JP2021032249A - 車両用学習制御システム、車両用制御装置、および車両用学習装置 - Google Patents

車両用学習制御システム、車両用制御装置、および車両用学習装置 Download PDF

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洋介 橋本
章弘 片山
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章弘 片山
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Yuta Oshiro
裕太 大城
和紀 杉江
Kazuki Sugie
和紀 杉江
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Naoya Oka
尚哉 岡
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Abstract

【課題】様々な状況で写像の出力が正しい値となるかを検証することができるようにした学習制御システムを提供する。【解決手段】車両内の記憶装置76には、実用写像データ76aと評価写像データ76bとが搭載されており、CPU72は、それら各写像データによって規定される写像に基づき失火の有無を判定する。CPU72は、2つの判定結果が不一致となる場合、評価写像データ76bによって規定される写像の入力としたクランク軸の回転速度に関するデータに加えて、入力としたデータに隣接する回転速度に関するデータを、データ解析センター100に送信する。データ解析センター100では、評価写像データ76bによる判定結果の妥当性を検証する。【選択図】図1

Description

本発明は、機械学習を用いた車両用学習制御システム、車両用制御装置、および車両用学習装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、回転速度の変化量である回転変動量を入力とし、内燃機関の複数の気筒のそれぞれで失火が生じたか否かを示す値を出力するニューラルネットワークを備えた装置が提案されている。
特開平4−91348号公報
ところで、一般に機械学習によって学習された学習済みモデルの信頼性を高めるうえでは、様々な状況における訓練データを用いて学習させておく必要がある。しかし、車両に搭載する以前においては、実際に車両に搭載された場合に生じうる様々な状況について必ずしも十分な訓練データを得られるとは限らない。そして、十分な訓練データが得られない場合には、上記ニューラルネットワークが車両に搭載された場合に様々な状況で正しい値を出力するか否かを、検証することが困難である。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.実行装置と、記憶装置と、を備え、前記記憶装置には、車載センサの検出値であって時系列的に前後する複数の検出値に基づく入力データを入力とし車両の既定の状態に関する情報を有した所定の出力値を出力する写像を規定するデータであって機械学習によって学習されたデータを含む写像データが記憶されており、前記実行装置は、前記入力データを取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記入力データを前記写像の入力として前記所定の出力値を算出する算出処理と、前記入力データを生成した際に用いた前記複数の検出値と、当該入力データに用いた前記検出値とは時系列的に前後する1または複数の検出値とに基づくデータを含んだ時系列データと、を前記車両の外部に送信する送信処理と、を実行する車両用制御装置である。
上記構成では、写像の出力値を算出するために用いた入力データを含んだ時系列データを、車両の外部に送信する。この送信処理は、車両に搭載された車両用制御装置が実行することから、様々な状況におけるデータを送信可能である。したがって、上記構成では、車両の外部において、様々な状況における写像の出力値が正しいか否かを検証することができる。しかも、送信する時系列データには、入力データに用いた検出値とは時系列的に前後する1または複数の検出値に基づくデータが含まれることから、入力データに用いた検出値に基づくデータのみを送信する場合と比較して、検証をするうえでより多くの情報を提供することができる。
2.前記写像は、第2写像であり、前記写像データは、第2写像データであり、前記入力データは、第2入力データであり、前記所定の出力値は、第2出力値であり、前記取得処理は、第2取得処理であり、前記算出処理は、第2算出処理であり、前記記憶装置は、前記車載センサの検出値に基づく第1入力データを入力とし前記既定の状態に関する情報を有した出力値である第1出力値を出力する第1写像を規定するデータである第1写像データを記憶しており、前記実行装置は、前記車載センサの検出値に基づく前記第1入力データを取得する第1取得処理と、前記第1取得処理によって取得された前記第1入力データを前記第1写像の入力として前記第1出力値を算出する第1算出処理と、前記第1出力値と前記第2出力値とが整合するか否かを判定する判定処理と、を実行し、前記送信処理を、前記判定処理によって整合しないと判定する場合に実行する上記1記載の車両用制御装置である。
上記構成では、第1写像を備えることにより、第1出力値と第2出力値とが整合している場合には、第2出力値が少なくとも第1出力値と同程度に信頼できるとして、送信処理を実行しない。そのため、上記構成では、判定処理の判定結果によらずに第2出力値の算出に用いた検出値に基づく時系列データを常時送信する場合と比較して、通信負荷を軽減できる。
3.前記車載センサは、前記車両に搭載される内燃機関のクランク角センサであり、前記入力データは、前記内燃機関の圧縮上死点の出現間隔よりも小さい角度間隔における前記内燃機関のクランク軸の回転速度である瞬時速度の互いに異なる前記角度間隔における値同士の相違に関する情報を含む変数である回転波形変数であり、前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されたときの前記第2出力値の算出に用いられた前記回転波形変数によって示される前記瞬時速度同士の相違に関する情報が含まれる前記角度間隔と、該角度間隔とは時系列的に前または後に生じた前記角度間隔と、のそれぞれにおける前記瞬時速度を示す変数である瞬時速度変数を含む上記2記載の車両用制御装置である。
上記構成では、第2出力値の算出に用いた回転波形変数に対応する瞬時速度変数のみならず、同瞬時速度変数とは時系列的に前後する瞬時速度変数が送信処理によって送信される。これにより、第2出力値の算出に用いた回転波形変数に対応する瞬時速度変数のみが送信される場合と比較すると、車両の外部に、クランク軸の回転挙動についてのより詳細な情報を提供することができる。
4.前記角度間隔は、第2間隔であり、前記回転波形変数は、前記第2間隔よりも大きい第1間隔に含まれる連続する複数の前記第2間隔のそれぞれにおける前記瞬時速度変数自体によってそれら前記瞬時速度変数同士の差を示す変数として構成された時系列データであり、前記送信処理によって送信される前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されるときにおける前記複数の前記第2間隔のそれぞれにおける前記瞬時速度変数に加えて、当該第1間隔に隣接して且つ連続する複数の前記第2間隔のそれぞれにおける前記瞬時速度変数を含む上記3記載の車両用制御装置である。
上記構成では、第1間隔とこれに隣接する間隔との双方に関する、連続する複数の第2間隔のそれぞれにおける瞬時速度変数が送信処理によって送信されることから、間欠的な間隔の瞬時速度変数のみを送信する場合と比較して、クランク軸の回転挙動についてのより詳細な情報を提供することができる。
5.前記第1出力値および前記第2出力値は、いずれも失火の有無に関する出力値であり、前記送信処理によって送信される前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されるときにおける前記第2出力値の算出に用いた前記回転波形変数に関する前記瞬時速度変数と、前記判定処理によって整合していると判定されるときにおける前記瞬時速度変数とを含む上記3または4記載の車両用制御装置である。
上記構成では、整合していると判定しているときにおける瞬時速度変数をも送信対象とすることにより、整合していないと判定されるときにおける瞬時速度変数のみを送信する場合と比較して、クランク軸の回転挙動がどのような場合に整合しなくなるのかを見極めやすい。
6.前記送信処理によって送信される前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されるときにおける前記瞬時速度変数と、前記判定処理によって整合しないと判定される状態から整合していると判定される状態に移行した際の当該整合していると判定される状態における前記瞬時速度変数とを含む上記5記載の車両用制御装置である。
上記構成では、判定処理によって整合しないと判定される状態から整合していると判定される状態に移行した際の当該整合していると判定される状態における瞬時速度変数を送信対象とする。これにより、整合していない状態から整合している状態へと復帰する前後のクランク軸の回転挙動の情報を提供できることから、整合していないと判定されるときにおける瞬時速度変数のみを送信する場合と比較して、クランク軸の回転挙動がどのような場合に整合しなくなるのかを見極めやすい。
7.前記実行装置は、前記車両の走行の終了時に前記送信処理を実行する上記1〜6のいずれか1つに記載の車両用制御装置である。
上記構成では、送信処理を車両の走行の終了時に実行することにより、車両の走行時に送信処理を実行する場合と比較して、車両の走行時における車両用制御装置の演算負荷を軽減できる。
8.上記2〜6のいずれか1つに記載の前記実行装置は、前記車両に搭載される第1実行装置であり、前記第1実行装置および前記記憶装置と、車載装置とは別の第2実行装置とを備え、前記第2実行装置は、前記送信処理によって送信された前記時系列データを受信する受信処理と、前記受信処理によって受信された前記時系列データに基づき、前記第2写像を再学習させるデータである再学習データを生成する再学習データ生成処理と、前記再学習データ生成処理によって生成されたデータに基づき、前記第2写像データを再学習させる再学習処理と、を実行する車両用学習制御システムである。
上記構成では、整合しないと判定された際の第2写像への入力データに基づき、第2写像データを再学習させることができることから、第2写像を、車両の様々な状況において精度の良い値を出力するものとすることが可能となる。なお、第2実行装置が「車載装置とは別」であることは、第2実行装置が車載装置ではないことを意味する。
9.前記再学習データ生成処理は、前記送信処理によって送信された前記時系列データを表示装置に表示させる表示処理と、前記第2写像の出力値に誤りがあるか否かの情報を取り込む妥当性判定結果取込処理と、前記妥当性判定結果取込処理によって取り込んだ情報に基づき、前記第2写像データを更新するためのデータを生成する処理と、を含む上記8記載の車両用学習制御システムである。
上記構成では、送信処理によって送信された第2写像への入力データ等の情報を表示装置に表示することにより、第1写像および第2写像とは別に、第2入力データの情報等から車両の状態を判定しうる主体によって、第2写像の出力の妥当性について検討することができる。そして、妥当性判定結果取込処理によって同主体による判定結果を取り込むことにより、表示対象となった入力データを、第2写像データを更新するための再学習データとすべきかを定めることができる。
