JP2021040267A - 情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラム - Google Patents

情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2021040267A
JP2021040267A JP2019161394A JP2019161394A JP2021040267A JP 2021040267 A JP2021040267 A JP 2021040267A JP 2019161394 A JP2019161394 A JP 2019161394A JP 2019161394 A JP2019161394 A JP 2019161394A JP 2021040267 A JP2021040267 A JP 2021040267A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frame
transition model
frames
terminal
wireless
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019161394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7272189B2 (ja
Inventor
雅也 藤若
Masaya Fujiyoshi
雅也 藤若
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2019161394A priority Critical patent/JP7272189B2/ja
Publication of JP2021040267A publication Critical patent/JP2021040267A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7272189B2 publication Critical patent/JP7272189B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Detection And Prevention Of Errors In Transmission (AREA)
  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Abstract

【課題】モニタ装置が検出できなかった無線フレームの存在を精度良く推定する情報処理装置を提供する。【解決手段】情報処理装置は、取得部と、第1の遷移モデル生成部と、第2の遷移モデル生成部と、推定部と、を含む。取得部は、端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得する。第1の遷移モデル生成部は、検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する。第2の遷移モデル生成部は、検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する。推定部は、第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであってモニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する。【選択図】図1

Description

本発明は、情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
近年、生産性向上や安全性向上などを目的とし、工場等に無線ネットワークを活用したICT(Information and Communication Technology)システムが導入されつつある。例えば、ネットワーク上のサーバが、生産設備の稼働状態を無線ネットワーク経由でセンサを用いて監視する。上記サーバは、センサから収集した結果に基づき、生産設備の故障などの問題を迅速に検出する。
その他には、ネットワーク上のサーバが従業員の位置情報を無線ネットワーク経由で把握し、作業の待ち時間やムダを分析することもある。当該分析により、生産効率を改善することが可能となる。
ここで、無線ネットワークの環境、状況は時間に応じて変化するのが通常である。例えば、工場のようにレイアウト変更が頻繁に発生するような環境変化の激しい場所で無線ネットワークを介してセンサから情報が収集されることがある。無線の電波状況が大きく変化する場所等では安定した無線ネットワークを構築するのは容易ではなく、無線通信障害が発生した際の原因を迅速に分析することが求められる。
無線障害の原因を特定する手法として、送受信される無線フレームをキャプチャし、当該キャプチャしたデータを分析する方法が存在する。例えば、非特許文献1及び2には、キャプチャした無線フレームを分析し、そのプロトコル情報や統計情報を表示することが記載されている。
また、非特許文献3には、無線通信プロトコルの仕様から、初送、再送、肯定応答(ACK;Acknowledgement)に関する遷移モデルを構築し、当該遷移モデルにキャプチャロスが存在する場合の状態遷移を追加することが開示されている。非特許文献3では、キャプチャしたデータを説明することが可能なパスが列挙され、キャプチャロスに関する遷移が最も少ないパスを選択することでキャプチャされていない期間における端末の振る舞いを推定している。
Wireshark、2019年8月2日、[online]、インターネット〈URL:https://www.wireshark.org/〉 Metageek、"Eye P.A. Essential: Powerful Multi-Channel Packet Analysis"、2019年8月2日、[online]、インターネット〈URL:https://www.metageek.com/products/eye-pa/〉 Ratul Mahajan、etc、"Analyzing the MAC-level behavior of wireless networks in the wild"、SIGOMM’06, September 11-15 2006
上述のように、無線通信システムの状態を判定するために、無線フレームのモニタ装置をシステム内に設置し、キャプチャされたデータに基づき無線通信システムを評価する方法が存在する。例えば、無線通信システムの状態(障害の発生、非発生)を判定するために、全通信フレームに対する再送フレームの割合を示す「再送率」が算出される。このようなモニタ装置を用いた評価手法(障害検知手法)には、既存のシステムに変更を加えることなく障害検知等が可能という利点がある。
一方で、モニタ装置が端末とアクセスポイント(又は、基地局)の間で送受信されている全通信フレームをキャプチャできる保証はなく、通常、モニタ装置がキャプチャできないフレームが存在し得る。なお、伝送レートの低い無線フレームは伝送レートの高い無線フレームよりもキャプチャが容易であることが多い。その結果、モニタ装置がキャプチャできる無線フレームに偏りが生じる(伝送レートが低い無線フレームが数多くキャプチャされる)。
ここで、端末の再送制御を考える。端末は、所定のデータを含む無線フレームを「初送フレーム」としてアクセスポイントに送信する。当該初送フレームの伝送レートは高い値が設定される。伝送レートが高い方が単位時間あたりに送信できるデータ量が多く有利だからである。しかし、伝送レートが高いとアクセスポイントが当該初送フレームを受信できない可能性が上がる。アクセスポイントが初送フレームの受信に失敗すると、端末は、アクセスポイントから肯定応答を受信できないので、初送フレームと同じデータを含む「再送フレーム」をアクセスポイントに送信する。
当該再送フレームに設定される伝送レートは初送フレームの伝送レートよりも低く設定される。同じ伝送レートであれば、再びアクセスポイントが再送フレームを取得できない可能性が高いためである。当該再送フレームの送受信にも失敗すると、端末は、さらに伝送レートを下げて再送フレームを送信する。
端末では上記のような再送制御が行われており、モニタ装置では伝送レートが高い無線フレームのキャプチャが失敗する可能性が高いことを考えると、伝送レートが低い再送フレームが数多くキャプチャされることになる。このようなキャプチャされた無線フレームに基づき再送率を計算すると、当該再送率は無線システムの状態を正しく表現出来ない可能性がある。つまり、無線通信システムの環境によっては、キャプチャされた全ての無線フレームが「再送フレーム」であることが起こり得る。この場合、再送率は、「キャプチャされた」全無線フレームに対する「キャプチャされた」再送フレームの割合として算出されるので、再送率が100%となる。
しかし、実際には、再送フレームの前には初送フレームがあるはずであり、キャプチャされた再送フレームの前にも伝送レートの高い再送フレームが存在するはずである。従って、上記のような再送率が100%という高い結果は通常ありえない。無線フレームのヘッダにはシーケンス番号が含まれ、当該シーケンス番号に基づき、キャプチャできなかった初送フレームの数は推定可能である。例えば、シーケンス番号が「1」の初送フレームとシーケンス番号が「3」の初送フレームがキャプチャできれば、シーケンス番号が「2」の初送フレームの存在を推定できる。しかし、再送フレームに関しては、同じシーケンス番号が付与されるため、このような推定が行えない。即ち、キャプチャできなかった再送フレームの数は把握されず、正確な再送率を求めることができない。
この点、非特許文献3等に開示された技術を用いても、正確な再送率を求めることはできない。非特許文献3に開示された技術では、キャプチャロスが少ない方が尤もらしい状態遷移であるという前提があり、現場で実際に運用されている無線通信システムの実態にそぐわない。上述のように、端末は、無線フレームを再送する際に伝送レートを下げるが、どの程度伝送レートを下げるかに関しては、端末に依存する。例えば、下げ幅が少ない積極的な端末が存在する一方で、最初から下げ幅を大きく取る消極的な端末も存在する。非特許文献3では、このような端末ごとの特性(特徴)の違いも考慮されておらず、キャプチャロスした無線フレームの存在を正しく推定できない。
本発明は、モニタ装置が検出できなかった無線フレームの存在を精度良く推定することに寄与する、情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
本発明の第1の視点によれば、端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得する、取得部と、前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する、第1の遷移モデル生成部と、前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する、第2の遷移モデル生成部と、前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する、推定部と、を備える、情報処理装置が提供される。
