROM1602、およびRAM1603を備えたPCハードウェアを含むことができる。ROM1602には、後述する故障予知方法を実現するための処理プログラムや推論アルゴリズムなどの情報を格納しておくことができる。また、RAM1603は、その制御手順を実行する時にCPU1601のワークエリアなどとして使用される。また、制御系には、外部記憶装置1606が接続されている。外部記憶装置1606は、HDDやSSD、ネットワークマウントされた他のシステムの外部記憶装置などから構成される。
図8に、実施形態の故障予知システムのハードウェア構成の一例を模式的に示す。故障予知システムは、図8に示すように、主制御手段としてのCPU1601、記憶装置としてのROM1602、およびRAM1603を備えたPCハードウェアを含むことができる。ROM1602には、後述する故障予知方法を実現するための処理プログラムや推論アルゴリズムなどの情報を格納しておくことができる。また、RAM1603は、その制御手順を実行する時にCPU1601のワークエリアなどとして使用される。また、制御系には、外部記憶装置1606が接続されている。外部記憶装置1606は、HDDやSSD、ネットワークマウントされた他のシステムの外部記憶装置などから構成される。
後述する本実施形態の故障予知方法を実現するためのCPU1601の処理プログラムは、HDDやSSDなどから成る外部記憶装置1606や、ROM1602(例えばEEPROM領域)のような記憶部に格納しておくことができる。その場合、故障予知方法を実現するためのCPU1601の処理プログラムは、ネットワークインターフェース(NIF)1607を介して、上記の各記憶部に供給し、また新しい(別の)プログラムに更新することができる。あるいは、故障予知方法を実現するためのCPU1601の処理プログラムは、各種の磁気ディスクや光ディスク、フラッシュメモリなどの記憶手段と、そのためのドライブ装置を経由して、上記の各記憶部に供給し、またその内容を更新することができる。故障予知方法を実現するためのCPU1601の処理を実行可能なプログラムを格納した状態における各種の記憶手段、記憶部、ないし記憶デバイスは、本発明の故障予知手順を格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を構成する。
CPU1601には、図1に示したセンサ10および負荷記録部11が接続される。図8では、図示を簡略化するため、センサ10はCPU1601に直接接続されているように示されているが、例えばIEEE488(いわゆるGPIB)などを介して接続されていてもよい。また、センサ10は、ネットワークインターフェース1607、ネットワーク1608を介してCPU1601に接続される構成であってもよい。
ネットワークインターフェース1607は、例えばIEEE 802.3のような有線通信、IEEE 802.11、802.15のような無線通信による通信規格を用いて構成することができる。CPU1601は、ネットワークインターフェース1607を介して、他の装置1104、1121と通信することができる。例えば故障予知の対象がロボットであるなら、装置1104、1121は、当該ロボットの制御、管理のために配置されたPLCやシーケンサのような統轄制御装置や、管理サーバなどであってもよい。
図8に示す例では、UI装置(ユーザインターフェース装置)として、図1に示す故障予知通知装置2に関係する操作部1604および表示装置1605が接続されている。操作部1604は、ハンディターミナルのような端末、あるいはキーボード、ジョグダイアル、マウス、ポインティングデバイスなどのデバイス(あるいはそれらを備える制御端末)によって構成することができる。表示装置1605は、学習部202の機械学習や、判定部204の判定結果等に係る情報を表示画面に表示できるものであればよく、例えば液晶ディスプレイ装置を用いることができる。
[故障予知方法について]
本実施形態において、故障予知通知装置2の学習部202は、いわゆる教師無し学習により学習済モデル(故障予知モデル)を構築する。いわゆる教師なし学習によって機械設備の故障の特徴を学習するには、故障無しの状態、すなわち機械設備が正常に動作しているときの稼働データのみを利用して機械学習する。教師なし学習とは、入力データのみを大量に学習装置に与えることで、入力データがどのような分布をしているかを学習させる。すなわち、入力データに対して圧縮・分類・整形などの処理を行う装置に、入力データに対応した教師出力データを与えずに、処理を学習させる手法である。
本実施形態において、故障予知通知装置2の学習部202は、いわゆる教師無し学習により学習済モデル(故障予知モデル)を構築する。いわゆる教師なし学習によって機械設備の故障の特徴を学習するには、故障無しの状態、すなわち機械設備が正常に動作しているときの稼働データのみを利用して機械学習する。教師なし学習とは、入力データのみを大量に学習装置に与えることで、入力データがどのような分布をしているかを学習させる。すなわち、入力データに対して圧縮・分類・整形などの処理を行う装置に、入力データに対応した教師出力データを与えずに、処理を学習させる手法である。
