JP2021077382A - 知識管理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】知識管理システムは、知識の記録、管理において、少なくとも一つ存在する知識エントリーを管理する知識エントリー管理手段と、語彙として、他の知識エントリーないし他の知識エントリーの属性記述への参照リンクを利用可能とする属性記述を記録、管理する知識エントリー属性記述管理手段と、文書作成において、知識記述への参照リンクを持つ語彙(参照語彙)を利用可能とした参照語彙を用いた文書作成手段と、を備える。
【選択図】図1
Description
初期には、「もしAならばBである」、「もしBならばCである」などの判断ルールを蓄積しておき、「DはAである」という命題が与えられたとき、事前に蓄積された判断ルールを順次適用し、「DはCである」と推論するエキスパートシステムが開発された。感染症に対する最適な抗生剤を推論する「MYCIN」が知られている。
ここで、「音楽家」という上位概念の下に、「バイオリン奏者」や「指揮者」、「作曲家」等などの下位概念が展開されている。このように、概念を構造的に記述すると(オントロジー:ontology)、ウェブ上に「Eは音楽家である」という直接的な記述がなくても、「Eはバイオリン奏者であるから、音楽家でもある」ことが推論され、前記の問いに正しく答えることができる。
ここで、多分野の概念を横断的に検索できるように、個々の概念や関係を、XMLなど書式を用いて、統一的な様式で記述しておく必要がある。この統一的な様式の一例として、RDF(Resource Description Framework)が提唱されている。概念や関係を個々の断片ごとに記述するやり方は、Prologなどのプログラム言語との相性が良く、リレーショナルデータベースとも馴染みやすい。
セマンティック ウェブでは、オントロジーなどの構造的な記述により、「バイオリン奏者」や「指揮者」、「作曲家」等も「音楽家」の下部概念に含まれるという、いわば常識を活用して、ある程度あいまいな検索にも対応できるようになってきた。
しかしながら、実際に具体的なオントロジーを構築してみると、記述形式の自由度が余りにも大きい故に、同一内容でも複数の記述様式が可能であり、構築者によって記述された構造がゆらいでしまう。
このため、同じ内容であっても、異なる記述様式となる場合が多い。このため、複数のオントロジーを複数の人間が並行作業で構築した場合に、記述様式の不整合による混乱が生じてくる。
また、様々な記述のやり方が混在するため、展開されたオントロジーを見ても容易に理解できないことが多く、可読性が悪いことが多い。
大量の知識を効率的に記述していくには、コンピュータが理解できる形式であることは言うまでもないが、人が見ても容易に理解できる可読性も必要である。
特別な知識や技能が無くても容易に知識記述ができること、見て簡単に矛盾点などを指摘できることは、WEB2.0で推奨されているように、或る分野では知識を持っていてもコンピュータに関しては専門家でないたくさんの人たちが、ウェブを介して協力しながら、同時並行でオントロジーなどを構築してゆくのに不可欠な特性である。また、このような知識記述に裏付けられた文書を作成することは、正確な理解を容易にするうえで有用であろう。
さらに、親知識エントリーのエントリー属性記述を子知識エントリーが継承することで、属性記述を重複して記述する必要をなくすことである。
別の領域に関しては、名前空間で分離された別の独立した知識ツリー群としての管理を可能とすることで、他領域での知識ツリーや知識エントリー名の重複を気にせずに興味ある領域に専念することが出来ることである。
このような知識管理の枠組みを確立することで、機械処理が可能なのは勿論、人が見ても内容が一覧できる良好な可読性と、誰が作成しても記述の揺らぎがない知識管理システムを構築し、柔軟で高度な検索や推論を可能とする知識処理の基盤を提供することである。
また、前記の知識管理システムの一部ないし全部を抽出して別の知識管理システムへ統合するといった知識管理システムの再構成を可能とすることで、知識管理システムの柔軟な運用を可能とすることである。
