JP2021076491A - グリースの物性測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転がり軸受から離れた場所で転がり軸受内の使用済みのグリースの物性の測定を可能とする装置を提供する。【解決手段】物性測定装置10は、転がり軸受から排出されるグリースが流動する流動管11と、グリースの導入口23、貯留室22、及び排出口24を有する貯留具12と、ピストン41及びピストン41を往復移動させる駆動部42を有しかつ貯留室22内のグリースにピストンを貫入させる貫入機構13と、ピストン41が貯留室22内のグリースに貫入する際の流動抵抗を測定する測定器14とを備え、ピストン41が、貯留室22内のグリースに貫入する第1の方向とその逆の第2の方向とに往復移動可能であり、貯留具12が、第2の方向のピストン41の移動を制限する規制部25を有し、ピストン41が規制部25に達したとき又は達する直前の駆動部42の負荷を軽減する負荷軽減部材73をさらに備える。【選択図】図1

Description

本発明は、コンベア用ローラを支持する転がり軸受や風力発電装置の主軸を支持する転がり軸受等に適用することができるグリースの物性測定装置に関する。
例えば、風力発電装置は、一般に、主軸に接続されたブレードにより風力を受けて当該主軸を回転させ、その主軸の回転を発電機に伝達して発電を行う。この風力発電装置の主軸は、転がり軸受によって回転自在に支持される。また、主軸には、ブレードにかかる風力で軸方向荷重や径方向荷重が負荷され、運転中に主軸に撓みが発生するため、転がり軸受には、主軸の撓みを吸収することが可能な自動調心ころ軸受が主に用いられている。
主軸を支持する転がり軸受は、内部に充填されたグリースによって潤滑されるが、当該グリースは使用によって劣化するため、劣化の程度に応じて交換する必要が生じる。従来、転がり軸受内のグリースは、風力発電装置の定期点検時に一部が取り出され、その硬さ(ちょう度)等から劣化の程度が人為的に調査され、その結果、劣化が進んでいると判断された場合に交換されるようになっていた。
また、風力発電装置の保守装置として、グリースを自動で供給する供給ポンプと、グリースの供給圧力を測定する圧力センサとを備え、転がり軸受内のグリースの劣化の程度に応じて変化するグリースの供給圧力を定期的に自動測定し、その供給圧力からグリースの劣化の程度を判断してグリースを交換する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−154472号公報
上記のように風力発電装置の定期点検に合わせて転がり軸受内のグリースの硬さ等を人為的に調査する方法では、定期点検の時期にしかグリースの交換を行うことができない。グリースの劣化が早い場合など、定期点検の時期とグリースを交換すべき時期とは必ずしも一致しないので、当該方法では適切な時期にグリースを交換できない可能性がある。また、当該方法は、グリースの硬さを調べるために高所にある風力発電装置のナセル内まで作業者が出向かなければならないので、作業が煩雑となる。
一方、特許文献1記載の技術は、グリースの自動供給を前提とした技術であるため、当該自動供給の設備を持たない風力発電装置には適用することができない。また、当該技術は、新しいグリースを転がり軸受内に供給するときの圧力から間接的に使用済みのグリースの劣化の程度を判断するため、その判断が新たに供給するグリースの影響を受けてしまう。また、転がり軸受の内部やハウジングの内部にグリースが存在しない空間が生じている場合、例えば、転がり軸受の回転によってグリースが転がり軸受外やハウジング外に押し出されたり、軸とハウジングとの間のシール等からグリースが漏れ出したりすることによって空間が生じた場合、その空間が新たにグリースを供給するときの圧力に影響を与える。以上より、特許文献1記載の技術は、グリースの劣化の程度を正確に判断し難い。
本発明は、転がり軸受から離れた場所において、転がり軸受内の使用済みのグリースに対する物性の測定を可能とする、グリースの物性測定装置を提供することを目的とする。
