JP2021078370A - 全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬の提供。【解決手段】IFN−I受容体を発現しており、IFN−I誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞を含む、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬。【選択図】なし

Description

本発明は、全身性エリトマトーデスの治療薬に対する感受性について患者の層別化を可能とする技術に関し、具体的には、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬に関する。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、若年女性に好発する難治性の自己免疫疾患で、日本には約7万人の患者がいると報告されている。遺伝的背景に、女性ホルモン、紫外線などの環境要因が加わり、自己抗原に反応するリンパ球(自己反応性リンパ球)、自己抗原に対する抗体(自己抗体)の産生が疾患の発症に寄与し、アポトーシス細胞の貪食・分解処理、DNA・RNA分解処理の異常が疾患増悪に寄与していると考えられている。SLEは、突然の倦怠感、発熱などの全身症状に加えて、皮疹、腎障害、中枢神経障害などの症状により診断され、グルココルチコイドをはじめとする免疫抑制剤により治療される。しかし、SLEは、炎症の遷延、薬の副作用によって、感染症、慢性臓器障害等を合併しうる。
SLEは、発症素因、発症原因、及び症状に到るまで、非常にヘテロジニアスな疾患であることを特徴としており、実際に、非特許文献1では、SLE患者の末梢血球の遺伝子発現が、I型インターフェロン関連遺伝子群(IFN−stimulatory genes:ISG)高値グループと、リンパ球系シグナチャー高値グループとに大別されると報告されている。このため、SLEは、病態の解明のみならず、診断及び治療方針の選択が非常に難しく、病態の遷延及び過度な免疫抑制治療による副作用は慢性臓器障害を生じさせるため、臨床上のリスクが非常に大きい。
近年、全身性エリトマトーデスに対する様々な支持療法の発展により、以前は70%程度であった5年生存率も95%程度に改善し、急性期治療成績は向上してきている。一方で、慢性炎症と薬の副作用による慢性臓器障害及びQOLの低下が臨床上大きな課題となっている。
SLEに対する新規治療薬として多くの治験が行われてきたが、病態のヘテロジェナイティゆえに、一部の製剤を除いて悉く失敗しており、未だ、ステロイドと免疫抑制剤との組み合わせによる治療が主流である。一方で、ウイルス感染に重要なI型インターフェロン(IFN−I)、B細胞刺激因子のBAFF/APRILなどが、SLEの疾患増悪因子として知られており、BAFF受容体を標的とした抗体(Belimumab)が臨床応用されるようになった。また、IFN−I受容体を標的とした抗体(Anifrolumab)の第3相国際臨床試験も行われている、今後、SLEにおいても生物製剤による分子標的治療への道が開かれつつある。
Cell 165, 551-565, 2016
Anifrolumabにおける第2相試験の結果から、AnifrolumabはIFN−I関連遺伝子群の発現の高い患者で有効性が示されている。従って、IFN−I高値症例の絞り込みがますます重要となっている。ここで、生体試料中の疾患因子の測定には一般的にELISA法が用いられるが、IFN−I濃度についてはELISA法での検出は困難である。そこで、IFN−I高値症例の絞り込みは、末梢血単核球における複数のISG mRNAの発現解析に基づいて試みられたが、非常に煩雑であることから実用性の点で課題がある。
Belimumabについては、臨床で使用されてはいるものの、Belimumabが有効な症例は不明であり、また、ELISA法によれば、BAFF活性が血中BAFF濃度依存的に得られないため、血中BAFF濃度に基づいた有効症例の絞り込みは奏功していない。その原因としては、B細胞刺激因子のリガンドBAFF/APRILと受容体BAFFR/TACI/BCMAとの関係が複雑であるために、BAFFRがBAFFのみに反応し、TACI及びBCMAはBAFF及びAPRILの両方に反応すること、並びに、それぞれが様々な多量体を形成することが考えられる。
このように、全身性エリトマトーデスの治療薬であるIFN−I受容体阻害剤及びBAFF阻害剤について、それらの治療薬が有効な患者の絞り込みを行う手段はこれまで存在していなかった。
そこで、本発明の目的は、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を行った結果、SLEの疾患増悪因子を特異的に結合でき、且つ、当該憎悪因子によって応答又は活性化が誘導される制御領域と、制御領域の応答又は活性化により発現が誘導されるレポーター遺伝子を組み込んだレポーター細胞を用い、当該憎悪因子でレポーター細胞を刺激してレポーター遺伝子の発現を誘導したところ、レポーターシグナルが増悪因子の定量性に優れていることを見出した。その上、これまでSLE患者群における憎悪因子それぞれの分布は知られていなかったところ、レポーター細胞で憎悪因子を定量することで、IFN−Iを多く発現している群と、BAFFを多く発現している群とがあることを発見し、これにより、レポーター細胞が、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬として有用であることも見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. IFN−I受容体を発現しており、IFN−I誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞を含む、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬。
項2. 前記細胞がヒト胎児腎細胞である、請求項1に記載のコンパニオン診断薬。
項3. BAFF/APRIL受容体又はBAFF受容体を発現しており、BAFF/APRIL誘導性制御領域又はBAFF誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞を含む、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬。
項4. 前記BAFF/APRIL受容体が、BCMA、TACI及びBAFF−Rからなる群より選択される、項3に記載のコンパニオン診断薬。
項5. 前記BAFF受容体が、BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質である、項3及び4に記載のコンパニオン診断薬。
項6. 前記細胞がヒト胎児腎細胞である、項3〜5のいずれかに記載のコンパニオン診断薬。
項7. 項1又は2に記載のコンパニオン診断薬と、項3〜5のいずれかに記載のコンパニオン診断薬とを含む、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断キット。
項8. 被験動物から得られた生体試料について、項1又は2に記載のコンパニオン診断薬を用いて測定されるレポーター活性値を、IFN−I活性値として取得する工程1と、
前記生体試料について、項3〜5のいずれかに記載のコンパニオン診断薬を用いて測定されるレポーター活性値を、BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値として取得する工程2と、
