<実施例1>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。図1は、本発明の一実施の形態である電子写真画像形成装置の装置本体(電子写真画像形成装置本体、画像形成装置本体)A及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。図2は、カートリッジBの断面図である。
ここで、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置からカートリッジBを除いた部分である。
<画像形成装置の全体構成>
図1に示す電子写真画像形成装置(画像形成装置)は、電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。
画像形成装置は、装置本体Aを有する。装置本体Aの内部には、カートリッジBの装着を許容するように構成された装着部(カートリッジを収容する空間)Qが形成されている。カートリッジBは、装置本体Aの装着部Qに着脱可能に構成されている。言い換えれば、装着部Qは、カートリッジBを収容するように構成されている。装置本体Aは、露光装置3(レーザスキャナユニット)を備える。カートリッジBは、像担持体(感光体)としての感光ドラム62を備える。露光装置3は、カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの感光ドラム62に静電潜像を形成する。また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(記録材)としてのシート材PAを収納したシートトレイ4が配置されている。
更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
以下の説明において、装着部QにカートリッジBが装着された状態における感光ドラム62の回転軸線の方向を長手方向と呼ぶ。また、長手方向において、装置本体Aから感光ドラム62が駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側と呼ぶ。
<画像形成プロセス>
次に、図1、図2を用いて、画像形成プロセスの概略を説明する。
図1に示すように、プリントスタート信号に基づいて感光ドラム62は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転される。
図1、図2に示すように、カートリッジBは、装置本体Aの電源から電圧が印加される帯電ローラ(帯電部材)66を有する。帯電ローラ66は、感光ドラム62の外周面に接触し、感光ドラム62の外周面を帯電する。
露光装置3は、画像情報に応じたレーザ光Lを出力する。レーザ光LはカートリッジBに設けられたレーザ開口を通り、感光ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、感光ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
一方、図2に示すように、カートリッジBは、現像装置としての現像ユニット20を有する。現像ユニット20は、現像剤としてのトナーTを収納するトナー室29、マグネットローラ34、現像ローラ32、層厚規制部材としての現像ブレード42を備える。トナー室29のトナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32は、感光ドラム62に形成された静電潜像を現像するために、現像剤(トナーT)をその表面に担持する現像剤担持体である。
現像ローラ32が矢印S方向に回転することで、現像ブレード42によってトナーTが摩擦帯電され、さらに現像ローラ32に形成されるトナー層の厚みが規制される。
トナーTは、静電潜像に応じて感光ドラム62へ供給され、静電潜像を現像する。これにより、静電潜像はトナー像として可視像化される。感光ドラム62はその表面に静電潜像や、トナーで形成される像(トナー像、現像剤像)を担持する像担持体(感光体)である。
レーザ光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5bによって、シート材PAがシートトレイ4から送り出される。シート材PAは、転写ガイド6を経由して、感光ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。転写位置において、トナー像は感光ドラム62からシート材PAに転写される。
トナー像が転写されたシート材PAは、感光ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材PAは、定着装置9の加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われ、トナー像はシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
なお、シート材PAが装置本体Aの内部で詰まった場合には、後述する開閉扉13を開き、カートリッジBを装着部Qから取り除く。そして、装着部Qを通じてシート材PAを取り除くことができる。
一方、図2に示すように、カートリッジBは、感光ドラム62と、清掃部材としてのクリーニングブレード77と、帯電ローラ66と、これらを支持するドラム枠体71を有する感光体ユニット60を備える。転写位置を通過した後に感光ドラム62に残留したトナーは、クリーニングブレード77により除去される。感光ドラム62から除去されたトナーは、ドラム枠体71に設けられた除去トナー室71aに貯蔵される。
本実施形態において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニングブレード77が感光ドラム62に作用するプロセス手段である。このうち、帯電ローラ66、現像ローラ32、クリーニングブレード77がカートリッジBに備えられる。
<装置本体の開閉扉と駆動伝達部材>
次に図3、図4、図5を用いて、カートリッジBを着脱する際に操作する開閉扉13の開閉と、駆動伝達部材81の関係について、具体的に説明する。
図3は、開閉扉13の開閉を示す画像形成装置の斜視図である。図3(a)は開閉扉13が開いた状態の装置本体Aの斜視図である。図3(b)は開閉扉13が閉じた状態の装置本体Aの斜視図である。図4は開閉扉13が閉じた状態の駆動伝達部材81の断面図である。図5は開閉扉13が開かれた状態の円筒カム86近傍の斜視図である。なお、図3(a)、図3(b)、図5は、装置本体Aの一部の部品(駆動伝達部材81を含む)を省略して描かれている。
図3(a)、図3(b)に示すように、装置本体Aは開閉扉13、円筒カムリンク85、円筒カム86を備える。開閉扉13は、駆動側と非駆動側にカートリッジ押圧部材1、2を備える。カートリッジ押圧部材1、2は、押圧バネを含む。
さらに、装置本体Aは、駆動側に設けられた第1側板15と、非駆動側に設けられた第2側板16を有する。
図4に示すように、装置本体Aは、円筒カム86に係合する駆動伝達部材81を備える。駆動伝達部材81は、カートリッジBに駆動力を伝達するように構成されている。円筒カム86は、駆動伝達部材81と第1側板15の間に位置するように配置されている。さらに、装置本体Aには駆動伝達部材81を支持する軸受94を有する。装置本体Aの駆動側には支持側板93が設けられており、軸受94が支持側板93に取り付けられている。駆動伝達部材81は、後述するカップリング凹部81bを有し、カップリング凹部81bが、装着部Qに向けて露出されている。
開閉扉13はカートリッジBを装着するための装着部Q(カートリッジを収容する空間)を開閉するための開閉部材である。開閉扉13は第1側板15と第2側板16に回動可能に取り付けられている。より具体的には、装置本体Aは、装着部Q(図1参照)にカートリッジBを装着するための装着開口17を有する。装着開口17は、装着部Q(図1参照)に連通するように構成されている。開閉扉13は、開閉扉13が閉じられた状態で、装着開口17と装着部Qを覆うように構成されている。装置本体AにカートリッジBを装着するときは、開閉扉13が開かれた状態で、カートリッジBを装着開口17から装着部Qに向けて挿入する。
円筒カム86は、回転可能かつ長手方向に移動可能に第1側板15に取り付けられている。円筒カム86は、3つの斜面部86a、86b、86cを有する。第1側板15は、この3つの斜面部86a、86b、86cに対向する3つの斜面部15d、15e、15fを有する。
また、長手方向において、斜面部86aの非駆動側に、斜面部86aに隣接する一端部86dが配置されている。第1側板15は、一端部86dに対向する端面15gを有する。なお、本実施形態においては、円筒カム86は、斜面部86aに隣接する一端部86dと同様に、斜面部86bに隣接する一端部86d、斜面部86cに隣接する一端部86dを有する。第1側板15の端面15gは、それぞれの一端部86dに対向するように、複数の箇所に設けられる。
図5に示すように、円筒カム86と円筒カムリンク85は、円筒カム86に設けられたボス86eと円筒カムリンク85に設けられた取付穴85bが係合することで、回転可能に連結されている。また、図3(a)、図3(b)に示すように、円筒カムリンク85の他端部は、開閉扉13に対して回転可能に連結されている。
開閉扉13を開くと、開閉扉13に連動して円筒カムリンク85が動き、円筒カム86が矢印P方向に回転する(図5参照)。円筒カム86が回転すると、斜面部86a、86b、86cが斜面部15d、15e、15fに沿ってスライドする。これにより、円筒カム86が、長手方向において非駆動側から駆動側に向かう方向(装着部Qから離れる方向)に移動する。言い換えれば、長手方向において円筒カム86がカートリッジBから離れる方向に移動する。円筒カム86は、円筒カム86の一端部86dが第1側板15の端面15gに当接する位置まで移動する。
一方、図4に示すように、駆動伝達部材81は、駆動伝達部材81の軸線方向(回転軸線方向)における駆動側の一端部81cが軸受94に嵌合している。これにより、駆動伝達部材81は、回転可能かつ軸線方向に移動可能に、軸受94によって支持されている。また、駆動伝達部材81は突き当て面81eを有しており、円筒カム86はこの突き当て面81eに対向する突き当て部86fを有している。また、長手方向における駆動伝達部材81の中央部81dと、第1側板15との間には隙間が空いている。この隙間の近傍において、駆動伝達部材81を傾斜させるための傾斜付勢バネ98を備えた傾斜部材97が、第1側板15に設けられている。傾斜部材97の詳細な説明については後述する。
前述のように、長手方向において円筒カム86がカートリッジBから離れる方向へ移動する。これにより、駆動伝達部材81の突き当て面81eは円筒カム86の突き当て部86fに押されて、長手方向において駆動伝達部材81がカートリッジBから離れる方向に移動する。言い換えれば、長手方向において、駆動伝達部材81が装着部Qから離れる方向に移動する。これによって駆動伝達部材81は退避位置をとる。
