JP2021065965A - 多角レンチ - Google Patents

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昭宏 大矢
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Abstract

【課題】複数サイズの嵌合穴に対応させ得る構成であり且つ各サイズの嵌合穴に対してより確実に嵌合させ得る多角レンチを提供する。【解決手段】多角レンチ1において、レンチ体4は、第1レンチ部10を有する固定筒部4Aと、第2レンチ部20を有する進退部4Bと、進退部4Bを所定方向一方側に付勢する付勢部80と、を有する。第2レンチ部20は、当該第2レンチ部20に対して所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において突出位置で維持され、付勢部80の付勢に抗して所定方向他方側へ押し込まれた場合に退避位置に変位する。【選択図】図1

Description

本開示は、多角レンチに関するものである。
多角形の嵌合穴を有するボルトやねじを締め付ける工具として、多角レンチが広く用いられている。この種の多角レンチでは、締付対象の嵌合穴のサイズが様々に変わり得るため、多サイズの嵌合穴に対応し得る構成が求められる。
実開平2−63971号公報
特許文献1には、多サイズの嵌合穴に対応し得る六角レンチの一例が開示されている。特許文献1で開示される多サイズ六角レンチは、六角レンチの先端部を多段階の構成とすることで、各サイズの六角穴ネジや六角穴ボルトに対応させている。しかし、特許文献1で開示される六角レンチは、サイズが大きいレンチ部ほど先端から離れた位置となるため、大きいレンチ部を用いて締め付けを行う場合には、締付対象に形成された六角穴が相当深く形成される必要がある。締付対象の六角穴が浅いと、レンチ部が嵌合しない虞があり、嵌合可能であったとしても外れやすくなってしまう。
そこで、本開示では、複数サイズの嵌合穴に対応させ得る構成であり且つ各サイズの嵌合穴に対してより確実に嵌合させ得る多角レンチを提供する。
本開示の一つである多角レンチは、ハンドル部と、前記ハンドル部に固定されるレンチ体と、を備えた多角レンチであって、前記レンチ体は、前記ハンドル部に固定されるとともに所定方向に沿って延びる筒状形態をなし、前記所定方向と直交する断面の外形が第1多角形状である第1レンチ部を有する固定筒部と、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び、前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である第2レンチ部を有し、前記第2レンチ部が前記所定方向一方側に突出する突出位置と前記突出位置のときよりも前記所定方向他方側へ退避した退避位置とで進退する1以上の進退部と、前記進退部を前記所定方向一方側に付勢する付勢部と、を有し、前記第2レンチ部は、当該第2レンチ部に対して前記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において前記突出位置で維持され、前記付勢部の付勢に抗して前記所定方向他方側へ押し込まれた場合に前記退避位置に変位する。
本開示の一態様に係る多角レンチは、複数サイズの嵌合穴に対応可能であり、且つ各サイズの嵌合穴に対してより確実に嵌合させ得る。
図1は、実施形態1に係る多角レンチの一部を例示する斜視図である。 図2は、実施形態1に係る多角レンチの一部を例示する側面図である。 図3は、実施形態1に係る多角レンチの一部をレンチ体の中心を通る位置で切断した断面を概略的に例示する断面図である。 図4は、実施形態1に係る多角レンチの一部を例示する正面図である。 図5は、実施形態1に係る多角レンチにおいてハンドル部からレンチ体を取り外した構成を例示する断面図である。 図6は、実施形態1に係る多角レンチのレンチ体を例示する側面図である。 図7は、図6のレンチ体と止め金具とを分解した状態を概念的に説明する説明図である。 図8は、実施形態1に係る多角レンチのハンドル部を例示する正面図である。 図9は、実施形態1に係る多角レンチのハンドル部を例示する側面図である。 図10は、実施形態1に係る多角レンチにおいて、小レンチ部が退避した状態を概略的に例示する断面図である。 図11は、実施形態1に係る多角レンチにおいて、小レンチ部及び筒状レンチ部が退避した状態を概略的に例示する断面図である。
以下、本開示の実施形態を列記して例示する。なお、以下で示す〔1〕〜〔10〕の特徴は、矛盾しない態様でどのように組み合わせてもよい。
〔1〕ハンドル部と、前記ハンドル部に固定されるレンチ部と、を備えた多角レンチであって、前記レンチ体は、前記ハンドル部に固定されるとともに所定方向に沿って延びる筒状形態をなし、前記所定方向と直交する断面の外形が第1多角形状である第1レンチ部を有する固定筒部と、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び、前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である第2レンチ部を有し、前記第2レンチ部が前記所定方向一方側に突出する突出位置と前記突出位置のときよりも前記所定方向他方側へ退避した退避位置とで進退する1以上の進退部と、前記進退部を前記所定方向一方側に付勢する付勢部と、を有し、前記第2レンチ部は、当該第2レンチ部に対して前記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において前記突出位置で維持され、前記付勢部の付勢に抗して前記所定方向他方側へ押し込まれた場合に前記退避位置に変位する多角レンチ。
上記〔1〕の多角レンチは、固定筒部に形成された第1レンチ部と、1以上の進退部に形成された1以上の第2レンチ部と、を選択的に用いることができるため、複数の嵌合穴に対応可能な多角レンチとなる。しかも、第2レンチ部は、付勢部の付勢に抗して所定方向他方側へ押し込まれた場合に退避位置に変位する構成となっている。従って、ユーザが第1レンチ部を当該第1レンチ部に対応するサイズの嵌合穴に嵌合させる場合には、第2レンチ部を退避位置へと押し込みつつ嵌合させることが可能となる。よって、ユーザは、第2レンチ部の存在があったとしても、嵌合穴内の深い位置まで第1レンチ部を入り込ませる操作を容易に行うことができ、これらが良好に嵌まり合った状態で締め付け作業を行いやすくなる。一方、第2レンチ部に対して所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態では、第2レンチ部が突出位置で維持される。つまり、ユーザは、第2レンチ部を当該第2レンチ部に対応するサイズの嵌合穴に嵌合させる場合に、突出状態で維持される第2レンチ部を突出状態のまま嵌合穴に入り込ませることができる。よって、ユーザは、第2レンチ部が進退し得る構成であったとしても、嵌合穴に第2レンチ部を挿入する作業を作業性良く正確に行いやすくなる。
