JP2021054418A - 包装材料およびパウチ - Google Patents

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靖也 飯尾
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Abstract

【課題】見栄えを高めることができ、かつピンホールの発生を抑制できるパウチを提供する。【解決手段】本発明の一の態様によれば、二軸延伸プラスチックフィルム31と、金属箔層32と、シーラントフィルム33とをこの順に備える包装材料30であって、二軸延伸プラスチックフィルム31が、ポリエステルを主成分とし、シーラントフィルム33が、ポリプロピレンを主成分とし、包装材料30中に二軸延伸プラスチックフィルム31は1枚のみであり、25℃の環境下で測定したときの包装材料30の一方向のヤング率が、3600MPa以上であり、25℃の環境下で測定したときの包装材料30の突き刺し強度が、15.0N以上である、包装材料30が提供される。【選択図】図3

Description

本発明は、包装材料およびパウチに関する。
従来、調理済あるいは半調理済の液体、粘体あるいは液体と固体とが混在する内容物を、プラスチック製の包装材料から構成されたパウチに充填密封したものが多く市場に出回っている。パウチにおいては、包装材料同士が接合されていない非シール部が、内容物が収容される収容部を構成しており、また包装材料同士が接合されているシール部が、収容部を密封している(例えば、特許文献1参照)。
特許第6157767号
現在、パウチにおいては、購買意欲を高めるために、パウチの見栄えを高めることが求められている。しかしながら、パウチを構成する包装材料のヤング率が小さい場合、加熱殺菌処理(ボイル処理)や加熱加圧殺菌処理(レトルト処理)を行うと、パウチに皺が発生することがあり、パウチの見栄えが損なわれるおそれがある。
また、輸送時の振動で、箱詰めされた段ボールの表面とパウチが擦れたり、あるいはパウチの角部同士が擦れたりして、パウチを構成する包装材料にピンホールが発生する場合がある。パウチにピンホールが発生してしまうと、内容物の保存性が損なわれるおそれがあるので、ピンホールの発生を抑制することが求められている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、見栄えを高めることができ、かつピンホールの発生を抑制できる包装材料、およびこれを備えるパウチを提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]二軸延伸プラスチックフィルムと、金属箔層と、シーラントフィルムとをこの順に備える包装材料であって、前記二軸延伸プラスチックフィルムが、ポリエステルを主成分とし、前記シーラントフィルムが、ポリプロピレンを主成分とし、前記包装材料中に二軸延伸プラスチックフィルムは1枚のみであり、25℃の環境下で測定したときの前記包装材料の一方向のヤング率が、3600MPa以上であり、25℃の環境下で測定したときの前記包装材料の突き刺し強度が、15.0N以上である、包装材料。
[2]前記シーラントフィルムの前記一方向における引張伸度(%)と厚さ(μm)の積が、30000以上50000以下である、上記[1]に記載の包装材料。
[3]前記シーラントフィルムの前記一方向と直交する方向における引張伸度(%)と厚さ(μm)の積が、45000以上55000以下である、上記[1]または[2]に記載の包装材料。
[4]前記シーラントフィルムが、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む、上記[1]ないし[3]のいずれか一項に記載の包装材料。
[5]前記二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、上記[1]ないし[4]のいずれか一項に記載の包装材料。
[6]上記[1]ないし[5]のいずれか一項に記載の包装材料を含む、パウチ。
[7]前記パウチに内容物が収容されている、上記[1]ないし[6]のいずれか一項に記載のパウチ。
本発明によれば、見栄えを高めることができ、かつピンホールの発生を抑制できる包装材料、およびこれを備えるパウチを提供できる。
図1は、実施形態に係るパウチの正面図である。 図2は、図1に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図である。 図3は、実施形態に係る包装材料の断面図である。 図4は、包装材料のヤング率を測定するための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図である。 図5は、包装材料のヤング率を測定するための試験片をパウチの裏面から切り出すときの図である。 図6は、試験片を用いてヤング率を測定する様子を示す図である。 図7は、包装材料の突き刺し強度を測定するための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図である。 図8は、包装材料の突き刺し強度を測定するための試験片をパウチの裏面から切り出すときの図である。 図9は、試験片を用いて突き刺し強度を測定する様子を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るパウチについて、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。図1は、本実施形態に係るパウチの正面図であり、図2は、図1に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図であり、図3は、本実施形態に係る包装材料の断面図である。図4は、包装材料のヤング率を測定するための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図であり、図5は、包装材料のヤング率を測定するための試験片をパウチの裏面から切り出すときの図であり、図6は、試験片を用いてヤング率を測定する様子を示す図である。図7は、包装材料の突き刺し強度を測定するための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図であり、図8は、包装材料の突き刺し強度を測定するための試験片をパウチの裏面から切り出すときの図であり、図9は、試験片を用いて突き刺し強度を測定する様子を示す図である。
<<<パウチ>>>
