JP2021070632A - 癌の予防または治療剤 - Google Patents
癌の予防または治療剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021070632A JP2021070632A JP2018036432A JP2018036432A JP2021070632A JP 2021070632 A JP2021070632 A JP 2021070632A JP 2018036432 A JP2018036432 A JP 2018036432A JP 2018036432 A JP2018036432 A JP 2018036432A JP 2021070632 A JP2021070632 A JP 2021070632A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- panobinostat
- cancer
- vincristine
- cells
- component
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/395—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
- A61K31/40—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil
- A61K31/403—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil condensed with carbocyclic rings, e.g. carbazole
- A61K31/404—Indoles, e.g. pindolol
- A61K31/4045—Indole-alkylamines; Amides thereof, e.g. serotonin, melatonin
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/395—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
- A61K31/435—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
- A61K31/47—Quinolines; Isoquinolines
- A61K31/475—Quinolines; Isoquinolines having an indole ring, e.g. yohimbine, reserpine, strychnine, vinblastine
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K45/00—Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/06—Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
- A61K47/24—Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite containing atoms other than carbon, hydrogen, oxygen, halogen, nitrogen or sulfur, e.g. cyclomethicone or phospholipids
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K47/00—Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
- A61K47/06—Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
- A61K47/28—Steroids, e.g. cholesterol, bile acids or glycyrrhetinic acid
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/10—Dispersions; Emulsions
- A61K9/127—Liposomes
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
- A61P35/02—Antineoplastic agents specific for leukemia
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P7/00—Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Public Health (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
- Hematology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Diabetes (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Oncology (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Abstract
【課題】2種類の抗癌剤の併用により優れた抗癌効果が得られ、かつ副作用の少ない新たな抗癌剤併用療法の提供。【解決手段】パノビノスタット又はその塩と、チューブリン阻害剤とを組み合わせてなる、相乗的に優れた癌の予防または治療剤。単独投与では十分な効果を示さない種々の固形癌細胞に対する増殖抑制効果が得られる。これら2種類の成分をリポソーム中に内包させることにより、溶解性の異なる2成分を含有するリポソーム製剤を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は癌の予防または治療剤に関する。
パノビノスタットは、非選択的ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害剤)の1種であり、再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬として用いられている(非特許文献1)。HDAC阻害剤であるパノビノスタットは、遺伝子の転写や細胞の分化を促進する作用を有する独特な抗癌剤であり、エイズ治療薬としても注目を集めている。ところで、HDAC阻害剤としてボリノスタットも知られているが、ボリノスタットは皮膚T細胞性リンパ腫にのみ治療効果が認められているにすぎない。
一方、ビンクリスチンに代表されるチューブリン阻害剤は、微小管の重合反応を阻害することにより、細胞の有糸分裂を阻害し、軟部腫瘍、血液腫瘍などに用いられている(非特許文献2)。
ファリーダックカプセル10mg添付文書
オンコビン注射用1mg添付文書
癌の治療においては、1種類の抗癌剤投与だけでは十分な効果が得られないことが多く、複数種類の抗癌剤の併用により治療効果を得ようとする試みがなされている。しかしながら、抗癌剤の併用療法により十分な効果が得られるとは限らず、逆に副作用の増強により投与が継続できなくなることが多いのが現状である。
従って、本発明の課題は、2種類の抗癌剤の併用により優れた抗癌効果が得られ、かつ副作用の少ない新たな抗癌剤併用療法を提供することにある。
従って、本発明の課題は、2種類の抗癌剤の併用により優れた抗癌効果が得られ、かつ副作用の少ない新たな抗癌剤併用療法を提供することにある。
そこで本発明者は、パノビノスタット又はその塩と他の抗癌剤との併用投与による抗癌効果を検討してきたところ、パノビノスタット又はその塩とチューブリン阻害剤との併用により相乗的に優れた抗癌効果が得られ、また単独投与では十分な効果を示さない種々の固形癌細胞に対する増殖抑制効果が得られることを見出した。特に、そのような抗癌効果は、パノビノスタット又はその塩に、極低用量のチューブリン阻害剤を併用することで発揮されることを見出した。また、これら2種類の成分をリポソーム中に内包させれば、溶解性の異なる2成分を含有するリポソーム製剤も得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明〔1〕〜〔18〕を提供するものである。
〔1〕(A)パノビノスタット又はその塩と、(B)チューブリン阻害剤とを組み合わせてなる、癌の予防または治療剤。
〔2〕(A)パノビノスタット又はその塩と、(B)チューブリン阻害剤とを併用投与するものである〔1〕記載の癌の予防または治療剤。
〔3〕(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤とを含有する癌の予防または治療用医薬組成物である〔1〕記載の癌の予防または治療剤。
〔4〕前記チューブリン阻害剤が、ビンクリスチン又はその塩である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔5〕前記癌が、固形癌である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔6〕前記癌が、血液癌である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔7〕(A)パノビノスタット又はその塩及び(B)チューブリン阻害剤がリポソームに内包されているリポソーム製剤である〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔8〕前記リポソームの組成が、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、およびジパルミトイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせからなる群から選択される、〔7〕記載の癌の予防または治療剤。
〔9〕前記リポソームの組成が、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせであり、前記水素化ダイズホスファチジルコリンと前記コレステロールとのモル比が3:2である、〔8〕記載の癌の予防または治療剤。
〔10〕前記リポソームの組成が、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせであり、前記ジステアロイルホスファチジルコリンと前記コレステロールとのモル比が3:2である、〔8〕記載の癌の予防または治療剤。
〔11〕経口投与製剤または経静脈投与製剤である、〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔12〕経口投与製剤または経静脈投与製剤である、〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔13〕ジパルミトイルホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリンまたはジステアロイルホスファチジルコリンと、コレステロールとを用いてリポソームを調製する工程、および、
前記リポソームにパノビノスタットを混合する工程の後に、チューブリン阻害剤を混合する工程、
を含む、リポソーム製剤の製造方法。
〔14〕前記チューブリン阻害剤が、ビンクリスチン又はその塩である、〔13〕記載の製造方法。
〔15〕前記リポソームを調製する工程において、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとを用いる、〔13〕又は〔14〕記載の製造方法。
〔16〕癌の予防または治療のための、(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤との組み合わせ。
〔17〕癌の予防または治療剤製造のための、(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤との組み合わせの使用。
〔18〕(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤とを併用して投与することを特徴とする癌の予防または治療方法。
〔2〕(A)パノビノスタット又はその塩と、(B)チューブリン阻害剤とを併用投与するものである〔1〕記載の癌の予防または治療剤。
〔3〕(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤とを含有する癌の予防または治療用医薬組成物である〔1〕記載の癌の予防または治療剤。
〔4〕前記チューブリン阻害剤が、ビンクリスチン又はその塩である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔5〕前記癌が、固形癌である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔6〕前記癌が、血液癌である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔7〕(A)パノビノスタット又はその塩及び(B)チューブリン阻害剤がリポソームに内包されているリポソーム製剤である〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔8〕前記リポソームの組成が、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、およびジパルミトイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせからなる群から選択される、〔7〕記載の癌の予防または治療剤。
