次に、添付図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る掘削機としてのショベル100を示している。ショベル100の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4はブームシリンダ7により駆動され、アーム5はアームシリンダ8により駆動され、バケット6はバケットシリンダ9により駆動される。
ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケットリンクにはバケット角度センサS3が取り付けられている。上部旋回体3には、旋回角速度センサS4が取り付けられている。
ブーム角度センサS1は、姿勢検出センサの1つであり、ブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサであり、ブームシリンダ7のストローク量に基づいて上部旋回体3とブーム4とを連結するブームフートピン回りのブーム4の回動角度を導き出す。
アーム角度センサS2は、姿勢検出センサの1つであり、アーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサであり、アームシリンダ8のストローク量に基づいてブーム4とアーム5とを連結する連結ピン回りのアーム5の回動角度を導き出す。
バケット角度センサS3は、姿勢検出センサの1つであり、バケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は、バケットシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサであり、バケットシリンダ9のストローク量に基づいてアーム5とバケット6とを連結する連結ピン回りのバケット6の回動角度を導き出す。
なお、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、ロータリエンコーダ、加速度センサ、ポテンショメータ(可変抵抗器)、傾斜センサ、又は、慣性計測装置等であってもよい。慣性計測装置は、例えば、加速度センサとジャイロセンサとの組み合わせで構成される。
旋回角速度センサS4は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS4は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS4は、旋回角速度に基づいて旋回角度を算出するように構成されていてもよい。旋回角速度センサS4は、他のセンサで構成されていてもよい。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10、エンジン11、測位装置18、撮像装置C1、及び通信装置T1等が搭載されている。また、キャビン10内には、コントローラ30が搭載されている。キャビン10内には、運転席及び操作装置等が設置されている。ショベル100は、無人ショベルであってもよい。この場合、キャビン10は省略されてもよい。
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、ディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
測位装置18は、ショベル100の位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置18は、GNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを測定できるように構成されている。
撮像装置C1は、ショベル100の周囲を撮像するように構成されている。本実施形態では、撮像装置C1は、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後カメラC1B、キャビン10の上面前端に取り付けられた前カメラC1F、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラC1L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右カメラC1Rを含む。
通信装置T1は、ショベル100の外部にある機器との通信を制御するように構成されている。
コントローラ30は、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU及びメモリ30aを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30の各種機能は、CPUがメモリ30aに格納されたプログラムを実行することで実現される。
図2は、図1のショベル100の駆動系の構成例を示すブロック図である。図2において、機械的動力ラインは二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気制御ラインは点線でそれぞれ示されている。
ショベル100の駆動系は、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブユニット17、コントローラ30、及び電磁弁ユニット45等で構成されている。エンジン11は、エンジンコントロールユニット74により駆動制御される。
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給する。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御するように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出圧又はコントローラ30からの制御信号等に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節する。メインポンプ14は、レギュレータ13により吐出量が制御される。