以上述べたように、開閉扉13が開位置へ移動することに連動して、駆動伝達部材81はカートリッジBに駆動を伝達する位置から、退避位置へと移動する。駆動伝達部材81が退避位置にあるとき、駆動伝達部材81は、カートリッジBの装着時にカートリッジBが通過する経路から退避した状態となる。これにより、カートリッジBを装着するスペースが、装置本体Aの内部に確保される。
言い換えれば、円筒カム86と円筒カムリンク85は、開閉扉13が開位置に移動することに連動して駆動伝達部材81を退避位置に移動させる退避部材(退避機構)である。
なお、開閉扉13を閉じることにより、円筒カムリンク85を介して、円筒カム86は、斜面部86a、86b、86cが第1側板15の斜面部15d、15e、15fに沿うように回転する。そして、円筒カム86は、長手方向において非駆動側(カートリッジBに近づく側)に移動する。これによって、退避位置にあった駆動伝達部材81は、長手方向において非駆動側(カートリッジBに近づく側)に移動可能になる。
<カートリッジの装着>
次に、カートリッジBの装着について図6を用いて説明をする。図6は、カートリッジBが装着されるときの画像形成装置の断面図である。図6(a)は、カートリッジBが装着される時の、駆動側から見た装置本体Aの断面図である。図6(b)は、カートリッジBが装着される時の、非駆動側から見た装置本体Aの断面図である。
図6(a)に示すように、第1側板15はガイドレール上15hとガイドレール下15iを有している。また、カートリッジBの駆動側には、後述するカップリング凸部63bを支持するドラム軸受73が備えられる。ドラム軸受73は、感光体ユニット60のドラム枠体71に固定されている。ドラム軸受73は、被ガイド部73gと被回転止め部73cを有している。カートリッジBの装着方向(矢印C)において、被ガイド部73gと被回転止め部73cは、カップリング凸部63bの軸線よりも上流側に配置されている。
図6(b)に示すように、第2側板16はガイドレール上16hとガイドレール下16iを有している。また、長手方向における非駆動側において、カートリッジBは、ドラム枠体71に設けられた被位置決め部71dと被回転止め部71gを有している。
カートリッジBの装着方向Cは、感光ドラム62の回転軸線の方向と交差する方向(本実施形態においては直交する方向)である。なお、装着方向Cの上流もしくは下流とは、装置本体Aへの装着が完了する直前のカートリッジBの移動方向における上流と下流と一致する。
カートリッジBを装置本体Aの装着開口17から装着すると、駆動側において、カートリッジBの被ガイド部73gと被回転止め部73cとが、装置本体Aのガイドレール上15hとガイドレール下15iにガイドされる。非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71gとが、装置本体Aのガイドレール上16hとガイドレール16iにガイドされる。これによって、カートリッジBは装置本体Aに装着される。
<カートリッジの駆動入力部>
図4、図7を用いて、カートリッジの駆動入力部について説明する。
図7はカートリッジの駆動側の斜視図である。図7に示すように、現像ローラ32の端部には現像ローラギア(現像ギア)30が設けられている。具体的には、現像ローラ32の軸部(シャフト)に現像ローラギア30が連結されている。
現像ローラ32と現像ローラギア30は同軸であり、図7に示した軸線(回転軸線)Ax2の周りに回転する。本実施形態においては、現像ローラ32の軸線Ax2は、感光ドラム62の軸線(回転軸線)Ax1と平行になるように配置されている。そのため、現像ローラギア30の軸線方向は、感光ドラム62の軸線方向と平行である。また、感光ドラム63の軸線Ax1に直交する方向について、現像ローラ32の軸線Ax2は感光ドラム63の軸線Ax1から離れている。
現像ローラギア30は、カートリッジBの外部(すなわち装置本体A)から駆動力(回転力)が入力される駆動入力ギア(入力ギア、カートリッジ側ギア、駆動入力部材)である。現像ローラギア30が受けた駆動力によって、現像ローラ32が回転するように構成されている。
感光ドラム62の端部には、駆動側ドラムフランジ(ドラム側カップリング、カートリッジ側カップリング、感光体側カップリング、入力カップリング)63が備えられる。駆動側ドラムフランジ63には、カップリング凸部63bが形成されている。カップリング凸部63bはカートリッジBの外部(すなわち装置本体A)から駆動力(回転力)が入力されるカップリング部(ドラム側カップリング部、カートリッジ側カップリング部、感光体側カップリング部、入力カップリング部、駆動入力部)である。カップリング凸部63bは、感光ドラム62と同軸上に配置される。つまりカップリング凸部63bは軸線Ax1を中心に回転する。
図7に示すように、カートリッジBの駆動側の側面には、現像ローラギア30やカップリング凸部63bを、カートリッジBの外部に露出させるスペース87を設けてある。軸線Ax2に直交する方向について、スペース87は、現像ローラギア30に対して感光ドラム62の側に配置されている。
なお、カートリッジBの長手方向(軸線Ax1の方向、および軸線Ax2の方向と同じ)において、カップリング凸部63bが設けられた側が駆動側であり、その反対側が非駆動側に相当する。
また、図7に示すように、現像ローラギア30は、入力ギア部(入力ギア部、カートリッジ側ギア部、現像側ギア部)30aとギア部の駆動側に設けられた端面30a1とを有する。入力ギア部30aの外周に形成された歯(ギア歯)は、現像ローラギア30の軸線に対して傾いたハス歯である。つまり現像ローラギア30はハス歯ギアである。
ここで、「ハス歯」とは、ギアの軸線に対して傾いた線に沿って、複数の突起が配置されて、実質的にハス歯部を形成する形状も含む。
図4に示すように、駆動伝達部材(駆動出力部材、本体側駆動部材)81は、現像ローラギア30を駆動するための出力ギア部(本体側ギア部、出力ギア部、出力ギア)81aを有する。出力ギア部81aは、非駆動側の端部に端面81a1を有する。出力ギア部81aに形成される歯(ギア歯)も、駆動伝達部材81の軸線に対して傾いたハス歯である。つまり駆動伝達部材81にもハス歯ギアとなる部分が設けられている。出力ギア部81aは、現像ローラギア30とかみ合うように構成されている。
また、駆動伝達部材81は、カップリング凸部63bと係合するカップリング凹部81bを有する。カップリング凹部81bは、装置本体側に設けられたカップリング部(本体側カップリング部、出力カップリング部)である。カップリング凹部81bは、駆動伝達部材81の先端に設けられたカップリング円筒部81iに、感光ドラム62側に設けられたカップリング凸部63bと係合する凹部を形成したものである。出力ギア部81aとカップリング凹部81bは、同軸に配置されている。すなわち、出力ギア部81aとカップリング凹部81bは一つの回転軸線(第1の軸線)の周りに回転可能に構成されている。なお、出力ギア部81aが現像ローラギア30とかみ合い、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bと係合した状態では、これらの部品は感光ドラム62の軸線Ax1の周りに回転する。なお、本実施形態において、出力ギア部81aとカップリング凹部81bは一体的に形成されている。
入力ギア部30aやカップリング凸部63bが露出するように構成されたスペース(空間)87には、カートリッジBが装置本体Aに装着された際に、駆動伝達部材81の出力ギア部81aが配置される。したがって、スペース87は、駆動伝達部材81の出力ギア部81aより大きい。スペース87が存在することより、カートリッジBを装置本体Aに装着した際に駆動伝達部材81がカートリッジBに干渉することがない。スペース87は、その内部に駆動伝達部材81を配置させることで、装置本体Aに対するカートリッジBの装着を許容する。
また、感光ドラム62の軸線Ax1(カップリング凸部63bの軸線)に沿ってカートリッジBをみた際、入力ギア部30aに形成されたギア歯は、感光ドラム62の周面に近接した位置に配置されている。また、入力ギア部30aのギア歯はカートリッジBから露出した露出部30a3を有する。より具体的には、現像ユニット20は、駆動側カバー26を備え、駆動側カバー26から入力ギア部30aの一部が露出している。現像ローラギア30の入力ギア部30aが駆動側カバー26から露出しているため、出力ギア部81aは駆動側カバー26に干渉することなく入力ギア部30aにかみ合い、駆動伝達可能となる。
図7に示すように、入力ギア部30aの露出部30a3の少なくとも一部は、カートリッジBの長手方向について、カップリング凸部63bの先端63b1の外側に配置されている。露出部30a3は、感光ドラム62の軸線Ax1(もしくは軸線Ax1の延長線)に面している。言い換えれば、露出部30a3は、カップリング凸部63bの軸線(もしくはカップリング凸部63bの軸線の延長線)に面している。本実施形態においては、カートリッジBが装着部Qに装着された状態において、入力ギア部30aの露出部30a3の上方に感光ドラム62の軸線Ax1が位置する。
図7に示すように、入力ギア部30aの少なくとも一部が軸線Ax1の方向においてカップリング凸部63bよりも駆動側(外側)にせり出している。軸線Ax1の方向において、入力ギア部30aは駆動伝達部材81の出力ギア部81aと重なるように配置される。そして、入力ギア部30aの一部が感光ドラム62の軸線Ax1に面するように露出しているので、カートリッジBを装置本体Aに挿入する過程で、入力ギア部30aと、駆動伝達部材81の出力ギア部81aが接触できる。
上記の配置関係により、現像ローラギア30の入力ギア部30aと駆動伝達部材81の出力ギア部81aとは、カートリッジBを装置本体Aに装着する過程で噛み合うことが可能となる。
なお、カートリッジBの装着方向Cにおいて、入力ギア部30aの中心(軸線Ax2)は、感光ドラム62の中心(軸線Ax1)の上流側に配置するようにしている。
一方、ドラム軸受73はカートリッジBの長手方向における被位置決め部(軸線方向被位置決め部)としての被嵌合部73hを有する。装置本体Aの第1側板15は、被嵌合部73hと嵌合可能な嵌合部15j(図17参照)を有する。カートリッジBの被嵌合部73hが、カートリッジBを装着部Qに装着する過程で、装置本体Aの嵌合部15jと嵌合する。これにより、カートリッジBの長手方向の位置が決まる。なお、本実施例において被嵌合部73hはスリット(溝)である。
<開閉扉を閉める動作>
次に、図8を用いて、開閉扉13を閉じる状態を説明する。
図8は、カートリッジ押圧部と位置決め部を示す画像形成装置の断面図である。図8(a)は駆動側のカートリッジ押圧部と位置決め部を示す断面図であり、図8(b)は非駆動側のカートリッジ押圧部と位置決め部を示す断面図である。
図8(a)に示すように、駆動側において、第1側板15は、位置決めとしての位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとを有している。ドラム軸受73は、被位置決め部上(第1の被位置決め部、第1の突起、第1の張出部)73dと被位置決め部下(第2の被位置決め部、第2の突起、第2の張出部)73fとを有している。さらに、ドラム軸受73は、カートリッジ側の付勢力受け部としての被押圧部73eを有する。装置本体側の付勢力受け部として、第1側板15は被押圧部15kを有する。
