JP2021069280A - 振動発電素子 - Google Patents
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Abstract
Description
振動発電素子(振動発電デバイス)を用いて環境振動から発電を行う手法が注目されてい
る。こうした用途の振動発電素子では、小型で高い発電効率を得るために、エレクトレッ
トによる静電力を利用することが提案されている。たとえば特許文献1には、軟X線を利
用して、可動部と固定部にそれぞれ形成された櫛歯電極の垂直面にエレクトレットを形成
した静電誘導型変換素子が開示されている。
ことで発電を行う。このとき、対向する櫛歯電極のエレクトレット面の重なり面積が変化
することで、櫛歯電極間に働く静電力により力学的な仕事が静電エネルギーに変換され、
起電力を発生することができる。しかし、より大きな起電力を得るためには、可動部の振
動方向に余分なスペースが必要となり、静電誘導変換素子が大型化してしまうという問題
がある。
て所定の方向に沿って移動する第2の電極と、第3の電極と、前記第3の電極に対して前
記所定の方向に沿って移動する第4の電極と、前記第2の電極と前記第4の電極とを前記
所定の方向に沿って移動可能に支持する支持部と、を備え、前記第1の電極と前記第3の
電極とは、前記所定の方向に沿って配置され、前記第1の電極と前記第2の電極との対向
面の少なくとも一方と、前記第3の電極と前記第4の電極との対向面の少なくとも一方と
が帯電され、前記支持部は、前記第1の電極と前記第2の電極による静電力と、前記第3
の電極と前記第4の電極による静電力とが前記所定の方向に沿って釣り合った状態で、前
記第2の電極と前記第4の電極とを支持する。
きる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る振動発電素子1の概略構成を示す平面図である。
振動発電素子1は、たとえばSOI(Silicon On Insulator)基
板を用いて、一般的なMEMS加工技術により形成される。SOI基板は、たとえばハン
ドル層が形成される下部Si層と、BOX層が形成されるSiO2層と、デバイス層が形
成される上部Si層とを重ねて構成されている。
振動発電素子1は、ベース2と、固定電極3aおよび3bと、可動電極4aおよび4b
と、可動部5と、弾性支持部6とを備えている。振動発電素子1には、負荷9が接続され
ている。
なお、以下の説明では、図1に示すように設定したX軸、Y軸、Z軸からなる直交座標
系を用いるものとする。
X方向−側の端部に可動電極4aを有し、X方向+側の端部に可動電極4bを有する。
固定電極3a、3bおよび可動電極4a、4bは、それぞれ櫛歯構造を有している。固
定電極3aには複数の櫛歯30aが形成され、可動電極4aには複数の櫛歯40aが形成
されている。固定電極3aと可動電極4aとは、振動発電素子1のX方向−側にて櫛歯3
0aと櫛歯40aとが互いに歯合するように配置されている。同様に、固定電極3bには
複数の櫛歯30bが形成され、可動電極4bには複数の櫛歯40bが形成されている。固
定電極3bと可動電極4bとは、振動発電素子1のX方向+側にて櫛歯30bと櫛歯40
bとが互いに歯合するように配置されている。
可動櫛歯電極を構成している。櫛歯電極とは、図1の固定電極3a、3bや可動電極4a
、4bのように、複数の櫛歯を並列配置したものである。なお、本発明における櫛歯の本
数は図1に示したものに限定されない。櫛歯の本数が最小である場合の櫛歯電極は、固定
櫛歯電極および可動櫛歯電極の一方の電極に2つの櫛歯が形成され、その2つの櫛歯の間
に挿入されるように他方の電極に1つの櫛歯が形成されている。このような基本構成を有
する櫛歯電極であれば、櫛歯の本数に関わらず、以下に記載のような機能を有する振動発
電素子を構成することができる。