また、構築された知識管理システムの内容を閲覧できるだけでなく、知識管理システムに対する問い合わせ、知識管理システムからの応答を可能として、現実社会での有効な活用を可能とすることである。さらにユーザーの実行権限を管理すること、検索のスコープを設定可能とすることで、破壊や混乱に対するセキュリティを確保することである。
知識エントリー属性記述管理手段を備えるので、知識エントリーに関する属性記述を記録、管理する。
属性記述は用いる語彙として、当該語彙を定義ないし説明している他の知識エントリーないし他の知識エントリーの属性記述を用い、併せて当該他の知識エントリーないし他の知識エントリーの属性記述への参照リンクを利用可能としている。
参照語彙を用いた文書作成手段を備えるので、知識エントリー属性記述管理手段で管理されている知識エントリーを語彙として、さらに当該知識エントリーへの参照リンクを保持した文書を作成する。
知識エントリー親子関係リンクを備えるので、知識エントリーに関する属性を記述する知識エントリー属性記述と、当該知識ツリーの他の知識エントリーとの親子関係を記述する。
ツリー型知識管理手段は、異なる又は同一の知識ツリーに属する知識エントリー、または当該知識エントリーのエントリー属性記述で定義された語彙と、当該語彙に対する参照リンクを含んでいる。
知識問い合わせ返答手段を備えるので、問い合わせの内容に対して返答を行う。
動物の知識エントリーを例にとっている(知識エントリー管理手段)。
個々の知識エントリーは、その属性記述を有するが(知識エントリー属性記述管理手段)、体表の状態、四肢の状態、体温などの属性カテゴリーに分けて記述している(知識エントリー属性カテゴリー管理手段)。
属性記述に用いられる語彙は、他の知識エントリーないし当該知識エントリーの属性で定義されている語彙(参照語彙)と当該語彙への参照リンクを有している(参照リンク)。
前記参照語彙を用いた文書作成手段においては、前記知識エントリー属性記述管理手段で管理されている知識エントリーを語彙として、さらに当該知識エントリーへの参照リンクを保持した文書を作成することで、知識記述に裏付けられた文書作成を可能とすることである。図1の文書例では、犬、鳥、恒温、支持前脚、支持後脚などが参照語彙となる。ここで「ヒト」は、前記知識エントリー属性記述管理手段で管理されている知識エントリーの語彙としては、まだ未定義の状態である。このように、文書内のキーワードは参照語彙を用いるのが望ましいが、自明なものや、過渡的に未定義な語彙を用いてもよい。
この様な構成をとることで、文書中に不明な語彙があった際には、参照リンクをたどって当該語彙を定義している知識エントリーや知識エントリー属性記述を参照したり、さらには後述の親子関係リンクなどを辿って関連の知識エントリーや知識エントリー属性記述の閲覧を行うことで、理解を深めることができる。また、図9に示すように、文書中に参照語彙が出現するたびに、当該語彙の知識エントリーへの参照リンクをカウントアップすることで参照強度を上げ、ベイズ確率硅酸の基礎とすることができる。
知識エントリー、知識エントリー属性カテゴリー、参照リンクの管理手段の実装は、知識エントリー、知識エントリー属性カテゴリー、参照リンクのマスターファイルの作成で、また、知識エントリー属性記述はXMLないしJSONオブジェクトなどを用いて、リレーショナルデータベースなど適宜組み合わせて実装すればよい。
参照リンクは、知識エントリーの名前や属性記述を統制語彙(シソーラス)として用い、必要に応じて検索を行っても良いが、参照した語彙、参照リンク元、参照リンク先などを参照リンクマスターファイルとしてデータベース化することで検索の高速化が可能となる。
また、属性記述には重複する部分が大きいことがわかる。同じ記述が重複しているため、一部に変更が生じると、他の重複部分も変更する必要が生じ、全体の整合性保持が大変となる。この場合は、動物、哺乳類、爬虫類などの上位概念を用いて共通の属性記述を括りだせばよい。