図1に示されるパウチ10は、スタンディング形式のパウチであり、内容物を収容する収容空間10Aを有している。内容物としては、特に限定されないが、固体、液体、またはこれらの混合物が挙げられる。内容物としては例えば、カレー、シチュー、スープ等の調理済食品が挙げられる。調理済食品は、ボイル処理やレトルト処理などの加熱殺菌処理が施されていてもよい。すなわち、内容物として、加熱殺菌食品や加圧加熱殺菌食品が収容されていてもよい。「レトルト処理」とは、内容物をパウチに充填してパウチを密封した後、蒸気または加熱温水を利用してパウチを加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。パウチは、内容物が充填されていない状態のパウチに限らず、内容物が充填されている状態のパウチも含む概念である。
図1に示されるパウチ10は、おもて面フィルム11、裏面フィルム12および底面フィルム13を有している。おもて面フィルム11および裏面フィルム12は、矩形の輪郭を有している。図1に示される状態においては、底面フィルム13は2つ折りの状態となっている。
パウチ10は、上部10B、上部10Bとは反対側の底部10C、上部10Bと底部10Cの間で延びる第1側部10Dおよび第2側部10Eとを有している。第2側部10Eは、第1側部10Dとは反対側の側部である。また、本明細書における「上」、「下」、「側」、「底」の位置は、パウチを自立させた状態での位置を意味している。
パウチ10の幅W1(図2参照)に対するパウチ10の高さH1(図2参照)の比(H/W1)は、0.6以上2.0以下であることが好ましい。H1/W1が0.6以上であれば、より多くの内容物を収容でき、またH1/W1が2.0以下であれば、開封前の状態でパウチ10を安定して自立させることができる。パウチ10の高さH1とは、後述する第1側部シール部16が延びる方向と平行なY方向DRYにおけるパウチ10の下縁10Gからパウチ10の上縁10Fまでの長さである。パウチの長さが一定でない場合には、パウチの高さは最も大きい値とする。パウチ10の幅W1とは、Y方向DRYと直交するX方向DRXにおけるパウチ10の第1側部10D側の側縁10Hから第2側部10Eの側縁10Iまでの長さである。パウチの幅W1が一定でない場合には、パウチの幅は最も短い値とする。本実施形態におけるパウチの寸法およびパウチを構成する各構成要素の寸法は、全て、後述するガセット部14を広げずにパウチをほぼ平面状にした状態で測定した値とする。
図1に示されるようにパウチ10は、底部10Cにガセット部14を有している。ガセット部14を設けることにより、より大きな内容物を収容したり、内容物の収容量を増やしたりすることができるとともにパウチ10を自立させることができる。
図1に示されるようにパウチ10は、パウチ10を密閉するためのシール部15を備えている。パウチ10におけるシール部15は、第1側部10Dに形成された第1側部シール部16と、第2側部10Eに形成された第2側部シール部17と、後述する第1ひだ部18に設けられた第1底部シール部20と、後述する第2ひだ部19に設けられた第2底部シール部21と、第1ひだ部18の側部と第2ひだ部19の側部に設けられた第3底部シール部22とを備えている。なお、図1においてはパウチ10の上部は開口しているが、内容物を収容空間10Aに充填した後、熱融着されて、図1における上縁10Fと二点鎖線で囲まれた上部シール部予定領域Rに上部シール部が形成され、パウチ10が密封される。上部シール部が形成された場合、上部シール部の幅W3(図2参照)は、例えば、2mm以上15mm以下となっていることが好ましい。
<第1側部シール部および第2側部シール部>
第1側部シール部16は、第1側部10Dにおいて、おもて面フィルム11と裏面フィルム12を互いに接合した部分であり、折込線14Aから上縁10Fに亘って形成されている。第2側部シール部17は、第2側部10Eにおいて、おもて面フィルム11と裏面フィルム12を互いに接合した部分であり、折込線14Aからパウチ10の上縁10Fに亘って形成されている。第1側部シール部16および第2側部シール部17の形成の際のおもて面フィルム11と裏面フィルム12の接合は、ヒートシール(熱融着)によって行われる。
第1側部シール部16および第2側部シール部17の幅W2(図2参照)は、例えば、それぞれ2mm以上15mm以下となっていることが好ましい。第1側部シール部16および第2側部シール部17の幅W2がそれぞれ2mm以上であれば、第1側部シール部16および第2側部シール部17において確実にシールすることができ、また15mm以下であれば、収容空間10Aをより広く確保することができる。本明細書において、各シール部における「幅」とは、シール部の延びる方向に直交する方向の長さを意味する。なお、シール部の幅が一定でない場合には、シール部の幅は、シール部の延びる方向に直交する方向の長さのうち最も短い値とする。幅W2の下限は、4mm以上であることがより好ましく、また上限は、10mm以下であることがより好ましい。
パウチ10は、第1側部シール部16および第2側部シール部17より下方に位置する第1ひだ部18および第2ひだ部19を備えている。
<第1ひだ部および第2ひだ部>
第1ひだ部18および第2ひだ部19は、ガセット部14を形成するための部位である。第1ひだ部18は、おもて面フィルム11と、底面フィルム13におけるおもて面フィルム11側の部分である第1部分を互いに接合することによって形成されており、第2ひだ部19は、裏面フィルム12と、底面フィルム13における裏面フィルム12側の部分である第2部分を互いに接合することによって形成されている。第1ひだ部18の形成の際のおもて面フィルム11と底面フィルム13の第1部分の接合および第2ひだ部19の形成の際の裏面フィルム12と底面フィルム13の第2部分の接合は、ヒートシール(熱融着)によって行われる。第1ひだ部18および第2ひだ部19は、例えば、長方形状になっていてもよい。
Y方向DRYにおける、パウチ10の高さH1に対する第1ひだ部18の高さH2(図2参照)の比(H2/H1)は、0.1以上0.5以下であることが好ましい。上記H2/H1が0.1以上であれば、より多くの内容物を収容できる。また、H2/H1が0.5以下であれば、パウチ10を自立させたときに、パウチを安定して自立させることができる。第1ひだ部18の高さH2とは、Y方向DRYの長さである。具体的には、折込線14Aからパウチ10の下縁10Gまでの長さである。第1ひだ部18の高さが一定でない場合には、第1ひだ部の高さは最も小さい値とする。第1ひだ部18の高さH2は、20mm以上50mm以下となっていてもよい。Y方向DRYにおける、パウチ10の高さH1に対する第2ひだ部19の高さの比も、H2/H1と同様である。
