JP2021035973A - 膀胱がんの治療方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイトマイシンCのリポソームプロドラッグの膀胱内注入による膀胱がんの治療方法の提供。【解決手段】葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームを、膀胱がんの治療のための治療有効量のマイトマイシンCを生じる量で、膀胱がんを有する個体に投与することを含む、膀胱がんの治療方法。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月17日出願の米国仮出願第62/134,328号の利益を主張する。上記各出願の開示の全体は、参照することにより本出願に包含される。
技術分野
本明細書に記載の対象は、マイトマイシンCのリポソームプロドラッグの膀胱内注入による膀胱がんの治療方法に関する。
膀胱の新生物は、一般に前悪性病変として発生し、浸潤性がんに発展する可能性がある。一般的膀胱新生物は、上皮起源の移行上皮癌(carcinoma)である。表在性膀胱悪性腫瘍を有する患者は良好な予後を有するが、基礎をなす筋肉の深い浸潤は5年生存率を約50%に低下させる。
手術は、治療法である。手術の範囲は、疾患の病期に依存する。初期の非侵襲性の疾患は、一般に、膀胱腫瘍の経尿道的切除および膀胱内化学療法によって治療される。経尿道手術は、しばしば、化学療法剤または免疫治療剤の補助的膀胱内注入と組み合わせて、膀胱壁の同じ部位または別の部位のいずれかにおける癌の再発の発生率および重症度を低減する。表在性がんの場合、腫瘍部位に薬剤を集中させ、切除後の残存腫瘍を排除するために化学療法を膀胱内に適用(膀胱に直接)する。筋肉浸潤性疾患は、通常、術後補助または術前補助的全身化学療法の有無にかかわらず、根治的膀胱切除術および尿路転換によって管理される。根治的(definiteve)(治癒的(curative))な放射線療法は、一般に、手術の候補者ではない膀胱がん患者のみに用いられる。全身化学療法は、進行性(転移性)膀胱がんを管理するためにも使用されうる。
膀胱のがんは、表在性腫瘍が最も低い侵襲の度合いに基づいて病期分類され、筋肉浸潤および隣接構造への拡散は、より深刻である。より進んだ病期では、腫瘍は局所リンパ節に浸潤する可能性または遠隔臓器に転移する可能性がある。がん細胞のタイプは、癌(carcinoma)細胞から平滑筋肉腫、小細胞腫瘍まで様々である。死亡率の統計は、浸潤の深さにより悪化する。罹患率は、浸潤の深さと与えられた治療の種類の両方によって変化する。
膀胱がんは、再発率が高い。新たに診断された膀胱腫瘍の大部分は、粘膜(ステージ Ta、インサイチュ腫瘍)または粘膜下組織(ステージ T1)に限定され、経尿道外科的切除を受けやすい。しかしながら、腫瘍切除後、再発率は高く、再発率は約70%と推定されている。このことが、局所化学療法または免疫療法の広範な使用をもたらし、再発のリスクを低減させた。この高い再発率を減少させる試みとして、化学療法の即時術後膀胱内注入または腫瘍切除後数週間の免疫療法が挙げられる。アジュバント局所療法にもかかわらず膀胱腫瘍が再発する場合、保存的治療選択肢は限られている。
関連技術に関する前述の例およびそれらに関連する限定は、例示的であり排他的なものではないことが意図されている。関連技術に関する他の限定は、明細書の読解および図面の検討に際して当業者には明らかになるであろう。
概要
以下に記載され説明される下記の態様および実施態様は、例示的かつ説明的であり、範囲を限定するものではない。
1つの態様では、膀胱がんの治療方法が提供される。この方法は、葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームを、膀胱がんの治療のための治療有効量のマイトマイシンCを生じる量で、膀胱がん有する個体に投与することを含む。
1つの実施態様では、プロドラッグは、親油性部分に放出可能に結合されたマイトマイシンCの複合体である。
もう1つの実施態様では、葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームを、膀胱内注入によって膀胱に投与する。もう1つの実施態様では、葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームは、膀胱内に投与される組成物に含まれる。1つの実施態様では、該組成物は、ポリマーを含む。
もう1つの実施態様では、リポソームまたはリポソームを含む組成物は、約15分〜約4時間の期間、膀胱内に保持される。もう1つの実施態様では、リポソームまたはリポソームを含む組成物は、約15分〜約2時間の期間、膀胱内に保持される。
他の実施態様では、方法は、ステージ0の膀胱がんまたはステージIの膀胱がんを有する個体で利用される。もう1つの実施態様では、方法は、低悪性度または高悪性度の個々の膀胱がんで利用される。
上記の例示的な態様および実施態様に加えて、さらなる態様および実施態様が、図面を参照し、以下の説明を検討することによって明らかになるであろう。
本方法のさらなる実施態様は、以下の記載、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。前述および以下の記載から理解されうるように、本明細書に記載された各特徴、およびそのような特徴の2つ以上の各組み合わせは、本開示の範囲内に含まれ、ただし、そのような組み合わせに含まれる特徴は、 相互に矛盾しない。さらに、任意の特徴または特徴の組み合わせは、本発明の任意の実施態様から特に除外されてもよい。特に添付の実施例および図面と併せて考慮する場合、本発明のさらなる態様および利点が、以下の説明および特許請求の範囲に記載される。
