JP2021036215A - 粒子の観察方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子1個1個から、該粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定できる粒子の観察方法を提供する。【解決手段】透過型電子顕微鏡を用いた粒子の観察方法であって、前記粒子の粒子径が200nm以下であり、前記粒子の近傍へ照射した電子線により、前記粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定する測定工程を有する、粒子の観察方法を提供する。【選択図】図5

Description

本発明は、粒子の観察方法に関する。
金属などの微粒子が樹脂などの媒体中に単分散した複合材料は、光制御をはじめさまざまな分野に応用されている。
例えば特許文献1には、赤外線遮蔽材料微粒子が媒体中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体であって、前記赤外線遮蔽材料微粒子は、タングステン酸化物微粒子、または/及び、複合タングステン酸化物微粒子を含有し、前記赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は、1nm以上800nm以下であることを特徴とする赤外線遮蔽材料微粒子分散体が開示されている。
特許文献1に開示された材料である赤外線遮蔽材料微粒子の中でも、例えば複合タングステン酸化物微粒子の一種であるセシウム添加酸化タングステン材料は、晶系として六方晶構造を有するために、誘電率テンソルの異方性に基づく異方的な誘電応答を有する。また粒子サイズや粒子形状、粒子表面に形成されたアモルファス層などを反映して、微粒子群に含有される微粒子の1個1個が異なる誘電応答をもつことが示唆されている。従って実際の微粒子分散材料が発揮する特性を微視的な観点から理解するためには、微粒子群に含有される一粒子それぞれから、結晶異方性を考慮した異方的な誘電応答を測定する必要がある。
従来、微粒子の一粒子から誘電応答を測定する方法としては、電子顕微鏡を用いたEELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)技術が存在した。例えばCs0.33WO粒子については、非特許文献1において微粒子と同程度のサイズの電子線ナノプローブを、当該微粒子を通過する位置に設置することで、微粒子の誘電率を反映したEELSスペクトルを測定している。
Y.Sato,M.Terauchi,andK.Adachi, J.Appl.Phys.,2012年,Vol.112,074308
国際公開第2005/037932号
しかしながら、非特許文献1における測定方法は結晶異方性を分離できる方法ではなかった。その他の手法においても、粒子1個1個から、該微粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定できる手法は、これまでに提案されていなかった。
上記従来技術の問題に鑑み、本発明の一側面では、粒子1個1個から、該粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定できる粒子の観察方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一側面では、
透過型電子顕微鏡を用いた粒子の観察方法であって、
前記粒子の粒子径が200nm以下であり、
前記粒子の近傍へ照射した電子線により、前記粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定する測定工程を有する、粒子の観察方法を提供する。
本発明の一側面によれば、粒子1個1個から、該粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定できる粒子の観察方法を提供することができる。
図1は、透過型電子顕微鏡の説明図である。 図2は、分光装置の説明図である。 図3は、観察した粒子のTEM像および六方晶結晶の軸方向(aおよびc)ならびに実施例1、2における電子線プローブ位置である。 図4は、ナノプローブディフラクション法により取得した粒子の回折図形、回折スポットの指数ならびに逆空間の軸方位(a、c)である。 図5は、実施例1、2において得られたEELSスペクトルである。
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)に係る粒子の観察方法を、以下に図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の発明者らは、粒子1個1個から異方的な誘電特性を測定する手法について鋭意検討を行った。その結果、電子線を粒子そのものではなく粒子近傍の真空領域を通過させ、特定の結晶方位との強い相互作用により、誘電率テンソルの特定成分を強く反映した異方的な誘電応答を得るという全く新規な発想に到達し、本発明を完成させた。