10.前記記憶装置は、前記車両に搭載される第1記憶装置であり、車載装置とは別の第2記憶装置を備え、前記第2記憶装置には、前記車載センサの検出値に基づくデータを入力とし前記既定の状態に関する情報を有した第3出力値を出力する第3写像を規定する第3写像データが記憶されており、前記再学習データ生成処理は、前記送信処理によって送信された前記時系列データを前記第3写像に入力して前記第3出力値を算出する第3算出処理と、前記第3算出処理の算出結果と前記第2算出処理の算出結果との整合性の有無に基づき、前記第2写像データを更新するためのデータを生成する処理と、を含む上記8記載の車両用学習制御システムである。
上記構成では、第3出力値と第2出力値との整合性の有無を判定することにより、第2出力値の妥当性を検証することができ、ひいては再学習用のデータとすべきか否かを判定することができる。なお、第2記憶装置が「車載装置とは別」であることは、第2記憶装置が車載装置ではないことを意味する。
11.前記第2実行装置は、前記再学習処理によって学習された再学習済みのパラメータを前記車両へと送信するパラメータ送信処理を実行し、前記第1実行装置は、前記パラメータ送信処理によって送信された前記パラメータを受信するパラメータ受信処理を実行する上記8〜10のいずれか1つに記載の車両用学習制御システムである。
上記構成では、再学習済みのパラメータを車両側で受信することにより、車両側において受信したパラメータを利用することにより、第2写像データを更新することが可能となる。
12.上記11記載の前記第1実行装置を備える車両用制御装置である。
13.上記8〜12のいずれか1つに記載の前記第2実行装置を備える車両用学習装置である。
第1の実施形態にかかる学習制御システムの構成を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかるシステムが実行する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる送信データを示す図。 第2の実施形態にかかる学習制御システムの構成を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかるシステムが実行する処理の手順を示す流れ図。
<第1の実施形態>
以下、車両用学習制御システムにかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す車両VC1に搭載された内燃機関10において、吸気通路12には、スロットルバルブ14が設けられている。吸気通路12から吸入された空気は、吸気バルブ16が開弁することによって各気筒#1〜#4の燃焼室18に流入する。燃焼室18には、燃料噴射弁20によって燃料が噴射される。燃焼室18において、空気と燃料との混合気は、点火装置22の火花放電によって燃焼に供され、燃焼によって生じたエネルギは、クランク軸24の回転エネルギとして取り出される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ26の開弁に伴って、排気として、排気通路28に排出される。排気通路28には、酸素吸蔵能力を有した触媒30が設けられている。
内燃機関10のクランク軸24には、トルクコンバータ50を介して変速装置54の入力軸56が連結可能となっている。トルクコンバータ50は、ロックアップクラッチ52を備えており、ロックアップクラッチ52が締結状態となることにより、クランク軸24と入力軸56とが連結される。変速装置54の出力軸58には、駆動輪60が機械的に連結されている。
クランク軸24には、クランク軸24の複数個の回転角度のそれぞれを示す歯部42が設けられたクランクロータ40が結合されている。なお、本実施形態では、34個の歯部42を例示している。クランクロータ40には、基本的には、10°CA間隔で歯部42が設けられているものの、隣接する歯部42間の間隔が30°CAとなる箇所である欠け歯部44が1箇所設けられている。これは、クランク軸24の基準となる回転角度を示すためのものである。
制御装置70は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量であるトルクや排気成分比率等を制御するために、スロットルバルブ14や、燃料噴射弁20、点火装置22等の内燃機関10の操作部を操作する。また、制御装置70は、トルクコンバータ50を制御対象とし、その制御量であるロックアップクラッチ52の係合状態を制御するためにロックアップクラッチ52を操作する。また、制御装置70は、変速装置54を制御対象とし、その制御量であるギア比を制御するために変速装置54を操作する。なお、図1には、スロットルバルブ14、燃料噴射弁20、点火装置22、ロックアップクラッチ52、および変速装置54のそれぞれの操作信号MS1〜MS5を記載している。
制御装置70は、制御量の制御に際し、欠け歯部44を除き10°CA毎に設けられた歯部42間の角度間隔毎のパルスを出力するクランク角センサ80の出力信号Scrや、エアフローメータ82によって検出される吸入空気量Gaを参照する。また、制御装置70は、水温センサ84によって検出される内燃機関10の冷却水の温度である水温THWや、外気温センサ86によって検出される外気温Ta、シフト位置センサ88によって検出される変速装置54のシフト位置Vsftを参照する。
制御装置70は、CPU72、ROM74、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである記憶装置76、通信機77および周辺回路78を備え、それらがローカルネットワーク79によって通信可能とされたものである。なお、周辺回路78は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。また、記憶装置76には、実用写像データ76aおよび評価写像データ76bが記憶されている。ここで、実用写像データ76aは、内燃機関10の失火を監視するために実際に利用しているデータである。これに対し、評価写像データ76bは、その信頼性の評価の対象となるデータであり、内燃機関10の失火を監視するために利用されているものではない。なお、評価写像データ76bは、機械学習による学習がある程度なされた状態で制御装置70に実装される。
制御装置70は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72が実行することによって、上記制御量の制御を実行する。詳しくは、ROM74には、失火検出プログラム74aや、再学習サブプログラム74bが記憶されている。ここで、再学習サブプログラム74bは、評価写像データ76bの再学習を実行するためのプログラムである。
上記通信機77は、車両VC1の外部のネットワーク110を介してデータ解析センター100と通信するための機器である。
データ解析センター100は、複数の車両VC1,VC2,…から送信されるデータを解析する。データ解析センター100は、CPU102、ROM104、記憶装置106、通信機107、および周辺回路108を備えており、それらがローカルネットワーク109によって通信可能とされるものである。ROM104には、複数の車両VC1,VC2,…から送信されたデータに基づき、評価写像データ76bを再学習させるためのデータを生成する処理を規定する再学習メインプログラム104aが記憶されている。また、記憶装置106には、複数の車両VC1,VC2,…から送信された、評価写像データ76bによって規定される写像を再学習させるためのデータである再学習用データ106aが記憶されている。
図2に、ROM74に記憶された失火検出プログラム74aをCPU72が実行することによって実現される処理の一部を示す。図2に示す処理は、実用写像データ76aを利用した処理である。図2に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
図2に示す一連の処理において、CPU72は、まず、微小回転時間T30を取得する(S10)。微小回転時間T30は、クランク軸24が30°CA回転するのに要する時間であり、クランク角センサ80の出力信号Scrに基づき、CPU72によって算出される。次にCPU72は、S10の処理において取得した最新の微小回転時間T30を、微小回転時間T30[0]とし、より過去の値ほど、微小回転時間T30[m]の変数「m」を大きい値とする(S12)。すなわち、「m=1,2,3,…」として、S12の処理がなされる直前における微小回転時間T30[m−1]を微小回転時間T30[m]とする。これにより、たとえば、図2の処理が前回実行されたときにS10の処理により取得された微小回転時間T30は、微小回転時間T30[1]となる。なお、微小回転時間T30[0],T30[1],T30[2],…のうち、時系列的に隣り合う微小回転時間T30同士は、互いに隣接する30°CAの角度間隔の回転に要する時間を示しており、それら角度間隔は重複した部分を持たない。
次に、CPU72は、S10の処理において取得された微小回転時間T30が、気筒#1〜#4のいずれかの圧縮上死点前30°CAから圧縮上死点までの角度間隔の回転に要する時間であるか否かを判定する(S14)。そしてCPU72は、圧縮上死点までの角度間隔の回転に要する時間であると判定する場合(S14:YES)、圧縮上死点となった気筒の失火の有無を判定すべく、判定対象となる気筒#iの回転変動量Δω(i)に、「T30[0]−T30[6]」を代入する(S16)。すなわち、失火の判定対象となる気筒の圧縮上死点前30°CAから圧縮上死点までの角度間隔の回転に要する時間から、失火の判定対象となる気筒の1つ前に圧縮上死点となる気筒の圧縮上死点前30°CAから圧縮上死点までの角度間隔の回転に要する時間を減算することによって、回転変動量Δωを定量化する。
次に、CPU72は、回転変動量Δω(i)が、規定量Δωth以上であるか否かを判定する(S18)。この処理は、失火の判定対象となる気筒において失火が生じたか否かを判定する処理である。ここで、CPU72は、規定量Δωthを、回転速度NEおよび充填効率ηに基づき可変設定する。
詳しくは、回転速度NEおよび充填効率ηを入力変数とし規定量Δωthを出力変数とするマップデータが記憶装置76に予め記憶された状態でCPU72により規定量Δωthがマップ演算される。なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とするのに対し、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
ちなみに、回転速度NEは、CPU72によりクランク角センサ80の出力信号Scrに基づき算出される。ここで、回転速度NEは、圧縮上死点の出現間隔(本実施形態では180°CA)よりも大きい角度間隔だけクランク軸24が回転する際の回転速度の平均値である。回転速度NEは、クランク軸24の1回転以上の回転角度だけクランク軸24が回転する際の回転速度の平均値とすることが望ましい。なお、ここでの平均値は、単純平均に限らず、たとえば、指数移動平均処理でもよく、要は、圧縮上死点の出現間隔程度で変動する高次成分が除去された低周波成分が算出されるものとすればよい。また、充填効率ηは、CPU72により、回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出される。
S16,S18の処理は、実用写像データ76aを用いた処理である。すなわち、実用写像データ76aは、微小回転時間T30[0]と微小回転時間T30[6]とを入力とし、判定対象となる気筒において失火が生じたか否かに応じた論理値を出力値として出力する写像を規定している。なお、ここでの論理値は、回転変動量Δω(i)が規定量Δωth以上である旨の命題が真であるか偽であるかに関する値である。
CPU72は、規定量Δωth以上であると判定する場合(S18:YES)、気筒#iにおいて失火が生じたと判定する(S20)。次に、CPU72は、気筒#iの失火カウンタCN(i)をインクリメントする(S22)。そしてCPU72は、失火カウンタCN(i)が初期化されている状態でS18の処理が最初に実行されてから所定期間が経過することと、後述のS28の処理がなされてから所定期間が経過することとの論理和が真であるか否かを判定する(S24)。そしてCPU72は、論理和が真であると判定する場合(S24:YES)、失火カウンタCN(i)が閾値CNth以上であるか否かを判定する(S26)。CPU72は、閾値CNth未満であると判定する場合(S26:NO)、失火カウンタCN(i)を初期化する(S28)。