(1)本発明におけるグリースの物性測定装置は、転がり軸受内に一端が連通し、転がり軸受から排出されるグリースが流動する流動管と、前記流動管の他端が接続され、前記流動管からのグリースを導入させる導入口、前記導入口から導入されたグリースを貯留する貯留室、及び前記貯留室からグリースを排出させる排出口を有する貯留具と、ピストン、及び前記ピストンを往復移動させる駆動部を有しかつ前記貯留室内のグリースに前記ピストンを貫入させる貫入機構と、前記ピストンが前記貯留室内のグリースに貫入する際の流動抵抗を測定する測定器と、を備え、前記ピストンが、前記貯留室内のグリースに貫入する方向である第1の方向とその逆の第2の方向とに往復移動可能に設けられ、前記貯留具が、前記第2の方向における前記ピストンの移動を制限する規制部を有し、前記ピストンが前記規制部に到るときの前記駆動部にかかる負荷を軽減する負荷軽減部材をさらに備える。
以上の構成を有する物性測定装置では、転がり軸受内のグリースが流動管を介して貯留具の貯留室内に貯留される。貯留室内のグリースは、貫入機構によって押し出されて排出口から排出され、このときのグリースの流動抵抗が測定器により測定される。測定器で測定される流動抵抗は、グリースの物性の一つである硬さ(ちょう度)に相関するので、当該流動抵抗からグリースの硬さを求めることができる。また、グリースの硬さは劣化により変化するので、当該硬さからグリースの劣化の程度を判断し、適切な時期にグリースを交換することができる。転がり軸受内のグリースは流動管を介して貯留具の貯留室に導入されるので、転がり軸受から離れた場所でグリースの物性を測定することができる。
貫入機構におけるピストンが第2の方向に移動し、規制部によって移動が制限されると、駆動部にかかる負荷が増大する。駆動部は、このような負荷の増大により強制的に停止してしまうことがあり、継続的な動作が妨げられるおそれがある。本発明の物性測定装置は負荷軽減部材を備えているので、ピストンが規制部に到るときの駆動部にかかる負荷を軽減し、駆動部が強制停止してしまうような不都合を回避することができる。
(2) 好ましくは、前記ピストンが、前記駆動部から第2の方向の駆動力を受ける第1受け面を有し、前記駆動部が、前記第1受け面に対向して配置されかつ第2の方向の駆動力を前記第1受け面に与える駆動面を有し、前記負荷軽減部材が、前記第1受け面と前記駆動面との間に設けられた弾性体からなる。
このような構成によって、ピストンの第1受け面と駆動部の駆動面との間で弾性体が圧縮され弾性変形することにより、駆動部にかかる負荷を軽減することができる。
(3) 好ましくは、前記ピストンが、前記貯留室内に配置されたピストンヘッドと、前記ピストンヘッドを一端に備えたロッドとを有し、前記規制部が、前記ロッドを挿通させる挿通孔を有しかつ前記第2の方向のピストンヘッドの移動で当該ピストンヘッドが密着するシールを有し、前記弾性体が、前記シールよりも軟質である。
このような構成によって、シールによるシール性を損なうことなく、弾性体によって駆動部にかかる負荷を軽減することができる。
(4) 前記規制部は、前記第2の方向における前記ピストンの移動を制限する規制面を有し、前記ピストンが、前記規制面に対向して配置される第2受け面を有し、前記負荷軽減部材が、前記規制面と前記第2受け面との間に設けられた弾性体からなっていてもよい。
以上のように、ピストンの第2受け面と、規制部の規制面との間に設けられた弾性体によっても、駆動部にかかる負荷を軽減することができる。
本発明のグリースの物性測定装置は、転がり軸受から離れた場所において、転がり軸受内の使用済みのグリースの物性を直接的に検出することができる。また、物性測定装置は、駆動部にかかる負荷を軽減することができる。
第1の実施形態に係るグリースの物性測定装置を示す概略的な側面図(一部断面図)である。 物性測定装置の貯留具を示す断面図である。 物性測定装置の駆動部とピストンとの連結部分を示す側面図である。 駆動部とピストンとの連結部分における作用を説明するための側面図である。 物性測定装置の作用を説明するための断面図である。 (a)は、貯留室を拡大して示す断面説明図、(b)は、(a)のC−C矢視図である。 ピストンを第2の方向の終端まで移動させたときの状態を示す側面図である。 第2の実施形態に係るグリースの物性測定装置の、ピストン支持部を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るグリースの物性測定装置を示す概略的な側面図(一部断面図)である。
本実施形態の物性測定装置10は、転がり軸受61の内部に充填されたグリースの物性を測定する装置である。本実施形態において測定の対象となる転がり軸受61は、例えば風力発電装置の主軸70を回転自在に支持する転がり軸受である。一般に、この転がり軸受61には、ラジアル荷重及びアキシアル荷重を負荷可能でかつ主軸70の撓みを吸収可能な自動調心ころ軸受が採用される。転がり軸受61は、軸受ハウジング67に収容されている。
