JP2021043573A - 出力推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一回の実験データのみに基づいて、ある制御器を導入した時の閉ループ系の時間応答を推定する。【解決手段】制御器Kを介して制御対象への入力に対する出力を推定する方法であって、1回の試行に基づいて制御対象への周期入出力応答(周期入力信号u0と周期出力信号y0)を求める工程と、仮想入力信号rに対する前記制御対象の応答(仮想出力信号y)を(1)式で求める工程を有する。ここで、r1(jω)は、(2)式に従う。r1(jω)、r(jω)、u0(jω)、y0(jω)は、それぞれ信号r1、r、u0、y0をフーリエ変換したもの、またK−1(jω)は1/K(jω)、K(jω)は制御器Kの伝達関数を表す。【選択図】図1

Description

本発明は、制御器Kを介して制御対象への入力に対する出力を推定する方法に関するものであり、特に制御対象への入出力を1度行った結果(以後「一回入出力応答」と呼ぶ。)だけを利用し、制御器をつないだ制御対象への任意の入力に対する出力を推定する方法に関するものである。
通常制御工学では、制御対象の正確なモデルシステムを同定し、そのモデルに基づいて良好な制御性能が期待できる制御器を設計し、その制御性能を実験で検証するアプローチがなされる。
しかし、実際の制御対象の多くは、激しく変化させる応答や、開ループ応答を取得できなかったり、長時間に渡る実験ができなかったりする。この場合、システム同定によって正確なモデルを得ることは難しい。
このようなケースに対して、モデルを求めることを経ず、実験データから直接制御器を調整するデータ駆動制御が近年活発に検討されている(非特許文献1〜4)。そのなかでも、Virtual Reference Feedback Tuning(VRFT)と、Fictitious Reference Iterative Tuning(FRIT)は、一回の実験データのみに基づいて、閉ループ系が参照モデルに近づくように制御ゲインを最適化できる。そのため、多くの応用例が報告されている。
M.C.Campi,A.Lecchini,S.M.Savaresi,Virtual reference feedback tuning:a direct method for the design of feedback controllers,Automatica,Vol.38,pp.1337−1346,2002. 相馬将太郎,金子修,藤井隆雄,一回の実験データを用いた制御器パラメータチューニングの新しいアプローチ− Fictitious Reference Iterative Tuning の提案,システム制御情報学会論文誌,Vol.17,No.12,pp.528−536,2004 金子修,山本透他,特集データ駆動制御:新機軸と新地平,計測と制御,Vol.52,No.10,pp.892−897,2013 田坂謙一,加納学,小河守正,増田士朗,山本透,閉ループデータに基づく直接的PID調整とその不安定プロセスへの適用,システム制御情報学会論文誌,Vol.22,No.4,pp.137−144,2009
VRFTやFRITでは、参照モデルが適切でない場合は、制御性能が悪化するばかりか、制御系が不安定になるおそれすらあるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みて想到されたものであり、一回の実験データのみに基づいて、ある制御器を導入したときの閉ループ系の時間応答を推定する。
より具体的に、本発明に係る出力推定方法は、
制御器Kを介して制御対象への入力に対する出力を推定する方法であって、
1回の試行に基づいて制御対象への周期入出力応答(周期入力信号uと周期出力信号y)を求める工程と、
仮想入力信号rに対する前記制御対象の応答(仮想出力信号y)を(1)式で求める工程を有することを特徴とする。
Figure 2021043573
ここで、r(jω)は、(2)式に従う。r(jω)、r(jω)、u(jω)、y(jω)は、それぞれ信号r、r、u、yをフーリエ変換したものを表す。またK−1(jω)は1/K(jω)を表し、K(jω)は制御器Kの伝達関数を表す。F−1は逆フーリエ変換を表す。