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧制御機器に作動油を供給するように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、コントロールバルブユニット17に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後でコントロールバルブユニット17等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
コントロールバルブユニット17は、ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御装置であり、複数の油圧アクチュエータに対応する複数の制御弁を含む。本実施形態では、コントロールバルブユニット17は、1又は複数の油圧アクチュエータに対し、メインポンプ14から吐出される作動油を選択的に供給できるように構成されている。油圧アクチュエータは、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1L、右側走行用油圧モータ1R、及び旋回用油圧モータ2Aを含む。
コントローラ30は、通信装置T1を通じて受信する操作信号に基づき、電磁弁ユニット45を制御するように構成されている。本実施形態では、操作信号は、遠隔操作室から送信されてくる。
電磁弁ユニット45は、パイロットポンプ15とコントロールバルブユニット17内の各制御弁のパイロットポートとを繋ぐ各パイロットライン25に配置された複数の電磁弁を含む。
本実施形態では、コントローラ30は、複数の電磁弁のそれぞれの開口面積を個別に制御することで、各制御弁のパイロットポートに作用するパイロット圧を制御することができる。そのため、コントローラ30は、各油圧アクチュエータに流入する作動油の流量、及び、各油圧アクチュエータから流出する作動油の流量を制御することができ、ひいては、各油圧アクチュエータの動きを制御することができる。
このようにして、コントローラ30は、遠隔操作室等の外部からの操作信号に応じ、ブーム4の上げ下げ、アーム5の開閉、バケット6の開閉、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等を実現できる。
図3は、図1のショベルに搭載される電気系の構成例を示す図である。エンジン11は、図3に示すように、エンジンコントロールユニット74に接続されている。エンジンコントロールユニット74からは、エンジン11の状態を示す各種データがコントローラ30に送信される。コントローラ30は、エンジン11の状態を示す各種データをメモリ30aに蓄積できるように構成されている。
バッテリ70は、ショベル100に搭載されている各種電気負荷に電力を供給するように構成されている。オルタネータ11a(発電機)、スタータ11b、コントローラ30、及び電装品72等は、バッテリ70に蓄えられた電力で動作できるように構成されている。スタータ11bは、バッテリ70に蓄えられた電力で駆動され、エンジン11を始動させるように構成されている。また、バッテリ70は、オルタネータ11aで発電した電力で充電されるように構成されている。
水温センサ11cは、エンジン冷却水の温度に関するデータをコントローラ30に送信する。レギュレータ13は、斜板傾転角に関するデータをコントローラ30に送信する。吐出圧センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧に関するデータをコントローラ30に送信する。測位装置18は、ショベル100の位置に関するデータをコントローラ30に送信する。
メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵された作動油タンクとメインポンプ14との間の管路14−1には、油温センサ14cが設けられている。油温センサ14cは、管路14−1を流れる作動油の温度に関するデータをコントローラ30に送信する。
尿素水タンク50に設けられた尿素水残量センサ50aは、尿素水の残量に関するデータをコントローラ30に送信する。燃料タンク55に設けられた燃料残量センサ55aは、燃料の残量に関するデータをコントローラ30に送信する。
通信装置T1は、無線通信を介し、遠隔操作室RCに設置された通信装置T2との間で情報を送受信するように構成されている。
遠隔操作室RCには、遠隔コントローラ40、室内撮像装置C2、及び通信装置T2等が設置されている。また、遠隔操作室RCには、ショベル100を遠隔操作する操作者OPが座る運転席DSが配置されている。
遠隔コントローラ40は、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、遠隔コントローラ40は、コントローラ30と同様、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、遠隔コントローラ40の各種機能は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
室内撮像装置C2は、遠隔操作室RC内を撮像するように構成されている。本実施形態では、室内撮像装置C2は、遠隔操作室RCの内部に設置されたカメラであり、運転席DSの周囲に配置された操作装置26を撮像するように構成されている。また、室内撮像装置C2は、運転席DSに着座する操作者OPを撮像するように構成されている。なお、操作装置26を撮像するカメラと、操作者OPを撮像するカメラとは、別々に設置されていてもよい。
通信装置T2は、ショベル100に取り付けられた通信装置T1との無線通信を制御するように構成されている。
