JP2021084130A - 据え込み加工装置、据え込み加工方法及び据え込み加工品 - Google Patents
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Abstract
Description
このため、環状素材をプレス加工して最終形状に近い形状まで製作し、仕上げのみを切削で行うニーズが増加している。例えば、円筒状素材を軸方向に圧縮し、その中央部を外方に向け突出させて折曲部を形成する技術も開示されている(特許文献2参照)。
本発明は、樽形状となる湾曲の度合いを軽減することが可能な据え込み加工装置、据え込み加工方法及び据え込み加工品を提供することを目的とする。
θ=90°−tan−1μであってもよい。
図1は、本発明の実施形態の据え込み加工装置1の概略断面である。据え込み加工装置1は、実施形態では円環状素材100を軸線A0方向に圧縮して、拡径及び増肉する装置である。なお、実施形態では円環状素材100を据え込み加工するが、これに限らず、例えば角環状素材や楕円環状素材を据え込み加工する装置であってもよい。また、据え込み加工装置1は円環状素材100を上下方向から据え込み加工するが、これに限定されず、例えば横方向から据え込み加工するものであってもよい。
下型2は略円柱状であり、上面に下型押圧面21(第1押圧面)が設けられている。下型押圧面21は、装置軸線A1上の一点を頂点として、下方に向かうに従い広径する円錐体の側面の一部である。上面における装置軸線A1を中心とした所定径の範囲には、上方に円柱状に突出した下型位置決め突部22が設けられている。下型位置決め突部22の外径は、円環状素材100の貫通孔101の内径と略等しい。
図1に示すように装置軸線A1を通る断面における、下型押圧面21の装置軸線A1に対する内角側の傾斜角度(下型傾斜角度)θ1は90°未満であり、実施形態で下型傾斜角度θ1は87°である。
なお、実施形態で下型押圧面21は円錐体の側面であるが、これに限らず、加工対象である環状素材の形状に合わせて、他の錐体、例えば角錐等の側面であってもよい。
上型3は、下型2と上下が逆であるが同形である。すなわち、略円柱状であり、下面に、下型押圧面21と対向する上型押圧面31(第2押圧面)が設けられている。上型押圧面31は、装置軸線A1上の一点を頂点として、上方に向かうに従い広径する円錐体の側面の一部である。下面における装置軸線A1を中心とした所定径の範囲には、下方に円柱状に突出した上型位置決め突部32が設けられている。上型位置決め突部32の外径は、円環状素材100の貫通孔101の内径と略等しい。
図1に示すように装置軸線A1を通る上下方向の断面において、上型押圧面31の装置軸線A1に対する内角側の傾斜角度θ2(上型傾斜角度)は、90°未満であり、実施形態で上型傾斜角度θ2は87°である。
なお、下型押圧面21と同様に、実施形態で上型押圧面31は、円錐体の側面であるが、これに限らず、加工対象である環状素材の形状に合わせて、角錐等であってもよい。
ガイド部4は、下型2と上型3との外周に配置された所定厚みの円筒部材である。ガイド部4の貫通孔41の内径は上型3及び下型2の外径とほぼ同じである。ガイド部4と下型2とは、台座6の上に載置されている。
下型2と上型3とは、上型押圧面31と下型押圧面21とが対向した状態で、ガイド部4の貫通孔41の内部に装置軸線A1方向に一定の間隔を開け且つ装置軸線A1を中心として配置されている。下型2と上型3とが装置軸線A1方向に互いに相対移動する際に、ガイド部4の貫通孔41によって直進ガイドされる。
駆動部5は、実施形態においては上型3を装置軸線A1方向に下型2に対して近接する方向と離間する方向とに駆動する。ただし、これに限らず、上型3と下型2とを装置軸線A1方向に互いに相対駆動させるものであればよい。
なお、実施形態の据え込み加工装置は、据え込み加工時において円環状素材100の外周を拘束しない自由据え込み加工装置である。
図2は、実施形態の据え込み加工方法を説明する図である。
