JP2021042959A - 特定対象物検出方法及び特定対象物検出装置 - Google Patents

特定対象物検出方法及び特定対象物検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】例えばイベント会場や鉄道その他の大量輸送機関等での荷物の検査に適用可能であり、検査の対象中に特定の対象物が含まれているか否かを確実かつ迅速に判定できる特定対象物検出方法及び特定対象物検出装置を提供すること。【解決手段】検査対象のX線画像GIcにおける物体OBの重なり度合のデータを抽出し、重なり度合の指標としての確信度に基づき、抽出した重なり度合のデータを利用して検査対象における特定対象物である危険物に関して判定することで、例えば検査対象中における特定対象物の有無や、種類、位置、大きさ等を確実かつ迅速に判定できる。【選択図】図1

Description

本発明は、X線等を使用して検査の対象となる手荷物等に特定の対象物が含まれているか否かを判定する特定対象物検出方法及び特定対象物検出装置に関する。
X線を利用して検査を行う際に、X線画像中に占める面積に基づいて安全性を確かめるものが知られている(特許文献1)。また、物品の重なり状況についてパターン化しておくものが知られている(特許文献2)。
しかしながら、例えば、特許文献1では、X線を利用して検査の対象となる物品の安全性を面積に基づき自動的に判定するに際して、物品の重なりについて判定を行うものとしているが、物品が重なっていた場合においてさらに安全か否かを判定するための方法についてまでは言及されていない。また、例えば特許文献2では、物品の数を正確に判定するために、物品の重なり状況について把握すべく、いくつかの特定のパターンについて言及されているが、パターン化できない不特定の重なりについてまで対応できるとは限らない。
特開2018−4363号公報 特開2015−137859号公報
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、例えばイベント会場や鉄道その他の大量輸送機関等での荷物の検査に適用可能であり、検査の対象中に特定の対象物が含まれているか否かを確実かつ迅速に判定できる特定対象物検出方法及び特定対象物検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための特定対象物検出方法は、検査対象のX線画像における物体の重なり度合のデータを抽出し、重なり度合の指標に基づき、抽出した重なり度合のデータを利用して検査対象における特定対象物に関して判定する。
上記特定対象物検出方法では、検査対象についてのX線画像から物体の重なりの状況について抽出した重なり度合のデータについて、重なり度合の指標に基づき、検査対象における特定対象物に関して判定を行うことで、例えば検査対象中における特定対象物の有無や、種類、位置、大きさ等を確実かつ迅速に判定できる。
本発明の具体的な側面では、重なり度合の指標は、特定対象物の画像の濃度に対する相対値を多段階で設定した確信度である。この場合、設定した確信度に基づいて、特定対象物に関して判定できる。
本発明の別の側面では、特定対象物に関する判定結果として、X線画像に含まれる特定対象物についての他の物体との重なり状況を示す重なりマップを出力する。この場合、例えば他の物体との重なり状況を加味した判定結果の表示が可能になる。
本発明のさらに別の側面では、特定対象物の有無、種類、位置及び大きさについて判定する。この場合、特定対象物に関する種々の判定結果が示される。
本発明のさらに別の側面では、特定対象物に関する判定を可能とするための学習用画像の情報として、画像中における特定対象物の位置及び大きさに加え、特定対象物に対する物体の重なり度合の指標を含む。この場合、画像中において特定対象物が他の物体と重なり合った状態にあっても、的確に検出できる。
本発明のさらに別の側面では、学習用画像の情報としての重なり度合の指標は、学習用画像に含まれる特定対象物について、他の物体との重なり度合に応じて領域ごとに定めた相対的な数値である。この場合、画像中の領域ごとについて、他の物体との重なり度合に応じた指標に従った検出ができる。
本発明のさらに別の側面では、学習用画像の情報としての重なり度合の指標は、特定対象物の濃度として規定した濃度に対する相対的な値として画像中の各点において自動的に定まる数値である。この場合、画像中の各点ごとについて、他の物体との重なり度合に応じた指標に従った検出ができる。また、各点ごとの重なり度合を自動的に設定できる。
本発明のさらに別の側面では、検査対象は、手荷物であり、特定対象物は、刃物及び爆発物を含む危険物であり、危険物の有無に関する判定を、危険物の種類ごとに定めた閾値に基づいて行う。この場合、手荷物中における複数種類の危険物の有無を確実かつ迅速に検出することができる。
上記目的を達成するための特定対象物検出装置は、検査対象のX線画像における物体の重なり度合のデータを抽出する重なり度合抽出部と、重なり度合の指標を格納し、重なり度合の指標に基づいて、重なり度合抽出部において抽出した重なり度合のデータを利用して、検査対象における特定対象物に関して判定する判定部とを備える。
上記特定対象物検出装置では、検査対象についてのX線画像から物体の重なりの状況を重なり度合抽出部で重なり度合のデータとして抽出し、抽出した重なり度合のデータについて、判定部において、格納された重なり度合の指標に基づき、検査対象における特定対象物に関して判定を行うことで、例えば検査対象中における特定対象物の有無や、種類、位置、大きさ等を確実かつ迅速に判定できる。