図8(b)に示すように、非駆動側において、第2側板16は、位置決め部16aと回転止め部16cを有している。被位置決め部71dと被回転止め部71gを有している。また、カートリッジBは、被位置決め部71dと被回転止め部71gを有している。また、カートリッジBは、カートリッジ側の付勢力受け部としての被押圧部71oを有する。装置本体側の付勢力受け部として、第2側板16は被押圧部16kを有する。
図8(a)、図8(b)に示すように、装置本体Aは、カートリッジ押圧部材1、2を備える。カートリッジ押圧部材1、2は、開閉扉13の軸線方向両端にスライド可能に取り付けられている。カートリッジ押圧バネ1a、2aは、カートリッジ押圧部材1、2に取り付けられている。
開閉扉13を閉じることにより、駆動側では、カートリッジBの被押圧部73eと装置本体Aの被押圧部15kが、カートリッジ押圧バネ1aによって付勢されたカートリッジ押圧部材1によって押圧される。非駆動側では、カートリッジBの被押圧部71oと装置本体Aの被押圧部16kが、カートリッジ押圧バネ2aによって付勢されたカートリッジ押圧部材2によって押圧される。
これによって、駆動側においては、被位置決め部上73dと被位置決め部下73fと回転止め部73cとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとに当接する。この結果、カートリッジBや感光ドラム62が駆動側で位置決めされる。また、非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71gとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部16aと回転止め部16cとに当接する。これによって非駆動側にてカートリッジBや感光ドラム62が位置決めされる。
上述のように、被押圧部73e、71oは、カートリッジBの長手方向において、それぞれカートリッジBの一端側(駆動側)と他端側(非駆動側)に配置されている。特に被押圧部73eはドラム軸受73に設けられている。被押圧部73e、71oは、カートリッジ押圧部材1、2の位置が決まるように凹形状(V字形状)となっており、被押圧部73e、71oによってカートリッジ押圧部材1、2が位置決めされる。
<現像ローラギアとカップリング凸部を露出するスペース>
次に、図7を用いて、駆動伝達部材81が配置され、現像ローラギア30やカップリング凸部63bをカートリッジBの外部に露出させるスペース87について説明する。
図7に示すように、被位置決め部上73dと、被位置決め部下73fは、感光ドラム62の近傍に配置されている。また、被位置決め部上73dと、被位置決め部下73fは、感光ドラム62の回転方向に沿って並べられている。また、ドラム軸受73において、被位置決め部上73dと被位置決め部下73fの間には、転写ローラ7が感光ドラム62に当接するための転写スペース(円弧状のくぼみ)73lを確保する必要がある。そのため、被位置決め部上73dと被位置決め部下73fは互いに離れて配置されている。また被位置決め部上73dと、被位置決め部下73fは、ドラム軸受73から軸線Ax1の方向で、カートリッジBの内側に向けて突出している突起である。上述したように、カップリング凸部63bの周囲にはスペース87を確保する必要がある。そのため被位置決め部上73dと、被位置決め部下73fは、軸線Ax1の方向において、カートリッジBの外側に突出させず、カートリッジBの内側に突出させることでスペース87を確保している。
また、被位置決め部上73dと被位置決め部下73fが、感光ドラム62の端部に設けられた駆動側ドラムフランジ63を一部覆うように配置されている。つまり、感光ドラム62の軸線Ax1に直交する方向に、被位置決め部上73dと、駆動側ドラムフランジ63とを投影すると、被位置決め部上73dと駆動側ドラムフランジ63の互いの投影領域が少なくとも一部重なる。これに関しては、被位置決め部下73fも被位置決め部上73dと同様である。
なお、上述のように、開閉扉13を閉じることにより、円筒カム81が回転し、長手方向において非駆動側(カートリッジBに近づく側)に移動可能になる。また、退避位置にあった駆動伝達部材81は、長手方向において非駆動側(カートリッジBに近づく側)に移動可能になる。
<駆動伝達部材の駆動開始動作>
次に、開閉扉を閉めた後の駆動伝達部材の駆動開始動作について、図7、図9、図10を用いて説明する。
図9は駆動伝達部材81の斜視図である。図10はカップリング凸部63bとカップリング凹部が係合する時の駆動伝達部材81のスラスト方向の動作を示す断面図である。
図9に示すように、駆動伝達部材81は、カップリング凹部81bとカップリング凹部81bの先端部81b1を有し、カップリング凹部81bは、軸線方向の位置決め部としての底部81b2を備える。本実施形態においては、駆動伝達部材81のカップリング凹部81bは、断面が実質的に三角形状の穴である。カップリング凹部81bは、非駆動側(カートリッジ側、凹部81bの開口側)から駆動側(凹部81bの奥側)に向かうにつれて、反時計方向Nにねじれた形状である。駆動伝達部材81の出力ギア部81aはハス歯ギアであり、非駆動側(カートリッジ側)から駆動側に向かうにつれて、反時計方向Nにねじれたギア歯を有する。
駆動伝達部材81の軸線に、出力ギア部81aの軸線とカップリング凹部81bの軸線が重なるように、出力ギア部81aとカップリング凹部81bとが配置されている。つまり出力ギア部81aとカップリング凹部81bは同軸状(同心状)に配置されている。すなわち、上述のように、出力ギア部81aとカップリング凹部81bは一つの回転軸線(第1の軸線)の周りに回転可能に構成されている。なお、出力ギア部81aが現像ローラギア30とかみ合い、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bと係合した状態では、これらの部品は感光ドラム62の軸線Ax1の周りに回転する。
図7に示すように、ドラム軸受73はカップリング凸部63bの周りに、凹底面73iを有する。また、駆動側ドラムフランジ63はカップリング凸部63bと、カップリング凸部63bの先端に先端部63b1とを有す。駆動側ドラムフランジ63のカップリング凸部63bは断面が実質的に三角形状で凸形状(凸部、突起)である。カップリング凸部63bは、駆動側(カップリング凸部63bの先端側)から非駆動側(カップリング凸部63bの底側)に向かうにつれて、反時計方向にねじれた形状である。つまり、軸線Ax1の方向において、カートリッジBの外側から内側に向かうにつれて、カップリング凸部63bはドラムの回転方向Rに捻じれている。
カップリング凸部63bは、カップリング凹部81bから駆動力を受ける駆動力受け部である。また、カップリング凹部81bは、カップリング凸部63bに駆動力を与えるための駆動力付与部である。より具体的には、カップリング凸部63bの三角柱の角(三角形の頂点)を形成する部分(稜線)が、カップリング凹部81bから駆動力(回転力)を受ける部分である。
なお、カップリング凸部63bや、カップリング凹部81bの断面の形状は、角が曲線状であり、厳密な三角形(多角形)ではないが、実質的な三角形(多角形)と呼ぶこととする。つまり、カップリング凸部63bは実質的に三角柱(角柱)である突起を捻じった形状である。ただし、カップリング凸部63bの形状はこのようなものに限られるわけではない。カップリング凹部81bと係合して駆動を受けることができれば、カップリング凸部63bの形状を変えてもよい。例えば、カップリング凸部63bが、非円形の突起がねじれた形状を有していてもよい。また、カップリング凸部63bが、3つの突起が三角形の頂点にそれぞれ配置され、それぞれの突起が感光ドラム62の軸線を中心として捻じれた形状を有していてもよい。
図7に示すように、現像ローラギア30の入力ギア部30aはハス歯ギアであり、駆動側から非駆動側に向かうにしたがって時計方向にねじれた(傾いた)形状である。つまり、入力ギア部30aの軸線方向において、カートリッジBの外側から内側に向かうにしたがって、入力ギア部30aのギア歯は、時計方向(現像ローラや現像ローラギアの回転方向)に傾いて(捻じれて)いる。つまり入力ギア部30aは、軸線方向における外側から内側に向かうにしたがって、感光ドラム62の回転方向Rと反対向きに傾いて(捻じれて)いる。
駆動伝達部材81は、装置本体Aのモータ(不図示)によって回転される。駆動伝達部材81は、非駆動側(カートリッジ側)から見て時計方向(感光ドラム62の回転方向)に回転する。
図10に示すように、駆動伝達部材81の出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aとのハス歯の噛み合いによってスラスト力(ギアの軸線方向に向かう力)が生じる。駆動伝達部材81には軸線方向(長手方向)の力FAが加わり、駆動伝達部材81は長手方向において非駆動側(カートリッジBに近づく側)に移動する。つまり駆動伝達部材81は、カップリング凸部63bに近づき接触する。
そして、駆動伝達部材81が回転することによってカップリング凹部81bの三角形の位相とカップリング凸部63bの三角形の位相が合った時、カップリング凸部63bとカップリング凹部81bが係合する。
カップリング凸部63bとカップリング凹部81bが係合すると、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bが共に軸線に対してねじれて(傾いて)いるため、新たにスラスト力FCが生じる。
つまり、駆動伝達部材81には長手方向の非駆動側(カートリッジBに近づく側)に向かう力FCが働く。この力FCと、前述した力FAが合わさって駆動伝達部材81は長手方向において非駆動側(カートリッジに近づく側)にさらに移動する。つまり、カップリング凸部63bは、駆動伝達部材81をカップリング凸部63bに近づける機能を有する。
カップリング凸部63bによって引き寄せられた駆動伝達部材81は、駆動伝達部材81の先端部81b1がドラム軸受73の凹底面73iに当接して長手方向(軸線方向)において位置決めされる。
また、感光ドラム62には力FCの反作用力FBが働き、この反作用力FBによって、感光ドラム62は長手方向において駆動側(駆動伝達部材81に近づく側、カートリッジBの外側)に移動する。つまり感光ドラム62やカップリング凸部63bは駆動伝達部材81に引き寄せられる。これによって、カップリング凸部63bの先端部63b1がカップリング凹部81bの底部81b2に当接する。これによって感光ドラム62も軸線方向(長手方向)において位置決めされる。
つまりカップリング凸部63bとカップリング凹部81bが互いに引き寄せあうことで、長手方向(軸線Ax1の方向)において、感光ドラム62と駆動伝達部材81の位置が定まる。