図2(a)は加工前の円環状素材100の斜視図である。円環状素材100は、軸線A0を中心とした回転体である。なお、実施形態において据え込み加工装置1により加工される被処理体は円環状素材100であるが、これに限定されず、例えば角環状素材や楕円環状素材であってもよい。
そして、駆動部5を駆動させることにより上型押圧面31を下降させ、上型3の上型位置決め突部32を円環状素材100の貫通孔101に挿入する。そうすると、円環状素材100の貫通孔101の上方に上型3の上型位置決め突部32が挿入される。円環状素材100の軸線A0は、据え込み加工装置1の装置軸線A1と一致し、円環状素材100は据え込み加工装置1の中央に保持される。
据え込み加工品200は、円環状素材100の状態から軸線A0方向に圧縮されるとともに軸線A0方向と直交する方向に増肉されている。図2に示す実施形態の据え込み加工品200は、外側面200aと内側面200bとが、図示する断面において上下に延びる直線状であり、すなわち、湾曲していない。また、据え込み加工品200の上面200uと下面200dとは、上型押圧面31と下型押圧面21に対応する円錐の側面(内側面)状となっている。
図3は、第1比較形態の据え込み加工方法を説明する図である。
図3(a)は加工前の円環状素材100の斜視図である。円環状素材100は実施形態と同様である。
位置決め工程において、実施形態と同様に、下型2Aにおける下型位置決め突部22Aの外側に、円環状素材100の貫通孔101の下側を挿入する。これにより、円環状素材100を下型押圧面21Aの中央に位置決めして配置する。
そして、駆動部を駆動させることにより上型押圧面31Aを下降させ、上型3Aの上型位置決め突部32Aを円環状素材100の貫通孔101に挿入する。そうすると、円環状素材100の貫通孔101の上方に上型3Aの上型位置決め突部32Aが挿入される。円環状素材100の軸線A0は、据え込み加工装置1Aの装置軸線A1と一致し、円環状素材100は、据え込み加工装置1Aの中央に保持される。
第1比較形態が、このように樽形状になる理由について説明する。
物体に荷重Fが作用して距離sだけ移動する場合、仕事W=F×sが最小になるように移動することが最も安定している。すなわち、Fが一定の場合、sが最も小さくなるように移動することが最も安定している。
円環状素材100を、第1比較形態のような押圧面が平坦な上型3と下型2とで据え込んだ場合においても、移動距離sが小さくなる移動が最も安定した移動であると考えられる。
(1)内径寸法が変わらない場合、外径(半径)寸法は6mmから(√47)mm≒6.86mmへと拡径する。すなわち、外径部分の軸線A0方向からの移動距離sは0.86mmである。
(2)外径寸法が変わらない場合、内径(半径)寸法が5mmから(√14)mm≒3.74mmへと縮径する。すなわち、外径部分の軸線A0方向からの移動距離sは、1.26mmである。
したがって、拘束がない自由据え込みにおいて、外径寸法が変化した方が、内径寸法が変化する場合よりも仕事Wが小さくなるので、より安定性が高いと考えられる。
ゆえに、第1比較形態の据え込み加工において円環状素材100を据え込み加工する場合、安定性の面から、内径側に材料が移動して縮径するよりも外径側に材料が移動して拡径しやすいと考えられる。
次に、実施形態が比較形態と比べて外側への突出量が小さくなる理由について説明する。
(1)摩擦係数μと摩擦角φとの関係
斜面に重さWの物体を載せ、傾斜をしだいに大きくしていき、傾斜角が角度φになったときに、物体が滑り始めたとする。
図5は斜面に重さWの物体を載せたときの摩擦係数μと角度φとの関係を説明する図である。図示するように、斜面の傾きが角度φのとき、重さWを斜面に直角な直圧力Rと斜面に平行な力Pとに分解する。このとき、物体の静摩擦力f(f=μ×R)は、物体を滑らせようとする力Pと釣り合っているので、
f=μ×R=P
したがって、摩擦係数μは、
μ=P/R=(Wsinφ)/(Wcosφ)=tanφ
となる。
この関係式μ=tanφを、本願の据え込み加工(側面が拘束されない自由据え込み加工)に応用する。図6は、傾斜面に力Fを加えて部材を圧縮する場合の摩擦係数と摩擦角との関係を説明する図である。以下、上型押圧面31と円環状素材100の上面側とを例にして説明する。
F:荷重