(A)は、実施形態に係る特定対象物検出方法を採用した特定対象物検出装置について一例を概念的に示す斜視図であり、(B)は、特定対象物検出装置によるX線画像の形成について示す概念図である。 特定対象物検出装置の一構成例を示すブロック図である。 特定対象物検出装置のうち動作制御を行う箇所について一構成例を示すブロック図である。 特定対象物検出装置における特定対象物検出の方法について概要を説明するための概念図である。 (A)及び(B)は、特定対象物検出を可能にするための学習用画像について一例を示す画像図である。 手動による学習用画像の準備の一例を説明するための画像図である。 自動での学習用画像の準備の一例を説明するための画像図である。 画像の濃度に対する確信度の設定方法について一例を説明するためのグラフである。 (A)〜(C)は、画像の濃度に対する確信度の設定についての具体例を示すグラフである。 ニューラルネットワークを利用したデータの加工から出力までの一連の処理について一例を説明するための概念図である。 (A)〜(C)は、ニューラルネットワークによる処理の様子を示す概念図である。 (A)は、元画像あるいは画像認識処理前のX線画像について一例を示す画像図であり、(B)は、(A)に対応する重なりマップであり、(C)は、(A)に対応する形状マップである。 特定対象物検出を可能にするための学習段階での処理の一例を示すフローチャートである。 学習段階での反復終了条件としての誤差測定について一例を示す概念図である。 学習済みの特定対象物検出装置による判定処理の一例を示すフローチャートである。 学習段階でのニューラルネットワークにおけるパラメータの更新方法について一例を示すフローチャートである。 (A)〜(C)は、パラメータの更新について説明するための概念図である。 特定対象物検出装置の一変形例の動作を例示するフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である特定対象物検出方法及び当該特定対象物検出方法を採用した特定対象物検出装置の詳細について説明する。
図1(A)等に示す特定対象物検出装置100は、例えばイベント会場の入場口等に設置されるものであり、X線検査装置10と、制御装置50とを備える。
X線検査装置10は、検査対象である荷物(例えばイベント会場に入場しようとする者の手荷物)BAを搬送する搬送部としてのコンベア20のほか、荷物BAに対して放射線であるX線RLを照射するX線源11と、X線源11からのX線RLのうち荷物BAを通過した成分を受けるラインセンサであるX線センサ部12とを有する。なお、このほかに、X線検査装置10は、例えば、X線源11とX線センサ部12とを内部に収納する直方体状の遮蔽ボックス15を有する。なお、図1(A)では省略しているが、この他、例えば遮蔽ボックス15の入口付近に荷物BAの搬入を検知するための搬入検知センサ(図2の搬入検知センサSE参照)を設けてもよい。
まず、X線検査装置10のうち、X線源11は、X線RLを射出する放射線源である。X線源11は、遮蔽ボックス15の中央付近の下部側に配置されており、放射線であるX線RLをX線センサ部12に向けて照射する。X線センサ部12は、X線RLを受ける放射線センサ部である。X線センサ部12は、コンベア20の搬送路を挟んでX線源11に対向するように遮蔽ボックス15の中央付近の上部側に配置されている。X線センサ部12は、例えば受光素子を搬送方向(矢印A1に示す方向)に対して垂直な方向に延びるようにライン状に並べて配置することで、コンベア20による搬送と同期してライン型のスキャンを可能にしている。すなわち、荷物BAが遮蔽ボックス15の内部空間の中央付近を通過する際に、荷物BAへのX線RLの照射がなされ、X線センサ部12が受けた結果に基づき荷物BAの内部にある物体OBについて2次元的な検査がなされる。
特定対象物検出装置100における以上のような動作をすべく、X線検査装置10に設けたコンベア20は、荷物BAを受け取って、例えば矢印A1に示す方向に直進で搬送し、X線検査装置10が、遮蔽ボックス15内に搬送された荷物BAを経路上の所定範囲内においてX線RLを照射するとともに透過成分を検出することで、検査を行う。すなわち、特定対象物検出装置100は、X線検査装置10によって対象者の荷物BAについて内部を透視して危険物の有無等に関する情報の収集を行う。
以下、図1(B)の概念図を参照して、特定対象物検出装置100のうち、X線検査装置10によるX線画像の形成について説明する。図1(B)において、横軸は、時間を表し、時間t(1≦i≦n)は、ラインセンサであるX線センサ部12におけるi番目の走査(スキャン)を意味し、1回のラインスキャンによって一次元方向に沿った画像(図示例では短冊状のスキャン画像SG示している)が取得される。図では、時間t〜tの間において、対象物のX線画像を形成(取得)する様子を示している。具体的には、例えば時間tにおいては、X線源11からのX線RLをほぼそのまま受けるが、時間t以降においては、徐々にX線RLの一部が対象物に吸収され、結果として、各スキャン画像SG中に少し暗くなった領域DDの画像がそれぞれ形成される。各スキャン画像SGを繋ぎ合わせていくと、例えば時間tにおいて、各領域DDを繋ぎ合わせた1つの閉じた全体領域DDtを有するX線画像GIcが形成される。
以上のようにして形成されるX線画像GIcでは、X線RLが照射される対象物となり得る荷物BAや荷物BA中の物体OBの材質や厚さ等によって画像として表示される際の濃度が異なっている。すなわち、X線RLの吸収率が高いものほど画像としては暗いものとなって現れる。つまり、濃淡のある画像が形成される。特に、X線画像GIcにおいて2以上の物体が重なった箇所があると、その箇所は、周りに比べてより暗い画像となる。本実施形態では、X線画像の解析に際して、物体同士の重なり具合を加味することで、特定対象物すなわち危険物の検出をより的確なものにしている。なお、以下において、実物としての物体とこれに対応する画像中の部分画像とについて、区別せずに記載する。例えば、物体OBについて、実物について示す場合も、画像中のものを示す場合も、単に物体OBと記載する。
