JP2021055207A - 複合仮撚糸およびそれを用いた織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水速乾性、伸縮性、耐摩耗性に優れた複合仮撚糸およびそれを用いた織編物を提供する。【解決手段】ポリオレフィン繊維(A)とポリエステル繊維(B)からなり、芯側にポリオレフィン繊維(A)が配置され、鞘側にポリエステル繊維(B)が配置されていることを特徴とする複合仮撚糸およびそれを用いた織編物。【選択図】 なし

Description

本発明は、吸水速乾性、伸縮性、耐摩耗性に優れた複合仮撚糸およびそれを用いた織編物に関する。
従来より、インナー、スポーツウエア、ファッション衣料など吸水速乾性を求められる衣料分野では、吸汗性の良い綿などの親水性繊維や、親水加工処理を施したポリエステル繊維が用いられてきた。
しかし、前記の親水性繊維のみを用いた布帛は吸汗性には優れるものの、繊維自体が水分を保持するため大量の発汗や雨に濡れた場合などにおいて大量の水分が布帛に供給されると、ベタツキや蒸れが生じるという問題があった。また、親水加工処理を施したポリエステル繊維のみを用いた布帛は吸水速乾性を有するが繊維束内部にまで水を保持してしまうため乾燥速度は十分高いとはいえず、更に乾燥速度を高めることが求められている。また着用や洗濯を繰り返すことで親水加工剤が脱落して性能が低下するという課題が指摘されていた。
これらの問題を解決する手法として、異なる特性を有する繊維を複合加工糸とすることで各々の特徴を有する素材の提供方法が提案されており、例えば特許文献1ではポリプロピレン繊維とポリアミド繊維を流体噴射加工によって芯鞘型に配置した複合加工糸により軽量性や吸水性、風合いにも優れる複合加工糸が提案されている。また特許文献2では、ポリアミド捲縮糸と潜在捲縮率の異なる捲縮糸を2種以上引き揃えて交絡処理を行う混繊捲縮糸が提案されている。
また、異素材の複合に関しては2種以上のポリマーからなる複合繊維を用いる方法も提案されている。例えば特許文献3では芯鞘構造であり、芯部がポリエステルとポリオレフィン、鞘部がポリエステルである芯鞘繊維を仮撚加工糸とする方法が提案されている。
さらに、2種以上の素材からなる織編物も提案されており、例えば特許文献4では表層に親水加工処理を施した合成繊維、裏層にポリオレフィンを配することでベタツキ感の低減や肌触りの良さに優れる多層構造織編物が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1ではポリプロピレン繊維を用いるため軽量性に優れるものの、ポリアミド繊維が水分を吸収するため速乾性が不十分であった。また特許文献2においてもポリアミド捲縮糸を使用するため速乾性は不十分であり、また捲縮糸の捲縮特性について考慮されていないためストレッチ性に劣るものであった。さらに複合加工糸中の各捲縮糸の配置について考慮されていないため耐摩耗性にも劣るものであった。
さらに、特許文献3の手法ではポリオレフィンを含むため軽量性は得られるが、ポリエステルとポリオレフィンは接着性が良くないため耐摩耗性に劣り、また単独の加工糸であるため布帛膨らみも十分ではなかった。
さらに、特許文献4の手法では織編物の表層に親水加工処理を施した合成繊維、裏層にポリオレフィン繊維を配することで吸水速乾性に優れるものの、ポリオレフィン繊維側の表層は耐摩耗性に劣ってしまうという問題があった。また多層構造織編物のため生地が厚手になってしまうなど、織編物の設計も制約されるという問題を有していた。
特開2007−126768号公報 特開2009−74212号公報 国際公開WO2015−159439号パンフレット 特開2011−132643号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、吸水速乾性、伸縮性、耐摩耗性に優れた複合仮撚糸を提供することであり、また、かかる複合仮撚糸が用いられた織編物を提供することにある。
上記本発明の課題は、芯糸の周囲を鞘糸が覆う複合型の仮撚糸として、芯糸がポリオレフィン繊維から実質的になり、鞘糸がポリエステル繊維から実質的になることを特徴とする複合仮撚糸によって解決することができる。
本発明によれば、吸水速乾性、伸縮性、耐摩耗性に優れた複合仮撚糸を得ることができる。かかる複合仮撚糸が用いられた織編物は薄地化が可能であり、上記複合仮撚糸のもつ効果を活かしてインナー、スポーツ、ファッション用の衣料用素材として幅広く好適に用いることができる。
複合仮撚糸の製造工程を説明するための工程概略図
本発明者らは従来の加工糸や複合加工糸の課題であった、吸水速乾性、伸縮性、耐摩耗性の両立といった課題を達成するために鋭意検討した結果、芯糸―鞘糸型の複合糸とし、また、仮撚加工を行うことによって伸縮性を得て、また、芯糸がポリオレフィン繊維から実質的になることで軽量性および低保水性による速乾性を実現し、また、ポリオレフィン繊維は耐摩耗性の点で不利であることに鑑みて、鞘糸がポリエステル繊維から実質的になることで耐摩耗性と吸水速乾性の両立が可能となることを見いだした。
本発明の複合仮撚糸は、芯糸の周囲を鞘糸が覆うタイプの複合仮撚糸である。芯糸と鞘糸による複合仮撚糸は、例えば、特開昭50−13652号公報に記載の方法で得ることができる。また、芯糸と鞘糸はそれぞれマルチフィラメントであることができ、複合仮撚糸においてそれぞれの糸条本数は任意に設定することが可能である。
ポリオレフィン繊維とポリエステル繊維からなり、芯側にポリオレフィン繊維が配置され、鞘側にポリエステル繊維が配置されていることを必須とする。