前記IFN−I活性値並びに前記BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値に基づき、前記生体試料中のIFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとのうち、相対的に多く存在する全身性エリトマトーデス憎悪因子を決定する工程3と、を含む、生体試料の分析方法。
項9. 前記工程3が、
前記IFN−I活性値並びに前記BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値を、IFN−I軸とBAFF軸又はBAFF及びAPRIL軸との二次元座標系に展開する工程31と、
展開された座標が、IFN−I活性値が相対的に高くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に低いグループと、IFN−I活性値が相対的に低くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に高いグループとのいずれに属するかを決定する工程32とを含む、項8に記載の分析方法。
項10. 前記生体試料が血清である、項8又は9に記載の分析方法。
本発明によれば、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬が提供されるため、全身性エリトマトーデスの治療薬選択の根拠を得ることができる。
IFN−I用レポーター細胞(HEK−BlueTMIFN−α/β細胞)の模式図である。 リコンビナントIFN−aサンプル濃度と、図1のレポーター細胞によるSEAP活性との関係を示す。 BAFF/APRIL用レポーター細胞(HEK−Blue BCMA細胞)の模式図である。 リコンビナントBAFF及びリコンビナントAPRIL濃度と、図3のレポーター細胞によるSEAP活性との関係を示す。 BAFF/APRIL用レポーター細胞(HEK−Blue TACI細胞)の模式図である。 リコンビナントBAFF及びリコンビナントAPRIL濃度と、図5のレポーター細胞によるSEAP活性との関係を示す。 BAFF濃度と、HEK−blue−BAFFR細胞によるSEAP活性との関係を示す。 BAFF濃度と、CHO−K1−BAFFR細胞によるSEAP活性との関係を示す。 BAFF用レポーター細胞(HEK−Blue BAFFR/BCMA細胞)の作製手順を示す。 BAFF用レポーター細胞(HEK−Blue BAFFR/BCMA細胞)の作製手順(図9の続き)を示す。 BAFF用レポーター細胞(HEK−Blue BAFFR/BCMA細胞)の模式図である。 リコンビナントBAFF及びリコンビナントAPRILと、図11のレポーター細胞によるSEAP活性との関係を示す。 健康人(HC)10名又はSLE患者29名の血清の、IFN−I活性、BAFF/APRIL活性、及びBAFF活性を示す。 図1のIFN−I用レポーター細胞によって測定されたIFN−I活性と、図3のBAFF/APRIL用レポーター細胞によって測定されたBAFF/APRIL活性とを二次元散布図として展開した結果を示す。 図1のIFN−I用レポーター細胞によって測定されたIFN−I活性と、図11のBAFF用レポーター細胞によって測定されたBAFF活性とを二次元散布図として展開した結果を示す。
1.コンパニオン診断薬
本発明のコンパニオン診断薬は、全身性エリトマトーデス(SLE)治療薬に対する有効性を予測するコンパニオン診断薬として用いられるものであり、憎悪因子による刺激によってレポーター活性を生じるように設計された細胞(以下において、レポーター細胞とも記載する。)を含む。
1−1.SLE治療薬
本発明のコンパニオン診断薬が有効性を予測するSLE治療薬としては、SLEの疾患憎悪因子又はその受容体に対する抗体が挙げられる。SLEの疾患憎悪因子としては、インターフェロン(IFN−I)、B細胞活性化因子(BAFF)、増殖誘導リガンド(APRIL)が挙げられる。具体的なSLE治療薬としては、IFN−Iをターゲットとする治療薬として、IFN−I受容体の中和抗体(例えば、Anifrolumab)が挙げられ、BAFF又はBAFF及びAPRILをターゲットとする治療薬として、BAFFに対する抗体又はBAFF及びAPRILに対する抗体(例えば、Belimumab)が挙げられる。
1−2.レポーター細胞
本発明のコンパニオン診断薬に含まれるレポーター細胞は、SLE増悪因子に対する受容体を表面に安定発現しており、SLE増悪因子誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞である。このように設計されることで、レポーター細胞は、生体試料中に存在するSLE憎悪因子をレポーター活性により定量するために用いることができる。具体的には、生体試料中に存在するSLE憎悪因子がレポーター細胞表面の受容体に結合することで、SLE憎悪因子のシグナル伝達経路に対してSLE憎悪因子誘導性制御領域が応答又は活性化され、それによりレポーター遺伝子の発現(レポーター分子の産生)を誘導することができ、更に、産生されたレポーター分子に由来するシグナル量(レポーター活性)を定量することで、生体試料中に存在するSLE憎悪因子を定量することができる。
本発明において用いられるレポーター細胞は、生体試料中に存在するIFN−Iを定量するために用いられるレポーター細胞として、IFN−I受容体を発現しており、IFN−I誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞(以下において、「IFN−I用レポーター細胞」とも記載する。);並びに、BAFF及びAPRIL(以下において、「BAFF/APRIL」とも記載する。)又はBAFFを定量するために用いられるレポーター細胞として、BAFF/APRIL受容体又はBAFF受容体を発現しており、BAFF/APRIL誘導性制御領域又はBAFF誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞(以下において、それぞれ「BAFF/APRIL用レポーター細胞」又は「BAFF用レポーター細胞」とも記載する。)を含む。
1−2−1.SLE増悪因子に対する受容体
SLE増悪因子に対する受容体は、所定のSLE増悪因子に対して特異的であり、当該SLE憎悪因子の刺激を細胞内シグナルに変換して細胞の反応を開始させる機能を有するタンパク質である。
IFN−I用レポーター細胞の表面に発現しているIFN−I受容体としては、IFN−Iに対して特異的であり、IFN−Iの刺激を細胞内シグナルに変換して細胞の反応を開始させる機能を有するタンパク質であれば特に限定されず、野生型及び変異型を問わない。IFN−I受容体の具体例としては、IFNAR−1及びIFNAR−2からなる複合体等が挙げられる。
BAFF/APRIL用レポーター細胞の表面に発現しているBAFF/APRIL受容体としては、BAFF及びAPRILの両方に対して特異的であり、BAFF/APRILの刺激を細胞内シグナルに変換して細胞の反応を開始させる機能を有するタンパク質であれば特に限定され、野生型及び変異型を問わない。BAFF/APRIL受容体の具体例としては、BCMA(B細胞成熟抗原)、TACI(膜貫通活性化因子又はカルシウム調節シクロフィリンリガンド相互作用因子)及びBAFF−R(B細胞活性化因子受容体)等が挙げられる。