本実施形態の粒子の観察方法は、透過型電子顕微鏡を用いた粒子の観察方法である。そして、観察する粒子の近傍へ照射した電子線により、粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定する測定工程を有することができる。なお、本実施形態の粒子の観察方法により観察する粒子は、その粒子径が200nm以下であることが好ましい。
ここで、本実施形態の粒子の観察方法で好適に用いることができる透過型電子顕微鏡について図1を用いて説明する。
図1は、透過型電子顕微鏡の概略図である。図1に示した透過型電子顕微鏡10が有する真空筐体11の内部には、電子源12が配置され、電子源12は電子光学照射体13を通り抜ける電子ビームを生成する。なお、電子源12としては、例えばショットキー銃を用いることができる。
電子光学照射体13は、試料16の選ばれた領域に電子ビームを案内、集束する役割を果たす。
電子光学照射体13は、電子光学軸である軸Aを有することができる。また電子光学照射体13は、例えば様々な静電/磁気レンズや、(走査)偏向子、スティグメータ等の補正器等を有することもできる。電子光学照射体13は収束系を有していても良い。なお、電子光学照射体13全体が収束系と呼ばれることもある。
透過型電子顕微鏡10は、設置装置(試料台)14を有することができ、設置装置14は多重自由度で位置設定可能な試料ホルダ15を備えることができる。試料16は試料ホルダ15上に保持できる。試料16は、予め加工しておくこともでき、例えば局所的に薄く加工されていたり、平坦化されていても良い。
試料ホルダ15は、図中のXY平面で移動可能な移動部材を有することもできる。試料ホルダ15が有する移動部材は、試料ホルダ15を図中のZ軸に平行な方向や、XY平面に対して傾斜する方向に移動可能に構成されていてもよい。係る試料ホルダ15の移動は、軸Aに沿って、すなわちZ軸方向に沿って進行する集束電子ビームによる試料16の様々な領域に対する照射や、撮像、検査を可能にする。なお、試料ホルダ15の移動により集束電子ビームの走査の代わりに走査運動を実行することもできる。
透過型電子顕微鏡10は冷却装置17を有することもできる。冷却装置17は、試料ホルダ15と緊密に熱的接触でき、例えば循環極低温冷媒を用いて所望の低温を実現、維持することによって試料ホルダ15や、試料ホルダ15に支持される試料16を極低温に維持することが可能である。
軸Aに沿って進行する集束電子ビームは、様々な種類の「誘導」放射線、例えば2次電子、後方散乱電子、X線、及び光放射線(カソードルミネッセンス)を含むことができる。そして、集束電子ビームは、試料16から放出されるように試料16と相互作用できる。透過型電子顕微鏡10は、解析装置18を有することもでき、上述の放射線の種類のうちの1種類以上が解析装置18によって検出されるように構成することもできる。
解析装置18は例えば、結合されたシンチレータ/光電子増倍管や、EDX(エネルギー分散型X線分光)モジュールであって良い。解析装置18を設ける場合、解析装置18により取得する画像は、SEM(Scanning Electron Microscope)と基本的には同一の原理を用いて構築できる。しかし係る形態に限定されず、解析装置18は、例えば試料16を通り抜け、すなわち通過し、試料16から放出され、かつ軸Aに沿って伝播する電子を解析する様に構成することもできる。なお、試料16を通り抜け、軸Aに沿って伝播する電子は完全に軸Aに沿うものではなく、多少偏向、散乱する場合がある。解析装置18は、SEMと同一の原理を用いて構築した画像と、試料16を通り抜け、軸Aに沿って伝播する電子を解析した画像とを取得する様に構成することもできる。
上記試料16を通り抜けた透過電子は、対物レンズや投影レンズを組み合わせ、備えた結像系19へ入射する。結像系19は、通常、様々な静電/磁気レンズ、偏向子、スティグメータ等の補正器等を有することができる。
通常の(非走査)TEMモードでは、結像系19は、透過電子を蛍光スクリーン20へ集束させてもよい。蛍光スクリーン20は、好適には、矢印Bによって概略的に示されているように、軸Aから外れるように引き出され、もしくは引き込められてもよい。
試料16(の一部)の画像やディフラクトグラムは結像系19によって蛍光スクリーン20上に生成される。蛍光スクリーン20上に形成された画像等は、真空筐体11の壁の適切な部分に設けられたビューポート111を介して見ることができる。
蛍光スクリーン20を矢印Bに沿って移動させる、蛍光スクリーン20用の図示しない引き込み機構は、例えば図示しない機械や電気によるものであって良い。
蛍光スクリーン20上で画像を閲覧する代わりとして、結像系19から放出される電子束の焦点深度は、例えば1nmオーダーと、一般的に非常に大きいことが利用されて良い。すなわち、例えば以下に述べるTEMカメラ21や、STEM偏向素子22のような様々な他の種類の解析装置が、蛍光スクリーン20の下流で用いられて良い。