第1ひだ部18は、おもて面フィルム11と底面フィルム13の第1部分が接合された第1底部シール部20を有しており、第2ひだ部19は、おもて面フィルム11と底面フィルム13の第2部分が接合された第2底部シール部21を有している。
第1ひだ部18の側部の一部と第2ひだ部19の側部の一部は、おもて面フィルム11を構成する包装材料30の後述するシーラントフィルム33と裏面フィルム12を構成する包装材料30のシーラントフィルム33を接合することにより形成された第3底部シール部22によって接合されている。第3底部シール部22の形成の際のシーラントフィルム33同士の接合は、ヒートシール(熱融着)によって行われる。
第3底部シール部22は、第1ひだ部18の側部の一部と第2ひだ部19の側部の一部を互いに接合するための部分である。第3底部シール部22は、底面フィルム13に設けられた切欠きを介しておもて面フィルム11と裏面フィルム12を接合することによって形成されている。内容部を収容空間に充填する際に底面フィルムを広げる観点から、パウチの底部中央部においては第1ひだ部と第2ひだ部は離れていることが必要であるが、第1ひだ部と第2ひだ部が完全に離れていると、収容空間に内容物を充填したときに、第1ひだ部と第2ひだ部が内容物の重量に耐え切れず、第1ひだ部と第2ひだ部との間が開いてしまい、パウチの自立が困難になるおそれがある。また、二軸延伸プラスチックフィルム同士はヒートシールできないので、二軸延伸プラスチックフィルム同士が向かい合っている第1ひだ部と第2ひだ部は、そのままではヒートシールできない。このため、第3底部シール部22を形成することによって、第1ひだ部18と第2ひだ部19の両側部の一部を接合している。これにより、内容物を充填する際に、底面フィルム13の広がりを阻害せず、かつ安定してパウチ10を自立させることができる。
図1に示されるように、第1側部シール部16および第2側部シール部17には、開封の際の起点となり得る開封開始手段23が設けられている。開封開始手段23は、第1側部シール部16および第2側部シール部17のいずれかに設けられていればよい。
<<開封開始手段>>
開封開始手段23は、パウチ10の開封の際の起点となり得るものである。開封開始手段23としては、切込みや切欠き等が挙げられる。図1に示される開封開始手段23は、切欠きとなっている。
<<包装材料>>
おもて面フィルム11、裏面フィルム12および底面フィルム13は、図3に示される包装材料30から構成されている。また、底面フィルム13は、図3に示される包装材料30から構成されていてもよい。包装材料30は、少なくとも、二軸延伸プラスチックフィルム31と、金属箔層32と、シーラントフィルム33とをこの順に備えている。包装材料30は、包装材料30中に二軸延伸プラスチックフィルムを1枚のみ有している。シーラントフィルムは、パウチ10の内面を構成する層である。図3に示される包装材料30は、例えば、二軸延伸プラスチックフィルム31、印刷層34、第1接着剤層35、金属箔層32、第2接着剤層36およびシーラントフィルム33をこの順で備えている。なお、包装材料は、二軸延伸プラスチックフィルム31とシーラントフィルム33との間に、所望の機能を発揮する機能層をさらに備えていてもよい。パウチ10は、ロール状に巻き取られた包装材料30を連続的に搬送しながら作製することができる。
包装材料30は、25℃の環境下で測定したときの一方向のヤング率が、3600MPa以上となっている。包装材料30における一方向のヤング率は、3700MPa以上であることが好ましく、3800MPa以上であることがより好ましい。包装材料30における一方向と直交する方向のヤング率は、3500MPa以上であることが好ましく、3600MPa以上であることがより好ましい。包装材料30の一方向は、例えば、パウチ10におけるX方向DRXであり、包装材料30の一方向と直交する方向は、例えば、パウチ10におけるY方向DRYであってもよい。また、例えば、包装材料30の流れ方向(MD)がパウチ10のX方向DRXに該当していてもよく、例えば、包装材料30の幅方向(TD)がパウチ10のY方向DRYに該当してもよい。また、例えば、包装材料30の一方向が流れ方向(MD)に該当していてもよく、例えば、包装材料30の一方向と直交する方向が幅方向(TD)に該当していてもよい。
包装材料30のヤング率の測定は、後述する試験片S1、S2の長さ以外については、JIS K7127に準拠して行なうものとする。まず、パウチ10のおもて面フィルム11から、シール部15を含まないようにして、一辺L1(図4参照)が15mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L2(図4参照)が100mmの長方形状の試験片S1(図4参照)を5個切り出す。試験片S1は、他辺L2がX方向DRX(第1側部シール部16が延びる方向と直交する方向)と平行になるように切り出す。続いて、パウチ10の裏面フィルム12から、シール部15を含まないようにして、一辺L1(図5参照)が15mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L2(図5参照)が100mmの長方形状の試験片S2(図5参照)を5個切り出す。試験片S2は、他辺L2がY方向DRY(第1側部シール部16が延びる方向と平行な方向)と平行になるように切り出す。その後、各試験片S1、S2を25℃の環境下で24時間保持する。そして、テンシロン万能材料試験機RTC−1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、試験片S1、S2のヤング率を測定する。具体的には、まず、図6に示されるように把持具51、52で試験片S1の長手方向の両端部を把持する。なお、図6においては、試験片S1、S2の層構成を一部省略している。そして、温度25℃、相対湿度50%の環境下で初期把持具間距離D1(図6参照)を50mmとした状態で、引張速度300mm/分で試験片S1を試験片S1の長手方向に引張る引張試験を行い、試験片S1のヤング率を測定する。試験片S2のヤング率も試験片S1と同様の測定条件によって測定する。そして、5個の試験片S1について、ヤング率を測定し、その平均値を包装材料30のX方向DRXのヤング率とする。また、5個の試験片S2について、ヤング率を測定し、その平均値を包装材料30のY方向DRYのヤング率とする。