これに対し、CPU72は、閾値CNth以上であると判定する場合(S26:YES)、図1に示す警告灯90を操作して、異常が生じた旨をユーザに報知する(S30)。
なお、CPU72は、S28,S30の処理が完了する場合や、S14,S24の処理において否定判定する場合には、図2に示す一連の処理を一旦終了する。
図3に、ROM74に記憶された失火検出プログラム74aをCPU72が実行することにより実現される処理の一部の手順を示す。図3に示す処理は、評価写像データ76bを用いた処理である。
図3に示す一連の処理において、CPU72は、まず、微小回転時間T30(1),T30(2),…T30(24)、回転速度NEおよび充填効率ηを取得する(S40)。ここで、微小回転時間T30(1),T30(2),…は、図2の微小回転時間T30[1],T30[2]…とは異なるものであり、特に、微小回転時間T30(1),T30(2),…は、カッコの中の数字が大きいほど、より後の値であることを示す。なお、微小回転時間T30(1)〜T30(24)のそれぞれは、720°CAの回転角度領域を30°CAで等分割した24個の角度間隔のそれぞれにおける回転時間である。
次にCPU72は、評価写像データ76bによって規定される写像の入力変数x(1)〜x(26)に、S40の処理によって取得した値を代入する(S42)。詳しくは、CPU72は、「s=1〜24」として、入力変数x(s)に微小回転時間T30(s)を代入する。すなわち、入力変数x(1)〜x(24)は、微小回転時間T30の時系列データとなる。また、CPU72は、入力変数x(25)に回転速度NEを代入し、入力変数x(26)に充填効率ηを代入する。
次にCPU72は、評価写像データ76bによって規定される写像に、入力変数x(1)〜x(26)を入力することによって、失火変数P(1)〜P(5)の値を算出する(S44)。ここで、「i=1〜4」とすると、失火変数P(i)は、気筒#iにおいて失火が生じた確率が高い場合に低い場合よりも大きい値となる変数である。また、失火変数P(5)は、気筒#1〜#4のいずれにおいても失火が生じていない確率が高い場合に低い場合よりも大きい値となる変数である。
詳しくは、評価写像データ76bによって規定される写像は、中間層が1層のニューラルネットワークである。上記ニューラルネットワークは、係数w(1)ji(j=0〜n,i=0〜26)と、係数w(1)jiによって規定される線形写像の出力のそれぞれを非線形変換する非線形写像としての活性化関数h1(x)とを含む。本実施形態では、活性化関数h1(x)として、ハイパボリックタンジェントを例示する。ちなみに、w(1)j0等は、バイアスパラメータであり、入力変数x(0)は、「1」と定義されている。
また、上記ニューラルネットワークは、係数w(2)kj(k=1〜5,j=0〜n)と、係数w(2)kjによって規定される線形写像の出力である原型変数y(1)〜y(5)のそれぞれを入力として、失火変数P(1)〜P(5)を出力するソフトマックス関数とを含む。
次にCPU72は、失火変数P(1)〜P(5)のうちの最大となるものを特定する(S46)。そしてCPU72は、最大となる失火変数P(q)が失火変数P(1)〜P(4)のいずれかであるか、それとも失火変数P(5)であるかを判定する(S48)。そしてCPU72は、失火変数P(1)〜P(4)のいずれかであると判定する場合(S48:YES)、気筒#qが失火であると判定する(S50)。
なお、CPU72は、S50の処理が完了する場合や、S48の処理において否定判定する場合には、図3に示した一連の処理を一旦終了する。
図4に、本実施形態にかかる評価写像データ76bの再学習に関する処理の手順を示す。図4(a)に示す処理は、図1に示すROM74に記憶されている再学習サブプログラム74bをCPU72が実行することにより実現される。また、図4(b)に示す処理は、ROM104に記憶されている再学習メインプログラム104aをCPU102が実行することにより実現される。以下では、再学習処理の時系列に沿って、図4に示す処理を説明する。
図4(a)に示す一連の処理において、CPU72は、まず、評価写像データ76bの信頼性の検証期間であるか否かを判定する(S60)。具体的には、本実施形態では、以下の期間を検証期間としている。
(ア)水温THWが所定温度以下の期間:水温THWが低い場合には、燃焼が不安定となりやすく、失火の検出精度を高めることが水温THWが高い場合と比較して困難であることから、この期間を検証期間に含める。
(イ)外気温Taが規定温度以下の期間:外気温Taが低い場合には、燃焼が不安定となりやすく、失火の検出精度を高めることが外気温Taが高い場合と比較して困難であることから、この期間を検証期間に含める。
(ウ)触媒30の暖機処理の実行期間:触媒30の暖機処理の実行期間においては、燃焼効率を低下させた燃焼をすることから、燃焼が不安定化しやすく、失火の検出精度を高めることが触媒30の暖機後と比較して困難であることから、この期間を検証期間に含める。
(エ)充填効率ηが所定値以下である期間:軽負荷においては負荷が高い場合と比較して、燃焼が不安定化し易く、失火の検出精度を高めることが中、高負荷と比較して困難であることから、この期間を検証期間に含める。
(オ)回転速度NEの所定時間当たりの変化量ΔNEが所定値以上となる期間:過渡運転時には、定常運転時と比較して、失火の検出精度が低下しやすいことから、この期間を検証期間に含める。
CPU72は、検証期間であると判定する場合(S60:YES)、フラグFが「1」であるか否かを判定する(S62)。ここで、フラグFは、図2に示す処理による失火の判定結果と、図3に示す処理による失火の判定結果とが不一致となる場合に「1」となり、一致する場合に「0」となる。CPU72は、フラグFが「0」であると判定する場合(S62:NO)、図2に示す処理による失火の判定結果と、図3に示す処理による失火の判定結果とが不一致であるか否かを判定する(S64)。CPU72は、同一の燃焼サイクルにおける図2のS18の処理による4回の判定結果と、図3のS46の処理の結果とが不整合の場合に、不一致と判定する。すなわち、CPU72は、たとえばS18の処理において、気筒#1の回転変動量Δω(1)が規定量Δωth以上であると判定されたにもかかわらず、S46の処理において、P(5)が選択された場合に不一致と判定する。
CPU72は、不一致と判定する場合(S64:YES)、フラグFに「1」を代入する(S66)。次にCPU72は、カウンタCをインクリメントする(S68)。
これに対し、CPU72は、フラグFが「1」であると判定する場合(S62:YES)、図2に示す処理による失火の判定結果と、図3に示す処理による失火の判定結果とが一致するか否かを判定する(S70)。そして、CPU72は、不一致と判定する場合(S70:NO)、S68の処理に移行する一方、一致すると判定する場合(S70:YES)、フラグFに「0」を代入する(S72)。そして、CPU72は、カウンタCが、最大値C0よりも大きいか否かを判定する(S74)。そしてCPU72は、最大値C0よりも大きいと判定する場合(S74:YES)、最大値C0を、現在のカウンタCの値に更新するとともに、回転時間集合GrT30およびエクストラ情報集合GrEを更新する(S76)。
詳しくは、回転時間集合GrT30は、図5に示すように、3燃焼サイクル分の微小回転時間T30(1)〜T30(72)の集合である。ただし、微小回転時間T30(49)〜T30(72)が、直近のS70の処理によって、図2の示す処理による失火の判定結果と図3に示す処理による失火の判定結果とが一致したと判定された燃焼サイクルに対応するように更新される。ここで、最大値C0が「2」以上の場合、微小回転時間T30(1)〜T30(24)と、微小回転時間T30(25)〜T30(48)とは、いずれも、図2の処理による失火の判定結果と図3に示す処理による失火の判定結果とが異なった燃焼サイクルに対応する。なお、最大値C0の初期値は、ゼロである。
また、エクストラ情報集合GrEは、回転速度NE、充填効率η、触媒30の暖機処理の実行の有無を示す暖機制御変数Vcat、外気温Ta、水温THW、変速装置54のシフト位置Vsft、およびロックアップクラッチ52の係合状態を示す変数である係合変数Vrcからなる。それら各変数は、S70の処理において肯定判定された燃焼サイクルの前の燃焼サイクルにおける値であることが望ましい。エクストラ情報集合GrEは、評価写像データ76bによって規定される写像への入力である動作点変数としての回転速度NEおよび充填効率ηに加えて、失火の有無に応じたクランク軸24の回転挙動に影響を与える変数の集合である。すなわち、ロックアップクラッチ52の係合状態やシフト位置Vsftに応じて、クランク軸24から駆動輪60までの慣性定数が互いに異なることから、クランク軸24の回転挙動が異なったものとなる。また、暖機制御変数Vcatや、外気温Ta、水温THWは、燃焼状態が安定しているか否かを示す変数である。
図4に戻り、CPU72は、S76の処理が完了する場合や、S74の処理において否定判定する場合には、カウンタCを初期化する(S79)。そして、CPU72は、S68,S79の処理が完了する場合や、S60,S64の処理において否定判定する場合には、トリップの終了時であるか否かを判定する(S78)。ここで、トリップとは、車両の走行許可信号がオン状態である1回の期間のことである。本実施形態において、走行許可信号は、イグニッション信号に相当する。CPU72は、トリップの終了時であると判定する場合(S78:YES)、通信機77を操作して、失火変数P(1)〜P(5)のうちの最大となるものに関する情報「q」、最大値C0、回転時間集合GrT30、およびエクストラ情報集合GrEをデータ解析センター100に送信する(S80)。
これに対し、図4(b)に示すように、CPU102は、失火変数P(1)〜P(5)のうちの最大となるものに関する情報「q」や、最大値C0、回転時間集合GrT30、およびエクストラ情報集合GrEを受信する(S90)。そしてCPU72は、図1に示す表示装置112に、回転時間集合GrT30によって表現されるクランク軸24の回転挙動に関する波形データを表示するとともに、失火変数P(1)〜P(5)のうちの最大となるものに関する情報「q」や、最大値C0、エクストラ情報集合GrEを表示する(S92)。これは、熟練者が失火が生じているか否かを判断可能な情報を熟練者に提供する処理である。すなわち、熟練者であれば、波形データを視認することによって、失火が生じていたのか否かを高精度に判断できる。そしてその際、エクストラ情報集合GrEの情報を参照することにより、失火が生じていたのか否かの判断がより確実なものとなる。これにより、熟練者は、失火が生じていたのか否かの判断に基づき、評価写像データ76bを用いた失火判定が誤判定であったか否かを判断できる。
CPU102は、図1に示すインターフェース114を熟練者が操作することによって判断結果が入力されると、これを取得する(S94)。そして、CPU102は、インターフェース114の操作によって入力された判断結果が、評価写像データ76bを用いた失火判定の方が誤判定である旨の判断であるか否かを判定する(S96)。そしてCPU102は、誤判定である旨の判断である場合(S96:YES)、S90の処理によって受信したデータのうち、少なくとも微小回転時間T30(25)〜T30(48)と、回転速度NEおよび充填効率ηと、熟練者による失火であるか否かの判断結果とを、再学習用データ106aとして記憶する(S98)。再学習用データ106aは、車両VC1のみならず、内燃機関10と同一仕様の内燃機関を搭載した他の車両VC2,…から受信したデータに基づくデータを含む。
