JP2021061142A - 固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料、固体高分子形燃料電池用触媒層、及び燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料、固体高分子形燃料電池用触媒層、及び燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い温度で運転しても、低電流時の出力特性の経時変化が少なく耐久性に優れた燃料電池の触媒層を製造する上で好適な触媒担体用多孔質炭素材料、固体高分子形燃料電池用触媒層および燃料電池の提供。【解決手段】下記の要件を満たす触媒担体用多孔質炭素材料。BET解析による比表面積が、450〜700m2/gである。相対圧0.9の吸着量から相対圧0.4の吸着量を差し引いた吸着量の差分V0.4-0.9が、150〜450mL/g。相対圧0.4の吸着量から相対圧0.1の吸着量を差し引いた吸着量の差分をV0.1-0.4としたとき、2400℃で熱処理した後のV0.1-0.4から2200℃で熱処理した後のV0.1-0.4を差し引いた吸着量の差分ΔV0.1-0.4が、10〜30mL/g。ラマン分光測定により1500〜1700cm−1の範囲で検出されるGバンドの半値幅が、35〜45cm−1。【選択図】図1

Description

本開示は、固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料、固体高分子形燃料電池用触媒層、及び燃料電池に関する。
燃料電池の一種である固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に配置される一対の触媒層と、各触媒層の外側に配置されるガス拡散層と、各ガス拡散層の外側に配置されるセパレータとを備える。一対の触媒層のうち、一方の触媒層は固体高分子形燃料電池のアノードとなり、他方の触媒層は固体高分子形燃料電池のカソードとなる。なお、通常の固体高分子形燃料電池では、所望の出力を得るために、上記構成要素を有する単位セルが複数個スタックされている。
アノード側のセパレータには、水素等の燃料ガスが導入される。アノード側のガス拡散層は、燃料を拡散させた後、アノードに導入する。アノードは、触媒成分と、燃料電池用触媒を担持する触媒担体と、プロトン伝導性を有する電解質材料とを含む。以下、燃料電池内の発電反応(後述する酸化反応または還元反応)を促進する触媒成分を「燃料電池用触媒」とも称する。触媒担体は、多孔質炭素材料で構成されることが多い。燃料電池用触媒上では、燃料ガスの酸化反応が起こり、プロトンと電子が生成される。例えば、燃料ガスが水素ガスとなる場合、以下の酸化反応が起こる。
→2H+2e (E=0V)
この酸化反応で生じたプロトンは、アノード内の電解質材料、及び固体高分子電解質膜を通ってカソードに導入される。また、電子は、触媒担体、ガス拡散層、及びセパレータを通って外部回路に導入される。この電子は、外部回路で仕事をした後、カソード側のセパレータに導入される。そして、この電子は、カソード側のセパレータ、カソード側のガス拡散層を通ってカソードに導入される。
固体高分子形電解質膜は、プロトン伝導性を有する電解質材料で構成されている。固体高分子電解質膜は、上記酸化反応で生成したプロトンをカソードに導入する。
カソード側のセパレータには、酸素ガスあるいは空気等の酸化性ガスが導入される。カソード側のガス拡散層は、酸化性ガスを拡散させた後、カソードに導入する。カソードは、燃料電池用触媒と、燃料電池用触媒を担持する触媒担体と、プロトン伝導性を有する電解質材料とを含む。触媒担体は、多孔質炭素材料で構成されることが多い。燃料電池用触媒上では、酸化性ガスの還元反応が起こり、水が生成される。例えば、酸化性ガスが酸素ガスあるいは空気となる場合、以下の還元反応が起こる。
+4H+4e→2HO (E=1.23V)
還元反応で生じた水は、未反応の酸化性ガスとともに燃料電池の外部に排出される。このように、固体高分子形燃料電池では、燃料ガスの酸化反応に伴って生成する自由エネルギー差(電位差)を利用して発電する。言い換えれば、酸化反応で生じた自由エネルギーを電子が外部回路で行う仕事に変換するものである。
ところで、固体高分子形燃料電池の更なる普及のためには、低コスト化と耐久性の改善が重要な課題である。低コスト化には触媒に用いる白金(Pt)の使用量の削減、そして、耐久性には触媒の耐久性、特に、担体に用いる炭素材料の耐酸化消耗性の改善が必須である。白金、或いは、貴金属の使用量削減には、一つには触媒の利用率向上が重要な解決策であり、一つには、高電圧で大電流を取出せるような高出力化がもう一つの解決策である。前者の利用率向上には、担体の多孔質構造の制御が有効であることが知られている。即ち、白金や白金を主成分とする合金などの触媒金属粒子は通常数nmの大きさ(直径)であるから、触媒金属粒子を担持するのに適した大きさ、即ち、いわゆるメソ孔領域、特に、10nm以下のメソ孔の容積を大きく、且つ、担持するために表面積を大きくすることが重要となる。
他方、大電流特性を高めるためには、カソードの反応ガスである酸素の触媒層中での拡散を高めることが重要である。そのためには、気体の分子運動性が現れない100nm以上の直径の細孔が触媒層中に存在することが重要となる。触媒層中に生成する細孔は、触媒担体の立体構造により制御することが可能である。即ち、100nm以上の長さの樹状構造が発達した担体であれば、触媒層には樹状構造に相当する100nmの細孔を生成することが可能である。
近年、特許文献1〜4に開示されているように、このような10nm以下のメソ孔容積、比表面積と100nm程度の樹状構造の二つの観点から、3次元樹状構造を持つ多孔質炭素材料(以下「3次元樹状炭素材料」とも称する)を触媒担体として使用する技術が提案されている。3次元樹状炭素材料は、他の炭素材料には認められない特徴的な構造を有する。具体的には、3次元樹状炭素材料は、非常に発達した細孔構造(多孔質構造)と大きなスケールの樹状構造を両立させた構造を有する。つまり、3次元樹状炭素材料を構成する担体粒子は、その内部に燃料電池用触媒を担持可能な細孔を多数有しており、かつ、大きな樹状構造を有している。
また、特許文献5に開示されていように、高い温度の熱処理をしても細孔が潰れにくい材料としてMgOを鋳型として作製される多孔質炭素材料が注目されている。
また、特許文献6に開示されていように、高い温度の熱処理をしても細孔が潰れにくい材料としてカーボンブラックを出発材料として作製される多孔質炭素材料が注目されている。
その他、多孔質炭素材料は、水蒸気、炭酸ガスを酸化剤とするガス賦活多孔質炭素およびアルカリ金属による賦活炭素材料(非特許文献1)、ゼオライトや酸化マグネシウムを鋳型とした鋳型炭素材料(非特許文献2)、SiCなどカーバイドを塩素雰囲気で加熱処理して作製されるCDC(非特許文献3)、銀アセチリドを原料とする3次元樹状炭素材料(非特許文献4)などが典型的である。
国際公開第2014/129597号 国際公開第2015/088025号 国際公開第2015/141810号 国際公開第2016/133132号 特開2012−188309号公報 特開2017−052967号公報 Adsorption characteristics of alkaline activated carbon exemplified by water vapor, H2S, and CH3SH gas, Separation science and technology, 35, 903-918, 2000) A review of the controle of pore structure in MgO-templated nanoporous carbons, Carbon, 48, 2690-2707(2010)) Carbide-derived-carbon, Nanoporous carbide-derived carbonwith tunable pore size, Nature Materials 2, 591-594(2003) Meso-Carbon-Nano-dendrite, Synthesis and characterization of mesoporous carbon nano-dendrites with graphitic ultra-thin walls and teir application to supercapacitor electrodes, Carbon 47, 306-312(2009)
近年では、高い温度での運転したときの固体高分子形燃料電池の耐久性(特に、酸化消耗耐性)が求められている。特に、自動車用途では、その要求が強い。例えば、現時点で標準的な運転温度は70〜80℃であるが、業界の最終目標は、120℃運転を目標として開発を進めている。
