JP2021038440A - 金属接合用ペースト、接合部材、接合構造体および接合構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タック性に優れる塗布膜を形成でき、塗布膜を焼結した後には有機溶剤に由来する炭素の残留が抑制でき、且つ接合性に優れる金属接合用ペースト、これを用いた接合部材、接合構造体および接合構造体の製造方法を提供する。【解決手段】平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)とを含む金属接合用ペーストとする。第1の被接合部材の表面に、上記金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材をこの順になるように配置して、第1の被接合部材、ペーストおよび第2の被接合部材の複合体を形成した後、水素含有ガス中にて、複合体を、有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、複合体を構成するペースト中に存在する有機溶剤(A)を分解除去し、水素含有ガス中にて、複合体を加熱して、ペーストから焼結体を形成して接合構造体を製造する。【選択図】なし
Description
本発明は、金属接合用ペースト、接合部材、接合構造体および接合構造体の製造方法に関する。
半導体装置を構成する、金属配線等が表面に形成された半導体チップ(半導体素子)と金属材料からなる表面を有する基板(基材)との接合は、通常、半田や導電性接着剤等を用いて行なうのが一般的であるが、最近では、高電圧・大電流処理能力をもち、発熱量の多いパワーモジュール等が使用されるようになり、より高い温度での耐久性(耐熱性)を有する半導体装置を開発することが要求されるようになってきた。
より高い温度での耐久性(耐熱性)を有する半導体装置は、例えば、基板上に、銅粒子や銀粒子のように、半田等よりもバルクの融点が高い金属粒子を有機溶剤に分散させた金属接合用のペーストを塗布し、予備加熱等によって乾燥させて塗布液膜を塗布膜としてから、その塗布膜上に半導体チップを搭載し、加熱(焼結)して、半導体チップを基板に接合(実装)することによって製造することができる(特許文献1参照)。
ところが、銅粒子等の金属粒子を含む金属接合用ペーストを用いると、酸化被膜が形成されやすい。酸化被膜が形成されると、接合性が低下する。また、酸化被膜等の不純物は半導体特性に影響を及ぼしてしまう。したがって、酸化被膜は除去する必要がある。
金属粒子を含む金属接合用ペーストにフラックスを含有させて、フラックスにより酸化被膜を除去する技術があるが、残留したフラックスにより配線や基板等の金属が腐食するという問題が生じる。
金属粒子を含む金属接合用ペーストにフラックスを含有させて、フラックスにより酸化被膜を除去する技術があるが、残留したフラックスにより配線や基板等の金属が腐食するという問題が生じる。
そこで、水素によって酸化被膜を還元することが考えられるが、水素による還元では、以下が問題となる。
基板上に金属接合用ペーストを塗布して塗布膜を形成し、塗布膜上の所望の位置に半導体素子を搭載した後、焼結するまでの間に、例えば基板上の塗布膜上に半導体チップを搭載した複合体を加熱炉に搬送する間に、半導体チップが塗布膜上の所望の位置から移動してしまう場合がある。
半導体チップの移動を抑制するためには、例えば、塗布膜の表面を、半導体チップが移動しない程度の接着性(以下「タック性」という)を有するように構成すればよく、そのような構成にするには、例えば塗布膜を、半導体チップが移動しない程度に有機溶剤が含まれている状態とすることが考えられる。
しかしながら、半導体チップが移動しない程度に塗布膜に有機溶剤が含まれる状態で焼結すると、得られる焼結体には有機溶剤に由来する炭素が残留しやすくなるという問題が生じる。炭素が残留すると半導体特性に悪影響を及ぼしてしまう。また、塗布膜中に有機溶剤が含まれる状態のままで焼結すると、塗布膜の内部に水素が侵入し難くなるため、水素による酸化被膜の還元がし難くなるという問題も生じる。
また、半導体チップと基板との接合性に優れることも求められる。
なお、上記問題等は、半導体チップと基板との接合に限らず、その他の被接合部材の接合においても、同様に存在する。
基板上に金属接合用ペーストを塗布して塗布膜を形成し、塗布膜上の所望の位置に半導体素子を搭載した後、焼結するまでの間に、例えば基板上の塗布膜上に半導体チップを搭載した複合体を加熱炉に搬送する間に、半導体チップが塗布膜上の所望の位置から移動してしまう場合がある。
半導体チップの移動を抑制するためには、例えば、塗布膜の表面を、半導体チップが移動しない程度の接着性(以下「タック性」という)を有するように構成すればよく、そのような構成にするには、例えば塗布膜を、半導体チップが移動しない程度に有機溶剤が含まれている状態とすることが考えられる。
しかしながら、半導体チップが移動しない程度に塗布膜に有機溶剤が含まれる状態で焼結すると、得られる焼結体には有機溶剤に由来する炭素が残留しやすくなるという問題が生じる。炭素が残留すると半導体特性に悪影響を及ぼしてしまう。また、塗布膜中に有機溶剤が含まれる状態のままで焼結すると、塗布膜の内部に水素が侵入し難くなるため、水素による酸化被膜の還元がし難くなるという問題も生じる。
また、半導体チップと基板との接合性に優れることも求められる。
なお、上記問題等は、半導体チップと基板との接合に限らず、その他の被接合部材の接合においても、同様に存在する。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、タック性に優れる塗布膜を形成でき、塗布膜を焼結した後には有機溶剤に由来する炭素の残留が抑制でき、且つ接合性に優れる金属接合用ペースト、これを用いた接合部材、接合構造体および接合構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)とを含む金属接合用ペーストとすることで、加熱前は有機溶剤(A)によりタック性に優れる塗布膜を形成でき、塗布膜形成後に水素含有ガス中にて有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度で加熱することにより有機溶剤(A)を分解除去できるため焼結後は有機溶剤に由来する炭素の残留が抑制でき、且つ接合性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1) 平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)とを含む金属接合用ペースト。
(1) 平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)とを含む金属接合用ペースト。
(2) 前記有機溶剤(A)は、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30以上もしくはHLB値が1.0以上である、上記(1)に記載の金属接合用ペースト。
(3) 前記有機溶剤(A)が、多価アルコールである、上記(2)に記載の金属接合用ペースト。
(4) 前記有機溶剤(A)が、グリセリンおよびエチレングリコールの少なくとも一方である、上記(3)に記載の金属接合用ペースト。
(5) 前記有機溶剤(A)は、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30未満もしくはHLB値が1.0以上である、上記(1)に記載の金属接合用ペースト。
(6) 前記有機溶剤(A)が、下記式(1)で表される化合物である、上記(5)に記載の金属接合用ペースト。