BAFF用レポーター細胞の表面に発現しているBAFF受容体としては、BAFFに対して特異的である一方でAPRILに対しては特異的でなく、BAFFの刺激を細胞内シグナルに変換して細胞の反応を開始させる機能を有するタンパク質であれば特に限定され、野生型及び変異型を問わない。BAFF受容体の具体例としては、上記のBAFF/APRIL受容体のうちのいずれかの細胞外領域と、上記のBAFF/APRIL受容体のうちの他のいずれかの細胞内領域とを含む融合タンパク質が挙げられ、より具体的には、BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質(以下において、「BAFFR−BCMAキメラ受容体」とも記載する。)が挙げられる。BAFFR−BCMAキメラ受容体は、BAFF−Rの細胞外領域(ECD)とBCMAの細胞内領域(ICD)とを含んでいればよく、膜貫通領域(TMD)については、BAFF−R及びBCMAのいずれの受容体の膜貫通領域を用いてもよい。従って、BAFFR−BCMAキメラ受容体は、具体的には、BAFF−RのECDと、BCMAのTMDと、BCMAのICDとを含んで構成してもよいし、BAFF−RのECDと、BAFF−RのTMDと、BCMAのICDとを含んで構成してもよい。さらに、これらのキメラ受容体においては、ECDとTMDとの間及び/又はTMDとICDとの間、好ましくはECDとTMDとの間に、例えば1〜6アミノ酸残基、好ましくは2〜5アミノ酸残基、更に好ましくは2〜4アミノ酸残基からなる他のアミノ酸配列が介入していてもよい。例えば、BAFF−RのECDと、BCMAのTMDと、BCMAのICDを含んで構成されるキメラ受容体は、BAFF−RのECDと、BCMAのTMDのECD側に隣接するアミノ酸配列(上記他のアミノ酸配列に該当する)と、BCMAのTMDと、BCMAのICDとがこの順で直接連結するように構成されていてもよい。
1−2−2.SLE憎悪因子誘導性の制御領域
本発明で用いられるレポーター細胞において、SLE憎悪因子誘導性の制御領域は、レポーター遺伝子の発現を制御しており、SLE憎悪因子で刺激されることによって、レポーター遺伝子を発現するよう応答又は活性化が誘導される領域である。SLE憎悪因子誘導性の制御領域は、当業者が適宜選択することができる。
IFN−I用レポーター細胞におけるIFN−I誘導性制御領域としては、IFN−Iの刺激に応答するプロモーター(IFN−Iシグナル応答配列)を用いることができ、野生型及び変異型を問わない。IFN−I誘導性制御領域の具体例としては、IFN誘導性ISG54プロモーター等が挙げられる。
BAFF/APRIL用レポーター細胞又はBAFF用レポーター細胞におけるBAFF/APRIL誘導性制御領域又はBAFF誘導性制御領域としては、BAFF/APRIL又はBAFFによって活性化する転写制御配列を用いることができ、野生型及び変異型を問わない。BAFF/APRIL誘導性制御領域又はBAFF誘導性制御領域の具体例としては、NF−κB遺伝子、AP−1遺伝子、NF−AT遺伝子、PPAR遺伝子、p53遺伝子、HIF−1遺伝子、CREB遺伝子等が挙げられる。これらの転写制御配列は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。好ましい転写制御配列としては、NF−κB遺伝子及びAP−1遺伝子が組み合わせられたNF−κB/AP1レポーター構造体が挙げられる。
1−2−3.レポーター遺伝子
レポーター遺伝子は、上記の制御領域の下流に連結されており、制御領域がSLE憎悪因子による刺激で応答又は刺激されることでその発現が誘導(上方制御)される。
レポーター遺伝子としては、当業者が適宜決定することができるが、例えば、分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)、ルシフェラーゼ、カタラーゼ、LacZ等の発色タンパク質の遺伝子;Venus、BFP、CFP、dsRed、EBFP、ECFP、EGFP、EYFP、FlAsH、GFP、HcRed1、mRFP1、mPlum、PhiYFP、RFP、YFP等の蛍光タンパク質の遺伝子を用いることができる。これらのレポーター遺伝子の中でも、定量感度の観点から、好ましくはSEAP遺伝子が挙げられる。
1−2−4.細胞
レポーター細胞として用いられる細胞としては特に限定されず、原核細胞及び真核細胞を問わない。原核細胞としては、大腸菌、桿菌、酵母等があげられる。真核細胞としては、好ましくは哺乳類細胞、昆虫類細胞等が挙げられ、より具体的には、ヒト胎児腎細胞(HEK293等)、骨髄腫(SP2/0、vNS0等)、肺癌腫(A549等)、結腸癌腫(HCT116等)、子宮頸癌腫(HeLa等)、リンパ球(Jurkat T、Ramos B等)、単球(THP−1等)等のヒト細胞、メラノーマ(B16等)、マクロファージ(J774、RAW 264.7等)等のマウス細胞等が挙げられる。これらの細胞の中でも、好ましくは真核細胞が挙げられ、より好ましくは哺乳類細胞が挙げられ、更に好ましくはヒト細胞が挙げられ、一層好ましくはヒト胎児腎細胞が挙げられる。
1−2−5.レポーター細胞の作製
レポーター細胞は、必要な遺伝情報を組み込んだ核酸構築物を細胞に導入する公知の方法によって作製することができる。細胞に導入するための核酸構築物は、導入する細胞に応じて、当業者が適宜設計することができる。
例えば、レポーター細胞の作製方法は、前記1−2−4に記載の細胞に、SLE増悪因子誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物を導入する工程を含むことができる。レポーター構築物は、SLE増悪因子誘導性制御領域とレポーター遺伝子とを、レポーター遺伝子が発現可能となるように公知の方法で連結することで作製することができる。なお、この工程は、既に前記1−2−4に記載の細胞にレポーター構築物が組み込まれたものを用いることで省略することもできる。このような細胞は市販されており、その例としては、invivogen社のHEK−Blue細胞(NFκBおよびAP1の結合配列の下流にSEAPを繋いだベクターがHEK293T細胞に導入されたもの)、HEK−BlueTMIFN−α/β細胞(IFN−Iシグナル応答性のISG54プロモーターの下流にSEAPを繋いだベクターがHEK293T細胞に導入されたもの)が挙げられる。
レポーター細胞の作製方法は、必要に応じ、SLE増悪因子受容体をコードする核酸を細胞に導入する工程を含んでもよい。この場合、SLE増悪因子受容体をコードする核酸と上記のレポーター構築物とを組み合わせた核酸構築物を前記1−2−4に記載の細胞に導入してもよいし、SLE増悪因子受容体をコードする核酸を単独で組み込んだ核酸構築物を、既に前記1−2−4に記載の細胞にレポーター構築物が組み込まれたものに導入してもよい。なお、この工程は、既に前記1−2−4に記載の細胞にSLE増悪因子受容体が発現しているものを用いることで省略することもできる。このような細胞は市販されており、その例としては、HEK−BlueTMIFN−α/β細胞(IFN−Iの受容体であるIFNAR1、IFNAR2がHEK293T細胞表面に発現しているもの)が挙げられる。
IFN−I用レポーター細胞の作製においては、IFN−I受容体(例えば、IFNAR1及びIFNAR2)をコードする核酸を導入することができる。
BAFF/APRIL用レポーター細胞の作製においては、BAFF/APRIL受容体(例えば、BCMA、TACI、BAFF−R)をコードする核酸を導入することができる。
