JP2021080297A - 褐藻エキス含有組成物 - Google Patents

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光一郎 増村
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耕司 黒部
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Abstract

【課題】少なくとも褐藻エキスを有効成分として含有しており、痔疾患の誘発を予防したり、痔疾患を発症してしまった場合にも改善を促すことができる褐藻エキス含有組成物を実現する。【解決手段】褐藻エキス含有組成物は、水分を除く固形分0.10〜10.00重量%の褐藻エキスを主成分とし、残成分として、水やエタノールなどを含み、医学的に許容可能な成分を含有する。残成分は、少なくとも、0.10〜10.00重量%の抗炎症剤、0.20〜10.00重量%のアロエ抽出物、および0.10〜5.00重量%の可溶性タンパク質成分を含有することが好ましい。【選択図】図9

Description

本発明は、褐藻エキスを主成分として含有するゲル状もしくは液状の褐藻エキス含有組成物に関する。
近年の温水洗浄機能付き便座や便器の普及は、痔疾患の予防や改善に貢献している。ちり紙やトイレットペーパーによる便の除去は、肛門周辺部や患部への摩擦を伴うため、痔疾患の誘発原因となったり、痔疾患を悪化させるからである。
痔疾患を発症した場合には、疾患部位が肛門部であるがゆえに通院が恥ずかしく、市販の痔疾患治療薬剤を用いて対処するのが一般的である。痔疾患を治療する外用薬剤としては、例えば、(a)清涼化剤を0.01〜0.3質量%、(b)ゲル化剤を0.1〜10質量%、(c)アルコールを1〜10質量%、(d)水を50〜98質量%、(e)局所麻酔剤を3質量%以下で含有するゲル状痔疾治療用剤が開示されている(特許文献1参照)。
特開2012−25771号公報
ところで、市販の痔疾患治療薬剤には、特許文献1のように、リドカインやジブカイン等の局所麻酔成分を含有して一時的に痛みを和らげるものや、メントールやカンフル等の清涼剤成分を含有して痔疾患の痒みを一時的に和らげる効能を有するものが存在する。
しかしながら、局所麻酔成分や清涼剤成分は、痛みや痒みなどの痔疾患の不快感を一時的に除去するが、痔疾患を予防・治療する有効成分とはなり得ない。したがって、これらの痔疾患治療薬剤は対処療法的な薬剤として用いられるに過ぎず、結局、痔疾患が悪化した場合には、肛門外科等で外科的治療を受けざるを得ないという現状がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて創案されたものであり、痔疾患の誘発を予防したり、痔疾患を改善するために、少なくとも有効成分として褐藻エキスを含有する褐藻エキス含有組成物の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る褐藻エキス含有組成物は、水分を除く固形分0.10〜10.00重量%の褐藻エキスを主成分とし、残成分として、医学的に許容可能な成分を含有することを特徴とする。褐藻エキスには、フコイダン、アミノ酸、ジアスターゼ、アルギン酸、および豊富なミネラルが含まれ、保湿作用や皮膚再生作用などの外用効能があることが報告されている。したがって、褐藻エキスを主成分とするのは、保湿作用や皮膚再生作用などの外用効能が痔疾患の有効成分となるからである。残成分は水やエタノール等を含み、医学的に許容可能な成分である。
褐藻エキスを固形分として0.10重量%以上含有するのは、0.10重量未満では痔疾患の有効成分としての十分な効能が得られないからである。他方、褐藻エキスを固形分として10.00重量以下含有するのは、10.00重量%を超えると残成分の調整が困難となるからである。
上記褐藻エキスの固形分含有量は、さらに0.10〜3.00重量%であることが好ましい。褐藻エキスの固形分含有量を0.10〜3.00重量%の範囲に設定するのは、この範囲において特に有効な効能が得られるからである。
上記残成分は、少なくとも、0.10〜10.00重量%の抗炎症剤、0.20〜10.00重量%のアロエ抽出物、および0.10〜5.00重量%の可溶性タンパク質成分を含有することが好ましい。抗炎症剤を含有するのは、痔疾患の炎症を抑制するためである。抗炎症剤を0.10重量%以上含有するのは、0.10重量%未満であると抗炎症性の効能が得られ難いからである。抗炎症剤を10.00重量%以下含有するのは、10.00重量%を超えると抗炎症性の効能に差が観られないからである。
アロエ抽出物を含有するのは、アロエ抽出物にはアロインなどの植物フェノール系成分、アロエマンナン、グルコン酸などの多糖類系成分、およびアロエチンなどのその他の成分が含まれ、褐藻エキスとともに痔疾患の有効成分となり得るからである。
植物フェノール系成分には、鎮静鎮痛、細菌繁殖阻止、および酵素活性抑制などの外用効能が報告されている。また、多糖類系成分には、美肌、傷の治癒、消炎、および殺菌などの外用効能が報告されている。さらに、その他の成分として、アロエチンには強い抗菌、抗カビ作用の外用効能があることが報告されておいる。
アロエ抽出物を0.20重量%以上含有するのは、0.20重量%未満であると有効成分としての効能が得られ難いからである。アロエ抽出物を10.00重量%以下含有するのは、10.00重量%を超える量を加えても有効成分としての効能に差が観られないからである。
可溶性タンパク質成分を含有するのは、肌への浸透性を促進するからである。可溶性タンパク質成分を0.10重量%以上含有するのは、0.10重量%未満であると肌への浸透性に劣るからである。他方、可溶性タンパク質成分を5.00重量%以下含有するのは、5.00重量%を超える量を加えても肌への浸透性に差が観られないからである。