本実施形態では、運転席DSは、通常のショベルのキャビン内に設置される運転席と同様の構造を有する。具体的には、運転席DSの左側には左コンソールボックスが配置され、運転席DSの右側には右コンソールボックスが配置されている。左コンソールボックスの上面前端には左操作レバーが配置され、右コンソールボックスの上面前端には右操作レバーが配置されている。また、運転席DSの前方には、走行レバー及び走行ペダルが配置されている。更に、右コンソールボックスの上面中央部には、エンジン回転数調整ダイヤル75が配置されている。左操作レバー、右操作レバー、走行レバー、走行ペダル、及びエンジン回転数調整ダイヤル75のそれぞれは、操作装置26を構成している。
エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルであり、例えばエンジン回転数を4段階で切り換えできるように構成されている。
具体的には、エンジン回転数調整ダイヤル75はSPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数の切り換えができるように構成されている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数の設定状態に関するデータをコントローラ30に送信する。
SPモードは、操作者OPが作業量を優先させたい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、操作者OPが作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、操作者OPが燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、操作者OPがエンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
操作装置26には、操作装置26の操作内容を検出するための操作センサ29が設置されている。操作センサ29は、例えば、操作レバーの傾斜角度を検出する傾斜センサ、又は、操作レバーの揺動軸回りの揺動角度を検出する角度センサ等である。操作センサ29は、検出した操作装置26の操作内容に関する情報を遠隔コントローラ40に出力する。遠隔コントローラ40は、受信した情報に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号をショベル100に送信する。操作センサ29は、操作信号を生成するように構成されていてもよい。この場合、操作センサ29は、遠隔コントローラ40を経由せずに、操作信号を通信装置T2に出力してもよい。
表示装置D1は、操作者OPが着用可能な表示装置である。運転席DSに着座する操作者OPは、表示装置D1を着用している。本実施形態では、表示装置D1は、ヘッドマウントディスプレイであり、無線通信によって、遠隔コントローラ40との間で情報を送受信できるように構成されている。但し、表示装置D1は、遠隔コントローラ40に有線接続されていてもよい。また、表示装置D1は、透過型ヘッドマウントディスプレイであってもよく、非透過型ヘッドマウントディスプレイであってもよい。また、表示装置D1は、片眼型ヘッドマウントディスプレイであってもよく、両眼型ヘッドマウントディスプレイであってもよい。
表示装置D1は、遠隔操作室RCにいる操作者OPがショベル100の周囲を視認できるようにする画像を表示するように構成されている。すなわち、表示装置D1は、表示装置D1を着用する操作者が、遠隔操作室RCにいるにもかかわらず、あたかもショベル100のキャビン10内にいるかのように、ショベル100の周囲の状況を確認することができるように、画像を表示する。表示装置D1は、操作者が見たい方向に顔を向けることで、見たい方向の画像を見ることができるように、画像を表示してもよい。
また、表示装置D1にはスピーカが搭載されている。スピーカは、ショベル100に取り付けられている1又は複数の集音装置で集音された音を出力できるように構成されている。
次に、図4を参照し、遠隔操作室RCにおける基準点R1を原点とする第1座標系と、ショベル100における基準点R2を原点とする第2座標系との関係について説明する。なお、以下の説明では、第1座標系は、操作室座標系と称され、第2座標系は、ショベル座標系と称される。図4は、操作室座標系とショベル座標系との関係を示す図である。
操作室座標系は、遠隔操作室RCにおける基準点R1を原点とする3次元UVW直交座標系であり、運転席DSの前後方向に平行に伸びるU軸、運転席DSの左右方向に平行に伸びるV軸、及び、U軸とV軸に直交するW軸を有する。
ショベル座標系は、上部旋回体3上の基準点R2を原点とする3次元XYZ直交座標系であり、上部旋回体3の前後方向に平行に伸びるX軸、上部旋回体3の左右方向に平行に伸びるY軸、及び、X軸とY軸に直交するZ軸を有する。図4では、基準点R2は旋回軸上の点であり、XY平面は水平面であり、Z軸は鉛直軸である。X軸は、操作室座標系のU軸に対応し、Y軸は、操作室座標系のV軸に対応し、Z軸は、操作室座標系のW軸に対応している。
本実施形態では、操作室座標系における各三次元座標は、ショベル座標系における三次元座標の1つに予め対応付けられている。そのため、遠隔操作室RCにおける操作者OPの目の位置である操作者視点E1の三次元座標が決まれば、ショベル100における仮想操作者の目の位置である仮想操作者視点E1'の三次元座標は一意に決まる。なお、操作者OPの目の位置は、例えば、操作者OPの左目の位置と右目の位置の中間点である。
図5は、表示装置D1を着用した操作者OPを示している。図5に示す表示装置D1は、非透過型ヘッドマウントディスプレイである。非透過型ヘッドマウントディスプレイを着用している場合、操作者OPは、非透過型ヘッドマウントディスプレイによって視界が遮られるため、自身の周囲を見ることができない。すなわち、操作者OPは、自身の手元及び足下を見ることができず、運転席DSの近傍に配置されたスイッチ等、遠隔操作室RCに設置された操作装置26を見ることもできない。なお、操作者OPは、作業現場ではなく、遠隔操作室RCにいるため、ヘルメットを着用する必要がない。