BCMA、TACI、BAFF−Rをコードする核酸の配列の例としては、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3に示す塩基配列が挙げられる。また、BCMA、TACI、BAFF−Rをコードする核酸の配列の例としては、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3に示す塩基配列に相補する塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ、それぞれBCMA、TACI、BAFF−Rと同等の活性(BAFF/APRILに特異的で、BAFF/APRILにより制御領域の応答又は活性化を特異的に誘導する活性)を有する遺伝子産物(タンパク質)をコードする塩基配列も挙げられる。ここで、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列とは、5×SSPE(43.8g/L NaCl、6.9g/L NaH2PO4・H2O及び1.85g/L EDTA、NaOHでpH7.4に調整)、2×デンハルト溶液、0.5%SDS、0.1mg/mlサケ精巣DNAを含む溶液中で42℃でハイブリダイゼーション、続いて0.1×SSPE、1.0%SDSを含む溶液中、42℃で洗浄する条件、又はこれと等価の条件を含む。更に、BCMA、TACI、BAFF−Rをコードする核酸の配列の例としては、それぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3に示す塩基配列に対して、例えば85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%、特に好ましくは98%以上の同一性を有し、且つ、それぞれBCMA、TACI、BAFF−Rと同等の活性(BAFF/APRILに特異的で、BAFF/APRILにより制御領域の応答又は活性化を特異的に誘導する活性)を有する遺伝子産物(タンパク質)をコードする塩基配列も挙げられる。塩基配列の同一性は、2つの塩基配列の間の最適アライメントを決定、比較することによって算定される。塩基配列の最適アライメントは、Needlemanら(J. Mol. Biol. 48:443 (1970))の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearsonら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988))の類似性方法のためのサーチによって、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr.、Madison、WIにおけるGAP,BESTFIT,FASTA,及びTFASTA)によって、又は検分によって、Smithら(Adv. Appl. Math. 2:482 (1981))の局所相同性アルゴリズムを用いて行うことができる。配列類似性を測定するのに適したアルゴリズムはBLASTアルゴリズムであり、これはAltschul(J.Mol.Biol.215:403−410(1990))oyobiShpaer(Genomics 38:179−191(1996))に記載されている。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、National Center fwor Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)で公的に入手可能である。
また、BAFF用レポーター細胞の作製においては、BAFF受容体(具体的には、BAFF/APRIL受容体のうちのいずれかの細胞外領域と、上記のBAFF/APRIL受容体のうちの他のいずれかの細胞内領域とを含む融合タンパク質、好ましくは、BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質)をコードする核酸配列を導入することができる。BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質をコードする核酸配列は、BAFF−Rの細胞外領域(ECD)をコードする核酸配列とBCMAの細胞内領域(ICD)をコードする核酸配列とが、膜貫通領域(TMD)をコードする核酸配列を介して連結されているキメラ遺伝子である。膜貫通領域(TMD)をコードする核酸配列は、BAFF−R及びBCMAのいずれの受容体に由来していてもよい。さらに、これらのキメラ遺伝子において、ECDをコードする核酸配列とTMDをコードする核酸配列との間及び/又はTMDをコードする核酸配列とICDをコードする核酸配列との間、好ましくはECDをコードする核酸配列とTMDをコードする核酸配列との間に、例えば3〜18塩基、好ましくは6〜15塩基、更に好ましくは6〜12塩基の他の核酸配列が介入していてもよい。例えば、BAFF−RのECDをコードする核酸配列と、BCMAのTMDをコードする核酸配列と、BCMAのICDをコードする核酸配列を含んで構成されるキメラ遺伝子は、BAFF−RのECDをコードする核酸配列と、BCMAのTMDをコードする核酸配列の上流側に隣接する核酸配列(上記他の核酸配列に該当する)と、BCMAのTMDコードする核酸配列と、BCMAのICDコードする核酸配列とがこの順で直接連結するように構成されていてもよい。このキメラ遺伝子の作成方法は、当業者が適宜決定することができるが、例えば、必要な核酸断片を、オーバーラップPCR法等の公知の方法で連結することで作製する方法が挙げられる。
BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質をコードする核酸配列の例としては、配列番号4及び配列番号5に示す塩基配列が挙げられ、好ましくは配列番号4に示す塩基配列が挙げられる。また、BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質をコードする核酸配列の例としては、配列番号4及び配列番号5に示す塩基配列に相補する塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ、それぞれBAFF−Rと同等の活性(BAFFに特異的で、BAFFにより制御領域の応答又は活性化を特異的に誘導する活性)を有する遺伝子産物(タンパク質)をコードする塩基配列も挙げられる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、前述する条件と同様である。更に、BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質をコードする核酸配列の例としては、配列番号4及び配列番号5に示す塩基配列に対して、例えば85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%、特に好ましくは98%以上の同一性を有し、且つBAFF−Rと同等の活性(BAFFに特異的で、BAFFにより制御領域の応答又は活性化を特異的に誘導する活性)を有する遺伝子産物(タンパク質)をコードする核酸配列も挙げられる。ここで、塩基配列の「同一性」については、前述する算定法により求めることができる。
レポーター細胞の作製方法は、必要に応じ、SLE増悪因子シグナル経路を得るために、当該シグナル経路を構築する遺伝子含む核酸構築物を前記の細胞に導入する工程を含んでもよい。例えば、ヒト胎児腎細胞(HEK293T細胞)をベースとしたIFN−I用レポーター細胞の作製においては、IFN−Iシグナル伝達経路を得るために、STAT2およびIRF9遺伝子を導入することができる。これによって、他の遺伝子(IFNAR1、IFNAR2、JAK1、TyK2、およびSTAT1)を自動発現することができる。なお、この工程は、既に前記1−2−4に記載の細胞にシグナル経路が構築されているものを用いることで省略することもできる。このような細胞は市販されており、その例としては、invivogen社のHEK−BlueTMIFN−α/β細胞(IFN−Iシグナル伝達経路を得るために、ヒトSTAT2およびIRF9遺伝子をHEK293細胞に安定的にトランスフェクションすることにより生成されたものであり、シグナル伝達経路を構成するIFNAR1、IFNAR2、JAK1、TyK2、及びSTAT1を自然発現させたもの)が挙げられる。
