JP2021048237A - 発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光装置は、蛍光体の使用量を減らしながらも、所望の色度及び明るさを達成することが可能な発光装置を提供することを目的とする。【解決手段】発光装置は、基板1上に設けられた発光素子2と、発光素子を囲むように基板上に配置された枠樹脂3と、枠樹脂で囲まれた領域に、発光素子を覆うようにして配置された赤色蛍光体4及び酸化チタン5を含む封止樹脂6と、を有することを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、発光装置に関する。
LEDを用いて白色光を得る方法として、青色LEDに、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を含んだ封止材を配置して発光させる方法がある。さらに、白色LEDの演色性を向上させるために、狭帯域の発光スペクトルを有する蛍光体として、Mn4+を賦活したフッ化物錯体蛍光体を用いたLEDが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の白色発光装置は、蛍光体がLED素子と空間を介して配置され、青色LED素子と、該青色LED素子により励起される蛍光体として、黄色蛍光体及び/または緑色蛍光体と、赤色蛍光体とを備え、該赤色蛍光体がMn4+付活フッ化物錯体蛍光体及びEu2+付活アルカリ土類ケイ窒化物蛍光体を含む。
ここで、フッ化物錯体蛍光体等の蛍光体は高価であるため、白色LEDの低コスト化のためには、白色LEDの封止材に含ませる蛍光体の使用量を少なくすることが好ましい。
しかしながら、白色LEDの封止材に含ませる蛍光体の使用量を単純に減少させると、所望の色度及び明るさを実現することができなくなる。そのため、蛍光体の使用量を減らしつつ、所望の色度及び明るさを実現する白色LEDを得ることは難しかった。
本開示の実施形態に係る発光装置は、蛍光体の使用量を減らしながらも、所望の色度及び明るさを達成することが可能な発光装置を提供することを目的とする。
本開示の実施形態に係る発光装置は、基板上に設けられた発光素子と、発光素子を囲むように基板上に配置された枠樹脂と、枠樹脂で囲まれた領域に、発光素子を覆うようにして配置された赤色蛍光体及び酸化チタンを含む封止樹脂と、を有することを特徴とする。
上記発光装置では、赤色蛍光体は、K2SiF6:Mn4+(KSF)蛍光体を含むことが好ましい。
上記発光装置では、封止樹脂は、酸化チタンを0.1〜0.6重量%含むことが好ましい。
上記発光装置では、封止樹脂は、酸化チタンを0.2〜0.3重量%含むことが好ましい。
本開示の実施形態に係る発光装置によれば、蛍光体の使用量を減らしながらも、所望の色度及び明るさを達成することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る発光装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1に、本開示の実施例1に係る発光装置の断面図を示す。発光装置100は、発光素子2と、枠樹脂3と、封止樹脂6と、を有する。
発光装置100は、発光素子としてLED素子2を含み、蛍光体による波長変換を利用して白色光を出射する発光装置(LEDパッケージ)である。発光装置100は、例えば、液晶表示装置のバックライト用の光源、各種照明装置、投光器、またはイルミネーション等のLED光源として利用される。発光装置100は、主要な構成要素として、基板1、LED素子2、及び封止樹脂6を有する。なお、LED素子2の個数は1個には限られず、発光装置100は、共通の基板1上に複数のLED素子2が実装されたCOB(Chip On Board)タイプの発光装置であってもよい。
基板1は、LED素子2を外部電源(図示せず)に接続するための2つの配線(81、82)を有し、上面にLED素子2が実装される。例えば、基板1は、セラミック基板であってもよい。あるいは、基板1は、耐熱性及び放熱性に優れたアルミニウムや銅等の金属基板と、LED素子2の配線パターン及び配線が形成された絶縁性の回路基板とを貼り合わせた基板であってもよい。または、基板1は、LED素子2が実装され封止樹脂6が充填される凹部を有し、LED素子2を外部電源に接続するための2つのリード電極が設けられたLEDパッケージの基体であってもよい。
LED素子2は、例えば、紫外域から青色領域にわたる波長の光を出射する窒化ガリウム系化合物半導体等で構成された発光素子である。LED素子2は、例えば、出射光として発光波長帯域が450〜460[nm]程度の青色光を出射する青色LED素子である。ただし、このような例には限られず、他の波長の光を出射する素子であってもよい。
LED素子2は、基板1上に設けられる。具体的には、基板1の上面にダイボンディングによって実装される。LED素子2の正負それぞれの電極は、2本のボンディングワイヤ(91、92)(以下、単に「ワイヤ」ともいう)により、基板1上の配線(81,82)に電気的に接続されている。発光装置100が複数のLED素子2を有し、それらが直列接続される場合には、LED素子2同士もワイヤによって電気的に接続される。なお、LED素子2の実装方式は、ワイヤボンディングに限らず、フリップチップ方式であってもよい。