本発明に用いられるポリオレフィン繊維とは、繊維の重量を100重量%としたとき、ポリオレフィン樹脂が50重量%を超えて含まれる繊維をいう。ポリオレフィン樹脂が50重量%を超えて含まれることで、良好な疎水性と軽量性を得ることができる。繊維の重量を100重量%としたときのポリオレフィン樹脂の含有量として好ましくは、60重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上である。
前記ポリオレフィン繊維に用いうるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、単独重合体であっても共重合体であっても良い。また、二種以上のポリオレフィン樹脂の混合物であっても良い。なかでも、衣料用途においては、成形加工性や力学特性に優れるポリプロピレン樹脂が特に好適に採用できる。本発明の複合仮撚糸の芯糸はこのようなポリオレフィン繊維から実質的になるが、ここでいう実質的になるとは、本発明の効果を阻害しない程度の量の他の繊維を含みうるとの意であり、目安としては、芯糸の重量を100重量%としたとき、ポリオレフィン繊維が80重量%以上を占めることが好ましく、更に好ましくは90重量%を占めることが好ましい。
また、本発明に用いられるポリオレフィン繊維は、前述のとおりポリオレフィン樹脂以外の樹脂を繊維重量の50重量%未満含有しうるが、そのようなポリオレフィン樹脂以外の樹脂としてポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂を用いることで分散染料による染色が可能となり、複合仮撚糸の発色性向上やイラツキの軽減をはかることができる。そのようなポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。これらは共重合体であっても構わない。
また通常、ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂とは相溶性が低いところ、本発明に用いられるポリオレフィン繊維にあって、ポリエステル樹脂が含有されている場合にはポリエステル樹脂は繊維に内包されていることが好ましい。すなわち、複合形態としては芯鞘型、偏心芯鞘型、海島型(非相溶ポリマーアロイ型を含む)といった態様が好ましく、ポリオレフィン繊維の柔軟性を活かすことができることから、繊維長手方向においてポリエステル樹脂が連続していない海島型構造の繊維とすることが好ましい。また、ポリエステル樹脂のドメインの長さとしては、数十nm〜数十万nmの範囲とすることが好ましい。島成分の不連続性は、実施例の欄に記載の方法で確認することができる。
本発明に用いられるポリエステル繊維とは、繊維の重量を100重量%としたとき、ポリエステル樹脂が50重量%を超えて含まれる繊維をいう。ポリエステル樹脂が50重量%を超えて含まれることで、耐摩耗性や吸水速乾性の向上をはかることができる。繊維の重量を100重量%としたときのポリエステル樹脂の含有量として好ましくは、80重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。
前記ポリエステル繊維に用いうるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられるが、これらに限定されない。また、単独重合体であっても共重合体であっても良い。また、二種以上のポリエステル樹脂の混合物であっても良い。なかでも、衣料用途においては、機械特性において優れ、経済的にも有利なポリエチレンテレフタレート樹脂が特に好適に採用できる。本発明の複合仮撚糸の鞘糸はこのようなポリエステル繊維から実質的になるが、ここでいう実質的になるとは、本発明の効果を阻害しない程度の量の他の繊維を含みうるとの意であり、目安としては、鞘糸の重量を100重量%としたとき、ポリエステル繊維が80重量%以上を占めることが好ましく、更に好ましくは90重量%を占めることが好ましい。
本発明に用いられるポリオレフィン繊維およびポリエステル繊維においては、機能改善の目的などで、種々の添加剤が含有されていてもよい。そのような添加剤の具体例としては、相溶化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、離型剤、抗菌剤、核形成剤、熱安定剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤、調整剤、艶消し剤、消泡剤、防腐剤、ゲル化剤、ラテックス、フィラー、インク、着色料、染料、顔料、香料などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの添加物は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるポリオレフィン繊維およびポリエステル繊維の総繊度、単繊維繊度、フィラメント数には、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができる。
また、本発明に用いられるポリオレフィン繊維およびポリエステル繊維は、繊維の断面形状において特に制限はなく、用途や要求特性に応じて種々の断面形状を適宜選択することができる。具体的には、真円状の円形断面であってもよく、非真円形断面であってもよい。非真円形断面の具体例として、多葉形、多角形、扁平形、楕円形、C字形、H字形、S字形、T字形、W字形、X字形、Y字形、田字形、井桁形、中空形などが挙げられるが、これらに限定されない。また、複数種の断面形状が採用されていても良い。
本発明の複合仮撚糸において、芯糸であるポリオレフィン繊維と鞘糸であるポリエステル繊維の重量比率は特に限定されるものではないが、複合仮撚糸の重量を100重量%としたとき、ポリオレフィン繊維の重量が30〜70重量%の範囲であると軽量感を得ることができる。また、鞘糸であるポリエステル繊維が芯糸の周囲を十分に覆うことができるので、耐摩耗性向上やイラツキの軽減が得られるため好ましい。