[転がり軸受61の構成]
転がり軸受61は、外輪62と、内輪63と、転動体64と、保持器65とを有している。外輪62は円環状に形成されている。外輪62の内周には、凹球面状の軌道面62aが形成されている。外輪62の軸方向中央部には、グリースの注入孔62bが形成されている。グリースは、軸受ハウジング67に形成された給脂口(図示省略)から軸受ハウジング67内に供給され、さらに注入孔62bから転がり軸受61内に充填される。
内輪63は円環状に形成されている。内輪63の外周には、軸方向の中央側が凸となるように複列の曲面状の軌道面63aが形成されている。内輪63の外周の軸方向両端部には、一対のつば63bが設けられている。内輪63の内周面には主軸70が圧入され、内輪63が主軸70に一体回転可能に固定される。
転動体64は、外輪62の軌道面62aと内輪63の軌道面63aとの間に転動自在に複列に配置された球面ころにより構成されている。転動体64は、一対のつば63bによって軸方向外側への移動が制限され、転がり軸受61外への脱落が防止されている。
転がり軸受61は、外輪62の軌道面62a上で転動体64が軸方向へ移動することによって主軸70の撓み等による変形を吸収することができる。
軸受ハウジング67は、ハウジング本体68と、2つの蓋69とを備えている。
ハウジング本体68には、外輪62を嵌合させるための装着孔68aが形成されている。外輪62の外周面は、装着孔68aに嵌合されている。
蓋69は、ハウジング本体68の装着孔68aと主軸70との間の環状の空間を軸方向両側から覆っている。言い換えると、蓋69は、転がり軸受61の外輪62と内輪63との間の環状空間を軸方向両側から塞いでいる。蓋69は、中央に主軸70を通すための開口69aが形成された円板形状に形成されている。蓋69は、ハウジング本体68の軸方向側面にボルト等によって固定されている。転がり軸受61側に位置する蓋69の一端面には、外輪62側へ向けて突出し、ハウジング本体68の装着孔68aに嵌合される環状の突条部69bが設けられている。
転がり軸受61の外輪62と内輪63との間の環状空間にはグリースが充填される。また、グリースは、蓋69によって外部への漏洩が阻止されている。そして、蓋69には、転がり軸受61に充填されたグリースを外部に排出するための排出孔69cが形成されている。この排出孔69cは、転がり軸受61に充填されたグリースを物性測定装置10に供給するために利用される。
[物性測定装置10の構成]
物性測定装置10は、流動管11と、貯留具12と、貫入機構13と、測定器14とを備えている。
(流動管11)
流動管11は、グリースを流動させることができる管である。流動管11の一端は、軸受ハウジング67の蓋69に形成された排出孔69cに接続されている。したがって、流動管11の一端は、転がり軸受61内に連通されている。流動管11は、転がり軸受61内から排出孔69cを介して排出されるグリースを流動させることができる。流動管11には逆止弁16が設けられている。この逆止弁16によって転がり軸受61から排出される方向のグリースの流動が許容され、その逆方向のグリースの流れが阻止されている。
(貯留具12)
図2は物性測定装置10の貯留具12を示す断面図である。
貯留具12は、グリースの物性を測定するために内部にグリースを貯留させるものである。貯留具12は、金属又は硬質樹脂等により形成された略直方体形状の本体21と、ピストン支持部25とを備える。本体21には、貯留室22、導入口23、排出口24、及び取付孔30が設けられている。
貯留室22は、グリースを貯留させる空間であり、本体21の内部に形成されている。貯留室22は、本体21の長手方向に沿って形成された円筒形状の孔により構成されている。貯留室22内には、後述する貫入機構13のピストンヘッド41aが貯留室22の長さ方向(筒軸心方向)に沿って移動自在に収容されている。また、貯留室22の長さ方向の一端側(図2において右側)には、絞り部(オリフィス)22aが形成されている。絞り部22aは、貯留室22の横断面積を急激に縮小させるものである。
導入口23は、貯留室22の外部から貯留室22内にグリースを導入するための開口である。導入口23は、本体21の一側面21aと、貯留室22の長さ方向の他端側(図2において左側)の周面とにわたって形成された円筒形状の孔である。導入口23の中心線(筒軸心)O2は、貯留室22の中心線(筒軸心)O1と直交した関係にある。導入口23には、継手26が取り付けられ、継手26には流動管11の他端が接続されている。したがって、流動管11を流れるグリースは、導入口23から貯留室22内に導入される。
