JP2021036277A - 光学装置及び撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型でかつ良好な操作性を備えた操作環を有する光学装置及びそれを用いた撮像装置を提供する。【解決手段】光学素子を有する光学系と、回転することで光学素子を移動させるズーム操作環35と、ズーム操作環35を回転可能に支持する後側固定筒21と、付勢ゴム39とを有し、ズーム操作環35には、付勢ゴム39が通過することが可能な通過孔35cが設けられ、後側固定筒21は、ズーム操作環35を支持する固定筒前係合径部21a及び固定筒後係合径部21bと、付勢ゴム39を保持するゴム収納部21cとを備え、通過孔35cは、光学系の光軸方向における固定筒前係合径部21a及び固定筒後係合径部21bの間に位置する。【選択図】図4

Description

本発明は、操作環により光学素子の位置を調節することができる位置調節機構を備えた光学装置及びそれを用いた撮像装置に関する。
撮影者が手動で回転させることでピント位置や倍率、更にはFナンバー等の撮影条件を変更可能な、いわゆる操作環(操作部材)が搭載された光学装置(交換レンズ)やそれを用いた撮像装置が一般に知られている。そして、この操作環には単に撮影条件を変更するだけでなく、撮影者の所望の条件に的確に、迅速に回転停止できる機能性と、撮影者が気持ちよく回転操作できる快適性を両立した高品位な操作性が求められる。このようなニーズに応えるため、交換レンズの操作環には、その回転軸ガタや光軸方向ガタを感じにくくするガタ取り機構が搭載されている。
特許文献1では、操作環とそれを回転可能に支持する固定筒との間にゴム部材を配置し、操作環のガタを抑える構成が開示されている。また特許文献2では、操作部材の内径と嵌合するベース部材を樹脂で成型することについて開示されている。特許文献2では、成型の際に生じるパーティングライン(PL)と呼ばれる段差やバリによって操作部材の操作性が低下しないように、スラストワッシャを用いて操作部材の定位置回転用コロがPLに当接しないようにしている。
特開2009−169232号公報 特開2018−13664号公報
しかしながら、特許文献1の構成においては、操作環の組込みの際に操作環の内面にある凹凸部にゴム部材が擦れてしまい、ゴム部材の表面に傷がついて操作環の操作性が低下するおそれがある。また、特許文献2のように、スラストワッシャを用いる場合、光学装置が大型化及び重量化してしまうおそれがある。
本発明の目的は、小型でかつ良好な操作性を備えた操作環を有する光学装置及びそれを用いた撮像装置を提供することである。
上記目的を達成するために、光学装置は、光学素子を有する光学系と、回転することで前記光学素子を移動させる操作環と、前記操作環を回転可能に支持する固定筒と、弾性部材とを有し、前記操作環には、前記弾性部材が通過することが可能な通過部が設けられ、前記固定筒は、前記操作環を支持する第1及び第2の係合部と、前記弾性部材を保持する保持部とを備え、前記通過部は、前記光学系の光軸方向における前記第1及び第2の係合部の間に位置することを特徴とする。
小型でかつ良好な操作性を備えた操作環を有する光学装置及びそれを用いた撮像装置を提供することができる。
実施例1に係る交換レンズ50の全長が縮んだ状態(TELE)の断面図である。 実施例1に係る交換レンズ50の全長が伸長した状態(WIDE)の断面図である。 実施例1の交換レンズ50とカメラ本体70のシステムブロック図である。 実施例1のズーム操作環35に係る部材の分解斜視図である。 実施例1のズーム操作環35が組込まれた状態の要部断面図である。 実施例1のズーム操作環35の組込み時における要部断面図である。 実施例1の後側固定筒21の外周面の模式展開図である。 (A)実施例2のズーム操作環35の組込み時における要部断面図である。(B)実施例2における後側固定筒21の外周面の模式展開図である。
(実施例1)
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面の一点鎖線で示される光軸方向において、光学素子であるレンズを備えた光学系を有する交換レンズ50(光学装置)の物体側を前側、カメラ本体70にバヨネット固定される固定側を後側と定義する。図1、2を参照して、本発明の実施例1に係る交換レンズ50について説明する。
図1は、実施例1に係る交換レンズ50の全長が縮んだTELEの状態である交換レンズ50の断面図である。図2は、実施例1に係る交換レンズ50の全長が伸長したWIDEの状態である交換レンズ50の断面図である。光学部材である1群レンズ1は、1群鏡筒2により保持される。1群鏡筒2は、1群調整環3により保持され、1群調整環3は光学調整のために1群鏡筒2を光軸方向と光軸方向に垂直な方向における面上で移動させる。1群鏡筒2と1群調整環3は、1群ベース4により保持される。