通常、キャビン10内でショベル100を操作する操作者は、バケット6を中心視野で捉えながら掘削作業を行っているときに、視線を動かさずともキャビン10内の左右のコンソールボックスの上面前端に配置された操作レバーを周辺視野で捉えることができる。
しかしながら、図5に示すような非透過型ヘッドマウントディスプレイを着用している場合、操作者OPは、遠隔操作室RC内の運転席DSの近傍に配置された操作レバーを周辺視野で捉えることができない。非透過型ヘッドマウントディスプレイを着用している場合には、操作者OPは、上述のように視界が遮られるためである。したがって、操作者OPは、操作レバーがどの程度傾けられているかを把握できない。そこで、ショベル100の遠隔操作システムは、以下に示すように、操作装置26の図形を表示装置D1で表示させ、操作者OPが周辺視野でその図形を捉えることができるようにする。
次に、図6を参照し、ショベル100の遠隔操作システムの構成例について説明する。図6は、遠隔操作システムSYSの構成例を示す機能ブロック図である。
遠隔操作システムSYSは、主に、ショベル100に搭載されているコントローラ30、電磁弁ユニット45、撮像装置C1、及び通信装置T1と、遠隔操作室RCに設置されている操作センサ29、遠隔コントローラ40、室内撮像装置C2、表示装置D1、及び通信装置T2と、で構成されている。
コントローラ30は、機能要素として、画像生成部31、ショベル状態特定部32、及びアクチュエータ駆動部33を有する。
画像生成部31は、表示装置D1で表示される画像を含む周囲画像を生成するように構成されている。周囲画像は、仮にキャビン10内に操作者がいたならば操作者が見ることができたショベル100の周囲の様子を表す画像である。本実施形態では、周囲画像は、撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成される。具体的には、画像生成部31は、後カメラC1B、前カメラC1F、左カメラC1L、及び右カメラC1Rのそれぞれが撮像した画像に基づき、周囲画像としての第1仮想視点画像を生成する。第1仮想視点画像の仮想視点である第1仮想視点は、仮にキャビン10内の運転席に操作者が着座していたときの操作者の目の位置に対応する仮想操作者視点E1'(図4参照。)である。但し、仮想操作者視点E1'は、キャビン10の外にあってもよい。
本実施形態では、第1仮想視点である仮想操作者視点E1'の座標は、遠隔操作室RCの運転席DSに操作者OPが着座したときの操作者OPの目の位置である操作者視点E1(図4参照。)に基づいて導き出される。なお、操作者視点E1の座標は、遠隔コントローラ40から送信されてくる。画像生成部31は、操作室座標系における操作者視点E1の座標を、ショベル座標系における座標に変換することで、仮想操作者視点E1'の座標を導き出すことができる。
また、本実施形態では、第1仮想視点画像は、第1仮想視点を取り囲む仮想的な円筒状の仮想投影面の内周面に投影された画像に相当する。仮想投影面は、第1仮想視点を取り囲む仮想的な球の内面であってもよく、第1仮想視点を取り囲む仮想的な直方体又は立方体の内面であってもよい。このように生成された第1仮想視点画像を見ることで、操作者OPは、ショベル100の周囲の状況を立体的に把握することができる。すなわち、操作者OPは、第1仮想視点画像を見ることで、例えば、ショベル100の前方に位置するダンプトラックの荷台の奥行き、地面にある盛り土の高さ、又は、地面にある穴の深さ等をより正確に把握できる。
表示装置D1で表示される第1仮想視点画像由来の画像は、画像生成部31が生成する第1仮想視点画像の一部である。具体的には、第1仮想視点画像の全領域に占める、表示装置D1で表示される画像の領域は、遠隔操作室RCの運転席DSに着座している操作者OPの視線の向きに基づいて決定される。なお、操作者OPの視線の向きに関する情報は、遠隔コントローラ40から送信されてくる。
このように、画像生成部31は、撮像装置C1が出力する画像と、遠隔コントローラ40から送信されてくる操作者視点E1の座標とに基づいて周囲画像としての第1仮想視点画像を生成する。そして、画像生成部31は、遠隔コントローラ40から送信されてくる操作者OPの視線の向きに関する情報に基づき、生成した第1仮想視点画像の一部を部分周囲画像として切り出し、切り出した部分周囲画像を遠隔操作室RCにある表示装置D1に向けて送信する。
ショベル状態特定部32は、ショベル100の状態を特定するように構成されている。本実施形態では、ショベル100の状態は、ショベル100の位置と向きを含む。ショベル100の位置は、例えば、ショベル100における基準点R2の緯度、経度、及び高度である。ショベル状態特定部32は、測位装置18の出力に基づいてショベルの位置及び向きを特定する。
アクチュエータ駆動部33は、ショベル100に搭載されているアクチュエータを駆動するように構成されている。本実施形態では、アクチュエータ駆動部33は、遠隔コントローラ40から送信されてくる操作信号に基づき、電磁弁ユニット45に含まれる複数の電磁弁のそれぞれに対する作動信号を生成して出力する。
作動信号を受けた各電磁弁は、コントロールバルブユニット17における対応する制御弁のパイロットポートに作用するパイロット圧を増減させる。その結果、各制御弁に対応する油圧アクチュエータは、制御弁のストローク量に応じた速度で動作する。
遠隔コントローラ40は、機能要素として、操作者状態特定部41、画像合成部42、及び操作信号生成部43を有する。