〔9〕前記リポソームの組成が、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせであり、前記水素化ダイズホスファチジルコリンと前記コレステロールとのモル比が3:2である、〔8〕記載の癌の予防または治療剤。
〔10〕前記リポソームの組成が、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせであり、前記ジステアロイルホスファチジルコリンと前記コレステロールとのモル比が3:2である、〔8〕記載の癌の予防または治療剤。
〔11〕経口投与製剤または経静脈投与製剤である、〔3〕〜〔6〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔12〕経口投与製剤または経静脈投与製剤である、〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載の癌の予防または治療剤。
〔13〕ジパルミトイルホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリンまたはジステアロイルホスファチジルコリンと、コレステロールとを用いてリポソームを調製する工程、および、
前記リポソームにパノビノスタットを混合する工程の後に、チューブリン阻害剤を混合する工程、
を含む、リポソーム製剤の製造方法。
〔14〕前記チューブリン阻害剤が、ビンクリスチン又はその塩である、〔13〕記載の製造方法。
〔15〕前記リポソームを調製する工程において、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとを用いる、〔13〕又は〔14〕記載の製造方法。
〔16〕癌の予防または治療のための、(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤との組み合わせ。
〔17〕癌の予防または治療剤製造のための、(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤との組み合わせの使用。
〔18〕(A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤とを併用して投与することを特徴とする癌の予防または治療方法。
パノビノスタット又はその塩とチューブリン阻害剤とを併用すれば、相乗的に優れた抗癌効果が得られる。特にパノビノスタットと組み合わせることにより、チューブリン阻害剤の投与量は、劇的に低減させることができるため、本発明の併用によると、特にチューブリン阻害剤に起因する副作用を大幅に低減または全く生じさせずに、長期間投与が継続でき、その結果としてさらに優れた抗癌効果が得られる。また、パノビノスタット及びチューブリン阻害剤の2成分を内包するリポソーム製剤を用いれば、2成分を効率よく同時に投与できるので、優れた抗癌効果が得られる。
本発明の癌の予防または治療剤の有効成分は、(A)パノビノスタット又はその塩と、(B)チューブリン阻害剤との組み合わせである。
(A)パノビノスタット又はその塩
パノビノスタットは、前述のようにHDAC阻害剤の1種であり、化学名(2E)−N−ヒドロキシ−3−〔4−({[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ}メチル)フェニル〕プロプ−2−エナミドである。また、パノビノスタットの塩としては、乳酸塩、酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩等の酸付加塩が挙げられるが、乳酸塩が好ましい。本明細書において、「(A)パノビノスタット又はその塩」は、「成分(A)」ともいう。
パノビノスタットは、前述のようにHDAC阻害剤の1種であり、化学名(2E)−N−ヒドロキシ−3−〔4−({[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ}メチル)フェニル〕プロプ−2−エナミドである。また、パノビノスタットの塩としては、乳酸塩、酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩等の酸付加塩が挙げられるが、乳酸塩が好ましい。本明細書において、「(A)パノビノスタット又はその塩」は、「成分(A)」ともいう。
(B)チューブリン阻害剤
チューブリン阻害剤は、微小管の重合反応を阻害する成分であり、その例としては特に限定されないが、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン等のビンカアルカロイド系化合物又はその塩、パクリタキセル、ドセタキセル等のタキサン系化合物、コルヒチン、オキシベンダゾール等が挙げられる。このうち、ビンカアルカロイド系化合物又はその塩が好ましく、ビンクリスチン又はその塩が特に好ましい。ビンクリスチンは、化学名メチル(3aR,4R,5S,5aR,10bR,13aR)−4−アセトキシ−3a−エチル−9−[(5S,7S,9S)−5−エチル−5−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−1,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−3,7−メタノ−3−アザシクロウンデシノ [5,4−b]インドール−9−イル]−6−ホルミル−5−ヒドロキシ−8−メトキシ−3a,4,5,5a,6,11,12,13a−オクタヒドロ−1H−インドリジノ [8,1−cd]カルバゾール−5−カルボキシレートとしても表すことができる。ここで、ビンカアルカロイド系化合物及びビンクリスチンの塩としては、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、酒石酸塩等の酸付加塩が挙げられる。本明細書において、「(B)チューブリン阻害剤」は、「成分(B)」ともいう。
チューブリン阻害剤は、微小管の重合反応を阻害する成分であり、その例としては特に限定されないが、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン等のビンカアルカロイド系化合物又はその塩、パクリタキセル、ドセタキセル等のタキサン系化合物、コルヒチン、オキシベンダゾール等が挙げられる。このうち、ビンカアルカロイド系化合物又はその塩が好ましく、ビンクリスチン又はその塩が特に好ましい。ビンクリスチンは、化学名メチル(3aR,4R,5S,5aR,10bR,13aR)−4−アセトキシ−3a−エチル−9−[(5S,7S,9S)−5−エチル−5−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−1,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−3,7−メタノ−3−アザシクロウンデシノ [5,4−b]インドール−9−イル]−6−ホルミル−5−ヒドロキシ−8−メトキシ−3a,4,5,5a,6,11,12,13a−オクタヒドロ−1H−インドリジノ [8,1−cd]カルバゾール−5−カルボキシレートとしても表すことができる。ここで、ビンカアルカロイド系化合物及びビンクリスチンの塩としては、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、酒石酸塩等の酸付加塩が挙げられる。本明細書において、「(B)チューブリン阻害剤」は、「成分(B)」ともいう。
本発明の癌の予防または治療剤は、前記成分(A)と成分(B)とを組み合わせてなる医薬であり、これらの成分を併用できる形態であればよい。具体的には、各成分の好ましい投与形態や投与スケジュールに基づき、各成分をそれぞれの剤形に分けて製剤化してもよく、一つの剤形にまとめて製剤化(すなわち、配合剤として製剤化)してもよく、さらに各製剤を併用に適した1個のパッケージにまとめて製造販売してもよく、各製剤を別個のパッケージに分けて製造販売してもよい。各製剤を1個のパッケージとするか別個のパッケージとする場合、成分(A)及び成分(B)を併用投与することを記載した使用説明書を含むキット製剤とすることもできる。ここで「使用説明書」とは、投与量が記載されたものであればよい。具体的には、添付文書、パンフレット等が例示される。また、使用説明書を含むキット製剤とは、キット製剤のパッケージに使用説明書が印刷・添付されているものであっても、キット製剤のパッケージに本発明の癌の予防または治療剤とともに使用説明書が同封されているものであってもよい。
各成分をそれぞれ別の剤形に分けて製剤化する場合には、例えばパノビノスタットは経口投与製剤として既に販売されているのでそのままの形態でよく、ビンクリスチンは経静脈投与製剤として既に販売されているのでそのままの形態でよい。一方、一つの剤形にまとめて製剤化する場合には、成分(A)と成分(B)とを含有する医薬組成物、例えば後述のように2成分を内包したリポソームを含有する製剤としてもよいし、他の剤形としてもよい。
成分(A)は、0.1mg〜100mg、好ましくは1mg〜50mg、より好ましくは5mg〜25mg、更に好ましくは10mg〜20mgの量で本発明の医薬に含ませることができる。成分(A)が上記範囲であることにより、本発明は、好ましい抗癌作用を発揮することができ、かつ、成分(B)との相乗効果がより顕著に発揮される。また、成分(A)は、成分(B)と併用することにより、成分(A)単独で抗癌効果を示す量よりも少ない量(例えば、1/10〜1/2)で、抗癌効果を示す可能性がある。従って、成分(A)の副作用は、成分(B)と併用することにより、低減できる可能性がある。
成分(A)は、インビトロ又はエクスビボの系において、好ましくは0.0001μM〜1μM、より好ましくは0.001μM〜0.1μM、更に好ましくは0.001μM〜0.05μMの濃度で治療対象の細胞に接触する量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(A)は、インビボの系において、好ましくは0.01ng/mL〜100ng/mL、より好ましくは0.1ng/mL〜50ng/mL、好ましくは1ng/mL〜25ng/mLの血中濃度となる量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(A)が上記範囲であることにより、本発明は、好ましい抗癌作用を発揮することができ、かつ、成分(B)との相乗効果がより顕著に発揮される。成分(A)は、成分(B)と併用することにより、成分(A)単独で抗癌効果を示す濃度よりも少ない濃度(例えば、1/10〜1/2)で、抗癌効果を示す可能性がある。従って、成分(A)の副作用は、成分(B)と併用することにより、低減できる可能性がある。
成分(A)は、インビトロ又はエクスビボの系において、好ましくは0.0001μM〜1μM、より好ましくは0.001μM〜0.1μM、更に好ましくは0.001μM〜0.05μMの濃度で治療対象の細胞に接触する量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(A)は、インビボの系において、好ましくは0.01ng/mL〜100ng/mL、より好ましくは0.1ng/mL〜50ng/mL、好ましくは1ng/mL〜25ng/mLの血中濃度となる量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(A)が上記範囲であることにより、本発明は、好ましい抗癌作用を発揮することができ、かつ、成分(B)との相乗効果がより顕著に発揮される。成分(A)は、成分(B)と併用することにより、成分(A)単独で抗癌効果を示す濃度よりも少ない濃度(例えば、1/10〜1/2)で、抗癌効果を示す可能性がある。従って、成分(A)の副作用は、成分(B)と併用することにより、低減できる可能性がある。
成分(B)は、10mg以下、好ましくは1mg以下、1μg以下、1ng以下、1pg以下、1fg以下、1ag以下の量で本発明の医薬に含ませることができる。また、成分(B)は、0g超、好ましくは1ag以上、1fg以上、1pg以上、1ng以上、1μg以上、1mg以上の量で本発明に含ませることができる。成分(B)は、例えば1ag〜10mg、好ましくは1ag〜1ng、より好ましくは1fg〜1ng、更に好ましくは1pg〜1ng、の量で本発明の医薬に含ませることができる。
成分(B)は、インビトロ又はエクスビボの系において、0M超10μM以下、好ましくは1aM〜1μM、より好ましくは1fM〜1nMの濃度で治療対象の細胞に接触する量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(B)は、インビボの系において、0g/mL超100ng/mL以下、好ましくは1zg/mL〜1ng/mL、より好ましくは1ag/mL〜1ng/mL、更に好ましくは1fg/mL〜1pg/mLの血中濃度となる量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(B)が上記範囲であることにより、本発明は、好ましい抗癌作用を発揮することができ、かつ、成分(A)との相乗効果がより顕著に発揮される。また、成分(B)は、成分(A)と併用することにより、成分(B)単剤で用いられる場合の102分の1以下、例えば103分の1以下、104分の1以下、105分の1以下、106分の1以下、107分の1以下、108分の1以下の量で、抗癌作用を示すことができる。従って、成分(B)の副作用は、成分(A)と併用することにより、大幅に低減でき、又は全く示されないレベルにまで低減させることができる。