直進筒5には、物体側に不図示のフィルタを取り付けるねじ部が形成されている。直進筒5と1群レンズ1は、一体となってズーム作動に伴って進退するが、実施例1ではこれらは互いに不図示の別の支持構造によって支持されて移動する。化粧環6には、交換レンズ50のスペック等が印刷されており、化粧環6は、直進筒5にビス固定されると共に外観を成している。
2群レンズ7(フォーカスレンズ)は、2群鏡筒8により保持されており、駆動機構(超音波モータユニット30)及び不図示の直進案内機構によって2群鏡筒8が光軸方向に沿って進退可能に支持されると共に移動され、合焦動作が行われる。この直進案内機構はいわゆるガイドバーと呼ばれる光軸方向に伸びた円筒部材を2本使用しており、2本の内の一方が2群鏡筒8の倒れ/偏芯を決め、他方が光軸を中心とした回転位置を決める。そして、2群鏡筒8がガイドバーに沿って進退できるように支持されている。
3群レンズ9は、3群鏡筒10により保持されている。4群レンズ11は4群鏡筒12により保持されており、4群鏡筒12は、光軸方向に対して垂直な面上で4群レンズ11を移動させることで、いわゆる手ブレを補正する光学防振機能を果たす。この光学防振機能を生じさせるためのアクチュエータは、いわゆるボイスコイルモータであるが、その構成の詳細説明は割愛する。
5群レンズ13は、5群鏡筒14により保持され、6群レンズ15は、6群鏡筒16により保持されている。そして、5群鏡筒14は、6群鏡筒16に不図示のビスで固定されている。以上で述べた各レンズ群は、それぞれが一つのレンズとして構成されるわけではなく、複数のレンズ群によって構成される場合もあるが、説明の便宜上、その詳細を割愛する。
光量調節を行う絞りユニット17は、4群鏡筒12に固定されており、複数の遮光羽根を有する。そして、不図示のステッピングモータを駆動源として絞りユニット17の複数の遮光羽根が駆動され、所望のF値にすることが可能である。前述の3群鏡筒10は、4群鏡筒12に一体固定された絞りユニット17と4群鏡筒12に挟まれているが、光軸方向への移動は可能である。
所定のフレア光をカットする副絞りユニット18は、4群鏡筒12に支持されており、絞りユニット17と同様に複数の遮光羽根を内部に有する。そして、不図示のメカ連結機構によって副絞りユニット18の複数の遮光羽根が駆動され、TELE〜WIDEのズーム位置に対応する開口形状に複数の遮光羽根を変化させることが可能である。
案内筒19が備えられ、この案内筒19の外周側に回転可能に係合するカム環20が更に備えられている。そして、物体側に前側固定筒22、カメラ本体70側に後側固定筒21が備えられ、前側固定筒22は、後側固定筒21の前側にビスで固定されている。更に後側固定筒21には、案内筒19、外観筒24、マウント25、レンズの駆動用IC、マイコン等が配置されたプリント基板23が固定されている。
後側固定筒21にビス固定された外観筒24の外周面には、MF⇔AF切り替えやISモード切り替えをすることができる不図示のスイッチが配置されている。また、後側固定筒21にビス固定されたマウント25には、裏蓋27が固定されており、その内面には有害光をカットする遮光線が配置されている。マウント筒26は、後側固定筒21とマウント25の間に挟まれて固定されており、裏蓋27と同様、その内面には遮光線が配置されている。実施例1の交換レンズ50においては、マウント筒26の光軸方向の厚みを加工等によって変化させることで、交換レンズ50からの光を受光する撮像部78(撮像素子)への合焦位置が調節可能である。接点ブロック28は、不図示の配線(フレキシブル基板など)によってプリント基板23に接続され、マウント25にビス固定される。
フォーカス操作環29は、前側固定筒22を軸として定位置に回転可能に支持されている。フォーカス操作環29を回転させると、その回転を不図示のセンサが検出し、回転量に応じて2群鏡筒8を駆動し、2群レンズ7の合焦制御が行われる。
超音波モータユニット30は、2群鏡筒8の駆動源であり、圧電素子が発生する超音波振動によって自ら移動することができる。2群鏡筒8と超音波モータユニット30は、不図示の連結機構で係合されており、2群鏡筒8は、超音波モータユニット30と共に移動可能である。2群鏡筒8に取り付けられた不図示の遮光壁は、不図示のフォトインタラプタの遮光/透光を切り替え、この遮光/透光が電気的に検出され、この検出の値に基づいて2群鏡筒8の進退の位置(基準位置)が把握される。この基準位置から2群鏡筒8を所定量移動させることで、所望の合焦位置への移動が可能となる。