操作者状態特定部41は、遠隔操作室RCにいる操作者OPの状態を特定するように構成されている。操作者OPの状態は、操作者OPの目の位置と視線の向きを含む。操作者状態特定部41は、室内撮像装置C2の出力に基づいて操作者OPの目の位置及び視線の向きを特定する。具体的には、操作者状態特定部41は、室内撮像装置C2が撮像した画像に各種画像処理を施し、操作室座標系における操作者OPの目の位置の座標を操作者視点E1(図4参照。)の座標として特定する。また、操作者状態特定部41は、室内撮像装置C2が撮像した画像に各種画像処理を施し、操作室座標系における操作者OPの視線の向きを特定する。
操作者状態特定部41は、遠隔操作室RCに設置されたLIDAR、又は、表示装置D1に取り付けられた慣性計測装置等、室内撮像装置C2以外の他の装置の出力に基づいて操作者視点E1の座標及び操作者OPの視線の向きを導き出してもよい。この場合、慣性計測装置は、測位装置を含んでいてもよい。
そして、操作者状態特定部41は、通信装置T2を通じ、操作者視点E1の座標及び操作者OPの視線の向きに関する情報をショベル100に向けて送信する。
画像合成部42は、コントローラ30から送信されてくる部分周囲画像と、別の画像とを合成して合成画像を生成するように構成されている。本実施形態では、別の画像は、室内撮像装置C2が撮像した操作装置26の画像である。操作装置26の画像は、操作装置26の状態を表すコンピュータグラフィックス等の図形であってもよい。また、別の画像は、キャビン10の内部を表す画像又は図形を含んでいてもよい。
具体的には、画像合成部42は、室内撮像装置C2が撮像した画像に基づいて第2仮想視点画像を生成する。第2仮想視点画像の仮想視点である第2仮想視点は、操作者視点E1である。
本実施形態では、第2仮想視点画像は、第1仮想視点画像と同様に、第2仮想視点を取り囲む仮想的な円筒状の仮想投影面の内周面に投影された画像である。仮想投影面は、第2仮想視点を取り囲む仮想的な球の内面であってもよく、第2仮想視点を取り囲む仮想的な直方体又は立方体の内面であってもよい。
表示装置D1で表示される第2仮想視点画像由来の画像は、画像合成部42が生成する第2仮想視点画像の一部である。具体的には、第2仮想視点画像の全領域に占める、表示装置D1で表示される画像の領域は、遠隔操作室RCの運転席DSに着座している操作者OPの視線の向きに基づいて決定される。
このように、画像合成部42は、室内撮像装置C2が出力する画像と、操作者視点E1の座標とに基づいて第2仮想視点画像を生成する。そして、画像合成部42は、操作者OPの視線の向きに関する情報に基づき、生成した第2仮想視点画像の一部を切り出す。
その上で、画像合成部42は、切り出した画像と、コントローラ30から送信されてくる部分周囲画像とを合成する。
別の画像は、設計面情報DIに基づいて生成される画像である設計面画像であってもよい。本実施形態では、画像合成部42は、遠隔コントローラ40を構成している不揮発性記憶装置に予め記憶されている設計面情報DIに基づいて設計面の位置を表すコンピュータグラフィックス等の図形を、設計面画像として、部分周囲画像に重畳表示させる。設計面は、ショベル100を用いた掘削作業が完了したときの地面である。操作者は、設計面を見ることで、掘削作業が完了する前であっても、掘削作業が完了したときのショベル100の周囲の状態を把握できる。この場合、画像合成部42は、ショベル状態特定部32が特定したショベルの位置及び向きに基づき、部分周囲画像における、設計面画像を重畳表示すべき位置を決定する。
操作信号生成部43は、操作信号を生成するように構成されている。本実施形態では、操作信号生成部43は、操作センサ29の出力に基づいて操作信号を生成するように構成されている。
上述のような構成により、遠隔操作システムSYSは、遠隔操作室RCにいる操作者OPが、遠隔地にあるショベル100を遠隔操作できるようにする。その際に、遠隔操作システムSYSは、ショベル100に取り付けられた撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成される周囲画像を操作者OPがリアルタイムに視認できるようにする。具体的には、遠隔操作システムSYSは、操作者OPが着用している表示装置D1としてのヘッドマウントディスプレイに、主に撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成された周囲画像の一部を表示させることができる。表示装置D1で表示された画像を見た操作者OPは、あたかもキャビン10内でショベル100を操作しているかのような臨場感を得ることができる。或いは、仮想操作者視点E1'がキャビン10の外にある場合、例えば、キャビン10より数メートル前方の位置にある場合には、操作者OPは、あたかもキャビン10の外においてバケット6のすぐ近くでショベル100を遠隔操作しているかのような臨場感を得ることができる。
また、遠隔操作システムSYSは、遠隔操作室RCに設置されている室内撮像装置C2が撮像した画像に基づき、操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きを特定できるように構成されている。そして、遠隔操作システムSYSは、操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きの変化に応じ、表示装置D1に表示される画像の内容を変化させるように構成されている。具体的には、遠隔操作システムSYSは、操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きの変化に応じ、第1視点変換画像及び第2視点変換画像のそれぞれのどの領域を表示させるかを決定するように構成されている。そのため、操作者OPは、見たい方向に顔を向けるだけで、見たい方向の画像を見ることができる。