上記のレポーター構築物等の核酸構築物を前記1−2−4に記載の細胞に導入する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、当該核酸構築物を、適宜、プロモーターに作動可能(当該プロモーターによって核酸構築物の転写が制御されている状態)に連結してベクターを作製し、当該ベクターを用いて核酸構築物を上記1−2−4に記載の細胞に形質導入することができる。
上記のベクターとしては、BABEベクター等のレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ付随ウイルスベクター(AAV)等のウイルスベクターが挙げられる。ウイルスベクターは、核酸構築物及びプロモーター以外に、複製開始点、転写終結配列(ターミネーター)、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、選択マーカー等を含んでいてもよい。
前記1−2−4に記載の細胞への核酸構築物の導入は、公知の方法を用いることができる。使用して前記1−2−4に記載の細胞に導入することができる。細胞への導入をインビトロで行う場合、トランスフェクション、リポソーム、ウイルス感染などの方法を用いることができ、好ましくはウイルス感染を用いることができる。
細胞への導入をウイルス感染により行う場合は、ウイルスベクターをウイルス粒子にパッケージ化(ウイルス化)したウイルス構築物を用いることができる。ウイルス化に用いるウイルスとしては、レトロウイルス、レンチウイルス、レオウイルス、アデノ随伴ウイルス等を用いることができる。また、ウイルス化においては、上記のウイルスベクター以外に、発現効率向上及び/又は感染力向上のために、適宜他のベクターを同時にパッケージ化することもできる。発現効率向上のための他のベクターとしては、例えば、SINベクターと呼ばれる、LTRのエンハンサー/プロモーター部分を削除して安定性を高めたベクターが挙げられ、感染力向上のための他のベクターとしては、パントロピック(VSV−G)、エコトロピック(gp70)、アンホトロピック(4070A)、あるいはデュアルトロピック(10A1)等のエンベロープタンパク質をコードするベクターが挙げられる。
1−2−6.その他の成分
本発明のコンパニオン診断薬は、前記レポーター細胞の他に、緩衝液、安定化剤、防腐剤等を含んでいてもよく、また、従来公知の方法に従って製剤化されていてもよい。
2.コンパニオン診断キット
本発明のコンパニオン診断キットは、SLE治療薬に対する有効性を予測するコンパニオン診断のために用いられるものであり、上述のコンパニオン診断薬を含む。
本発明のコンパニオン診断キットに含まれるコンパニオン診断薬は、IFN−I用レポーター細胞を含むコンパニオン診断薬と、BAFF/APRIL用レポーター細胞及び/又はBAFF用レポーター細胞を含むコンパニオン診断薬とを含む。これによって、後述の生体試料の分析方法を行うことができる。
本発明のコンパニオン診断キットには、他に、発現したレポーター分子の検出を可能とする検出試薬、洗浄剤、コントロール試料、検査プロトコル等が含まれていてもよい。検査プロトコルには、後述の生体試料の分析方法を行う操作及び手順等の情報が含まれる。
3.生体試料の分析方法
本発明の生体試料の分析方法は、上記のコンパニオン診断薬を用いて、生体試料中のSLE憎悪因子を測定する方法であり、後述の工程1、工程2及び工程3を含む。また、工程3は、後述の工程31及び工程32を含むことができる。これによって、生体試料に由来する被験動物の、SLE治療薬の有効性を予測するコンパニオン診断を行うことが可能となる。なお、工程1及び工程2は、順不同であり、工程3は、工程1及び工程2の後に行う。
3−1.工程1
工程1では、被験動物から得られた生体試料について、上記のIFN−I用レポーター細胞を含むコンパニオン診断薬を用いて測定されるレポーター活性値を、IFN−I活性値として取得する。
生体試料としては、SLEに対してコンパニオン診断すべき被験動物から採取した生体試料であれば特に限定されないが、好ましくは血液試料が挙げられる。血液試料の種類はSLE憎悪因子を検出し得る限り特に限定されないが、例えば全血、血清、血漿等が挙げられる。簡便に調製することができ、より感度良くSLE憎悪因子を定量する観点から血清が好適な例として挙げられる。
被験動物としては特に限定されず、具体的には、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類及びウサギ等の実験動物;ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜;イヌ、ネコ等のペット;ヒト、サル、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。これらの被験動物の中でも、好ましくは霊長類、更に好ましくはヒトが挙げられる。
生体試料とIFN−I用レポーター細胞とを接触させることで、生体試料中のIFN−Iがレポーター細胞を刺激し、レポーター分子が発現する。
レポーター活性値の測定方法は、生じたレポーター分子の種類に応じて当業者が適宜決定することができる。例えばレポーター分子が発色タンパク質である場合は、対応する発色基質を加えて発色させ、得られたシグナルを測定することができる。また、レポーター分子が蛍光タンパク質である場合は、蛍光タンパク質そのもののシグナルを測定することができる。
3−2.工程2
工程2では、工程1の対象となった生体試料について、上記のBAFF/APRIL用レポーター細胞又はBAFF用レポーター細胞を含むコンパニオン診断薬を用いて測定されるレポーター活性値を、BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値として取得する。
生体試料とBAFF/APRIL用レポーター細胞又はBAFF用レポーター細胞とを接触させることで、生体試料中のBAFF/APRIL又はBAFFがレポーター細胞を刺激し、レポーター分子が発現する。
レポーター活性値の測定方法は、工程1と同じ方法で行うことができる。
3−3.工程3
工程3では、工程1で得られたIFN−I活性値、並びに、工程2で得られたBAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値に基づき、前記生体試料中のIFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとのうち、相対的に多く存在する全身性エリトマトーデス憎悪因子を決定する。
例えば、前記生体試料中のIFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとのうち、IFN−Iが相対的に多くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に少なく含まれていると決定される場合は、被験動物が、IFN−Iをターゲットとする治療薬に対して感受性が高いと判断することができる。また、前記生体試料中のIFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとのうち、IFN−Iが相対的に少なくBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に多く含まれていると決定される場合は、被験動物が、BAFFをターゲットとする治療薬に対して感受性が高いと判断することができる。
IFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとのうちいずれが相対的に多いかの決定は、SLE患者群から経験的に取得したIFN−I活性値とBAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値との分布データに基づいて行うことができる。この分布データにおいて、予め、「IFN−Iが相対的に多くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に少ない」群と「IFN−Iが相対的に少なくBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に多い」群と(更に、「IFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとが両方とも低い」群と「IFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとが両方とも高い」群と)の範囲を経験的に決定しておき、測定対象の生体試料のデータを当てはめることで、いずれの群に属するか、若しくはいずれの群にも属さないかを判断することができる。この分布データを、IFN−Iをターゲットとする治療薬又はBAFFをターゲットとする治療薬による治療成績を根拠に分類すると、さらに感度のよいコンパニオン診断が可能となる。
3−3−1.工程31
工程3では、工程31として、前記IFN−I活性値並びに前記BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値を、IFN−I軸とBAFF軸又はBAFF及びAPRIL軸との二次元座標系に展開する工程を含むことができる。
3−3−2.工程32
工程3では、工程31の後、展開された座標が、IFN−I活性値が相対的に高くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に低いグループと、IFN−I活性値が相対的に低くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に高いグループとのいずれに属するかを決定することができる。これによって、相対的に多く存在する全身性エリトマトーデス憎悪因子の決定を視覚的に容易に行うことができる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1:IFN−I用レポーター細胞(HEK−Blue TM IFN−α/β細胞)
(レポーター細胞)
IFN−I用レポーター細胞としては、invivogen社製のHEK−BlueTMIFN−α/β細胞を用いた。このレポーター細胞の模式図を図1に示す。このレポーター細胞は、IFN−Iシグナル経路を構築するヒトSTAT2およびIRF9遺伝子をHEK293T細胞に安定的にトランスフェクションすることにより生成されたものであり、IFN−Iシグナル経路を構築する他の遺伝子(Recetor(IFNAR1、IFNAR2)、JAK1、TyK2、およびSTAT1)も発現している。また、この細胞には、IFN−I誘導性ISG(ISG54プロモーター)及びその制御下にある誘導性SEAP(分泌型アルカリ性ホスファターゼ)レポーター遺伝子が導入されている。つまり、この細胞は、IFNによって細胞が刺激されると、Receptorを介したシグナル経路によりISGが応答し、SEAPを発現するように設計されている。
(IFNによる刺激とレポーター活性)
リコンビナントIFN−a又はIFN−bを1000U/mlで含むサンプルを8段階希釈し、希釈系列サンプルを調製した。希釈系列サンプルそれぞれと、1ウェル当たり25,000細胞のHEK−Blue−IFN−a/b細胞とを混合し、室温(37℃)で24時間培養した。培養後、培養上清のSEAP活性を取得するため、QUANTI−Blue(Invivogen)に対する発色(OD620)を吸光度計にて測定した。
これによって得られた、サンプル濃度とSEAP活性との関係を図2に示す。図2に示されるとおり、HEK−BlueTMIFN−α/β細胞は、IFN−a刺激に対して、感度が高く、且つ濃度依存的にSEAP活性を生じることが分かった。なお、HEK−BlueTMIFN−α/β細胞は、IFN−b刺激に対しても同様に、感度が高く、且つ濃度依存的にSEAP活性を生じることが分かった。
試験例2:BAFF/APRIL用レポーター細胞(HEK−Blue BCMA細胞)
(レポーター細胞の作製)
BAFF/APRIL用レポーター細胞として、以下のように、BCMA強制発現株であるHEK−Blue BCMA細胞を作製した。このレポーター細胞の模式図を図3に示す。このレポーター細胞は、BCMAが強制発現されており、HEK293T細胞にNFκBおよびAP1の結合配列の下流にSEAPを繋いだベクターが導入されたHEK−Blue細胞(invivogen社)に対して、BCMAを強制発現させた細胞である。
ヒト末梢血単核球(PBMC)から、以下のプライマーを用いたPCR増幅により、配列番号1に示すBCMAをコードするDNAを得た。
Fw: 5'-AATTCTGCAGCGGCCGCATGTTGCAGATGGCTGGG-3'(配列番号6)
Rv: 5'-GGAGAGGGGCGGATCCTTACCTAGCAGAAATTGATTTC-3'(配列番号7)
CSII−CMV−MCS−IRES2−Venus(Not1/BamH1で切断したレンチウイルスベクター;RIKEN BRC DNA BANKより入手、Cat.RDB04383)レンチウイルスベクターに、得られたPCR産物をInfusion法にて挿入し、BCMA−発現レンチウイルスベクターをクローニングした。このベクターと、VSV−G/Revプラスミド、SINプラスミドをトランスフェクトした。72時間培養後、上清を回収してPEGで濃縮し、BCMA−発現レンチウイルスを得た。
得られたウイルスをHEK−Blue細胞に感染させて形質導入し、限界希釈法にて、BCMAを発現するシングルクローン(BCMAを強制発現株;HEK−Blue BCMA細胞)を樹立した。また、蛍光活性化セルソーティング(FACS)にて、BCMAの細胞表面への発現を確認した。
(BAFF/APRILによる刺激とレポーター活性)
BCMAのリガンドであるリコンビナントBAFF及びリコンビナントAPRILを用い、試験例1と同様にして、レポーター細胞の刺激及びそれによるレポーター活性を測定した。
これによって得られた、サンプル濃度とSEAP活性との関係を図4に示す。図4に示されるとおり、HEK−Blue BCMA細胞は、BAFF/APRIL刺激に対して、感度が高く、且つ濃度依存的にSEAP活性を生じることが分かった。
試験例3:BAFF/APRIL用レポーター細胞(HEK−Blue TACI細胞)
(レポーター細胞の作製)
BAFF/APRIL用レポーター細胞として、以下のように、TACI強制発現株であるHEK−Blue BCMA細胞を作製した。このレポーター細胞の模式図を図5に示す。このレポーター細胞は、TACIが強制発現されており、HEK293T細胞にNFκBおよびAP1の結合配列の下流にSEAPを繋いだベクターが導入されたHEK−Blue細胞(invivogen社)に対して、TACIを強制発現させた細胞である。
ヒト末梢血単核球(PBMC)から、以下のプライマーを用いたPCR増幅により配列番号2に示すTACIをコードするDNAを得た。
Fw: 5'-AATTCTGCAGCGGCCGCATGAGTGGCCTGGGCCGG-3'(配列番号8)
Rv: 5'-GGAGAGGGGCGGATCCTTATGCACCTGGGCCCCC-3'(配列番号9)
CSII−CMV−MCS−IRES2−Venus(Not1/BamH1で切断したレンチウイルスベクター;RIKEN BRC DNA BANKより入手、Cat.RDB04383)レンチウイルスベクターに、得られたPCR産物をInfusion法にて挿入し、TACI−発現レンチウイルスベクターをクローニングした。このベクターと、VSV−G/Revプラスミド、SINプラスミドをトランスフェクトした。72時間培養後、上清を回収してPEGで濃縮し、TACI−発現レンチウイルスを得た。