2群レンズ7の第1のベース31は、前述の直進案内機構を構成するガイドバーの一端を保持する。2群レンズ7の第2のベース32は前述のガイドバーの他端、超音波モータユニット30及びフォトインタラプタを保持する。すなわち、ガイドバーは、第1のベース31と第2のベース32に挟まれて所定の位置に固定されている。
ファンクション操作環33は、前側固定筒22を軸として定位置で回転可能に支持されている。フロントカバー34は、ファンクション操作環33が組込まれた後、その押えとして前側固定筒22にビス固定されている。ファンクション操作環33は、フォーカス操作環29と同様に不図示のセンサでその回転量が検出される。実施例1では、この検出された値によって絞りユニット17を制御し、任意のF値に変更することができる。なお、ISO感度やシャッタースピード等、F値とは異なる撮影条件の変更をファンクション操作環33に割り当てることも可能である。
ズーム操作環35(操作環)は、後側固定筒21に回転自在に支持される。スラスト付勢部材であるウェーブワッシャ36は、ズーム操作環35と後側固定筒21との間に挟持されることにより、ズーム操作環35を光軸方向へ付勢する、スラスト付勢構造を構成している。PLカバーワッシャ37は、ウェーブワッシャ36とズーム操作環35側の面との間に配置されている。
ズーム操作環35は、金型により樹脂材料で構成されるため、ズーム操作環35の内周面には、金型成型におけるパーティングライン(以降PLと称す。)が存在する。そのPLで発生する微小な段差やバリがウェーブワッシャ36と接触しないようにPLカバーワッシャ37が配置されている。カム環20とズーム操作環35は後述するズームキー38によって連結され、ユーザーがズーム操作環35を回転させると、カム環20が回転する構成となっている。ズーム操作環35は後側固定筒21に対して後述する不図示のバヨネット係合によって光軸方向の位置(スラスト位置)が決められている。
次に、各レンズ群の位置調節機構(ズーム動作)について説明する。1群鏡筒2と1群調整環3を保持する1群ベース4、3群鏡筒10、2群鏡筒8や超音波モータユニット30を保持する2群レンズ7の第2のベース32には、不図示のコロが各々配置されており、これらのコロがカム環20に係合する。
4群鏡筒12には、前述のとおり光学防振機能を発揮するためのアクチュエータ及び副絞りユニット18が搭載されているが、更に3群鏡筒10より前側に配置された絞りユニット17も搭載されている。そして、4群鏡筒12、5群鏡筒14を保持する6群鏡筒16には、不図示のコロが各々配置されており、これらのコロがカム環20に係合する。
これらのコロは、それぞれ異なる軌跡を有するカム環20に設けられた不図示のカム溝と係合している。そして、カム溝は、所望のズーム位置において各レンズ群が光学的に所望のレンズ間隔となるような軌跡となっている。カム環20の光軸周りの回転に伴い、1群ベース4、3群鏡筒10、4群鏡筒12、6群鏡筒16及び第2のベース32を図1に示す縮んだTELEの位置から図2に示す伸長したWIDEの位置、更にその間の任意のズーム位置に配置することができる。
カム環20の回転は、不図示のセンサによって検出され、プリント基板23に搭載されたICによってその検出された信号から回転量に応じたズーム位置が判断され、そのズーム位置に応じたフォーカス、防振、絞りの制御が行われる。
実施例1の交換レンズ50は、撮像装置であるカメラ本体70にマウント25で着脱可能にバヨネット固定される。カメラ本体70に交換レンズ50がマウント25で固定されると、各レンズ群の動作を制御するプリント基板23は、接点ブロック28を介してカメラ本体70と通信が可能となる。
撮像部78は、カメラ本体70に搭載されており、交換レンズ50を通過した被写体からの光を受光し、その光を電気信号に変換するCMOSやCCD等の光−電気変換素子(撮像素子)である。
図3は、交換レンズ50及びカメラ本体70におけるカメラシステムの電気的構成を示す。まず、カメラ本体70内部の制御フローについて説明する。カメラCPU71はマイクロコンピュータにより構成される。カメラCPU71は、カメラ本体70内の各部の動作を制御する。また、カメラCPU71は、交換レンズ50の装着時にはレンズ側電気接点52、カメラ側電気接点72を介して、交換レンズ50内に設けられたレンズCPU51との通信を行う。カメラCPU71がレンズCPU51に送信する情報(信号)には、2群レンズ7の駆動量情報、平行振れ情報及びピント振れ情報が含まれる。また、レンズCPU51からカメラCPU71に送信する情報(信号)には、撮像倍率情報が含まれる。なお、レンズ側電気接点52、カメラ側電気接点72には、カメラ本体70から交換レンズ50に電源を供給するための接点が含まれている。