また、遠隔操作システムSYSは、遠隔操作室RCに設置されている操作装置26の状態を表す図形又は画像を、周囲画像の一部である部分周囲画像とともに表示装置D1に表示させることができる。なお、遠隔操作システムSYSは、操作装置26の状態を表す図形又は画像を、操作装置26の実際の設置位置に対応する画像部分に表示させている。そのため、操作者OPは、表示装置D1として非透過型ヘッドマウントディスプレイを着用している場合であっても、実際には不可視である操作装置26の状態を認識できる。また、操作者OPは、操作装置26から手を離した場合であっても、操作装置26を容易に握り直すことができる。
次に、図7を参照し、表示装置D1に表示される画像について説明する。図7は、表示装置D1に表示される画像の2つの構成例を示す。具体的には、図7(A)は、キャビン10の内部を表す図形と第1仮想視点画像(厳密には、第1仮想視点画像の一部である部分周囲画像)とを合成して得られた画像の例を示す。図7(B)は、第1仮想視点画像(厳密には、第1仮想視点画像の一部である部分周囲画像)と第2仮想視点画像(厳密には、第2仮想視点画像の一部)とを合成して得られた画像の例を示す。
図7(A)に示す画像では、キャビン10の内部を表す図形は、左ピラーの図形G1、右ピラーの図形G2、左操作レバーの図形G3L、右操作レバーの図形G3R、左走行レバーの図形G4L、及び右走行レバーの図形G4Rを含む。キャビン10の内部を表す図形は、エンジン回転数調整ダイヤル75の図形を含んでいてもよい。
左操作レバーの図形G3Lは、操作センサ29の出力の変化に応じて変化するように構成されている。すなわち、左操作レバーの図形G3Lは、遠隔操作室RCにおける操作者OPによって操作される左操作レバーの実際の操作量(操作角度)の大きさを表すことができるように表示される。左操作レバーの図形G3Lは、室内撮像装置C2が撮像した操作装置26の画像の変化に応じて変化するように構成されていてもよい。右操作レバーの図形G3R、左走行レバーの図形G4L、及び右走行レバーの図形G4Rについても同様である。
図7(A)に示す左操作レバーの図形G3Lは、実際の左操作レバーがアーム閉じ方向(前方向)に倒されていることを表している。また、図7(A)に示す右操作レバーの図形G3Rは、実際の右操作レバーがブーム下げ方向(前方向)に倒されていることを表している。なお、図7(A)に示す画像は、左操作レバー及び右操作レバーのそれぞれが操作されていないときの状態を破線で表している。
また、図7(A)に示す画像では、第1仮想視点画像は、ブーム4の画像G7、アーム5の画像G8、及びバケット6の画像G9を含む。
また、図7(A)に示す画像は、操作者OPが顔(視線)の向きを変えると、顔(視線)の向きの変化に応じて変化するように構成されている。
図7(A)に示す画像を見た操作者OPは、あたかもキャビン10内でショベル100を操作しているかのような臨場感を得ることができる。
また、左操作レバーの図形G3Lが表示されているため、操作者OPは、左操作レバーがどの程度傾けられているかを容易に把握できる。同様に、右操作レバーの図形G3Rが表示されているため、操作者OPは、右操作レバーがどの程度傾けられているかを容易に把握できる。
また、左走行レバーの図形G4Lが表示されているため、操作者OPは、左操作レバーを握っていた手を、左走行レバーに移動させる場合であっても、表示装置D1としての非透過型ヘッドマウントディスプレイを頭から取り外す必要はない。左走行レバーの図形G4Lは、遠隔操作室RC内に設置された左走行レバーの実際の位置に対応する画像部分に表示されているためである。同様に、左操作レバーの図形G3Lが表示されているため、操作者OPは、左走行レバーを握っていた手を、左操作レバーに移動させる場合であっても、表示装置D1を頭から取り外す必要はない。左操作レバーの図形G3Lは、遠隔操作室RC内に設置された左操作レバーの実際の位置に対応する画像部分に表示されているためである。右操作レバーの図形G3R及び右走行レバーの図形G4Rについても同様である。
なお、キャビン10の内部を表す図形の表示は省略されてもよい。キャビン10の外側にある空間部分に対応する画像部分ができるだけ広い範囲にわたって表示されるようにするためである。
また、キャビン10の内部を表す図形は、左操作レバーの図形G3L、右操作レバーの図形G3R、左走行レバーの図形G4L、及び右走行レバーの図形G4Rで構成されていてもよい。この場合、左操作レバーの図形G3L、右操作レバーの図形G3R、左走行レバーの図形G4L、及び右走行レバーの図形G4Rは、所定の条件が満たされた場合にのみ表示されるように構成されていてもよい。所定の条件は、例えば、遠隔操作室RCに設置された左操作レバー、右操作レバー、左走行レバー、及び右走行レバーの全てが非操作状態となっていることである。上述のような操作レバーと走行レバーとの間の手の移動が容易に行われるようにするためである。
また、キャビン10の内部を表す図形は、左操作レバーの図形G3L及び右操作レバーの図形G3Rで構成されていてもよい。この場合においても、左操作レバーの図形G3L及び右操作レバーの図形G3Rは、所定の条件が満たされた場合にのみ表示されるように構成されていてもよい。
また、キャビン10の内部を表す図形は、操作者OPの腕(手の部分を含む。)の図形を含んでいてもよい。この場合、操作者OPの腕の図形は、操作者OPの実際の腕の状態の変化に応じて変化するように表示されてもよい。操作者OPの実際の腕の状態は、例えば、室内撮像装置C2が撮像した画像に基づいて特定されてもよい。
図7(B)に示す画像は、第1仮想視点画像と第2仮想視点画像とを合成して生成されている。図7(B)に示す画像では、第2仮想視点画像は、遠隔操作室RCに設置された左操作レバーの画像G3LG、及び、遠隔操作室RCに設置された右操作レバーの画像G3RGを含む。
図7(B)に示す画像では、左操作レバーの画像G3LGは、左操作レバーを左手で握っている操作者OPの左腕の一部の画像を含み、右操作レバーの画像G3RGは、右操作レバーを右手で握っている操作者OPの右腕の一部の画像を含んでいる。