〔2〕複数の前記進退部を有し、複数の前記進退部は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延びる筒状形態をなし且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である1以上の筒状レンチ部と、前記筒状レンチ部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記筒状レンチ部の断面外形の多角形状よりも小さい多角形状である小レンチ部と、が前記第2レンチ部として設けられ、前記付勢部は、前記筒状レンチ部を前記所定方向一方側に付勢する第1付勢部と、前記小レンチ部を前記所定方向一方側に付勢する第2付勢部と、を有し、前記筒状レンチ部は、当該筒状レンチ部に対して前記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において前記固定筒部よりも突出した第1突出位置で維持され、前記第1付勢部の付勢に抗して前記所定方向他方側へ押し込まれた場合に前記第1突出位置よりも退避した第1退避位置に変位し、前記小レンチ部は、当該小レンチ部に対して前記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において前記筒状レンチ部よりも突出した第2突出位置で維持され、前記第2付勢部の付勢に抗して前記所定方向他方側へ押し込まれた場合に前記第2突出位置よりも退避した第2退避位置に変位する〔1〕に記載の多角レンチ。
上記〔2〕の多角レンチは、ハンドル部の所定方向一方側において3段階以上のレンチ部を構成することができ、且つ、筒状レンチ部及び小レンチ部のいずれもが独立して進退し得る構成となる。そして、各々のレンチ部を各レンチ部に対応する嵌合穴に対してより深い位置まで挿入することが可能な構成となる。
〔3〕前記レンチ体は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び、前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である第3レンチ部を有し、前記第3レンチ部が前記所定方向他方側に突出する位置と前記突出する位置のときよりも前記所定方向一方側へ退避した位置とで進退する1以上の第2進退部を備え、前記付勢部は、前記第2進退部を前記所定方向他方側に付勢し、前記第3レンチ部は、当該第3レンチ部に対して前記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態において前記突出する位置で維持され、前記付勢部の付勢に抗して前記所定方向一方側へ押し込まれた場合に前記退避した位置に変位する〔1〕又は〔2〕に記載の多角レンチ。
上記〔3〕の多角レンチは、筒状のレンチ部を固定筒部に対して進退させ得る構成を、ハンドル部の所定方向両側に設けることができる。よって、この多角レンチは、より多数のレンチ部がよりコンパクトに設けられた構成となり、各レンチ部を用いる場合により確実に嵌合させやすくなる。
〔4〕前記レンチ体は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び、前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である第3レンチ部を有し、前記第3レンチ部が前記所定方向他方側に突出する位置と前記突出する位置のときよりも前記所定方向一方側へ退避した位置とで進退する第2進退部を複数備え、複数の前記第2進退部は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延びる筒状形態をなし且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である1以上の第2筒状レンチ部と、前記第2筒状レンチ部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記第2筒状レンチ部の断面外形の多角形状よりも小さい多角形状である第2小レンチ部と、が前記第3レンチ部として設けられ、前記付勢部は、前記第2筒状レンチ部を前記所定方向他方側に付勢する第3付勢部と、前記第2小レンチ部を前記所定方向他方側に付勢する第4付勢部と、を有し、前記第2筒状レンチ部は、当該第2筒状レンチ部に対して前記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態において前記固定筒部よりも突出した第3突出位置で維持され、前記第3付勢部の付勢に抗して前記所定方向一方側へ押し込まれた場合に前記第3突出位置よりも退避した第3退避位置に変位し、前記第2小レンチ部は、当該第2小レンチ部に対して前記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態において前記第2筒状レンチ部よりも突出した第4突出位置で維持され、前記第4付勢部の付勢に抗して前記所定方向一方側へ押し込まれた場合に前記第4突出位置よりも退避した第4退避位置に変位する〔2〕に記載の多角レンチ。
上記〔4〕の多角レンチは、ハンドル部の所定方向一方側及び他方側のいずれにおいても3段階以上のレンチ部を構成することができるため、より一層多くのレンチ部を設けることができる。しかも、ハンドル部の所定方向一方側及び他方側のいずれにおいても筒状のレンチ部と小サイズのレンチ部とが独立して進退し得る構成となる。よって、多くのレンチ部を設け得る構成であっても、各々のレンチ部を各レンチ部に対応する嵌合穴に対してより深い位置まで挿入することが可能な構成となる。
〔5〕前記固定筒部は、前記ハンドル部に対して前記所定方向一方側に延びる第1延出部と、前記ハンドル部に対して前記所定方向他方側に延びる第2延出部と、を有し、前記付勢部は、前記第1延出部側から前記第2延出部側に及ぶように配置されるばね部材を有し、前記ばね部材の一方側が前記進退部を前記所定方向一方側に付勢し、前記ばね部材の他方側が前記第2進退部を前記所定方向他方側に付勢する〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載の多角レンチ。