本発明に係る出力推定方法では、実験データのフーリエ変換と制御器の周波数特性からフィードバック系の入出力応答の周波数成分を求め、それを逆フーリエ変換して仮想時間応答を求める点に特徴がある。つまり、仮想出力信号(推定された出力信号)を求めるのに、伝達関数モデルを一切用いていないので、モデルの適不適や、予めモデルについての構造などの不知などに基づく課題を回避することができる。
本発明に係る出力推定方法の処理の流れを示す図である。 非周期入力信号u00と非周期出力信号y00を周期入力信号uと周期出力信号yへ変換する手順を示す図である。 図3(a)は、非周期入力信号u00と非周期出力信号y00の関係を示すブロック図であり、図3(b)は、仮想入力信号rと仮想出力信号yの関係を示すブロック図であり、図3(c)は制御系にr1を入力した場合の信号の流れを示すブロック図である。 G1からG9までの制御対象に対し、非周期入力信号としてステップ信号を入力したときの非周期出力信号の観測結果を示す図である。 制御対象への真の時間応答と仮想時間応答を比較したグラフである。 各制御器のパラメータを最適化した場合の真の時間応答と仮想時間応答を比較したグラフである。 一回入出力応答u00、y00が閉ループデータで、Gが不安定な場合のフィードバック系の真の出力応答と仮想時間応答を示す図である。 パラメータを最適化した場合の真の時間応答と仮想時間応答を比較したグラフである。 実施例に用いたモータの写真である。 モータに対する一回入出力応答と、真の時間応答(真の出力信号)と、仮想時間応答を比較したグラフである。 モータに対する一回入出力応答の真の時間応答(真の入力信号)を示した図である。
以下に本発明に係る出力推定方法について図面および実施例を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
また、非周期入力信号u00、非周期出力信号y00、周期入力信号u、周期出力信号y、制御系への仮想入力信号r、制御系への仮想出力信号y、制御対象への仮想入力信号uは、時間関数で連続信号である。しかし、公知の方法によっていつでも離散的処理として扱うことができる。すなわち、本明細書において、連続関数としての表現は離散的な表現を含むものである。以後離散的に信号を扱う際には、r(k)等のようにサンプル数を表す番号kが括弧付で用いられる場合もある。
図1に本発明に係る出力推定方法の処理の流れを示し、その後各工程について詳細を示す。本発明に係る出力推定方法では、制御対象へ周期入力信号uを入力した時の周期出力信号yを一回入出力応答(一回の試行)で求め、その周期入出力応答を使って仮想入力信号rに対する仮想出力信号yを推定する。ここで周期入出力応答を求める方法が2通りある。
図1の処理P100を参照する。G(z)は、加熱炉やモータといった制御対象を示す。zは進み演算子である。第1の方法は、まず周期入力信号uを作製し、それを制御対象Gへ入力することで周期出力信号yを求める。これは直接的な方法である。実際に入出力を測定するのはこの1回だけである。
つぎに処理P101および処理P102を参照する。第2の方法は、非周期入力信号u00を制御対象Gへ入力し非周期出力信号y00を得る(処理P101)。そして次に処理P101で得た非周期入力信号u00および非周期出力信号y00を周期応答信号へと変換する(処理P102)。周期応答信号への変換は、それぞれの信号を反転させた信号を元の信号に続けて加えることで得ることができる。
変換された周期入力信号uおよび周期出力信号yは、周期応答信号であり、一定の条件の下で、非周期入力信号u00および非周期出力信号y00とみなしてよい。この方法では、実際に制御対象Gで信号の入出力を確認するのは、非周期入力信号u00を制御対象Gへ入力し非周期出力信号y00を得る処理P101の1回だけである。なお、本明細書では、処理P101および処理P102の方法で周期入出力応答(周期入力信号u、周期出力信号y)を求める方法を主に説明を続ける。