しかし、高い温度で、固体高分子形燃料電池を運転すると、熱により酸化が進行し触媒担体用炭素材料の細孔が潰れ、低電流時の出力特性が低下する。
そして、高い温度で、固体高分子形燃料電池を運転したときに、細孔の潰れを抑制するためには、多孔質炭素材料に対して高温での熱処理が必要となる。
多孔質炭素材料の中でも、ミクロ孔のように、小さい細孔径を主体とする多孔質炭素材料ほど、2000℃以上の熱処理による炭素構造の変化に伴い細孔が潰れやすい傾向にある。一方で、鋳型炭素材料と3次元樹状炭素材料は、メソ孔が主要な細孔径であるため、2000℃以上の熱処理に伴って少々炭素構造が変化しても細孔の潰れは少ない。
しかしながら、2300℃処理以上の温度では、従来報告されている鋳型炭素や3次元樹状炭素材料であっても、細孔の潰れを回避することは困難であった。
そこで、本発明の課題は、高い温度で運転しても、低電流時の出力特性の経時変化が少なく耐久性(特に、炭素の酸化消耗耐性)に優れた固体高分子形燃料電池の触媒層を製造する上で好適な触媒担体用多孔質炭素材料、それを利用した固体高分子形燃料電池用触媒層および燃料電池を提供することである。
課題を解決するための手段は、次の態様を含む。
<1>
下記(A)、(B)、(C)、及び(D)の要件を満たす固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
(A)窒素吸着等温線のBET解析による比表面積が、450〜700m/gである。
(B)窒素吸脱着等温線における、相対圧0.9の吸着量から相対圧0.4の吸着量を差し引いた吸着量の差分V0.4-0.9が、150〜450mL/gである。
(C)窒素吸脱着等温線における、相対圧0.4の吸着量から相対圧0.1の吸着量を差し引いた吸着量の差分をV0.1-0.4としたとき、2400℃で熱処理した後のV0.1-0.4から2200℃で熱処理した後のV0.1-0.4を差し引いた吸着量の差分ΔV0.1-0.4が、10〜30mL/gである。
(D)ラマン分光測定により1500〜1700cm−1の範囲で検出されるGバンドの半値幅が、35〜45cm−1である。
<2>
下記(E)の要件を満たす<1>に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
(E)ラマン分光スペクトルから得られる、Gバンド1500〜1700cm−1の範囲のピーク強度IとDバンド1200〜1400cm−1の範囲のピーク強度Iとの強度比l/lが、1.0〜1.7である。
<3>
前記吸着量の差分V0.4-0.9が、200〜400mL/gである<1>又は<2>に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
<4>
前記吸着量の差分ΔV0.1-0.4が、15〜25mL/gである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
<5>
<1>〜4>のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料を含む固体高分子形燃料電池用触媒層。
<6>
<5>に記載の固体高分子形燃料電池用触媒層を含む燃料電池。
<7>
前記固体高分子形燃料電池用触媒層は、カソード側の触媒層である<6>に記載の燃料電池。
本発明によれば、高い温度で運転しても、低電流時の出力特性の経時変化が少なく耐久性(特に、炭素の酸化消耗耐性)に優れた固体高分子形燃料電池の触媒層を製造する上で好適な触媒担体用多孔質炭素材料、それを利用した固体高分子形燃料電池用触媒層および燃料電池を提供できる。
本発明の本開示の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料の窒素吸脱着等温線の一例を示すグラフである。 本発明の本開示の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料における、2200℃および2400℃の熱処理後の窒素吸脱着等温線の一例を示すグラフである。 本実施形態に係る燃料電池の概略構成を示す模式図である。
以下、本発明について説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
「好ましい態様の組み合わせ」は、より好ましい態様である。
<固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料>
本発明の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料(以下、「多孔質炭素材料」とも称する。)は、下記(A)、(B)、(C)、及び(D)の要件を満たす。
(A)窒素吸着等温線のBET解析による比表面積が、450〜700m/gである。
(B)窒素吸脱着等温線における、相対圧0.9の吸着量から相対圧0.4の吸着量を差し引いた吸着量の差分V0.4-0.9が、150〜450mL/gである。
(C)窒素吸脱着等温線における、相対圧0.4の吸着量から相対圧0.1の吸着量を差し引いた吸着量の差分をV0.1-0.4としたとき、2400℃で熱処理した後のV0.1-0.4から2200℃で熱処理した後のV0.1-0.4を差し引いた吸着量の差分ΔV0.1-0.4が、10〜30mL/gである。
(D)ラマン分光測定により1500〜1700cm−1の範囲で検出されるGバンドの半値幅が、35〜45cm−1である。
本発明の多孔質炭素材料は、高い温度で運転しても、低電流時の出力特性の経時変化が少なく耐久性(特に、炭素の酸化消耗耐性)に優れた固体高分子形燃料電池の触媒層を製造することが可能となる。
本発明の多孔質炭素材料は、次の知見により見出された。
まず、低電流時の出力特性を高めるには、金属触媒粒子を細孔内に担持させる面積と容積の双方を同時に確保することが重要である。酸素極において金属触媒粒子が均等に酸素還元反応に供するためには、粒子径数nmに対し粒子間距離は直径と同程度以上離れることが必要と言われている。たとえば、直径3nmの金属触媒粒子であれば、概略36nmに1個の金属触媒粒子が存在すればよいことになる。これを面積に換算すると、金属触媒粒子がPt粒子であると仮定すると、触媒担持率を50質量%とすると、おおよそ120m/g程度の比面積が必要条件となる。
上記の比表面積を有する細孔は、数nmサイズの金属触媒粒子が担持されても、なお、ガス流通のための空隙が確保できる程度の大きさの細孔でなければならない。すなわち、最低でも金属触媒粒子と同じサイズの細孔(直径)でなければならないし、望ましくは、金属触媒粒子よりも大きい細孔直径が必要である。
多孔質炭素材料の場合には、直径2nm以下のいわゆるミクロ孔による比表面積は、一般に、数割から半分以上、活性炭の場合には、9割にも達することが知られている。したがって、窒素吸脱着等温線から求められるBET比表面積は、直径数nm以上の細孔の部分だけで、上述の120m/g以上を確保する必要があり、本発明に規定するように、120m/gよりも数倍大きい値(つまり、700m/g以下)となると推察される。
一方で、窒素吸脱着等温線における相対圧0.9の吸着量から相対圧0.4の吸着量を差し引いた吸着量の差分V0.4-0.9は、よく知られるBJH(Barrett-Joyner-Halenda)解析によれば、細孔径に換算すると、細孔径(直径)4nm〜20nmのメソ孔容積に相当する。この細孔径に相当する細孔に担持された金属触媒粒子が触媒反応に主に寄与すると考えられる。それは、細孔径4nm〜20nmのメソ孔は、触媒金属粒子のサイズが通常2〜6nmなので、このサイズの触媒金属粒子が担持されても空間に余裕がある細孔であるためである。たとえば、代表的細孔直径を5nmとし、そこに、金属触媒粒子として3nm直径のPt粒子を担持させることを考えると、スリット幅が5nmのスリット状の細孔を想定してスリット内の面積を計算すると、おおよそ200cm/gとなり、やはり、本発明で規定する相対圧0.9の吸着量から相対圧0.4の吸着量を差し引いた吸着量の差分V0.4-0.9の値となる。
また、2400℃で熱処理した後のV0.1-0.4から2200℃で熱処理した後のV0.1-0.4を差し引いた吸着量の差分ΔV0.1-0.4は、2200℃〜2400℃の高温度域での容積変化が小さいことを示している。この容積変化が少ないと、多孔質炭素材料の炭素骨格の機械的強度が高く、均一分散のインクを作る際の担体に加えられる機械的シェアに対し細孔構造を維持することが可能となる。そのため触媒が均一に分散した触媒層を作ることができる。また、機械的強度の向上は同時に、酸化消耗に伴う細孔構造の潰れも最小限に抑制することにつながる。その結果として、耐久性(炭素の酸化消耗耐性)が向上する。このように、2200℃〜2400℃の高温度域での容積変化に着目することにより、2400℃以上の温度域でも細孔が潰れ難く、且つ、耐久性に優れる特性を引き出すことが可能となる。