本発明の第2の視点によれば、端末が送信した無線フレームを検出するモニタ装置と、前記モニタ装置と接続された情報処理装置と、を含み、前記情報処理装置は、端末が送信した無線フレームであって、前記モニタ装置により検出された無線フレームを取得する、取得部と、前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する、第1の遷移モデル生成部と、前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する、第2の遷移モデル生成部と、前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する、推定部と、を備える、無線通信システムが提供される。
本発明の第3の視点によれば、端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得し、前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成し、前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成し、前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定することを含む、情報処理方法が提供される。
本発明の第4の視点によれば、端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得する処理と、前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する処理と、前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する処理と、前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
本発明の各視点によれば、モニタ装置が検出できなかった無線フレームの存在を精度良く推定することに寄与する、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムが提供される。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。
一実施形態の概要を説明するための図である。 第1の実施形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係るモニタ装置の処理構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る評価装置の処理構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る第1の遷移モデル生成部の動作を説明するための図である。 初送レート遷移モデルの一例を示す図である。 第1の遷移モデル生成部の動作の一例を示すフローチャートである。 第1の遷移モデル生成部の初送レート遷移モデル生成に関する動作の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る第2の遷移モデル生成部の動作を説明するための図である。 再送レート遷移モデルの一例を示す図である。 第2の遷移モデル生成部の動作の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る記憶部に格納された情報の一例を示す図である。 ロスフレーム数推定部の動作を説明するための図である。 ロスフレーム数推定部の動作の一例を示すフローチャートである。 ロスフレーム数推定部の動作を説明するための図である。 ロスフレーム数推定部の動作を説明するための図である。 初送フレームの伝送レート、確率及び期待値の一例を示す図である。 評価装置の記憶部に格納される情報の一例を示す図である。 評価指標生成部の動作の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る第1の遷移モデル生成部の動作の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る記憶部に格納された情報の一例を示す図である。 評価装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
一実施形態に係る情報処理装置100は、取得部101と、第1の遷移モデル生成部102と、第2の遷移モデル生成部103と、推定部104と、を含む(図1参照)。取得部101は、端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得する。第1の遷移モデル生成部102は、検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する。第2の遷移モデル生成部103は、検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する。推定部104は、第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであってモニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する。
上記情報処理装置100は、端末ごとに再送フレームの制御が異なる点に着目し、モニタ装置により検出された無線フレームから端末が初送フレームや再送フレームを送信する際どのような振る舞いをするのか学習する。具体的には、初送フレームが送信される際に設定される各伝送レートの確率をモデル化した第1の遷移モデルや、再送フレームが送信される際に設定される各伝送レートの確率をモデル化した第2の遷移モデルが生成される。これらの遷移モデルは端末ごとに生成されるため、端末の再送制御等の特徴を含むことになる。情報処理装置100は、モニタ装置が検出できた無線フレームを上記2つの遷移モデルに当て嵌め、各端末が送信したと想定される無線フレームのうちモニタ装置が検出できなかった無線フレーム(ロスフレーム)の存在を推定する。即ち、各端末の送信制御に関する特徴を含む遷移モデルによりロスフレームの存在を推定するため、情報処理装置100は、モニタ装置が検出できなかった無線フレームを精度良く推定できる。
以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。図2を参照すると、無線通信システムには、複数の端末10−1〜10−3と、アクセスポイント(AP;Access Point)20と、モニタ装置30と、評価装置40と、が含まれる。以降の説明において、端末10−1〜10−3を区別する特段の理由がない場合には、単に「端末10」と表記する。
図2に示す無線通信システムの構成は例示であって、端末10の数等を限定する趣旨ではない。例えば、無線通信システムには少なくとも1台以上の端末10が含まれていればよい。また、図2では、モニタ装置30と評価装置40が直接接続されているが、これらの装置はネットワークを介して接続されていてもよい。あるいは、モニタ装置30は端末10、アクセスポイント20を含むフィールドに設置され、評価装置40はクラウド上のサーバとして設置されてもよい。
アクセスポイント20は、端末10に無線LAN(Local Area Network)等の無線接続を提供する。端末10は、アクセスポイント20を介してネットワーク上のサーバ(図示せず)等と通信する。
モニタ装置30は、端末10とアクセスポイント20の間で送受信される無線フレームを検出(又は、収集、取得、キャプチャ)する外部装置(モニタ端末;キャプチャ装置)である。モニタ装置30は、無線通信システムの状態を評価する上で、最も有益な情報が得られると想定されるアクセスポイント20の付近に配置される。例えば、アクセスポイント20が倉庫などの空間において天井に配置された場合、モニタ装置30は、天井に配置された当該アクセスポイント20の直下の床面などに配置すれば、有益な情報を効率よく収集することができる。
以降の説明において、端末10とアクセスポイント20の間で送受信される無線フレームのうち、モニタ装置30が検出(キャプチャ)に成功した無線フレームを「キャプチャフレーム」と表記する。端末10とアクセスポイント20の間で送受信される無線フレームのうち、モニタ装置30が検出(キャプチャ)に失敗した無線フレーム(キャプチャロスした無線フレーム)を「ロスフレーム」と表記する。
また、再送フラグを含まない無線フレームを「初送フレーム」と表記し、当該初送フレームの伝送レートを「初送レート」と表記する。同様に、再送フラグを含む無線フレームを「再送フレーム」と表記し、当該再送フレームの伝送レートを「再送レート」と表記する。
本願開示では、特に区別する場合を除いて、データフレーム、管理フレーム、制御フレームをまとめて無線フレームと表記する。
評価装置40は、無線通信システムの状態を評価するための指標を算出する装置(情報処理装置)である。評価装置40は、上述の情報処理装置100に相当する。例えば、評価装置40は、無線通信システムに含まれる各端末10が送信した無線フレームにおける再送フレームの割合を示す「再送率」を算出する。再送率算出に関する詳細は後述する。
[システムの動作概略]
はじめに、図2を参照しつつ、第1の実施形態に係る無線通信システムの動作概略を説明する。
端末10は、アクセスポイント20を介してネットワーク上のサーバ(図示せず)等と通信を行っている。モニタ装置30は、端末10とアクセスポイント20の間で送受信される無線フレームを検出(キャプチャ)する。モニタ装置30は、当該検出した無線フレームを評価装置40に送信する。
評価装置40は、モニタ装置30から取得した無線フレームを使って無線通信システムの状態を評価するための指標を算出する。例えば、評価装置40は、端末10ごとの再送率を評価指標として算出する。例えば、再送率があまりに高い場合には、無線通信システムに障害の発生が疑われ、管理者等が障害を調査する契機となる。
評価装置40の動作モードには2つの動作モードが含まれる。
第1の動作モードは、モニタ装置30から取得した無線フレームを「学習データ」として使用し、フィールド内に存在する各端末10の振る舞いを学習(モデル化)する学習モードである。
第2の動作モードは、モニタ装置30から取得した無線フレームを「評価データ」として使用し、各端末10に関する評価指標(再送率)を算出する評価モードである。
続いて、無線通信システムに含まれる各装置の詳細について説明する。
[モニタ装置]
図3は、第1の実施形態に係るモニタ装置30の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図3を参照すると、モニタ装置30は、通信制御部201と、無線フレーム取得部202と、を含んで構成される。
通信制御部201は、他の装置(評価装置40)との間の通信を制御する。
無線フレーム取得部202は、アンテナ211と接続され、端末10とアクセスポイント20間で送受信される無線フレームをキャプチャ(取得)する。
無線フレーム取得部202は、取得した無線フレーム(キャプチャフレーム)及びその付随情報を評価装置40に送信する。無線フレーム取得部202は、無線フレームを取得するたびに当該取得した無線フレーム等を評価装置40に送信してもよいし、所定量の無線フレーム等を纏めて評価装置40に送信してもよい。
無線フレーム取得部202は、無線フレームを取得した際の電波強度(RSSI;Received Signal Strength Indication)や伝送レートを算出し、これらの情報を無線フレームの付随情報として評価装置40に送信する。