包装材料30は、25℃の環境下で測定したときの突き刺し強度が、15.0N以上となっている。上記突き刺し強度は、16.0N以上であることが好ましく、16.3N以上がより好ましく、16.5N以上がさらに好ましい。
包装材料30の突き刺し強度の測定は、JIS K1707:1999 7.4に準拠して行うものとする。まず、パウチ10について、それぞれ3つ準備する。1つのパウチ10について、おもて面フィルム11から、シール部15を含まないようにして、一辺L3(図7参照)が75mm、一辺L3と直交する方向に延びる他辺L4(図7参照)が75mmの正方形状の試験片S3(図7参照)を1個切り出すとともに、裏面フィルム12から、シール部15を含まないようにして、一辺L3(図8参照)が75mm、一辺L3と直交する方向に延びる他辺L4(図8参照)が75mmの正方形状の試験片S3(図8参照)を1個切り出す。残り2つのパウチについても、同様にして試験片S3を切り出し、合計6個の試験片S3を準備する。試験片S3は、一辺L3がY方向DRY(第1側部シール部16が延びる方向と平行な方向)と平行になるように切り出す。その後、各試験片S3を25℃の環境下で24時間保持する。そして、テンシロン万能材料試験機RTC−1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、試験片S3に対して、包装材料30の外面(二軸延伸プラスチックフィルム31)側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針53(図9参照)を、50mm/分の速度で突き刺し、針53が試験片S3を貫通するまでの応力の最大値を測定する。なお、図9においては、試験片S3の層構成を一部省略している。6個の試験片S3のうち5個について、応力の最大値を測定し、その平均値を包装材料の突き刺し強度とする。
<二軸延伸プラスチックフィルム>
二軸延伸プラスチックフィルムとは、プラスチックフィルムの機械強度を向上させるために、意図的に延伸加工が施されたプラスチックフィルムである。本発明において、二軸延伸プラスチックフィルムとは、以下の(a)または(b)の少なくともどちらか一方を満たすものを指す。
(a)ヤング率が一方向および一方向と直交する方向において1000MPa以上
(b)引張伸度が一方向および一方向と直交する方向において200%以下
二軸延伸プラスチックフィルムのヤング率および引張伸度の測定は、JIS K7127に準拠して行うものとする。まず、二軸延伸プラスチックフィルムから一辺が15mm、一辺と直交する方向に延びる他辺が150mmの長方形状の試験片を切り出し、この試験片を25℃の環境下で24時間保持する。そして、テンシロン万能材料試験機RTC−1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で試験片のヤング率測定および引張伸度測定を行う。初期把持具間距離は100mm、引張速度は300mm/分とする。なお、初期把持具間距離を100mmとして測定することができる限りにおいて、一辺と直交する方向の長さは調整可能である。
二軸延伸プラスチックフィルム31は、所定の二方向において延伸されているプラスチックフィルムである。二軸延伸プラスチックフィルム31は、包装材料30に所定の強度を持たせるための基材フィルムとして機能する。二軸延伸プラスチックフィルム31の延伸方向は特には限定されない。例えば、二軸延伸プラスチックフィルム31は、側縁10Hが延びる方向およびこの方向に直交する方向において延伸されていてもよい。二軸延伸プラスチックフィルム31の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
二軸延伸プラスチックフィルム31は、ポリエステルを主成分として含む。本明細書における「ポリエステルを主成分として含む」とは、二軸延伸プラスチックフィルムが50質量%を超えるポリエステルを含むことを意味する。ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などを挙げることができる。なお、二軸延伸プラスチックフィルム31における、50質量%を超えるポリエステルは、一種類のポリエステルによって構成されていてもよく、二種類以上のポリエステルによって構成されていてもよい。二軸延伸プラスチックフィルムとして、二軸延伸PETフィルムを用いることができる。二軸延伸PETフィルムは、PETを80質量%以上含むことが好ましい。さらに、二軸延伸PETフィルムは、PETを90質量%以上含むことがより好ましく、95%以上含むことがさらに好ましい。
二軸延伸プラスチックフィルム31の厚みは、好ましくは8μm以上であり、より好ましくは9μm以上であり、さらに好ましくは12μm以上である。また、二軸延伸プラスチックフィルム31の厚みは、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。二軸延伸プラスチックフィルム31の厚みを8μm以上にすることにより、二軸延伸プラスチックフィルム31が十分な強度を有するようになる。また、二軸延伸プラスチックフィルム31の厚みを30μm以下にすることにより、二軸延伸プラスチックフィルム31が優れた成形性を示すようになる。このため、包装材料30を加工してパウチ10を製造する工程を効率的に実施することができる。
<金属箔層>
金属箔層32を構成する金属として、酸素および水蒸気等の透過を抑制するガスバリア性や可視光および紫外線等の透過を抑制する遮光性の点から、アルミニウム、鉄、銅、錫、またはこれらの合金等を使用できる。金属箔層としては、コストの観点から、アルミニウム箔層が好ましい。
金属箔層32の厚みは5μm以上30μm以下であることが好ましい。金属箔層32の厚みが5μm以上であれば、包装材料30に対してガスバリア性や耐ピンホール性を担保することができるとともに可視光等の透過を抑制でき、また厚みが30μm以下であれば、包装材料30に対して良好な手触り感や開封性を実現できる。金属箔層32の厚みの下限は6μm以上であることがより好ましく、また金属箔層32の厚みの上限は15μm以下であることがより好ましい。
<シーラントフィルム>
次に、シーラントフィルム33について説明する。シーラントフィルム33は、単層であってもよく、多層であってもよい。また、シーラントフィルム33は、好ましくは未延伸のフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
シーラントフィルムとは、以下の(c)または(d)の少なくともどちらか一方を満たすものを指す。