そして、Gバンドの半値幅は、多孔質炭素材料の結晶性を示している。結晶性が高ければ、酸化の起点であるグラフェンのエッジ部分の面積が小さくなるために、酸化消耗しにくいという意味で耐久性(炭素の酸化消耗耐性)を向上させることができる。
なお、本発明で特に留意すべきは、従来は、高々2200℃での熱処理を高温限界として耐久性の改善と発電特性の両立を図ってきたのに対し、本発明は、通常の多孔質炭素であれば、細孔が潰れて担体としての機能を果たさないような2400℃以上の温度域での熱処理を狙っている。本発明では、このような特殊な材料系を用いることで、従来と同等の発電特性を維持しつつ更なる耐久性改善に成功したことである。上述の比表面積、V0.1-0.4、差分ΔV0.1-0.4、それに、ΔGは、そもそも従来の多孔質炭素材料では同時にこれらを満たすことのできない領域であり、本発明の多孔質炭素材料により始めて達することのできるものである。
以上の知見により、本発明の多孔質炭素材料は、高い温度で運転しても、低電流時の出力特性の経時変化が少なく耐久性(特に、炭素の酸化消耗耐性)に優れた固体高分子形燃料電池の触媒層を製造することが可能となることが見出された。
以下、本発明の多孔質炭素材料について詳細に説明する。
(要件(A))
窒素吸着等温線のBET解析による比表面積(以下、「BET比表面積」とも称する)は、450〜700m/gである。これにより、より多くの金属触媒粒子を細孔壁へ担持することができ、低電流時の出力特性が向上する。
BET比表面積が450m/g未満である場合、金属触媒粒子の担持量が減り、低流時の出力特性が低下する。BET比表面積が700m/gを超える場合、多孔質炭素材料の機械的強度及び高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)が低下する。
BET比表面積の下限は、金属触媒粒子の担持性の低下を抑制し、低電流時の出力特性を向上する観点から、500m/g以上が好ましく、550m/g以上がより好ましい。
一方、BET比表面積の上限は、炭素量が少なくなり、多孔質炭素材料の物理的強度(機械的強度)及び高温運転時の耐久性(耐酸化消耗性)を向上する観点から680m/g以下が好ましく、650m/g以下がより好ましい。
ここで、BET比表面積は、後述する実施例に示す測定方法により測定される値である。
(要件(B))
窒素吸脱着等温線における、相対圧0.9の吸着量から相対圧(P/P)0.4の吸着量を差し引いた吸着量の差分V0.4-0.9(図1参照)は、150〜450mL/g(好ましくは200〜400mL/g)である。それにより、メソ孔容積が高く、低電流時の出力特性が向上する。
吸着量の差分V0.4-0.9が150mL/g未満である場合、メソ孔容積が確保されず、低電流時の出力特性が低下する。一方、吸着量の差分V0.4-0.9が450mL/g超えである場合、多孔質炭素材料の機械的強度及び高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)が低下する。
吸着量の差分V0.4-0.9の下限は、メソ孔容積を高め、低電流時の出力特性を向上する観点から、200mL/g以上が好ましく、250mL/g以上がより好ましい。
吸着量の差分V0.4-0.9の上限は、多孔質炭素材料の物理的強度(機械的強度)及び高温運転時の耐久性(耐酸化消耗性)を向上する観点から、400mL/g以下が好ましく、395mL/g以下がより好ましい。
ここで、吸着量の差分V0.4-0.9は、後述する実施例に示す測定方法により測定される値である。
なお、吸着量の差分V0.4-0.9は、測定対象である多孔質炭素材料に熱処理を施さずに、窒素吸脱着等温線を求めて算出する。
(要件(C))
窒素吸脱着等温線における、相対圧0.4の吸着量から相対圧(P/P)0.1の吸着量を差し引いた吸着量の差分をV0.1-0.4としたとき、2400℃で熱処理した後のV0.1-0.4から2200℃で熱処理した後のV0.1-0.4を差し引いた吸着量の差分ΔV0.1-0.4(図2参照)は、10〜30mL/gである。それにより、2200℃以上の温度で熱処理しても細孔の潰れが抑制され、高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)が向上する。
一般に、炭素材料は1800℃以上の温度で、官能基や芳香族化合物の水素が分解脱離し、芳香族分子間の結合し、グラフェン構造が成長し始める。さらに、2200〜2400℃の温度域で、グラフェン成長と共に、グラフェン層の相互の移動により積層構造が発達し始めるとされる。多孔質炭素材料の場合には、グラフェンの成長は致命的な細孔構造の潰れにはつながらないが、積層構造の発達は、細孔を構成する壁の再配列及び構造変化、すなわち、細孔構造の潰れに直結する。高い温度で運転しても、低電流時の出力特性の経時変化が少なく耐久性(特に、炭素の酸化消耗耐性)を高めるためには、従来よりも高い熱処理温度、すなわち、2400℃以上の高温域での細孔の潰れの抑制が必須となる。そのためには、2200〜2400℃での細孔構造の変化が小さい、すなわち、積層構造の発達が抑制されることが本質的に重要となる。そのために、本発明では、2400℃で熱処理した後のV0.1-0.4から2200℃で熱処理した後のV0.1-0.4を差し引いた吸着量の差分ΔV0.1-0.4を指標として採用し、積層構造の発達の程度を物性規定とした。
吸着量の差分ΔV0.1-0.4が10mL/g未満である場合、細孔を構成する炭素からなる壁の厚みが厚いために構造安定性が高く、その場合には、そもそも、担持体として必要な細孔容積と細孔の表面積が小さ過ぎるという問題を生じる。
一方、吸着量の差分ΔV0.1-0.4が30mL/g超えである場合、2400℃以上の高温域での熱処理に対し細孔の潰れが著しく、具体的には、触媒金属粒子を担持するために必要な比表面積、メソ細孔の容積(つまり、V0.1-0.4)を維持することができないおそれがある。
吸着量の差分ΔV0.1-0.4の下限は、細孔の機械的強度に相当し、この加減が小さい、すなわち機械的強度がある一定値以上に強くなると、細孔を構成する炭素壁が厚くなってしまい、単位重量当たりの比表面積が小さくなる。このように、細孔の強度と比表面積のバランスの観点から、吸着量の差分ΔV0.1-0.4の下限は、12mL/g以上が好ましく、15mL/g以上がより好ましい。
吸着量の差分ΔV0.1-0.4の上限は、2200℃の熱処理による細孔の潰れを抑制し、高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)を向上する観点から、28mL/g以下が好ましく、25mL/g以下がより好ましい。
ここで、吸着量の差分ΔV0.1-0.4は、後述する実施例に示す測定方法により測定される値である。
なお、吸着量の差分V0.4-0.9は、測定対象である多孔質炭素材料に、2200℃、2400の熱処理を施した後、各々の熱処理後の多孔質炭素材料の窒素吸脱着等温線を求めて算出する。
(要件(D))
ラマン分光測定により1500〜1700cm−1の範囲で検出されるGバンドの半値幅は、35〜45cm−1である。それにより、多孔質炭素材料の炭素網面が広がって、結晶性が高まり、高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)を向上する。
Gバンドの半値幅が35cm−1未満である場合、多孔質炭素材料の炭素網面が広がり過ぎて細孔壁を形成する炭素網面のエッジ量が減少し、細孔壁への触媒金属微粒子の担持特性が低下する。それにより、低電流時の出力特性が低下する。
一方、Gバンドの半値幅が45cm−1超えの場合、多孔質炭素材料の結晶性が低く、炭素網面が狭くなるため、酸化消耗しやすい炭素網面のエッジ量が増えて、高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)が低下する。
Gバンドの半値幅の下限は、低電流時の出力特性を向上する観点から、37cm−1以上が好ましく、39cm−1以上がより好ましい。
Gバンドの半値幅の上限は、高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)を向上する観点から、44cm−1以下が好ましく、43cm−1以下がより好ましい。
(要件(E))
本発明の多孔質炭素材料は、下記(E)の要件を満たすことが好ましい。
(E)ラマン分光スペクトルから得られる、Gバンド1500〜1700cm−1の範囲のピーク強度IとDバンド1200〜1400cm−1の範囲のピーク強度Iとの強度比l/lが、1.0〜1.7である。
強度比l/lは、多孔質炭素材料の結晶性を示す指標であり、1.0〜1.7を満たすと、さらに、多孔質炭素材料の結晶性が高まり、高温運転時の耐久性(炭素の耐酸化消耗性)を向上する。
強度比l/lの下限は、低電流密度の出力電圧の維持と耐久性の更なる改善の観点から、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましい。