上記抗炎症剤は、グリチルリチン酸2K、アラントインの少なくとも一種類を含むことが好ましい。抗炎症剤がグリチルリチン酸2K、アラントインの少なくとも一種類を含むのは、これらの成分のいずれかの含有によって、抗炎症の効能が得られるからである。抗炎症の効能を高めるには、複数の成分を組み合わせて使用することが好ましい。
上記アロエ抽出物は、アロエベラ葉肉末、キダチアロエ葉肉末、ケープアロエ葉肉末、アロエベラ葉エキス、キダチアロエ葉エキス、ケープアロエ葉エキスの少なくとも一種類を含むことが好ましい。アロエ抽出物がアロエベラ葉肉末、キダチアロエ葉肉末、ケープアロエ葉肉末、アロエベラ葉エキス、キダチアロエ葉エキス、ケープアロエ葉エキスの少なくとも一種類を含むのは、これらの成分のいずれかの含有によって、有効成分としての効能が得られるからである。有効成分としての効能を高めるには、複数の成分を組み合わせて使用することが好ましい。
上記可溶性タンパク質成分は、加水分解シルクであることが好ましい。可溶性タンパク質成分として加水分解シルクを用いることにより、肌への良好な浸透性を確保することができる。
本発明に係る褐藻エキス含有組成物によれば、少なくとも有効成分として褐藻エキスを含有しており、痔疾患の誘発を予防したり、痔疾患を発症してしまった場合にも改善を促すことができるという優れた効果を発揮する。
実施例1〜5および比較例1〜3の効能確認試験の結果を示す説明図である。 実施例6〜10および比較例4〜6の効能確認試験の結果を示す説明図である。 実施例11〜15および比較例7〜9の効能確認試験の結果を示す説明図である。 実施例16〜20および比較例10〜12の効能確認試験の結果を示す説明図である。 被験者の肛門部の外側の状態の模式図である。 治療予防液使用前の被験者の肛門部の状態の分類図である。 被験者の使用頻度の分類図である。 被験者の使用期間の分類図である。 治療予防液使用後の被験者の肛門部の状態の分類図である。
以下、本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物について、実施例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的に図示している。
〔褐藻エキス含有組成物〕
本実施形態に係る褐藻エキスは、もずくやワカメ、昆布などの褐藻類から抽出されるエキスである。海藻類には緑藻、褐藻、および紅藻が含まれ、本実施形態では特に褐藻類のエキスを用いることが好ましい。褐藻エキスの抽出方法は問わないが、ヒ素等の有害な低分子物質を除去することが好ましい。したがって、褐藻エキスとしては、高分子量のエキスを用いることが好ましいが、これに限定されない。
褐藻エキスには、フコイダン、アミノ酸、ジアスターゼ、アルギン酸、および豊富なミネラルが含まれ、保湿作用や皮膚再生作用などの外用効能があることが報告されている。特に、フルコースを主構成糖とする硫酸化多糖類であるフコイダンは、抗腫瘍、抗胃潰瘍、抗ウイルス、抗炎症、抗血液凝固、免疫増強、抗I型アレルギー、抗高脂血症などの種々の薬理的作用を有することが報告されている(特開2002−220402号公報)。また、フコイダンは、化粧料等において保湿成分剤としても用いられている。したがって、本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物が褐藻エキスを主成分とするのは、保湿作用や皮膚再生作用などの外用効能が痔疾患の有効成分となるからである。
本発明に係る褐藻エキス含有組成物は、水分を除く固形分0.10〜10.00重量%の褐藻エキスを主成分とし、残成分として、水やエタノール等の医学的に許容可能な成分を含有する。また、残成分としては、少なくとも、0.10〜10.00重量%の抗炎症剤、0.20〜10.00重量%のアロエ抽出物(アロエ葉肉末または/およびアロエ葉エキス)、および0.10〜5.00重量%の可溶性タンパク質成分を含有することが好ましい。褐藻エキスの固形分含有量は、さらに0.10〜3.00重量%であることが好ましい。
本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物を組成する褐藻エキスの固形分、抗炎症剤、アロエ抽出物、および可溶性タンパク質成分の最適な含有量を検討するため、以下の実施例1〜20、比較例1〜12の含有量の組み合わせで効能の確認試験を行った。
実施例1〜20、比較例1〜12において、効能確認試験の効能は、複数人(同数)の被験者の肛門部に1日1回塗布し、痔疾患の症状に対する褐藻エキス含有組成物の使用感を基準に判定を行った。なお、実施例1〜20、比較例1〜12においては、褐藻エキスの固形分、抗炎症剤、アロエ抽出物、および可溶性タンパク質成分の最適含有量の検討のため、使用感の確認のみを行っており、痔疾患の症状別(イボ、切れ、痛み、痒み、および出血など)についての改善効果の確認は行っていない。
全ての症状の改善: ◎
いずれかの症状の改善: ○
痔疾患の不快感の消失: △
痔疾患の症状の継続: ×
まず、褐藻エキスの最適な含有量を検討するため、実施例1〜5、比較例1〜3の含有量の組み合わせで効能の確認試験を行った。図1は、実施例1〜5および比較例1〜3の効能確認試験の結果を示している。
図1において、主成分としての褐藻エキスの固形分は0.5〜15.0重量%の範囲で含有量を変化させ、残量は精製水および無水エタノールを含有している。実施例1の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例1)