枠樹脂3は、発光素子であるLED素子2を囲むように基板1上に配置される。
封止樹脂6は、枠樹脂3で囲まれた領域に、LED素子2を覆うようにして配置された赤色蛍光体4及び酸化チタン5を含む。図1では、赤色蛍光体4及び酸化チタン5に加えて、封止樹脂6に緑色蛍光体7が含まれる例を示している。封止樹脂6は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等の透光性の樹脂であり、基板1上のLED素子2の周囲に充填されて、LED素子2及びワイヤ(91、92)を一体的に封止する。
枠樹脂3は、封止樹脂6の流れ出しを防止するダム材として機能する。枠樹脂3で囲まれた内側領域に封止樹脂6を充填してLED素子2及びワイヤ(91、92)を封止することができる。
赤色蛍光体4は、例えば、CASN(CaAlSiN3:Eu)蛍光体、SCASN((Sr,Ca)AlSiN3:Eu)蛍光体、またはKSF(K2SiF6:Mn4+)蛍光体で構成される。赤色蛍光体4は、LED素子2からの青色光を吸収して赤色光に波長変換する。
緑色蛍光体7は、例えば、βサイアロン緑色蛍光体で構成され、LED素子2からの青色光を吸収して緑色光に波長変換する。発光装置100は、LED素子2からの青色光と、緑色蛍光体及び赤色蛍光体からの緑色光及び赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。あるいは、封止樹脂6は、赤色蛍光体、黄色蛍光体及び緑色蛍光体といった3種類以上の蛍光体を含有してもよい。
赤色蛍光体4としてKSF蛍光体を用い、緑色蛍光体7としてβサイアロン緑色蛍光体を用いることが好ましい。図2に、本開示の実施例1に係る発光装置の発光スペクトルの例を示す。赤色蛍光体としてKSF(ゼネラルエレクトリック社製、商品名:TriGain HA)を用い、緑色蛍光体としてサイアロン緑色蛍光体(デンカ社製、商品名:GR−MW540K)を用いた。青色の光を出射するLED素子2からの発光ピークが450[nm]付近に見られる。また、KSFにより、赤色の光のピークは630[nm]付近の狭い帯域に観測される。
封止樹脂6に含まれるフィラーは、平均粒径が1〜100[μm]の範囲内であるミクロンサイズの粒子状の無機材料である。フィラーは、封止樹脂6内で光を拡散させて、LED素子2及び封止樹脂6で構成される発光装置100の発光領域全体を一様に発光させる散乱材として機能する。フィラーとして、例えば、酸化チタンを用いることができる。ただし、このような例には限られず、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム、ジルコニア、または酸化マグネシウム等を使用してもよい。
フィラーを散乱材として用いることにより、封止樹脂6に含有される蛍光体の量を減少させることができる。フィラーとして酸化チタンを用いた場合のKSF蛍光体使用量及び明るさの測定結果を表1に示す。酸化チタンの濃度を0、0.25、0.5[重量%]と変えた場合の積分球色度(x=0.330,y=0.310)における各条件時のKSF蛍光体使用量(「比(KSF)」)及び同一色度での明るさ(「光度比」)を算出した。
赤色蛍光体として、KSF(TriGain HA)を用い、緑色蛍光体としてβサイアロン緑色蛍光体(GR−MW540K)を用いた。表1において、「酸化チタン量」は、封止樹脂6に占める酸化チタンの濃度(重量%)を表す。「比(KSF)」は、酸化チタンを添加しない場合、即ち、酸化チタン濃度が0[重量%]の場合におけるKSF蛍光体の量を1とした場合のKSF蛍光体の量を表す。同様に、「光度比」は、酸化チタンを添加しない場合における光度(明るさ)を1とした場合の光度を表す。
図3に、本開示の実施例1に係る発光装置において、TiO2量とKSF蛍光体使用量及び明るさとの関係を表すグラフを示す。
図3のグラフから、酸化チタンの量を増加させると、KSF蛍光体の使用量を減少させることができる一方、明るさが減少することが分かる。従って、KSF蛍光体の使用量及び明るさの両者に基づいて、酸化チタンの量を設定することが好ましい。
図3のグラフから、酸化チタンの添加量を0.1[重量%]としたとき、KSF使用量を10%程度減少させることができる。このとき、明るさの低下は2%程度にとどまる。
一方、酸化チタンの添加量を0.6[重量%]としたとき、KSF使用量の減少量を40%程度減少させることができる。このとき、明るさの低下は10%程度であり許容範囲といえる。
以上より、封止樹脂6は、酸化チタン5を0.1〜0.6[重量%]含むことが好ましいといえる。
さらに、図3のグラフから、酸化チタンの添加量を0.2[重量%]としたとき、KSF使用量を20%程度減少させることができる。このとき、明るさの低下は3%程度にとどまる。
一方、酸化チタンの添加量を0.3[重量%]としたとき、KSF使用量を25%程度減少させることができる。このとき、明るさの低下は5%程度にとどまる。