知識エントリーを再編して階層構造を作り、下位知識エントリーの属性の共通部分を上位知識エントリーの属性として括りだして、同じ記述は一か所のみ記述するようにしている。必要に応じて、上位知識エントリーの属性を下位知識エントリーの属性に継承すればよい(知識エントリー属性記述継承手段)。
親から継承されてきた属性記述は、そのまま子知識エントリーの知識エントリー属性記述となる場合もあるが、子知識エントリーに継承されてきた属性記述とは異なる知識エントリー属性記述が存在した場合は、子知識エントリーの当該知識エントリー属性記述が、親から継承されてきた知識エントリー属性記述に対して上書きしたり追記したりすることとなる。
この上書きないし追記された知識エントリー属性記述が、孫以下の知識エントリーに対して、さらに継承されてゆくことになる。
生物の系統樹が典型的な例である。
この関係において知識エントリー属性記述継承手段が意味を持つ。
これに対して、「動物」は、「頭頚部」、「体幹」、「2本の前脚」、「2本の後脚」からなる(has-a の関係)とした知識ツリーを考えた場合、「頭頚部」や「体幹」などは、「動物」の体の一部(Part of の関係)であり、is-a 関係のような包含関係にない。
したがって知識エントリー属性継承手段は機能しない。
この場合は知識エントリーをツリー構造としてもよいが、知識エントリーを整理して見通しを良くする目的において有用であると言える。知識エントリーの数が少ない場合は、ツリー状に編成する必要なく、そのままの形で参照リンクを提供すればよい。
以下の図では、is-a 関係にある知識ツリーを主として取り上げるが、それ以外の知識ツリーや単独の知識エントリー群も、参照リンクのソースとして本発明に含まれる。
知識ツリーとして、「疾患」、「症状、検査所見」、「薬剤」などを例示している。
他にも、「処置」、「保険請求」等などが考えられる。
それぞれの知識ツリーは、親子関係で連結された知識エントリーの集合からなる。
知識ツリー群管理手段は、当該知識ツリー群内にある知識ツリーを管理する。
図5は、知識ツリーの一例として、「疾患名」知識ツリーを構成する知識エントリー群を図示している。
「疾患名」の知識エントリー群は、まず「代謝系」、「消化器系」、「運動器系」、「循環器系」などの大分類に分かれる。それぞれの大分類は、「代謝系」では「糖代謝系」、「脂質代謝系」、「アミノ酸代謝系」など中分類に分かれる。中分類の「糖代謝系」は、さらに「糖尿病」、「糖原病」などの小分類に分かれる。
ここで、知識ツリーの末端、葉に当たる「I型糖尿病」と「II型糖尿病」などが具体的な疾患名である。それらの共通属性を括りだして枝に当たる小分類、中分類、大分類などの知識エントリー群が構成され、これらは下部の分類、葉の疾患名を収容するコンテナ型知識エントリーとして機能する。
ここでは大、中、小の分類階層としたが、領域によってはさらに深い階層としても良いし、浅い階層で十分な場合もある。ここでは病態をもとにした分類基準を用いたが、他に、「項部」、「頸部」、「上肢」などの部位別の分類の規準、「炎症系」、「腫瘍系」、「感染系」、「遺伝系」などの病因別の分類の規準もある。このように分類基準による表現の揺らぎはありうるが、いずれにしても、知識管理システムの管理者が一旦分類基準を決定すれば、以後の表現の揺らぎは消失する。要は、知識管理システムの管理者が、目的に応じて分類基準を設定すれば良い。場合によっては、分類基準を異にした知識ツリーを複数併存しても良い。
マスターテーブルの形式で、当該知識ツリー群内において当該知識ツリー内の知識エントリーのIDを管理している。
知識エントリー名は、属する知識ツリー内ではユニークである必要があるが、属している知識ツリーが異なれば、図2のように定義されている知識ツリーIDで相互に区別されるため、同一の知識エントリー名も許される。
なお、本図では、知識ツリー群内の知識エントリーを、属している知識ツリーにかかわらず一元管理としているが、場合によっては、知識ツリーごとに別々にマスターテーブルを作り、知識エントリーを管理しても良い。