さまざまな濃度のマイトマイシンCに暴露された細胞培養物についてのインビトロでの、対照(未処理)細胞に対するパーセントとして、μMで、(i)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(白丸);(ii)遊離マイトマイシンC(黒丸);(iii)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ+500μM ジチオスレイトール(DTT(白四角);(iv)遊離マイトマイシンC+500μM ジチオスレイトール(黒四角);の形で提供される、T24ヒト膀胱がん細胞の増殖を示すグラフである。 リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(白棒)および葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(黒棒)へのインビトロ暴露後の、T24葉酸受容体過剰発現(HiFR)ヒト膀胱がん細胞への取り込みを示す棒グラフである。 インビトロで、(i)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(黒四角);(ii)遊離マイトマイシンC (黒丸);または(iii)葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(白丸)の形態で提供された、さまざまな濃度のマイトマイシンCに24時間暴露された細胞培養物について、対照(非処理)細胞に対するパーセントとしてのT24HiFRヒト膀胱がん細胞の増殖を示すグラフである。
詳細な記載
I.定義
以下、さまざまな態様をより詳細に説明する。しかしながら、これらの態様は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の態様に限定されるものと解釈されるべきではない:むしろ、これらの実施態様は、本開示が緻密かつ完全であるように提供されるものであり、その範囲を当業者に十分に伝えるであろう。
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間のそれぞれの介在値およびその記載された範囲内の他の記載または介在値は、開示内に包含されることが意図される。たとえば、1μm〜8μmの範囲が記載されている場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、および7μmも明示的に開示されており、1μm以上であり、8μm以下の値の範囲であることが意図される。
単数形「a」「an」および「the」は、文脈上明確に指示されない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、たとえば、「リポソーム」とは、単一のリポソームならびに2つ以上の同じまたは異なるリポソームを包含し、「賦形剤」とは、単一の賦形剤ならびに2つ以上の同じまたは異なる賦形剤を包含する。
本明細書で使用される「約」という用語は、それが使用されている数の数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。
本明細書で使用される場合、「投与」または「投与する」という用語は、治療剤と共に用いられる場合、治療剤を標的組織の中または上に直接投与するか、または治療剤を患者に投与することを意味し、それによって治療剤はそれが標的とされている組織に積極的に影響を及ぼす。したがって、本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、新生物剤(neoplastic agent)と共に使用される場合、それに限定されるものではないが、たとえば、膀胱内投与によって、新生物剤を標的組織の中または上に提供することを包含しうる。
投与後に治療有効量のマイトマイシンCを生じるリポソームマイトマイシンCプロドラッグの量は、単回または複数回投与のいずれかにおいて、新生物の臨床的障害または症状を改善または最小限にするのに有効なマイトマイシンCの量である。
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」は、患者に投与された後に、プロドラッグが新生物の細胞に対して毒性のある生成物に変換されるように、何らかの化学的または生理的プロセスを介してインビトロで薬物を放出する薬物前駆体である化合物を意味する。
組成物の「治療有効量」または「有効量」は、所望の効果を達成する、すなわち、膀胱がんもしくは膀胱がんの再発を減少させるか、または予防するように計算された既定量である。企図される活性は、必要に応じて、医学的な治療および/または予防処置の両方を包含する。もちろん、治療効果および/または予防効果を得るために投与される化合物の具体的な用量は、たとえば、投与される化合物、投与経路および治療される病気などの、症例を取り巻く特定の状況によって決定される。しかしながら、投与される有効量は、処置される病気、投与されるべき化合物の選択、および選択された投与経路を含む関連状況に照らして医師によって決定されるものであり、上記投与量範囲は、いかなる方法においても、本願発明の範囲を限定することを意図するものではない。化合物の治療有効量は、典型的には、それが生理学的に許容される賦形剤組成物で投与される場合、組織における有効な全身濃度または局所濃度を達成するのに十分な量である。
II.治療方法