(c)ヤング率が一方向および一方向と直交する方向において1000MPa未満
(d)引張伸度が一方向および一方向と直交する方向において300%以上
シーラントフィルムのヤング率および引張伸度の測定は、JIS K7127に準拠して行うものとする。まず、シーラントフィルムから一辺が15mm、一辺と直交する方向に延びる他辺が150mmの長方形状の試験片を切り出し、この試験片を25℃の環境下で24時間保持する。そして、テンシロン万能材料試験機RTC−1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下でヤング率測定および引張伸度測定を行う。初期把持具間距離は100mm、引張速度は300mm/分とする。なお、初期把持具間距離を100mmとして測定することができる限りにおいて、一辺と直交する方向の長さは調整可能である。
包装材料30から構成されたパウチ10には、レトルト処理などの殺菌処理が高温で施される。したがって、シーラントフィルム33は、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有するものが用いられる。
シーラントフィルム33を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。シーラントフィルム33の融点を高くすることにより、パウチ10のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レトルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラントフィルム33を構成する材料の融点は、二軸延伸プラスチックフィルム31を構成する樹脂の融点より低い。
シーラントフィルム33は、ポリプロピレンを主成分として含む。本明細書における「ポリプロピレンを主成分として含む」とは、シーラントフィルムが50質量%を超えるポリプロピレンを含むことを意味する。プロピレンを主成分とする材料としては、具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、またはポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものなどを挙げることができる。ここで、「プロピレン・エチレンブロック共重合体」とは、下記式(1)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「プロピレン・エチレンランダム共重合体」とは、下記式(2)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「ホモポリプロピレン」とは、下記式(3)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2021054418
上記式(1)中、m1、m2、m3は、1以上の整数を表す。
Figure 2021054418
上記式(2)中、m、nは、1以上の整数を表す。
Figure 2021054418
上記式(3)中、mは、1以上の整数を表す。
プロピレンを主成分とする材料として、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものを用いる場合には、材料は、海島構造を有していてもよい。ここで、「海島構造」とは、ポリプロピレンが連続する領域の内に、ポリエチレンが不連続に分散している構造をいう。
好ましくは、シーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムである。例えば、シーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラントフィルム33の耐衝撃性を高めることができ、これにより、落下時の衝撃によりパウチ10が破袋してしまうことを抑制することができる。また、包装材料30の耐突き刺し性を高めることができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラントフィルム33の機械特性を調整することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
シーラントフィルム33におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体の含有率は、例えば80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルム33としては、後述するZK207のような、高い引張弾性率を有するタイプがある。このタイプのシーラントフィルム33を用いることにより、流れ方向(MD)に沿って消費者がパウチ10を引き裂くことによりパウチ10を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で24時間保持した後25℃の環境下で測定した引張伸度(%)は、好ましくは1100(%)以下であり、より好ましくは1000(%)以下であり、900(%)以下、または800(%)以下であってもよい。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の引張伸度(%)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、30000以上50000以下であることが好ましい。流れ方向(MD)におけるこの積の下限は、34000以上、36000以上、または38000以上がより好ましい。
幅方向(TD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で24時間保持した後25℃の環境下で測定した引張伸度(%)は、好ましくは1200(%)以下であり、より好ましくは1100(%)以下であり、1000(%)以下、または900(%)以下であってもよい。また、幅方向(TD)におけるシーラントフィルム33の引張伸度(%)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、45000以上55000以下であることが好ましい。幅方向(TD)におけるこの積の下限は、47000以上、または49000以上であることがより好ましい。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で24時間保持した後25℃の環境下で測定した引張弾性率(MPa)は、好ましくは500MPa以上であり、より好ましくは600MPa以上であり、650MPa以上、または700MPa以上であってもよい。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の引張弾性率(MPa)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上であり、より好ましくは38000以上であり、更に好ましくは45000以上である。シーラントフィルム33が高い引張弾性率を有することにより、パウチ10を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