もし、属している知識ツリーによらず、知識ツリー群内を通してユニークな知識エントリー名とするならば、図6の第1列の知識ツリーIDは不要である。
「糖尿病」は、親知識エントリーとして「代謝系」へのリンクを持ち、さらに子知識エントリーとして、「I型糖尿病」及び「II型糖尿病」へのリンクを持っている。
<病態>としては、インシュリン分泌低下、高血糖、尿中に糖排泄などがある。
それぞれの<病態>の項目は、別の知識ツリーである「症状/所見」知識ツリーの該当する知識エントリーへの参照リンクからなっている。
このようにすることで、シソーラスのように統制語彙を用いて属性記述を行うことになり、表現のゆらぎを抑制することが出来る。
勿論ここで、従来のように直接に文字列を用いて属性記述を行ったり、文書へのリンクを張ったりしても良いが、揺らぎの抑制、また後述の参照リンクの機能の活用ができないため、好ましいとは言えない。
<合併症>として「腎不全」、「閉塞性動脈硬化症」などがある。これらの合併症への参照リンクは、同じ「疾患名」知識ツリー内の、当該知識エントリーへの参照リンクとなる。
これに対して「II型糖尿病」の病因は、肥満や糖過食などによるもので、治療は食事制限、血糖降下剤の内服、最終的には、インシュリンの注射となる。
このように、「I型糖尿病」及び「II型糖尿病」は<病因>、<治療>を異にするが、その他の<病態>や<合併症>などは、両者共通で、親知識エントリーである「糖尿病」に記述されている。
葉に当たる「I型糖尿病」及び「II型糖尿病」では、<病因>や<治療>しか記述されてなくても、親知識エントリーに当たる「糖尿病」の<病態>、<合併症>の属性記述、さらにはより上部の代謝性疾患などの属性記述が継承される。
このように、共通の属性記述を、親知識エントリーに括りだすことで、子の知識エントリーは、最小限の属性記述で済むことになる。知識エントリーの属性記述を、親子関係をたどりながら個々に見ていって頭の中で構成しても良いが、知識エントリー属性記述継承手段によって、当該知識エントリーよりも親に当たる知識エントリーの属性記述をすべて継承して表示すれば、属性記述の総合的把握が容易となる。
この上書きないし追記の使い分けは、適宜知識エントリー属性記述継承手段によって適宜設定すればよい。
これにより、当該疾患の患者記録を直接参照することが出来る。症例カルテへの参照リンクとしては、医療機関ID+患者ID、患者カルテのURL、患者カルテファイルの名など、症例情報へのアクセスを可能にするものであれば、任意の形式で良い。さらに、当該患者カルテの文書IDまで、例えば文書種類+作成年月日などを含めても良い。また、<文献>などの知識エントリー属性カテゴリーを設けて、関連する書籍やファイル、ウェブ上の文書へのリンクを記載しても良い(外部文書参照手段)。
マスターテーブルの形式で、当該知識ツリー群内において当該知識ツリー内の知識エントリー属性カテゴリーのIDを管理している。
知識エントリー属性カテゴリー名は、属する知識ツリー内ではユニークである必要があるが、属している知識ツリーが異なれば、知識ツリーIDで相互に区別されるため、同一の知識エントリー属性カテゴリー名も許される。
なお、本図では、知識ツリー群内の知識エントリー属性カテゴリーを、属している知識ツリーにかかわらず一元管理としているが、場合によっては、知識ツリーごとに別々にマスターテーブルを作り、知識エントリー属性カテゴリーを管理しても良い。
もし、知識ツリー群内でユニークな知識エントリー属性カテゴリー名を用いるならば、第1列の知識ツリーIDは不要である。また、本図で説明したような知識エントリー属性カテゴリー管理手段を用いずに、知識ツリーのルートに当たる知識エントリーに知識エントリー属性カテゴリーを直接書き込んで以下に継承させるやり方も可能であるが、検索などを自動化する際にマスターテーブル方式よりも手順が複雑になるので、特に大規模知識管理システムでは、好ましいとは言えない。また、個々の知識エントリーにユーザーが自由に知識エントリー属性カテゴリーを定義するやり方もありうるが、重複や記述の揺らぎが起こりやすく、同様に、好ましいとは言えない。
