JP2021085544A - 水冷式ジャケットの減肉原因の調査装置及びこれを用いた減肉原因の調査方法 - Google Patents

水冷式ジャケットの減肉原因の調査装置及びこれを用いた減肉原因の調査方法 Download PDF

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Koji Yamashita
晃司 山下
純一 小林
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純一 小林
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【課題】 水冷式ジャケットに生じる腐食等の減肉や穴あきの原因を特定することが可能な減肉原因調査装置及びこれを用いた減肉原因調査方法を提供する。【解決手段】 冷媒としての水を受け入れる金属製の容器11と、該容器11の内部に該水を供給する給水管12と、該容器11に受け入れた水が高温ガスにより加熱されることで生じる温水及び/又は蒸気を排出する排出管13とを有し、該容器11のうち該高温ガスと該冷媒としての水とがそれぞれ表裏面に接触する好適には厚肉の壁部11bの高温側の面の領域Aに好ましくは複数種類の溶射材14a〜14cが設けられており、領域Bには溶射材が設けられていない。【選択図】 図1

Description

本発明は、高温のガスが接する部位に使用される冷却装置としての水冷式ジャケットの減肉原因の調査装置及びこれを用いた調査方法に関する。
自溶炉、転炉、精製炉などにおいて熔融粗銅などの溶融物の処理を行う乾式製錬においては、該処理に伴って亜硫酸ガスなどの腐食性ガスを含む排ガスが排出されるため、該排ガスをダクトを介して排ガス処理設備に導入し、硫酸を製造したり無害化したりする処理が行われている。この排ガスは上記溶融物と同程度の約1200〜1300℃の温度を有しているため、上記ダクト等の排ガスが接触する部位には、過熱により該ダクト等の設備が破損するのを防ぐ対策が様々に講じられている。
例えば特許文献1には、冷媒に水を用いた水冷式ジャケットと称する冷却装置を上記排ガスが接触する部位に設ける技術が開示されている。該水冷式ジャケットは、上記冷媒としての水が循環する流路や中空部を内部に有する鉄製部材からなり、該流路や中空部の入口及び出口には、冷媒の供給用の供給管及び加熱された冷媒の排出用の排出管がそれぞれ接続している。
上記水冷式ジャケットは、水資源の消費を抑えるため、特許文献2及び3に開示されているように、上記流路や中空部から排出される高温の冷媒をクーリングタワーで冷却して再利用する、冷媒の顕熱を利用する循環冷却方式と、特許文献4に開示されているように、ヘッドタンク等の冷媒供給源から供給した冷媒としての水を該本体内で蒸発させて蒸気として該本体から排出する、冷媒の潜熱を利用するワンパス冷却方式がある。
特許第4762172号明細書 特開2018−91608号公報 特許第3512108号明細書 特許第4139139号明細書
上記のワンパス冷却方式の水冷式ジャケットは、蒸発によって冷媒としての水に含まれる不揮発性物質がスラッジを生成し、上記流路や中空部の接液部の壁面に堆積することがある。また、循環冷却方式の水冷式ジャケットにおいても、排ガスの温度や流量の変動などにより冷媒が一部蒸発して該冷媒に含まれる不揮発性物質が濃縮して析出し、該流路や中空部の接液部の壁面に堆積することがある。上記のようにスラッジが接液部の壁面に堆積すると熱伝導を妨げるため、水冷式ジャケットの冷却能力が十分に発揮されないことがある。
また、上記の水冷式ジャケットは、前述したように一般的に過酷な高温の腐食性雰囲気に曝されるため、本体外側の該腐食性ガスに接する部位が腐食により減肉して場合によっては穴あきが生じることがある。上記の腐食や穴あきの程度は水冷式ジャケットの設置場所やその雰囲気等の様々な要因によって異なることが考えられる。従って該水冷式ジャケットを効果的に防食するため、腐食や穴あきの原因を特定することが求められている。