(式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルデヒド基、またはアミノ基であり、mおよびnは、それぞれ独立に0〜5の整数である。)
(7) 前記有機溶剤(A)がジフェニルエーテルである、上記(6)に記載の金属接合用ペースト。
(8) 前記金属粒子(P)が、銅もしくは銅基合金またはニッケルもしくはニッケル基合金からなる、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の金属接合用ペースト。
(9) 上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の前記金属接合用ペーストから形成してなる焼結体であって、炭素含有率が2.0質量%以下である接合部材。
(10) 第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体であって、
前記第1の被接合部材および前記第2の被接合部材は、少なくとも前記接合部材に接合されるそれぞれの表面部分が、金属材料からなり、
前記接合部材は、上記(9)に記載の接合部材である接合構造体。
前記第1の被接合部材および前記第2の被接合部材は、少なくとも前記接合部材に接合されるそれぞれの表面部分が、金属材料からなり、
前記接合部材は、上記(9)に記載の接合部材である接合構造体。
(11) 第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体の製造方法であって、
前記第1の被接合部材の表面に、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のペーストおよび前記第2の被接合部材をこの順になるように配置して、前記第1の被接合部材、前記ペーストおよび前記第2の被接合部材の複合体を形成する複合体形成工程と、
水素含有ガス中にて、前記複合体を、前記有機溶剤(A)が前記水素化分解特性を示す温度である前記有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、前記複合体を構成する前記ペースト中に存在する前記有機溶剤(A)を分解除去する溶剤分解除去工程と、
水素含有ガス中にて、前記複合体を加熱して、前記ペーストから焼結体を形成する焼結工程と、
を含む、接合構造体の製造方法。
前記第1の被接合部材の表面に、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のペーストおよび前記第2の被接合部材をこの順になるように配置して、前記第1の被接合部材、前記ペーストおよび前記第2の被接合部材の複合体を形成する複合体形成工程と、
水素含有ガス中にて、前記複合体を、前記有機溶剤(A)が前記水素化分解特性を示す温度である前記有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、前記複合体を構成する前記ペースト中に存在する前記有機溶剤(A)を分解除去する溶剤分解除去工程と、
水素含有ガス中にて、前記複合体を加熱して、前記ペーストから焼結体を形成する焼結工程と、
を含む、接合構造体の製造方法。
(12) 前記焼結工程は、前記溶剤分解除去工程を兼ねて行うか、または前記溶剤分解除去工程の後に行う、上記(11)に記載の接合構造体の製造方法。
本発明によれば、タック性に優れる塗布膜を形成でき、焼結後の有機溶剤の残留が抑制でき、且つ接合性に優れる金属接合用ペーストを提供することができる。この金属接合用ペーストから形成してなる焼結体は、有機溶剤の残留が抑制されるため、炭素含有率を2.0質量%以下とすることができる。したがって、該焼結体で被接合部材が接合された接合構造体は、信頼性の高い半導体装置となる。
本発明について、以下に具体的に説明する。なお、本発明は、以下に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
<<金属接合用ペースト>>
本発明の金属接合用ペーストは、平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)とを含む。
本発明の金属接合用ペーストは、平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)とを含む。
<金属粒子(P)>
本発明の金属接合用ペーストが含む金属粒子(P)は、銅、銅基合金、ニッケル、ニッケル基合金、錫、錫基合金、亜鉛および亜鉛基合金から選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。
金属粒子(P)は、銅(Cu)もしくは銅基合金またはニッケル(Ni)もしくはニッケル基合金からなることがより好ましい。金属粒子(P)が、銅、銅基合金、ニッケルや、ニッケル基合金であると、水素含有ガス中で加熱することにより、これらの金属の酸化被膜の還元や焼結を良好に行うことができる。
銅基合金における銅以外の金属元素としては、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ニッケル等が挙げられる。銅基合金における銅の含有量は、70質量%以上であることが好ましい。
また、ニッケル基合金におけるニッケル以外の金属元素としては、亜錫(Sn)、亜鉛(Zn)、銅が挙げられる。ニッケル基合金におけるニッケルの含有量は、70質量%以上であることが好ましい。
金属粒子(P)は、銀(Ag)を含まないことが好ましい。金属粒子(P)が銀粒子の場合は、接合性が悪くなる傾向があるからである。
本発明の金属接合用ペーストが含む金属粒子(P)は、銅、銅基合金、ニッケル、ニッケル基合金、錫、錫基合金、亜鉛および亜鉛基合金から選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。
金属粒子(P)は、銅(Cu)もしくは銅基合金またはニッケル(Ni)もしくはニッケル基合金からなることがより好ましい。金属粒子(P)が、銅、銅基合金、ニッケルや、ニッケル基合金であると、水素含有ガス中で加熱することにより、これらの金属の酸化被膜の還元や焼結を良好に行うことができる。
銅基合金における銅以外の金属元素としては、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ニッケル等が挙げられる。銅基合金における銅の含有量は、70質量%以上であることが好ましい。
また、ニッケル基合金におけるニッケル以外の金属元素としては、亜錫(Sn)、亜鉛(Zn)、銅が挙げられる。ニッケル基合金におけるニッケルの含有量は、70質量%以上であることが好ましい。
金属粒子(P)は、銀(Ag)を含まないことが好ましい。金属粒子(P)が銀粒子の場合は、接合性が悪くなる傾向があるからである。
なお、走査型電子顕微鏡(SEM)に付属する、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を用いた成分分析により、金属粒子(P)を構成する金属成分の含有量を求めることができる。
本発明の金属接合用ペーストが含む金属粒子(P)は、平均一次粒径が10nm以上500nm以下である。
「一次粒子」とは、二次粒子を構成する個々の一次粒子を意味する。また、金属粒子(P)について、「平均一次粒子径」とは、測定対象に選定した複数個の金属粒子(P)の一次粒子に対して、それぞれ、最長となる直径を測定し、その測定値を個数で除して算出した平均値を意味する。
「一次粒子」とは、二次粒子を構成する個々の一次粒子を意味する。また、金属粒子(P)について、「平均一次粒子径」とは、測定対象に選定した複数個の金属粒子(P)の一次粒子に対して、それぞれ、最長となる直径を測定し、その測定値を個数で除して算出した平均値を意味する。