幅方向(TD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で24時間保持した後25℃の環境下で測定した引張弾性率(MPa)は、好ましくは450MPa以上であり、より好ましくは500MPa以上であり、550MPa以上、または600MPa以上であってもよい。また、幅方向(TD)におけるシーラントフィルム33の引張弾性率(MPa)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは28000以上であり、より好ましくは30000以上である。
シーラントフィルム33の引張弾性率は、シーラントフィルム33の引張伸度と同様の測定方法および同様の測定条件で、測定するものとする。
<印刷層>
印刷層34は、内容物や包装製品の情報を付与したり、またはパウチに美観を付与したりするための層であり、例えば、色材およびバインダ樹脂を含む。印刷層34を形成することにより、パウチ10に絵柄を形成することができる。本明細書における「絵柄」とは、特に限定されず、例えば、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。グラビア印刷用のインキとしては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを用いることができる。
印刷層34は、その他、任意の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、充填剤、硬化剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、シランカップリング剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、顕色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、特に印刷適正、印刷効果等の改善を目的に使用され、その種類、使用量は、印刷方法、印刷基材、印刷条件により適宜選択できる。印刷層34は、二軸延伸プラスチックフィルム31にグラビア印刷等の印刷法により形成することができる。
(色材)
色材は、特に限定されず、公知の顔料や染料を用いることができ、所望の色に合わせて適宜選択する。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、(メタ)アクリレート化合物の重合体、または、これらの混合物が挙げられる。
<第1接着剤層および第2接着剤層>
第1接着剤層35は、二軸延伸プラスチックフィルム31と金属箔層32とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。第2接着剤層36は、金属箔層32とシーラントフィルム33とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。
第1接着剤層35および第2接着剤層36を構成する接着剤は、それぞれ、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を含む第2組成物とを混合して作製した接着剤組成物から生成される。具体的には、接着剤は、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して生成された硬化物を含む。
接着剤の例としては、ポリウレタンなどを挙げることができる。ポリウレタンは、主剤としてのポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成されるポリオールとイソシアネート化合物との硬化物である。ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンなどを挙げることができる。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族系イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系イソシアネート化合物、あるいは、上記各種イソシアネート化合物の付加体または多量体を用いることができる。
第1接着剤層35および第2接着剤層36の厚みは、それぞれ、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。また、第1接着剤層35および第2接着剤層36の厚みは、それぞれ、好ましくは6μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。
ところで、接着剤の硬化剤を構成するイソシアネート化合物としては、上述のように、芳香族系イソシアネート化合物及び脂肪族系イソシアネート化合物が存在する。このうち芳香族系イソシアネート化合物は、加熱殺菌などの高温環境下において、食品用途で使用できない成分が溶出する。ところで、第2接着剤層36は、シーラントフィルム33に接している。このため、第2接着剤層36が芳香族系イソシアネート化合物を含む場合、芳香族系イソシアネート化合物から溶出された成分が、シーラントフィルム33に接する収容空間10Aに収容されている内容物に付着することがある。このような課題を考慮し、好ましくは、第2接着剤層36を構成する接着剤として、主剤としてのポリオールと、硬化剤としての脂肪族系イソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物を用いる。これにより、第2接着剤層36に起因する、食品用途で使用できない成分が、内容物に付着することを防止することができる。
包装材料30の具体例としては、例えば以下の包装材料が挙げられる。なお、「/」は、層を列記する場合に、層と層との境界を示す表記として用いている。層については、パウチの外側から内側に向かって記載するものとする。すなわち最も右側に記載された層がシーラントフィルムである。また、下記「Al箔層」はアルミニウム箔層を意味する。
