JP2021052740A - 培養材、培養土、植物の苗、および植物の栽培方法 - Google Patents

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美聡 阿部
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成紀 石黒
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Masaki Tsuji
真輝 辻
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邦具 水島
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Kazuhiko Narisawa
一彦 成澤
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Abstract

【課題】V.simplexに属する菌が良好に培養でき、かつ、量産化も容易な培養材を提供する。【解決手段】Veronaeopsis simplexに属する菌を培養する培養材である。針葉樹の木材を砕いて形成された、堆肥化されていない木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を含有させる。【選択図】図4

Description

開示する技術は、Veronaeopsis simplexに属する菌の利用技術に関するものであり、培養材、培養土、苗、および植物の栽培方法に関する。
土壌には、細菌や真菌などの多種多様な微生物が棲息している。そして、植物の多くは、これら微生物と互いに補完し合いながら共生していることが知られている。
このような共生微生物の利用により、特定の植物の生長を促進させたり、病害や環境への耐性を付与したりすることが行われている。その代表例として、VA菌根菌が広く知られている。
VA菌根菌が植物に感染すると、その植物にVA菌根が形成される。VA菌根の形成により、栄養素の吸収性の改善、病害や環境への耐性の発現などの効果が認められる。そのため、VA菌根菌の植物栽培への利用については、これまでも様々な検討が行われている(例えば特許文献1)。
開示する技術に関し、トマトの苗に、V.simplexに属する菌(NITE AP−01933の受領番号を有するVeronaeopsis simplexに属する菌株)を接種することにより、放射性セシウムの吸収を抑制する技術が開示されている(特許文献2)。
特許文献2には、V.simplexに属する菌の中に、VA菌根菌と同様に、トマトやハクサイに対して、高温ストレス耐性や酸性耐性を付与できるものが存在していることが開示されている。
本出願人は、農業や園芸等に好適な木質培土について開発を行っており、これまでも様々な技術を開示している。例えば、特許文献3では、クエン酸鉄アンモニウムを含有させることで、植物が良好に生育できる木質培土(堆肥化していない木材を素材とした培土)が得られることを開示している。
特許第6315195号公報 特開2018−117589号公報 特許第6469142号公報
上述したように、V.simplexに属する菌の中には、VA菌根菌と同様に有利な効果が期待できるものが存在する。そこで、本発明者らは、V.simplexに属する菌を実用化すれば、植物栽培に有効活用できると考え、V.simplexに属する菌の量産化を試みた。
V.simplexに属する菌は、真菌である。実験的に培養するだけであれば、寒天培地等が利用できるが、量産するには、寒天培地等はコストの面で適さない。
一方、代表的な真菌にキノコ類がある。キノコ類は、既に菌床栽培によって量産化されている。その菌床栽培では、培地に、針葉樹の「おがこ(切り屑)」に、米糠などの栄養材を添加したものが、一般に用いられている。
そのため、本発明者らは、堆肥化されていない針葉樹のおがこおよび樹皮を、そのような菌床栽培の培地と同様に配合した培養材を用いてV.simplexに属する菌の培養を試みた。ところが、V.simplexに属する菌の場合、そのような培養材では良好に培養できないことを見出した。そこで、V.simplexに属する菌を良好に培養でき、かつ、量産化も容易な培養材について検討した結果、開示する技術を確立するに至った。
すなわち、開示する技術の主たる目的は、V.simplexに属する菌を良好に培養でき、かつ、量産化も容易な培養材を提供することにある。