左操作レバーの画像G3LGは、室内撮像装置C2が撮像した画像に基づいて生成されるため、遠隔操作室RCにおける操作者OPによって操作される左操作レバーの実際の操作の内容がそのまま表示される。右操作レバーの画像G3RGについても同様である。
図7(B)に示す画像を見た操作者OPは、あたかも掘削地点のすぐ近くでショベル100を操作しているかのような臨場感を得ることができる。
また、左操作レバーの画像G3LGが表示されているため、操作者OPは、左操作レバーがどの程度傾けられているかを容易に把握できる。同様に、右操作レバーの画像G3RGが表示されているため、操作者OPは、右操作レバーがどの程度傾けられているかを容易に把握できる。
図7(B)に示す画像に関する仮想操作者視点E1'の三次元座標は、図7(A)に示す画像に関する仮想操作者視点E1'の三次元座標よりもバケット6に近い位置にあるが、バケット6に更に近い位置にあってもよい。この場合、図7(B)に示す画像は、図7(A)に示す画像のうちのバケット6の周辺の画像部分を拡大したものであってもよい。
その場合であっても、すなわち、仮想操作者視点E1'がキャビン10の外にある場合であっても、遠隔操作システムSYSは、左操作レバーの画像G3LG及び右操作レバーの画像G3RGを、図7(B)に示す画像における適切な位置に表示させてもよい。仮想操作者視点E1'から見た左操作レバーの画像G3LG及び右操作レバーの画像G3RGのそれぞれの適切な位置は、例えば、遠隔操作室RCにおける操作者OPの目の位置である操作者視点E1から見た遠隔操作室RCにおける左操作レバー及び右操作レバーのそれぞれの位置に対応する位置である。
この構成により、仮想操作者視点E1'がキャビン10の外にある場合であっても、操作者OPは、左操作レバー及び右操作レバーのそれぞれがどの程度傾けられているのかを容易に把握できる。
また、図7(B)に示す画像では、キャビン10の内部を表す図形が表示されない。そのため、操作者OPは、キャビン10内にいたとしたら左ピラー及び右ピラー等によって遮られて見ることができなかった空間部分に対応する画像部分をも見ることができる。但し、遠隔操作システムSYSは、図7(B)に示す画像における適切な位置に、左ピラーの図形G1及び右ピラーの図形G2を表示させてもよい。この場合、操作者OPは、例えば、表示装置D1に表示されている画像における左ピラーの図形G1と右ピラーの図形G2との間の間隔の大きさを把握することで、実際のバケット6とキャビン10との間の位置関係をより正確に認識することができる。
また、左操作レバーの画像G3LG及び右操作レバーの画像G3RGの表示は省略されてもよい。キャビン10の外側にある空間部分に対応する画像部分ができるだけ広い範囲にわたって表示されるようにするためである。
また、左操作レバーの画像G3LG及び右操作レバーの画像G3RGは、所定の条件が満たされた場合にのみ表示されるように構成されていてもよい。所定の条件は、例えば、遠隔操作室RCに設置された左操作レバー及び右操作レバーが非操作状態となっていることである。上述のような操作レバーと走行レバーとの間の手の移動が容易に行われるようにするためである。
次に、図8を参照し、ショベル100の遠隔操作システムの別の構成例について説明する。図8は、遠隔操作システムSYSの別の構成例である遠隔操作システムSYS1を示す機能ブロック図である。
遠隔操作システムSYS1は、コントローラ30から送信されてくる画像が、遠隔コントローラ40を経由せずに、そのまま表示装置D1で表示される点、及び、表示装置D1に取り付けられている慣性計測装置D2の出力に基づいて操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きを特定する点において、遠隔操作システムSYSと異なるが、その他の点で遠隔操作システムSYSと共通している。
この構成により、遠隔操作システムSYS1は、遠隔操作システムSYSと同様に、遠隔操作室RCにいる操作者OPが、遠隔地にあるショベル100を遠隔操作できるようにする。その際に、遠隔操作システムSYS1は、ショベル100に取り付けられた撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成される周囲画像を操作者OPがリアルタイムに視認できるようにする。具体的には、遠隔操作システムSYS1は、操作者OPが着用している表示装置D1としてのヘッドマウントディスプレイに、主に撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成された周囲画像の一部を表示させることができる。表示装置D1で表示された画像を見た操作者OPは、あたかもキャビン10内でショベル100を操作しているかのような臨場感を得ることができる。
また、遠隔操作システムSYS1は、表示装置D1に取り付けられている慣性計測装置D2の出力に基づき、操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きを特定できるように構成されている。慣性計測装置D2は、測位装置を含んでいてもよい。そして、遠隔操作システムSYS1は、操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きの変化に応じ、表示装置D1に表示される画像の内容を変化させるように構成されている。そのため、操作者OPは、見たい方向に顔を向けるだけで、見たい方向の画像を見ることができる。但し、遠隔操作システムSYS1は、遠隔操作システムSYSと同様に、遠隔操作室RCに設置されている室内撮像装置C2が撮像した画像に基づいて操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きを特定するように構成されていてもよい。
上述のように、本発明の実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられた撮像装置C1と、を有する。