次に処理P103を参照する。ここで制御対象G(z)を制御する制御器Kを導入する。そして、これらの離散時間周波数伝達関数をそれぞれG(jω)およびK(jω)とする。また、制御器Kを含む制御系全体に対する仮想入力信号rをフーリエ変換したものをr(jω)とする。仮想入力信号r(jω)による制御器K(jω)の出力を、制御対象G(jω)に対する仮想入力信号u(jω)とし、制御対象G(jω)に仮想入力信号u(jω)が入力されたときの仮想出力信号をy(jω)とする。すると制御器K(z)に制御された制御対象G(z)の仮想出力信号yは、(1)式で表される。
Figure 2021043573
ここで、r(jω)、r(jω)、u(jω)、y(jω)は、それぞれ信号r、r、u、yをフーリエ変換したものを表す。またK−1(jω)は1/K(jω)を表し、K(jω)は制御器Kの伝達関数を表す。F−1は逆フーリエ変換を表す。
また、r(jω)は、(2)式のように表される。u(jω)、y(jω)は、周期入力信号uおよび周期出力信号yをフーリエ変換したものである。仮想入力信号rは、もちろん既知の信号である。r(jω)は、自ら設定した制御器Kの伝達関数と、周期入力信号u(jω)および周期出力信号y(jω)という既知の情報で表される。
したがって、(1)式は、制御系へ仮想入力信号rが入力された時の仮想出力信号yを既知の情報だけから推定できることを示している。このようにして求めた制御対象への仮想入力信号uと仮想出力信号yを仮想時間応答と呼ぶ。
なお、仮想入力信号r(k)は、評価したい閉ループ系(制御系)への目標入力である。周期入力信号u、周期出力信号y、仮想入力信号r(k)の離散フーリエ変換をそれぞれ周期入力信号u(jω)、周期出力信号y(jω)、仮想入力信号r(jω)とする。ここでjは虚数単位、ω[rad/s]はt[s]をサンプル時間として(3)式で与えられる角周波数である。
Figure 2021043573
また、本発明の出力推定方法では周期入力信号u、仮想入力信号rおよび離散時間制御器Kについて、次の仮定を満たすものとする。
A1)u、rは、周期的信号の整数周期分の時系列である。このとき、yも周期的信号となる。
A2)uは、rに含まれる周波数成分と同じ周波数の成分を含む。つまり、あるωでr(jω)≠0ならば、u(jω)≠0である。その対偶をとると、あるωでu(jω)=0ならばr(jω)=0である。
A3)Kはフィードバック系を安定化する。
A4)K−1(jω)u(jω)の逆離散フーリエ変換の最終値を定常状態とみなすことができる。これはK(z)を逆Z変換または逆双一次変換したK(s)の零点が虚軸上になく、データ数Nが十分大きければ満たされる。
A5)G(z)を逆Z変換または逆双一次変換したG(s)の零点が虚軸上にあるとき、K(s)はその零点を極としてもたない。
A6)非周期入力信号u00、非周期出力信号y00をステップ応答データとした場合、非周期入力信号u00、非周期出力信号y00の初期値と最終値は定常状態とみなせる。
<処理P101>
次に処理P101から詳細に説明を行う。処理P101では、制御対象G(z)に実際の非周期入力信号u00を入力し、その出力である非周期出力信号y00を得る。
制御対象G(z)は、線形時不変な離散時間一入出力系で、一回の実験データはG(z)の入出力の時系列である非周期入力信号u00(k)、非周期出力信号y00(k)であるとする。zはすでに述べたように進み演算子であり、k(=1、2、・・・・、N)はサンプル数、Nはデータの総数である。非周期入力信号u00、非周期出力信号y00は閉ループ応答でも開ループ応答でもどちらでもよい。
<処理P102>
仮定A6のもと、非周期入力信号u00、非周期出力信号y00を用いて仮定A1を満足する周期的信号u、yを以下のように作成する。
開ループや閉ループの非周期入力信号u00、非周期出力信号y00は、ステップ応答とした場合、仮定A1を満たさないが、非周期入力信号u00、非周期出力信号y00の波形をコピーし、その上下をひっくり返してつなぎ合わせた波形は仮定A1を満たす。具体的に、図2(a)は、非周期入出力応答u00、y00をステップ応答波形とした場合を示す。横軸は時間(離散化されているので、ステップ数)であり、縦軸は信号の強さである。また、図2(b)は図2(a)の波形をコピーして反転し、つなぎ合わせた波形を示す。図2(a)同様に横軸はステップ数であり、縦軸は信号の強さである。