強度比l/lの上限は、低電流密度の出力電圧の維持と耐久性の更なる改善の観点から、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。
<固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料の製造方法>
以下、本発明の多孔質炭素材料の製造方法の一例について説明する。
(MgO鋳型法)
発明者らは、MgOを鋳型とする多孔質炭素材料の製造方法(MgO鋳型法)について検討した。その結果、次の知見を得た。
芳香族性が高い多環縮合芳香族を構成要素として含む炭素壁でできた多孔質炭素材料であれば、熱処理しても、縮合が進みに難いため、細孔は潰れ難い。また、熱による炭素の再配列による細孔潰れを抑制するため、グラフェンリボンが立体的に結合した構造がよい。
そのような、高い芳香族性を持つ炭素壁を持つ多孔質炭素材料を得るには、炭酸マグネシウムをMgO源とし、且つ、炭素源として、2環以上の縮合多環芳香族基を分子構造に含むポリイミド(具体的には、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸)を用いる。これらMgO源及び炭素源を利用した製法では、例えば、炭素六角網面の幅が3〜4個以下のグラフェンリボンが構成単位としてナノサイズのMgO粒子を取り囲む形でリボン間の結合が形成される。それにより、2300〜2600℃で熱処理しても、このグラフェンリボン自体は変形せず、また、相互の結合もしにくい。MgO粒子を取り囲む形の結合を作っているので、熱による再配列も起こりにくい。
また、MgO源に、予め合成したMgO粒子を適用すると、MgOの結晶子サイズが数nmにすることが困難で、少なくとも、市販の酸化マグネシウムでは、結晶子の最小サイズは7nmであった。これまで述べてきたように、金属触媒粒子は数nmであり、それを収納する細孔の直径は3〜10nm、好ましくは、4〜8nm程度であり、結晶子7nmのMgO粒子を鋳型原料とすると、少なくとも形成する多孔質の細孔サイズは7nm以上となり、必ずしも担体用の多孔質炭素には適当ではない。
一方、炭酸マグネシウムは、200〜430℃において徐々に熱分解し、その過程でMgO微粒子を形成する。この熱分解過程と同じ温度域に、原料の炭素源の熱分解が重なることにより、炭素源分解物がMgO粒子の成長を抑制し、結果として、数nmのMgO粒子を形成し、得られる多孔質炭素材料の細孔直径も数nmを得ることができる。
さらに、原料のポリアミック酸を加熱処理する過程で、脱水縮合によるイミド化反応を生じるが、このイミド構造こそが耐熱安定性の要であるから、イミド化率を高めることにより、炭化過程におけるグラフェンリボンの形成率を高めることが可能となる。そうすることにより、芳香性が高まると共に、結晶性が上がり、高温運転時の耐久性(酸化消耗耐性)を高まる。
それにより、本発明のMgO鋳型法では、所定の比表面積を有すると共に、細孔径4nm〜10数nmのメソ孔が形成できると共に、2300℃以上で熱処理しても細孔が潰れず、高い結晶性を有する多孔質炭素材料が製造可能となる。つまり、上記(A)〜(D)を満たす多孔質炭素材料が製造可能となる。
以下、MgO鋳型法の一例について説明する。
MgO鋳型法は、MgO源と炭素源の混合工程、第1の加熱工程、MgO除去工程、及び第2の加熱工程を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
(MgO源と炭素源との混合工程)
本工程では、MgO源と炭素源とを混合する。
そして、MgO源として、炭酸マグネシウムを適用する。
一方、炭素源としては、ポリイミドの前駆体であり、2環以上(好ましくは2〜4環)の縮合多環芳香族基を有するポリアミック酸を適用する。ここで、縮合多環芳香族基は、芳香族環が複数縮合して得られる基であり、2環では、ナフタレン、3環では、アントラセン、フェナントレン、4環では、テトラセン、クリセン、ピレン、5環では、ペンタセン、ベンゾピレン、トリフェニレン、コランニュレン等が例示される。
MgO源として炭酸マグネシウムを適用し、炭素源として2環以上(好ましくは2〜4環)の縮合多環芳香族基を有するポリアミック酸を適用することで、目的とする吸着量の差分ΔV0.1-0.4を有する多孔質炭素材料が得られる。
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との縮合重合物である。以下、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の例示を示す。ただし、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の少なくとも一方は、2環以上の縮合多環芳香族基を有する化合物を適用する。
芳香族系のテトラカルボン酸二無水物:ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、4,4−オキシフタリック二無水物、3,4−オキシフタリック二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物等
脂肪族又は脂環式のテトラカルボン酸二無水物:ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
芳香族ジアミン化合物:p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、9,10−アントラセンジアミン等のほか、メラミン、ヘキサメチレンテトラミンなども用いることができる。
脂肪族又は脂環式のジアミン化合物;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等
MgO源と炭素源との混合比(MgO源/炭素源)は、例えば、MgOと炭素源中の炭素Cのモル比において1.0以上15.0以下とする。それにより、目的とするBET比表面積および細孔分布(吸着量の差分V0.4-0.9)の多孔質炭素材料が得られる。
(第1の加熱工程)
第1の加熱工程では、例えば、MgO源と炭素源との混合物を、不活性ガス雰囲気下で、昇温速度5〜30℃/分で、800〜1100℃まで昇温し、その温度で
10〜200分保持する。
この熱処理により、ポリアミック酸のポリイミド化及び炭素化と並行して、炭酸マグネシウムを熱分解及びMgO化し、炭素−MgO複合体を得る。
ここで、ポリアミック酸を加熱することで、脱水縮合しポリイミドが形成されるが、上記昇温過程ではイミド化が不完全のまま熱分解される。そのため、昇温途中において、300℃〜450℃で1時間以上の保持し、イミド化率を高めることがよい。イミド化率を高めることにより、ポリイミドの耐熱性が向上し、800〜1100℃での保持後の炭化歩留まりが高くなる。そして、グラフェンリボンが長くなり芳香性が高まると共に、結晶性が上がり、高温運転時の耐久性(酸化消耗耐性)が向上する。
(MgO除去工程)
MgO除去工程では、炭素−MgO複合体を酸洗することで、MgO鋳型を酸洗液中に溶解する。これにより、炭素−MgO複合体からMgO鋳型を除去する。それにより、多孔質炭素材料中間体を得る。
酸洗に用いる酸は、MgOが可溶であればよく、好ましい例としては、硫酸が挙げられる。酸洗後、炭素材料を水洗し、乾燥させる。
(第2の加熱工程)
第2の加熱工程では、例えば、得られた多孔質炭素材料中間体を、不活性ガス雰囲気下で、2300〜2600℃で、0.5〜3.0時間保持する。
この熱処理により、多孔質炭素材料の結晶性がさらに高まり、高温運転時の耐久性(酸化消耗耐性)が向上する。
以上のMgO鋳型法により、目的とする多孔質炭素材料が得られる。
(銀アセチリド法)
発明者らは、銀アセチリドを原料とする多孔質炭素材料の製造方法(銀アセチリド法)についても検討した。その結果、次の知見を得た。
銀アセチリドの熱分解で生じる炭素構造は、基本的に芳香族性と共に、結晶性が高いのが特徴である。一方、銀アセチリドを原料とする製法では、分解時の環境を調製することで銀のナノ粒子のサイズを制御することが可能である。つまり、細孔径分布を制御し、メソ細孔が形成可能である。
一方、従来、銀アセチリド由来の銀粒子内包中間体を乾燥後に爆発させていたのに対して、水に分散した銀アセチリドのスラリーを滴下し、水の蒸発で銀アセチリドの爆発の熱量を減量する。そうすると、従来よりも長い時間かけて銀アセチリドが爆発し、グラフェンリボンが立体的に結合した構造の形成が促進され、熱による炭素の再配列による細孔潰れが抑制される。
そのため、本発明の銀アセチリド法では、所定の比表面積を有すると共に、細孔径4nm〜10数nmのメソ孔が形成され、2300℃以上で熱処理しても細孔が潰れず、高い結晶性を有する多孔質炭素材料が形成可能となる。つまり、上記(A)〜(D)を満たす多孔質炭素材料が製造可能となる。
以下、銀アセチリド法の一例について説明する。