次にCPU102は、記憶装置106に記憶された再学習用データ106aが所定量以上であるか否かを判定する(S100)。そして、CPU102は、所定量以上であると判定する場合(S100:YES)、再学習用データ106aを訓練データとして用いて、評価写像データ76bの学習済みパラメータである係数w(1)ji,w(2)kjを更新する(S102)。すなわち、CPU72は、訓練データのうちの熟練者による失火であるか否かの判断結果に関するデータ以外のデータを入力変数x(1)〜x(26)として失火変数P(1)〜P(5)を算出する一方、熟練者による失火であるか否かの判断結果に関するデータに基づき教師データを生成する。たとえば、熟練者の判断が気筒#1が失火である旨の判断であれば、P(1)=1且つ、P(2)〜P(5)=0とする。またたとえば、熟練者の判断が正常である旨の判断であれば、P(1)〜P(4)=0且つP(5)=1とする。そして、教師データと、ニューラルネットワークが出力した失火変数P(1)〜P(5)との差の絶対値が小さくなるように、周知の手法にて係数w(1)ji,w(2)kjを更新する。
なお、失火変数P(1)〜P(5)の算出処理には、係数w(1)ji,w(2)kjの情報や活性化関数h1、およびニューラルネットワークの出力層にソフトマックス関数が用いられる旨の情報が必要である。これについては、たとえば、S100の処理において肯定判定する場合にCPU102から制御装置70に、これらに関するデータを送信する指示を出してもよいし、またたとえば、記憶装置106に予め記憶しておいてもよい。
そしてCPU102は、通信機107を操作し、更新した係数w(1)ji,w(2)kjを再学習済みのパラメータとして車両VC1,VC2,…に送信する(S104)。なお、CPU102は、S104の処理が完了する場合や、S96,S100の処理において否定判定する場合には、図4(b)に示す一連の処理を一旦終了する。
一方、図4(a)に示すように、CPU72は、データ解析センター100から再学習済みパラメータの送信があるか否かを判定する(S82)。そしてCPU102は、再学習済みのパラメータがあると判定する場合(S82:YES)、係数w(1)ji,w(2)kjを受信し(S84)、記憶装置76に記憶されている評価写像データ76bを更新する(S86)。
なお、CPU72は、S86の処理が完了する場合や、S78,S82の処理において否定判定する場合には、図4(a)に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU72は、実用写像データ76aに基づき、図2に示した処理を実行して内燃機関10の失火の有無を監視し、失火が頻繁に生じる場合、これに対処すべく報知処理を実行する。また、CPU72は、評価写像データ76bに基づき、図3に示した処理を実行して評価写像データ76bによる失火判定を実行する。そしてCPU72は、評価写像データ76bを用いた失火判定結果と、実用写像データ76aを用いた失火判定結果とが整合するか否かを判定し、整合しないと判定する場合、評価写像データ76bの学習が十分ではないおそれがあるとして、評価写像データ76bによって規定される写像への入力変数等をデータ解析センター100に送信する。詳しくは、写像への入力変数としての微小回転時間T30(25)〜T30(48)に加えて、微小回転時間T30(1)〜T30(24)や微小回転時間T30(49)〜T30(72)等をデータ解析センター100に送信する。
これに対しCPU102は、CPU72から送信されてきた微小回転時間T30(1)〜T30(72)によるクランク軸24の回転挙動を示す波形データ等を表示装置112に表示する。これにより、熟練者は、クランク軸24の回転挙動を示す波形データ等に基づき、失火が生じていたのか否かを判断し、それに基づき、評価写像データ76bを用いた失火の有無の判定が誤判定であったか否かを判断する。CPU102は、熟練者の判断結果が、評価写像データ76bを用いた失火の有無の判定が誤判定である旨の判断である場合、車両側から送信されてきたデータの少なくとも一部を、再学習用データ106aとして、記憶装置106に記憶する。そして、再学習用データ106aが所定量以上となると、CPU102は、係数w(1)ji,w(2)kjを更新し、再学習済みデータとして車両VC1,VC2,…のそれぞれに送信する。
これにより、各車両VC1,VC2,…においては、自車両において評価写像データ76bを用いて誤判定を招いたデータのみならず、他車両において評価写像データ76bを用いて誤判定を招いたデータをも用いて更新された係数w(1)ji,w(2)kjにて、評価写像データ76bを更新することとなる。
したがって、様々な状況において失火を高精度に判定できるデータへと評価写像データ76bを更新することができる。
そして、不一致が生じたときの熟練者の判断で、評価写像データ76bの方が信頼性が高いことが判明する場合には、更新された評価写像データ76bを実用写像データ76aとして失火の監視に利用することが可能となる。さらに、複数の車両VC1,VC2,…に搭載された生のデータによる学習済みモデル(写像データ)を、新たに開発した同一気筒数の内燃機関を備えた車両に搭載される制御装置に始めから実用写像データとして搭載することも可能となる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する効果が得られる。
(1)実用写像データ76aによる判定結果と評価写像データ76bによる判定結果とに不一致が生じる場合、不一致となった燃焼サイクルにおける微小回転時間T30(25)〜T30(48)のみならず、不一致から一致へと回復した燃焼サイクルにおける微小回転時間T30(49)〜T30(72)をデータ解析センター100に送信した。これにより、不一致が生じている状態に関する情報のみならず不一致が解消された状態に移行したときの情報が送信される。そのため、不一致となった1燃焼サイクルの波形データである微小回転時間T30(25)〜T30(48)のみを送信する場合と比較して、熟練者が、失火が生じているか否かをより高精度に判断することができる。
(2)実用写像データ76aによる判定結果と評価写像データ76bによる判定結果とに不一致が生じる場合、エクストラ情報集合GrEを併せ送信した。これにより、クランク軸24の回転挙動を示す波形データである、微小回転時間T30(1)〜T30(72)のみを送信する場合と比較して、熟練者が、失火が生じているか否かをより高精度に判断することができる。
(3)実用写像データ76aによる判定結果と評価写像データ76bによる判定結果とに不一致が生じる場合、不一致が連続して生じた回数をカウントし、1トリップにおいて不一致が連続して生じた回数が最大のもののみを、データ解析センター100に送信した。ここで、不一致が単発で生じた場合と比較すると、連続的に生じた場合の方が、偶発的なノイズ等の影響ではなく実用写像データ76aを用いた失火判定の信頼性と評価写像データ76bを用いた失火判定の信頼性とに差がある可能性が高い。したがって、回数が最大のもののみを送信することにより、データ解析センター100との通信にかかるデータ量を軽減しつつも、評価写像データ76bの特徴を特定するうえで極力有益な情報を送信することができる。
(4)実用写像データ76aによる判定結果と評価写像データ76bによる判定結果とに不一致が生じる場合、不一致が生じた際のデータを、トリップの終了時にデータ解析センター100に送信した。トリップの終了時には、車両の走行時等と比較して、制御装置70の演算負荷が小さいため、送信処理によって制御装置70に加わる演算負荷が過度に大きくなることを抑制できる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図6に、第2の実施形態にかかる学習制御システムの構成を示す。なお、図6において、先の図1に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付与する。
図6に示す記憶装置106には、ハイスペック写像データ106bが記憶されている。ハイスペック写像データ106bは、入力変数の次元数が大きく且つ写像の構造が複雑化することと引き換えに、熟練者を模擬した失火判定が可能なものである。ハイスペック写像データ106bの学習には、図4の処理における回転時間集合GrT30やエクストラ情報集合GrE、S94,S96の処理による熟練者の判断結果が訓練データとして用いられている。
なお、本実施形態では、第1の実施形態の処理によって、評価写像データ76bの信頼性が向上し、これを実用写像データ76aとして実装した場合を例示する。
図7に、ROM74に記憶された失火検出プログラム74aをCPU72が実行することによって実現される処理の一部を示す。図7に示す処理は、実用写像データ76aを利用した処理である。図7に示す処理は、たとえば所定周期でくり返し実行される。なお、図7において、図2および図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与している。
図7に示す一連の処理において、CPU72は、図3のS40〜S48の処理と同様の処理を実行する。すなわち、本実施形態では、図3の処理において利用した評価写像データ76bが、実用写像データ76aとなっていることから、実用写像データ76aを用いてS40〜S48の処理を実行する。なお、図7においては、失火変数P(1)〜P(5)のうちの最大となるものを失火変数P(i)と記載しており、図3における失火変数P(q)とは記載が異なるが、処理自体は同一である。
そして、CPU72は、S48の処理において肯定判定する場合、失火が生じたと判定される気筒#iに関し、S22〜S30の処理を実行する一方、S48の処理において否定判定する場合、S24〜S30の処理を実行する。
図8に、ROM74に記憶された失火検出プログラム74aをCPU72が実行することにより実現される処理の一部の手順を示す。図8に示す処理は、評価写像データ76bを用いた処理である。
図8に示す一連の処理において、CPU72は、まず、微小回転時間T30(1),T30(2),…T30(24)、回転速度NEおよび充填効率ηに加えて、外気温Taを取得する(S40a)。
次にCPU72は、評価写像データ76bによって規定される写像の入力変数x(1)〜x(27)に、S40aの処理によって取得した値を代入する(S42a)。詳しくは、CPU72は、入力変数x(1)〜x(26)については、S42の処理と同様の処理を実行し、入力変数x(27)に外気温Taを代入する。
次にCPU72は、評価写像データ76bによって規定される写像に、入力変数x(1)〜x(27)を入力することによって、失火変数P(1)〜P(5)に対応する失火変数Pn(1)〜Pn(5)を算出する(S44a)。詳しくは、評価写像データ76bによって規定される写像は、中間層が1層のニューラルネットワークである。上記ニューラルネットワークは、係数wn(1)ji(j=0〜n,i=0〜27)と、係数w(1)jiによって規定される線形写像の出力のそれぞれを非線形変換する入力側非線形写像としての活性化関数h1(x)を含む。本実施形態では、活性化関数h1(x)として、ハイパボリックタンジェントを例示する。ちなみに、wn(1)j0等は、バイアスパラメータであり、入力変数x(0)は、「1」と定義されている。
また、上記ニューラルネットワークは、係数wn(2)kj(k=1〜5,j=0〜n)と、係数wn(2)kjによって規定される線形写像の出力である原型変数yn(1)〜yn(5)のそれぞれを入力として、失火変数Pnを出力するソフトマックス関数とを含む。
そして、CPU72は、失火変数Pn(1)〜Pn(5)のうちの最大となる失火変数Pn(q)を特定する(S46a)。そしてCPU72は、最大となる失火変数Pn(q)が、「1〜4」のいずれかであるか否かを判定する(S48a)。そして、CPU72は、「1〜4」のいずれかであると判定する場合(S48a:YES)、気筒#qの失火と判定する(S50a)。なお、CPU72は、S50の処理が完了する場合や、S48aにおいて否定判定する場合には、図8に示した一連の処理を一旦終了する。