金属粒子(P)の平均一次粒子径は、以下に示す方法によって測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジー株式会社製、製品名:SU8020)を用いて、加速電圧3kV、倍率20万倍の条件下で観察し、測定対象となる金属粒子(P)のSEM画像を取得する。取得したSEM画像の中から、任意に20個の金属粒子(P)の一次粒子を選定する。選定した金属粒子(P)の一次粒子について、最長となる直径をそれぞれ測定し、各測定値の平均を算出して平均一次粒子径を求めることができる。
金属粒子(P)の二次粒子等の大きさは特に限定されないが、例えば、体積基準で測定して得られる積算粒度分布の、50%粒子径d50が100nm以上3000nm以下であることが好ましい。「50%粒子径d50」は、メジアン径ともいい、体積基準で測定して得られる積算粒度分布において、金属粒子(P)を小さい側から積算して50%体積となるときの粒子径を意味する。粒度分布は、レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD−2300)で測定することができる。
本発明の金属接合用ペースト中の金属粒子(P)の含有量は、特に限定されないが、例えば、50質量%以上97質量%以下である。
<有機溶剤(A)>
本発明の金属接合用ペーストが含む有機溶剤(A)は、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤である。
本発明の金属接合用ペーストが含む有機溶剤(A)は、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤である。
本発明において、「水素含有ガス」とは、特に断りが無い場合、水素濃度が5体積%以上100体積%以下のガスであり、好ましくは水素濃度が40体積%以上100体積%以下のガス、より好ましくは水素濃度が75体積%以上100体積%以下のガスである。水素含有ガスに含まれる水素以外のガスとしては、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスが挙げられる。
「水素化分解特性」とは、水素の作用により分解して低分子化する特性である。低分子化(有機溶剤(A)より低分子の化合物になること)により、沸点が低くなり、除去されやすくなる。本発明において用いる有機溶剤(A)は、このような水素化分解特性を、沸点未満の温度で示す有機溶剤である。具体的には、有機溶剤が水素化分解特性を示す温度である水素化分解温度を下記(1)〜(4)により求め、求めた水素化分解温度が該有機溶剤の沸点未満の温度である場合は、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤と判断し、分解しなかった場合、または、水素化分解温度が有機溶剤の沸点以上の場合は、水素含有ガス中にて有機溶媒の沸点未満の温度で水素化分解特性を示さない有機溶剤と判断する。
(1)平均一次粒子径100nmの金属粒子と有機溶剤を用意する。
(2)金属粒子濃度が75質量%になるように、金属粒子と有機溶剤とを混合してペーストを作製する。
(3)作製したペーストを、基板表面に、厚さ130μmとなるように印刷する。印刷パターンは10mm角とする。基板は1.2mm厚、20mm角の、JIS H3100:2012で規定されているC1020板とする。
(4)ペーストが印刷された基板を、水素濃度が100体積%の水素ガス中に設置して、室温から昇温レート100℃/分で昇温した後に5分保持した時に、昇温前と比べて有機溶剤の量が半減する温度を求め、これを水素化分解温度とする。
(1)平均一次粒子径100nmの金属粒子と有機溶剤を用意する。
(2)金属粒子濃度が75質量%になるように、金属粒子と有機溶剤とを混合してペーストを作製する。
(3)作製したペーストを、基板表面に、厚さ130μmとなるように印刷する。印刷パターンは10mm角とする。基板は1.2mm厚、20mm角の、JIS H3100:2012で規定されているC1020板とする。
(4)ペーストが印刷された基板を、水素濃度が100体積%の水素ガス中に設置して、室温から昇温レート100℃/分で昇温した後に5分保持した時に、昇温前と比べて有機溶剤の量が半減する温度を求め、これを水素化分解温度とする。
本発明の金属接合用ペーストが含む有機溶剤(A)は、水素含有ガス中にて有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱されると、分解して、低分子化して除去されやすくなる。したがって、有機溶剤(A)に由来する炭素の残留が抑制され、金属接合用ペーストから形成される焼結体は例えば炭素含有率を2.0質量%以下とすることができる。
有機溶剤(A)は、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示し、さらに、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30以上もしくはHLB値が1.0以上である有機溶剤であってもよい。なお、本明細書において、「比誘電率」は、JIS C2138に準拠し周波数10kHzで測定される値である。
沸点が190℃以上であると、室温において金属接合用ペーストにより形成された塗布膜からの有機溶剤(A)の揮発が抑制され、タック性がより良好になる。なお、有機溶剤(A)の沸点が190℃未満であっても、塗布膜等の操作環境を低温にして有機溶剤(A)が揮発し難くなるようにすればよい。
有機溶剤(A)の比誘電率が30以上であると、金属接合用ペースト中の金属粒子(P)の分散性が良好になりやすい。
また、有機溶剤(A)のHLB値が1.0以上であると、金属粒子(P)への配位性が高くなり、金属接合用ペースト中の金属粒子(P)の分散性が良好になりやすい。なお、HLBとは、親水性親油性バランスのことである。
沸点が190℃以上であると、室温において金属接合用ペーストにより形成された塗布膜からの有機溶剤(A)の揮発が抑制され、タック性がより良好になる。なお、有機溶剤(A)の沸点が190℃未満であっても、塗布膜等の操作環境を低温にして有機溶剤(A)が揮発し難くなるようにすればよい。
有機溶剤(A)の比誘電率が30以上であると、金属接合用ペースト中の金属粒子(P)の分散性が良好になりやすい。
また、有機溶剤(A)のHLB値が1.0以上であると、金属粒子(P)への配位性が高くなり、金属接合用ペースト中の金属粒子(P)の分散性が良好になりやすい。なお、HLBとは、親水性親油性バランスのことである。
水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示し、さらに、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30以上もしくはHLB値が1.0以上である有機溶剤(A)としては、多価アルコールが挙げられ、具体例としては、グリセリンやエチレングリコールが挙げられる。
有機溶剤(A)は、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示し、さらに、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30未満もしくはHLB値が1.0以上である有機溶剤であることが好ましい。
沸点が190℃以上であると、金属接合用ペーストにより形成された塗布膜からの有機溶剤(A)の揮発が抑制され、タック性がより良好になる。なお、有機溶剤(A)の沸点が190℃未満であっても、塗布膜等の操作環境を低温にして有機溶剤(A)が揮発し難くなるようにすればよい。