TEMカメラ21では、電子束は、制御装置101によって処理され、さらに必要に応じてフラットパネルディスプレイのような図示しない表示装置上に表示可能な静的画像(ディフラクトグラム)を生成し得る。TEMカメラ21は、矢印Cによって概略的に示されているように、軸Aから外れるように引き出され、もしくは引き込められてよい。
STEM偏向素子22では、STEM偏向素子22からの出力は、試料16上の走査ビームの位置(X,Y)の関数として記録され、さらに必要に応じてX、Yの関数としてのSTEM偏向素子22からの出力の「マップ」である画像が構築されても良い。STEM偏向素子22は、TEMカメラ21内に特徴として存在する複数の画素からなるマトリックスとは対照的に、たとえば20mmの直径を有する単一画素を有していても良い。STEM偏向素子22は一般的に、TEMカメラ21の取得速度(例えば102点/秒)よりもはるかに高い取得速度(例えば106点/秒)を有する。
STEM偏向素子22についても、必要ないときには、矢印Dにより概略的に示されているように、軸Aから外れるように引き出され、もしくは引き込められてよい。
TEMカメラ21またはSTEM偏向素子22を用いた撮像の代わりに、分光装置23、例えばEELSモジュールが用いられて良い。分光装置23のさらなる構造および動作については、以降の図2を参照しながら説明する。
なお、TEMカメラ21、STEM偏向素子22、および分光装置23の順序(配列)や、位置は、図1に示した形態に限定されるものではない。例えば分光装置23は、結像系19に組み込まれても良い。
制御装置(コンピュータプロセッサ)101は、制御ライン(バス)102を介して様々な図示された部品に接続できる。制御装置101は、様々な機能、例えば作用の同期、設定点の提供、信号処理、計算の実行、および図示しない表示装置上でのメッセージや情報の表示を行うことができる。
図1において、制御装置101は、全てが真空筐体11の外側に配置した例を示しているが、係る形態に限定されず、例えば一部または全部が真空筐体11の内部または外部に存在することもできる。また、制御装置101は、必要に応じて1つまたは2つ以上の複数の部材により構成することもできる。
真空筐体11内については、厳密な真空状態に維持される必要はなく、例えばいわゆる「環境制御型TEM/STEM」の場合、所定の気体のバックグラウンド環境圧力となるように、真空筐体11の内部に気体を導入、維持できる。
真空筐体11内の容積は抑制されていることが好ましい。真空筐体11は、軸Aを内部に有する形態となり、真空筐体11は、例えば使用された電子ビームが通過できるような小さな管状形状を有することができる。ただし、真空筐体11は、電子源12、試料ホルダ15や、必要に応じて蛍光スクリーン20、TEMカメラ21、STEM偏向素子22、分光装置23等を収容できるようにそのサイズを選択することが好ましい。
次に、図2を用いて分光装置23の構成例について詳述する。図2は、分光装置23を拡大した詳細な図となる。
図2中、電子光学軸である軸Aに沿って伝播する電子束24が示されている。この電子束24は、電子プリズムである分散素子25へ入射する。電子束24は、図2中、破線を用いて概略的に示されているようにエネルギー分解された、言い換えるとエネルギーで識別されたスペクトルサブビーム群241に分散される(広げられる)。スペクトルサブビーム群241は調節可能なアパーチャ素子26に衝突する。アパーチャ素子26は例えば第1プレート261と、第2プレート262と、アクチュエータ263とを有することができる。
第1プレート261は第1エッジ261aを、第2プレート262は第2エッジ262aをそれぞれ有することができ、第1プレート261と、第2プレート262とは同一面内に配置できる。なお、ここでいう同一面内とは厳密な意味での同一面内である必要はなく、略同一の面内を含む。また、第1エッジ、第2エッジはそれぞれ第1ナイフエッジ、第2ナイフエッジということもできる。
アクチュエータ263は、第1プレート261を、第2プレート262に向かって、もしくは第2プレート262から遠ざかるように動かすことができ、2つのプレート間の介在ギャップの幅(高さ)を調節できる。
アパーチャ素子26は、空間フィルタ/スペクトル選択器として用いられ、スペクトルサブビーム群241の第1部分241aが検出器27へ向かうのを許容する一方で、スペクトルサブビーム群241の第2部分241bが検出器27へ到達することを阻止するように調節できる。
なお、検出器27としては、例えば画素化されたCMOSやCCD検出器を用いることができる。
検出器27へ到達する前、上述の第1部分241aは、例えば第1部分241aを拡大/集束させるアパーチャ後方の電子光学系28を介して進むことができる。第1部分241aと第2部分241bの各々は一般的にゼロではないサブビームの帯域幅を有する。