この状態では、駆動伝達部材81は駆動位置(進出位置)を取っている。言い換えると駆動伝達部材81は、カップリング凸部63bおよび、入力ギア部30aに対してそれぞれ駆動力を伝達するための位置であって、カートリッジBに向かって進出した位置にある。
この進出位置は、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bに係合する係合位置と呼ぶこともできる。つまり、駆動伝達部材81は、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bから離れた位置(退避位置)と係合位置の間を移動可能に構成される。
本実施形態においては、カートリッジBを装着部Qに装着するときには、開閉扉13が一旦開かれるため、駆動伝達部材81は退避位置に位置される。そして、カートリッジBが装着され、開閉扉13が閉じられたとき、駆動伝達部材81は退避位置に位置しつつ、カートリッジBに近づく方向に移動可能な状態である。このとき、駆動伝達部材81が退避位置にある状態で、出力ギア部81aは入力ギア部30aとかみ合っている。出力ギア部81aが入力ギア部30aを駆動するときに生じる力(スラスト力)により、駆動伝達部材81は退避位置からカップリング凹部81bがカップリング凸部63bに係合する係合位置に移動する。
また、カップリング凹部81bの三角形の調芯作用により、駆動伝達部材81の回転軸線が、駆動側ドラムフランジ63の回転軸線に一致する。つまり駆動伝達部材81がドラムフランジ63に対して調芯され、駆動伝達部材81と感光ドラム62が同軸になる。これにより駆動伝達部材81から、精度良く現像ローラギア30および駆動側ドラムフランジ63に駆動力が伝達される。
言い換えれば、カップリング凹部81bと、カップリング凸部63bとは、調芯部としての機能を有する。すなわち、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bとが係合することで、駆動伝達部材81と感光ドラム62とが互いに同軸になる。なお、カップリング凹部81bは本体側調芯部、カップリング凸部63bをカートリッジ側調芯部と呼ぶことができる。
以上説明したように、駆動伝達部材81に働く非駆動側に向かう力FAおよび力FCによって、カップリングの係合がアシストされる。
また、長手方向において、駆動伝達部材81をカートリッジBに設けられたドラム軸受(軸受部材)73によって位置決めすることにより、カートリッジBに対する駆動伝達部材81の位置精度を高めることができる。これにより、現像ローラギア30の入力ギア部30aに対する、出力ギア部81aの位置精度が高まる。したがって、カートリッジBの長手方向において、現像ローラギア30の入力ギア部30aの幅を小さくすることができる。その結果、カートリッジBや、カートリッジBを装着するための装置本体Aを小型化できる。
また、駆動伝達部材81の出力ギア部81aおよび現像ローラギア30の入力ギア部30aがハス歯ギアである。ハス歯の方が、平歯よりもギア同士の噛み合い率が高くなる。その結果、現像ローラ32の回転精度が向上し、現像ローラ32はなめらかに回転する。
また、入力ギア部30aと出力ギア部81aとが互いに引き会う力(力FAと力FB)が生じるように、入力ギア部30aと出力ギア部81aのハス歯が傾く方向が設定されている。つまり、入力ギア部30aと出力ギア部81aとがかみ合った状態で回転することで、駆動伝達部材81に設けられたカップリング凹部81bと、感光ドラム62の端部に設けられたカップリング凸部63bとを近づけるような力が生じる。その結果、駆動伝達部材81がカートリッジBに向けて移動し、カップリング凹部81bもカップリング凸部63bに近づく。これにより、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bの係合がアシストされる。
<カップリング係合条件>
次にカップリングが係合する条件について、図7、図11を用いて説明する。図11は駆動側から見た画像形成装置の断面図である。
図7と図11に示すように、ドラム軸受73は、駆動伝達部材81の移動を規制して、駆動伝達部材81が傾くのを規制する(抑える)ための傾き規制部(移動規制部、位置規制部、ストッパ)としての規制部(第1の規制部)73jを有する。
前述したように、駆動伝達部材81が感光ドラム62の回転方向Rに回転を始めた段階では、駆動伝達部材81の出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aがかみ合う。つまり、駆動伝達部材81が退避位置にある状態で、出力ギア部81aが入力ギア部30aを駆動する。その一方で、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bは係合していないか、あるいは係合が不十分である。この状態で、出力ギア部81aが入力ギア部30aに駆動力を伝達すると、ギア同士の噛み合いにより出力ギア部81aに噛み合い力FDが生じる。
この噛み合い力FDが駆動伝達部材81に加わることで、駆動伝達部材81は駆動伝達部材81の回転軸線に直交する方向に移動しようとする。上述したように、駆動伝達部材81は一端部81c(カートリッジBから遠い側の端部)のみが軸受94によって支持されている。したがって、駆動側の一端部81cを支点として、駆動伝達部材81が傾く。すると駆動伝達部材81のカップリング凹部81bが設けられた側の端部(自由端、先端)が移動してしまう。つまり、駆動伝達部材81のカップリング凹部81bは、感光ドラム62の軸線Ax1に直交する方向において、軸線Ax1から離れる方向に移動しようとする。
駆動伝達部材81が大きく傾いてしまうと、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bと係合できなくなる。これを避けるため、カートリッジBに規制部73jを設けることで駆動伝達部材81の傾きを一定の範囲内に抑えて(規制して)いる。つまり駆動伝達部材81が傾いたときに、規制部73jが駆動伝達部材81を支えることで、その傾きが大きくなることを抑える。言い換えれば、規制部73jは、駆動伝達部材81の回転軸線に直交する方向に向けた、駆動伝達部材81の移動を規制するように構成されている。つまり、規制部73jは、駆動伝達部材81が噛み合い力FDによって移動(傾斜)するのを抑えることができる位置に配置されている。
本実施形態において、ドラム軸受73の規制部73jは、感光ドラム62の軸線(カップリング凸部63bの軸線、もしくはこれら軸線の延長線)に面するように配置されている円弧状の曲面部である。規制部73jは感光ドラム62の軸線Ax1を覆うようにせり出しているせり出し部と呼ぶこともできる。規制部73jと感光ドラム62の軸線Ax1の間は、プロセスカートリッジBの構成要素が配置されないスペース87となっている。つまり、規制部73jは、スペース87に面しており、規制部73jはスペース87の縁(外縁)を形成している。
図11に示すように、噛み合い力FDが生じる方向は、出力ギア部81aの正面圧力角α(すなわち現像ローラギア30の正面圧力角α)で定まる。噛み合い力FDの方向は、感光ドラム62の中心62a(駆動伝達部材81の中心)から現像ローラギア30の中心30bに向かって延びる直線LNに対して、感光ドラム62の回転方向Rの上流に向けて(90+α)度の方向(矢印FDa)である。なお、必ずしも、矢印FDaに重なるように規制部73jが配置されている必要はなく、矢印FDaの近くに規制部73jが配置されているとよい。
また規制部73jは、カップリング凸部63bの中心(軸線)に対して、カートリッジ装着方向Cの上流側に配置されることが望ましい。カートリッジBの装着を規制部73jによって妨げないためである。
<駆動伝達部材の傾斜構成>
次に、駆動伝達部材の傾斜構成について、図10、図12、図13、図14を用いて説明する。
図12は駆動側の駆動伝達部材81を支持する軸受94の構成を示す斜視図である。図13は、駆動伝達部材81の姿勢を示す断面図である。図13(a)はカップリング係合時の駆動伝達部材81の姿勢を示す断面図であり、図13(b)は開閉扉を開いた時の駆動伝達部材81の姿勢を示す断面図である。図14は開閉扉を開いた時の駆動伝達部材81の姿勢を示す断面図である。
前述したように、駆動伝達部材81はその先端側に出力ギア部81aとカップリング凹部81bを有している。そして、駆動伝達部材81は長手方向に移動可能である。また、駆動伝達部材81は、軸線に対して傾斜可能である。
上述のように、出力ギア部81aが入力ギア部30aを駆動して、カップリング凹部81bをカップリング凸部63bに係合させる際は、感光ドラム62に対する駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることが望ましい。そのため上記したように、カートリッジBに規制部73jを設け、駆動伝達部材81の駆動時に、駆動伝達部材81の傾斜角度を抑えていた。
その一方でカートリッジBを装置本体Aから取り外すためには、駆動伝達部材81の出力ギア部81aは現像ローラギア30の入力ギア部30aとのかみ合いを解消する必要がある。このかみ合いの解消を円滑に行うため、駆動伝達部材81は、出力ギア部81aが入力ギア部30aから離れるように、傾斜することが望ましい。駆動伝達部材81が傾斜することにより、カートリッジBの装置本体A(装着部Q)からの取り外しが円滑になる。
駆動伝達部材81を傾斜させて出力ギア部81aを入力ギア部30aから離すためには、カートリッジBが取り外されるときに、駆動伝達部材81を規制部73jと接触させないように傾斜させることが望ましい。
またギア同士の噛み合いを解消させるために駆動伝達部材81を傾斜しやすくさせる一方で、カートリッジBを装着する時には、出力ギア部81aが現像ローラギア30の入力ギア部30aと確実に噛み合う必要がある。すなわちカートリッジBを装着する時には、ギア同士の噛み合いが確実に行われるように駆動伝達部材81を所定の傾斜角度に保持することが求められる。したがって、装置本体Aは、駆動伝達部材81が傾斜しやすいように駆動伝達部材81を支持しつつ、カートリッジBの着脱時には、それぞれ好適な姿勢、角度を取るように、駆動伝達部材81を傾斜させている。
図12を用いて駆動伝達部材81の一端部81cの支持構成ついて説明する。
装置本体Aは支持板金(第2駆動側側板)93を有する。長手方向において、支持側板93は、第1側板15の外側に設けられている。図12に示すように、支持側板93は板金(板状の金属)であり、この板金を絞り加工することにより穴部93aが設けられている。支持側板93の穴部93aには軸受94が嵌っている。そして、駆動伝達部材81は軸受94により回転可能に支持されている。つまり、駆動伝達部材81の一端部81cは軸受94によって支持されている。
軸受94と駆動伝達部材81の一端部81cとの間には隙間がある。本実施例では隙間の大きさは0.9mm程度である。この隙間により駆動伝達部材81は傾くことができる。