排出口24は、貯留室22内に貯留されたグリースを本体21外へ排出するための開口である。排出口24は、本体21の長手方向の一端面21bと、貯留室22の長さ方向の一端部との間に形成された円筒形状の孔である。排出口24の中心線(筒軸心)は、貯留室22の中心線O1と一致し、排出口24と貯留室22とは一直線上に形成されている。この排出口24には、継手27を介して排出管28が接続されている。
ピストン支持部25は、後述する貫入機構13のピストン41を支持するものである。ピストン支持部25は、シール31と、支持部材32と、固定部材34とを有し、本体21の取付孔30に固定されている。
取付孔30は、本体21の長手方向の他端面21cと貯留室22の長さ方向の他端部との間に形成された円筒形状の孔である。取付孔30の中心線と貯留室22の中心線O1とは一致し、両者は一直線上に配置されている。取付孔30の内径は、貯留室22の内径よりも大きい。したがって、取付孔30と貯留室22の境界には、両者の内径差による段差面30aが形成されている。
取付孔30には、段差面30a側から順に、シール31と支持部材32とが収容されている。シール31は、ゴム等の弾性材料により形成されている。シール31は、円環状(リング状)に形成されている。シール31の外径は、取付孔30の内径と略同じか当該内径よりもやや小さい。シール31の内径は、ピストン41のピストンロッド41bの外径よりもやや大きい。シール31の中心孔31aは、ピストンロッド41bが挿通される挿通孔31aとされている。シール31は、その一端面が段差面30aに密着している。また、シール31は、その一端面にピストン41のピストンヘッド41aが密着することによって、貯留室22と取付孔30との間の空気の流通を阻止する。
支持部材32は、金属又は合成樹脂により形成されている。支持部材32は、外形が取付孔30の内径と略同じかやや小さい円筒形状に形成されている。支持部材32の中心には挿通孔32aが形成されている。挿通孔32aの内径は、ピストン41のピストンロッド41bの外径よりもやや大きい寸法に形成されている。挿通孔32aにはピストンロッド41bが挿通されている。支持部材32は、ピストンロッド41bを摺動自在に支持している。
固定部材34は、取付孔30に収容されたシール31及び支持部材32を取付孔30内で固定している。固定部材34は、略円筒形状に形成され、その外周面の一部に雄ネジ34aが形成されている。固定部材34の雄ネジ34aは、取付孔30の内周面の一部に形成された雌ネジ30bに締結されている。固定部材34の一端面は、支持部材32の一端面に接触している。固定部材34は、支持部材32を介してシール31を段差面30aに密着させている。
ピストン支持部25は、ピストン41が図2の左方向(第2の方向)に移動したときのピストン41の移動を制限する「規制部」を構成している。また、支持部材32の一端面32bは、ピストン41の移動を制限する規制面を構成し、ピストンヘッド41aの一端面41a1は、規制面に対向する第2受け面41a1を構成する。
(貫入機構13)
図1に示すように、貫入機構13は、ピストン41と、駆動部42とを備えている。図2に示すように、ピストン41は、ピストンヘッド41aと、ピストンロッド41bとを有する。
ピストンヘッド41aは、円柱形状に形成され、貯留室22に収容されている。ピストンヘッド41aの外径は、貯留室22の内径よりも小さい。したがって、ピストンヘッド41aの外周面と貯留室22の内面との間に隙間Tがある状態(図6参照)で、ピストンヘッド41aが貯留室22内を中心線O1に沿って移動可能である。隙間Tは、ピストンヘッド41aと貯留室22との間の全周にわたって形成されている。ピストンロッド41bは、円柱形状の棒体により構成されている。ピストンロッド41bは、支持部材32の挿通孔32aに摺動自在に挿入されている。ピストンヘッド41aは、ピストンロッド41bの長さ方向の一端部に固定されている。ピストンロッド41bは、ピストンヘッド41aの外径よりも小さい外径を有する。
図3は、物性測定装置の駆動部とピストンとの連結部分を示す側面図である。
ピストン41は、図3に示すように、ピストンロッド41bの長さ方向の他端部に設けられた荷重受け部材41cをさらに有する。この荷重受け部材41cは、円柱状又は円板状に形成され、駆動部42からの荷重を受ける。