以上より、封止樹脂6は、酸化チタン5を0.2〜0.3[重量%]含むことがさらに好ましいといえる。
次に、KSFの使用量を変えながら所望の色度に合わせ込む方法について説明する。表2に、KSF/βサイアロンの比、蛍光体量、TiO2量を変えた場合の、色度(x,y)及び光束φv、光度Ivの測定結果を示す。実施例1の測定結果より、KSF/βサイアロンの比は3.3〜3.4が好ましく、TiO2量を増やすと必要な蛍光体量が減少することが分かっているので、表2のように、KSF/βサイアロンの比及び蛍光体量を設定した。図4に色度(x,y)の測定結果をプロットしたグラフを示す。
図4から分かるように、測定された色度は、色度図上で四角形状の領域に分布している。そこで、四角形のコーナーの4点(1)〜(4)を抽出して、明るさ及びKSF使用量を算出する。図4から、4点(1)〜(4)の座標は表3のように求められる。
表2の各色度における光束φv及び光度Iv、並びに表3の色度(1)〜(4)のIvの値から、色度(1)〜(4)における光束を表4のように求めることができる。また、TiO2量が0%のときの光束φvで規格化した値を「明るさ」とした。
表4に記載した明るさとTiO2量との関係を図5に示す。TiO2量を増やすほど、明るさが低下することが分かる。また、TiO2量が同じでも、明るさの低下には色度の違いに基づくばらつきがみられる。このことから、所定の範囲内で色度を変えることで明るさを最適化することができることが分かる。
また、各TiO2量における色度(1)〜(4)でのKSF使用量比を表5に示す。ただし、KSF使用量比は、TiO2量が0%のときのKSF使用量(HA(KSF))で規格化した値である。
表5で求められたKSF使用量比とTiO2量との関係を図6に示す。TiO2量を増やすほど、KSF使用量を減少させることができることが分かる。また、TiO2量が同じでも、KSF使用量の減少量には色度の違いに基づくばらつきがみられる。このことから、所定の範囲内で色度を変えることでKSF使用量を最適化することができることが分かる。また、表5及び図6より、色度が(1)の場合に、KSF使用量が最も少なくなることが分かる。さらに、図5より、色度が(1)の場合に、最も明るくなっている。以上の点から色度を(1)の値に設定することにより、KSF使用量及び明るさを最適化することができるといえる。
ただし、色度(1)〜(4)の各点は大きく離れているため、色度(1)の周辺で色度を変えることにより、KSF使用量及び明るさを最適化することができる可能性がある。そこで、色度(1)の周辺の色度を新たに設定し、KSF使用量及び明るさを最適化することが好ましい。
以上説明したように、本開示の実施例に係る発光装置によれば、蛍光体の使用量を減らしながらも、所望の色度及び明るさを達成することができる。
1 基板
2 発光素子
3 枠樹脂
4 赤色蛍光体
5 酸化チタン
6 封止樹脂
7 緑色蛍光体
81,82 配線
91,92 ワイヤ
100 発光装置
2 発光素子
3 枠樹脂
4 赤色蛍光体
5 酸化チタン
6 封止樹脂
7 緑色蛍光体
81,82 配線
91,92 ワイヤ
100 発光装置
Claims (4)
- 基板上に設けられた発光素子と、
前記発光素子を囲むように前記基板上に配置された枠樹脂と、
前記枠樹脂で囲まれた領域に、前記発光素子を覆うようにして配置された赤色蛍光体及び酸化チタンを含む封止樹脂と、
を有することを特徴とする発光装置。 - 前記赤色蛍光体は、K2SiF6:Mn4+(KSF)蛍光体を含む、請求項1に記載の発光装置。
- 前記封止樹脂は、前記酸化チタンを0.1〜0.6重量%含む、請求項1または2に記載の発光装置。
- 前記封止樹脂は、前記酸化チタンを0.2〜0.3重量%含む、請求項1または2に記載の発光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019169481A JP2021048237A (ja) | 2019-09-18 | 2019-09-18 | 発光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019169481A JP2021048237A (ja) | 2019-09-18 | 2019-09-18 | 発光装置 |
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Family Applications (1)
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JP2019169481A Pending JP2021048237A (ja) | 2019-09-18 | 2019-09-18 | 発光装置 |
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2019
- 2019-09-18 JP JP2019169481A patent/JP2021048237A/ja active Pending
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