あるいは、無線フレーム取得部202は、送信元MAC(Media Access Control)アドレス、宛先MACアドレス、シーケンス番号、再送フラグ等の情報を無線フレームのヘッダから読み出し、これらの情報と上記付随情報を関連付けて評価装置40に送信してもよい。
第1の実施形態では、無線フレーム取得部202が、上記送信元MACアドレスや電波強度等を評価装置40に送信するものとして以降の説明を行う。モニタ装置30が無線フレーム(キャプチャフレーム)を評価装置40に送信するという記載は、モニタ装置30が無線フレームに関する情報(送信元MACアドレス、電波強度等)を評価装置40に送信すると読み替えることもできる。
[評価装置]
図4は、第1の実施形態に係る評価装置40の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図4を参照すると、評価装置40は、通信制御部301と、第1の遷移モデル生成部302と、第2の遷移モデル生成部303と、ロスフレーム数推定部304と、評価指標生成部305と、記憶部306と、を含んで構成される。
第1の遷移モデル生成部302と第2の遷移モデル生成部303は、主に学習モード時に動作するモジュールである。ロスフレーム数推定部304と評価指標生成部305は、主に評価モード時に動作するモジュールである。
なお、モニタ装置30は、評価装置40の動作モードに関わりなく、取得した無線フレームを評価装置40に送信する。従って、評価装置40は、モニタ装置30から取得した無線フレームを「学習データ」として扱うことも「評価データ」として扱うことも可能であるので、2つの動作モード(学習モード、評価モード)を並行して実行してもよい。
通信制御部301は、他の装置(モニタ装置30)との間の通信を制御する。通信制御部301は、モニタ装置30にて検出された無線フレームを取得する取得部としての機能を含む。
第1の遷移モデル生成部302は、フィールド内の端末10ごとに、初送フレームの伝送レートに関する遷移モデルを生成する。以降の説明において、第1の遷移モデル生成部302が生成する遷移モデルを「初送レート遷移モデル」と表記する。
初送レート遷移モデルは、端末10が初送フレームを送信する際、初送フレームの送信に設定され得る各伝送レートの確率をモデル化した確率モデルである。例えば、初送レート遷移モデルにより、端末10が再送フレームを送信した後に初送フレームを送信した場合や初送フレームを送信した後に異なる初送フレームを送信した場合に、後に送信された初送フレームの送信に設定される各伝送レートについての確率が算出可能である。
第1の実施形態では、上記初送レート遷移モデルとしてマルコフモデルを用いる場合について説明する。
第1の遷移モデル生成部302は、学習モード時に蓄積された無線フレーム(キャプチャフレーム)を学習データとして利用し初送レート遷移モデルを生成する。具体的には、第1の遷移モデル生成部302は、学習データから遷移モデルの生成対象となっている端末10の無線フレームを抽出する。
次に、第1の遷移モデル生成部302は、無線フレームのシーケンス番号が「1」変化している前後の無線フレームのペアを抽出する。例えば、初送レート遷移モデルを生成する際の学習データが図5に示すようなデータであって、端末10−1の初送レート遷移モデルが生成される場合を考える。この場合、図5の灰色に着色されたシーケンスフィールドを持つ無線フレームのペアが抽出される。
図5に示すように、シーケンス番号がインクリメントしていれば、再送フレームから初送フレームへの遷移であってもよいし、初送フレームから初送フレームへの遷移であってもよい。
なお、シーケンス番号が連番でなければ、無線フレームのペアとして抽出されない。例えば、シーケンス番号が「3」から「5」に変化している場合には、これらのシーケンス番号を有する無線フレームは上記ペアとして抽出されない。
第1の遷移モデル生成部302は、上記抽出された無線フレームのペアを用いてマルコフモデルを構築する。当該構築されたマルコフモデルが上記端末ごとの初送レート遷移モデルとなる。例えば、図6に示すような初送レート遷移モデルが生成される。
図6を参照すると、初送フレームを送信する前の伝送レートが「10Mbps(メガバイト毎秒;以下同じ)」であれば、46%の確率で初送フレームの伝送レートは「10Mbps」であり、54%の確率で初送フレームの伝送レートは「54Mpbs」であることがわかる。
第1の遷移モデル生成部302の動作を纏めると図7に示すフローチャートのとおりとなる。
第1の遷移モデル生成部302は、学習データから遷移モデル生成の対象となる端末10の無線フレーム(当該端末が送信元MACアドレスに設定された無線フレーム)を抽出する(ステップS101)。
第1の遷移モデル生成部302は、上記抽出された無線フレームのなかからシーケンス番号が連番となっている無線フレームのペアをさらに抽出する(ステップS102)。
第1の遷移モデル生成部302は、当該抽出された無線フレームペアを用いて初送レート遷移モデルを生成する(ステップS103)。
初送レート遷移モデルの生成に関する第1の遷移モデル生成部302の動作は、図8に示すフローチャートのとおりである。
第1の遷移モデル生成部302は、無線フレームペアをなす2つの無線フレームのうち先に送信された無線フレームの伝送レートをβ、後に送信された無線フレームの伝送レートをγに設定する(ステップS111)。β、γはマルコフモデルのノードとなる。例えば、図5の例では、3行目の無線フレームの伝送レート「36Mbps」がβに設定され、4行目の無線フレームの伝送レート「54Mbps」がγに設定される。
第1の遷移モデル生成部302は、βからγに至るエッジを定義し、当該エッジの重みを「1」に設定する。あるいは、第1の遷移モデル生成部302は、上記エッジが既に存在する場合には、エッジの重みに「1」を加算する。
第1の遷移モデル生成部302は、上記ノードの設定とエッジの重みに関する設定(重みへの加算)を全ての無線フレームペアについて繰り返す。
第1の遷移モデル生成部302は、特定のノードから他のノード(自ノードも含む)に向かう全てのエッジ重みを加算し、総エッジ重みを計算する。その後、第1の遷移モデル生成部302は、各エッジの重みを総エッジ重みで除算し、エッジの遷移確率を計算する(ステップS113)。
第1の遷移モデル生成部302は、上記エッジの遷移確率に関する計算を全てのノードについて実行し、ノード、エッジ、遷移確率からなる初送レート遷移モデルを構築する。
続いて、第2の遷移モデル生成部303について説明する。
第2の遷移モデル生成部303は、再送フレームの伝送レートに関する遷移モデルを生成する。以降の説明において、第2の遷移モデル生成部303が生成する遷移モデルを「再送レート遷移モデル」と表記する。
再送レート遷移モデルは、端末10が再送フレームを送信する際、再送フレームの送信に設定され得る各伝送レートの確率をモデル化した確率モデルである。例えば、再送レート遷移モデルにより、端末10が初送フレームを送信した後に再送フレームを送信する場合や再送フレームを送信した後にさらに再送フレームを送信した場合に、再送フレームに設定される各伝送レートについての確率が算出可能である。
第2の遷移モデル生成部303は、学習モード時に蓄積された無線フレームを学習データとして利用し再送レート遷移モデルを生成する。具体的には、第2の遷移モデル生成部303は、学習データから遷移モデルの生成対象となっている端末10の無線フレームを抽出する。
次に、第2の遷移モデル生成部303は、当該抽出された無線フレームのうち再送を示す無線フレームと当該再送を示す無線フレームの直前に送信された無線フレームのペアを抽出する。
例えば、再送レート遷移モデルを生成する際の学習データが図9に示すようなデータであって、端末10−1の再送レート遷移モデルが生成される場合を考える。この場合、図9の灰色に着色された再送フラグフィールドを持つ無線フレームを含むフレームペアが抽出される。例えば、図9に示すように、1行目と2行目の無線フレームによるペア、2行目と3行目の無線フレームによるペア等が抽出される。
第2の遷移モデル生成部303は、上記抽出された無線フレームのペアを用いてマルコフモデルを構築する。当該構築されたマルコフモデルが上記端末ごとの再送レート遷移モデルとなる。例えば、図10に示すような再送レート遷移モデルが生成される。
図10を参照すると、再送フレームを送信する前の伝送レートが「10Mbps」であれば、33%の確率で伝送レートが「10Mbps」に設定された再送フレームが送信されることがわかる。また、67%の確率で伝送レートが「1.0Mpbs」に設定された再送フレームが送信されることがわかる。
第2の遷移モデル生成部303の動作を纏めると図11に示すフローチャートのとおりとなる。
第2の遷移モデル生成部303は、学習データから遷移モデル生成の対象となる端末10の無線フレーム(当該端末が送信元MACアドレスに設定された無線フレーム)を抽出する(ステップS201)。
第2の遷移モデル生成部303は、上記抽出された無線フレームのなかから再送を示す無線フレームと当該再送を示す無線フレームの直前に送信された無線フレームのペアをさらに抽出する(ステップS202)。
第2の遷移モデル生成部303は、当該抽出された無線フレームペアを用いて再送レート遷移モデルを生成する(ステップS203)。
なお、第2の遷移モデル生成部303が再送レート遷移モデルを生成する際の基本的な動作は、第1の遷移モデル生成部302が初送レート遷移モデルを生成する際の動作と同一とすることができるのでその説明を省略する。
上記説明したように、第1の遷移モデル生成部302及び第2の遷移モデル生成部303のそれぞれは、端末10ごとに初送レート遷移モデルと再送レート遷移モデルを生成する。生成された初送レート遷移モデル及び再送レート遷移モデルは、記憶部306に格納される(図12参照)。
続いて、ロスフレーム数推定部304について説明する。
ロスフレーム数推定部304は、評価モード時にモニタ装置30から取得した無線フレーム(キャプチャフレーム)に基づいて、モニタ装置30がロスしたと想定される無線フレーム(ロスフレーム)の数を推定する。
ロスフレーム数推定部304は、学習モード時に生成された初送レート遷移モデルと再送レート遷移モデルを用いて、端末10が送信した無線フレームであってモニタ装置30が検出(キャプチャ)できなった無線フレーム(ロスフレーム)の数を推定する。例えば、図13に示すような無線フレームが、端末10−1からアクセスポイント20に送信され、灰色で着色した無線フレームがモニタ装置30にて検出できなかった場合を考える。なお、図13に示す無線フレームのうち実際に評価装置40に入力されるのは、灰色に着色された無線フレーム以外の無線フレーム(白色の無線フレーム)である。
ロスフレーム数推定部304は、図13に示す白色の無線フレーム(キャプチャフレーム)からモニタ装置30が検出できなかった無線フレーム(ロスフレーム;灰色で着色した無線フレーム)の数を推定する。なお、より正確には、ロスフレーム数推定部304は、モニタ装置30が検出できなかった無線フレームのうち再送フレームに関しては上記説明した遷移モデルを用いてロスフレームの数を推定する。対して、初送フレームに関しては、シーケンス番号から初送フレームが検出できなかったことが推定される。