R:荷重Fの、上型3の上型押圧面31と直交する方向の分力(直圧力)
P:荷重Fの、上型3の上型押圧面31と平行な方向の分力
fp:Pの力と同じ大きさで反対方向に働く静摩擦力
φ:水平面に対する上型押圧面31の傾きφ
μ:上型3と円環状素材100の上面との間の摩擦係数
fmax:最大摩擦力
とする。
P=F×sinφ、R=F×cosφ、
fmax=μ×R、
fp=P(fmax<Pになるまでの間)
となる。
本発明の据え込み加工において、P≦μ×Rの条件では、物体が移動する方向は斜面と平行な力Pによる内径向きの移動と、自由据込みによる外径側への移動が考えられる。
最大摩擦力fmaxは斜面に垂直な力(直圧力)Rと摩擦係数μとの積で求まるが、その向きは斜面を移動する物体の逆向きに働くので、斜面と平行な力Pと逆向きの摩擦力fpと、自由据込みによる外径側への移動と逆向きの摩擦力fiが存在し、これらの関係がfmax=fp+fiとなる。
P≦μ×Rのとき、
fmax=fp+fiであり、fp=Pであるので、
fi=fmax−fp=μ×R−P=(μ×F×cosφ)−(F×sinφ)=(μ×F)×(cosφ−sinφ/μ)
となる。
(1)φ=0のとき(第1比較形態)
fi=μ×F、fp=0となり、摩擦力fはf=μ×Fで内径向きとなる。
したがって、第1比較形態では、上述のように、押圧面と当接している上面及び下面近傍では変形量が小さくなり、中央線M近傍では径方向の変形量が大きくなり、その結果、据え込み加工品200Aは図3(c),(d),(e)に示すように樽形状となる。
fpとPは相殺されるので、見かけ上の摩擦力fはfiと等しくなる。
その結果、fは内径向きで0<f<μ×Fとなる。
このときのφはμ>sinφ/cosφ=tanφとなり、φ<tan−1μで求められる。
実施形態では第1比較形態よりも見かけ上の摩擦力が小さくなるので、第1比較形態と比べて、押圧面と当接している上面及び下面近傍での変形量の、中央線M近傍での径方向の変形量に対する差が小さくなる。
fi=0であり、fp=fmax=PとなってfpはPとつりあって相殺されるので、見かけ上の摩擦力fはf=0となる。
このときのφはμ=sinφ/cosφ=tanφとなるので、φ=tan−1μで求められる。
したがって、cosφ=sinφ/μは、実施形態における最も好ましい範囲であり、押圧面と当接している上面及び下面近傍での変形量の、中央線M近傍での径方向の変形量に対する差がなくなる。ゆえに、水平面に対する上型押圧面31の傾きφを、φ=tan−1μ(μは摩擦係数)に設定すれば、金型と円環状素材100の境界面に発生する摩擦力fを見かけ上0にでき、材料の径方向に対する変位量が中央線M近傍と金型境界面とで同等となる。ゆえに、据え込み加工品200が、図2(d)及び(e)に示すように外側面200aと内側面200bとを、図示する断面において上下に延びる直線状とすることができる。
図8は、金型の押圧面の傾斜の有無による、据え込み加工品の径方向の材料変位量を比較したFEM(Finite Element Method)解析結果である。図中最も右側の図8(d)は、図8(a),(b),(c)がどの位置の材料変位量を示したものであるかを示す図である。
一般的な潤滑油を使用した鋼種と金型材料との間の摩擦係数μは0.03〜0.12であり、最大で0.25となるが、今回のFEM解析では、使用頻度が高い摩擦係数μ=0.05を適用した。
解析手法:FEM
円環状素材
鋼種:SUJ2
内径:14.2mm
外径:28.4mm
高さ:50.5mm
摩擦係数μ:0.05
圧縮力:(a)724kN、(b)811kN、(c)838kN
圧縮率:50%
第1比較形態によると、上面及び下面近傍で内径向きの摩擦力(μ×F)が働くので、材料の変位量が小さくなる。また、中央線M近傍では、摩擦力の影響が少ないので変位量が大きくなる。
上述したように、実施形態において上型傾斜角度θ2及び下型傾斜角度θ1は87°である。この効果について説明する。なお、以下の説明は、上型傾斜角度θ2及び下型傾斜角度θ1に共通する説明であるので、傾斜角度θとして共通して説明する。
図6に示すように角度φと金型10の傾斜角度θとの関係は