上記の腐食や穴あきの原因としては、上記スラッジの堆積や冷媒の供給量不足等による冷却能力の局所的な低下によってその部位において腐食が発生し、これが進行して穴あきが生ずることが考えられる。あるいは、上記の高温の腐食性ガスによる高温酸化反応が直接的な原因になっている可能性もある。このように腐食等の減肉や穴あきに対して様々な原因が考えられる場合に、いずれの原因がより大きく影響しているかがわかれば、より低コストで効果的な防食策を講じることが可能になる。本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、水冷式ジャケットに生じる腐食等による減肉や穴あきの原因を特定することが可能な減肉原因調査装置及びこれを用いた減肉原因調査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る水冷式ジャケットの減肉原因の調査装置は、冷媒としての水を受け入れる金属製の容器と、該容器の内部に該水を供給する給水管と、該容器に受け入れた水が高温ガスにより加熱されることで生じる温水及び/又は蒸気を排出する排出管とを有し、前記容器のうち前記高温ガスと前記冷媒としての水とがそれぞれ表裏面に接触する壁部の高温側の面に溶射材が部分的に設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る水冷式ジャケットの減肉原因の調査方法は、上記本発明の調査装置を用いた減肉原因の調査方法であって、調査装置を高温ガス雰囲気中に設置し、冷媒としての水を上記容器内に供給した状態で運転を行った後に溶射材の減肉速度を求める第1工程と、上記冷媒としての水に冷却阻害物質を添加すること以外は上記第1工程と同じ条件で運転を行った後に該溶射材の減肉速度を求める第2工程と、これら第1工程及び第2工程における両減肉速度を比較することで減肉の要因を判断する第3工程とからなることを特徴とする。
本発明によれば、水冷式ジャケットに生じる減肉や穴あきの原因を特定することができる。
本発明の実施形態の調査装置の斜視図である。 図1の調査装置にヘッドタンクを介して冷媒としての水を供給している状態を示す正面図である。
1.減肉原因の調査装置
以下、調査対象の水冷式ジャケットが設けられている高温の排ガスが流れる例えば転炉用のダクト内に設置される本発明の実施形態に係る水冷式ジャケットの減肉原因の調査装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、この本発明の実施形態の調査装置10は、内部に冷媒としての水を受け入れる好ましくは一般的な構造用圧延鋼材からなる金属製の中空構造の容器11と、該容器11に冷媒としての水を供給する好適には炭素鋼管からなる呼び径15A〜25A程度の給水管12と、該容器11に受け入れた水が該高温の排ガスにより加熱されることで生じる温水及び/又は蒸気を排出する好適には炭素鋼管からなる呼び径15A〜25A程度の排出管13とから構成される。
上記の容器11は、上部を除いて容量8〜12L程度の略直方体形状を有しており、この略直方体形状部の長手方向中央部に給水管12が接続している。該容器11は、その上部が上記の給水管12の接続側に100〜200mm程度突出しており、全体として断面逆L字形状の容量16〜25L程度の容器になっている。そして、この突出部11aの上面に長手方向に沿って3本の排出管13が等間隔に設けられている。なお、この突出部11aは水が滞留しないように底面が傾斜している。