成分(B)は、インビトロ又はエクスビボの系において、0M超10μM以下、好ましくは1aM〜1μM、より好ましくは1fM〜1nMの濃度で治療対象の細胞に接触する量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(B)は、インビボの系において、0g/mL超100ng/mL以下、好ましくは1zg/mL〜1ng/mL、より好ましくは1ag/mL〜1ng/mL、更に好ましくは1fg/mL〜1pg/mLの血中濃度となる量で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(B)が上記範囲であることにより、本発明は、好ましい抗癌作用を発揮することができ、かつ、成分(A)との相乗効果がより顕著に発揮される。また、成分(B)は、成分(A)と併用することにより、成分(B)単剤で用いられる場合の102分の1以下、例えば103分の1以下、104分の1以下、105分の1以下、106分の1以下、107分の1以下、108分の1以下の量で、抗癌作用を示すことができる。従って、成分(B)の副作用は、成分(A)と併用することにより、大幅に低減でき、又は全く示されないレベルにまで低減させることができる。
成分(A)及び成分(B)は、成分(A):成分(B)=1:1以下、成分(A):成分(B)=103:1以下、成分(A):成分(B)=106:1以下、成分(A):成分(B)=109:1以下、成分(A):成分(B)=1012:1以下、のモル比で、本発明の医薬に含ませることができる。
成分(A)及び成分(B)のモル比が上記範囲であることにより、本発明は、好ましい抗癌作用を発揮することができ、かつ、成分(A)と成分(B)との相乗効果がより顕著に発揮される。従って、成分(B)の副作用は、成分(A)と併用することにより、大幅に低減でき、又は全く示されないレベルにまで低減させることができる。
本発明の実施態様において、成分(B)は、成分(A)の抗癌作用を増強させる。本発明の別の実施態様において、成分(A)は、成分(B)の抗癌作用を増強させる。
成分(A)及び成分(B)のモル比が上記範囲であることにより、本発明は、好ましい抗癌作用を発揮することができ、かつ、成分(A)と成分(B)との相乗効果がより顕著に発揮される。従って、成分(B)の副作用は、成分(A)と併用することにより、大幅に低減でき、又は全く示されないレベルにまで低減させることができる。
本発明の実施態様において、成分(B)は、成分(A)の抗癌作用を増強させる。本発明の別の実施態様において、成分(A)は、成分(B)の抗癌作用を増強させる。
成分(A)及び成分(B)を投与することにより、癌の予防または治療方法を提供することができる。成分(A)及び成分(B)の投与は、同時であってよく、同時でなくてもよい。
本発明は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、最も好ましくはヒトに投与される。
また、成分(A)及び成分(B)の投与経路は、同じであってよく、異なっていてもよい。投与経路は、経口、経静脈、経動脈、皮下、筋肉内、経肺を含む任意の経路であってよい。
一実施態様において、成分(A)の投与は、経口投与であり、かつ、成分(B)の投与は、経静脈投与である。別の実施態様において、成分(A)及び成分(B)は、ともに経口投与である。別の実施態様において、成分(A)及び成分(B)は、ともに経静脈投与である。
本発明は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは霊長類、最も好ましくはヒトに投与される。
また、成分(A)及び成分(B)の投与経路は、同じであってよく、異なっていてもよい。投与経路は、経口、経静脈、経動脈、皮下、筋肉内、経肺を含む任意の経路であってよい。
一実施態様において、成分(A)の投与は、経口投与であり、かつ、成分(B)の投与は、経静脈投与である。別の実施態様において、成分(A)及び成分(B)は、ともに経口投与である。別の実施態様において、成分(A)及び成分(B)は、ともに経静脈投与である。
本発明において、成分(B)は、成分(A)と併用することで、成分(B)単剤の場合よりも非常に低い量(例えば、102分の1以下、103分の1以下、104分の1以下、105分の1以下、106分の1以下、107分の1以下、108分の1以下)で抗癌作用を示すことから、成分(A)とともに製剤化することができる。本発明の医薬は、経口、経静脈、経動脈、皮下、筋肉内、経肺を含む任意の経路に適するように製剤化することができる。本発明の製剤は、例えば、エアゾール剤、液剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、坐剤、錠剤、注射剤を含む、任意の剤形に製剤化できる。
好ましくは、成分(A)及び成分(B)を含む本発明は、リポソーム製剤である。本発明は、リポソーム製剤であることにより、溶解度の異なる成分(A)及び成分(B)を効率よく含むことができる。
好ましくは、成分(A)及び成分(B)を含む本発明は、リポソーム製剤である。本発明は、リポソーム製剤であることにより、溶解度の異なる成分(A)及び成分(B)を効率よく含むことができる。
本発明の癌の予防または治療剤の対象となる癌種には血液癌だけでなく固形癌が含まれる。血液癌としては、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫が挙げられる。固形癌としては、具体的には、頭頸部癌、消火器癌(食道癌、胃癌、十二指腸癌、肝臓癌、胆道癌(胆嚢・胆管癌など)、膵臓癌、小腸癌、大腸癌(結腸直腸癌、結腸癌(結腸腺癌を含む)、直腸癌など)、消化管間質腫瘍など)、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌)、乳癌、卵巣癌、子宮癌(子宮頸癌、子宮体癌など)、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、皮膚癌、肉腫(線維肉腫、滑膜肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫など)等が挙げられる。なお、ここで癌には、原発巣のみならず、他の臓器(肝臓など)に転移した癌も含む。
成分(A)又は成分(B)、それぞれ単独では固形癌に有効性は認められないが、本発明の成分(A)及び成分(B)を組み合わせてなる癌の予防または治療剤は、後記実施例に示すように多くの固形癌に対して優れた増殖抑制効果を示す。
成分(A)又は成分(B)、それぞれ単独では固形癌に有効性は認められないが、本発明の成分(A)及び成分(B)を組み合わせてなる癌の予防または治療剤は、後記実施例に示すように多くの固形癌に対して優れた増殖抑制効果を示す。
本発明の癌の予防または治療剤の投与形態は、各成分が通常採用されている投与形態でもよいが、両成分を含有する医薬組成物(配合剤)とするのが好ましい。成分(A)及び成分(B)を含有する医薬組成物の形態としては、経口投与製剤(錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤など)、注射剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤等が例示できるが、経口投与製剤又は経静脈投与製剤が好ましい。
これらの投与形態は、成分(A)及び成分(B)に加えて、薬学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を例示できる。
これらの投与形態は、成分(A)及び成分(B)に加えて、薬学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を例示できる。
成分(A)及び成分(B)を含有する医薬組成物とするにあたっては、成分(A)及び成分(B)がリポソームに内包されているリポソーム製剤とするのが好ましい。リポソーム製剤は、リポソーム、すなわち脂質二分子膜内に成分(A)及び成分(B)を内包した形態の製剤である。
リポソームを形成するリン脂質としては、(1)卵黄レシチン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリン等のジアシル基が飽和又は不飽和のリン脂質、(2)親水基がエタノールアミン、セリン、イノシトール、グリセロールであるアシル基が飽和又は不飽和のリン脂質、(3)アシル基がリソ体であるリン脂質のいずれでも良く、もちろん上記複数の組み合わせでも良い。また、リン脂質に加えて膜安定化作用を有するコレステロールを併用することもできる。
これらのリポソーム形成脂質としては、成分(A)と成分(B)の内封率の点から、リン脂質とコレステロールとの組み合わせが好ましく、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、ジパルミトイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせがより好ましく、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせがさらに好ましく、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせが最も好ましい。
また、リン脂質とコレステロールとのモル比は、成分(A)及び成分(B)の内封率の点から、10:1〜10:10が好ましく、5:1〜5:5がより好ましく、2:1〜4:3がさらに好ましく、特に3:2が好ましい。
このようにリポソーム製剤とすることにより、溶解性の異なる成分(A)及び成分(B)を好ましいモル比で効率よく治療部位に送達することができる。
これらのリポソーム形成脂質としては、成分(A)と成分(B)の内封率の点から、リン脂質とコレステロールとの組み合わせが好ましく、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、ジパルミトイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせがより好ましく、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせがさらに好ましく、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせが最も好ましい。
また、リン脂質とコレステロールとのモル比は、成分(A)及び成分(B)の内封率の点から、10:1〜10:10が好ましく、5:1〜5:5がより好ましく、2:1〜4:3がさらに好ましく、特に3:2が好ましい。
このようにリポソーム製剤とすることにより、溶解性の異なる成分(A)及び成分(B)を好ましいモル比で効率よく治療部位に送達することができる。
リポソーム製剤の製造法としては、水和法、逆相蒸発法、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エーテル注入法、凍結融解法等が挙げられる。ここで、リポソーム中に成分(A)及び成分(B)を内封させる場合、成分(A)を内封させ、次いで成分(B)を内封させる手段を採用することにより、成分(A)及び成分(B)の両者の内封率が向上する。具体的には、ジパルミトイルホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリン又はジステアロイルホスファチジルコリンと、コレステロールとを用いてリポソームを調製する工程、および、
前記リポソームに成分(A)を混合する工程の後に、成分(B)を混合する工程を採用することにより、成分(A)及び成分(B)の両者の内封率が向上したリポソーム製剤が得られる。
前記リポソームに成分(A)を混合する工程の後に、成分(B)を混合する工程を採用することにより、成分(A)及び成分(B)の両者の内封率が向上したリポソーム製剤が得られる。
本発明の成分(A)及び成分(B)を内包したリポソーム製剤は、有効成分の内封率が高いため、成分(A)及び成分(B)を効率よく投与することができる。好ましくは、本発明の成分(A)及び成分(B)を内包したリポソーム製剤は、経口投与及び経静脈投与を含む様々な投与手段に使用可能であり、癌の予防または治療剤として有用である。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
実施例1(パノビノスタットとの併用抗癌剤の探索)
1.実験方法
(スクリーニング1)パノビノスタットとの2剤併用による癌細胞の生存率の低下を指標として、併用抗癌剤のスクリーニングを実施した。
使用ライブラリー:LTTバイオファーマ既承認薬ライブラリー(株式会社LTTバイオファーマから入手した)
使用細胞:Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株((財)癌研究会 癌化学療法センターから入手した)
HDAC阻害剤:パノビノスタット
陰性コントロール:未処理
コントロール:パノビノスタット単独添加(1.0μM)
サンプル群:パノビノスタット(0.01μM、0.1μM、1.0μM)および既承認薬ライブラリー化合物(1.0μM)併用添加群
