JP2021062388A - インサートチップ、インサートキャップ、プラズマ溶接トーチ及びプラズマ溶接装置 - Google Patents

インサートチップ、インサートキャップ、プラズマ溶接トーチ及びプラズマ溶接装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接時に金属を含む金属ヒューム及び金属を含む金属スパッタを発生させる鋼板をプラズマ溶接した場合でも、金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することが可能なインサートチップを提供すること。【解決手段】プラズマ溶接トーチに装着され、太径部15eを有し、太径部15eから先端面15aに向かって細る形状を持つインサートチップ15である。インサートチップ15は、プラズマアークを発生する電極が挿入される内空間15cと、先端面15aに設けられたチップ穴15bと、インサートチップ15の外表面15fに、太径部15eから先端面15aに至るように設けられ、先端面15において、チップ穴15bの周囲を囲むように配置された、少なくとも3つ以上の複数の溝15gと、を備える。【選択図】図3

Description

この発明は、インサートチップ、インサートキャップ、プラズマ溶接トーチ及びプラズマ溶接装置に関する。
表面処理鋼板、例えば亜鉛めっき鋼板のプラズマ溶接では、アークの熱によって亜鉛金属を含む蒸気(本明細書では亜鉛ヒュームという)や、鋼板の飛散物(本明細書では鋼板スパッタという)が発生する。
亜鉛ヒュームは、例えばインサートチップの先端面に付着し、やがて堆積物を形成する。堆積物が大きくなると、堆積物が溶融プールに落下して溶接ビードに欠陥を引き起こす。さらに、堆積物は、プラズマガス流やシールドガス流を妨げ、アークを不安定とし、溶接不具合を引き起こす。
鋼板スパッタは、例えば電極棒の先端及びインサートチップのチップ穴の周囲に溶着する。電極棒の先端に溶着した鋼板スパッタは、電極棒(例えばタングステン)と合金化して電極棒の融点を低下させる。融点が低下した電極棒は、短期に消耗変形し、アークを乱し、溶接不具合を引き起こす。
また、チップ穴の周囲に溶着した亜鉛ヒュームや鋼板スパッタは、インサートチップ(例えば銅)と合金化してインサートチップの熱伝導率を低下させる。熱伝導率が低下したインサートチップでは、サーマルピンチ効果が設計値から変わってしまい、アーク狭窄の度合いが変化する。このため、アークと接するチップ穴の先端部が溶損して変形しやすく長時間安定した溶接作業を行うことが難しくなる。
これらの事情から、溶接時に金属を含む金属ヒューム及び金属を含む金属スパッタを発生させるような鋼板のプラズマ溶接では、溶接の品質及び溶接作業の安定性を保つために、インサートチップや電極棒を頻繁に交換する必要があった。この事情は、表面処理鋼板(例えば亜鉛めっき鋼板)に限らず、合金鋼板(蒸気化温度の低い金属を含む合金鋼板、例えばマンガンを含む合金鋼板)のプラズマ溶接においても同様である。
国際公開第2013/108797号 特開2009−172644号公報 特開平7−256463号公報 特開2004−243374号公報
特許文献1〜3には、それぞれ亜鉛めっき鋼板のプラズマ溶接が開示されている。
特許文献1では、ヒュームが第1ノズル(アーク電極1)の先端面(11c)に付着することを防止するために、ノズル先端面と平行なガス流を形成する第3ノズル(13)が設けられている。
しかしながら、特許文献1では、先端面(11c)の全面への亜鉛ヒュームや鋼板スパッタの付着を防止するために、第3ノズル(13)から大流量のガスを流す必要がある(例えば10リットル/min)。これに対して、第1ノズル(1)から噴出されるプラズマガス(PG)は小流量であり、例えば1リットル/min以下である。小流量のプラズマガス(アーク)PGに、大流量のガスをほぼ直角に当てると、アークが不安定となり、その結果、溶接が不安定となる。しかも、特許文献1では、第3ノズル(13)への亜鉛ヒュームの付着や鋼板スパッタの溶着については考慮されていない。このため、
(a)堆積物が溶融プールに落下し、溶接ビードに欠陥を引き起こすこと
(b)堆積物がプラズマガス流やシールドガス流を妨げ、アークが不安定になること
これらの事情(a)及び(b)については、特許文献1では解消できない。
特許文献2では、亜鉛ヒュームがインサートチップ(1)の先端面に付着することを防止するために、インサートチップ(1)のプラズマガス噴出孔(チップ穴2)の周囲に、サイドプラズマガス流(13)を形成する複数のサイドプラズマガス噴出孔(10)が設けられている。
しかしながら、特許文献2では、以下の3つの事情がある。
(c)サイドプラズマガス流(13)は、メインアーク(12)を形成するプラズマガス流を分岐することで形成される。このため、亜鉛ヒュームの付着を防止するサイドプラズマガスの流量を多くするためには、プラズマガスの流量を多くしなければならない。プラズマガスの流量を多くすると、メインアーク(12)の、溶融プールを吹き飛ばす力が強くなる。これは、穴あき不良やビード形状不良の欠陥をもたらす。
(d)インサートチップ(1)の先端のサイドプラズマガス噴出孔(10)の外周に沿った面では、サイドプラズマガス流(13)が弱い(ガス流はほとんどない)。このため、サイドプラズマガス噴出孔(10)の外周に沿った面には、亜鉛ヒュームの付着や鋼板スパッタの溶着が起こる。
(e)サイドプラズマガス噴出孔(10)の孔径は小さい(約1mm程度)。このため、亜鉛ヒュームの付着及び鋼板スパッタの溶着により詰まりやすく、長時間安定した溶接には適していない。
特許文献3では、ノズル(12)の内側から外側に向けて亜鉛ヒュームを排出するために、ノズル(12)の先端に設けた穴(チップ穴)を大きくし、電極(4)の先端を、ノズル(12)の先端と平行か又は突き出す位置に設置する。さらに、プラズマガスの流量を、亜鉛めっき鋼板の通常のプラズマ溶接と比較して大きく設定する。
しかしながら、特許文献3では、亜鉛ヒュームは排出できるが、ランダムに発生する鋼板スパッタについては排出できない。しかも、電極(4)の先端が溶融プールに近いところ(約1〜2mm)にあるために、鋼板スパッタが電極(4)と溶着しやすい。電極(4)に鋼板スパッタが溶着した時点で、上述した通り、健全な溶接はできなくなる。
なお、特許文献1〜3には、亜鉛ヒュームが記載されてはいるが、鋼板スパッタについては記載されていない。このため、特許文献1〜3からは、鋼板スパッタに起因した合金化については改善が難しい。
特許文献4には、プラズマトーチが開示されている。
特許文献4に開示されたプラズマトーチでは、インサートチップ(10)とシールドキャップ(9)との間に一対のサイドガス噴出口(7)が設けられている。一対のサイドガス噴出口(7)は、溶接方向yに沿ってインサートチップ(10)に設けられる。これにより、溶接方向yに縦長の楕円形のプラズマ流束が形成され、溶接方向yへの加工スピードが向上する。さらに、溶接方向yに直交する方向には、プラズマ流束の幅を狭くでき、溶接精度が向上する。
しかし、特許文献4には、亜鉛めっき鋼板のプラズマ溶接を言及したものではなく、亜鉛めっき鋼板をプラズマ溶接する際の事情も開示されていない。特許文献4に開示されたプラズマトーチを、仮に、亜鉛めっき鋼板のプラズマ溶接に用いたとしても、溶接方向yには、サイドガスによる亜鉛ヒューム及び鋼板スパッタを遮断する効果はない。このため、インサートチップ(10)の先端及びタングステン電極(1)への亜鉛ヒュームの付着及び鋼板スパッタの溶着を抑制することは困難である。
この発明の目的は、溶接時に金属を含む金属ヒューム及び金属を含む金属スパッタを発生させる鋼板をプラズマ溶接した場合でも、金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することが可能なインサートチップ、インサートキャップ、プラズマ溶接トーチ及びプラズマ溶接装置を提供することにある。