開示する技術は、V.simplexに属する菌を培養する培養材に関するものであり、針葉樹の木材を砕いて形成された、堆肥化されていない木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を含有してなることを特徴としている。
詳細は後述するが、針葉樹の木材を砕いて形成された、堆肥化されていない木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を含有させる改質処理を施すことで、V.simplexに属する菌の良好な培養ができるようなる。
木材砕片であれば、木材加工の端材等、廃棄物のリサイクルが可能になる。しかも、この種の培養材の場合、その用途から、安価かつ大量消費が前提となるが、硫酸鉄およびクエン酸を含有させるだけでよいので、低コストであり、実用化も容易である。なお、ここでいう「硫酸鉄」は、主に硫酸第一鉄(FeSO・7HO)をいうが、硫酸第二鉄であってもよい。硫酸第二鉄とした場合、含有比率は、水和水を除く重量に基づいて換算すればよい。
前記培養材はまた、前記木材砕片の絶乾重量に対し、0.05重量%以下の前記硫酸鉄と、0.01重量%以下の前記クエン酸とを含有するようにすればよい。
そうすれば、微量の硫酸鉄およびクエン酸を含有させるだけで、V.simplexに属する菌を良好に生長させることができる。従って、V.simplexに属する菌の培養に適した培養材を、より安価に実現できる。
前記菌は、NITE AP−01933の受領番号を有する菌株、MAFF番号240802を有する菌株、および、「CBS 588.66」のCBS番号を有する菌株の少なくともいずれか1つの菌株の菌を含むようにするとよい。
これら菌株であれば、V.simplexに属する菌として特定されており、所定の機関を通じて入手可能である。
前記培養材の基材は、木材砕片である。従って、その特性を活用し、植物栽培用の培養土や苗に適用するのが好ましい。
すなわち、V.simplexに属する菌が培養された状態の培養材を含む、植物栽培用の培養土としたり、V.simplexに属する菌が培養された状態の培養材が根に付着している苗としたりしてもよい。
前記培養材を用いた植物の栽培方法としては、例えば、針葉樹の木材を砕いて木材砕片を形成する粉砕処理と、前記木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を添加して改質する改質
処理と、改質した前記木材砕片にV.simplexに属する菌を接種して培養する培養処理とを実行し、前記培養処理が行われた前記木材砕片を前記植物の根に接触させる感染処理を行うようにするとよい。
そうすれば、植物の生長促進や有利な耐性の付与などの効果が得られるようになる。
開示する技術によれば、V.simplexに属する菌が良好に培養でき、かつ、量産化も容易な培養材が得られるので、植物栽培に効果的に活用できる。
改質処理による各実施例および比較例での含有成分をまとめた表である。 培養試験後の主なサンプルの写真である。(a)は比較例、(b)は実施例1。 菌糸の伸長速度の測定方法を説明するための図である。 菌糸の伸長速度の測定結果をまとめたグラフである。 培養材を用いた植物栽培方法の主な処理を示す流れ図である。 (a)、(b)は、培養材の形状特性を活かした具体的な実施例である。 他の菌株(K45菌株、CBS菌株)での、菌糸の伸長速度の測定結果をまとめたグラフである。図4に示すY34菌株の測定結果も併せて示してある。
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
<培養材>
上述したように、本発明者らは、V.simplexに属する菌は、堆肥化されていない針葉樹のおがこをベースにした培地では、良好に培養できないことを見出した。
その一方で、本出願人は、堆肥化していない針葉樹の木材を砕いて形成した木材砕片をクエン酸鉄アンモニウムで改質すれば、水洗による生育阻害物質の除去をしなくても、植物が良好に生育できるようになることを見出している。本発明者らは、この技術に着目し、V.simplexに属する菌の培養に利用できないか、検討を行った。
その結果、そのような堆肥化されていない木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を含有させることで、V.simplexに属する菌を良好に培養できる培養材が得られることを見出した。その具体的な試験内容について説明する。