アパーチャ素子26の上流側の面、例えばアパーチャ素子26の、検出器27と対向する面とは反対側の面に、放射線センサ29を設けることもできる。放射線センサ29は、スペクトルサブビーム群241の入射方向を向くように配置できる。放射線センサ29は、第1プレート261の第1エッジ261aに隣接して取り付ることができ、第1プレート261と共に動かすことができる。放射線センサ29は、例えば数mmのセンシング面積とすることができ、他の部材と比較して相対的に小さくできる。放射線センサ29としては、例えばフォトダイオード、SSPM、CMOSセンサ、CCDセンサ等から選択された1種類以上を用いることができる。放射線センサ29は、検出器27による第1部分241aの検出と同時に、スペクトルサブビーム群241の第2部分241bの一部である、第1選択領域241b1内での局在化された放射線センシングを実行するために用いることができる。この第1選択領域241b1は、その名前が示す通り選択可能である。
例えば図2において、第1プレート261を第2プレート262へ向かってわずかに動かすことによって、第1選択領域241b1を検査するのに放射線センサ29を用いることができる。ただし、同時に第1部分241aのわずかな周辺領域を覆うことになるため、検出器27での検出強度等に応じて第1プレート261の位置を調整することが好ましい。
放射線センサ29からの検出結果は、検出器27からの検出結果を調整するのに用いることができる。
スペクトルサブビーム群241のうち、例えば第1部分241aは、検出器27によって検出されるCLPスペクトル成分を有することができる。また、第2部分241bは、例えば第1選択領域241b1にZLPスペクトル成分を、第2選択領域241b2にPRPスペクトル成分を有することができる。
図2に図示されているように、第1選択領域241b1は放射線センサ29によってセンシングされる。ただし、第1選択領域241b1の代わりに、または第1選択領域241b1と同時に、第1プレート261を適切に動かすことによって、例えば上述のような所定のスペクトル成分を含む第2選択領域241b2が、放射線センサ29によってセンシングされるように配置されても良い。
第1選択領域241b1についての放射線センサ29による検出結果、すなわち例えばZLPスペクトル成分の検出結果は、検出器27による検出結果、すなわち例えばCLPスペクトル成分の絶対エネルギースケールを校正するために用いることができる。第2選択領域241b2、すなわち例えばPRPスペクトル成分についての検出結果と組み合わせられるとき、第1選択領域241b1、すなわち例えばZLPスペクトル成分についての検出結果は、検出器27による検出結果のデコンボリューションを行うために用いることもできる。
図2の右下に示されている直交座標系は、図の左上での座標系と比較して90°反時計回りに回転されている。これは、Z軸は、分散素子25によって偏向される局所的な電子光学軸である軸Aの方向を示すためである。
そして、本発明の発明者らの検討によれば、透過型電子顕微鏡で粒子径が200nm以下の粒子(微粒子)を観察する際に、該粒子の近傍へ照射した電子線により該粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定できることが確認された。
このため、本実施形態の粒子の観察方法では、既述の透過型電子顕微鏡を用い、例えば試料ホルダ15上に配置された粒子である試料16の位置を、軸Aに沿った電子線の近傍に位置するように設定できる。そして、本実施形態の粒子の観察方法は、該粒子の近傍へ照射した電子線により、粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定する測定工程を有することができる。
異方的な誘電応答の測定を行う具体的な方法は特に限定されないが、例えば既述の分光装置23を用い、電子線のエネルギー損失分光(EELS)スペクトルの測定によることが好ましい。
観察する粒子を選択する際に、粒子の粒子径を測定する具体的な方法は特に限定されないが、例えば粒子に外接する最小の円を描いた際の、該円の直径を該粒子の粒子径とすることができる。観察する粒子の粒子径の下限値は特に限定されないが、例えば1nm以上であることが好ましい。
電子線と、粒子である試料16との間の距離は特に限定されないが、例えば電子線のビーム中心は、粒子の粒子端から30nm以内であることが好ましい。すなわち、電子線のビーム中心と、粒子の粒子端との間の距離が30nm以下であることが好ましい。
電子線のビーム中心と粒子端との間の距離の下限値は特に限定されないが、粒子端に電子線が直接照射されないように両者の位置を設定することが好ましく、例えば1nm以上であることが好ましい。
粒子を観察する際、電子線の加速電圧は特に限定されないが、例えば40kV以上200kV以下とすることが好ましい。また、精度よく測定するため、電子線はモノクロメータにより単色化処理が施されていることが好ましい。
本実施形態の粒子の観察方法で観察する粒子の種類は特に限定されないが、該粒子は無機材料であることが好ましい。また、該粒子は、例えば単結晶が好ましく、晶系が六方晶、正方晶、直方晶(斜方晶)、三方晶、単斜晶、および三斜晶から選択される一種類であることが好ましい。