θ=90°−φ=90°−tan−1μである。
また、この関係式は、
tanθ=1/tanφ=1/μとなるので、
θ=tan―1(1/μ)とも表すことができる。
となる。すなわち、μがわかれば傾斜角度θを求めることができる。なお、摩擦係数μの実験による推定方法では、μの精度としては、±0.02程度の誤差が含まれるので、傾斜角度としては、ここで求めたθ±1.5°までを包含する。
実施形態において、μ=0.05であるとすると、この場合、見かけ上の摩擦力fがf=0となる傾斜角度θは、
θ=tan−1(1/μ)
=tan−1(1/0.05)
=87°となる時に、円環状素材100の径方向に対する変位量が中央線M近傍と金型境界面とで同等となり、成形された据え込み加工品200は、樽形状にならない。
なお、μには誤差があるので、傾斜角度θが85.5°≦θ≦88.5°(85.5°以上88.5°以下)までを包含する。
据え込み加工装置1において金型として使用する金属材料や、円環状素材の材料、潤滑油等で摩擦係数μは変動する。一般的に最大となる摩擦係数μmaxは0.25程度であるので、θ=tan−1(1/μ)より、θ=75°(小数点以下切り下げ)となる。
この中でも、通常使用される範囲は、0.03≦μ≦0.12である。この場合、83°≦θ≦89°(83°以上89°以下)となる。
解析手法:FEM
円環状素材
鋼種:SUJ2
内径:14.2mm
外径:28.4mm
高さ:50.5mm
圧縮力:(a)724kN、(b)811kN
圧縮率:50%
摩擦係数μを推定する方法としては、塑性加工学改訂版(2014年3月14日第1版)に記載されている。
その方法は、リング状の試験片を平行工具間で圧縮するリング圧縮では、摩擦が小さいとリング内径が広がり、摩擦が大きければ、逆に小さくなるという摩擦係数の相違によるリング内径の変化を利用して、計算結果と実験によるリング内径変化を比較して摩擦係数を決定する方法であり、今回の実験品で確認した結果、摩擦係数μ=0.05となった。
円環状素材としては、以下のものを用いた。
鋼種:SUJ2
内径:14.2mm
外径:28.4mm
高さ:50.5mm
また、以下の条件で据え込み加工を行った。
プレス装置:4000kNメカプレス(油圧ユニット、理研機器株式会社製)
プレスモーション:クランク
プレス速度:10spm
金型材質:SKD11
潤滑油:G−3456(日本工作油株式会社製)
圧縮力:金型角度 90°748kN、88°801kN、87°834kN、86°773kN、84°657kN
圧縮率:50%
解析手法:FEM
円環状素材
鋼種:SUJ2
内径:14.2mm
外径:28.4mm
高さ:50.5mm
圧縮力:金型角度 90°724kN、88°788kN、87°811kN 、86°765kN、84°664kN 83°629kN
圧縮率:50%
図11は、摩擦係数μ=0.05において据え込み加工装置1の押圧面の傾斜角度θを変えて加工した据え込み加工品200,200Aにおける、上面近傍と中央線M近傍での内径差分と、外径差分と示すFEM解析結果に基づくグラフである。図12は、図11の縦軸が示す値を説明する図である。図12に示すように、実施形態の据え込み加工品200における上部の外径をA、上部の内径をa、中央部の外径をB、中央部の内径をbとする。
なお、摩擦係数μの実験による推定方法では、μの精度としては、±0.02程度の誤差が含まれるので、傾斜角度としては、ここで求めたθを±1.5°とする85.5°≦θ≦88.5°(85.5°以上88.5°以下)(=tan−1(1/μ)±1.5°)を包含するものとする。
傾斜角度θは87°よりも角度が小さくなると(水平に対する傾斜が大きくなると)、内径差分と外径差分との値がマイナスになる。そして、傾斜角度θが90°−2×tan−1μのとき、第1比較形態において外側に突となっていた据え込み加工品200Aと同じ量だけ内側に突となった据え込み加工品を製造することができる。なお、摩擦係数μの実験による推定方法では、μの精度としては、±0.02程度の誤差が含まれるので、傾斜角度としては、ここで求めたθ±3.0°までを包含するものとする。