図1(A)に戻って、特定対象物検出装置100のうち、制御装置50について説明する。制御装置50は、例えばCPUやGPU、さらには各種ストレージデバイス等を有するパーソナルコンピュータ(PC)で構成され、X線検査装置10を構成する各部と接続して、これらの動作制御を司るとともに、X線検査装置10における検査に際して取得される画像データを含む各種データを解析し、荷物BAの内部における危険物の有無等を自動判定する。特に、本実施形態では、制御装置50は、特定対象物たる危険物に関する判定をするに際して、危険物である物体と危険物以外の物体との重なり度合を配慮すべく、検査対象たる荷物BAのX線画像における物体の重なり度合のデータを抽出する重なり度合抽出部として機能する。さらに、制御装置50は、抽出した重なり度合のデータを利用して、検査対象における特定対象物たる危険物に関して判定する判定部として機能する。特に、本実施形態では、制御装置50が判定部として機能するに際して、重なり度合の指標に基づいて抽出した重なり度合のデータを利用した判定を行うものとなっており、以下の例では、重なり度合の指標として、特定対象物たる危険物の画像の濃度に対する相対値を多段階で設定した確信度を採用する。画像の濃度と確信度との関係については、後述する。
以下、図2等のブロック図を参照して、特定対象物検出装置100を構成する各部及び各部の機能についてさらに説明する。
X線検査装置10は、図示のように、また、既述のように、コンベア20と、X線源11と、X線センサ部12と、搬入検知センサSEとを備える。このほか、X線検査装置10は、例えば制御装置50における画像処理の結果等を表示するための出力装置としての表示部DPを有している。表示部DPは、例えば液晶パネルや有機ELパネル等で構成され、制御装置50における解析に基づく判定結果を画面に表示する。
制御装置50は、既述のように、X線検査装置10の各部と接続して、これらの動作制御を司るとともに、X線検査装置10における検査に際して取得される画像データを含む各種データを解析すべく主制御部60のほか、各種処理装置を有する。具体的には、図示の例では、X線照射制御部61と、X線データ検出部62と、画像処理部63と、記憶部64と、入力装置としての操作部70とを備える。なお、X線検査装置10に示した出力装置としての表示部DPあるいはこれと同等のものを制御装置50に設けてもよい。
主制御部60は、CPU等で構成され、X線検査装置10を構成する各部の動作や、制御装置50を構成する上記各部の処理を制御する。
X線照射制御部61は、コンベア20により搬送された荷物BAに対し、所定のタイミングでX線源11からX線RLを照射させるべく、動作制御を行う。
X線データ検出部62は、X線検査装置10のうち、X線RLの照射を受けたX線センサ部12における検出結果を受け付け、スキャン画像データとして検出する。すなわち、X線データ検出部62は、図1(B)に例示した荷物BAが搬送されながら1列ずつスキャンしたスキャン画像SGのデータ(スキャン画像データ)の検出を行う。
画像処理部63は、GPU等で構成され、例えば、X線データ検出部62からスキャン画像データを繋ぎ合わせて最終的に物体の画像として完成されたX線画像の生成(形成)をし、また必要に応じて、生成(形成)されたX線画像に対して、危険物が含まれているかを主制御部60において判定可能にするための画像処理といった各種画像処理の全般を担う。
記憶部64は、ストレージデバイス等で構成され、主制御部60や画像処理部63等の各部において処理を行うに際して必要となる各種データやプログラムを格納する。また、記憶部61は、X線検査装置10での動作により取得されるX線画像や、制御装置50での解析に基づく判定結果等の各種データを保存(記憶)する。
なお、操作部70は、キーボードやマウス等の入力装置で構成され、特定対象物検出装置100を操作するためのオペレータによる各種指令を受け付ける。すなわち、操作部70は、オペレータからの指示に従って、制御装置50に格納される各種ソフトの起動、初期化、終了等の操作を行う。
以下、図3のブロック図を参照して、上記のうち、記憶部64に格納される各種プログラムや各種データやについて一例を説明する。なお、主制御部60や画像処理部63は、記憶部64に格納された各種プログラムや各種データを適宜読み出して、各種処理を行う。このため、図3に例示するように、記憶部64に格納されるプログラムやデータ等としては、X線検査装置10での動作により取得されるX線画像GIcに関するデータや、取得したデータについて加工処理を施したデータ等の各種データを格納する。また、記憶部64には、各種画像処理に関して必要なデータやプログラムが格納されている。特に、本実施形態では、機械学習モデルを用いた画像認識技術を採用しており、ここでは機械学習モデルの一例として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いたものを採用する。
以上から、記憶部64は、各種プログラムとして、学習済みX線画像データ解析プログラムGAを有している。学習済みX線画像データ解析プログラムGAには、例えば、X線検査装置10で取得したX線画像GIcを処理可能なものとするための各種画像処理を行うX線画像データ処理プログラムXPと、畳み込み処理プログラムCPと、危険物判定結果出力プログラムROとを有する。このほか、解析結果に基づき、対象となる危険物についての重なりマップを作成する重なりマップ作成プログラムOMや、対象となる危険物についての形状マップを作成する形状マップ作成プログラムFMを有する。
また、記憶部64は、各種データの格納部として、X線画像GIcに関するデータを格納(保存)するX線画像データ格納部XGと、危険物判定結果出力プログラムROに基づいて出力される解析結果を格納する危険物解析結果格納部ARと、各種パラメータを格納するパラメータデータ格納部PMと、各種閾値のデータを格納する閾値データ格納部THとを有する。なお、例えば、パラメータデータ格納部PMには、X線画像GIcにおける画像中の濃淡から各位置での確信度を設定するための換算表(テーブルデータ)あるいは関数データ等を格納する確信度設定データ格納部CDが含まれている。