図9に、本実施形態にかかる評価写像データ76bの再学習に関する処理の手順を示す。図9(a)に示す処理は、図6に示すROM74に記憶されている再学習サブプログラム74bをCPU72が実行することにより実現される。また、図9(b)に示す処理は、ROM104に記憶されている再学習メインプログラム104aをCPU102が実行することにより実現される。なお、図9において、図4に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与する。以下では、再学習処理の時系列に沿って、図9に示す処理を説明する。
図9(b)に示す一連の処理において、CPU102は、S90の処理が完了する場合、ハイスペック写像データ106bによって規定される写像の入力変数x(1)〜x(79)に、該当する値を代入する(S110)。すなわち、CPU102は、「s=1〜72」として、入力変数x(s)に微小回転時間T30(s)を代入し、入力変数x(73)に回転速度NEを代入し、入力変数x(74)に充填効率ηを代入する。また、CPU102は、入力変数x(75)に外気温Taを代入し、入力変数x(76)に暖機制御変数Vcatを代入し、入力変数x(77)に水温THWを代入し、入力変数x(78)にシフト位置Vsftを代入し、入力変数x(79)に係合変数Vrcを代入する。次に、CPU102は、ハイスペック写像データ106bによって規定される写像に入力変数x(1)〜x(79)を代入して、失火変数Pn(1)〜Pn(5)に対応する失火変数Pm(1)〜Pm(5)を算出する(S112)。
本実施形態において、ハイスペック写像データ106bによって規定される写像は、中間層の層数が「p」個であって且つ、各中間層の活性化関数h1〜hpがハイパボリックタンジェントであるニューラルネットワークによって構成されている。ここで、m=1,2,…,pとすると、第mの中間層の各ノードの値は、係数wm(m)によって規定される線形写像の出力を活性化関数hmに入力することによって生成される。ここで、n1,n2,…,npは、それぞれ、第1、第2、…、第p中間層のノード数である。たとえば、第1の中間層の各ノードの値は、係数wm(1)ji(j=0〜n1,i=0〜79)によって規定される線形写像に上記入力変数x(1)〜x(79)を入力した際の出力を活性化関数h1に入力することによって生成される。ちなみに、wm(1)j0等は、バイアスパラメータであり、入力変数x(0)は、「1」と定義している。
上記ニューラルネットワークは、係数wm(p+1)lr(l=1〜5,r=0〜np)と、係数wm(p+1)lrによって規定される線形写像の出力である原型変数ym(1)〜ym(5)のそれぞれを入力として、失火変数Pm(1)〜Pm(5)を出力するソフトマックス関数とを含む。
そしてCPU102は、評価写像データ76bによる失火の判定が誤判定であったか否かを判定する(S96)。すなわち、CPU102は、失火変数Pm(1)〜Pm(5)のうち最大となるものと、S90の処理によって受信した失火変数Pn(1)〜Pn(5)のうちの最大となるものに関する情報「q」とが整合しない場合、誤判定と判定する。具体的には、たとえば、失火変数Pm(1)〜Pm(5)のうち最大となるものが失火変数Pm(1)である一方、失火変数Pn(1)〜Pn(5)のうちの最大となるものが失火変数Pn(5)である場合に、誤判定と判定する。
そしてCPU102は、誤判定と判定する場合(S96:YES)、S98,S100の処理を実行し、S100の処理において肯定判定される場合、再学習用データ106aを訓練データとして、評価写像データ76bの学習済みパラメータである係数wn(1)ji,wn(2)kjを更新する(S102a)。そしてCPU102は、通信機107を操作し、更新した係数wn(1)ji,wn(2)kjを再学習済みのパラメータとして車両VC1,VC2,…に送信する(S104a)。なお、CPU102は、S104aの処理が完了する場合や、S96,S100の処理において否定判定する場合には、図9(b)に示す一連の処理を一旦終了する。
一方、図9(a)に示すように、CPU72は、再学習済みのパラメータがあると判定する場合(S82:YES)、係数wn(1)ji,wn(2)kjを受信し(S84a)、記憶装置76に記憶されている評価写像データ76bを更新する(S86)。
なお、CPU72は、S86の処理が完了する場合や、S78,S82の処理において否定判定する場合には、図9(a)に示す一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態では、実用写像データ76aを用いた判定結果と評価写像データ76bを用いた判定結果とが整合しない場合、ハイスペック写像データ106bを用いた判定によって、評価写像データ76bを用いた判定結果を検証した。これにより、熟練者による判断に頼ることなく、評価写像データ76bを用いた判定結果を検証できる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]実行装置は、CPU72およびROM74に対応し、記憶装置は、記憶装置76に対応する。写像データは、評価写像データ76bに対応する。取得処理は、図3のS40の処理や図8のS40aの処理に対応する。算出処理は、図3のS42,S44の処理や図8のS42a,S44aの処理に対応する。送信処理は、S80の処理に対応する。[2]第1写像データは、実用写像データ76aに対応する。第1取得処理は、図2のS10の処理や、図7のS40の処理に対応し、第1算出処理は、図2のS16,S18の処理や図7のS42,S44の処理に対応する。判定処理は、S64,S70の処理に対応する。[3]回転波形変数は、微小回転時間T30(1)〜T30(24)に対応する。瞬時速度変数は、微小回転時間T30に対応する。[4]第2間隔は、30°CAに対応し、第1間隔は、720°CAに対応する。[5,6]整合しないと判定されるときの瞬時速度変数は、T30(25)〜T30(48)に対応し、整合していると判定されるときの瞬時速度変数は、T30(49)〜T30(72)に対応する。[7]S78の処理において肯定判定される場合にS80の処理が実行されることに対応する。[8,12,13]第2実行装置は、CPU102およびROM104に対応する。受信処理は、S90の処理に対応する。再学習データ生成処理は、図4のS92〜S98の処理や図9のS110,S112,S96,S98の処理に対応する。再学習処理は、図4のS102の処理や図9のS102aの処理に対応する。[9]表示処理は、S92の処理に対応する。妥当性結果取込処理は、S94の処理に対応する。[10]第2記憶装置は、記憶装置106に対応する。第3写像データは、ハイスペック写像データ106bに対応する。第3算出処理は、S110,S112の処理に対応する。[11]パラメータ送信処理は、図4のS104の処理や図9のS104aの処理に対応する。パラメータ受信処理は、図4のS84の処理や図9のS84aの処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「車両の既定の状態について」
写像の出力に情報が含まれる車両の既定の状態としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、内燃機関の状態としては、以下のものでもよい。
(a)インバランスに関する状態
ここで、インバランスとは、複数の気筒のそれぞれにおける混合気の空燃比を互いに等しい空燃比に制御すべく燃料噴射弁を操作した際の実際の空燃比同士のばらつきである。この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aに、たとえば、触媒30の上流側の空燃比センサの検出値の所定時間当たりの変化量に基づき、インバランスの度合いを示す変数であるインバランス変数がリッチ側の値を示すときのその値を出力する写像を規定するデータを含めればよい。また、実用写像データ76aに、微小回転時間T30の変動に基づき、インバランス変数がリーン側の値を示すときのその値を出力する写像を規定するデータを含めればよい。また、第2写像データとしての評価写像データ76bを、上記微小回転時間T30(1)〜T30(24)からなる時系列データと、その期間における触媒30の上流側の空燃比センサの検出値の時系列データとを入力とし、インバランス変数の値を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。また、これに代えて、上記微小回転時間T30(1)〜T30(24)からなる時系列データと、その期間における触媒30の上流側の空燃比センサの検出値の時系列データとを入力とする写像を第1写像とし、さらに入力を増やした写像を第2写像としてもよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、不整合が生じたときのインバランス変数の算出に用いた微小回転時間T30および上流側の空燃比センサの検出値に加えて、それらと時系列的に隣り合う微小回転時間T30の時系列データと上流側の空燃比センサの検出値の時系列データとを含めればよい。これにより、クランク軸24の回転挙動や空燃比の検出値の挙動に基づき、熟練者がインバランス変数が正しい値であるか否かをより正確に判断できる。
(b)触媒30の劣化度合い
この場合、触媒30の劣化度合いを示す変数である劣化変数の値を第1写像を用いて算出するために、触媒30の下流の空燃比センサの検出値がリーンからリッチに反転したタイミングにおいて、触媒30に流入する排気中に酸素が過剰に存在するようにアクティブ制御を利用してもよい。そして、第1写像データとしての実用写像データ76aを、アクティブ制御によって触媒30の下流の空燃比センサの検出値がリッチからリーンに反転するまでにおける触媒30への酸素の流入量に基づき劣化変数の値を出力する写像を規定するデータとしてもよい。また、第2写像データを規定する評価写像データ76bを、たとえば、触媒30の上流側の空燃比センサの検出値の時系列データ、下流側の空燃比センサの検出値の時系列データ、回転速度NE、充填効率ηおよび触媒30の温度を入力とし、劣化変数の値を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。その場合、第2写像による劣化変数の値の算出処理を、アクティブ制御を実行していないときに行ってもよい。これにより、アクティブ制御を実行することなく劣化の有無を判定する第2写像の学習を進め、その精度を向上させることができる。また、たとえば第1写像を、触媒30の上流側の空燃比センサの検出値の時系列データ、下流側の空燃比センサの検出値の時系列データ、回転速度NE、充填効率ηおよび触媒30の温度を入力とし、劣化変数の値を出力するニューラルネットワークとして、第2写像をそれよりも入力の次元を増やしたニューラルネットワークとしてもよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、不整合が生じたときの劣化変数の算出に用いた上流側および下流側の上記検出値の時系列的に隣り合う上流側の検出値の時系列データおよび下流側の検出値の時系列データを含めればよい。これにより、データ解析センター100において、劣化変数が正しい値であるか否かをより正確に判断できる。
(c)フィルタに捕集されたPM量