評価:Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株を播種(3,000細胞/ウェル、37℃)してから24時間後に、未処理、パノビノスタット単独(1.0μM)、またはパノビノスタット(1.0μM)と既承認薬ライブラリー化合物(1.0μM)との併用でそれぞれ処理し、その48時間後にWST−8アッセイにて前記細胞の生存率の低下を評価した。この結果、パノビノスタット単独添加の生存率の7割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。
次に、併用添加群についてパノビノスタットの最終濃度0.01μMおよび0.1μMを追加した以外は上記と同様の方法で再評価を行い、全ての濃度を通じてパノビノスタット単独添加群の生存率の5割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。
1.実験方法
(スクリーニング1)パノビノスタットとの2剤併用による癌細胞の生存率の低下を指標として、併用抗癌剤のスクリーニングを実施した。
使用ライブラリー:LTTバイオファーマ既承認薬ライブラリー(株式会社LTTバイオファーマから入手した)
使用細胞:Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株((財)癌研究会 癌化学療法センターから入手した)
HDAC阻害剤:パノビノスタット
陰性コントロール:未処理
コントロール:パノビノスタット単独添加(1.0μM)
サンプル群:パノビノスタット(0.01μM、0.1μM、1.0μM)および既承認薬ライブラリー化合物(1.0μM)併用添加群
評価:Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株を播種(3,000細胞/ウェル、37℃)してから24時間後に、未処理、パノビノスタット単独(1.0μM)、またはパノビノスタット(1.0μM)と既承認薬ライブラリー化合物(1.0μM)との併用でそれぞれ処理し、その48時間後にWST−8アッセイにて前記細胞の生存率の低下を評価した。この結果、パノビノスタット単独添加の生存率の7割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。
次に、併用添加群についてパノビノスタットの最終濃度0.01μMおよび0.1μMを追加した以外は上記と同様の方法で再評価を行い、全ての濃度を通じてパノビノスタット単独添加群の生存率の5割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。
(スクリーニング2)細胞をHCT116ヒト結腸腺癌細胞株に代えた以外はスクリーニング1と同様の方法で、パノビノスタットとの2剤併用による癌細胞の生存率の低下を指標として、併用抗癌剤のさらなるスクリーニングを実施した。
(スクリーニング3)スクリーニング1および2によりスクリーニングされた既承認薬ライブラリーの化合物について、2種類の細胞でパノビノスタットとの2剤併用による癌細胞の生存率の低下を評価して、併用抗癌剤をスクリーニングした。
使用細胞:HCT116ヒト結腸腺癌細胞株(HCT116)(American Type Culture Collection(ATCC)から入手した)
Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株(C26NL17)
サンプル群:パノビノスタット(1μM)および既承認薬ライブラリー化合物(1μM)
併用添加群
+ ‥ パノビノスタット (1μM)添加した併用群
− ‥ パノビノスタット未添加のライブラリー化合物群
評価:スクリーニング1と同様にして、上記細胞における生存率の低下を評価した。
使用細胞:HCT116ヒト結腸腺癌細胞株(HCT116)(American Type Culture Collection(ATCC)から入手した)
Colon26 NL−17マウス結腸癌細胞株(C26NL17)
サンプル群:パノビノスタット(1μM)および既承認薬ライブラリー化合物(1μM)
併用添加群
+ ‥ パノビノスタット (1μM)添加した併用群
− ‥ パノビノスタット未添加のライブラリー化合物群
評価:スクリーニング1と同様にして、上記細胞における生存率の低下を評価した。
2.実験結果
(スクリーニング1)
パノビノスタット(1μM)単独添加群の生存率の7割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。その結果、92化合物に絞り込まれた。
その92化合物を用い、併用添加群におけるパノビノスタットの最終濃度を0.01μM、0.1μM、1.0μMと変更して再評価を行い、全ての濃度を通じてそれぞれパノビノスタット単独添加群の生存率の5割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。その結果、34化合物に絞り込まれた。
(スクリーニング1)
パノビノスタット(1μM)単独添加群の生存率の7割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。その結果、92化合物に絞り込まれた。
その92化合物を用い、併用添加群におけるパノビノスタットの最終濃度を0.01μM、0.1μM、1.0μMと変更して再評価を行い、全ての濃度を通じてそれぞれパノビノスタット単独添加群の生存率の5割以下になっている併用添加群の既承認薬ライブラリー化合物を選別した。その結果、34化合物に絞り込まれた。
(スクリーニング2、3)
HCT116ヒト結腸腺癌細胞株を用いたスクリーニングにおいて高い併用効果を示した化合物を選択した結果、4化合物のチューブリン阻害薬が含まれていた(図1)。
HCT116ヒト結腸腺癌細胞株を用いたスクリーニングにおいて高い併用効果を示した化合物を選択した結果、4化合物のチューブリン阻害薬が含まれていた(図1)。
実施例2(α−チューブリン染色によるパノビノスタットとビンクリスチン併用時の微小管の観察)
1.実験材料
パノビノスタット 0.01μM
ビンクリスチン 0.01μM
Anti−α−tubulin pAb (MBL)
Goat anti rabbit IgG−Alexa488 (Life technologies)
マウント剤(Perma Fluor:Thermo Fisher Scientific)
DAPI(1mg/mL)(Life technologies)
1.実験材料
パノビノスタット 0.01μM
ビンクリスチン 0.01μM
Anti−α−tubulin pAb (MBL)
Goat anti rabbit IgG−Alexa488 (Life technologies)
マウント剤(Perma Fluor:Thermo Fisher Scientific)
DAPI(1mg/mL)(Life technologies)
2.実験方法
HCT116ヒト結腸腺癌細胞株を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。HCT116細胞をノンコートガラスプレート(松浪硝子工業)に7.0×104細胞/150μLずつ播種し、コントロール(control)(薬剤無添加群)、パノビノスタット(panobinostat)0.01μM、ビンクリスチン(vincristine)0.01μM、パノビノスタット0.01μMとビンクリスチン0.01μMとの併用(併用)の終濃度となるようそれぞれ10μL添加した後、12時間、37℃、5%CO2にてインキュベートした。
HCT116ヒト結腸腺癌細胞株を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。HCT116細胞をノンコートガラスプレート(松浪硝子工業)に7.0×104細胞/150μLずつ播種し、コントロール(control)(薬剤無添加群)、パノビノスタット(panobinostat)0.01μM、ビンクリスチン(vincristine)0.01μM、パノビノスタット0.01μMとビンクリスチン0.01μMとの併用(併用)の終濃度となるようそれぞれ10μL添加した後、12時間、37℃、5%CO2にてインキュベートした。
これを8時間インキュベートしたものを染色用サンプルとした。その後、薬液をアスピレートし、PBS(−)にて2回洗浄し、−20℃の冷凍庫で冷やしたメタノールにプレートを浸し、10分間固定した。150μLの3%ウシ血清アルブミン−PBS溶液(BSA−PBS)で室温にて60分間ブロッキングし、ブロッキング液をアスピレートした後、1%BSA−PBSで1000倍希釈したanti−α−tubulin抗体を75μL添加し、室温で1時間反応させた。次にPBSで3回洗浄した後、1%BSA−PBSで1000倍希釈したGoat anti rabbit IgG−Alexa488を75μL添加し、遮光下室温で1時間反応させた。PBSで3回洗浄した後、マウント剤を1滴ずつ滴下し、1μLのDAPIを加えてピペッティングし、カバーガラス(松浪硝子工業)をかぶせ封入した。マウント剤が十分乾燥した後、共焦点レーザースキャン顕微鏡(A1R+、Nikon)で観察した。
3.実験結果
図2及び図3に示すように、コントロールと比べて、パノビノスタット添加群では微小管が伸長したものが多いという点が特徴的であった。ビンクリスチン添加群では細胞周期がM期で停止し、微小管が2つに分裂したものが多数見られた。パノビノスタットとビンクリスチン併用群ではこの2つの特徴が混在したものやパノビノスタットだけの特徴を反映したもの、ビンクリスチンだけの特徴を反映したもの、さらには多極紡錘体(multi−polar spindle)が見られた。
図2及び図3に示すように、コントロールと比べて、パノビノスタット添加群では微小管が伸長したものが多いという点が特徴的であった。ビンクリスチン添加群では細胞周期がM期で停止し、微小管が2つに分裂したものが多数見られた。パノビノスタットとビンクリスチン併用群ではこの2つの特徴が混在したものやパノビノスタットだけの特徴を反映したもの、ビンクリスチンだけの特徴を反映したもの、さらには多極紡錘体(multi−polar spindle)が見られた。
実施例3(細胞増殖抑制効果の検討)
(1)ヒト結腸腺癌細胞株HCT116細胞
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μMおよび10μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μMおよび10μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(1)ヒト結腸腺癌細胞株HCT116細胞
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μMおよび10μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μMおよび10μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(HCT116細胞の細胞調製)
HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025% トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025% トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A.単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタットまたはビンクリスチンの終濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μMまたは1μMとなるようそれぞれ20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
A.単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタットまたはビンクリスチンの終濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μMまたは1μMとなるようそれぞれ20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに160μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット単独で最終濃度0.003μM、あるいはパノビノスタット最終濃度0.003μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μMまたは1μMの併用となるように20μLずつ添加し、それぞれ37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに160μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット単独で最終濃度0.003μM、あるいはパノビノスタット最終濃度0.003μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μMまたは1μMの併用となるように20μLずつ添加し、それぞれ37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
C.併用による細胞増殖抑制試験