図9(a)は、図7で「糖尿病」の<病態>のなかの参照リンクである{高血糖}の構造を図示した例である。
ラベルである“高血糖”と、「症状/所見」知識ツリー内の知識エントリーである「高血糖」へのリンクから構成されている。
場合によっては、「高血糖」内の知識エントリー属性カテゴリーである<定義>にリンクしても良い。ラベルは閲覧などに際しての表示内容である。
本例のように、リンク先の知識エントリー名をそのまま用いても良いが、見易いように、“「高血糖 血糖値>140mg/dl”などとしても良い。
このようにすれば、リンク先を個別に参照する工程がなくても、容易に一覧して概要を把握することが出来る。
第1行では、“高カリウム血症”のラベル、“5%”という参照強度、および「症状/所見」知識ツリー内の「高カリウム血症」知識エントリーへの参照リンクからなっている。
様々な副作用があっても発生率は一様でない。参照強度として発生頻度の情報を持つことで、考慮すべき副作用の順番が明確となる。
また、この発生頻度は、ベイズ確率でいう事前確率となり、複数の薬剤投与化で副作用が発生した際に、原因薬剤を推定するベイズ推定に有用である。
このように、参照の強さや、参照に当たって実行するスクリプトを管理する参照特性管理手段を有することで、ベイズ推定を行って対応に役立てたり、チェックミスをなくしたりすることで、医療の安全性が向上する。さらに、前記参照特性管理手段において、前記参照の強さを症例での観測頻度に応じて可変とすることで、より状況に即したベイズ推定などを行うことが可能となる。
さらに、例えば或る患者の<症状>として「発熱」を記述する際、「症状/所見」知識ツリーの「発熱」知識エントリーへの参照リンクで、前記参照特性管理手段を用いて、発熱の「あり/なし」の極性を管理しても良い。また、発熱」知識エントリーから、当該患者のカルテへの参照リンクを同時に張っても良い。このようにすれば、発熱のある患者都内患者の割合はどうか、或いは、発熱のある患者のリストが欲しいといった要求に容易に答えることが出来る。
知識ツリー名は他の知識ツリー名と重複の無いユニークなものであることが必須であるが、関知しない他の領域で同一知識ツリー名が使われると、厄介な問題を引き起こす。
この問題を避けるため、図10のように、領域毎に名前空間を設定している。これにより、知識ツリー名は名前空間+知識ツリー名となるため、他の領域の知識ツリー名を完全に分離することが出来る。図11は、名前空間IDと名前空間名を、マスターテーブルの形式で管理している(名前空間管理手段)例である。必要に応じて、名前空間IDを、図4、図6、図8の1列目に付加することにより、大規模な知識の管理も混乱なく可能となる。
まず左から第1列の名前空間のリストから此処では「医療」を選択している。
この結果、第2列には「医療」名前空間に属する知識ツリー群の名前がリストアップされる。ここで「疾患名」知識ツリーを選択すると、先ず代謝系、循環器系などの大分類のリストが示される。「代謝系」を選択すると、その下の中分類群である「糖代謝系」、「脂質代謝系」などのリストが示される。
「糖代謝系」を選択すると、その下の小分類である「糖尿病」、「糖原病」などがリストアップされる。
「糖尿病」を選択すると、知識エントリー属性カテゴリーである<病態>、<合併症>などが示される。
<病態>を選択すると、<病態>を構成する属性記述である“高血糖”や、“HbA1c高値”などの参照リンクが示される。
“高血糖”を選択すると、参照リンク先である「症状/所見」知識ツリー内の「高血糖」知識エントリーの属性カテゴリーである<定義>、<検査法>などが示される。
<定義>を選択すると、当該知識エントリー属性カテゴリーの内容が表示される。
一連の問い合わせ手続きをスクリプト等で表記し、順に自動処理することができれば効率が良い(知識問い合わせ受付手段及び知識問い合わせ返答手段)。