銀アセチリド法は、銀アセチリド生成工程、第1の加熱処理工程、第2の加熱処理工程、洗浄処理工程、および第3の加熱処理工程を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
(銀アセチリド生成工程)
銀アセチリド生成工程では、銀又は銀塩を含む溶液中にアセチレンガスを吹き込み、金属アセチリドを生成させる。
(第1の加熱処理工程)
第1の加熱処理工程では、銀アセチリドを60℃以上80℃以下の温度で加熱し、銀を銀粒子として偏析させ、この銀粒子が内包された銀粒子内包中間体を得る。この第1の加熱処理工程での加熱時間は、通常1時間以上、好ましくは1〜10時間である。
(第2の加熱工程)
第2の加熱工程では、金属粒子内包中間体を200℃以上400℃以下の温度で加熱し、銀アセチリドの自己分解爆発反応を誘発させ、銀粒子内包中間体を爆発させる。それにより、銀粒子内包中間体により金属粒子を噴出させ、多孔質炭素材料中間体(銀と炭素との複合物からなる分解生成物)を得る。
銀粒子内包中間体の爆発の過程で、銀のナノサイズの粒子(銀ナノ粒子)が生成すると同時に、この銀ナノ粒子を取り巻くように六角網面の炭素層が形成されて、銀アセチリドの形状である3次元樹状構造の骨格がそのまま炭素層で構成されるに至る。さらに、生成した銀ナノ粒子が爆発エネルギーにより溶融した状態で、ナノ粒子を取り巻く炭素層により形成される細孔を通じて、その外部に噴出して銀の集合体(銀粒子)を形成する。この爆発から銀の噴出までの一連の過程で、3次元樹状構造の外形をもつ多孔質炭素と銀の複合体が形成される。
ここで、第2の加熱工程では、銀アセチリド由来の金属粒子内包中間体を水に分散させたスラリーを調製し、300℃以上500℃以下で加熱した加熱板上、このスラリーを滴下する。滴下したスラリーは、まず加熱板上で水分が蒸発し、次いで、銀アセチリドの爆発分解を生じる。スラリーを熱分解する過程の重要性は、二つの効果にある。一つ目の効果は、銀アセチリドの爆発分解時に、水分が残り、爆発エネルギーの一部を水分の蒸発と水蒸気の加熱に振り分け、銀アセチリドの加熱を軽減することにある。二つ目の効果は、同時に、爆発箇所とタイミングが分散することにより、個々の爆発規模そのものが小さくなることにある。
第1の加熱工程後の銀アセチリドを真空乾燥した後に、真空中で加熱して、熱により一気に爆発させる従来の分解行程に比較すると、上述の第2の加熱工程では、スラリーの加熱板上での分解による二つの効果により、銀の粒子を取り巻く六角網面の炭素層を形成する時間が長くなり、炭素層どうしの連結が発達する。その結果、グラフェンリボンが立体的に結合した構造の形成が促進され、熱による炭素の再配列による細孔潰れが抑制される。
また、第2の加熱工程において、上述の効果を十分に発現させるために、加熱板はできる限り熱容量の大きく、且つ、熱伝導性の高い材料を用いる。具体的には、加熱板は金属板を用いるのが好ましい。スラリーの濃度は、銀アセチリドの乾燥質量を固形分とし、0.5〜30質量%とし、スラリー滴下量は、加熱板の面積に1mmの高さを乗じて得られる体積に対し、0.2倍〜1.5倍とする。加熱板は、スラリーの滴下から分解が終わるまでの間に、加熱板表面温度が、少なくとも200℃以上を保つように制御されることが望ましい。
これらの条件で加熱することで、目的とするBET比表面積および細孔径4nm〜10数nmのメソ孔(つまり、差分V0.4-0.9)を有する多孔質炭素材料が形成される。
(洗浄処理工程)
洗浄工程では、多孔質炭素材料中間体(銀と炭素との複合物からなる分解生成物)に対して、銀の溶解処理(洗浄処理)を実施する。それにより、多孔質炭素材料中間体の表面に存在する銀粒子やその他の不安定な炭素化合物を除去する。
ここで、銀の溶解処理(洗浄処理)は、例えば、硝酸、硫酸を用いる。濃度は、5〜30質量%、温度は、室温から必要に応じて80℃程度、時間は、数時間から10数時間程度である。この工程は複数回行うことも可能である。
(第3の加熱工程)
第3の加熱工程では、不活性ガス雰囲気下で、洗浄された多孔質炭素材料中間体を、2300〜2600℃で、0.5〜3.0時間保持する。この熱処理により、多孔質炭素材料の結晶性がさらに高まり、高温運転時の耐久性(酸化消耗耐性)が向上する。
以上の銀アセチリド法により、目的とする多孔質炭素材料が得られる。
<固体高分子形燃料電池の構成>
本実施形態に係る触媒担体用炭素材料は、例えば図3に示す固体高分子形燃料電池100に適用可能である。固体高分子形燃料電池100は、セパレータ110、120、ガス拡散層130、140、触媒層150、160、及び電解質膜170を備える。
セパレータ110は、アノード側のセパレータであり、水素等の燃料ガスをガス拡散層130に導入する。セパレータ120は、カソード側のセパレータであり、酸素ガス、空気等の酸化性ガスをガス拡散凝集相に導入する。セパレータ110、120の種類は特に問われず、従来の燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池で使用されるセパレータであればよい。
ガス拡散層130は、アノード側のガス拡散層であり、セパレータ110から供給された燃料ガスを拡散させた後、触媒層150に供給する。ガス拡散層140は、カソード側のガス拡散層であり、セパレータ120から供給された酸化性ガスを拡散させた後、触媒層160に供給する。ガス拡散層130、40の種類は特に問われず、従来の燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池に使用されるガス拡散層であればよい。ガス拡散層130、40の例としては、多孔質炭素材料(カーボンクロス、カーボンペーパー等)、多孔質金属材料(金属メッシュ、金属ウール等)等が挙げられる。
なお、ガス拡散層130、140の好ましい例としては、ガス拡散層のセパレータ側の層が繊維状炭素材料を主成分とするガス拡散繊維層となり、触媒層側の層がカーボンブラックを主成分とするマイクロポア層となる2層構造のガス拡散層が挙げられる。
触媒層150は、いわゆるアノードである。触媒層150内では、燃料ガスの酸化反応が起こり、プロトンと電子が生成される。例えば、燃料ガスが水素ガスとなる場合、以下の酸化反応が起こる。
→2H+2e (E=0V)
酸化反応によって生じたプロトンは、触媒層150、及び電解質膜170を通って触媒層160に到達する。酸化反応によって生じた電子は、触媒層150、ガス拡散層130、及びセパレータ110を通って外部回路に到達する。電子は、外部回路内で仕事をした後、セパレータ120に導入される。その後、電子は、セパレータ120、ガス拡散層140を通って触媒層160に到達する。
アノードとなる触媒層150の構成は特に制限されない。すなわち、触媒層150の構成は、従来のアノードと同様の構成であってもよいし、触媒層160と同様の構成であってもよいし、触媒層160よりもさらに親水性が高い構成であってもよい。
触媒層160は、いわゆるカソードである。触媒層160内では、酸化性ガスの還元反応が起こり、水が生成される。例えば、酸化性ガスが酸素ガスあるいは空気となる場合、以下の還元反応が起こる。酸化反応で発生した水は、未反応の酸化性ガスとともに固体高分子形燃料電池100の外部に排出される。
+4H+4e→2HO (E=1.23V)
このように、固体高分子形燃料電池100では、酸化反応と還元反応とのエネルギー差(電位差)を利用して発電する。言い換えれば、酸化反応で生じた電子が外部回路で仕事を行う。
触媒層160には、本実施形態に係る触媒担体用炭素材料が含まれている。すなわち、触媒層160は、本実施形態に係る触媒担体用炭素材料と、電解質材料と、燃料電池用触媒とを含む。これにより、触媒層160内の触媒利用率を高めることができる。その結果、固体高分子形燃料電池100の触媒利用率を高めることができる。
なお、触媒層160における燃料電池触媒担持率は特に制限されないが、30質量%以上80質量%未満であることが好ましい。ここで、燃料電池触媒担持率は、触媒担持粒子(触媒担体用炭素材料に燃料電池用触媒を担持させた粒子)の総質量に対する燃料電池用触媒の質量%であることが好ましい。この場合、触媒利用率がさらに高くなる。なお、燃料電池触媒担持率が30質量%未満となる場合、固体高分子形燃料電池100を実用に耐えるようにするために触媒層160を厚くする必要が生じうる。一方、燃料電池触媒担持率が80質量%以上となる場合、触媒凝集が起こりやすくなる。また、触媒層160が薄くなりすぎて、フラッディングが起こる可能性が生じる。
触媒層160における電解質材料の質量I(g)と触媒担体用炭素材料の質量C(g)との質量比I/Cは特に制限されないが、0.5超5.0未満であることが好ましい。この場合、細孔ネットワークと電解質材料ネットワークとが両立でき、触媒利用率が高くなる。一方、質量比I/Cが0.5以下となる場合、電解質材料ネットワークが貧弱になり、プロトン伝導抵抗が高くなる傾向にある。質量比I/Cが5.0以上となる場合、電解質材料によって細孔ネットワークが分断される可能性がある。いずれの場合にも、触媒利用率が低下する可能性がある。