ここでは、触媒30に粒子状物質(PM)を捕集するフィルタを備えることを前提とする。この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aは、たとえば、内燃機関10の動作点変数とPM量のベース値との関係を定めるマップデータと、点火時期とPM量の補正量との関係を定めるマップデータと、内燃機関10の冷却水の温度とPM量の補正量との関係を定めるマップデータと、を備えて構成すればよい。また、第2写像データとしての評価写像データ76bは、動作点変数、点火時期、水温等を入力とし、PM量を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。またたとえば、第1写像を、動作点変数、点火時期、水温を入力とするニューラルネットワークとし、第2写像を、第1写像よりも入力の次元を増やしたニューラルネットワークとしてもよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、内燃機関10の始動後、不整合が生じた時点までの期間におけるPM量の算出に用いた入力データからなる時系列データ等を含めればよい。これにより、データ解析センター100において、時系列データに基づきPM量を算出し、評価写像データ76bを用いて算出されたPM量の妥当性を判定することができる。
(d)触媒30の温度
この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aは、たとえば触媒30の上流側の排気温度の検出値を入力とする1次遅れフィルタまたは2次遅れフィルタを規定するデータとすればよい。また、第2写像データを規定する評価写像データ76bは、排気温度の検出値や、動作点変数、触媒30の上流側の空燃比センサの検出値のそれぞれの時系列データと、触媒30の温度の前回値とを入力とするニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。またたとえば、第1写像を、排気温度の検出値や、動作点変数、触媒30の上流側の空燃比センサの検出値のそれぞれの時系列データと、触媒30の温度の前回値とを入力とするニューラルネットワークとし、第2写像を、第1写像よりも入力の次元を増やしたニューラルネットワークとしてもよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、内燃機関10の始動後、不整合が生じた時点までの期間における触媒30の温度の算出に用いた入力データからなる時系列データを含めればよい。これにより、データ解析センター100において、触媒30の温度を時系列データによって算出し、評価写像データ76bを用いて算出された触媒30の温度の妥当性を判定することができる。
(e)空燃比センサの応答性の劣化に関する状態
この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aを用いた劣化判定処理には、通常の空燃比フィードバック制御から外れて空燃比をリーンおよびリッチに交互に大きく変化させるアクティブ制御を利用してもよい。そして、実用写像データ76aを、アクティブ制御によって空燃比センサの検出値がリッチからリーンへ、またはリーンからリッチへと反転するまでの所要時間等に基づき、劣化度合いを示す変数である劣化変数の値を算出するデータとすればよい。また、第2写像データとしての評価写像データ76bは、噴射量の時系列データと、空燃比センサの検出値の時系列データとを入力とし、劣化変数の値を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。その場合、第2写像による劣化変数の値の算出処理を、アクティブ制御を実行していないときに行ってもよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、評価写像データ76bによって規定される写像に入力したデータに加えて、空燃比センサの検出値の時系列データについては、評価写像に入力したデータに隣接したデータを送信すればよい。これにより、評価写像データ76bを用いて算出した劣化変数の値の妥当性についてより正確に検証できる。
(f)触媒の酸素吸蔵量に関する状態
この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aを、触媒30の上流側の空燃比センサの検出値の平均値と触媒30の下流側の空燃比センサの検出値の平均値との差を入力変数とし、酸素吸蔵量を示す変数である吸蔵量変数の値を出力変数とするマップデータとすればよい。また、第2写像データとしての評価写像データ76bは、酸素と過不足なく反応する燃料量に対する実際の燃料量の過不足量および触媒の温度の所定期間における積算値と、吸蔵量変数の前回値とを入力とし、吸蔵量変数の値を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、内燃機関10の始動後、不整合が生じた時点までの期間における評価写像データ76bを用いた吸蔵量変数の値の算出に用いた入力データの時系列データとすればよい。
(g)内燃機関のノッキングの有無に関する状態
この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aを、ノッキングセンサの検出値の積算値と、判定値との大小比較によって、ノッキングであるか否かを示す論理値を出力する写像を規定するデータとすればよい。また、第2写像データしての評価写像データ76bは、ノッキングセンサの検出値の時系列データを入力とし、燃焼室18内の圧力のピーク値を出力するニューラルネットワークを規定するデータとしてもよい。その場合、ピーク値が閾値以上である場合に、ノッキングが生じたと判定すればよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、不整合が生じたときのピーク値の算出に用いたノッキングセンサの検出値の時系列データに加えて、それらと時系列的に隣り合う時系列データを含めればよい。
(h)燃料噴射弁20に供給される燃料の温度に関する状態
この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aを、回転速度NE、充填効率ηおよび水温THWを入力変数とし、燃料の温度を出力変数とするマップデータとすればよい。また、第2写像データとしての評価写像データ76bは、回転速度NE、充填効率η、燃料噴射弁20による燃料の噴射量、吸気温、車速V、燃料の温度の前回値を入力とし、燃料の温度を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、内燃機関10の始動後、不整合が生じた時点までの期間における評価写像データ76bを用いた燃料の温度の算出に用いた入力データの時系列データとすればよい。
(i)パージシステムの異常の有無
この場合、燃料タンク内の燃料蒸気を捕集するキャニスタと、キャニスタと吸気通路との間のパージ経路の流路断面積を調整するパージバルブとを備えたパージシステムにおいて、パージ経路に穴がある場合に異常であると判定する写像が考えられる。この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aは、パージバルブを開弁してキャニスタ内の圧力を低下させた後、パージバルブを閉弁させた際の圧力の上昇速度が閾値以上である場合に異常がある旨の論理値を出力する写像を規定するデータとすればよい。また、第2写像データとしての評価写像データ76bは、キャニスタ内の圧力の時系列データと大気圧とを入力とし、穴の有無に応じた出力値を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、不整合が生じたときの穴の有無に応じた出力値の算出に用いた入力データに加えて、それらと時系列的に隣り合うキャニスタ内の圧力の時系列データや大気圧を含めればよい。
(j)EGR率
ここでは、内燃機関10の排気通路28と吸気通路12とを接続するEGR通路と、EGR通路の流路断面積を調整するEGRバルブとを備えることが前提である。また、EGR率は、吸気通路12から燃焼室18に流入する流体の流量に対するEGR通路から吸気通路12に流入した流体の流量の割合である。この場合、第1写像データとしての実用写像データ76aは、回転速度NEおよび充填効率ηを入力変数とし、EGR率を出力変数とするマップデータとすればよい。また第2写像データとしての評価写像データ76bは、回転速度NE、充填効率η、吸気通路12内の圧力、および吸入空気量Gaを入力変数とし、EGR率を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、不整合が生じたときのEGR率の算出に用いた入力データに加えて、それらと時系列的に隣り合う入力データの時系列データを含めればよい。
(k)ブローバイガス送出路の漏れの有無に関する状態
ここでは、内燃機関のクランクケースと吸気通路とを接続するブローバイガス送出路を備えることが前提となる。この場合、ブローバイガス送出路に圧力センサを設け、第1写像としての実用写像データ76aは、圧力センサによって検出される圧力と、回転速度NEおよび充填効率ηに基づく判定値との大小比較に基づき、異常の有無を示す値を出力するデータとすればよい。また、第2写像データとしての評価写像データ76bは、回転速度NE、充填効率η、および吸入空気量Gaとスロットルバルブ14を通過する吸気量との差を入力変数とし、異常の有無を示す値を出力するニューラルネットワークを規定するデータとすればよい。
この場合、車両からデータ解析センター100に送信するデータには、たとえば、不整合が生じたときの異常の有無を示す値の算出に用いた入力データに加えて、それらと時系列的に隣り合う入力データの時系列データを含めればよい。
なお、車両の既定の状態としては、内燃機関の状態に限らない。たとえば下記「車両について」の欄に記載したように、回転電機を備える車両においては、回転電機に供給される電力を蓄えるバッテリの状態であってもよい。
・「第1写像、第1写像データについて」
図1においては、実用写像データ76aとして、S16,S18の処理を実行するデータを例示したが、これに限らない。
図6においては、実用写像データ76aとして、中間層が1層のニューラルネットワークを例示したが、これに限らない。たとえば中間層が2層以上のニューラルネットワークであってもよい。また活性化関数h1としては、ハイパボリックタンジェントに限らず、たとえばロジスティックジグモイド関数やReLUであってもよい。なお、ReLUは、入力と「0」とのうちの小さくない方を出力する関数である。また、ニューラルネットワークの出力層のノードの数、すなわち次元を「(気筒数)+1」とするものに限らない。たとえば、気筒数に等しい個数とし、各出力値のうちの閾値を超えたものがある場合に失火があると判定してもよい。またたとえば、ニューラルネットワークの1度の出力に基づく失火の有無の判定対象となる気筒を1つとし、出力層のノードの数を1個としてもよい。なお、その場合、出力層はロジスティックジグモイド関数等によって出力値の取りうる値の範囲が規格化されることが望ましい。
実用写像データとしては、ニューラルネットワークを規定するデータに限らない。たとえば、失火の判定対象となる1つの気筒の失火の有無に応じて互いに異なる符号の数値を出力する識別関数であってもよい。これは、たとえばサポートベクトルマシンによって構成してもよい。
・「第2写像データについて」
第2写像データとしての評価写像データ76bとしては、中間層が1層のニューラルネットワークを規定するデータに限らない。たとえば、第2写像データとしては、中間層が2層以上のニューラルネットワークを規定するデータであってもよい。また活性化関数h1としては、ハイパボリックタンジェントに限らず、たとえばロジスティックジグモイド関数やReLUであってもよい。また、ニューラルネットワークの出力層のノードの数、すなわち次元を「(気筒数)+1」とするものに限らない。たとえば、気筒数に等しい個数とし、各出力値のうちの閾値を超えたものがある場合に失火があると判定してもよい。またたとえば、ニューラルネットワークの1度の出力に基づく失火の有無の判定対象となる気筒を1つとし、出力層のノードの数を1個としてもよい。なお、その場合、出力層はロジスティックジグモイド関数等によって出力値の取りうる値の範囲が規格化されることが望ましい。