得られたウイルスをHEK−Blue細胞に感染させて形質導入し、限界希釈法にて、BCMAを発現するシングルクローン(BCMAを強制発現株;HEK−Blue TACI細胞)を樹立した。また、蛍光活性化セルソーティング(FACS)にて、TACIの細胞表面への発現を確認した。
(BAFF/APRILによる刺激とレポーター活性)
TACIのリガンドであるリコンビナントBAFF及びリコンビナントAPRILを用い、試験例1と同様にして、レポーター細胞の刺激及びそれによるレポーター活性を測定した。
これによって得られた、サンプル濃度とSEAP活性との関係を図6に示す。図6に示されるとおり、HEK−Blue TACI細胞は、BAFF/APRIL刺激に対して、感度が高く、且つ濃度依存的にSEAP活性を生じることが分かった。
予備試験例1:HEK−blue−BAFFR細胞
HEK−Blue細胞に、BAFFのみと結合するBAFF−Rを受容体として発現させた、HEK−blue−BAFFR細胞を作製した。具体的には、Vector−builder社にてEF1a−BAFFR−T2A−RFPレンチウイルスベクターを作成し(BAFF−Rをコードする配列として用いた配列は配列番号3に示す通りであり、T2Aへの連結のため、BLASTデータベース配列から終結コドンtaaを取り除いて使用した。)、ウイルス化した後、HEK−Blue細胞に強制発現させることによって、HEK−blue−BAFFR細胞を得た。また、FACSにてBAFF−Rの細胞表面への発現を確認した。
BAFF−RのリガンドであるBAFFを用い、試験例1と同様にして、細胞の刺激及びそれによるレポーター活性を測定した。
これによって得られた、サンプル濃度とSEAP活性との関係を図7に示す。図7に示されるとおり、HEK−blue−BAFFR細胞は、BAFFに対して反応しなかった。つまり、HEK−blue−BAFFR細胞には、BAFF−RからNFκBの活性化に至るシグナル分子が欠落していると考えられる。従って、NFκBがBAFF誘導性として機能しておらず、本発明のレポーター細胞として構築されなかった。
予備試験例2:CHO−K1−BAFFR細胞
ハムスター卵巣由来細胞であるCHO−K1細胞に、AP1遺伝子及びNFκB遺伝子とSEAP遺伝子とを組み込み、BAFFのみと結合するBAFF−Rを受容体として発現させた、CHO−K1−BAFFR細胞を作製した。具体的には、InvivoGen 社より購入したpNiFty3−SEAP vector(AP1−NFkB−mIFN−βpromoter−SEAP)と、EF1a−BAFFR−T2A−RFPレンチウイルスとをレンチウイルス化して、CHO−K1細胞に複数の多重感染度(MOI)にて強制発現させることによって、CHO−K1−BAFFR細胞を得た。また、FACSにてBAFF−Rの細胞表面への発現を確認した。
BAFF−RのリガンドであるBAFFを用い、試験例1と同様にして、細胞の刺激及びそれによるレポーター活性を測定した。
これによって得られた、サンプル濃度とSEAP活性との関係を図8に示す。図8に示されるとおり、CHO−K1−BAFFR細胞は、バックグラウンドが非常に高く、濃度依存的なSEAPの産生誘導が観察されなかった。(なお、pNiFty2ベクターをHEK293細胞に形質導入した場合は、TNF−aへの反応バックグランドは低く維持されていた。)つまり、CHO−K1−BAFFR細胞は、レポーターベクターの導入により、BAFFの存在の有無にかかわらずNFκB/AP1経路が活性化するため、BAFF特異的応答ができないもの(NFκB/AP1がBAFF誘導性として機能していない)であり、本発明のレポーター細胞として構築されなかった。
予備試験例3:THP−1−BAFFR細胞
ヒト単球系細胞株THP−1細胞に、AP1遺伝子及びNFκB遺伝子とSEAP遺伝子とを組み込み、BAFFのみと結合するBAFF−Rを受容体として発現させた、THP−1−BAFFR細胞を作製した。具体的には、InvivoGen 社より購入したpNiFty3−SEAP vector(AP1−NFkB−mIFN−βpromoter−SEAP)と、EF1a−BAFFR−T2A−RFPレンチウイルスとをレンチウイルス化して、THP−1細胞に複数の多重感染度(MOI)にて強制発現させることによって、THP−1−BAFFR細胞を得た。また、FACSにてBAFF−Rの細胞表面への発現を確認した。
BAFF−RのリガンドであるBAFFを用い、試験例1と同様にして、細胞の刺激及びそれによるレポーター活性を測定した。しかしながら、THP−1−BAFFR細胞は、BAFFに対して反応しなかった。つまり、THP−1−BAFFR細胞には、BAFF−RからNFκBの活性化に至るシグナル分子が欠落していると考えられる。従って、NFκBがBAFF誘導性として機能しておらず、本発明のレポーター細胞として構築されなかった。
試験例4:BAFF用レポーター細胞(HEK−Blue BAFFR/BCMA細胞)
(レポーター細胞の作製)
BAFF用レポーター細胞として、以下のように、BAFFR/BCMAキメラ受容体発現株であるHEK−Blue BAFFR/BCMA細胞を作製した。このレポーター細胞は、BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質(キメラ受容体)を、HEK−Blue細胞(invivogen社)に対して強制発現させた細胞であり、図9〜図10に示す手順で作製された。図11に、このレポーター細胞の模式図を示す。
図9に示す工程について以下に説明する。キメラ受容体を発現するDNAのデザインは2種設計した。具体的には、キメラ受容体を発現するDNAのデザインを、(1)BAFFRの1−219bp領域と、BCMAの154−162bp領域(BCMAのTMDより9bp上流)と、BCMAの163−555bp領域(BCMAのTMD+ICD)とを結合した、配列番号4に記載のキメラ配列;又は、(2)BAFFRの1−234bp領域と、BCMAの154−162bp領域(BCMAのTMDより9bp上流)と、BCMAの163−555bp領域(BCMAのTMD+ICD)とを結合した、配列番号5に記載のキメラ配列として設計した。
先にクローニングしたEF1a−BAFFR−T2A−RFPベクターをテンプレートにして、以下のプライマーを用いたPCR増幅により、BAFF−RのECDをコードするDNAを得た。
Fw: 5'-GGCTGCCACCACGCGTGCCACCATGAGGCGAGGGccccgg-3'(配列番号10)
Rv(i): 5'-aatcgcattcgtgggcagcgccgcctcgccgg-3'(配列番号11)、又は
Rv(ii): 5'-aatcgcattcgtgagcagcccgggcaggggca-3'(配列番号12)
先にクローニングしたCSII−EF−BCMA−IRES2−Venusをテンプレートにして、以下のプライマーを用いたPCR増幅により、BCMAのTMD+ICDをコードするDNAを得た。
Fw(i): 5'-gcggcgctgcccacgaatgcgattctctggac-3'(配列番号13)、又は
Fw(ii): 5'-cccgggctgctcacgaatgcgattctctggac-3'(配列番号14)
Rv: 5'-AAAGCTGGGTTCTAGATTACCTAGCAGAAATTGATTTC-3'(配列番号15)
作成したPCR産物をテンプレートとして、BAFFR−ECD FwプライマーとBCMA TMD+ICD Rvプライマーとを用いて、overlapping PCRにより、キメラ受容体をコードするDNAの作製を行った。
EF1a−Mlu1−EGFP−Xba1(Mlu1/Xba1で切断したレンチウイルスベクター)レンチウイルスベクターに、得られたPCR産物をInfusion法にて挿入し、NAFFR−BCMA−発現レンチウイルスベクターをクローニングした。