電源スイッチ73は、撮影者により操作可能なスイッチであり、カメラCPU71の起動、及びカメラシステム内の各アクチュエータやセンサ等への電源供給の開始をすることができる。レリーズスイッチ74は、撮影者により操作可能なスイッチであり、第1ストロークスイッチSW1と第2ストロークスイッチSW2とを有する。レリーズスイッチ74からの信号は、カメラCPU71に入力される。カメラCPU71は、第1ストロークスイッチSW1からのON信号の入力に応じて、撮影準備状態に入る。撮影準備状態では、測光部75による被写体輝度の測定と、焦点検出部76による焦点検出が行われる。
カメラCPU71は、測光部75による測光結果に基づいて絞りユニット17の絞り値や撮像部78の撮像素子の露光量(シャッタ秒時)等を演算する。また、カメラCPU71は、焦点検出部76による撮影光学系の焦点状態の検出結果である焦点情報(デフォーカス量及びデフォーカス方向)に基づいて、被写体に対する合焦状態を得るための2群レンズ7及び2群鏡筒8の駆動量(駆動方向を含む)を決定する。上記駆動量の情報(2群レンズ7の駆動量情報)は、レンズCPU51に送信される。レンズCPU51は、交換レンズ50の各構成部の動作を制御する。
更にカメラCPU71は、所定の撮影モードになると、2群鏡筒8のシフト駆動、すなわち防振動作の制御を開始する。第2ストロークスイッチSW2からのON信号が入力されると、カメラCPU71は、レンズCPU51に対して絞り駆動命令を送信し、絞りユニット17を先に演算した絞り値に設定する。また、カメラCPU71は、露光部77に露光開始命令を送信し、不図示のミラーの退避動作や不図示のシャッタの開放動作を行わせ、撮像部78の撮像素子において、被写体像の光電変換、すなわち露光動作を行わせる。
撮像部78からの撮像信号は、カメラCPU71内の信号処理部にてデジタル変換され、更に各種補正処理が施されて画像信号として出力される。画像信号(データ)は、画像記録部79において、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体に記録保存される。
次に交換レンズ50内部の制御フローについて説明する。MFリング回転検出部53は、フォーカス操作環29の回転を検出し、ZOOMリング回転検出部54は、ズーム操作環35の回転を検出する。
IS駆動部55は、防振動作を行う2群鏡筒8の駆動アクチュエータとその駆動回路とを含む。AF駆動部56は、カメラCPU71から送信された2群レンズ7の駆動量情報に応じてAFモータ(超音波モータユニット30)を通じて2群鏡筒8のAF駆動を行う。
電磁絞り駆動部57は、カメラCPU71からの絞り駆動命令を受けたレンズCPU51により制御されて、絞りユニット17を指定された絞り値に相当する開口状態に動作させる。
角速度センサ58は、交換レンズ50に搭載され、プリント基板23に接続されている。角速度センサ58は、カメラシステムの角度振れである縦(ピッチ方向)振れと横(ヨー方向)振れのそれぞれの角速度を検出し、検出値を角速度信号としてレンズCPU51に出力する。レンズCPU51は、角速度センサ58からのピッチ方向及びヨー方向の角速度信号を電気的又は機械的に積分して、それぞれの方向での変位量であるピッチ方向振れ量及びヨー方向振れ量(これらをまとめて角度振れ量という。)を演算する。
レンズCPU51は、上述した角度振れ量と平行振れ量の合成変位量に基づいてIS駆動部55を制御して2群鏡筒8をシフト駆動させ、角度振れ補正及び平行振れ補正を行う。また、レンズCPU51は、ピント振れ量に基づいてAF駆動部56を制御して2群鏡筒8を光軸方向に駆動させ、ピント振れ補正を行う。
次に、実施例1の交換レンズ50におけるズーム操作環35の支持構成について図4、図5を用いて説明する。図4は、実施例1のズーム操作環35に係る部材の分解斜視図である。図5は、ズーム操作環35が組込まれた状態のズーム操作環35と後側固定筒21の要部断面図である。
後側固定筒21に設けられた固定筒前嵌合径部21a(第1の係合部)は、ズーム操作環35に備えられた操作環前嵌合径部35a(第3の係合部)と嵌合することによりズーム操作環35を支持する。そして、ズーム操作時には固定筒前嵌合径部21aと操作環前嵌合径部35aは互いに摺動する。固定筒前嵌合径部21aは、光軸方向に一定の幅を有すると共に後側固定筒21の周方向に沿って、かつ前側(物体側)に配置されている。