上記の容器11は、上記の給水管12の接続側とは反対側の縦300〜500mm程度、横300〜500mm程度の矩形板状の壁部の肉厚が他の部位に比べて約1.5〜2倍程度厚くなっており、この矩形板状の厚肉の壁部11bの表裏面にそれぞれ高温の排ガスと冷媒としての水とを接触させることで減肉原因の調査を行うことができる。すなわち、高温の排ガスで外壁面側から加熱された壁部11bを給水管12から導入した冷媒としての水で内壁面側から冷却することで水冷式ジャケットと同様の条件を実現できるので、該高温の排ガスに起因する減肉原因を特定することが可能になる。
その際、後述するように、上記の壁部11bのうち高温側となる外壁面に部分的に溶射材14を設ける。具体的には、図1の1点鎖線で示す領域Aには所定の耐食性や耐摩耗性等の特性を有する溶射材14を設け、図1の2点鎖線で示す領域Bには溶射材14を設けないようにする。これにより、これら領域Aと領域Bとの減肉速度の差を比べることで、様々な減肉の原因が考えられる中から減肉の原因を絞り込んでいくことが可能になる。
領域Aには1種類の溶射材14を設けてもよいが、領域Aを複数の小領域に区分してそれぞれ材質の異なる溶射材14を設けてもよい。例えば図1には、領域Aを3つの小領域に均等に区分して、これら3つの小領域に材質の異なる第1〜第3の溶射材14a〜14cをそれぞれ設けた例が示されている。上記の第1〜第3の溶射材14a〜14cの材質には特に限定はないが、例えば第1の溶射材14aには高温域で耐酸化性を有するNiCr系合金やCoCrNiW系合金等を設け、第2の溶射材14bには高温域で耐還元性を有するNiMo系合金やNiCrMo系合金等を設け、第3の溶射材14cには高温域で耐摩耗性を有するCoCrFe系合金やセラミック等を設けるのが好ましい。なお、溶射とは、加熱により溶融状態又はそれに近い状態にした金属粒子等を上記壁部11bの外壁面に吹き付けて金属等皮膜を成膜する方法であり、このようにして吹き付けられる金属等を溶射材と称する。この金属等皮膜の厚みは使用期間に応じて適宜選定するのが好ましく、一般的には施工時間や仕上がりの均一性の観点から1μm〜2mm程度が好ましく、10μm〜100μm程度がより好ましい。
上記の容器11に給水管12を介して冷媒としての水を供給する方法には特に限定はなく、一定以上の水圧を有する工場内の工業用水や水道水をそのまま供給してもよいが、図2に例示するような、所定の容量を有するヘッドタンク20から給水するのが好ましい。なお、上記容器11の排出管13は、図示しないダクト等で囲まれる高温の排ガス雰囲気から外部に延出させて、そのまま液ヘッドがかからないように排出溝などに放出するのが好ましい。
上記のヘッドタンク20は、具体的には、容量が上記調査装置10の1.0〜2.0倍程度、すなわち容量16〜50L程度の好ましくは一般的な構造用圧延鋼材からなる円筒状の金属製の貯液部21と、その上方開口部に設けられた好ましくは該貯液部21と同材質からなる取り外し自在な蓋部22とから構成するのが好ましい。
該貯液部21の側面には1個の注水用ノズル23と、取り付け高さが互いに異なる2個の排水用ノズル24、25と、上記の調査装置10の給水管12に連通する給水ノズル26とが設けられている。上記の注水用ノズル23及び排水用ノズル24、25は呼び径15A〜25A程度の炭素鋼管を用いるのが好ましく、給水ノズル26は給水管12と同じサイズの炭素鋼管を用いるのが好ましい。
さらに、上記の給水ノズル26の中心軸が該貯液部21の底面から離間する距離は、上記給水管12の中心軸が容器11の底面から離間する距離とほぼ一致させるのが好ましく、また、2個の排水用ノズル24、25のうち上方に位置する上部排水用ノズル24の下部の位置が該貯液部21の底面から離間する距離は、上記容器11の高さとほぼ一致させるのが好ましい。