本開示は、部分的には、マイトマイシンCのプロドラッグを含む葉酸標的化リポソームが、膀胱における治療に十分な時間尿中で安定であるという知見に基づく。投与される組成物は、本明細書では、葉酸標的化マイミシンCプロドラッグリポソームと称される。以下に記載するように、組成物中のリポソームは、膜およびイン・リポソームコアからなり、該膜は、少なくとも1つのリポソーム形成脂質および膜の外表面に露出した葉酸標的化部分を含み;マイトマイシンCプロドラッグは、リポソーム膜内またはリポソームコア内にある。葉酸標的化マイトマイシンCプロドラッグリポソームは、膀胱がんを有する個人の治療のために提供され、ここで、リポソームを含む組成物は、治療有効量のマイトマイシンCを生じる量で投与される。
A.リポソームマイトマイシンCプロドラッグ
1つの実施態様では、本明細書に記載の方法における使用のために提供されるマイトマイシンCのリポソームプロドラッグ複合体は、親油性または疎水性部分に放出可能に結合されたマイトマイシンCを含み、一般的に、以下の形態:
Figure 2021035973
[式中、Lは、疎水性部分であり、R1は、に共有的に結合するマイトマイシンC残基を表し、ジチオベンジル部分である]
である。CH2R1基の配向は、オルト位およびパラ位から選択される。複合体の合成は、米国特許番号第6,365,179号;6,984,396号;および7,303,760号に記載され、それぞれは、参照することにより本願に組み込まれる。
疎水性部分、Lは、典型的に、ジアシルグリセロール、ステロール、リン脂質、またはこれらの脂質の誘導体、その他の天然脂質およびそれらの合成類縁体などの脂質である。疎水性部分は、マイトマイシンC複合体をリポソームデリバリービヒクルに係留するためのリポソーム二重層への組み込みに適している。
リポソームマイトマイシンCプロドラッグ複合体は、還元条件、すなわち、システインまたはグルタチオンなどの還元剤に暴露された後、分解してマイトマイシンCを生成する。すなわち、複合体のチオール分解により、マイトマイシンCおよび疎水性部分とジチオベンジル部分の無毒な副産物が得られる。理解されるように、プロドラッグ複合体は、患者へのインビボ投与のためにリポソームに容易に組み込まれうる。プロドラッグ複合体は非毒性であり、投与後、内因性還元剤への曝露または外因性還元剤への曝露により、複合体が分解されて、生物学的活性を有するその天然状態におけるマイトマイシンCが生成される。
本明細書に記載の方法をサポートする研究は、プロドラッグ複合体であるパラ-ジアシルジグリセロールジチオベンザル-マイトマイシンCを用いた。該複合体を、実施例1に記載したとおりに合成し、また、実施例1に記載のように、リポソームデリバリービヒクルに組み込んだ。
B.葉酸標的化リガンド
リポソームは、少なくとも部分的にリポソームの外表面に露出した標的化部分を含む。標的化部分は、リポソームの外表面に(共有結合的または非共有的に)会合し、標的組織または標的器官に対して親和性を有し得る任意のリガンドであり得る。いくつかの非限定的な標的化部分として、葉酸、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH);成長阻害ホルモン、ソマトスタチン、血漿タンパク質、トランスフェリン;抗Her2、抗EGFr、抗ヌクレオソームなどの標的特異的抗体が挙げられる。標的化部分は、典型的には、リポソーム中の総脂質含有量のモル比において、約0.05〜1.0%、0.1〜0.8%、または0.1〜0.5%である。
膀胱がんを治療する方法において、葉酸標的化部分を含むリポソーム組成物が提供される。リポソームは、リポソーム形成脂質(1つまたは複数)および葉酸複合体を含む。1つの特定の実施態様では、HSPC、コレステロール、mPEG-DSPE、および葉酸塩リガンド複合体について、リポソーム成分のモル比は、これに限定されるものではないが、55:30:10:5:0.5である。
標的化リポソームは、リポソームの当業者に知られている任意の方法によって調製されうる。1つの実施態様では、標的化リポソームは、標的化部分と、リポポリマーなどの膜形成成分との間の複合体を用いることによって調製される。複合体は、リポソーム形成脂質と混合して標的化リポソームを形成することができるか、または複合体のリポポリマー部分をリポソーム膜に取り込むことができる条件下で、予め形成されたリポソームと混合(インキュベート)されうる。1つの実施態様では、複合体は、葉酸-PEG5000-DSPEまたは葉酸-PEG3350-DSPEなどの葉酸とPEG-脂質の複合体であり、ここで、下付き文字の数字はPEGの分子量を示す。
C.リポソーム脂質、その他の成分および製造
リポソームは、少なくとも1つのリポソーム形成脂質、典型的には少なくとも1つのリン脂質を含み、内部リポソーム水性相/コアを囲むリポソーム二重層膜を形成する。本明細書中で使用される用語「リポソーム形成脂質」は、頭部基の少なくとも1つ、好ましくは2つのヒドロキシル基が1つ以上のアシル、アルキルまたはアルケニル鎖、リン酸基、好ましくはアシル鎖(アシルまたはジアシル誘導体を形成する)、上記の任意の組み合わせ、および/またはそれらの誘導体で置換されたグリセロール骨格を有する脂質を意味し、頭部基に化学的に反応性の基(アミン、酸、エステル、アルデヒドまたはアルコールなど)を含むことができ、それによって極性頭部基を提供することができる。典型的には、置換鎖、たとえば、アシル、アルキルまたはアルケニル鎖は、約14〜約24個の炭素原子の長さであり、さまざまな程度の飽和度を有し、したがって、完全に、部分的に水素添加されるか、または水素添加されない(リポソーム形成)脂質を生じる。