有機溶剤(A)の比誘電率が30未満であると、金属接合用ペーストの安定性が優れる。
また、有機溶剤(A)のHLB値が1.0以上であると、金属粒子(P)への配位性が高くなり、金属接合用ペースト中の金属粒子(P)の分散性が良好になりやすい。
沸点が190℃以上であると、金属接合用ペーストにより形成された塗布膜からの有機溶剤(A)の揮発が抑制され、タック性がより良好になる。なお、有機溶剤(A)の沸点が190℃未満であっても、塗布膜等の操作環境を低温にして有機溶剤(A)が揮発し難くなるようにすればよい。
有機溶剤(A)の比誘電率が30未満であると、金属接合用ペーストの安定性が優れる。
また、有機溶剤(A)のHLB値が1.0以上であると、金属粒子(P)への配位性が高くなり、金属接合用ペースト中の金属粒子(P)の分散性が良好になりやすい。
水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示し、さらに、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30未満もしくはHLB値が1.0以上である有機溶剤(A)としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。有機溶剤(A)が下記式(1)で表される化合物であると、金属接合用ペーストの保管時や連続印刷時の粘度安定性が優れる。
(式(1)中、R1およびR1は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルデヒド基、またはアミノ基であり、mおよびnは、それぞれ独立に0〜5の整数である。)
式(1)中、アルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。
式(1)中、アルコキシ基としては、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましく、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。
式(1)中、ヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のヒドロキシアルキル基が好ましく、具体例としては、メチロール基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基が挙げられ、メチロール基またはヒドロキシエチル基が好ましい。
式(1)中、mおよびnは、0、1または2であることが好ましい。
式(1)中、アルコキシ基としては、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましく、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。
式(1)中、ヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のヒドロキシアルキル基が好ましく、具体例としては、メチロール基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基が挙げられ、メチロール基またはヒドロキシエチル基が好ましい。
式(1)中、mおよびnは、0、1または2であることが好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、ジフェニルエーテル、2−フェノキシベンズアルデヒド、3−フェノキシベンズアルデヒド、3−フェノキシベンジルアルコール、3−フェノキシトルエン、o−トリル3,5−キシリルエーテル、2−アミノ−2’−メチルジフェニルエーテル、3−(4−メトキシフェノキシ)ベンズアルデヒド等が挙げられ、ジフェニルエーテルが好ましい。
有機溶剤(A)は、1種でも、2種以上を併用してもよい。
本発明の金属接合用ペースト中の有機溶剤(A)の含有量は、特に限定されないが、例えば、3質量%以上50質量%以下である。
本発明の金属接合用ペースト中の有機溶剤(A)の含有量は、特に限定されないが、例えば、3質量%以上50質量%以下である。
このような沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)を、平均一次粒子径が10nm以上500nm以下である金属粒子(P)と共に含む金属接合用ペーストとすることで、タック性に優れる塗布膜を形成でき、焼結後の有機溶剤の残留が抑制でき且つ接合性に優れる。その詳細については、後述する。
本発明の金属接合用ペーストは、水素含有ガス中で焼結体を形成できる特性を有することが好ましい。金属接合用ペーストが、水素含有ガス中で焼結体を形成できる特性を有することにより、水素含有ガス中での加熱で酸化被膜の還元や焼結を良好に行うことができる。
<金属接合用ペーストの製造方法>
このような金属接合用ペーストを製造する方法は特に限定されず、例えば、金属粒子(P)と、有機溶剤(A)とを混合すればよい。金属粒子(P)と有機溶剤(A)を混合する方法は特に限定されず、例えば、室温にて、公知の混合機、混練機、捏和機等を用いて、混合、混練または捏和することで、金属粒子(P)を有機溶剤(A)に分散させればよい。
このような金属接合用ペーストを製造する方法は特に限定されず、例えば、金属粒子(P)と、有機溶剤(A)とを混合すればよい。金属粒子(P)と有機溶剤(A)を混合する方法は特に限定されず、例えば、室温にて、公知の混合機、混練機、捏和機等を用いて、混合、混練または捏和することで、金属粒子(P)を有機溶剤(A)に分散させればよい。
なお、金属粒子(P)は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、無電解還元法、電解還元法または火炎法によって、金属粒子を製造し、必要に応じて篩がけ等することにより、平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)を得ることができる。また、金属粒子(P)として、市販の金属粒子を用いてもよい。
<<接合部材>>
本発明の接合部材は、上記本発明の金属接合用ペーストから形成してなる焼結体であって、炭素含有率が2.0質量%以下の焼結体である。なお、上記金属接合用ペーストから形成してなる焼結体であるため、接合部材は金属多孔質体である。
本発明の接合部材は、炭素含有率が2.0質量%以下であるため、炭素による半導体特性への悪影響が抑制される。したがって、本発明の接合部材を有する半導体装置は、信頼性に優れる。
接合部材の炭素含有率は、FIB(収束イオンビーム)加工で断面を作成し、EPMA(電子線マイクロアナライザ)により測定することができる。
本発明の接合部材は、上記本発明の金属接合用ペーストから形成してなる焼結体であって、炭素含有率が2.0質量%以下の焼結体である。なお、上記金属接合用ペーストから形成してなる焼結体であるため、接合部材は金属多孔質体である。
本発明の接合部材は、炭素含有率が2.0質量%以下であるため、炭素による半導体特性への悪影響が抑制される。したがって、本発明の接合部材を有する半導体装置は、信頼性に優れる。
接合部材の炭素含有率は、FIB(収束イオンビーム)加工で断面を作成し、EPMA(電子線マイクロアナライザ)により測定することができる。
<<接合構造体>>
本発明の接合構造体は、第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体であって、第1の被接合部材および第2の被接合部材は、少なくとも接合部材に接合されるそれぞれの表面部分が、金属材料からなり、接合部材は、上記本発明の記載の接合部材である。本発明の接合構造体について、図1を用いて説明する。図1は、接合構造体の一例を示す模式的断面図である。