X線画像データ処理プログラムXPは、例えば既存のCNNにおける画像認識と同様に、X線画像データ格納部XGに格納されたX線画像GIcに映し出されている物体の形状や位置、サイズ等を抽出して、これらに基づく画像中の物体認識を行うための畳み込み処理を含む各種処理がなされる。特に、本実施形態では、こうした通常の画像認識に採用される物体の形状や位置、サイズ等の情報に加えて、通常の画像では捉えられないX線画像GIc中の画像の濃淡についての情報を、画像認識のための解析を行う上で加味している。特に、本実施形態では、既述のように、物体同士の重なり具合に伴う濃淡の状況を加味して画像認識を行うものとしている。このため、X線画像データ処理プログラムXPには、物体の重なり度合のデータを抽出する重なり度合抽出プログラムOEと、重なり度合の指標としての確信度を設定する確信度設定プログラムCSとが含まれている。
重なり度合抽出プログラムOEは、検査対象たる荷物(手荷物)BA(図1参照)のX線画像GIcにおける複数の物体OBの重なり度合のデータを抽出するためのプログラムであり、主制御部60は、記憶部から重なり度合抽出プログラムOEを読み出すことで、当該重なり度合のデータを抽出する重なり度合抽出部として機能する。
確信度設定プログラムCSは、重なり度合抽出プログラムOEによって抽出された重なり度合のデータすなわち画像の濃淡度合に関するデータについて、確信度を設定する。具体的には、確信度設定データ格納部CDに格納された換算表等を利用して、画像の濃淡に基づき、画像中の各箇所における重なり度合を勘案した危険物である可能性の高さを、0〜1の間で多段階に定めた相対値で規定する。
畳み込み処理プログラムCPは、CNNにおける中核的な処理を行うためのプログラムであり、中間層(隠れ層)における深層学習に基づく各種データ解析等を行う。なお、この際にも、画像の濃淡度合に関するデータとしての確信度についての情報が取扱い対象に含まれている。
危険物判定結果出力プログラムROは、中間層から出力層への処理を担い、特定対象物たる各種危険物に関する判定結果を出力するための各種プログラムが格納されている。ここでは、一例として、特定対象物としての危険物には、刃物及び爆発物のほか、例えば銃や可燃性液体等を含むものとする。このため、危険物判定結果出力プログラムROには、例えば銃刀判定プログラムGJを構成する刃物判定プログラムGJaや、銃判定プログラムGJb、あるいは、爆発物判定プログラムEJや、可燃性液体判定プログラムLJが含まれている。すなわち、本実施形態では、危険物の有無に関する判定を、各プログラムごとにおいて、危険物の種類ごとに定めた閾値に基づいて行うことができる。
また、上記に対応して、危険物解析結果格納部ARには、刃物検出データ格納部GDa、銃検出データ格納部GDb、爆発物検出データ格納部ED及び可燃性液体検出データ格納部LDが設けられている。
以下、図4の概念図を参照して、上述した構成の特定対象物検出装置100における特定対象物たる危険物の検出方法について概要を説明する。まず、図中において、画像GIは、危険物を含む物体が重なった状態の画像についての一例であり、図示の例では、危険物である物体OBの一例としてのナイフ(刃物)OBaと、危険物でない物体OB(非危険物)の一例としての水筒OBbとが捉えられている。つまり、画像GIは、可視画像すなわち通常のカメラによる撮像画像の一例であり、この場合、危険物であるナイフOBaのうち特に危険な箇所である刃の部分についての部分画像(以下、危険部分画像SOとする)を的確に捉えることが重要となる。図示の場合、危険部分画像SOの一部が、非危険物である水筒OBbの一部と重畳した状態となっている。この場合、危険部分画像SOのうち、水筒OBbと重なっている部分と重なっていない部分とで、X線画像GIc(図5(B)等参照)の濃淡に差異が生じる。本実施形態では、このような物体の重なりに関して重なり度合のデータとして抽出するとともに、重なり度合の指標としての確信度を規定し、規定された確信度を利用して危険物に関する判定を行っている。すなわち、確信度を加味した画像認識により、危険物の種類や有無、画像中(すなわち荷物BA中)の位置や、危険物の大きさ等について判定している。
なお、危険物に関する解析は、上記した刃物(ナイフ)についての一例に限らず、他の危険物(爆発物等)についても可能であるが、以下では、刃物を危険物の代表的一例として説明し、他のものについては、詳細な説明を省略する。
以下、図5等を参照して、上記のような特定対象物検出装置100による特定対象物検出を可能にするための学習過程の一例について説明する。なお、図5(A)及び図5(B)は、特定対象物検出を可能にするための学習用画像について一例を示す画像図である。ここでは、既述のように、特定対象物たる危険物に関する判定を可能とするための学習用画像の情報として、画像中における危険物の位置及び大きさに加え、危険物に対する物体の重なり度合の指標としての確信度を含む態様となっている。
以下において、図示のように、学習用画像の典型例として、予め危険物について特定されている(分かっている)サンプルとして、元画像としての画像(通常の可視画像)GIやそれに対応するX線画像GIcと、これらについて画像中の確信度を定めた重なりマップGIoとを多数用意し、これらを基に学習させるものとする。図5(A)は、危険物であるナイフ(刃物)OBaと危険物でない水筒OBbとが重なっていない状態のサンプル画像を示しており、図5(B)は、重なっている状態のサンプル画像を示している。したがって、例えば、図5(A)では、ナイフOBaについて、画像GIあるいはX線画像GIcにおける危険部分画像SOが占めるべき領域全体に亘って、刃物がそのままの濃度の画像として捉えられている。この場合、危険部分画像SOにおいて確信度1(最大値)とする一方、危険部分画像SO以外の領域を確信度0(最小値)として、物体の重なり具合に応じた重なりマップGIoが準備される。
これに対して、図5(B)では、ナイフOBaについて、画像GIあるいはX線画像GIcにおける危険部分画像SOが占めるべき領域のうち、一部の領域で他の物体(水筒OBb)が重なっている。すなわち、一部の領域SOaでは、刃物がそのままの濃度の画像として捉えられているが、他の一部の領域SObでは、水筒OBbと重なっており、その分画像として暗くなっている。本実施形態では、領域SOaのような箇所について、画像の濃度に応じて、確信度を0より大きくかつ1より小さい値で適宜定め、重なりマップGIoを準備し、学習用のサンプル画像としている。