なお、第2写像の入力の次元数が、第1写像の入力の次元数よりも大きいことも必須ではない。たとえば入力の次元数は同一であって且つ中間層の層数が第1写像の層数よりも大きいものであってもよい。またたとえば入力の次元数および中間層の層数とも第1写像と同一であって、活性化関数が互いに異なるものであってもよい。
第2写像としては、ニューラルネットワークに限らない。たとえば、失火の判定対象となる1つの気筒の失火の有無に応じて互いに異なる符号の数値を出力する識別関数であってもよい。これは、たとえばサポートベクトルマシンによって構成してもよい。
・「第3写像、第3写像データについて」
上記実施形態では、第3写像データとして、評価写像データ76bによって規定される写像の入力よりも次元が大きく且つ、中間層の層数が多いハイスペック写像データ106bを例示したが、これに限らない。たとえば、次元数は同一であって中間層の層数が大きいものであってもよい。これは、たとえば、入力変数を、S42aにおいて例示したものと同一としつつも、中間層の層数を2層以上とすることにより実現できる。またたとえば、次元数は大きいものの、中間層の層数は同一であってもよい。
上記実施形態では、第3写像データとして、1つの仕様の内燃機関10が搭載された複数の車両VC1,VC2,…から送信されるデータを訓練データとする学習済みモデル(ハイスペック写像データ106b)を例示したが、これに限らない。たとえば、気筒数、排気量等が異なる様々な内燃機関を搭載した車両から送信されるデータを訓練データとして用いてもよい。ただし、その場合、気筒数や排気量等の仕様情報を第3写像の入力変数とすることが望ましい。なお、第3写像の入力変数としては、これに限らず、たとえば熟練者が判断に際して用いない変数を含めてもよい。また、第3写像データの学習に際しての教師データの少なくとも一部に、熟練者の判断結果を用いることも必須ではない。
・「瞬時速度変数について」
瞬時速度変数としては、第2の間隔の回転に要する時間である微小回転時間に限らない。たとえば、第2の間隔を微小回転時間で割った値であってもよい。
・「第2間隔について」
写像への入力となる瞬時速度変数を定義する第2間隔としては、30°CAに限らない。たとえば10°CA等、30°CAよりも小さい角度間隔であってもよい。もっとも30°CA以下の角度間隔に限らず、たとえば45°CA等であってもよい。
・「写像への入力としての回転波形変数について」
上記実施形態では、1燃焼サイクルである720°CAの回転角度間隔が分割された複数の間隔のそれぞれにおける微小回転時間T30を写像への入力としたが、これに限らない。たとえば、0〜720°CAのうちの、0〜20,40〜60,80〜100,120〜140,160〜180,…,700〜720のそれぞれを第2間隔として、それらの回転に要する時間を写像への入力としてもよい。
写像への入力としての回転波形変数としては、瞬時速度変数の時系列データに限らない。たとえば、圧縮上死点の出現間隔だけ離間した一対の瞬時速度変数同士の差であってもよい。
・「送信処理について」
(a)失火の場合
上記実施形態では、3燃焼サイクル分の微小回転時間T30の時系列データを送信したが、これに限らない。たとえば、実用写像データ76aを用いた判定結果と評価写像データ76bを用いた判定結果とが整合しないときの微小回転時間T30(25)〜T30(48)と、整合しないと判定される状態から整合していると判定される状態に移行した際の微小回転時間T30(49)〜T30(72)との2燃焼サイクル分の時系列データであってもよい。
上記実施形態では、実用写像データ76aを用いた判定結果と評価写像データ76bを用いた判定結果とが整合しないときの微小回転時間T30(25)〜T30(48)に加えて、整合しないと判定される状態から整合していると判定される状態に移行した際の微小回転時間T30(49)〜T30(72)を送信したが、これに限らない。たとえば、整合していると判定されている状態における微小回転時間T30の時系列データと、整合していると判定される状態から整合していないと判定される状態に移行した際の微小回転時間T30の時系列データとを送信してもよい。
整合していると判定される状態に移行した際の微小回転時間T30の時系列データとしては、1燃焼サイクル分の時系列データに限らない。たとえば、「第2写像データについて」の欄に記載したように、1度の入力による出力値が1つの気筒の失火変数の値のみを出力する場合等であって、入力データ自体、1燃焼サイクルより短い期間における微小回転時間T30の時系列データである場合には、それに応じた量の時系列データとしてもよい。もっとも、写像への入力変数を構成する微小回転時間T30の時系列データと、整合していると判定される状態に移行した際の微小回転時間T30の時系列データとが、同一の長さを有する区間内の微小回転時間T30であることも必須ではない。
上記実施形態では、1トリップに1度、整合しないと連続して判定された回数が最大となるときに対応する3燃焼サイクル分の微小回転時間T30の時系列データを送信したが、これに限らない。たとえば、1トリップに1度、整合しないと連続して判定された回数が最大となるときに対応する、整合しないと連続して判定された期間における微小回転時間T30の全てと、整合しないと判定される状態から整合していると判定される状態に移行した際の微小回転時間T30の1燃焼サイクル分の時系列データとを送信してもよい。またたとえば、整合しないと判定される期間における微小回転時間T30の全てと、それら期間のそれぞれについての整合しないと判定される状態から整合していると判定される状態に移行した際の微小回転時間T30の1燃焼サイクル分の時系列データとを1トリップに1度送信してもよい。
なお、送信対象とされる、評価写像データ76bによって規定される写像の出力値に関するデータとしては、同写像の出力値自体に限らない。たとえば、実用写像データ76aによって規定される写像の出力値であってもよい。この場合、たとえばS92〜S94の処理において、熟練者が、実用写像データ76aによって規定される写像の出力値が正しいと判断する場合、S96の処理において肯定判定すればよい。もっとも、こうしたデータを送信しなくても、入力データを送信することにより、データ解析センター100側において、評価写像データ76bによって規定される写像の出力値を算出することはできる。
送信対象とするデータのうち写像への入力データおよび微小回転時間T30以外のデータとしては、エクストラ情報集合GrEにて例示したものに限らない。また、写像への入力データおよび微小回転時間T30以外のデータを送信対象とすること自体必須ではない。
送信対象とされる、評価写像データ76bによって規定される写像への入力データを生成した際に用いた複数の微小回転時間T30に基づくデータとしては、入力データ自体に限らない。たとえば、評価写像データ76bによって規定される写像への入力データがS16の処理によって利用される微小回転時間T30[0],T30[6]である場合であっても、送信対象とするデータを、微小回転時間T30(1)〜T30(24)等としてもよい。
(b)そのほか
整合しないと判定されることを条件に、入力とされたデータ等を送信する処理に限らない。たとえば、評価写像データ76bの出力値を算出する都度、評価写像データ76bの入力に用いたデータ等を送信することとしてもよい。これによっても、車両の外部において、様々な状況における写像の出力値が正しいか否かを検証することができる。
また、失火以外の実施例において、送信対象とするデータは、「車両の既定の状態について」の欄に例示したものに限らない。
・「判定処理について」
S60の処理の検証期間としては、上記実施形態において例示したものに限らない。
図4や図9の処理では、検証期間に限って、実用写像データ76aに基づく失火判定結果と、評価写像データ76bに基づく失火判定結果との一致、不一致を判定したが、これに限らず、たとえば常時行ってもよい。
上記実施形態では、同一の時期に取得されたセンサの検出値に基づく失火の判定結果が一致するか否かを判定したが、写像データの選択によっては、同一の時期に取得されたセンサの検出値に基づくデータを入力とする第1写像の出力と第2写像の出力との整合性を判定することは必須ではない。たとえば、「車両の既定の状態について」の欄に記載したように、触媒や空燃比センサの劣化変数の値を出力する写像の場合であって、第1写像に限ってアクティブ制御を前提とする場合には、同一トリップ内に算出された値に基づき整合性の有無を判定すればよい。
「車両の既定の状態について」の欄に記載したように、触媒30や空燃比センサの劣化変数の値を出力する写像等の場合、第1写像の出力値と第2写像の出力値との差の絶対値が所定値以上である場合に整合していないと判定すればよい。
・「再学習済みのパラメータについて」
図4および図9においては、更新されたパラメータである再学習済みのパラメータを、ネットワーク110を介して各車両VC1,VC2,…に送信したがこれに限らない。たとえば、車両の販売店に送信し、各車両VC1,VC2,…が販売店に入庫した際に記憶装置76内のデータを更新してもよい。その場合であっても、再学習済みのパラメータによって更新された評価写像データ76bの信頼性をさらに評価し、更新することが可能となる。
もっとも、再学習に用いるデータを提供した車両に再学習済みのパラメータを提供すること自体必須ではない。再学習済みのパラメータを用いて評価写像データ76bを更新し、更新された評価写像データ76bを、新規に開発された車両に実装するのみであってもよい。その場合、新規に開発された車両に搭載される内燃機関の排気量は、再学習のためのデータを送信した車両に搭載される内燃機関の排気量との差が、所定量以下となるものであることが望ましい。なお、上記実施形態のように、評価写像データが、各気筒において失火が生じた確率に応じた失火変数を出力するものである場合には、新規に開発された車両に搭載される内燃機関の気筒数は、再学習のためのデータを送信した車両に搭載される内燃機関の気筒数と同一とすることが望ましい。
さらに、図4および図9の処理において、再学習済みのパラメータを用いて、評価写像データ76bを更新した後、これによって、実用写像データ76aを上書きしてもよい。
・「表示装置について」
上記実施形態では、データ解析センター100に表示装置112を配置したが、これに限らず、記憶装置106等が配置されている拠点とは別の拠点に配置してもよい。
・「再学習データ生成処理について」
図4においては、評価写像データ76bを用いて算出した失火変数P(j),Pn(j)の算出に用いた入力データと、関連するデータとを表示装置112に表示することによって、誤判定であるか否かを熟練者が評価することとしたが、これに限らない。たとえば、ハイスペック写像データ106bを用いて自動で評価してもよい。なお、評価写像データ76bを用いて算出した失火変数P(j),Pn(j)を評価する際、失火変数P(j),Pn(j)の算出に用いた入力データ以外のデータをさらに加味して評価することは必須ではない。
図9においては、評価写像データ76bを用いて算出した失火変数Pn(j)の算出に用いた入力データと、関連するデータとに基づき、ハイスペック写像データ106bを用いて自動で誤判定であるか否かを評価したが、これに限らず、たとえば熟練者が評価することとしてもよい。
図4の処理では、説明の便宜上、S80の処理が実行される都度、S92の処理を実行したが、これに限らない。たとえば不一致と判定されたデータが所定量蓄積された時点でS92の処理を実行してもよい。またたとえば不一致とされたデータを都度蓄積し、熟練者からの要求に応じてS92の処理を実行してもよい。
上記実施形態では、評価写像データ76bや実用写像データ76aによって規定される写像よりも精度が高い主体を用いて、評価写像データ76bによって規定される写像の判定結果の妥当性を判断したが、これに限らない。たとえば、評価写像データ76bによって規定される判定結果と、2つ以上の他の写像による判定結果との多数決によって、評価写像データ76bによって規定される写像の判定結果の妥当性を判断してもよい。また、たとえば上記2つ以上の他の写像による判定結果の1つを、写像による判定結果に代えて、熟練者による判断としてもよい。