褐藻エキスの固形分:0.10重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1において、実施例2の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例2)
褐藻エキスの固形分:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1において、実施例3の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例3)
褐藻エキスの固形分:5.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1において、実施例4の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例4)
褐藻エキスの固形分:10.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1において、実施例5の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例5)
褐藻エキスの固形分:15.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1において、比較例1の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例1)
褐藻エキスの固形分:0.05重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1において、比較例2の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例2)
褐藻エキスの固形分:0.08重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1において、比較例3の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例3)
褐藻エキスの固形分:0.09重量%
精製水および無水エタノール:残量
図1に示すように、実施例1および2において、全ての症状の改善:◎の結果が得られた。また、実施例3〜5においても、いずれかの症状の改善:○の結果が得られた。しかしながら、比較例3および比較例2においては痔疾患の不快感の消失:△の結果が見られたものの、比較例1においては痔疾患の症状の継続:×の結果であった。
すなわち、実地例1〜5の褐藻エキス含有組成物によれば、主成分としての褐藻エキスの固形分を0.10〜15.00重量%の範囲で含有することにより、痔疾患の改善の効能が確認された。また褐藻エキスの固形分含有量は、さらに0.10〜3.00重量%の範囲がより好ましいことが確認された。しかしながら、褐藻エキスの固形分含有量は、10.00重量以下に設定することが好ましい。主成分としての褐藻エキスの固形分含有量が10.00重量%を超えても有効成分の効能に差はなく、10.00重量%を超えると後述する残成分の調整が困難となるからである。
次に、主成分としての褐藻エキスの固形分含有量を0.05重量%〜10.0重量%の範囲で適宜設定して、残成分としての抗炎症剤、アロエ抽出物、および可溶性タンパク質成分を含有量について検討した。
第1に抗炎症剤の最適な含有量を検討するため、実施例6〜10、比較例4〜6の含有量の組み合わせで効能の確認試験を行った。図2は、実施例6〜11および比較例4〜6の効能確認試験の結果を示している。
図2において、主成分としての褐藻エキスの固形分含有量を0.05重量%〜10.0重量%の範囲で適宜設定し、抗炎症剤を0.05〜15.0重量%の範囲で含有量を変化させ、残量は精製水および無水エタノールを含有している。また、アロエ抽出物は0重量%もしくは5.0重量%、可溶性タンパク質は0重量%もしくは3.0重量%で配合量を設定している。実施例6の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例6)
褐藻エキスの固形分:0.10重量%
抗炎症剤:0.10重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2において、実施例7の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例7)
褐藻エキスの固形分:3.0重量%
抗炎症剤:0.50重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2において、実施例8の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例8)
褐藻エキスの固形分:5.0重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2において、実施例9の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例9)
褐藻エキスの固形分:10.0重量%
抗炎症剤:10.0重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2において、実施例10の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例10)
褐藻エキスの固形分:10.0重量%
抗炎症剤:15.0重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2において、比較例4の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例4)