本発明の接合構造体は、第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体であって、第1の被接合部材および第2の被接合部材は、少なくとも接合部材に接合されるそれぞれの表面部分が、金属材料からなり、接合部材は、上記本発明の記載の接合部材である。本発明の接合構造体について、図1を用いて説明する。図1は、接合構造体の一例を示す模式的断面図である。
図1に示すように、本発明の接合構造体1は第1の被接合部材11と、第2の被接合部材12とを有する。そして、第1の被接合部材11および第2の被接合部材12は、第1の被接合部材11および第2の被接合部材12の間に位置する接合部材13により接合されている。
第1の被接合部材11および第2の被接合部材12は、それぞれ接合部材13に接合される表面部分が金属材料からなる。第1の被接合部材11および第2の被接合部材12は、例えば、金属材料からなる表面を有する基材や、金属配線が表面に形成された部材である。
第1の被接合部材11の具体例としては、例えば、銅、銅合金等の金属製の基板、アルミナ、窒化ケイ素およびセラミック等の基板に銅箔を被覆した被覆基板、銅、銅合金等の金属製のリードフレーム、半導体パッケージ、半導体チップ等の電子部材等が挙げられる。また、上記電子部材としては、シリコンチップ等を挙げることができる。
第2の被接合部材12の具体例としては、例えば、半導体パッケージ、シリコンチップ、SiCチップ、GaNチップ、ダイヤモンドチップ等の半導体チップ等の電子部材が挙げられる。
第1の被接合部材11や、第2の被接合部材12は、比較的大きなもの、例えば10mm角以上のものを用いることもできる。
第1の被接合部材11の具体例としては、例えば、銅、銅合金等の金属製の基板、アルミナ、窒化ケイ素およびセラミック等の基板に銅箔を被覆した被覆基板、銅、銅合金等の金属製のリードフレーム、半導体パッケージ、半導体チップ等の電子部材等が挙げられる。また、上記電子部材としては、シリコンチップ等を挙げることができる。
第2の被接合部材12の具体例としては、例えば、半導体パッケージ、シリコンチップ、SiCチップ、GaNチップ、ダイヤモンドチップ等の半導体チップ等の電子部材が挙げられる。
第1の被接合部材11や、第2の被接合部材12は、比較的大きなもの、例えば10mm角以上のものを用いることもできる。
このような第1の被接合部材11および第2の被接合部材12が、その間に位置する接合部材13により接合されており、接合部材13は、上記本発明の接合部材13からなる。
上記本発明の接合部材13は、炭素含有率が2.0質量%以下であるため、炭素による半導体特性への悪影響が抑制される。したがって、本発明の接合部材13で接合された第1の被接合部材11および第2の被接合部材12と、接合部材13とを備える接合構造体1は、半導体装置として、信頼性に優れる。
上記本発明の接合部材13は、炭素含有率が2.0質量%以下であるため、炭素による半導体特性への悪影響が抑制される。したがって、本発明の接合部材13で接合された第1の被接合部材11および第2の被接合部材12と、接合部材13とを備える接合構造体1は、半導体装置として、信頼性に優れる。
<<接合構造体の製造方法>>
本発明の接合構造体の製造方法は、第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体の製造方法であって、第1の被接合部材の表面に、上記本発明の金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材をこの順になるように配置して、第1の被接合部材、金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材の複合体を形成する複合体形成工程と、水素含有ガス中にて、複合体を、有機溶剤(A)が水素化分解特性を示す温度である有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、複合体を構成する金属接合用ペースト中に存在する有機溶剤(A)を分解除去する溶剤分解除去工程と、水素含有ガス中にて、複合体を加熱して、金属接合用ペーストから焼結体を形成する焼結工程とを含む。
本発明の接合構造体の製造方法について、図1を用いて説明する。なお、第1の被接合部材11および第2の被接合部材12は、上記本発明の接合構造体におけるものと同じであり、水素含有ガスは、上記本発明の金属接合用ペーストで説明したものと同じであるため、説明を省略する。
本発明の接合構造体の製造方法は、第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体の製造方法であって、第1の被接合部材の表面に、上記本発明の金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材をこの順になるように配置して、第1の被接合部材、金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材の複合体を形成する複合体形成工程と、水素含有ガス中にて、複合体を、有機溶剤(A)が水素化分解特性を示す温度である有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、複合体を構成する金属接合用ペースト中に存在する有機溶剤(A)を分解除去する溶剤分解除去工程と、水素含有ガス中にて、複合体を加熱して、金属接合用ペーストから焼結体を形成する焼結工程とを含む。
本発明の接合構造体の製造方法について、図1を用いて説明する。なお、第1の被接合部材11および第2の被接合部材12は、上記本発明の接合構造体におけるものと同じであり、水素含有ガスは、上記本発明の金属接合用ペーストで説明したものと同じであるため、説明を省略する。
<複合体形成工程>
複合体形成工程では、第1の被接合部材11の表面に、上記本発明の金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材12をこの順になるように配置して、第1の被接合部材11、金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材12の複合体を形成する。
例えば、第1の被接合部材11の表面に上記本発明の金属接合用ペーストを塗布することで、第1の被接合部材11の表面に金属接合用ペーストの塗布膜を形成した後、この塗布膜上に第2の被接合部材12を配置する。これにより、第1の被接合部材11、金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材12の複合体が形成される。
複合体形成工程では、第1の被接合部材11の表面に、上記本発明の金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材12をこの順になるように配置して、第1の被接合部材11、金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材12の複合体を形成する。
例えば、第1の被接合部材11の表面に上記本発明の金属接合用ペーストを塗布することで、第1の被接合部材11の表面に金属接合用ペーストの塗布膜を形成した後、この塗布膜上に第2の被接合部材12を配置する。これにより、第1の被接合部材11、金属接合用ペーストおよび第2の被接合部材12の複合体が形成される。