すなわち、平坦な押圧面で押圧した時と同じ量だけ内側に突となった据え込み加工品を製造するための傾斜角度θは、
一般的に最大となる摩擦係数μmax=0.25でのθ=60°であり、この中でも、通常使用される範囲は、0.03≦μ≦0.12である。この場合、76°≦θ≦88°(76°以上88°以下)となる。
図13は、(a)加工前の円環状素材100と、(b)第1比較形態の据え込み加工装置1で加工された据え込み加工品200と、(c)実施形態の据え込み加工装置1で加工された据え込み加工品200との、異なる位置でのビッカース硬さを測定した結果である。
円環状素材としては、以下のものを用いた。
鋼種:SUJ2
内径:14.2mm
外径:28.4mm
高さ:50.5mm
また、以下の条件で据え込み加工を行った。
プレス装置:4000kNメカプレス(油圧ユニット、理研機器株式会社製)
プレスモーション:クランク
プレス速度:10spm
金型材質:SKD11
潤滑油:G−3456(日本工作油株式会社製)
圧縮力:(b)748kN、(c)834kN
圧縮率:50%
それぞれ、長手方向の上から1,2,3,4,5の5箇所のそれぞれにおける、径方向の外径側からA,B,Cの3箇所の、合計15箇所において、ビッカース硬さを測定した。単位はHV,試験荷重は9.8Nである。
すなわち、第1比較形態では上型3と下型2が水平になっているので、外径部、内径部の圧縮率は同じとなり、変形度合に差がなく、測定箇所A,B,Cにおいて硬さは略等しい。
しかしながら、実施形態では、上型3と下型2の押圧面が傾斜しているので、内径部の圧縮率が高く、外径部の圧縮率が低い。したがって変形度合に差が生じ、外径部(測定箇所A)<中央部(測定箇所B)<内径部(測定箇所C)となっている。
(a)は実施形態の据え込み加工品200の鍛流線を示した図、(b)は第1比較形態の据え込み加工品200の鍛流線を示した図、(c)は第2比較形態の据え込み加工品200の鍛流線を示した図である。
第2比較形態は、円環状素材100の外径側を、外壁で拘束して矩形加工した据え込み加工品200Bである。
しかし、上型押圧面31によって押圧される上面近傍の鍛流線は上型押圧面31と平行にはならない。また、下型押圧面21によって押圧される下面近傍の鍛流線も、下型押圧面21と平行にはならない。
中央線Mより上に行くにつれて、鍛流線の徐々に傾き、上型押圧面31によって押圧される上面近傍の鍛流線は上型押圧面31と略平行、すなわち上型押圧面31と同じ傾きとなる。
中央線Mより下に行くにつれて、鍛流線の徐々に傾き、下型押圧面21によって押圧される下面近傍の鍛流線は下型押圧面21と略平行、すなわち下型押圧面21と同じ傾きとなる。
第1比較形態及び第2比較形態と比べると鍛流線同士の間隔は、略均等となり、むらのない鍛造が行われていることがわかる。
また、加工後に中央部の折曲がりや座屈なく、拡径ができるので、板厚が薄い軸受け鋼管の増肉が可能となる。
なお、プレス機の荷重は円環状素材100の側面を拘束することにより側面を平坦にする場合に比べ、1/2.5程度に抑えられる。
θ1:下型傾斜角度
θ2:上型傾斜角度
θ2:傾斜角度
μ:摩擦係数
A0:軸線
A1:装置軸線
1:据え込み加工装置
10:金型
2:下型(第1型)
21:下型押圧面(第1押圧面)
22:下型位置決め突部
3:上型(第2型)
31:上型押圧面(第2押圧面)
32:上型位置決め突部
41:貫通孔
5:駆動部
100:円環状素材(環状素材)
101:貫通孔
200:据え込み加工品
200a:外側面
200b:内側面
Claims (15)
- 第1押圧面を有する第1型と、
前記第1押圧面と対向する第2押圧面を有する第2型と、
前記第1型と前記第2型とを相対的に近接又は離間する方向に駆動可能な駆動部と、を備え、
環状素材を軸線に沿った方向の両側から前記第1押圧面と前記第2押圧面とで挟んで押圧する据え込み加工装置であって、
前記第1押圧面及び前記第2押圧面の少なくとも一方の押圧面は、前記環状素材の押圧時に、前記環状素材の前記軸線と一致する装置軸線の上の一点を頂点とした錐体の側面である、据え込み加工装置。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θが75°以上である、