褐藻エキスの固形分:0.05重量%
抗炎症剤:0.05重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2において、比較例5の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例5)
褐藻エキスの固形分:0.08重量%
抗炎症剤:0.08重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2において、比較例6の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例6)
褐藻エキスの固形分:0.09重量%
抗炎症剤:0.09重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図2に示すように、実施例6〜10において、全ての症状の改善:◎、もしくはいずれかの症状の改善:○の結果が得られた。しかしながら、比較例5,6においては痔疾患の不快感の消失:△の結果が見られたものの、比較例4においては痔疾患の症状の継続:×の結果であった。
すなわち、抗炎症剤は、0.10〜15.0重量%の範囲で含有することにより、痔疾患の改善の効能が確認された。しかしながら、10.0重量%を超える抗炎症剤を含有しても、抗炎症性の効能に差が観られないため、抗炎症剤は0.10〜10.0重量%の範囲に設定することが好ましい。なお、抗炎症剤は、例えば、グリチルリチン酸2K、アラントインの少なくとも一種類を含むことが好ましい。抗炎症剤として、グリチルリチン酸2K、アラントインを挙げているが、例示したこれらの薬剤に限定されず、アミノサリチル酸やジフラニサル等の他の抗炎症剤を排除する趣旨ではない。抗炎症の効能を高めるには、0.10〜10.00重量%の範囲で複数の成分を組み合わせて使用することが好ましい。
第2にアロエ抽出物の最適な含有量を検討するため、実施例11〜15、比較例7〜9の含有量の組み合わせで効能の確認試験を行った。図3は、実施例11〜15および比較例7〜9の効能確認試験の結果を示している。
図3において、主成分としての褐藻エキスの固形分含有量を0.05重量%〜10.0重量%の範囲で適宜設定し、アロエ抽出物を0.05〜15.0重量%の範囲で含有量を変化させ、残量は精製水および無水エタノールを含有している。また、抗炎症剤は0重量%もしくは5.0重量%、可溶性タンパク質は0重量%もしくは3.0重量%で配合量を設定している。実施例11の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例11)
褐藻エキスの固形分:0.10重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:0.20重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3において、実施例12の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例12)
褐藻エキスの固形分:3.0重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:3.0重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3において、実施例13の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例13)
褐藻エキスの固形分:5.0重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3において、実施例14の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例14)
褐藻エキスの固形分:10.0重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:10.0重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3において、実施例15の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例15)
褐藻エキスの固形分:10.0重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:15.0重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3において、比較例7の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例7)
褐藻エキスの固形分:0.05重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:0.05重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3において、比較例8の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例8)
褐藻エキスの固形分:0.08重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:0.08重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3において、比較例9の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例9)