上記〔5〕の多角レンチは、ハンドル部から両側に延びるばね部材によって両側の進退部を付勢することができるため、進退部を付勢し得る構成を効率的に実現できる。
〔6〕前記固定筒部は、前記ハンドル部に対して前記所定方向一方側に延びる第1延出部と、前記ハンドル部に対して前記所定方向他方側に延びる第2延出部と、を有し、前記付勢部は、前記第1延出部側から前記第2延出部側に及ぶように配置される第1コイルばねと、前記第1延出部側から前記第2延出部側に及ぶように配置されるとともに前記第1コイルばねの内部に配置される第2コイルばねと、を具備し、前記第1コイルばねの一方側が前記筒状レンチ部を前記所定方向一方側に付勢し、前記第1コイルばねの他方側が前記第2筒状レンチ部を前記所定方向他方側に付勢し、前記第2コイルばねの一方側が前記小レンチ部を前記所定方向一方側に付勢し、前記第2コイルばねの他方側が前記第2小レンチ部を前記所定方向他方側に付勢する〔4〕に記載の多角レンチ。
上記〔6〕の多角レンチは、ハンドル部から両側に延びる2つのばね(第1コイルばね及び第2コイルばね)によって筒状レンチ部、第2筒状レンチ部、小レンチ部、第2小レンチ部をいずれも付勢することができるため、4種類のレンチ部を付勢し得る構成を効率的に実現できる。
〔7〕前記固定筒部内において前記第1コイルばねと前記第2コイルばねとの間に介在するように前記第1コイルばね内に嵌り込む筒体と、前記固定筒部内において前記第2コイルばね内に嵌り込む軸体と、を有する、前記第1コイルばねは、前記筒体よりも前記所定方向一方側に延びる第1ばね部と、前記筒体よりも前記所定方向他方側に延びる第2ばね部と、を具備し、前記第2コイルばねは、前記軸体よりも前記所定方向一方側に延びる第3ばね部と、前記軸体よりも前記所定方向他方側に延びる第4ばね部と、を具備し、前記第1ばね部が前記筒状レンチ部を前記所定方向一方側に付勢し、前記第2ばね部が前記第2筒状レンチ部を前記所定方向他方側に付勢し、前記第3ばね部が前記小レンチ部を前記所定方向一方側に付勢し、前記第4ばね部が前記第2小レンチ部を前記所定方向他方側に付勢し、前記筒体内に前記軸体が配置される〔6〕に記載の多角レンチ。
上記〔7〕の多角レンチは、第1コイルばねの中間部分の形状を筒体によって保持し、第2コイルばねの中間部分の形状を軸体によって安定的に保持することができる。よって、第1延出部と第2延出部とに跨るように第1コイルばね及び第2コイルばねが設けられていても、両ばねが互いに干渉しにくくなる。
〔8〕前記第1延出部よりも前記第2延出部のほうが延出長さが大きく、前記筒状レンチ部よりも前記第2筒状レンチ部のほうが延出長さが大きく、前記小レンチ部よりも前記第2小レンチ部のほうが延出長さが大きい〔6〕又は〔7〕に記載の多角レンチ。
上記〔8〕の多角レンチは、所定方向他方側の各レンチ部の延出長さを相対的に大きくすることができる。そして、第2筒状レンチ部の延出長さが相対的に大きいため、延出長さが相対的に大きい第2小レンチ部を収容させやすく且つ進退させやすくなる。同様に、第2延出部の延出長さが相対的に大きいため、延出長さが相対的に大きい第2筒状レンチ部を収容させやすく且つ進退させやすくなる。
〔9〕前記筒状レンチ部よりも前記第2筒状レンチ部のほうが進退可能距離が大きく、前記小レンチ部よりも前記第2小レンチ部のほうが進退可能距離が大きい〔8〕に記載の多角レンチ。
上記〔9〕の多角レンチは、所定方向他方側の第2筒状レンチ部及び第2小レンチ部の進退可能距離を相対的に大きくすることができる。そして、第2延出部の延出長さが相対的に大きいため、第2筒状レンチ部の進退可能距離を大きくする構成を実現しやすくなる。同様に、第2筒状レンチ部の延出長さが相対的に大きいため、第2小レンチ部の進退可能距離を大きくする構成を実現しやすくなる。
〔10〕前記第1延出部よりも前記第2延出部のほうが前記第1多角形状のサイズが大きく、前記筒状レンチ部よりも前記第2筒状レンチ部のほうが断面外形の多角形状のサイズが大きく、前記小レンチ部よりも前記第2小レンチ部のほうが断面外形の多角形状のサイズが大きい〔5〕から〔9〕のいずれか1つに記載の多角レンチ。
上記〔10〕の多角レンチは、より多くのサイズのレンチ部を一体的に設けることができ、より多くのサイズの嵌合穴に対応し得る構成となる。
<実施形態1>
以下、実施形態1について、図面を参照して説明する。
図1〜図4で示す多角レンチ1は、ハンドル部2と、ハンドル部2に固定されるレンチ体4と、を備えるものであり、内縁が多角形状をなす嵌合穴が形成された締結部材を締め付けたり緩めたりするように用いられる工具である。多角レンチ1は、複数のレンチ部を備えてなり、いずれかのレンチ部を、対応するサイズの多角形穴が形成された締結部材に嵌合させて当該締結部材を締め付ける方向又は緩める方向に回転させるように用いられる。
以下で説明される代表例では、多角レンチ1は、六角レンチとして構成され、例えばボルトやネジ(例えば、六角穴付きボルトや六角穴付きねじ等)に形成された正六角形の嵌合穴に対して自身に設けられた六角レンチ部を嵌合させるように用いられる。なお、以下の説明はあくまで一例であり、各レンチ部は、六角レンチ以外の構成(例えば、四角レンチや八角レンチなど)であってもよい。
ハンドル部2は、単体での構成は図8、図9のようになっており、図1〜図4のように組み付けられた形で用いられる。ハンドル部2は、貫通式のラチェットハンドルとして構成されており、貫通孔62Aが形成された回転部62がハンドル本体60に組み込まれた構成をなす。ハンドル本体60は、第1方向に沿って延びる長手状の構成をなしており、ある程度の厚さの板状構成をなす。回転部62は、ハンドル本体60における長手方向一方側の端部寄りの位置に組み込まれており、上記第1方向と直交する第2方向に沿って貫通孔62Aが形成されている。貫通孔62Aは、ハンドル部2を上記第2方向に見たときに多角形状の内縁部を有する孔として構成されており、後述する固定筒部4Aの嵌合部14が挿入されて嵌合部14と嵌合する構成をなす。