さらに、脂質は、天然源、半合成または完全合成脂質であってもよく、中性、負または正に帯電していてもよい。ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)などのリン脂質;卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC);ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS);1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、および12〜24個の炭素原子のアシルまたはアルキル鎖を有するスフィンゴミエリン(SM)などのスフィンゴリン脂質などの、さまざまな合成小胞形成リン脂質および天然小胞形成リン脂質が存在する。
比較的高いTmを有する脂質は「剛性」脂質と称され、典型的には、飽和した長いアシル鎖を有する脂質であるが、比較的低いTmを有する脂質は「流体」脂質と称される。リポソームの流動性または剛性は、リポソーム形成脂質として使用するために予め決定された流動性/剛性を有する脂質を選択することによって決定することができる。1つの実施態様によれば、リポソームを形成する脂質のTmは、好ましくは、30℃以上または40℃以上である。
脂質形成リポソームであり、30℃を超えるTmを有するものの非限定的な例は、16個以上の炭素原子を有する2つのアシル(またはアルキル)鎖を有するホスファチジルコリン(PC)およびその誘導体を含む。本発明の文脈において低透過性リポソームの基礎を形成するPC誘導体のいくつかの好ましい例として、これらに限定されるものではないが、52℃のTmを有する水添大豆PC(HSPC)、41.3℃のTmを有するジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、41.2℃のTmを有するN-パルミトイルスフィンゴミエリン、55℃のTmを有するジステアリルホスファチジルコリン(DSPC)、48℃のTmを有するN-ステアロイル スフィンゴミエリン;55℃のTmを有するジステアリオールホスファチジルグリセロール(DSPG)、35℃のTmを有する部分水添ホスファチジルコリン(PHPC);および68℃のTmを有するジステアリルホスファチジルセリン(DSPS)が挙げられる。上記のTm温度データは、当業者には公知である、http://www.avantilipids.com相転移温度またはhttp://www.lipidat.tcd.ie.から得られる。当業者は、25℃以上、30℃以上または40℃以上のTmを有する脂質をどのように選択するかを知っている(Barenholz、Y.、Curr. Opin. Colloid Interface Sci. 6、66-77 (2001);Barenholz、Y. and Cevc、G.、Structure and properties of membranes. In Physical Chemistry of Biological Surfaces (Baszkin、A. and Norde、W.、eds.)、Marcel Dekker、NY (2000) pp. 171-2411)も参照)。
リポソームは、膜の自由体積を減少させ、それによりそこに充填された材料の透過性および漏出を減少させるために、膜活性ステロール(たとえば、コレステロール)および/またはホスファチジルエタノールアミンをさらに含み得る。1つの実施態様では、膜は、コレステロールを含む。ステロールの添加は、リポソームの透過性に影響を及ぼすことが知られている。
リポソームはまた、親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含んでもよく、用語「リポポリマー」によって知られている新しい実体を形成することができる。リポポリマーは、好ましくは、分子量750ダルトン(Da)以上を有するポリマーでその頭部基を修飾された脂質(リポソーム形成脂質、ならびに脂質に由来しない脂質、たとえば、ホスファチジルエタノールアミン)を含む。頭部基は、極性または無極性であり得るが、大きい(>750Da)、高度に水和された(頭部群当たり少なくとも60分子の水)、可撓性ポリマーが結合される極性頭部基であるのが好ましい。脂質領域への親水性ポリマー頭部基の結合は、共有結合であっても非共有結合であってもよい;しかしながら、共有結合を介するのが好ましい(任意にリンカーを介して)。インビボで長い血液循環寿命を有するリポソームを提供するために、親水性ポリマー鎖の最表面コーティングが効果的である。例は、Tirosh et al. (Tirosh et al.、Biopys.J.、74(3):1371-1379、(1998))および米国特許第5,013,556号;5,395,619号;5,817,856号;6,043,094号;および6,165,501号;ならびにWO 98/07409に記載されており、これらは、参照することにより本願に組み込まれる。リポポリマーは、非イオン性ポリマー(中性リポポリマーまたは非荷電性リポポリマーとも称される)または正味負または正味正電荷を有するリポポリマーであってもよい。