かかる構造を有するヘッドタンク20は、調査装置10の近傍に設けるが、ダクト内等の高温のガスが流れる雰囲気下でない場所を選んで設けるのが好ましい。例えば、ダクトの壁部を挟んで調査装置10とヘッドタンク20とが水平方向に対向するように、ヘッドタンク20を高温ガス雰囲気外に設置するのが好ましい。その際、該ヘッドタンク20の底面の高さと調査装置10の容器11の底面の高さを一致させるのが好ましい。そして、ヘッドタンク20の給水ノズル26に調査装置10の給水管12の一端部を接続し、ヘッドタンク20の注水用ノズル23に例えば工場内の工業用水の配管から分岐した配管を接続する。
さらに、必要に応じて2個の排水用ノズル24、25にそれぞれ排水配管を接続し、調査装置10の排出管13と共に、それらの先端部を例えば排水溝に向けて開放状態にする。なお、これら2個の排水用ノズル24、25にボールバルブ等の流量調節弁を設けて開度が調整できるようにしてもよい。なお、図2には、下方に位置する下部排水用ノズル25に接続する上記排水配管にボールバルブを設けた例が示されている。
上記の構成により、例えば下部排水用ノズル25を閉じて上部排水用ノズル24から連続的にオーバーフローにより排水させながらヘッドタンク20から冷媒としての水を調査装置10に供給することで、調査装置10の容器11内の液面とヘッドタンク20の貯液部21内の液面とをほぼ一致させることができるので、該調査装置10の容器11内を常に満液状態にすることができる。これにより安定的に該壁部11bを冷却することが可能になる。なお、例えば下部排水用ノズル25に液位計を設けて、容器11内の液位が満液未満に維持されていること、すなわち冷却水の供給量が不足状態にあることを確認しながら運転してもよい。
2.減肉原因の調査方法
次に、上記の調査装置10を用いた本発明の実施形態に係る水冷式ジャケットの減肉原因の調査方法について説明する。この本発明の実施形態の調査方法は、高温ガスによる高温酸化等に起因する減肉の評価工程と、冷媒の冷却能力不足に起因する減肉の評価工程とを有している。具体的には、上記の調査装置10を高温ガス雰囲気中に設置し、冷媒としての水を容器11内に供給した状態で運転を行った後に溶射材の減肉速度を求める第1工程と、該冷媒としての水に冷却阻害物質を添加すること以外は該第1工程と同じ条件で運転を行った後に該溶射材の減肉速度を求める第2工程と、これら第1工程及び第2工程における両減肉速度を比較することで減肉の要因を判断する第3工程とからなる。以下、各工程ごとに詳細に説明する。
(1)高温ガスによる高温酸化等に起因する減肉の評価工程(第1工程)
上記の壁部11bの外壁面の領域Aに溶射材14が溶射された調査用装置10を用意し、これを調査対象の水冷式ジャケットが使用される高温のガスが流れる例えば転炉用のダクト内に設置し、該容器11内に給水管12を介して冷媒としての水を供給しながら所定の期間運転した後、該壁部11bの外壁側の腐食の程度すなわち減肉量を例えばレーザー距離計やノギスを用いて測定する。
この減肉量を測定した結果、溶射材14を設けた領域Aがまったく減肉しておらず、溶射材を設けていない領域Bが減肉している場合は、溶射材14に用いた材料の特性が該壁部11bの外壁側に接触した高温のガスが有する、例えば、酸化性、摩耗性などの減肉要因に対して効果的に防食効果を発揮していること、換言すれば、溶射材14に用いた材質の特性に対応した、例えば、酸化性、摩耗性などの腐食要因を高温のガスが有していると判断することができる。なお、この高温ガスに起因する減肉の評価の際は、冷媒としての水に後述する冷却阻害物質を添加しないのが好ましい。