体に、X方向にスライド移動することができる。可動部5をX方向にスライド移動させる
ため、弾性支持部6は、X方向へのばね定数kが小さく、Y方向およびZ方向のばね定数
が大きい。
図2に示す例では、弾性支持部6は、Y方向に沿って延在する平板形状を有する。弾性支
持部6は、平板形状のY方向の一方の端部側でベース2に接続し、他方の端部側で可動部
5に接続する。平板形状の弾性支持部6では、X方向の厚み(長さ)は、Z方向の厚み(
長さ)よりも短い。弾性支持部6のY方向の長さは、X方向の厚み(長さ)よりも長い。
すなわち、弾性支持部6は、X方向の剛性は、Y方向およびZ方向の剛性と比較して小さ
い。したがって、弾性支持部6は、可動部5に対するX方向への支持剛性が、Y方向およ
びZ方向への支持剛性よりも小さいので、可動部5はX方向にスライド移動する。
なお、弾性支持部6は、図2に示すように、1個の平板形状の部材により形成されるも
のに限定されず、複数個の平板形状の部材により形成されてもよい。弾性支持部6として
、たとえば特許5551914号明細書に記載された構造を適用することもできる。
また、弾性支持部6は平板形状であるもの、すなわちZX平面での断面が矩形であるも
のに限定されず、楕円形状や多角形状でもよい。この場合、弾性支持部6の断面のX方向
の最大の長さがZ方向の長さよりも小さくなるように形成することにより、X方向の支持
剛性を他の方向の支持剛性よりも小さくすることができる。
方、および固定電極3bの櫛歯30bと可動電極4bの櫛歯40bとの少なくとも一方に
は、それぞれ対向面の表面近傍にエレクトレットが形成されている。これにより、固定電
極3aおよび可動電極4aの対向面の少なくとも一方と、固定電極3bおよび可動電極4
bの対向面の少なくとも一方とが、それぞれ帯電されている。本実施の形態では、固定電
極3aおよび可動電極4aの対向面の少なくとも一方と、固定電極3bおよび可動電極4
bの対向面の少なくとも一方とには、実質的に同一の帯電電圧にてエレクトレットが形成
されている。これにより、可動部5のX方向−側端部に働くエレクトレットの静電力と、
X方向+側端部に働くエレクトレットの静電力とが釣り合った状態となり弾性支持部6に
よって支持される。すなわち、可動部5がX方向に振動する際には、その振動中心位置が
、弾性支持部6の安定点位置に位置する。なお、振動中心位置が弾性支持部6の安定点位
置を基準として、試験等の結果によって設定された所定の許容範囲内に位置してもよい。
なお、帯電電圧は厳密に同一であるものに限定されず、上述したように可動部5に働く
静電力が釣り合った状態、すなわち振動中心位置が弾性支持部6の安定点位置に位置する
ことが実現できる帯電電力であればよい。また、エレクトレットを形成する方法の一例と
して、たとえば公知の特開2016−149914号公報に記載されているように、櫛歯
構造表面に酸化膜を製膜し高温バイアス処理を施す方法等を用いることができる。もちろ
ん上記の方法に限定されるものではなく、例えば特許5551914号明細書等に開示の
各種の方法を適用させることができる。
あり、振動発電素子1から供給される電力を消費して所定の動作を行う。負荷9の正極側
は固定電極3aに接続され、負極側は固定電極3bに電気的に接続される。なお、負荷9
の負極側が固定電極3aに接続され、正極側が固定電極3bに電気的に接続されても良い
。
極3a、3bに対して可動電極4a、4bがX方向に振動して変位する。たとえば可動電
極4a、4bがX方向+側に向けて変位すると、固定電極3aと可動電極4aとの間の対
向面積が減少し、固定電極3bと可動電極4bとの間の対向面積が増加する。このような
対向面積の変化によってエレクトレットの誘導電荷が変化する。これにより、固定電極3
a、3bと可動電極4a、4bとの間の電圧が変化して起電力が発生することで、振動発
電素子1の発電が行われる。振動発電素子1の発電によって得られた起電力は、前述の電
気的接続を介して負荷9に印加され、負荷9が駆動される。