金属接合用ペーストの塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。塗布方法としては、例えば、スキージ法、スクリーン印刷、マスク印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷、スプレーコート、バーコート、ナイフコート、スピンコート、アプリケータ、ブレードコート、ロールコート等の各種方法が挙げられる。
複合体形成工程は、有機溶剤(A)の水素化分解温度未満の温度、例えば室温(例えば10〜30℃)で行う。また、複合体形成工程の雰囲気は特に限定されず、例えば、水素を実質的に含有しないガス中でも、水素を含有するガス中でもよい。水素を実質的に含有しないガスとは、水素濃度が1体積%以下のガスである。水素を実質的に含有しないガスとしては、空気や、窒素等の不活性ガスが挙げられる。
複合体形成工程では、第1の被接合部材11の表面に金属接合用ペーストの塗布膜を形成した後、塗布膜上に第2の被接合部材12を配置する前に、有機溶剤(A)の水素化分解温度未満の温度、例えば50℃〜120℃程度の低温で加熱する予備加熱を行うことにより、金属接合用ペースト中の有機溶剤(A)の一部を除去してもよい。ただし、塗布膜は、その表面が半導体素子が移動しない程度の接着性(タック性)を有するようにするために、予備加熱は行わないことが好ましい。
<溶剤分解除去工程>
溶剤分解除去工程では、水素含有ガス中にて、複合体を、有機溶剤(A)が水素化分解特性を示す温度である有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、複合体を構成する金属接合用ペースト中に存在する有機溶剤(A)を分解除去する。
例えば、複合体形成工程で形成された複合体を、加熱機能を有する装置に搬送して、該装置内で水素含有ガス中にて有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱する。
この搬送時に、塗布膜中の有機溶剤(A)を十分に存在させることにより、タック性に優れる塗布膜を維持できる。これにより、搬送時に、第1の被接合部材11に対する第2の被接合部材12の位置が移動することが抑制される。また、塗布膜を形成後、溶剤分解除去工程の前に、複合体に衝撃が与えられて第1の被接合部材11に対する第2の被接合部材12の位置が移動することもあり得るが、タック性に優れる塗布膜を維持することにより、第1の被接合部材11に対する第2の被接合部材12の位置が移動することが抑制される。
溶剤分解除去工程では、水素含有ガス中にて、複合体を、有機溶剤(A)が水素化分解特性を示す温度である有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、複合体を構成する金属接合用ペースト中に存在する有機溶剤(A)を分解除去する。
例えば、複合体形成工程で形成された複合体を、加熱機能を有する装置に搬送して、該装置内で水素含有ガス中にて有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱する。
この搬送時に、塗布膜中の有機溶剤(A)を十分に存在させることにより、タック性に優れる塗布膜を維持できる。これにより、搬送時に、第1の被接合部材11に対する第2の被接合部材12の位置が移動することが抑制される。また、塗布膜を形成後、溶剤分解除去工程の前に、複合体に衝撃が与えられて第1の被接合部材11に対する第2の被接合部材12の位置が移動することもあり得るが、タック性に優れる塗布膜を維持することにより、第1の被接合部材11に対する第2の被接合部材12の位置が移動することが抑制される。
そして、水素含有ガス中で有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱することにより、塗布膜中の有機溶剤(A)を分解して除去することができる。有機溶剤(A)が分解すると沸点が下がるため、除去しやすくなる。
<焼結工程>
焼結工程では、水素含有ガス中にて、複合体を加熱して、金属接合用ペーストから焼結体を形成する。これにより、所望の位置に第2の被接合部材が設けられた、第1の被接合部材11と、第2の被接合部材12と、接合部材13とを有する接合構造体1が得られる。
また、溶剤除去工程において、有機溶剤(A)が除去されるため、焼結工程後は有機溶剤に由来する炭素の残留が抑制され、炭素による半導体特性への悪影響が抑制される。また、有機溶剤(A)が除去されることにより、水素が塗布膜中に侵入しやすく、焼結工程において、金属粒子(P)の酸化被膜の水素による還元も良好に行うことができ、酸化被膜による接合性の低下や、半導体特性への悪影響も抑制される。
よって、所望の位置に半導体素子が搭載され、酸化被膜や炭素の残留が抑制されるため、極めて信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
焼結工程では、水素含有ガス中にて、複合体を加熱して、金属接合用ペーストから焼結体を形成する。これにより、所望の位置に第2の被接合部材が設けられた、第1の被接合部材11と、第2の被接合部材12と、接合部材13とを有する接合構造体1が得られる。
また、溶剤除去工程において、有機溶剤(A)が除去されるため、焼結工程後は有機溶剤に由来する炭素の残留が抑制され、炭素による半導体特性への悪影響が抑制される。また、有機溶剤(A)が除去されることにより、水素が塗布膜中に侵入しやすく、焼結工程において、金属粒子(P)の酸化被膜の水素による還元も良好に行うことができ、酸化被膜による接合性の低下や、半導体特性への悪影響も抑制される。
よって、所望の位置に半導体素子が搭載され、酸化被膜や炭素の残留が抑制されるため、極めて信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
焼結工程は、無加圧および所定圧力での加圧下のいずれでもよい。焼結条件として、例えば、加圧下で加熱する場合、ヒーターを内蔵した熱プレス機等を用いて、第1の被接合部材11と第2の被接合部材12の全体を均一な圧力バランスで挟持してから、脱気(減圧)処理し、190〜400℃の加熱温度(焼結温度)で1〜120分間程度保持することが挙げられる。
なお、焼結工程は、溶剤分解除去工程を兼ねて行うか、または溶剤分解除去工程の後に行うことが好ましい。焼結工程が、溶剤分解除去工程も兼ねることにより、工程の簡略化が図れる。また、溶剤分解除去工程の後に焼結工程を行うことにより、水素の内部への侵入がより容易になり酸化被膜の還元や焼結がより良好に行われる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)有機溶剤
有機溶剤として以下のものを用いた。
グリセリン(関東化学株式会社製、沸点:298℃、HLB値:11.275、比誘電率:47)
エチレングリコール(関東化学株式会社製、沸点:197℃、HLB値:9.85、比誘電率:38.7)
3−フェノキシトルエン(関東化学株式会社製、沸点:272℃、HLB値:3.55、比誘電率:30未満)
ジフェニルエーテル(関東化学株式会社製、沸点:257℃、比誘電率:2.5)
トルエン(関東化学株式会社製、沸点:110℃、HLB値:4.15、比誘電率:2.3)
トリデカン(関東化学株式会社製、沸点:235℃、HLB値:0.825、比誘電率:30以上)
上記有機溶剤について、上記(1)〜(4)により水素化分解温度を求め、求めた水素化分解温度が有機溶剤の沸点未満の温度である場合は、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤と判断し、分解しなかった場合、または、水素化分解温度が有機溶剤の沸点以上の場合は、水素含有ガス中にて有機溶媒の沸点未満の温度で水素化分解特性を示さない有機溶剤と判断した。