この発明の第1態様に係るインサートチップは、プラズマ溶接トーチに装着され、太径部を有し、前記太径部から先端面に向かって細る形状を持つインサートチップであって、プラズマアークを発生する電極が挿入される内空間と、前記内空間と連通し、前記電極が発生するプラズマアークを放出する、前記先端面に設けられたチップ穴と、前記インサートチップの外表面に、前記太径部から前記先端面に至るように設けられ、前記先端面において、前記チップ穴の周囲を囲むように配置された、少なくとも3つ以上の複数の溝と、を備えたことを特徴とする。
この発明の第2態様に係るインサートチップは、第1態様に係るインサートチップにおいて、前記複数の溝のそれぞれは、前記先端面の周方向に沿って等間隔に配置されていることを特徴とする。
この発明の第3態様に係るインサートチップは、第1態様又は第2態様に係るインサートチップにおいて、前記先端面は、曲面を含むことを特徴とする。
この発明の第4態様に係るインサートチップは、第1態様〜第3態様のいずれか1つに係るインサートチップにおいて、前記先端面において、前記複数の溝及び前記チップ穴の総開口面積SOPENと前記先端面の面積STIPとの割合SOPEN/STIPは、0.25以上0.75以下であることを特徴とする。
この発明の第5態様に係るインサートチップは、第1態様〜第4態様のいずれか1つに係るインサートチップにおいて、前記先端面において、前記複数の溝は互いに連通し、複数の前記チップ穴を囲むように、1つの環状溝になっていることを特徴とする。
この発明の第6態様に係るインサートチップは、第1態様〜第5態様のいずれか1つに係るインサートチップにおいて、前記複数の溝のそれぞれは、不活性ガス又は不活性ガスと活性ガスとを含むバリアガスを放出することを特徴とする。
この発明の第7態様に係るインサートチップは、第6態様に係るインサートチップにおいて、前記複数の溝のそれぞれは、放出された前記バリアガスの流れと放出された前記プラズマアークの流れとが、溶融プールの表面で重ならない角度で、前記チップ穴に垂直な線から傾いていることを特徴とする。
この発明の第8態様に係るインサートチップは、第7態様に係るインサートチップにおいて、前記バリアガスの流れと放出された前記プラズマアークの流れとは、実使用時に推奨されるスタンドオフの範囲において、前記溶融プールの表面で重ならないことを特徴とする。
この発明の第9態様に係るインサートチップは、第6態様〜第8態様のいずれか1つに係るインサートチップにおいて、前記複数の溝のそれぞれは、前記バリアガスの流れが、前記プラズマアークの流れを360°囲むことが可能な位置に配置されていることを特徴とする。
この発明の第10態様に係るインサートチップは、第1態様〜第9態様のいずれか1つに係るインサートチップにおいて、前記プラズマ溶接トーチは、溶接時に、金属を含むヒ金属ューム及び金属を含む金属スパッタを発生させる鋼板のプラズマ溶接に使用されるものであることを特徴とする。
この発明の第11態様に係るインサートキャップは、第1態様〜第10態様のいずれか1つに係るインサートチップと組み合わせられるインサートキャップであって、先端に開口を有し、前記インサートチップに嵌合する円錐内壁面を有した内空間を備え、前記円錐内壁面が、前記インサートチップの外表面と接することによって、前記インサートチップの外表面に設けられた前記複数の溝のそれぞれをガス流路とすることを特徴とする。
この発明の第12態様に係るインサートキャップは、第11態様に係るインサートキャップにおいて、前記インサートキャップの先端面が、前記開口に水平な線から、前記開口の先端に向かって傾いていることを特徴とする。
この発明の第13態様に係るプラズマ溶接トーチは、トーチ本体と、前記トーチ本体に取り付けられた第11態様又は第12態様に係るインサートキャップと、前記インサートキャップの前記内空間内に取り付けられた第1態様〜第10態様のいずれか1つに係るインサートチップと、を備えたことを特徴とする。
この発明の第14態様に係るプラズマ溶接トーチは、第13態様に係るプラズマ溶接トーチにおいて、前記インサートチップの外側に取り付けられ、内空間と、前記内空間に連通した開口を有するシールドキャップを、さらに備え、前記インサートキャップは、前記シールドキャップの内空間内に挿入され、前記シールドキャップは、前記インサートキャップの外表面と前記シールドキャップの内空間の内壁面との間にガス流路を形成し、前記インサートチップの内空間には、パイロットガスが導入され、前記ガス流路には、シールドガスが導入され、前記インサートチップの複数の溝のそれぞれには、バリアガスが導入され、前記バリアガスのプラズマ溶接トーチへの供給流量は、前記シールドガスの供給流量よりも少なく設定され、前記パイロットガスのプラズマ溶接トーチへの供給流量は、前記バリアガスの供給流量よりも少なく設定されることを特徴とする。
この発明の第15態様に係るプラズマ溶接装置は、高周波を発生させる高周波発生器を有するプラズマ溶接機本体と、第13態様又は第14態様に係るプラズマ溶接トーチと、前記プラズマ溶接機本体と接続され、パイロットガスが充填されるパイロットガスボンベと、前記プラズマ溶接機本体と接続され、シールドガスが充填されるシールドガスボンベと、前記プラズマ溶接機本体と接続され、バリアガスが充填されるバリアガスボンベと、冷却流体を前記プラズマ溶接機本体と前記プラズマ溶接トーチとの間で循環させる冷却流体ポンプと、溶接対象材と接続される母材ケーブルと、前記高周波、前記パイロットガス、前記シールドガス及び前記冷却流体を、前記プラズマ溶接機本体から前記プラズマ溶接トーチに供給するトーチケーブルと、前記バリアガスを、前記プラズマ溶接機本体から前記プラズマ溶接トーチに供給するバリアガスホースと、を備えたことを特徴とする。
第1態様に係るインサートチップによれば、インサートチップの外表面に、少なくとも3つ以上の複数の溝を備える。複数の溝のそれぞれは、インサートチップの太径部からインサートチップの先端面に至るように設けられており、かつ、インサートチップの先端面において、チップ穴の周囲を囲むように配置されている。複数の溝のそれぞれは、チップ穴の周囲に、ガス流を形成するガス流路として使用することができる。しかも、ガス流は、チップ穴を囲むように形成できる。このように、チップ穴の周囲に、チップ穴を囲むガス流を形成することで、溶接時に金属ヒューム及び金属スパッタを発生させる鋼板をプラズマ溶接した場合でも、先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することができる。
第2態様に係るインサートチップによれば、複数の溝のそれぞれが、先端面の周方向に沿って等間隔に配置されているので、チップ穴の周囲に、チップ穴を囲むガス流をより確実に形成することが可能となる。したがって、複数の溝のそれぞれを等間隔に配置しない場合と比較して、先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を、より確実に抑制することができる。
第3態様に係るインサートチップによれば、先端面が曲面を含む。曲面は、平面と比較して、複数の溝からのガス流が流れやすい。したがって、先端面が平面のみの場合と比較して、金属ヒューム及び金属スパッタのそれぞれが、先端面に、より付着又はより溶着し難くなる。
第4態様に係るインサートチップによれば、先端面において、複数の溝及びチップ穴の総開口面積SOPENと先端面の面積STIPとの割合SOPEN/STIPが、0.25以上0.75以下である。割合SOPEN/STIPを0.25以上とすることで、割合SOPEN/STIPが0.25未満の場合と比較して、先端面への金属ヒュームの付着量及び金属スパッタの溶着量のそれぞれを、減らすことができる。また、割合SOPEN/STIPを0.75以下とすることで、割合SOPEN/STIPが0.75超の場合と比較して、インサートチップの先端付近の熱体積の極端な減少及び熱伝達率の低下に起因した冷却不足によるインサートチップの短寿命化を抑制することができる。したがって、金属ヒュームの付着量及び金属スパッタの溶着量の低減とともに、長寿命で、精度の高いプラズマ溶接が可能となる。