本発明の複合仮撚糸は、前記したポリオレフィン繊維およびポリエステル繊維以外の繊維として、本発明の特徴を損なわない範囲で、ポリオレフィン繊維およびポリエステル繊維以外の他の繊維が含まれても構わない。そのような他の繊維としては、ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンなどの合成樹脂で形成された繊維、綿、麻、ウール、絹、再生セルロース繊維などの天然由来の繊維を挙げることができる。また、これらの繊維は、公知の手法で改質されていてもよい。これらの繊維は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記のポリオレフィン繊維において、他の繊維としてポリエステル樹脂が用いられた繊維、前記のポリエステル繊維において、他の繊維としてポリオレフィン樹脂が用いられた繊維が用いられる場合が排除されているわけではない。
本発明の複合仮撚糸の交絡度は、好ましくは50〜150である。交絡度50以上であると芯糸と鞘糸の分離が抑制され解舒性が良好となる。また、150以下であると伸縮復元率の低下がないため好ましい。また、前記の交絡数は、織編物となった後にも残存していてもかまわない。
本発明の複合仮撚糸は芯側にポリオレフィン繊維、鞘側にポリエステル繊維が配置されているものである。本発明における複合仮撚糸の芯鞘構造は複合加工糸中を構成する繊維の糸長差によって発現する。すなわちポリオレフィン繊維に対してポリエステル繊維の糸長が大きいことが必要である。糸長差は3%以上35%未満であることが好ましい。糸長差が3%以上であると芯糸が鞘糸によって十分に被覆されるため、耐摩耗性に優れ、イラツキの少ない複合仮撚糸を得ることができる。また、糸長差が35%未満であると解舒性に優れるため好ましい。糸長差は15%以上であると耐摩耗性が更に優れるためより好ましい。また糸長差が25%以下であると、解舒性が更に良好なため、より好ましい。なお、本発明にいう糸長差は下式(1)に従って求められる。
糸長差=(S2−S1)/S1×100% (1)
S2:鞘糸の単糸繊維長(cm)
S1:芯糸の単糸繊維長(cm) 。
本発明の複合加工糸は一般の繊維と同様に撚糸などの加工を行っても何ら問題ない。
本発明の複合仮撚糸は織編物に用いることができ、織編物の形態や織組織、編組織には特に制限はない。例えば、公知の方法を用いて、織物、編物にすることができ、平織、綾織、朱子織あるいはこれらの変化織や、経編、緯編、丸編、レース編あるいはこれらの変化編などが好適に採用できる。
本発明の複合仮撚糸が用いられた織編物は、織編物にする際に交織や交編などによって他の繊維が組み合わせて用いられたものであってもよい
本発明の複合仮撚糸が用いられた織編物を染色する場合には、分散染料を好適に採用することができる。染色方法には、特に制限はない。公知の方法を用いることができ、チーズ染色機、液流染色機、ドラム染色機、ビーム染色機、ジッガー、高圧ジッガーなどを好適に採用することができる。また、染料濃度や染色温度に関しても特に制限がなく、目的に応じて条件を適宜設定すれば良い。また、必要に応じて精練、染色加工後の還元洗浄を行なう。
次に仮撚条件について、例を挙げて説明する。本発明の複合仮撚加工糸は仮撚加工が施されているが、複合仮撚糸の製造にあってはポリオレフィン繊維とポリエステル繊維とを引き揃え、仮撚温度を140〜200℃の温度でかつ延伸倍率1.0〜1.4倍の条件で同時仮撚加工を行うことで得ることができる。
本発明において芯糸と鞘糸とを同時仮撚加工を行って複合仮撚糸を得る場合、芯糸にかかる応力および鞘糸にかかる応力(cN/dtex)を芯糸>鞘糸とすることによって、十分な糸長差をえることができ、また、簡便に芯鞘構造の複合仮撚糸としてえることができる。芯糸と鞘糸にかかる応力比(芯糸にかかる応力/鞘糸にかかる応力)は1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。
上記の応力比を得るためには、芯糸として伸度が40〜100%のポリオレフィン繊維、鞘糸が伸度80〜220%のポリエステル部分配向未延伸糸であり、かつポリオレフィン繊維とポリエステル繊維の伸度差は40〜120%である様態を採用することができる。
仮撚温度は上記のとおり140〜200℃が好ましいが、糸の太さや、1次ヒーター長、加熱方式(接触式、非接触式)によって適宜選択する。例えば接触式1次ヒーターでは160℃以下、1次ヒーター接触時間0.3秒以下、非接触式1次ヒーターでは伝熱係数が小さいため200℃以下、1次ヒーター接触時間0.5秒以下とすることが好ましい。この処理温度および時間を超えるとポリオレフィン繊維が溶融する恐れがあるため好ましくない。従来、ポリオレフィンとポリエステルは適正な仮撚温度の領域が離れているため、ポリエステルの適正条件ではポリオレフィンが溶融していたが、各々の熱特性を考慮して鋭意加工プロセスを検討した結果、ポリオレフィンとポリエステルの同時仮撚が可能な領域を見出したものである。
また、ポリオレフィン繊維とポリエステル繊維との間に適度な交絡が入ると複合仮撚糸の収束性が向上することが期待できるので、上記の同時仮撚りの前、すなわちポリオレフィン繊維とポリエステル繊維を引き揃えた工程で、交絡度10〜150の交絡処理を行うことができる。交絡手段としては、例えば、エアジェットでの交絡が挙げられる。
本発明の複合仮撚糸は残留トルクの抑制などを目的に2次ヒーター処理を行っても構わない。2次ヒーター処理は1次ヒーター処理温度より20℃以上低いことが好ましい。