固定筒前嵌合径部21aに対して光軸方向に離間して、後側固定筒21に設けられた固定筒後嵌合径部21b(第2の係合部)は、ズーム操作環35に設けられた操作環後嵌合径部35b(第4の係合部)と嵌合することによりズーム操作環35を支持する。そして、ズーム操作時には固定筒後嵌合径部21bと操作環後嵌合径部35bは互いに摺動する。固定筒後嵌合径部21bは、光軸方向に一定の幅を有すると共に後側固定筒21の周方向に沿って、かつ固定筒前嵌合径部21aより後側(カメラ本体70側)に配置されている。
操作環前嵌合径部35aも同様に、光軸方向に一定の幅を有すると共にズーム操作環35の周方向に沿ってかつ前側に配置されている。また、操作環後嵌合径部35bも同様に、光軸方向に一定の幅を有すると共にズーム操作環35の周方向に沿って、かつ操作環前嵌合径部35aより後側に配置されている。
固定筒前嵌合径部21a及び固定筒後嵌合径部21bは高精度な嵌合径部であるため、その寸法追い込みのためベースとなる後側固定筒21の外周面より外側に凸となっている。同様に、操作環前嵌合径部35a及び操作環後嵌合径部35bも高精度な嵌合径部であるため、その寸法追い込みのためベースとなるズーム操作環35の内周面より内側に凸となっている。
後側固定筒21の外周面には、ゴム収納部21cが少なくとも一つ設けられており、付勢ゴム39がゴム収納部21cに収納される。実施例1においては、ゴム収納部21cは、固定筒後嵌合径部21bが設けられている同一の周方向において、光軸を中心とした回転方向に略120°ずれた位置、かつ固定筒後嵌合径部21bに挟まれた場所の2カ所にそれぞれ設けられている。
そして、操作環後嵌合径部35bの一部は、ゴム収納部21cに収納された付勢ゴム39と当接することによりズーム操作環35を支持し、ズーム操作環35の偏芯及び倒れのガタ取りが行われる。すなわち、ゴム収納部21cに収納される付勢ゴム39は、後側固定筒21に対してズーム操作環35を付勢する弾性部材であり、ゴム収納部21cは、弾性部材保持部(保持部)を構成している。
ここで付勢ゴム39は、ズーム操作環35が組込まれる前に予めゴム収納部21cには配置されていない。付勢ゴム39は、ズーム操作環35の組込み途中において、ズーム操作環35に設けられた通過孔35c(通過部)を介してゴム収納部21cに組込まれる。この構成については後述する。なお、図5においては、理解しやすいように通過孔35cの位置がズーム操作環35の外周面に破線で例示されているが、この位置は実施例1の発明を限定するものではない。
後側固定筒21の外周面には、PL逃げ部21dが設けられている。PL逃げ部21dは、固定筒前嵌合径部21a及び固定筒後嵌合径部21bの周方向の一部を光軸方向に沿って、かつ後側固定筒21の径方向に凹む凹形状として形成されている。PL逃げ部21dは、金型のパーティングライン(PL)の段差やバリがズーム操作環35側の嵌合径部等に接触しないように設けられている。
後側固定筒21は、樹脂成型で形成されているモールド成型部品であり、その金型のいわゆるコアやキャビティは光軸方向に作動される。なお、ゴム収納部21cは、この作動方向に対してアンダーカットになっており、そのため後側固定筒21の外周面はスライドコアで成型される。そのスライドコアは、ゴム収納部21cの位置を基準に周方向の120°均等に3分割のスライド構成となっており、スライドコア同士の金型の合わせであるPLの微小な段差やバリが発生してしまうことがある。
後側固定筒21の前側の外周面には、凸部の形状を有するバヨネット爪21eが設けられ、バヨネット爪21eは、固定筒後嵌合径部21bよりも固定筒前嵌合径部21aの近くに配置されている。バヨネット爪21e対応する凹部の形状を有するバヨネット溝35eがズーム操作環35の前側の内周面に設けられ、バヨネット溝35eは、操作環後嵌合径部35bよりも操作環前嵌合径部35aの近くに配置されている(図5参照)。なお、図5では、バヨネット爪21eは、バヨネット溝35eと光軸を中心とした回転方向において別位相に配置されるため不図示である。バヨネット爪21eとバヨネット溝35eとがバヨネット係合することでズーム操作環35の光軸方向のスラスト位置が決定されると共に、ズーム操作環35が支持される。
バヨネット係合によりズーム操作環35の光軸方向のスラスト位置が決定される際に、ウェーブワッシャ36とPLカバーワッシャ37が後側固定筒21とズーム操作環35の間で挟み込まれる。ウェーブワッシャ36とPLカバーワッシャ37により、ズーム操作環35が光軸方向に付勢されると共に、ズーム操作環35が支持される。