第5態様に係るインサートチップによれば、複数の溝が、先端面において互いに連通し、かつ、チップ穴を囲むように1つの環状溝になっている。複数の溝を、先端面において1つの環状溝とすることで、環状溝としない場合と比較して、チップ穴を囲むガス流を、チップ穴の周囲に、より確実に形成することができる。したがって、先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を、更に確実に抑制することができる。
第6態様に係るインサートチップによれば、複数の溝のそれぞれから放出されるガスを、不活性ガス又は不活性ガスと活性ガスとを含むバリアガスとする。複数の溝のそれぞれから、不活性ガス又は不活性ガスと活性ガスとを含むバリアガスを流すようにすることで、チップ穴を囲むガス流が、溶接対象材を変質させ難くなる。したがって、チップ穴を囲むガス流を、新たに放出させるようにした場合であっても、溶接に与える影響を最小限度に抑えることができる又はほぼ無くすことができる。また、不活性なバリアガス中に、活性ガスを含ませて流すことで、金属ヒュームを、インサートチップに付着し難い物質に変換することができる。例えば、溶接対象材が亜鉛めっき鋼板であった場合に、バリアガスに含ませる活性ガスとして酸素ガスを選ぶと、例えば亜鉛ヒューム中の亜鉛は、酸素ガスと反応して酸化亜鉛となる。これにより、亜鉛ヒュームは、インサートチップに付着し難くなる。さらに、インサートチップが銅である場合には、亜鉛が酸化亜鉛となることから、銅と亜鉛との反応が抑制され、インサートチップの合金化によるチップ穴の変形を軽減できる効果が得られる。さらに、溶接対象材の表面の亜鉛めっきがアーク熱で蒸気化し難くなり、亜鉛ヒュームの発生量を抑える効果も得ることができる。
第7態様に係るインサートチップによれば、複数の溝のそれぞれが、チップ穴に垂直な線から傾いている。その角度は、放出されたバリアガスの流れと放出されたプラズマアークの流れとが、溶融プールの表面で重ならない角度とする。これにより、チップ穴を囲むバリアガスの流れが、溶融プールに達する前に、プラズマアークの流れと接触することを抑制でき、溶融プール上において、プラズマアークを、より確実に乱し難くすることができる。バリアガスの流れは、金属、例えば亜鉛が蒸気化する際の膨張エネルギーやスパッタの高速運動エネルギーをはね返すだけの流速(流量)が必要である。しかし、バリアガスが、流量が低いプラズマアークと接触(交差)するとプラズマアークが乱れる。バリアガスの流し方には、十分な配慮が必要である。例えば、インサートチップを、第7態様に係るインサートチップのような構成とすることで、チップ穴を囲むガス流を、新たに放出させるようにした場合であっても、溶接に与える影響を最小限度に抑えることができるか又はほぼ無くすことができる。
第8態様に係るインサートチップによれば、バリアガスの流れと放出されたプラズマアークの流れとは、実使用時に推奨されるスタンドオフの範囲において、溶融プールの表面で重ならない。これにより、実際の溶接時において、プラズマ溶接トーチの使用者に対して、溶接に与える影響を最小限度に抑えることができるか又はほぼ無くすことができる範囲を、確実に提供できる。
第9態様に係るインサートチップによれば、複数の溝のそれぞれを、バリアガスの流れが、プラズマアークの流れを360°囲むことが可能な位置に配置する。これにより、チップ穴を囲むガス流が、プラズマアークの流れを360°囲むことができる。したがって、したがって、先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を、更に確実に抑制することができる。
第10態様に係るインサートチップによれば、プラズマ溶接トーチは、溶接時に、金属を含む金属ヒューム及び金属を含む金属スパッタを発生させる鋼板のプラズマ溶接に使用されるものとする。これにより、この発明の第1態様〜第9態様に係るインサートチップを、より効果的に使用できる鋼板の具体的な例が提供される。
第11態様に係るインサートキャップによれば、円錐内壁面が、第1態様〜第10態様のいずれか1つに係るインサートチップの外表面と接する。これにより、上記インサートチップの外表面に設けられた複数の溝のそれぞれを、ガス流路とすることが可能なインサートキャップを提供できる。
第12態様に係るインサートキャップによれば、インサートキャップの先端面が、開口の先端に向かって、開口に水平な線から傾いている。これにより、インサートキャップの先端面においても、先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することができる。
第13態様に係るプラズマ溶接トーチによれば、インサートチップの先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することが可能な溶接トーチを提供できる。
第14態様に係るプラズマ溶接トーチによれば、インサートチップの先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することが可能なプラズマ溶接トーチの具体的な例を提供できる。
第15態様に係るプラズマ溶接装置によれば、インサートチップの先端面への金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することが可能なプラズマ溶接トーチを備えたプラズマ溶接装置を提供できる。
図1は、この発明の第1実施形態に係るプラズマ溶接トーチの一例を示す側面図である。 図2(a)は、トーチ本体の先端部分の一例を示す断面図である。図2(b)は、図2(a)中の矢印Bの方向から見た平面図である。 図3(a)は、インサートチップの一例を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)中の矢印Bの方向から見た平面図である。 図4(a)は、インサートキャップの一例を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)中の矢印Bの方向から見た平面図である。 図5は、インサートチップをインサートキャップに挿入した状態を示す断面図である。 図6は、シールドキャップの一例及びバリアガス導入部材の一例を示す断面図である。 図7は、プラズマ溶接トーチからのガスの流れの一例を模式的に示す断面図である。 図8は、ガスの流れを模式的に示す平面図である。 図9は、プラズマ溶接装置の一例を模式的に示す模式図である。 図10(a)及び図10(b)は、インサートチップの第1変形例を示す断面図である。図10(c)は、インサートチップの第1変形例を示す平面図である。 図11(a)及び図11(b)は、インサートチップの先端面に曲面を含ませた一例を示す断面図である。図11(c)は、インサートチップの先端面に曲面を含ませた一例を示す平面図である。 図12(a)及び図12(b)は、インサートチップの第3変形例を示す断面図である。図12(c)は、インサートチップの第3変形例を示す平面図である。
以下、この発明の実施形態のいくつかを、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については、共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
第1実施形態
(プラズマ溶接トーチ)
図1は、この発明の第1実施形態に係るプラズマ溶接トーチの一例を示す側面図である。図1には、プラズマ溶接トーチの外観が示されている。図2(a)は、図1に示すトーチ本体11の先端部分13の一例を示す断面図である。図2(b)は、図2(a)中の矢印Bの方向から見た平面図である。図2(a)に示す断面は、図2(b)中に示すA−A線に沿う。