本実施形態では、図5(A)のような例のみならず、図5(B)のような例であっても、これを危険物として捉えられるように、学習させることで、特定対象物検出装置100に搭載可能な画像認識エンジンの作成が可能となる。
以下、図6等を参照して、上記のような学習用画像となるサンプル画像の準備の手法について、一例を説明する。図6は、手動による学習用画像の準備の一例を説明するための画像図である。すなわち、元画像である画像GIと対応するX線画像GIcとを人間の眼で見比べて、危険部分画像SOや危険部分画像SOのうち、重畳の無い領域SOaや重畳のある領域SObを画定し、各領域について、確信度を設定することで、重なりマップGIoを作成する。
図6の一例においても、図5(B)の例において説明した場合と同様、ナイフOBaの刃の部分と水筒OBbとの重なりを有する領域SObについて、確信度を0より大きくかつ1より小さい値とする。ここでは一例として、領域SObに対応する画像中の各画素の確信度を0.5とする。なお、危険部分画像SOのうち、水筒OBbとの重なりが無い領域SOaについては、各画素の確信度を1とし、危険部分画像SO以外の領域については、各画素の確信度を0とする。以上のようにして作成された画素単位での確信度のマップデータで構成される重なりマップGIoと、元画像とを学習用画像の材料とすることで、画像認識エンジンすなわち学習済みX線画像データ解析プログラムGA(図3参照)を構成する各種プログラムが作成される。すなわち、上記の場合、学習用画像の情報としての重なり度合の指標である確信度が、学習用画像に含まれる特定対象物たる危険物(ここでは刃物)について、他の物体である水筒OBbとの重なり度合に応じて領域SOa,SObごとに定めた相対的な数値となっている。
以下、図7を参照して、学習用画像の準備の他の一例を説明する。図7の例では、学習用画像の準備が一部自動化されている。
図7に示す一例では、2つの非危険物として水筒OBbと棒OBcが、ナイフOBaの危険部分画像SOと重なっている。この場合、X線画像GIcに対応する重なりマップGIoにおいてハッチングして示すように、危険部分画像SOと水筒OBbとが重なる領域SObと、危険部分画像SOと棒OBcとが重なる領域SOcとでは、濃度が異なる可能性がある。また、より詳細に調べれば、例えば領域SOb内においても場所によって濃度が異なっている可能性がある。これに対して、ここでの一例では、各領域SO,SOa,SOb,SOcの画定までは、人が目で確認して行い、画像中の各領域SO,SOa,SOb,SOcの各点における確信度については、各点に対応する画像の濃度に応じて、自動的に設定してもよい。すなわち、重なり度合の指標としての確信度が、特定対象物たる危険物(ここでは刃物)の濃度として規定した濃度に対する相対的な値として画像中の各点において自動的に定まる数値であるようにしてもよい。
図8は、画像の濃度に対する確信度の設定方法について一例を説明するためのグラフである。既述のように、ここでの一例では、画像の濃度に対して、危険物に関する確信度を0〜1の間の範囲で数値を設定している。確信度の設定は、他の物体との重なりが無い危険部位(ナイフ等の刃の部分)における画像の濃度、すなわち危険部位の単体での濃度となる箇所を、当該危険物(刃物)としての確信度1とし、これよりも暗くなる(濃度が下がる)のに従って、確信度が下がるように設定する。図8の例では、画像の濃度と確信度とが比例的に増減するように設定した場合を例示している。
図9(A)〜図9(C)は、上記のような画像の濃度に対する確信度の設定方法についてのより具体的な例を示すグラフである。ここでは、画像の濃度が0〜255までの階調を有するものとし、危険部位の単体での濃度が、上記階調のうち100となるものとしている。この場合、図9(A)に示す一例のように、図8に示すグラフと同様、画像の濃度と確信度とが比例的に増減するように設定することが考えられる。この場合、例えば、図7に示す領域SObや領域SOcの各画素において、画像の濃度が40であったとすると、その画素における確信度は、0.4に自動的に設定されることになる。なお、この他、例えば図9(B)に示す他の一例のように、階段状に値を規定することで、濃度がある程度の範囲内であれば、確信度は一定であるようにしてもよい。また、例えば図9(C)に示す他の一例のように、図9(A)の場合と異なり、比例的ではない変化のさせ方をしてもよい。
以下、図10等を参照して、上記のような学習過程あるいは学習済みのモデルによる解析に際して適用されるニューラルネットワーク処理について一例を説明する。
図10は、ニューラルネットワークを利用したデータの加工から出力までの一連の処理について一例を説明するための概念図である。また、図11(A)〜図11(C)は、ニューラルネットワークによる処理の様子を示す概念図である。
まず、図10に示すように、ニューラルネットワークでは、入力と出力の間に複数の中間層1〜中間層Nを設け、層から層へ計算しながら出力を定める。このため、まず、前提として、X線画像データ処理プログラムXP(図3参照)を利用することで、画像解析が可能な状態のX線画像GIcが、入力層として準備される。次に、畳み込み処理プログラムCPを利用することで、中間層1〜中間層Nまでの処理が施され、危険物判定結果出力プログラムROを利用することで、中間層のうち最終のものである中間層Nから出力層が得られる。
上記のうち、畳み込み処理プログラムCPを利用した畳み込み処理については、例えば図11(A)〜図11(C)に例示するように、層と層の間の計算では、畳み込みフィルタを使用する。畳み込みフィルタは2次元のブロック状になっており、各位置の重みw(i,j)をもっている。
ここでは、一例として、畳み込みフィルタのサイズが3×3の場合における中間層nと中間層n+1間の計算を考える。中間層nの位置(x,y)の画素をI(x,y)とすると、中間層n+1の位置の画素In+1(x,y)は、