本発複合仮撚加工を行う場合の加工速度は、ヒーター温度や接触方式によって適宜選択するものである。
仮撚装置は、摩擦仮撚型が好ましく、フリクションディスク型、ベルトニップ型などが挙げられるが、これらに限定されない。また、仮撚加工後の繊維の工程通過性を向上させるため、仮撚加工後に給油ガイドやオイリングローラーによる追油を行ってもよい。
次に、本発明の複合仮撚糸の製造方法の一例について図1に示した工程概略図により説明する。
図1は、本発明の複合仮撚糸の製造工程の例を示す工程概略図であり、芯糸1と鞘糸2とを糸巻体からそれぞれ引き出し、第1ニップローラー3と第2ニップローラー5間でエアー交絡ノズル4を用いて交絡処理する。なお、図面では芯糸と鞘糸は各々ひとつの糸巻体が示されているが複数の糸巻体から糸を引き出す態様であっても構わない。
次いで、第2ニップローラー5と第3 ニップローラー8間で1次ヒーター6と仮撚ツイスター7を用いて同時仮撚をする。
次いで、第3ニップローラー8と第4ニップローラー10間の2次ヒーター9で所定の熱処理を行っても構わない。次に巻き取り装置11を用いて複合仮撚糸を巻き取るものである。
本発明の複合仮撚糸は、織物や編物に好適に用いることができる。本発明の複合仮撚糸を用いた織編物は吸水速乾性、伸縮性、耐摩耗性、軽量性に優れたものである。織編物中において本発明の複合仮撚糸は任意の設計で用いることができる。織編物中の複合仮撚糸は織編物全体の重量を100重量%として40重量%以上であればその特徴をより発揮できるため好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。但し、本発明は係る実施例に限定して解釈されるものではない。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法で求めたものである。
・繊度
温度20℃、湿度65%RHの環境下において、INTEC社製電動検尺機を用いて、繊維100mをかせ取りした。得られたかせの重量を測定し、下記式を用いて繊度(dtex)を算出した。
繊度(dtex)=繊維100mの重量(g)×100
なお、測定は1試料につき5回行い、その算術平均値をその試料の繊度とした。
・強度、伸度
強度および伸度は、JIS L1013:2010(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.5.1に準じて求めた。すなわち、温度20℃、湿度65%RHの環境下において、オリエンテック社製テンシロンUTM−III−100型を用いて、初期試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で引張試験を行った。破断時の応力(cN)を繊度(dtex)で除して強度(cN/dtex)を算出し、破断時の伸び(L1)と初期試料長(L0)を用いて下記式によって伸度(%)を算出した。
伸度(%)={(L1−L0)/L0}×100
なお、強度・伸度の測定は1試料につき10回行い、その算術平均値をその試料の強度および伸度とした。
・比重
JIS L1013:1999(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.17の浮沈法に準じて算出した。重液にはパークロロエチレンを用い、軽液にはトルエンを用いて比重測定液を調製した。温度20±0.1℃の恒温槽中において、試料約0.1gを比重測定液に30分間放置した後、試料の浮沈状態を観察した。浮沈状態に応じて重液または軽液を添加して、さらに30分間放置した後に試料が浮沈平衡状態となったのを確認して、比重測定液の比重を測定し、試料の比重を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その算術平均値をその試料の比重とした。
・伸縮復元率(CR)
JIS L 1013:2010 化学繊維フィラメント糸試験方法8.12により伸縮復元率(CR)を測定した。測定前の前処理として、かせ状にした測定試料をガーゼに包んだまま、ポリエステルの場合は90℃、ナイロンの場合は60℃、ポリプロピレンの場合は70℃で20分間の温水処理を行い、室温20℃で12時間自然乾燥させた。自然乾燥後、上記8.12により伸縮復元率を測定した。なお、複数種の樹脂が用いられた繊維の場合、測定前の前処理はJIS L 1013:2010規定される前処理温度が低温の素材に合わせて温水処理を実施した。
・交絡度
JIS L1013(2010) 8.15規定される交絡度を測定して、交絡度CF値(Coherence Factor)とした。
・解舒性
評価試料を10000m以上巻き付けたドラムをクリールに仕掛け、ドラムの断面方向に500m/分で20分間解除し、ファスナー現象による糸の踊り、引っ掛かり等を目視により確認し、下記の4段階で評価した。
◎:糸の踊りが見られず、良好に解舒できる。
○:わずかに糸の踊りが見られるが問題なく解舒できる。
△:糸の踊り及びわずかに引っ掛かりが見られるが解舒はできる。
×:糸の踊り及び引っ掛かりが起こり解舒できない。
・糸長差
任意の箇所の試料10cmを取り、芯糸と鞘糸を分離し、更に単糸に分離した後に、それぞれの繊維に0.1cN/dtexの荷重を掛けた状態での糸長を測定し次の式にて糸長差とした。測定は10回行い、算術平均でもってその試料の糸長差とした。
糸長差=(S2−S1)/S1×100%
S2:鞘糸の単糸繊維長(cm)
S1:芯糸の単糸繊維長(cm) 。
・ヤング率
JIS−L−1013、8.10に記載される初期引張抵抗度測定に準じ、温度20℃、湿度65%RHの環境下において、オリエンテック社製テンシロンUTM−III−100型を用いて測定した。