パノビノスタットの最終濃度を0.01μMにした以外は「A.単剤による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で細胞を処理した後、生細胞数を算出した。
パノビノスタットの最終濃度を0.01μMにした以外は「A.単剤による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で細胞を処理した後、生細胞数を算出した。
細胞増殖抑制試験のデータを解析し、相乗効果の指標としてCombination Index(CI)値を求めた。CI値は、CompuSyn社の「CompuSyn for Drug Combinations and for General Dose−Effect Analysis by Ting−Chao Chou」を用いて算出した。
2.実験結果
A.単剤による細胞増殖抑制効果を図4に示す。
B.パノビノスタット0.003μMとビンクリスチンの併用による効果を図5に示す。
C.パノビノスタット(Panobinostat)0.01μMとビンクリスチン(Vincristine)の併用による効果を図6に示す。
A.単剤による細胞増殖抑制効果を図4に示す。
B.パノビノスタット0.003μMとビンクリスチンの併用による効果を図5に示す。
C.パノビノスタット(Panobinostat)0.01μMとビンクリスチン(Vincristine)の併用による効果を図6に示す。
併用による効果を評価するため、パノビノスタット濃度は、単剤処理において細胞増殖抑制効果の低かった0.003μMと0.01μMに設定した。それぞれ濃度をふったビンクリスチンと併用し、細胞増殖抑制効果を検討した。
パノビノスタット0.003μM併用群では、パノビノスタット単独の場合に細胞生存率の低下が認められなかったところ、ビンクリスチン0.003μM及び0.01μMとの併用群では、ビンクリスチン単独の場合よりも細胞生存率を低下させ、癌細胞増殖抑制効果を有することが示された。またその併用効果は、ビンクリスチンの濃度が低いほど、顕著に示された(図4〜図5)。
一方、パノビノスタット0.01μM併用群では、0.3μMのビンクリスチン単剤と同程度またはそれ以上の効果を、およそ100倍濃度の薄い0.003μMのビンクリスチンで得ることができた(1μMビンクリスチン単剤:86.3%抑制、0.3μMビンクリスチン単剤:82.9%抑制、0.003μMビンクリスチン+パノビノスタット0.01μM:84.4%抑制)。このことから、特に0.01μMのパノビノスタットを用いた場合、ビンクリスチンと併用することにより、癌細胞の細胞増殖抑制効果が劇的に向上することが示された。またその併用効果は、ビンクリスチンの濃度が低いほど、顕著に示された(図5及び図6)。
パノビノスタット0.003μM併用群では、パノビノスタット単独の場合に細胞生存率の低下が認められなかったところ、ビンクリスチン0.003μM及び0.01μMとの併用群では、ビンクリスチン単独の場合よりも細胞生存率を低下させ、癌細胞増殖抑制効果を有することが示された。またその併用効果は、ビンクリスチンの濃度が低いほど、顕著に示された(図4〜図5)。
一方、パノビノスタット0.01μM併用群では、0.3μMのビンクリスチン単剤と同程度またはそれ以上の効果を、およそ100倍濃度の薄い0.003μMのビンクリスチンで得ることができた(1μMビンクリスチン単剤:86.3%抑制、0.3μMビンクリスチン単剤:82.9%抑制、0.003μMビンクリスチン+パノビノスタット0.01μM:84.4%抑制)。このことから、特に0.01μMのパノビノスタットを用いた場合、ビンクリスチンと併用することにより、癌細胞の細胞増殖抑制効果が劇的に向上することが示された。またその併用効果は、ビンクリスチンの濃度が低いほど、顕著に示された(図5及び図6)。
CI値は、0に近いほど相乗効果が高いと評価でき、1付近の場合に相加効果ありと評価でき、1を上回って大きくなるほど相加及び相乗効果が小さいと評価できる。CI値は下記表の通りであった。
CI値から、パノビノスタットとビンクリスチンとは癌細胞(HCT116)の細胞増殖抑制について相乗効果を示すこと、及びその相乗効果はビンクリスチンが低濃度の場合により顕著であったことが示された。
D. 併用による細胞増殖抑制試験
ビンクリスチン単独で最終濃度0.003μM、0.01μMあるいは0.03μMとパノビノスタット最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMまたは0.3μMの併用となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で細胞を処理した後、生細胞数を算出した。
また、D.の結果より、癌細胞増殖抑制におけるパノビノスタットの併用効果は、パノビノスタット単剤である程度癌細胞増殖抑制効果が見られる濃度で発揮されることが示された(図7〜図9)。
ビンクリスチン単独で最終濃度0.003μM、0.01μMあるいは0.03μMとパノビノスタット最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMまたは0.3μMの併用となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で細胞を処理した後、生細胞数を算出した。
また、D.の結果より、癌細胞増殖抑制におけるパノビノスタットの併用効果は、パノビノスタット単剤である程度癌細胞増殖抑制効果が見られる濃度で発揮されることが示された(図7〜図9)。
これらの結果から、癌細胞(HCT116)の細胞増殖抑制について、パノビノスタットが所定の濃度範囲である場合にビンクリスチンとの相乗効果が発揮されること、及びパノビノスタットとビンクリスチンとの濃度比(モル比)が相加又は相乗効果の発揮に影響することが示された。
実施例4(ヒト結腸腺癌細胞株HCT116細胞(ビンクリスチン極低濃度(nMオーダー)))
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.1nM、0.3nM、1nM、3nM、10nMまたは30nMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.1nM、0.3nM、1nM、3nM、10nMまたは30nMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
ヒト結腸腺癌細胞株HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
ヒト結腸腺癌細胞株HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A.ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、または3nMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
A.ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、または3nMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMのパノビノスタット単独(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、または3nMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMのパノビノスタット単独(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、または3nMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
2.実験結果
ビンクリスチン単独ではまったくあるいはほとんど癌細胞の増殖抑制効果が得られない低濃度域においても、パノビノスタットと併用することで、癌細胞の増殖抑制効果が観察された(図10、図11)。
ビンクリスチン単独ではまったくあるいはほとんど癌細胞の増殖抑制効果が得られない低濃度域においても、パノビノスタットと併用することで、癌細胞の増殖抑制効果が観察された(図10、図11)。
実施例5(ヒト結腸腺がん細胞株HCT116細胞(ビンクリスチン極低濃度(nMオーダー以下)))
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.03pM、0.1pM、0.3pM、1pM、3pM、10pM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、3nMまたは10nMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
ヒト結腸腺がん細胞株HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A. ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.003pM、0.01pM、0.03pM、0.1pM、0.3pM、1pM、0.003nM、0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nMまたは1nMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B. 併用による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMのパノビノスタット単独(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.003pM、0.01pM、0.03pM、0.1pM、0.3pM、1pM、0.003nM、0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nMまたは1nMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
また、細胞増殖抑制試験のデータを解析し、相乗効果の指標としてCombination Index(CI)値を求めた。CI値は、CompuSyn社の「CompuSyn for Drug Combinations and for General Dose−Effect Analysis by Ting−Chao Chou」を用いて算出した。
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.03pM、0.1pM、0.3pM、1pM、3pM、10pM、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、3nMまたは10nMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
ヒト結腸腺がん細胞株HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A. ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.003pM、0.01pM、0.03pM、0.1pM、0.3pM、1pM、0.003nM、0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nMまたは1nMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B. 併用による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMのパノビノスタット単独(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.003pM、0.01pM、0.03pM、0.1pM、0.3pM、1pM、0.003nM、0.01nM、0.03nM、0.1nM、0.3nMまたは1nMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
また、細胞増殖抑制試験のデータを解析し、相乗効果の指標としてCombination Index(CI)値を求めた。CI値は、CompuSyn社の「CompuSyn for Drug Combinations and for General Dose−Effect Analysis by Ting−Chao Chou」を用いて算出した。
2.実験結果
ビンクリスチン単独ではまったくあるいはほとんど癌細胞の増殖抑制効果が得られない低濃度域においても、パノビノスタットと併用することで、癌細胞の増殖抑制効果が観察された(図12、図13)。
ビンクリスチン単独ではまったくあるいはほとんど癌細胞の増殖抑制効果が得られない低濃度域においても、パノビノスタットと併用することで、癌細胞の増殖抑制効果が観察された(図12、図13)。
CI値から、癌細胞(HCT116)の細胞増殖抑制についてのパノビノスタットとビンクリスチンとの相乗効果は、ビンクリスチンがnMオーダー以下の極低濃度であっても発揮されることが示された。
実施例6(ヒト線維肉腫細胞株HT1080細胞)
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
ヒト線維肉腫細胞株HT1080細胞(ATCC社から入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