Figure 2021042959
となる。
なお、中間層1〜中間層Nまでの処理については、既存の種々の手法を適用でき、畳み込み処理以外のパディング処理やプーリング処理等の各種手法が併せて用いられてもよい。
図10に戻って、上記のような畳み込み処理を経て、危険物判定結果出力プログラムRO(図3参照)を利用して、最後の中間層である中間層Nから、最終結果(特定対象物検出装置100による推定結果)である出力層として出力された各種危険物に関して、それぞれ検出の有無や、検出位置(画像中の座標位置)、分類クラスすなわち危険物の種類等が、その可能性とともに出力される。すなわち、上記のようにして、特定対象物検出装置100での処理により危険物として判定された(推定された)結果が、どの程度の確かさであるかが示される。特に、本実施形態では、重なりマップに示される危険物可能性としての重なり確信度や、形状マップに示される危険物可能性としての形状確信度としてこれらの値が示される。なお、重なりマップや形状マップについては、特定対象物検出装置100による推定結果に基づいて、重なりマップ作成プログラムOMや形状マップ作成プログラムFMで作成され、図12に例示するように、可視化された画像として出力されてもよい。図12(A)には、元画像あるいは画像認識処理前のX線画像GIcが示されており、これに対して、図12(B)に、X線画像GIcに対応する重なりマップGIoが示されている。すなわち、特定対象物検出装置100による画像認識処理の結果、水筒との重なり状況を含めたナイフの刃の部分が抽出された状態で表示される。この場合、当該箇所が危険物(刃物)である可能性が高いものとして示される。このときの特定対象物検出装置100による推定に基づく可能性の高さを、ここでは重なり確信度と呼んでいる。
同様に、図12(C)に、図12(A)に示すX線画像GIcに対応する形状マップGIfが示されている。すなわち、特定対象物検出装置100による画像認識処理の結果、ナイフの刃の部分の形状が抽出された状態で表示されており、このときの可能性の高さを、ここでは形状確信度と呼んでいる。この場合、形状確信度は、予め定められた刃物の長さや、幅、大きさ(サイズ)等との比較から形状確信度を定めることができる。
なお、重なり確信度や形状確信度が出力されれば、目的としては足りると考えられるが、これらに加え、重なりマップGIoや形状マップGIfが、必要に応じで、重なりマップ作成プログラムOMや形状マップ作成プログラムFMを適宜読み出すことで、作成されてもよい。すなわち、特定対象物たる危険物に関する判定結果として、X線画像GIcに含まれる危険物についての他の物体との重なり状況を示す重なりマップGIoを出力する態様としてもよい。
以下、図13のフローチャートを参照して、特定対象物検出を可能にするための学習段階での処理の一例について説明する。上記のような特定対象物検出装置100による画像認識処理において、判定結果が妥当なものとなるためには、学習が必要であり、ここでは、既述の手法に加え、上述した画像の濃度に関する情報を学習用のサンプルとして与えている。
学習過程における特定対象物検出装置100、いわば未完の状態にある特定対象物検出装置100において、まず、上記のようなサンプルとなる学習画像を入力し(ステップS101)、さらに、当該画像における重なり度合を入力する(ステップS102)。特定対象物検出装置100は、必要に応じて画像認識処理を行う際の各種パラメータを更新して、ステップS101及びステップS102での入力値に基づく画像認識処理を行い(ステップS103)、出力結果について、反復終了条件を満たしたか否かを確認する(ステップS104)。ステップS104において、反復終了条件を満たした(ステップS104:Yes)場合、十分な学習が行われたものとし、学習処理を終了する。すなわち、特定対象物検出装置100として完成する。一方、ステップS104において、反復終了条件を満たしていない(ステップS104:No)場合、学習が不十分であるものとし、ステップS103における各種パラメータを更新した上で、画像認識処理を行い(ステップS103)、出力結果について、反復終了条件を満たしたか否かを確認する(ステップS104)。以上の動作を、反復終了条件を満たすまで繰り返すことで、所望の条件を満たす学習エンジン延いては特定対象物検出装置100が完成する。
以下、上記した反復終了条件に関して、図14を参照して、一例を説明する。反復終了条件については、種々の設定をとることが考えられ、例えば、反復回数(ステップS103及びS104の処理回数)が閾値を超えた場合や、予め設定した誤差が閾値未満となった場合に終了とすることが考えられる。なお、上記に例示した2つの条件については、いずれか一つを用いても、複数組み合わせてもよい。
図14の一例では、後者の一例について示すものである。例えば、予め最終の中間層Nを経て出力層として出力されるべき結果が分かっている場合すなわち正解VIが分かっている場合に、特定対象物検出装置100を用いて得た最終結果Vと正解VIとの誤差が予め定めた閾値内に収まっていれば条件を満たしたことにする、という手法を示している。例えば、図示のように、最終結果V及び正解VIが、
V=(v,v,…,v10
VI=(vi,vi,…,vi10
と、10個の数値の組で表現されるような場合において、予め定めた閾値ΔVに対して、
ΔV≧√Σ(v−vi
(k=1,2,…10)
となることを条件とすることができる。
また、例えば学習用画像との誤差が閾値未満となった場合に終了とする、といったことも考えられる。
以下、図15のフローチャートを参照して、上記のような学習段階を経て完成した特定対象物検出装置100すなわち学習済みの特定対象物検出装置による判定処理の一例を説明する。
