JP2021083760A - 血圧測定装置及び血圧測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体の動きに対するノイズ耐性が向上した血圧測定装置を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る血圧測定装置は、被験者の心電図を測定する心電図測定部と、被験者の脈波を測定する脈波測定部と、心電図測定部が測定した心電図、及び脈波測定部が測定した脈波に基づいて、脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出部と、脈波伝播時間算出部が算出した脈波伝播時間に基づいて、被験者の血圧を算出する血圧算出部と、を備え、心電図測定部は、被験者の各々の鎖骨上に配置される一対の誘導電極を含み、脈波測定部は、約525nmを含む所定の波長領域の光によって脈波を測定する。【選択図】図2
Description
本発明は、血圧測定装置及び血圧測定方法に関する。
従来から、被験者の血圧を測定する方法として種々の方式が提案されている。間接的な測定方式としては、カフ圧を下げたときに生じる微小な拍動を用いて血圧を測定するオシロメトリック法や、カフで動脈を圧迫した上でカフ圧を下げたときに発生する血管音を用いて血圧を測定するコロトコフ法、橈骨動脈に圧力センサを押し当て血管壁を介した圧平衡を利用して血圧を測定するトノメトリー法等が知られている。例えば、特許文献1には、オシロメトリック法により測定した血圧値と、コロトコフ法により測定した血圧値のうち、実際の血圧値からの乖離が大きい方の血圧値が表示されてしまうことを防ぎ、精度の高い血圧値を表示する血圧測定装置が記載されている。
近年では、腕時計型等のウェアラブルデバイスに搭載されたセンサで血圧を測定する方法や、カメラ画像を用いた血圧変動の計測手法を用いた測定方法等の、所謂カフレスの血圧測定方式も提案されている。
しかしながら、上述したいずれの方式においても、被験者が身体を動かした場合、身体の運動によって生じるノイズによって測定値が不正確になる場合や、測定自体が不可能となる場合があった。
そこで、本発明は、生体の動きに対するノイズ耐性が向上した血圧測定装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る血圧測定装置は、被験者の心電図を測定する心電図測定部と、被験者の脈波を測定する脈波測定部と、心電図測定部が測定した心電図、及び脈波測定部が測定した脈波に基づいて、脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出部と、脈波伝播時間算出部が算出した脈波伝播時間に基づいて、被験者の血圧を算出する血圧算出部と、を備え、心電図測定部は、被験者の各々の鎖骨上に配置される一対の誘導電極を含み、脈波測定部は、約525nmを含む所定の波長領域の光によって脈波を測定する。
この態様によれば、生体の動きの影響を受けにくい鎖骨上に配置される誘導電極によって心電図が測定される。また、生体の動きの影響を受けにくい約525nmを含む所定の波長領域の光によって脈波が測定される。そして、このようにして測定された心電図及び脈波に基づいて血圧が算出される。したがって、血圧測定において生体の動きに対するノイズ耐性が向上する。
本発明によれば、生体の動きに対するノイズ耐性が向上した血圧測定装置を提供することができる。
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
(1)構成
図1Aは、本実施形態に係る血圧測定装置100の外観構成の一例を示す概略図である。図1Bは、本実施形態に係る血圧測定装置100の被験者による装着態様の一例を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る血圧測定装置100の機能構成の一例を示す概略図である。
図1Aは、本実施形態に係る血圧測定装置100の外観構成の一例を示す概略図である。図1Bは、本実施形態に係る血圧測定装置100の被験者による装着態様の一例を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る血圧測定装置100の機能構成の一例を示す概略図である。