褐藻エキスの固形分:0.09重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:0.10重量%
可溶性タンパク質:0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図3に示すように、実施例11〜15において、全ての症状の改善:◎、もしくはいずれかの症状の改善:○の結果が得られた。しかしながら、比較例8,9においては痔疾患の不快感の消失:△の結果が見られたものの、比較例7においては痔疾患の症状の継続:×の結果であった。
すなわち、アロエ抽出物は、0.20〜15.00重量%の範囲で含有することにより、痔疾患の改善の効能が確認された。しかしながら、10.0重量%を超えるアロエ抽出物を含有しても、アロエ抽出物の効能に差が観られないため、アロエ抽出物は0.20〜10.0重量%の範囲に設定することが好ましい。なお、アロエ抽出物は、例えば、アロエベラ葉肉末、キダチアロエ葉肉末、ケープアロエ葉肉末、アロエベラ葉エキス、キダチアロエ葉エキス、ケープアロエ葉エキスの少なくとも一種類を含むことが好ましい。有効成分としての効能を高めるには、0.20〜10.00重量%の範囲で複数のアロエ抽出物成分を組み合わせて使用することが好ましい。
第3に可溶性タンパク質の最適な含有量を検討するため、実施例16〜20、比較例10〜12の含有量の組み合わせで効能の確認試験を行った。図4は、実施例16〜20および比較例10〜12の効能確認試験の結果を示している。
図4において、主成分としての褐藻エキスの固形分含有量を0.05重量%〜10.0重量%の範囲で適宜設定し、可溶性タンパク質を0.05〜10.0重量%の範囲で含有量を変化させ、残量は精製水および無水エタノールを含有している。また、抗炎症剤は0重量%もしくは5.0重量%、アロエ抽出物は0重量%もしくは5.0重量%で配合量を設定している。実施例16の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例16)
褐藻エキスの固形分:0.10重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:0.10重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4において、実施例17の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例17)
褐藻エキスの固形分:3.0重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:3.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4において、実施例18の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例18)
褐藻エキスの固形分:5.0重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:5.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4において、実施例19の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例19)
褐藻エキスの固形分:10.0重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:6.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4において、実施例20の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(実施例20)
褐藻エキスの固形分:10.0重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:10.0重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4において、比較例10の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例10)
褐藻エキスの固形分:0.05重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:0.05重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4において、比較例11の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例11)
褐藻エキスの固形分:0.08重量%
抗炎症剤:5.0重量%
アロエ抽出物:5.0重量%
可溶性タンパク質:0.08重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4において、比較例12の褐藻エキス含有組成物の組成は次のとおりである。
(比較例12)
褐藻エキスの固形分:0.09重量%
抗炎症剤:0重量%
アロエ抽出物:0重量%
可溶性タンパク質:0.09重量%
精製水および無水エタノール:残量
図4に示すように、実施例16〜20において、全ての症状の改善:◎、もしくはいずれかの症状の改善:○の結果が得られた。しかしながら、比較例11,12においては痔疾患の不快感の消失:△の結果が見られたものの、比較例10においては痔疾患の症状の継続:×の結果であった。