また、触媒層160の厚さは特に制限されないが、5μm超20μm未満であることが好ましい。この場合、触媒層160内に酸化性ガスが拡散しやすく、かつ、フラッディングが生じにくくなる。触媒層160の厚さが5μm以下となる場合、フラッディングが生じやすくなる。触媒層160の厚さが20μm以上となる場合、触媒層160内で酸化性ガスが拡散しにくくなり、電解質膜170近傍の燃料電池用触媒が働きにくくなる。すなわち、触媒利用率が低下する可能性がある。
電解質膜170は、プロトン伝導性を有する電解質材料で構成されている。電解質膜170は、上記酸化反応で生成したプロトンをカソードである触媒層160に導入する。ここで、電解質材料の種類は特に問われず、従来の燃料電池、例えば固体高分子形燃料電池で使用される電解質材料であればよい。好適な例は固体高分子形燃料電池で使用される電解質材料、すなわち、電解質樹脂である。電解質樹脂としては、例えば、リン酸基、スルホン酸基等を導入した高分子(例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマー又はベンゼンスルホン酸が導入されたポリマー)等が挙げられる。もちろん、本実施形態に係る電解質材料は他の種類の電解質材料であってもよい。このような電解質材料としては、例えば、無機系、無機−有機ハイブリッド系等の電解質材料等が挙げられる。なお、固体高分子形燃料電池100は、常温〜150℃の範囲内で作動する燃料電池であってもよい。
<固体高分子形燃料電池の製造方法>
固体高分子形燃料電池100の製造方法は特に制限されず、従来と同様の製造方法であればよい。ただし、カソード側の触媒担体には本実施形態に係る触媒担体用炭素材料を用いる。
<各パラメータの測定方法>
つぎに、本発明の実施例について説明する。まず、各パラメータの測定方法について説明する。
(窒素吸脱着等温線の測定方法)
約30mgの試料を測り採り、120℃で2時間真空乾燥した。次いで、自動比表面積測定装置(マイクロトラックベル社製、BELSORP MAX)に試料をセットし、窒素ガスを吸着質に用いて77Kの測定温度で窒素吸脱着等温線を測定した。
窒素吸脱着等温線の測定では、一般の測定よりも、相対圧P/Pの測定間隔を小さく(具体的には、P/Pの測定間隔を0.005刻みで定点を取るように)設定した。つまり、測定上の相対圧P/Pの測定精度は0.005とした。
次に、相対圧P/Pが0.05〜0.15の範囲で窒素吸着等温線をBET解析することにより、BET比表面積SBETを算出した。
次に、窒素吸脱着等温線から、相対圧0.9の吸着量、相対圧0.4の吸着量を求め、吸着量の差分V0.4-0.9(=相対圧0.9の吸着量−相対圧0.4の吸着量)を算出した。
次に、試料に対して、不活性ガス雰囲気下で、2200℃、1.0時間の条件で熱処理を施す。この熱処理後の試料に対して、上記同様にして窒素吸脱着等温線を測定する。
得られた窒素吸脱着等温線から、相対圧0.4の吸着量、相対圧0.1の吸着量を求め、吸着量の差分をV0.1-0.4@2200℃(=相対圧0.4の吸着量−相対圧0.1の吸着量)を算出した。
次に、試料に対して、不活性ガス雰囲気下で、2400℃、1.0時間の条件で熱処理を施す。この熱処理後の試料に対して、上記同様にして窒素吸脱着等温線を測定する。
得られた窒素吸脱着等温線から、相対圧0.4の吸着量、相対圧0.1の吸着量を求め、吸着量の差分をV0.1-0.4@2400℃(=相対圧0.4の吸着量−相対圧0.1の吸着量)を算出した。
そして、吸着量の差分ΔV0.1-0.4(=V0.1-0.4@2400℃−V0.1-0.4@2200℃)を求める。
(ラマン分光スペクトルの測定方法)
試料約3mgを測り採り、レーザラマン分光光度計(日本分光(株)製、NRS−3100型)を用い、ラマン分光スペクトルを測定した。下記測定条件で得られたラマン分光スペクトルから、Gバンドと呼ばれる1500〜1700cm−1の範囲のピーク、および、Dバンドと呼ばれる1200〜1400cm−1の範囲のピークを抽出した。
そして、Gバンドのピークの半値幅(△)を測定した。また、Gバンドのピーク強度I、Dバンドのピーク強度Iを測定し、強度比l/lを算出した。
−測定条件−
励起レーザー:532nm、レーザーパワー:10mW(試料照射パワー:1.1mW)、顕微配置:Backscattering、対物レンズ:×100倍、スポット径:1μm、露光時間:30sec、観測波数:2000cm−1〜300cm−1、積算回数:6回
<鋳型炭素の製造方法>
(試験例No.1〜5:クエン酸マグネシウム系鋳型炭素)
市販の二クエン酸三マグネシウム(関東化学社製、CitMgと記す)を、ガス流通型の横型管状電気炉を用いて、不活性ガスを流通させながら焼成して、MgO粒子と炭素の複合体を得た。アルゴンは線速度3cm毎分の流量で流通させ、昇温速度20℃毎分で、室温から400℃まで昇温し、400℃で1時間保持した後、同じ昇温速度で900℃まで昇温し、900℃で30分保持した後、放冷し100℃以下になったところで取り出し、MgO粒子と炭素の複合体を得た。乳鉢で軽く解砕した後、20質量%の硫酸水溶液に分散させて、90℃で40時間撹拌後、メンブレンフィルターで吸引濾過し、再度、蒸留水に分散し濾過を2回繰り返し、洗浄した。100℃の温風乾燥機で水分を除去後、90℃5時間真空乾燥し、多孔質炭素材料を得た。結晶性を高めるために、多孔質炭素材料に対して、不活性ガス雰囲気中で2000℃から2600℃の範囲の加熱温度条件で0.5時間から1.0時間の黒鉛化処理(加熱処理)を実施し、触媒担体用多孔質炭素材料の試料とした。調製条件を表1にまとめて示した。
(試験例No.6〜10:酸化マグネシウム系鋳型炭素)
神島化学工業社製酸化マグネシウムPSF−150を酸化マグネシウム(MgOと記す)として用い、炭素源には、デンカ社製ポリビニルアルコール(商品名ポバールB05S)の微粉末を用いた。両粉末を乳鉢で十分に混合した後、上述のクエン酸マグネシウム系鋳型炭素と同一の調製方法で、多孔質炭素材料を得た。酸化マグネシウムとPVAの混合比を変えた数水準を調製した。結晶性を高めるために、多孔質炭素材料に対して、不活性ガス雰囲気中で2000℃から2600℃の範囲の加熱温度条件で0.5時間から1.0時間の黒鉛化処理(加熱処理)を実施し、触媒担体用多孔質炭素材料の試料とした。調製条件を表1にまとめて示した。
(試験例No.11〜47:炭酸マグネシウムとポリイミド(その前駆体であるポリアミック酸)を用いた鋳型炭素)
塩基性炭酸マグネシウム(和光純薬工業社製、CarMgと記す)粉末4gと下記の方法で合成した12質量%固形分濃度のポリアミック酸溶液(ポリアミック酸のDMAc溶液)を12g(固形分換算14.4g)とを乳鉢内に入れて、必要の応じて、DMAcを少量ずつピペットで加えて粘度を調製し、高粘度状態で十分に混合した。混合した溶液をシャーレに移しとり、ガス置換型の電気炉内に入れ、アルゴン200mL/分の流通下で、150℃、5時間処理して、溶媒のDMAcを蒸発させ、乾固した塩基性炭酸マグネシウム粉末とポリアミック酸の混合した固形物を得た。
次に、横型の管状電気炉内へこの固形物を配置し、アルゴンを線速度3cm毎分の流量で流通させ、20℃/分で900℃まで昇温し、900℃で30分保持し、ポリアミック酸のポリイミド化と炭素化、並行して、塩基性炭酸マグネシウムの熱分解とその後のMgO化を行った。また、必要に応じて、20℃/分で900℃まで昇温過程で、表1に示す条件で中間熱処理も実施した。
900℃30分保持後は、炉内で放冷し100℃まで冷えてから取り出した。乳鉢で十分に粉砕してから、ナスフラスコへ炭素化後の粉末を入れ、20質量%硫酸水溶液を質量比で固形物に対して100〜150倍加えて、90℃で40時間以上撹拌し、MgOを硫酸で溶解除去した。
次に、メンブレンフィルターで濾過し、残渣を更に蒸留水で撹拌洗浄し、再び濾過、この操作を2回繰り返し、濾過残渣を100℃の温風乾燥機で水分を除去後、90℃5時間、真空乾燥して、多孔質炭素を得た。
また、塩基性炭酸マグネシウムに対する炭素源であるポリイミド(その前駆体であるポリアミック酸)の質量比を増減させて、同様の方法で多孔質炭素を得た。
また、下記の合成法により調製した各種ポリアミック酸を用いて、ポリアミック酸の種類が異なる以外は上述と同一の方法により多孔質炭素を得た。
そして、結晶性を高めるために、多孔質炭素に対して、不活性ガス雰囲気中で2000℃から2600℃の範囲の加熱温度条件で0.5時間から1.0時間の黒鉛化処理(加熱処理)を実施し、触媒担体用多孔質炭素材料の試料とした。調製条件を表1にまとめて示した。
(ポリアミック酸の合成)
まず、使用する化合物とその略語について以下に示す。
ATDA: 9,10−アントラセンジアミン(ChemTik社製)
NTDA: 2,6−ナフタレンジアミン(米国MatrixScientific社製)