図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、プラズマ溶接トーチ10の一例は、トーチ本体11に、作業者が手に持って操作するための取手12が取り付けられたT形トーチ(手動用トーチ)である。また、プラズマ溶接トーチ10は、溶接時に、金属を含むヒューム及び金属を含むスパッタを発生させる鋼板のプラズマ溶接に使用される。そのような鋼板の一例は、表面処理鋼板や合金鋼板である。表面処理鋼板の例は、亜鉛めっき鋼板である。合金鋼板の一例は、マンガンオーステナイト系ステンレス鋼である。
トーチ本体11の先端部分13には、シールドキャップ14が取り付けられている。シールドキャップ14の内側空間内には、インサートチップ15と、インサートチップ15に被せられるインサートキャップ16とが取り付けられる。インサートチップ15及びインサートキャップ16のそれぞれは、例えば、シールドキャップ14の先端から外に向かって突出している。
トーチ本体11の内部には、例えば取手12を介して、パイロットガスPG、シールドガスSG及び冷却流体CLのそれぞれが導入される。プラズマ溶接時において、パイロットガスPGは、プラズマアークARCを放電させるガスとして利用される。シールドガスSGは、プラズマアークARC及び溶融プールを空気より遮断するガスとして利用される。冷却流体CLは、インサートチップ15を冷却する。パイロットガスPG、シールドガスSG及び冷却流体CLのそれぞれは、例えば、トーチホースを介して、トーチ本体11の内部に導入される。トーチホースの図示せぬ冷却流体ホース内には、トーチ本体11に高周波、パイロットアーク及びプラズマアークの電力を供給するケーブルが配置されている。
プラズマ溶接トーチ10は、バリアガス導入部材17を有する。バリアガス導入部材17は、例えば、シールドキャップ14と取手12との間に設けられ、バリアガスBGをトーチ本体11の内部に導入する。
(インサートチップ)
インサートチップ15の先端面15aには、チップ穴15bが設けられている。チップ穴15bは、インサートチップ15の内空間15cと連通する。トーチ本体11の内部において、インサートチップ15は、基部18に取り付けられている。本例では、インサートチップ15に「雄ねじ加工」が施され、基部18に「雌ねじ加工」が施されている。インサートチップ15は、基部18にねじ止めによって取り付けられる。さらに、インサートチップ15には、流路形成部材19が嵌め合わせられている。流路形成部材19は、インサートチップ15及び基部18それぞれとの間に、冷却流体が通流する冷却流体流路19aを形成する。冷却流体の一例は、液体の水である。基部18の内空間18aは、インサートチップ15の内空間15cと連通している。これら内空間18a及び15cには、電極(例えばタングステン電極)20が挿入される。電極20の形状は、例えば棒状である。電極20は、内空間15c内において、センタリングストーン21によって、内空間15cのほぼ中心にセンタリングされる。センタリングストーン21には、貫通孔21aが形成されており、センタリングストーン21は、貫通孔21aを介してパイロットガスPGの通過が可能となっている。
図3(a)は、インサートチップ15の一例を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)中の矢印Bの方向から見た平面図である。図3(a)に示す断面は、図3(b)中に示すA−A線に沿う。
図3(a)及び図3(b)に示すように、インサートチップ15は、その先端部分15dに、太径部15eを有し、太径部15eから先端面15aに向かって細る形状を持つ。具体的には、インサートチップ15の形状は、例えば、その先端部分が裁頭円錐形又は紡錘形であり、ゆえに、インサートチップ15では、その外表面に傾斜した外表面15fを持つ。傾斜した外表面15fには、6つの溝15gが設けられている。溝15gのそれぞれは、太径部15eから先端面15aに至るように、傾斜した外表面15fに設けられる。溝15gのそれぞれは、先端面15aにおいて、平面から見てチップ穴15bの周囲を囲むように配置されている。さらに、インサートチップ15では、溝15gのそれぞれは、先端面15aの周方向CDに沿って間隔Pで等間隔に配置されている。溝15gは、太径部15eを起点とするだけでなく、外表面15fのどこを起点としても良い。その場合、太径部15eから外表面15fの起点まで、バリアガスBGが流れるための空間が設けられる。
(インサートキャップ)
図4(a)は、インサートキャップ16の一例を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)中の矢印Bの方向から見た平面図である。図4(a)に示す断面は、図4(b)中に示すA−A線に沿う。図5は、インサートチップ15をインサートキャップ16に挿入した状態を示す断面図である。なお、図5に示す状態では、インサートチップ15は、基部18に取り付けられていない。
図4(a)及び図4(b)に示すように、インサートキャップ16は、内空間16aと、内空間16aに連通した開口16bとを有する。開口16bは、インサートキャップ16の先端に設けられている。内空間16a内には、インサートチップ15が挿入される。内空間16aは、円錐内壁面16cを有する。円錐内壁面16cは、インサートチップ15の傾斜した外表面15fに接し、嵌合する。円錐内壁面16cがインサートチップ15の傾斜した外表面15fと接することによって、インサートキャップ16は、複数の溝15gのそれぞれにキャップをし、複数の溝15gのそれぞれをガス流路15hとする(図5)。
また、インサートキャップ16では、その先端面16gが、開口16bに水平ではなく、開口16bに水平な線40から、開口16bに向かって角度θ16g傾いている。
(シールドキャップ及びバリアガス導入部材)
図6は、シールドキャップ14の一例及びバリアガス導入部材17の一例を示す断面図である。
図6には、シールドキャップ14がバリアガス導入部材17に取り付けられた状態を示す。さらに、図6においては、インサートチップ15及び流路形成部材19のそれぞれが基部18に取り付けられている。このようなインサートチップ15及び流路形成部材19が、インサートキャップ16の内空間16aに挿入されている。また、このようなインサートキャップ16が、シールドキャップ14の内空間内に挿入されている。
図6に示すように、シールドキャップ14は、内空間と、内空間に連通した開口14aを有する。開口14aは、シールドキャップ14の先端に設けられる。シールドキャップ14の内空間内には、インサートキャップ16が挿入される。インサートキャップ16の外表面16dと、シールドキャップ14の内空間の内壁面14bとの間には隙間があり、この隙間がシールドガスSGのシールドガス流路14cとなる。即ち、シールドキャップ14は、内壁面14bとインサートキャップ16の外表面16dとの間に、シールドガス流路14cを形成する。シールドキャップ14の後端には、「雌ねじ加工」が施されている。
バリアガス導入部材17は、その内部にバリアガス空間17aを有する。バリアガス空間17aには、バリアガス導入口17bと、挿入口17cとが連通されている。バリアガス導入口17bはバリアガス導入部材17の側面に設けられ、挿入口17cはバリアガス導入部材の後端に設けられる。バリアガス導入部材17の先端からは、バリアガス空間17aが開放されている。バリアガス導入部材17の先端の外側側面には、「雄ねじ加工」が施されている。バリアガス導入部材17は、トーチ本体11に図示されていないねじ止めにより取り付けられている。バリアガス導入口17bには、バリアガスホース17dが取り付けられる(図1参照)。バリアガス空間17aには、バリアガスホース17d及びバリアガス導入口17bを介してバリアガスBGが導入される。挿入口17cには、インサートチップ15、基部18及び流路形成部材19が挿入される。インサートチップ15、基部18及び流路形成部材19のそれぞれは、挿入口17c及びバリアガス空間17aを介して、インサートチップ15の傾斜した外表面15fが、インサートキャップ16の円錐内壁面16cと接するまで、インサートキャップ16の内空間16a内に挿入される。これにより、流路形成部材19の外表面19bとインサートキャップ16の内壁面16eとの間には、バリアガスBGのガス流路16fが形成される。ガス流路16fは、バリアガス空間17a及びガス流路15hのそれぞれと連通している。これにより、バリアガスBGは、バリアガス空間17aから、ガス流路16fを介してガス流路15hへと導かれる。