駆動部42は、ピストン41を駆動し、ピストン41のピストンヘッド41aを貯留室22内で排出口24に向かう方向(第1の方向)とピストン支持部25に向かう方向(第2の方向)とに往復移動させる。駆動部42は、アクチュエータ45と、押圧部材46と、連結具43とを備えている。
アクチュエータ45は、伸縮自在なシリンダ、例えばボールねじ機構を内蔵した公知の電動シリンダや、油圧等の流体圧を利用した流体圧シリンダ等により構成されている。アクチュエータ45は、シリンダ本体45aと、シリンダ本体45a内に長さ方向に移動自在に設けられたピストン部材45bとを有している。
押圧部材46は、ピストン部材45bの先端に取り付けられている。具体的に、本実施形態の押圧部材46は、ピストン部材45bの先端に球継手72を介して取り付けられている。押圧部材46は、例えば円板状に形成されている。押圧部材46の一端面(押圧面)46aと、荷重受け部材41cの一端面(荷重受け面)41c1とは対向して配置されている。
図3に示すように、連結具43は、駆動部42のアクチュエータ45とピストン41とを連結するものである。具体的に、連結具43は、取付体43aと、連結体43bと、支持体43cとを有している。これらは、例えば矩形状の板材により形成されている。また、連結具43は、側面視で略コの字状に形成されており、取付体43aと支持体43cとが互いに対向して配置され、取付体43aと支持体43cとが連結体43bによって連結されている。
取付体43aは、アクチュエータ45のピストン部材45bの先端部に取り付けられている。支持体43cには、切り欠き溝43c1又は孔が形成され、この切り欠き溝43c1等にピストン41のピストンロッド41bが挿入されている。
駆動部42のアクチュエータ45を伸長させると、押圧部材46が、ピストン41の荷重受け部材41cを図4(a)の矢印A方向(第1の方向)に押圧する。これにより、貯留具12の貯留室22内では、ピストン41のピストンヘッド41aが貯留室22の一端部(図2の左端部)から他端部(図2の右端部)まで移動する。貯留室22内にグリースが貯留されている場合、このピストンヘッド41aの移動によってピストンヘッド41aとピストンロッド41bとが貯留室22内のグリース内に貫入される。
逆に、アクチュエータ45を収縮させると、連結具43を介してピストン41が図4(b)の矢印B方向(第2の方向)に引っ張られる。具体的には、荷重受け部材41cが連結具43の支持体43cに係止し、ピストン41が矢印B方向に引っ張られる。これにより、貯留室22内では、ピストンヘッド41aが貯留室22の他端部から一端部まで移動する。以上の動作により、ピストン41のピストンヘッド41aが、貯留室22内で往復移動する。
ここにおいて、荷重受け部材41cの他端面41c2は、駆動部42の支持体43cから第2の方向Bの荷重を受ける第1受け面41c2を構成し、駆動部42の支持体43cの一端面43c2は、第1受け面41c2に第2の方向の荷重を付与する駆動面43c2を構成している。
図3に示すように、測定器14は、ピストン41が貯留室22内のグリースを押し分けて貫入する際のグリースの流動抵抗を測定するものである。具体的に、測定器14は、駆動部42のアクチュエータ45からピストン41に付与される圧力を検出し、その圧力からグリースの流動抵抗を測定するものとなっている。測定器14は、圧力センサ(感圧センサ)48と、検出回路49(図3参照)とを備える。
圧力センサ48は、圧力が付与されると電気抵抗値が変化するセンサである。圧力センサ48は、図4に示すように、押圧部材46の押圧面46aと荷重受け部材41cの荷重受け面41c1との間に配置されている。また、圧力センサ48は、押圧面46aと荷重受け面41c1とのいずれか一方に取り付けられる。本実施形態の圧力センサ48は、押圧面46aに取り付けられている。なお、押圧面46aと荷重受け面41c1とは平行に配置されている。
検出回路49は、圧力センサ48にかかる電圧値を検出信号として出力する電気回路である。この電圧値は、圧力センサ48の抵抗値の変化によって変動するため、当該電圧値から圧力センサ48に付与される圧力を換算することができる。また、貯留室22内のグリースの硬さ(ちょう度)が大きい場合、グリースの流動抵抗も高くなるので、アクチュエータ45からピストン41に付与される圧力が大きくなり、当該硬さが小さい場合、アクチュエータ45からピストン41に付与される圧力が小さくなる。したがって、圧力センサ48に付与される圧力からグリースの流動抵抗を求めることができる。