ハンドル部2は、回転部62がハンドル本体60に対し所定の中心軸X(基準方向と平行な方向の仮想的な軸線)を中心として回転し得る構成をなす。具体的には、回転部62が上記中心軸Xを中心としていずれかの回転方向に回転することを許容し、それとは反対の回転方向の回転を規制するように回転規制機構64が設けられている。回転規制機構64は、操作部64Aが第1操作位置にあるときに回転部62がハンドル本体60に対して中心軸Xを中心とする第1回転方向に回転することを許容し、第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転することを規制する。この場合、回転部62は、第2回転方向に回転できなくなるため、第1回転方向の回転のみが可能となる。一方で、回転規制機構64は、操作部64Aが第2操作位置にあるときに回転部62が第2回転方向に回転することを許容し、第1回転方向に回転することを規制する。この場合、回転部62は、第1回転方向に回転できなくなるため、第2回転方向の回転のみが可能となる。なお、貫通孔(嵌合孔)を一方向に回転できるようにし、その回転許容方向を操作によって切り替え可能とする構成は、貫通式のラチェットハンドルの分野において周知である。よって、ハンドル部2でも、この周知機構を採用すればよい。
レンチ体4は、単体での構成は、図6、図7のようになっており、図1〜図4のように組み付けられた形で用いられる。図1〜図4で示されるように、レンチ体4は、主に、固定筒部4A、複数の進退部4B、複数の第2進退部4C、付勢部80、筒体91、軸体92、球体86、を備える。
固定筒部4Aは、ハンドル部2に固定されるとともに所定方向(基準方向)に沿って延びる筒状形態をなす部位である。以下の説明では、図1、図2等で示される基準方向が所定方向であり、具体的には、レンチ体4が延びる方向と平行な方向が基準方向である。固定筒部4Aは、上記所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状である第1レンチ部10を有する。具体的には、固定筒部4Aは、ハンドル部2に対して所定方向(基準方向)一方側に延びる第1延出部11と、ハンドル部2に対して所定方向(基準方向)他方側に延びる第2延出部12と、を有し、これら第1延出部11と第2延出部12とが第1レンチ部10として構成されている。
本構成では、第1延出部11を基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形が第1多角形状の一例に相当する。そして、第1延出部11は、基準方向所定領域(具体的には第1延出部11のほぼ全領域)にわたって基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形が同一形状(第1サイズの第1多角形状)となるように構成されている。また、第2延出部12を基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形も第1多角形状の一例に相当する。そして、第2延出部12は、基準方向所定領域(具体的には第2延出部12のほぼ全領域)にわたって基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形が同一形状(第2サイズの第1多角形状)となるように構成されている。そして、第1延出部11よりも第2延出部12のほうが第1多角形状のサイズが大きくなっている。なお、図1〜図4の例では、第1サイズの第1多角形状は、第1サイズの正六角形状であり、第2サイズの第1多角形状は、第2サイズの正六角形状である。
複数の進退部4Bは、複数の第2レンチ部20を有する。各々の進退部4Bは、各々の第2レンチ部20が所定方向(基準方向)一方側に突出する突出位置と突出位置のときよりも所定方向(基準方向)他方側へ退避した退避位置とで進退するように構成された部位である。第2レンチ部20は、少なくとも一部が固定筒部4Aの筒内に配置されうる構成をなすとともに所定方向(基準方向)に沿って延び、所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす部分である。
具体的には、第2レンチ部20として、筒状レンチ部22と小レンチ部24とが設けられている。つまり、複数の進退部4Bは、第2レンチ部20としての筒状レンチ部22が設けられた進退部と、第2レンチ部20としての小レンチ部24が設けられた進退部と、を有する。
筒状レンチ部22は、少なくとも一部が固定筒部4Aの筒内に配置されうる構成をなすとともに所定方向(基準方向)に沿って延びる筒状形態をなし且つ少なくとも所定方向(基準方向)の一部領域において所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす。具体的には、筒状レンチ部22は、図1で示す自然状態において固定筒部4Aから突出する部分がレンチ部として機能し、筒状レンチ部22の上記「突出する部分」は、所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす。具体的には、筒状レンチ部22の上記「突出する部分」における所定方向(基準方向)のほぼ全領域にわたって基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形が同一形状(第4サイズの多角形状)となるように構成されている。なお、図1〜図4の例では、第4サイズの多角形状は、第4サイズの正六角形状となっている。
小レンチ部24は、少なくとも一部が固定筒部4Aの筒内に配置されうる構成をなすとともに、少なくとも一部が筒状レンチ部22の筒内に配置されうる構成をなす。小レンチ部24は、所定方向(基準方向)に沿って延びる軸状形態をなし且つ少なくとも所定方向(基準方向)の一部領域において所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす。具体的には、小レンチ部24は、図1で示す自然状態において筒状レンチ部22から突出する部分がレンチ部として機能する。小レンチ部24の上記「突出する部分」は、所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が、上記第1多角形状(第1、第2サイズの第1多角形状)及び筒状レンチ部22の多角形状(第4サイズの多角形状)よりも小さい多角形状をなす。具体的には、小レンチ部24の上記「突出する部分」における所定方向(基準方向)のほぼ全領域にわたって基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形が同一形状(第6サイズの多角形状)となるように構成されている。なお、図1〜図4の例では、第6サイズの多角形状は、第6サイズの正六角形状となっている。
複数の第2進退部4Cは、複数の第3レンチ部30を有する。各々の第2進退部4Cは、各々の第3レンチ部30が所定方向(基準方向)他方側に突出する位置と突出する位置のときよりも所定方向(基準方向)一方側へ退避した位置とで進退するように構成された部位である。第3レンチ部30は、少なくとも一部が固定筒部4Aの筒内に配置されうる構成をなすとともに所定方向(基準方向)に沿って延び、所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす部分である。