ズーム操作環35の前側には、直径が拡大した大径部35f(第2の部分)が設けられている。一方、ズーム操作環35の後側には、大径部35fより直径が細い径部35g(第1の部分)が設けられており、大径部35fと径部35gの間は滑らかな斜面でつながれた形状となっている。その大径部35fの側のズーム操作環35の内周側のスペースを活用して、ズーム操作環35の位置決め手段であるバヨネット係合とウェーブワッシャ36によるスラスト付勢構造を光軸方向のおおよそ同位置に配置している。すなわち、大径部35fと、バヨネット爪21e及びバヨネット溝35eが係合する位置が光軸方向において重なる配置となっている。このような配置により、スペースを効率的に活用することができる。
ズームキー38は、ズーム操作環35の外周面に設けられた挿入孔35hに挿入され、後側固定筒21に設けられた不図示の作動規制孔を貫通してカム環20に係合し、ズーム操作環35の外周面にビス固定される。この作動規制孔にズームキー38が当接することによりズーム操作環35の回転作動範囲が規制される。そして、ズーム操作環35を撮影者が回転させることで、カム環20が回転し、前述のズーム動作を実現することができる。
実施例1においては、操作環前嵌合径部35aと固定筒前嵌合径部21aとの嵌合を主たる嵌合部とし、この嵌合部における嵌合公差は、操作環後嵌合径部35bと固定筒後嵌合径部21bとの嵌合公差より高精度な公差となっている。また、ウェーブワッシャ36の付勢力によりバヨネット溝35eがバヨネット爪21eに押し付けられる。バヨネット爪21eは、光軸を中心とした周方向に略120°均等に3か所配置されているため、ズーム操作環35の倒れを抑制する。この主たる嵌合部とバヨネット係合がズーム操作環35の偏芯位置決め機構と倒れ位置決め機構の役割を果たしている。これら位置決め機構がズーム操作環35の前側(物体側)に配置されているため、位置決め機構を支点としてズーム操作環35がガタによって倒れる。そして、そのガタが大きくなるところが主たる嵌合部より後側に配置された操作環後嵌合径部35bと固定筒後嵌合径部21bの嵌合部である。実施例1では、付勢ゴム39を操作環後嵌合径部35bに当接させることにより、効果的にガタ取りが行える構造としている。なお、前後の嵌合径部をそれぞれ主たる嵌合部として、二つの嵌合部によってズーム操作環35の偏芯・倒れが規制される場合もある。しかしながら、いずれの場合にしてもその一端に配置された嵌合径部を付勢することが倒れ抑制に効果的であり、倒れの支点となり得るバヨネット溝35eの近傍ではない方の嵌合径部を付勢する本発明の構成が望ましい。
また、ズーム操作環35の内周面もスライドコアによってアンダーカットが形成されるような金型構成となっているが、操作環後嵌合径部35bはスライドコアでは無く、光軸方向に作動するコアで成型されている。そのため、操作環後嵌合径部35b上にはPLが存在しないので、操作環後嵌合径部35bはズーム操作環35の全周にわたって段差やバリが無い滑らかな平滑面で形成されている。よって、操作環後嵌合径部35bには、PLが付勢ゴム39を傷つけることによるズーム操作の品位低下は無い。
次に、交換レンズ50の製造方法における、ズーム操作環35を後側固定筒21に組込む方法について、図4と図6を用いて説明する。図6は、ズーム操作環35の組込み時におけるズーム操作環35と後側固定筒21の部分断面図である。
実施例1では、ズーム操作環35を後側固定筒21に組込む工程の途中において付勢ゴム39がゴム収納部21cに組込まれる。まず、ズーム操作環35を後側固定筒21に組込むに際し、後側固定筒21の後側がズーム操作環35の前側に光軸方向に沿って挿入される。そして、ズーム操作環35がバヨネット係合するスラスト位置よりも光軸方向の手前の位置(第1の位置)において、ズーム操作環35の後側固定筒21への組込みを一端停止させる。なお、ズーム操作環35を組込む方向は、実施例1の発明を限定するものではなく、特にはズーム操作環35を組込む方向が後側からとなる構成でも構わない。
そして、通過孔35cとゴム収納部21cの回転位相が合うまで、ズーム操作環35もしくは後側固定筒21を相対回転させ、位置合せを行う。通過孔35cとゴム収納部21cの回転位相が合致した際に、付勢ゴム39をゴム収納部21cに収納させるため、付勢ゴム39を通過孔35cに挿入する。
図6の矢印Aに示されるように、付勢ゴム39は通過孔35cを通過し、更にゴム収納部21cに収納される。そして、ズーム操作環35が後側固定筒21とバヨネット係合するスラスト位置(第2の位置)までズーム操作環35を光軸方向に移動させる。ズーム操作環35がスラスト位置に位置するように組込まれると、操作環後嵌合径部35bが付勢ゴム39に当接し、ズーム操作環35の後側固定筒21への組込みが完了する。ズーム操作環35の組込みが完了した状態においては、図5に示すように、操作環前嵌合径部35aは、固定筒前嵌合径部21aと嵌合することになる。同時に、操作環後嵌合径部35bの一部は、付勢ゴム39と当接し、操作環後嵌合径部35bの残りの部分は、固定筒後嵌合径部21bと嵌合することになる。