図4(a)に示すように、押圧部材46がピストン41の荷重受け部材41cを第1の方向Aに押圧しているときは、押圧部材46の押圧面46aと荷重受け部材41cの荷重受け面41c1との間に圧力センサ48が挟まれた状態になる。そのため、押圧部材46から荷重受け部材41cに付与される圧力を圧力センサ48によって測定することができる。このとき、荷重受け部材41cと、連結具43の支持体43c(実質的には、後述する弾性体73)との間には隙間tが生じている。
また、図4(b)に示すように、アクチュエータ45が連結具43を介して第2の方向Bにピストン41を引っ張っているときは、押圧部材46に取り付けられた圧力センサ48から荷重受け部材41c(実質的には、後述する弾性部材75)が隙間tをあけて離反する。そのため、圧力センサ48には荷重が付与されず、圧力は検出されない。したがって、連結具43は、貯留室22内のグリースを排出するときのみ圧力センサ48によって圧力を検出することができるように構成されている。
なお、押圧部材46の押圧面46aと荷重受け部材41cの荷重受け面41c1とが平行に配置されていないと、圧力センサ48に均等に圧力が付与されず、適切に圧力を測定できない可能性がある。そのため、荷重受け部材41cには、ゴム等の弾性部材75が設けられている。このような構成によって、押圧面46aと荷重受け面41c1との間に生じる傾きが弾性部材75によって弾性的に吸収される。
図3に示すように、球継手72は、押圧部材46の押圧面46aの向きを調整することができる。そのため、押圧面46aと、ピストン41の荷重受け部材41cの荷重受け面41c1とが平行に配置されておらず、両者の間に多少の相対的な傾きがある場合に、押圧面46a上の圧力センサ48に荷重受け面41c1が面接触するように押圧面46aの傾きが矯正される。したがって、圧力センサ48の全面に均等に荷重を付与することができる。
なお、弾性部材75と球継手72とは、略同様の作用をなすため、一方を省略してもよい。
図4に示すように、支持体43cの駆動面43c2及び荷重受け部材41cの第1受け面41c2のいずれか一方には、弾性体73が取り付けられている。本実施形態では、支持体43cの駆動面43c2に弾性体73が取り付けられている。この弾性体73は、例えば円板状に形成されている。弾性体73の外径は、ピストン41の荷重受け部材41cの外径と略同一である。弾性体73は、ゴム、スポンジ等の発泡樹脂、又はフェルト等の不織布などにより構成されている。また、弾性体73は、板バネ、コイルバネ、スプリングワッシャ等により構成されていてもよい。弾性体73は、支持体43cと荷重受け部材41cとの間で強く挟まれることによって圧縮され、弾性変形する。
図7は、ピストンを第2の方向の終端まで移動させたときの状態を示す側面図である。
図7に示すように、ピストン41を第2の方向Bに移動させたとき、ピストンヘッド41aがシール31に密着することによってピストン41の移動が制限される。このとき、駆動部42のアクチュエータ45がさらに収縮しようとすると負荷が過大となり、アクチュエータ45に備わるリミッタが作動して強制的にアクチュエータ45が停止してしまうことがある。例えば、物性測定装置10の組立の際に、貯留具12と貫入機構13との中心線O1に沿った方向の間隔が、組み付け誤差等によって広くなると、上記のようにアクチュエータ45に過負荷がかかり、アクチュエータ45が強制的に停止されるため、停止解除のために処置が必要となり、物性測定装置10の組立作業が煩雑になる。
本実施形態の物性測定装置10では、支持体43cの第1駆動面43c2に、弾性体73が設けられており、ピストンヘッド41aがシール31に密着することによってピストン41の移動が制限されても、弾性体73が弾性変形することによってピストン41の移動がわずかに許容される。これによりアクチュエータ45にかかる負荷が軽減され、リミッタが作動するのを抑制し、物性測定装置10の組立作業等を容易に行うことができる。
弾性体73は、ピストン41を第2の方向Bに移動させている間の弾性変形が小さく、ピストン41がピストン支持部25に到ると弾性変形が大きくなるように、その硬さが選定されている。また、弾性体73は、ピストン支持部25に設けられたシール31よりも軟質な部材により形成されている。弾性体73がシール31よりも硬質であると、弾性体73がアクチュエータ45にかかる負荷を十分に軽減できなくなる可能性があるからである。逆に、シール31が弾性体73よりも軟質であると、十分にシール性を確保できなくなる可能性があるからである。