具体的には、第3レンチ部30として、第2筒状レンチ部32と第2小レンチ部34とが設けられている。即ち、複数の第2進退部4Cは、第3レンチ部30である第2筒状レンチ部32が設けられた第2進退部と、第3レンチ部30である第2小レンチ部34が設けられた第2進退部と、を有する。
第2筒状レンチ部32は、少なくとも一部が固定筒部4Aの筒内に配置されうる構成をなすともに所定方向(基準方向)に沿って延びる筒状形態をなし且つ少なくとも所定方向(基準方向)の一部領域において所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす。具体的には、第2筒状レンチ部32は、図1で示す自然状態において固定筒部4Aから突出する部分がレンチ部として機能し、第2筒状レンチ部32の上記「突出する部分」は、所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす。具体的には、第2筒状レンチ部32の上記「突出する部分」における所定方向(基準方向)のほぼ全領域にわたって基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形が同一形状(第3サイズの多角形状)となるように構成されている。なお、図1〜図4の例では、第3サイズの多角形状は、第3サイズの正六角形状となっている。
第2小レンチ部34は、少なくとも一部が固定筒部4Aの筒内に配置されうる構成をなすとともに、少なくとも一部が第2筒状レンチ部32の筒内に配置されうる構成をなす。第2小レンチ部34は、所定方向(基準方向)に沿って延びる軸状形態をなし、少なくとも所定方向(基準方向)の一部領域において所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が第1多角形状よりも小さい多角形状をなす。具体的には、第2小レンチ部34は、図1で示す自然状態において第2筒状レンチ部32から突出する部分がレンチ部として機能する。第2小レンチ部34の上記「突出する部分」は、所定方向(基準方向)と直交する断面の外形が、上記第1多角形状(第1、第2サイズの第1多角形状)及び第2筒状レンチ部32の多角形状(第3サイズの多角形状)よりも小さい多角形状をなす。具体的には、第2小レンチ部34の上記「突出する部分」における所定方向(基準方向)のほぼ全領域にわたって基準方向と直交する方向に切断した切断面の外形が同一形状(第5サイズの多角形状)となるように構成されている。図1〜図4の例では、第5サイズの多角形状は、第5サイズの正六角形状となっている。
図1〜図4の例では、固定筒部4Aにおける第1、第2サイズの第1多角形状のいずれよりも第3サイズの多角形状が小さい。そして、第3サイズの多角形状よりも第4サイズの多角形状のほうが小さく、第4サイズの多角形状よりも第5サイズの多角形状のほうが小さく、第5サイズの多角形状よりも第6サイズの多角形状のほうが小さくなっている。
図3に示されるように、付勢部80は、進退部4Bを所定方向(基準方向)一方側に付勢する部分であり、第2進退部4Cを所定方向(基準方向)他方側に付勢する部分である。付勢部80は、上記所定方向において第1延出部11側から第2延出部12側に及ぶように配置されるばね部材(具体的には、第1コイルばね81及び第2コイルばね82)を有し、ばね部材の一方側が進退部4Bを上記所定方向一方側に付勢し、ばね部材の他方側が第2進退部4Cを上記所定方向他方側に付勢する。
付勢部80は、第1延出部11側から第2延出部12側に及ぶように配置される第1コイルばね81と、第1延出部11側から第2延出部12側に及ぶように配置されるとともに第1コイルばね81の内部に配置される第2コイルばね82と、を具備する。第1コイルばね81の一方側が筒状レンチ部22を上記所定方向一方側に付勢し、第1コイルばね81の他方側が第2筒状レンチ部32を上記所定方向他方側に付勢する。そして、第2コイルばね82の一方側が小レンチ部24を上記所定方向一方側に付勢し、第2コイルばね82の他方側が第2小レンチ部34を上記所定方向他方側に付勢する。第1コイルばね81は、筒状レンチ部22を上記所定方向一方側に付勢する第1付勢部の一例に相当し、第2筒状レンチ部32を上記所定方向他方側に付勢する第3付勢部の一例に相当する。第2コイルばね82は、小レンチ部24を上記所定方向一方側に付勢する第2付勢部の一例に相当し、第2小レンチ部34を上記所定方向他方側に付勢する第4付勢部の一例に相当する。
図3のように、固定筒部4A内には、付勢部80の一部の形状を保持する形状保持部90が設けられている。形状保持部90は、筒体91と軸体92とを備える。筒体91は、固定筒部4A内において第1コイルばね81と第2コイルばね82との間に介在するように第1コイルばね81内に嵌り込む円筒状の部材である。筒体91は、第1コイルばね81の内壁面における所定位置に固定され、第2コイルばね82における外壁面の所定位置に固定され、第1コイルばね81と第2コイルばね82とによって挟み込まれた構成をなす。軸体92は、固定筒部4A内において第2コイルばね82内に嵌り込む軸状(例えば細長の円柱状)の部材である。軸体92は、第2コイルばね82の内壁面における所定位置に固定されている。軸体92の所定方向(基準方向)一方側の端部は、筒体91の所定方向(基準方向)一方側の端部よりも所定方向一方側に突出している。軸体92の上記所定方向他方側の端部は、筒体91の上記所定方向他方側の端部よりも所定方向他方側に突出している。
第1コイルばね81は、筒体91よりも上記所定方向一方側に延びる第1ばね部81Aと、筒体91よりも上記所定方向他方側に延びる第2ばね部81Bと、を具備する。そして、第1ばね部81Aの端部が直列的に筒状レンチ部22を上記所定方向一方側に押すように付勢する。また、第2ばね部81Bが第2筒状レンチ部32を直接的に上記所定方向他方側に押すように付勢する。更に、第2コイルばね82は、軸体92よりも上記所定方向一方側に延びる第3ばね部82Aと、軸体92よりも上記所定方向他方側に延びる第4ばね部82Bと、を具備する。そして、第3ばね部82Aが球体86を介して小レンチ部24を上記所定方向一方側に押すように付勢する。そして、第4ばね部82Bが第2小レンチ部34を上記所定方向他方側に押すように付勢する。球体86は、例えば鉄球として構成され、小レンチ部24と第3ばね部82Aとに接触するように配置される。