・発色性
目付150g/mの筒編地(天竺)を作製し、下記の精練、染色を行い、試料片をミノルタ製分光測色計CM−3700d型にて黒色校正板をバックにL*値を測定した。L*値が低いほど発色性良好である。
[精練条件]
筒編地を浴比が1:50になるように炭酸ナトリウム1g/L、界面活性剤(明成化学工業社製 グランアップUS−20)0.5g/Lの濃度の水溶液に浸し、80℃で20分間精練処理を行い、水洗い、風乾を行った。
[染色条件]
精練処理された筒編地を、分散染料としてダイスタージャパン社製Dianix Tux.Black F Conc Liqを筒編地に対して10.0重量%加え、pHを5.0に調整した染色液に浴比1:50となるように浸し、120℃で60分間染色後、水洗い、風乾を行った。
・イラツキ(外観品位)
外観品位は、上記の発色性試験を行った筒編地を生地検反機上で目視判定し、次の基準で評価を行った。○以上を合格(◎が最も優れている)とした。
◎:イラツキ感がなく、適度な光沢感で、自然な外観品位であり良好である。
○:僅かにイラツキ感があるが、適度な光沢感で、自然な外観品位であり問題ないレベルである。
△:ややイラツキ感があり、光沢感がやや強く自然な外観品位が不十分である。
×:イラツキ感、光沢感が強く、自然な外観品位ではなく不良である。
・拡散面積
上記発色性試験に記載した方法と同じ方法で試料(筒編地)を作製し、該筒編地を切開して編地を得た。温度20℃、湿度65%RHの環境下において、ガラス板上に、市販の万年筆用インク(PILOT社製INK−350−B)を2倍に水で希釈したインク液を0.1cc滴下し、その上に前記編地を筒編の内面がインク液に接触するようにしてのせた。そして、60秒間放置し、インク液を吸収させた後、別のガラス板上に移動させ、編地のインク吸収面をガラス面に向けて載置し、3分間放置した。試料3枚について、同様に行った。このようにして得られた試料表面のインク液の拡散面積をデジタルプラニメーター(内田洋行製 KP−90)で測定し、算術平均値を拡散面積とした。
・吸水速乾性:拡散性残留水分率10%到達時間
上記発色性試験に記載した方法と同じ方法で試料(筒編地)を作製した。該筒編地から10cm×10cmの試験片を切り出し、質量(W)を測定し、試験片に水を0.6mL滴下し、質量(W0)を測定した。標準状態(20℃、65%RH)下で吊干して、所定時間ごとの重量(Wt)を測定し、残留水分率(%)が10%に至るまでの時間を測定した。なお、残留水分率は下式で求められる。
残留水分率=(Wt−W)/(W0−W)×100 (%) 。
・耐摩耗性
上記発色性試験に記載した方法と同じ方法で試料(筒編地)を作製し、温度20℃、湿度65%RHの環境下において、直径10cmおよび直径17.5cmの円形の試料をそれぞれ3枚切り出した。試料をJIS L−1076C法に規定されるART形試験機の上下のホルダに試料をセットし、荷重420g、10分間、円運動させながら2枚の試料を互いに摩擦させた。試料を取り外し4時間放置した後、上部側円板に取り付けた方の試料の変退色の程度を、JIS L−0801の箇条10に規定されている変退色の判定に準じて、0.5級刻みで1級から5級の級判定を実施した。
・島成分の不連続性
ポリオレフィン繊維をエポキシ樹脂で包埋した後、LKB製ウルトラミクロトームLKB−2088を用いてエポキシ樹脂ごと、繊維軸に対して垂直方向に繊維を切断し、厚さ約100nmの超薄切片を得た。得られた超薄切片を固体の四酸化ルテニウムの気相中に常温で約4時間保持して染色した後、染色された面をウルトラミクロトームで切断し、四酸化ルテニウムで染色された超薄切片を作製した。染色された超薄切片について、日立製透過型電子顕微鏡(TEM)H−7100FA型を用いて、加速電圧100kVの条件で繊維軸に対して垂直な断面、すなわち繊維横断面を観察し、繊維横断面の顕微鏡写真を撮影した。観察は300倍、500倍、1000倍、3000倍、5000倍、10000倍、30000倍、50000倍の各倍率で行い、顕微鏡写真を撮影する際には100個以上の島成分が観察できる最も低い倍率を選択した。
島成分の不連続性については、同一単繊維内において単繊維直径の少なくとも10000倍以上の任意の間隔で、繊維横断面の顕微鏡写真を5枚撮影し、それぞれの繊維横断面における島成分の数および海島構造の形状が異なる場合、島成分が不連続であるとし、島成分が不連続である場合を「○」、島成分が不連続でない場合を「×」とした。
・島成分の分散径
繊維をエポキシ樹脂で包埋した後、LKB製ウルトラミクロトームLKB−2088を用いてエポキシ樹脂ごと繊維軸に対して垂直方向に繊維を切断、厚さ約100nmの超薄切片を得た。得られた超薄切片を固体の四酸化ルテニウムの気相中に常温で約4時間保持して染色した後、染色された面をウルトラミクロトームで切断、四酸化ルテニウムで染色された超薄切片を作製した。染色された超薄切片について、日立製透過型電子顕微鏡(TEM)H−7100FA型を用い、加速電圧100kVの条件で繊維軸に対して垂直な断面、すなわち繊維横断面を観察、繊維横断面の顕微鏡写真を撮影した。観察は300倍、500倍、1000倍、3000倍、5000倍、10000倍、30000倍、50000倍の各倍率で行い、顕微鏡写真を撮影する際には100個以上の島成分が観察可能な最も低い倍率を選択した。撮影された写真について、同一の写真から無作為に抽出した100個の島成分の直径を画像処理ソフト(三谷商事製WINROOF)で測定し、その平均値を島成分の分散径(nm)とした。繊維横断面に存在する島成分は必ずしも真円とは限らないので、真円ではない場合には外接円の直径を島成分の分散径として採用した。
実施例1