この結果、上記有機溶剤のうち、グリセリン、エチレングリコール、3−フェノキシトルエン、ジフェニルエーテルは、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)であり、トルエン、トリデカンは、水素含有ガス中にて有機溶媒の沸点未満の温度で水素化分解特性を示さない有機溶剤であった。
有機溶剤として以下のものを用いた。
グリセリン(関東化学株式会社製、沸点:298℃、HLB値:11.275、比誘電率:47)
エチレングリコール(関東化学株式会社製、沸点:197℃、HLB値:9.85、比誘電率:38.7)
3−フェノキシトルエン(関東化学株式会社製、沸点:272℃、HLB値:3.55、比誘電率:30未満)
ジフェニルエーテル(関東化学株式会社製、沸点:257℃、比誘電率:2.5)
トルエン(関東化学株式会社製、沸点:110℃、HLB値:4.15、比誘電率:2.3)
トリデカン(関東化学株式会社製、沸点:235℃、HLB値:0.825、比誘電率:30以上)
上記有機溶剤について、上記(1)〜(4)により水素化分解温度を求め、求めた水素化分解温度が有機溶剤の沸点未満の温度である場合は、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤と判断し、分解しなかった場合、または、水素化分解温度が有機溶剤の沸点以上の場合は、水素含有ガス中にて有機溶媒の沸点未満の温度で水素化分解特性を示さない有機溶剤と判断した。
この結果、上記有機溶剤のうち、グリセリン、エチレングリコール、3−フェノキシトルエン、ジフェニルエーテルは、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)であり、トルエン、トリデカンは、水素含有ガス中にて有機溶媒の沸点未満の温度で水素化分解特性を示さない有機溶剤であった。
(2)金属粒子(P)の平均一次粒径
走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジー株式会社製、SU8020)を用いて、加速電圧3kV、倍率20万倍の条件下で観察し、測定対象となる金属粒子(P)のSEM画像を取得した。取得したSEM画像の中から、任意に20個の金属微粒子(P1)を選定し、選定した金属粒子(P)の一次粒子の最長となる直径をそれぞれ測定し、各測定値の平均を算出して平均一次粒子径を求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジー株式会社製、SU8020)を用いて、加速電圧3kV、倍率20万倍の条件下で観察し、測定対象となる金属粒子(P)のSEM画像を取得した。取得したSEM画像の中から、任意に20個の金属微粒子(P1)を選定し、選定した金属粒子(P)の一次粒子の最長となる直径をそれぞれ測定し、各測定値の平均を算出して平均一次粒子径を求めた。
(3)金属粒子(P)のd50
レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2300)で測定した。
レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2300)で測定した。
(4)塗布膜のタック性
得られた接合構造体を逆さにしてチップが下側になるようにした時、チップが落ちなかった場合はタック性有り、チップが落ちた、または明確に動いた場合はタック性無し、と評価した。
得られた接合構造体を逆さにしてチップが下側になるようにした時、チップが落ちなかった場合はタック性有り、チップが落ちた、または明確に動いた場合はタック性無し、と評価した。
(5)接合構造体の接合性
接合構造体(半導体装置)を構成する、第1の被接合部材11と、第2の被接合部材との間に形成された接合部材(焼結体)に対して、ダイシェア強度測定装置(デイジ・ジャパン株式会社製、製品名:万能型ボンドテスター、シリーズ4000)を用い、米国MIL−STD−883に準拠し、25℃の条件下で接合強度(ダイシェア強度)を測定した。
接合強度が40MPa以上であった場合をA、30MPa以上40MPa未満であった場合をB、20MPa以上30MPa未満であった場合をC、20MPa未満であった場合をDと評価した。
接合構造体(半導体装置)を構成する、第1の被接合部材11と、第2の被接合部材との間に形成された接合部材(焼結体)に対して、ダイシェア強度測定装置(デイジ・ジャパン株式会社製、製品名:万能型ボンドテスター、シリーズ4000)を用い、米国MIL−STD−883に準拠し、25℃の条件下で接合強度(ダイシェア強度)を測定した。
接合強度が40MPa以上であった場合をA、30MPa以上40MPa未満であった場合をB、20MPa以上30MPa未満であった場合をC、20MPa未満であった場合をDと評価した。
(6)接合部材(焼結体)の炭素含有量
FIB(収束イオンビーム)加工を行って、接合部材の縦断面を形成した。形成された縦断面の観察にて、接合部材の中心部について、EPMA装置(株式会社島津製作所製、EPMA−1610)を用いて、元素分析し、炭素含有量を測定した。炭素含有量が2.0質量%以下であると、有機溶剤が十分除去できていると言える。
FIB(収束イオンビーム)加工を行って、接合部材の縦断面を形成した。形成された縦断面の観察にて、接合部材の中心部について、EPMA装置(株式会社島津製作所製、EPMA−1610)を用いて、元素分析し、炭素含有量を測定した。炭素含有量が2.0質量%以下であると、有機溶剤が十分除去できていると言える。
〔実施例1〜27および比較例1〜6〕
(第2の被接合部材であるチップの準備)
シリコンチップとして、厚さ230μm、直径15cmの(001)方位のシリコン基板を用意した。シリコン基板の一方の面は研磨仕上げ、他方の面はエッチング仕上げとした。SiCチップとして、4H−SiCの(0001)方位のSi面の基板(厚さ230μm)を用意した。SiC基板の一方の面を鏡面仕上げ、他方の面をエッチング仕上げとした。なお、SiCチップの鏡面仕上げした面側をSi面とした。
(第2の被接合部材であるチップの準備)
シリコンチップとして、厚さ230μm、直径15cmの(001)方位のシリコン基板を用意した。シリコン基板の一方の面は研磨仕上げ、他方の面はエッチング仕上げとした。SiCチップとして、4H−SiCの(0001)方位のSi面の基板(厚さ230μm)を用意した。SiC基板の一方の面を鏡面仕上げ、他方の面をエッチング仕上げとした。なお、SiCチップの鏡面仕上げした面側をSi面とした。
希フッ酸処理により基板表面の酸化膜を取り除いた後、直ちに、基板を真空蒸着装置に収容した。該装置にて、シリコン基板の研磨仕上げ面、SiC基板の鏡面仕上げ面に、それぞれ、Ti/Ni/Auを蒸着して成膜した。その後、蒸着面にダイシングテープを貼り、10mm角にダイシングしてチップ化した。次に、窒素雰囲気下で、ダイシングテープにUV光を照射した。UV光の照射により、ダイシングテープの接着力が無くなり、チップをピックアップできるようにして、チップ(第2の被接合部材)を得た。
(金属接合用ペーストの調製)
表1に記載された金属粒子75gと有機溶剤25gとを、容器に入れ、遠心混錬機(株式会社シンキー製、製品名:ARE−250)に投入して、2000rpm×3分間の条件にて、混錬を4回繰り返し行い、有機溶剤に金属粒子が分散した金属接合用ペースト1〜21を得た。なお、表1において、「銅」は銅含有量100質量%の純銅からなる粒子を、「ニッケル」はニッケル含有量100質量%の純ニッケルからなる粒子を表す。
表1に記載された金属粒子75gと有機溶剤25gとを、容器に入れ、遠心混錬機(株式会社シンキー製、製品名:ARE−250)に投入して、2000rpm×3分間の条件にて、混錬を4回繰り返し行い、有機溶剤に金属粒子が分散した金属接合用ペースト1〜21を得た。なお、表1において、「銅」は銅含有量100質量%の純銅からなる粒子を、「ニッケル」はニッケル含有量100質量%の純ニッケルからなる粒子を表す。