図12に示すように、軸受94の内周にはV字形状部94aが設けられている。V字形状部94aは、軸受94の内周部からせり出している2つのせり出し部(突起部)によって構成されている。
前述したように、軸受94と駆動伝達部材81の一端部81cとの間には隙間があって、駆動伝達部材81は傾斜可能になっている。しかしながら、駆動伝達部材81がカートリッジBに駆動力を伝達する際には、駆動伝達部材81の軸線と感光ドラム62の軸線Ax1を揃える必要がある。すなわち駆動伝達部材81が駆動する際には、駆動伝達部材81は、軸受94に対して傾斜することなく、軸受94によって精度よく支持される必要がある。駆動伝達部材81が駆動する際には、駆動伝達部材81の後端側をV字形状部94aに接触させることで駆動伝達部材81を略水平な状態で精度よく支持する。V字形状部94aは駆動伝達部材81の姿勢を保つ姿勢決め部(姿勢保持部)である。
軸受94が支持側板93に対して回転しないようにするために、軸受94には回転止めとしての凸部94bが設けられている。一方、支持側板93には穴部93bが設けられている。この凸部94bと穴部93bとが嵌ることにより、軸受94の位相が固定される。すなわち軸受94は、支持側板93に対して回転しないように固定されている。これにより、軸受94に設けられたV字形状部94aの位相も固定される。
支持側板93には、駆動アイドラギア(不図示)が設けられており、駆動アイドラギアから駆動伝達部材81の第2ギア部81j(図10参照)にモータからの駆動が伝達される。また、図10に示すように、軸線方向においてV字形状部94aは駆動伝達部材81の第2ギア部81j付近に設けられている。駆動伝達部材81は、駆動伝達部材81の一端部81cを支点に傾く。
駆動伝達部材81の軸線方向について、駆動伝達部材81の傾き支点と駆動伝達部材81の第2ギア部81jの位置が近い。したがって、駆動伝達部材81が傾いた場合であっても、第2ギア部81jと駆動アイドラギアのかみ合いを安定させることができる。より具体的には、駆動アイドラギアと第2ギア部81jとの軸間距離の変化や、歯すじのアライメントずれを小さくすることができる。
V字形状部94aは、駆動アイドラギアと第2ギア部81jがかみ合った場合に、駆動伝達部材81を安定して保持し得る位置に配置されている。つまり、駆動アイドラギアと第2ギア部81jがかみ合った場合の噛合い力の方向について、一端部81cの下流側にV字形状部94aを配置し、駆一端部81cを軸受94のV字形状部94aに突き当てる。これにより駆動伝達部材81が安定して保持される。また、V字形状部94aは、駆動伝達部材81の後端側がV字形状部94aに当接した時に駆動アイドラギアと駆動伝達部材81の第2ギア部81jとの軸間距離が適切な距離となるように配置されている。つまりアイドラギア96と駆動伝達部材81がかみ合い可能な位置に駆動伝達部材81は保持される。
これにより、駆動伝達部材81に駆動がかかっていない時には、駆動伝達部材81は駆動伝達部材81の後端側を支点として傾き可能である。また、駆動伝達部材81に駆動がかかっている時には、駆動伝達部材81がV字形状部94aに付勢されて、駆動伝達部材81の第2ギア部81jと駆動アイドラギア96との軸間距離が精度よく決まる第1姿勢をとる。その結果、駆動伝達部材81に、精度よく駆動力を伝えることができる。
次に、図13、図14を用いて、駆動伝達部材81のカップリング凹部81b側(先端側、自由端側、非駆動側)の支持構成について説明する。
図13(a)に示すように、第1側板15には、スペース15が備えられている。図13(a)に示すように、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bに係合しているときは、スペース15nによって、駆動伝達部材81と第1側板15との間に隙間が形成されている。第1側板15のスペース15nは、現像ローラギア30の入力ギア部30aと対向する位置に配置されている。
一方、第1側板15には、駆動伝達部材81を傾斜させるために、傾斜付勢バネ98によって付勢される傾斜部材97が設けられている。傾斜部材97の付勢方向は、駆動伝達部材81の出力ギア部81aが現像ローラギア30から離れるように設定されている。傾斜部材97により、駆動伝達部材81は、出力ギア部81aが現像ローラギア30から離れるように傾斜する。
図13(b)に示すように、開閉扉13を開いた時には、駆動伝達部材81は、傾斜部材97によって駆動伝達部材81の軸線を傾けた第2姿勢をとることができる。第2姿勢の駆動伝達部材81は、傾斜部材97によって、第1側板15のスペース15nに入り込むように傾いている。つまり、駆動伝達部材81は、駆動伝達部材81の出力ギア部81aが現像ローラギア30の入力ギア部30aから離れるように傾いている。そのため、駆動伝達部材81の出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aの回転半径方向において、出力ギア部81aと入力ギア部30aの間に隙間が生じる。
傾斜部材97は、駆動伝達部材81を常時付勢するように構成されている。なお、上述のように、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bに係合しているときは、カップリング凹部81bの軸線とカップリング凸部63bの軸線が一致する。したがって、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bに係合しているときは、駆動伝達部材81が傾斜部材97によって付勢されていても、カップリング凹部81bの位置は、カップリング凸部63bによって定められる。
図14に示すように、第1側板15のスペース15nには、駆動伝達部材81の軸受(保持部)としてのV字形状部15mが設けられている。V字形状部15mは、カートリッジBが装着されていない時に、傾斜部材97によって傾斜する駆動伝達部材81を支える。駆動伝達部材81がV字形状部15mに保持された状態では、出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aの間に隙間が生じる。これにより、カートリッジBの取り外しの際にギア同士の噛合いを解除可能となる。
<カートリッジの可動規制部材の構成>
次に、図15、図16を用いて、カートリッジBの可動規制部材101について説明する。
図15はカートリッジBの可動規制部材101を示した斜視図である。図15(a)は、稼働規制部材101の近傍を、カートリッジBの駆動側から見た斜視図である。図15(b)は、稼働規制部材101の近傍を、感光ドラム62の軸線に交差する方向に沿って見た斜視図である。図16はカートリッジBが装着される時の駆動伝達部材81の傾斜動作を示す断面図である。
図15(a)に示すように、カートリッジBの駆動側には、駆動伝達部材81の姿勢を規制する部材である可動規制部材(第2の規制部、調芯補助部材、可動部材、付勢部材、調芯部材)101が配置されている。可動規制部材101は感光ドラム62に対して移動可能である。また、可動規制部材101は、カップリング凸部63b、および現像ローラギア30に対して移動可能である。可動規制部材101は支持突起101aを介してドラム軸受73に取り付けられる。可動規制部材101は、支持突起101aの軸線AAを中心に回転可能に取り付けられている。
また、図15(a)、図15(b)に示すように、支持突起101aには付勢バネによって矢印BB方向に付勢されている。本実施例においては、付勢バネはねじりコイルバネである。一方、ドラム軸受73には可動規制部材101と当接して、可動規制部材101の回転範囲を規定する当接部(停止部)73aが設けられている。可動規制部材101は付勢バネにより矢印BB方向に付勢されているため、可動規制部材101の被当接部101bは、当接部73aに当接した姿勢となる。つまり、当接部73aが可動規制部材101に当接することによって、可動規制部材101の移動が止められる。
また、感光ドラム62の軸線Ax1の方向に見たとき、可動規制部材101の作用部101cは感光ドラム62の表面62bの近傍に配置されている。可動規制部材101が当接部73aに当接した状態の可動規制部材101の位置を、可動規制部材101の作用位置とよぶ。可動規制部材101の作用部101cは、長手方向について、カップリング凸部63bの外側に配置されている。
次に、図16を用いて、カートリッジBの装着時の可動規制部材101の動作について、説明する。
前述した通り、カートリッジBが装置本体Aに装着されていない時には、駆動伝達部材81は傾斜部材97によって傾斜されている。駆動伝達部材81は傾斜部材97により付勢力FF2を受ける。
ここからカートリッジBを挿入して、開閉扉13を閉じると、カートリッジ押圧部材1、2によってカートリッジBが押され、カートリッジBは装着部Qに装着される。このとき、可動規制部材101は、後述するカバー部105に当接したのち、図16に示すように、可動規制部材101が矢印BB方向に回転する。そして、可動規制部材101の作用部101cが駆動伝達部材81の出力ギア部81aに当接する。そのため、駆動伝達部材81は作用部101cより付勢力FF1を受ける。
したがって、駆動伝達部材81には、作用部101cによる付勢力FF1と傾斜部材97による付勢力FF2が作用する。ここで、付勢力FF1は付勢力FF2よりも大きい。この結果、駆動伝達部材81の傾斜が小さくなる。したがって、駆動伝達部材81が移動して、駆動伝達部材81の出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aが噛み合うようになる。つまり、可動規制部材101は、出力ギア部81aと現像ローラギア30のかみ合いが許容されるように、傾斜部材97によって傾斜された駆動伝達部材81を付勢する。
なお、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bに係合して、駆動伝達部材81の回転軸線と感光ドラム62の回転軸線が一致した状態においては、可動規制部材101は、駆動伝達部材81から離れている。また、規制部73jも、駆動伝達部材81から離れている。
以上の動作をまとめると、以下のようになる。カートリッジBが装着部Qに装着される時、まずカートリッジBの可動規制部材101によって駆動伝達部材81が規制され、出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aが噛み合う。駆動伝達部材81に駆動がかかると、駆動伝達部材81の傾斜が規制部73jで規制されつつ、現像ローラギア30と入力ギア部30aのかみ合いによって生じるスラスト方向の力によって、駆動伝達部材81は感光ドラム62に近づく方向に移動する。そして、カップリング凹部81bがカップリング凸部63bに係合して、駆動伝達部材81の回転軸線と感光ドラム62の回転軸線が一致する。
以上のように、駆動伝達部材81が傾いている装置本体Aであっても、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bの芯ずれを小さくして、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bを係合することができる。