脂質に結合し得る多数のポリマーが存在する。脂質変性剤として典型的に使用されるポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:ポリエチレングリコール(PEG)、ポリシアル酸、ポリ乳酸(ポリラクチドとも称される)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも称される)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリアスパルトアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどの誘導体化セルロース。ポリマーは、ホモポリマーとして、またはブロックコポリマーまたはランダムコポリマーとして使用することができる。
リポポリマーは、以下の2つの異なる方法のいずれかでリポソームに導入されうる:(a)リポポリマーを脂質混合物に加え、それによってリポソームを形成させ、そこでリポポリマーを組み込み、リポソーム二重層の内側および外側の小葉に露出させる(Uster P. S. et al. FEBBS Letters 386:243 (1996));または(b)最初にリポソームを調製し、次いで、リポポリマーを、リポポリマーおよびリポソーム形成脂質のTmより上の温度でのインキュベーションによるか、またはマイクロ波照射への短期間の曝露のいずれかによって予め形成したリポソームの外側の小葉に組み込む。
リポポリマー内に誘導体化された脂質は、中性、負に荷電または正に電荷であってもよく(すなわち、特定の荷電または非荷電に限定されない)、リポポリマーに誘導体化される最も一般的に使用され市販されている脂質は、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、通常はジステアリルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)に基づく脂質である。
本発明で使用することができる特定の一群のリポポリマーとして、DSPEに結合したモノメチル化PEGが挙げられる(PEG鎖の長さはさまざまであり、本明細書ではメチル化PEGは略語PEGで示される)、ここで、このPEGポリマーはカルバメート結合を介して脂質に結合し、負に荷電したリポポリマーを生成する。他のリポポリマーは、中性メチルポリエチレングリコールジステアロイルグリセロール(mPEG-DSG)および中性メチルポリエチレングリコールオキシカルボニル-3-アミノ-1,2-プロパンジオールジステアロイルエステル(mPEG-DS)である(Garbuzenko O. et al.、Langmuir、21:2560-2568(2005))。PEGは、好ましくは、PEG頭部基の分子量が約750Da〜約20,000Daである。より好ましくは、分子量は、約750Da〜約12,000Daであり、最も好ましくは、約1,000Da〜約5,000Daである。本明細書で使用される特定のPEG-DSPEの1つは、2000Daの分子量を有するPEG部分であり、本明細書ではPEG2000-DSPEと称される。もう1つの実施態様では、葉酸標的化リガンドの結合に利用されるPEG分子は、リポソーム形成のために利用されるリポポリマーを形成する際に利用されるPEGの分子量よりも大きい分子量を有する。このような方法で、葉酸ターゲティングリガンドは、リポソームを取り囲むPEG鎖によって立体障害されることはない。1つの実施態様では、葉酸標的化リガンドの結合に利用されるPEGは、3350ダルトンより大きい分子量、好ましくは、3350〜10,000ダルトン、および好ましくは、3350〜6000ダルトンを有し、リポソーム形成において利用されるリポポリマーを形成する際に利用されるPEGは、5000ダルトン未満の分子量、好ましくは、3350ダルトン未満、および好ましくは、750〜5000ダルトンまたは500〜3500ダルトンを有する。
そのような誘導体化脂質を含むリポソームにおいては、典型的には、そのような誘導体化脂質の1〜20モル%をリポソーム製剤に含む。
リポソームは、他の成分を含んでいてもよい。たとえば、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG、約41℃のTm)などのホスファチジルグリセロールなどの電荷誘導脂質が、ベシクル-ベシクル融合を減少させ、細胞との相互作用を増加させるために、リポソーム二重層に組み込まれてもよい。リポソーム表面のpHを中性に近くするのに適したpHの緩衝液は、加水分解を減少させることができる。ビタミンEなどの抗酸化剤またはデフェロキサミン(デスフェラール)もしくはジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)などのキレート剤の添加を用いることができる。
本開示によるリポソームは、典型的には、約70nm〜130nmの間の直径、または約80nm〜110nmの間の直径を有する。リポソームは、単層、二層、または時おり、多層であってもよい。1つの実施態様では、リポソームは、小さな単層ベシクル(SUV)であるが、リポソームの集団には、1つ以上のラメラを持ついくつかのリポソームも包含される。
D.治療方法のサポートにおける例示的研究
第1の研究では、実施例1に記載されているように、マイトマイシンCのプロドラッグ複合体を調製し、リポソームに組み込んだ。リポソームに組み込まれたマイトマイシンC-プロドラッグ複合体は、「リポソームマイトマイシンCプロドラッグ」と称される。上述したように、リポソームを「葉酸標的化マイトマイシンCプロドラッグリポソーム」または「葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグ」と称する。