上記の壁部11bの領域Aには、複数種類の溶射材14を設けることが望ましい。これにより、これら複数種類の溶射材14の減肉量を、同じ条件で一度にまとめて比較することができるので、効率よく高温のガスの減肉要因を特定することができる。例えば、図1に示すように、第1〜第3の溶射材14a〜14cにそれぞれ高温での耐酸化性、高温での耐還元性、及び高温での耐摩耗性を有するものを設けて一定の期間操業したとき、第1の溶射材14aの減肉が最も少なければ、該高温のガスは酸化力が特に強い腐食ガスであると判断でき、耐還元性の第2溶射材14bの減肉が最も少なければ、該高温のガスは還元性が特に強い腐食ガスであると判断することができ、耐摩耗性の第3溶射材14cの減肉が最も少なければ該高温のガスはガス流速が特に大きいか硬い固体粒子を多く含むガスであると判断することができる。
(2)冷媒の冷却能力不足に起因する減肉の評価工程(第2工程)
冷媒の冷却能力不足に起因する減肉評価は、前述した高温ガスによる高温酸化等に起因する減肉の評価の場合と同様に容器11の内部に冷媒としての水を供給した状態で高温のガスに接触する壁部11bの外壁側の腐食の程度を測定する。その際、該壁部11bにおいて該冷媒として水との接液側である内壁面にスラッジやスケールを堆積する可能性のある冷却阻害物質を、冷媒としての水に連続的又は間欠的に添加しながら所定の期間運転した後、該壁部11bの外壁側の腐食の程度すなわち減肉量を測定する。なお、前述したように、容器11内の液位を満液未満に維持することで、冷媒の供給量を不足状態にしながら運転したときの減肉量を測定してもよい。
(3)減肉要因の判断工程(第3工程)
上記の第1工程及び第2工程の結果、高温ガスに起因する評価工程時に比べて冷媒の冷却能力不足に起因する減肉速度が顕著に速くなった場合は、冷却能力不足が主たる減肉要因であると判断することができる。この場合は、該冷媒としての水に減肉要因になり得る冷却阻害物質が含まれないように、例えばフィルターでろ過したり活性炭やイオン交換樹脂で除去したりするなどの適切な水質管理を行うのが好ましい。また、定期的に該スラッジの堆積物やスケールを化学的な方法や機械的な方法で洗浄して除去するのが好ましい。一方、冷媒の供給不足が減肉原因である場合は、供給不足になりにくいような流量制御系を構築するのが好ましい。なお、減肉速度は減肉量を運転期間で除することで求めることができる。
上記の冷却阻害物質としては、一般的には不揮発性物質からなり、例えば鉄粉、銅粉、カルシウム塩、石膏などを挙げることができる。上記の評価に際して、冷媒としての水に添加する冷却阻害物質の添加量は、水冷式ジャケットの冷媒として一般的に使用される水に含まれる含有量と同程度の量でもよいし、水冷式ジャケットを取り付けてから取り外すまでの一般的な使用期間に該水冷式ジャケットの流路壁面に堆積する固形物の量などに基づいて決めてもよい。
上記の冷媒の冷却能力不足に起因する減肉の評価工程は、前述した高温ガスによる高温酸化等に起因する減肉の評価工程の後に行うことが望ましい。その理由は、上記の調査装置10をダクトの炉壁などに設置した状態では、溶射材を溶射することは難しいので、減肉前の複数の溶射材が設けられた調査装置を該炉壁に設置して減肉の調査を行う場合は上記の順序で減肉を測定することでより正確に評価できるからである。また、冷却阻害物質の投入は配管等を介して炉の外側から容易に行うことができるからである。
上記した本発明の実施形態の調査方法により、水冷式ジャケットの使用中に生じる減肉や穴あきの原因を特定することができるか、少なくとも該原因を絞り込む手がかりを得ることができる。例えば、減肉原因が高温のガスによる酸化か、又はスラッジの生成による冷却不足のいずれが主たる原因かを判断することができる。そして、この判断に基づいて水冷式ジャケットの減肉対策を効果的に講じることが可能になる。
(実施例)
図1に示すような調査装置10を作製し、これを水冷式ジャケットが設けられている高温の排ガス雰囲気となる炉内に設置して水冷式ジャケットの減肉原因を調査した。具体的には、壁部11bの領域A内に位置する第1溶射材14aには耐酸化性のNiCr系合金を溶射し、第2溶射材14bには耐摩耗性の窒化チタンを溶射し、第3溶射材14cには耐摩耗性の炭化チタンを溶射した。そして、壁部11bの領域Bには溶射材を溶射しなかった。この調査装置10を炉内壁部に設置して、工業用水を流しながら150日間炉を運転した。