すなわち、可溶性タンパク質は、0.10〜10.00重量%の範囲で含有することにより、痔疾患の改善の効能が確認された。しかしながら、5.0重量%を超える可溶性タンパク質を含有しても、可溶性タンパク質の効能に差が観られないため、可溶性タンパク質は0.10〜5.0重量%の範囲に設定することが好ましい。なお、可溶性タンパク質は、例えば、加水分解シルクであることが好ましいが、例示した加水分解シルク以外の可溶性タンパク質を排除する趣旨ではない。
〔褐藻エキス含有疾治療予防液〕
また、本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物は、肛門部に塗布することにより、痔疾患の治療予防液として用いることができる。本実施形態の褐藻エキス含有痔治療予防液の有効性をより詳しく確認するため、被験者50人に対して効能試験を行った。なお、被験者の人数が50人と少ないが、痔疾患は肛門部に発症する疾患であるため、疾患の性質上から被験者が集まりにくいという現状がある。
図5は、被験者の肛門部の外側の状態を示している。図5において、1は肛門部、2はイボ、3は切れ、4は痒み、5は腫れの症状である。図5に示すように、肛門部の症状によって分類すると、無傷は3人、イボが一つのみは18人、イボが二つは5人、イボが多数は4人、切れ・腫れ・痒みは29人であった。なお、切れ・腫れ・痒みの症状を有する被験者は、他の症状を有する被験者と一部重複している。
図6は、褐藻エキス含有組成物を痔疾患の治療予防液として使用する前の被験者の肛門部の状態を示している。図6に示すように、痔疾患の発症時期で分類すると、1年未満前が11人、1〜5年未満前が18人、6〜19年未満前が11人、20年以上前が10人であった。また、痔疾患の症状で分類すると、内痔核が6人、外痔核・イボ痔が28人、肛門周囲の腫れが12人、出血が24人、痛みが18人、痒みが20人、切れ痔が13人、痔瘻が1人、その他(無償)が3人であった。なお、切れ・腫れ・痒みの症状を有する被験者は、他の症状を有する被験者と一部重複している。
図7は、被験者の使用頻度を示している。図7に示すように、使用頻度で分類すると、1日1回が38人、1日2回が10人、1日3回以上が0人、2〜3日に1回が1人、4日以上に1回が1人であった。
図8は、被験者の使用期間を示している。図8に示すように、使用期間で分類すると、1日〜3日が0人、4日〜10日が15人、11日〜20日が27人、21日〜30日が4人、30日以上が4人であった。
図9は、褐藻エキス含有組成物を痔疾患の治療予防液として使用した後の被験者の肛門部の状態を示している。図9に示すように、褐藻エキス含有痔治療予防液の使用後の肛門部の状態で分類すると、かなり腫れが引いた人が11人、少し腫れが引いた人が12人、出血が止まった人が10人、痒みが止まった人が9人、あまり変わらない人が6人、変化なし・悪化した人が2人であった。よって、被験者50人中の42人、すなわち、84%に痔疾患の改善効果が得られた。
以上説明したように、本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物は、水分を除く固形分0.10〜10.00重量%の褐藻エキスを主成分とし、残成分として、少なくとも、0.10〜10.00重量%の抗炎症剤、0.20〜10.00重量%のアロエ抽出物、及び0.10〜5.00重量%の可溶性タンパク質成分を含有する。本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物よれば、痔疾患の治療予防液として用いることにより、痔疾患の誘発を防止することができ、痔疾患を発症してしまった場合にも改善を促すことができる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物は、有効成分としての褐藻エキスを主成分とし、残成分として、少なくとも、抗炎症剤、アロエ抽出物、及び可溶性タンパク質成分を含有する。上記の残成分は水やエタノール等を含み、医学的に許容可能な成分であるが、例えば、フェノキシエタノール等の防腐剤を含有していてもよい。防腐剤を含有することにより、組成物にカビが発生するのを防止することができる。なお、防腐剤は、例示の薬剤に限定されず、安息香酸ナトリウム等の他の防腐剤を用いてもよい。
また、本実施形態に係る褐藻エキス含有組成物は、例えば、サンタンガム等のゲル化剤を含有していてもよい。ゲル化剤を含有することにより、治療予防液として肛門部に塗布する際の保持力を高めることができる。なお、ゲル化剤は、例示の薬剤に限定されず、ジェランガム等の他のゲル化剤を用いてもよい。このように本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
本発明に係る褐藻エキス含有組成物および褐藻エキス含有痔治療予防液は、痔疾患の誘発を予防したり、痔疾患を発症してしまった場合にも改善を促すことができ、今後、臨床試験を重ねれば、薬事法の医薬品や医薬部外品の基準を満たす組成物として、広く適用することが期待される。
1 肛門部、
2 イボ、
3 切れ、
4 痒み、
5 腫れ。

Claims (1)

  1. 水分を除く固形分0.10〜3.00重量%の高分子量の褐藻エキスを主成分とし、残成分として、少なくとも、グリチルリチン酸2K、アラントインの少なくとも一種類を含む0.10〜10.00重量%の抗炎症剤、アロエベラ葉肉末、キダチアロエ葉肉末、ケープアロエ葉肉末、アロエベラ葉エキス、キダチアロエ葉エキス、ケープアロエ葉エキスの少なくとも一種類を含む0.20〜10.00重量%のアロエ抽出物、および0.10〜5.00重量%の加水分解シルクからなる可溶性タンパク質成分を含有することを特徴とする、褐藻エキス含有組成物。
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