T24ヒト膀胱がん細胞を用いて、リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を、研究した。図1は、さまざまな濃度のマイトマイシンCに暴露された細胞培養物についてのインビトロでの、対照(未処理)細胞に対するパーセントとして、μMで、(i)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(白丸);(ii)遊離マイトマイシンC(黒丸);(iii)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ+500μM ジチオスレイトール(DTT(白四角);(iv)遊離マイトマイシンC+500μM ジチオスレイトール(黒四角);の形で提供される、T24ヒト膀胱がん細胞の増殖を示す。この研究は、リポソームマイトマイシンCプロドラッグ組成物が、外因的に添加されたジチオスレイトールのような還元剤によってリポソームマイトマイシンCプロドラッグが活性化されるとき、がん細胞の増殖を遅らせることを示している。インビボでは、還元剤が細胞表面に内因的に存在してもよく、または外因的に添加されてもよいことが理解される。還元剤で活性化された場合のリポソームマイトマイシンCプロドラッグの組成物は、遊離マイトマイシンCと同様に細胞増殖を阻害するのに有効である。
実施例3に記載されている別の研究では、放射性標識脂質(コレステロール)を用いて、マイトマイシンCプロドラッグを有するリポソームを調製した。リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む放射性標識組成物と、葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む放射性標識組成物を製造し、T24(HiFR)ヒト膀胱がん細胞への取り込みを試験した。図2は、リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(白棒)および葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(黒棒)への3時間インビトロ暴露後の、T24葉酸受容体過剰発現(HiFR)ヒト膀胱がん細胞への取り込みを示す棒グラフである。葉酸標的化リポソームは、葉酸標的化部分が欠けているリポソームより約3倍多く細胞に取り込まれた。したがって、1つの実施態様では、膀胱がんを有する患者に、葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を投与して、細胞内のマイトマイシンC濃度を、葉酸標的化部分が欠けているリポソームマイトマイシンCプロドラッグの組成物に対して、2倍または3倍増加させる。
実施例4に記載された別の研究は、さまざまな濃度の遊離マイトマイシンC、リポソームマイトマイシンCプロドラッグおよび葉酸標的化リポゾームマイシンCプロドラッグに24時間暴露した後のT24(HiFR)ヒト膀胱がん細胞のインビトロ細胞増殖を比較した。図3に示されるように、T24ヒト膀胱がん細胞の増殖は、薬物濃度の増加とともに減少し、ここで、細胞増殖の減少は、リポソームマイトマイシンCプロドラッグに曝露された細胞(黒四角)と比較して、葉酸標的化リポゾームマイトマイシンCプロドラッグ(白丸)に暴露された細胞の方が大きい。遊離マイトマイシンC(黒丸)に曝露された細胞は、最も増殖が遅かった。
また、インビボ研究を実施したが、それを実施例5に記載する。この研究では、ラットを、膀胱内注入によってリポソームマイトマイシンCプロドラッグ;または葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグで処理した。対照として、他のラットをリン酸緩衝生理食塩水またはマイトマイシンCで処理した。試験(または対照)組成物の注入から1時間後に、血液、尿および各種臓器を採取し、リポソームマイトマイシンC-プロドラッグおよびマイトマイシンCの濃度を測定した。結果を第1〜3表に示す。
第2表のデータは、膀胱内注入を介してリポソームマイトマイシンCプロドラッグで処理するか、または葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグで処理した後の血液中にリポソームマイトマイシンC-プロドラッグが検出されなかったことを明らかにし、これは、リポソームが膀胱から血液循環に漏出しなかったことを示している。膀胱組織におけるリポソームマイトマイシンCプロドラッグのレベル(第3表)は、リポソームマイトマイシンCプロドラッグで処置した群と比較して、葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグで処置した動物においてより高かった。葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグの試料で処理した動物の尿中のリポソームマイトマイシンCプロドラッグのレベル(第1表)は、リポソームマイトマイシンCプロドラッグで処理した動物の試料で測定されたレベルより低かった。これらの結果は、膀胱における葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグの取り込みが、リポソームマイトマイシンCプロドラッグと比較して、より高いことを示す。したがって、1つの実施態様では、治療方法は、少なくとも約20分、30分、45分、1時間、または2時間の期間にわたって、膀胱内注入によって、葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を投与することを企図し、ここで、処理されている対象の血液中に測定可能な量のマイトマイシンC-リポソームプロドラッグがないことによって証明されるように、投与された組成物はベシクル(たとえば、膀胱)内に留まる。