教師なし学習の手法を用いた故障予知方法について、具体的に説明する。機械設備の使用目的に照らして動作状態が許容範囲内の場合を正常状態として、正常状態での機械設備の稼働データのみを用いて機械学習を行う。特に、例えば保全作業直後のように正常状態の中でも故障の発生までに十分な時間的マージンがある状態、言い換えれば正常状態の中の初期の稼働データを用いて学習するのが望ましい。本実施形態では、教師なし学習モデルとして、オートエンコーダを用いる。
図4の模式図を参照して、オートエンコーダを用いた機械学習方法について説明する。オートエンコーダは、入力された学習用データを、少ない情報量に圧縮(符号化)した後に復元(復号化)するニューラルネットワークの一種である。機械学習により「入力データをうまく圧縮し、復元するためのパラメータ」すなわち、入力データの特徴を学習する。
オートエンコーダは、入力値xをエンコードして中間層zに圧縮する。その後、中間層zをデコードして出力値yとして復元する。その際、入力値と出力値の復元誤差Jが少なくなるように機械学習する。
学習済のオートエンコーダ(以後、学習済モデル、あるいは故障予知モデルと記す場合がある)に、学習用データと特徴が類似したデータを入力すれば、学習時に獲得したパラメータによる符号化・復号化により復元誤差が小さい出力値が出力される。一方、学習データとは特徴が異なるデータを学習済モデルに入力すると、学習時に獲得したパラメータではうまく圧縮・復号ができないため、復元誤差が大きくなる。
この特性を利用して、本実施形態では、正常状態での機械設備の稼働データを入力値xとしてオートエンコーダに与えて機械学習させる。そして、故障予知を行う際には、学習済モデルに評価データを入力値xとして入力して出力値yを出力させ、さらに入力値xに対する出力値yの復元誤差を算出し、学習した正常状態からの乖離の程度を示す距離として扱う。
この特性を利用して、本実施形態では、正常状態での機械設備の稼働データを入力値xとしてオートエンコーダに与えて機械学習させる。そして、故障予知を行う際には、学習済モデルに評価データを入力値xとして入力して出力値yを出力させ、さらに入力値xに対する出力値yの復元誤差を算出し、学習した正常状態からの乖離の程度を示す距離として扱う。
また、本実施形態では、学習済モデルの生成後に、正常状態から故障発生に至るまでの実際の機械設備の稼働データを学習済モデルに入力し、故障が発生するまでの乖離度の経時的変化を調べ、故障の発生が近づいたことを判定するための基準閾値を設定する。乖離度が基準閾値以上であれば、機械設備の故障発生が近いことを検知することができ、故障の予兆ありと判定することができる。尚、基準閾値の決定に使用した機械設備が故障に至るまでの稼働データである入力値xを評価基準データと呼ぶこととする。尚、オートエンコーダに機械設備の正常状態を機械学習させるのに用いるデータは、評価基準データに含まれる正常状態初期のデータでもよいし、評価基準データとは異なる時点に収集した正常状態のデータでもよい。機械設備の正常状態を機械学習させるのに用いるデータの取得を第1のデータ取得工程とし、基準閾値の決定に使用する評価基準データの取得を第2のデータ取得工程とした時、第1のデータ取得工程と第2のデータ取得工程は一部重複してもよい。あるいは、第1のデータ取得工程と第2のデータ取得工程は全く別の工程としてもよい。
図2は、基準閾値の決定方法を説明するための図である。図2のグラフの横軸は時間(時刻)、縦軸は故障に近づいた度合いを示す指標値であり、正常状態の初期から故障(異常状態)の発生に至るまでの指標値(学習済モデルの入力と出力の乖離度)の経時変化を示している。故障の発生が近づいたことを故障予知システムが予知してから故障が発生するまでに、所定期間tを確保したい場合、すなわち故障の発生よりも所定期間tだけ前に故障予知システムが予知したい場合を想定する。この場合には、図示のように故障発生から所定期間tだけ遡った時点の指標値(学習済モデルの入力と出力の乖離度)の数値を、故障判定の基準閾値として決定する。
本実施形態の故障予知システムでは、学習済モデルを用いて機械設備の故障の発生を予知する際に、上述の基準閾値をそのまま用いるのではなく、機械設備の稼働状況に応じた調整を基準閾値に対して行い、調整された基準閾値を判定用閾値として用いる。
具体的には、判定閾値調整部203は、機械学習に用いたデータに対応する環境条件および負荷条件に関するデータと、故障予知対象の機械設備の評価時における環境条件および負荷条件に関するデータとを比較する。判定閾値調整部203は、比較結果に応じて閾値調整スコアを算出し、基準閾値を閾値調整スコアを用いて調整し、その結果を判定用閾値として判定部204に向けて出力する。