図3は、図1に示す振動発電素子1の構成に対応する等価回路図である。この等価回路
を用いることにより、可動部5がX方向に沿って振動している場合の可動部5の運動方程
式を以下の式(1)のように表すことができる。
なお、mは可動部5の質量、Xは振動発電素子1内における可動部5の固定部(たとえ
ば固定電極3a、3b)に対する相対変位、Xoutは振動発電素子1の外部振動の変位
、rfは空気や機械の摩擦によるダンピング係数、VLおよびVRは固定電極3a、3b
で発生する電圧、V0は固定電極3a、3bでのエレクトレット帯電電圧である。また、
Aはエレクトレットによる強さの量を示す力係数であり、以下の式(2)により表すこと
ができる。
なお、nは櫛歯30aまたは40aの歯数、ε0は真空の誘電率、bは櫛歯30a、4
0aの厚さ(Z方向の長さ)、V0はエレクトレット帯電電圧、gは櫛歯30aおよび櫛
歯40a間の間隔である。力係数Aの値を変更する、すなわちエレクトレットによる効果
の強さを変更するためには、式(2)に示す、櫛歯30aおよび40a間の間隔gと、エ
レクトレット帯電電圧V0との少なくとも一方を変更すれば良い。たとえば、間隔gを小
さくする、または、帯電電圧V0を大きくする、またはその両方を行うことにより、力係
数Aを大きな値に変更することができる。
は弾性支持部6によって可動部5に作用する弾性力、第3項は空気や機械摩擦等が可動部
5に作用する力を表している。第4項は可動電極4aに作用する静電力、第5項は可動電
極4bに作用する静電力を表している。この式(1)を、負荷9の値を以下の式(3)で
示す最適値Rに設定し、外部振動が正弦波でありその周波数が可動部5の共振周波数近傍
であるという条件の下で近似して変形することにより、式(4)が得られる。
なお、C0は可動電極4aまたは4bの静電容量であり、ω0は可動部5の共振角振動
数、すなわち可動電極4aまたは4bの共振角振動数である。静電容量C0は、固定電極
と可動電極とが対向するときのX方向の長さをwとし、浮遊容量をC1として、C0=C
1+(2nε0bw/g)のように表され、共振角振動数ω0は、ω0={(k+A2/
C0)/m}1/2のように表される。式(3)は、固定電極および可動電極の静電容量
と負荷9による放電との時定数が、可動部5の振動の時定数と一致する場合に、負荷9が
有し得る抵抗値を最適値Rとして設定されていることを表す。
2項のエレクトレットによるハードスプリング効果による力(以下、ハードスプリング項
と呼ぶ)と、右辺第3項の電気的なダンピング効果による力(以下、電気的ダンピング項
と呼ぶ)とに分類できる。式(2)で示した力係数Aを変更すると、ハードスプリング項
(k+A2/C0)の値と電気的ダンピング項(rf+A2/(C0ω0 ))の値とを変
更することが可能である。上述したように、櫛歯30aおよび40a間の間隔gと、エレ
クトレット帯電電圧V0との少なくとも一方を変更すれば力係数Aを変更できる。したが
って、櫛歯30aおよび40a間の間隔gと、エレクトレット帯電電圧V0との少なくと
も一方を変更することにより、ハードスプリング項の値と電気的ダンピング項の値とを変
更することができる。
数Aを変更して電気的ダンピング項を変更することにより、可動部5の振動周波数応答性
の共振Q値を任意の値に設定することができる。全体のQ値は、機械的なダンピングによ
るQ値をQMとし、電気的なダンピングによるQ値をQeとして、以下の式(5)により
表される。
が可能になる。Q値が低い値であるほど共振のピークがなだらかとなり、可動部5の共振
周波数と外部振動の周波数のマッチングを容易にすることができる。すなわち、振動発電
素子1内部を高真空にしなくても、広い帯域において、加わった外部振動に対して可動部
5が共振をして発電が行われ、固定電極3a、3bから電力が出力される。
力係数Aの値を大きくする程、上記式(6)のうち発電効率EHである{1/(1+C