さらに、バリアガス導入部材17は、その内部にシールドガス流路17eを有する。シールドガス流路17eは、バリアガス導入部材17の後端から先端まで形成される。インサートキャップ16の後端は、シールドキャップ14とバリアガス導入部材17との間に係止されている。インサートキャップ16は、バリアガス導入部材17にねじ止めされたシールドキャップ14によって固定される。
(ガス及び冷却流体)
<パイロットガス>
パイロットガスPGは、プラズマ溶接時、図示せぬトーチケーブルから、取手12の内部を介して基部18の内空間18aに導入される。内空間18aに導入されたパイロットガスPGは、センタリングストーン21の貫通孔21aを通過してインサートチップ15の内空間15cに導入され、そして、チップ穴15bからプラズマアークARCとともに放出される。
<冷却流体>
冷却流体CLは、プラズマ溶接時、図示せぬトーチケーブルから、取手12の内部を介して基部18と流路形成部材19との間の冷却流体流路19aに導入され、インサートチップ15の周囲を巡って、再び取手12の内部を介してトーチケーブルへ導出される。冷却流体CLは、図示せぬ冷却機構とトーチ本体11の内部との間を、トーチケーブルを介して循環する。
<シールドガス>
シールドガスSGは、プラズマ溶接時、図示せぬトーチケーブルから、取手12の内部を介してバリアガス導入部材17のシールドガス流路17eに導入され、さらにインサートキャップ16とシールドキャップ14との間のシールドガス流路14cを通り、開口14aから放出される。
<バリアガス>
バリアガスBGは、プラズマ溶接時、バリアガスホース17dから、バリアガス導入部材17のバリアガス空間17aに導入される。バリアガスBGは、バリアガス空間17aから、流路形成部材19とインサートキャップ16との間のガス流路16fに導かれ、さらに溝15gとインサートキャップ16とによって規定されたガス流路15hに至り、そして、開口16bから放出される。
<インサートチップの先端面付近のガスの流れ>
図7は、プラズマ溶接トーチ10からのガスの流れの一例を模式的に示す断面図である。図8は、ガスの流れを模式的に示す平面図である。
図7には、溶接対象材として表面処理鋼板、例えば亜鉛めっき鋼板30が示されている。亜鉛めっき鋼板30は、鋼板31の表面に亜鉛めっき層32を有する。プラズマ溶接時には、亜鉛めっき層32から、亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34が発生する。亜鉛ヒューム33は、亜鉛金属を含む蒸気であり、鋼板スパッタ34は鋼板31の金属の飛散物である(なお、鋼板スパッタ34は、亜鉛めっき鋼板30の表面の亜鉛を含む場合もある)。亜鉛ヒューム33自体の粒径と鋼板スパッタ34自体の粒径とを比較すると、鋼板スパッタ34の方が、亜鉛ヒューム33よりも粒径が大きい。例えば、亜鉛ヒューム33は亜鉛金属の粒子であり、鋼板スパッタ34は鋼板31の金属の塊と考えても良い。
図7に示すように、プラズマ溶接トーチ10では、インサートチップ15のチップ穴15bの周囲に複数の溝15gが設けられており、複数の溝15gのそれぞれを通じてインサートキャップ16の開口16bからチップ穴15bの周囲近傍に、バリアガスBGを流す。複数の溝15gのそれぞれは、インサートチップ15の先端面15aにおいて、チップ穴15bの周囲を囲むように配置されている。したがって、チップ穴15bの周囲に、チップ穴15bを囲むバリアガスBGによるガス流を形成することができる。
プラズマ溶接トーチ10では、チップ穴15bを囲むバリアガスBGの流速のあるガス流により、鋼板31の表面の亜鉛めっき層32と先端面15aとの間にバリアを形成する。これにより、プラズマ溶接時に、亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34の双方が遮断され、これらがインサートチップ15の先端面15aに付着又は溶着してしまうことを抑制できる。プラズマ溶接トーチ10では、シールドガスSGは、空気遮断の目的とともに、バリアガスBGが遮断した亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34の双方を、先端面15aから、より遠方へ吐き出すガスとなる。
また、開口16bから放出されたバリアガスBGの流れは、先端面15aと亜鉛めっき鋼板30の溶接面30aとの間において、プラズマアークARCの流れとほぼ平行となる。このため、バリアガスBGの流量を多くしても、プラズマアークARCを乱すことはない。このことを具現化するために、プラズマ溶接トーチ10では、例えば、複数の溝15gのそれぞれが、チップ穴15bに垂直な線41から角度角度θ15g傾いている。そして、角度θ15gは、例えば、放出されたバリアガスBGの流れと、放出されたプラズマアークARCの流れとが、溶融プール30bの表面で重ならない角度とする。これにより、チップ穴15bを囲むガス流が、溶融プール30bに達する前に、プラズマアークARCの流れと接触することを抑制できる。これにより、溶融プール30b上において、プラズマアークARCを、より確実に乱し難くすることができる。したがって、チップ穴15bを囲み、亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34の遮断効果が出るバリアガスBGによる高速ガス流を、新たに放出させるようにした場合であっても、溶接に与える影響を最小限度に抑えることができるか又はほぼ無くすことができる。
また、バリアガスの流れと放出されたプラズマアークの流れとは、例えば、実使用時に推奨されるスタンドオフSOFFの範囲において、溶融プール30bの表面で重ならないようにする。これにより、実際の溶接時において、プラズマ溶接トーチ10の使用者に対して、溶接に与える影響を最小限度に抑えることができるか又はほぼ無くすことができる範囲を、確実に提供できる。
さらに、図8に示すように、プラズマ溶接トーチ10では、複数の溝15gのそれぞれが、バリアガスBGの流れが、プラズマアークARCの流れを、平面から見て360°囲むことが可能な位置に配置されている。これにより、バリアガスBGの流れが、プラズマアークARCの流れを360°囲むことができる。バリアガスBGの流れが、プラズマアークARCの流れを360°囲むことによって、溶接方向42に沿った方向にも、亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34を遮断することができる。したがって、先端面15aへの亜鉛ヒューム33の付着及び鋼板スパッタ34の溶着を、更に確実に抑制することができる。
バリアガスBGは、例えば不活性ガスである。不活性ガスの代表的な例は、アルゴン(Ar)である。バリアガスBGを活性ガスとすることで、チップ穴15bを囲むガス流が、亜鉛めっき鋼板30を変質させに難くなる。したがって、チップ穴15bを囲むガス流を、新たに放出させるようにした場合であっても、溶接に与える影響を最小限度に抑えることができる又はほぼ無くすことができる。