学習済みの特定対象物検出装置100において、検査対象となるX線画像GIcを入力する(ステップS201)。ステップS201において、危険物が検出された場合には(ステップS202:Yes)、当該危険物として検出された箇所の位置や、確信度(重なり確信度や形状確信度)を表示部DPに出力する(ステップS203)。一方、ステップS202において、危険物が検出されない場合には(ステップS202:No)、検出位置や確信度(重なり確信度や形状確信度)を出力することなく動作を終了する。なお、この場合、危険物が検出されなかった旨を出力してもよい。
以上のように、本実施形態に係る特定対象物検出方法及びこれを用いた特定対象物検出装置100では、検査対象のX線画像GIcにおける物体OBの重なり度合のデータを抽出し、重なり度合の指標としての確信度に基づき、抽出した重なり度合のデータを利用して検査対象における特定対象物である危険物に関して判定する。
上記方法又は特定対象物検出装置100では、抽出した重なり度合のデータについて、重なり度合の指標に基づき、検査対象における特定対象物に関して判定を行うことで、例えば検査対象中における特定対象物の有無や、種類、位置、大きさ等を確実かつ迅速に判定できる。
以下、図16及び図17を参照して、特定対象物検出を可能にするための学習段階での処理についてより具体的な一例を説明する。
図16は、学習段階でのニューラルネットワークにおけるパラメータの更新方法について一例を示すフローチャートであり、図17(A)〜図17(C)は、図16に示す動作のうち、パラメータの更新について説明するための概念図である。なお、ここでの一例は、図13のフローチャート等を参照して示した一例のより具体的な一例でもある。
ここでは、まず、前提として、図12(A)〜図12(C)に例示した元画像としてのX線画像GIcと、これに対応する重なりマップGIo及び形状マップGIfの3種類として、既知のデータが、すなわち正解が分かっているものが、1セット予め準備されているものとし、これをまず、セットする(ステップS301)。なお、以上の動作は、図13のステップS101の学習画像入力からステップS103における画像認識処理のための準備段階までに相当する。次に、ステップS301においてセットしたもののうち、元画像としてのX線画像GIcについて、学習過程における特定対象物検出装置100(未完の状態にある特定対象物検出装置100)によるニューラルネットワークによる層から層へ計算しながら出力を定める、すなわち、画像認識処理を行う(ステップS302)。なお、ここでは、ステップS302における上記処理(あるいは処理のための各種計算)を、順方向計算と呼ぶ。次に、ステップS302での処理結果(推定値)について、誤差の算出を行う(ステップS303)。ここでの算出方法としては、ステップS302での処理結果と、ステップS301において予めセットされた重なりマップGIo及び形状マップGIfとを比較することが考えられる。より具体的には、例えば予めセットされた重なりマップGIo及び形状マップGIfを、出力層の形式に変換し、図14の一例の場合のように、ステップS302での処理結果(推定値)との二乗誤差を算出することが考えられる。
あるいは、ステップS302での処理結果(推定値)すなわち出力層として取得されたものから、図3の重なりマップ作成プログラムOMや形状マップ作成プログラムFMを利用して、重なりマップや形状マップを作成し、予めセットされた重なりマップGIo及び形状マップGIfとの二乗誤差を算出することも考えられる。
ステップS303での誤差の算出結果から、出力結果について、反復終了条件を満たしたか否かを確認する(ステップS304)。ステップS304において、反復終了条件を満たした(ステップS304:Yes)場合、学習処理を終了する一方、反復終了条件を満たしていない(ステップS304:No)場合、反復処理を継続し、各種パラメータを更新すべく、逆方向計算の処理を行う(ステップS305)。
ステップS305の逆方向計算については、例えば、図17(A)〜図17(C)に例示するように、反復処理を継続する場合、モデルを逆方向に計算ながらパラメータを更新する。中間層n+1の各画素の誤差ΔIn+1から中間層nの誤差ΔI、畳み込みフィルタの誤差Δwを算出する。ΔIn+1を用いてΔI,Δwは、
Figure 2021042959
と表される。なお、誤差ΔI(x,y)は、中間層n−1と中間層nとの間での計算に用いられる。誤差Δw(i,j)を用いて、パラメータを次のように更新する。
Figure 2021042959
ここでαは、学習率を表し、α=0.001のように0に近い正の値を用いる。また、上式において、上付きの添え字tは、反復回数について示すものであり、左辺に示す反復による新たな重みwt+1 (i,j)を、右辺に示す1回目前の反復における重みw (i,j)等によって規定している。
また、上記の逆方向計算では、前提として、最初に、出力層の誤差から、中間層Nの画像の誤差ΔINを算出している。その後、ΔIと上記演算式とを用いて更新を行う。すなわち、ΔIを用いて畳み込みフィルタの重みΔwN−1を更新し、中間層N−1の誤差ΔIN−1を算出する。さらに、畳み込みフィルタの誤差ΔwN−1を用いて、重みwN−1を更新する。上記のような処理を、n=N−1から1まで1ずつ減らしながら計算することで、畳み込みフィルタの重みw,w,…,wN−1を更新する。
なお、以上のステップS302からステップS305までの処理は、図13のステップS103における画像認識処理の実態的内容やステップS104の反復終了条件の判定処理に相当する。
以下、図18のフローチャートを参照して、特定対象物検出装置100の一変形例の動作について説明する。特定対象物検出装置100のうち、X線検査装置10による画像取得では、荷物BA中の物体OBを捉えるに際して、荷物BAそのものも検査対象すなわち撮像対象となっている。そこで、図18に示すように、まず、画像入力された場合に(ステップS401)、X線画像GIcのうち荷物BAについての範囲判定(第1判定)をし(ステップS402)、これを踏まえた上で、その内側の領域にあるものを検査対象の物体OBすなわち荷物BAの中身として捉える、すなわち危険物の判定(第2判定)をする(ステップS403)、という二段階の判定を行うものとしてもよい。
〔その他〕