ズームキー38は、ズーム操作環35の組込みが完了した後、ズーム操作環35の外周面に設けられた挿入孔35hに挿入され、ズーム操作環35の外周面にビス固定される。その後、ローレットゴム40がズーム操作環35の外周面に嵌め込まれる。ローレットゴム40により、ズーム操作環35の外周面に配置されたズームキー38や付勢ゴム39を組込むための通過孔35cが交換レンズ50の外観から見えなくなる。実施例1のズーム操作環35は、前側に向かって直径が大きくなっているが、ローレットゴム40は柔軟性を有するので、ズーム操作環35の外径に合わせて嵌め込むことができる。
もし仮に、通過孔35cを設けていない場合、ズーム操作環35を組込む際に、付勢ゴム39はズーム操作環35の内周面の凹凸、例えば操作環前嵌合径部35aや補強リブと擦れ、そして付勢ゴム39が傷つくおそれがある。しかしながら、実施例1においては、通過孔35cと操作環後嵌合径部35bまでの間には、前述の凹凸が無く、かつ擦れる距離が短いため、付勢ゴム39が傷つくおそれは極めて小さい。なお、操作環後嵌合径部35bが付勢ゴム39に当接する際に、その段差を乗り越える必要があるが、段差に面取りをつけるなどにより傷つきにくい形状としている。
また、実施例1においては、バヨネット係合やウェーブワッシャ36によるスラスト付勢構造の近傍に操作環前嵌合径部35aを配置し、そして操作環後嵌合径部35bの近傍の通過孔35cから付勢ゴム39を組込むようにしている。このような実施例1の構成によって、ズーム操作環35の操作感やその品位を担保することができる。
図7は、後側固定筒21の外周面の模式展開図である。ズーム操作環35側のPL35dは、後側固定筒21の外周面の展開図にその配置を投影した模式図で表現されている。PL35dはバリや段差が発生する部分であり、これらが固定筒前嵌合径部21aと擦ることが無いように操作環前嵌合径部35aより凹部の面にPL35dを落とし込む逃げ部が設けられているが、図7ではこの落とし込む逃げ部が表現されていない。
後側固定筒21に設けられた2カ所のゴム収納部21cである凹穴形状を3方向のスライドコアで成型するため、ゴム収納部21cはそれぞれ120°ずれた位置に配置され、PL35dも同様に120°(ゴム収納部21cから±60°)に配置される。そして、ズーム作動中、固定筒前嵌合径部21a上のPL35dは、この120°の範囲の中で移動するため、PL逃げ部21dと干渉する(擦る)ことは無い。なお、その他の形状の都合でゴム収納部21cやPL35dが必ずしも120°毎に配置されなくても良いが、ズーム操作環35側のPL35dがPL逃げ部21dや付勢ゴム39と擦らないよう、その角度や配置に設計的配慮が必要である。
また、操作環後嵌合径部35bにはPL35dが生じ無い金型構成としているため、PL35dは固定筒後嵌合径部21bと重なっておらず、すなわち付勢ゴム39や後側固定筒21のPL逃げ部21dとPL35dがズーム作動中に干渉する(擦る)ことは無い。もし仮にPL35dが操作環後嵌合径部35bにも設けられていた場合、付勢ゴム39及びPL逃げ部21dと擦らないことを考えると、図中60°未満の中でしかPL35dが移動できないことになる。このようなズーム回転角が小さい条件において、交換レンズ50のレンズの移動量が大きい場合、カム環20のカム溝の角度を大きくすることでズーム操作環35の回転トルクが不必要に増大し、その操作性やその品位を担保することが困難となるおそれがある。トルクの増大を避け、PL35dがPL逃げ部21dと擦るような構成とすることもできるが、これらが当たる感覚が撮影者に伝わる可能性があり、操作性やその品位を担保することが困難となるおそれがある。
(実施例2)
図8(A)は、実施例2におけるズーム操作環35の組込み時におけるズーム操作環35と後側固定筒21の要部断面図である。図8(B)は、通過孔35cと操作環後嵌合径部35bを重ねて表示した後側固定筒21の外周面の展開図である。実施例2では、図8(A)に示すようにズーム操作環35の操作環後嵌合径部35bが組込み時の位置においても付勢ゴム39をオーバーラップする位置まで延長されている。すなわち、図8(B)に示すように通過孔35cの周辺の位置だけ操作環後嵌合径部35bが付勢ゴム39をオーバーラップする方向に延長されており、それ以外の回転方向の位相は実施例1と同じ位置としている。この構成によりズーム操作環35を組込む間に付勢ゴム39が擦る面は常に段差のない滑らかな操作環後嵌合径部35bとなり、付勢ゴム39に傷がつきにくい。