また、バリアガスBGは、不活性ガス中に、活性ガスを含ませて流すようにしても良い。活性ガスを不活性ガス中に含ませることで、例えば、金属ヒュームを、インサートチップ15に付着し難い物質に変換することができる。例えば、溶接対象材が亜鉛めっき鋼板30であった場合には、バリアガスBGに含ませる活性ガスとして酸素ガス(O2)を選ぶと、亜鉛ヒューム33に含まれた亜鉛を酸化亜鉛とすることができる。亜鉛が酸化亜鉛となることで、亜鉛ヒューム33は、インサートチップ15に付着し難くなる。
さらに、亜鉛が酸化亜鉛となることで、インサートチップ15が銅である場合には、銅と亜鉛との反応が抑制され、インサートチップ15の合金化によるチップ穴15bの変形を軽減できる効果が得られる。さらに、溶接対象材の表面の亜鉛めっき層32がアーク熱で蒸気化し難くなり、亜鉛ヒューム33の発生量を抑える効果も得ることができる。
このように、バリアガスBGは、例えば、不活性ガスをベースとしつつ、不活性ガスに活性ガスを含ませることで金属ヒューム(例えば亜鉛ヒューム33)中や金属スパッタ(例えば鋼板スパッタ34)中の金属を、インサートチップ15に達する前に不活性化することもできる。
バリアガスBGの例は、例えば、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等のベースとなる不活性ガス、ベースとなる不活性ガスに、窒素(N2)等の別の不活性ガス及び/又は水素(H2)を更に混合した混合ガス、これらの不活性ガス又は混合ガスに、活性ガス、例えば酸素(O2)、炭酸ガス(CO2)を更に混合した活性ガス混合ガス等である。ガスの組合せの例を例示すれば、以下の通りとなる。
1.不活性ガスの例
(a) Ar又はHe
(b) Ar+He
2.不活性ガスに別の不活性ガス及び/又は水素ガスを混合した混合ガスの場合の例
(c) (a)+N2又はH2
(d) (b)+N2又はH2
(e) (a)+N2+H2
(f) (b)+N2+H2
3.不活性ガス又は混合ガスに、活性ガスを更に混合した活性ガス混合ガスの場合の例
(g) (a)+O2又はCO2
(h) (b)+O2又はCO2
(i) (c)+O2又はCO2
(j) (d)+O2又はCO2
(k) (e)+O2又はCO2
(l) (f)+O2又はCO2
(m) (a)+O2+CO2
(n) (b)+O2+CO2
(o) (c)+O2+CO2
(p) (d)+O2+CO2
(q) (e)+O2+CO2
(r) (f)+O2+CO2
上記は、あくまでもバリアガスBGの例である。バリアガスBGは、上記に記載されるガス又はガスの組合せに限られるものではない。例えば、不活性ガスとしては、Ar又はHeに代えてN2としても良い。不活性ガスに、更に混合される不活性ガスは、N2に代えて、Ar及びHe又はAr及びHe以外の不活性ガスであっても良い。活性ガスは、O2又はCO2以外の活性ガスであっても良い。
<ガスの供給流量>
図7に示すように、ガスの供給流量の一例は、
パイロットガスPG: 0.5[l/min]
シールドガスSG : 15[l/min]
バリアガスBG : 5[l/min]
である。
プラズマ溶接トーチ10においては、例えば、ガスの供給流量は、
PG < BG < SG
のように設定される場合が多い。
パイロットガスPGの供給流量は、プラズマアークARCを適正に保持できる流量で、なおかつ、なめ付け溶接時には、溶融プール30bを過度に押し下げない流量となるように、比較的少流量に設定される。
これに対し、バリアガスBGの供給流量は、例えば亜鉛の蒸気化膨張エネルギーをはね返すだけの流量(流速)が必要である。ただし、溶融プール30bに対しては、押し下げ作用が少ない当たり方となるように設計される。
シールドガスSGは、プラズマアークARC及び溶融プール30bそれぞれの全体を包むだけの流量が必要である。
このようにプラズマ溶接トーチ10に対して、パイロットガスPG、バリアガスBG及びシールドガスSGの流量を設計することで、図8に示したようなバリアガスBGの流れを、インサートチップ15の先端面15aと亜鉛めっき鋼板30の溶接面30aとの間に形成できる。
また、プラズマ溶接トーチ10では、インサートキャップ16の先端面16gが、開口16bに水平な線から角度θ16g傾いている。これにより、先端面16gには、シールドガスSGの流れが形成される。先端面16gに、シールドガスSGの流れが形成されることで、例えば、先端面16gが開口16bと平行な場合と比較して、先端面16gへの亜鉛ヒューム33の付着及び鋼板スパッタ34の溶着を、更に抑制することができる。
(プラズマ溶接装置)
図9は、プラズマ溶接装置の一例を模式的に示す模式図である。
図9に示すように、プラズマ溶接装置100は、プラズマ溶接機本体101と、プラズマ溶接トーチ10と、パイロットガスボンベ102と、シールドガスボンベ103と、バリアガスボンベ104と、冷却流体ポンプ105と、母材ケーブル106と、トーチケーブル107と、バリアガスホース108と、を含む。
プラズマ溶接機本体101は、パイロットアーク電源PAPS、メインアーク電源MAPS及び高周波発生器HFを有する。パイロットアーク電源PAPS及びメインアーク電源MAPSのそれぞれは、例えば、商用電源CP等から交流入力の供給を受け、交流入力を直流出力に変換するAC−DCコンバータである。また、パイロットアーク電源PAPS及びメインアーク電源MAPSのそれぞれは、出力電流が可変である。高周波発生器HFは、商用電源CP等から交流入力の供給を受ける。高周波発生器HFは高周波を発生させ、発生させた高周波を、プラズマ溶接トーチ10のインサートチップ15と電極20とに印加する。プラズマ溶接トーチ10は、第1実施形態に係るプラズマ溶接トーチである。
パイロットガスボンベ102は、プラズマ溶接機本体101と接続され、内部にパイロットガスPGが充填される。パイロットガスPGの例は、例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、不活性ガスに水素又は別の不活性ガスを混合した混合ガス等である。シールドガスボンベ103は、プラズマ溶接機本体101と接続され、内部にシールドガスSGが充填される。シールドガスSGの例は、例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス又はこの不活性ガスに水素若しくは別の不活性ガス若しくは酸素や炭酸ガス等の活性ガスを混合した混合ガス等である。バリアガスボンベ104は、プラズマ溶接機本体101と接続され、内部にバリアガスBGが充填される。
冷却流体ポンプ105は、冷却流体CLをプラズマ溶接機本体101とプラズマ溶接トーチ10との間で循環させる。母材ケーブル106と、溶接対象材、例えば、亜鉛めっき鋼板30と接続される。トーチケーブル107は、パイロットアーク電流、メインアーク電流、高周波、パイロットガスPG、シールドガスSG及び冷却流体CLを、プラズマ溶接機本体101からプラズマ溶接トーチ10に供給する。バリアガスホース108は、バリアガスBGを、プラズマ溶接機本体101からプラズマ溶接トーチ10に供給する。
第1実施形態に係るプラズマ溶接トーチ10は、例えば、図9に示すようなプラズマ溶接装置100の溶接トーチとして用いることができる。
このように、この発明の第1実施形態に係るプラズマ溶接トーチ10の一例によれば、溶接時に金属を含む金属ヒューム(例えば亜鉛ヒューム33)及び金属を含む金属スパッタ(例えば鋼板スパッタ34)を発生させる鋼板(例えば亜鉛めっき鋼板30)をプラズマ溶接した場合でも、インサートチップ15の先端面15aへの金属ヒュームの付着及び金属スパッタの溶着を抑制することが可能なインサートチップ15、インサートキャップ16、プラズマ溶接トーチ10及びプラズマ溶接装置100を提供できる。
第2実施形態
次に、インサートチップ15の変形例のいくつかを、第2実施形態として説明する。
(インサートチップの変形例:第1変形例)
図10(a)及び図10(b)は、インサートチップ15の第1変形例を示す断面図である。図10(c)は、インサートチップ15の第1変形例を示す平面図である。図10(a)に示す断面は、図10(c)中のXA−XA線に沿う。図10(b)に示す断面は、図10(c)中のXB−XB線に沿う。