この発明は、上記の各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
上記実施形態中の変形例等について、必要に応じて適宜組み合わせた態様とすることができる。
上記実施形態では、判定対象として、銃刀や爆発物、可燃性液体の有無について例示したが、これらに限らず、他のものを判定対象としてもよい。すなわち、特定対象物を他の危険物としたり、あるいは、危険物以外のものとしたりしてもよい。あるいは、上記のうちの一部のみを対象としてもよい。
また、必要とされる安全性の確保とスループットの要請等に応じて、検査項目や危険度の閾値設定を種々変更可能な態様としてもよい。また、例えばカッターナイフ等まで銃刀に含むかといったことについても、検出すべき対象のサイズ等を適宜設定すること等で対応可能である。より具体的に説明すると、例えば、危険物検出の判定には、判定のための各種処理たる推論処理の結果として出力される検出の有無や位置、確信度を用いているが、検出対象の分類クラスに応じて閾値を変えてもよい。すなわち、危険物が刃物である場合と爆発物である場合とで、確信度やその閾値を適宜変更してもよい。例えば確信度が閾値を超えていることを条件とし、この際、分類クラスに応じて閾値を異なるものとしてもよい。また、例えば検出の大きさが予め定めた閾値を超えていることを条件としてもよい。この場合、例えば、大きいもののみを検出することで、誤検出、すなわち検出対象以外を検出してしまうことを減らせる。なお、これらの各種値については、パラメータデータ格納部PMや閾値データ格納部THに保存される。
上記実施形態では、特定対象物検出装置100により荷物BAを検査することについてのみ説明したが、例えば、特定対象物検出装置100に加え、荷物BAの持ち主すなわち入場しようとする対象者についての身体監視装置を併存させる態様とすることも考えられる。
10…X線検査装置、11…X線源、12…X線センサ部、15…遮蔽ボックス、20…コンベア、50…制御装置、60…主制御部、61…X線照射制御部、61…記憶部、62…X線データ検出部、63…画像処理部、64…記憶部、70…操作部、100…特定対象物検出装置、A1…矢印、AR…危険物解析結果格納部、BA…荷物(手荷物)、CD…確信度設定データ格納部、CP…畳み込み処理プログラム、CS…確信度設定プログラム、DD…領域、DDt…全体領域、DP…表示部、ED…爆発物検出データ格納部、EJ…爆発物判定プログラム、FM…形状マップ作成プログラム、GA…習済みX線画像データ解析プログラム、GDa…刃物検出データ格納部、GDb…銃検出データ格納部、GI…画像、GIc…X線画像、GIf…形状マップ、GIo…重なりマップ、GJ…銃刀判定プログラム、GJa…刃物判定プログラム、GJb…銃判定プログラム、In…画素、LD…可燃性液体検出データ格納部、LJ…可燃性液体判定プログラム、N…中間層1〜中間層、N…中間層、OB…物体、OBa…ナイフ(刃物)、OBb…水筒、OBc…棒、OE…重なり度合抽出プログラム、OM…重なりマップ作成プログラム、PM…パラメータデータ格納部、RL…X線、RO…危険物判定結果出力プログラム、SE…搬入検知センサ、SG…スキャン画像、SO…危険部分画像、SOa,SOa,SOb…領域、TH…閾値データ格納部、V…最終結果、VI…正解、XG…X線画像データ格納部、XP…X線画像データ処理プログラム、t〜t…時間

Claims (9)

  1. 検査対象のX線画像における物体の重なり度合のデータを抽出し、
    重なり度合の指標に基づき、抽出した前記重なり度合のデータを利用して前記検査対象における特定対象物に関して判定する、
    特定対象物検出方法。
  2. 前記重なり度合の指標は、前記特定対象物の画像の濃度に対する相対値を多段階で設定した確信度である、請求項1に記載の特定対象物検出方法。
  3. 前記特定対象物に関する判定結果として、前記X線画像に含まれる前記特定対象物についての他の物体との重なり状況を示す重なりマップを出力する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の特定対象物検出方法。
  4. 前記特定対象物の有無、種類、位置及び大きさについて判定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の特定対象物検出方法。
  5. 前記特定対象物に関する判定を可能とするための学習用画像の情報として、画像中における前記特定対象物の位置及び大きさに加え、前記特定対象物に対する物体の重なり度合の指標を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の特定対象物検出方法。
  6. 前記学習用画像の情報としての前記重なり度合の指標は、前記学習用画像に含まれる前記特定対象物について、他の物体との重なり度合に応じて領域ごとに定めた相対的な数値である、請求項5に記載の特定対象物検出方法。
  7. 前記学習用画像の情報としての前記重なり度合の指標は、前記特定対象物の濃度として規定した濃度に対する相対的な値として画像中の各点において自動的に定まる数値である、請求項5に記載の特定対象物検出方法。
  8. 前記検査対象は、手荷物であり、
    前記特定対象物は、刃物及び爆発物を含む危険物であり、
    前記危険物の有無に関する判定を、前記危険物の種類ごとに定めた閾値に基づいて行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の特定対象物検出方法。
  9. 検査対象のX線画像における物体の重なり度合のデータを抽出する重なり度合抽出部と、
    重なり度合の指標を格納し、前記重なり度合の指標に基づいて、前記重なり度合抽出部において抽出した前記重なり度合のデータを利用して、前記検査対象における特定対象物に関して判定する判定部と
    を備える特定対象物検出装置。
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