しかし、会社や病院によっては、セキュリティ上の理由からウェブへの接続をしない運用を行っている。このような場合、知識管理システムを構成する名前空間、知識ツリー、知識エントリー、エントリー属性記述、親子関係リンクの任意の部分を抽出して知識管理部分集合を作成し、別の知識管理システムにエクスポートする知識エクスポート手段、さらに、前記知識エクスポート手段で抽出された前記知識管理部分集合、或いは別個に構築された知識管理システムからの前記知識管理部分集合をインポートし、名前空間、知識ツリー、知識エントリー、エントリー属性記述、親子関係リンクを自知識管理システムに統合、再構成する知識インポート手段を備えることで、クラウド上で整備された知識管理システムの一部ないし全部を、自社内部の知識管理システムに取り込むことが出来る。
また、自社内で優秀な知識管理システムが構築出来て、他に購入希望者があった際は、同様の手順で、知識管理システムの一部ないし全部を、他に移植することが出来る。
関与する人間の権限やスキルに応じて、名前空間、知識ツリー、知識エントリー、知識エントリー属性カテゴリー、知識エントリー属性記述、親子関係リンクの各々の作成、編集、削除、参照の機能などについて権限の設定を行うことは不可欠である(ユーザー権限管理手段)。
これにより、理解の乏しいユーザーによる知識管理システムの破損を防止することが出来る。また、ユーザーによる参照範囲を限定することによる、秘密とすべき知識の保持が可能となる。
どの実装を用いても可能であるが、それぞれの特長/欠点がある。
まずNeo4Jは、ネットワーク状のグラフ関係を設定、表示することは得意だが、大規模処理では処理速度が必ずしも速いとは言えず、大型の知識管理システムには不向きであろう。
RDBでは、名前空間、知識ツリー、知識エントリー、知識エントリー属性カテゴリーなどのマスターテーブル管理下に、リレーションの各行ごとに、親子関係リンクや知識エントリー属性記述を行うことで本発明の知識管理システムを実装することが出来る。
検索の自由度が高く、SQLなどの問い合わせ言語も完備されており、従前からのソフトウェア資産も多いため、RDBを用いた実装が現実的であろう。
図5における<症例>内の症例リストや、「症状/所見」知識ツリー内の「高血糖」の<症例>などでは、実際に電子カルテなどを運用すれば直ぐに膨大な症例リストとなる。一属性の頻度分布は、いずれの方法を用いても容易に求められるが、「糖尿病患者で、HbA1cが10を超えて、尿たんぱくが2+以上の症例の頻度はどれくらいか?」といった、複数の要因からなる頻度を大規模症例のデータから求める際は、時にRDBの処理能力を超えてしまう。このような場合は、糖尿病患者リスト、HbA1c>10の患者リスト、尿たんぱく>2+の患者リストの間で、集合演算を行う必要がある。このような場合、KVSのMapReduceによる分散処理が極めて有効である。
このように、本発明の知識管理システムは、データベースの実装方式を問わないが、基本部分をRDBで、症例リストなどの処理をKVSで行うなどの組み合わせが最も有効であろう。
例えば、本申請書では医療を例にとったが、他に教育、人事など等、同様の議論が可能である。知識ツリーや知識エントリーなどの分類基準、知識エントリー属性カテゴリーの設定などは経験のある設計者が慎重に定義する必要がある。本申請書の分類基準は一例に過ぎない。一旦分類基準が定義されると、以後の記述の揺らぎは最小限となる。
Claims (14)
- 知識の記録、管理において、少なくとも一つ存在する知識エントリーを管理する知識エントリー管理手段を備え、
知識エントリーに関する属性記述を記録、管理する知識エントリー属性記述管理手段を備え、
前記属性記述は用いる語彙として、当該語彙を定義ないし説明している他の知識エントリーないし他の知識エントリーの属性記述を用い、併せて当該他の知識エントリーないし他の知識エントリーの属性記述への参照リンクを利用可能とし、
前記知識エントリー属性記述管理手段で管理されている知識エントリーを語彙として、さらに当該知識エントリーへの参照リンクを保持した文書を作成する、参照語彙を用いた文書作成手段を備えたことを特徴とする知識管理システム。