二軸延伸PETフィルム/印刷層/接着剤層/Al箔層/接着剤層/シーラントフィルム
本実施形態によれば、25℃の環境下で測定したときの一方向(例えば、流れ方向(MD))の包装材料30のヤング率が3600MPa以上であるので、一方向のヤング率が高い。これにより、加熱殺菌処理(ボイル処理)や加熱加圧殺菌処理(レトルト処理)を行った場合に皺が発生することを抑制できるので、パウチ10の見栄えを高めることができる。また、包装材料30を用いてスタンディング形式のパウチ10を作製した場合は、自立性を高めることができる。
本実施形態によれば、25℃の環境下で1分間保持した後、25℃の環境下で測定したときの包装材料30の突き刺し強度が、15.0N以上であるので、突き刺し強度が高く、これによりピンホールの発生を抑制できる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<実施例1>
まず、二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。続いて、このフィルムに印刷層を形成した。印刷層の厚みは1.0μmであった。また、金属箔層として、厚さ7μmのアルミニウム(Al)箔層を準備した。また、シーラントフィルムとして、厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK207」、東レフィルム加工株式会社製)を準備した。ZK207は、上述のプロピレン・エチレンブロック共重合体を含むものであった。
ZK207は、低い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に790%であり、厚みが60μmの場合に730%である。したがって、流れ方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39500であり、厚みが60μmの場合に43800である。また、幅方向(TD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1020%であり、厚みが60μmの場合に870%である。したがって、幅方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に51000であり、厚みが60μmの場合に52200である。
続いて、ドライラミネート法により、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、印刷層、第1接着剤層、Al箔層、第2接着剤層、および未延伸ポリプロピレンフィルムを順に積層し、包装材料を作製した。第1接着剤層および第2接着剤層としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU−40、硬化剤:H−4)を用いた。なお、主剤のRU−40は、ポリエステルポリオールである。第1接着剤層および第2接着剤層の厚さは、3.0μmであった。
そして、上記で作製した包装材料3枚を用いて、200mlの水を充填の上、図1に示すスタンディングパウチを作製した。具体的には、まず、底面となる包装材料においては、シーラントフィルムである未延伸ポリプロピレンフィルムが外側となるように2つ折りにして、折線を介して連設された第1部分および第2部分を形成しておき、また2つ折りの状態で、裁断後にパウチとしたとき底面の横方向の両縁部の下端近傍となる箇所を直径10mmの円状に打ち抜き、貫通孔を形成した。
そして、おもて面フィルムとなる包装材料および裏面フィルムとなる包装材料の間の所定の位置に2つ折りにした底面フィルムとなる包装材料を配置して、以下の条件で熱融着して、第1側部シール部、第2側部シール部、第1底部シール部を有する第1ひだ部、および第2底部シール部を有する第2ひだ部を形成した。これにより、上部が開口したパウチが得られた。なお、貫通孔の部分においては、2つ折りにした底面となる包装材料が存在しないので、おもて面フィルムとなる包装材料および裏面フィルムとなる包装材料が直接融着して、第3底部シール部が形成された。
(熱融着条件)
・熱融着装置:ヒートシーラーTP−701−A(テスター産業社株式会社製)
・熱融着温度:220℃
・熱融着圧力:0.1MPa
・熱融着時間:1秒間
その後、パウチに対して開口から水200mlを充填した後、上記熱融着条件と同様の条件で熱融着して上部シール部を形成し、パウチを密封した。その後、パウチに対して以下の条件でレトルト処理を行って、レトルト処理が施された実施例1に係る包装材料およびパウチを作製した。実施例1においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
(レトルト処理)
・方式:スプレー式
・レトルト温度:135℃
・レトルト時間:40分
作製されたパウチにおいては、パウチの高さH1が160mm、パウチの幅W1が147mm、第1ひだ部の高さH2および第2ひだ部の高さが46mm、第1側部シール部および第2側部シール部の幅W2が7.0mm、上部シール部の幅W3が10.0mmであった。
<実施例2>
厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK207」、東レフィルム加工株式会社製)の代わりに、シーラントフィルムとして、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK207」、東レフィルム加工株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、実施例2に係るパウチを作製した。実施例2においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<実施例3>
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)の代わりに、二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「FE2001」、フタムラ化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、実施例3に係るパウチを作製した。実施例3においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<比較例1>
厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK207」、東レフィルム加工株式会社製)の代わりに、シーラントフィルムとして、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、比較例1に係るパウチを作製した。比較例1においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<ヤング率測定>
実施例1〜3および比較例1に係るレトルト処理後のパウチを構成する包装材料のヤング率を測定した。なお、ヤング率の測定は、後述する試験片の長さ以外については、JIS K7127に準拠して行われた。図4に示すように、各パウチのおもて面から、シール部を含まないようにして、一辺L1が15mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L2が100mmの長方形状の試験片S1を5個切り出した。試験片S1は、他辺L2がX方向(第1側部シール部が延びる方向と直交する方向)と平行になるように切り出した。続いて、図5に示すように、各パウチの裏面から、シール部を含まないようにして、一辺L1が15mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L2が100mmの長方形状の試験片S2を5個切り出した。試験片S2は、他辺L2がY方向(第1側部シール部が延びる方向と平行な方向)と平行になるように切り出した。その後、各試験片S1、S2を25℃の環境下で24時間保持した。そして、テンシロン万能材料試験機RTC−1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で初期把持具間距離D1が50mmとなり、かつ引張速度が300mm/分となるように引張試験を行い、試験片S1のヤング率を測定した。5個の試験片S1について、ヤング率を測定し、その平均値を包装材料のX方向のヤング率とした。同様にして、試験片S2のヤング率を測定した。5個の試験片S2について、ヤング率を測定し、その平均値を包装材料のY方向のヤング率とした。なお、L1、L2、S1、S2、およびD1は、図4〜図6の示す通りである。
<突き刺し強度>
実施例1〜3および比較例1に係るレトルト処理後のパウチを構成する包装材料の突き刺し強度をJIS K1707:1999 7.4に準拠して測定した。まず、実施例1〜3および比較例1に係るレトルト処理後のパウチについて、それぞれ3つ準備した。1つのパウチについて、図7に示すように、おもて面から、シール部を含まないようにして、一辺L3が75mm、一辺L3と直交する方向に延びる他辺L4が75mmの正方形状の試験片S3を1個切り出すとともに、図8に示すように、裏面から、シール部を含まないようにして、一辺L3が75mm、一辺L3と直交する方向に延びる他辺L4が75mmの正方形状の試験片S3を1個切り出した。残り2つのパウチについても、同様にして試験片S3を切り出し、合計6個の試験片S3を準備した。試験片S3は、一辺L3がY方向(第1側部シール部が延びる方向と平行な方向)と平行になるように切り出した。その後、各試験片S3を25℃の環境下で24時間保持した。そして、テンシロン万能材料試験機RTC−1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、試験片S3に対して、包装材料の外面(二軸延伸PETフィルム)側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50mm/分の速度で突き刺し、針が試験片S3を貫通するまでの応力の最大値を測定した。6個の試験片S3のうち5個について、応力の最大値を測定し、その平均値を包装材料の突き刺し強度とした。なお、L3、L4、S3は、図7および図8の示す通りである。
<外観評価>
実施例1〜3および比較例1に係るレトルト処理後のパウチの外観を評価した。外観評価は、以下のようにして行われた。まず、レトルト処理後の各パウチを10袋ずつ用意し、パウチに皺が発生しているか否か目視で確認した。パウチ10袋中、皺が発生していないパウチの数、および皺が発生したが、皺が実用上OKレベルであったパウチの数をそれぞれカウントした。
以下、包装材料の構成を表1に示し、評価結果を表2に示す。
Figure 2021054418
Figure 2021054418
以下、結果について述べる。表2に示されるように、実施例1〜3に係る包装材料は、比較例1に係る包装材料に比べて、レトルト処理後のパウチにおける皺の発生が抑制できていた。また、実施例1〜3に係るパウチを構成する包装材料は、突き刺し強度が高いので、ピンホールの発生を抑制することができる。
10…パウチ
10A…収容空間
11…おもて面フィルム
12…裏面フィルム
13…底面フィルム
15…シール部
30…包装材料
31…第1の二軸延伸プラスチックフィルム
32…金属箔層
33…シーラントフィルム

Claims (7)

  1. 二軸延伸プラスチックフィルムと、金属箔層と、シーラントフィルムとをこの順に備える包装材料であって、
    前記二軸延伸プラスチックフィルムが、ポリエステルを主成分とし、
    前記シーラントフィルムが、ポリプロピレンを主成分とし、
    前記包装材料中に二軸延伸プラスチックフィルムは1枚のみであり、
    25℃の環境下で測定したときの前記包装材料の一方向のヤング率が、3600MPa以上であり、
    25℃の環境下で測定したときの前記包装材料の突き刺し強度が、15.0N以上である、包装材料。
  2. 前記シーラントフィルムの前記一方向における引張伸度(%)と厚さ(μm)の積が、30000以上50000以下である、請求項1に記載の包装材料。
  3. 前記シーラントフィルムの前記一方向と直交する方向における引張伸度(%)と厚さ(μm)の積が、45000以上55000以下である、請求項1または2に記載の包装材料。
  4. 前記シーラントフィルムが、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の包装材料。
  5. 前記二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の包装材料。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の包装材料を含む、パウチ。
  7. 前記パウチに内容物が収容されている、請求項6に記載のパウチ。
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