(V.simplexに属する菌)
V.simplexに属する菌には、複数の菌株が存在する。そのうち、入手可能な菌株としては、例えば、NITE AP−01933の受領番号を有する菌株(Y34菌株)、株名がK45からなる菌株(K45菌株)、および、「CBS 588.66」のCBS番号を有する菌株(CBS588.66菌株、以下CBS菌株ともいう)がある。
K45菌株は、農業生物資源ジーンバンクに、MAFF番号240802で登録されており、同ジーンバンクを通じて入手できる。そして、CBS588.66菌株は、オランダのカルチャーコレクション機関(CBS−KNAW culture collection)に、CBS番号(CBS 588.66)で登録されており、同機関を通じて入手できる。
(菌の準備)
試験にはY34菌株の菌を使用した(K45菌株およびCBS菌株については、別途後述)。コーンミールアガー:8.5g、麦芽エキス:10g、酵母エキス:1.0gを水1Lに溶解したものを、滅菌処理(121℃、20分)した後、20mlずつ滅菌シャーレに分注し、寒天培地を作製した。これら寒天培地に、菌を接種し、培養チャンバーにて各菌株に適した培養温度で2週間培養した。
(木材砕片の作製、改質)
カッターミルを用いて、スギの端材を切削粉砕した。4mmのメッシュで篩に掛け、そのメッシュを通過した、4mm以下のサイズの木材の粉砕物(木材砕片)を試験に供した。なお、ここでのメッシュサイズの定義は、JIS Z 8801−1に規定される試験用ふるいの公称目開き同等のものをいう。
得られた木材砕片に対し、添加物の種類、添加濃度を変えることにより、改質処理を行い、5種のサンプルを作製した(実施例1〜5)。一方、改質処理を行わない、粉砕しただけの木材砕片を比較例とした。
これら実施例1〜5、および比較例の含有成分を図1に示す。添加物は、硫酸鉄七水和物、クエン酸、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、および界面活性剤である。図1に示す値は、木材砕片の絶乾重量に対して添加した割合(%)を表している。
(培養材の調製)
実施例1〜5、および比較例の各サンプルに対し、所定量の栄養材(糠)および水分を添加することにより、培養材を調製した。具体的には、各サンプルの木材砕片に所定の割合で米糠、ふすま(小麦の糠)を混合し、所定量の水を加えた。
詳細には、サンプル:米糠:ふすまが、3:1:1(体積比)となるよう混合した。これら混合物に加水することにより、含水率が絶乾重量に対して215%となるように水分調整した。そうして得た各サンプル(調製培養材)を、オートクレーブで滅菌処理(121℃40分)した後、40mlずつ滅菌シャーレに分取し、試験に供した。
(菌の接種、培養)
寒天培地での培養で形成されたコロニーから、柄付針で、直径約5mmの大きさで菌塊および寒天培地を切り出し、各サンプルの表面中央に載置することで菌を接種した。菌を接種した各サンプルを、培養チャンバーにて30℃の温度条件下で15日間、培養した。
図2に、その培養後の状態を示す。図2の(a)は比較例を示しており、図2の(b)は実施例1を示している。培養により、各サンプルの表面上には、略円形のコロニーが形成されている。
(菌糸の伸長速度の測定、結果)
図3に示すように、培養後、各サンプルの滅菌シャーレの蓋に、コロニーの略中心の上で直交するように2本の基準線を設定した。これら基準線に基づき、図3に矢印で示すようにして、コロニーの直径を測定した。
初期値(接種時の菌塊の直径)と培養期間(15日)から、各サンプルでの、一日あたりの菌糸の平均伸長速度(mm/日)を算出した。その結果を図4に示す。
比較例では、菌糸の平均伸長速度は0.83(mm/日)であったのに対し、実施例1〜5では、いずれも1.3(mm/日)以上となり、改質により、明らかに良好に培養できることが確認された。
特に、硫酸鉄およびクエン酸のみを、微量添加した実施例1においても良好な結果が得られている点は注目されるべきである。硫酸鉄およびクエン酸のみを添加し、これらの濃度が異なる実施例1〜4では、最も濃度の高い実施例4(硫酸鉄:0.75%、クエン酸:0.10%)でも1.39(mm/日)となり、良好な培養結果が得られた。
従って、木材砕片の絶乾重量に対し、少なくとも0.75重量%以下の硫酸鉄と、0.1重量%以下のクエン酸とを含有させることにより、培養材を用いてV.simplexに属する菌を良好に培養することが可能になる。