p-PhDA: 1,4−フェニレンジアミン(東京化成社製)
PMDA: ピロメリット酸(東京化成社製)
BPDA: ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸(東京化成社製)
DMAc: N,N−ジメチルアセトアミド(関東化学社製)
−合成例1−
2Lの反応容器を用いて合成した。ATDA40gを、500gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にPMDAを当モル量加え撹拌し、固形分が12wt%になるようにDMAcを加えて、室温で5時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠で透明なポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸を、PM−ATと記す。
−合成例2−
2Lの反応容器を用いて合成した。ATDA40gを、500gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にBPDAを当モル量加え撹拌し、固形分が12wt%になるようにDMAcを加えて、室温で5時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠で透明なポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸を、BP−ATと記す。
−合成例3−
2Lの反応容器を用いて合成した。NTDA40gを、500gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にPMDAを当モル量加え撹拌し、固形分が12wt%になるようにDMAcを加えて、室温で5時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠で透明なポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸を、PM−NTと記す。
−合成例4−
2Lの反応容器を用いて合成した。NTDA40gを、500gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にBPDAを当モル量加え撹拌し、固形分が12wt%になるようにDMAcを加えて、室温で5時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠で透明なポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸を、BP−NTと記す。
−合成例5−
2Lの反応容器を用いて合成した。p-PhDA40gを、500gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にBPDAを当モル量加え撹拌し、固形分が12wt%になるようにDMAcを加えて、室温で5時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠で透明なポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸を、BP−Phと記す。
−合成例6−
2Lの反応容器を用いて合成した。p-PhDA40gを、500gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にPMDAを当モル量加え撹拌し、固形分が12wt%になるようにDMAcを加えて、室温で5時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠で透明なポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸を、PM−Phと記す。
<試験例No.48〜49:カーボンブラック系多孔質炭素>
ライオン社製、ケッチェンブラック「EC600JD」の結晶性を高めるために、東京真空社製黒鉛化炉を用いて、2100℃と2300℃で熱処理(黒鉛化処理)を行った。熱処理対象の粉末を黒鉛坩堝に入れ、黒鉛化炉内にセットした。20℃/分で1200℃まで昇温し、1800℃まで15℃で昇温し、それよりも高い温度域では、10℃/分で昇温し、所定の温度で所定の時間、熱処理した。熱処理時間は1時間とした。雰囲気はアルゴンで、2L/分の流通下で熱処理した。
<銀アセチリド系多孔質炭素>
(試験例No.50〜52:銀アセチリド系多孔質炭素01)
(1) 銀アセチリド生成工程
5質量%濃度に調整された硝酸銀水溶液中に、硝酸銀に対してモル比で8倍になるようにアンモニアを混合し、アンモニア性硝酸銀水溶液を調製した。ここに、先ず、窒素ガスを40〜60分間吹き込んで、溶存する酸素を不活性ガスに置換し、この銀アセチリド生成工程で生成した銀アセチリドが分解爆発を起こす危険性を排除した。
次に、このようにして調製されたアンモニア性硝酸銀水溶液中に、アセチレンガスを室温下で10分間程度吹き込み、反応溶液中からアセチレンガスが泡として放出され始めた時点でこのアセチレンガスの吹込みを中止し、反応溶液中の硝酸銀とアセチレンとを反応させて銀アセチリドの白い沈殿物を生成させた。
生成した銀アセチリドの沈殿物についてはメンブレンフィルターで濾過して回収し、この回収された沈殿物をメタノールに再分散させ、再び濾過して得られた沈殿物をシャーレに取り出した。
(2) 第1の加熱処理工程
銀アセチリド生成工程で得られた銀アセチリドについて、メタノールが含浸された状態のまま約0.5gを直径5cmのステンレス製円筒容器内に装入し、これを真空加熱電気炉に入れ、60℃で1〜3時間かけて真空乾燥し、各実施例及び比較例の銀アセチリド由来の銀粒子内包中間体を調製した。
(3) 第2の加熱処理工程
第1の加熱処理工程で得られた真空乾燥直後の60℃の銀粒子内包中間体を、そのまま更に真空加熱電気炉から取り出すことなく200℃まで昇温させて加熱し、この過程で、銀アセチリドの自己分解爆発反応を誘発させ、炭素材料中間体(銀と炭素との複合物からなる分解生成物)を得た。
(4) 洗浄処理工程
炭素材料中間体(銀と炭素との複合物からなる分解生成物)に対して、60℃において濃度30質量%の濃硝酸で、銀の溶解処理(洗浄処理)を実施し、炭素材料中間体の表面に存在する銀粒子やその他の不安定な炭素化合物を除去し、清浄化された炭素材料中間体を得た。
(5) 第3の加熱処理工程(黒鉛化処理)
洗浄処理工程で清浄化された炭素材料中間体に対して、不活性ガス雰囲気中で2000℃から2600℃の範囲の加熱温度条件で0.5時間から1.0時間の黒鉛化処理(加熱処理)を実施し、触媒担体用炭素材料の試料を得た。調製条件を表1にまとめて示した。
(試験例No.53〜56:銀アセチリド系多孔質炭素02)
(1) 銀アセチリド生成工程
(2) 第1の加熱処理工程
試験例No.50〜52の製造法と同様にして、銀アセチリドを生成した後、銀アセチリド由来の銀粒子内包中間体を得た。
(3) 第2の加熱処理工程
次に、銀粒子内包中間体を水に分散させ、銀粒子内包中間体を含むスラリーを調製した。スラリーの固形分濃度は、約2質量%に調整した。
次に、第2の熱処理工程を実施した。まず、容積10Lのステンレス製の真空容器の中に、350〜450℃に加熱したステンレス板を設置し、上記のスラリーを、1mL滴下し、水の蒸発と共に銀アセチリド由来の銀粒子内包中間体が爆発させ、炭素材料中間体(銀と炭素との複合物からなる分解生成物)を得た。
(4) 洗浄処理工程
炭素材料中間体(銀と炭素との複合物からなる分解生成物)に対して、60℃において濃度30質量%の濃硝酸で、銀の溶解処理(洗浄処理)を実施し、炭素材料中間体の表面に存在する銀粒子やその他の不安定な炭素化合物を除去し、清浄化された炭素材料中間体を得た。
(5) 第3の加熱処理工程(黒鉛化処理)
洗浄処理工程で清浄化された炭素材料中間体に対して、不活性ガス雰囲気中で2000℃から2600℃の範囲の加熱温度条件で0.5時間から1.0時間の黒鉛化処理(加熱処理)を実施し、触媒担体用炭素材料の試料を得た。調製条件を表1にまとめて示した。
<触媒の調製、触媒層の作製、MEAの作製、燃料電池の組立、及び電池性能の評価>
次に、以上のようにして調製され、また、準備された触媒担体用炭素材料を用い、以下のようにして触媒金属が担持された固体高分子型燃料電池用触媒を調製し、また、得られた触媒を用いて触媒層インク液を調製し、次いでこの触媒層インク液を用いて触媒層を形成し、更に形成された触媒層を用いて膜電極接合体(MEA: Membrane Electrode Assembly)を作製し、この作製されたMEAを燃料電池セルに組み込み、燃料電池測定装置を用いて発電試験を行った。以下、各部材の調製及び発電試験によるセル評価について詳細に説明する。
(1) 固体高分子型燃料電池用触媒(白金担持炭素材料)の作製