図3は、閾値調整スコアの決定方法を説明するために示すテーブルである。この例は、評価対象である機械設備の環境条件に関するデータおよび機械設備にかかる負荷条件に関するデータの中から、ワーク重量、動作速度、及び動作半径のデータを選択的に用いて基準閾値を調整する場合を示している。
まず、機械学習に用いたデータを収集した際に機械設備にかかっていた負荷条件(ワーク重量、動作速度、動作半径)のレベルを1(基準負荷)として定める。次に、故障予知を行う際に機械設備にかかっていた負荷条件の各々について、基準負荷に対する比率を負荷係数として求める。図3の例では、機械学習した際と比較して、ワーク重量は2倍、動作速度は0.5倍、動作半径は1.5倍であることが判る。判定閾値調整部203は、各負荷係数を乗算した積(この例では、1.5)を閾値調整スコアとして決定する。そして、学習部202から入力された基準閾値に閾値調整スコアを乗算した積を算出し、判定用閾値として判定部204に出力する。
図5に示す模式図を参照して、上述した学習済モデルと判定用閾値を用いた故障予知について説明する。学習済モデルに評価時の機械設備の稼働データである評価データを入力し、入力と出力を用いて、学習した正常状態に対して機械設備がどの程度離れた状態であるのかを示す乖離度を算出する。具体的には、故障予知モデルに機械設備の稼働データ(評価データ)を入力し、その結果得られる故障予知モデルの出力値yと入力値xの復元誤差Jを算出し、正常状態からの乖離度として扱う。本実施形態では、この乖離度を、故障発生に近づいた度合いを示す指標値として扱う。指標値としての乖離度が、評価時の負荷条件に応じて調整された判定用閾値以上である場合には、故障の発生までの期間が所定期間tよりも近いと判定し、判定用閾値未満である場合には、故障の発生までの期間が所定期間tよりも遠いと判定する。
[処理手順について]
実施形態の故障予知システムが実行する処理(制御方法)の手順について、図面を参照して説明する。
図6は、機械学習により学習済モデル(故障予知モデル)を生成する際の処理手順を示すフローチャートである。
実施形態の故障予知システムが実行する処理(制御方法)の手順について、図面を参照して説明する。
図6は、機械学習により学習済モデル(故障予知モデル)を生成する際の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS101において、故障予知通知装置2の収集部201は、データ収集装置1のセンサ10から機械設備、周囲環境の状態にかかるデータを、所定の周期で収集して格納する。また、故障予知通知装置2の収集部201は、データ収集装置1の負荷記録部11から機械設備にかかる負荷条件に関するデータを、所定の周期で収集して格納する。尚、ステップS101において収集されるデータは、機械学習用のデータ、基準閾値を決定するためのデータ、基準負荷を定めるためのデータを含んでおり、例えば図2の時間軸で示したように正常状態の初期から故障発生に至るまでのデータが収集される。
次に、ステップS102は、基準負荷決定工程である。すなわち、学習部202は、ステップS101で収集部201が収集したデータのうち正常状態初期のデータを用いて基準負荷を決定し、格納する。具体的には、例えば、機械設備であるロボットが把持・運搬するワークの重量、機械設備の動作速度、機械設備の動作半径などの各パラメータについて、正常状態初期における機械設備の負荷条件(基準負荷)を決定し、格納する処理である。
ステップS103において、学習部202は、ステップS102で基準負荷を決定するのに用いたのと同時期の機械設備の稼働データ、すなわち正常状態初期の稼働データを収集部201から取得し、特徴量を抽出あるいは算出する。特徴量は、当該機械設備の正常状態の特徴を学習するためのデータとして格納される。
ステップS104において、学習部202は、機械設備が正常状態から故障発生に至るまでの稼働データを収集部201から取得し、基準閾値を決定するために用いる評価基準データとして格納する。
次に、ステップS105は、故障予知モデルを生成するモデル生成工程である。すなわち、学習部202は、ステップS103で格納された特徴量を学習用データとして用いて、機械学習アルゴリズムにより学習済モデル(故障予知モデル)を生成し、格納する。
次に、ステップS106は、基準閾値を決定する基準閾値決定工程である。すなわち、学習部202は、ステップS105で作成された故障予知モデルにステップ104で抽出した評価基準データを入力し、図2を参照して説明したように入力と出力の乖離度の経時変化を求める。そして、所望の所定期間tに応じて、故障予知判定に用いる基準閾値を決定し、判定閾値調整部203に格納する。