ロスフレーム数推定部304は、シーケンス番号単位でロスフレーム数を推定する。図13の例では、シーケンス番号として「1」を持つ4つの無線フレーム、シーケンス番号として「2」を持つ3つの無線フレーム、シーケンス番号として「3」を持つ2つの無線フレームを1単位としてロスフレームの数を推定する。つまり、ロスフレーム数推定部304は、モニタ装置30により検出された無線フレームのうち同じシーケンス番号を持つ無線フレームを単位としてロスフレームの数を推定する。
以降の説明において、ロスフレーム数推定部304がロスフレーム数の推定をする際の単位(同じシーケンス番号を持つ無線フレーム)をロス推定単位、又は、単に推定単位と表記する。また、ロス推定単位に属する無線フレームを「ロス推定無線フレーム群」と表記する。
ロスフレーム数推定部304は、初送フレームが存在するロス推定単位に関しては、ロスフレーム数の推定を行わない。モニタ装置30が初送フレームを検出(キャプチャ)できているという事実は、当該初送フレームよりも伝送レートが下がる再送フレームも検出できるという想定が成り立つためである。即ち、ロスフレーム数推定部304は、モニタ装置30により検出された無線フレームのうち初送フレームが存在しないシーケンス番号を持つ無線フレームに関して、ロスフレームの数を推定する。
図13の例では、初送フレームが検出されていないシーケンス番号「2」を有する無線フレームについてロスフレーム数が推定される。以下、図14を参照しつつ、ロスフレーム数推定部304の動作を説明する。
ロスフレーム数推定部304は、ロス推定無線フレーム群に初送フレームが存在するか否かを判定する(ステップS301)。
初送フレームが存在すれば(ステップS301、Yes分岐)、ロスフレーム数推定部304は、処理を終了する。
初送フレームが存在しなければ(ステップS301、No分岐)、ロスフレーム数推定部304は、ロス推定無線フレーム群の直前に送信された無線フレームの伝送レートを取得する(ステップS302)。例えば、図13の例では、ロスフレーム数推定部304は、シーケンス番号が「2」のロス推定無線フレーム群の直前に送信された無線フレームの伝送レート「20Mbps」を取得する。
ロスフレーム数推定部304は、当該取得した伝送レートを初送レート遷移モデルに入力する(ステップS303)。
初送レート遷移モデルに上記伝送レートを入力することで、初送レートごとの遷移確率が得られる(例えば、図15参照)。なお、図15では、初送フレームを送信する前の無線フレームの伝送レートが20Mbpsの場合の各初送レートへの遷移確率を初送レートと共に括弧書きにて併記している。このように、ロスフレーム数推定部304は、モニタ装置30により検出された無線フレームのうち対応する初送フレームが存在しない再送フレームの直前に送信された無線フレームの伝送レートを初送レート遷移モデルに入力する。その結果、直前に送信された無線フレームの伝送レートから各初送レートへ遷移する確率が取得される。
ロスフレーム数推定部304は、ロス推定無線フレーム群に再送フレームが存在するか否かを判定する(ステップS304)。
当該再送フレームが存在すれば(ステップS304、Yes分岐)、ロスフレーム数推定部304は、ロス推定無線フレーム群にて最初に現れる再送フレーム(最初に検出された再送フレーム)の伝送レートを取得する(ステップS305)。例えば、図13の例では、ロスフレーム数推定部304は、シーケンス番号「2」を持つ無線フレーム群のなかで最初に検出された無線フレームの伝送レート10Mbpsを取得する。
上記再送フレームが存在しなければ(ステップS304、No分岐)、ロスフレーム数推定部304は、ロス推定無線フレーム群の直前に送信された無線フレームの伝送レートを取得する(ステップS306)。仮に、図13に示すシーケンス番号「2」を持つ無線フレームが全て検出されなかった場合には、ロスフレーム数推定部304は、シーケンス番号が「1」の無線フレームであって最後に送信された無線フレームの伝送レート20Mbpsを取得する。
以降の説明において、ステップS305又はステップS306にて取得された無線フレームの伝送レートを「終端伝送レート」と表記する。
ロスフレーム数推定部304は、システムにて取り得る各初送レートから終端伝送レートに至る際の再送フレーム数に関する期待値を算出する(ステップS307)。具体的には、ロスフレーム数推定部304は、システムにて取り得る初送フレームの初送レートから1つの初送レートを選択し、当該選択された初送レートと終端伝送レートを再送レート遷移モデルに入力する。
終端伝送レートと初送レートを再送レート遷移モデルに入力することで、初送レートから終端伝送レートに至るまでのキャプチャロスした再送フレーム数に関する期待値が得られる。例えば、再送レート遷移モデルの一部が図16のとおりであり、初送レートとして「40Mbps」が、終端伝送レートとして「10Mbps」がそれぞれ再送レート遷移モデルに入力された場合の上記期待値は下記のとおり計算できる。
図16によれば、初送フレーム(40Mbps)の送信から再送フレーム(10Mbps)の送信に遷移する確率は、67%である。この場合、キャプチャロスした再送フレームは存在しないので、キャプチャロスした再送フレーム数の期待値は0.67×0=0となる。
初送レートが40Mbpsである初送フレームの送信から再送レートが40Mpbsである再送フレームの送信に遷移する確率は、33%である。この場合、再送が1回発生した後、67%の確率で伝送レートが10Mbpsに設定された再送フレームが送信されるので、キャプチャロスした再送フレーム数の期待値は、0.33×0.67×1=0.22となる。
同様に、再送レートが40Mbpsである再送フレームから再送レートが40Mbpsである再送フレームの送信に遷移する確率は、0.33×0.33である。この場合、2回の再送後、67%の確率で伝送レートが10Mbpsに設定された再送フレームが送信されるので、キャプチャロスした再送フレーム数の期待値は、0.33×0.33×0.67×2=0.15となる。
無線通信の規格において同じ伝送レートでの再送信を行う回数は予め定められているので、ロスフレーム数推定部304は、当該予め定められた回数に対応した上記期待値の計算を行い、その総和を最終的なキャプチャロスした再送フレーム数に関する期待値として算出する。
上記ロスフレーム数推定部304によるキャプチャロスした再送フレーム数に関する期待値Eの算出を数式にて表現すると以下の式(1)のとおりとなる。
Figure 2021040267
式(1)において、Pは初送レートから終端伝送レートに遷移する確率、Pは初送レートと同じ伝送レートで再送フレームが送信される確率を示す。また、aは上記Pの確率で無線フレームが送信される回数を示す。aの初期値は0である。Kは最大再送回数である。また、「*」は乗算演算子である。
なお、図16の例では、理解の容易のため、開始ノードに「初送レート」が選択され、終了ノードに「終端伝送レート」が選択された場合を図示しているが、中間ノードが存在する場合でも同様に期待値を計算することができる。
ロスフレーム数推定部304は、上記のような計算を、システムにて取り得る初送フレームの伝送レートについて繰り返し、各初送レートから終端伝送レートに至るまでに送信されたであろう再送フレーム数の期待値(再送数)を計算する。このように、ロスフレーム数推定部304は、各初送レートと対応する初送フレームが存在しない再送フレームの伝送レートを再送レート遷移モデルに入力する。その結果、各初送レートから対応する初送フレームが存在しない再送フレームの伝送レートに至る際のキャプチャロスした再送フレーム数に関する期待値が算出される。
例えば、図15に示す各初送レートに遷移する確率と、初送レートから終端伝送レートに至るまでのキャプチャロスした再送フレーム数に関する期待値を纏めると図17のような関係が得られる。
ロスフレーム数推定部304は、上記取得された各初送レートへ遷移する確率と上記算出された期待値に基づき、ロスフレームの数を推定する。具体的には、ロスフレーム数推定部304は、初送フレームの伝送レートに遷移する確率と対応する期待値を乗算し、乗算の結果を合計することで、ロスフレーム数の推定値を計算する(ステップS308)。
ロスフレーム数推定部304は、上記のような処理を繰り返し、初送フレームが検出(キャプチャ)されない場合のロスフレーム数を推定し、その結果を記憶部306に格納する。その際、ロスフレーム数推定部304は、シーケンス番号、シーケンス番号ごとの検出された無線フレームの数、シーケンス番号に対応する初送フレームの有無及び初送フレームがない場合のロスフレーム数の推定値をまとめて記憶部306に格納する。例えば、図18に示すような情報が記憶部306に格納される。
評価指標生成部305は、ロスフレーム数推定部304が推定したロスフレーム数に基づき、無線通信ネットワークの状態を示す指標を生成する。第1の実施形態では、評価指標生成部305は、無線フレームの再送率を計算する。
評価指標生成部305は、図18に示すような情報を用いて無線フレームの再送率を計算する。具体的には、評価指標生成部305は、下記の式(2)に従い無線フレームの再送率RTを計算する。
Figure 2021040267
なお、式(2)において、TNは初送フレームの総送信数(総初送フレーム数)を示す。TNは、再送フレームの総送信数(総再送フレーム数)を示す。
以下、図19を参照しつつ、評価指標生成部305の動作を説明する。
評価指標生成部305は、評価指標の生成に必要なパラメータの初期化を行う(ステップS401)。具体的には、評価指標生成部305は、総初送フレーム数と総再送フレーム数の初期化する。
評価指標生成部305は、再送率を計算するシーケンス番号の範囲を取得する(ステップS402)。例えば、評価指標生成部305は、再送率の算出対象となっている端末10の評価データに含まれるシーケンス番号の最小値と最大値を取得し、上記シーケンス番号の範囲とする。図13の例では、シーケンス番号が「1」から「5」が上記シーケンス番号の範囲となる。
評価指標生成部305は、シーケンス番号の最小値を指標計算の対象シーケンス番号に設定する(ステップS403)。
評価指標生成部305は、総初送フレーム数に「1」を加算する(総初送フレーム数をインクリメント;ステップS404)。
評価指標生成部305は、対象シーケンスに初送フレームが存在するか否かを判定する(ステップS405)。
初送フレームが存在すれば(ステップS405、Yes分岐)、評価指標生成部305は、総再送フレーム数に対象シーケンスの再送フレーム数を加算する。例えば、図18の例では、シーケンス番号「1」が対象シーケンスであれば、当該対象シーケンスには初送フレームが含まれるので、再送フレーム数の「3」が総再送フレーム数に加算される。
初送フレームが存在しなければ(ステップS405、No分岐)、評価指標生成部305は、総再送フレーム数に対象シーケンスの再送フレーム数とロスフレームの推定値を加算する。例えば、図18の例では、シーケンス番号「2」が対象シーケンスであれば、当該対象シーケンスには初送フレームが含まれないので、再送フレーム数の「3」とロスフレームの推定値「2」が総再送フレーム数に加算される。
評価指標生成部305は、対象シーケンスの番号をインクリメントした後、ステップS406やステップS407の処理を行っていない対象シーケンスの残りがあるか否かを判定する(ステップS408)。
対象シーケンスの残りがあれば(ステップS408、Yes分岐)、評価指標生成部305は、ステップS404に戻り処理を継続する。
対象シーケンスの残りがなければ(ステップS408、No分岐)、評価指標生成部305は、再送率の計算を行う(ステップS409)。具体的には、評価指標生成部305は、上記式(2)の各パラメータに上記計算された総初送フレーム数、総再送フレーム数を入力し、再送率の計算を行う。