上記で作製した触媒担体用多孔質炭素材料、或いは、市販の炭素材料を、蒸留水中に分散させ、この分散液にホルムアルデヒドを加え、40℃に設定したウォーターバスにセットし、分散液の温度がバスと同じ40℃になってから、撹拌下にこの分散液中にジニトロジアミンPt錯体硝酸水溶液をゆっくりと注ぎ入れた。その後、約2時間撹拌を続けた後、濾過し、得られた固形物の洗浄を行った。このようにして得られた固形物を90℃で真空乾燥した後、乳鉢で粉砕し、次いで水素を5体積%含むアルゴン雰囲気中200℃で1時間熱処理をして白金触媒粒子担持炭素材料を作製した。
なお、この白金担持炭素材料の白金担持量については、触媒担体用炭素材料と白金粒子の合計質量に対して40質量%となるように調整し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES: Inductively Coupled Plasma − Atomic Emission Spectrometry)により測定して確認した。
(2) 触媒層の調製
以上のようにして調製された白金担持炭素材料(Pt触媒)を用い、また、電解質樹脂としてDupont社製ナフィオン(登録商標:Nafion;パースルホン酸系イオン交換樹脂)を用い、Ar雰囲気下でこれらPt触媒とナフィオンとを白金触媒粒子担持炭素材料の質量に対してナフィオン固形分の質量が1.0倍、非多孔質炭素に対しては0.5倍の割合で配合し、軽く撹拌した後、超音波でPt触媒を解砕し、更にエタノールを加えてPt触媒と電解質樹脂とを合わせた合計の固形分濃度が1.0質量%となるように調整し、Pt触媒と電解質樹脂とが混合した触媒層インク液を調製した。
このようにして調製された固形分濃度1.0質量%の各触媒層インク液に更にエタノールを加え、白金濃度が0.5質量%のスプレー塗布用触媒層インク液を作製し、白金の触媒層単位面積当たりの質量(以下、「白金目付量」という。)が0.2mg/cm2となるようにスプレー条件を調節し、上記スプレー塗布用触媒層インクをテフロン(登録商標)シート上にスプレーした後、アルゴン中120℃で60分間の乾燥処理を行い、触媒層を作製した。
(3) MEAの作製
以上のようにして作製した触媒層を用い、以下の方法でMEA(膜電極複合体)を作製した。
ナフィオン膜(Dupont社製NR211)から一辺6cmの正方形状の電解質膜を切り出した。また、テフロン(登録商標)シート上に塗布されたアノード及びカソードの各触媒層については、それぞれカッターナイフで一辺2.5cmの正方形状に切り出した。
このようにして切り出されたアノード及びカソードの各触媒層の間に、各触媒層が電解質膜の中心部を挟んでそれぞれ接すると共に互いにずれが無いように、この電解質膜を挟み込み、120℃、100kg/cm2で10分間プレスし、次いで室温まで冷却した後、アノード及びカソード共にテフロンシートのみを注意深く剥ぎ取り、アノード及びカソードの各触媒層が電解質膜に定着した触媒層−電解質膜接合体を調製した。
次に、ガス拡散層として、カーボンペーパー(SGLカーボン社製35BC)から一辺2.5cmの大きさで一対の正方形状カーボンペーパーを切り出し、これらのカーボンペーパーの間に、アノード及びカソードの各触媒層が一致してずれが無いように、上記触媒層−電解質膜接合体を挟み、120℃、50kg/cm2で10分間プレスしてMEAを作製した。
なお、作製された各MEAにおける触媒金属成分、炭素材料、電解質材料の各成分の目付量については、プレス前の触媒層付テフロンシートの質量とプレス後に剥がしたテフロンシートの質量との差からナフィオン膜(電解質膜)に定着させた触媒層の質量を求め、触媒層の組成の質量比より算出した。
(4) 燃料電池の発電特性評価
(耐久前評価:低電流特性の評価)
各試験例で調製され、また、準備された触媒担体用多孔質炭素材料を用いて作製したMEAについて、それぞれセルに組み込み、燃料電池測定装置にセットして、次の手順で燃料電池の性能評価を行った。
反応ガスについては、カソード側に空気を、また、アノード側に純水素を、それぞれ利用率が40%と70%となるように、大気圧下にセル下流に設けられた背圧弁で圧力調整し、背圧0.04MPaで供給した。また、セル温度は80℃に設定し、また、供給する反応ガスについては、カソード及びアノード共に、加湿器中で60℃に保温された蒸留水でバブリングを行い、80℃のセルに対し、60℃加湿のガスを供給し発電評価を行った。
このような設定の下にセルに反応ガスを供給した条件下で、負荷を徐々に増やし、電流密度100mA/cmにおけるセル端子間電圧を出力電圧として記録し、燃料電池の性能評価を実施し、下記の合格ランクと不合格ランクの基準で評価を行った。結果を表1に示す。
〔合格ランク〕
5:100mA/cmにおける出力電圧が0.880V以上であるもの。
4:100mA/cmにおける出力電圧が0.875V以上であるもの。
3:100mA/cmにおける出力電圧が0.870V以上であるもの。
〔不合格ランク〕
2:100mA/cmにおける出力電圧が0.850V以上0.870V未満であるもの。
1:100mA/cmにおける出力電圧が0.850V未満であるもの。
(耐久後評価:耐久性の評価)
上記セルにおいて、アノードはそのままに、カソードには上記と同じ加湿条件のアルゴンガスを流しながら、セル電圧を1.0Vにして4秒間保持する操作とセル電圧を1.3Vにして4秒間保持する操作とを繰り返す操作(矩形波的電圧変動の繰返し操作)を1サイクルとし、この矩形波的電圧変動の繰返し操作を4000サイクル実施した後、上記の低電流特性の評価と同様にして耐久性を調査した。下記の合格ランクと不合格ランクの基準で評価を行った。結果を表1に示す。
〔合格ランク〕
5:100mA/cmにおける出力電圧が0.880V以上であるもの。
4:100mA/cmにおける出力電圧が0.875V以上であるもの。
3:100mA/cmにおける出力電圧が0.870V以上であるもの。
〔不合格ランク〕
2:100mA/cmにおける出力電圧が0.850V以上0.870V未満であるもの。
1:100mA/cmにおける出力電圧が0.850V未満であるもの。
Figure 2021061142
上記結果から、本発明例の多孔質炭素材料は、現在の世界標準と思慮される多孔質炭素材料であるケッチェンブラック「EC600JD」を通常の熱処理(2000℃以下)よりも一層高い温度(2100、2300℃)で熱処理して耐久性を大幅に高めた試験例48、49よりも、低電流時の出力特性と共に、高い温度で運転しても、低電流時の出力特性の経時変化が少なく耐久性(特に、炭素の酸化消耗耐性)に優れた固体高分子形燃料電池の触媒層を製造できることがわかる。
100 固体高分子形燃料電池
110、120 セパレータ
130、140 ガス拡散層
150、160 触媒層
170 電解質膜

Claims (7)

  1. 下記(A)、(B)、(C)、及び(D)の要件を満たす固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
    (A)窒素吸着等温線のBET解析による比表面積が、450〜700m/gである。
    (B)窒素吸脱着等温線における、相対圧0.9の吸着量から相対圧0.4の吸着量を差し引いた吸着量の差分V0.4-0.9が、150〜450mL/gである。
    (C)窒素吸脱着等温線における、相対圧0.4の吸着量から相対圧0.1の吸着量を差し引いた吸着量の差分をV0.1-0.4としたとき、2400℃で熱処理した後のV0.1-0.4から2200℃で熱処理した後のV0.1-0.4を差し引いた吸着量の差分ΔV0.1-0.4が、10〜30mL/gである。
    (D)ラマン分光測定により1500〜1700cm−1の範囲で検出されるGバンドの半値幅が、35〜45cm−1である。
  2. 下記(E)の要件を満たす請求項1に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
    (E)ラマン分光スペクトルから得られる、Gバンド1500〜1700cm−1の範囲のピーク強度IとDバンド1200〜1400cm−1の範囲のピーク強度Iとの強度比l/lが、1.0〜1.7である。
  3. 前記吸着量の差分V0.4-0.9が、200〜400mL/gである請求項1又は請求項2に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
  4. 前記吸着量の差分ΔV0.1-0.4が、15〜25mL/gである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池の触媒担体用多孔質炭素材料を含む固体高分子形燃料電池用触媒層。
  6. 請求項5に記載の固体高分子形燃料電池用触媒層を含む燃料電池。
  7. 前記固体高分子形燃料電池用触媒層は、カソード側の触媒層である請求項6に記載の燃料電池。
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