図2(b)の信号は、図2(a)のステップ応答に(4)式および(5)式の処理を行うことで、得ることができる。図2(b)の信号は1周期分の周期入出力応答(周期入力信号uと周期出力信号y)であり、これらは仮定A1を満たす。そして、仮定A6のもとでこれらの周期入力信号u、周期出力信号yは制御対象Gの真の応答と一致する。
Figure 2021043573
以上のような手順に従うことで、一回入出力応答(非周期入力信号u00、非周期出力信号y00)を周期入出力応答(周期入力信号u、周期出力信号y)へ変換することができる。また、所定の仮定の下で、周期信号は、制御対象Gの真の応答と一致する。
<処理P103>
次に制御対象Gを制御器Kで制御する際に、制御器Kへ仮想入力信号r(k)を入力した時の仮想出力信号y(k)が(1)式で示せることを説明する。
周期信号は正弦波の和で表される。したがって、仮定A1より周期入力信号u、周期出力信号y、仮想入力信号rは正弦波の和で表わすことができる。この時周波数応答は定常特性であり、過渡特性を含まない。制御対象Gの離散時間周波数伝達関数をG(jω)とすると、周期入力信号uに対する周期出力信号yは(6)式のように表される。
Figure 2021043573
(6)式をブロック線図で表すと図3(a)となる。次に制御対象Gを制御する制御器Kを導入する。制御器Kを導入した時のブロック線図を図3(b)に示す。図3(b)より(7)式を得る。
Figure 2021043573
(7)式に(6)式を代入し、(8)式を得る。
Figure 2021043573
ここで(8)式の分母の部分をr(jω)と置けば(9)式を得る。なお、r(jω)を顕に書けば(10)式である。また、(10)式中K−1(jω)は1/K(jω)の意味である。
Figure 2021043573
(9)式の右辺は、制御器Kへの仮想入力信号r(jω)と周期入力信号uおよび周期出力信号yと、制御器Kの伝達関数であって、全て既知の情報である。すなわち、これら既知の情報に基づいて、制御器Kへの仮想入力信号r(jω)に対する仮想出力信号y(jω)が求まる。なお、(2)式は(10)式と同じである。
(6)式および(10)式をブロック線図で表すと、図3(c)のように表される。同図より、rは制御対象Gの入出力応答が周期入力信号u、周期出力信号yになるときのフィードバック系の目標入力である。仮定A4の下で、rは周期的信号とみなすことができる。
また、この時、制御対象Gへの仮想入力信号u(jω)は、図3(b)と(6)式および(9)式より(11)式のように得られる。
Figure 2021043573
仮想出力信号y(k)は、仮想入力信号r(k)を制御器Kに入力した時の出力として求められたが、これは実際に観測されたものではない。しかし、一回入出力応答である非周期入力信号u00、非周期出力信号y00から上記のように推定することができる。仮定A1、A3、A4が満たされる条件下で、仮想入出力応答(制御対象Gへの仮想入力信号u(jω)、仮想出力信号y(jω))を逆離散フーリエ変換することで、仮想時間応答(制御対象Gへの仮想入力信号u、仮想出力信号y)を求めることができる。また、uは(11)式を用いる代わりに、yを用いてu=(Kr−y)をシミュレーションしても求めることができる。
一方、この仮想時間応答では、制御器Kの下、仮想入力信号r(k)を固定すれば、仮想出力信号y(k)を推定することができるともいえる。したがって、制御器Kの構成を決めれば、仮想出力信号y(k)に一定の拘束条件を与えることで、制御器Kのパラメータを最適化することもできる。
例えば、制御器KをPID制御器とする。この制御器Kの伝達関数は(12)式のように表されれる。
Figure 2021043573
この制御器Kのパラメータをθ=(K、K、K)と設定し、制御器K(θ)と表す。以下の手順で制御器K(θ)を最適化する。
1)系を安定化する制御器K(θ)の初期値、オーバーシュートの許容値を設定する。