図3のように、レンチ体4は、第1延出部11よりも第2延出部12のほうが延出長さが大きくなっている。そして、筒状レンチ部22よりも第2筒状レンチ部32のほうが延出長さが大きくなっている。そして、小レンチ部24よりも第2小レンチ部34のほうが延出長さが大きくなっている。更に、筒状レンチ部22よりも第2筒状レンチ部32のほうが進退可能距離が大きくなっている。そして、小レンチ部24よりも第2小レンチ部34のほうが進退可能距離が大きくなっている。
本構成では、図6、図7のように構成されたレンチ体4が図8、図9のように構成されたハンドル部2の貫通孔(嵌合孔)62A内に挿入するように組み付けられる(図3、図5参照)。レンチ体4において、第1延出部11と第2延出部12との間には、断面外形が第1延出部11の断面外形と同様の形状をなす嵌合部14が形成されており、嵌合部14が貫通孔62A内に嵌り込むように組み付けられる。嵌合部14が貫通孔(嵌合孔)62Aに嵌り込んだ状態では、回転部62に対してレンチ体4が回転不能な状態(中心軸Xを中心とする相対的回転変位が不能な状態)となる。このように嵌合部14と貫通孔62Aとが嵌合した状態で、嵌合部14よりも上記所定方向一方側に形成された溝部16内にC形止め輪88が嵌め込まれることにより、回転部62が嵌合部14よりも上記所定方向一方側に変位することが規制され、抜け止めがなされる。一方、嵌合部14よりも上記所定方向他方側には回転部62に当接し得る段差部18が設けられているため、段差部18によって回転部62が嵌合部14よりも所定方向他方側に変位することが規制される。このような構成により、回転部62が嵌合部14に対して上記所定方向に相対移動しないようになる。
このように構成された多角レンチ1は、図1〜図3のように第2レンチ部20に対して上記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態では、第2レンチ部20が突出位置で維持される。一方、図10又は図11のように、付勢部80の付勢に抗して第2レンチ部20が上記所定方向他方側へ押し込まれた場合には第2レンチ部20が退避位置に変位する構成をなす。
具体的には、筒状レンチ部22は、図1、図3のように筒状レンチ部22に対して上記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態では、固定筒部4Aよりも突出した第1突出位置で維持される。一方、図11のように、第1コイルばね81の付勢に抗して上記所定方向他方側へ押し込まれた場合には上記第1突出位置よりも退避した第1退避位置に変位する。また、小レンチ部24は、図1、図3のように小レンチ部24に対して上記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態では、筒状レンチ部22よりも突出した第2突出位置で維持される。一方、図10のように、第2コイルばね82の付勢に抗して上記所定方向他方側へ押し込まれた場合には、上記第2突出位置よりも退避した第2退避位置に変位する。
所定方向他方側に設けられた第2進退部4Cの動作は、進退部4Bの動作と同様である。具体的には、図1〜図3のように第3レンチ部30に対して上記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態では、第3レンチ部30は、突出する位置で維持される。一方、第3レンチ部30は、付勢部80の付勢に抗して上記所定方向一方側へ押し込まれた場合に退避した位置に変位する。
例えば、第2筒状レンチ部32は、図1〜図3のように第2筒状レンチ部32に対して上記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態では、固定筒部4Aよりも突出した第3突出位置で維持される。一方、第2筒状レンチ部32は、第1コイルばね81の付勢に抗して上記所定方向一方側へ押し込まれた場合には、上記第3突出位置よりも退避した第3退避位置に変位する。また、第2小レンチ部34は、図1〜図3のように第2小レンチ部34に対して上記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態では、第2筒状レンチ部32よりも突出した第4突出位置で維持される。一方、第2小レンチ部34は、第2コイルばね82の付勢に抗して上記所定方向一方側へ押し込まれた場合には、上記第4突出位置よりも退避した第4退避位置に変位する。
ここで、本構成の効果を例示する。
多角レンチ1は、固定筒部4Aに形成された第1レンチ部10と、1以上の進退部4Bに形成された1以上の第2レンチ部20と、を選択的に用いることができるため、複数の嵌合穴に対応可能な多角レンチとなる。しかも、第2レンチ部20は、付勢部80の付勢に抗して所定方向他方側(基準方向他方側)へ押し込まれた場合に退避位置に変位する構成となっている。従って、ユーザが第1レンチ部10を当該第1レンチ部10に対応するサイズの嵌合穴に嵌合させる場合には、第2レンチ部20を退避位置へと押し込みつつ嵌合させることが可能となる。よって、ユーザは、第2レンチ部20の存在があったとしても、嵌合穴内の深い位置まで第1レンチ部10を入り込ませる操作を容易に行うことができ、これらが良好に嵌まり合った状態で締め付け作業を行いやすくなる。一方、第2レンチ部20に対して所定方向他方側(基準方向他方側)への押圧力が加えられていない状態では、第2レンチ部20が突出位置で維持される。つまり、ユーザは、第2レンチ部20を当該第2レンチ部20に対応するサイズの嵌合穴に嵌合させる場合に、突出状態で維持される第2レンチ部20を突出状態のまま嵌合穴に入り込ませることができる。より具体的には、例えば、小レンチ部24を小レンチ部24に対応する嵌合穴に嵌合させる場合に、小レンチ部24を突出状態のまま嵌合穴に入り込ませることができる。よって、ユーザは、第2レンチ部20が進退し得る構成であったとしても、嵌合穴に第2レンチ部20を挿入する作業を作業性良く正確に行いやすくなる。
多角レンチ1は、ハンドル部2の所定方向一方側(基準方向一方側)において3段階以上のレンチ部を構成することができ、且つ、筒状レンチ部22及び小レンチ部24のいずれもが独立して進退し得る構成となる。そして、各々のレンチ部を各レンチ部に対応する嵌合穴に対してより深い位置まで挿入することが可能な構成となる。
多角レンチ1は、筒状のレンチ部を固定筒部4Aに対して進退させ得る構成を、ハンドル部2の所定方向両側(基準方向両側)に設けることができる。よって、多角レンチ1は、より多数のレンチ部がよりコンパクトに設けられた構成となり、各レンチ部を用いる場合により確実に嵌合させやすい。