図10(a)〜図10(c)に示すように、第1変形例に係るインサートチップ151の先端面15aは、平面である。インサートチップ151のように、先端面15aは、平面であってもよい。この場合の先端面15aの定義の一例は、傾斜した外表面15fが平面に切り換わる切換箇所15iに囲まれた「面」とする。又はインサートキャップ16の開口16bから露出した「切換箇所15iを含む面」とする。図10(a)〜図10(c)では、前者の場合が示されている。
なお、先端面15aを平面とすると、例えば、図10(b)及び図10(c)に示す領域Rにおいて、亜鉛ヒューム33が付着及び鋼板スパッタ34が溶着することが懸念される。このような懸念を解消したい場合には、例えば、第1実施形態において説明したインサートチップ15のように、先端面15aに、曲面15jを含ませればよい。
図11(a)及び図11(b)は、インサートチップ15の先端面15aに曲面を含ませた一例を示す断面図である。図11(c)は、インサートチップ15の先端面15aに曲面を含ませた一例を示す平面図である。図11(a)に示す断面は、図11(c)中のXIA−XIA線に沿う。図11(b)に示す断面は、図11(c)中のXIB−XIB線に沿う。
図11(a)〜図11(c)に示すように、インサートチップ15では、先端面15aは、曲面15jを含む。インサートチップ15では、曲面15jは、平面15kの外周に設けられている。インサートチップ15の先端面15aは、平面15kと、曲面15jとを持つ。この場合の先端面の定義の一例は、切換箇所15iに囲まれた「曲面を含む面」又はインサートキャップ16の開口16bから露出した「曲面を含む面」とする。図11(a)〜図11(c)では、切換箇所15iと開口16bとが一致した場合が示されている。
先端面15aが曲面15jを含むことで、バリアガスBGは、曲面15jに沿って流れるようになる。これにより、先端面15aへの亜鉛ヒューム33の付着及び鋼板スパッタ34の溶着を、先端面15aが平面のみの場合と比較して、より抑制することができる。
また、先端面15aにおいて、曲面15jは、チップ穴15bに達するまで設けられていても良い。この場合、先端面15aからは、平面15kが無くなる。
このように、先端面15aには、平面15kが無くてもよい。しかし、曲面15jがチップ穴15bに達すると、プラズマアークARCを乱してしまう可能性もある。このような可能性を低減させたい場合には、図11(a)〜図11(c)に示すように、チップ穴15bの周囲に平面15kを設け、曲面15jを、平面15kの外周に設けるようにすると良い。
(インサートチップの変形例:第2変形例)
<先端面の開口率>
図10(a)〜図11(c)には、先端面15aの例を示した。複数の溝15g及びチップ穴15bの総開口面積SOPENと先端面15aの面積STIPとの割合、即ち、先端面15aの開口率SOPEN/STIPは、0.25以上0.75以下とすることが良い。
総開口面積SOPENが面積STIPと比較して大き過ぎると、バリアガスBGの放出面積が広がることから、亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34をはね返す流速が得られるように、バリアガスBGの流量を過大にしなくてはならず、その結果、プラズマアークARCを乱す可能性がある。さらに、開口率SOPEN/STIPを上げることは、インサートチップ15の先端付近での熱体積の減少及び熱伝達率の低下を招き、インサートチップ15の先端付近の温度が上昇してチップ穴15bが短時間で変形し、インサートチップ15の短寿命化の一因となる。
反対に、総開口面積SOPENが面積STIPと比較して小さすぎると、インサートチップ15の先端面15aにおいて、バリアガスBGの流れが作用しない部分の面積が増す。先端面15aの、バリアガスBGの流速が低下した部分では、バリアガスBGが亜鉛ヒューム33及び鋼板スパッタ34をはね返す力よりも、亜鉛ヒューム33の蒸気圧及び鋼板スパッタ34の運動エネルギーが勝るようになり、先端面15aへの亜鉛ヒューム33の付着量や鋼板スパッタ34の溶着量が増加する。
これらの事情を考慮すると、総開口面積SOPENと先端面の面積STIPとの割合SOPEN/STIPは、0.25以上0.75以下とすることが良い。ちなみに、プラズマ溶接トーチ10の先端面15aの開口率SOPEN/STIPは、一例として“0.45”に設定した。
開口率SOPEN/STIPを0.25以上とすることで、開口率SOPEN/STIPが0.25未満の場合と比較して、先端面15aへの、例えば亜鉛ヒューム33の付着量及び鋼板スパッタ34の溶着量のそれぞれを、減らすことができる。
また、開口率SOPEN/STIPを0.75以下とすることで、開口率SOPEN/STIPが0.75超の場合と比較して、複数の溝15gからのガス流が、チップ穴15bから放出されるプラズマアークARCを乱し難くなる。さらに、インサートチップ15の冷却能力を損ない難くなる。したがって、例えば、亜鉛ヒューム33の付着量及び鋼板スパッタ34の溶着量の低減とともに、精度の高いプラズマ溶接が可能となる。さらに、インサートチップ15の短寿命化を抑制でき、長時間使用可能なインサートチップ15を得ることができる。
(インサートチップの変形例:第3変形例)
図12(a)及び図12(b)は、インサートチップの第3変形例を示す断面図である。図12(c)は、インサートチップの第3変形例を示す平面図である。図12(a)に示す断面は、図12(c)中のXII−XIIA線に沿う。図12(b)に示す断面は、図12(c)中のXIIB−XIIB線に沿う。
図12(a)〜図12(c)に示すように、第3変形例に係るインサートチップ153では、先端面15aにおいて、複数の溝15gが互いに連通している。そして、先端側で、チップ穴15bを囲むように、1つの環状溝15lになっている。
第3変形例に係るインサートチップ153のように、先端面15aには、環状溝15lを設けるようにしても良い。また、図12(a)〜図12(c)に示すように、環状溝15lの底15mは、インサートキャップ16の内部に位置されても良い。
第3実施形態
(インサートキャップの一変形例)
上記第1実施形態及び第2実施形態においては、バリアガスBGの流路を、インサートチップ15の外表面に設けられた少なくとも3つ以上の複数の溝15gとした。バリアガスBGの流路は、特に図示しないが、インサートキャップ16の、例えば円錐内壁面16cに設けた少なくとも3つ以上の複数の溝としても良い。この場合、インサートチップ15の外表面には、溝15gが設けられていても、設けられていなくても良い。
第4実施形態
(溶接トーチの一変形例)
プラズマ溶接トーチ10は、手動用溶接トーチの例であった。この発明の実施形態は、手動用溶接トーチに限られるものではなく、自動溶接用溶接トーチにも同様に適応できる。手動用溶接トーチと、自動溶接用溶接トーチとの違いの一例は、例えば、手動用溶接トーチでは、取手12が、トーチ本体11の長軸方向に対して斜めに取り付けられるのに対して、自動溶接トーチでは取手12に対応する部材が、トーチ本体11の長軸方向とほぼ平行に取り付けられることである。
以上、この発明の実施形態のいくつか及び変形例のいくつかを説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、この発明は、上述したいつくかの実施形態及びいくつかの変形例のほか、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、いくつかの実施形態及びいくつかの変形例は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
10:プラズマ溶接トーチ
11:トーチ本体
12:取手
13:トーチ本体11の先端部分
14:シールドキャップ
14a:開口
14b:内壁面
14c:シールドガス流路
15:インサートチップ