なお、本実施形態の粒子の観察方法は、上記測定工程の前に、観察を行う粒子の結晶方位を特定する事前工程をさらに有することが好ましい。事前工程において、観察を行う粒子の結晶方位を特定する方法は特に限定されないが、例えば、ナノプローブディフラクション法を用いた粒子1粒からの回折図形の観察により行うことができる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
六方晶構造を有するセシウム添加酸化タングステン(Cs0.33WO)の粉末を10重量部、官能基としてアミノ基を有する高分子分散剤を5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを85重量部秤量し、混合液を作成した。前記混合液に0.3mmΦイットリア添加ジルコニアビーズを添加し、ビーズミル装置で粉砕処理を行った。動的光散乱法で測定される体積平均粒子径が30nm以下となった時点で粉砕処理を終了し、真空濾過によりビーズを分離することで微粒子分散液を得た。前記微粒子分散液を希釈し、マイクログリッド(応研商事株式会社)上に滴下して観察試料を得た。
モノクロメータを備えた透過型電子顕微鏡(JEM−2010FEF、日本電子株式会社)を使用して、観察試料上に保持された粒子の観察を行った。試料のコンタミネーション防止のため、冷却装置が熱的接触した試料ホルダである、冷却ホルダを用いて試料の液体窒素冷却を行い、−173℃以下で測定を行った。測定を行う際、電子線の加速電圧は60kVとした。
測定対象とした粒子の像を図3に示した。観察の対象とした粒子30の粒子径は約54nmであった。
測定工程に先立ち、回折図形の観察によって粒子の結晶方位を特定する事前工程を実施した。当該単結晶からナノプローブディフラクション法により得られた回折図形を図4に示した。当該回折図形の指数付けを行い、粒子30は単結晶であり、また粒子像(実空間)と回折図形(逆空間)の対応から、粒子30の六方晶結晶の軸方向(aおよびc)は図3に記した通りであると確かめられた。
粒子30の近傍である図3中の位置31に電子線プローブを設置し、EELSスペクトルの測定を行った(測定工程)。測定時の電子線のビーム中心は粒子端から約6nmであった。得られたEELSスペクトル51を図5に示した。
[実施例2]
測定工程を実施する際、電子線プローブの設置位置を粒子30の近傍である図3中の位置32とした以外は実施例1と同様にして、EELSスペクトルの測定を行った。測定時の電子線のビーム中心は粒子端から約10nmであった。図5に得られたEELSスペクトル52を示す。
実施例1においては、a軸方位の誘電応答(誘電率テンソルのεxx成分)を強く誘起する位置に電子線プローブを設置してEELS測定を行ったために、図5に示したEELSスペクトル51に現れる損失ピークは0.9eV付近に位置した。すなわち、粒子30の特定結晶軸方向(a軸方向)に対応する異方的な誘電応答を測定することができた。
また実施例2においては、c軸方位の誘電応答(誘電率テンソルのεzz成分)を強く誘起する位置に電子線プローブを設置してEELS測定を行ったために、EELSスペクトル52に現れる損失ピークは1.2eV付近に位置した。すなわち、該粒子30の特定結晶軸方向(c軸方向)に対応する異方的な誘電応答を測定することができた。
以上の結果から、本実施形態の粒子の観察方法によれば、粒子1個1個から、該粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定できることを確認できた。

Claims (7)

  1. 透過型電子顕微鏡を用いた粒子の観察方法であって、
    前記粒子の粒子径が200nm以下であり、
    前記粒子の近傍へ照射した電子線により、前記粒子の特定結晶軸方向に対応する異方的な誘電応答を測定する測定工程を有する、粒子の観察方法。
  2. 前記異方的な誘電応答の測定が、電子線のエネルギー損失分光(EELS)スペクトルの測定によるものである、請求項1に記載の粒子の観察方法。
  3. 測定時の前記電子線のビーム中心が、前記粒子の粒子端から30nm以内に位置する請求項1または請求項2に記載の粒子の観察方法。
  4. 前記電子線の加速電圧が40kV以上200kV以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の粒子の観察方法。
  5. 前記電子線が、モノクロメータにより単色化処理を施されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の粒子の観察方法。
  6. 前記粒子が単結晶であり、晶系が六方晶、正方晶、直方晶(斜方晶)、三方晶、単斜晶、および三斜晶から選択される1種類である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の粒子の観察方法。
  7. 前記測定工程の前に、回折図形の観察によって前記粒子の結晶方位を特定する事前工程をさらに有する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の粒子の観察方法。
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