そして、ショベル100の遠隔操作システムSYS及びSYS1は、撮像装置C1が撮像した画像に基づいて周囲画像を生成する演算装置としてのコントローラ30と、ショベル100の外部に設置された操作装置26と、周囲画像が表示される表示装置D1としてのヘッドマウントディスプレイと、を有する。ヘッドマウントディスプレイに表示される周囲画像は、ヘッドマウントディスプレイの向きの変化に応じて変化するように構成されている。
この構成により、遠隔操作システムSYS及びSYS1は、遠隔操作室RCにいる操作者OPに対し、従来よりも臨場感のある画像を提示できる。
ショベル100の遠隔操作システムSYSは、ショベル100の外部に設置された操作装置26の状態を表す画像と、撮像装置C1が撮像した画像とを合成して合成画像を生成する演算装置としての遠隔コントローラ40を有していてもよい。例えば、遠隔コントローラ40は、図7(B)に示すように、操作装置26の状態を表す画像である左操作レバーの画像G3LG及び右操作レバーの画像G3RGと、コントローラ30から送られている、ブーム4の画像G7、アーム5の画像G8、及びバケット6の画像G9を含む部分周囲画像とを合成して合成画像を生成してもよい。
この構成により、遠隔操作システムSYSは、操作装置26の状態を操作者OPにリアルタイムで提示できるため、操作装置26をどの程度の操作量で操作しているかを認識できないといった状況が発生するのを防止できる。そのため、操作者OPは、ショベル100の遠隔操作がし易くなる。したがって、遠隔操作システムSYSは、ショベル100の遠隔操作の円滑化、及び、ショベル100の操作性の向上を実現できる。
なお、表示装置D1として非透過型ヘッドマウントディスプレイを操作者OPが着用している場合等、操作者OPが操作装置26を肉眼で見ることができない状況において、操作装置26の状態を表す画像を表示装置D1に表示させる機能は、ショベルシミュレータ等で利用されてもよい。上述のような操作レバーと走行レバーとの間の手の移動は、ショベルシミュレータでも行われるためである。
遠隔操作システムSYSは、操作装置26を撮像する、撮像装置C1とは別の撮像装置である室内撮像装置C2を有し、室内撮像装置C2が撮像した画像に基づき、操作装置26の状態を表す画像を生成するように構成されていてもよい。或いは、遠隔操作システムSYSは、操作装置26の操作内容を検出する操作センサ29を有し、操作センサ29の出力に基づき、操作装置26の状態を表す画像を生成するように構成されていてもよい。
この構成により、遠隔操作システムSYSは、操作装置26の状態を表す画像を、部分周囲画像とともに、表示装置D1としての非透過型ヘッドマウントディスプレイに表示させることができる。そのため、操作者OPは、非透過型ヘッドマウントディスプレイを着用している場合であっても、操作装置26がどのように操作されているかを視認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。
表示装置D1としてのヘッドマウントディスプレイに表示される、周囲画像のうちの表示対象部分は、ヘッドマウントディスプレイの位置及び向きの変化に応じて変化するように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30が生成した周囲画像のうちで表示装置D1での表示に用いられる領域の位置及びサイズは、操作者OPの目の位置及び顔(視線)の向きの変化に応じて変化するように構成されていてもよい。
この構成により、遠隔操作室RCにいる操作者OPは、頭の位置を変えるだけで、或いは、顔の向きを変えるだけで、ヘッドマウントディスプレイに表示されている画像の内容を変化させることができる。そのため、操作者OPは、例えば、キャビン10内の運転席に座ってキャビン10の内側からショベル100の周囲を見ているときのように、見たい方向に顔を向けるだけで見たい部分を見ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
例えば、上述の実施形態では、ショベル100に取り付けられている撮像装置C1は、ショベル100に搭載されているコントローラ30に接続されている。しかしながら、撮像装置C1は、通信装置T1に直接接続されていてもよい。すなわち、撮像装置C1が撮像した画像は、コントローラ30を経由せずに、遠隔操作室RCにおける表示装置D1に向けて送信されてもよい。この場合、遠隔操作室RCに設置された遠隔コントローラ40は、撮像装置C1から送信されてくる画像に基づいて周囲画像を生成するように構成されていてもよい。
また、上述の遠隔操作システムSYSでは、遠隔操作室RCに設置されている室内撮像装置C2は、遠隔コントローラ40に接続されている。しかしながら、室内撮像装置C2は、通信装置T2に直接接続されていてもよい。すなわち、室内撮像装置C2が撮像した画像は、遠隔コントローラ40を経由せずに、ショベル100に向けて送信されてもよい。この場合、ショベル100に設置されたコントローラ30は、室内撮像装置C2から送信されてくる画像に基づいて第2仮想視点画像を生成するように構成されていてもよい。そして、コントローラ30は、撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成される第1仮想視点画像と第2仮想視点画像とを合成して合成画像を生成し、その合成画像を遠隔操作室RCにおける表示装置D1に向けて送信してもよい。この場合、コントローラ30は、メモリ30aに予め記憶されている設計面情報DIに基づいて生成される画像と第1仮想視点画像とを合成してもよい。
また、上述の実施形態では、撮像装置C1は、複数台の単眼カメラで構成されているが、1又は複数台の半天球カメラ又は全天球カメラで構成されていてもよい。また、撮像装置C1は、キャビン10内に設置されたカメラを含んでいてもよい。