0k/(A2QM))}の値は1に近い値になり、機械的ダンピングの影響を無視するこ
とが可能となる。すなわち、力係数Aの値を大きな値に設定することにより、機械的ダン
ピングを増加させることなくQ値を低い値に設定でき、機械的ダンピングの増加による損
失を抑制して発電特性を向上させることができる。本実施の形態の場合では、力係数Aの
値を大きく設定することにより、電気的ダンピングによる効果を機械的ダンピングによる
効果に対して上回る構成とすることができるので、振動発電素子1による発電効率を大き
くさせることができる。
プリング項を変更することにより、可動部5の共振周波数を変更することができる。一般
的に可動部5の共振周波数は、機械的な質量と弾性支持部6のばね定数kとにより決まる
。これに対して、本実施の形態の振動発電素子1では、エレクトレットの静電力によるハ
ードスプリング効果が発生するので、帯電電圧V0を調整することにより力係数Aを調整
して、共振周波数を変更することができる。これにより、外部振動の周波数に適した共振
周波数に変更可能な振動発電素子1を製造することができる。
ションにおいては、機械的ダンピングを無いものとし(すなわちrf=0)、負荷9の値
を式(3)に示す最適値Rとし、振動発電素子1に正弦波振動を与え、可動部5の最大振
幅を200[μm]とした。図4では、縦軸を出力電力[μW]、横軸を周波数[Hz]
とし、後述する第1の条件における周波数と出力電力との関係をグラフL1で示し、後述
する第2の条件における周波数と出力電力との関係をグラフL2で示す。
エレクトレット帯電電圧V0=300[V]。
力係数A=13.5[μC/m]。
負荷9の最適値R=18.37[MΩ]。
加速度24.6[m/s2]。
Q値=7.9。
エレクトレット帯電電圧V0=50[V]。
力係数A=2.25[μC/m]。
負荷9の最適値R=19.62[MΩ]。
加速度0.685[m/s2]。
Q値=250。
わち式(5)に示すQ値を小さな値に設定している。図4に示すように、Q値が大きな第
2の条件のグラフL2では、共振のピークが鋭い。グラフL2に示すように、共振周波数
においては、小さな外部振動を受けても可動部5は最大振幅に到達するが、出力電力は小
さくなる。これに対して、Q値が低い第1の条件のグラフL1では、上述したように、共
振のピークがなだらかとなっている。グラフL1に示すように、比較的大きな外部振動を
受けると可動部5は最大振幅に到達し、出力電力も大きくなる。また、グラフL1は、グ
ラフL2と比較して、広い周波数帯域にて固定電極3a、3bが発電できることを示して
いる。また、力係数Aが異なるグラフL1とL2とでは共振周波数が異なり、上述したハ
ードスプリング効果により、グラフL1における共振周波数が上昇している。すなわち、
上述したように、力係数Aを調整することにより、外部振動の周波数に適した共振周波数
に変更することが可能となる。
(1)固定電極3aと可動電極4aの対向面の少なくとも一方と、固定電極3bと可動電
極4bとの対向面の少なくとも一方とが帯電される。弾性支持部6は、固定電極3aと可
動電極4aとによる静電力と、固定電極3bと可動電極4bとによる静電力とがX方向に
沿って釣り合った状態で、可動電極4a、4bを支持する。
本実施の形態においては、上述したシミュレーションの第1の条件の場合のように、力
係数Aを大きな値に設定している。すなわち、式(2)におけるエレクトレット帯電電圧
V0を大きな値にし、櫛歯30aと櫛歯40aとの間隔gが小さくなるように振動発電素
子1を作成する。
えば特開2016−149914号公報に開示されているような構成を有する振動素子に
おいては、静電力が大きくなると可動櫛歯電極のX方向への移動量も大きくなる。このた
め、可動櫛歯電極の移動のためにX方向にスペースが必要となる。また、弾性支持部の撓
む量も大きくなり弾性支持部が破損する虞があるため、大きく撓んだ弾性支持部の破損を