第1表:膀胱内注入の1時間後における尿中のマイトマイシンCおよびマイトマイシンCリポソームプロドラッグ濃度
Figure 2021035973


1MLP=マイトマイシンC-リポソームプロドラッグ;2n.a。=適用せず
第2表:膀胱内注入の1時間後における血漿中のマイトマイシンCおよびマイトマイシンCリポソームプロドラッグ濃度
Figure 2021035973


1MLP=マイトマイシンC-リポソームプロドラッグ;2n.a。=適用せず
第3表:膀胱内注入の1時間後における膀胱組織中のマイトマイシンCおよびマイトマイシンCリポソームプロドラッグ濃度
Figure 2021035973


1MLP=マイトマイシンC-リポソームプロドラッグ;2n.a。=適用せず
上記から、葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームが個体に投与される、膀胱がんの治療方法が提供されることが理解されるであろう。リポソームは、膀胱がんの治療のための治療有効量のマイトマイシンCを生じる量で投与される。プロドラッグは、インビボ投与後、マイトマイシンCがリポソームから放出されるように親油性部分に放出可能に結合したマイトマイシンCの複合体である。インビボ研究は、活性薬剤、マイトマイシンCのリポソームプロドラッグが膀胱内に残留しており、薬剤が血液循環に実質的に取り込まれないことを実証した。
1つの実施態様では、葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームは、膀胱内注入を介して膀胱内へ投与される。投与されるリポソームは、約15分〜約4時間、または約15分〜約2時間の間、膀胱内に保持されうる。
葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームは、単純な緩衝溶液中で投与することができ、またはポリマーまたは増粘剤などの医薬的に許容される賦形剤を含む組成物中に含めることができる。1つの実施態様では、組成物は、葉酸標的化リポゾームマイトマイシンCおよび膀胱内でのリポソームの保持を増加させるポリマー材料を含む。
この方法は、膀胱がんの任意のステージまたはグレードを有する個体を治療する際に使用することが企図され、好ましい実施態様では、ステージ0膀胱がんまたはグレードI膀胱がんを有する個体、および低グレードまたは高グレード膀胱がんを有する個体を治療することが意図される。ステージ0の膀胱がんとして、非侵襲性乳頭癌(Ta)および上皮内非侵襲性癌(Tis)が挙げられる。いずれの場合でも、がんは内層を越えて膀胱壁に侵入していない。ステージI膀胱がんは膀胱壁の結合組織層内へ増殖しているが、筋層には到達していない。
使用した実際の投与量は、患者の要件および膀胱がんの重篤度に応じて変化しうる。特定の状況のための適切な投与量の決定は、当業者の熟練の範囲内である。また、熟練した臨床医の知識にしたがって、投与される治療剤(すなわち、抗新生物剤または放射線)の観察される効果を考慮して、そして、投与される治療剤に対する疾患の観察された反応を考慮して、治療プロトコル(たとえば、投与量および投与回数)を変えることができる。
実施例
以下の実施例は本質的に例示的なものであり、決して限定するものではない。
葉酸標的化マイトマイシンCプロドラッグリポソーム製造
A.リポソーム-マイトマイシンCプロドラッグの製造
親油性部分、パラ-ジアシルジグリセロールジチオベンジル-マイトマイシンCに放出可能に結合したマイトマイシンCのプロドラッグ複合体を、米国特許第7,303,760号(参照することにより本願に組み込まれる)の実施例2に記載されているように合成した。
パラ-ジアシルジグリセロールジチオベンジル-マイトマイシンCプロドラッグ複合体を、米国特許第7,303,760号(参照することにより本願に組み込まれる)の実施例3Aに記載されているようにリポソームに組み込んだ。パラ-ジアシルジグリセロールジチオベンジル-マイトマイシンCプロドラッグ複合体を含むリポソームを「リポソームマイトマイシンCプロドラッグ」と称する。
B.葉酸標的化リポソーム-マイトマイシンCプロドラッグの製造
葉酸-誘導体化PEG5000-DSPEを、Gabizon et al. (Gabizon、A. et al. Bioconjugatre Chemistry、10(2):289-98、1999)によって記載されたように合成した。葉酸-親油性複合体(葉酸-PEG5000-DSPE、MW=4051 Da)を、総リン脂質含量に対して0.5モル比でリポソームマイトマイシンCプロドラッグに加えた。葉酸-PEG5000-DSPEを乾燥形態で秤量し、リポソームマイトマイシンCプロドラッグ含有緩衝液に懸濁し、リポソームマイトマイシンCプロドラッグの脂質二重層への葉酸-PEG5000-DSPEの組み込みのために振とうしながら45℃にて2時間インキュベートした。次いで、リポソーム懸濁液を冷却し、遠心分離(3000rpmにて10分間)して、組み込まれなかった葉酸-PEG5000-DSPEを除去した。
先に記載されたように(Gabizon et al.、1999、前述)、葉酸-PEG5000-DSPEリポソーム含量を、3%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中で1:10に希釈してリポソームを破壊した後、284nmにて分光光度法で測定した。
リポソーム-マイトマイシンCプロドラッグのインビトロ細胞毒性
リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を実施例1Aに記載のように製造した。T24ヒト膀胱がん細胞を得、培養した。以下の組成物の存在下での細胞の増殖を、インビトロで試験した:(i)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ(白丸);(ii)遊離マイトマイシンC(黒丸);(iii)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ+500μM ジチオスレイトール(DTT(白四角);(iv)遊離マイトマイシンC+500μM ジチオスレイトール(黒四角)。結果を図1に示す。
葉酸標的化リポソーム-マイトマイシンCプロドラッグのインビトロ取り込み
両者とも放射性標識されたコレステロールを含む、リボソームマイトマイシンCプロドラッグおよび葉酸標的化リボソームマイシンシンプロドラッグを含む組成物を、実施例1A-1Bに記載したように製造した。T24ヒト膀胱がん細胞を得、培養した。各組成物に3時間暴露した後、ヒト膀胱がん細胞への組成物の取り込みを測定した。結果を図2に示す。
葉酸標的化リポソーム-マイトマイシンCプロドラッグのインビトロ細胞毒性
リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を実施例1Aに記載のように製造した。葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を実施例1Bに記載のように製造した。
T24ヒト膀胱がん細胞を得、培養した。以下の組成物の存在下での細胞の増殖を、インビトロで試験した:(i)リポソームマイトマイシンCプロドラッグ;(ii)遊離マイトマイシンC;および(iii)葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグ。結果を図3に示す。
リポソーム-マイトマイシンCプロドラッグおよび葉酸標的化リポソーム-マイトマイシンCプロドラッグのインビボ投与
リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を実施例1Aに記載のように製造した。葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグを含む組成物を実施例1Bに記載のように製造した。
9匹の健康なラットを、以下のうちの1つを含む膀胱内注入による処理のために4つの試験群に分けた:
グループ1:リン酸緩衝生理食塩水(PBS);グループ2:遊離マイトマイシンC(MMC);グループ3:リポソームマイトマイシンCプロドラッグ;およびグループ4:葉酸標的化リポソームマイトマイシンCプロドラッグ。
試験(または対照)組成物の注入から1時間後に、血液、尿および各種臓器を採取し、リポソームマイトマイシンC-プロドラッグおよびマイトマイシンCの濃度を測定した。結果を第1〜3表に示す。
いくつかの例示的な態様および実施態様が上記で議論されてきたが、当業者は、それらの特定の変更、置換、追加およびサブコンビネーションを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲および今後の特許請求の範囲は、その真の趣旨および範囲内にあるそのようなすべての変更、置換、追加およびサブコンビネーションを含むと解釈されることを意図するものである。
A.リポソームマイトマイシンCプロドラッグ
1つの実施態様では、本明細書に記載の方法における使用のために提供されるマイトマイシンCのリポソームプロドラッグ複合体は、親油性または疎水性部分に放出可能に結合されたマイトマイシンCを含み、一般的に、以下の形態:
Figure 2021035973
[式中、Lは、疎水性部分であり、R 1 は、ジチオベンジル部分に共有的に結合するマイトマイシンC残基を表す
である。CH2R1基の配向は、オルト位およびパラ位から選択される。複合体の合成は、米国特許番号第6,365,179号;6,984,396号;および7,303,760号に記載され、それぞれは、参照することにより本願に組み込まれる。

Claims (7)

  1. 葉酸標的化部分およびマイトマイシンCのプロドラッグを含むリポソームを、膀胱がんの治療のための治療有効量のマイトマイシンCを生じる量で、膀胱がん有する個体に投与することを含む、膀胱がんの治療方法。
  2. プロドラッグが、親油性部分に放出可能に結合されたマイトマイシンCの複合体である、請求項1に記載の方法。
  3. 投与が、膀胱内注入を介する投与を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. リポソームを、約15分〜約2時間の期間、膀胱内に保持することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 個体に還元剤を投与して、結合した親油性部分からのマイトマイシンCのプロドラッグ複合体の放出を開始することをさらに含む、請求項2〜4のいずれか1つに記載の方法。
  6. 膀胱がんを有する個体が、ステージ0の膀胱がんまたはステージIの膀胱がんを有する個体である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
  7. 膀胱がんを有する個体が、低グレードまたは高グレードの棒湖岸を有する個体である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
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