次に、本実施形態の故障予知システムが実行する故障予知の処理手順を説明する。
図7は、学習済の故障予知モデルを用いて故障の発生を予知する際の処理手順を示すフローチャートである。
図7は、学習済の故障予知モデルを用いて故障の発生を予知する際の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS201において、故障予知通知装置2の収集部201は、データ収集装置1のセンサ10から故障予知の対象である機械設備、周囲環境の状態にかかるデータを、所定の周期で収集して格納する。また、故障予知通知装置2の収集部201は、データ収集装置1の負荷記録部11から、故障予知の対象である機械設備にかかる負荷条件に関するデータを、所定の周期で収集して格納する。尚、ステップS201において収集されるデータは、故障予知システムが、機械設備が故障発生に近づいているか否かを判定するのに用いる評価用データであり、ステップS201を第3のデータ取得工程と呼ぶこともできる。
次に、ステップS202は、判定用閾値決定工程である。まず、故障予知通知装置2の収集部201から判定閾値調整部203に、故障予知の対象である機械設備の負荷条件、例えばロボットが把持・運搬するワークの重量、機械設備の動作速度、機械設備の動作半径が入力される。判定閾値調整部203は、収集部201から入力される負荷条件と、処理ステップS102で格納された基準負荷とを比較し、図3を参照して説明したように閾値調整スコアを算出する。そして、算出された閾値調整スコアを用いて基準閾値を調整し、判定用閾値として判定部204に出力する。
ステップS203において、故障予知通知装置2の収集部201から学習部202に、故障予知の対象である機械設備の稼働データから抽出された機械設備の運転状態の特徴を示す特徴量(評価用データ)が入力され、格納される。
ステップS204においては、ステップS203において学習部202に格納された評価用データが学習済モデル(故障予知モデル)に入力され、入力と出力の乖離度が算出される。算出された乖離度は、故障の発生が近づいた度合いを示す指標値として判定部204に出力される。
ステップS205において、判定部204は、ステップS204で算出された故障が近づいた度合いを示す指標値と、ステップS202で獲得した判定用閾値とを比較し、故障の予兆に関する通知が必要か否かの判定を行う。具体的には、故障が近づいた度合いを示す指標値が判定用閾値以上である場合(ステップS205:yes)には、故障の予兆ありと判定し、S206において判定部204は故障予知の通知を行う。故障が近づいた度合いを示す指標値が判定用閾値よりも小さい場合(ステップS205:no)には、故障の予兆なしと判定し、故障予知にかかる処理を終了する。
尚、故障の予兆ありと判定して故障予知の通知を行う場合には、ユーザインターフェースを介して通知するとともに、判定に係る情報を記憶装置に記憶したり、外部インターフェースを通じて外部装置に提供してもよい。ユーザに通知するには、故障予知システムに接続された表示装置に表示したり、音声メッセージを発したり、紙等の媒体に印刷して出力する等の処理を行なってもよい。また、故障の予兆なしと判定した場合にも、その結果をユーザに通知したり、判定に係る情報を記憶装置に記憶したり、外部インターフェースを通じて外部装置に提供してもよい。
本実施形態では、環境条件や負荷が変化し得る機械設備の故障を予測するシステムにおいて、予測用モデルが機械設備の特徴を機械学習した際の環境条件や負荷と、故障を予測する時点における環境条件や負荷とを比較する。そして、比較結果に基づいて、故障の予測に用いる判定用閾値を調整する。このため、環境条件や負荷の数多くのバリエーションについて実際に故障が発生するまでのデータを収集して予め機械学習させなくとも、高い精度で実際の機械設備の環境や負荷の状況に応じた故障の予測ができる。
[実施形態2]
実施形態1では、いわゆる教師無し学習の手法により、オートエンコーダを用いて故障予測モデルを作成したが、本発明はいわゆる教師有り学習の手法を用いて故障予測モデルを作成して実施することも可能である。実施形態2は、いわゆる教師有り学習の手法を用いて、状態変数と故障発生との関係性、すなわち故障条件を学習モデルに機械学習させる。
実施形態1では、いわゆる教師無し学習の手法により、オートエンコーダを用いて故障予測モデルを作成したが、本発明はいわゆる教師有り学習の手法を用いて故障予測モデルを作成して実施することも可能である。実施形態2は、いわゆる教師有り学習の手法を用いて、状態変数と故障発生との関係性、すなわち故障条件を学習モデルに機械学習させる。
教師あり学習とは、ある入力と結果(ラベル)のデータの組を大量に学習装置に与えて、それらデータセットにある特徴を学習させ、入力から結果を推定するモデル、すなわち入出力の関係性を帰納的に獲得する学習済モデルを構築する手法である。