本実施形態に係る血圧測定装置100は、被験者の心電図及び脈波を測定した上で、当該心電図及び脈波に基づいて血圧を測定する装置である。血圧測定装置100は、例えば、心電図信号センサ10と、脈波センサ20と、可撓性バンド部30と、制御ユニット40とを備える。ここで、心電図信号センサ10と、後述する心電図信号処理部431とを含んで、心電図測定部が構成される。心電図測定部は、心臓の活動によって生体に生じる電気信号である心電図を測定する。また、例えば、脈波センサ20と、後述する脈波信号処理部432とを含んで、脈波測定部が構成される。脈波測定部は、心臓が血液を送り出すことに伴い発生する血管の容積変化の波である脈波を測定する。
心電図信号センサ10は、被験者の心電図信号を検知し、当該心電図信号を制御ユニット40の制御部43に出力する。心電図信号センサ10は、例えば、1つの基準電極部11と、2つの誘導電極部12a、12bとを備える。なお、心電図信号センサ10が備える基準電極部の数は1つに限らず、2つ以上でもよい。また、心電図信号センサ10が備える誘導電極部の数は2つに限らず、1つ又は3つ以上でもよい。
基準電極部11は、可撓性バンド部30の一端の下側に設けられており、装着時に例えば被験者の頸部上に位置するように配されている。基準電極部11は、例えば、基準電極と、基準電極を内包する導電性ゲルや導電性繊維とを含んで構成される。基準電極部11が含む基準電極は、例えば直径5mm〜10mm程度の円形のカーボン電極を用いて構成でき、血圧測定装置100の装着時に被験者の頸部に接触して、頸部付近における心電図信号を検出する。ここで、基準電極が配置される位置は被験者の頸部上であれば特に限定されないが、例えば、隆椎付近、側頸部付近、後頸部付近、頚動脈付近等であってよい。
誘導電極部12a、12bは、可撓性バンド部30の両端から延びたリード線Lの端部に設けられている。誘導電極部12a、12bは、例えば、誘導電極と、誘導電極を内包する導電性ゲルや導電性繊維とを含んで構成される。誘導電極は、例えば直径5mm〜10mm程度の円形のカーボン電極を用いて構成できる。誘導電極は、血圧測定装置100の装着時に被験者の皮膚に接触して心電図信号を検出する。誘導電極部12a及び12bは、被験者に接触する部分に吸着性を有する素材(例えば、樹脂)から成る吸着部を有していてもよい。或いは、誘導電極部12a及び12bは、被験者の身体(例えば、鎖骨部分)の形状に合わせた凹部を有していてもよい。或いは、誘導電極部12a及び12bは、形状を維持するための素材(例えば、金属や繊維等)を有し、装着時に被験者の鎖骨部分の形状に合わせて形状を変形できるようにしてもよい。
ここで、図3(a)〜図3(c)、及び図4を参照して、誘導電極が配置される好適な位置について説明する。図3(a)は、従来の心電図測定装置の誘導電極の配置位置(配置位置1)を示した概略図である。また、図3(b)は、第1実施形態に係る血圧測定装置100の心電図測定部の誘導電極の配置位置(配置位置2)を示した概略図である。また、図3(c)は、第1実施形態に係る血圧測定装置100の心電図測定部の誘導電極の他の配置位置(配置位置3)を示した概略図である。図3(a)に示すように、配置位置1では、各誘導電極は頸部の左右に配置される。図3(b)に示すように、配置位置2では、各誘導電極は鎖骨上であって、鎖骨中線に対して内側に配置される。図3(c)に示すように、配置位置3では、各誘導電極は鎖骨上であって、鎖骨中線上に配置される。
ここで、被験者A、B、及びCそれぞれに対して配置位置1〜3それぞれによって誘導電極を配置して心電図を計測し、当該心電図に基づいてSN比を算出した。図4は、配置位置1〜3それぞれによる信号対雑音比(SN比)の結果を被験者毎に示す図である。配置位置1によるSN比は、被験者Aが19.0dB、被験者Bが16.5dB、被験者Cが10.1dBであった。また、配置位置2によるSN比は、被験者Aが27.3dB、被験者Bが16.9dB、被験者Cが24.6dBであった。また、配置位置3によるSN比は、被験者Aが29.8dB、被験者Bが29.9dB、被験者Cが22.7dBであった。
いずれの被験者についても、「配置位置1のSN比<配置位置2のSN比<配置位置3のSN比」の関係が認められる。したがって、配置位置1と比較して配置位置2及び3によってSN比が向上していると言える。また、特に配置位置2よりも配置位置3がSN比に優れていると言える。
これは、以下のような理由による。すなわち、従来の心電図測定装置における誘導電極の配置位置(配置位置1)では、誘導電極は頸部上に配置されるが、頸部には電気的活動を行う筋肉が含まれる。そして、当該筋肉が行う電気的活動はノイズの原因となる。一方、第1実施形態に係る血圧測定装置100における誘導電極の配置位置2や配置位置3では、誘導電極が鎖骨上に配置される。鎖骨においては、上述したようにノイズの原因となる電気的活動を行う筋肉は含まれない。そのため、誘導電極部を鎖骨上に配置する配置位置2や配置位置3では、ノイズが減少する。したがって、心電図信号センサ10による心電図信号の検知の精度が向上し、以て血圧測定装置100の血圧測定における生体の動きに対するノイズ耐性が向上する。