以上のように、現像ローラ32と感光ドラム62が駆動伝達部材81によって回転される。
<カートリッジの取り外し>
図5、図13(b)を用いて、装置本体Aの開閉扉13を閉じた状態から開く状態までの動作を説明する。
まずは、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bの係合を外すことについて説明する。
前述のように、開閉扉13を回転して開いた際、円筒カムリンク85を介して、円筒カム86が回転する。円筒カム86が回転すると、円筒カム86の斜面部86a、86b、86cが斜面部15d、15e、15fに沿ってスライドすることで、円筒カム86が駆動側に移動する(図5)。この移動により、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bの係合が外れていく。さらに、開閉扉13を開くと、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bが離れる。
次に、装着部QからのカートリッジBの取り外しについて説明する。
カップリング凹部81bとカップリング凸部63bが離れると、傾斜部材97によって、駆動伝達部材81が傾斜する。より具体的には、図13(b)で示すように、開閉扉13を開けると駆動伝達部材81が支持側板93の突出部93cに当接して傾く。このとき、駆動伝達部材81の出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aの間には、出力ギア部81aと入力ギア部30aがかみ合わないように、隙間が生じる。その結果、カートリッジBを装置本体Aから引き出す際、出力ギア部81aと入力ギア部30aのかみ合いはスムーズに解除される。つまり、カートリッジBを装置本体Aから容易に引き出すことできる。
<駆動伝達部材のカバー部の構成>
装置本体Aの駆動伝達部材81を保護するカバー部105について、図4、図13、図17、図18を用いて説明する。
図17は、駆動伝達部材81とカバー部105を示す斜視図である。図17(a)はカップリング凹部81bとカップリング凸部63bが係合した時の駆動伝達部材81とカバー部105を示す斜視図である。図17(b)は開閉扉13を開けた状態の駆動伝達部材81とカバー部105を示す斜視図である。図18はカートリッジのB装着時と取り外し時の可動規制部材101の動作を示す断面図である。
図4、図13、図17に示すように、駆動伝達部材81を保護するカバー部105が、装置本体Aの第1側板15に備えられている。カバー部105は、装着部Qと駆動伝達部材81の間に配置されており、駆動伝達部材81を覆っている。
駆動伝達部材81の消耗を抑制するため、駆動伝達部材81にはグリス等の潤滑剤LBが塗布されている。潤滑剤LBは、カップリング凹部81b、出力ギア部81aの少なくともいずれか一方に塗布されていることが好ましい。カバー部105が配置されていない場合、駆動伝達部材81が装着部Qに露出する。したがって、カバー部105で駆動伝達部材81を覆うことで、ユーザが駆動伝達部材81に触りにくくすることができる。さらに、駆動伝達部材81の一部をカバー部105から露出させることで、駆動伝達部材81と現像ローラギア30とのかみ合い、およびカップリング凸部63bとの係合を妨げないようにすることができる。
なお、駆動伝達部材81に潤滑剤LBが塗布されておらず、カートリッジBに潤滑剤LBが塗布されていてもよい(図7参照)。この場合は、駆動伝達部材81からカートリッジBに駆動力を伝達する過程で、潤滑剤LBがカートリッジBから駆動伝達部材81に供給される。より具体的には、現像ローラギア30の入力ギア部30aとカップリング凸部63bの少なくともいずれか一方に、潤滑剤LBが塗布されていることが好ましい。こうすることで、カップリング凹部81bや出力ギア部81aに潤滑剤LBを塗布(供給)することができる。言い換えれば、駆動伝達部材81は、カートリッジBから潤滑剤LBを受け取るように構成される。より具体的には、カップリング凹部81bに潤滑剤LBが塗布されている場合、カップリング凸部63bはカップリング凹部81bから潤滑剤LBを受け取る。入力ギア部30aに潤滑剤LBが塗布されている場合、出力ギア部81aは入力ギア部30aから潤滑剤LBを受け取る。
また、駆動伝達部材81とカートリッジBの両方に潤滑剤LBが塗布されていてもよい。
カバー部105は非駆動側端面105eを有する。非駆動側端面105eは、駆動伝達部材81が係合位置にある状態において、駆動伝達部材81の回転軸線に交差する方向(本実施形態では直交する方向)に沿った面である。駆動状態(駆動伝達部材81が係合位置にある状態)では、長手方向について、非駆動側端面105eの位置は、駆動伝達部材81のギア部端面81a1とカートリッジBのドラム軸受73との間に位置する。また、カバー部105は、感光ドラム62の軸方向において、カートリッジBとカバー部105の間に隙間が形成されるように配置されており、カートリッジBの装着時にカートリッジBと干渉しない配置となっている。
本実施形態において、カバー部105は、4つの開口部(105a、105b、105c、105d)を有している。
カバー部105は、カップリング凹部81bを露出する第1の開口部105aを備える。第1の開口部105aは、非駆動側端面105eに配置されている。第1の開口部105aは、駆動状態における駆動伝達部材81のカップリング円筒部81iが突出する位置に備えられる。つまり、第1の開口部105aは、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bが係合する位置に配置されている。
言い換えれば、第1の開口部105aは、カップリング凹部81bを装着部Qおよびカップリング凸部63bに向けて露出する。これにより、カップリング凹部81bとカップリング凸部63bの係合が許容される。
さらに、カバー部105の非駆動側端面105eの長手方向の位置は、駆動状態においてはカップリング凹部81bの先端部81b1が、非駆動側端面105eに対して突出するような位置である。また、開閉扉13が開いた状態においては、駆動伝達部材81は退避位置にある。このため、カップリング凹部81bの先端部81b1がカバー部105の非駆動側端面105eよりも突出しないようになる。つまり、駆動伝達部材81が退避位置にあるとき、感光ドラムAx1の軸線Ax1の方向に見て、非駆動側端面105eは、カップリング凹部81bと重なっており、カップリング凹部81bを覆っている。
カバー部105は、出力ギア部81aを露出する第2の開口部105bを備える。第2の開口部105bは、駆動状態における駆動伝達部材81の出力ギア部81aと現像ローラギア30の入力ギア部30aが噛合う位置に配置されている。
言い換えれば、第2の開口部105bは、出力ギア部81aを、装着部Qおよび現像ローラギア30に向けて露出する。これにより、出力ギア部81aと現像ローラギア30のかみ合いが許容される。
カートリッジBの装着方向Cについて、第2の開口部105bは、駆動伝達部材81の中心の上流側に位置するように、カバー部105の側面に配置される。また、鉛直方向について、第2の開口部105bは、カバー部105の下側に配置されている。また、開閉扉13が開いた状態において、傾斜した駆動伝達部材81の出力ギア部81aは、傾斜部材97によって現像ローラギア30の入力ギア部30aから離れる方向に傾斜している。つまり、駆動伝達部材81は、第2の開口部105bから離れる方向に傾斜する。
カバー部105は、駆動伝達部材81を、規制部73jに向けて露出する、第3の開口部105cを有する。第3の開口部105cは、規制部73jの位置に対応するように配置されている。カートリッジBの装着方向Cについて、第3の開口部105cは、駆動伝達部材81の中心の上流側に位置するように、カバー部105の側面に配置される。第3の開口部105cにより、カートリッジBが規制部73jを有する場合であっても、規制部73jが駆動伝達部材81を規制することができる。
開閉扉13が開いた状態において、駆動伝達部材81は、出力ギア部81aが傾斜部材97によってカートリッジBの装着方向Cの下流側に向かうように傾斜している。このため、出力ギア部81aは、第3の開口部105cから離れた位置に配置している。
カバー部105は、駆動伝達部材81を、可動規制部101に向けて露出する第4の開口部105dを有する。第4の開口部105dは、駆動状態におけるカートリッジBの可動規制部材101と駆動伝達部材81の出力ギア部81aが近接する位置に配置されている。第4の開口部105dにより、カートリッジBが可動規制部101を有する場合であっても、可動規制部101が駆動伝達部材81を規制することができる。
カートリッジBの装着方向Cについて、第4の開口部105dは、駆動伝達部材81の中心の下流側に位置するように、カバー部105の側面に配置される。また、鉛直方向について、第4の開口部は、カバー部105の上側に配置される。つまり、第4の開口部105dは、第2の開口部105bの対向側に配置されている。
また、図18に示すように、カバー部105は、第3の開口部105cと第4の開口部105dの間に、カートリッジBの装着時と取り外し時において、可動規制部材101の動作させるガイドとなるガイド部105fを有している。ガイド部105fは、可動規制部材101の先端部をガイドして、可動規制部材101を第4の開口部105dへ導いている。
前述した通り、カートリッジBが装置本体Aに装着された際に、カートリッジBのスペース87は、その内部に駆動伝達部材81の出力ギア部81aが配置される。カバー部105も、このスペース87に配置される。スペース87が存在することより、カートリッジBを装置本体Aに装着する際に、駆動伝達部材81がカートリッジBに干渉することがなく、装置本体Aに対するカートリッジBの装着が許容される。
以上のように本実施例では、装置本体Aの駆動伝達部材81を覆うカバー部105を設けた。このため、装置本体Aに着脱可能なカートリッジBを装置本体Aから抜いた状態においても、ユーザが駆動伝達部材81に触りにくい。つまり、駆動伝達部材81に塗布された潤滑剤LBに、ユーザが接触することを抑制できる。
なお、本実施例ではカバー部105は、第1の開口部105a、第2の開口部105b、第3の開口部105c、第4の開口部105dを独立して配置した。しかしながら、これらの開口部は開口の数や形状、配置を限定したものではない。例えば、これらの開口部が繋がったり、開口の数が増えたり、開口部の形状が変更したり、開口部の配置が移動した構成としてもよい。
例えば、第1の開口部105aと第2の開口部105bが連結されていてもよい。第1の開口部105aと第3の開口部105cが連結されていてもよい。第1の開口部105aと第4の開口部105dが連結されていてもよい。第2の開口部105bと第3の開口部105cが連結されていてもよい。第2の開口部105bと第4の開口部105dが連結されていてもよい。また、第3の開口部105cと第4の開口部105dが連結されていてもよい。