更に実施例1〜4の中でも、硫酸鉄を0.15%、クエン酸を0.02%、それぞれ含有する実施例2が最も良好な結果が得られ、それよりも濃度が増加すると、次第に効果が低減する傾向が認められた。従って、木材砕片の絶乾重量に対し、0.05%以上0.30重量%以下の硫酸鉄と、0.01%以上0.04重量%以下のクエン酸とを含有させるのが、より好ましい。
最も良好な実施例2と同じ硫酸鉄およびクエン酸を含有し、更にアンモニウムやカリウム、界面活性剤を添加した実施例5は、実施例2よりも菌糸の平均伸長速度が低下する傾向が認められた。この結果からすると、硫酸鉄およびクエン酸のみを添加するのが好ましく、木質培土とは異なる傾向が認められた。尤も、比較例と比べた場合には、実施例5でも明らかに良好な培養結果が得られていることから、硫酸鉄およびクエン酸に加えて、このような成分を適量配合することも可能である。
このように、針葉樹の木材を砕いて形成された、堆肥化されていない木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を微量含有させるだけで、V.simplexに属する菌を良好に培養できる培養材を得ることができる。
開示する技術を適用した培養材によれば、木材加工の端材等、廃棄物のリサイクルが可能になる。しかも、培養材の場合、その用途から、安価かつ大量消費が前提となるが、開示する技術では、硫酸鉄およびクエン酸を微量含有させるだけでよいので、低コストであり、実用化も容易である。
<培養材を用いた植物の栽培>
開示する技術を適用した培養材を用いれば、V.simplexに属する菌を、安価で大量に培養できるので、量産化が可能になる。量産化したV.simplexに属する菌を、VA菌根菌と同様に、農作物や園芸植物などの植物栽培に利用すれば、収率の向上など、有利な効果が期待できる。
図5に、開示する技術を適用した培養材を用いて植物を栽培する方法の一例を示す。図5は、その栽培方法の基本的な処理の流れを示しており、粉砕処理、改質処理、培養処理、および感染処理で、栽培方法は構成されている。
粉砕処理は、針葉樹の木材を砕いて木材砕片を形成する処理である。改質処理は、木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を添加して改質する処理である。培養処理は、改質した木材砕片に、V.simplexに属する菌を接種して培養する処理である。これらの処理は、上述した試験方法に基づき、仕様に応じてスケールアップすればよい。
培養処理の後、培養材から培養したV.simplexに属する菌を抽出する抽出処理を行ってもよい。例えば、所定量の水を添加して、撹拌、混合し、木材砕片から菌を分離させる。その混合液を濾過し、菌液(粗菌液)を作製する。遠心分離等により、粗菌液を更に濃縮する処理を行い、濃縮した菌液を作製してもよい。
感染処理は、V.simplexに属する菌を植物の根に接触させて感染させる処理である。感染処理の具体例としては、例えば、培養処理が行われた木材砕片、すなわちV.simplexに属する菌が十分に増えた状態の木材砕片(例えば、木材砕片1gあたり10個以上の菌を含む木材砕片)を、植物の根に接触させることにより、感染処理を行えばよい。
すなわち、この培養材の場合、その基材が木材砕片であるため、そのままの状態で栽培資材として利用できる利点がある。従って、図6の(a)に示すように、V.simplexに属する菌を培養した状態の培養材1を、単独で、あるいは他の栽培資材と混合したうえで、所定の袋2に袋詰めし、植物栽培用の培養土3として利用することができる。
この場合、対象とする植物が栽培されている土壌に培養土を撒いたり混合したりすることで、その根に間接的に接触させることができる。培養土を、栽培前の土壌に混合したり土壌の栽培部位に散布したりすれば、根に感染し易くなるので、より好ましい。
また、作製したV.simplexに属する菌液を、対象とする植物が栽培されている土壌に噴霧したり、散水時にその水に菌液を添加したりしてもよい。菌液が土壌に染み込むことにより、植物の根に菌が接触して感染する。
更に、苗(移植前の幼い植物)に、V.simplexに属する菌を感染させれば、栽培初期の段階で、生長を安定化させる有利な特質を付与できるので、効果的である。一般に、苗は、ポットや育苗箱を用いて育苗する場合が多いので、図6(b)に示すように、ポット4(あるいは育苗箱)に、V.simplexに属する菌を培養した状態の培養材1または培養土3を充填し、そこに苗5を植えることで、その培養材1を苗5の根に付着させる。定植前に、苗の根をV.simplexに属する菌液に浸漬する処理を行って、苗の根に菌を付着させてもよい。