以上、本発明の好ましい実施例1、2について説明したが、本発明はこれらの実施例1、2に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。本実施例1、2においては、ズーム操作環35を前提とした構成を説明したが、フォーカス操作環29やファンクション操作環33、更にはカメラ本体70に設定された撮影条件を切り替える操作環に適用しても良い。また設計機能を考慮した材質であれば、それを限定するものではない。
21 後側固定筒(固定筒)
21a 固定筒前係合径部(第1の係合部)
21b 固定筒後係合径部(第2の係合部)
21c ゴム収納部(保持部)
35 ズーム操作環(操作環)
35c 通過孔(通過部)
39 付勢ゴム(弾性部材)

Claims (12)

  1. 光学素子を有する光学系と、
    回転することで前記光学素子を移動させる操作環と、
    前記操作環を回転可能に支持する固定筒と、
    弾性部材とを有し、
    前記操作環には、前記弾性部材が通過することが可能な通過部が設けられ、
    前記固定筒は、前記操作環を支持する第1及び第2の係合部と、前記弾性部材を保持する保持部とを備え、
    前記通過部は、前記光学系の光軸方向における前記第1及び第2の係合部の間に位置することを特徴とする光学装置。
  2. 前記第1の係合部は、前記光軸方向において、前記第2の係合部よりも物体側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記通過部と前記第2の係合部とが前記光軸方向において重なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学装置。
  4. 前記操作環には、前記第1の係合部に係合する第3の係合部と、前記弾性部材と当接し、前記第2の係合部に係合する第4の係合部と、が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学装置。
  5. 前記第4の係合部は、前記操作環の全周にわたる平滑面で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
  6. 前記固定筒には、前記第2の係合部よりも前記第1の係合部の近くに凸部が設けられ、前記操作環には、前記第4の係合部よりも前記第3の係合部の近くに凹部が設けられており、前記凸部が前記凹部に係合することにより前記操作環の前記光軸方向の位置決めがなされることを特徴とする請求項5に記載の光学装置。
  7. 前記操作環は、第1の部分と、該第1の部分よりも物体側に配置され該第1の部分よりも直径が大きい第2の部分とを含み、
    前記光軸方向において、前記第2の部分と前記凸部及び前記凹部とが重なっていることを特徴とする請求項6に記載の光学装置。
  8. 前記操作環を前記光軸方向に付勢する付勢部材を有し、
    前記付勢部材は、前記第2の部分の近傍に位置していることを特徴とする請求項7に記載の光学装置。
  9. 前記操作環及び前記固定筒は、樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学装置。
  10. 撮像装置に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学装置。
  11. 請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学装置と、前記光学装置からの光を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
  12. 光学素子を有する光学系と、回転することで前記光学素子を移動させる操作環と、前記操作環を回転可能に支持する固定筒と、弾性部材と、を有する光学装置の製造方法であって、
    前記光学系の光軸方向に沿って前記固定筒を前記操作環の内部の第1の位置まで挿入する工程と、
    前記操作環を前記光軸方向の周りに回転させて、前記固定筒に設けられた保持部と前記操作環に設けられた通過部との位置合せを行う工程と、
    前記弾性部材を、前記通過部を介して前記保持部に配置する工程と、
    前記光軸方向に沿って前記固定筒を前記操作環の内部の第2の位置まで移動させる工程と、を有することを特徴とする製造方法。
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