防ぐための構成が必要となる。そのため、振動素子の形状をY方向にも大きなものとする
必要がある。
が弾性支持部6に支持されている。すなわち、可動部5が振動中であっても、振動中心位
置が安定点位置に位置するので、X方向にスペースを設ける必要もなく、弾性支持部6の
破損を防ぐための構成も不要となる。これにより、力係数Aの値を大きくして、振動発電
素子1のサイズを大きくすることなく発電量を増やすことができる。換言すると、同一サ
イズの従来技術の振動素子と比較して発電量の大きな振動発電素子1とすることが可能で
ある。
また、静電力が釣り合った状態で可動部5が弾性支持部6に支持されていることにより
、加振によって可動部5に作用する力がエレクトレットの静電力に応じた所定の力を超え
ない場合でも、可動部5は、振動中心位置において、微小な外部振動によって振動を開始
することができる。特に、外部振動が共振周波数と一致している場合には、可動部5を共
振によって大きく振動させることが可能になる。すなわち、振動発電素子1に加わる外部
振動が微小な場合であっても発電を行うことが可能になる。
また、従来の発電素子がインパルス状の環境振動に対応するものであるのに対し、本実
施の形態の振動発電素子1は微弱な正弦波的な環境振動、たとえば、ポンプやファン等の
微弱振動をも検出できる。この場合の周波数は負荷によって変動するので、ワイドバンド
な特性を有する本実施の形態の振動発電素子1を好適に用いることができる。
クトレット帯電電圧V0を大きな値にすることができ、これにより、機械的エネルギーか
ら電気的エネルギーへの変換速度が大きな振動発電素子1を製造することが可能になる。
エレクトレット帯電電圧V0を大きくできることにより、上述した式(2)に示す力係数
Aを大きな値として、機械的ダンピングを増加させることなく、式(5)に示すようにQ
値を下げることが可能となる。これにより、図4のグラフL1に示すようなワイドバンド
な特性の振動発電素子1を実現できるので、振動発電素子1の共振周波数と外部振動の周
波数のマッチングを容易にし、発電効率を向上させることができる。
また、エレクトレット帯電電圧V0を調整して、力係数Aの値を変更することにより、
外部振動の周波数に合わせた共振周波数を有する振動発電素子1を製造することができる
。
った支持剛性はX方向とは異なる方向(たとえばY方向、Z方向)に沿った支持剛性より
も小さい。これにより、弾性支持部6は、可動部5をX方向にスライド移動させ、可動部
5の振動中心位置をばねの安定点位置で動かすことなく振動可能に支持することができる
。
的な変位により変化した静電容量による発電と、固定電極3bと可動電極4bとの相対的
な変位により変化した静電容量による発電とから得られる電力によって駆動する。これに
より、本実施の形態の振動発電素子1は、たとえば特開2016−149914号公報の
発電素子のような構成を有する場合と比較して、固定電極3a、3bから合わせて2倍の
電力を得られる。したがって、振動発電素子1のサイズを大きくすることなく負荷9に供
給する発電量を増やすことができる。換言すると、同一サイズの従来技術の振動素子と比
較して発電量の大きな振動発電素子1とすることが可能である。
い。たとえば図1においては、固定電極3aの複数の櫛歯30aのそれぞれと固定電極3
bの複数の櫛歯30bのそれぞれとは、X方向に沿って形成される場合を例に挙げていた
が、これに限定されない。
Y方向−側の2箇所にて弾性支持部6が支持したが、3箇所以上にて弾性支持部6に支持
されてもよい。たとえば、図5のXY平面においては、可動部5が4箇所にて弾性支持部
6に支持される場合を例に示す。この場合、可動部5は、X方向+側の端部近傍にて、Y
方向+側から第1の弾性支持部61に支持され、Y方向−側から第2の弾性支持部62に
支持される。可動部5は、X方向−側の端部近傍にて、Y方向+側から第3の弾性支持部