[物性測定装置10の作用]
以下、物性測定装置10の作用について説明する。図5は、物性測定装置10の作用を説明するための断面図である。
図5(a)に示すように、まず、貯留具12の貯留室22内に、転がり軸受61内のグリースが導入され、貯留される。具体的には、貯留具12の排出口24に接続された排出管28にポンプ等の吸引装置(図示省略)が接続され、この吸引装置により貯留室22内が負圧とされることによって、転がり軸受61内のグリースが流動管11を介して貯留室22内に吸引される。このとき、ピストン41のピストンヘッド41aは、アクチュエータ45によって第2の方向Bへ引っ張られ、ピストン支持部25におけるシール31に密着している。そのため、貯留室22とピストン支持部25の取付孔30との間の空気の漏洩を防止することができる。
次いで、吸引装置による負圧の発生を停止し、図5(b)(c)に示すように、アクチュエータ45が作動することによってピストン41が第1の方向Aに移動し、ピストン41が貯留室22内のグリース内に貫入し、一部のグリースが排出口24に押し出され排出口24から排出される。このとき、流動管11には、逆止弁16(図1参照)が設けられているので、図5(b)に示す位置にピストンヘッド41aが移動するまでの間、グリースが流動管11を介して転がり軸受61側へ逆流することが防止される。
また、貯留室22の排出口24側の端部には絞り部22aが設けられているので、ピストン41が貯留室22内のグリースに貫入する際のグリースの流動抵抗が高められる。そのため、アクチュエータ45からピストン41に付与される圧力を圧力センサ48によって確実に検出することができる。
本実施形態では、転がり軸受61内のグリースが流動管11を介して貯留具12に送られるので、転がり軸受61から離れた位置でグリースの物性を測定することが可能となる。そして、物性の測定結果に基づいてグリースの劣化の程度を判断し、適切な時期にグリースを交換することができる。さらに、本実施形態の物性測定装置10は、転がり軸受61内で使用された劣化したグリースの物性を直接測定することができる。
図6に示すように、本実施形態のピストン41は、貯留室22の内径d2よりも小さい外径d1を有するピストンヘッド41aを有し、貯留室22の内面とピストンヘッド41aの外周面との間には、全周にわたって隙間Tが形成されている。
以上のようなグリースの物性測定を開始する際に、排出管28内にグリースが残存していると、そのグリースが抵抗となり圧力センサ48で検出される圧力に影響を与える。例えば、排出管28内に残存するグリースが多い場合は、ピストン41が、貯留室22内のグリースに貫入し、一部のグリースが排出口24に押し出され、貯留室22内のグリースの流動抵抗が大きくなり、圧力センサ48で検出される圧力も大きくなる。逆に、排出管28内に残存するグリースが少ない場合は、ピストン41が貯留室22内のグリースに貫入し、一部のグリースが排出口24から容易に押し出され、貯留室22内のグリースの流動抵抗が小さくなり、圧力センサ48で検出される圧力も小さくなる。したがって、圧力センサ48で検出される圧力にバラツキが生じ、同じ硬さのグリースであっても流動抵抗の測定結果が異なってしまう可能性がある。
本実施形態では、ピストンヘッド41aと貯留室22の内周面との間に隙間Tが形成されているので、アクチュエータ45の作動によりピストンヘッド41aが貯留室22内のグリースG内に第1の方向Aに貫入すると、グリースGは、一部が絞り部22aを通過して排出されるが、他の一部は隙間Tを通って貯留室22内を矢印α方向へ流れる。したがって、圧力センサ48は、隙間Tを通過するグリースGの流動抵抗による圧力をも検出し、その圧力は、排出管28に残存するグリースの量の影響をほとんど受けない。したがって、排出管28内にグリースが残存していたとしても、圧力センサ48で検出される圧力とグリースの硬さとの相関性を高めることができ、より正確な圧力を圧力センサ48により検出することが可能となる。
ピストンヘッド41aの外周面と貯留室22の内周面との隙間Tの大きさ(隙間Tの面積)は、絞り部22aとの関係で設定することができる。例えば、排出管28内にグリースが残存していない状態で、絞り部22aを通過するグリースの流動抵抗よりも隙間Tを通過するグリースの流動抵抗の方が大きくなるように設定することができる。
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係る物性測定装置のピストン支持部を示す断面図である。