教師有り学習の手法を用いる本実施形態の故障予知システムの機能ブロックの構成、ハードウェア構成、処理手順(制御方法)については、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
教師有り学習の手法を用いる本実施形態の故障予知システムの機能ブロックの構成、ハードウェア構成、処理手順(制御方法)については、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態においても、環境条件や負荷が変化し得る機械設備の故障を予測するシステムにおいて、予測用モデルが機械設備の特徴を機械学習した際の環境条件や負荷と、故障を予測する時点における環境条件や負荷とを比較する。そして、比較結果に基づいて、故障の予測に用いる判定用閾値を調整する。このため、環境条件や負荷の数多くのバリエーションについて実際に故障が発生するまでのデータを収集して予め機械学習させなくとも、高い精度で実際の機械設備の環境や負荷の状況に応じた故障の予測ができる。
[実施形態3]
実施形態1および実施形態2では、図1を参照して説明した機能ブロックの構成を用いたが、本発明の実施形態はこれに限られない。
図9に示す機能ブロック図を参照して、実施形態3の構成を説明する。実施形態1あるいは実施形態2と機能が共通する機能ブロックについては、同一の参照番号を付して図示する。また、機能、ハードウェア構成、処理手順(制御方法)の説明に関して、重複する事項については記述を省略する。
実施形態1および実施形態2では、図1を参照して説明した機能ブロックの構成を用いたが、本発明の実施形態はこれに限られない。
図9に示す機能ブロック図を参照して、実施形態3の構成を説明する。実施形態1あるいは実施形態2と機能が共通する機能ブロックについては、同一の参照番号を付して図示する。また、機能、ハードウェア構成、処理手順(制御方法)の説明に関して、重複する事項については記述を省略する。
実施形態1および実施形態2では、学習部202は機械学習により作成した学習済モデル(故障予知モデル)を自身のブロックに格納し、故障予知段階においては入力と出力の乖離度を算出し、指標値として判定部204に出力した。
これに対して、本実施形態の学習部302は、ステップS105で機械学習により作成した学習済モデル(故障予知モデル)を、判定部304に格納する。また、学習部302は、ステップS106で決定した基準閾値も、判定部304に格納する。
これに対して、本実施形態の学習部302は、ステップS105で機械学習により作成した学習済モデル(故障予知モデル)を、判定部304に格納する。また、学習部302は、ステップS106で決定した基準閾値も、判定部304に格納する。
また、実施形態1および実施形態2では、判定閾値調整部203は、学習部202から入力される基準負荷と、収集部201から入力される評価時の機械設備の周囲環境の状態、機械設備が負担した負荷条件とを比較して、閾値調整スコアを決定した。そして、判定閾値調整部203は、閾値調整スコアを用いて基準閾値を調整して判定用閾値を決定し、判定部204に出力した。
これに対して、本実施形態の判定閾値調整部303は、学習部302から入力される基準負荷データと、収集部201から入力される評価時の機械設備の周囲環境の状態、機械設備が負担した負荷条件とを比較して、閾値調整スコアを決定する。そして、閾値調整スコアをそのまま判定部304に出力する。
これに対して、本実施形態の判定閾値調整部303は、学習部302から入力される基準負荷データと、収集部201から入力される評価時の機械設備の周囲環境の状態、機械設備が負担した負荷条件とを比較して、閾値調整スコアを決定する。そして、閾値調整スコアをそのまま判定部304に出力する。
本実施形態では、故障予知段階においては、評価時の機械設備の稼働データが収集部201から判定部304に入力され、判定部304は学習済モデル(故障予知モデル)を用いて入力と出力の乖離度を算出し、故障が近づいた度合いを示す指標値を得る。また、判定部304は格納済の基準閾値と、判定閾値調整部303から入力される閾値調整スコアに基づき、判定用閾値を決定する。そして、判定部304は、指標値と判定用閾値とを比較して、故障の発生が所定期間tよりも近づいたか否かを判定して通知する。
本実施形態においても、環境条件や負荷が変化し得る機械設備の故障を予測するシステムにおいて、予測用モデルが機械設備の特徴を機械学習した際の環境条件や負荷と、故障を予測する時点における環境条件や負荷とを比較する。そして、比較結果に基づいて、故障の予測に用いる判定用閾値を調整する。このため、環境条件や負荷の数多くのバリエーションについて実際に故障が発生するまでのデータを収集して予め機械学習させなくとも、高い精度で実際の機械設備の環境や負荷の状況に応じた故障の予測ができる。
[他の実施形態]