以上のように、第1の実施形態に係る評価装置40は、端末ごとに、当該端末の無線フレームの送信制御の特徴を示す遷移モデル(初送レート遷移モデル、再送レート遷移モデル)を生成する。その後、評価装置40は、モニタ装置30が検出できた無線フレームのうち対応する初送フレームがない再送フレームが存在する場合、当該対応する初送フレームがない再送フレームが送信されるまでの間に端末10が送信したと想定される再送フレームを上記遷移モデルにより推定する。より具体的には、評価装置40は、上記対応する初送フレームのない再送フレームの直前に送信された再送フレームの後に送信されたであろう初送フレームの伝送レートが取り得る確率を初送レート遷移モデルから導出する。各初送レートが取り得る確率が導出されると、評価装置40は、各初送レートを持つ初送フレームの送信から上記対応する初送フレームのない再送フレームまでの間に送信されたであろう再送フレームの数に関する確率を導出できる。評価装置40は、当該確率と再送レート遷移モデルにおける状態遷移(再送レートの状態遷移)を再送フレームの送信と捉え、上記確率に想定される状態遷移の回数を乗算することで初送フレームから再送フレームまでの再送フレームに関する期待値を算出する。当該期待値は、モニタ装置30が検出することのできなかった再送フレームの数と捉えることができる。
その結果、評価装置40は、各端末10が備える特性を考慮しつつ、ロスフレームの数を高精度に推定できるので、信頼性の高い評価指標を算出することができる。具体的には、伝送レートが低い場合であっても、検出されなかった無線フレームを考慮して再送率が算出されるため、過度に高い再送率が算出されることが防止できる。
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
第1の実施形態では、端末10ごとに状態遷移モデル(初送レート遷移モデル、再送レート遷移モデル)を生成し、これらの遷移モデルがロスフレーム数の推定に利用されている。ここで、発明者らが鋭意検討した結果、電波強度が異なると端末10の振る舞いに違いがあることが判明した。即ち、電波強度が異なると、各端末10の再送フレームを送信する際の動作が異なることが判明した。
例えば、同じ端末10であっても、電波強度が高い場合には小刻みに伝送レートを下げながら再送フレームを送信するのに対し、電波強度が低い場合には大きく伝送レートを下げて再送フレームを送信するといった挙動を示すことが判明している。また、初送フレームの送信に関しても、電波強度が高い場合には再送成功時に伝送レートを大きく上げるのに対し、電波強度が低い場合には再送成功時に伝送レートを大きく上げないことが判明している。
これらの事実を勘案すれば、電波強度ごとに遷移モデルを生成し、ロスフレーム数の推定に利用すれば、より高い精度でロスフレーム数を推定可能と言える。第2の実施形態では、端末ごと及び電波強度ごとに遷移モデルを生成することについて説明する。
なお、第1及び第2の実施形態では、システム構成や評価装置40の内部構成を同一とすることできるので、図2や図4等に相当する図面の説明を省略する。
以下、第1及び第2の実施形態の相違点を中心に説明する。
第2の実施形態に係る第1の遷移モデル生成部302は、学習データから抽出した、端末10ごとの無線フレームのペアからさらに、所定の電波強度より強い電波強度を持つ無線フレームペアを抽出する。例えば、電波強度の取り得る範囲を(0dBm〜−60dBm)とし、当該範囲を3等分した電波強度範囲(0dBm〜−20dBm、−20dBm〜−40dBm、−40dBm〜−60dBm)ごとに初送レート遷移モデルが生成される場合を考える。なお、当該電波強度範囲の分割は例示であって、より粗く分割してもよいし、より細かく分割してもよいことは勿論である。また、分割された電波強度範囲の幅は同じであっても良いし、異なっていてもよい。例えば、0dBm〜−10dBm、−10dBm〜−30dBm、−30dBm〜−60dBmのような分割であってもよい。
上記3等分する場合の例では、第1の遷移モデル生成部302は、0dBm以上の電波強度を持つ無線フレームを抽出し、電波強度範囲(0dBm〜−20dBm)に対応する初送レート遷移モデルを生成する。さらに、第1の遷移モデル生成部302は、−20dBm以上の電波強度を持つ無線フレームを抽出し、電波強度範囲(−20dBm〜−40dBm)に対応する初送レート遷移モデルを生成する。同様に、第1の遷移モデル生成部302は、−40dBm以上の電波強度を持つ無線フレームを抽出し、電波強度範囲(−40dBm〜−60dBm)に対応する初送レート遷移モデルを生成する。このように、第1の遷移モデル生成部302は、分割された電波強度範囲の上限(上記の例では、0dB、−20dB、−40dB)以上の電波強度範囲を持つ無線フレームを抽出し、各範囲に対応する初送レート遷移モデルを生成する。
第2の実施形態に係る第1の遷移モデル生成部302の動作をまとめると図20に示すフローチャートのとおりとなる。なお、図7に示すフローチャートと図20に示すフローチャートにおいて同一の処理とするステップに関しては同じステップ名称を付与し説明を省略する。
図20に示すように、第1の遷移モデル生成部302は、所定の電波強度以上の電波強度を有する無線フレームのペアを抽出(ステップS102a)し、当該抽出された無線フレームペアを用いて初送レート遷移モデルを構築する(ステップS103)。
第2の遷移モデル生成部303も第1の遷移モデル生成部302と同様に、端末10ごと、且つ、電波強度ごとに再送レート遷移モデルを生成する。第2の実施形態に係る2つの遷移モデル生成部により、図21に示すような情報が生成され、記憶部306に格納される。
また、第2の実施形態に係るロスフレーム数推定部304も、電波強度ごとにロスフレーム数の推定を行う。具体的には、ロスフレーム数推定部304は、図14のステップS303で使用される初送レート遷移モデルやステップS307で使用される再送レート遷移モデルを電波強度ごとに生成された遷移モデルのなかから選択する。
例えば、ロスフレーム数推定部304は、ロスフレーム数の算出対象となっている端末10の評価データに含まれる無線フレームの電波強度に関する平均値を計算する。
ロスフレーム数推定部304は、当該平均値が属する遷移モデルを選択し、図14のステップS303やステップS307にて使用される遷移モデルとして使用する。例えば、図21に示すように、3段階の電波強度ごとに遷移モデルが生成され、評価データに含まれる無線フレームの電波強度に関する平均値が「−30dBm」であれば、−20dBm〜−40dBmの遷移モデルが選択される。
なお、ロスフレーム数推定部304が計算する無線フレームの伝送レートに関する平均値に代えて、無線フレームの電波強度の最頻値や中央値に基づき遷移モデルが選択されてもよい。あるいは、ロスフレーム数推定部304は、無線フレームの加重平均を計算し、当該加重平均に応じた遷移モデルを選択してもよい。例えば、ロスフレーム数推定部304は、送信時間が古い無線フレームには小さな重みを与え、送信時間が新しい無線フレームには大きな重みを与え、加重平均を計算してもよい。
以上のように、第2の実施形態では、初送レート遷移モデル及び再送レート遷移モデルの生成を端末10ごと且つ電波強度ごとに行っている。その際、評価装置40は、所定の電波強度以上の無線フレームを選択して遷移モデルの生成を行う。この所定の電波強度以上の無線フレームを使って遷移モデルを生成することで、ロスフレームの数は比較的高めに算出される。即ち、程度の違いはあっても、端末10は、伝送レートが高い場合には無線フレームの再送回数が多く、伝送レートが低い場合には無線フレームの再送回数が少ないという傾向を持つ。そのため、無線フレームの電波強度を所定範囲(例えば、−20dBm〜−40dBm)と区切らず、所定の電波強度以上(例えば、−40dBm以上)の電波強度を用いて遷移モデルを生成すると、当該生成された遷移モデルから得られる再送フレームの送信に関する確率や期待値は、範囲を区切った場合よりも高くなる。そのため、第2の実施形態に係る遷移モデルから推定されるロスフレームの数は真値よりも多くなると想定される。当該推定されたロスフレームを用いて再送率を計算すると、再送率は高めに算出されることになる。ここで、評価装置40の目的の1つに無線通信ネットワークの障害検知が上げられ、障害検知においては偽陰性(False negative)よりも偽陽性(False positive)の方が問題となる。そのため、上記高めに計算される再送率は評価装置40の目的と合致するものである。即ち、一般に障害を検知するに際して、実際には障害が発生しているにも関わらず、その障害が検知できず正常と判断することによる弊害のほうが、実際には障害が発生していないときに誤って障害が発生していると判断することによる弊害よりもはるかに大きい。
続いて、無線通信システムを構成する各装置のハードウェアについて説明する。図22は、評価装置40のハードウェア構成の一例を示す図である。
評価装置40は、情報処理装置(所謂、コンピュータ)により構成可能であり、図22に例示する構成を備える。例えば、評価装置40は、プロセッサ311、メモリ312、入出力インターフェイス313及び通信インターフェイス314等を備える。上記プロセッサ311等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。
但し、図22に示す構成は、評価装置40のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。評価装置40は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス313を備えていなくともよい。また、評価装置40に含まれるプロセッサ311等の数も図22の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ311が評価装置40に含まれていてもよい。
プロセッサ311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスであってもよい。プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS;Operating System)を含む各種プログラムを実行する。
メモリ312は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。メモリ312は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。
入出力インターフェイス313は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
通信インターフェイス314は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス314は、NIC(Network Interface Card)等を備える。
評価装置40の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ312に格納されたプログラムをプロセッサ311が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transitory)なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。