多角レンチ1は、ハンドル部2の所定方向(基準方向)一方側及び他方側のいずれにおいても3段階以上のレンチ部を構成することができるため、より一層多くのレンチ部を設けることができる。しかも、ハンドル部2の所定方向(基準方向)一方側及び他方側のいずれにおいても筒状のレンチ部と小サイズのレンチ部とが独立して進退し得る構成となる。よって、多くのレンチ部を設け得る構成であっても、各々のレンチ部を各レンチ部に対応する嵌合穴に対してより深い位置まで挿入することが可能な構成となる。
多角レンチ1は、ハンドル部2から所定方向(基準方向)両側に延びるばね部材によって両側の進退部(進退部4B、第2進退部4C)を付勢することができるため、2つの進退部を付勢し得る構成を効率的に実現できる。
多角レンチ1は、ハンドル部2から所定方向(基準方向)両側に延びる2つのばね(第1コイルばね81及び第2コイルばね82)によって筒状レンチ部22、第2筒状レンチ部32、小レンチ部24、第2小レンチ部34をいずれも付勢することができるため、4種類のレンチ部を付勢し得る構成を効率的に実現できる。
多角レンチ1は、第1コイルばね81の中間部分の形状を筒体91によって保持し、第2コイルばね82の中間部分の形状を軸体92によって安定的に保持することができる。よって、第1延出部11と第2延出部12とに跨るように第1コイルばね81及び第2コイルばね82が設けられていても、両ばねが互いに干渉しにくくなる。
多角レンチ1は、所定方向(基準方向)他方側の各レンチ部の延出長さを相対的に大きくすることができる。そして、第2筒状レンチ部32の延出長さが相対的に大きいため、延出長さが相対的に大きい第2小レンチ部34を収容させやすく且つ進退させやすくなる。同様に、第2延出部12の延出長さが相対的に大きいため、延出長さが相対的に大きい第2筒状レンチ部32を収容させやすく且つ進退させやすくなる。
多角レンチ1は、所定方向(基準方向)他方側の第2筒状レンチ部32及び第2小レンチ部34の進退可能距離を相対的に大きくすることができる。そして、第2延出部12の延出長さが相対的に大きいため、第2筒状レンチ部32の進退可能距離を大きくする構成を実現しやすくなる。同様に、第2筒状レンチ部32の延出長さが相対的に大きいため、第2小レンチ部34の進退可能距離を大きくする構成を実現しやすくなる。
多角レンチ1は、第1延出部11よりも第2延出部12のほうが第1多角形状(基準方向と直交する方向に切断した切断面での外形形状である多角形状)のサイズが大きい。そして、筒状レンチ部22よりも第2筒状レンチ部32のほうが断面外形の多角形状(基準方向と直交する方向に切断した切断面での外形形状である多角形状)のサイズが大きい。更に、小レンチ部24よりも第2小レンチ部34のほうが断面外形の多角形状(基準方向と直交する方向に切断した切断面での外形形状である多角形状)のサイズが大きい。この多角レンチ1は、より多くのサイズのレンチ部を一体的に設けることができ、より多くのサイズの嵌合穴に対応し得る構成となる。
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態を、次のように変更してもよい。
上記実施形態では、レンチ体4が基準方向に延びる中心軸を中心としていずれかの回転方向に回転することを許容し、それとは反対の回転方向の回転を規制するようにハンドル部2が構成されていた。しかし、レンチ体4の両方向の回転を規制する構成であってもよい。つまり、ハンドル部2に対してレンチ体4が回転しない構成であってもよい。
上記実施形態では、レンチ体4が基準方向に延びる中心軸を中心としていずれかの回転方向に回転することを許容し、それとは反対の回転方向の回転を規制するようにハンドル部2が構成され、回転を許容する方向を切り替えることができる構成であった。しかし、ハンドル部2は、このような切り替えが不能な構成であってもよい。つまり、ハンドル部2は、組み込まれたレンチ体4が基準方向に延びる中心軸を中心として一方の回転方向の回転が可能とされ、他方の回転方向の回転が不能とされるように、回転可能方向が固定されていてもよい。
上記実施形態では、進退部4Bが1つの筒状レンチ部によって構成されていたが、複数の筒状レンチ部によって進退部が構成されていてもよい。例えば、一の筒状レンチ部が第1延出部11に嵌り込み、一の筒状レンチ部の内側に他の筒状レンチ部が嵌り込み、他の筒状レンチ部の内側に小レンチ部が嵌り込むように所定方向一方側のレンチ部が4段に形成されていてもよい。或いは、筒状レンチ部が3段以上に構成され、所定方向一方側のレンチ部が5段以上に形成されていてもよい。
上記実施形態では、第2進退部4Cが1つの第2筒状レンチ部によって構成されていたが、複数の第2筒状レンチ部によって第2進退部が構成されていてもよい。例えば、一の第2筒状レンチ部が第2延出部12に嵌り込み、一の第2筒状レンチ部の内側に他の第2筒状レンチ部が嵌り込み、他の第2筒状レンチ部の内側に第2小レンチ部が嵌り込むように所定方向他方側のレンチ部が4段に形成されていてもよい。或いは、第2状レンチ部が3段以上に構成され、所定方向他方側のレンチ部が5段以上に形成されていてもよい。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されず、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…多角レンチ
2…ハンドル部
4…レンチ体
4A…固定筒部
4B…進退部
4C…第2進退部
10…第1レンチ部
11…第1延出部
12…第2延出部
20…第2レンチ部
22…筒状レンチ部
24…小レンチ部
30…第3レンチ部
32…第2筒状レンチ部
34…第2小レンチ部
80…付勢部

Claims (6)

  1. ハンドル部と、
    前記ハンドル部に固定されるレンチ体と、
    を備えた多角レンチであって、
    前記レンチ体は、
    前記ハンドル部に固定されるとともに所定方向に沿って延びる筒状形態をなし、前記所定方向と直交する断面の外形が第1多角形状である第1レンチ部を有する固定筒部と、
    前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び、前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である第2レンチ部を有し、前記第2レンチ部が前記所定方向一方側に突出する突出位置と前記突出位置のときよりも前記所定方向他方側へ退避した退避位置とで進退する1以上の進退部と、