15a:先端面
15b:チップ穴
15c:内空間
15d:先端部分
15e:太径部
15f:傾斜した外表面
15g:溝
15h:ガス流路
15i:切換箇所
15j:曲面
15k:平面
15l:環状溝
15m:環状溝15lの底
151: 第1変形例に係るインサートチップ
153: 第3変形例に係るインサートチップ
16:インサートキャップ
16a:内空間
16b:開口
16c:円錐内壁面
16d:外表面
16e:内壁面
16f:ガス流路
16g:先端面
17:バリアガス導入部材
17a:バリアガス空間
17b:バリアガス導入口
17c:挿入口
17d:バリアガスホース
17e:シールドガス流路
18:基部
18a:内空間
19:流路形成部材
19a:冷却流体流路
19b:外表面
20:電極
21:センタリングストーン
21a:貫通孔
30:亜鉛めっき鋼板
30a:溶接面
30b:溶融プール
31:鋼板
32:亜鉛めっき層
33:亜鉛ヒューム
34:鋼板スパッタ
40:開口16bに水平な線
41:チップ穴15bに垂直な線
42:溶接方向
100:プラズマ溶接装置
101:プラズマ溶接機本体
102:パイロットガスボンベ
103:シールドガスボンベ
104:バリアガスボンベ
105:冷却流体ポンプ
106:母材ケーブル
107:トーチケーブル
108:バリアガスホース
B:矢印
P:間隔
R:領域
PG:パイロットガス
SG:シールドガス
BG:バリアガス
ARC:プラズマアーク
CL:冷却流体
CD:周方向
PAPS:パイロットアーク電源
MAPS:メインアーク電源
HF:高周波発生器
CP:商用電源
θ15g:角度
θ16g:角度
OFF:スタンドオフ
OPEN/STIP:開口率

Claims (15)

  1. プラズマ溶接トーチに装着され、太径部を有し、前記太径部から先端面に向かって細る形状を持つインサートチップであって、
    プラズマアークを発生する電極が挿入される内空間と、
    前記内空間と連通し、前記電極が発生するプラズマアークを放出する、前記先端面に設けられたチップ穴と、
    前記インサートチップの外表面に、前記太径部から前記先端面に至るように設けられ、前記先端面において、前記チップ穴の周囲を囲むように配置された、少なくとも3つ以上の複数の溝と、
    を備えたこと
    を特徴とするインサートチップ。
  2. 前記複数の溝のそれぞれは、前記先端面の周方向に沿って等間隔に配置されていること
    を特徴とする請求項1記載のインサートチップ。
  3. 前記先端面は、曲面を含むこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のインサートチップ。
  4. 前記先端面において、前記複数の溝及び前記チップ穴の総開口面積SOPENと前記先端面の面積STIPとの割合SOPEN/STIPは、0.25以上0.75以下であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のインサートチップ。
  5. 前記先端面において、前記複数の溝は互いに連通し、複数の前記チップ穴を囲むように、1つの環状溝になっていること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のインサートチップ。
  6. 前記複数の溝のそれぞれは、不活性ガス又は不活性ガスと活性ガスとを含むバリアガスを放出すること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のインサートチップ。
  7. 前記複数の溝のそれぞれは、放出された前記バリアガスの流れと放出された前記プラズマアークの流れとが、溶融プールの表面で重ならない角度で、前記チップ穴に垂直な線から傾いていること
    を特徴とする請求項6記載のインサートチップ。
  8. 前記バリアガスの流れと放出された前記プラズマアークの流れとは、実使用時に推奨されるスタンドオフの範囲において、前記溶融プールの表面で重ならないこと
    を特徴とする請求項7記載のインサートチップ。
  9. 前記複数の溝のそれぞれは、前記バリアガスの流れが、前記プラズマアークの流れを360°囲むことが可能な位置に配置されていること
    を特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載のインサートチップ。
  10. 前記プラズマ溶接トーチは、溶接時に、金属を含む金属ヒューム及び金属を含む金属スパッタを発生させる鋼板のプラズマ溶接に使用されるものであること
    を特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のインサートチップ。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載のインサートチップと組み合わせられるインサートキャップであって、
    先端に開口を有し、前記インサートチップに嵌合する円錐内壁面を有した内空間を備え、
    前記円錐内壁面が、前記インサートチップの外表面と接することによって、前記インサートチップの外表面に設けられた前記複数の溝のそれぞれをガス流路とすること
    を特徴とするインサートキャップ。
  12. 前記インサートキャップの先端面が、前記開口に水平な線から、前記開口に向かって傾いていること
    を特徴とする請求項11記載のインサートキャップ。
  13. トーチ本体と、
    前記トーチ本体に取り付けられた請求項11又は請求項12に記載のインサートキャップと、
    前記インサートキャップの前記内空間内に取り付けられた請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載のインサートチップと、
    を備えたこと
    を特徴とするプラズマ溶接トーチ。
  14. 前記インサートチップの外側に取り付けられ、内空間と、前記内空間に連通した開口を有するシールドキャップを、さらに備え、
    前記インサートキャップは、前記シールドキャップの内空間内に挿入され、
    前記シールドキャップは、前記インサートキャップの外表面と前記シールドキャップの内空間の内壁面との間にガス流路を形成し、
    前記インサートチップの内空間には、パイロットガスが導入され、
    前記ガス流路には、シールドガスが導入され、
    前記インサートチップの複数の溝のそれぞれには、バリアガスが導入され、
    前記バリアガスのプラズマ溶接トーチへの供給流量は、前記シールドガスの供給流量よりも少なく設定され、
    前記パイロットガスのプラズマ溶接トーチへの供給流量は、前記バリアガスの供給流量よりも少なく設定されること
    を特徴とする請求項13記載のプラズマ溶接トーチ。
  15. 高周波を発生させる高周波発生器を有するプラズマ溶接機本体と、
    請求項13又は請求項14に記載のプラズマ溶接トーチと、
    前記プラズマ溶接機本体と接続され、パイロットガスが充填されるパイロットガスボンベと、
    前記プラズマ溶接機本体と接続され、シールドガスが充填されるシールドガスボンベと、
    前記プラズマ溶接機本体と接続され、バリアガスが充填されるバリアガスボンベと、
    冷却流体を前記プラズマ溶接機本体と前記プラズマ溶接トーチとの間で循環させる冷却流体ポンプと、
    溶接対象材と接続される母材ケーブルと、
    前記高周波、前記パイロットガス、前記シールドガス及び前記冷却流体を、前記プラズマ溶接機本体から前記プラズマ溶接トーチに供給するトーチケーブルと、
    前記バリアガスを、前記プラズマ溶接機本体から前記プラズマ溶接トーチに供給するバリアガスホースと、
    を備えたこと
    を特徴とするプラズマ溶接装置。
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