第1の実施形態では、ピストン41がシール31に密着して移動が制限されたときのアクチュエータ45にかかる負荷を軽減するために、連結具43の支持体43cに弾性体73が設けられていた。本実施形態では、図8(a)に示すように、ピストン支持部25の支持部材32の規制面32bと、ピストンヘッド41aの第2受け面41a1との間に弾性体73が設けられている。具体的に、弾性体73は、シール31のピストンヘッド41a側の面に取り付けられている。したがって、ピストンヘッド41aは、シール31に接触せず、弾性体73に接触する。この場合、弾性体73は、気密性を有するゴム等により形成され、シールの一部として機能する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、弾性体73によってアクチュエータ45の負荷を軽減することができる。
図8(a)において、弾性体73は、シール31ではなく、ピストンヘッド41aの第2受け面41a1に取り付けられてもよい。また、弾性体73は、図8(b)に示すように、支持部材32の規制面32bとシール31との間に設けられていてもよい。
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
本発明は、風力発電装置の主軸を支持する転がり軸受に限らず、あらゆる用途で用いられる転がり軸受で使用されるグリースの物性を測定することができる。また、上記実施形態で説明した自動調心ころ軸受に限らず、あらゆる転がり軸受で使用されるグリースの物性を測定することができる。
また、物性測定装置により測定されるグリースの物性は、グリースの流動抵抗に相関があるものであれば、硬さに限定されず、硬さ以外の他の物性であってもよい。
10:物性測定装置、11:流動管、12:貯留具、13:貫入機構、14:測定器、22:貯留室、23:導入口、24:排出口、25:ピストン支持部(規制部)、31:シール、32:支持部材、32a:挿通孔、32b:規制面、41:ピストン、41a:ピストンヘッド、41a1:第2受け面、41c:荷重受け部材、41c2:第1受け面、42:駆動部、43c2:駆動面、45:アクチュエータ、61:転がり軸受、73:弾性体(負荷軽減部材)、A:第1の方向、B:第2の方向、G:グリース

Claims (4)

  1. 転がり軸受内に一端が連通し、転がり軸受から排出されるグリースが流動する流動管と、
    前記流動管の他端が接続され、前記流動管からのグリースを導入させる導入口、前記導入口から導入されたグリースを貯留する貯留室、及び前記貯留室からグリースを排出させる排出口を有する貯留具と、
    ピストン及び前記ピストンを往復移動させる駆動部を有しかつ前記貯留室内のグリースに前記ピストンを貫入させる貫入機構と、
    前記ピストンが前記貯留室内のグリースに貫入する際の流動抵抗を測定する測定器と、を備え、
    前記ピストンが、前記貯留室内のグリースに貫入する方向である第1の方向とその逆の第2の方向とに往復移動可能に設けられ、
    前記貯留具が、前記第2の方向における前記ピストンの移動を制限する規制部を有し、
    前記ピストンが前記規制部に到るときの前記駆動部にかかる負荷を軽減する負荷軽減部材をさらに備える、グリースの物性測定装置。
  2. 前記ピストンが、前記駆動部から第2の方向の駆動力を受ける第1受け面を有し、
    前記駆動部が、前記第1受け面に対向して配置されかつ第2の方向の駆動力を前記第1受け面に与える駆動面を有し、
    前記負荷軽減部材が、前記第1受け面と前記駆動面との間に設けられた弾性体からなる、請求項1に記載のグリースの物性測定装置。
  3. 前記ピストンが、前記貯留室内に配置されたピストンヘッドと、前記ピストンヘッドを一端に備えたロッドとを有し、
    前記規制部が、前記ロッドを挿通させる挿通孔を有しかつ第2の方向のピストンヘッドの移動で当該ピストンヘッドが密着するシールを有し、
    前記弾性体が、前記シールよりも軟質である、請求項2に記載のグリースの物性測定装置。
  4. 前記規制部が、前記第2の方向における前記ピストンの移動を制限する規制面を有し、
    前記ピストンが、前記規制面に対向して配置される第2受け面を有し、
    前記負荷軽減部材が、前記規制面と前記第2受け面との間に設けられた弾性体からなる、請求項1に記載のグリースの物性測定装置。
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