<実施例2>
次に実施例2について説明する。なお実施例1と同様の点については説明を省略する。本実施例において、実施例1で説明した部材と対応しているものは、実施例1の部材と同様の名称で呼ぶ。本実施例においては、主に実施例1のものとは異なる点について説明する。
本実施例における装置本体Aは、円筒カム186(実施例1の円筒カム86に相当する)、円筒カム186に係合する駆動伝達部材181(実施例1の駆動伝達部材81に相当する)を備える。駆動伝達部材181はカップリング凹部181bを備える。カップリング凹部181bはカートリッジBのカップリング凸部63bと係合する。カップリング凹部181bとカップリング凸部63bの係合を、以下「カップリングの係合」と呼ぶ。
本実施例では、カップリングの係合を解除された後に駆動伝達部材181を傾斜させる動作と、カップリングの係合が解除される時の円筒カム186の動作について、特に詳しく説明を行う。
<駆動伝達部材のカップリングの係合解除動作>
カップリングの係合が解除される動作と、駆動伝達部材181を傾斜させる動作について、図19〜21を用いて説明する。その後に、円筒カム186の動作について、図22〜25を用いて説明する。
図19は、カップリング凹部181bとカップリング凸部63bが係合している状態を示す断面図である。図20は、カップリングの係合が解除され、かつ駆動伝達部材181が傾斜していない状態を示す断面図である。図21は、カップリングの係合が解除され、かつ駆動伝達部材181が傾斜した状態を示す断面図である。
図19に示すように、装置本体Aは、円筒カム186と駆動伝達部材181を備える。駆動伝達部材181は、カップリング凹部181bがカートリッジBのカップリング凸部63bに係合することで、カートリッジBに駆動力を伝達するように構成されている。円筒カム186は、駆動伝達部材181と装置本体Aの第1側板115の間に位置するように配置されている。
装置本体Aは駆動伝達部材181を支持する軸受194を有する。装置本体Aの駆動側には支持側板193が設けられており、軸受194が支持側板193に取り付けられている。
実施例1と同様に、装置本体Aの開閉扉13が閉じた状態で、カップリング凹部181bがカートリッジBのカップリング凸部63bに係合し、駆動伝達部材181によって現像ローラ32と感光ドラム62が回転される。
カートリッジBに駆動力を伝達する駆動伝達部材181の位置を第一位置と呼ぶ。駆動伝達部材181が第一位置にあるとき、カップリング凹部181bがカートリッジBのカップリング凸部63bに係合し、駆動伝達部材181は傾斜していない。この状態で、駆動伝達部材181の回転軸線と、感光ドラム62の回転軸線は実質的に平行であり、駆動伝達部材181の回転軸線と、感光ドラム62の回転軸線は一致する。このときの駆動伝達部材181の姿勢を、駆動伝達部材181の第一の姿勢と呼ぶ。図19では、駆動伝達部材181は第一位置にある。
カップリングの係合が解除され、かつ駆動伝達部材181が傾斜していないときの駆動伝達部材181の位置を、駆動伝達部材181の第二位置と呼ぶ。このときの駆動伝達部材181の姿勢を、駆動伝達部材181の第二姿勢と呼ぶ。図20では、駆動伝達部材181は第二位置にある。
円筒カム186は、回転可能かつ長手方向に移動可能に第1側板115に取り付けられている。円筒カム186は、装着部Qを開閉するための開閉扉13と連結している。開閉扉13が開き始めると、円筒カム186は回転し、長手方向においてカートリッジBから離れる方向に移動する。
円筒カム186がカートリッジBから離れる方向に移動すると、円筒カム186に連動して駆動伝達部材181もカートリッジBから離れる方向に移動する。そのため、駆動伝達部材181のカップリング凹部181bは、カップリング凸部63bと離れて、カップリングの係合が解除される。この時、円筒カム186と駆動伝達部材181は、第一位置の駆動伝達部材181の軸線方向(回転軸線方向)に平行に移動しており、傾斜はしていない。このとき、駆動伝達部材181は第二位置に位置する。この状態で、駆動伝達部材181の回転軸線と、感光ドラム62の回転軸線は実質的に平行であり、駆動伝達部材181の回転軸線と、感光ドラム62の回転軸線は一致する。
駆動伝達部材181が第二位置にあるとき、開閉扉13は、閉じた状態から完全に開いた状態のおおよその中間に位置している。つまり、開閉扉13を開く動作の途中で、駆動伝達部材181は第二位置に位置される。
駆動伝達部材181が第二位置にある状態から、開閉扉13をさらに開くと、円筒カム186はさらに回転して、円筒カム186の一端がカートリッジBから離れる方向に移動して、円筒カム186が傾斜する。円筒カム186が傾斜すると、円筒カム186に連動して駆動伝達部材181も傾斜する。その結果、傾斜した駆動伝達部材181の出力ギア部181aは、カートリッジBの現像ローラギア30の入力ギア部30aから離れる。
この時、円筒カム186と駆動伝達部材181の軸線方向は、第一位置の駆動伝達部材181の軸線方向から傾斜している。この状態で、駆動伝達部材181の回転軸線の方向は、感光ドラム62の回転軸線の方向と交わる。このように、カップリングの係合が解除され、駆動伝達部材181が傾斜している駆動伝達部材181の位置を、駆動伝達部材181の第三位置と呼ぶ。このときの駆動伝達部材181の姿勢を、駆動伝達部材181の第三姿勢と呼ぶ。図21では、駆動伝達部材181は第三位置にある。
駆動伝達部材181が第三位置にあるとき、開閉扉13は完全に開いた状態である。したがって、駆動伝達部材181が第三位置に移動すると、出力ギア部81aと入力ギア部30aのかみ合いは解除されており、カートリッジBを装置本体Aから容易に引き出すことできる。
<カップリング係合解除時の円筒カムの動作>
本実施例に係るカップリングの係合が解除される時の円筒カム186の動作について、図22〜25を用いて説明する。図22〜25は円筒カム186を外側(支持側板193側)から見た斜視図である。
図22は駆動伝達部材181が第一位置にあるときの、円筒カム186近傍の斜視図である。図23は実施例2の円筒カム186を長手方向に移動させるため、第1側板115に設けられたカム形状の説明図である。図23(a)は、第1側板115のカム形状について説明する図である。図23(b)は、第1側板115のカム形状を説明する模式図である。図24は駆動伝達部材181が第二位置にあるときの、円筒カム186近傍の斜視図である。図25は駆動伝達部材181が第三位置にあるときの、円筒カム186近傍の斜視図である。
まず、駆動伝達部材181が第一位置にあるときの円筒カム186について、図22を用いて説明する。
上述の通り、円筒カム186は、回転可能かつ長手方向に移動可能に第1側板115に取り付けられており、駆動伝達部材181と第1側板115の間に位置するように配置されている。
実施例1と同様に、装置本体Aは、開閉扉13と連結された円筒カムリンク85を有する。円筒カム186と円筒カムリンク85は、円筒カム186に設けられたボス186eと円筒カムリンク85に設けられた取付穴85bが係合することで、回転可能に連結されている。
駆動伝達部材181が第一位置にあるとき、円筒カム186は、カートリッジBに近接した位置に配置されている。円筒カム186は、3つの斜面部186a1、186a2、186a3と、斜面部186a1、186a2、186a3に隣接する3つの一端部186b1、186b2、186b3を有している。斜面部186a1と一端部186b1の形状は、斜面部186a2と一端部186b2の形状および斜面部186a3と一端部186b3の形状と同一である。
図23(a)に示すように、第1側板115は、円筒カム186を長手方向に移動させるためのカム形状を有している。図23(a)において、円筒カム186の図示は省略されているが、長手方向において、円筒カム186は、第1側板115のカム形状よりもカートリッジBから遠い側に配置されている。
第1側板115は、円筒カム186の3つの斜面部186a1、186a2、186a3に対向する位置に、3つの斜面部115a1、115a2、115a3を有する。第1側板115は、円筒カム186の一端部186b1、186b2、186b3に対向する位置に、3つの一端部115b1、115b2、115b3を有する。一端部115b1、115b2、115b3は、斜面部115a1、115a2、115a3の一端側と各々連結している。
さらに、斜面部115a1、115a2、115a3の他端側には、3つの他端部115c1、115c2、115c3が配置される。長手方向において、他端部115c1、115c2、115c3は、一端部115b1、115b2、115b3よりもカートリッジBから遠い位置に位置する。
一端部115b1、115b2、115b3、斜面部115a1、115a2、115a3、他端部115c1、115c2、115c3は、それぞれ連続している。
図23(b)を用いて、第1側板115のカム形状について説明する。図23(b)は、縦方向が長手方向を示し、横方向が円筒カム186の回転方向(矢印P方向)を示している。図23(b)の縦方向は、長手方向における円筒カム186の移動量を示している、ということもできる。
第1側板115の3つの斜面部115a1、115a2、115a3の傾斜角度(回転方向Pに対する傾斜角度)は、同一である。一方、斜面部115a1の長さは、斜面部115a2、115a3の長さよりも長い。そのため、斜面部115a1に連結した他端部115c1は、他端部115c2、115c3よりも長手方向において高い位置にある。その結果、他端部115c1は、他端部115c2、115c3よりも、円筒カム186を長手方向でカートリッジBから離れた位置に位置させることができる。
次に、図24を用いて、駆動伝達部材181が第二位置にあるときの円筒カム186について説明する。
開閉扉13を開くと、開閉扉13に連動して円筒カムリンク85が動き、円筒カム186が矢印P方向に回転する。円筒カム186が回転すると、円筒カム186の斜面部186a1、186a2、186a3が第1側板115の斜面部115a1、115a2、115a3に沿って長手方向の外側に向けて移動される。これにより、円筒カム186が、長手方向においてカートリッジBから離れる方向に移動する。この時の円筒カム186は、同一角度の斜面部115a1、115a2、115a3に沿って移動されるため、図20に示す第一位置にある駆動伝達部材181の軸線方向に平行に移動しており、傾斜はしていない。つまり、駆動伝達部材181が第二位置にある。
次に、図25を用いて、駆動伝達部材181が第三位置にあるときの円筒カム186について説明する。
駆動伝達部材181が第二位置にある状態で、開閉扉13をさらに開くと、円筒カム186は矢印P方向にさらに回転する。円筒カム186が回転すると、円筒カム186の斜面部186a1が第1側板115の斜面部115a1に沿って長手方向の外側に移動される。一方、斜面部186a2、186a3と、斜面部115a2、115a3とは当接しなくなる。そして、円筒カム186の一端部186b2、186b3が、第1側板115の他端部115c2、115c3と当接する。このため、円筒カム186の一端部186b2、186b3が配置された部分は、長手方向の外側に移動しなくなる。