ヒト線維肉腫細胞株HT1080細胞(ATCC社から入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A.ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HT1080細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
HT1080細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット最終濃度0.01μM(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMおよび0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
A.ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HT1080細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
HT1080細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット最終濃度0.01μM(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMおよび0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
2.実験結果
ビンクリスチン単剤で癌細胞の細胞増殖抑制効果がまったく見られなかった濃度で、パノビノスタットと併用することにより、癌細胞の細胞増殖抑制効果が示された。特に、低濃度のビンクリスチンを用いた場合に、パノビノスタットとの併用効果が高いことが示された。
また、ビンクリスチン単剤で約70%の癌細胞の細胞増殖抑制効果を示す濃度においても、パノビノスタットと併用することにより、癌細胞の細胞増殖抑制効果がさらに向上することが示された(図14、図15)。
ビンクリスチン単剤で癌細胞の細胞増殖抑制効果がまったく見られなかった濃度で、パノビノスタットと併用することにより、癌細胞の細胞増殖抑制効果が示された。特に、低濃度のビンクリスチンを用いた場合に、パノビノスタットとの併用効果が高いことが示された。
また、ビンクリスチン単剤で約70%の癌細胞の細胞増殖抑制効果を示す濃度においても、パノビノスタットと併用することにより、癌細胞の細胞増殖抑制効果がさらに向上することが示された(図14、図15)。
実施例7(ヒト子宮癌由来細胞株HeLa細胞)
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.03μM、0.1μM、0.3μM、0.5μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.03μM、0.1μM、0.3μM、0.5μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
ヒト子宮癌由来細胞株HeLa細胞(ATCCから入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
ヒト子宮癌由来細胞株HeLa細胞(ATCCから入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A.ビンクリスチンおよびパノビノスタット単剤による細胞増殖抑制試験
HeLa細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。また、パノビノスタットの最終濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μMおよび0.05μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
HeLa細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μMおよび0.05μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMおよび0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
A.ビンクリスチンおよびパノビノスタット単剤による細胞増殖抑制試験
HeLa細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。また、パノビノスタットの最終濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μMおよび0.05μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
HeLa細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μMおよび0.05μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMおよび0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
細胞増殖抑制試験のデータを解析し、相乗効果の指標としてCombination Index(CI)値を求めた。CI値は、CompuSyn社の「CompuSyn for Drug Combinations and for General Dose−Effect Analysis by Ting−Chao Chou」を用いて算出した。
2.実験結果
パノビノスタットがほとんど殺癌細胞効果を示さない濃度とビンクリスチンが全く殺癌細胞効果を示さない濃度を併用しても劇的な殺癌細胞効果の増強が見られた(図16〜図21)。
またCI値は下記表の通りであった。
パノビノスタットがほとんど殺癌細胞効果を示さない濃度とビンクリスチンが全く殺癌細胞効果を示さない濃度を併用しても劇的な殺癌細胞効果の増強が見られた(図16〜図21)。
またCI値は下記表の通りであった。
これらの結果から、パノビノスタットとビンクリスチンとは癌細胞(HeLa)の細胞増殖抑制について相乗効果を示すこと、及びその相乗効果はパノビノスタット及びビンクリスチンがそれぞれ低濃度である場合により顕著である傾向が示された。
実施例8(ヒト乳癌由来細胞株MDA−MB−231細胞)
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.3μM、0.5μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.3μM、0.5μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
ヒト乳癌由来細胞株MDA−MB231細胞(ATCCから入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
ヒト乳癌由来細胞株MDA−MB231細胞(ATCCから入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A.ビンクリスチンおよびパノビノスタット単剤による細胞増殖抑制試験
MDA−MB−231細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。また、パノビノスタットの最終濃度が0.03μMおよび0.05μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
MDA−MB−231細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット最終濃度0.03μMおよび0.05μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMおよび0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
A.ビンクリスチンおよびパノビノスタット単剤による細胞増殖抑制試験
MDA−MB−231細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。また、パノビノスタットの最終濃度が0.03μMおよび0.05μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
MDA−MB−231細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。パノビノスタット最終濃度0.03μMおよび0.05μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMおよび0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
2.実験結果
MDA−MB−231細胞においてもパノビノスタットに低濃度のビンクリスチンを併用させることで劇的な殺癌細胞効果の増強が見られた(図22、図23)。
MDA−MB−231細胞においてもパノビノスタットに低濃度のビンクリスチンを併用させることで劇的な殺癌細胞効果の増強が見られた(図22、図23)。
実施例9(正常細胞における細胞増殖抑制効果の検討)
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット300μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μMおよび0.3μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
マウス内皮細胞株2H11細胞(ATCCから入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
マウス内皮細胞株2H11細胞(ATCCから入手した)を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A.ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
2H11細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
2H11細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMパノビノスタット単独(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
A.ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
2H11細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B.併用による細胞増殖抑制試験
2H11細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMパノビノスタット単独(pano only)、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.0003μM、0.001μM、0.003μM、0.01μMまたは0.03μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
2.実験結果
正常細胞である2H11細胞において、ビンクリスチンとパノビノスタットとの併用は、細胞増殖抑制効果をほとんどあるいはまったく示さなかった。これらの結果から、パノビノスタットとビンクリスチンの併用に係る細胞増殖抑制効果は、癌細胞特異的であるとともに、正常細胞に対する毒性が低いことが示された。なお、ビンクリスチン単独、およびパノビノスタット単独も同様に、正常細胞に対する毒性は低いことが示された(図24、図25)。
正常細胞である2H11細胞において、ビンクリスチンとパノビノスタットとの併用は、細胞増殖抑制効果をほとんどあるいはまったく示さなかった。これらの結果から、パノビノスタットとビンクリスチンの併用に係る細胞増殖抑制効果は、癌細胞特異的であるとともに、正常細胞に対する毒性が低いことが示された。なお、ビンクリスチン単独、およびパノビノスタット単独も同様に、正常細胞に対する毒性は低いことが示された(図24、図25)。
実施例10(他のHDAC阻害剤との比較)
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット、ボリノスタット、ベリノスタット、あるいはモセチノスタット 300 μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン 990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液、5μMのボリノスタット溶液、2μMのベリノスタット溶液、10 μMのモセチノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μMまたは10μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
1.実験方法
(サンプルの調製)