・「対処処理について」
上記実施形態では、報知処理として、車両に搭載されている警告灯90を操作する処理を例示したが、これに限らない。たとえばユーザの携帯端末に、異常が生じた旨の情報を表示させるために通信機77を操作する処理としてもよい。
対処処理としては、報知処理に限らない。たとえば、内燃機関10の燃焼室18内の混合気の燃焼を制御するための操作部を、失火が生じた旨の情報に応じて操作する処理であってもよい。また、たとえば「車両の既定の状態について」の欄に記載したように、インバランス異常の有無の判定結果を出力する写像の場合、インバランス異常を抑制するように燃料噴射弁を操作する処理としてもよい。また、たとえば「車両の既定の状態について」の欄に記載したように、触媒の温度を出力する写像の場合、触媒の温度を上昇させるための内燃機関の操作部を操作する処理であってもよい。なお、この場合の操作処理は、たとえば触媒の再生処理とすればよい。
・「車両用学習制御システムについて」
上記実施形態では、制御装置70およびデータ解析センター100によって車両用学習制御システムを構成したが、これに限らない。たとえば、制御装置70およびデータ解析センター100に加えて、携帯端末によって車両用学習制御システムを構成してもよい。これは、たとえば、上記第1の実施形態において、図3の処理を携帯端末によって実行してその結果を制御装置70に送信することによって実現できる。
・「車両用学習装置について」
データ解析センター100に代えて携帯端末を用いて車両用学習装置を構成してもよい。これは、たとえば携帯端末の記憶装置にハイスペック写像データ106b等を記憶しておき、携帯端末によって図9(b)の処理を実行することなどにより実現できる。なお、その場合、車両VC1のユーザの携帯端末には、車両VC1に関するデータのみが送信されるものとしてもよい。
・「実行装置について」
実行装置としては、CPU72(102)とROM74(104)とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
・「記憶装置について」
上記実施形態では、評価写像データ76bや実用写像データ76aが記憶される記憶装置76と、再学習サブプログラム74bが記憶される記憶装置であるROM74とを別の記憶装置としたが、これに限らない。またたとえば、ハイスペック写像データ106bが記憶される記憶装置106と、再学習メインプログラム104aが記憶される記憶装置であるROM104とを別の記憶装置としたが、これに限らない。
・「内燃機関について」
上記実施形態では、燃料噴射弁として、燃焼室18内に燃料を噴射する筒内噴射弁を例示したがこれに限らない。たとえば吸気通路12に燃料を噴射するポート噴射弁であってもよい。またたとえば、ポート噴射弁と筒内噴射弁との双方を備えてもよい。
内燃機関としては、火花点火式内燃機関に限らず、たとえば燃料として軽油などを用いる圧縮着火式内燃機関等であってもよい。
内燃機関が駆動系を構成すること自体必須ではない。たとえば、車載発電機にクランク軸が機械的に連結され、駆動輪60とは動力伝達が遮断されたいわゆるシリーズハイブリッド車に搭載されるものであってもよい。
・「車両について」
車両としては、車両の推進力を生成する装置が内燃機関のみとなる車両に限らず、たとえば「内燃機関について」の欄に記載したシリーズハイブリッド車以外にも、パラレルハイブリッド車や、シリーズ・パラレルハイブリッド車であってもよい。さらに、内燃機関を搭載しない電気自動車であってもよい。
・「そのほか」
クランク軸と駆動輪との間に介在する駆動系装置としては、有段の変速装置に限らず、たとえば無段変速装置であってもよい。
10…内燃機関、12…吸気通路、14…スロットルバルブ、16…吸気バルブ、18…燃焼室、20…燃料噴射弁、22…点火装置、24…クランク軸、26…排気バルブ、28…排気通路、30…触媒、40…クランクロータ、42…歯部、44…欠け歯部、50…トルクコンバータ、52…ロックアップクラッチ、54…変速装置、56…入力軸、58…出力軸、60…駆動輪、70…制御装置、72…CPU、74…ROM、74a…失火検出プログラム、74b…再学習サブプログラム、76…記憶装置、76b…評価写像データ、77…通信機、78…周辺回路、79…ローカルネットワーク、80…クランク角センサ、82…エアフローメータ、84…水温センサ、86…外気温センサ、88…シフト位置センサ、90…警告灯、100…データ解析センター、102…CPU、104…ROM、104a…再学習メインプログラム、106…記憶装置、106a…再学習用データ、106b…ハイスペック写像データ、107…通信機、108…周辺回路、109…ローカルネットワーク、110…ネットワーク、112…表示装置、114…インターフェース。

Claims (13)

  1. 実行装置と、記憶装置と、を備え、
    前記記憶装置には、車載センサの検出値であって時系列的に前後する複数の検出値に基づく入力データを入力とし車両の既定の状態に関する情報を有した所定の出力値を出力する写像を規定するデータであって機械学習によって学習されたデータを含む写像データが記憶されており、
    前記実行装置は、前記入力データを取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記入力データを前記写像の入力として前記所定の出力値を算出する算出処理と、前記入力データを生成した際に用いた前記複数の検出値と、当該入力データに用いた前記検出値とは時系列的に前後する1または複数の検出値とに基づくデータを含んだ時系列データと、を前記車両の外部に送信する送信処理と、を実行する車両用制御装置。
  2. 前記写像は、第2写像であり、
    前記写像データは、第2写像データであり、
    前記入力データは、第2入力データであり、
    前記所定の出力値は、第2出力値であり、
    前記取得処理は、第2取得処理であり、
    前記算出処理は、第2算出処理であり、
    前記記憶装置は、前記車載センサの検出値に基づく第1入力データを入力とし前記既定の状態に関する情報を有した出力値である第1出力値を出力する第1写像を規定するデータである第1写像データを記憶しており、
    前記実行装置は、
    前記車載センサの検出値に基づく前記第1入力データを取得する第1取得処理と、前記第1取得処理によって取得された前記第1入力データを前記第1写像の入力として前記第1出力値を算出する第1算出処理と、
    前記第1出力値と前記第2出力値とが整合するか否かを判定する判定処理と、を実行し、
    前記送信処理を、前記判定処理によって整合しないと判定する場合に実行する請求項1記載の車両用制御装置。
  3. 前記車載センサは、前記車両に搭載される内燃機関のクランク角センサであり、
    前記入力データは、前記内燃機関の圧縮上死点の出現間隔よりも小さい角度間隔における前記内燃機関のクランク軸の回転速度である瞬時速度の互いに異なる前記角度間隔における値同士の相違に関する情報を含む変数である回転波形変数であり、
    前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されたときの前記第2出力値の算出に用いられた前記回転波形変数によって示される前記瞬時速度同士の相違に関する情報が含まれる前記角度間隔と、該角度間隔とは時系列的に前または後に生じた前記角度間隔と、のそれぞれにおける前記瞬時速度を示す変数である瞬時速度変数を含む請求項2記載の車両用制御装置。
  4. 前記角度間隔は、第2間隔であり、
    前記回転波形変数は、前記第2間隔よりも大きい第1間隔に含まれる連続する複数の前記第2間隔のそれぞれにおける前記瞬時速度変数自体によってそれら前記瞬時速度変数同士の差を示す変数として構成された時系列データであり、
    前記送信処理によって送信される前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されるときにおける前記複数の前記第2間隔のそれぞれにおける前記瞬時速度変数に加えて、当該第1間隔に隣接して且つ連続する複数の前記第2間隔のそれぞれにおける前記瞬時速度変数を含む請求項3記載の車両用制御装置。
  5. 前記第1出力値および前記第2出力値は、いずれも失火の有無に関する出力値であり、
    前記送信処理によって送信される前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されるときにおける前記第2出力値の算出に用いた前記回転波形変数に関する前記瞬時速度変数と、前記判定処理によって整合していると判定されるときにおける前記瞬時速度変数とを含む請求項3または4記載の車両用制御装置。
  6. 前記送信処理によって送信される前記時系列データは、前記判定処理によって整合しないと判定されるときにおける前記瞬時速度変数と、前記判定処理によって整合しないと判定される状態から整合していると判定される状態に移行した際の当該整合していると判定される状態における前記瞬時速度変数とを含む請求項5記載の車両用制御装置。
  7. 前記実行装置は、前記車両の走行の終了時に前記送信処理を実行する請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
  8. 請求項2〜6のいずれか1項に記載の前記実行装置は、前記車両に搭載される第1実行装置であり、
    前記第1実行装置および前記記憶装置と、車載装置とは別の第2実行装置とを備え、
    前記第2実行装置は、前記送信処理によって送信された前記時系列データを受信する受信処理と、前記受信処理によって受信された前記時系列データに基づき、前記第2写像を再学習させるデータである再学習データを生成する再学習データ生成処理と、前記再学習データ生成処理によって生成されたデータに基づき、前記第2写像データを再学習させる再学習処理と、を実行する車両用学習制御システム。
  9. 前記再学習データ生成処理は、
    前記送信処理によって送信された前記時系列データを表示装置に表示させる表示処理と、
    前記第2写像の出力値に誤りがあるか否かの情報を取り込む妥当性判定結果取込処理と、
    前記妥当性判定結果取込処理によって入力された情報に基づき、前記第2写像データを更新するためのデータを生成する処理と、を含む請求項8記載の車両用学習制御システム。
  10. 前記記憶装置は、前記車両に搭載される第1記憶装置であり、
    車載装置とは別の第2記憶装置を備え、
    前記第2記憶装置には、前記車載センサの検出値に基づくデータを入力とし前記既定の状態に関する情報を有した第3出力値を出力する第3写像を規定する第3写像データが記憶されており、
    前記再学習データ生成処理は、
    前記送信処理によって送信された前記時系列データを前記第3写像に入力して前記第3出力値を算出する第3算出処理と、
    前記第3算出処理の算出結果と前記第2算出処理の算出結果との整合性の有無に基づき、前記第2写像データを更新するためのデータを生成する処理と、を含む請求項8記載の車両用学習制御システム。
  11. 前記第2実行装置は、前記再学習処理によって学習された再学習済みのパラメータを前記車両へと送信するパラメータ送信処理を実行し、
    前記第1実行装置は、前記パラメータ送信処理によって送信された前記パラメータを受信するパラメータ受信処理を実行する請求項8〜10のいずれか1項に記載の車両用学習制御システム。
  12. 請求項11記載の前記第1実行装置を備える車両用制御装置。
  13. 請求項8〜12のいずれか1項に記載の前記第2実行装置を備える車両用学習装置。
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