図10に示す工程について説明する。得られたベクターと、VSV−G/Revプラスミド、SINプラスミドをトランスフェクトした。72時間培養後、上清を回収してPEGで濃縮し、BAFFR−BCMA−発現レンチウイルスを得た。
得られたウイルスをHEK−Blue細胞に感染させて形質導入し、限界希釈法にて、図11に示すBAFFR−BCMAキメラ受容体を発現するシングルクローン(HEK−Blue BAFFR−BCMA細胞)をレポーター細胞として2種樹立した。また、蛍光活性化セルソーティング(FACS)にて、いずれのレポーター細胞においてもBAFF−Rの細胞表面への発現を確認した。
(BAFFによる刺激とレポーター活性)
2種のレポーター細胞それぞれについて、キメラ受容体のリガンドであるリコンビナントBAFFと、参考用にリコンビナントAPRILとを用い、試験例1と同様にして、レポーター細胞の刺激及びそれによるレポーター活性を測定した。
これによって得られた、サンプル濃度とSEAP活性との関係を図12に示す。図12は、(1)のDNAデザインによる受容体を発現しているHEK−Blue BAFFR−BCMA細胞の結果である。図12に示されるとおり、HEK−Blue BAFFR−BCMA細胞は、BAFF刺激に対して、感度が高く、且つ濃度依存的にSEAP活性を生じ、APRILに対しては反応しないことが分かった。なお、(2)のDNAデザインによる受容体を発現しているHEK−Blue BAFFR−BCMA細胞についても、(1)のDNAデザインによる受容体を発現しているHEK−Blue BAFFR−BCMA細胞ほどではないもののBAFF刺激に対して感度が高く、且つ濃度依存的にSEAP活性を生じ、APRILに対しては反応しないことを確認した。
試験例5:SLEの層別化
試験例1、2、3、4で得られた各レポーター細胞(HEK−BlueTMIFN−α/β細胞、HEK−Blue TACI細胞、及び(1)のDNAデザインによる受容体を発現しているHEK−Blue BAFFR−BCMA細胞)を、96ウェルプレートに2.5x104細胞ずつ播種し、24時間培養した。コンプリート培地100μlに健康人(HC)10名又はSLE患者29名の血清20μlを加えたサンプルを添加し、さらに24時間培養した。培養後、上清を回収し、SEAPの発色基質であるQUANTI−Blueを加えて30分間37℃で反応させ、吸光度計を用いて620nm吸収波長を測定した。得られたSEPA活性を、SLE憎悪因子活性(IFN−I活性、BAFF/APRIL活性、及びBAFF活性)として評価した。
結果を図13に示す。図13に示される通り、各レポーター細胞により、いずれのSLE憎悪因子活性についても、SLE患者の血清の方が健康人の血清に比べて高いことが認められた。
また、HEK−BlueTMIFN−α/β細胞によって測定されたIFN−I活性と、HEK−Blue BAFFR−BCMA細胞によって測定されたBAFF活性とを二次元散布図として展開した。結果を図14に示す。図14に示されるとおり、IFN−I活性とBAFF活性との二次元展開によって、両低値群(表中A群)、IFN−I高値BAFF低値群(表中B群)、IFN−I低値BAFF高値群(表中C群)、両高値群(表中D群)、の4群に分類できた。
更に、HEK−BlueTMIFN−α/β細胞によって測定されたIFN−I活性と、HEK−Blue TACI細胞によって測定されたBAFF/APRIL活性とを二次元散布図として展開した。結果を図15に示す。図15に示されるとおり、IFN−I活性とBAFF活性との二次元展開によって、両低値群(表中A群)、IFN−I高値BAFF/APRIL低値群(表中B群)、IFN−I低値BAFF/APRIL高値群(表中C群)、両高値群(表中D群)、の4群に分類できた。
以上の結果から、IFN−I高値群患者(B群)に対してはSLE治療薬としてAnifrolumabを、BAFF又はBAFF+APRIL高値群患者(C群)に対してはSLE治療薬としてBelimumabを選択するといった、コンパニオン診断が可能であることが認められる。
配列番号4は、BAFFRの1−219bp領域と、BCMAの154−162bp領域と、BCMAの163−555bp領域とを結合したキメラ配列である。
配列番号5は、BAFFRの1−234bp領域と、BCMAの154−162bp領域と、BCMAの163−555bp領域とを結合したキメラ配列である。
配列番号6〜15は、プライマーである。

Claims (10)

  1. IFN−I受容体を発現しており、IFN−I誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞を含む、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬。
  2. 前記細胞がヒト胎児腎細胞である、請求項1に記載のコンパニオン診断薬。
  3. BAFF/APRIL受容体又はBAFF受容体を発現しており、BAFF/APRIL誘導性制御領域又はBAFF誘導性制御領域と、前記制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを含むレポーター構築物が導入された細胞を含む、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断薬。
  4. 前記BAFF/APRIL受容体が、BCMA、TACI及びBAFF−Rからなる群より選択される、請求項3に記載のコンパニオン診断薬。
  5. 前記BAFF受容体が、BAFF−Rの細胞外領域とBCMAの細胞内領域とを含む融合タンパク質である、請求項3及び4に記載のコンパニオン診断薬。
  6. 前記細胞がヒト胎児腎細胞である、請求項3〜5のいずれかに記載のコンパニオン診断薬。
  7. 請求項1又は2に記載のコンパニオン診断薬と、請求項3〜6のいずれかに記載のコンパニオン診断薬とを含む、全身性エリトマトーデスの治療薬に対するコンパニオン診断キット。
  8. 被験動物から得られた生体試料について、請求項1又は2に記載のコンパニオン診断薬を用いて測定されるレポーター活性値を、IFN−I活性値として取得する工程1と、
    前記生体試料について、請求項3〜6のいずれかに記載のコンパニオン診断薬を用いて測定されるレポーター活性値を、BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値として取得する工程2と、
    前記IFN−I活性値並びに前記BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値に基づき、前記生体試料中のIFN−IとBAFF又はBAFF及びAPRILとのうち、相対的に多く存在する全身性エリトマトーデス憎悪因子を決定する工程3と、を含む、生体試料の分析方法。
  9. 前記工程3が、
    前記IFN−I活性値並びに前記BAFF活性値又はBAFF及びAPRIL活性値を、IFN−I軸とBAFF軸又はBAFF及びAPRIL軸との二次元座標系に展開する工程31と、
    展開された座標が、IFN−I活性値が相対的に高くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に低いグループと、IFN−I活性値が相対的に低くBAFF又はBAFF及びAPRILが相対的に高いグループとのいずれに属するかを決定する工程32とを含む、請求項8に記載の分析方法。
  10. 前記生体試料が血清である、請求項8又は9に記載の分析方法。
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