パノビノスタット、ボリノスタット、ベリノスタット、あるいはモセチノスタット 300 μgに対しDMSO 10μL、L−(+)−アルギニン 990μLの割合でパノビノスタットを溶解したのち、L−(+)−アルギニンで希釈し、0.1μMのパノビノスタット溶液、5μMのボリノスタット溶液、2μMのベリノスタット溶液、10 μMのモセチノスタット溶液を調製した。また、ビンクリスチンは、濃度が0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μMまたは10μMとなるようにL−(+)−アルギニンで希釈し調製した。
(細胞調製)
ヒト結腸腺癌細胞株HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
ヒト結腸腺癌細胞株HCT116細胞を37℃、5%CO2、20%O2存在下で培養した。D−MEM(高グルコース)に非働化ウシ胎児血清(FBS)を10%となるように添加し、さらに100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンとなるように添加した培地を用いて培養した。0.025%トリプシン/EDTA−PBS(−)溶液で細胞を剥がし、4℃、200g、室温で5分間遠心した。再懸濁後、細胞数を計算し、継代または細胞調製を行った。
(細胞増殖抑制試験)
A. ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B. パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMのパノビノスタット単独、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
C. ボリノスタット併用による細胞増殖抑制試験
最終濃度0.5μMのボリノスタット単独、ボリノスタット最終濃度0.5μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で行い、生細胞数を算出した。
D. ベリノスタット併用による細胞増殖抑制試験
最終濃度0.2μMのベリノスタット単独、ベリノスタット最終濃度0.2μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で行い、生細胞数を算出した。
E. モセチノスタット併用による細胞増殖抑制試験
最終濃度1μMのモセチノスタット単独、モセチノスタット最終濃度1μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で行い、生細胞数を算出した。
A. ビンクリスチン単剤による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。ビンクリスチンの最終濃度が0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMとなるように20μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
B. パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験
HCT116細胞を3.0×103細胞/ウェルとなるように、96−ウェルプレートに180μLずつ播種し、5%CO2存在下37℃で24時間培養した。最終濃度0.01μMのパノビノスタット単独、パノビノスタット最終濃度0.01μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加後、37℃で48時間インキュベートした。各ウェルの培地を5%CCK−8含有培地に交換し、さらに3時間インキュベート後、マルチプレートリーダーを用いて吸光度を測定し(測定波長450nm、対照波長630nm)、生細胞数を算出した。
C. ボリノスタット併用による細胞増殖抑制試験
最終濃度0.5μMのボリノスタット単独、ボリノスタット最終濃度0.5μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で行い、生細胞数を算出した。
D. ベリノスタット併用による細胞増殖抑制試験
最終濃度0.2μMのベリノスタット単独、ベリノスタット最終濃度0.2μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で行い、生細胞数を算出した。
E. モセチノスタット併用による細胞増殖抑制試験
最終濃度1μMのモセチノスタット単独、モセチノスタット最終濃度1μMとビンクリスチン最終濃度0.003μM、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、または1μMの併用(併用群)となるように22.5μLずつ添加した以外は「B.パノビノスタット併用による細胞増殖抑制試験」と同様の方法で行い、生細胞数を算出した。
2.実験結果
パノビノスタットとビンクリスチンの併用は、他のHDAC阻害剤(ボリノスタット、ベリノスタット、モセチノスタット)とビンクリスチンを併用した場合と比較して顕著に高い併用効果を示し、効果的に癌細胞の増殖を抑制した(図26〜図29)。
パノビノスタットとビンクリスチンの併用は、他のHDAC阻害剤(ボリノスタット、ベリノスタット、モセチノスタット)とビンクリスチンを併用した場合と比較して顕著に高い併用効果を示し、効果的に癌細胞の増殖を抑制した(図26〜図29)。
実施例11(2剤内封リポソーム)
(1)脂質組成検討
1.実験方法
パノビノスタットとビンクリスチンの定量法の確立
(リポソームの崩壊)
パノビノスタットとビンクリスチンを内封したリポソームをメタノールで崩壊させ、内封率を測定した。
(HPLC条件)
HPLC装置:
オートサンプラー L−2200 HITACHI
UV検出器 L−2400 HITACHI
ポンプ L−2130 HITACHI
カラム L−2350 HITACHI
カラム:TSK gel ODS−80Ts QA(4.6×150mm)
測定時間:40min
移動相:A液 0.1%リン酸
B液 アセトニトリル
0 min A/B=100/0
0→10 min A/B=100/0→70/30
10→20 min A/B=70/30→20/80
20→30 min A/B=20/80→100/0
30→40 min A/B=100/0→100/0
注入量:10μL
流速:1.0mL/min
カラム温度:35℃
検出波長:295nm
HPLC測定は、すべて上記条件で行った。
(1)脂質組成検討
1.実験方法
パノビノスタットとビンクリスチンの定量法の確立
(リポソームの崩壊)
パノビノスタットとビンクリスチンを内封したリポソームをメタノールで崩壊させ、内封率を測定した。
(HPLC条件)
HPLC装置:
オートサンプラー L−2200 HITACHI
UV検出器 L−2400 HITACHI
ポンプ L−2130 HITACHI
カラム L−2350 HITACHI
カラム:TSK gel ODS−80Ts QA(4.6×150mm)
測定時間:40min
移動相:A液 0.1%リン酸
B液 アセトニトリル
0 min A/B=100/0
0→10 min A/B=100/0→70/30
10→20 min A/B=70/30→20/80
20→30 min A/B=20/80→100/0
30→40 min A/B=100/0→100/0
注入量:10μL
流速:1.0mL/min
カラム温度:35℃
検出波長:295nm
HPLC測定は、すべて上記条件で行った。
2剤内封リポソームの作製
(脂質の溶解)
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、コレステロール(Chol)は100mMとなるようにクロロホルムに溶解した。
(リポソーム組成(モル比))
DPPC/Chol=3/2
HSPC/Chol=3/2
DSPC/Chol=3/2
(2剤内封リポソームの調製)
100mMのDPPC、HSPCあるいはDSPC 300μLと100mMのChol 200μLをナス型フラスコに分取し、ロータリーエバポレーターで減圧下クロロホルムを留去し、1時間以上真空ポンプにて減圧乾固した。250mM硫酸アンモニウム(pH3.0)を1mL加えて水和後、液体窒素を用いて凍結融解を3回行った。押出機(Lipex Biomembranes,Inc.)を使用し、100nm孔径のポリカーボネート膜(Nucleopore Track−Tech Membrane,Whatman Ltd.)を用いてエクストルージョンによりリポソームのサイズを約100nmに調整した。リン酸バッファ(pH7.4)にて希釈し、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)後、上清を除去し、沈殿したリポソームをビンクリスチン200μgを溶解したPBS 800μLで再懸濁し、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)した。次に、パノビノスタット1.048mgを溶解したDMSO 20μLを加えボルテックスし、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)し、室温で冷却した。その後、再び超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)し、上清を除去し、沈殿したリポソームをPBS 1mLで再懸濁した。リポソーム:メタノール=20μL:380μLで混合し、HPLCでパノビノスタットとビンクリスチンを定量した。
(脂質の溶解)
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、コレステロール(Chol)は100mMとなるようにクロロホルムに溶解した。
(リポソーム組成(モル比))
DPPC/Chol=3/2
HSPC/Chol=3/2
DSPC/Chol=3/2
(2剤内封リポソームの調製)
100mMのDPPC、HSPCあるいはDSPC 300μLと100mMのChol 200μLをナス型フラスコに分取し、ロータリーエバポレーターで減圧下クロロホルムを留去し、1時間以上真空ポンプにて減圧乾固した。250mM硫酸アンモニウム(pH3.0)を1mL加えて水和後、液体窒素を用いて凍結融解を3回行った。押出機(Lipex Biomembranes,Inc.)を使用し、100nm孔径のポリカーボネート膜(Nucleopore Track−Tech Membrane,Whatman Ltd.)を用いてエクストルージョンによりリポソームのサイズを約100nmに調整した。リン酸バッファ(pH7.4)にて希釈し、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)後、上清を除去し、沈殿したリポソームをビンクリスチン200μgを溶解したPBS 800μLで再懸濁し、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)した。次に、パノビノスタット1.048mgを溶解したDMSO 20μLを加えボルテックスし、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)し、室温で冷却した。その後、再び超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)し、上清を除去し、沈殿したリポソームをPBS 1mLで再懸濁した。リポソーム:メタノール=20μL:380μLで混合し、HPLCでパノビノスタットとビンクリスチンを定量した。
2.実験結果
パノビノスタットおよびビンクリスチンの内封率は、リポソームの組成がDSPC/Chol=3/2である場合に最も高く、リポソームの組成がHSPC/Chol=3/2である場合に比較的高く、リポソームの組成がDPPC/Chol=3/2である場合に比較的低いことが示された(図30)。
パノビノスタットおよびビンクリスチンの内封率は、リポソームの組成がDSPC/Chol=3/2である場合に最も高く、リポソームの組成がHSPC/Chol=3/2である場合に比較的高く、リポソームの組成がDPPC/Chol=3/2である場合に比較的低いことが示された(図30)。
実施例12(2剤内封リポソームの作製法の改良)
1.実験方法
パノビノスタットとビンクリスチンの定量法の確立
以下に記載する事項以外は実施例9と同様にしてリポソームを作製し、パノビノスタットおよびビンクリスチンの内封率を測定した。
2剤内封リポソームの作製
(脂質の溶解)
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール(Chol)は100mMとなるようにクロロホルムに溶解した。
(リポソーム組成)
DSPC/Chol=3/2(モル比)
(2剤内封リポソームの調製)