開閉扉13が完全に開くと、斜面部186a1が第1側板115の斜面部115a1と当接しなくなり、円筒カム186の一端部186b1が、第1側板115の他端部115c1に当接する。このため、一端部186b1が配置された部分は、長手方向の外側に移動しなくなる。その結果、駆動伝達部材181が第三位置に位置し、円筒カム186は、図25に示す位置に位置される。
つまり、長手方向で円筒カム186の一端部186b2、186b3の移動が終わった状態で、開閉扉13がさらに開かれると、円筒カム186の一端部186b1が長手方向でカートリッジBから離れる方向に移動する。その結果、図21に示すように、円筒カム186が傾斜する。これは、第1側板115の他端部115c1は、他端部115c2、115c3よりも高くなっており、円筒カム186を長手方向でカートリッジBから離れた位置に位置させることができるためである。
言い換えれば、第1側板115は、円筒カム186を長手方向に移動させる斜面部115a1、115a2、115a3を有する。長手方向について、斜面部115a1(第1移動部)が斜面部186a1(第1被移動部)を移動する距離は、斜面部115a2、115a3(第2移動部)が斜面部186a2、186a3(第2被移動部)を移動する距離よりも長い。
また、長手方向において、第1側板115の他端部115c1は、円筒カム186の一端部186b1を位置決めし、第1側板115の他端部115c2、115c3は、円筒カム186の一端部186b2、186b3位置決めする。このとき、一端部186b1は、一端部186b2、186b3よりも、長手方向で外側に位置する。つまり、長手方向において、一端部186b1は、一端部186b2、186b3よりも、カートリッジBから離れた位置に位置決めされる。その結果、駆動伝達部材181が第三位置に位置される。
以上のように本実施例では、駆動伝達部材181の軸線方向に向けて、駆動伝達部材181が第一位置から第二位置に移動することで、カップリングの係合が解除される。カップリングの係合が解除された後、駆動伝達部材181が第二位置から第三位置に移動し、駆動伝達部材181が傾斜する。
このように、カップリングの係合を解除する動作と、駆動伝達部材181を傾斜させる動作を分割することによって、カップリングの係合を解除するために必要な操作力を低減でき、ユーザビリティを向上できる。さらに、カップリングの係合が解除される際に発生する音を抑制することもできる。
<実施例3>
次に実施例3について説明する。なお実施例1、2と同様の点については説明を省略する。本実施例において、実施例1、2で説明した部材と対応しているものは、実施例1、2の部材と同様の名称で呼ぶ。本実施例においては、主に実施例1、2のものとは異なる点について説明する。
本実施例における装置本体Aは、駆動伝達部材281(実施例1の駆動伝達部材81、実施例2の駆動伝達部材181に相当する)を備える。駆動伝達部材281はカップリング凹部281bを備える。カップリング凹部281bはカートリッジBのカップリング凸部63bと係合する。カップリング凹部281bとカップリング凸部63bの係合を、実施例2と同様に、以下「カップリングの係合」と呼ぶ。また、駆動伝達部材281の第一位置、第二位置、第三位置の定義は、実施例2で説明したものと同じである。
本実施例では、駆動伝達部材281のカップリングの係合が解除された状態で、駆動伝達部材281が駆動した時の動作について、特に詳しく説明を行う。
<駆動伝達部材のカップリングが係合していない状態の駆動動作>
カップリングの係合が解除された状態で、本実施例に係る駆動伝達部材281が駆動した時の動作について、図26〜図29を用いて説明する。
図26は実施例3の駆動伝達部材281を支持する軸受294の構成を示す斜視図である。図26(a)は、実施例3の支持側板293と軸受294を示す斜視図である。図26(b)は、実施例3の軸受294を示す斜視図である。図27は実施例3の駆動伝達部材281の接触部281hを示す斜視図である。図28は実施例3の駆動伝達部材281が第一位置にある状態を示した断面図である。図29は実施例3の駆動伝達部材281が第二位置にある状態を示した断面図である。
図26を用いて駆動伝達部材281の一端部281cを支持する構成ついて説明する。駆動伝達部材281の一端部281cは、駆動伝達部材281の回転軸線方向において、カップリング凹部281bの反対側に位置する。装置本体Aは、駆動伝達部材281を支持する軸受294、支持板金293を有する。長手方向において、支持側板293は、第1側板15の外側に設けられている。
図26(a)に示すように、支持側板293は板金であり、この板金を絞り加工することにより穴部293aが設けられている。支持側板293の穴部293aには軸受294が嵌っている。
駆動伝達部材281の一端部281cが軸受294に支持されていることにより、駆動伝達部材281は軸受294に回転可能に支持されている。
軸受294が支持側板293に対して回転しないようにするために、軸受294は回転止めとしての凸部294bを有する。一方、支持側板293には穴部293bが設けられている。この凸部294bが穴部293bに嵌ることにより、軸受294の回転が規制される。すなわち軸受294は、支持側板293に対して回転しないように固定されている。
図26(b)に示すように、軸受294の凸部294bの先端には、斜面部294b1が設けられている。後述するように、斜面部294b1に対して、駆動伝達部材281の回転方向の荷重が作用すると、軸受294が変形し、凸部294bは駆動伝達部材281の回転軸線方向に移動する。本実施例においては、凸部294bは、矢印S方向(支持側板293方向)へ変形するように構成されている。
次に、図27を用いて駆動伝達部材281の接触部281hについて説明する。駆動伝達部材281は6つの接触部281hを有している。接触部281hは、駆動伝達部材281の半径方向に向けて、放射状に延びるリブ形状を有している。それぞれの接触部281hの形状は同一である。
接触部281hの先端には、斜面部281h1が設けられている。接触部281hは、カップリングの係合が解除された状態で駆動伝達部材281が回転すると、軸受294の凸部294bと接触する位置に配置されている。
図28に示すように、駆動伝達部材281が第一位置にあるとき、駆動伝達部材281の回転軸線方向について、駆動伝達部材281の接触部281hと軸受294の凸部294bの間には隙間がある。したがって、駆動伝達部材281が回転しても、駆動伝達部材281の接触部281hと軸受294の凸部294bは接触しない。
図29では、駆動伝達部材281は第三位置にある。図29に示すように、カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合していない状態で駆動伝達部材281が回転すると、駆動伝達部材281の接触部281hは軸受294の凸部294bに接触する。
上述のように、軸受294の凸部294bの先端には、斜面部294b1が備えられている。カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合していない状態で駆動伝達部材281が回転すると、駆動伝達部材281の斜面部281h1が斜面部294b1に当接する。その結果、長手方向において、軸受294の凸部294bが矢印S方向に変形して支持側板293の方向へ移動する。言い換えれば、長手方向において、軸受294の凸部294bは駆動伝達部材281の接触部281hから離れる方向に移動する。
凸部294bが移動することで、凸部294bは駆動伝達部材281の接触部281hを乗り越えることができる。したがって、カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合していない状態であっても、装置本体Aを故障させずに駆動伝達部材281が回転することが可能である。
なお、駆動伝達部材281の接触部281hが軸受294の凸部294bに接触したときには、衝突音が発生する。カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合していない状態で駆動伝達部材281が回転すると、この衝突音が繰り返し発生する。この衝突音は、駆動伝達部材281のカップリング凹部281bが係合していないことを検知するための検知音とすることができる。つまり、衝突音が発生している状態は、カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合していない状態であることを示す。
言い換えれば、装置本体Aは、音発生部(凸部294bおよび接触部281h)を備える。カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合していない状態で駆動伝達部材281が回転する場合に、凸部294bと接触部281hが当接するため、音発生部は音を発生する。一方で、駆動伝達部材281が第一位置にあり、カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合した状態では、凸部294bと接触部281hが離れているため、音発生部は音を発生しない。
以上のように本実施例では、カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合していない状態で、駆動伝達部材281を駆動した時に音が発生する構成について説明した。
本実施例の装置本体Aにおいては、カップリング凹部281bがカップリング凸部63bと係合しているかどうかを、音の発生に基づいて検知することができる。
したがって、装置本体AやカートリッジBの保守や修理、製造工場における検査において、作業者はカップリングの係合が正常かどうかを素早く診断できる。その結果、カップリングの係合が正常でない状態で装置本体Aが使用されることを抑制する、もしくは、カップリングの係合が正常でない状態で装置本体Aが使用される時間を短縮することができる。したがって、駆動伝達部材281が偏って摩耗することを抑制できる。
さらに、本実施例の構成においては、駆動伝達部材281の接触部281hには斜面部281h1が備えられ、軸受294の凸部294bの先端には斜面部294b1が備えられている。このため、凸部294bが駆動伝達部材281の回転軸線方向に退避することができ、装置本体Aを故障させずに音を発生させることができる。
本実施例においては、駆動伝達部材281が第三位置にある状態で、駆動伝達部材281の接触部281hが軸受294の凸部294bに接触し、音が発生するように構成した。しかし、駆動伝達部材281が第二位置にある状態で、駆動伝達部材281の接触部281hが軸受294の凸部294bに接触し、音が発生するように構成していてもよい。
上述した本実施例に関して記載されている構成部品の機能、材質、形状その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。