図1A、図1B、及び図2に戻り、脈波センサ20は、可撓性バンド部30の他端の下側に設けられており、装着時に例えば被験者の頸部上に位置するように配されている。脈波センサ20は、被験者の脈波信号を検知し、当該脈波信号を制御ユニット40の制御部43に出力する。脈波センサ20は、例えば、LED等の発光部21と、フォトダイオード等の受光部22とを含む。発光部21は生体に向けて所定の波長領域の光を発する。生体に到達した光のうち、一部は生体によって吸収され、他の一部は生体に反射される。受光部22は、生体に反射された光を受光する。なお、脈波センサ20は、生体が反射する光を受光部22が受光する所謂反射型に限らず、生体を透過した光を受光部22が受光する所謂透過型であってもよい。
ここで、図5を参照して、脈波センサ20が含む発光部21が発する光の好適な波長について説明する。図5は、光の波長と、血液に含まれるヘモグロビンの当該光に対する分子吸収係数との関係を示す図である。より具体的には、図5に示すH1は動脈血に多く含まれるオキシヘモグロビンの分子吸収係数を示し、図5に示すH2は静脈血に多く含まれるデオキシヘモグロビンの分子吸収係数をそれぞれ示している。生体に照射された光の大部分は、血液中に含まれるヘモグロビン(オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビン等)によって吸収される。
図5に示すとおり、オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビン共に、波長が約400〜600nmの光に対する分子吸収係数は、波長が約600nm以上の光に対する分子吸収係数よりも高い。すなわち、生体は当該波長領域(約400〜600nm)の光(概ね、緑色の光)をよく吸収すると言える。脈波センサ20が備える発光部21が発する光の色は、特に限定されず、例えば赤色(波長が940nm付近)や緑色(波長が525nm付近)の光を含んでもよい。しかしながら、上述した所定の波長領域の光を発する発光部21を採用することで、血圧測定装置100の脈波センサ20の感度は向上し、その結果、生体の動き(例えば、被験者による首を動かす動作)から受ける影響が相対的に低下する。したがって、脈波センサ20による脈波信号の検知の精度が向上し、以て血圧測定装置100の血圧測定における生体の動きに対するノイズ耐性が向上する。発光部21が発する光の波長領域としては、例えば、約525nmを含むことが好ましく、また、約475〜575nmや約400〜660nmも好ましい。更に、発光部21が発する光の波長領域としては、例えば、約500〜550nmがより好ましい。
図1A、図1B、及び図2に戻り、可撓性バンド部30は、例えばプラスチック等で形成され、被験者の頸部を包囲することが可能ないわゆるネックバンドの形状をしている。可撓性バンド部30は、弾性変形に基づく挟圧力により被験者の頸部を着脱可能に把持することができる形状及び寸法を呈していてもよい。或いは、可撓性バンド部30は、被験者の頸部を把持可能か否かに関わらず、被験者の頸部の付け根近傍で支持される形状及び寸法を呈していてもよい。また、可撓性バンド部30は、被験者の首周りの大小に適応できるよう、必要に応じてバンド長を調整する機構(たとえば、従来のヘッドフォン等で採用されているような、2以上のバンドが互いに摺動可能に係合する機構)を備える構成としてもよい。
制御ユニット40は、装着時に被験者の隆椎付近に位置するように配されている。制御ユニット40は、メモリ41と、通信部42と、制御部43と、傾斜センサ44とを備える。
メモリ41は、例えば、ROMやRAMを備えており、血圧測定装置100に用いられる血圧測定等のためのプログラムやデータを記憶する。各種プログラムは、例えば、CD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読取可能な(可搬型)記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いてメモリ41にインストールされてもよい。また、メモリ41は、予め測定した被験者についての脈波伝播時間と血圧との関係を示す参照情報を記憶している。
図6は、参照情報の一例を示す図である。参照情報は例えば次のように導出される。まず、脈波伝播速度をV(m/s)、血圧をP(mmHg)、動脈スティフネスをβ、血液密度をρ(kg/m3)とすると、以下の関係式が成り立つ。