なお、本発明の実施は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
上述した実施形態によれば、環境条件や負荷の数多くのバリエーションについて実際に故障が発生するまでのデータを収集して予め機械学習させなくとも、実際の機械設備の環境や負荷条件に応じた故障の予測を高い精度で行うことができる。ただし、新たな故障事例が発生した場合に、追加の機械学習をすることを禁止するものではなく、学習済モデルを生成した後に、新たな故障事例のデータを用いて追加学習を行ってもよい。その場合には、追加学習する故障事例に関する環境状態や負荷条件のデータを参照して、基準負荷データや基準閾値を更新するのが望ましい。
なお、本発明の実施は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
上述した実施形態によれば、環境条件や負荷の数多くのバリエーションについて実際に故障が発生するまでのデータを収集して予め機械学習させなくとも、実際の機械設備の環境や負荷条件に応じた故障の予測を高い精度で行うことができる。ただし、新たな故障事例が発生した場合に、追加の機械学習をすることを禁止するものではなく、学習済モデルを生成した後に、新たな故障事例のデータを用いて追加学習を行ってもよい。その場合には、追加学習する故障事例に関する環境状態や負荷条件のデータを参照して、基準負荷データや基準閾値を更新するのが望ましい。
また、実施形態では、機械学習の例としてニューラルネットワークを利用する方法を説明したが、機械学習の方法はこれに限られるものではなく、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどを用いてもよい。機械学習を行う装置としては、汎用の計算機もしくはプロセッサを用いることもできるが、GPGPU機能を備えたグラフィックス・プロセッシング・ユニットや、大規模PCクラスター等を利用すると、高速処理が可能になる。
本発明の故障予知システムは、例えば産業用ロボット、サービス用ロボット、コンピュータによる数値制御で動作する加工機械、等の様々な機械や設備に適用することが可能である。機械設備と故障予知システムを一体化したり、機械設備の一部として故障予知システムを構成してもよい。
本発明は、実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
1・・・データ収集装置/2・・・故障予知通知装置/10・・・センサ/11・・・負荷記録部/201・・・収集部/202・・・学習部/203・・・判定閾値調整部/204・・・判定部/302・・・学習部/303・・・判定閾値調整部/304・・・判定部
Claims (19)
- 機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を、前記機械設備が正常な状態において取得し、取得した当該計測値を学習データとして用いて、機械学習により学習済モデルを生成し、
前記機械設備が正常な状態から異常な状態に至るまでの前記機械設備の状態に係る計測値を取得し、取得した当該計測値と、前記学習済モデルとを用いて、第1閾値を取得し、
評価時における前記機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を取得し、前記評価時における負荷条件と、前記学習済みモデルの生成時における負荷条件と、前記第1閾値とに基づいて第2閾値を取得し、
前記学習済みモデルと、前記評価時における前記機械設備の状態にかかる計測値と、前記第2閾値と、に基づいて、前記評価時における前記機械設備の状態を判定する、
ことを特徴とする制御方法。 - 前記評価時における計測値と、前記学習済モデルとを用いて、前記機械設備が前記正常な状態から乖離した度合いを示す指標値を求め、前記指標値と前記第2閾値を用いて、前記評価時における前記機械設備の状態を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。 - 前記第1閾値の取得において、前記機械設備が正常な状態から異常な状態に至るまでにおける計測値と、前記学習済モデルとを用いて、前記機械設備が前記正常な状態から乖離した度合いを示す指標値の経時変化を求め、前記機械設備が異常な状態となった時よりも所定期間だけ前の時点の前記指標値を前記第1閾値として取得する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御方法。 - 前記第2閾値の取得において、前記評価時における負荷条件と前記学習済みモデルの生成時における負荷条件とに基づいて閾値調整スコアを求め、前記閾値調整スコアを用いて前記第1閾値を調整して前記第2閾値を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御方法。 - 前記学習済みモデルの生成時における負荷条件は、前記機械設備が稼働した際に発揮した性能および/または前記機械設備の周囲環境に係る情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御方法。 - 前記評価時における負荷条件は、前記機械設備が稼働した際に発揮した性能および/または前記機械設備の周囲環境に係る情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御方法。 - 前記学習済みモデルの生成において、オートエンコーダを用いた機械学習により前記学習済モデルを生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御方法。 - 前記機械設備の状態の判定の結果を通知する通知工程を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御方法。 - 制御部を備え、
前記制御部は、
機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を、前記機械設備が正常な状態において取得し、取得した当該計測値を学習データとして用いて、機械学習により学習済モデルを生成し、
前記機械設備が正常な状態から異常な状態に至るまでの前記機械設備の状態に係る計測値を取得し、取得した当該計測値と、前記学習済モデルとを用いて、第1閾値を取得し、
評価時における前記機械設備の状態に係る計測値と前記機械設備の負荷条件を取得し、前記評価時における負荷条件と、前記学習済みモデルの生成時における負荷条件と、前記第1閾値とに基づいて第2閾値を取得し、
前記学習済みモデルと、前記評価時における前記機械設備の状態にかかる計測値と、前記第2閾値と、に基づいて、前記評価時における前記機械設備の状態を判定する、
ことを特徴とする制御装置。 - 前記制御部は、前記評価時における計測値と、前記学習済モデルとを用いて、前記機械設備が前記正常な状態から乖離した度合いを示す指標値を求め、前記指標値と前記第2閾値を用いて、前記評価時における前記機械設備の状態を判定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の制御装置。 - 前記制御部は、前記第1閾値の取得において、前記機械設備が正常な状態から異常な状態に至るまでにおける計測値と、前記学習済モデルとを用いて、前記機械設備が前記正常な状態から乖離した度合いを示す指標値の経時変化を求め、前記機械設備が異常な状態となった時よりも所定期間だけ前の時点の前記指標値を前記第1閾値として取得する、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の制御装置。 - 前記制御部は、前記第2閾値の取得において、前記評価時における負荷条件と前記学習済みモデルの生成時における負荷条件とに基づいて閾値調整スコアを求め、前記閾値調整スコアを用いて前記第1閾値を調整して前記第2閾値を取得する、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記学習済みモデルの生成時における負荷条件は、前記機械設備が稼働した際に発揮した性能および/または前記機械設備の周囲環境に係る情報を含む、
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記評価時における負荷条件は、前記機械設備が稼働した際に発揮した性能および/または前記機械設備の周囲環境に係る情報を含む、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記制御部は、オートエンコーダを用いた機械学習により前記学習済モデルを生成する、
ことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の制御装置。 - 前記制御部が、前記機械設備の状態の判定の結果を通知する通知部を更に備える、
ことを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の制御装置。 - 請求項9乃至16のいずれか1項に記載の制御装置を備えた機械設備。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御方法を実行可能な制御プログラム。
- 請求項18に記載の制御プログラムを格納した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019212563A JP2021086220A (ja) | 2019-11-25 | 2019-11-25 | 制御方法、制御装置、機械設備、制御プログラム、記録媒体 |
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