2)オーバーシュートを拘束条件、整定時間を評価関数として、オーバーシュートが許容値以下で、評価関数を最小にするK(θ)を探索する最適化問題を解く。このとき、オーバーシュートと整定時間はK(θ)を離散化した制御器を用いた時のフィードバック系の仮想時間応答から求める。また、仮定A4が満たされるように、K−1(θ)が安定で遅い極を持たないことも拘束条件に入れる。
なお、本方法はK(θ)が系を不安定化する場合には適用できず、仮想時間応答は真の応答との間に誤差が発生してしまうという問題がある。しかし、フィードバック機構が効いている場合、安定限界に近づくと発振条件に近づいて時間応答が振動的になる。
本手順では、制御器の初期値が系を安定化していて、オーバーシュートを拘束条件に入れているため、オーバーシュートが小さくなる方向に最適化すれば振動が抑制されて安定限界から遠ざかると考えられる。
そのため、最適化手法は大域的最適解を求めるタイプではなく、初期値周りの局所的最適解を探索するタイプを用いる必要がある。
このような最適化問題の解法としては、例えば、MATLABのfminconを用いることができる。これはinterior−pointアルゴリズムという制約付き非線形多変数関数の最小値を探索する手法であり、初期値周りの局所的最適解を求めることができる。もちろん、他の手法を用いてもよい。
<一回入出力応答u00、y00が開ループデータの場合>
(真の時間応答と仮想時間応答の比較)
本発明による出力推定方法でPID制御時の仮想時間応答を計算し、その精度を確認した。以下の9つの連続時間伝達関数((13)式〜(20)式)を制御対象とした。
Figure 2021043573
これらの制御対象は限界感度法によって、同一のPIDゲインを得ることができる。具体的な制御器Kの伝達関数は(21)式のようになる。
Figure 2021043573
(s)からG(s)をサンプル時間t=0.01secでZ変換し、それぞれに非周期入力信号u00をステップ信号として100秒間印加したときの非周期出力信号y00を得た。
ただし、Gについては、無定位系でステップ応答の最終値が定常状態にならない。そこでGのみ非周期入力信号u00を10秒までは1、それ以降は0のパルス入力とした。得られた非周期出力信号y00を図4に示す。図4を参照して、横軸は経過時間であり、縦軸は非周期出力信号y00の信号強度である。
G5は、他の制御対象と比較して収束が遅く、100秒寸前でまだ変化しているが、100秒時点を定常状態とみなした。
(21)式に以下の(22)式を代入して離散化した制御器Kを用いたフィードバック系を得た。制御器Kの目標値(仮想入力信号r)としてステップ関数を入力した時の真の時間応答と、本発明に係る出力推定方法で得られる仮想時間応答(仮想出力信号y、制御対象への仮想入力信号u)および、その誤差をそれぞれ図5に示す。
Figure 2021043573
図5を参照して、図5(a)は、制御対象の出力yであり、図5(b)は、制御対象への入力信号(制御器Kの出力信号)uである。両図とも横軸は時間(sec)であり縦軸は信号強度(無単位)である。図5(a)および図5(b)より、真の時間応答と仮想時間応答の値はほぼ重なっていて、真の時間応答と、仮想時間応答の違いが判らない。両者の誤差は、0.01未満と小さかった。
(制御器Kの最適化)
次にオーバーシュート20%以下を拘束条件として、定常値の2%以内への整定時間を評価関数とし、MATLABのfminconによって評価関数を最小にするパラメータの最適化問題を解いた。パラメータは(12)式のθ=(K、K、K)である。
初期値は(21)式の各項の係数とした。また、仮定A4が満たされるように、K(θ)の零点が安定でその実部の大きさが1[rad/s]以上になることを拘束条件に加えた。
最適化して得られたK(θ)を用いた時のフィードバック系の真の時間応答と、仮想時間応答を図6に示す。図6(a)は、制御対象の出力yであり、図6(b)は、制御対象への入力信号(制御器Kの出力信号)uである。両図とも横軸は時間(sec)であり縦軸は信号強度(無単位)である。図6(a)および図6(b)より、真の時間応答と仮想時間応答の値はほぼ重なっており、両者の違いは判らないことがわかる。誤差は、出力yは0.01未満であり、制御対象への入力uは0.03未満と小さかった。