100mMのDSPC 300μLと100mMのChol 200μLをナス型フラスコに分取し、ロータリーエバポレーターで減圧下クロロホルムを留去し、1時間以上真空ポンプにて減圧乾固した。250mM硫酸アンモニウム(pH3.0)を1mL加えて水和後、液体窒素を用いて凍結融解を3回行った。押出機(Lipex Biomembranes,Inc.)を使用し、100nm孔径のポリカーボネート膜(Nucleopore Track−Tech Membrane,Whatman Ltd.)を用いてエクストルージョンによりリポソームのサイズを約100nmに調整した。PBSにて希釈し、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)後、上清を除去し、沈殿したリポソームをPBS800μLで再懸濁した。パノビノスタット1.048mgを20μLのDMSOに溶解したものにこのリポソーム再懸濁液を少量ずつボルテックスしながら加え、全量混和した後約2分間ボルテックスし、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)した後氷中で急冷した。その後、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)し、上清の体積を測定し、沈殿したリポソームをPBS 700μLで再懸濁した(パノビノスタット内封リポソーム)。ビンクリスチン244μgをPBS 150μLで溶解し、パノビノスタット内封リポソームを少量ずつボルテックスしながら加え、全量混和した後約2分間ボルテックスし、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)した後氷中で急冷した。その後、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)し、上清の体積を測定し、沈殿したリポソームをPBS 840μLで再懸濁した(2剤内封リポソーム)。2剤内封リポソーム:メタノール=20μL:380μLで混合し、HPLCでパノビノスタットとビンクリスチンを定量した。
1.実験方法
パノビノスタットとビンクリスチンの定量法の確立
以下に記載する事項以外は実施例9と同様にしてリポソームを作製し、パノビノスタットおよびビンクリスチンの内封率を測定した。
2剤内封リポソームの作製
(脂質の溶解)
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、コレステロール(Chol)は100mMとなるようにクロロホルムに溶解した。
(リポソーム組成)
DSPC/Chol=3/2(モル比)
(2剤内封リポソームの調製)
100mMのDSPC 300μLと100mMのChol 200μLをナス型フラスコに分取し、ロータリーエバポレーターで減圧下クロロホルムを留去し、1時間以上真空ポンプにて減圧乾固した。250mM硫酸アンモニウム(pH3.0)を1mL加えて水和後、液体窒素を用いて凍結融解を3回行った。押出機(Lipex Biomembranes,Inc.)を使用し、100nm孔径のポリカーボネート膜(Nucleopore Track−Tech Membrane,Whatman Ltd.)を用いてエクストルージョンによりリポソームのサイズを約100nmに調整した。PBSにて希釈し、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)後、上清を除去し、沈殿したリポソームをPBS800μLで再懸濁した。パノビノスタット1.048mgを20μLのDMSOに溶解したものにこのリポソーム再懸濁液を少量ずつボルテックスしながら加え、全量混和した後約2分間ボルテックスし、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)した後氷中で急冷した。その後、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)し、上清の体積を測定し、沈殿したリポソームをPBS 700μLで再懸濁した(パノビノスタット内封リポソーム)。ビンクリスチン244μgをPBS 150μLで溶解し、パノビノスタット内封リポソームを少量ずつボルテックスしながら加え、全量混和した後約2分間ボルテックスし、振盪インキュベート(80℃、650rpm、15min)した後氷中で急冷した。その後、超遠心機(CS120EX,HITACHI)を用いて遠心(453,000×g、15min、4℃)し、上清の体積を測定し、沈殿したリポソームをPBS 840μLで再懸濁した(2剤内封リポソーム)。2剤内封リポソーム:メタノール=20μL:380μLで混合し、HPLCでパノビノスタットとビンクリスチンを定量した。
2.実験結果
内封率
パノビノスタット:60.17%
ビンクリスチン:74.21%
内封率
パノビノスタット:60.17%
ビンクリスチン:74.21%
Claims (15)
- (A)パノビノスタット又はその塩と、(B)チューブリン阻害剤とを組み合わせてなる、癌の予防または治療剤。
- (A)パノビノスタット又はその塩と、(B)チューブリン阻害剤とを併用投与するものである請求項1記載の癌の予防または治療剤。
- (A)パノビノスタット又はその塩と(B)チューブリン阻害剤とを含有する癌の予防または治療用医薬組成物である請求項1記載の癌の予防または治療剤。
- 前記チューブリン阻害剤が、ビンクリスチン又はその塩である、請求項1〜3のいずれか1項記載の癌の予防または治療剤。
- 前記癌が、固形癌である、請求項1〜4のいずれか1項記載の癌の予防または治療剤。
- 前記癌が、血液癌である、請求項1〜4のいずれか1項記載の癌の予防または治療剤。
- (A)パノビノスタット又はその塩及び(B)チューブリン阻害剤がリポソームに内包されているリポソーム製剤である請求項3〜6のいずれか1項記載の癌の予防または治療剤。
- 前記リポソームの組成が、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせ、およびジパルミトイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせからなる群から選択される、請求項7記載の癌の予防または治療剤。
- 前記リポソームの組成が、水素化ダイズホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせであり、前記水素化ダイズホスファチジルコリンと前記コレステロールとのモル比が3:2である、請求項8記載の癌の予防または治療剤。
- 前記リポソームの組成が、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとの組み合わせであり、前記ジステアロイルホスファチジルコリンと前記コレステロールとのモル比が3:2である、請求項8記載の癌の予防または治療剤。
- 経口投与製剤または経静脈投与製剤である、請求項3〜6のいずれか1項記載の癌の予防または治療剤。
- 経口投与製剤または経静脈投与製剤である、請求項7〜10のいずれか1項記載の癌の予防または治療剤。
- ジパルミトイルホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリンまたはジステアロイルホスファチジルコリンと、コレステロールとを用いてリポソームを調製する工程、および、
前記リポソームにパノビノスタットを混合する工程の後に、チューブリン阻害剤を混合する工程、
を含む、リポソーム製剤の製造方法。 - 前記チューブリン阻害剤が、ビンクリスチン又はその塩である、請求項13記載の製造方法。
- 前記リポソームを調製する工程において、ジステアロイルホスファチジルコリンとコレステロールとを用いる、請求項13又は14記載の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018036432A JP2021070632A (ja) | 2018-03-01 | 2018-03-01 | 癌の予防または治療剤 |
PCT/JP2019/008204 WO2019168177A1 (ja) | 2018-03-01 | 2019-03-01 | 癌の予防または治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018036432A JP2021070632A (ja) | 2018-03-01 | 2018-03-01 | 癌の予防または治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021070632A true JP2021070632A (ja) | 2021-05-06 |
Family
ID=67806250
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018036432A Pending JP2021070632A (ja) | 2018-03-01 | 2018-03-01 | 癌の予防または治療剤 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021070632A (ja) |
WO (1) | WO2019168177A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023064634A1 (en) * | 2021-10-15 | 2023-04-20 | University Of Virginia Patent Foundation | Treatment of cancer and autoimmune disorders using nano polymers of histone deacetylase inhibitors |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4881327B2 (ja) * | 2006-01-31 | 2012-02-22 | 大鵬薬品工業株式会社 | 抗腫瘍活性物質のリポソーム製剤 |
EP3599248A1 (en) * | 2013-11-06 | 2020-01-29 | Bristol-Myers Squibb Company | Treatment of c1013g/cxcr4-associated waldenström's macroglobulinemia with an anti-cxcr4 antibody |
WO2017159835A1 (ja) * | 2016-03-18 | 2017-09-21 | 北海道公立大学法人 札幌医科大学 | 形質細胞性腫瘍治療剤 |
-
2018
- 2018-03-01 JP JP2018036432A patent/JP2021070632A/ja active Pending
-
2019
- 2019-03-01 WO PCT/JP2019/008204 patent/WO2019168177A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2019168177A1 (ja) | 2019-09-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6294546B1 (en) | Uses of diterpenoid triepoxides as an anti-proliferative agent | |
JP5377968B2 (ja) | 癌治療のために単独で用いるまたは化学療法薬と併用するヒストンデアセチラーゼ(hdac)阻害剤 | |
JP2020186269A (ja) | がんの処置に使用するための2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン | |
JP2019034977A (ja) | 癌を処置するための新規方法 | |
KR20070026646A (ko) | 프롤린 또는 이의 유도체 및 항종양 항체를 함유하는 항암조성물 | |
JP2013521314A (ja) | 癌の処置のためのチゲサイクリンの使用 | |
CA3100202A1 (en) | Compositions comprising bisfluoroalkyl-1,4-benzodiazepinone compounds and methods of use thereof | |
CN112533610A (zh) | 用于治疗腺样囊性癌的包含双氟烷基-1,4-苯并二氮杂*酮化合物的组合物 | |
JP2021070632A (ja) | 癌の予防または治療剤 | |
EP3490555A1 (en) | Methods and compositions to treat cancer | |
WO2014180304A1 (zh) | J1-001化合物作为抗癌药物的用途 | |
JP2009542799A (ja) | 組合せ癌治療方法 | |
WO2022122740A1 (en) | Ror-gamma inhibitors for the treatment of ror-gamma-dependent cancer | |
WO2014184726A2 (en) | Compounds and their use in therapy | |
WO2015040636A1 (en) | Synergistic liposomal formulation for the treatment of cancer | |
Chatterji et al. | Microtubules as Anti-Cancer Drug Targets | |
WO2023159048A2 (en) | Small molecule stat3 inhibitor for treating triple negative breast cancer | |
WO2023194441A1 (en) | Combination of hdac inhibitors and statins for use in the treatment of pancreatic cancer | |
JP2021529782A (ja) | 新生物障害及び神経性障害の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 |