芯糸として90dtex(以後Tとも表記する。)、36フィラメント(以後Fとも表記する。)、伸度80%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸を用い、鞘糸として90T、36F、伸度120%のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント部分配向未延伸糸を用いた。
なお、ポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸には予め、酸化防止剤としてフェノール系化合物である3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン(ADEKA製アデカスタブAO−80)を0.5重量部、リン系化合物である亜リン酸トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(BASF製Irgafos168)を0.1重量部、ヒンダードアミン系化合物であるビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート(ADEKA製アデカスタブLA−81)を0.05重量部添加したものを用いた。以降の実施例1〜19および比較例1、3〜7においても上記の酸化防止剤を添加したポリプロピレン樹脂を用いた。
上記芯糸と鞘糸とを図1を用いて説明した製造工程を経ることで複合仮撚糸を製造した。
製造方法の詳細について説明する。芯糸と鞘糸を引き揃えて交絡ノズルを用いてエアー圧0.2MPaで交絡した後、延伸倍率1.18倍、200℃の非接触ヒーターで0.4秒間熱処理して仮撚加工を行い、ワインダーで巻き取った。
得られた複合仮撚糸は芯側に芯糸のポリプロピレンマルチフィラメント、鞘側に鞘糸のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントが配されており、速乾性、耐摩耗性に優れる素材であった。得られた複合仮撚糸の特性を表1に示す。
実施例2、3
実施例1において、実施例2では芯糸を30T、24F、伸度80%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸、鞘糸として130T、36F、伸度120%のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント部分配向未延伸糸を用い、実施例3では芯糸として180T、96F、伸度80%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸を用い、鞘糸として44T、24F、伸度120%のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント部分配向未延伸糸に変更した以外は、実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表1に示す。
実施例4、5
実施例1に対して、実施例4では交絡度を20に、実施例5では交絡度を300に調整した以外は実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表1に示す。
比較例1
複合加工糸を構成する芯糸として90T、36F、伸度40%のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント延伸糸、鞘糸として90T、36F、伸度80%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸に変更した以外は、実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。
得られた複合仮撚糸は芯側に鞘糸のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント、鞘側に芯糸のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸が配されており、吸水速乾性、耐摩耗性に劣る素材であった。得られた複合仮撚糸の特性を表2に示す。
比較例2
240T、72F、伸度160%のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント部分配向未延伸糸を用いて、延伸倍率1.55倍、200℃の接触式ヒーターで0.3秒間熱処理して仮撚加工を行い、ワインダーで巻き取った。得られた仮撚糸はポリエチレンテレフタレート単独糸であるため含水時に仮撚糸内部まで水が入り込んでしまうため速乾性が不十分であった。得られた仮撚糸の特性を表2に示す。
比較例3
180T、72F、伸度80%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸を用い、延伸倍率1.18倍、150℃の接触式ヒーターで0.3秒間熱処理して仮撚加工を行い、ワインダーで巻き取った。
得られた仮撚糸はポリプロピレンマルチフィラメント単独糸であるため吸水速乾性が不十分であり、耐摩耗性にも劣るものであった。得られた仮撚糸の特性を表2に示す。
比較例4
比較例2、比較例3で作製した仮撚糸を引き揃えて交絡ノズルを用いてエアー圧0.2MPaで交絡した後、そのままワインダーで巻き取った。得られた複合混繊糸はポリプロピレンマルチフィラメントとポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントがランダムに混ざっているため、ポリプロピレンマルチフィラメントの表面への露出が多く、吸水速乾性、耐摩耗性、イラツキに劣るものであった。得られた複合混繊糸の特性を表2に示す。
比較例5