上記の150日間の運転経過後、これら第1〜第3の溶射材14a〜14cの減肉量と領域Bの減肉量をノギスを用いて測定し、得られた減肉量を運転期間で除して減肉速度を求めた。その結果、第1溶射材14aの減肉速度は0.08μm/日、第2溶射材14bの減肉速度は0.1μm/日、第3溶射材14cの減肉速度は0.1μm/日、領域Bにおける壁部11bの減肉速度は2.3μm/日となった。これらの減肉速度の結果から判断して、上記炉内に存在する高温の排ガスは、酸化性の成分を含んでいると判断できる。
上記の高温の排ガスによる減肉原因の調査を行った後、調査装置10に導入する工業用水に冷却阻害物質として石膏が10質量%含まれるように添加し、再度上記と同じ条件で運転を行った。その結果、第1溶射材14aの減肉速度は1.2μm/日、第2溶射材14bの減肉速度は0.8μm/日、第3溶射材14cの減肉速度は1.3μm/日、領域Bにおける壁部11bの減肉速度は5.4μm/日となった。これらの減肉速度の結果から判断して、冷媒に冷却阻害物質が含まれることによって減肉速度が著しく促進されることがわかった。この運転後に調査装置10の内部を点検したところ、壁部11b側にスケールが生成しており、これにより冷却不足が生じて減肉が加速したと判断できる。
(比較例)
上記の調査装置10の壁部11bに溶射材を設けることなく、また、水冷式ジャケットの冷却能力を低下させるスケール等の原因となる冷却阻害物質を工業用水に添加しないで運転を行った以外は上記の実施例と同様にして水冷式ジャケットの減肉原因の調査を試みた。その結果、調査装置10の壁部11bに減肉が認められたが、いかなる原因で減肉したか見極めることが困難であり、水冷式ジャケットに対して具体的な減肉対策を講じることができなかった。
10 調査装置
11 容器
11a 突出部
11b 厚肉の壁部
12 給水管
13 排出管
14 溶射材
14a〜c 第1〜第3溶射材
20 ヘッドタンク
21 貯液部
22 蓋部
23 注水用ノズル
24 上部排水用ノズル
25 下部排水用ノズル
26 給水ノズル

Claims (5)

  1. 冷媒としての水を受け入れる金属製の容器と、該容器の内部に該水を供給する給水管と、該容器に受け入れた水が高温ガスにより加熱されることで生じる温水及び/又は蒸気を排出する排出管とを有し、前記容器のうち前記高温ガスと前記冷媒としての水とがそれぞれ表裏面に接触する壁部の高温側の面に溶射材が部分的に設けられていることを特徴とする減肉原因の調査装置。
  2. 前記高温側の面が複数の領域に区分されており、それぞれ異なる溶射材が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の減肉原因の調査装置。
  3. 請求項1又は2に記載の調査装置を高温ガス雰囲気中に設置し、冷媒としての水を前記容器内に供給した状態で運転を行った後に溶射材の減肉速度を求める第1工程と、前記冷媒としての水に冷却阻害物質を添加すること以外は前記第1工程と同じ条件で運転を行った後に該溶射材の減肉速度を求める第2工程と、これら第1工程及び第2工程における両減肉速度を比較することで減肉の要因を判断する第3工程とからなることを特徴とする減肉原因の調査方法。
  4. 前記容器の内部の液レベルを調整しながら前記運転を行うことを特徴とする、請求項3に記載の減肉原因の調査方法。
  5. 前記液レベルの調整が、前記容器に連通する前記高温ガス雰囲気外に設置したヘッドタンクにより行われることを特徴とする、請求項4に記載の減肉原因の調査方法。
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