請求項1に記載の据え込み加工装置。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θが83°以上89°以下である、
請求項1又は2に記載の据え込み加工装置。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記押圧面と前記環状素材との間の摩擦係数μとしたときに、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θが、
θ=90°−tan−1μである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の据え込み加工装置。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θが60°以上である、
請求項1に記載の据え込み加工装置。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θが76°以上88°以下である、
請求項1又は5に記載の据え込み加工装置。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記押圧面と前記環状素材との間の摩擦係数μとしたときに、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θが、
θ=90°−2×tan−1μである、
請求項1,5又は6のいずれか1項に記載の据え込み加工装置。 - 前記第1押圧面及び前記第2押圧面の少なくとも一方の押圧面には、前記環状素材の中央貫通孔に挿入される位置決め突部が設けられている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の据え込み加工装置。 - 第1押圧面を有する第1型と、前記第1押圧面と対向する第2押圧面を有する第2型と、の間に環状素材を配置する配置工程と、
前記第1型と前記第2型とを相対的に近接する方向に駆動することにより、前記環状素材を軸線に沿った方向の両端から前記第1押圧面と前記第2押圧面とで挟んで押圧する据え込み工程と、を備え、
前記第1押圧面及び前記第2押圧面の少なくとも一方の押圧面は、前記環状素材の押圧時に前記環状素材の前記軸線と一致させる装置軸線の上の一点を頂点とした錐体の側面である、据え込み加工方法。 - 前記据え込み工程は、
前記環状素材の外周面及び内周面が拘束されない自由据え込み工程である、
請求項9に記載の据え込み加工方法。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記押圧面と前記環状素材との間の摩擦係数μとしたときに、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θを、θ=90°−tan−1μとする、
請求項9又は10に記載の据え込み加工方法。 - 前記押圧面は円錐体の側面であり、
前記装置軸線を通り且つ前記装置軸線と平行な断面において、前記押圧面と前記環状素材との間の摩擦係数μとしたときに、前記装置軸線と前記円錐体の側面の間の内角側の傾斜角度θを、θ=90°−2×tan−1μとする、
請求項9又は10に記載の据え込み加工方法。 - 前記配置工程は、
前記第1押圧面及び前記第2押圧面の少なくとも一方の押圧面に設けられた前記装置軸線を中心とした位置決め突部を、前記環状素材の中央貫通孔に挿入することで、前記環状素材を位置決めする位置決め工程を含む、
請求項9から12のいずれか1項に記載の据え込み加工方法。 - 環状であり、
軸方向の中央における内径側の中央内径部は、
前記中央における外径側の中央外径部と、
前記軸方向の一端側における内径側の一端側内径部と、
前記軸方向の他端側における内径側の他端側内径部と、より硬い、
据え込み加工品。 - 前記中央内径部は、前記中央外径部よりも5%以上硬い、
請求項14に記載の据え込み加工品。
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