実施例1において、芯糸として90T、36F、伸度30%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸を用い、鞘糸として90T、36F、伸度70%のポリアミド6(Ny6)マルチフィラメントに変更した以外は、実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸は鞘側にポリアミド6が配されているため、吸水性には優れるが速乾性に劣る素材であった。得られた複合仮撚糸の特性を表2に示す。
比較例6
比較例3で作製したポリプロピレンマルチフィラメント仮撚糸と76T、36F、伸度40%のポリアミド6マルチフィラメント仮撚糸を引き揃えて交絡ノズルを用いてエアー圧0.2MPaで交絡した後、そのままワインダーで巻き取った。得られた複合混繊糸はポリプロピレンマルチフィラメントとポリアミド6マルチフィラメントがランダムに混ざっているため、ポリプロピレンマルチフィラメントの表面への露出が多く、吸水速乾性、耐摩耗性、イラツキに劣るものであった。得られた複合混繊糸の特性を表2に示す。
比較例7
ポリプロピレン(PP)(日本ポリプロ製ノバテックMA2)を50重量部、ポリエチレンテレフタレートを50重量部の比率で芯成分をポリプロピレンとする芯鞘複合繊維を作製した。紡糸条件は紡糸温度285℃、吐出量69.8g/分で紡糸口金(吐出孔径0.30mm、吐出孔長0.50mm、孔数72、丸孔)から吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速25m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、1250m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取った後、1250m/分で回転する第2ゴデットローラーを介して、1250m/分で回転するワインダーで巻き取って、558dtex−72Fの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を第1ホットローラー温度30℃、第2ホットローラー温度30℃、第3ホットローラー温度130℃の条件で2段延伸とし、総延伸倍率3.1倍の条件で延伸し、180dtex−72F、伸度60%の延伸糸を得た。
得られた延伸糸を延伸倍率1.18倍、180℃の接触式ヒーターで0.3秒間熱処理して仮撚加工を行い、ワインダーで巻き取った。得られた仮撚糸は繊維表面がポリエチレンテレフタレートのみであるため、吸水速乾性が不十分なものである。またポリプロピレンとポリエチレンテレフタレートの接着性が低いため耐摩耗性にも劣るものである。得られた仮撚糸の特性を表3に示す。
実施例6〜8
実施例1において、実施例6では鞘糸にポリトリメチレンテレフタレート(PPT)マルチフィラメント、実施例7では鞘糸にポリブチレンテレフタレート(PBT)マルチフィラメント、実施例8では鞘糸にポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートがサイドバイサイドに貼り合された複合繊維からなるマルチフィラメントに変更した以外は、実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表3に示す。
実施例9
実施例1に対して第3ニップローラー(6)と第4ニップローラー(8)の間で実施例1の複合仮撚糸と10T−12Fのポリアミド6の仮撚糸を引き揃えて交絡ノズルを用いてエアー圧0.2MPaで交絡した後、そのままワインダーで巻き取った。得られた複合仮撚糸の特性を表3に示す。
実施例10
実施例1に対して鞘糸として90T、36F、伸度160%のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント部分配向未延伸糸に変更した以外は、実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表3に示す。
実施例11、12
実施例10に対して、実施例11では芯糸として90T、36F、伸度60%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸、実施例12では芯糸として90T、36F、伸度40%のポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸に変更した以外は、実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表3に示す。
実施例13
ポリプロピレン(PP)(日本ポリプロ製ノバテックMA2)を40重量部、ポリエチレンテレフタレートを60重量部の比率で芯成分をポリエチレンテレフタレートとする芯鞘複合繊維を作製した。紡糸条件は紡糸温度275℃、吐出量34.9g/分で紡糸口金(吐出孔径0.30mm、吐出孔長0.50mm、孔数36、丸孔)から吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速25m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、1250m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取った後、1250m/分で回転する第2ゴデットローラーを介して、1250m/分で回転するワインダーで巻き取って、558dtex−72Fの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を第1ホットローラー温度30℃、第2ホットローラー温度30℃、第3ホットローラー温度130℃の条件で2段延伸とし、総延伸倍率3.1倍の条件で延伸し、90dtex−36F、伸度80%の延伸糸を得た。得られた芯鞘複合糸を芯糸とした以外は実施例8と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表4に示す。