そして、脈波伝播時間をTとすると、TはVの逆数となる。そのため、血圧Pは、脈波伝播時間Tの2乗に反比例する。図6に示す参照情報は、このような血圧Pと脈波伝播時間Tとの間の関係式として規定される。図6において、横軸は脈波伝播時間の逆数の2乗(秒-2;sec-2)を示し、縦軸は(最高)血圧(mmHg)を示す。
参照情報の取得方法は特に限定されないが、例えば、次のように取得してもよい。すなわち、被験者について、血圧測定器を用いて血圧を測定すると共に血圧測定装置100を用いて脈波伝播時間を測定した上で、測定した血圧及び脈波伝播時間をプロットし、当該プロットに基づいて血圧及び脈波伝播時間の関係を表す近似式を算出し、当該近似式を以て参照情報とする。なお、参照情報は被験者の姿勢毎に測定してもよい。姿勢の種類は特に限定されないが、例えば、図6には一例として、坐位時における脈波伝播時間と血圧との関係を示す参照情報R1と、仰臥位時における脈波伝播時間と血圧との関係を示す参照情報R2が示されている。血圧測定装置100による血圧測定方法においてこのように姿勢毎の参照情報を用いることにより、血圧測定の精度が向上する。
図1A、図1B、及び図2に戻り、通信部42は、通信インターフェース回路を備え、血圧測定装置100を通信ネットワークに接続する。通信部42は、血圧測定装置100が測定及び算出等する各種のデータを、例えば他の表示装置や情報処理装置に送信してもよい。
制御部43は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備えるCPU等の演算装置、血圧測定装置100の全体的な動作を統括的に制御する。制御部43は、メモリ41等に記憶されたプログラムに基づいて、例えば、心電図信号処理部431、脈波信号処理部432、脈波伝播時間算出部433、及び血圧算出部434等を実現する。
心電図信号処理部431は、心電図信号センサ10から出力される心電図信号を処理して、心電図信号の時間的変化を示す心電図を生成する。脈波信号処理部432は、脈波センサ20から出力される脈波信号に基づいて、脈波信号の時間的変化を示す脈波を生成する。
脈波伝播時間算出部433は、心電図と脈波に基づいて、脈波伝播時間を算出する。図7は、心電図及び脈波に基づく脈波伝播時間の算出について説明するための図である。図7において、横軸は時間(秒;sec)、左の縦軸は心電図電圧(V)、右の縦軸は加速度脈波電圧(μV)をそれぞれ示す。まず、脈波伝播時間算出部433は、心電図のピーク値(心電図ピーク値)を算出する。また、脈波伝播時間算出部433は、脈波に基づいて、加速度脈波を算出する。ここで、加速度脈波は、脈波の2階微分として表される。そして、脈波伝播時間算出部433は、心電図ピーク値と、例えばその直後の加速度脈波ピーク値との間の時間を算出し、当該時間を脈波伝播時間とする。脈波伝播時間算出部433は、一定期間において、個々の心電図ピーク値及び加速度脈波ピーク値から算出される複数の脈波伝播時間の平均値等を、当該一定期間における脈波伝播時間としてもよい。
血圧算出部434は、図6を用いて説明した参照情報に基づいて、脈波伝播時間から血圧を算出する。なお、血圧算出部434は、傾斜センサ44によって測定された被験者の姿勢に対応する参照情報に基づいて血圧を算出してもよい。
傾斜センサ44は、例えば、加速度センサ等によって構成される。傾斜センサ44は、被験者の身体の傾斜を測定し、測定結果を制御部43に供給する。
(2)血圧測定方法
図8は、本実施形態に係る血圧測定装置100を用いた血圧測定方法の動作フローの一例を示す図である。血圧測定装置100による血圧測定においては、例えば、基準電極部11は被験者の頸部上に、誘導電極部12a、12bそれぞれは被験者の鎖骨上に、脈波センサ20は被験者の頸部上に、それぞれ配置される。
図8は、本実施形態に係る血圧測定装置100を用いた血圧測定方法の動作フローの一例を示す図である。血圧測定装置100による血圧測定においては、例えば、基準電極部11は被験者の頸部上に、誘導電極部12a、12bそれぞれは被験者の鎖骨上に、脈波センサ20は被験者の頸部上に、それぞれ配置される。
(S1)まず、血圧測定装置100の心電図測定部は、被験者の心電図を測定する。具体的には、心電図信号センサ10は、被験者の心電図信号を検知し、当該心電図信号を制御ユニット40の制御部43に出力する。そして、心電図信号処理部431は、心電図信号センサ10から出力される心電図信号を処理して、心電図信号の時間的変化を示す心電図を生成する。