なお、モニタ装置30等も評価装置40と同様に情報処理装置により構成可能であり、その基本的なハードウェア構成は評価装置40と相違する点はないので説明を省略する。
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した無線通信システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。例えば、図2には1台のモニタ装置30を図示しているが、複数の台のモニタ装置30がシステムに含まれていてもよい。
上記実施形態では、評価装置40は、遷移モデルを生成する機能と評価指標を生成する機能を有する装置として説明したが、これらの機能は異なる装置により実現されてもよい。あるいは、評価装置40の評価指標を生成する機能はモニタ装置30に実装されていてもよい。
上記実施形態では、評価装置40が、ロスフレームの数を推定する際に遷移モデルを用いて期待値等を都度計算する場合について説明したが、遷移モデルを用いた計算は予め事前に実行され実行結果が評価装置40に格納されていてもよい。即ち、各遷移モデルのノード数及びその組み合わせは有限であるので、各組み合わせの計算は予め実行しておくことが可能である。また、遷移モデルの計算を予め実行しておくことで再送率に関する処理負荷が低減する。その結果、フィールド内に配置されたモニタ装置30が再送率を計算することも可能となる。
上記実施形態では、初送レート遷移モデルや再送フレーム遷移モデルをマルコフモデルにより生成したが、AI(Artificial Intelligence)等の機械学習等を用いて上記遷移モデルに相当する学習モデルを生成してもよい。
上記実施形態では、ロスフレーム数を推定する際、推定対象の再送フレームが検出できない場合(図14のステップS304、No分岐)、直前に送信された無線フレームの伝送レートが終端伝送レートに設定されている。しかし、当該直前に送信された無線フレームの伝送レートに代えて、システムにおける最低伝送レート(例えば、1Mbps)が終端伝送レートに設定されてもよい。
上記実施形態では、再送率を通信ネットワークの状態を評価する指標として算出することを説明したが、再送率とは異なる指標が算出されてもよい。例えば、評価装置40は、「帯域占有率」を評価指標として算出してもよい。帯域占有率は、単位時間あたりの帯域占有時間として計算できる。評価装置40は、上記帯域占有時間を、伝送レート遷移モデルを用いて計算することができる。例えば、初送フレームの伝送レートが5.5Mbps、再送フレームの伝送レートが1Mpbsとする。また、初送フレームの送信から再送フレームの送信に遷移する確率が67%、伝送レートが5.5Mbpsで再送される確率が33%とする。この場合、初送フレーム(5.5Mbps)から再送フレーム(1Mbps)が送信される確率は0.67である。次に、初送フレーム(5.5Mbps)、再送フレーム(5.5Mbps)、再送フレーム(1Mbps)と送信される確率は、0.33×0.67である。このような計算により、再送回数ごとの確率が求まる。当該確率が求まると、伝送レートにより定まるフレームの送信時間から無線フレームの送信に要する時間の期待値が算出できる。例えば、5.5Mbpsの送信時間を50μs、1Mpbsの送信時間を250μsとする場合を考える。この場合、0.67×(50+250)+0.33×0.67×(50+50+250)+・・・といった計算で上記帯域占有時間が算出される。例えば、単位時間を60秒、上記のような計算により得られた帯域占有時間が50秒とすれば、帯域占有率は50/60として計算できる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
端末(10)が送信した無線フレームであって、モニタ装置(30)により検出された無線フレームを取得する、取得部(101、301)と、
前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末(10)ごとに生成する、第1の遷移モデル生成部(102、302)と、
前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末(10)ごとに生成する、第2の遷移モデル生成部(103、303)と、
前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末(10)が送信した無線フレームであって前記モニタ装置(30)が検出できなったロスフレームの数を推定する、推定部(104、304)と、
を備える、情報処理装置(100、40)。
[付記2]
前記第1の遷移モデルは、端末(10)が前記初送フレームを送信する際、前記初送フレームの送信に設定され得る各伝送レートの確率をモデル化した確率モデルである、付記1に記載の情報処理装置(100、40)。
[付記3]
前記第2の遷移モデルは、端末(10)が前記再送フレームを送信する際、前記再送フレームの送信に設定され得る各伝送レートの確率をモデル化した確率モデルである、付記2に記載の情報処理装置(100、40)。
[付記4]
前記推定部(104、304)は、前記モニタ装置(30)により検出された無線フレームのうち初送フレームが存在しないシーケンス番号を持つ無線フレームに関して、前記ロスフレームの数を推定する、付記1乃至3のいずれか一つに記載の情報処理装置(100、40)。
[付記5]
前記推定部(104、304)は、前記モニタ装置(30)により検出された無線フレームのうち同じシーケンス番号を持つ無線フレームを単位として前記ロスフレームの数を推定する、付記4に記載の情報処理装置(100、40)。
[付記6]
前記推定部(104、304)は、
前記モニタ装置(30)により検出された無線フレームのうち対応する初送フレームが存在しない再送フレームの直前に送信された無線フレームの伝送レートを前記第1の遷移モデルに入力することで、前記直前に送信された無線フレームの伝送レートから各初送レートへ遷移する確率を取得し、
前記各初送レートと前記対応する初送フレームが存在しない再送フレームの伝送レートを前記第2の遷移モデルに入力することで、各初送レートから前記対応する初送フレームが存在しない再送フレームの伝送レートに至る際の再送フレーム数に関する期待値を算出し、
前記取得された各初送レートへ遷移する確率と前記算出された期待値に基づき、前記ロスフレームの数を推定する、付記5に記載の情報処理装置(100、40)。
[付記7]
前記推定されたロスフレームの数に基づき、無線通信システムの状態を評価するための指標を生成する、評価指標生成部(305)をさらに備える、付記1乃至6のいずれか一つに記載の情報処理装置(100、40)。
[付記8]
前記評価指標生成部(305)は、前記推定されたロスフレームの数を用いて、前記端末(10)が送信した無線フレームに対する再送フレームの割合を示す再送率を算出する、付記7に記載の情報処理装置(100、40)。
[付記9]
前記評価指標生成部(305)は、第1及び第2の遷移モデルを用いて、単位時間あたりの帯域占有時間を算出する、付記7に記載の情報処理装置(100、40)。
[付記10]
前記第1の遷移モデル生成部(102、302)は、前記第1の遷移モデルを、端末(10)ごと且つ電波強度ごとに生成し、
前記第2の遷移モデル生成部(103、303)は、前記第2の遷移モデルを、端末(10)ごと且つ電波強度ごとに生成する、付記1乃至9のいずれか一つに記載の情報処理装置(100、40)。
[付記11]
前記第1の遷移モデル生成部(102、302)は、所定の強度以上の電波強度を持つ無線フレームを用いて前記第1の遷移モデルを生成し、
前記第2の遷移モデル生成部(103、303)は、所定の強度以上の電波強度を持つ無線フレームを用いて前記第2の遷移モデルを生成する、付記10に記載の情報処理装置(100、40)。
[付記12]
前記第1及び第2の遷移モデルのそれぞれはマルコフモデルである、付記1乃至11のいずれか一つに記載の情報処理装置(100、40)。
[付記13]
端末(10)が送信した無線フレームを検出するモニタ装置(30)と、
前記モニタ装置(30)と接続された情報処理装置(100、40)と、
を含み、
前記情報処理装置(100、40)は、
端末(10)が送信した無線フレームであって、前記モニタ装置(30)により検出された無線フレームを取得する、取得部(101、301)と、
前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末(10)ごとに生成する、第1の遷移モデル生成部(102、302)と、
前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末(10)ごとに生成する、第2の遷移モデル生成部(103、303)と、
前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末(10)が送信した無線フレームであって前記モニタ装置(30)が検出できなったロスフレームの数を推定する、推定部(104、304)と、
を備える、無線通信システム。
[付記14]
端末(10)が送信した無線フレームであって、モニタ装置(30)により検出された無線フレームを取得し、
前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末(10)ごとに生成し、
前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末(10)ごとに生成し、
前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末(10)が送信した無線フレームであって前記モニタ装置(30)が検出できなったロスフレームの数を推定することを含む、情報処理方法。
[付記15]
端末(10)が送信した無線フレームであって、モニタ装置(30)により検出された無線フレームを取得する処理と、
前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末(10)ごとに生成する処理と、
前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末(10)ごとに生成する処理と、
前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末(10)が送信した無線フレームであって前記モニタ装置(30)が検出できなったロスフレームの数を推定する処理と、
をコンピュータ(311)に実行させるプログラム。
なお、付記13〜付記15の形態は、付記1の形態と同様に、付記2の形態〜付記12の形態に展開することが可能である。
なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
10、10−1〜10−3 端末
20 アクセスポイント
30 モニタ装置
40 評価装置
100 情報処理装置
101 取得部
102、302 第1の遷移モデル生成部
103 303 第2の遷移モデル生成部
104 推定部
201、301 通信制御部
202 無線フレーム取得部
211 アンテナ
304 ロスフレーム数推定部
305 評価指標生成部
306 記憶部
311 プロセッサ
312 メモリ
313 入出力インターフェイス
314 通信インターフェイス