実施例14
実施例13に対して芯糸の芯鞘複合糸をポリプロピレン(PP)(日本ポリプロ製ノバテックMA2)を85重量部、ポリエチレンテレフタレートを15重量部の比率で芯成分をポリエチレンテレフタレートとする芯鞘複合繊維とした以外は実施例11と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表4に示す。
実施例15
実施例14に対して芯糸の芯鞘複合糸中のポリエチレンテレフタレートをジカルボン酸成分として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレートとした以外は実施例11と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表4に示す。
実施例16
ポリプロピレン(PP)(EXXON製“3155E5”)を84重量部、ポリエチレンテレフタレートを15重量部、相溶化剤としてスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(スチレンブロック25重量部、ブタジエンブロック/ブチレンブロック=0.25)を1重量部添加して、二軸エクストルーダーを用いて混練温度280℃で混練を行った。二軸エクストルーダーより吐出されたストランドを水冷した後、ペレタイザーにて5mm長程度にカットして、ペレットを得た。得られたペレットを150℃で12時間真空乾燥した後、エクストルーダー型溶融紡糸機へ供給して溶融させ、紡糸温度285℃、吐出量56.7g/分で紡糸口金(吐出孔径0.18mm、吐出孔長0.23mm、孔数36、丸孔)から吐出させて紡出糸条を得た。この紡出糸条を風温20℃、風速25m/分の冷却風で冷却し、給油装置で油剤を付与して収束させ、2500m/分で回転する第1ゴデットローラーで引き取り、第1ゴデットローラーと同じ速度で回転する第2ゴデットローラーを介して、ワインダーで巻き取って189dtex−36fの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を第1ホットローラー温度90℃、第2ホットローラー温度130℃、延伸倍率2.1倍の条件で延伸し、90dtex−36fのポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸を得た。得られたポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸を芯糸とした以外は実施例15と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表4に示す。
実施例17
実施例16に対してポリプロピレンマルチフィラメント延伸糸中のポリエチレンテレフタレートをジカルボン酸成分として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレートとした以外は実施例16と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表4に示す。
実施例18
実施例10に対して1次ヒーターを150℃の接触式ヒーターとした以外は実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表5に示す。
実施例19
実施例10に対して、第3ニップローラー8と第4ニップローラー10間でオーバーフィード率8.0%、2次ヒーター9を130℃の非接触ヒーターとした以外は実施例1と同様に複合仮撚糸を作製した。得られた複合仮撚糸の特性を表5に示す。
Figure 2021055207
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本発明の複合仮撚糸およびそれを用いた織編物は、速乾性、伸縮性、耐摩耗性、膨らみに優れたものであり、インナー、スポーツウエア、ファッション衣料などに好適に採用可能なものである。

Claims (5)

  1. 芯糸の周囲を鞘糸が覆う複合型の仮撚糸であって、芯糸がポリオレフィン繊維から実質的になり、鞘糸がポリエステル繊維から実質的になることを特徴とする複合仮撚糸。
  2. 下記式(1)で求められる糸長差が15%以上であることを特徴とする請求項1記載の複合仮撚糸。
    糸長差(%)=(S2−S1)/S1×100% (1)
    S2:鞘糸の単糸繊維長(cm)
    S1:芯糸の単糸繊維長(cm)
  3. 前記ポリオレフィン繊維がポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂とからなる芯鞘型、バイメタル型若しくは海島型(非相溶ポリマーアロイ型を含む)の複合糸であり、ポリオレフィン繊維の重量を100重量%としたとき、ポリオレフィン樹脂の重量が50%を超えることを特徴とする請求項1または2に記載の複合仮撚糸。
  4. 前記ポリオレフィン繊維が、芯鞘型若しくは海島型(非相溶ポリマーアロイ型を含む)の複合糸であることを特徴とする請求項3に記載の複合仮撚糸。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の複合仮撚糸がその少なくとも一部に用いられた織編物。
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