(S2)次に、血圧測定装置100の脈波測定部は、被験者の脈波を測定する。具体的には、脈波センサ20は、被験者の脈波信号を検知し、当該脈波信号を制御ユニット40の制御部43に出力する。そして、脈波信号処理部432は、脈波センサ20から出力される脈波信号に基づいて、脈波信号の時間的変化を示す脈波を生成する。
(S3)次に、血圧測定装置100の脈波伝播時間算出部433は、心電図測定部により測定された心電図と、脈波測定部により測定された脈波とに基づいて、脈波伝播時間を算出する。具体的には、脈波伝播時間算出部433は、脈波を2階微分した加速度脈波を算出した上で、心電図ピーク値と加速度脈波ピーク値との間の時間を脈波伝播時間として算出する。
(S4)次に、血圧測定装置100の血圧算出部434は、算出された脈波伝播時間をメモリ41に記憶された参照情報に適用することにより、血圧を算出する。このとき血圧算出部434は、傾斜センサ44が測定した被験者の姿勢を取得し、取得した姿勢に対応する参照情報をメモリ41から選択した上で、当該参照情報に基づいて血圧を算出してもよい。以上で、血圧測定装置100の処理が終了する。
(3)実施例
図9は、本実施形態に係る血圧測定装置100及び比較例の血圧測定装置を用いて被験者の血圧を測定した結果を示す図である。ここで、比較例の血圧測定装置は、従来のオシロメトリック法によるカフ圧の測定により血圧を測定する装置である。図9において、横軸は血圧の測定開始時からの経過時間(秒;sec)を示し、縦軸は血圧(最高血圧)(mmHg)を示す。
図9は、本実施形態に係る血圧測定装置100及び比較例の血圧測定装置を用いて被験者の血圧を測定した結果を示す図である。ここで、比較例の血圧測定装置は、従来のオシロメトリック法によるカフ圧の測定により血圧を測定する装置である。図9において、横軸は血圧の測定開始時からの経過時間(秒;sec)を示し、縦軸は血圧(最高血圧)(mmHg)を示す。
まず、本実施形態に係る血圧測定装置100による血圧測定では、被験者は、図1Bに示すように誘導電極部12a、12bを各鎖骨上の鎖骨中線上に配置し、基準電極部11を一方の側頸部に配置し、脈波センサ20を他方の側頸部に配置するように血圧測定装置100を装着し、椅子に座った状態で、10秒間隔で血圧を測定した。被験者は、期間T1(測定開始時から60秒経過時まで)は椅子に座った状態で安静にし、期間T2(測定開始後60秒経過時から150秒経過時まで)は椅子に座った状態で首を回す運動をし、期間T3(測定開始後150秒経過時から800秒経過時まで)は再び椅子に座った状態で安静にした。
また、比較例の血圧測定装置による血圧測定では、被験者は、比較例の血圧測定装置を装着し、60秒間隔で血圧を測定した。被験者は、本実施形態に係る血圧測定装置100による血圧測定と同様に、期間T1は椅子に座った状態で安静にし、期間T2は椅子に座った状態で首を回す運動をし、期間T3は再び椅子に座った状態で安静にした。
図9において、黒丸のプロットは本実施形態に係る血圧測定装置100による測定値を示し、中抜き三角のプロットは比較例の血圧測定装置による測定値を示す。図9に示すとおり、本実施形態に係る血圧測定装置100による血圧測定では、安静にしていた期間T1及びT3のみならず、首を回す運動を行っていた期間T2においても血圧の測定が可能であった。一方、比較例の血圧測定装置による血圧測定では、安静にしていた期間T1及びT3においては血圧の測定が可能であったが、首を回す運動を行っていた期間T2においては、血圧が測定できなかった。また、安静にしていた期間T1及びT3のいずれにおいても、本実施形態に係る血圧測定装置100による測定値のバラツキは、比較例の血圧測定装置による測定値のバラツキよりも小さい。以上より、本実施形態に係る血圧測定装置100は、生体の動きに対するノイズ耐性が向上していると言える。
(4)変形例
上述した実施形態に係る血圧測定装置100では、誘導電極は被験者の鎖骨上に配置され、且つ、脈波センサ20が含む発光部21は約525nmを含む所定の波長領域の光を発するものとした。しかしながら、他の実施形態において、誘導電極は被験者の鎖骨上に配置されれば、脈波センサ20が含む発光部21は約525nmを含む所定の波長領域の光を発するものでなくてもよい。この場合であっても、生体の動きの影響を受けにくい鎖骨上に配置される誘導電極によって心電図が測定され、このようにして測定された心電図に基づいて血圧が算出されるため、血圧測定において生体の動きに対するノイズ耐性が向上する。また、他の実施形態において、脈波センサ20が含む発光部21は約525nmを含む所定の波長領域の光を発するものであれば、誘導電極は被験者の鎖骨上に配置されなくてもよい。この場合であっても、生体の動きの影響を受けにくい約525nmを含む所定の波長領域の光によって脈波が測定され、このようにして測定された脈波に基づいて血圧が算出されるため、血圧測定において生体の動きに対するノイズ耐性が向上する。