また別の実施例としては、菌液を添加した培養土に苗5を植えることで菌を感染させてもよい。さらに、培養材1または培養土3により菌を感染させる場合は、苗ではなく、種子をまいたり、挿木したりすることで感染させてもよい。また、いわゆるコーティング種子の考え方により、播種前に、種子に菌液を噴霧したり、エンドファイトを含む資材で種子をコーティングしたりしてもよい。
<他の菌株での試験>
上述した実施形態では、Y34菌株を用いた試験内容を説明した。ここでは、K45菌株およびCBS菌株の各々を用いた試験内容について説明する。
適切な培養状態は、菌株によって異なる。そのため、試験条件は、上述した実施形態から一部変更している。まず、K45菌株およびCBS菌株では、栄養剤の割合が、Y34菌株よりも半減されている(4割から2割)。Y34菌株では、サンプル:米糠:ふすまが、3:1:1(体積比)となるよう混合したが、K45菌株およびCBS菌株では、サンプル:米糠:ふすまが、4:0.5:0.5(体積比)となるよう混合した。
CBS菌株では、含水率も変更した。具体的には、Y34菌株では、含水率が絶乾重量に対して215%となるように水分調整し、K45菌株もこれと同様に水分調整したが、CBS菌株では、含水率が絶乾重量に対して195%となるように水分調整した。
培養温度も変更した。Y34菌株では、培養温度を30℃に設定したが、K45菌株およびCBS菌株では、20℃に設定した。その他の試験条件は、上述した実施形態と同じである。
図7に、K45菌株およびCBS菌株の各々を用いた試験結果を示す。図示の試験結果は、上述したY34菌株を用いた試験における比較例1、実施例2、および、実施例5の各々(図1参照)に対応した試験結果であり、上述したY34菌株での試験結果(図4参照)も併せて示してある。
図7に示すように、K45菌株およびCBS菌株の各々においても、Y34菌株と同様の効果が認められた。すなわち、実施例2および実施例5のいずれにおいても、比較例に比べて菌糸の平均伸長速度が増加している。従って、K45菌株およびCBS菌株の各々においても、堆肥化されていない針葉樹の木材砕片に対して、特定の改質処理を施すことにより、明らかに良好な培養が可能になることがわかる。
このように、複数の菌株で同様の効果が認められることから、堆肥化されていない針葉樹の木材砕片でも、改質によってV.simplexに属する菌の良好な培養が期待できる。
1 V.simplexに属する菌を培養した状態の培養材
2 袋
3 培養土
4 ポット
5 苗

Claims (6)

  1. Veronaeopsis simplexに属する菌を培養する培養材であって、
    針葉樹の木材を砕いて形成された、堆肥化されていない木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を含有してなる、培養材。
  2. 請求項1に記載の培養材において、
    前記木材砕片の絶乾重量に対し、0.05重量%以下の前記硫酸鉄と、0.01重量%以下の前記クエン酸とを含有する、培養材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の培養材において、
    前記菌が、NITE AP−01933の受領番号を有する菌株、MAFF番号240802を有する菌株、および、「CBS 588.66」のCBS番号を有する菌株の少なくともいずれか1つの菌株の菌を含む、培養材。
  4. 植物栽培用の培養土であって、
    前記菌が培養された状態の、請求項1〜請求項3のいずれか1つの前記培養材を含む、植物栽培用の培養土。
  5. 苗であって、
    前記菌が培養された状態の、請求項1〜請求項3のいずれか1つの前記培養材が根に付着している、苗。
  6. 植物の栽培方法であって、
    針葉樹の木材を砕いて木材砕片を形成する粉砕処理と、
    前記木材砕片に、硫酸鉄およびクエン酸を添加して改質する改質処理と、
    改質した前記木材砕片にVeronaeopsis simplexに属する菌を接種して培養する培養処理と、
    を実行し、
    前記培養処理が行われた前記木材砕片を前記植物の根に接触させる感染処理が行われる、植物の栽培方法。
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