Claims (15)

  1. 端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得する、取得部と、
    前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する、第1の遷移モデル生成部と、
    前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する、第2の遷移モデル生成部と、
    前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する、推定部と、
    を備える、情報処理装置。
  2. 前記第1の遷移モデルは、端末が前記初送フレームを送信する際、前記初送フレームの送信に設定され得る各伝送レートの確率をモデル化した確率モデルである、請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記第2の遷移モデルは、端末が前記再送フレームを送信する際、前記再送フレームの送信に設定され得る各伝送レートの確率をモデル化した確率モデルである、請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記推定部は、前記モニタ装置により検出された無線フレームのうち初送フレームが存在しないシーケンス番号を持つ無線フレームに関して、前記ロスフレームの数を推定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  5. 前記推定部は、前記モニタ装置により検出された無線フレームのうち同じシーケンス番号を持つ無線フレームを単位として前記ロスフレームの数を推定する、請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記推定部は、
    前記モニタ装置により検出された無線フレームのうち対応する初送フレームが存在しない再送フレームの直前に送信された無線フレームの伝送レートを前記第1の遷移モデルに入力することで、前記直前に送信された無線フレームの伝送レートから各初送レートへ遷移する確率を取得し、
    前記各初送レートと前記対応する初送フレームが存在しない再送フレームの伝送レートを前記第2の遷移モデルに入力することで、各初送レートから前記対応する初送フレームが存在しない再送フレームの伝送レートに至る際の再送フレーム数に関する期待値を算出し、
    前記取得された各初送レートへ遷移する確率と前記算出された期待値に基づき、前記ロスフレームの数を推定する、請求項5に記載の情報処理装置。
  7. 前記推定されたロスフレームの数に基づき、無線通信システムの状態を評価するための指標を生成する、評価指標生成部をさらに備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  8. 前記評価指標生成部は、前記推定されたロスフレームの数を用いて、前記端末が送信した無線フレームに対する再送フレームの割合を示す再送率を算出する、請求項7に記載の情報処理装置。
  9. 前記評価指標生成部は、第1及び第2の遷移モデルを用いて、単位時間あたりの帯域占有時間を算出する、請求項7に記載の情報処理装置。
  10. 前記第1の遷移モデル生成部は、前記第1の遷移モデルを、端末ごと且つ電波強度ごとに生成し、
    前記第2の遷移モデル生成部は、前記第2の遷移モデルを、端末ごと且つ電波強度ごとに生成する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  11. 前記第1の遷移モデル生成部は、所定の強度以上の電波強度を持つ無線フレームを用いて前記第1の遷移モデルを生成し、
    前記第2の遷移モデル生成部は、所定の強度以上の電波強度を持つ無線フレームを用いて前記第2の遷移モデルを生成する、請求項10に記載の情報処理装置。
  12. 前記第1及び第2の遷移モデルのそれぞれはマルコフモデルである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  13. 端末が送信した無線フレームを検出するモニタ装置と、
    前記モニタ装置と接続された情報処理装置と、
    を含み、
    前記情報処理装置は、
    端末が送信した無線フレームであって、前記モニタ装置により検出された無線フレームを取得する、取得部と、
    前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する、第1の遷移モデル生成部と、
    前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する、第2の遷移モデル生成部と、
    前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する、推定部と、
    を備える、無線通信システム。
  14. 端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得し、
    前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成し、
    前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成し、
    前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定することを含む、情報処理方法。
  15. 端末が送信した無線フレームであって、モニタ装置により検出された無線フレームを取得する処理と、
    前記検出された無線フレームのうち初送フレームの伝送レートに関する第1の遷移モデルを端末ごとに生成する処理と、
    前記検出された無線フレームのうち再送フレームの伝送レートに関する第2の遷移モデルを端末ごとに生成する処理と、
    前記第1及び第2の遷移モデルを用いて、端末が送信した無線フレームであって前記モニタ装置が検出できなったロスフレームの数を推定する処理と、
    をコンピュータに実行させるプログラム。
JP2019161394A 2019-09-04 2019-09-04 情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラム Active JP7272189B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019161394A JP7272189B2 (ja) 2019-09-04 2019-09-04 情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019161394A JP7272189B2 (ja) 2019-09-04 2019-09-04 情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021040267A true JP2021040267A (ja) 2021-03-11
JP7272189B2 JP7272189B2 (ja) 2023-05-12