<接合構造体の製造>
第1の被接合部材として銅基板(13mm角、1mm厚のCl020材、調質1/2H材)を用意した。
空気中にて、上記銅基板の一面に、ステンレス製のメタルマスク(8mm角の角開口部を有する200mm角のメタルマスク、100μm厚)を載せ、表1に示す金属接合用ペーストを、スキージ法にて塗布し、塗布膜を形成した。なお、予備加熱は行なわなかった。
第1の被接合部材として銅基板(13mm角、1mm厚のCl020材、調質1/2H材)を用意した。
空気中にて、上記銅基板の一面に、ステンレス製のメタルマスク(8mm角の角開口部を有する200mm角のメタルマスク、100μm厚)を載せ、表1に示す金属接合用ペーストを、スキージ法にて塗布し、塗布膜を形成した。なお、予備加熱は行なわなかった。
次に、銅基板に形成された金属接合用ペーストの塗布膜の表面上に、第2の被接合部材としてのチップ(10mm角、230μm厚、裏面電極の構造はTi/Ni/Au=100nm/450nm/200nm)を、塗布膜に電極が接触するように配置した(複合体形成工程)。
次いで、ヒーターを有するプレス装置に、チップを配置した銅基板をセットした。その後、プレス装置内を真空引きし、表2に示す水素濃度になるように、水素ガスで置換した。
その後、チップを配置した銅基板全体に対し均一な圧力バランスにて10MPaの圧力をかけた。
次いで、昇温速度10℃/分にて300℃まで加熱していき、300℃で20分間保持した。これにより、金属粒子が焼結して、金属多孔質体である焼結体(接合部材)を介して銅基板にチップが接合された接合構造体を得た。その後、降温速度10℃/分にて100℃まで冷却した後、自然放冷で冷却した。
なお、比較例1、3については、上記水素ガスでの置換はせず、空気中のままで以降の操作を行った。
次いで、昇温速度10℃/分にて300℃まで加熱していき、300℃で20分間保持した。これにより、金属粒子が焼結して、金属多孔質体である焼結体(接合部材)を介して銅基板にチップが接合された接合構造体を得た。その後、降温速度10℃/分にて100℃まで冷却した後、自然放冷で冷却した。
なお、比較例1、3については、上記水素ガスでの置換はせず、空気中のままで以降の操作を行った。
<評価>
上記方法により、塗布膜のタック性、接合構造体の接合性、接合部材(焼結体)の炭素含有量を評価した。結果を表2に示す。
上記方法により、塗布膜のタック性、接合構造体の接合性、接合部材(焼結体)の炭素含有量を評価した。結果を表2に示す。
表2に示すように、平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて沸点未満の温度で水素化分解特性を有する有機溶剤(A)とを含む金属接合用ペーストを用い、水素含有ガス中で加熱した実施例1〜27は、溶媒が分解除去されると共に金属粒子が焼結して、有機溶剤に由来する炭素の残留が抑制された接合部材を形成でき、また、該接合部材で接合された接合構造体は接合性に優れていた。また、金属接合用ペーストで形成された塗布膜は、有機溶剤を十分に有するため、塗布膜のタック性に優れており、形成されたチップを配置した銅基板(複合体)をプレス装置に配置する際に、塗布膜上からチップが移動していなかった。
一方、金属粒子の平均一次粒子径が500nm越えである比較例2や、水素を含有しないガス中で行った比較例1、3、4、水素化分解特性を有さない有機溶剤を用いた比較例5は、接合性が悪かった。また、水素を含有しないガス中で行った比較例1、3、4は、接合部材(焼結体)の炭素含有量が高く2.0質量%越えであった。
一方、金属粒子の平均一次粒子径が500nm越えである比較例2や、水素を含有しないガス中で行った比較例1、3、4、水素化分解特性を有さない有機溶剤を用いた比較例5は、接合性が悪かった。また、水素を含有しないガス中で行った比較例1、3、4は、接合部材(焼結体)の炭素含有量が高く2.0質量%越えであった。
1 接合構造体
11 第1の被接合部材
12 第2の被接合部材
13 接合部材
11 第1の被接合部材
12 第2の被接合部材
13 接合部材
Claims (12)
- 平均一次粒子径が10nm以上500nm以下の金属粒子(P)と、水素含有ガス中にて、沸点未満の温度で水素化分解特性を示す有機溶剤(A)とを含む金属接合用ペースト。
- 前記有機溶剤(A)は、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30以上もしくはHLB値が1.0以上である、請求項1に記載の金属接合用ペースト。
- 前記有機溶剤(A)が、多価アルコールである、請求項2に記載の金属接合用ペースト。
- 前記有機溶剤(A)が、グリセリンおよびエチレングリコールの少なくとも一方である、請求項3に記載の金属接合用ペースト。
- 前記有機溶剤(A)は、沸点が190℃以上であり、かつ、比誘電率が30未満もしくはHLB値が1.0以上である、請求項1に記載の金属接合用ペースト。
- 前記有機溶剤(A)がジフェニルエーテルである、請求項6に記載の金属接合用ペースト。
- 前記金属粒子(P)が、銅もしくは銅基合金またはニッケルもしくはニッケル基合金からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属接合用ペースト。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の前記金属接合用ペーストから形成してなる焼結体であって、炭素含有率が2.0質量%以下である接合部材。
- 第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体であって、
前記第1の被接合部材および前記第2の被接合部材は、少なくとも前記接合部材に接合されるそれぞれの表面部分が、金属材料からなり、
前記接合部材は、請求項9に記載の接合部材である接合構造体。 - 第1の被接合部材と、第2の被接合部材と、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材の間に位置し、前記第1の被接合部材および第2の被接合部材を接合する接合部材と、を備える接合構造体の製造方法であって、
前記第1の被接合部材の表面に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のペーストおよび前記第2の被接合部材をこの順になるように配置して、前記第1の被接合部材、前記ペーストおよび前記第2の被接合部材の複合体を形成する複合体形成工程と、
水素含有ガス中にて、前記複合体を、前記有機溶剤(A)が前記水素化分解特性を示す温度である前記有機溶剤(A)の水素化分解温度以上の温度に加熱して、前記複合体を構成する前記ペースト中に存在する前記有機溶剤(A)を分解除去する溶剤分解除去工程と、
水素含有ガス中にて、前記複合体を加熱して、前記ペーストから焼結体を形成する焼結工程と、
を含む、接合構造体の製造方法。 - 前記焼結工程は、前記溶剤分解除去工程を兼ねて行うか、または前記溶剤分解除去工程の後に行う、請求項11に記載の接合構造体の製造方法。
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JP2019160956A JP2021038440A (ja) | 2019-09-04 | 2019-09-04 | 金属接合用ペースト、接合部材、接合構造体および接合構造体の製造方法 |
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