最適化前の図5と比較すると、Gだけは初期値に近いところで極値に陥ってあまり変わらなかったが、G以外の全てにおいてオーバーシュートが抑制され、整定時間が小さくなった。
<一回入出力応答u00、y00が閉ループデータでGが不安定な非最小位相系の場合>
(真の時間応答と仮想時間応答の比較)
不安定な非最小位相系としては、(23)式の伝達関数(G10)とした。
Figure 2021043573
状態フィードバックと同一次元オブザーバーを併合した連続時間制御器K(s)を極配置法で設定し、G(s)とK(s)をサンプル時間0.01secでZ変換した。一回入出力応答は、閉ループ系の配置極を、−10、−10、−20、−20にして目標値をステップ関数にしたときの100秒間の応答とした。閉ループ系の配置極を、p、p、−20、−20にして、pを−1、−5、−10、−25、−50とした場合のそれぞれのフィードバック系の真の出力応答と仮想時間応答を図7に示す。
図7は横軸が時間(sec)であり、縦軸は信号強度(無単位)である。図7より真の出力応答と仮想時間応答はほぼ重なっており、その誤差は10−9未満と小さかった。
(制御器Kの最適化)
次にオーバーシュート20%以下を拘束条件として、定常値の10%以内への整定時間を評価関数とし、MATLABのfminconによって評価関数を最小にする制御器K(θ)を探す最適化問題を解いた。制御器K(θ)は、(24)式とした。パラメータはθ=(θ、θ、θ、θ)で与えた。
Figure 2021043573
仮定A4が満たされるように、K(θ)の零点が安定でその実部の大きさが1[rad/s]以上になることを拘束条件に加えた。
一回入出力応答(非周期入力信号u00、非周期出力信号y00)が得られた時のK(θ)を初期値とし、最適化して得られたK(θ)を用いた時のフィードバック系の真の時間応答と、仮想時間応答を図8に示す。図8は横軸が時間(sec)であり、縦軸は信号強度(無単位)である。図8よりy00と比べてyはオーバーシュートが抑制され、整定時間が小さくなった。また、真の出力応答と仮想時間応答はほぼ重なっており、その誤差は10−10未満と小さかった。
<制御対象をモータにした場合>
制御対象を図9に示すDCモータに直径68mm、重量100gの車輪を付けたシステムとした。このDCモータ(Bringsmart JGA25−371−201)には減速比1:21.3のギアヘッドとモータ一回転あたり12カウントのエンコーダが取り付けられている。
エンコーダの出力パルス信号は、FVコンバータ(JRCNJM4151)によって周波数−電圧変換され、マイコンArduino Mega2560の10bitのAD変換器で量子化される。サンプル時間は0.01秒であり、制御器で計算した制御入力uは、8bitで量子化される。
量子化された制御入力uは、チョッピング周波数980HzPWMでモータドライバ(DFROBOT L298P)に出力される。このモータには摩擦による不感帯があり、小さなモータ入力電圧v[V]では回転しない。これを補償するために、プラス側とマイナス側の不感帯幅h、hを測定し、(25)式のように制御入力uにh=−h=2.0Vを加えた。
Figure 2021043573
この式は、不感帯の逆関数の近似であるため、この補償によって制御入力uから制御出力yまでの特性はほぼ線形になると考えられる。ここでは、目標速度rを11.67rpmから20rpmにした時のステップ応答を評価した。
ステップ応答法で設計したPID制御器により、一回入出力応答データである非周期入力信号u00、非周期出力信号y00を10秒間取得した。その初めの2秒間分の波形を図10に示す。図10(a)は出力信号を表し、図10(b)は、モータ(制御対象)への入力を表す。両図とも横軸は時間(sec)であり、縦軸は出力である。図10(a)では回転数(rpm)であり、図10(b)は電圧(V)である。非周期出力信号y00は、図10(a)中で「y00」で表し、非周期入力信号u00は図10(b)中の「u00」で表した。
オーバーシュート10%以下を拘束条件として、定常値の2%以内への整定時間を評価関数とし、MATLABのfminconによって評価関数を最小化した。具体的には、(26)式のK(θ)を探す最適化問題を解いた。