Family

ID=74847221

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019161394A Active JP7272189B2 (ja) 2019-09-04 2019-09-04 情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7272189B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009088915A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Sony Corp 無線送信装置、無線送信方法、無線通信システム及びプログラム
JP2010183514A (ja) * 2009-02-09 2010-08-19 Nec Commun Syst Ltd 無線通信システム、情報処理装置、無線通信のデータ送信制御方法及びプログラム
JP2011229086A (ja) * 2010-04-22 2011-11-10 Kddi Corp 混雑度推定装置、混雑度推定方法および制御プログラム
US20150270925A1 (en) * 2014-03-18 2015-09-24 Qualcomm Incorporated Interference estimation for selection of modulation and coding schemes

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009088915A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Sony Corp 無線送信装置、無線送信方法、無線通信システム及びプログラム
JP2010183514A (ja) * 2009-02-09 2010-08-19 Nec Commun Syst Ltd 無線通信システム、情報処理装置、無線通信のデータ送信制御方法及びプログラム
JP2011229086A (ja) * 2010-04-22 2011-11-10 Kddi Corp 混雑度推定装置、混雑度推定方法および制御プログラム
US20150270925A1 (en) * 2014-03-18 2015-09-24 Qualcomm Incorporated Interference estimation for selection of modulation and coding schemes

Also Published As

Publication number Publication date
JP7272189B2 (ja) 2023-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4786908B2 (ja) 障害検出および診断
JP6823501B2 (ja) 異常検知装置、異常検知方法及びプログラム
JP6728910B2 (ja) 故障検出装置、方法及びシステム
CN104756474B (zh) 用于通信链路性能估计的方法和系统
US9009305B1 (en) Network host inference system
JP6932494B2 (ja) 集約されたケーブル試験結果データを適用するためのシステム及び方法、並びにクラウドベースのコンピュータサーバ
JP6564799B2 (ja) 閾値決定装置、閾値決定方法及びプログラム
EP2755416A2 (en) Method and apparatus for remotely locating wireless network fault
US11501106B2 (en) Anomaly factor estimation device, anomaly factor estimation method, and storage medium
EP3682595B1 (en) Obtaining local area network diagnostic test results
CN110890972B (zh) 一种业务系统的健康度评估方法及装置
US9936409B2 (en) Analyzing and classifying signaling sets or calls
JP2018028783A (ja) システム状態可視化プログラム、システム状態可視化方法及びシステム状態可視化装置
CN113452576B (zh) 网络环境的监控方法及装置、存储介质、电子装置
JPWO2015182629A1 (ja) 監視システム、監視装置及び監視プログラム
CN102780612B (zh) 在tcp流/套接字连接的生命周期中估计发送方拥塞窗口的方法和装置
US7844443B2 (en) Network subscriber experience modeling
JP7272189B2 (ja) 情報処理装置、無線通信システム、情報処理方法及びプログラム
WO2016127048A1 (en) Method and system for measurement and characterization of channel delays for broadband power line communications
WO2021117230A1 (ja) 無線フレーム推定装置、システム、方法、プログラム及び記録媒体
JP2006033715A (ja) ネットワークe2e性能評価システムと方法およびプログラム
EP2651076A1 (en) Method and server for determining home network quality
WO2020241546A1 (ja) 推定装置、伝送レート推定方法及びプログラム
JP6450336B2 (ja) 応答時間測定方法
GB2566467A (en) Obtaining local area network diagnostic test results

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20201130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220808

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230322

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230410

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7272189

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151