- 知識エントリー属性記述を、カテゴリーに分けて管理する知識エントリー属性カテゴリー管理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の知識管理システム。
- 少なくとも一つの知識ツリーを管理する知識ツリー群管理手段と、前記知識ツリー毎に少なくとも一つ存在する知識エントリーを管理する知識エントリー管理手段を備え、
前記各知識エントリーは、当該知識エントリーに関する属性を記述する知識エントリー属性記述と、当該知識ツリーの他の知識エントリーとの親子関係を記述する知識エントリー親子関係リンクからなり、
前記知識エントリー属性記述は、異なる又は同一の知識ツリーに属する知識エントリー、または当該知識エントリーのエントリー属性記述で定義された語彙と、当該語彙に対する参照リンクを含んでいるツリー型知識管理手段、
を備えたことを特徴とする請求項1〜2いずれか記載の知識管理システム。
- 前記親子関係において、親知識エントリーのエントリー属性記述を子知識エントリーのエントリー属性記述へ継承する知識エントリー属性記述継承手段を有することを特徴とする請求項3記載の知識管理システム。
- 前記参照リンクにおいて、参照に当たって実行するスクリプトを管理する参照特性管理手段を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の知識管理システム。
- 前記参照特性管理手段において、前記参照の強さを観測頻度に応じて可変としたことを特徴とする請求項5記載の知識管理システム。
- エントリー属性記述に関連する外部文書に対して参照を行う外部文書参照手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の知識管理システム。
- 知識ツリーを名前空間に分類して管理する名前空間管理手段を有することを特徴とする請求項3〜7いずれか記載の知識管理システム。
- 名前空間、知識ツリー、知識エントリー、エントリー属性記述、親子関係リンクの任意の部分を抽出して知識管理部分集合を作成し、別の知識管理システムにエクスポートする知識エクスポート手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の知識管理システム。
- 前記知識エクスポート手段で抽出された前記知識管理部分集合、或いは別個に構築された知識管理システムからの前記知識管理部分集合をインポートし、名前空間、知識ツリー、知識エントリー、エントリー属性記述、親子関係リンクを再構成する知識インポート手段を備えたことを特徴とする請求項9記載の知識管理システム。
- 前記名前空間、知識ツリー、知識エントリー、知識エントリー属性カテゴリー、知識エントリー属性記述、親子関係リンクの各々の作成、編集、削除、参照の機能について、ユーザーごとに前記機能の実行権限を管理するユーザー権限管理手段を備えたことを特徴とする請求項8〜11いずれか記載の知識管理システム。
- 前記知識管理システムにおいて、前記知識エントリー間の親子関係や、前記知識エントリーの知識属性記述の内容を閲覧する知識閲覧手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の知識管理システム。
- 前記知識管理システムにおいて、記録、管理されている内容についての問い合わせを受け付ける知識問い合わせ受付手段、問い合わせの内容に対して返答を行う知識問い合わせ返答手段を備えたことを特徴とする請求項1〜12いずれか記載の知識管理システム。
- 前記名前空間、知識ツリー、知識エントリー、エントリー属性記述、親子関係リンクの各々の作成ユーザーを管理し、特定のユーザーないしユーザーグループの作成した知識管理システムの部分を、前記閲覧や知識問い合わせの検索対象範囲から除外する、あるいは逆に、特定のユーザーないしユーザーグループの作成した知識管理システムの部分のみを前記閲覧や知識問い合わせの検索対象範囲とする検索スコープ管理手段備えたことを特徴とする請求項12記載の知識管理システム。
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