上述した実施形態に係る血圧測定装置100では、誘導電極は被験者の鎖骨上に配置され、且つ、脈波センサ20が含む発光部21は約525nmを含む所定の波長領域の光を発するものとした。しかしながら、他の実施形態において、誘導電極は被験者の鎖骨上に配置されれば、脈波センサ20が含む発光部21は約525nmを含む所定の波長領域の光を発するものでなくてもよい。この場合であっても、生体の動きの影響を受けにくい鎖骨上に配置される誘導電極によって心電図が測定され、このようにして測定された心電図に基づいて血圧が算出されるため、血圧測定において生体の動きに対するノイズ耐性が向上する。また、他の実施形態において、脈波センサ20が含む発光部21は約525nmを含む所定の波長領域の光を発するものであれば、誘導電極は被験者の鎖骨上に配置されなくてもよい。この場合であっても、生体の動きの影響を受けにくい約525nmを含む所定の波長領域の光によって脈波が測定され、このようにして測定された脈波に基づいて血圧が算出されるため、血圧測定において生体の動きに対するノイズ耐性が向上する。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
100…血圧測定装置、10…心電図信号センサ、11…基準電極部、12a、12b…誘導電極部、20…脈波センサ、21…発光部、22…受光部、30…可撓性バンド部、40…制御ユニット、41…メモリ、42…通信部、43…制御部、431…心電図信号処理部、432…脈波信号処理部、433…脈波伝播時間算出部、434…血圧算出部
Claims (7)
- 被験者の心電図を測定する心電図測定部と、
被験者の脈波を測定する脈波測定部と、
前記心電図測定部が測定した心電図、及び前記脈波測定部が測定した脈波に基づいて、脈波伝播時間を算出する脈波伝播時間算出部と、
前記脈波伝播時間算出部が算出した脈波伝播時間に基づいて、被験者の血圧を算出する血圧算出部と、を備え、
前記心電図測定部は、被験者の各々の鎖骨上に配置される一対の誘導電極を含み、
前記脈波測定部は、約525nmを含む所定の波長領域の光によって脈波を測定する、血圧測定装置。 - 前記心電図測定部は、更に、被験者の頸部上に配置される基準電極を含む、請求項1に記載の血圧測定装置。
- 前記一対の誘導電極は、被験者の鎖骨上であって、鎖骨中線上に配置される、請求項1又は2に記載の血圧測定装置。
- 前記脈波伝播時間算出部は、心電図のピーク値と、脈波の2階微分である加速度脈波のピーク値との間の時間を、脈波伝播時間として算出する、請求項1から3のいずれか一項に記載の血圧測定装置。
- 前記血圧算出部は、血圧と脈波伝播時間との関係を規定した参照情報に、前記脈波伝播時間が算出した脈波伝播時間を適用することにより、被験者の血圧を算出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の血圧測定装置。
- 被験者の身体の傾斜を測定する傾斜測定部を更に備え、
前記血圧算出部は、前記傾斜測定部により測定された被験者の身体の傾斜に対応する前記参照情報を選択し、選択した前記参照情報に前記脈波伝播時間が算出した脈波伝播時間を適用することにより、被験者の血圧を算出する、請求項5に記載の血圧測定装置。 - 被験者の各々の鎖骨上に配置される一対の誘導電極によって心電図を測定することと、
約525nmを含む所定の波長領域の光を用いて脈波を測定することと、
前記心電図及び前記脈波に基づいて、脈波伝播時間を算出することと、
前記脈波伝播時間に基づいて、被験者の血圧を算出することと、を含む血圧測定方法。
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Citations (2)
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JP2005521506A (ja) * | 2002-04-03 | 2005-07-21 | ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー | 急性ストレスを測定するための方法及び装置 |
WO2018043638A1 (ja) * | 2016-09-02 | 2018-03-08 | 株式会社村田製作所 | 血圧推定装置 |
-
2019
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