63に支持され、Y方向−側から第4の弾性支持部64に支持される。
向の支持剛性を小さくするものを一例として挙げたが、これに限定されない。たとえば、
振動発電素子1は、Y方向に沿って延在する弾性支持部6がZ方向に沿って、複数個配置
される構成とすることができる。この場合の構造の一例を図6に示す。図6は、図2と同
様に、図1における領域100に含まれる構造を模式的に示す図である。図6に示す例で
は、振動発電素子1は、Y方向に沿って延在する2個の板状の弾性支持部6(以後、上部
弾性支持部611、下部弾性支持部612と呼ぶ)を備える。上部弾性支持部611およ
び下部弾性支持部612は、Y方向の一方の端部側でベース2に接続し、他方の端部側で
可動部5に接続する。この場合、上部弾性支持部611と下部弾性支持部612とは、Z
方向に沿って配置される。これにより、Z方向には2個の弾性支持部6による剛性が働く
ことになる。したがって、振動発電素子1では、X方向の支持剛性を、他の方向の支持剛
性よりも小さくすることができる。なお、振動発電素子1は、上部弾性支持部611およ
び下部弾性支持部612の2個の弾性支持部6を有するものに限定されず、3個以上の弾
性支持部6を有しても良い。
5をコイルバネにより支持してもよい。このとき、可動部5はX方向とY方向とZ方向と
のそれぞれの方向において、コイルバネを介してベース2と接続される。このとき、Y方
向およびZ方向に接続されるコイルバネのばね定数を、X方向に接続されるコイルバネの
ばね定数よりも大きくすることにより、可動部5のX方向への支持剛性を小さくすること
ができる。この場合、たとえば、可動部5のY方向およびZ方向に接続されるコイルバネ
の個数を、X方向に接続されるコイルバネの個数よりも多くすればよい。
本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含
まれる。
4a、4b…可動電極、5…可動部、6…弾性支持部、
9…負荷、30a、30b…櫛歯、40a、40b…櫛歯
Claims (4)
- 第1の電極と、
前記第1の電極に対して所定の方向に沿って移動する第2の電極と、
第3の電極と、
前記第3の電極に対して前記所定の方向に沿って移動する第4の電極と、
前記第2の電極と前記第4の電極とを前記所定の方向に沿って移動可能に支持する支持
部と、を備え、
前記第1の電極と前記第3の電極とは、前記所定の方向に沿って配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との対向面の少なくとも一方と、前記第3の電極と前
記第4の電極との対向面の少なくとも一方とが帯電され、
前記支持部は、前記第1の電極と前記第2の電極による静電力と、前記第3の電極と前
記第4の電極による静電力とが前記所定の方向に沿って釣り合った状態で、前記第2の電
極と前記第4の電極とを支持する振動発電素子。 - 請求項1に記載の振動発電素子において、
前記第2の電極と前記第4の電極とを支持する前記支持部が有する支持剛性のうち、前
記所定の方向に沿った支持剛性は前記所定の方向とは異なる方向に沿った支持剛性よりも
小さい振動発電素子。 - 請求項1または2に記載の振動発電素子において、
前記第1の電極と前記第3の電極とに接続された負荷をさらに備え、
前記負荷は、前記第1の電極と前記第2の電極との相対的な変位により変化した静電容
量による発電と、前記第3の電極と前記第4の電極との相対的な変位により変化した静電
容量による発電とから得られる電力によって駆動する振動発電素子。 - 請求項3に記載の振動発電素子において、
前記負荷は、前記第2の電極または第4の電極における静電容量C0と、前記第2の電
極または第4の電極の共振角振動数ω0とが以下の式(1)を満たす値Rを有する振動発
電素子。
R=2/(C0ω0) …(1)
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