Figure 2021043573
調整パラメータθ=(K、K、K)とし、非周期出力信号y00を取得した時のPIDパラメータを初期値とした。非周期出力信号y00に定常値の2%を超えるノイズが重畳していてこのままでは整定しないため、仮想出力信号yを(27)式の移動平均フィルタに通してから整定時間とオーバーシュートを測定した。
Figure 2021043573
図10、図11に最適化して得られたK(θ)を用いた時のフィードバック系の真の時間応答(図10(a)中で「True y」及び図11中で「True u」)と仮想時間応答(図10(a)中で「Virtual y」及び図10(b)中で「Virtual u」)を示す。なお、真の時間応答とは、仮想時間応答を用いて最適化したK(θ)の制御器でモータを駆動させた場合のモータの入力電圧uと回転数yである。
同図より非周期出力信号y00に比べ仮想時間応答と真の応答はオーバーシュートが抑制され、整定時間が小さくなった。しかし、仮想時間応答にはおもに約5Hzの振動が生じたが、これは真の出力応答には見られず、真の入力応答に高周波振動が発生した。このような誤差があるものの、周波数成分が豊富ではないステップ応答を基にしたものにも関わらず、本発明に係る出力推定方法を用いて、制御器のパラメータを最適化することで制御性能が向上されることを確認できた。
<捕捉>
(9)式と(11)式において、ある角周波数ωaにおいて、r(jω)=0のとき、ゼロ割が生じる場合がある。その時はy(jω)=u(jω)=0と設定すればよい。以下詳説する。
図3(c)のフィードバック系の目標入力がr(jω)=0であるので、y(jω)、u(jω)について(28)式、(29)式を得る。
Figure 2021043573
(28)式より[G(jω)K(jω)]−1+1≠0ならばy(jω)=0である。ナイキストの安定判別より、安定余裕がゼロとなる安定限界のときに限りG(jω)K(jω)=−1となる。しかし、仮定A3よりフィードバック系が安定なのでそうはならない。したがってy(jω)=0を得る。
(29)式よりK−1(jω)+G(jω)≠0ならばu(jω)=0である。K−1(jω)+G(jω)=0となるのは、G(jω)K(jω)=−1またはK−1(jω)=G(jω)=0のときだけである。
仮定A3よりG(jω)K(jω)≠−1であり、仮定A5よりG(jω)=0のときK−1(jω)≠0であるので、u(jω)=0を得る。よって仮定A2よりr(jω)=0である。
r(jω)=0のとき、図3(b)に対して同様の議論を行うと、y(jω)=u(jω)=0を得る。
本発明に係る出力推定方法は、制御対象への試行のための信号入力が制限されているような場合に有用である。

Claims (3)

  1. 制御器Kを介して制御対象への入力に対する出力を推定する方法であって、
    1回の試行に基づいて制御対象への周期入出力応答(周期入力信号uと周期出力信号y)を求める工程と、
    仮想入力信号rに対する前記制御対象の応答(仮想出力信号y)を(1)式で求める工程を有することを特徴とする出力推定方法。
    Figure 2021043573
    ここで、r(jω)は、(2)式に従う。r(jω)、r(jω)、u(jω)、y(jω)は、それぞれ信号r、r、u、yをフーリエ変換したものを表す。またK−1(jω)は1/K(jω)を表し、K(jω)は制御器Kの伝達関数を表す。
  2. 前記周期入出力応答を求める工程は、前記1回の試行で、前記制御対象へ非周期入力信号u00を入力し、非周期出力信号y00を取得し、前記非周期信号(非周期入力信号u00、非周期出力信号y00)を周期信号(周期入力信号u、周期出力信号y)に変換する工程であることを特徴とする請求項1に記載された出力推定方法。
  3. 制御対象を制御する制御器のパラメータをK(θ)として、請求項1または2の何れかの請求項に記載された出力推定方法による前記仮想出力信号および仮想入力信号を用いて、K(θ)を最適化する制御器の最適化方法。
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