    前記進退部を前記所定方向一方側に付勢する付勢部と、
    を有し、
    前記第2レンチ部は、当該第2レンチ部に対して前記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において前記突出位置で維持され、前記付勢部の付勢に抗して前記所定方向他方側へ押し込まれた場合に前記退避位置に変位する
    多角レンチ。
  2. 複数の前記進退部を有し、
    複数の前記進退部は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延びる筒状形態をなし且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である1以上の筒状レンチ部と、前記筒状レンチ部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記筒状レンチ部の断面外形の多角形状よりも小さい多角形状である小レンチ部と、が前記第2レンチ部として設けられ、
    前記付勢部は、
    前記筒状レンチ部を前記所定方向一方側に付勢する第1付勢部と、
    前記小レンチ部を前記所定方向一方側に付勢する第2付勢部と、
    を有し、
    前記筒状レンチ部は、当該筒状レンチ部に対して前記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において前記固定筒部よりも突出した第1突出位置で維持され、前記第1付勢部の付勢に抗して前記所定方向他方側へ押し込まれた場合に前記第1突出位置よりも退避した第1退避位置に変位し、
    前記小レンチ部は、当該小レンチ部に対して前記所定方向他方側への押圧力が加えられていない状態において前記筒状レンチ部よりも突出した第2突出位置で維持され、前記第2付勢部の付勢に抗して前記所定方向他方側へ押し込まれた場合に前記第2突出位置よりも退避した第2退避位置に変位する
    請求項1に記載の多角レンチ。
  3. 前記レンチ体は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び、前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である第3レンチ部を有し、前記第3レンチ部が前記所定方向他方側に突出する位置と前記突出する位置のときよりも前記所定方向一方側へ退避した位置とで進退する1以上の第2進退部を備え、
    前記付勢部は、前記第2進退部を前記所定方向他方側に付勢し、
    前記第3レンチ部は、当該第3レンチ部に対して前記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態において前記突出する位置で維持され、前記付勢部の付勢に抗して前記所定方向一方側へ押し込まれた場合に前記退避した位置に変位する
    請求項1又は請求項2に記載の多角レンチ。
  4. 前記レンチ体は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び、前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である第3レンチ部を有し、前記第3レンチ部が前記所定方向他方側に突出する位置と前記突出する位置のときよりも前記所定方向一方側へ退避した位置とで進退する第2進退部を複数備え、
    複数の前記第2進退部は、前記固定筒部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延びる筒状形態をなし且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記第1多角形状よりも小さい多角形状である1以上の第2筒状レンチ部と、前記第2筒状レンチ部の筒内に配置されうるとともに前記所定方向に沿って延び且つ前記所定方向と直交する断面の外形が前記第2筒状レンチ部の断面外形の多角形状よりも小さい多角形状である第2小レンチ部と、が前記第3レンチ部として設けられ、
    前記付勢部は、
    前記第2筒状レンチ部を前記所定方向他方側に付勢する第3付勢部と、
    前記第2小レンチ部を前記所定方向他方側に付勢する第4付勢部と、
    を有し、
    前記第2筒状レンチ部は、当該第2筒状レンチ部に対して前記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態において前記固定筒部よりも突出した第3突出位置で維持され、前記第3付勢部の付勢に抗して前記所定方向一方側へ押し込まれた場合に前記第3突出位置よりも退避した第3退避位置に変位し、
    前記第2小レンチ部は、当該第2小レンチ部に対して前記所定方向一方側への押圧力が加えられていない状態において前記第2筒状レンチ部よりも突出した第4突出位置で維持され、前記第4付勢部の付勢に抗して前記所定方向一方側へ押し込まれた場合に前記第4突出位置よりも退避した第4退避位置に変位する
    請求項2に記載の多角レンチ。
  5. 前記固定筒部は、前記ハンドル部に対して前記所定方向一方側に延びる第1延出部と、前記ハンドル部に対して前記所定方向他方側に延びる第2延出部と、を有し、
    前記付勢部は、前記第1延出部側から前記第2延出部側に及ぶように配置されるばね部材を有し、
    前記ばね部材の一方側が前記進退部を前記所定方向一方側に付勢し、
    前記ばね部材の他方側が前記第2進退部を前記所定方向他方側に付勢する
    請求項3又は請求項4に記載の多角レンチ。
  6. 前記固定筒部は、前記ハンドル部に対して前記所定方向一方側に延びる第1延出部と、前記ハンドル部に対して前記所定方向他方側に延びる第2延出部と、を有し、
    前記付勢部は、前記第1延出部側から前記第2延出部側に及ぶように配置される第1コイルばねと、前記第1延出部側から前記第2延出部側に及ぶように配置されるとともに前記第1コイルばねの内部に配置される第2コイルばねと、を具備し、
    前記第1コイルばねの一方側が前記筒状レンチ部を前記所定方向一方側に付勢し、前記第1コイルばねの他方側が前記第2筒状レンチ部を前記所定方向他方側に付勢し、
    前記第2コイルばねの一方側が前記小レンチ部を前記所定方向一方側に付勢し、前記第2コイルばねの他方側が前記第2小レンチ部を前記所定方向他方側に付勢する
    請求項4に記載の多角レンチ。
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